弾性表面波素子
【課題】基板の平面上に電極を形成した平面型の弾性表面波素子において、従来よりも弾性表面波のエネルギを有効に活用できるようにする。
【解決手段】基板2の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能なIDT3と、反射器4とが形成された弾性表面波素子において、IDT3の構成を、曲線による閉じられた周形状の複数の電極11が同心状に所定間隔で配置された構成とする。また、反射器4の構成を、第1電極3と同じ周形状の複数の電極12がIDT3に対して同心状に所定間隔で配置された構成とする。これによれば、IDT3、反射器4を閉じられた周形状として、端部が存在しない形状としているので、回折現象の発生を抑制でき、従来よりも弾性表面波のエネルギを有効に活用できる。
【解決手段】基板2の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能なIDT3と、反射器4とが形成された弾性表面波素子において、IDT3の構成を、曲線による閉じられた周形状の複数の電極11が同心状に所定間隔で配置された構成とする。また、反射器4の構成を、第1電極3と同じ周形状の複数の電極12がIDT3に対して同心状に所定間隔で配置された構成とする。これによれば、IDT3、反射器4を閉じられた周形状として、端部が存在しない形状としているので、回折現象の発生を抑制でき、従来よりも弾性表面波のエネルギを有効に活用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波素子は、一般的に、基板の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能なIDTと、反射器もしくは別のIDTとが形成されている。
【0003】
そして、特許文献1には、このIDTの形状を直線形状や円弧形状としたものが開示されている。ちなみに、一般的なIDTは櫛歯形状であり、櫛歯部分が直線形状となっている。
【0004】
また、特許文献2には、球面を有する基板の球面上にIDTを形成した球状弾性表面波素子が開示されている。ここで、上述の基板の平面上にIDT等を形成した平面型の弾性表面波素子では、弾性表面波の回折現象が起きるため、弾性表面波のエネルギ損失が生じるという問題があった。そこで、特許文献2に開示の弾性表面波素子では、球面上にIDTを形成することで、この問題の解決が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−111471号公報(第1、3図)
【特許文献2】特開2002−26688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、平面型の弾性表面波素子で回折現象が起きるのは、平面上に形成されたIDTや反射器の形状が直線形状もしくは円弧形状であって端部を有する形状であったことが理由として挙げられる。この回折現象のため、従来の平面型の弾性表面波素子では、IDTによって発生した弾性表面波がIDT−反射器間もしくはIDT−IDT間から外へ逃げてしまい、IDTによって発生した弾性表面波のエネルギのすべてを有効に利用できていなかった。
【0007】
なお、特許文献2に記載の技術は、上述の通り、球面上に電極を設けることで弾性表面波の回折現象の発生を抑制するものであり、基板の平面上に電極を形成した平面型の弾性表面波素子において、回折現象の発生を抑制するものではない。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、基板の平面上に電極を形成した平面型の弾性表面波素子において、従来よりも弾性表面波のエネルギを有効に活用できる弾性表面波素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1電極(3、3a)は、曲線または折れ線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、第2電極(4、3b)は、第1電極(3、3a)と同じ周形状の複数の電極(11、12)が、第1電極(3、3a)の中心側もしくは外側に、第1電極(3、3a)に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴としている。
【0010】
これによれば、第1、第2電極を、閉じられた周形状として、端部が存在しない形状としているので、回折現象の発生を抑制できる。よって、本発明の弾性表面波素子によれば、従来よりも弾性表面波のエネルギを有効に活用できる。
【0011】
ここで、周形状としては、例えば、請求項2に記載の曲線による閉じられた形状や、円周形状や、請求項3に記載の多角形形状が採用可能である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、第1電極(3、3a)は、曲線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、第1電極(3、3a)と第2電極(4、3b)のうち中心側に位置する方は、曲線の法線が曲線の外部で交差しない形状であることを特徴としている。
【0013】
これによれば、本発明とは逆に、曲線の法線が曲線の外部で交差する形状の場合と比較して、第1電極と第2電極のうち外側に位置する方での反射効率を向上させることができる。これは、第1電極と第2電極のうち中心側に位置する方の形状が、曲線の外部で曲線の法線が交差する形状の場合、曲線の法線の交差位置に存在する電極で、その位置に異なる方向から伝搬してきた波を、それぞれの方向に反射させることは不可能だからである。
【0014】
また、周形状を多角形形状とする場合では、請求項4に記載の発明のように、角を偶数固有する多角形形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、第1、第2電極の多角形の各辺に垂直な方向において、第1電極と第2電極とを正対させることができるからである。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(7)を、基板(2)の内部に形成したことを特徴としている。また、請求項6に記載の発明では、第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(27)を、基板(2)の平面から所定高さ離れた位置に形成したことを特徴としている。
【0016】
請求項5、6に記載の発明のように第1電極と電気的に接続された配線を配置することで、第1、第2電極の形状を閉じられた周形状とすることができる。
【0017】
また、請求項7に記載の発明では、基板(2)の平面上に、第1電極(3、3a)に接続された配線(31)が形成されており、第1電極(3、3a)は、配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、第2電極(4、3b)は、第1電極の中心側もしくは外側に、配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(12)が、第1電極に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、第1、第2電極を構成する複数の電極の形状を、閉じられている周に近い形状としているので、電極の形状が直線形状や円弧形状である従来の弾性表面波素子と比較して、電極の端部から逃げていたエネルギを有効活用できる。
【0019】
また、請求項8に記載の発明では、第1、第2電極(3、4)の端部(32、33)と配線(31)との間に絶縁膜(34、35)が介在しており、第1、第2電極(3、4)と配線(31)とが絶縁膜(34、35)を介して連続していることを特徴としている。
【0020】
これによれば、第1、第2電極(3、4)が配線と連続しているので、擬似的に、第1、第2電極(3、4)に端部が存在しない状態にでき、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0021】
請求項1〜8に記載の発明において、第1電極および第2電極は、例えば、請求項9に記載のように、第1電極は駆動電極(3)であり、第2電極は反射器(4)である。また、請求項10に記載のように、第1電極は駆動電極(3a)であり、第2電極は検出用電極(3b)である。
【0022】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】第2実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図4】第3実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図5】第4実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図6】第5実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図7】第6実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線断面図である。
【図9】第7実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図10】図9中のX−X線断面図である。
【図11】図9中のXI−XI線断面図である。
【図12】第8実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図13】図12中のXIII−XIII線断面図である。
【図14】第9実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図15】図14中のXV−XV線断面図である。
【図16】第9本実施形態の製造途中における弾性表面波素子の断面図である。
【図17】第10実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図18】図17中のXVII−XVII線断面図である。
【図19】従来の弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図20】数1に示される数式をグラフ化したものである。
【図21】第11実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図22】他の実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0025】
(第1実施形態)
図1に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図2に図1中のII−II線断面図を示す。なお、図1では、IDT3にドット模様を付し、反射器4を塗りつぶして表示している。
【0026】
図2に示すように、弾性表面波素子1は、基板2の平面上に第1電極としてのIDT3と第2電極としての反射器4とが形成されたものである。そして、IDT3と電気的に接続された配線7が基板2の内部に形成されている。本実施形態のIDT3は、弾性表面波の発生もしくは受信が可能な電極であるが、下記の通り、電極の形状が一般的な櫛歯電極と異なるものであり、以下の各実施形態においても同様である。
【0027】
具体的には、基板2は、下から順にベース基板5、酸化膜6、配線7、圧電膜8が積層されている。基板2の平面形状は、図示していないが、例えば、四角形である。ベース基板5は、例えば、シリコン基板であり、酸化膜6は、例えば、シリコン酸化膜である。配線7は、第1配線7aと第2配線7bの電気的に異なる2つの配線があり、第1配線7aと第2配線7bは、Al等の金属で構成されている。また、圧電膜8は、圧電材料で構成された膜であり、例えば、AlN膜である。
【0028】
IDT3は、図1に示すように、円周形状の複数の電極11が同心状に所定間隔で配置された構成であり、すなわち、同心円形状の複数の電極11によって構成されている。同心円形状の電極11は、等間隔で配置されており、隣り合う電極の距離L1は弾性表面波の半波長(λ/2)に設定されている。また、反射器4は、IDT3を構成する複数の電極11と同じ円周形状である複数の電極12が、IDT3の外側にIDT3に対して同心状に所定間隔で配置された構成である。このように、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12は、同じ形状で同心状に配置されており、すなわち、相似形状となっている。
【0029】
そして、図1、2に示すように、IDT3を構成する複数の電極11は、第1配線7aに接続された電極11aと、第2配線7bに接続された電極11bとが交互に配置されている。なお、弾性表面波は基板表面からの深さが1波長までの領域を伝搬するので、基板2のうち表面からの深さが1波長よりも深い位置に第1、第2配線7a、7bが配置されている。
【0030】
このような構成の弾性表面波素子1は、以下のように、一般的な弾性表面波素子1の製造方法に対して、基板2の形成工程と、IDT3および反射器4をなす電極のパターンを変更することで製造可能である。
【0031】
すなわち、図2に示すように、ベース基板5上の酸化膜6、配線7、圧電膜8が形成された基板2を用意する。このとき、ベース基板5上の酸化膜6、配線7は、ICチップにおける半導体基板上の多層配線と同様のプロセスで形成される。また、圧電膜8は、例えば、スパッタリングで形成される。
【0032】
その後、例えば、基板2上にスパッタリング等によりAl等の金属薄膜を形成した後、この金属薄膜をフォトリソグラフィおよびエッチングにより、図1に示す所望の電極パターンのIDT3および反射器4を形成する。その後、一般的な弾性表面波素子と同様の製造工程を経ることで、本実施形態の弾性表面波素子が製造される。
【0033】
ところで、本実施形態の弾性表面波素子1は、共振子、フィルタ等として用いることが可能である。例えば、共振子として用いる場合、IDT3に所定の交流電圧を印加すると、駆動電極としてのIDT3から弾性表面波が円形状に広がっていく。このとき、円形状に伝搬する波は、中心ほど波が高く、外側は波が低くなっており、周波数はどこでも同じである。そして、反射器4で弾性表面波が反射されて、弾性表面波が閉じこめられ、定在波となる。
【0034】
ここで、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12のパターンを円周形状、すなわち、完全に閉じられた周形状とし、電極11、12の延伸方向に端部が存在しない形状となっているので、発生を抑制できる。よって、本実施形態によれば、IDT3によって発生した弾性表面波のエネルギのすべてを有効に利用できるので、直線形状や円弧形状の電極でIDTが構成された従来の弾性表面波素子と比較して、Q値を向上させることができる。なお、本明細書でいうQ値とは、IDTで発生した弾性表面波をどれだけIDT−反射器間に閉じ込められるかを表すパラメータである。
【0035】
(第2実施形態)
図3に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第1実施形態の弾性表面波素子1に対してIDT3および反射器4の電極パターンを変更したものであり、以下では、変更点を説明する。
【0036】
第1実施形態では、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が円形状であったが、本実施形態では、図3に示すように、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が楕円形状となっている。本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が完全に閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0037】
(第3実施形態)
図4に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第1実施形態の弾性表面波素子1に対してIDT3および反射器4の電極パターンを変更したものであり、以下では、変更点を説明する。
【0038】
第1、第2実施形態では、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が円形状、楕円形状であったが、本実施形態では、図4に示すように、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が外側に凸の曲線部13、14や内側に凸の曲線部15、16からなる閉じられた周形状となっている。本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が完全に閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
ただし、第1〜第3実施形態のように、IDT3および反射器4をなす電極11、12を曲線の周形状とする場合では、以下の説明の通り、本実施形態のように外側に凸の曲線部13、14や内側に凸の曲線部15、16からなる閉じられた周形状とするよりも、第1、第2実施形態の円、楕円形状のように、外側に凸の曲線のみからなる閉じられた周形状とすることが好ましい。
【0040】
本実施形態では、図4に示すように、IDT3をなす電極11において、内側に凸の曲線部15、16が存在するため、曲線の法線17、18がIDT3の外部で交差してしまう。この場合、曲線の法線17、18の交差位置に存在する反射器4で、その位置に異なる方向から伝搬してきた波を、それぞれの方向に反射させることは不可能である。このため、本実施形態の弾性表面波素子1は、反射器4の反射効率が低下してしまい、Q値が低下してしまう。
【0041】
これに対して、IDT3をなす電極11が、第1、第2実施形態の円、楕円形状のように、外側に凸の曲線のみからなる閉じられた周形状として、閉曲線の任意の2点での法線が閉曲線の内部で必ず交差し、閉曲線の外部で交差しない形状とすることで、IDT3から伝搬された弾性表面波をすべて反射器4で反射させることが可能となり、反射器4の反射効率を向上できる。よって、第1、第2実施形態によれば、第3実施形態と比較して弾性表面波素子1のQ値を向上させることができる。
【0042】
また、第1〜第3実施形態を比較すると、IDT3および反射器4をなす電極11、12を円形状とすることで、IDT3および反射器4の構成を最小にできるので、第1実施形態が好ましいと言える。
【0043】
(第4実施形態)
図5に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第1実施形態の弾性表面波素子1に対してIDT3および反射器4の電極パターンを変更したものであり、以下では、変更点を説明する。
【0044】
本実施形態では、図5に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が角の数が奇数である多角形形状となっており、例えば、5つの直線部21、23と、5つの角部22、24を有する正五角形形状となっている。なお、直線部21、23および角部22、24の数は奇数であれば他の数であっても良く、正多角形でなくても良い。
【0045】
このように、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12が多角形形状、すなわち、折れ線からなる閉じられた周形状となっている。よって、本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が完全に閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0046】
また、本発明においては、本実施形態のように、IDT3および反射器4をなす電極11、12の形状を奇数の多角形形状にできるので、用途やその他の拘束条件によって、このような形状が必要となっても対応が可能である。例えば、用途がセンサの場合に、感度が良好な電極形状として、このような形状を採用する必要があったり、実装の際に基板表面上にIDT3および反射器4を形成する場所が限定され、IDT3および反射器4の形状としてこのような形状を採用する必要があったりする場合に、本実施形態が有効である。
【0047】
(第5実施形態)
図6に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。第4実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12が奇数の多角形形状であったが、本実施形態では、これらの電極11、12が偶数の多角形形状となっている。
【0048】
具体的には、図6に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が6つの直線部21、23と、6つの角部22、24とを有する正六角形形状となっている。なお、直線部21、23および角部22、24の数は偶数であれば他の数であっても良く、正多角形でなくても良い。
【0049】
本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が、多角形形状、すなわち、折れ線からなる閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0050】
また、第4実施形態では、図5に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が奇数の多角形形状であるため、図5中の一点鎖線25の方向、すなわち、IDT3をなす電極11の1つの直線部21に垂直な方向において、IDT3の両側に位置する反射器4のうち一方側の電極12は、IDT3の電極11に平行だが、他方側の電極12はIDT3の電極11に平行ではない。これに対して、本実施形態では、図6に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が偶数の多角形形状であるため、図6中の一点鎖線26の方向、すなわち、IDT3をなす電極11の1つの直線部21に垂直な方向において、IDT3の両側に位置する反射器4の電極12は、ともに、IDT3の電極11に平行になっている。よって、本実施形態によれば、IDT3を挟んだ両側に位置する反射器4が正対しているので、第4実施形態と比較して、Q値を向上させることができる。
【0051】
また、本発明においては、本実施形態のように、IDT3および反射器4をなす電極11、12の形状を偶数の多角形形状にできるので、用途やその他の拘束条件によって、このような形状が必要となっても対応が可能である。
【0052】
(第6実施形態)
図7に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図8に図7中のVIII−VIII線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対して、弾性表面波素子1の構成を変更したものであり、以下では、変更点のみを説明する。
【0053】
第1実施形態の弾性表面波素子1は、基板2の平面上において、中心側にIDT3が配置され、その外側に反射器4が配置された構成であったが、本実施形態の弾性表面波素子1は、基板2の平面上において、IDT3の内側と外側にそれぞれ第1反射器4a、第2反射器4bが配置された構成である。IDT3、第1反射器4aおよび第2反射器4bをなす複数の電極11、12は、第1実施形態と同様に、円周形状であり、同心状に所定間隔で配置されている。本実施形態では、IDT3が第1電極に相当し、第1反射器4aおよび第2反射器4bが本発明の第2電極に相当する。
【0054】
このような構成の弾性表面波素子1は、例えば、基板2の変形を振幅でセンシングするセンサとして用いることが可能である。
【0055】
本実施形態においても、IDT3、第1反射器4aおよび第2反射器4bをなす複数の電極11、12が閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0056】
なお、本実施形態では、IDT3、第1反射器4aおよび第2反射器4bをなす複数の電極11、12を、円周形状としていたが、第2〜第5実施形態と同様に、曲線もしくは折れ線からなる周形状としても良い。
【0057】
(第7実施形態)
図9に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図10に図9中のX−X線断面図を示し、図11に図9中のXI−XI線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対して、弾性表面波素子1の構成を変更したものであり、以下では、変更点のみを説明する。
【0058】
本実施形態の弾性表面波素子1は、第1実施形態の素子1における反射器4をIDT3に変更したものであり、すなわち、基板2の平面上において、2つのIDT3が形成された構成である。
【0059】
図9に示すように、基板2の平面上において、中心側に第1IDT3aが配置され、その外側に第2IDT3bが配置されている。そして、図10に示すように、中心側の第1IDT3aは、第1配線7aに接続された電極11aと、第2配線7bに接続された電極11bとが交互に配置された構成となっている。一方、図11に示すように、外側の第2IDT3bは、第3配線7cに接続された電極11cと、第4配線7dに接続された電極11dとが交互に配置された構成となっている。
【0060】
このような構成の弾性表面波素子1は、基板2の変形を信号の遅延時間でセンシングするセンサとして用いることが可能である。例えば、駆動電極としての第1IDT3aに所定の交流電圧を印加すると、第1IDT3aから弾性表面波が励起されて、第1IDT3aと第2IDT3b間の距離に応じた遅延時間を経て、第2IDT3bに到達する。そして、基板2が変形した場合、第1IDT3aと第2IDT3bの間の距離が変化し、弾性表面波の遅延時間が変化するので、この弾性表面波の遅延時間を測定することで、基板2の変形をセンシングすることができる。
【0061】
このように、第1IDT3aと第2IDT3bの一方を、弾性表面波を発生させる駆動電極、第1IDT3aと第2IDT3bの他方を、弾性表面波を受信する検出電極として使用するが、どちらを駆動電極、検出電極として使用しても良い。したがって、本実施形態では、第1IDT3aと第2IDT3bの一方と他方が、本発明の第1電極と第2電極に相当する。
【0062】
本実施形態においても、第1IDT3a、第2IDT3bをなす複数の電極11が閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
なお、本実施形態では、第1IDT3a、第2IDT3bをなす複数の電極11を、円周形状としていたが、第2〜第5実施形態と同様に、曲線もしくは折れ線からなる周形状としても良い。
【0064】
(第8実施形態)
図12に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図13に図12中のXIII−XIII線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3と反射器4の位置を入れ替えたものである。
【0065】
具体的には、図12、13に示すように、本実施形態の弾性表面波素子1は、基板2の平面上において、第1電極としてのIDT3の中心側に、第2電極としての反射器4が配置された構成である。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、IDT3と反射器4をなす複数の電極11、12が閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0066】
また、このような構成の弾性表面波素子1は、第7実施形態と同様に、基板2の変形を信号の遅延時間でセンシングするセンサとして用いることが可能である。この場合、IDT3が弾性表面波を発生および受信する電極として使用されるので、センサの入出力が同じとなる。
【0067】
なお、本実施形態では、IDT3と反射器4をなす複数の電極11、12を、円周形状としていたが、第2〜第5実施形態と同様に、曲線もしくは折れ線からなる周形状としても良い。
【0068】
(第9実施形態)
図14に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図15に図14中のXV−XV線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から空中に変更したものである。
【0069】
図14に示すように、基板2の平面上に形成されているIDT3と反射器4をなす複数の電極11、12は、第1実施形態の図1に示す構造と同じ円周形状となっている。
【0070】
そして、本実施形態では、図15に示すように、基板2の平面から離れた空中に、IDT3に接続されている配線27が設けられている。基板2は、例えば、圧電材料の単結晶で構成されている。空中の配線27は、第1配線27aと第2配線27bの電気的に異なる2つの配線があり、第1配線27aと第2配線27bは、それぞれ、IDT3をなす複数の電極11a、11bに接続されている。
【0071】
ここで、空中の配線27の形成方法を説明する。図16に、本実施形態の弾性表面波素子の製造途中における断面図を示す。
【0072】
まず、第1実施形態と同様の方法により、基板2上にIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12を形成する。その後、図16に示すように、電極11、12を含む基板2上に犠牲層28を形成し、この犠牲層28上にAl等の金属配線を形成する。さらに、この金属配線をパターニングして配線27を形成する。その後、犠牲層28をウェットエッチングにより除去することで、空中に位置する配線27を形成できる。
【0073】
このように、IDT3に接続された配線27を空中に設けることでも、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12の形状を円周形状とすることができる。
【0074】
ところで、第1実施形態では、IDT3に接続された配線7を基板2の内部に設けており、配線7による弾性表面波の伝搬への影響を考慮して、基板表面からの深さが1波長よりも深い位置に配線7を配置していた。しかし、この場合であっても、基板表面付近に配線7とIDT3の接続部分が必ず存在するため、この接続部分が弾性表面波の伝搬に影響する恐れがある。
【0075】
これに対して、本実施形態では、基板2の内部ではなく、空中に配線27を設けているので、弾性表面波の伝搬への影響を無くすことができる。
【0076】
なお、本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3に接続された配線の位置を基板2内から空中に変更したものであったが、第2〜第8実施形態に対しても、IDT3に接続された配線の位置を基板2内から空中に変更しても良い。
【0077】
(第10実施形態)
図17に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図18に図17中のXVIII−XVIII線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更したものである。
【0078】
具体的には、図18に示すように、IDT3をなす電極11と同様に、IDT3に接続された配線31が基板2の平面上に設けられており、IDT3に接続された配線31はIDT3をなす電極11と同じ高さに位置している。配線31は、互いに電気的に異なる第1配線31aと第2配線31bとを有しており、第1配線31aと第2配線31bとは、180°の角度をなす位置関係となっている。基板2は、例えば、圧電材料の単結晶で構成されている。配線31は、IDT3をなす電極11と同様に、Al等の金属によって構成されている。この配線31は、例えば、IDT3、反射器4をなす電極11、12と同時に形成される。
【0079】
そして、図17に示すように、基板2の平面上において、中心側にIDT3が配置され、その外側に反射器4が配置されている。
【0080】
ここで、本実施形態のIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12の形状は、図1に示すIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12に対して、配線31のスペースおよび配線31と電極11、12との間での絶縁性を確保するのに必要なスペースを得るために、一部分を省略した形状となっている。
【0081】
IDT3は、第1配線31aに接続された電極11であって、円周に近い略円周状の電極11aと、第2配線31bに接続された電極11であって、円周に近い略円周状の電極11bとが中心側から外側に向けて交互に等間隔で同心状に配置されている。
【0082】
より具体的には、IDT3をなす複数の電極11のうち、中心側から1番目の第1配線31aに接続された電極11aは、完全に閉じられた円周形状である。中心側から2番目の第2配線31bに接続された電極11bは、1番目の電極11aの周囲にて第1配線31aを避けて円周状に形成されている。同様に、中心側から3番目の第1配線31aに接続された電極11aは、2番目の電極11aの周囲にて第2配線31bを避けて円周状に形成されている。同様に、中心側から4番目の第2配線31bに接続された電極11bは、3番目の電極11aの周囲にて第1配線31aを避けて円周状に形成されている。この電極が配線31を避けて円周状に形成されているとは、電極が配線31および電極と配線31との絶縁領域を除いて円周を描くように形成されていることを意味し、配線31および電極と配線31との絶縁領域にも電極を設けたとしたら閉じられた円周になることを意味する。そして、中心側から2、3、4番目の電極11の端部32は、配線31の近傍に位置し、配線31を挟んで向かい合わせに位置している。
【0083】
また、反射器4においても、複数の電極12が、配線31を避けて円周状に配置されており、複数の電極12同士は等間隔で同心状に配置されている。具体的には、反射器4をなす電極12は、半円形状部分の端部33同士が配線31を挟んで向かい合わせに配置された構成となっている。
【0084】
本実施形態では、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が、円周の一部が欠けた形状であり、閉じられている円周に近い形状なので、直線形状や円弧形状の電極でIDTが構成された従来の弾性表面波素子と比較して、電極の端部から逃げていたエネルギを有効活用できる。
【0085】
以下、円周の一部が欠けた形状でどの程度のエネルギが有効活用できるかを説明する。図19に、従来の弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。図19に示す弾性表面波素のIDT40は櫛歯形状であって、櫛歯部分41が直線形状となっている。この弾性表面波素子の回折波のエネルギPは、例えば、回折波をフラウンホーファー回折とすれば、数1のように示される。
【0086】
【数1】
ここで、数1におけるDはIDTの長さであり、λは弾性表面波の波長であり、θはIDT40の端部における弾性表面波の伝搬方向に対する角度である。この弾性表面波の伝搬方向とは櫛歯部分41に垂直な方向である。そして、この数1におけるPの対数を縦軸とし、θを横軸としてグラフにしたものが図21である。
【0087】
図20に示す従来の弾性表面波素子では、図21に示されるグラフの全範囲、すなわち、θが0°<θ≦90°の範囲のエネルギが逃げてしまう。ちなみに、図21のグラフにおける0°<θ≦90°の範囲の積分値がエネルギ損失量に相当する。
【0088】
これに対して、本実施形態ではIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が、円周の一部が欠けた形状であり、IDT3の端部における角度θ1は、図17に示すように、90度よりもかなり小さく、数度である。ちなみに、この角度θ1は、IDT3のうち最外周に位置する電極11bの配線31に接続されている端部と、反射器4のうち最外周に位置する電極12の端部33とを結ぶ線が、配線31が延びる方向となす角度である。このため、本実施形態によれば、IDT3の端部から逃げるエネルギは図21のグラフにおける0<θ≦θ1(例えば、数度)の範囲に収まり、それ以外での角度でのエネルギを弾性表面波として活用できる。
【0089】
なお、本実施形態では、第1配線31aと第2配線31bとは、180°の角度をなす位置関係となっていたが、他の角度をなす位置関係としても良い。また、本実施形態では、IDT3のうち中心側から1番目の電極11aは、完全に閉じられた円周形状であったが、円周の一部が欠けた形状であっても良い。また、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12を、円周に近い略円周形状としていたが、略円周形状に限らず、第2〜第5実施形態のように、曲線もしくは折れ線の周形状に近い略周形状としても良い。
【0090】
また、本実施形態では、IDT3の端部における角度θ1が数度となるように、反射器4の端部33と配線31との間隔を設定していたが、角度θ1を他の大きさとしても良い。例えば、0°<θ1≦45の範囲内となるように、反射器4の端部33と配線31との間隔を設定しても良い。
【0091】
(第11実施形態)
図21に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第10実施形態の一部を変更したものであり、以下では変更点のみを説明する。
【0092】
本実施形態では、図21に示すように、IDT3をなす複数の電極11の端部32と配線31との間に絶縁膜34を介在させ、IDT3の電極11、配線31および絶縁膜34を合わせた全体形状を完全に閉じられた円周形状としている。
【0093】
同様に、反射器4の電極12の端部33と配線31との間に絶縁膜35を介在させ、反射器4の電極12、配線31および絶縁膜35を合わせた全体形状を完全に閉じられた円周形状としている。
【0094】
本実施形態によれば、絶縁膜34、35を介して、IDT3および反射器4をなす電極11、12と配線31とを連続させた形状として、IDT3および反射器4をなす電極11、12を、擬似的に、端部が無い状態としているので、回折現象の発生を抑制できる。よって、本実施形態によれば、第10実施形態と比較して、電極の端部から逃げていたエネルギをより一層有効活用できる。
【0095】
なお、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12と絶縁膜34、35と配線31との全体形状を、円周形状としていたが、円周に限らず、第2〜第5実施形態のように、曲線もしくは折れ線の周形状としても良い。
【0096】
(他の実施形態)
(1)第10、11実施形態の弾性表面波素子は、第1実施形態の弾性表面波素子に対してIDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更したものであったが、第6〜第8実施形態の弾性表面波素子に対して、IDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更しても良い。
【0097】
ここで、図22に、第7実施形態のように、中心側に第1IDT3aが配置され、その外側に第2IDT3bが配置された構成とした場合の弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。第7実施形態の弾性表面波素子に対して、IDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更する場合では、図17の弾性表面波素子に対して、図17中のIDT3を第1IDT3aとし、図17中の反射器4を第2IDT3bに変更する。
【0098】
そして、図22に示すように、第2IDT3bにおいては、2つの第3配線31cを第1配線31aの両側に第1配線31aに沿って配置し、2つの第4配線31dを第2配線31bの両側に第2配線31bに沿って配置する。さらに、この第3配線31cに接続された電極11cを、第2配線31bおよび第4配線31dを避けて円周状に配置し、第4配線31dに接続された電極11dを、第1配線31aおよび第3配線31cを避けて円周状に配置する。
【0099】
なお、図22では、第1、第2IDT3a、3bに接続された配線を基板平面に配置していたが、一方のIDTに接続された配線を基板平面に形成し、他方のIDTに接続された配線を基板内もしくは空中に配置しても良い。
【0100】
(2)上述の各実施形態では、基板2の平面形状を四角形としていたが、基板2の平面形状を四角以外の形状としても良い。
【0101】
(3)上述の各実施形態を実施可能な範囲で組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 弾性表面波素子
2 基板
3、3a、3b IDT
4、4a、4b 反射器
7、27、31 IDTに電気的に接続されている配線
11 IDTを構成する電極
12 反射器を構成する電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波素子は、一般的に、基板の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能なIDTと、反射器もしくは別のIDTとが形成されている。
【0003】
そして、特許文献1には、このIDTの形状を直線形状や円弧形状としたものが開示されている。ちなみに、一般的なIDTは櫛歯形状であり、櫛歯部分が直線形状となっている。
【0004】
また、特許文献2には、球面を有する基板の球面上にIDTを形成した球状弾性表面波素子が開示されている。ここで、上述の基板の平面上にIDT等を形成した平面型の弾性表面波素子では、弾性表面波の回折現象が起きるため、弾性表面波のエネルギ損失が生じるという問題があった。そこで、特許文献2に開示の弾性表面波素子では、球面上にIDTを形成することで、この問題の解決が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−111471号公報(第1、3図)
【特許文献2】特開2002−26688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、平面型の弾性表面波素子で回折現象が起きるのは、平面上に形成されたIDTや反射器の形状が直線形状もしくは円弧形状であって端部を有する形状であったことが理由として挙げられる。この回折現象のため、従来の平面型の弾性表面波素子では、IDTによって発生した弾性表面波がIDT−反射器間もしくはIDT−IDT間から外へ逃げてしまい、IDTによって発生した弾性表面波のエネルギのすべてを有効に利用できていなかった。
【0007】
なお、特許文献2に記載の技術は、上述の通り、球面上に電極を設けることで弾性表面波の回折現象の発生を抑制するものであり、基板の平面上に電極を形成した平面型の弾性表面波素子において、回折現象の発生を抑制するものではない。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、基板の平面上に電極を形成した平面型の弾性表面波素子において、従来よりも弾性表面波のエネルギを有効に活用できる弾性表面波素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1電極(3、3a)は、曲線または折れ線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、第2電極(4、3b)は、第1電極(3、3a)と同じ周形状の複数の電極(11、12)が、第1電極(3、3a)の中心側もしくは外側に、第1電極(3、3a)に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴としている。
【0010】
これによれば、第1、第2電極を、閉じられた周形状として、端部が存在しない形状としているので、回折現象の発生を抑制できる。よって、本発明の弾性表面波素子によれば、従来よりも弾性表面波のエネルギを有効に活用できる。
【0011】
ここで、周形状としては、例えば、請求項2に記載の曲線による閉じられた形状や、円周形状や、請求項3に記載の多角形形状が採用可能である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、第1電極(3、3a)は、曲線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、第1電極(3、3a)と第2電極(4、3b)のうち中心側に位置する方は、曲線の法線が曲線の外部で交差しない形状であることを特徴としている。
【0013】
これによれば、本発明とは逆に、曲線の法線が曲線の外部で交差する形状の場合と比較して、第1電極と第2電極のうち外側に位置する方での反射効率を向上させることができる。これは、第1電極と第2電極のうち中心側に位置する方の形状が、曲線の外部で曲線の法線が交差する形状の場合、曲線の法線の交差位置に存在する電極で、その位置に異なる方向から伝搬してきた波を、それぞれの方向に反射させることは不可能だからである。
【0014】
また、周形状を多角形形状とする場合では、請求項4に記載の発明のように、角を偶数固有する多角形形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、第1、第2電極の多角形の各辺に垂直な方向において、第1電極と第2電極とを正対させることができるからである。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(7)を、基板(2)の内部に形成したことを特徴としている。また、請求項6に記載の発明では、第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(27)を、基板(2)の平面から所定高さ離れた位置に形成したことを特徴としている。
【0016】
請求項5、6に記載の発明のように第1電極と電気的に接続された配線を配置することで、第1、第2電極の形状を閉じられた周形状とすることができる。
【0017】
また、請求項7に記載の発明では、基板(2)の平面上に、第1電極(3、3a)に接続された配線(31)が形成されており、第1電極(3、3a)は、配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、第2電極(4、3b)は、第1電極の中心側もしくは外側に、配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(12)が、第1電極に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、第1、第2電極を構成する複数の電極の形状を、閉じられている周に近い形状としているので、電極の形状が直線形状や円弧形状である従来の弾性表面波素子と比較して、電極の端部から逃げていたエネルギを有効活用できる。
【0019】
また、請求項8に記載の発明では、第1、第2電極(3、4)の端部(32、33)と配線(31)との間に絶縁膜(34、35)が介在しており、第1、第2電極(3、4)と配線(31)とが絶縁膜(34、35)を介して連続していることを特徴としている。
【0020】
これによれば、第1、第2電極(3、4)が配線と連続しているので、擬似的に、第1、第2電極(3、4)に端部が存在しない状態にでき、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0021】
請求項1〜8に記載の発明において、第1電極および第2電極は、例えば、請求項9に記載のように、第1電極は駆動電極(3)であり、第2電極は反射器(4)である。また、請求項10に記載のように、第1電極は駆動電極(3a)であり、第2電極は検出用電極(3b)である。
【0022】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】第2実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図4】第3実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図5】第4実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図6】第5実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図7】第6実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線断面図である。
【図9】第7実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図10】図9中のX−X線断面図である。
【図11】図9中のXI−XI線断面図である。
【図12】第8実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図13】図12中のXIII−XIII線断面図である。
【図14】第9実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図15】図14中のXV−XV線断面図である。
【図16】第9本実施形態の製造途中における弾性表面波素子の断面図である。
【図17】第10実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図18】図17中のXVII−XVII線断面図である。
【図19】従来の弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図20】数1に示される数式をグラフ化したものである。
【図21】第11実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【図22】他の実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0025】
(第1実施形態)
図1に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図2に図1中のII−II線断面図を示す。なお、図1では、IDT3にドット模様を付し、反射器4を塗りつぶして表示している。
【0026】
図2に示すように、弾性表面波素子1は、基板2の平面上に第1電極としてのIDT3と第2電極としての反射器4とが形成されたものである。そして、IDT3と電気的に接続された配線7が基板2の内部に形成されている。本実施形態のIDT3は、弾性表面波の発生もしくは受信が可能な電極であるが、下記の通り、電極の形状が一般的な櫛歯電極と異なるものであり、以下の各実施形態においても同様である。
【0027】
具体的には、基板2は、下から順にベース基板5、酸化膜6、配線7、圧電膜8が積層されている。基板2の平面形状は、図示していないが、例えば、四角形である。ベース基板5は、例えば、シリコン基板であり、酸化膜6は、例えば、シリコン酸化膜である。配線7は、第1配線7aと第2配線7bの電気的に異なる2つの配線があり、第1配線7aと第2配線7bは、Al等の金属で構成されている。また、圧電膜8は、圧電材料で構成された膜であり、例えば、AlN膜である。
【0028】
IDT3は、図1に示すように、円周形状の複数の電極11が同心状に所定間隔で配置された構成であり、すなわち、同心円形状の複数の電極11によって構成されている。同心円形状の電極11は、等間隔で配置されており、隣り合う電極の距離L1は弾性表面波の半波長(λ/2)に設定されている。また、反射器4は、IDT3を構成する複数の電極11と同じ円周形状である複数の電極12が、IDT3の外側にIDT3に対して同心状に所定間隔で配置された構成である。このように、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12は、同じ形状で同心状に配置されており、すなわち、相似形状となっている。
【0029】
そして、図1、2に示すように、IDT3を構成する複数の電極11は、第1配線7aに接続された電極11aと、第2配線7bに接続された電極11bとが交互に配置されている。なお、弾性表面波は基板表面からの深さが1波長までの領域を伝搬するので、基板2のうち表面からの深さが1波長よりも深い位置に第1、第2配線7a、7bが配置されている。
【0030】
このような構成の弾性表面波素子1は、以下のように、一般的な弾性表面波素子1の製造方法に対して、基板2の形成工程と、IDT3および反射器4をなす電極のパターンを変更することで製造可能である。
【0031】
すなわち、図2に示すように、ベース基板5上の酸化膜6、配線7、圧電膜8が形成された基板2を用意する。このとき、ベース基板5上の酸化膜6、配線7は、ICチップにおける半導体基板上の多層配線と同様のプロセスで形成される。また、圧電膜8は、例えば、スパッタリングで形成される。
【0032】
その後、例えば、基板2上にスパッタリング等によりAl等の金属薄膜を形成した後、この金属薄膜をフォトリソグラフィおよびエッチングにより、図1に示す所望の電極パターンのIDT3および反射器4を形成する。その後、一般的な弾性表面波素子と同様の製造工程を経ることで、本実施形態の弾性表面波素子が製造される。
【0033】
ところで、本実施形態の弾性表面波素子1は、共振子、フィルタ等として用いることが可能である。例えば、共振子として用いる場合、IDT3に所定の交流電圧を印加すると、駆動電極としてのIDT3から弾性表面波が円形状に広がっていく。このとき、円形状に伝搬する波は、中心ほど波が高く、外側は波が低くなっており、周波数はどこでも同じである。そして、反射器4で弾性表面波が反射されて、弾性表面波が閉じこめられ、定在波となる。
【0034】
ここで、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12のパターンを円周形状、すなわち、完全に閉じられた周形状とし、電極11、12の延伸方向に端部が存在しない形状となっているので、発生を抑制できる。よって、本実施形態によれば、IDT3によって発生した弾性表面波のエネルギのすべてを有効に利用できるので、直線形状や円弧形状の電極でIDTが構成された従来の弾性表面波素子と比較して、Q値を向上させることができる。なお、本明細書でいうQ値とは、IDTで発生した弾性表面波をどれだけIDT−反射器間に閉じ込められるかを表すパラメータである。
【0035】
(第2実施形態)
図3に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第1実施形態の弾性表面波素子1に対してIDT3および反射器4の電極パターンを変更したものであり、以下では、変更点を説明する。
【0036】
第1実施形態では、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が円形状であったが、本実施形態では、図3に示すように、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が楕円形状となっている。本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が完全に閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0037】
(第3実施形態)
図4に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第1実施形態の弾性表面波素子1に対してIDT3および反射器4の電極パターンを変更したものであり、以下では、変更点を説明する。
【0038】
第1、第2実施形態では、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が円形状、楕円形状であったが、本実施形態では、図4に示すように、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が外側に凸の曲線部13、14や内側に凸の曲線部15、16からなる閉じられた周形状となっている。本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が完全に閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
ただし、第1〜第3実施形態のように、IDT3および反射器4をなす電極11、12を曲線の周形状とする場合では、以下の説明の通り、本実施形態のように外側に凸の曲線部13、14や内側に凸の曲線部15、16からなる閉じられた周形状とするよりも、第1、第2実施形態の円、楕円形状のように、外側に凸の曲線のみからなる閉じられた周形状とすることが好ましい。
【0040】
本実施形態では、図4に示すように、IDT3をなす電極11において、内側に凸の曲線部15、16が存在するため、曲線の法線17、18がIDT3の外部で交差してしまう。この場合、曲線の法線17、18の交差位置に存在する反射器4で、その位置に異なる方向から伝搬してきた波を、それぞれの方向に反射させることは不可能である。このため、本実施形態の弾性表面波素子1は、反射器4の反射効率が低下してしまい、Q値が低下してしまう。
【0041】
これに対して、IDT3をなす電極11が、第1、第2実施形態の円、楕円形状のように、外側に凸の曲線のみからなる閉じられた周形状として、閉曲線の任意の2点での法線が閉曲線の内部で必ず交差し、閉曲線の外部で交差しない形状とすることで、IDT3から伝搬された弾性表面波をすべて反射器4で反射させることが可能となり、反射器4の反射効率を向上できる。よって、第1、第2実施形態によれば、第3実施形態と比較して弾性表面波素子1のQ値を向上させることができる。
【0042】
また、第1〜第3実施形態を比較すると、IDT3および反射器4をなす電極11、12を円形状とすることで、IDT3および反射器4の構成を最小にできるので、第1実施形態が好ましいと言える。
【0043】
(第4実施形態)
図5に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第1実施形態の弾性表面波素子1に対してIDT3および反射器4の電極パターンを変更したものであり、以下では、変更点を説明する。
【0044】
本実施形態では、図5に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が角の数が奇数である多角形形状となっており、例えば、5つの直線部21、23と、5つの角部22、24を有する正五角形形状となっている。なお、直線部21、23および角部22、24の数は奇数であれば他の数であっても良く、正多角形でなくても良い。
【0045】
このように、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12が多角形形状、すなわち、折れ線からなる閉じられた周形状となっている。よって、本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が完全に閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0046】
また、本発明においては、本実施形態のように、IDT3および反射器4をなす電極11、12の形状を奇数の多角形形状にできるので、用途やその他の拘束条件によって、このような形状が必要となっても対応が可能である。例えば、用途がセンサの場合に、感度が良好な電極形状として、このような形状を採用する必要があったり、実装の際に基板表面上にIDT3および反射器4を形成する場所が限定され、IDT3および反射器4の形状としてこのような形状を採用する必要があったりする場合に、本実施形態が有効である。
【0047】
(第5実施形態)
図6に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。第4実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12が奇数の多角形形状であったが、本実施形態では、これらの電極11、12が偶数の多角形形状となっている。
【0048】
具体的には、図6に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が6つの直線部21、23と、6つの角部22、24とを有する正六角形形状となっている。なお、直線部21、23および角部22、24の数は偶数であれば他の数であっても良く、正多角形でなくても良い。
【0049】
本実施形態においても、IDT3および反射器4をなす電極11、12が、多角形形状、すなわち、折れ線からなる閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0050】
また、第4実施形態では、図5に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が奇数の多角形形状であるため、図5中の一点鎖線25の方向、すなわち、IDT3をなす電極11の1つの直線部21に垂直な方向において、IDT3の両側に位置する反射器4のうち一方側の電極12は、IDT3の電極11に平行だが、他方側の電極12はIDT3の電極11に平行ではない。これに対して、本実施形態では、図6に示すように、IDT3および反射器4をなす電極11、12が偶数の多角形形状であるため、図6中の一点鎖線26の方向、すなわち、IDT3をなす電極11の1つの直線部21に垂直な方向において、IDT3の両側に位置する反射器4の電極12は、ともに、IDT3の電極11に平行になっている。よって、本実施形態によれば、IDT3を挟んだ両側に位置する反射器4が正対しているので、第4実施形態と比較して、Q値を向上させることができる。
【0051】
また、本発明においては、本実施形態のように、IDT3および反射器4をなす電極11、12の形状を偶数の多角形形状にできるので、用途やその他の拘束条件によって、このような形状が必要となっても対応が可能である。
【0052】
(第6実施形態)
図7に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図8に図7中のVIII−VIII線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対して、弾性表面波素子1の構成を変更したものであり、以下では、変更点のみを説明する。
【0053】
第1実施形態の弾性表面波素子1は、基板2の平面上において、中心側にIDT3が配置され、その外側に反射器4が配置された構成であったが、本実施形態の弾性表面波素子1は、基板2の平面上において、IDT3の内側と外側にそれぞれ第1反射器4a、第2反射器4bが配置された構成である。IDT3、第1反射器4aおよび第2反射器4bをなす複数の電極11、12は、第1実施形態と同様に、円周形状であり、同心状に所定間隔で配置されている。本実施形態では、IDT3が第1電極に相当し、第1反射器4aおよび第2反射器4bが本発明の第2電極に相当する。
【0054】
このような構成の弾性表面波素子1は、例えば、基板2の変形を振幅でセンシングするセンサとして用いることが可能である。
【0055】
本実施形態においても、IDT3、第1反射器4aおよび第2反射器4bをなす複数の電極11、12が閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0056】
なお、本実施形態では、IDT3、第1反射器4aおよび第2反射器4bをなす複数の電極11、12を、円周形状としていたが、第2〜第5実施形態と同様に、曲線もしくは折れ線からなる周形状としても良い。
【0057】
(第7実施形態)
図9に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図10に図9中のX−X線断面図を示し、図11に図9中のXI−XI線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対して、弾性表面波素子1の構成を変更したものであり、以下では、変更点のみを説明する。
【0058】
本実施形態の弾性表面波素子1は、第1実施形態の素子1における反射器4をIDT3に変更したものであり、すなわち、基板2の平面上において、2つのIDT3が形成された構成である。
【0059】
図9に示すように、基板2の平面上において、中心側に第1IDT3aが配置され、その外側に第2IDT3bが配置されている。そして、図10に示すように、中心側の第1IDT3aは、第1配線7aに接続された電極11aと、第2配線7bに接続された電極11bとが交互に配置された構成となっている。一方、図11に示すように、外側の第2IDT3bは、第3配線7cに接続された電極11cと、第4配線7dに接続された電極11dとが交互に配置された構成となっている。
【0060】
このような構成の弾性表面波素子1は、基板2の変形を信号の遅延時間でセンシングするセンサとして用いることが可能である。例えば、駆動電極としての第1IDT3aに所定の交流電圧を印加すると、第1IDT3aから弾性表面波が励起されて、第1IDT3aと第2IDT3b間の距離に応じた遅延時間を経て、第2IDT3bに到達する。そして、基板2が変形した場合、第1IDT3aと第2IDT3bの間の距離が変化し、弾性表面波の遅延時間が変化するので、この弾性表面波の遅延時間を測定することで、基板2の変形をセンシングすることができる。
【0061】
このように、第1IDT3aと第2IDT3bの一方を、弾性表面波を発生させる駆動電極、第1IDT3aと第2IDT3bの他方を、弾性表面波を受信する検出電極として使用するが、どちらを駆動電極、検出電極として使用しても良い。したがって、本実施形態では、第1IDT3aと第2IDT3bの一方と他方が、本発明の第1電極と第2電極に相当する。
【0062】
本実施形態においても、第1IDT3a、第2IDT3bをなす複数の電極11が閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
なお、本実施形態では、第1IDT3a、第2IDT3bをなす複数の電極11を、円周形状としていたが、第2〜第5実施形態と同様に、曲線もしくは折れ線からなる周形状としても良い。
【0064】
(第8実施形態)
図12に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図13に図12中のXIII−XIII線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3と反射器4の位置を入れ替えたものである。
【0065】
具体的には、図12、13に示すように、本実施形態の弾性表面波素子1は、基板2の平面上において、第1電極としてのIDT3の中心側に、第2電極としての反射器4が配置された構成である。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、IDT3と反射器4をなす複数の電極11、12が閉じられた周形状となっているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0066】
また、このような構成の弾性表面波素子1は、第7実施形態と同様に、基板2の変形を信号の遅延時間でセンシングするセンサとして用いることが可能である。この場合、IDT3が弾性表面波を発生および受信する電極として使用されるので、センサの入出力が同じとなる。
【0067】
なお、本実施形態では、IDT3と反射器4をなす複数の電極11、12を、円周形状としていたが、第2〜第5実施形態と同様に、曲線もしくは折れ線からなる周形状としても良い。
【0068】
(第9実施形態)
図14に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図15に図14中のXV−XV線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から空中に変更したものである。
【0069】
図14に示すように、基板2の平面上に形成されているIDT3と反射器4をなす複数の電極11、12は、第1実施形態の図1に示す構造と同じ円周形状となっている。
【0070】
そして、本実施形態では、図15に示すように、基板2の平面から離れた空中に、IDT3に接続されている配線27が設けられている。基板2は、例えば、圧電材料の単結晶で構成されている。空中の配線27は、第1配線27aと第2配線27bの電気的に異なる2つの配線があり、第1配線27aと第2配線27bは、それぞれ、IDT3をなす複数の電極11a、11bに接続されている。
【0071】
ここで、空中の配線27の形成方法を説明する。図16に、本実施形態の弾性表面波素子の製造途中における断面図を示す。
【0072】
まず、第1実施形態と同様の方法により、基板2上にIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12を形成する。その後、図16に示すように、電極11、12を含む基板2上に犠牲層28を形成し、この犠牲層28上にAl等の金属配線を形成する。さらに、この金属配線をパターニングして配線27を形成する。その後、犠牲層28をウェットエッチングにより除去することで、空中に位置する配線27を形成できる。
【0073】
このように、IDT3に接続された配線27を空中に設けることでも、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12の形状を円周形状とすることができる。
【0074】
ところで、第1実施形態では、IDT3に接続された配線7を基板2の内部に設けており、配線7による弾性表面波の伝搬への影響を考慮して、基板表面からの深さが1波長よりも深い位置に配線7を配置していた。しかし、この場合であっても、基板表面付近に配線7とIDT3の接続部分が必ず存在するため、この接続部分が弾性表面波の伝搬に影響する恐れがある。
【0075】
これに対して、本実施形態では、基板2の内部ではなく、空中に配線27を設けているので、弾性表面波の伝搬への影響を無くすことができる。
【0076】
なお、本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3に接続された配線の位置を基板2内から空中に変更したものであったが、第2〜第8実施形態に対しても、IDT3に接続された配線の位置を基板2内から空中に変更しても良い。
【0077】
(第10実施形態)
図17に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。また、図18に図17中のXVIII−XVIII線断面図を示す。本実施形態は、第1実施形態に対してIDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更したものである。
【0078】
具体的には、図18に示すように、IDT3をなす電極11と同様に、IDT3に接続された配線31が基板2の平面上に設けられており、IDT3に接続された配線31はIDT3をなす電極11と同じ高さに位置している。配線31は、互いに電気的に異なる第1配線31aと第2配線31bとを有しており、第1配線31aと第2配線31bとは、180°の角度をなす位置関係となっている。基板2は、例えば、圧電材料の単結晶で構成されている。配線31は、IDT3をなす電極11と同様に、Al等の金属によって構成されている。この配線31は、例えば、IDT3、反射器4をなす電極11、12と同時に形成される。
【0079】
そして、図17に示すように、基板2の平面上において、中心側にIDT3が配置され、その外側に反射器4が配置されている。
【0080】
ここで、本実施形態のIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12の形状は、図1に示すIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12に対して、配線31のスペースおよび配線31と電極11、12との間での絶縁性を確保するのに必要なスペースを得るために、一部分を省略した形状となっている。
【0081】
IDT3は、第1配線31aに接続された電極11であって、円周に近い略円周状の電極11aと、第2配線31bに接続された電極11であって、円周に近い略円周状の電極11bとが中心側から外側に向けて交互に等間隔で同心状に配置されている。
【0082】
より具体的には、IDT3をなす複数の電極11のうち、中心側から1番目の第1配線31aに接続された電極11aは、完全に閉じられた円周形状である。中心側から2番目の第2配線31bに接続された電極11bは、1番目の電極11aの周囲にて第1配線31aを避けて円周状に形成されている。同様に、中心側から3番目の第1配線31aに接続された電極11aは、2番目の電極11aの周囲にて第2配線31bを避けて円周状に形成されている。同様に、中心側から4番目の第2配線31bに接続された電極11bは、3番目の電極11aの周囲にて第1配線31aを避けて円周状に形成されている。この電極が配線31を避けて円周状に形成されているとは、電極が配線31および電極と配線31との絶縁領域を除いて円周を描くように形成されていることを意味し、配線31および電極と配線31との絶縁領域にも電極を設けたとしたら閉じられた円周になることを意味する。そして、中心側から2、3、4番目の電極11の端部32は、配線31の近傍に位置し、配線31を挟んで向かい合わせに位置している。
【0083】
また、反射器4においても、複数の電極12が、配線31を避けて円周状に配置されており、複数の電極12同士は等間隔で同心状に配置されている。具体的には、反射器4をなす電極12は、半円形状部分の端部33同士が配線31を挟んで向かい合わせに配置された構成となっている。
【0084】
本実施形態では、IDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が、円周の一部が欠けた形状であり、閉じられている円周に近い形状なので、直線形状や円弧形状の電極でIDTが構成された従来の弾性表面波素子と比較して、電極の端部から逃げていたエネルギを有効活用できる。
【0085】
以下、円周の一部が欠けた形状でどの程度のエネルギが有効活用できるかを説明する。図19に、従来の弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。図19に示す弾性表面波素のIDT40は櫛歯形状であって、櫛歯部分41が直線形状となっている。この弾性表面波素子の回折波のエネルギPは、例えば、回折波をフラウンホーファー回折とすれば、数1のように示される。
【0086】
【数1】
ここで、数1におけるDはIDTの長さであり、λは弾性表面波の波長であり、θはIDT40の端部における弾性表面波の伝搬方向に対する角度である。この弾性表面波の伝搬方向とは櫛歯部分41に垂直な方向である。そして、この数1におけるPの対数を縦軸とし、θを横軸としてグラフにしたものが図21である。
【0087】
図20に示す従来の弾性表面波素子では、図21に示されるグラフの全範囲、すなわち、θが0°<θ≦90°の範囲のエネルギが逃げてしまう。ちなみに、図21のグラフにおける0°<θ≦90°の範囲の積分値がエネルギ損失量に相当する。
【0088】
これに対して、本実施形態ではIDT3および反射器4をなす複数の電極11、12が、円周の一部が欠けた形状であり、IDT3の端部における角度θ1は、図17に示すように、90度よりもかなり小さく、数度である。ちなみに、この角度θ1は、IDT3のうち最外周に位置する電極11bの配線31に接続されている端部と、反射器4のうち最外周に位置する電極12の端部33とを結ぶ線が、配線31が延びる方向となす角度である。このため、本実施形態によれば、IDT3の端部から逃げるエネルギは図21のグラフにおける0<θ≦θ1(例えば、数度)の範囲に収まり、それ以外での角度でのエネルギを弾性表面波として活用できる。
【0089】
なお、本実施形態では、第1配線31aと第2配線31bとは、180°の角度をなす位置関係となっていたが、他の角度をなす位置関係としても良い。また、本実施形態では、IDT3のうち中心側から1番目の電極11aは、完全に閉じられた円周形状であったが、円周の一部が欠けた形状であっても良い。また、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12を、円周に近い略円周形状としていたが、略円周形状に限らず、第2〜第5実施形態のように、曲線もしくは折れ線の周形状に近い略周形状としても良い。
【0090】
また、本実施形態では、IDT3の端部における角度θ1が数度となるように、反射器4の端部33と配線31との間隔を設定していたが、角度θ1を他の大きさとしても良い。例えば、0°<θ1≦45の範囲内となるように、反射器4の端部33と配線31との間隔を設定しても良い。
【0091】
(第11実施形態)
図21に、本実施形態における弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。本実施形態は、第10実施形態の一部を変更したものであり、以下では変更点のみを説明する。
【0092】
本実施形態では、図21に示すように、IDT3をなす複数の電極11の端部32と配線31との間に絶縁膜34を介在させ、IDT3の電極11、配線31および絶縁膜34を合わせた全体形状を完全に閉じられた円周形状としている。
【0093】
同様に、反射器4の電極12の端部33と配線31との間に絶縁膜35を介在させ、反射器4の電極12、配線31および絶縁膜35を合わせた全体形状を完全に閉じられた円周形状としている。
【0094】
本実施形態によれば、絶縁膜34、35を介して、IDT3および反射器4をなす電極11、12と配線31とを連続させた形状として、IDT3および反射器4をなす電極11、12を、擬似的に、端部が無い状態としているので、回折現象の発生を抑制できる。よって、本実施形態によれば、第10実施形態と比較して、電極の端部から逃げていたエネルギをより一層有効活用できる。
【0095】
なお、本実施形態では、IDT3および反射器4をなす電極11、12と絶縁膜34、35と配線31との全体形状を、円周形状としていたが、円周に限らず、第2〜第5実施形態のように、曲線もしくは折れ線の周形状としても良い。
【0096】
(他の実施形態)
(1)第10、11実施形態の弾性表面波素子は、第1実施形態の弾性表面波素子に対してIDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更したものであったが、第6〜第8実施形態の弾性表面波素子に対して、IDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更しても良い。
【0097】
ここで、図22に、第7実施形態のように、中心側に第1IDT3aが配置され、その外側に第2IDT3bが配置された構成とした場合の弾性表面波素子の上面レイアウトを示す。第7実施形態の弾性表面波素子に対して、IDT3に接続される配線の位置を基板2の内部から基板2の平面上に変更する場合では、図17の弾性表面波素子に対して、図17中のIDT3を第1IDT3aとし、図17中の反射器4を第2IDT3bに変更する。
【0098】
そして、図22に示すように、第2IDT3bにおいては、2つの第3配線31cを第1配線31aの両側に第1配線31aに沿って配置し、2つの第4配線31dを第2配線31bの両側に第2配線31bに沿って配置する。さらに、この第3配線31cに接続された電極11cを、第2配線31bおよび第4配線31dを避けて円周状に配置し、第4配線31dに接続された電極11dを、第1配線31aおよび第3配線31cを避けて円周状に配置する。
【0099】
なお、図22では、第1、第2IDT3a、3bに接続された配線を基板平面に配置していたが、一方のIDTに接続された配線を基板平面に形成し、他方のIDTに接続された配線を基板内もしくは空中に配置しても良い。
【0100】
(2)上述の各実施形態では、基板2の平面形状を四角形としていたが、基板2の平面形状を四角以外の形状としても良い。
【0101】
(3)上述の各実施形態を実施可能な範囲で組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 弾性表面波素子
2 基板
3、3a、3b IDT
4、4a、4b 反射器
7、27、31 IDTに電気的に接続されている配線
11 IDTを構成する電極
12 反射器を構成する電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部もしくは全部が圧電材料で構成された基板(2)の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能な第1電極(3、3a)と、前記第1電極とは別の第2電極(4、3b)とが形成された弾性表面波素子において、
前記第1電極(3、3a)は、曲線または折れ線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、
前記第2電極(4、3b)は、前記第1電極(3、3a)と同じ周形状の複数の電極(11、12)が、前記第1電極(3、3a)の中心側もしくは外側に、前記第1電極(3、3a)に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴とする弾性表面波素子。
【請求項2】
前記第1電極(3、3a)は、曲線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、
前記第1電極(3、3a)と前記第2電極(4、3b)のうち中心側に位置する方は、前記曲線の任意の2点での法線が、前記曲線の内部で交差し、前記曲線の外部で交差しない形状であることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項3】
前記第1電極(3、3a)は、多角形形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項4】
前記第1電極(3、3a)を構成する複数の電極(11)が角を偶数個有する多角形形状であることを特徴とする請求項3に記載の弾性表面波素子。
【請求項5】
前記第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(7)を備え、
前記配線(7)は前記基板(2)の内部に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つ記載の弾性表面波素子。
【請求項6】
前記第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(27)を備え、
前記配線(27)は前記基板(2)の前記平面から所定高さ離れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つ記載の弾性表面波素子。
【請求項7】
一部もしくは全部が圧電材料で構成された基板(2)の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能な第1電極(3、3a)と、前記第1電極とは別の第2電極(4、3b)とが形成された弾性表面波素子において、
前記基板(2)の平面上に、前記第1電極(3、3a)に接続された配線(31)が形成されており、
前記第1電極(3、3a)は、前記配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、
前記第2電極(4、3b)は、前記第1電極の中心側もしくは外側に、前記配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(12)が、前記第1電極に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴とする弾性表面波素子。
【請求項8】
前記第1、第2電極(3、4)の端部(32、33)と前記配線(31)との間に絶縁膜(34、35)が介在しており、
前記第1、第2電極(3、4)と前記配線(31)とが前記絶縁膜(34、35)を介して連続していることを特徴とする請求項7に記載の弾性表面波素子。
【請求項9】
前記第1電極は弾性表面波を発生させる駆動電極(3)であり、前記第2電極は伝搬された弾性表面波を反射する反射器(4)であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の弾性表面波素子。
【請求項10】
前記第1電極は弾性表面波を発生させる駆動電極(3a)であり、前記第2電極は伝搬された弾性表面波を受信する検出用電極(3b)であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の弾性表面波素子。
【請求項1】
一部もしくは全部が圧電材料で構成された基板(2)の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能な第1電極(3、3a)と、前記第1電極とは別の第2電極(4、3b)とが形成された弾性表面波素子において、
前記第1電極(3、3a)は、曲線または折れ線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、
前記第2電極(4、3b)は、前記第1電極(3、3a)と同じ周形状の複数の電極(11、12)が、前記第1電極(3、3a)の中心側もしくは外側に、前記第1電極(3、3a)に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴とする弾性表面波素子。
【請求項2】
前記第1電極(3、3a)は、曲線による閉じられた周形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、
前記第1電極(3、3a)と前記第2電極(4、3b)のうち中心側に位置する方は、前記曲線の任意の2点での法線が、前記曲線の内部で交差し、前記曲線の外部で交差しない形状であることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項3】
前記第1電極(3、3a)は、多角形形状の複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項4】
前記第1電極(3、3a)を構成する複数の電極(11)が角を偶数個有する多角形形状であることを特徴とする請求項3に記載の弾性表面波素子。
【請求項5】
前記第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(7)を備え、
前記配線(7)は前記基板(2)の内部に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つ記載の弾性表面波素子。
【請求項6】
前記第1電極(3、3a)に電気的に接続された配線(27)を備え、
前記配線(27)は前記基板(2)の前記平面から所定高さ離れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つ記載の弾性表面波素子。
【請求項7】
一部もしくは全部が圧電材料で構成された基板(2)の平面上に、弾性表面波の発生もしくは受信が可能な第1電極(3、3a)と、前記第1電極とは別の第2電極(4、3b)とが形成された弾性表面波素子において、
前記基板(2)の平面上に、前記第1電極(3、3a)に接続された配線(31)が形成されており、
前記第1電極(3、3a)は、前記配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(11)が、同心状に所定間隔で配置された構成であり、
前記第2電極(4、3b)は、前記第1電極の中心側もしくは外側に、前記配線(31)を避けて曲線もしくは折れ線による周状に形成された複数の電極(12)が、前記第1電極に対して同心状に所定間隔で配置された構成であることを特徴とする弾性表面波素子。
【請求項8】
前記第1、第2電極(3、4)の端部(32、33)と前記配線(31)との間に絶縁膜(34、35)が介在しており、
前記第1、第2電極(3、4)と前記配線(31)とが前記絶縁膜(34、35)を介して連続していることを特徴とする請求項7に記載の弾性表面波素子。
【請求項9】
前記第1電極は弾性表面波を発生させる駆動電極(3)であり、前記第2電極は伝搬された弾性表面波を反射する反射器(4)であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の弾性表面波素子。
【請求項10】
前記第1電極は弾性表面波を発生させる駆動電極(3a)であり、前記第2電極は伝搬された弾性表面波を受信する検出用電極(3b)であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の弾性表面波素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−206363(P2010−206363A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47818(P2009−47818)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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