説明

弾球遊技機

【課題】装飾ケースと演出表示装置の大型化を図りつつ「右打ち」遊技の興趣性を高めることができる弾球遊技機を提供する。
【解決手段】「左打ち」遊技と「右打ち」遊技に用いられる共通のアタッカー装置19が第1始動口16の真下位置に配置されると共に、この第1始動口16から右側流下経路9bの出口に至る遊技領域9に第2始動口18と作動ゲート17および複数本の道釘32が配置されており、「右打ち」遊技中に右側流下経路9bの出口から排出された遊技球を各道釘32で誘導して第2始動口18と作動ゲート17とに振り分けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の遊技領域に演出表示装置を包囲する装飾ケースや複数の始動口が配設された弾球遊技機に係り、特に、大当たり終了後に確率変動モードや時短モードへ移行したときに、装飾ケースの右側の遊技領域を狙って遊技球を発射する「右打ち」と呼ばれる遊技が行われる弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機に代表される弾球遊技機の中には、遊技盤の遊技領域に可変表示ユニットや複数の始動口を配設し、遊技領域に向けて発射された遊技球が特定の始動口に入賞したことを契機に特別図柄抽選を行い、その抽選結果に基づいて可変表示ユニットの演出表示装置が図柄の変動表示および停止表示を行うようにした機種が存在する。特別図柄抽選の抽選結果には当たり(当選)とハズレ(非当選)があり、抽選結果が当たりの場合には、可変表示ユニットの演出表示装置に所定の特別図柄の組み合わせが表示され、通常モードから特別遊技モードへと移行する。この特別遊技モードでは、例えばアタッカー装置を開放動作して露呈される大入賞口に遊技球が入るので、遊技者は多くの賞球を獲得できるようになっている。
【0003】
従来より、このような弾球遊技機において、通常モード時は装飾ケースの左側の遊技領域を狙って遊技球を発射する「左打ち」と呼ばれる遊技を行い、大当たり終了後に確率変動モードや時短モードに移行したとき、発射ハンドルを右一杯に回転操作して遊技球を装飾ケースの右側の遊技領域に向けて発射する「右打ち」と呼ばれる遊技を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来の弾球遊技機では、装飾ケースの下辺部に遊技球の誘導路となるステージが設けられており、このステージの中央部に形成された溝部の真下位置にポケット状の第1始動口が配置されると共に、第1始動口の真下位置に第1のアタッカー装置が配置されている。この第1のアタッカー装置は、遊技球が第1始動口に入賞することを契機に行われる第1の特別図柄抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)に移行した場合に作動される装置である。また、第1始動口の右側方位置に第2のアタッカー装置が配置されると共に、第2のアタッカー装置の右斜め上方に一対の可動片を有する電動チューリップ構造の第2始動口が配置されている。この第2のアタッカー装置は、遊技球が第2始動口に入賞することを契機に行われる第2の特別図柄抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)に移行した場合に作動される装置である。さらに、第2始動口の上方にスルーチャッカーと呼ばれる作動ゲートが配置されている。この作動ゲートは遊技球が通過することを契機に普通図柄抽選を行い、その抽選結果に基づいて第2始動口の可動片を開放動作するようになっている。
【0004】
このように概略構成された弾球遊技機では、通常モード時において遊技者は装飾ケースの左側の遊技領域を狙って遊技球を発射する「左打ち」を行い、遊技領域を流下する遊技球がステージの溝から落下して第1始動口に入賞したり、あるいはステージを経由せずに第1始動口に直接入賞すると、それを契機に主制御処理部が第1の特別図柄の電子抽選を実行する。第1の特別図柄抽選は例えば当たり確率が1/390という低確率で当たりの判定を行い、この抽選結果が大当たりの場合は大当たり遊技状態となり、演出表示装置の変動表示を例えば「777」のように特定の図柄で停止させると共に、第1のアタッカー装置を開放動作して大入賞口を露呈させる。第1のアタッカー装置は規定ラウンドが終了するまで開放動作を繰り返すため、この大当たり遊技中に遊技者は多くの賞球を獲得することができる。
【0005】
かかる大当たり遊技の終了後に、弾球遊技機は確率変動モードまたは時短モードへと移行し、演出表示装置の表示画面を用いて遊技者に「右打ち」を行うことを指示する。この場合、遊技者は発射ハンドルを右一杯に回転操作することで遊技球を装飾ケースの右側の遊技領域に向けて発射し、右打ち用の遊技領域を流下する遊技球が作動ゲートを通過すると、それを契機に主制御処理部が普通図柄抽選の電子抽選を実行する。この普通図柄抽選は、通常モード時に例えば1/50という低確率で当たりの判定を行うが、確率変動モード時や時短モード時は例えば49/50という高確率で当たりの判定を行い、その抽選結果が当たりの場合、作動ゲートの下流側に配置された第2始動口の可動片が所定時間だけ開放動作されため、通常モード時に入賞困難であった第2始動口への入賞率が確率変動モード時や時短モード時には非常に高くなる。そして、右打ち用の遊技領域を流下する遊技球が第2始動口に入賞すると、それを契機に主制御処理部が第2の特別図柄の電子抽選を実行すると共に、所定数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0006】
すなわち、確率変動モード時や時短モード時には、右打ち用の遊技領域を流下する遊技球が第2始動口に高確率で入賞して賞球の払い出しを行うため、遊技者は手持ちの遊技球をほとんど減らすことなく第2の特別図柄抽選を連続して実行でき、このような状態は一般的に電チューサポートがある状態と呼ばれている。なお、第2の特別図柄抽選は、通常モード時と時短モード時に例えば1/390という低確率で当たりの判定を行うが、確率変動モード時は例えば1/39という高確率で当たりの判定を行い、その抽選結果が大当たりの場合、演出表示装置の変動表示を例えば「777」のように特定の図柄で停止させると共に、第2のアタッカー装置を開放動作して大入賞口を露呈させる。第2のアタッカー装置も規定ラウンドが終了するまで開放動作を繰り返すため、この大当たり遊技中に遊技者は「右打ち」を行うことで多くの賞球を獲得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−252629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した従来の弾球遊技機においては、第1始動口と第1のアタッカー装置を用いて遊技する「左打ち」遊技と、作動ゲートと第2始動口および第2のアタッカー装置を用いて遊技する「右打ち」遊技とが完全に分離されており、第2のアタッカー装置が第1始動口の右側方に配置されている関係上、第2のアタッカー装置の上方に配置する必要のある作動ゲートと第2始動口が装飾ケースの右側の遊技領域内に大きく入り込んでしまうこととなる。その結果、右打ち用の遊技領域を流下する遊技球の流下形態が単調になってしまい、「右打ち」遊技の興趣性が著しく低下してしまうという問題があるばかりでなく、装飾ケースの右側部とガイドレール間に幅広な右側流下経路を確保しなければならないため、装飾ケースと演出表示装置を含めた可変表示ユニットの大きさが右側流下経路によって制約されるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、装飾ケースと演出表示装置の大型化を図りつつ「右打ち」遊技の興趣性を高めることができる弾球遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に向けて遊技球を任意の発射強度で打ち出す発射ハンドルと、前記遊技領域を流下する遊技球が入賞することを契機に第1の特別図柄抽選を行う第1始動口と、前記遊技領域を流下する遊技球が通過したことを契機に普通図柄抽選を行う作動ゲートと、前記普通図柄抽選の抽選結果に基づいて開閉動作する可動片を有し、前記遊技領域を流下する遊技球が入賞することを契機に第2の特別図柄抽選を行う第2始動口と、前記第1および第2の特別図柄抽選の抽選結果に基づいた所定の演出態様を表示する演出表示装置と、この演出表示装置の表示画面を包囲する枠状の装飾ケースと、前記第1および第2の特別図柄抽選の抽選結果に基づいて大入賞口を開閉動作するアタッカー装置とを備え、前記遊技領域に前記装飾ケースを挟んで左側流下経路と右側流下経路とが形成されている弾球遊技機において、前記第1始動口を前記装飾ケースの中央部真下に配置すると共に、前記アタッカー装置を前記第1始動口の真下位置に配置し、かつ、前記第2始動口を前記右側流下経路の出口近傍の下方に配置すると共に、前記作動ゲートを前記第1始動口と前記第2始動口との間に配置し、前記遊技盤に前記右側流下経路の出口から前記作動ゲートに向かって斜め下方へ連続する複数本の道釘を植設することにより、前記右側流下経路の出口から排出された遊技球を前記第2始動口と前記作動ゲートとに振り分けて誘導するように構成した。
【0011】
このように構成された弾球遊技機では、「左打ち」遊技と「右打ち」遊技に用いられる共通のアタッカー装置が第1始動口の真下位置に配置されると共に、この第1始動口から右側流下経路の出口に至る遊技領域に第2始動口と作動ゲートおよび複数本の道釘が配置されており、「右打ち」遊技中に右側流下経路の出口から排出された遊技球を道釘で誘導して第2始動口と作動ゲートとに振り分けるようにしたので、右側流下経路の出口からアタッカー装置に至る広い遊技領域を流下する遊技球によって「右打ち」遊技の興趣性を高めることができる。また、右側流下経路を装飾ケースの右側部に沿って長尺に延在させることができると共に、この右側流下経路の幅寸法を遊技球の1個分程度まで狭めることができるため、左側流下経路と右側流下経路に必要とされる領域を確保した上で演出表示装置とそれを包囲する装飾ケースを大型化することが可能となる。
【0012】
上記の構成において、右側流下経路の出口部分が装飾ケースに一体形成されたガイド通路によって構成されており、このガイド通路の上側内壁に各道釘の上流側部分と遊技球の直径より僅かに大きな通過間隔を存して対向する球面状突起を形成すると共に、遊技盤に各道釘の下流側部分と遊技球の直径より僅かに大きな通過間隔を存して対向する命釘を植設してあると、右側流下経路から排出される遊技球の勢いが球面状突起で弱められると共に、道釘上に排出された遊技球の勢いが命釘で弱められるため、右側流下経路から排出された遊技球が第1始動口に飛び込んでしまうことを防止できて好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の弾球遊技機では、「左打ち」遊技と「右打ち」遊技に用いられる共通のアタッカー装置が第1始動口の真下位置に配置されると共に、この第1始動口から右側流下経路の出口に至る遊技領域に第2始動口と作動ゲートおよび複数本の道釘が配置されており、「右打ち」遊技中に右側流下経路の出口から排出された遊技球を道釘で誘導して第2始動口と作動ゲートとに振り分けるようにしたので、右側流下経路の出口からアタッカー装置に至る広い遊技領域を流下する遊技球によって「右打ち」遊技の興趣性を高めることができる。また、右側流下経路を装飾ケースの右側部に沿って長尺に延在させることができると共に、この右側流下経路の幅寸法を遊技球の1個分程度まで狭めることができるため、左側流下経路と右側流下経路に必要とされる領域を確保した上で演出表示装置とそれを包囲する装飾ケースを大型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の可動役物装置が適用されたパチンコ機の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のパチンコ機に備えられる遊技盤の正面図である。
【図3】図2の遊技盤に設けられた可変表示ユニットの正面図である。
【図4】該可変表示ユニットの斜視図である。
【図5】「右打ち」遊技中における遊技球の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の実施形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に配置される機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2に収納保持された後述する遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉4と、前面枠2の下方に配設された前面ボード5と、前面ボード5に取り付けられた発射ハンドル6等を具備しており、前面ボード5には受け皿7が設けられている。
【0016】
図2に示すように、遊技盤3の盤面はガイドレール8等で囲まれた遊技領域9となっており、発射ハンドル6が遊技者によって任意角度に回転操作されると、図示せぬ発射装置が受け皿7に貯留された遊技球を遊技領域9に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域9の上部中央付近には可変表示ユニット10が配設されており、この可変表示ユニット10の左右両側が左側流下経路9aと右側流下経路9bとなっている。可変表示ユニット10は、中央部に開口11を有する枠状の装飾ケース12と、装飾ケース12の右側部に配置された可動役物装置13とを具備している。また、可変表示ユニット10の裏面側には液晶パネル(LCD)からなる演出表示装置14が配設されており、この演出表示装置14の表示画面14aは装飾ケース12の開口11から露出している。左側流下経路9aは装飾ケース12の左側壁とガイドレール8で挟まれた領域であり、この左側流下経路9aには複数の遊技釘や風車(いずれも符号を付与せず)が設けられている。一方、右側流下経路9bは装飾ケース12の右側壁とガイドレール8で挟まれた領域であり、この右側流下経路9bは遊技球の1個分の直径(11mm)よりも若干幅広な長尺状通路として形成されている。
【0017】
合成樹脂製の装飾ケース12には開口11の下辺に沿って左右方向へ延びるステージ15が設けられており、ステージ15の中央部には溝15aが形成されている。この溝15aの真下位置には第1始動口16が配設されており、第1始動口16の右側方には作動ゲート17と第2始動口18が横一列に配設されている。第1始動口16は上面に入賞孔を有するポケット状の始動口であるが、第2始動口18は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動口となっている。作動ゲート17はスルーチャッカーと呼ばれる始動口であり、これら作動ゲート17と第1および第2始動口16,18の内部には遊技球の通過を検知するためのセンサ(図示せず)が設けられている。また、第1始動口16の真下位置にはアタッカー装置19が配設されており、このアタッカー装置19によって図示せぬ大入賞口が覆われている。その他、遊技領域9には遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口20が配設されており、いずれの始動口16,18や一般入賞口20にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域9の最下端部に設けられたアウト口21から遊技盤3の裏面側に排出されるようになっている。
【0018】
図3と図4に示すように、前記装飾ケース12には複数に分割された樹脂成形品24,25,26が一体化されており、そのうち開口11の左側に位置する樹脂成形品24には中空構造のワープ通路22が形成されている。このワープ通路22の入口は遊技領域9の左側流下経路9aに連通し、ワープ通路22の出口22aはステージ15の左端部に連通している。また、開口11の下側に位置する樹脂成形品25には前記ステージ15が形成されており、このステージ15は長手方向の中央部が両端部に比べて低い位置となる湾曲形状に形成されている。ステージ15の前端側には一対の突堤壁29,30が形成されており、これら突堤壁29,30はステージ15の中央部を除く部位に立設されている。一方、ステージ15の後端側には開口11の下辺部に向かって上り勾配で突出する傾斜面23が一体形成されており、この傾斜面23にはハート形状をなす3つの装飾突部23aが形成されている。このようなステージ構造を採用しているので、遊技領域9の左側流下経路9aを流下する遊技球がワープ通路22の入口に入球すると、この遊技球はワープ通路22の出口22aからステージ15上に排出された後、ステージ15上を左右に揺動しながら次第に減速していき、最終的には溝15aから落下して第1始動口16に高い確率で入賞することとなる。
【0019】
開口11の右側に位置する樹脂成形品26の前面には前述した可動役物装置13が配置されており、この可動役物装置13は第1の可動体27と第2の可動体28および図示せぬそれらの駆動機構等によって構成されている。ここで、第1の可動体27はバナナを模した役物であり、この第1の可動体27は図2の実線で示す起立姿勢と同図の2点破線で示す傾倒姿勢との間を揺動動作するようになっている。一方、第2の可動体28は腰掛け姿勢の女性を模した役物であり、この第2の可動体28は樹脂成形品26の前方を上下方向へ往復移動するようになっている。
【0020】
樹脂成形品26には装飾ケース12の右側部に沿って湾曲形状に延びる規制壁26aが形成されており、この規制壁26aとガイドレール8との間に前述した右側流下経路9bが画成されている。規制壁26aの下端は装飾ケース12に形成された上側ガイド壁12aに連続しており、樹脂成形品26の下端部には上側ガイド壁12aとガイド通路31を介して対向する下側ガイド壁26bが形成されている。このガイド通路31は右側流下経路9bの出口部分を構成するものであり、ガイド通路31の上側内壁である上側ガイド壁12aの左端には球面状突起12bが形成されている。また、樹脂成形品26の左端部にはステージ15の右端部から斜め上方へ突出するストッパ壁26cが形成されており、このストッパ壁26cによって遊技球が可動役物装置13の配置スペースに飛び込むことを防止している。なお、装飾ケース12には球面状突起12bと所定間隔を存して対向する勾玉形状の突起12cが形成されており、万が一遊技球がストッパ壁26cを乗り越えて可動役物装置13の配置スペース内に飛び込んだとしても、この遊技球が球面状突起12bと突起12cとの間を通って遊技領域9へ排出されるようになっている。
【0021】
図5に示すように、可変表示ユニット10の右下方に位置する遊技領域9内において、遊技盤3の盤面には複数本の道釘32と1本の命釘33を含む多数の遊技釘が植設されている。各道釘32は下側ガイド壁26bから作動ゲート17に向かって斜め下方へ連続しており、これら道釘32の中間部分に誘導路32aが確保されている。球面状突起12bと各道釘32の上流側部分との間隔Aは遊技球の1個分の直径よりも若干大きめな12mm程度に設定されており、誘導路32aの間隔Bも同じく12mm程度に設定されている。第2始動口18は誘導路32aの斜め右下方に配置されており、作動ゲート17は各道釘32の下流側部分の延長線上で第1始動口16と第2始動口18のほぼ中間に配置されている。また、命釘33は誘導路32aの斜め左上方に植設されており、命釘33と各道釘32の下流側部分との間隔Cは間隔A,Bよりも若干大きめな13mm程度に設定されている。
【0022】
第1始動口16に遊技球が入賞すると、それを契機として第1の特別図柄抽選が実行され、演出表示装置14の表示画面14a上で第1の特別図柄の変動表示と停止表示が行われる。同様に、第2始動口18に遊技球が入賞すると、それを契機として第2の特別図柄抽選が実行され、演出表示装置14の表示画面14a上で第2の特別図柄の変動表示と停止表示が行われる。そして、第1の特別図柄抽選または第2の特別図柄抽選の抽選結果が当たりの場合、通常遊技よりも遊技者に有利な大当たり遊技(特別遊技)状態に移行し、アタッカー装置19が所定ラウンドだけ複数回繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。また、作動ゲート17を遊技球が通過すると、それを契機として普通図柄抽選が実行され、その抽選結果が当たりの場合に第2始動口18の可動片を一時的に開放して遊技球の入球を許可する。なお、これら第1および第2の特別図柄抽選と普通図柄抽選の電子抽選や、演出表示装置14に表示される特別図柄の変動パターンを決定する処理や、アタッカー装置19を開放する制御などは、遊技盤3の裏面には設けられた図示せぬ主制御処理装置によって実行される。
【0023】
ここで、本実施形態例においては、第1の特別図柄抽選と第2の特別図柄抽選は通常モード時に低確率(例えば当たり確率が1/320)で確変大当たりと通常大当たりおよびハズレの判定を行い、確変大当たりまたは通常大当たりに当選した場合、演出表示装置14の表示画面14a上に特定の図柄を停止表示させると共に、アタッカー装置19を規定ラウンド(例えば15回)まで繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。アタッカー装置19は1回の開放動作について例えば30秒通過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入球するまで開放状態を維持し、かかる開放動作を規定ラウンド繰り返した後に大当たりが終了する。なお、全ての大当たり中に占める確変大当たりと通常大当たりの比率は第1の特別図柄抽選と第2の特別図柄抽選とで異なっており、第1の特別図柄抽選の大当たりの内訳は通常大当たりの比率が高い(例えば確変大当たり30%、通常大当たり70%)のに対し、第2の特別図柄抽選の大当たりの内訳は確変大当たりの比率が高く(例えば確変大当たり65%、通常大当たり35%)なっている。
【0024】
かかる大当たり遊技が終了すると確率変動モードまたは時短モードへと移行し、普通図柄抽選は通常モード時に低確率で行っていた当たりの判定を高確率で行う。具体的には、通常モード時において、普通図柄抽選は例えば普通図柄の変動時間を8秒、当たり確率が1/50という低確率で当たりの判定を行い、その抽選結果が当たりの場合、第2始動口18の可動片を0.2秒だけ1回開放動作する。一方、確率変動モード時または時短モード時において、普通図柄抽選は普通図柄の変動時間を0.5秒、当たり確率が49/50という高確率で当たりの判定を行い、その抽選結果が当たりの場合、第2始動口18の可動片を1.5秒間、3回続けて開放動作する。これにより遊技球が第2始動口18に高確率で入賞しやすくなり、いわゆる電チューサポートがある状態となるため、遊技者は手持ちの遊技球をほとんど減らすことなく第2の特別図柄抽選を連続して実行できる。なお、確率変動モードの状態とは確変大当たりのラウンド消化後に突入するモードであり、第1の特別図柄抽選と第2の特別図柄抽選が高確率(例えば当たり確率が1/80)で確変大当たりと通常大当たりおよびハズレの判定を行い、電チューサポートがある状態を示している。また、時短モードの状態とは通常大当たりのラウンド消化後に突入するモードであり、第1の特別図柄抽選と第2の特別図柄抽選が通常モード時と同じ低確率(当たり確率が1/320)で確変大当たりと通常大当たりおよびハズレの判定を行い、電チューサポートがある状態を示している。
【0025】
このように構成された本実施形態例に係るパチンコ機Pにおいて、通常モードの場合、遊技者は発射ハンドル6の回転操作角を比較的小さく調整することにより、可変表示ユニット10の左側の遊左側流下経路9aを狙って遊技球を発射する、いわゆる「左打ち」と呼ばれる遊技を行う。これにより遊技球は、遊技釘や風車に衝突しながら、あるものはワープ通路22に入球した後にステージ15上を転動して溝15aから第1始動口16に落下し、あるものはワープ通路22を介さずに第1始動口16に直接入賞し、また、あるものはアウト球としてアウト口21から遊技盤3の裏面側に排出される。
【0026】
第1始動口16に遊技球が入賞すると、それを契機に主制御処理部が低確率(1/320)で確変大当たりと通常大当たりおよびハズレの判定を行い、この抽選結果が確変大当たりまたは通常大当たりの場合、演出表示装置14の表示画面14a上に特定の図柄を停止表示させると共に、アタッカー装置19を規定ラウンドまで繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。アタッカー装置19は規定ラウンドが終了するまで開放動作を繰り返すため、この大当たり遊技中に遊技者は多くの賞球を獲得することができる。なお、通常モード時に遊技球が可変表示ユニット10の右側の右側流下経路9bに発射され、この遊技球が作動ゲート17を通過して普通図柄抽選が行われたとしても、普通図柄抽選は通常モード時に低確率(1/50)で当たりの判定を行うため、第2始動口18の可動片が開放する可能性は低く、通常モード時に第2始動口18に入賞することは困難である。
【0027】
パチンコ機Pは、確変大当たりに当選した場合、その大当たりの規定ラウンド終了後に確率変動モードに移行し、通常大当たりに当選した場合、その大当たりの規定ラウンド終了後に時短モードに移行し、いずれの場合も、演出表示装置14の表示画面14aを用いて遊技者に「右打ち」を行うことを指示する。この場合、遊技者は発射ハンドル6を右一杯に回転操作することにより、可変表示ユニット10の右側の右側流下経路9bを狙って遊技球を発射する、いわゆる「右打ち」と呼ばれる遊技を行う。これにより遊技球は、図5に示すように、樹脂成形品26の規制壁26aとガイドレール8との間に画成された長尺形状の右側流下経路9b内を通過した後、右側流下経路9bの出口部分であるガイド通路31から各道釘32に向けて排出される。
【0028】
その際、右側流下経路9bには左側流下経路9aのように遊技釘や風車が配置されておらず、右側流下経路9bを通過する遊技球の流下速度は非常に速くなっているが、右側流下経路9bの出口で遊技球が球面状突起12bに衝突することにより、球の勢いにブレーキが掛けられると共に道釘32の下向きに方向規制される。しかも、この球面状突起12bは合成樹脂製の装飾ケース12に一体形成されており、遊技球の繰り返しの衝突によっても変形しにくくなっているため、ガイド通路31から排出された遊技球は減速された状態で道釘32の上流部分に確実に誘導される。そして、ガイド通路31から道釘32の上流部分に排出された遊技球のうち、あるものは誘導路32aから落下して第2始動口18の上方へ導かれ、あるものは誘導路32aを飛び越えて道釘32の下流部分に達した後、命釘33に衝突してさらに減速された状態で作動ゲート17の上方へ導かれ、また、あるものは道釘32の下流部分の先端から落下してアウト口21から遊技盤3の裏面側に排出される。なお、各間隔A,B,Cが前述したような値に設定されているため、ガイド通路31から排出された遊技球が第2始動口18と作動ゲート17に振り分けられる比率はほぼ1対1となっている。
【0029】
このようにして遊技球が作動ゲート17を通過すると、それを契機に主制御処理部が普通図柄抽選が普通図柄の変動時間を0.5秒、当たり確率が49/50という高確率で当たりの判定を行い、その抽選結果が当たりの場合、第2始動口18の可動片を1.5秒間、3回続けて開放動作する。これにより、通常モード時に入賞困難であった第2始動口18への入賞率が非常に高くなるため、確率変動モードや時短モードになると、遊技者は手持ちの遊技球をほとんど減らすことなく第2の特別図柄抽選を連続して実行できる。
【0030】
なお、前述したように、確率変動モードにおいて、第2の特別図柄抽選は高確率(1/80)で確変大当たりと通常大当たりおよびハズレの判定を行い、この抽選結果が確変大当たりまたは通常大当たりの場合、演出表示装置14の表示画面14a上に特定の図柄を停止表示させると共に、アタッカー装置19を規定ラウンドまで繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。かかる確率変動モードは、確変大当たりまたは通常大当たりに当選するまで継続する。また、時短モードにおいて、第2の特別図柄抽選は低確率(1/320)で確変大当たりと通常大当たりおよびハズレの判定を行い、この抽選結果が確変大当たりまたは通常大当たりの場合、演出表示装置14の表示画面14a上に特定の図柄を停止表示させると共に、アタッカー装置19を規定ラウンドまで繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。そして、時短モードにおいて、第2の特別図柄抽選の抽選結果が所定回数(例えば100回)まで大当たりに当選しないと、時短モードを終了して通常モードに戻る。
【0031】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、「左打ち」遊技と「右打ち」遊技に用いられる共通のアタッカー装置19が第1始動口16の真下位置に配置されると共に、この第1始動口16から右側流下経路9bの出口に至る遊技領域9に第2始動口18と作動ゲート17および複数本の道釘32が配置されており、「右打ち」遊技中に右側流下経路9bの出口から排出された遊技球を各道釘32で誘導して第2始動口18と作動ゲート17とに振り分けるようにしたので、右側流下経路9bの出口からアタッカー装置19に至る広い遊技領域9を流下する遊技球によって「右打ち」遊技の興趣性を高めることができる。また、右側流下経路9bを装飾ケース12の右側部に沿って長尺に延在させることができると共に、この右側流下経路9bの幅寸法を遊技球の1個分程度まで狭めることができるため、左側流下経路9aと右側流下経路9bに必要とされる領域を確保した上で、可変表示ユニット10(演出表示装置14とそれを包囲する装飾ケース12)を大型化することができる。
【0032】
また、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、装飾ケース12とその構成部材である樹脂成形品26にそれぞれ上側ガイド壁12aと下側ガイド壁26bを形成し、これら上側ガイド壁12aと下側ガイド壁26bとで挟まれたガイド通路31によって右側流下経路9bの出口部分が構成されており、このガイド通路31の上側内壁に道釘32の上流部分と遊技球の直径より僅かに大きな通過間隔Aを存して対向する球面状突起12bを形成すると共に、遊技盤3に道釘32の下流側部分と遊技球の直径より僅かに大きな通過間隔Cを存して対向する命釘33を植設してあるので、右側流下経路9bから排出される遊技球の勢いが球面状突起12bで弱められると共に、道釘32の下流部分まで誘導された遊技球の勢いが命釘33で弱められるため、「右打ち」遊技中に右側流下経路9bから排出された遊技球を第2始動口18と作動ゲート17とに確実に振り分けることができ、側流下経路9bから排出された遊技球が第1始動口16に飛び込んでしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0033】
3 遊技盤
6 発射ハンドル
8 ガイドレール
9 遊技領域
9a 左側流下経路
9b 右側流下経路
10 可変表示ユニット
11 開口
12 装飾ケース
12a 上側ガイド壁
12b 球面状突起
12c 突起
13 可動役物装置
14 演出表示装置
14a 表示画面
15 ステージ
15a 溝
16 第1始動口
17 作動ゲート
18 第2始動口
19 アタッカー装置
20 一般入賞口
21 アウト口
22 ワープ通路
26 樹脂成形品
26a 規制壁
26b 下側ガイド壁
26c ストッパ壁
31 ガイド通路
32 道釘
32a 誘導路
33 命釘
P パチンコ機(弾球遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に向けて遊技球を任意の発射強度で打ち出す発射ハンドルと、前記遊技領域を流下する遊技球が入賞することを契機に第1の特別図柄抽選を行う第1始動口と、前記遊技領域を流下する遊技球が通過したことを契機に普通図柄抽選を行う作動ゲートと、前記普通図柄抽選の抽選結果に基づいて開閉動作する可動片を有し、前記遊技領域を流下する遊技球が入賞することを契機に第2の特別図柄抽選を行う第2始動口と、前記第1および第2の特別図柄抽選の抽選結果に基づいた所定の演出態様を表示する演出表示装置と、この演出表示装置の表示画面を包囲する枠状の装飾ケースと、前記第1および第2の特別図柄抽選の抽選結果に基づいて大入賞口を開閉動作するアタッカー装置装置とを備え、前記遊技領域に前記装飾ケースを挟んで左側流下経路と右側流下経路とが形成されている弾球遊技機において、
前記第1始動口を前記装飾ケースの中央部真下に配置すると共に、前記アタッカー装置装置を前記第1始動口の真下位置に配置し、かつ、前記第2始動口を前記右側流下経路の出口近傍の下方に配置すると共に、前記作動ゲートを前記第1始動口と前記第2始動口との間に配置し、前記遊技盤に前記右側流下経路の出口から前記作動ゲートに向かって斜め下方へ連続する複数本の道釘を植設することにより、前記右側流下経路の出口から排出された遊技球を前記第2始動口と前記作動ゲートとに振り分けて誘導するようにしたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記右側流下経路の出口部分が前記装飾ケースに一体形成されたガイド通路によって構成されており、このガイド通路の上側内壁に前記各道釘の上流側部分と遊技球の直径より僅かに大きな通過間隔を存して対向する球面状突起を形成すると共に、前記遊技盤に前記各道釘の下流側部分と遊技球の直径より僅かに大きな通過間隔を存して対向する命釘を植設したことを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−227498(P2010−227498A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81398(P2009−81398)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】