説明

形状計測装置用搬送設備

【課題】
FMレーザレーダ装置等使用して計測対象物の周囲を移動している間でも電源ライン及び信号ラインを遮断することなく常に接続される形状計測装置用搬送設備。
【解決手段】
第一台車コネクタユニットと第二台車コネクタユニットとを設置した搬送台車と、計測対象物の一方の側に敷設した第一レールと、第一レールの走行方向に対して交わる方向に走行するように敷設した第二レールと、第二レールの端部で第一レール側に設置した第一コネクタユニット架台と、第二レールを走行すると共に第二台車コネクタユニットと接続される補助台車コネクタユニットを設置した補助台車と、電源ラインと信号ラインが接続された固定側の第一中継コネクタと、第一中継コネクタに接続された第一ケーブルと、第一ケーブルに接続された第一ケーブルコネクタと、第一中継コネクタと補助台車コネクタユニットとに接続された第二ケーブルとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FMレーザレーダ装置を使用した新規な形状計測装置用搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を利用して物体までの距離を計測する技術として、FMレーザレーダ方式が知られている。この方式は、周波数が時間とともに変化するFM信号を発生して計測対象の物体に照射することにより、この物体までの距離に応じた伝播遅延時間が生じた反射FMレーザ光を受信し、これと既知の伝播遅延時間を有する参照FMレーザ光とを混合してビート信号を得、このビート信号の周波数から反射信号を生じさせた計測対象物の距離を算定するように構成されている。
【0003】
この技術を応用し、FMレーザレーダ装置を用いて三次元の面の計測ができる。この計測においては、反射鏡からレーザ光が反射される計測部までの距離と、そのときの反射鏡の水平角と垂直角とを画像処理装置に取り込み、計測部の座標位置を求める。すなわち、所定の距離毎に照射した複数の計測点からの反射レーザ光を検出し、それぞれの計測点座標データからソフト的な処理を行い、計測部の形状を求めるものである。この方式は、比較的広い面積、長い距離を計測できる特徴を有しているため、例えば自動車ボディの所定領域表面が規定値の曲面状態であるかを検査する場合、計測システムの装置と自動車は移動しなくとも計測できる利点がある。
【0004】
また、新幹線車両のように、広くて長い距離の側面ボディや複雑な曲面を有した前面形状の三次元寸法を計測する場合には、1回では計測できないので所定の範囲に分割してそれぞれを計測し、これらを後で合成する方法がとられる。そのためには計測の基準点がないと計測した面が繋がらないので、共通の基準となる位置にツーリングボール(目標金属球)を設置したツーリングボール計測と称する方式で計測される。
【0005】
この計測においては、計測装置を数m毎に停止、移動させながら車両の周囲を順次計測し、外部の計測データ処理制御機器との間で計測データの授受を行うものであるが、計測装置の駆動用電源線と計測データ授受用の信号線を束ねたケーブルが移動の度に遮断されることは、立ち上げてから安定するまでにかなりの時間を要し、計測システムの精度、信頼性及び計測効率の点から好ましいことではない。
【0006】
これを回避するために、例えば計測装置を搬送台車に搭載し、接続された長いケーブルを這い廻しする方法がある。しかしながらこの方法では長さが25mもある車両の周囲に対応させるのは、ケーブルの配索、取り扱い等の面で非常に煩わしい問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ツーリングボール計測においては、計測装置を数m毎に停止、移動させながら車両の周囲を順次計測し、外部の計測データ処理制御機器との間で計測データの授受を行うものであるが、計測装置の駆動用電源線と計測データ授受用の信号線を束ねたケーブルが移動の度に遮断されることは、立ち上げてから安定するまでにかなりの時間を要し、計測システムの精度、信頼性及び計測効率の点から好ましいことではない。
【0008】
これを回避するために、例えば計測装置を搬送台車に搭載し、接続された長いケーブルを這い廻しする方法がある。しかしながらこの方法では長さが25mもある車両の周囲に対応させるのは、ケーブルの配索、取り扱い等の面で非常に煩わしい問題があった。
【0009】
本発明の目的は、FMレーザレーダ装置等を使用して計測対象物の周囲を移動している間でも、電源ライン及び信号ラインを遮断することなく常に接続され、広い面積の計測が可能な形状計測装置用搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、モータで駆動する走行用車輪を有する搬送部に第一の台車コネクタユニットと第二の台車コネクタユニットとを設置した搬送台車と、計測対象物の一方の側に敷設した第一のレールと、該第一のレールの走行方向に対して交わる方向に走行するように敷設した第二のレールと、該第二のレールの端部で前記第一のレール側に設置した第一のコネクタユニット架台と、前記第二のレールを走行すると共に前記第二の台車コネクタユニットと接続される補助台車コネクタユニットを設置した補助台車と、電源ラインと信号ラインが接続された固定側の第一の中継コネクタと、該第一の中継コネクタに接続された第一のケーブルと、該第一のケーブルに接続された第一のケーブルコネクタと、前記第一の中継コネクタと前記補助台車コネクタユニットとに接続された第二のケーブルとを備え、前記搬送台車を前記補助台車に搭載することにより前記第二の台車コネクタユニットと前記補助台車コネクタユニットとが接続され、前記補助台車が前記第二のレールへの走行によって前記第一の台車コネクタユニットと前記第一のケーブルコネクタとの接続が遮断されることを特徴とする形状計測装置用搬送設備にある。
【0011】
又、本発明の形状計測装置用搬送設備は、前記搬送台車に設置された第三の台車コネクタユニットと、前記第一のレールを挟んで前記計測対象物の他方の面側に敷設された第三のレールと、前記第二のレールの端部で前記第三のレール側に設置した第二のコネクタユニット架台と、電源ラインと信号ラインが接続された固定側の第二の中継コネクタと、該第二の中継コネクタに接続された第三のケーブルと、該第三のケーブルに接続された第三のケーブルコネクタユニットとを備え、前記補助台車が前記第二のコネクタユニット架台に達することにより前記第三の台車コネクタユニットと前記第三のケーブルコネクタユニットとが接続され、前記前記搬送台車が前記第三のレールへの走行によって前記第二の台車コネクタユニットと前記前記補助台車コネクタユニットとの接続が遮断されるようにする。
【0012】
更に、本発明の形状計測装置用搬送設備は、モータで駆動する走行用車輪を有する搬送部に第一の台車コネクタユニットと第三の台車コネクタユニットとを設置した搬送台車と、計測対象物の一方の側に敷設した第一のレールと、前記第一のレールを挟んで前記計測対象物の他方の面側に敷設された第三のレールと、前記第二のレールの端部で前記第三のレール側に設置した第二のコネクタユニット架台と、電源ラインと信号ラインが接続された固定側の第二の中継コネクタと、該第二の中継コネクタに接続された第三のケーブルと、該第三のケーブルに接続された第三のケーブルコネクタユニットとを備え、前記補助台車が前記第二のコネクタユニット架台に達することにより前記第三の台車コネクタユニットと前記第三のケーブルコネクタユニットとが接続され、前記前記搬送台車が前記第三のレールへの走行によって前記第二の台車コネクタユニットと前記前記補助台車コネクタユニットとの接続が遮断されることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、モータで駆動する走行用車輪を有する搬送部に第一の台車コネクタユニット、第二の台車コネクタユニット及び第三の台車コネクタユニットを設置した搬送台車を有し、該搬送台車にレーザ光によって計測対象物までの距離を計測するFMレーザレーダ装置、該FMレーザレーダ装置から計測の制御及び前記搬送部の走行を制御する制御装置、前記搬送部の位置を調整する位置調整部が前記搬送部に搭載され、前記FMレーザレーダ装置、制御装置及び位置調整部への電源及び信号が伝達する第一ケーブル、第二ケーブル及び第三ケーブルの各々に接続される前記搬送部に設置された第一の台車コネクタユニット、第二の台車コネクタユニット及び第三の台車コネクタユニットを前記搬送部に備えている形状計測装置が好ましい。
【0014】
本発明の形状計測装置用搬送設備は、より具体的には、走行用車輪をモータで駆動する搬送部、この搬送台車の走行制御と計測用FMレーザレーダ装置の制御操作を行う制御部、第一の台車コネクタユニット、第二の台車コネクタユニット、第三の台車コネクタユニットを設置した搬送台車と、この搬送台車が載置されときには水平方向に移動可能な領域を有し、補助台車コネクタユニットを設置した補助台車と、計測対象車両の両側にそれぞれ敷設した第一のレールと第三のレールと、前記計測対象車両の前面側に敷設された第二のレールと、第二のレール両端側にそれぞれ設置した第一のコネクタユニット架台と第二のコネクタユニット架台と、固定側の電源ラインと信号ラインに接続された第一のケーブルと、第二のケーブルと、第三のケーブルとを備え、前記搬送台車が前記第一のレール上にあるときは前記第三のケーブルが前記第二のコネクタユニット架台に係止されるとともに、前記第一のケーブルが前記第一の台車コネクタユニットに接続され、前記第三のレール上にあるときは第一のケーブルが前記第一のコネクタユニット架台に係止されるとともに、前記第三のケーブルが前記第二の台車コネクタユニットに接続され、前記第二のレール上に前記搬送台車が前記補助台車に搭載しているときは前記第一のケーブルが前記第一のコネクタユニット架台に係止されるとともに、前記補助台車コネクタユニットを介して前記第二のケーブルが前記第二の台車コネクタユニットに接続され、それぞれ常に前記搬送台車の電源ラインと信号ラインに前記固定側の電源ラインと信号ラインが接続維持されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、FMレーザレーダ装置等を使用して計測対象物の周囲を移動している間でも、電源ライン及び信号ラインを遮断することなく常に接続され、広い面積の計測が可能な形状計測装置用搬送設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明に係る新幹線車両のボディ両側面と前面を計測する場合の形状計測装置用搬送設備の全体構成図を示す斜視図である。新幹線車両(計測対象物)の両側面に対し、それぞれ形状計測装置を搭載し搬送させる搬送台車1を走行させる第一のレール13a、第三のレール13bの2軌を敷設し、搬送台車1が計測対象物の側面に沿って走行できるよう配置する。図1では、搬送台車1に計測器類を搭載した状態と、計測対象の車両と、そのレールは省略してある。第一のレール13a上にある搬送台車1には、第一の台車コネクタユニット19、第三のコネクタユニット20、第二のコネクタユニット21が設置されている。第一のケーブル15aの一端に接続された第一のケーブルコネクタユニット18は第一の台車コネクタユニット19に嵌合し、第一のケーブル15aの他端は中継コネクタ17aに接続されている。図面では表現されていないが、中継コネクタ17aには固定側の電源供給ラインと、計測データ処理制御機器への通信用信号ラインとが接続されている。
【0017】
補助台車1aは、搬送台車1と同様の走行機能を有しており、補助台車コネクタユニット22を設置し、上面には第一のレール13aの軌道間隔と同じ寸法間隔で溝1bを2本設け、搬送台車1が走行できるよう構成している。この補助台車1aが走行する第二のレール24は第一のレール13aに対して直角方向、補助台車ピット14bの底面に敷設している。
【0018】
第二のケーブル15cの一端は第一の中継コネクタ17aに接続され、他端は補助台車1aに固定した補助台車コネクタユニット22に接続されている。この補助台車コネクタユニット22は、第一のケーブルコネクタユニット18、第三のケーブルコネクタユニット23と同仕様のものであり、搬送台車1の第二のコネクタユニット21との嵌合可能な高さに配置されている。
【0019】
第一のコネクタユニット架台16a、第二のコネクタユニット架台16bの両者は同じ仕様で構成し、床14にそれぞれ設置している。これらの架台は、搬送台車1に設置した台車コネクタユニット19〜21と補助台車1aに設置した補助台車コネクタユニット22、第一のケーブルコネクタユニット18、及び第三のケーブルコネクタユニット23との嵌合、離脱を自動的に行わせるために設置したものである。溝Mは、嵌合している第一のケーブルコネクタユニット18と第一の台車コネクタユニット19とがこの位置に来たとき、第一のケーブルコネクタユニット18の突起部18aが挿入、係止されるよう形成している。
【0020】
搬送台車1が左側に走行して補助台車1aに乗ると、第二の台車コネクタユニット21と補助台車コネクタユニット22とが嵌合する。そして補助台車1aが第二のコネクタユニット架台16b側に向かって走行すると、第一のコネクタユニット架台16aに第一のケーブルコネクタユニット18が係止されているので、嵌合していた第一のケーブルコネクタユニット18と第一の台車コネクタユニット19とは離脱する。そのため第一のケーブル15aが接続されている第一のケーブルコネクタユニット18は、第一のコネクタユニット架台16aの溝Mに係止されたまま残る。第二のケーブル15cに接続されている補助台車コネクタユニット22と第二の台車コネクタユニット21とはすでに嵌合しているため、補助台車1aが第二のレール24上にある状態では、補助台車1aの上に乗せられた搬送台車1の電源ラインと信号ラインは、固定側の電源ラインと信号ラインが接続された状態を維持する。
【0021】
補助台車1aが第二のコネクタユニット架台16b側に到達すると、第二のコネクタユニット架台16bに係止されている第三のケーブルコネクタユニット23に、第三の台車コネクタユニット20が嵌合する。搬送台車1が走行して補助台車1aから右方向に離れると、補助台車コネクタユニット22と第二の台車コネクタユニット21との嵌合は断たれるが、第三の台車コネクタユニット20と第三のケーブルコネクタユニット23とは嵌合した状態のため、搬送台車1が第三のレール13b上にあるときは、搬送台車1の電源ラインと信号ラインは第三のケーブル15bを介し、第二の中継コネクタ17bにより固定側との接続が維持できることになる。
【0022】
図2は搬送台車に計測装置を搭載した状態の本発明に係る形状計測装置の側面図、図3はその正面図である。搬送台車1は、モータ10で駆動される車輪12を軸受11で支える搬送部9と、計測装置類を搭載して水平度を調整する位置調整部8とから構成している。FMレーザレーダ装置2は、計測装置台座7に載置されている。制御装置収納部3は、上段に計測・制御用パソコン4及び下段に電源装置6をそれぞれ収納している。
【0023】
計測・制御用パソコン4は、FMレーザレーダ装置2の検出信号を画像処理し、三次元の寸法を計測するとともに、外部に設置された計測データ処理制御機器とのデータ授受、及びその制御を行うものである。電源装置6はケーブルを介して供給される電源ラインに接続され、計測・制御用パソコン4、FMレーザレーダ装置2、モータ10等を駆動するための安定化電源を得る。制御盤5は、搬送台車1の走行制御とFMレーザレーダ装置2のスキャナ制御操作を行うものである。
【0024】
床14の上面にはレール13を敷設し、車輪12によって搬送台車1がその上を走行できるよう構成している。レール13の両側にはケーブルピット14aを設置し、この凹溝内にケーブルを収納する。
【0025】
対象物である車両を計測する場合、まず車両左側面のボディ表面状態を計測するため、制御盤5を操作して第一のレール13a上に搬送台車1を走行させ、所定の位置(車両の後部)で停止させる。そして制御盤5を操作し、搬送台車1に搭載されているFMレーザレーダ装置2のスキャナにより、レーザ光を側面ボディに照射する。その反射光をスキャナで拾って検出し、この検出信号をソフト的に処理して照射面、すなわち側面ボディの三次元寸法を計測する。
【0026】
1回では広い面積の車両ボディを計測できないので、二つの計測面を合成しながら複数回重ねる方法をとる。そのためには計測の基準点がないと計測した面が繋がらないので、合成の基準となる位置にツーリングボール(目標金属球)を設置し、それぞれの設置位置でツーリングボールの座標を正確に計測して、異なった位置で計測した計測データの座標を変換するために使用している。
【0027】
第一の測定面領域の所定領域の計測が終了すると、次の領域を同様に計測する。異なった複数の曲面を計測し、後で合成処理するには、計測のため共通の基準点を設定する必要があり、ツーリングボールを使用した計測を行う。ツーリングボールにレーザ光を照射してその反射レーザ光を検出し、この検出信号を画像処理して計測の基準点座標とするものである。
【0028】
本計測の場合には、車両ボディの第一の測定面領域と第二の測定面領域とのつなぎの部位にツーリングボールを装着しておき、これを基準としてそれぞれの領域を計測した後、ソフト的に合成処理する。第一の領域と第二の領域、次いで第二の領域と第三の領域、第三の領域と第四の領域と、順次同様に前方側にずらしながら二面の領域を計測処理し、左全側面の計測を行う。
【0029】
左側面の計測が終了すると、車両の前面を計測するため、搬送台車1を走行させて補助台車1aに乗せるが、すでに述べたように、この状態では第二のケーブル15cに第二の台車コネクタユニット21が嵌合し、電源ラインと信号ラインは接続されているので計測上の不都合は生じない。補助台車1aに乗っている搬送台車1の制御盤5を操作し、側面計測と同様の要領によりFMレーザレーダ装置2のスキャナでレーザ光を前面ボディに照射する。その反射光を検出し、この検出信号を処理して前面ボディの三次元寸法を計測する。側面の計測と同様に、分割した複数の領域を撮像、合成処理して計測データを得、前面の計測を終了する。
【0030】
最後に右側面の計測を行うが、搬送台車1を車両の後部側へ移動させて補助台車1aから離し、レール13b上を走行させる。所定位置で停止させ、前記と同様の操作により計測を行って車両1台の計測が終了する。別の車両を計測する場合には、計測が終了した車両を移動させた後、次の車両を入線させて右側面後方から計測を開始し、以下同様に順次計測する。
【0031】
図4は固定側(ケーブル側)に設置されるコネクタユニット及び可動側(搬送台車側)コネクタユニットの構造を示す斜視図である。固定側コネクタユニット30は、電源供給部50と信号接続部70とを備え、長手方向に溝30aを形成し、この溝と可動側コネクタユニット40の凸部40aとが嵌合、離脱できるよう構成している。図示していないが可動側コネクタユニット40には、電源供給部50と信号接続部70に嵌合、離脱ができるよう対応した端子及びコネクタを設けている。これらの電源供給部50と信号接続部70の実施例詳細は以下に示す。
【0032】
図5は電源供給部の構造を示す斜視図である。電源供給部50は板状の導電材料50bで形成したメス端子で、オス端子60が挿入しやすいように外側が広げられた傾斜状の入り口50aを有している。60は傾斜部60aを形成した導電材料のオス端子である。メス端子50は電源供給側(固定側:ケーブル側)に、オス端子60は受電側(可動側:搬送台車側)にそれぞれ接続される。
【0033】
図6は信号接続部の構造を示す斜視図及び図7は図6の内部接続状態を示す透視図である。信号の送受信接続部は、接続信頼性を確保するため、光通信で行う実施例で示しているが、これに限定するものではない。
【0034】
信号接続部70は固定側(ケーブル側)に接続される光コネクタで、凸部70a、光送信部70b、光受信部70cを有している。可動側(搬送台車側)に接続される光コネクタ80は、凹部80a、光受信部80c、光送信部80bを有している。70dは電気信号を光信号に変換、及び光信号を電気信号に変換する固定側の変換器、80dは同様な可動側の変換器である。
【0035】
計測装置と計測データ処理制御機器との間で行う計測データの授受は電気信号であり、ケーブル側に接続された信号ライン70eと、搬送台車側に接続された信号ライン80eとを構成しておく。例えば計測データ処理制御機器から信号ライン70eを介し、計測データ要求の制御信号が入力されると、変換器70dで光信号に変換され、光送信部70bから搬送台車側の光受信部80cに伝達される。この信号は変換器80dにより電気信号に変換され、信号ライン80eを介して搬送台車1に搭載された計測装置に送られる。
【0036】
この制御信号に基づき、収集された計測データは、計測装置から搬送台車側の信号ライン80eに送られ、変換器80dで光信号に変換された後、光送信部80bからケーブル側の光受信部70cに送られる。そして変換器70dにより電気信号に変換され、信号ライン70eから計測データ処理制御機器へ伝送される。
【0037】
以上、本実施例によれば、形状計測装置を搭載した搬送台車が移動していずれの位置にあっても、いずれかのコネクタユニットが固定側の電源ライン及び信号ラインに遮断することなく接続された状態を常に維持できるので、電源が断たれたり計測データの授受が断たれたりすることがなく常に接続され、広い面積の計測が可能で、計測の精度、信頼性の確保、効率化を図ることのできる。また、コネクタユニットの接続と離脱を、搬送台車の移動によって自動的に行うことができ、新幹線車両のような広くて長いボディの曲面寸法を効率よく計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】新幹線車両のボディ側面と前面を計測する場合の本発明に係る形状計測装置用搬送設備を示す斜視図。
【図2】本発明に係る搬送台車に計測装置を搭載した状態を示す形状計測装置の側面図。
【図3】図2の正面図。
【図4】搬送台車に設置するコネクタユニット及びケーブル側コネクタユニットの構造を示す斜視図。
【図5】本発明に係る搬送台車の電源供給部の構造を示す斜視図。
【図6】本発明に係る搬送台車の信号接続部の構造を示す斜視図。
【図7】図6の信号接続部の内部接続状態を示す透視図。
【符号の説明】
【0039】
1…搬送台車、1a…補助台車、2…FMレーザレーダ装置、4…計測・制御用パソコン、5…制御盤、6…電源装置、7…計測装置台座、8…位置調整部、9…搬送部、10…モータ、12…車輪、13a…第一のレール、13b…第三のレール、14…床、15a…第一のケーブル、15b…第三のケーブル、15c…第二のケーブル、16a…第一のコネクタユニット架台、16b…第二のコネクタユニット架台、17a…第一の中継コネクタ、17b…第二の中継コネクタ、18…第一のケーブルコネクタユニット、19…第一の台車コネクタユニット、20…第三の台車コネクタユニット、21…第二の台車コネクタユニット、22…補助台車コネクタユニット、23…第三のケーブルコネクタユニット、24…第二のレール、25…サーバ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータで駆動する走行用車輪を有する搬送部に第一の台車コネクタユニットと第二の台車コネクタユニットとを設置した搬送台車と、計測対象物の一方の側に敷設した第一のレールと、該第一のレールの走行方向に対して交わる方向に走行するように敷設した第二のレールと、該第二のレールの端部で前記第一のレール側に設置した第一のコネクタユニット架台と、前記第二のレールを走行すると共に前記第二の台車コネクタユニットと接続される補助台車コネクタユニットを設置した補助台車と、電源ラインと信号ラインが接続された固定側の第一の中継コネクタと、該第一の中継コネクタに接続された第一のケーブルと、該第一のケーブルに接続された第一のケーブルコネクタと、前記第一の中継コネクタと前記補助台車コネクタユニットとに接続された第二のケーブルとを備え、前記搬送台車を前記補助台車に搭載することにより前記第二の台車コネクタユニットと前記補助台車コネクタユニットとが接続され、前記補助台車が前記第二のレールへの走行によって前記第一の台車コネクタユニットと前記第一のケーブルコネクタとの接続が遮断されることを特徴とする形状計測装置用搬送設備。
【請求項2】
請求項1において、前記搬送台車に設置された第三の台車コネクタユニットと、前記第一のレールを挟んで前記計測対象物の他方の面側に敷設された第三のレールと、前記第二のレールの端部で前記第三のレール側に設置した第二のコネクタユニット架台と、電源ラインと信号ラインが接続された固定側の第二の中継コネクタと、該第二の中継コネクタに接続された第三のケーブルと、該第三のケーブルに接続された第三のケーブルコネクタユニットとを備え、前記補助台車が前記第二のコネクタユニット架台に達することにより前記第三の台車コネクタユニットと前記第三のケーブルコネクタユニットとが接続され、前記前記搬送台車が前記第三のレールへの走行によって前記第二の台車コネクタユニットと前記前記補助台車コネクタユニットとの接続が遮断されることを特徴とする形状計測装置用搬送設備。
【請求項3】
モータで駆動する走行用車輪を有する搬送部に第一の台車コネクタユニットと第三の台車コネクタユニットとを設置した搬送台車と、計測対象物の一方の側に敷設した第一のレールと、前記第一のレールを挟んで前記計測対象物の他方の面側に敷設された第三のレールと、前記第二のレールの端部で前記第三のレール側に設置した第二のコネクタユニット架台と、電源ラインと信号ラインが接続された固定側の第二の中継コネクタと、該第二の中継コネクタに接続された第三のケーブルと、該第三のケーブルに接続された第三のケーブルコネクタユニットとを備え、前記補助台車が前記第二のコネクタユニット架台に達することにより前記第三の台車コネクタユニットと前記第三のケーブルコネクタユニットとが接続され、前記前記搬送台車が前記第三のレールへの走行によって前記第二の台車コネクタユニットと前記前記補助台車コネクタユニットとの接続が遮断されることを特徴とする形状計測装置用搬送設備。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかにおいて、前記計測対象物が車両であることを特徴とする形状計測装置用搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−343159(P2006−343159A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167600(P2005−167600)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】