説明

後一輪車用後輪懸架取付装置

【課題】後輪懸架性能の明確な改善が見込める横臥二本サス構造を、現行機種や中古車にも無理なく導入できる後付可能な自動二輪車用後輪懸架取付装置を提供する。
【解決手段】後輪4を回転自在に支持して車体フレーム1に揺動可能に支承される揺動アーム5と車体フレーム1とに亘って架設される緩衝器13が、後輪4の左右それぞれに装備される自動二輪車用の後輪懸架取付装置Aが、緩衝器13又はこれと異なる代替緩衝器16を、側面視で横臥姿勢又はそれに近い姿勢で後輪4の左右それぞれに装着可能とすべく、車体フレーム1に螺着によって後付装備可能な左右のバネ上具LB,RB、及び揺動アーム5に螺着によって後付装備可能な左右のバネ下具LS,RSを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車や前二輪の自動三輪車等の後一輪車に好適な後輪懸架取付装置に係り、詳しくは、後輪を回転自在に支持し、かつ、車体フレームに対して揺動可能に支承される揺動アームと車体フレームとに亘って架設される緩衝器を、後輪の左右それぞれに設けてある後一輪車用後輪懸架取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先に、特許文献1にて開示されるように、後輪の左右それぞれに緩衝器を設ける構造、即ち二本サス(ツインショック)構造を採る二輪車の後輪懸架性能を明確に向上し得る車体構造が出願されている。その概要としては、後輪の左右夫々に緩衝器を備える自動二輪車において、緩衝器の前端部を上下方向で揺動アーム支点に近付けるべく、各緩衝器を横臥姿勢又は超前傾姿勢として揺動アームと車体フレームとに亘って架設する、というものである。つまり、左右の緩衝器を横臥姿勢としてその前端部を上下方向で揺動アーム支点に近付けて設ける構成であり、これを横臥二本サス構造と呼ぶものする。
【0003】
横臥二本サス構造を、既に販売されている市販車(中古車も含む)に採り入れることができるようになれば、従来のあまり芳しくない後輪懸架性能を改善できて、ユーザーの満足度を向上させたり、中古販売における商品価値を向上させることが可能になり、大変好ましいものとなることが予測される。横臥二本サス構造は、二輪メーカー等において新設計する機種であれば周辺構造の検討も含めて円滑に導入することができるが、既に販売されている現行機種や中古車に導入できるかどうかについては定かではない。
【0004】
即ち、横臥二本サス構造を、現状の構成をあまり変更することなく適用できる場合や、フレームを切断したりそのレイアウト変更を伴うとか、排気管の位置や形状を変更する等の大掛かりな改造を伴って可能となる場合がある。つまり、緩衝器を横臥姿勢で車体フレームと揺動アームとに架設連結させるに可能な強度部材が存在しているか、及び存在している場合に強度が持つか、配置スペースがあるか、足元の邪魔にならないか、等の構造的に実現が可能であるか否かの検討が、その対象となる機種毎に必要となるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−081288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、さらなる創意工夫により、後輪懸架性能の明確な改善が見込める横臥二本サス構造を、現行機種や中古車にも無理なく導入することが可能となる後一輪車用後輪懸架取付装置を開発して提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、後輪4を回転可能に支持し、かつ、車体フレーム1に対して揺動可能に支承される揺動アーム5と前記車体フレーム1とに亘って架設される緩衝器13を、前記後輪4の左右それぞれに設けてある後一輪車用後輪懸架取付装置において、
前記緩衝器13又は前記緩衝器13とは別の代替緩衝器16を、前記揺動アーム5における前記緩衝器13を連結するための既設連結部5cが揺動アーム側連結部に兼用される状態で、側面視で横臥姿勢又は横臥姿勢に近い姿勢で前記後輪4の左右それぞれに装着可能とすべく、前記車体フレーム1に後付装備可能な左バネ上具LBと右バネ上具RBとを有して成り、
前記左バネ上具LBは、前記緩衝器13又は前記代替緩衝器16を連結するためのフレーム側連結部23を備えるとともに、前記車体フレーム1に装備されている螺着部1a,1dを用いて前記車体フレーム1の左側に取着可能な取付部66,67を有して構成され、
前記右バネ上具RBは、前記緩衝器13又は前記代替緩衝器16を連結するためのフレーム側連結部23を備えるとともに、前記車体フレーム1に装備されている螺着部1a,1dを用いて前記車体フレーム1の右側に取着可能な取付部66,67を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、後輪4を回転自在に支持し、かつ、車体フレーム1に対して揺動可能に支承される揺動アーム5と前記車体フレーム1とに亘って架設される緩衝器13を、前記後輪4の左右それぞれに設けてある後一輪車用後輪懸架取付装置において、
前記緩衝器13又は前記緩衝器13とは別の代替緩衝器16を、側面視で横臥姿勢又は横臥姿勢に近い姿勢で前記後輪4の左右それぞれに装着可能とすべく、前記車体フレーム1に後付装備可能な左右のバネ上具LB,RB及び前記揺動アーム5に後付装備可能な左右のバネ下具LS,RSを有して成り、
前記左バネ上具LBは、前記緩衝器13又は前記代替緩衝器16を連結するためのフレーム側連結部23を備え、かつ、前記車体フレーム1に装備されている螺着部1a,1dを用いて前記車体フレーム1の左側に取着可能な取付部18a,19aを有して構成され、
前記右バネ上具RBは、前記緩衝器13又は前記代替緩衝器16を連結するためのフレーム側連結部23を備え、かつ、前記車体フレーム1に装備されている螺着部1a,1dを用いて前記車体フレーム1の右側に取着可能な取付部28a,29aを有して構成され、
前記左バネ下具LSは、前記緩衝器13又は前記代替緩衝器16を連結するための揺動アーム側連結部35を備え、かつ、前記揺動アーム5における左アーム5Lに装備されている螺着部5d,5cを用いて前記左アーム5Lに取着可能な取付部59,33aを有して構成され、
前記右バネ下具RSは、前記緩衝器13又は前記代替緩衝器16を連結するための揺動アーム側連結部43を備え、かつ、前記揺動アーム5における右アーム5Rに装備されている螺着部5e、5cを用いて前記右アーム5Rに取着可能な取付部42,41を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の後一輪車用後輪懸架取付装置において、前記左バネ下具LSの前記取付部33a,59が、前記緩衝器13を前記揺動アームに連結すべく前記左アーム5Lに装備される支承軸5eに挿通して螺装するための嵌装孔33a及び/又はチェンケース34を前記揺動アーム5に取付けるボルト50で共締め可能とするための挿通孔59で成り、
前記右バネ下具RSの前記取付部41,42が、前記緩衝器13を前記揺動アーム5に連結すべく前記右アーム5Rに装備される支承軸5eに挿通して螺装するための嵌装孔41及び/又はトルクリンク54の前端部を前記右アーム5Rに支承すべく前記右アーム5Rに装備される支持軸部5eに嵌装するための装着孔42であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の後一輪車用後輪懸架取付装置において、前記左バネ上具LBの前記取付部19a,18aが、前記揺動アーム5を前記車体フレーム1に支承する支持シャフト14で共締め固定するための通し孔19a又は/及びエンジン懸架ボルト20で共締め固定するためのボルト用孔18aであり、
前記右バネ上具RBの前記取付部29a,28aが、前記揺動アーム5を前記車体フレーム1に支承する支持シャフト14で共締め固定するための通し孔29a又は/及びエンジン懸架ボルト20で共締め固定するためのボルト用孔28aであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、詳しくは実施形態の項にて説明するが、揺動アームにおける緩衝器の連結部を緩衝器揺動アーム側連結部に兼用する形態の横臥二本サス構造を採るための左右のバネ上具を、車体フレームに装備されている螺着部を利用して車体フレームに取付けることができる。即ち、バネ上具を取付けるためのステーを車体フレームに溶接するといった大掛かりな改造を行う手段では、車体の分解や再塗装を伴う面倒で手間及び時間を要する改造となって非常に高いコストが掛かるが、既存の螺着部を用いる請求項1の発明ではそのような不都合がなく、従って構造簡単で廉価に左右のバネ上具を後付装着することが可能になる。加えて、螺着部を用いるのでバネ上具の着脱が可能となる便利さもある。その結果、さらなる創意工夫により、後輪懸架性能の明確な改善が見込める横臥二本サス構造を、左右のバネ上具で構成でき、現行機種や中古車にも無理なく導入することが可能となる後一輪車用後輪懸架取付装置を提供することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、詳しくは実施形態の項にて説明するが、揺動アームにおける緩衝器の連結部を兼用しない形態の横臥二本サス構造を採るための左右のバネ上具及び左右のバネ下具を、車体フレーム及び揺動アームに装備されている螺着部を利用して車体フレーム及び揺動アームに取付けることができる。即ち、バネ上具やバネ下具を取付けるためのステー類を車体フレームや揺動アームに溶接するといった大掛かりな改造を行う手段では、車体の分解や再塗装を伴う面倒で手間及び時間を要する改造となって非常に高いコストが掛かるが、既存の螺着部を用いる請求項2の発明ではそのような不都合がなく、従って構造簡単で廉価に左右のバネ上具及びバネ下具を後付装着することが可能になる。加えて、螺着部を用いるのでバネ上具やバネ下具の着脱が可能となる便利さもある。その結果、さらなる創意工夫により、後輪懸架性能の明確な改善が見込める横臥二本サス構造を、左右のバネ上具及び左右のバネ下具で構成でき、現行機種や中古車にも無理なく導入することが可能となる後一輪車用後輪懸架取付装置を提供することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、左バネ下具の取付部を、緩衝器連結用の支承軸に挿通される嵌装孔や、チェンケース取付用ボルトで共締めするための挿通孔で構成することができ、右バネ下具の取付部を、緩衝器連結用の支承軸に挿通される嵌装孔や、トルクリンク支承用支持軸部に嵌装するための装着孔で構成することができる。つまり、揺動アームに元々装備されている各種の螺着部を利用して、それら螺着部に適した取付部がバネ下具に設けられており、より合理的な後一輪車用後輪懸架取付装置とすることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、左バネ上具の取付部を、揺動アーム支承用支持シャフトで共締めするための通し孔や、エンジン懸架ボルトで共締めするためのボルト用孔で構成することができ、右バネ上具の取付部を、揺動アーム支承用支持シャフトで共締めするための通し孔や、エンジン懸架ボルトで共締めするためのボルト用孔で構成することができる。つまり、車体フレームに元々装備されている各種の螺着部を利用して、それら螺着部に適した取付部がバネ上具に設けられており、より合理的な後一輪車用後輪懸架取付装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】標準仕様の自動二輪車全体を示し、(a)は左側面図、(b)は右側面図
【図2】後輪懸架取付装置の左側部分を示す要部の左側面図
【図3】後輪懸架取付装置の右側部分を示す要部の右側面図
【図4】左ばね上具を示し、(a)は背面図、(b)は左側面図
【図5】右ばね上具を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図
【図6】左ばね下具を示し、(a)は背面図、(b)は左側面図
【図7】右ばね下具を示し、(a)は右側面図、(b)は正面図
【図8】エンジン懸架部の断面図を示し、(a)は標準仕様、(b)は特別仕様
【図9】揺動アーム支持部の断面図を示し、(a)は標準仕様、(b)は特別仕様
【図10】左右ばね下具の前側取付構造を示し、(a)は標準仕様の要部断面図、(b)は特別仕様の要部断面図
【図11】左右ばね下具の後側取付構造を示し、(a)は標準仕様の片側の要部断面図、(b)は特別仕様の要部断面図
【図12】別構造の後輪懸架取付装置を示し、(a)は左側面図、(b)は右側面図
【図13】他の機種における後輪懸架取付装置を示し、(a)は左側面図、(b)は右側面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明による後一輪車用後輪懸架取付装置(以下「後輪懸架取付装置」と略称する)の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。実施例1〜3のものは、何れも自動二輪車の後輪懸架取付装置を示しているが、前2輪で後1輪の三輪車や、前輪が3以上で後輪が1つの形態のもの等、要は後輪が一つのものに本発明の適用が可能であり、それらを総称して「後一輪車」であると定義する。また、後一輪車に元々装備されている後輪懸架用のクッションユニットである緩衝器を、以下「CU」と略称するものとする、
【0017】
〔実施例1〕
図1に実施例1による後輪懸架取付装置Aの適用対象となる自動二輪車(後一輪車の一例)が示されており、板金製で側面視で略T字状を呈する車体フレーム1、前輪2を懸架支持するフロントフォーク3、後輪4を回転自在に支承する揺動アーム5、ミッションケース6M付のエンジン6、燃料タンク7、シート8、リヤフェンダ9、マフラー(排気管)10、ステップ11、操向ハンドル12、後輪4の左右それぞれに配備されるCU(緩衝器)13等を有して構成されている。後輪懸架取付装置Aの使用により、図1(a)、(b)に示すように、左右のCU13に代えて、仮想線で示す横臥姿勢の代替緩衝器16を装備することができる。CU13とは別の(異なる仕様の)代替緩衝器16は、コイルバネとダンパとを備える公知構造のものであるが、それ以外の構造でも良い。
【0018】
左右のCU13は、車体フレーム1におけるシート8の下側となるフレーム後部と揺動アーム5の後端板部(後端部)5bとに亘って架設されており、若干前傾したほぼ上下向き姿勢にて装備されている。揺動アーム5は、平面視で略H形状を為し、その前端左右の枢支部5a,5aが車体フレーム1を挟み込む状態で、それら三者5a,1,5aに挿通される支持シャフト14を軸として上下揺動可能に車体フレーム1に支承されている。また、揺動アーム5の左右の後端板部5b,5bの左右間に配置される後輪4が、それら三者5b,4,5bに挿通される支軸であるリヤシャフト15により、回転可能に支持されている。
【0019】
実施例1による後輪懸架取付装置Aは、図2,図3に示すように、後輪4を回転可能に支持し、かつ、車体フレーム1に対して揺動可能に支承される揺動アーム5と車体フレーム1とに亘って架設されるCU13を、後輪4の左右それぞれに設けてある自動二輪車用の後輪懸架取付装置Aである。即ち、後輪懸架取付装置Aは、取外されたCU13とは別の代替緩衝器16の一対を、側面視で横臥姿勢又は横臥姿勢に近い前傾姿勢で後輪4の左右それぞれに装着可能とすべく、後付装備可能な左バネ上具LBと、右バネ上具RBと、左バネ下具LSと、右バネ下具RSと、連結パイプ17(図4参照)と、を有して構成されている。
【0020】
左バネ上具LBは、図4に示すように、エンジン懸架ボルト20(図8参照)を通すための前孔(取付部、ボルト用孔の一例)18aを備える前方アーム部18と、支持シャフト14を通すための下孔(取付部、通し孔の一例)19aを備える下方アーム部19と、連結ボルト21(図2,3,4参照)を挿通すための上孔22aを備える上方アーム部22と、支承手段(ゴムブッシュ、球面軸受、等)24が圧入されるボス部(フレーム側連結部の一例)23とを備える金属製の部品である。支承手段24は、代替緩衝器16の前部取付部16Aをボルト連結するための部材である〔図5(a)参照〕。この例では、主鋼板25と補強鋼板26と筒材であるボス部23との三部材の溶接一体化によって構成されている。筒状のボス部23には、金属製内筒と金属製外筒とそれら両者の間に介装されるゴム層とで成る公知構造のゴムブッシュ24が圧入装着される。尚、Cは左右方向での車体中心である。
【0021】
右バネ上具RBは、図5に示すように、エンジン懸架ボルト20(図8参照)を通すための前孔(取付部,ボルト用孔の一例)28aを備える前方アーム部28と、支持シャフト14を通すための下孔(取付部、通し孔の一例)29aを備える下方アーム部29と、連結ボルト21(図2,3,4参照)を通すための上孔30aを備える上方アーム部30と、支承手段24が圧入されるボス部(フレーム側連結部の一例)23とを備える金属製の部品である。支承手段24は、代替緩衝器16の前部取付部16Aをボルト連結するための部材である〔図5(a)参照〕。この例では、前方アーム部28の前端に配置される筒状のスペーサ27と、主鋼板31と補強鋼板32とボス部23との四部材の溶接一体化によって構成されている。ボス部23には前述のゴムブッシュ24が圧入装着される。
【0022】
左バネ下具LSは、図6に示すように、揺動アーム5の左アーム5Lにボルトオンされる部品であって、CU13取付用の支承軸(既設連結部及び螺着部の一例)5cを通すための後孔(取付部、嵌装孔の一例)33aと、チェンケース34の前側部分を左アーム5Lに固着されている前ステー(螺着部の一例)5dに取付るボルト50で共締めするための前孔(取付部、挿通孔の一例)59と、代替緩衝器16の後部取付部16Bをボルト連結するための連結部(揺動アーム側連結部の一例)35とを備える金属製のものである。この例では複数の軽減孔36を有する主鋼板37に、後孔33aを有する補強板38、及び後孔33aを有する筒ボス33が溶着一体化されて成る本体部39と、これに前後2本のボルト40,40を用いて取付けられる連結部35とで左バネ下具LSが構成されている。
【0023】
本体部39には、二本のボルト40,40で連結部35を螺着するための孔39aが前後に並んで計四箇所に形成されており、図6等においては、最前の第1孔と前から三番目の第3孔を用いて螺着されている状態が描かれている。連結部35は、連結主板35aと屈曲主板35bとワッシャ板35c等を有して構成されている。図示は省略するが、前から二番目の第2孔と最後の第4孔とを用いて連結部35を本体部39に取付ける状態も可能に構成されている。この前後二箇所の交互付替え可能構造により、代替緩衝器16の長さが異なる場合にも対応して取付けることが可能とされている。
【0024】
右バネ下具RSは、図7に示すように、揺動アーム5の右アーム5Rにボルトオンされる部品であって、CU13取付用の支承軸(既設連結部及び螺着部の一例)5cを通すための前後一対の後孔41,41、トルクリンク54(図3参照)の前部を係合支持すべく右アーム5Rに固着される支持軸部(螺着部の一例)5eを通すための前孔42、代替緩衝器16の後部取付部16Bをボルト連結するための連結部(揺動アーム側連結部の一例)43とを備える金属製のものである。この例では、一対の後孔41,41、連結部43、軽減孔44を有する本体部45と、前孔42を有する脚部46とを前後二本のボルト・ナット47,47で螺着することで右バネ下具RSが構成されている。
【0025】
本体部45は、一対の後孔41,41を備えるブロック片45A、主鋼板45B、コ字状の連結部43となる屈曲鋼板45C、及び補強板45Dを溶接一体化することで形成されている。脚部46は、前後に並ぶ三箇所の支持孔48及び大前孔42Aを備える主脚板46Aと、小前孔42Bを有して前後一対の小ボルト49,49で主脚板46Aに螺着される副脚板46Bとで形成されている。大前孔42Aとこれより小径の小前孔42Bとは互いに同じ軸心を有する前後に長い長孔であり、これら両者42A,42Bで前孔42が形成されている。
【0026】
前後一対の後孔41,41の前後スパンと、前後三箇所の支持孔48のうちの前後で隣合うものどうしの前後スパンとは互いに同じ値で、かつ、左バネ下具LSの「前後二箇所の交互付替え可能構造」における前後スパンとも同じ値に設定されている。従って、前側二箇所の支持孔48及び後側の後孔41とを用いる場合(図3,図7参照)と、後側二箇所の支持孔48及び前側の後孔41とを用いて長さのやや長い代替緩衝器16を設ける場合とに切換可能に構成されている。
【0027】
次に、一対のCU13を縦向き姿勢で装備する標準仕様(ノーマル後輪懸架仕様:図1参照)に代えて、一対の代替緩衝器16を横臥姿勢で装備する特別仕様(横臥二本サス構造)に切換える後輪懸架取付装置Aの構造や作業手順等について説明する。
【0028】
まず、左バネ上具LB及び右バネ上具RBは、いずれもエンジン6を車体フレーム1に螺着固定するためのエンジン懸架ボルト20と、揺動アーム5を上下揺動可能に車体フレーム1に支持するための支持シャフト14とを用いた共締め構造によって車体フレーム1に取付け固定される。この場合、元のエンジン懸架ボルト20及び支持シャフト14では長さが足りなくなるので、それぞれ長さが所定量ずつ長くされた延長懸架ボルト20Eと延長支持軸14Eとを新たに用いる。即ち、標準仕様における支持シャフト14とエンジン懸架ボルト20とを抜き取り、代わりに延長支持軸14Eと延長懸架ボルト20Eとを用いることで、図2,図3に示すように、左右のバネ上具LB,RBを車体フレーム1に共締め装着することができる。
【0029】
エンジン懸架ボルト20に関して、標準仕様では、図8(a)に示すように、車体フレーム1を構成する左右の縦側壁1b、1cの間にミッションケース6Mから上方突出する取付ブラケット6mが介装されており、左縦側壁1bの左側壁孔(螺着部の一例)1Bと取付ブラケット6mと右縦側壁1cの右側壁孔(螺着部の一例)1Cとに左から右に向けてエンジン懸架ボルト14を通して長ナット52で締付固定してある。長ナット52の反対側(右側)端には、マフラー10の前後中間部位を固定する中間ステー10aがボルト64止めされている。つまり、エンジン懸架ボルト20用の長ナット52は、マフラー10を車体フレーム1に取付けるための螺着手段を兼用している。
【0030】
特別仕様では、図8(b)に示すように、左縦側壁1bの左隣に左バネ上具LBが、かつ、右縦側壁1bの右隣に右バネ上具RBを位置させた状態で、延長懸架ボルト20Eを前孔28a、右側壁孔1C、取付ブラケット6m、左側壁孔1B、前孔18aに通し、車体フレーム1の左側にてナット締めする。これにより、左バネ上具LBの前方アーム部18及び右バネ上具RBの前方アーム部28が、延長懸架ボルト20Eにより取付ブラケット6mとの共締め状態で車体フレーム1に固定される。前述の中間ステー10aは、延長懸架ボルト20Eのボルト頭20eに螺着されるボルト53により、延長懸架ボルト20Eを介して車体フレーム1に固定される。
【0031】
支持シャフト14に関して、標準仕様では、図9(a)に示すように、各アーム5R,5Lの前端部に嵌装されている軸受具51が、その内筒51aが支持筒(螺着部の一例)1aの左右両側に位置する状態で車体フレーム1を挟み込んで配置されており、左右の内筒51a及び支持筒1aに通される支持シャフト14のナット締めにより、揺動アーム5を上下揺動可能に車体フレーム1に支持する構造である。尚、軸受具51は、各アーム5R,5Lに圧入される外筒51bと、内筒51aと、それらの間に介装されるブッシュ材(ゴム等)51cとから成る公知構造のものである。
【0032】
特別仕様では、図9(b)に示すように、左側の軸受具51の左隣に左バネ上具LBが、かつ、右側の軸受具51の右隣に右バネ上具RBを位置させた状態で、支持シャフト14に代えて延長支持軸14Eを下孔19a、内筒51a、支持筒1a、内筒51a、下孔29aに通してナット締めする。これにより、左バネ上具LBの下方アーム部19及び右バネ上具RBの下方アーム部29が、延長支持軸14Eにより左右の軸受具51との共締め状態で車体フレーム1に固定される。
【0033】
左右のバネ下具LS,RSについて説明する。揺動アーム5の前部に関して、標準仕様では、図10(a)に示すように、左側においては、チェンケース34の前取付片34aが、左アーム5Lの前ステー5dにボルト50を用いて締付固定されている。右側においては、右アーム5Rに固着される支持軸部5eにトルクリンク54の前端部が挿通されて、平ワッシャ55とナット56とによって抜け止めされるとともに、支持軸部5eに嵌装されるコイルバネ57によって平ワッシャ55側に押圧付勢されている。
【0034】
特別仕様では、図10(b)に示すように、左側においては、ボルト50に代えて、それより長さの長い延長ボルト50Eを用い、左バネ下具LSの前端部を前取付片34aの左隣に位置されての共締め状態で前孔59に通して前ステー5dに締付固定することにより、左バネ下具LSの前端部が左アーム5Lに取付られる。右側においては、コイルバネ57が取り去られた支持軸部5eにトルクリンク54を奥に押込みながら大前孔42Aを外嵌させ、小径雄ネジ部(符記省略)に小前孔42Bが嵌装されている副脚板46Bをナット止めすることにより、脚部46が支持軸部5eに嵌装固定される。尚、仮想線で示すように、トルクリンク54の振れ動きを規制すべくゴム等の弾性ワッシャ58を、コイルバネ57に代えて支持軸部5eに嵌装しても良い。
【0035】
揺動アーム5の後部に関して、標準仕様では、図11(a)に示すように、左側においては、左アーム5Lの後端板部5bに貫通固着される片持ち状の支承軸5cに、CU13の下端取付部13aが嵌装されてナット締めされている。右側の右アーム5Rに関しても同等の構造であり、図11(a)で代用する。
【0036】
特別仕様では、図11(b)に示すように、左側においては、CU13の外された支承軸5cに後孔33aを差し込んで筒ボス33をナット締めすることにより、左バネ下具LSの後端部が左アーム5Lに取付られる。右側においては、CU13の外された支承軸5cに後孔41を差し込んで主鋼板45B及びロック片45Aをナット締めすることにより、右バネ下具RSの後端部が右アーム5Lに取付られる。
【0037】
さて、図2,3に示す後輪懸架取付装置Aの装着状態では、図4(a)に示すように、左バネ上具LBの上方アーム部22と右バネ上具RBの上方アーム部30とが、それらの左右間に介装される連結パイプ17を用いての連結ボルト21締めにより連結一体化されている。この左右の上方アーム部22,30どうしを連結する構造により、左右バネ上具LB,RBの車体フレーム1への支持強度の補強が図られていおり、連結パイプ17は、車体フレーム1とリヤフェンダ9との前後間に存在する空間部Sを無理なく通して配置されている。尚、上記連結構造(連結パイプ及びボルト17,21)は省略可能である。
【0038】
左バネ上具LBは、図2,4に示すように、フレーム左側壁1bに対して着脱可能であって左方に突出する蓋カバー62との緩衝を避けるように、前方アーム部18及び上方アーム部22が形状設定されている。図4(a)に示すように、左バネ上具LBの下方アーム部19は、ミッションケースの6Mに取付けられる左カバー(チェンカバー)6Rの後部上部との干渉を避けるべく、左外方に湾曲する迂回形状に形成すれば好ましい。右バネ上具RBは、図3,5に示すように、フレーム右側壁1cから右方に突出する膨出部63及びミッションケース6Mとの緩衝を避けるように、前方アーム部28及び上方アーム部30が形状設定されている。
【0039】
右バネ上具RB及び右側の代替緩衝器16の前端部とは、図3に示すように、車体フレーム1とマフラー10との左右間の狭い空間部分に丁度嵌り込んで配置されている。寸法誤差や製品誤差等によって代替緩衝器16又はその部分の取付ボルト・ナットがマフラー10と干渉する場合には、マフラー1の内側部分を叩く等して若干右外側に寄せ変形させて対応することができる。
【0040】
左バネ下具LSは、図2や図6に示すように、要はチェンケース34の左脇にて左アーム5Lに螺着されるものであり、チェン65をカバーするチェンケース34の後取付片34bを左アーム5Lに取付けるための2個のボルト60,60との干渉を防止する避け孔61が対応して2箇所に形成されている。また、代替緩衝器16を左右方向でなるべく左横外に張り出さないようにするために、チェンケース34の上に連結部35が配置されるよう、本体部39に対して連結部35を右側にオフセットさせてボルト連結する構造としてある。尚、代替緩衝器16の長さが1種類に定まっている場合には、本体部39と連結部35とが溶着等によて分離不能に一体化される構造の左バネ下具LSとしても良い。
【0041】
実施例1においては、左バネ下具LSの前部は、チェンケース34の前側取付部(前ステー5d)を利用しての共締め構造で左アーム5Lに、そして、右バネ下具RSの前部は、トルクリンク54の取付部(支持軸部5e)を利用しての螺着によって右アーム5Rにそれぞれ固定されている。これに対して、揺動アーム5に螺着等の適当な取付手段がない場合等には、図示は省略するが、各バネ下具LS,RSの前部に、各アーム5L,5Rを外から囲って圧接保持可能な部位を設け、直接各アーム5L,5Rを挟み込んで締付固定させる構造としても良い。
【0042】
実施例1による後輪懸架取付装置Aは、左右のバネ上具LB,RB、左右のバネ下具LS,RS、連結パイプ17、連結ボルト21、延長支持シャフト14E、延長懸架ボルト20E、延長ボルト50E、マフラー10用のボルト53とによって構成されている。故に、支持シャフト14を延長支持シャフト14Eに、エンジン懸架ボルト20を延長懸架ボルト20Eに、チェンケース34の前側取付ボルト50を延長ボルト50Eにそれぞれ変更することにより、元となる自動二輪車における後輪懸架構造以外の状態を維持したまま、後輪懸架性能に優れる特別仕様(横臥二本サス構造)に変更することができる。
【0043】
例えば、特別仕様にするにはチェンケースを外さないと付かないとか、取付のためのブラケット類を揺動アーム5に溶着しないといけない、といった面倒な改造が不要であり、ユーザー自身での組付けも可能となる便利な後付キットパーツ構造の後輪懸架取付装置Aが実現できている。つまり、主となる部品である左右のバネ上具LB,RB及び左右のバネ下具LS,RSは、全て既存の螺着手段やその取付部品を用いて取付けられるように構成されているからであり、従って、組付けるときの作業と逆の作業を行うことにより、一対のCU13,13を用いる元の標準仕様に戻すことが可能であり、かつ、そのときの外観も元の状態に戻る。
【0044】
実施例1においては、代替緩衝器16として、前部取付部16Aがコ字状を呈する二股プレートに、かつ、後部取付部16Bが、軸支ブッシュ(符記省略)が内嵌される枢支部にそれぞれ形成されている形態のものを用いているが、両端側共に枢支部構造のもの、両端側共に二股プレート構造のもの、或いは前部取付部16Aが枢支部構造で後部取付部16Bが二股プレート構造であるもの等、種々の構造の緩衝器が可能である。従って、左右のバネ上具LB,RBや左右のバネ下具LS,RSにおける緩衝器を連結する部分の構造も対応して変更可能である。
【0045】
〔実施例2〕
図12に示すように、揺動アーム5の支承軸5cを兼用する構造の後輪懸架取付装置Aでも良い。即ち、揺動アーム5におけるCU13の下部を連結する部分である支承軸5cを、そのまま代替緩衝器16の後部取付部16Bを嵌装する軸、即ち揺動アーム側連結部として用いる構造であって、この場合は左右のバネ上具LB,RBの主に2部品で後輪懸架取付装置Aが構成される。尚、本実施例2による図12(a),(b)においては、実施例1のものと同じ箇所には同じ符号を付してその説明が為されたものであるとする。
【0046】
左バネ上具LB及び右バネ上具RBは、図12(a),(b)にそれぞれ示すように、代替緩衝器16の前部取付部16Aを支承するものであって、延長支持シャフト14Eと延長懸架ボルト20Eとによって車体フレーム1に取付けられている。実施例1の連結パイプ17のような左右のバネ上具LB,RBを相互連結する手段は省略されている。実施例2による自動二輪車においては、図12(a)に示すように、揺動アーム5の揺動支軸である延長支持シャフト14Eより前方にある程度離れてステップ11が配置されているので、一点破線で示すCU13と同様にチェンケース34の左外側に張出し配置される左側の代替緩衝器16が、脹脛(ふくらはぎ)等のライダーの身体(脚)に邪魔となることはない。このように、揺動アーム5の支承軸5cを揺動アーム側連結部に兼用する構成とすれば、実施例1の場合に比べて少ない部品点数でより構造簡単でより廉価に後輪懸架取付装置Aを提供することが可能になる。
【0047】
実施例1の後輪懸架取付装置Aでは、左側の代替緩衝器16がチェンケース34の上に配置されて左外方への張出しが抑制される利点を有している。そこで、図12(a)に仮想線で示すように、チェンケース34の前部と共締めする延長ボルト50Eを用いる等して左バネ下具LSを着脱可能に付設し、左外方への張出しを抑制すべくチェンケース34の上に代替緩衝器16を配備させる構成を採ることも可能である。そして、図12(b)に仮想線で示すように、さらに右バネ下具RSも追加して右側の代替緩衝器16を上方に持上げ設定し、その側面視での配置状況が左側の代替緩衝器16と同じとしても良い。この場合、右バネ下具RSの前部が右アーム5Rを抱き込んでのボルト締めによって圧着固定される構造を採ることができる。
【0048】
〔実施例3〕
図13に示すように、CU13の上部を車体フレーム1に連結するための取付軸(螺着部の一例)1dと揺動アームの支持シャフト14とに亘って架設装備される構造の左右のバネ上具LB,RBを有し、かつ、揺動アーム5の支承軸5cを兼用する構造の後輪懸架取付装置Aでも良い。即ち、左右のバネ上具LB,RBは、図13(a),(b)にそれぞれ仮想線で示すように、シート8の下にて車体フレーム1に横側方突出状態で装備されている取付軸1dに嵌装される上孔(取付部の一例)66と、支持シャフト14(14E)を介して支持筒(螺着部の一例)1aに嵌装される下孔(取付部の一例)67とを有してネジ止めされる長尺部材で成り、そのやや下方寄りの上下中間箇所にCU13を連結するフレーム側連結部23が形成されている。尚、実施例3による図13(a),(b)においても、実施例1のものと同じ箇所には同じ符号を付してその説明が為されたものであるとする。
【0049】
さて、実施例3に示す自動二輪車において標準仕様から特別仕様に切換える手順を、左側のものは図13(a)を、そして右側のものは図13(b)を参照して説明する。即ち、後輪4の左右いずれにおいても、実線で示されるCU13を取付軸1dから外し、そのCU13の外された取付軸1dと、支持シャフト14から取り替えられた延長支持シャフト14Eとに亘って左バネ上具LB及び右バネ上具RBを嵌めて取付ける。それからCU13を、支承軸5cを中心にしての前倒し揺動移動する等して上部取付部(符記省略)をフレーム側連結部23に連結する、という具合になる。
【0050】
この図13に示される自動二輪車では、揺動アーム5の後端部5bが上方に高く持上げられる形状のものに形成されていて、支承軸5cは元々フルカバータイプのチェンケース34の上側に位置するように構成されている。従って、元々装備されている緩衝器であるCU13及び支承軸5cを兼用しても、「チェンケース34の上にて横臥配置される状態で緩衝器13を車体フレーム1と揺動アーム5とに亘って架設する」という構成を採ることが可能である。尚、標準仕様のCU13を特別仕様にて共用すると、リヤシャフト15即ち後輪4の懸架ストローク量が大きくなり過ぎるとか、バネ定数が低くなり過ぎるといった不都合がある場合には、代替緩衝器16を用いても良い。
【0051】
実施例3による後輪懸架取付装置Aでは、揺動アーム5の支承軸5c及び車体フレーム1の取付軸1dが兼用されて、左右のバネ下具及び延長懸架ボルトが省略でき、実施例1や実施例2の場合に比べて少ない部品点数で済み、より構造簡単でより廉価に後輪懸架取付装置Aを提供することが可能となる利点がある。
【0052】
〔別実施例〕
「車体フレームに装備されている螺着部」とは、ボルト等の螺着手段を用いて取付可能という意であり、支持シャフト14,14Eが通される支持筒1aや、エンジン懸架ボルト20,20Eが通される左右の側壁孔1B,1Cの他、雌ネジ部分や雄ネジ部分、部材を外囲しての締付固定が可能なパイプ状部分(例:右アーム、車体フレームを構成するパイプ材)、ナット締めされるボルトが挿通可能な孔等、種々の箇所が可能である。また、図12(b)に仮想線で示す右バネ下具RSのように、揺動アーム1に対する螺着部が1箇所のみ有する構造のバネ下具や、車体フレームに対する螺着部が1箇所のみ有する構造のバネ上具でも良い。
【符号の説明】
【0053】
1 車体フレーム
1a,1d 螺着部
4 後輪
5 揺動アーム
5L 左アーム
5R 右アーム
5c 既設連結部,螺着部
5d 螺着部
5e 螺着部,支承軸
13 緩衝器
14 支持シャフト
16 代替緩衝器
18a 取付部,ボルト用孔
19a 取付部,通し孔
20 エンジン懸架ボルト
23 フレーム側連結部
66,67 取付部
28a 取付部,ボルト用孔
29a 取付部,通し孔
35 揺動アーム側連結部
33a 取付部,嵌装孔
34 チェンケース
41 取付部,嵌装孔
42 取付部,装着孔
43 揺動アーム側連結部
50 ボルト
54 トルクリンク
59 取付部,挿通孔
A 後輪懸架取付装置
LB 左バネ上具
RB 右バネ上具
LS 左バネ下具
RS 右バネ下具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後輪を回転可能に支持し、かつ、車体フレームに対して揺動可能に支承される揺動アームと前記車体フレームとに亘って架設される緩衝器を、前記後輪の左右それぞれに設けてある後一輪車用後輪懸架取付装置であって、
前記緩衝器又は前記緩衝器とは別の代替緩衝器を、前記揺動アームにおける前記緩衝器を連結するための既設連結部が揺動アーム側連結部に兼用される状態で、側面視で横臥姿勢又は横臥姿勢に近い姿勢で前記後輪の左右それぞれに装着可能とすべく、前記車体フレームに後付装備可能な左バネ上具と右バネ上具とを有して成り、
前記左バネ上具は、前記緩衝器又は前記代替緩衝器を連結するためのフレーム側連結部を備えるとともに、前記車体フレームに装備されている螺着部を用いて前記車体フレームの左側に取着可能な取付部を有して構成され、
前記右バネ上具は、前記緩衝器又は前記代替緩衝器を連結するためのフレーム側連結部を備えるとともに、前記車体フレームに装備されている螺着部を用いて前記車体フレームの右側に取着可能な取付部を有して構成されている後一輪車用後輪懸架取付装置。
【請求項2】
後輪を回転自在に支持し、かつ、車体フレームに対して揺動可能に支承される揺動アームと前記車体フレームとに亘って架設される緩衝器を、前記後輪の左右それぞれに設けてある後一輪車用後輪懸架取付装置であって、
前記緩衝器又は前記緩衝器とは別の代替緩衝器を、側面視で横臥姿勢又は横臥姿勢に近い姿勢で前記後輪の左右それぞれに装着可能とすべく、前記車体フレームに後付装備可能な左右のバネ上具及び前記揺動アームに後付装備可能な左右のバネ下具を有して成り、
前記左バネ上具は、前記緩衝器又は前記代替緩衝器を連結するためのフレーム側連結部を備え、かつ、前記車体フレームに装備されている螺着部を用いて前記車体フレームの左側に取着可能な取付部を有して構成され、
前記右バネ上具は、前記緩衝器又は前記代替緩衝器を連結するためのフレーム側連結部を備え、かつ、前記車体フレームに装備されている螺着部を用いて前記車体フレームの右側に取着可能な取付部を有して構成され、
前記左バネ下具は、前記緩衝器又は前記代替緩衝器を連結するための揺動アーム側連結部を備え、かつ、前記揺動アームにおける左アームに装備されている螺着部を用いて前記左アームに取着可能な取付部を有して構成され、
前記右バネ下具は、前記緩衝器又は前記代替緩衝器を連結するための揺動アーム側連結部を備え、かつ、前記揺動アームにおける右アームに装備されている螺着部を用いて前記右アームに取着可能な取付部を有して構成されている後一輪車用後輪懸架取付装置。
【請求項3】
前記左バネ下具の前記取付部が、前記緩衝器を前記揺動アームに連結すべく前記左アームに装備される支承軸に挿通して螺装するための嵌装孔及び/又はチェンケースを前記揺動アームに取付けるボルトで共締め可能とするための挿通孔で成り、
前記右バネ下具の前記取付部が、前記緩衝器を前記揺動アームに連結すべく前記右アームに装備される支承軸に挿通して螺装するための嵌装孔及び/又はトルクリンクの前端部を前記右アームに支承すべく前記右アームに装備される支持軸部に嵌装するための装着孔である請求項2に記載の後一輪車用後輪懸架取付装置。
【請求項4】
前記左バネ上具の前記取付部が、前記揺動アームを前記車体フレームに支承する支持シャフトで共締め固定するための通し孔又は/及びエンジン懸架ボルトで共締め固定するためのボルト用孔であり、
前記右バネ上具の前記取付部が、前記揺動アームを前記車体フレームに支承する支持シャフトで共締め固定するための通し孔又は/及びエンジン懸架ボルトで共締め固定するためのボルト用孔である請求項1〜3の何れか一項に記載の後一輪車用後輪懸架取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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