説明

循環性の腫瘍細胞および内皮細胞の検出のための血液試験のプロトタイプおよび方法

転移性心血管環境または転移性胎盤環境を模倣する細胞接着マトリックスシステムを使用して、疾患を単離し、そして診断するための方法およびデバイスが開示される。この細胞接着マトリックスは、疾患(例えば、癌、心血管疾患、および胎児性疾患)に罹患した患者の処置における診断用途および治療用途のため、ならびに、転移性疾患、心血管疾患、および胎児性疾患の分子分析における研究用途のための、血液のような流体サンプル由来の標的細胞(例えば、転移性腫瘍細胞、胎児細胞、および内皮前駆細胞)の濃縮を促進する。多重分子分析を用いた、循環性の腫瘍細胞および内皮細胞の濃縮と検出とのための血液試験のプロトタイプおよび方法が、本明細書において記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2003年10月31日出願の米国仮特許出願番号60/516,571(これより、優先権が求められる)の利益を主張する。この仮特許出願は、本明細書において参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、血液または他の組織流体サンプル(例えば、腹水、擦過標本および塗抹標本)由来の標的細胞(例えば、腫瘍細胞、胎児細胞、および血管由来の細胞)を分離するための改善された細胞接着マトリックス(「CAM」)および改善された細胞単離デバイスに関する。より詳細には、本発明は、選択的に細胞(例えば、転移の可能性を有する標的癌細胞および/または浸潤突起(invadopodia)を示す内皮前駆細胞)を単離するために使用され得るCAMシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
(循環性腫瘍細胞(CTC)および癌の検出)
内皮組織の悪性腫瘍は、癌の最も一般的な形態であり、そして癌に関連する死の主な原因である。これらの腫瘍の外科的処置における進歩に起因して、死亡率は、多くの場合初期診断時には隠れている初期転移および再発に関連するようになってきている(非特許文献1;非特許文献2)。例えば、膵臓および他の胃腸(GI)器官の離れた解剖的位置は、隣接する構造を浸潤して1cmより大きな腫瘍へと成長する前に膵臓癌および他のGI癌が検出される可能性を低くしている(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献2;非特許文献9;非特許文献10)。乳癌に関してでさえ、マンモグラフィーによって検出される乳癌の小腫瘍(<1cm)の12〜37%が診断時に転移していた(非特許文献11;非特許文献12)。
【0004】
文献において、循環中に見出される内皮性腫瘍細胞が転移形成の最も初期の徴候を表すこと、および循環性腫瘍細胞(「CTC」)が癌腫の癌進行のための独立した診断法と見なされ得ることを示す証拠が蓄積している(非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献20;非特許文献7;非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献1;非特許文献2)。同様に、血流から癌細胞を単離するための信頼できる手順は、癌の臨床診断用途と治療用途との両方において顕著な影響力を有する(非特許文献1;非特許文献2)。癌を有する患者の循環中における腫瘍細胞の存在を示すための、新規な腫瘍の段階付け(Mi期と称される)が提唱されている。この段階付けは、循環性腫瘍細胞(CTC)を検出し得る血液試験の開発を保証する。癌研究分野において、既存の方法よりも検出感度を(有利には、少なくとも一桁の大きさ)上昇させ得る新規の腫瘍細胞濃縮法が待たれている(非特許文献2)。
【0005】
(循環性内皮前駆細胞、血管新生および心血管の危険)
内皮細胞障害は、アテローム斑発生についての重要な刺激である(非特許文献25)。末梢血、骨髄、および臍帯血の単核細胞画分から単離され得る循環性内皮前駆細胞(「CEC」)は、内皮細胞障害の指標として同定されている(非特許文献26;非特許文献27)。研究室での証拠は、これらの細胞が多くの内皮特異的細胞表面マーカーを発現し、そして多くの内皮の特性を示すことを示唆する。これらの細胞が虚血を有する動物モデルに注入される場合、これらが迅速に新脈管形成部位に取り込まれることが記載されている。
【0006】
パイロット研究において、非特許文献27は、低いCECレベルが心血管の危険因子およびに上腕の反応性と関連することを見出した。十分なCECのない内皮障害が心血管疾患の進行に影響し得ることが示唆されている。この初期研究は、心血管疾患の診断および処置におけるCECの可能性を指摘した。CECは、細胞の循環性プールを提供して脈管形成を促進することによって、内皮修復に寄与し得る(非特許文献28)。したがって、CECは、心血管疾患の危険性の負の予測因子であり得る。したがって、CECのための有効な濃縮方法は、心血管疾患の前診断および管理に非常に有用である。
【0007】
(細胞の異種性および現在の細胞の分離技術)
血中に循環する腫瘍細胞および内皮前駆細胞(細胞の異種性供給源)は、まれである。これらの細胞は、分析のために分離することが困難である可能性がある。癌患者において、血中のCTCまたは剥脱した異常細胞(新生物細胞)の数は、一般的に、非新生物細胞の数と比較して非常に少ない。したがって、慣習的な細胞病理学による剥脱した異常細胞の検出は、多くの場合限りがある。さらに、剥脱した細胞は、しばしば、高度に異種性であり、多くの異なる細胞型から構成されている(興味深いことに、剥脱した細胞において示差的に発現されることが最初に報告されていた多くの遺伝子は、実際は、代わりに非腫瘍細胞によって発現されていたことがわかった)。この異種性の問題と合わせて、各臨床標本中に存在する新生物細胞の頻度は様々であり、ランダムに混合された集団中の示差的な遺伝子発現の定量を偏らせ、そして複雑にする。アポトーシス細胞および新生物細胞は、一般により大きな腫瘍、末梢血および腹水の中にある。これらの細胞は、質の高いRNAを含まず、したがって、分子分析のためには技術的な問題が存在する(非特許文献19)。
【0008】
循環性の腫瘍細胞および内皮細胞のための多くの細胞濃縮法が記載されている。
【0009】
a)顕微解剖は、まれな腫瘍細胞を1つ1つ単離するために使用され得る(非特許文献29)。この方法は、代表的に、いくつかの限界を有する:(1)その後のサンプル処理が複雑であること、(2)細胞生存度が容易に確立できないこと、そして(3)切除されるべき細胞の選択が、主に形態学的基準に基づいており、このことが高頻度に擬陽性結果を生じさせること。
【0010】
b)腫瘍細胞の物理的特徴(例えば、形状、密度および電荷)もまた利用され得る(非特許文献30)。有核血液細胞(成熟赤血球を欠く)において腫瘍細胞を濃縮するための数種の密度勾配遠心分離法が開発されている。密度勾配遠心分離法は、500倍〜1000倍の細胞濃縮を達成し得る。次いで、濃縮された腫瘍細胞は、高感度アッセイ(例えば、免疫細胞化学、および推定腫瘍マーカーもしくは推定内皮マーカー(例えば、前立腺特異的抗原(PSA)mRNAもしくはサイトカイン19mRNA)を増幅するために使用され得る逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR))を用いた分子分析に供され得る(非特許文献31)。しかし、これらの方法は、正常細胞から生存腫瘍細胞を効率的に濃縮しない可能性がある。つまり、500倍〜1000倍の細胞濃縮は、多くの場合、さらなる分子分析に有害な影響を与える大きなバックグラウンドノイズを発生する比較的緩やかな濃縮であることが見出されている。さらに、物理的分離技術に基づく濃縮法は、多くの場合、面倒であり、時間がかかり、そして細胞損傷を引き起こし得る多くの工程(例えば、2〜3回より多くのの遠心)を含む。
【0011】
c)抗体ベースの技術は、より最近に開発されている。免疫親和法は、抗体を物理的担体または蛍光標識に付着させる工程を包含する。次いで、目的の細胞の表面に存在する標的に抗体を結合させた後、所望の細胞型について正もしくは負に濃縮するための分別工程が使用され得る。このような方法は、アフィニティークロマトグラフィー、磁気粒子分離、遠心分離または濾過、およびフローサイトメトリー(蛍光活性化細胞分別(fluorescence activated cell sorting);FACSが挙げられる)を含む。
【0012】
(1)フローサイトメトリーまたは蛍光活性化細胞分別法(「FACS」)は、バックグラウンドの細胞から個々の細胞を1つ1つ検出および分離する。モデル実験においては、この方法は、密度勾配遠心分離によって末梢血から濃縮された単核細胞画分から乳癌細胞(非特許文献32)および内皮前駆細胞(非特許文献27)を検出し得る。さらに、FACSは、抗体被覆磁気マイクロビーズを用いた濃縮工程の後、天然に存在する血中の乳房の腫瘍細胞および前立腺腫瘍細胞を検出し得る(非特許文献1;非特許文献13)。しかし、クラスターおよび集団中に存在する細胞はFACSプロセスの間に廃棄され、そしていくつか(例えば、卵巣癌)の場合、ほとんどの細胞は、凝集体として存在し、このことは、FACSのCTCまたはCEC検出を非常に非効率的にしている。
【0013】
(2)抗体被覆マイクロビーズに基づくアプローチは、磁場(非特許文献1)、カラムクロマトグラフィー、遠心分離、濾過もしくはFACSを使用して分離を達成し得る。その大きな濃縮力にもかかわらず、抗体ベースの細胞分離法に関連する内在的な限界がやはり存在する。最も重大な限界は、癌細胞が、通常、種々の程度で推定腫瘍特異的抗原を発現し(非特許文献33)、したがって、収集の間に、多くの、ランダムでない可能性のあるサブセットの腫瘍細胞を失いやすいことである。抗体はまた、損傷細胞に対して強い非特異的親和性で結合する傾向があり、これらの細胞の、目的の細胞との同時精製を引き起こす。全体として、このような抗体ベースの細胞分離法は、望ましい偽陰性率よりも高い偽陰性率を有する。現行の抗体で開始される(antibody−initiated)磁気分離法は、乳癌および前立腺癌を有する患者から、より低レベル(すなわち、1〜100 CTC/血液1mL)でCTCを検出し(非特許文献1)、または心血管疾患の危険性を有する個体の50 CEC/血液1mL未満を検出した(非特許文献27;非特許文献13)。血液1ミリリットル(mL)または1gには、およそ5×10個の赤血球および5×10個の有核白血球が存在する。したがって、1mLの血液から数千の癌細胞および内皮細胞の存在を検出することは、なおやりがいのある課題である(非特許文献34)。
【0014】
過去20年にわたって、腫瘍細胞の原発性腫瘍から転移部位への移動を促進する、浸潤性腫瘍細胞の表面上に見出される特異化された複合体が特徴付けられている(非特許文献35;非特許文献36;非特許文献37;非特許文献38;非特許文献39;非特許文献40;非特許文献41;非特許文献42;非特許文献43;非特許文献44;非特許文献45;非特許文献46;非特許文献47;非特許文献48;非特許文献49;非特許文献50;非特許文献51;非特許文献52;非特許文献53;非特許文献54;非特許文献55;非特許文献56;非特許文献57;非特許文献58;非特許文献59)。これらの複合体は、「浸潤突起(invadopodia)」と称されているが、内皮細胞マトリックス(ECM)成分の複数の型に結合し、そして分解する。浸潤突起は、分化した正常血液細胞上または原発性腫瘍細胞上には見出されず、そしてこれらは、死細胞または死にゆく細胞上では有効に機能しない。浸潤突起は、循環性の内皮前駆細胞中(しかし、血液細胞の99.999%より多くはそうではない)、および妊娠雌の母性血液に見出される胎児細胞中に存在する。本発明は、浸潤突起機能に基づく濃縮工程が、腹水、血液および多くの他の体液中に見出される大部分の細胞型から生存転移性腫瘍細胞および内皮細胞を分離するために強力に働くこと、ならびに上記の他の技術の限界を解決することを認めた。
【非特許文献1】Racila,E.,Euhus,D.,Weiss,A.J.,Rao,C.,McConnell,J.,Terstappen,L.W.,およびUhr,J.W.「Detection and characterization of carcinoma cells in the blood」、1998年、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 95,45894594
【非特許文献2】Pantel,K.,Cote,RJ.,およびFodstad,O.「Detection and clinical importance of micrometastatic disease」、1999年、J.Natl.Cancer Inst.91,1113−1124
【非特許文献3】Compton,C.C.「Colorectal Carcinoma:Diagnostic,Prognostic,and Molecular Features」、2003年、Mod Pathol 16,376
【非特許文献4】Flatmnark,K.,Bjornland,K.,Johannessen,H.O.,Hegstad,E.,Rosales,R,Harklau,L.,Solhaug,J.H.,Faye,R S.,Soreide,O.,およびFodstad,O.「Immunomagnetic Detection of Micrometastatic Cells in Bone Marrow of Colorectal Cancer Patients」、2002年、Clinical Cancer Research 8,444−449
【非特許文献5】Koch,M.,Weitz,J.,Kienle,P.,Benner,X,Willeke,F.,Lebnert,T.,Herfarth,C.,およびKnebel Doeberitz,M.「Comparative Analysis of Tumor Cell Dissemination in Mesenteric,Central,and Peripheral Venous Blood in Patients With Colorectal Cancer」、2001年、Arch Suing 136,85
【非特許文献6】Liefers,G.J.,Cleton−Jansen,A.M.,van de Velde,C.J.,Hermans,J.,van Krieken,J.H.,Comeisse,C.J.,およびTollenaar,RA.「Micrometastases and survival in stage II colorectal cancer」、1998年、N.Engl.J Med.339,223−228
【非特許文献7】Matsunami,K,Nakamura,T.,Oguma,H.,Kitamura,Y.,およびTakasaki,K.「Detection of Bone Marrow Micrometastasis in Gastric Cancer Patients byImmunomagnetic Separation」、2003年、Ann Suing Oncol 10,171
【非特許文献8】Nomoto,S.,Nakao,A.,Ando,N.,Takeda,S.,Kasai,Y.,Inoue,S.,Kaneko,T.,およびTakagi,H.「Clinical application of K−ras oncogene mutations in pancreatic carcinoma:detection of micrometasases」、1998年、Seminars in Surgical Oncology 15,40−46
【非特許文献9】Walsh,J.M.E.およびTerdiman,J.P.「Colorectal Cancer Screening:Clinical Applications」、2003年、JAMA:The Journal of the American Medical Association 289,1297
【非特許文献10】Weihrauch,M.R「Immunomagnetic Enrichment and Detection of Micrometastases in Colorectal Cancer:Correlation With Established Clinical Parameters」[報告]、2002年、J.Chin.Oncol.20,4338−4343
【非特許文献11】Chadha M,Chabon AB,Friedmann P,およびVikram B「Predictors of axillary lymph node metastases in patients with TI breast cancer.Amultivariate analysis」、1994年、Cancer 73,350−353
【非特許文献12】Wilhelm MC,Edge SB,Cole DD,deParedes E,およびFrierson HF Jr.「Nonpalpable invasive breast cancer」、1991年、Am Surg.213,600−603
【非特許文献13】Beitsch,P.D.およびClifford,E.「Detection of carcinoma cells in the blood of breast cencer patients」、2000年、American Journal of Surgery 180,446−448
【非特許文献14】Brandt,B.H.Scbmidt,H,de Angelis,G.およびZanker,K.S.「Predictive laboratory diagnostics in oncology utilizing blood−borne cancer cells−−current best practice and unmet needs」、2001年、Cancer Letters 162 Supp,S11−16
【非特許文献15】Feezor,R.J.,Copeland,E.M.,III,およびHochwald,S.N.「Significance of Micrometastases in Colorectal Cancer」、2002年、Ann Surg Oncol 9,944−953
【非特許文献16】Fehm,T.,Sagalowsky,A.,Clifford,E.,Beitsch,P.,Saboorian,H.,Euhus,D.,Meng,S.,Morrison,L.,Tucker,T.,Lane,N.,Ghadimi,B.M.,Hesehneyer−Haddad,K.,Ried,T.,Rao,C.,およびUbr,J.「Cytogenetic Evidence That Circulating Epithelial Cells in Patients with Carcinoma Are Malignant」、2002年、Clinical Cancer Research 8,2073
【非特許文献17】Ghossein,RA.,Bhattacharya,S.,およびRosai,J.「Molecular detection of micrometastases and circulating tumor cells in solid tumors」、1999年、Chin Cancer Res 5,1950−1960
【非特許文献18】Glaves,D.「Correlation between circulating cancer cells and incidence of metastases」、1983年、British Journal of Cancer 48,665−673
【非特許文献19】Karczewski,D.M.,Lema,M.J.,およびGiaves,D.「The efficiency of an autotransfusion system for tumor cell removal from blood salvaged during cancer surgery」、1994年、Anesthesia & Analgesia 78,1131−1135
【非特許文献20】Luzzi,K.J.,MacDonaid,I.C.,Schinidt,E.E.,Kerkvliet,N.,Morris,VL,Chambers,A.F.,およびGroom,A.C.「Multistep nature of metastatic inefficiency:dormancy of solitary cells after successful extravasation and limited survival of early micrometastases」、1998年、Am J Pathol 153,865−873
【非特許文献21】Molnar,B.,Ladanyi,A.,Tanko,L.,Sreter,L.,およびTulassay,Z.「Circulating Tumor Cell Clusters in the Peripheral Blood of Colorectal Cancer Patients」、2001年、Clinical Cancer Research 7,4080
【非特許文献22】Wang,Z.P.,Eisenberger,MA,Carducci,MA,Partin,A.W.,Scher,Hi,およびTs’o,P.O.「Identification and characterization of circulating prostate carcinoma cells」、2000年、Cancer 88,2787−2795
【非特許文献23】Weitz,J.,Kienle,P.,Magener,A.,Koch,M.,Schrodel,A.,Willeke,F.,Autschbach,F.,Lacroix,J.,Lehnert,T.,Herfarth,C.,およびDoeberitz,M.v.K.「Detection of Disseminated Colorectal Cancer Cells in Lymph Nodes,Blood and Bone Marrow」、1999年、Clinical Cancer Research 5,1830
【非特許文献24】Wharton,R.Q.,Jonas,S.K.,Glover,C.,Khan,Z.A.J.,Klokouzas,A.,Quinn,H.,Henry,M.,およびAllenMersh,T.G.「Increased Detection of Circulating Tumor Cells in the Blood of Colorectal Carcinoma Patients Using Two Reverse Transcription−PCR Assays and Multiple Blood Samples」、1999年、Clinical Cancer Research 5,4158
【非特許文献25】Ross,R.「The pathogenesis of atherosclerosis:a perspective for the 1990s」、1993年、Nature 362,80 1−809
【非特許文献26】Asahara,T.,Murohara,T.,Sullivan,A.,Silver,M.,Van der Zee,R,Li,T.,Witzenbichler,B.,Schatteman, G.,およびIsner,J.M.「Isolation of putative progenitor endothelial cells for angiogenesis」、1997年、Science 275, 964−967
【非特許文献27】Hill,J.M.,Zalos,G.,Halcox,J.P.J.,Schenke,W.H.,Waclawiw,M.A.,Quyyumi,A.A.,およびFinkel,T.「Circulating Endothehial Progenitor Cells,Vascular Function,and Cardiovascular Risk」、2003年、N Engl J Med 348,593−600
【非特許文献28】Szmitko,P.E.,Fedak,P.W.M.,Weisel,RD.,Stewart,D.J.,Kutryk,M.J.B.,およびVerma,S.「Endothelial Progenitor Cells: New Hope for a Broken Heart」、2003年、Circulation 107,3093−3100.
【非特許文献29】Suarez−Quian,C.A.,Goldstein,S.R.,Pohida,T.,Smith,P.D.,Peterson,J.l.,Welluer,E,Ghany,M.,およびBonner,RF.「Laser capture microdissection of single cells from complex tissues」、1999年、BioTechniques 26,328−335
【非特許文献30】Vona,G.,Sabile,X,Louha,M.,Sitruk,V.,Romana,S.,Schutze,K.,Capron,F.,Franco,D.,Pazzagli,M.,Vekemans,M.,Lacour,B.,Brechot,C.,およびPaterlini−Brechot,P.「Isolation by Size of Epithelial Tumor Cells:A New Method for the Immunomorphological and Molecular Characterization of Circulating Tumor Cells」、2000年、Am J Pathol 156,57−63
【非特許文献31】Peck,K.,Sher,Y.P.,Shih,J.Y.,Roffier,S.R,Wu,C.W.,およびYang,P.C.「Detection and quantitation of circulating cancer cells in the peripheral blood of lung cancer patients」、1998年、Cancer Res.58,2761−2765
【非特許文献32】Gross,H.,Verwer,B.,Houck,D.,Hoffinan,RA.,およびRecktenwald,D.「Model Study Detecting Breast Cancer Cells in Peripheral Blood Mononuclear Cells at Frequencies as Low as 10−7」、1995年、PNAS 92,537−541
【非特許文献33】Sabile,A.,Louha,M.,Bonte,E.,Poussin,K.,Vona,G.,Mejean,A.,Chretien,Y.,Bougas,L.,Lacour,B.,Capron,F.,Roseto,A.,Brechot,C.,およびPaterlini−Binechot,P.「Efficiency of Ber−EP4 antibody for isolating circulating epithelial tumor cells before RT−PCR detection」、1999年、American Journal of Clinical Pathology 112,171−178
【非特許文献34】Gulati,S.C.およびAcaba,L.「Rationale for purging inautologous stem cell transplantation」[概説][参考17]、1993年、Joumal of Hematotherapy 2,467−471
【非特許文献35】Aoyama,A.およびChen,W.−T.「A 170−kDa membrane−bound protease is associated with the expression of invasiveness by human malignant melanoma cells」、1990年、Proc.Nati.Acad.Sci.U.S.A.87,8296−8300
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【非特許文献37】Chen,W.T.,Yeh,Y.,およびNakahara,H.「An in vitro cell invasion assay:determination of cell surface proteolytic activity that degrades extracellular matrix」、1994年、J.Tiss.Cult.Meth.16,177−181
【非特許文献38】Chen,W.T.,Olden,K−,Bernard,B.A.,およびChu,F.F.「Expression of transformation−associated protease(s)that degrade fibronectin at cell contact sites」、1984年、J.Cell Biol 98,1546−1555
【非特許文献39】Chen,W.T.,Lee,C.C.,(ioldstein,L.,Bemier,S.,Liu,C.H.,Lin,C.Y.,Yeh,Y.,Monsky,W.L.,Kelly,T.,Dai,M.,およびMueller,S.C.「Membrane proteases as potential diagnostic and therapeutic targets for breast malignancy」、1994年、Breast Cancer Res.Treat.31,217−226
【非特許文献40】Chen,W.T.「Proteases associated with invadopodia,and their role in degradation of extracellular matrix」、1996年、Enzyme Protein 49,59−71
【非特許文献41】Chen,W.T.「Proteolytic activity of specialized surface protrusions formed at rosette contact sites of transformed cells」、1989年、J.Exp.Zool.251,167−185
【非特許文献42】Chen,W.T.およびWang,J.Y.(1999).「Specialized surface protrusions of invasive cells,invadopodia and lamelhipodia,have differential MTI−MMP,MMP−2,and TIMP−2 localization」[概説][参考52]、1999年、Annals of the New York Academy of Sciences878,361−371
【非特許文献43】Ghersi,G.,Dong,H.,Goldstein,L.A.,Yeh,Y.,Hakkinen,L.,Larjava,H.S.,およびChen,W.T.「Regulation of fibroblast migration on collagenous matrix by a cell surface peptidase complex」、2002年、J.Biol.Chem.277,29231−29241
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【非特許文献46】Kelly,T.,Mueller,S.C.,Yeh,Y.,および Chen,W.T.「Invadopodia promote proteolysis of a wide variety ofextracellular matrix proteins」、1994年、J.Cell Physiol.158,299−308
【非特許文献47】Monsky,W.L.,Lin,C.−Y.,Aoyama,N,Kelly,T.,Mueller,S.C.,Akiyama,S.K,およびChen,W.−T.「A potential marker protease of invasiveness,seprase,is localized on invadopodia of human malignant melanoma cells」、1994年、Cancer Res.54,5702−5710
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【非特許文献54】Nakahara,H.,Howard,L.,Thompson,E.W.,Sato,H.,Seiki,M.,Yeh,Y.,およびChen,W.T.「Transniembrane/cytoplasmic domain−mediated membrane type 1−matrix metalloprotease docking to invadopodia is required for cell invasion」、1997年、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94,7959−7964.
【非特許文献55】Pavlaki,M.,Cao,J.,Hymowitz,M.,Chen,W.T.,Bahou,W.,およびZucker,S.「A Conserved Sequence within the Propeptide Domain of Membrane Type 1 Matrix Metalloproteinase Is Critical for Function as an Intramolecular Chaperone」、2002年、Journal of Biological Chemistry 277,2740−2749
【非特許文献56】Pineiro−Sanchez,M.L.,Goldstein,L.A.,Dodt,J.,Howard,L.,Yeh,Y.,Tran,H.,Argraves,W.S.,およびChen,W.T.(1997).「Identification of the 170−kDa melanoma membrane−bound gelatinase(seprase)as a seine integral membrane protease」、1997年、J.Biol.Chem.272,7595−7601;修正1998年、J.Biol.Chem.273,13366
【非特許文献57】Saga,S.,Chen,W.T.,およびYamada,K.M.「Enhanced fibronectin receptor expression in Rous sarcoma virus−induced tumors」、1988年、Cancer.Res.48,5510−5513
【非特許文献58】Zucker,S.,Cao,J.,およびChen,W.T.「Critical appraisal of the use of matrix metalloproteinase inhibitors in cancer treatment」、2000年、Oncogene 19,6642−6650
【非特許文献59】Zukowska−Grojec,Z.,Karwatowska,P.,Rose,W.,Rone,J.,Movafagh,S.,Ji,H.,Yeh,Y.,Chen,W.−T.,Kleinman,H.K.,Grouzrnann,E.,およびGrant,D.S.「Neuropeptide Y:a novel angiogenic factor from the sympathetic nerves and endothelium」、1998年、Circ.Res.83,187−195
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
一実施形態において、疾患のスクリーニング、診断、評価、予後判定および管理に使用するために、血液サンプルまたは他の流体サンプル中の特定の生存標的細胞を単離するためのCAMが提供される。
【0016】
本発明のCAMは、CTCおよびCECを含む標的細胞の接着を効果的に促進するために、コア材料の周りに細胞接着材料を利用する。有用な細胞接着材料としては、血液由来接着化合物が挙げられ、そしてフィブロネクチン、フィブリン、ヘパリン、ラミニン、テネイシンもしくはビトロネクチン、および合成化合物(例えば、合成フィブロネクチンおよびラミニンペプチド)、細胞外化合物またはそれらのフラグメント、それらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。CAMにおける有用な細胞接着材料は、単独で、または他の材料と組み合わせて、マトリックスのコア材料を効果的に被覆する能力を有するべきである。このコアは、好ましくは、化学的に非反応性の材料(例えば、ゼラチン粒子、骨フラグメント、コラーゲン、ガラスビーズ、不活性ポリマー材料(例えば、磁性コロイド、ポリスチレン、ナイロンのようなポリアミド材料、ポリエステル材料、セルロースエーテルおよびエーテル様セルロースアセテート)、ウレタンDEAE−デキストラン、ならびに他の天然および合成材料(例えば、発泡粒子、綿、羊毛、ダクロン、レーヨン、アクリレートなど)が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。CAMは、例えば、約1.0〜1.5mm厚の被覆を形成するように適用され得る。
【0017】
例えば、CAMは、ゼラチン粒子、またはI型コラーゲン溶液で被覆され、次にフィルムを形成するように重合されるガラスビースコア材料を含み得る。このような多孔性のコラーゲン被覆されたビーズを含むフィルムは、次いで、サンプル(CTCおよびCECのような標的細胞の接着を促進する1種以上の接着成分を含有する血清または全血)に暴露され得る。CTCおよびCECのような細胞の接着を促進する血液由来接着材料は、例えば、基底膜成分(例えば、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、ヘパリン、およびビトロネクチン、これらのフラグメント、これらの組み合わせ、またはこれらの成分の生物学的模倣物、ならびに溢出もしくは内皮障害において見られるようなこれらの修飾バージョン)を含み得、そして天然の供給源からの精製によって調製され得るか、または人工的手段によって合成され得る。CAMは、高度な感度および特異性でやはり標的細胞を認識して結合する、特異的リガンドをさらに含み得る。
【0018】
CAMフィルムは、血液または体液中に存在するような血液由来細胞接着分子、および結合物質で覆われたマイクロビーズ(例えば、I型コラーゲンで被覆されたゼラチンマイクロビーズもしくはガラスマイクロビーズ)を備え得る。例えば、マイクロビーズは、00ミクロン〜2,000ミクロンの範囲の直径を有する脱水ゼラチン粒子またはガラスビーズを包含する(しかし、これらに限定されない)。一実施形態において、このマイクロビーズは、フィルム中での血流を可能にするような吻合チャネルを作製するように構成されるか、またはそうするような形状および大きさである。
【0019】
標的細胞がCTCおよびCECである実施形態において、本発明のCAMフィルムは、好ましくは、この標的細胞(CTCおよびCEC)に対する親和性および特異性を有し、他の細胞(例えば、造血細胞の小分画)に対する親和性は最低限である。CAMフィルムは、動静脈吻合の血管壁、または転移もしくは心血管プラーク位置においてその部位を模倣するように設計され得る。ここで、細胞外マトリックス(ECM)成分(コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、フィブリン、ヘパリン、テナシンおよびビトロネクチンなどが挙げられる)は、溢出または内皮障害のプロセスの間に修飾される。本質的に、CAM組成物およびCAMアッセイ表面構造は、本明細書において提示された情報を用いて設計されて、細胞の微小環境の模倣を向上させ得、それによってより大きな最大数の生存標的細胞(例えば、CTCおよびCEC)が全血から回収されることを可能にする。本発明の方法によって単離された標的細胞(例えば、CTCおよびCECが挙げられる)は、代表的に生存可能であり、エキソビボで増殖を示し得、そして細胞外マトリックス成分(ECM)に対する接着活性を示し得る。血液から単離されたCTCおよびCECは、CTCおよびCECの発現プロフィールを確立するために使用され得る。
【0020】
本開示のCAMは、例えば、癌の検出、診断、および管理において使用され得る。CAMは、高い親和性および特異性で生存癌細胞を認識し、それに結合するために使用され得る。そしてそれゆえに、このマトリックスは、流体サンプル(例えば、癌に罹患する患者から得られた血液サンプルおよび/もしくは腹水流体)から癌細胞を単離するために使用され得る。CAMは、診断のために患者のサンプルから転移性癌細胞を捕獲し、そして癌に苦しむような患者において疾患をモニタリングするために使用され得る。CAMは、あらゆる型の癌(例えば、卵巣癌、肺癌(例えば、非小細胞性肺癌および小細胞性肺癌)、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、黒色腫、肝臓癌、胃癌、頸部の癌、副腎の癌、直腸癌、甲状腺癌、および結腸直腸癌のような腺癌)由来の生存する循環性転移性腫瘍細胞を検出および単離するために使用され得る。
【0021】
あるいは、このマトリックスは、患者における心血管疾患の検出、診断、および管理のために血液サンプル中における内皮細胞を捕獲するために使用され得る。CAMは、心身血管疾患を有する患者から採られた血液がマトリックスと接触する場合に、血液サンプル中に存在する生存内皮細胞と高い親和性および選択性で結合する能力を有する。種々の発生段階にある内皮細胞(前駆内皮細胞を含む)が、心血管疾患(例えば、この疾患に苦しむ患者における脈管形成)の診断に使用され得る。
【0022】
本発明はまた、本発明のCAMを利用して血液のような流体サンプルから標的細胞を単離する、細胞単離デバイスを提供する。このようなデバイスは、例えば、標的細胞の効率的な濃縮および同定を可能にする「内皮細胞トラップ」を提供し得る。ここで、この標的細胞は、例えば、癌および/または心血管疾患の危険性を有する被験体の末梢血中の生存内皮前駆細胞である。CAM開始(CAM−initiated)細胞単離デバイスが設計されて、血液から、生存する循環性腫瘍細胞と循環性内皮細胞との100万倍の濃縮を提供し得る。
【0023】
別の実施形態において、CAMは、妊娠雌の母体循環に存在する胎児細胞のような標的細胞を捕獲および単離するために使用され得る。次いで、CAMに接着している単離された細胞は、標準的手順を用いた、ダウン症候群、マルファン症候群、テイサックス病および他の疾患のような疾患の出生前診断における分析のために使用され得る。胎児細胞は血液サンプルから直接単離され得、妊婦を侵襲する手順が不要であるので、本発明のマトリックスを用いた胎児細胞の単離は、疾患の出生前診断のためのより安全な方法を可能にする。本発明のこの実施形態および他の実施形態において、CAMは、細胞単離の標準的技術を用いた血液サンプル中での分析のために通常利用可能な細胞数を、豊富にし、そして増加させる。
【0024】
本開示を用いて、CAMによる細胞濃縮は、以下の特徴の1つ以上を有するように設計され得る:(a)疾患の診断のために必要な標的細胞に対する、高度な感度および特異性での、全血からの生存標的細胞(CTCおよびCECを含む)の100万倍濃縮;(b)例えば、CTCおよびCECを含む標的細胞の、細胞の大きさおよび濃度の、他の正常血液および正常組織細胞からの機能および形態による同時判別;(c)全血は、出発サンプルとして、または一般的濃度勾配遠心分離によって調製された細胞分画として使用され得る。CAM細胞濃縮は、単一工程プロセスであっても複数工程プロセスであってもよい。
【0025】
単核細胞集団からの生存標的細胞(CTCおよびCECを含む)の効率的な捕獲を可能にする、CAM開始細胞単離デバイスが、さらに開示される。同時係属中のPCT特許出願PCT/US01/26735(これは、米国仮特許出願番号60/231,517の優先権を主張しており、その開示は、その全体が、本明細書において参考として援用される)において考察されるように、標的細胞は、心血管疾患または癌のような疾患に苦しむ被験体に由来する血液または組織流体サンプルから分画される。このようなデバイスは、例えば、好ましくは容器表面(例えば、チューブの内部底面、スライドの表面もしくはペトリ皿の内部底面、しかしこれらに限定されない)に固定されたCAM被覆を備え得る。CAM開始細胞単離容器のマトリックス被覆された表面は、好ましくは、サンプルが容器中におかれる場合、サンプルに関して接触を最大にするように設計される。CAM開始細胞単離デバイスは、種々の既存の利用可能な実験室診断用容器(例えば、細胞培養チャンバースライド、培養用マイクロタイタープレート、培養フラスコなど)を利用し得る。
【0026】
CAM開始細胞単離デバイスは、細胞とCAMとの間の接触を高め、それによって(例えば、生存CTCおよびCECの)より効率的な濃縮を促進するために、血流をより最適に模倣するために回転され得る。
【0027】
同時係属中のPCT特許出願PCT/US01/26735(これは、米国仮特許出願番号60/231,517の優先権を主張する)に記載されるよりも効率的にCTCを含む生存標的細胞を、例えばCTC関連疾患に罹患する被験体の末梢血から取り除く、CAM開始細胞単離デバイスが、本開示に基づいて構築され得る。
【0028】
腫瘍細胞を濃縮するための上記方法およびCAMフィルムはまた、採取された自己血および自己骨髄に対する負の濾過(negative filtration)工程として、癌細胞を取除くために容易に使用され得る。本開示のCAM開始血液濾過デバイスは、例えば、自己輸血が行われる、癌手術の間に回収された血液の自動輸血、骨髄移植、末梢血幹細胞移植およびアフェレーシス(aphaeresis)に関して、混入している癌細胞を除去するために利用され得る。さらに、記載されたCAM開始血液濾過ユニットは、循環から転移し得る細胞を除去することによって完全な癌の発生を防ぐために使用され得る。
【0029】
CAM開始血液濾過は、同様に、癌患者における積極的骨髄化学療法(照射)後の置換のために意図された、癌を含まない自己骨髄細胞の調製に利用され得る。癌性細胞の検出は、分子増幅技術によって改善され得、そしてCAMで濃縮された細胞は、(例えば、被験体からのCTCおよびCECに対して特異的であるような)多重分子分析(例えば、DNA、タンパク質に関する試験および免疫学的試験)において使用され得る。
【0030】
CAMで濃縮された細胞およびそれらのDNA、RNA、タンパク質または抗原は、癌診断目的の多重検出アッセイに適用され得る。多重CTC検出アッセイに使用される細胞マーカーとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CTC侵襲性表現型[細胞によるコラーゲン摂取およびアセチルLDL取り込み]、内皮抗原[サイトカイン、内皮特異性抗原(EpCAM、HEA、Muc−1、EMA、GA733−1、GA733−2、E−カドへリン、EGFR、TAGl2、リポカリン(lipocalin)2(癌遺伝子24p3)]、内皮抗原[CD31/PECAM1、フォン・ヴィレブランド(van Willebrand)因子(vWF)、Flt−1(VEGFのレセプター)、VE−カドへリン]、および他の腫瘍関連抗原[癌胎児性抗原(CEA)、上皮増殖因子レセプター(EGFR)、ヒトカリクレイン−2(HK2)、ムチン(MUC)、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PMA)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの13サブユニット(13−hCG)などが挙げられるが、これらに限定されない]。マーカーは、個別に、または組み合わせて適用されて、被験体由来の所与の体積の血液もしくは体液中の生存腫瘍細胞の有効な同定および算出を達成し得る。データ読み出しの方法としては、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、酵素結合イムノソルベント検定(ELISA)、および定量リアルタイムRT−PCRなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
CAMで濃縮されたCTC細胞は、癌についての遺伝的試験のための供給源を提供する。CTC細胞において一般的に試験される遺伝子の構造および機能の変化としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。癌遺伝子(例えば、ERBB2、RAS、MYC、BCL2など)、腫瘍抑制遺伝子(例えば、p53、APC、BR CA]、BRCA2、CDKN2A、CCND1、CDC2SA、CDC25B、KIP]、RB]など)、腫瘍の進行に関連する遺伝子[例えば、癌胎児性抗原(CEA)、上皮増殖因子(EGFR)、ヒトカリクレイン−2(HK2)、ムチン(MUG)、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PMA)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの13サブユニット(13−hCG)など]、および転移カスケードに関連する遺伝子[例えば、ヌクレオシド二リン酸キナーゼ(細胞移動)のnm23ファミリー(HJ−6)、PTEN/MMAC](細胞移動および局所性接着)、CADJ/E−カドへリン(細胞−細胞接着)、MKK4/SEKi(ストレスに対する細胞応答)、KiSS−i(MIIMLP9発現の調節)、BR/VISi(細胞運動性)など]。例えば、異数性およびCKi9、ERB2、CEA、MUG]、EGFレセプター、J3−hCGの変化は、乳癌の診断に有用である;肺癌についてのpS3、Ki−ras変異体 CDKN2A、LOH 3p、FHIP;結腸直腸癌、胃癌、および膵臓癌についてのp53、APC、CEA、CKi9、CK20、ERBB2、Ki−ras;前立腺癌についてのPSA、PSM、HK2;頭部および頸部の癌についてのp53変異体およびマイクロサテライト変化。遺伝子マーカーは、個別にかまたは組み合わせて適用されて、被験体における遺伝的変化の有用な検出を達成し得る。データ読み出しのための方法としては、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、傾向もしくは色素ベースのポリメラーゼ連鎖反応リーダーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
CAMで濃縮された、特定の腫瘍について現在公知であるCEC細胞およびそれらのDNA、RNA、タンパク質または抗原はまた、心血管疾患の危険性を有する被験体を検出するための多重CEC検出アッセイに適用され得る。多重CECアッセイに使用される細胞マーカーとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CEC機能表現型[細胞によるアセチルLDL取り込み]および内皮抗原[CD31/PECAM−1、フォン・ヴィレブランド(van Willebrand)因子(vWF)、Flk−1(VEGFについてのレセプター)、VE−カドへリン]。これらのマーカーは、個別にかまたは組み合わせて適用されて、被験体由来の所与の体積の血液もしくは体液中の生存内皮細胞の有効な同定および算出を達成し得る。データ読み出しの方法としては、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、酵素結合イムノソルベント検定(ELISA)、および定量リアルタイムRT−PCRなどが挙げられるが、これらに限定されない。CAMで濃縮されたCEC細胞は、被験体の遺伝的な試験のための供給源をさらに提供し得る。つまり、被験体の遺伝子の構造および機能の変化は、CAMにより濃縮されたCTC細胞を用いて遺伝的に試験され得る。遺伝的マーカーは、個別にかまたは組み合わせて適用されて、被験体の遺伝的変化の有効な検出を達成し得る。
【0033】
一実施形態において、CAM上に捕獲された生存細胞は、適切なコア材料および細胞接着被覆を選択することによって、消化酵素(コラゲナーゼ、トリプシン/EDTA溶液(GIBCOから購入される)、およびヒアルロナーゼが挙げられるが、これらに限定されない)の使用によってデバイス表面から容易に放出され得る。例えば、細胞接着分子とCAMフィルムのコラーゲンもしくはゼラチンが、消化に感受性であり得る。細胞とマトリックスとの間の結合を切断する酵素は、生存細胞をCAMから懸濁液中に放出させる。例えば、I型コラーゲンが細胞接着分子を支持する骨格である場合、CAMで捕獲された細胞は、コラゲナーゼを用いて懸濁液中に効率的に放出され得る。
【0034】
本発明の検出方法は、癌診断目的(例えば、初期検出)、治療反応および外科的反応のモニタリング、ならびに癌進行の予後判定のために使用され得る。CAMで濃縮されたCTCは、例えば、腫瘍細胞を単離する現行の外科的方法を使用するよりも早く癌を検出し、治療反応および外科的反応をモニタリングし、癌の病期決定を改善し、そして患者の腫瘍の転移の可能性を決定するために使用され得る。これらの用途は、被験体の遺伝的変化を決定する工程、循環性腫瘍細胞の組織起源を検証する工程、癌の型の分子マーカーを測定する工程、そして腫瘍の細胞障害性白血球の数もしくは補体の結合における減少の程度を決定する工程のような、当業者に公知のさらなる多重分子アッセイを用いてさらに増強され得る。
【0035】
予後判定および治療有効性がまた、本発明の検出アッセイによって判定され得る。例えば、治療的介入の間およびその後の生存CTCの数が、治療有効性を確認するために使用され得る。CAMで濃縮されたCTC、および関連する抗腫瘍宿主免疫は、顕微鏡画像およびフローサイトメトリーと併せて検出され、定量化され得る。化学治療レジメンの選択は、最も効率よく、過度の副作用なしに、血液サンプル中の生存CTCの数を減少させるこれらのレジメンを決定することによって最適化され得る。化学治療レジメンの最適化はまた、CAMで濃縮されたCTCを一連のエキソビボの化学治療レジメンに供することによって行われ得る。次いで、有効な用量または薬物の組み合わせが同じ患者に投与され得る。生存CTCの数は、この化合物もしくは薬剤の投与前および投与後に決定され得る。投与後に生存CTCの数を顕著に減少させる化合物もしくは薬剤が、見込みある抗癌剤として選択され得る。効力を示す薬剤は、CTCの数を減少させ得るもの、細胞障害性白血球および補体系(宿主免疫)の数を増加させ得るもの、ならびに腫瘍細胞増殖を抑制し得るものである。
【0036】
本発明の検出方法はまた、新規化合物または新規薬剤が抗心血管疾患活性または他の活性を有するか否かを検出するために使用され得る。
【0037】
同時係属中のPCT特許出願PCT/US01/26735に記載されるように、腫瘍に対する宿主免疫の存在に起因して、ほとんどのCTCが循環中で死んでいるかアポトーシス状態であることに注意すべきである。CTCおよび腫瘍関連細胞障害性白血球の生存率、ならびに個々のドナーに由来する自己補体系に関する測定は、腫瘍に対する宿主免疫を決定する有効な手段を組み立てる。被験体は、CAMによって濃縮された生存CTCの数が、自己血漿の非存在下では高いが自己血漿の存在下では低い場合、抗腫瘍免疫を有するとみなされ得る。一方、抗腫瘍免疫を失った被験体は、免疫による殺傷に抵抗する免疫自己血漿の存在下および非存在下で、高レベルの生存CTCを有する。
【0038】
癌患者の血液からCAMによって濃縮された生存CTCはまた、抗腫瘍ワクチン開発のため、樹状細胞との融合に使用され得る。例えば、異なる癌を有する個々の患者からのCTCは、エキソビボの培養および増殖に供され得、そしてこれらの細胞は、全体で、または特異的膜構造および特異的抗原に対して精製されて、有効な抗腫瘍ワクチン開発のために樹状細胞と相互作用させるために使用され得る。
【0039】
癌患者の血液からCAM法によって濃縮された細胞障害性リンパ球は、それ自身価値がある可能性がある:非腫瘍関連リンパ球と比較したそれらの遺伝子発現プロフィールの慎重な比較は、転移性腫瘍細胞に対して起こされている進行中の免疫応答および炎症の型に関する価値ある情報をもたらし得る。さらに、別の価値ある治療アプローチは、インビトロで、例えばIL−2を用いて、これらの細胞を増殖させ、これらを患者に再導入して、患者の抗腫瘍免疫応答を増強するためのものであり得る。このアプローチは、黒色腫および他の腫瘍の管理において劇的な有用性を有し得る。
【0040】
本発明の実施形態は、診断目的および治療目的の両方に関して、例えば転移性CTCの小分画を、患者の体内の多数の他の循環性細胞から分離する能力を提供することに有用である。
【0041】
本発明の実施形態は:(1)生存標的細胞(例えば、腫瘍細胞および内皮細胞)を特異的に単離し、しかし無関係な細胞もしくは損傷した細胞をそのまま残すことができ;(2)全血中の500万個を超える細胞から100個を超える標的細胞(例えば、腫瘍細胞および内皮細胞)の濃縮を達成することができ;(3)正常血液細胞から、標的細胞を同じアッセイ形式で容易に同定(「癌細胞」または「内皮前駆細胞」のように)することができ;(4)バックグラウンドの正常血液細胞から、転移性の癌および心血管疾患に罹患する患者の診断および治療に有用な細胞を濃縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(発明の実施形態の詳細な説明)
本発明は、疾患(例えば、癌および心血管疾患)の、および出生前診断における、スクリーニング、診断および管理のための、患者から採られた流体サンプル中の標的細胞の単離および検出に関する
患者から採られた流体サンプルからの標的細胞の単離は、本方法によって促進される。このような細胞の単離は、このような細胞に関連する疾患状態を管理することに有用であり得る。例えば、患者から採られた血液サンプルにおける腫瘍細胞および内皮細胞の同定は、転移性の癌および心血管疾患をそれぞれ示す。したがって同様に、妊娠雌の血液中に存在する胎児細胞は、単離され得、そして胎児に関する疾患の出生前診断に使用され得る。
【0043】
本発明の実施形態は、標的細胞の分離に関し、これは、浸潤突起の接着性の表現型の挙動に基づいて標的細胞を捕獲する機能的濃縮手順を用いた、腫瘍細胞、内皮細胞および胎児細胞の分離戦略を包含する。この細胞接着特性は、強い親和性および特異性で血管の微小環境を模倣するECMマトリックスに結合する性向として現れ、1つの特異的なタンパク質によってではなく、むしろ、「浸潤突起」と称される細胞の突起における細胞表面上にクラスター形成している、特異的細胞接着レセプターのインテグリンを含むタンパク質の複合体によって媒介されるように見える。
【0044】
(CAM細胞濃縮)
CAM細胞濃縮の腫瘍細胞および内皮細胞の分離戦略は、過去10年間(AoyamaおよびChen,1990;ChenおよびChen,1987;Chenら,1994a;Chenら,1984;Chenら,1994b;Chen,1996;Chen,1989;ChenおよびWang,1999;Ghersiら,2002;GoldsteinおよびChen,2000;Goldsteinら,1997;Kellyら,1994;Monskyら,1994;Monskyら,1993;Muellerら,1999;MuellerおよびChen,1991;Muellerら,1992;Nakaharaら,1996;Nakaharaら,1998;Nakaharaら,1997;Pavlakiら,2002;Pineiro−Sanchezら,1997;Sagaら,1988;Zuckerら,2000;Zukowska−Grojecら,1998)に詳細に特徴付けられたような、材料に対する接着性の表現型の挙動に基づいて標的細胞を捕獲する、機能的濃縮手順を使用する工程を包含する。浸潤突起を有する細胞(「浸潤突起性細胞(invadopodic cell)」)が、血管の微小環境を模倣するマトリックスに、特に摂動状態で、強い親和性で結合することが見出されている。浸潤突起の挙動に基づいて、生存転移性腫瘍細胞および脈管形成性内皮細胞について高度に選択的であり、かつ白血球/単球および赤血球のうちのいくつかを捕獲し、そして他の細胞型を溶液中に残す、機能的細胞濃縮工程が、設計され得る。CAM細胞濃縮アッセイは、白血球共通抗原CD45に対して指向する抗体を用いた負の同定/選択手順をさらに包含し得る。
【0045】
本方法は、生化学的に非反応性のコア(例えば、細胞接着分子、特に天然および合成の血液由来接着分子、と物理的に結合するコラーゲンポリマー)を備えるCAMを利用する。CAMは、好ましくは、生存腫瘍細胞がマトリックスに接着することを可能にし、一方で血中の正常なバックグラウンド細胞への接着を回避するように設計される、すなわち、生存腫瘍細胞が高いアビディティで結合することを可能にし、しかし正常細胞(好ましくは、例えば、99.9%を超える白血球細胞および99.9999%を超える赤血球細胞を含む)、および死んだ腫瘍細胞および死につつある腫瘍細胞への結合は回避する。CAM被覆はまた、1つ以上のCAM侵襲性細胞と反応し得るリガンド(例えば、抗体、蛍光マーカーおよび/もしくは色素マーカーなど)を含む。このリガンドは、CAMに可視性の変化もしくは非可視性の(しかし検出可能な)変化を引き起こし得、1つ以上の検出されるべき細胞の存在を示す。このようなリガンドは、あるいは、CAMと関連する別々の検出層に並行して配置され得る。薄いCAM被覆は、好ましくは、細胞分離ユニットの内部底面に固定される。
【0046】
したがって、CAMは、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)の病期IおよびIVである患者に由来する血液サンプルの単核細胞分画から、生存腫瘍細胞を首尾よく回収するために使用され得る。
【0047】
このCAMアプローチはまた、同定の目的で腫瘍細胞を標識するために使用され得る。例えば、蛍光標識コラーゲンを用いてCAMが調製される場合、侵襲性腫瘍細胞は、コラーゲンを消化および摂取する性向を示すので、標識される。対照的に正常細胞は、CAMを障害しないまま残す。
【0048】
濃縮が所望される浸潤突起細胞に関して、CAM組成物およびCAMアッセイ表面構造は、血管内微小環境をよりよく模倣し、それによってサンプル(例えば、全血)から最大数の所望される生存細胞を回収するように設計される。浸潤突起細胞のより効率的な濃縮はまた、血流を最適に模倣して、腫瘍細胞とCAMとの間の接触を増加させるユニット回転手順の使用によって達成され得る。好ましい実施形態において、サンプルは、代表的に、このサンプル中における浸潤突起細胞の生存率を保持させる様式で処理されるべきである。
【0049】
(CAM開始単離デバイス)
CAM開始細胞単離デバイスは、多数の設計(例えば、細胞培養チャンバースライド、培養用マイクロタイタープレート、または培養フラスコなど)を備え得る。
【0050】
例えば、CAM開始細胞単離デバイスは、図1に示されるように、1つ以上のウェル(12)の底部にCAM(10)を有する、ユニットアレイ(14)中の複数のウェル(12)を備える。図1Aは、13ウェルのマイクロアレイを図示し、一方図1Bは、96ウェルのマイクロアレイを図示する。CAM開始細胞単離デバイスは、種々の形状の採血管(16、18、22)(これらの採血管は、蓋(20)がはまっていてもいなくてもよい)を備え得るか、または図2に示されるような容器(この容器では、内壁は、CAMフィルム(10)で被覆されており、底面(26)は被覆されておらず、そして蓋(20)は、はまっているかもしくははまっていない)を備え得る。好ましくは、このような容器は、使用前に滅菌される。CAM開始血液デバイスは、例えば、容器内に置かれたサンプル(28)からCAM(30)中のCTCおよび/またはCECを単離するために使用され得る。CAM(10)は、例えば、細胞接着材料を含む層(30)内に組み込まれたガラスビーズ(34)から構成され得る。
【0051】
CAM開始細胞単離デバイスは、透視図および図3Bの断面図におけるような測定用カード(38)を備えるディップスティック(dipstick)(36)を利用し得る。測定用カード(38)は、CAMフィルムに被覆されている。このディップスティックまたは測定カードは、細胞分離容器(16)に挿入される。CAMフィルムは、ディップスティック(38)の表面上、ならびに/またはチューブ(16)および/もしくは蓋(20)に広げられ得る。
【0052】
一実施形態において、CAM開始細胞単離デバイスは、細胞集団がCAMフィルムに接触する前にこの集団を分離するのを助ける、分離前および/または分離後の特徴(例えば、フィルター(例えばAmiconフィルター、中空フィルター)、膜、もしくは勾配(例えば、フィコール(ficoll)、スクロースなど))をさらに備える。
【0053】
図4を見ると、血液濾過カセット(43)の3次元図が示されている。このカセットは、濾過されるべきサンプルの導入のため、ハウジング中にメッシュ(もしくはCAM被覆メッシュ)のような前フィルター(41)を含み、ハウジング中にCAM(10)で充填された主フィルター(40)、および後フィルター(42)出口を含む。図4Bは、CAMで充填された主フィルター区画(40)の拡大された断面図である。
【0054】
一実施形態において、CAM開始細胞単離デバイスのCAMフィルムは、コラーゲン被覆された、フィルム中における血流を可能にする吻合チャンネルを作製するように構成された、都合良くは200ミクロンから2000ミクロンの範囲の直径を有するマイクロビーズを含む。この血液濾過ユニット中の全血は、約37℃でインキュベートされ得、かつ細胞とCAMとの間の接触を増加させる血流を模倣するように回転され得、そして血液からの生存細胞の効率よい濃縮を支持する。腫瘍細胞および内皮前駆細胞のような標的細胞を含む血液は、CAM開始濃縮デバイス中に4〜48時間の範囲に及ぶ長期間保存されて、濃縮の効率を増し得る。
【0055】
CAM開始細胞単離デバイスおよびシステムを設計することにおいて、3つのパラメーターが解決される必要があり得る:(i)腫瘍の血管内微小環境の模倣性を高め、それによって最大数の生存腫瘍細胞を全血から回収するための、CAM組成物およびCAMアッセイ表面構造;(ii)血流を最適に模倣し、腫瘍細胞とCAMとの間の接触を増加させ、そしてより効率よい生存腫瘍細胞の濃縮を促進するためのユニット回転手順;ならびに(iii)血液サンプル中における腫瘍細胞の生存率をよりよく保持する血液処理様式。
【0056】
腫瘍細胞を濃縮するための上記の正のCTC選択法はまた、癌細胞を取除くための、採取された自己血または自己骨髄に対する負の濾過工程として使用され得る。したがって、本発明のCAM開始血液濾過工程は、癌手術の間に改修された血液の自己輸血、治療的骨髄移植および末梢血幹細胞移植、ならびにアフェレーシスに関して利用され得る。記載されたCAM開始血液濾過工程はまた、循環から転移し得る細胞を除去することによって完全な癌の発生を防ぐために使用され得る。
【0057】
アッセイの腫瘍細胞濃縮効率を最適化するために、特異的かつ感受性のあるコントロール実験が行われ得る。有意な変数としては、以下が挙げられる:(a)CAMによって捕獲された後の、外因性に添加された腫瘍細胞株の生存率、(b)最も効率よく腫瘍細胞を濃縮および単離する条件、ならびに(c)CAMフィルムからの細胞の完全な溶出を生じる細胞処理様式。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
(血液由来のCTCおよびCEC)
全血は、CAM血液収集ユニット(例えば、採血管(図2および図3))中に置かれ得る。このチューブは約37℃でインキュベートされ得、血流を模倣して、細胞とCAMとの間の接触を増加させるように回転され得る。血液は、CAM血液試験ユニット中での凝固を防ぐために、抗凝固剤(すなわちAnticoagulant Citrate Dextrose溶液USP(ACD,Baxter Healthcare Corporation,Deerfield,IL)+50単位のヘパリンリチウム/mE)の存在下で回収され得る。密封したCAM血液チューブはローラー上に配置され得、約37℃で5〜30サイクル/分で回転され得、次いで細胞の接着が起こるように1〜3時間インキュベートされ得る。
【0059】
(実施例2)
(特異性および感受性のコントロール)
種々の腫瘍起源のヒト腫瘍細胞株が、特異性および感受性のコントロール実験の実施において使用するために選択され得る。例えば、ヒト結腸腫瘍細胞株SW−480、ヒト胃腫瘍細胞株RF−48、数種の乳房腫瘍細胞株、ヒト悪性黒色腫株LOX、および数種の卵巣腫瘍細胞株が使用され得る。腫瘍細胞株は、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から譲渡され得る。全ての細胞株は、マイコプラズマ感染に関して陰性であることが確認されるべきである。腫瘍細胞株は、以下について検査されるべきである:(a)プレートから1時間以内でのCAMへの高親和性の結合;(b)高い増殖率;および(c)腫瘍細胞株は、濃縮手順の最後に腫瘍細胞を直接的に可視化させることができるように、使用前に、容易にかつ安定して(100%)赤色もしくは緑色蛍光染料で蛍光標識されるべきであるか、または緑色蛍光タンパク質(GFP)に関する発現プラスミドで形質転換されるべきである。コントロールの正常血液は、その比較効率を評価するため、既知の数の、蛍光標識されているかまたはGFPを発現する蛍光ヒト腫瘍細胞とともに播種され、そしてCAM細胞濃縮法に供される。
【0060】
健康なドナーからの全血または臍帯由来の臍帯血は、National Disease Research Interchange(Philadelphia)を通じて得ることができる。受け取った後直ちに、血液は、多くの場合にさらなる実験操作の間に生じる凝固を防ぐため、Anticoagulant Citrate Dextrose溶液USP(ACD,Baxter Healthcare Corporation,Deerfield,IL)+ヘパリンリチウムを補充されるべきである。正常血は、癌特性を有する細胞を含まない。したがって、これらの血液サンプル中にスパイク(spike)される腫瘍細胞は、この特異性および感受性についての試験で回収されたもののみであるはずである。
【0061】
臍帯血または健康な個体からの血液のサンプルは、既知の数の蛍光標識されている(すなわち、蛍光染料で予め標識されている)かまたはGFPタグ化された腫瘍細胞とともに播種され得る。混合された血液サンプルの3mLアリコートは、腫瘍細胞濃縮のためのCAMアッセイユニットに移送され得る。浮遊血液細胞は、除去され得る。例えば、I型コラーゲンがCAMフィルムを支持する骨格である場合、CAMに捕獲された細胞は、コラゲナーゼを用いて懸濁液中に放出され得る。臍帯血由来のコントロール生存腫瘍細胞の数を決定するため、例えば、約3,000個のGFP−腫瘍細胞が、3mLの臍帯血(約15,000,000,000個の血液細胞または細胞培養完全培地(15%ヒト血清を含む))中にスパイクされ得、そしてCAM濃縮に供され得る。培地から回収された細胞は、実際の生存腫瘍細胞の数を示す。その比、(臍帯血から回収された細胞数)/(培地から回収された細胞数)は、アッセイの効率を示す。培地と比較した臍帯血からの生存腫瘍細胞の回収%は、CAM濃縮アッセイのための最適な条件を決定するために使用され得る。これらの条件としては、CAM血液チューブのインキュベーション時間(例えば、1〜3時間)、回転の速さ(例えば、5〜30サイクル/分)、および細胞生存率を保持するための血液保存時間の長さ(例えば、4〜48時間)が挙げられる。極端に多数のバックグラウンド細胞の数の存在は、癌細胞のCAM表面との直接的な接触を妨げ、そしてCAM法の感度の検出を下げる。採血管のCAMフィルムは、都合良くは、腫瘍細胞に対するCAMの表面接触面積を最大化するように設計される。CAMは、造血細胞からの腫瘍細胞の示差的な接触に依存するので、細胞インキュベーション時間の長さもまた重要である。
【0062】
(実施例3)
(CAM血液濾過ユニットにおける細胞生存度の決定)
(v.採血管)
別の問題は、血液サンプルの細胞生存度である。この生存度は、研究の実験室への移送の間に変動し得る。保存期間の延長がその血液中の細胞を損傷することが予測され得る。CAM血液ユニット中の腫瘍細胞が輸送の間に生存状態いることができるか否かを決定するため、3,000個のGFP−腫瘍細胞を3mLの臍帯血中および15%ヒト血清(Sigma)を含むコントロール培地中にスパイクした。各アリコートを4℃で一連の時間(4、6、8、12、16、24、36および48時間)保存した。次いで、各アリコートをCAMによって捕獲し、CAMによるGFP−腫瘍細胞の回収%を決定した。各時点について、4種の重複した実験を行い、会衆%を決定した。この結果は、CAMで捕獲された腫瘍細胞が血中の浮遊細胞よりも良好に生存することを示した。
【0063】
CAMで濃縮された細胞は、顕微鏡的方法およびフローサイトメトリー法を含む、当業者に公知の任意の手段によって計数され得る(詳しい方法については以下を参照のこと)。細胞濃縮実験について、顕微鏡による計数によって得られた予備的データは、回収率がスパイクの量に従って(おおまかにはロジスティック曲線に従って)増加することを示唆する。
【0064】
本開示のCAM開始細胞単離デバイスを用いて、約10%の生存率で、最初のサンプル中に血液1mLあたり1,000個を超えるGFP−LOX細胞が存在する場合、臍帯血中にスパイクされたGFP−LOXヒト悪性黒色腫細胞のおよそ40%を回収することができる。
【0065】
(フローサイトメトリーによる被験体の血液中の生存腫瘍細胞の算出および検証のための戦略)
臨床研究において、標識された腫瘍細胞は、侵襲性腫瘍細胞を検出するためにFITC標識コラーゲン(緑)を用い、白血球を検出および除外するためにPE標識された抗CD45白血球共通抗原抗体(赤)を用い、そして死細胞を除外するために7−AADを用いた、マルチパラメーターフローサイトメトリー細胞分析機で測定され得る。この自動細胞分析は、例えば、上皮、内皮および造血性抗原に対して指向する抗体を含む細胞系統マーカーを用いる顕微鏡を使った顕微鏡的評価によって、並行して、かつ独立に検証され得る。
【0066】
フローサイトメトリーによる血中の侵襲性腫瘍細胞の算出は、マルチパラメーターフローサイトメトリー細胞分析機によって達成され得る。この分析機は、例えば、以下を用いる:(a)侵襲性腫瘍細胞を検出するための、腫瘍細胞によって摂取されるFITC標識コラーゲン(緑)、ならびに(b)細胞集団中に混入した白血球を検出および除外するための、PE標識抗CD45白血球共通抗原抗体(赤)。例えば、CAMによって捕獲された腫瘍細胞および一緒に単離された正常血液細胞は、フィコエリトリン(PE)結合CD45抗体および死細胞核酸染料7−AADで後染色され得る。標識された細胞サンプルは、吸引され得、そして例えば、FACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析され得る。データ分析のための基準としては、他の要因の中でもとりわけ、以下が挙げられ得る:(a)前方光散乱によって規定されるサイズ、(b)直交光散乱によって規定される粒度、(c)死んだ7−AAD細胞(負の事象)、(d)PE標識CD45 mAb正常細胞(負の事象)、および(e)FITC−腫瘍細胞(正の事象)。
【0067】
当業者によって理解されるように、異種臨床標本において(例えば、FITC標識アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムを用いて)、生細胞からアポトーシス細胞および死細胞を区別する、数種のサイトメトリー法が存在する。例えば、CAMで精製された細胞のマルチパラメーターフローサイトメトリーに細胞生存度試験を組み入れるため、7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD,Molecular Probes)を使用して、固定されたCAM細胞集団において死細胞を標識し得る。7−AADは、488nmのアルゴンレーザー線によって励起され、そして遠赤外範囲のスペクトルを放射する。7−AADスペクトル放射は、FITCおよびPEの放射から分離され得る(OLIVERら,1999)。蛍光パラメーターは、CAMで精製された血液細胞のサブセットにおいて、死細胞(7−AAD)、生存しかつ侵襲性の腫瘍細胞(FITC−コラーゲン)、および白血球(PE−CD45)の特徴づけを可能にする。新たに標識された細胞は、直ちに計数するためにフローの実験室に送達され得るか、または4℃で1〜3日間懸濁液中で保存され得る。ACSCaliburフローサイトメーターは、2〜4細胞サンプル/時で計数するように構築され得る。
【0068】
癌または心血管疾患を有する固体から得られた代表的血液サンプルにおいて、循環性の腫瘍細胞および内皮細胞は、通常の造血細胞よりも(100万倍の範囲で)非常に数が少ない。
【0069】
記載される実施形態は、任意の特定の仮説に限定されないが、本発明者らは、以下を推定する:
(a)癌進行の最も初期段階の間、転移性細胞は原発性腫瘍から出現し始め;これらの細胞は、侵襲性挙動を示す、
(b)癌の存在を示す血液由来の腫瘍細胞集団は、早期診断およびさらなる分子分析を可能にする、そして
(c)循環性腫瘍細胞と原発性腫瘍細胞との両方に存在する診断用の遺伝子のセットが存在し、これは、循環性腫瘍細胞の組織部位起源を解決するため、特定の癌のサブタイプを決定するため、そして高度に確信のある患者の転移の可能性を予測するために、使用され得る。
【0070】
(CAM培養法によって濃縮された細胞の顕微鏡的特徴づけ)
高収量のCAM培養が、独立したCAM法として並行して行われて、CAMによる腫瘍細胞濃縮を検証し得、そしてフローサイトメトリーによって計数され得る。CAM培養法は、細胞系統マーカーもしくは推定腫瘍マーカーを用いて、顕微鏡および免疫細胞化学によって容易に補強され得る。顕微鏡は、血液からCAMによって濃縮されたCTCを以下に示される特徴:Co+/Epi+/Endo+/Leu−を有するものとして;CECを以下:Co−/Epi−/Endo+/Leu−として;腫瘍関連リンパ球を以下:Co−/Epi−/Endo−/Leu+として、同定するために使用され得る。特に、CTCは、以下である:
1)摂取および濃縮されたTRITC標識コラーゲンフラグメントからの陽性の蛍光(Co+;ECMを分解および摂取する傾向は、侵襲性および転移性の細胞の特徴の1つである)
2)サイトケラチンおよび上皮膜抗原(BerEP4,EpCAM,GA733 andMuc−l)を含む上皮特異的マーカーに対する、陽性の免疫細胞化学検出(Epi+)
3)CD31、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)およびVEGFレセプターを含む内皮特異的マーカーに対する、陽性の免疫細胞化学検出(Endo+)
4)CD45、CD14およびCD68を含む白血球/単球系統のマーカーに対する、陰性の免疫細胞化学検出;白血球様細胞診断法に対して陰性(Leu−)。
【0071】
CAM細胞チャンバー法の抗体標識設計は、微分干渉コントラスト(DIC)明視野および三重の蛍光フィルターの使用(例えば、Nikon Eclipse E300倒立蛍光顕微鏡上で使用可能である)と組み合わせて、各顕微鏡視野において、強力な腫瘍細胞特徴づけの多重手段を提供する。同じ蛍光顕微鏡視野において、侵襲性細胞のTRITC−コラーゲン標識は赤色蛍光として見られ、FITC−細胞型マーカーは緑色蛍光として見られ、そしてHoechst33258核染料は青色蛍光として見られ、一方、APAAP染色細胞型マーカーは、DIC明光において赤色として示される。画像は、コンピューターハードドライブに保存され得、そしてサンプル中の色素染色もしくは蛍光染色された細胞の数は、Metamorph画像分析ソフトウェア(Universal Imaging Corporation)のようなソフトウェアに支援されて計数され得る。
【0072】
CAMで濃縮され、そして標識された細胞を有するスライドは、陽性腫瘍細胞に関して蛍光顕微鏡下でスキャンされ得る。
【0073】
(CAMで濃縮された細胞の多重分子分析:マイクロアレイおよびリアルタイムRT−PCR)
循環性腫瘍細胞に特異的に存在することが予測されるmRNAの発現レベル 対 白血球に存在することが予測されるそのレベルが、濃縮の成功度の基準として使用され得る。所与の細胞集団中の腫瘍細胞のパーセンテージは、腫瘍細胞株およびコントロールとして白血球細胞サンプルを使用して、上皮マーカー(GA733−1)および白血球マーカー(CD45)の発現を用いて検証され得る。
【0074】
リアルタイムRT−PCRは、血液サンプルから精製された細胞サンプルで、例えばRoche Light Cyclerを用いて行われ得る。β−アクチンに対する上皮マーカーGA733−1および白血球マーカーCD45のリアルタイムPCR定量が行われ得る。上皮マーカーGA733−1は、純粋な腫瘍細胞サブセットおよび腫瘍細胞株に高レベルで発現されるが、白血球では高レベルでは発現されないと予測される。代わって、白血球マーカーCD45は、白血球サンプルおよび純粋でない腫瘍細胞集団で検出されるが、腫瘍細胞株でも腫瘍細胞サンプルでも検出されないはずである。回収された腫瘍細胞サンプルにおける実質的なGA733−1シグナルの観察は、CAM濃縮手順が、腫瘍特徴的マーカーが容易にかつ再現可能に測定され得る細胞プールに戻ることを実証するものと解釈され得る。白血球の混入の程度を示すため、各CAM腫瘍細胞セットにおけるCD45シグナルのレベルを決定することもまた重要である。実質的な混入が観察される場合、例えば、CD45の負の選択工程が試されるかまたは最終プロトコールに組み込まれることが必要であり得ることが結論付けられる。
【0075】
ほとんどの癌の分子的基盤が理解されていない。各臨床標本において、癌腫細胞は、数および病理学的な型において多様である;癌腫細胞はまた、種々の型および数の正常細胞に囲まれている。さらに、腫瘍細胞は、進行および転移の間にその遺伝子発現プロフィールを変化させる。CAM細胞濃縮法は、DNAマイクロアレイ分析およびリアルタイムRT−PCR分析を用いたエキソビボでの腫瘍細胞の分子分析に利用可能な、生存腫瘍細胞集団を提供する。これらの生存腫瘍細胞集団は、原発性腫瘍および血液由来の腫瘍細胞において共通に発現される遺伝子、ならびに特殊な上皮性の癌の腫瘍細胞において特異的に発現される遺伝子を発見する広範な調査を可能にする。表1および表2に見られるように、本発明の細胞分離法は、マイクロアレイおよびRT−PCR技術を用いて血液サンプルから単離された腫瘍細胞の特徴づけを可能にした。データは、特殊な腫瘍細胞型に関して特徴的な遺伝子発現を示す。
【0076】
(表1.細胞サンプルおよびそれらの元の臨床標本の組織病理学的情報)
【0077】
【表1−1】

【0078】
【表1−2】

【0079】
【表1−3】

*全部で77の細胞サンプル中、41の細胞サンプルをDNAマイクロアレイにより検査し、63の細胞サンプルをリアルタイムRT−PCRにより検査し、27の細胞サンプルをDNAマイクロアレイとリアルタイムRT−PCRとの両方により検査した。
【0080】
(表2A.卵巣腫瘍標本および子宮腫瘍標本から濃縮された種々の型の腫瘍細胞においてアップレギュレートされた126個の遺伝子)
【0081】
【表2−1】

【0082】
【表2−2】

【0083】
【表2−3】

【0084】
【表2−4】

【0085】
【表2−5】

(表2B.卵巣腫瘍標本および子宮腫瘍標本から濃縮された種々の型の白血球においてアップレギュレートされた48遺伝子)
【0086】
【表2−6】

【0087】
【表2−7】

【0088】
【表2−8】

(表2C.卵巣腫瘍標本および子宮腫瘍標本から濃縮された種々の型の線維芽細胞においてアップレギュレートされた45遺伝子)
【0089】
【表2−9】

【0090】
【表2−10】

(腫瘍に対する宿主免疫の決定のための方法および組成物)
同時係属中のPCT特許出願PCT/US01/26735に記載されるように、腫瘍に対する宿主免疫の存在に起因してほとんどのCTCは、循環中で死んでいるか、アポトーシス性である。CAM開始血液デバイス、CTCの生存度、および個々のドナーに由来する血漿は、腫瘍に対する宿主免疫を決定する有効な手段を組み立てる。CAMで濃縮されたCTCは、多くの場合、細胞障害性白血球とともにクラスターを形成する。細胞接着マトリックスは、有望な予後を示し得る患者由来のこのような免疫細胞と癌細胞との複合体のクラスターを容易に単離する。さらに、腫瘍細胞溶解に関与する補体系の可溶性成分が、同じ被験体の血液に由来する自己血漿の存在下でのCTC生存度によって決定され得る。したがって、腫瘍細胞障害性白血球および可溶性補体系の存在は、宿主免疫についての重要な指標である。
【0091】
抗腫瘍細胞障害性白血球および補体系の存在下における生存CTC数を決定するため、全血もしくは単核細胞は、10〜20%の自己血漿の存在下で、CAM開始細胞単離デバイスを介してスクリーニングされ得る。CAMによって濃縮されたCTCの数が、自己血漿の非存在下で高いが自己血漿の存在下で低い場合、この被験体は、抗腫瘍免疫が高い。一方、自己血漿の存在下および非存在下で検出される、免疫による殺傷に抵抗する高レベルの生存CTCは、高い悪性度を有する患者に関する最も強力な指標である。
【0092】
(実施例4)
(全血からの腫瘍細胞のCAMの正の(positive)単離)
全血からの腫瘍細胞の単離のために実施され得る例示的なプロトコールは、以下に示される:
1.臍帯血の調製:既知の数のGFP腫瘍細胞でスパイクされた3mLの抗凝固処理臍帯血(+300μのACDおよびヘパリンリチウム)を、CAM血液試験ユニットの各チューブに添加する。密封したCAM血液チューブをローラー上に配置し、37℃で5〜30サイクル/分で回転させる。1〜3時間インキュベートして腫瘍細胞の接着を起こさせる。
2.コントロール培地の調製:既知の数のGFP腫瘍細胞でスパイクされた3mLのコントロール培地(+300μlのACDおよびヘパリンリチウム)を、CAM血液試験ユニットの各チューブに添加する。密封したCAM腫瘍チューブをローラー上に配置し、37℃で5〜30サイクル/分で回転させる。1〜3時間インキュベートして腫瘍細胞の接着を起こさせる。
3.血液または培地上清をピペッティングによって慎重に除去する。内壁上のCAMフィルムを害することなくチューブを洗浄溶液(PBS/0.1%、BSA/10%、ACDおよびヘパリンリチウム)3mL中で5回洗浄する。
4.1mLのコラゲナーゼ溶液を、徹底的に洗浄されて赤血球を除去されたCAM血液濾過ユニットの各チューブに添加する。CAM血液試験ユニットの各チューブに添加する。密封したCAM血液チューブをローラー上に配置し、37℃で5サイクル/分で回転させる。10分間インキュベートしてCAMを溶解し、腫瘍細胞を懸濁液中に放出させる。コラゲナーゼ溶液(PBS、0.3 mM CaCl、0.2μg/mL I型コラゲナーゼ [Worthington Biochemical]、25μg/mL DNase[Roche])。
5.懸濁液を新しいBppendorfチューブに移送する。TRITC−抗CD45(顕微鏡観察用)もしくはPE−抗CD45(フローサイトメトリー用)を用いて直ちに免疫蛍光標識するため、氷上に保持する。標識された腫瘍細胞を、顕微鏡およびフローサイトメトリーの両方によって計数する。
【0093】
(実施例5)
(蛍光材料を含むCAMフィルム)
浸潤突起細胞がECMマトリクスを消化して内部移行する場合、CAMマトリックスが蛍光性であれば、腫瘍細胞葉、濃縮プロセスの間に蛍光性になるはずである。これを達成するため、CAM基質が捕獲容器に被覆される前に、蛍光TRITC−もしくはFITC−I型コラーゲンポリマーがこれに組み込まれる。癌細胞を白血球から区別するために、白血球共通抗原CD45に対して指向するフィコエリトリン(PE)結合抗体またはFITC結合抗体もしくはTRITC結合抗体を用いた負の同定手順が使用され得る。
【0094】
現在、RT−PCRおよび免疫細胞化学(上皮分子(例えばCK18およびCK20サイトカイン、GA733上皮膜抗原、Muc−1、および汎上皮抗原BerEP4)に対して標的化されている)を使用し、循環性腫瘍細胞の上皮起源を確認した(Ghosseinら,1999;Molnarら,2001;Racilaら,1998;Schoenfeld et at,1997;Soethら,1997;Vlemsら,2002;Whartonら,1999)。両方法とも、高い検出感度を有し、全血由来の単核細胞分画の分画遠心法濃縮後の血中の循環性腫瘍細胞(約500)を成功裏に分離したが、循環性腫瘍細胞は血中の正常細胞10億個あたり100個未満で現れるので、検出速度は低いままである。さらに、このアプローチが最も重要な細胞を捕獲するか否かは分からない。なぜなら、循環への転移進行に関与する遺伝子は、未知であるからである。抗上皮抗体ベースのアフィニティー精製の使用は、血中の腫瘍細胞の著しい損失をもたらす。
【0095】
対照的に、CAMの100万倍の細胞濃縮は、1工程で行われ得、15×10血液細胞から3000個の生存腫瘍細胞の40%より多くを回収することを達成し得る。
【0096】
標的細胞の濃縮をさらに向上させるため、複数工程の細胞濃縮手順が採用されて、血液から85%より多くの腫瘍細胞を回収し得る。この方法は、最初に、単核細胞を濃縮するために全血液細胞を密度勾配遠心分離し、続いてこれらの細胞を蛍光CAMフィルム上で適切な期間(例えば12〜18時間)培養する工程を包含する。これは、以下を目的とする:(a)腫瘍細胞を標識すること、(b)CAMフィルム上で、腫瘍細胞、および白血球の0.1%未満を培養すること、そして(c)CAMで捕獲された細胞集団を抗体または核酸染料で染色すること。個々の腫瘍細胞および凝集体の両方は、顕微鏡により容易に観察され得る(一方で、細胞凝集体は、多くの場合、フローサイトメトリーにおいて問題を生じる)。
【0097】
CAM血液濾過アッセイは、癌を有する患者の血中の生存腫瘍細胞、内皮前駆細胞および免疫リンパ球を単離するために使用され得る。CAMで捕獲された細胞は、FITC(もしくはTRITC)−コラーゲンベースのCAMで被覆された16ウェルチャンバースライド(Lab−Tek,Rochester,NY)に並行して播種され、そして12〜18時間培養される。侵襲性腫瘍細胞は、蛍光性CAMを摂取し、そしてFITC(もしくはTRITC)で標識されるようになるが、一方同時に精製された内皮細胞および白血球は、未標識のままである。循環性腫瘍細胞の正の同定に加えて、単離された細胞は、蛍光顕微鏡観察のためにTRITC(もしくはFITC)−CD45またはTRITC(もしくはFITC)−CD31で標識することによってか、あるいはフローサイトメトリーのためにPE−CD45またはPE−CD31で標識することによって、負の同定のため試験される。
【0098】
(実施例6)
(フローサイトメトリーによる単離細胞の算出)
患者あたり約10〜20mLの血液がVacutainerチューブ(Becton Dickinson、緑色の蓋、ヘパリンリチウム抗凝固剤、各チューブには7mL入る)に採取される。新鮮な採取血液のアリコートは、CAM血液試験管に移してもよく、または単核細胞を得るために密度勾配遠心分離にかけて、そしてさらなるCAM上での細胞濃縮および同定に供してもよい。フローサイトメトリーによる血中生存腫瘍細胞の算出は、以下の基準に基づいて達成され得る:(a)そのFITC標識コラーゲンの摂取を介して可視化された腫瘍細胞;(b)正常血液細胞のPE標識は、混入白血球を同定するための補足的なシグナルとして使用され得る;(c)死んだ7−AAD細胞(負の事象)。
【0099】
FITC−コラーゲンタグ化、またはGFPタグ化された腫瘍細胞は、CAMによって捕獲され得、そして単離された正常血液細胞は、フィコエリトリン(PE)結合CD45抗体によって後で免疫染色され得る。500μl程度の少ないサンプルが吸引され得、そしてFACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析され得る。データは、核酸染料7−AADの蛍光に関する閾値を使用して、リストモードで取得され得る。マルチパラメーターでのデータ分析のための基準としては、以下が挙げられる:(a)前方光散乱によって規定されるサイズ、(b)直交光散乱によって規定される粒度、(c)死んだ7−AAD細胞(負の事象)、(d)FITC−コラーゲン−腫瘍細胞もしくはGFP−腫瘍細胞(正の事象)、そして(e)PE−標識CD45 mAb正常細胞(負の事象)。
【0100】
フローサイトメトリーによって、公開された速度、血液1mLあたり10,000,000,000個の血液細胞中100,000個の腫瘍細胞より短い頻度で血中に存在する腫瘍細胞の算出を可能にするため(Glavesら,1988;Karczewskiら,1994)、有利なことには、以下が注目され得る:
(i)適切な時間(サンプル流動速度=60μl/mm)においてフローサイトメーターを通過する腫瘍細胞が著しく減少することなく、サンプル容量は3〜20mLから500μlまで、そして全細胞数は15,000,000,000個〜1,000,000個まで減少され得る。
【0101】
(ii)濃縮された腫瘍細胞は、それと同時に単離された正常細胞から区別される必要がある。腫瘍細胞は、FITC−コラーゲン標識またはGFP標識され得、一方上記同時単離された細胞の99%超は、白血球であるはずであり、フィコエリトリン(PE)結合抗CD45抗体で標識され得る。
【0102】
(iii)腫瘍細胞は、多くの場合、直径50μm〜500μmの凝集体として存在し得る。CAM血液濾過および抗体ベースの磁気ビーズ法から得られる細胞サンプルは、50μmメッシュを通して濾過されて、フローサイトメーターにロードする前に大きな凝集体が除去され得る。あるいは、凝集体がCAM上で培養される場合、循環性腫瘍細胞は、12〜18時間以内に凝集体から発生し、CAMフィルムを侵襲し始める。蛍光CAMフィルムが使用される場合、CAM法によって濃縮された腫瘍細胞は蛍光コラーゲンによって標識され得、そしてそれらは、コラゲナーゼによって個々の細胞として懸濁され得る。
【0103】
(実施例7)
(フローサイトメーターにおいて使用するための、被験体由来の腫瘍細胞のCAM濃縮)
(1).3mLの抗凝固処理された血液(0.3mLのヘパリンリチウム+抗凝固剤クエン酸デキストロース溶液 USP−ACD,Baxter Healthcare Corporation,Deerfield,Jib)を、FITC標識コラーゲンで被覆されたCAM血液濾過ユニットの各チューブに添加する。密封したCAM血液チューブをローラー上に配置し、37℃で5〜30サイクル/分で回転させる。1〜3時間インキュベートして腫瘍細胞の接着を起こさせる。
【0104】
(2).非付着細胞および上清をピペッティングによって慎重に除去する。内壁上のCAMフィルムを害することを避けるように、3mLの溶液で5回、チューブを慎重に洗浄する。洗浄溶液(PBS/O 1% BSA 1 % ACDおよびヘパリンリチウム)。
【0105】
(3).HEPE緩衝液(pH7.4)中に15%のヒト血清を含有する、1mLの完全細胞培養培地をCAM血液濾過ユニットの各チューブに添加する。密封したCAM血液チューブをローラー上に配置し、37℃で5サイクル/分で回転させる。9〜15時間インキュベートして摂取されたFITC−I型コラーゲンで腫瘍細胞を標識させる。
【0106】
(4).ピペッティングによって培地上清を慎重に除去する。内壁上のCAMフィルムを害することなく、3mL PBSで3回、チューブを洗浄する。
【0107】
(5).1mLのコラゲナーゼ溶液を、徹底的に洗浄されたCAM血液濾過ユニットの各チューブに添加する。密封したCAM血液チューブをローラー上に配置し、37℃で5サイクル/分で回転させる。10分間インキュベートし、CAMを溶解して腫瘍細胞を懸濁液中に放出させる。コラゲナーゼ溶液(PBS、0.3mM CaCl、0.2μ/mL I型コラゲナーゼ[Worthington Biochemical]、25μg/mL DNase[Roche])。
【0108】
(6).2つのEppendorfチューブのうちの1つに、各500μl、懸濁液を移す。
【0109】
(7).マルチパラメーターフローサイトメトリーのための染色/調製:100μlの固定用溶液(PBS、6%パラホルムアルデヒド、pH7.2)を、Eppendorfチューブ中の500μlの細胞懸濁液に添加し(最終固定濃度 1%パラホルムアルデヒド)、そして20〜25℃で10分間固定する。
【0110】
(8).1,000rpmで1分間細胞ペレットをスピンダウンする。固定液を除去し、500μlのPBS溶液で3回、チューブを洗浄する。氷上に保持し、10μg/mLのPE−抗CD45(白血球を標識するため)および1μg/mLの7−AAD(死細胞を染色するため)を添加し、続いて暗中、4℃で10mmインキュベーションする。
【0111】
上記のプロトコールは、CTC検出に関して特殊化されている。CECおよび腫瘍関連リンパ球の検出に関して、PE−抗CD31およびPE−抗CD45は、それぞれ、CECおよび腫瘍関連リンパ球を標識するために使用され得る。
【0112】
(実施例8)
(フローサイトメトリーにおける使用のための、CAM 96ウェル細胞チャンバー法によって濃縮された腫瘍細胞)
(1).密度遠心分離によるMNC分画の調製:Vacutainer採血管(Becton Dickinson,緑色の蓋,抗凝固剤としてヘパリンリチウム、各チューブには7mL入る)中の、残りの3〜15mLの抗凝固処理された血液を使用する。細胞ペレットは、1,000rpmでスピンダウンされ、そして細胞は、0.5mM EDTAを含有する5mL PBS中に再懸濁される。単核細胞(MNC)分画は、Ficoll−Paque密度遠心分離(Pharmacia)によって、製造者の指示に従って得られ、15%のウシ血清を含有する完全培養培地中で洗浄され、そして3〜15mLの完全培地に懸濁される。
【0113】
(2).CAM 96ウェルチャンバースライド上でのMNC分画の培養:100μl/ウェルの細胞懸濁液(CAMおよびDynal AAMBのような他の方法によって捕獲される細胞にも適用可能である)は、所望のウェル(例えば、15%のウシ血清を含有する100μlの完全培養培地で満たされた、FITC−コラーゲンベースのCAMで被覆された96ウェルマイクロタイタープレートの8ウェル)上に播かれ、そしてCOインキュベ−ター中で、37℃で12〜18時間培養される。この工程は、腫瘍細胞の蛍光コラーゲンフラグメントを消化して内部に移行する能力をアッセイすることによって、腫瘍細胞を標識する。
【0114】
(3).非付着細胞および上清をピペッティングによって慎重に除去し、内壁上のCAMフィルムに害がないように、200μlのPBSで2回、このウェルを洗浄する。非付着細胞は、MNC分画中の死んだ腫瘍細胞および非腫瘍性血液細胞から構成される。浮遊細胞は、集められ得、そしてCD19白血球もしくは幹細胞に関する細胞単離に供され得る。
【0115】
(4).100μlのコラゲナーゼ溶液(PBS、0.3mM CaCl、0.2μg/mL I型コラゲナーゼ[Worthington Biochemical]、25μg/mL DNase[Roche])を、徹底的に洗浄された8ウェル行の96ウェルCAM血液ユニットの各ウェルに添加する。付着細胞を10分間インキュベートし、CAMを溶解させて、結合した腫瘍細胞を懸濁液中に放出させた。
【0116】
(5).8ウェルから800μl、Eppendorfチューブに懸濁液を移す。
【0117】
(6).200μlの固定用溶液(PBS、10%パラホルムアルデヒド、pH7.2)を、Eppendorfチューブ中の800μlの細胞懸濁液に添加し(最終固定濃度 2%パラホルムアルデヒド)、そして20〜25℃で10分間固定する。
【0118】
(7).細胞ペレットを1000rpmで1分間スピンダウンし、固定液を除去し、そしてチューブを500μlのPBS溶液で3回洗浄する。細胞ペレットを氷上に保持し、そして10μg/mLのPE−抗CD45、PE−抗CD14およびPE−抗CD68(白血球、単球、マクロファージを標識するため)、ならびに1μg/mLの7−AAD(死細胞を染色するため)を添加し、続いて、暗中、4℃で10分間インキュベートする。
【0119】
上記のプロトコールは、CTC検出のために特殊化されている。CECおよび腫瘍関連リンパ球の検出のためには、PE−抗CD31およびPE−抗CD45が、それぞれCECおよび腫瘍関連リンパ球を標識するために使用され得る。
【0120】
(実施例9)
(CAM 16ウェル細胞チャンバー法によって濃縮された腫瘍細胞の顕微鏡的特徴付け)
(1)低速による細胞分画および血漿分画の調製。750rpmで5分間の遠心分離:Vacutainer採血管(Becton Dickinson、緑色の蓋、抗凝固剤としてヘパリンリチウム、各管には7ml入る)中の3〜7mLの抗凝固処理された血液中の細胞ペレットを、750rpmで5分間、または1,000rpmで3分間スピンダウンする。遠心された血液の上清から全部で120μlを、15%のウシ血清を含有する680μlの抗凝固処理された完全培養培地で満たされたEppendorfチューブに、血漿を移す。[血漿培地と称される:10%の抗凝固剤(ACDおよびヘパリンリチウム)ならびに75%の完全培養培地中の、特定のドナー由来の15%血漿]。血漿の残りは、0.5μLアリコートに保存される。
【0121】
(2)密度遠心分離によるM7NC分画の調製:細胞は、5mL EDTAを含有する5mL PBS中に再懸濁される。単核細胞(MINC)分画は、Ficoll−Paque密度遠心分離(Pharmacia)によって、製造者の指示に従って得られ、15%ウシ血清を含有する完全培養培地中で洗浄され、そして分画前の血液と同体積の完全培地中に懸濁される。
【0122】
(3)各特定のドナー由来の15%血漿を含むかもしくは含まない完全培養培地とともに予めインキュベートされた、CAM 16ウェルチャンバースライドの調製:TRITCコラーゲンベースのCAMで被覆された16ウェルチャンバースライド(96ウェルマイクロタイタープレート形式(Lab−Tek,Rochester,NY)中)の上部8ウェルの各ウェルに、100μlの完全培養培地および10%抗凝固剤を播く。TRITCコラーゲンベースのCAMで被覆された16ウェルチャンバースライド(96ウェルマイクロタイタープレート形式(Lab−Tek,Rochester,NY)中)の下部8ウェルの各ウェルに、100μlの完全培養培地および10%抗凝固剤、ならびに15%の個体の血漿を播く[手順1において調製された血漿培地 10%抗凝固剤(CDA+ヘパリン)中の特定のドナー由来の15%血漿]。
【0123】
(4)CAM 16ウェルチャンバースライド上でのMNC分画の培養:100μl/ウェルの細胞懸濁液(CAMおよびDynal AAMBのような他の方法によって捕獲される細胞にも適用可能である)は、15%のウシ血清を含有する100μlの完全培養培地で満たされた、TRITCコラーゲンベースのCAMで被覆された16ウェルチャンバースライド(96ウェルマイクロタイタープレート形式(Lab−Tek,Rochester,NY)中)の各ウェル(例えば、、FITC−コラーゲンベースのCAMで被覆された96ウェルマイクロタイタープレートの8ウェル)上に播かれ、そしてCOインキュベ−ター中で、37℃で12〜18時間培養される。この工程は、蛍光コラーゲンフラグメントを消化して内部に移行する能力をアッセイすることによって、腫瘍細胞を標識する。
【0124】
(5)非付着細胞および上清をピペッティングによって慎重に除去する。非付着細胞は、MNC分画中の死んだ腫瘍細胞および非腫瘍性血液細胞から構成される。
【0125】
(6)抗体および核酸染色:200μlの固定用溶液(PBS、3.7%パラホルムアルデヒド、pH7.2)をCAM標識チャンバーユニットの各ウェルに添加し、そして20〜25℃で10分間固定する。固定液を除去し、ウェルを200μlのPBS溶液で3回洗浄し、そして、蛍光顕微鏡観察のために青色蛍光Hoechst33342核染料および緑色蛍光FITC−抗フォン・ヴィレブランド因子(内皮表現型を標識する)を用いて、ならびにDIC明視野顕微鏡のために赤色APAAP−抗ESA(サイトケラチン、EMAなど上皮マーカー、造血細胞マーカーCD45/CD14/CD68/CD19/CD8、もしくは他の内皮細胞マーカーCD31、fit−1など)を用いて、直ちに免疫標識するために、細胞ペレットを氷上に保持する。
【0126】
上記のプロトコールはCTC検出のために特殊化されている。CECおよび腫瘍関連リンパ球の検出のため、抗CD31および抗CD45が、それぞれCECおよび腫瘍関連リンパ球の標識のために使用され得、次いでcRNAプローブを生成するために使用され得る。
【0127】
(実施例10)
(リアルタイムRT−PCRおよびDNAマイクロアレイ分析において使用するための、CAM96ウェル細胞チャンバー法によって濃縮された腫瘍細胞)
(1)密度遠心分離によるMNC分画の調製[上記実施例7のプロトコールに類似する]:Vacutainer 採血管(Becton Dickinson,緑色の蓋,抗凝固剤としてヘパリンリチウム、各チューブには7mL入る)中の残りの3〜15mLの抗凝固処理された血液を使用する。細胞ペレットは、1,000rpmでスピンダウンされる。細胞は、0.5mM EDTAを含有する5mL PBS中に再懸濁され、そして単核細胞(MNC)分画は、Ficoll−Paque密度遠心分離(Pharmacia)によって、製造者の指示に従って得られ、15%のウシ血清を含有する完全培養培地中で洗浄され、そして3〜15mLの完全培地に懸濁される。
【0128】
(2)CAM 96ウェルチャンバースライド上でのMNC分画の培養:100μl/ウェルの細胞懸濁液(CAMおよびDynal AAMBのような他の方法によって捕獲される細胞にも適用可能である)は、15%のウシ血清を含有する100μlの完全培養培地で満たされた、I型コラーゲンベースのCAMで被覆された96ウェルマイクロタイタープレートの残りの88ウェル)上に播かれ、そしてCOインキュベ−ター中で、37℃で12〜18時間培養される。
【0129】
(3)非付着細胞および上清をピペッティングによって慎重に除去する。内壁上のCAMフィルムに害がないように、200μlのPBSで3回、このウェルを洗浄する。非付着細胞は、MNC分画中の死んだ腫瘍細胞および非腫瘍性血液細胞から構成される。浮遊細胞は、集められ得、そしてCD19白血球もしくは幹細胞に関する細胞単離に供され得る。
【0130】
(4)CAMで捕獲された細胞についてのRNAの単離:10μL/ウェルのTrizol試薬を、徹底的に洗浄された96ウェルCAM血液ユニットの88ウェルの列の各ウェルに各ウェルに添加する。Trizol試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて全RNAが抽出され、続いてRNeasyスピンカラム(Qiagen,Inc.,Valencia,CA)で洗浄される。
【0131】
(実施例11)
(細胞分画の純度を検証するための細胞型抗体マーカーを用いた免疫細胞化学)
細胞型抗体マーカーを用いた免疫細胞化学を使用して細胞分画の純度を検証した。図5の上2つのパネルは、卵巣の漿液腺癌の腹水由来のCAMによって濃縮された白血球(Leu)および腫瘍細胞(Epi)の、CD45汎白血球抗原(左パネル、Leu、赤)に対して指向する抗体、および汎サイトケラチン、上皮抗原(右パネル、Epi、赤)に対して指向する抗体を用いた、免疫組織化学的同定を示す。下の2つのパネルは、CAMによって濃縮された純粋な腫瘍細胞の免疫組織化学的同定、およびそれに続く抗体EpCAMでの正の選択を示す。汎サイトケラチンに対する抗体で標識される腫瘍細胞が、ここでは優性である(左パネル、Epi、赤)。腫瘍細胞上にいくつかのEpCAM抗体−Dynalビーズが見えることに注意。純粋な腫瘍細胞の一部(2%)が、CD31(右パネル、Endo、赤)、内皮表面抗原に対して指向する抗体で標識された。核は、非イオン性界面活性剤で細胞質幕を透過性にした後、ユニバーサルな細胞マーカーとしてHoechst33342核染色を用いて青く染色された(写真サイズ331μm×239μm)。
【0132】
(実施例12)
(リアルタイムRT−PCR分析)
1種以上の癌の遺伝的基盤をさらに解明するために、リアルタイムRT−PCR分析が使用され得る。RT−PCR分析はまた、マイクロアレイデータを検証するために使用され得る。
【0133】
定量リアルタイムRT−PCRを使用して、精製された63個の細胞サンプルの代表的な7つの細胞集団について特異的なDNAマイクロアレイクラスターから選択された、10個の遺伝子の発現を測定した(図5A)。(A)63個の細胞サンプルにおける、異なる腫瘍細胞型(MMP7,ムチン1,GA733−1、リポカリン2およびサイトケラチン18)間でアップレギュレートされた5つの遺伝子;白血球(CD45、オートタキシン、CXCR4およびSDF−1)間でアップレギュレートされた4つの遺伝子;線維芽細胞でアップレギュレートされた1つの遺伝子(I型コラーゲン)、の定量リアルタイムRT−PCR分析。(B)7つの細胞群の間で示差的に調節された10個の遺伝子の定量リアルタイムRT−PCR分析。棒グラフのプロットは、異なる細胞群の代表的な遺伝子発現パターン、ならびに細胞群内および細胞群間の発現レベルの変動を示すために使用される。各遺伝子について、相対的発現は、各群の細胞サンプルの数の平均倍数発現(mean fold expression)(β−アクチンに対して正規化されたもの)と比較される。エラーバー、平均値のSE。
【0134】
CAM開始細胞分離デバイスによって単離される腫瘍細胞の4つの異なる型のうち、5つのアップレギュレートされた遺伝子が、ほとんどの卵巣腫瘍標本および子宮腫瘍標本から濃縮された腺癌細胞サンプルにおいて高発現されていることが見出された(図6A〜6C)。腫瘍細胞関連遺伝子、白血球関連遺伝子、および線維芽細胞関連遺伝子についての異なる細胞群型間での発現の違いはまた、DNAマイクロアレイデータとリアルタイムRT−PCRデータとの間で類似することが見られた。これらの結果は、ほとんどのアレイプローブセットは、転写物の複雑な混合物内の意図された転写物のレベルを正確に測定する可能性が高いことを示唆する。
【0135】
種々の上記に開示された特徴および他の特徴、またはそれらの代替物は、望ましくは、多くの異なる系および適用と組み合わせられ得ることが理解される。また、その種々の現在予見できないまたは予測できない変更、改変、変化、または改善が、当業者によって実質的になされ得、また以下の特許請求の範囲によって包含されるべきであることが意図されることが理解される。
【0136】
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【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1Aは、CAM 16ウェルチャンバースライドの前面図を示す。このチャンバースライドの底面は、CAMフィルム(例えば、蛍光標識されたコラーゲンフィルム)で被覆されており、癌および心血管疾患の診断に使用され得る循環性の腫瘍細胞および内皮前駆細胞を濃縮し得る。図1Bは、CAM 96ウェルチャンバースライドの前面図を示す。このチャンバースライドの底面は、CAMフィルム(例えば、蛍光標識されたCAMフィルム)で被覆されており、循環性腫瘍細胞および内皮前駆細胞を濃縮し得、癌および心血管疾患の診断に使用され得るコラーゲンを含む。
【図2】図2A、2Bおよび2Cは、疾患診断に使用され得る正立した7ml、15mlおよび30mlの真空採血管の前面図を示す。これらは、その内部表面に沿ってCAMフィルムで被覆されている。図2Dは、内部表面に沿ってCAMフィルムで被覆された、正立した組織培養容器の前面図を示す。これらは、癌および心血管疾患の診断および処置に使用され得る。図2Eは、例えば図2A〜2Dにおける容器中のCAMフィルムの拡大した全面図を示す。
【図3】図3Aは、CAMフィルムで被覆されたディップスティック挿入物を有する、正立した採血管の前面図を示す。図3Bは、図3Aのディップスティックの前面図を示す。
【図4】図4Aは、血液濾過カセットの3次元図を示す。このカセットは、以下を含む:濾過されるべきサンプルの導入のための、ハウジング中の、前フィルターメッシュ入口;薄いCAMフィルムで被覆された細胞分離ビーズで充填された主フィルター区画;濾過された血液を除去するための、ハウジング中の、後フィルターメッシュ出口。これは、本発明の診断、治療または処置のための血液濾過システムと併せて使用され得る。図4Bは、CAMフィルムで被覆された細胞分離ビーズで充填された、図4Aの主フィルター区画の拡大された断面図であり、内部の限られた範囲内に細胞分離ビーズによって形成された吻合チャンネルを示す。
【図5】図5は、抗体EpCA(正の選択)を含まない(A)/(B)および含まない(C)/(D)、CD45汎白血球抗原、および汎サイトケラチン(B)/(C)またはCD−31(D)に対する抗体を用いた細胞接着マトリックスによって濃縮された、卵巣腺癌の腹水に由来する白血球(A)および腫瘍細胞(B)/(C)/(D)の免疫細胞化学顕微鏡写真である。
【図6】図6A〜Cは、腹水由来の腫瘍細胞(図6Aおよび6B)および固形原発性腫瘍由来の腫瘍細胞(図6Aおよび6C)に関するDNAマイクロアレイクラスターから選択された10個の遺伝子のリアルタイムRT−PCR相対発現分析である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細胞を流体サンプルから単離するための装置であって、該装置は、以下:
内部表面および外部表面を有する容器;
1種以上の細胞接着分子に結合する非反応性のコア材料を含む細胞接着マトリックス
を備え;
ここで、該細胞接着マトリックスが、該容器の該内部表面を覆っている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、ここで、前記細胞接着マトリックスの非反応性のコア材料が、以下:
ゼラチン、架橋ゼラチン、骨、ガラス、不活性ポリマー、およびデキストランからなる群より選択される、少なくとも一つの材料である、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記細胞接着マトリックスの細胞接着分子が、プロテオグリカン、フィブロネクチン、フィブリン、ヘパリン、ラミニン、テネイシン、ビトロネクチン、および/またはこれらのフラグメントからなる群より選択される、少なくとも一つの分子である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記容器の内部表面が、前記細胞接着マトリックスで、少なくとも5%覆われている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記標的細胞に結合する場合に該標的細胞に対して、検出可能な親和性を有する、少なくとも一つのリガンドを含む、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記リガンドが蛍光標識されている、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、前記リガンドが前記細胞接着マトリックスへと組み込まれている、装置。
【請求項8】
請求項5に記載の装置であって、前記リガンドが、前記細胞接着マトリックスに結合する層中に見出される、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記細胞接着マトリックスに近接する細胞分離機構をさらに含み、該細胞分離機構は、前記標的細胞と該細胞接着マトリックスとの相互作用の前に該標的細胞を含有するサンプルから細胞を取り除くように、作動可能に構成される、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、該細胞分離メカニズムが、フィルター、膜、メッシュ、物質勾配からなる群より選択される、少なくとも一つの機構である、装置。
【請求項11】
請求項5に記載の装置であって、少なくとも1種のリガンドが、該リガンドと単離された標的細胞との相互作用の際に視覚的検出を可能にするように、作動可能に構成される、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置を使用する方法であって、該方法は、以下:
該装置において、前記流体サンプル中の細胞の混合物を該細胞接着マトリックスに接触させる工程;
標的細胞を該細胞接着マトリックスから単離する工程;
を包含する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、該方法は、未結合の細胞を前記細胞接着マトリックスから取り除く工程をさらに包含する、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記流体サンプルが、血液サンプルもしくは腹水サンプル、または生検サンプルもしくは擦過サンプルもしくは塗抹サンプルである、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、前記細胞混合物が、密度勾配遠心分離または赤血球溶解の後、血液サンプル由来の単核細胞を含む、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、ここで、前記標的細胞が、腫瘍細胞、内皮細胞または胎児細胞である、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が、肺癌、膀胱癌、乳房組織の癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胸部の癌、皮膚癌、肝臓癌、胃癌、食道癌、頭部および頚部の癌、頚部癌、子宮癌、脳の癌、腎臓癌、甲状腺癌、結腸癌または直腸癌のうちの少なくとも一つの癌に由来する、方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法であって、前記標的細胞が内皮細胞または内皮前駆体細胞である、方法。
【請求項19】
請求項12の方法であって、前記標的細胞が妊娠雌から取得した胎児の細胞である、方法。
【請求項20】
請求項12の方法であって、前記細胞接着マトリックスがビーズを含む、方法。
【請求項21】
請求項12の方法であって、前記細胞マトリックスが蛍光標識された細胞接着マトリックス成分を含有する、方法。
【請求項22】
請求項12の方法であって、前記標的細胞が浸潤突起を含む、方法。
【請求項23】
請求項12の方法であって、前記標的細胞が細胞接着レセプターのインテグリンを含む、方法。
【請求項24】
開口部、底部、および周囲の側壁を有する容器であって、該容器は、該容器の内部表面上に細胞接着マトリックスの少なくとも一つの被覆層を含み、該容器は、流体が該容器の開口部の中に置かれた場合に流体サンプルによって接触されるように、作動可能に構成されている、容器。
【請求項25】
請求項24に記載の容器であって、該容器は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライドチャンバ、組織培養デバイス、細胞チャンバユニット、血液濾過ユニット、チューブ、瓶、またはこれらの組み合わせ、からなる群より選択される、容器。
【請求項26】
請求項21に記載の蛍光標識された細胞接着マトリックスであって、ここで、該マトリックスは、血液中の癌細胞を標識するために使用される、細胞接着マトリックス。
【請求項27】
疾患の出生前診断のための方法であって、該方法は、以下:
妊娠雌からの血液サンプルを、細胞接着マトリックスと接触させる工程、
該細胞接着マトリックスから胎児細胞を単離する工程、
該胎児細胞を培地中で培養する工程、および
遺伝的異常および染色体異常の存在に関して、該胎児細胞を試験する工程
を包含する、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記遺伝的異常および染色体異常が、ダウン症候群、マルファン症候群、テイサックス病、およびサラセミア、からなる群より選択される、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記細胞接着マトリックスが、多数の被覆されたビーズを含み、このビーズが、非反応性のコア材料を含有し、かつ該コア材料の周囲に細胞接着分子を含有する、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の細胞接着マトリックスであって、前記非反応性のコアが、コラーゲンマイクロビーズ、ゼラチンマイクロビーズおよびガラスマイクロビーズまたはこれらの組み合わせ、からなる群より選択される、少なくとも1種の材料である、細胞接着マトリックス。
【請求項31】
請求項30に記載の容器であって、前記コラーゲンが、蛍光染料で標識されている、容器。
【請求項32】
癌をインビトロで診断するための方法であって、該方法は、以下:
患者から得られたサンプル流体を、血液由来の成分を含有する細胞接着マトリックスと接触させる工程、
該マトリックスに付着した転移性の腫瘍細胞を、該サンプルの流体中の細胞から単離する工程;
該マトリックスに付着した該転移性の腫瘍細胞を、所定の期間培養する工程;ならびに
該培養物における該転移性腫瘍細胞の顕微鏡分析およびフローサイトメトリー分析を行う工程
を包含する、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、該方法は、前記転移性の癌細胞の免疫組織化学を行い、前記サンプル流体中に存在する癌細胞の型を同定する工程、および/または該癌細胞を標識細胞接着マトリックスおよび核酸染料で染色して、該サンプル流体中に存在する癌細胞の型を同定する工程、をさらに包含する、方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法であって、該方法は、上皮腫瘍遺伝子マーカーのDNAマイクロアレイ分析および/またはリアルタイムPCR定量を用いて、前記転移性腫瘍細胞を特徴付ける工程をさらに包含する、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、ここで、前記腫瘍遺伝子マーカーが、GA733−2、GA733−1、MMP7、ムチン1、リポカリン2、サイトケラチン18、E−カドへリン−1、セプラーゼ、自家毒素、およびCXCR4である、方法。
【請求項36】
流体入口および流体出口を収納する濾過カセットであって、該収納は、
該流体入口に近接する前フィルター;
該流体出口に近接する後フィルター;および
細胞接着マトリックスを備えるフィルター区画であって、該フィルター区画は、該前フィルターと後フィルターとの間に配置されている、フィルター区画
を含む、濾過カセット。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記前フィルターまたは前記後フィルターのうちの1つが、細胞接着マトリックスに結合している、方法。
【請求項38】
流体サンプルから標的細胞を単離するための装置であって、該装置は、以下:
該流体サンプルを保持するように設計された内側表面と外側表面とを有する、管
細胞接着マトリックスを有するカードに連結された蓋を備える、ディップスティック
を備える、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−526761(P2007−526761A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538370(P2006−538370)
【出願日】平成16年10月30日(2004.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/036177
【国際公開番号】WO2005/043121
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506149036)ヴィタテックス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】