説明

微小化学システム及び微小化学システム装置

【課題】2次元方向及び3次元方向へ流体を送液でき、流体の反応、攪拌、検出などの処理を1の装置で精度良く行える微小化学システム及び微小化学システム装置を提供する。
【解決手段】ディスク11,21,31,41が2層以上積層されており、ディスクに形成された流路が、ディスクの面方向に形成された面方向の流路と、異なる層のディスクに形成された面方向の流路を接続する接続流路とを有しており、試料蓄積槽12と、試薬蓄積槽32と、試料蓄積槽の試料と試薬蓄積槽の試薬とを攪拌する攪拌調整槽22と、攪拌調整槽において調整された試料を検出する検出槽34とを有しており、試料蓄積槽と攪拌調整槽との間、試薬蓄積槽と攪拌調整槽との間、及び、攪拌調整槽と検出槽との間が、それぞれ流路13,23,33を介して接続されている微小化学システム1及びこれを備えた微小化学システム装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療、製薬分野における生化学分析や環境保全、食品・生物の検疫分野における分析方法のうち、簡便かつ局感度な方法として知られる酵素免疫測定法(ELISA法)などによる分析、及び、分析の前に行う試料の混合、反応などの単位操作を一の装置で可能な微小化学システム及びこの微小化学システムを備えた微小化学システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高速かつ高感度な分析システムとしてマイクロ化学チップが注目されている。マイクロ化学チップとは、1枚のチップ上にマイクロオーダーの微細な流路を形成し、平面方向へ流体を送液する。そして、このチップ上において、混合、反応、分析などの操作を行なうことができる(例えば、下記特許文献1,2(図7))。
【特許文献1】特開2002−340911号公報
【特許文献2】特開2007−155484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2(図7)の分析装置はマイクロチップの平面上で操作が行われるので、混合が十分でなかったり、分析のための光路長が十分でなかったりして、検出感度が低下するおそれがあった。また、上記チップ上では行うことができない操作は別の装置で行うため、試料の分析までに時間がかかったり、他の装置が必要となったりすることが多かった。さらに、各操作は人的に行われるので、精度に差が生じることがあった。
【0004】
そこで、本発明は、一の装置で、分析及び分析に必要な単位操作を高精度かつ短時間で簡便に行うことができるとともに、装置の小型化および多検体の処理が可能な微小化学システム及びそれを用いた微小化学システム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0005】
本発明の微小化学システムは、ディスクの回転により生じる遠心力によってディスクに形成された流路に流体を移送する微小化学システムであって、前記ディスクを2層以上積層した積層体を備え、前記流路が、前記ディスクの面方向に形成された面方向の流路と、異なる層の前記ディスクに形成された前記面方向の流路を接続する接続流路とを有している。
【0006】
上記構成によると、2次元(平面)方向だけでなく3次元方向へ液体又は液体中の気体などの流体を移送できるので、流路内における反応、攪拌、検出などの処理を精度良く行える。
【0007】
また、本発明に係る微小化学システムは、前記積層体の最上層のディスクの表面に凸部を有しており、前記凸方向に前記凸部を貫通し、且つ、前記ディスクに形成された流路に接続した孔を有していることが好ましい。これによると、遠心力及び凸部および孔により生じるベンチュリー効果によって、流体を加速し且つ3次元方向へより移送しやすくなる。したがって、重力と反対方向の上層へも流体を移送させやすくなる。
【0008】
本発明の微小化学システムは、前記ディスクに形成された流路の少なくとも一部が、細孔を複数束ねたものであり、前記細孔の断面の最大長さが3mm以下であることが好ましい。これによると、流路の表面積を大幅に増大させることができるので、流体の送液、攪拌、反応などの各処理の効率を大幅に向上させることができる。なお、細孔の断面の最大長さが3mmを超えると上記効果が発揮されにくいので、3mm以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の微小化学システムは、前記ディスクに形成された流路の内壁表面に薄膜が被覆されており、前記薄膜が前記ディスクの材料と異なる材料からなることが好ましい。これによると、被覆した材料を抗原や抗体等として内壁表面に固定化できる。したがって、流路の内壁表面に抗原や抗体等を高密度に安定して固定できるので、攪拌や反応などの処理の精度や速度及び効率をより向上させることができる。ここで、ディスクには、例えば、樹脂や金属を用いることができ、薄膜には、例えば、Pt,Au,Ti,TiO,SiO,Ag,アビジン等のたんぱく質の生体高分子や触媒をコーティングして薄膜を被覆することができる。
【0010】
本発明の微小化学システムは、前記ディスクに形成された流路が、試料蓄積槽と、試薬蓄積槽と、前記試料蓄積槽の試料と前記試薬蓄積槽の試薬とを攪拌する攪拌調整槽と、前記攪拌調整槽において調整された試料を検出する検出槽とを有しており、前記試料蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、前記試薬蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、及び、前記攪拌調整槽と前記検出槽との間が、それぞれ流路を介して接続されていることが好ましい。
【0011】
これによると、試料の前処理、混合、反応、分離、抽出、検出などの各操作を一の装置に集積して行える。これにより、装置の小型化及び軽量化を図ることができ、試料や試薬が従来よりも少量に抑えられる。また、3次元方向の流路に攪拌調整槽や検出槽を設けることができる。これによって、従来よりも攪拌に必要な場所や反応に必要な容量及び表面積、さらには、光検出に必要な光路が十分得られ、各操作の精度や分析感度が向上できる。したがって、一の装置で、多数の試料(検体)の検出や処理が同時にできるとともに、各操作を短時間で行える。また、検出槽で検体の反応過程の細かい時間変化を検出できるので、検出範囲の拡大を図ることができる。
【0012】
また、本発明の微小化学システムは、前記攪拌調整槽と前記検出槽とを接続している流路の途中に反応槽が設けられており、前記攪拌調整層と前記反応槽との間、及び、前記反応槽と前記検出槽と間が、それぞれ流路を介して接続されていることが好ましい。これによると、反応槽において、反応を促進したり、特定の試料または試料の特定部位のみの反応を起こしたりできるので、試料の選択性を向上できる。
【0013】
また、本発明の微小化学システムは、前記前記反応層が位置するディスクに粒径10μm以下の金属微粒子が含有されていることが好ましい。なお、金属微粒子として、例えば、金又は銀の微粒子を用いることができる。これによると、金属微粒子が、流路又は反応層の表面に現れ、抗原又は抗体として固定化される。したがって、反応がより促進するとともに、反応の精度がより向上する。なお、金属微粒子の粒径が10μmよりも大きい微粒子が含有されていると、金属微粒子が流路又は反応層の表面に抗原又は抗体として固定化されにくくなる。
【0014】
また、本発明の微小化学システムにおいて、前記反応槽が位置するディスクが、流路を内部に有する孔が多数穿設された酵素免疫測定用素子であり、前記孔の内部の前記流路同士が内部において交差しているとともに、前記孔の内部の前記流路の内壁表面に所定の抗体又は抗原が固定されていることが好ましい。
【0015】
これによると、流路の表面積を従来よりも大幅に向上させると共に、試料や試薬の液体が通過する際に発生するミキシング(混合)効果をより向上させることができる。その結果として、従来に比べ感度の高くかつ高速で行える酵素免疫測定が可能な微小化学システムを提供できる。また、拌調整槽が位置するディスクの孔の端部の溶液の表面張力及び回転装置による遠心力とのつりあいにより、拌調整槽が位置するディスク内部に試料や試薬の溶液が送液することを抑止でき、バルブの効果を奏する。さらに、キャピラリー(毛細管)の束構造を有しているので、毛細管としての効果を奏する。
【0016】
また、本発明の微小化学システムにおいて、前記酵素免疫測定用素子の前記流路の内壁表面が薄膜で被覆形成されたものであり、前記薄膜の表面に前記抗体又は前記抗原が固定されていることが好ましい。なお、薄膜は、例えば、ニッケル、白金などの金属、ダイヤモンドライクカーボン、化合物又は生体適合性を有した高分子(アビジン等)を含有した薄膜を使用できる。これによると、流路表面に、所定の抗体又は抗原が高密度に安定して固定されるので、検出における感度をさらに向上させることができる。
【0017】
また、本発明の微小化学システムは、前記試料蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、前記試薬蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、及び、前記攪拌調整槽と前記検出槽との間を接続している流路のそれぞれの途中に設けられたバルブを有していることが好ましい。これによると、バルブを開閉によって試料及び試薬の送液を抑えることができるので、攪拌調整槽、反応槽及び検出槽などでおこなわれる各処理の際に試薬及び試料が流入又は流出することを抑えることができ、各操作の精度を向上できる。
特に、前記バルブは、相変化する材料を含んでいることが好ましく、例えば、相変化する材料として、例えば、パラフィン系の材料、高分子共重合体のプルロニックポリマーを用いることができる。これによると、温度や電磁波(光)などにより相変化(例えば、ゾル状やゲル状へ変化)させて、バルブの開閉(流路の広狭)を容易に操作できる。
【0018】
また、本発明の微小化学システムにおいて、前記攪拌調整槽の内壁表面に、抗原又は抗体が固定されていることが好ましい。これによると、攪拌調整槽の内壁表面に、所定の抗体又は抗原が高密度に安定して固定されるので、反応の前処理を効率的に行うことができる。なお、抗原又は抗体の代わりに、触媒を固定してもよい。
【0019】
また、本発明の微小化学システムは、前記ディスクの前記凸部が、前記検出槽と同軸上の位置に形成されており、前記孔と検出槽とが接続されているが好ましい。これによると、凸部及びに孔により生じるベンチュリー効果によって、検出槽へ試料を送液しやすくなる。特に、反応層又は攪拌調整槽に接続された流路位置が検出槽の底部にある場合でも、ベンチュリー効果によって検出槽の高位置にまで流体を送液させ、検出槽を満たすことができる。
【0020】
また、本発明の微小化学システム装置は、上述した微小化学システムと、前記積層体を回転させる回転装置とを備えていることが好ましい。これによると、回転装置によって微小化学システムを回転させて生じた遠心力によって、試料の攪拌、反応、検出などの各操作を自動的に行える。したがって、操作を簡便且つ短時間で行え、試薬や試料も少量に抑えることができる。また、従来生じていた人的な操作精度のばらつきの発生を抑止でき、再現性、信頼性、分析感度の向上を図ることができる。
【0021】
また、本発明の微小化学システム装置は、前記積層体へ電磁波を照射する照射手段を備えていることが好ましい。これによると、攪拌調整槽、反応槽、検出槽、バルブなどへ蛍光やレーザー光などの電磁波を照射できる。これによって、攪拌の促進、熱反応しにくいものの反応の促進、試料の特定部位又は特定試料の反応、常温下での反応を促進させることができ、選択性の向上、高速反応、高収率な微小化学システム装置を提供できる。また、光検出も可能とる。なお、照射手段は、光を照射するものに限らず、マイクロ波、弾性表面波や超音波等の電磁波を照射するものでもよい。例えば、マイクロ波を反応槽へ照射すれば金属ナノ粒子や有機金属錯体を合成することができ、攪拌調整槽へ弾性表面波を照射すれば試料の攪拌の精度をより向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に好適な実施形態を説明する。
【0023】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る微小化学システムおよびそれを用いた微小化学システム装置の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る微小化学システム装置の概略構成図である。図2は、図1の微小化学システム装置を構成する微小化学システムの斜視図である。図3は、図2の微小化学システムを構成する4枚のディスクの上面図である。図4は、図2のA−Aの断面模式図である。
【0024】
図1において、微小化学システム装置100は、微小化学システム1と、微小化学システム1を回転させる回転装置2と、微小化学システム1に対して光(電磁波)を照射する第1照射装置(照射手段)3,第2照射装置(照射手段)8とを備えている。そして、第1照射装置3から微小化学システム1へ照射された光で発生する蛍光を伝送する光ファイバ4aと、第1照射装置3から微小化学システム1へ照射された光で発生する吸収光を伝送する光ファイバ4bと、光ファイバ4a,4bで伝送された光を受光する分光器5と、分光器5で分光された光束を検出する検出器6と、検出器6によって検出した結果を分析するとともに、回転装置2に回転数を指令するパソコン7とをさらに備えている。ここで、光ファイバ4aは微小化学システム1の側面に近接して設けられており、光ファイバ4bは微小化学システム1の上面に近接して設けられている。
【0025】
微小化学システム1は、第1ディスク11と第2ディスク21と第3ディスク31と第4ディスク41とが上から順に同心円状に積層された積層体である。図3において、(a)は第1ディスク11、(b)は第2ディスク21、(c)は第3ディスク31、(d)は第4ディスクである。なお、図3では、説明の都合上、他のディスクに位置する流路や槽を点線で示している。そして、第1ディスク11、第2ディスク21、第3ディスク31及び第4ディスク41には流路が形成されており、この流路は、ディスクの面方向に形成された面方向の流路と、異なる層のディスクに形成された面方向の流路を接続する接続流路とを有している。なお、接続流路は、面方向に対して垂直方向に限られず、斜め方向などに形成されていてもよい。また、第1ディスク11、第2ディスク21、第3ディスク31及び第4ディスク41の材料には、例えば、X線で加工可能な材料として、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)やSU−8などのエポキシ系ネガ型レジスト、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂が用いられている。また、金型材料として、ニッケル、銅、金などを用いると微細構造体の作製ができる。また、熱可塑性樹脂、セラミックス等も用いることができる。
【0026】
面方向の流路および接続流路の途中には、試料蓄積槽12と、試薬蓄積槽32と、試料蓄積槽12の試料と試薬蓄積槽32の試薬とを攪拌する攪拌調整槽22と、攪拌調整槽22において調整された試料を検出する検出槽34とが設けられている。そして、試料蓄積槽12と攪拌調整槽22との間が第1流路13を介して接続されており、試薬蓄積槽32と攪拌調整槽22との間が第2流路33を介して接続されており、攪拌調整槽22と検出槽34とのの間が第3流路23を介して接続されている。また、攪拌調整槽22と検出槽34とを接続している第3流路23の途中に反応槽35が設けられており、攪拌調整槽22と反応槽35との間、及び、反応槽35と検出槽34と間が、それぞれ流路を介して接続されている。さらに、第1流路13の途中に設けられた第1バルブ15、第2流路33の途中に設けられた第2バルブ37、並びに、第3流路23の途中に設けられた第3バルブ25、第4バルブ38及び第5バルブ39を有している。ここで、第3バルブ25は攪拌調整槽22と反応槽35との間に位置し、第4バルブ38及び第5バルブ39は反応槽35と検出槽34との間に位置している。そして、第1バルブ15,第2バルブ37,第3バルブ25,第4バルブ38及び第5バルブ39は相変化する材料を含んでおり、本実施形態においては、光(電磁波)によって相変化する材料を含んでいる。さらに、検出槽34は円上に等間隔に設けられており、この検出槽34の各々の間にパルス発生マーカー40が等間隔に記載されている。
【0027】
試料蓄積槽12は、第1ディスク11に位置しており、図示しない試料注入口から注入された検体となる試料が蓄積され、試料の前処理などが行える。試料には、抗原又は抗体を用いることができ、例えば、試料に血液を用いた場合は、血液を血球と血清とに分離する血球分離槽として用いることができる。このとき、試料蓄積槽12において、血球は第1ディスク11の中心の外側、血清は第1ディスク11の中心側に移動する。なお、この前処理は、回転装置2によって微小化学システム1が回転して生じる遠心力によって行われる。そして、試料蓄積槽12の血清が移動した中心側に第1流路13が接続されている。
【0028】
攪拌調整槽22は、第2ディスク21に位置している。そして、攪拌調整槽22において、試料蓄積槽12から送液された試料と試薬蓄積槽32から送液された試薬との攪拌、調整等が行われる。
【0029】
試薬蓄積槽32は、第1ディスク11と第2ディスク21とに連通した槽であり、図示しない試薬注入口から注入された試薬が蓄積されている。試薬には、試料に用いられる抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原で構成されたものを用いることができる。
【0030】
検出槽34は、第2ディスク21、第3ディスク31、及び、第4ディスク41の一部に連通した略円筒状の槽である。そして、検出槽34は第1ディスク11に厚み方向に形成された細い孔16にも連通している。また、検出槽34には第2ディスク21上面から第3ディスク31下面にかけて膜24が設けられており、この膜24によって第2照射装置8から検出槽34へ照射された光が蛍光として集光されて、光ファイバ4aを介して検出器6へ導かれる。ここで、膜24には、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、パラキシリレン系樹脂又は表面に白金をコーティングしたものを用いることができる。そして、第2照射装置8から検出槽34へ照射された光のうち蛍光以外の光は、吸収光として光ファイバ4bを介して検出器6へ導かれる。なお、第2照射装置8からディスクの厚み方向に検出槽34へ電磁波が照射され光検出が行われるが、検出槽34が第2ディスク21、第3ディスク31、及び、第4ディスク41に連通した槽であるので、光検出に必要な光路を十分に確保できる。また、積層体の回転によって生じる遠心力及び検出槽34に連通した孔16によって生じる毛細管現象によって、反応槽35から送液された試料及び試薬が検出槽34の第2ディスク21上面まで満たされる。
【0031】
反応槽35は、流路を内部に有する細孔を複数束ねた構造を備えている。ここで、細孔の断面は丸形、楕円形、四辺形など様々な形状とすることができ、断面の最大長さが3mm以下である。また、細孔の表面には抗原又は抗体が固定化されていたり、触媒がコーティングされていたりすることが好ましい。本実施形態においては、抗原が固定化されており、この抗原によって攪拌調整槽22から送液された流体(A)が異なる流体(B)へ変化している。なお、反応槽35の位置する第3ディスクに粒径10μm以下の金属微粒子を含有させておくと、金属微粒子が反応層の表面に現れ、抗原又は抗体として固定化させることができる。なお、金属微粒子として、金又は銀の微粒子を使用できる。
【0032】
なお、反応槽35への抗原又は抗体の固定方法は、公知の手法(例えば、2抗体固相法、1抗体固相法、固相化抗原と酵素標識抗体を用いる競合法、サンドイッチ法、イムノエンザイモメトリック法などのELISA法の規定の手技)を用いることができるが、これらに限られない。また、抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体などが挙げられる。抗原としては、ノニルフェノール、ダイオキシン等の低分子化合物、腫瘍マーカーなどのタンパク質、ウィルス粒子、細胞などが挙げられる。なお、抗体又は抗原の代わりに、触媒を固定してもよい。また、反応槽35の内壁表面に、抗原、抗体又は触媒などが固定されていないものを用いてもよい。なお、別の方法として、攪拌調整槽22の内壁表面に薄膜を被覆してもよい。この薄膜を第3ディスク31の材料と異なる材料とすることによって、薄膜を抗原や抗体等として内壁表面に固定化できる。なお、ディスクには、例えば、樹脂や金属を用いることができ、薄膜には、例えば、Pt,Au,Ti,TiO,SiO,Ag,アビジン等のたんぱく質の生体高分子や触媒をコーティングして薄膜を被覆することができる。
【0033】
図2,3に示すように、第1流路13は途中で分岐しており、1の試料蓄積槽12から複数の攪拌調整槽22へ試料を導く流路である。また、第2流路33も同様に、途中で分岐しており、1の試薬蓄積槽32から複数の攪拌調整槽22へ試薬を導く流路である。そして、図4に示すように、第1流路13と第2流路33とは途中で接続されている。第3流路23は、攪拌調整槽22に送液された流体を反応槽35及び検出槽34へ導く。ここで、流体とは、液体や気体を含んだ液体などである。なお、攪拌調整槽22に接続された第3流路23の複数が1の反応槽35へ接続されていてもよい。また、本実施形態では、第1流路13が試料蓄積槽12の血清の位置する中心側に接続されている。
【0034】
第1バルブ15,第2バルブ37,第3バルブ25,第4バルブ38及び第5バルブ39とは、照射装置8から照射された光を受けると開き、照射されていないときや照射が停止されるとバルブは閉じる。なお、第1バルブ15,第2バルブ37,第3バルブ25,第4バルブ38及び第5バルブ39に、逆止弁や自動弁を用いてもよい。また、試料蓄積槽12に連通した試料注入口が設けられたディスクを、第1ディスク11の上面に積層してもよい。
【0035】
回転装置2は、コンピューター(制御装置)7から指令された回転数又は回転速度をもとに、積層体1を回転させる装置である。このとき、第1ディスク11と第2ディスク21と第3ディスク31と第4ディスク41とは同時に回転する。なお、回転軸は、第1ディスク11と第2ディスク21と第3ディスク31と第4ディスク41との中心軸である。なお、回転数や回転速度が、前処理、攪拌、反応、検出などの各々の操作に応じて、回転装置2による積層体の回転数が制御される。
【0036】
第1照射装置3(照射手段)は、検出槽34に対して積層体の軸方向に光(電磁波)を照射するものである。また、第2照射装置8は、第1バルブ15,第2バルブ37,第3バルブ25及び第4バルブ38及び第5バルブ39に対して、光(電磁波)を照射するものである。なお、第1照射装置3と第2照射装置8が1の装置でもよい。また、第1照射装置3及び第2照射装置から照射されるものは光に限られず、波(例えば、マイクロ波、レーリー波)、レーザー光などを照射するものでもよい。さらに、第1照射装置3及び第2照射装置8は可動自在なもので、反応槽35に対して光、マイクロ波、レーリー波などを照射することができるものでもよい。
【0037】
光ファイバ4a、4bは、検出槽34に照射された光を分光器5に伝送するものである。また、分光器5は、光ファイバ4a、4bに接続するように設けられており、光ファイバ4から伝送された光を受光して、受光した光を分光や測定してスペクトル化する装置である。さらに、検出器6は、分光器5に接続され、分光器5においてスペクトル化された測定結果を測定する装置である。そして、コンピューター(制御装置)7において、検出器6で測定した結果の保存、整理などの処理が行われる。なお、コンピューター(制御装置)7は、回転装置2に対して指示して回転数を制御する装置であり、各操作に応じた積層体の回転数を回転装置2に対して指示する。
【0038】
次に、ディスク1の積層方法について、図5〜図7を用いて具体的に説明する。ここで、図5の(a)〜(f)のそれぞれは、反応槽35の流路を内部に有する細孔を複数束ねた構造の製造工程を示す図である。また、図6の(a)〜(d)のそれぞれは、第1ディスク11と、第2ディスク21と、第3ディスク31と、第4ディスク41とを積層して接合する接合工程の一例を示す図である。さらに、図7の(a)〜(c)のそれぞれは、ディスクの面方向の流路を作製する工程の一例を示す図であり、(d)〜(f)のそれぞれは、異なる層のディスクに形成された面方向の流路を接続する接続流路を作製する工程の一例を示す図であり、(g)は、これらの工程により作製したディスクを接合させたディスクの断面図である。
【0039】
まず、図5を参照しつつ、第2ディスク21の製造方法について説明する。(a)に示すX線リソグラフィーによりレジスト構造体(b)を作製する。このレジスト構造体に電鋳を施し、逆の構造を電鋳膜に転写することによりこの構造体の成形用金型を作製する(c)。成形用金型を用いて(d)に示す成形工程により構造体を製造する(e)。なお、(f)は(c)に示す成形用金型を上下反転させたものである。この一連の製法は、X線を利用したX線リソグラフィー、電界メッキ技術の一種である電鋳、そして、成形の三つの工程からなる。なお、最終成形した(e)だけでなく、X線リソグラフィーで作製した構造体(b)及び成形用金型(f)も反応槽35、流路又は攪拌調整槽22に用いていることができる。
【0040】
次に、図6を参照しつつ、樹脂でできた、第1ディスク11と、第2ディスク21と、第3ディスク31と、第4ディスク41とを積層して接合する工程について説明する。まず、図5((b),(e))に示す方法で製造した第3ディスク31と第4ディスク41とを上から順に、同心円状に位置するように位置合わせをして積層し、加熱・加圧により無接着剤で接合する(図6(a))。次に、第2ディスク21と、接合された第3ディスク31及び第4ディスク41とを、同心円状に位置するように位置合わせをし、一番上に第2ディスク21がくるように積層して、加熱・加圧により無接着剤で接合する(図6(b))。そして、第1ディスク11と、接合された第2ディスク21、第3ディスク31及び第4ディスク41とを、同心円状に位置するように位置合わせをし、一番上に第1ディスク11がくるように積層して、加熱・加圧により無接着剤で接合する(図6(c),(d))。本実施形態においては、第1ディスク11と第2ディスク21と第3ディスク31と第4ディスク41とが樹脂でできているので、接着剤を用いることなく、第1ディスク11と第2ディスク21と第3ディスク31と第4ディスク41とを接合することができる。これにより、接着剤を用いた場合に生じる接着層の厚みを考慮する心配がなく、微細な積層構造を形成することができる。
【0041】
次に、図7を参照しつつ、ディスク1における試薬又は試料の流路の作製方法の他の一例について説明する。まず、ディスク1における平面流路の作製工程(第1ディスク11、第3ディスク31及び第4ディスク41の作製工程)の一例を説明する。基板に、流路となる大きさのSU−8を載せ(a)、基板及びSU−8の上にシリコンゴム(PDMS)を載せ(b)、流路が形成されたシリコンゴム(PDMS)を基板及びSU−8から剥離する(c)。続いて、ディスク1の平面に対して垂直な方向の流路の作製工程(第2ディスク21)の一例を説明する。流路となる位置に孔を形成したマスクを作製し(d)、感光性樹脂の上にマスクを配置させ、マスクの上から感光性樹脂にUV又はX線を照射してパターニングを行う(e)。この照射によって、感光性樹脂に流路を形成する(f)。そして、作製したシリコンゴム(PDMS)及び感光性樹脂を、シリコンゴム、感光性樹脂、シリコンゴムの順に上から積層し接合する(g)。なお、この作製工程によると、シリコンゴム(PDMS)が自己接着性を有しているので、図6に示すような加熱・加圧処理を必要とせずに接合・封止ができる。
【0042】
次に、微小化学システム装置100及び微小化学システム1の操作方法及び流体の送液を、図8,9を用いて具体的に説明する。図8は試料として血液を用いた際のディスク1の回転数と時間との関係を示す図、並びに、第1バルブ15,第2バルブ37,第3バルブ25,第4バルブ38及び第5バルブ39の開閉と時間との関係を示す図である。図9の(a)〜(d)のそれぞれは、ディスク1において、試料及び送液される工程を示す図である。なお、図8(b)の一点鎖線の範囲はバルブを開いておいても閉じておいてもよい。
【0043】
まず、図示しない試料注入口から試料を注入し、試料蓄積槽12に試料を蓄積する。そして、図8のAに示す回転数で回転装置2によってディスク1を回転させ、試料蓄積槽12において、試料を前処理する。ここで、前処理操作が行われている間は、第1バルブ15は閉じられている。そして、この閉じた第1バルブ15によって、試料が攪拌調整槽22へ移動することを抑止できる。なお、前処理とは、例えば、試料が血液の場合、血球と血清とを遠心分離する処理がある。この場合、図3(a)に示すように、微小化学システム1の円の中心側に血球が移動し、微小化学システム1の円の径方向の外側に血清が移動して分離する。この操作が終了すると、微小化学システム1の回転を停止する。なお、前処理の内容にあわせて。前処理後の微小化学システム1の回転を続けてよい。
【0044】
次に、図示しない試薬注入口から試薬を注入し、試薬蓄積槽32に試薬を蓄積する。ここで、試薬蓄積槽32に試薬を蓄積している間は、第2バルブ37を閉じておく。そして、この閉じた第2バルブ37によって、試薬が攪拌調整槽22へ移動することを抑止できる(図9(a))。
【0045】
そして、照射装置8から第1バルブ15及び第2バルブ37へ電磁波(レーザー光)を照射し、第1バルブ15及び第2バルブ37を開くとともに、回転装置2でディスク1の回転数を増加させ、図8のBに示す前処理の回転数と異なる回転数(前処理の回転数よりも少ない回転数)で微小化学システム1を回転させる。これによって、試料(血清)及び試薬が攪拌調整槽22へ移動し、攪拌調整槽22において試料(血清)及び試薬が攪拌される。なお、電磁波(レーザー光)の照射を停止すると第1バルブ15及び第2バルブ37が閉じるので、電磁波(レーザー光)の照射する時期を調整することによって試料及び試薬の量と調整できる。また、攪拌や混合が行われている間は、第3バルブ25は閉じられている。そして、この閉じられた第3バルブ25によって、試料が、反応槽35及び第3バルブ25よりも下流側の第3流路23へ送液されることを抑止できる(図9(b))。なお、例えば、図4に示すように、混合槽の内壁表面に抗原又は抗体が固定されていると、試料の濃度を変化させたり、別の物質へ変化させたりすることができる。また、混合槽の内壁表面に触媒を固定していれば、触媒反応が起こり、試料を別のものにすることができる。
【0046】
次に、回転装置2によって、さらに回転数を増加させ、図8のCに示す攪拌、混合の回転数と異なる回転数(攪拌、混合の回転数よりも少なく、前処理の回転数よりも多い回転数)で微小化学システム1を回転させ、第3バルブ25を開く。これによって、試料(血清)及び試薬が攪拌調整槽22から第3流路23を通過して反応槽35へ送液される(図9(c))。そして、反応槽35に第2照射装置8から電磁波(レーザー光)を照射すると、反応槽35における試料の反応の励起や促進を向上させることができる。なお、試料の反応が行われている間は、第4バルブ38は閉じられているので、反応槽35で生成された反応生成物が検出槽34へ移動することが抑止される。
【0047】
試料の反応終了後、電磁波(レーザー光)を照射して第4バルブ38及び第5バルブ39を開き、回転数をさらに増加し、図8のDに示す反応の回転数と異なる回転数で微小化学システム1を回転させる。この回転により生じた遠心力で、反応生成物が反応槽35から第2流路23を通過して検出槽34へ送液され、検出槽34全体が試料で満たされる。ここで、孔16が細いため、毛細間現象によって第4ディスク41から送液された反応生成物が、第2ディスク21にまで流れ、検出槽34全体が反応生成物で満たされる。その後、反応生成物が第4ディスク41側へ逆流しないように、回転装置2によって図8のEに示す回転数へ変化させるとともに、第5バルブ39への電磁波(レーザー光)の照射を停止することによって第5バルブ39を閉じて検出槽34に反応生成物が満たされた状態を維持する(図9(d))。なお、回転数は、図8に示す回転数に限られず、各処理を行える好ましい回転数に調整してよい。
【0048】
次に、微小化学システム1を図8のFに示す検出に適した回転数で回転させ、第1照射装置3から積層体の積層方向に検出槽34へ電磁波(光)を照射する。反応生成物に照射された光は透過光若しくは蛍光となる。そして、蛍光は、膜24によって集光され、ディスク1の径方向(図8(d)の矢印方向)へ導かれ分光器へ伝送される。そして、複数の各試料からの酵素反応による吸光度変化もしくは試料からの透過光若しくは蛍光を分光し、得られたスペクトルのピーク位置及び強度を測定し反応生成物の測定を行う。具体的には、第1照射装置3から検出槽34に光が照射され、酵素反応による吸光度変化もしくは反応生成物からの蛍光が光ファイバ4aによって分光器5に伝送される。また、反応生成物からの吸収光が光ファイバ4bによって分光器5に伝送される。そして、伝送された透過光若しくは蛍光を分光器5で受光し分光してスペクトル化する。そして、得られたスペクトルのピーク位置及び強度を検出器6によって測定し、この測定したデータをコンピューター(制御装置)7において保存、整理する。
【0049】
なお、本実施形態において、図8に示す回転数で微小化学システム1を回転したが、図8に示す回転数に限られるものではない。例えば、本実施形態にかかる微小化学システムの代わりに、反応槽35のない微小化学システムを用いた場合は、検出の際に図8の一点鎖線で示すような高速回転でディスク1を回転すると、検体の反応過程の細かい時間変化を分析することができる。
【0050】
本実施形態によると、2次元(平面)方向だけでなく3次元方向へ液体又は液体中の気体などの流体を遠心力によって移送できるので、流路内における反応、攪拌、検出などの処理が精度良く行える。また、試料の前処理、混合、反応、分離、抽出、検出などの各操作を一の装置に集積して行える。これにより、装置の小型化及び軽量化を図ることができ、試料や試薬が従来よりも少量に抑えられる。また、微小化学システム1のディスクの平面に対して垂直方向に形成された槽を利用するので、従来よりも攪拌に必要な場所や反応に必要な容量及び表面積、さらには、光検出に必要な光路が十分得られ、各操作の精度や分析感度が向上できる。これによって、一の装置で、多数の試料(検体)の検出や処理が同時にできるとともに、各操作を短時間で行える。さらに、検出槽で検体の反応過程の細かい時間変化を検出できるので、検出範囲の拡大を図ることができる。
【0051】
また、攪拌調整槽22が細孔を複数束ねられているので、流路の表面積を大幅に増大させることができ、流体の送液、攪拌、反応などの各処理の効率を大幅に向上させることができる。
【0052】
また、反応槽35において、反応を促進したり、特定の試料または試料の特定部位のみの反応を起こしたりできるので、試料の選択性を向上できる。なお、本実施形態においては反応槽35を備えた微小化学システム1を用いたが、反応槽35のないものを用いれば、検出槽34で検体の反応過程を検出できるので、検出範囲の拡大を図ることができる。また、反応槽35の内壁表面に抗原や抗体等を高密度に安定して固定することができるので、攪拌や反応などの処理の精度をより向上させることができる
【0053】
また、流路の途中に設けられた第1バルブ15と第2バルブ37と第3バルブ25と第4バルブ38と第5バルブ39とを開閉することによって試料の送液を抑えることができるので、試料蓄積槽、攪拌調整槽及び検出槽における各操作の精度を向上できる。また、第1バルブ15,第2バルブ37,第3バルブ25,第4バルブ38及び第5バルブ39に相変化する材料が含まれているので、バルブの開閉(流路の広狭)を容易に操作できる。
【0054】
また、攪拌調整槽22の内壁表面に、所定の抗体又は抗原、及び、触媒が高密度に安定して固定されているので、反応の前処理を効率的に行うことができる。
【0055】
また、回転装置2によって微小化学システム1を回転させて生じた遠心力によって、試料の攪拌、反応、検出などの各操作を自動で行える。これによって、操作を簡便且つ短時間で行え、試薬や試料も少量に抑えることができる。また、従来生じていた人的な操作精度のばらつきの発生を抑止でき、再現性、信頼性、分析感度の向上を図ることができる。
【0056】
また、第1照射装置3及び第2照射装置8から攪拌調整槽、反応槽、検出槽、光バルブなどへ蛍光やレーザー光を照射できる。これによって、攪拌の促進、熱反応しにくいものの反応の促進、試料の特定部位又は特定試料の反応、常温下での反応を促進させることができ、選択性の向上、高速反応、高収率な微小化学システム装置を提供できる。また、光検出も可能とる。なお、照射装置は、光を照射するものに限らず、マイクロ波や弾性表面波を照射するものでもよい。例えば、マイクロ波を反応槽へ照射すれば金属ナノ粒子や有機金属錯体を合成することができ、攪拌調整槽へ弾性表面波を照射すれば試料の攪拌の精度をより向上できる。
【0057】
また、本実施形態において、攪拌調整槽22に弾性表面波などの電磁波を照射する第3照射装置(図示せず)をディスクの上方やディスクの近い位置に設けてもよい。第3照射装置によって、攪拌調整槽22へ弾性表面波や超音波を照射できるので、攪拌調整槽22における混合や攪拌を促進させることができ、反応の促進や検出の感度をより向上できる。なお、第2照射装置から照射されるものは、攪拌調整槽における混合や攪拌を促進させるものであれば、弾性表面波や超音波に限られない。
【0058】
また、本実施形態において、第1流路13、第2流路33、第3流路23、攪拌調整槽22及び反応槽35の内壁表面に薄膜が被覆されており、薄膜が第1ディスク11、第2ディスク21、第3ディスク31及び第4ディスク41の材料と異なる材料からなるものとしてもよい。このような構成にすることで、流路の内壁表面に抗原や抗体等を高密度に安定して固定できるので、攪拌や反応などの処理の精度や速度及び効率をより向上させることができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、本発明の第1実施形態における第3ディスクの他の実施形態について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る第3ディスク(酵素免疫測定用素子)の本体の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)であって、(a)が斜視写真、(b)が断面写真である。図11は、図10に示した酵素免疫測定用素子の本体の製造工程を順に示す図である。図12の(a)は、本実施形態にかかる第3ディスクを第1実施形態に係る微小化学システムに用いた際の微小化学システムの一部(第2ディスクの下面と第4ディスクの上面との間)を示す斜視図であり、(b),(c)は、(a)における試料の送液工程の一部を示す図である。
【0060】
図10(a)、図10(b)に示すように、本実施形態に係る第3ディスク231(酵素免疫測定用素子)の本体は、流路を内部に有する孔(50μm以下の径)が多数穿設されたものであって、前記流路同士が内部において交差している。そして、この孔が、第1実施形態における反応槽35及び第2流路23となる。そして、図示しないが、この流路の内壁表面に、所定の抗体又は抗原を固定させることによって、酵素免疫測定用素子となる。なお、抗体又は抗原の代わりに触媒を固定させてもよい。この所定の抗体又は抗原の固定には、公知の手法(例えば、2抗体固相法、1抗体固相法、固相化抗原と酵素標識抗体を用いる競合法、サンドイッチ法、イムノエンザイモメトリック法などのELISA法の規定の手技)を用いることができるが、これらに限られない。
【0061】
本実施形態に係る第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231の本体は、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ系感光性樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の感光性樹脂を用いて形成されている。
【0062】
本実施形態で用いられる抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体などが挙げられる。抗原としては、ノニルフェノール、ダイオキシン等の低分子化合物、腫瘍マーカーなどのタンパク質、ウィルス粒子、細胞などが挙げられる。
【0063】
次に、図11を用いて、本実施形態に係る第2ディスク(酵素免疫測定用素子)231の本体の製造方法を説明する。なお、ここでは、70eV以上の光子エネルギーを有する軟X線もしくは硬X線を用いた感光性樹脂のリソグラフィー加工技術を用いる。
【0064】
まず、所定数の孔が形成されているX線マスク251を、感光性樹脂252のX線253照射側表面に設置する。続いて、X線253照射方向に対し、X線マスク251及び感光性樹脂252を所定角度傾斜させてから、X線253をX線マスク251に向けて照射し、感光性樹脂252の所定部分を感光させ、感光部252aを形成する(図11(a)参照)。次に、一旦、X線253の照射を止めてから、X線マスク251及び感光性樹脂252を逆に所定角度傾斜させ、再度、X線253をX線マスク251に向けて照射し、感光性樹脂252の所定部分を感光させ、感光部252bを形成する(図11(b)参照)。そして、現像液を用いて、感光部252a,252bを溶解させ、交差する流路254を成形(現像)することによって、本実施形態に係る第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231の本体が完成する(図11(c)参照)。また、この第2ディスク(酵素免疫測定用素子)231の本体に、所定の抗体又は抗原を固定させることによって、本実施形態に係る第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231が完成する。
【0065】
なお、上記製造方法では、単に1つの本体を製造する場合について説明したが、大量生産する場合は以下の方法を用いることができる。すなわち、まず、上記製造方法で図11(a)まで行った後、現像液を用いて、感光部252aを溶解させる。そして、これに電鋳を行って、感光部252aと同形状である突起部を有した第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231の本体製造用の金型を作製する。この金型を用いて、一度樹脂を斜めに打ち抜いて感光部252aと同形状の孔を形成した後、この孔に再度挿し込んで、図11(b)の感光部252bと同形状の孔を形成するように、再度樹脂を斜めに打ち抜くことによって、図11(c)に表した第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231の本体を製造することができる(いわゆるエンボス加工)。したがって、上記金型により、第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231の本体を大量生産することができる。なお、金型の材料としては、ニッケル、金、白金、銅、モリブデン、タングステン、コバルト、及びこれらの合金等の金属が挙げられる。
【0066】
次に、本実施形態に係る第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231を第1実施形態にかかる微小化学システム100の第3ディスク31の代わりに用いた、図12(a)に示す微小化学システムを用いた場合の試料の送液工程を説明する。なお、第1実施形態における第1ディスク,第2ディスク及び第4ディスクにおける送液工程と、本実施形態における図示しない第1ディスク,第2ディスク及び第4ディスクにおける送液工程とは、同様のものであるので、説明を省略することがある。
【0067】
図示しない試料蓄積槽で処理された試料を第3ディスク231へ送液すると、図12(b)に示すように、第3ディスク231のフィルター効果によって、試料は、第3ディスク231に送液されることなく、第3ディスク231表面上に維持されている。そして、図12(b)の矢印で示す方向へ遠心力による圧力を加え、試料(反応生成物)を第3ディスク231内および第3ディスク231下へ送液する。
【0068】
ここで、本実施形態に係る第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231内に試料を送液した場合の試料の様子の一例を説明する。第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231の孔の中へ「抗原となる被検物質と、当該被検物質と酵素もしくは蛍光標識された抗体を結合した複合体」を混合した試料溶液を送液し、第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231の流路中で保持させながら競合的に抗原抗体反応を行う。
【0069】
続いて、第3ディスク231内で上述のような抗原抗体反応や触媒反応が終了した後、加えられた圧力によって、試料が第3ディスク231と第4ディスクとの間の空間に保持され、図示しない第4ディスクへ送液する。第4ディスク内では、回転装置によって回転数をさらに変化させると、試料が検出槽へ送液する。
【0070】
そして、図示しない検出槽において、被検物質の同定と濃度を測定する。なお、被検物質の同定と濃度の測定は、本実施形態に係る第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231から溶出させた上記複合体を、第1実施形態と同様に、酵素反応による吸光度変化もしくは上記複合体からの透過光又は蛍光を分光し、得られたスペクトルのピーク位置及び強度を測定することによって行う。ここで、「抗原となる被検物質と、当該被検物質と酵素もしくは蛍光標識された抗体を結合した複合体」の例としては、上述した抗原とパーオキシダーゼとの複合体、上述した抗体とパーオキシダーゼとの複合体などが挙げられる。また、パーオキシダーゼの代わりに、ホスファターゼ、βガラクトシダーゼなどのように反応産物が蛍光または吸光により検出可能な酵素、又は、ルシフェラーゼのように発光反応を触媒とする酵素のいずれかを適用した複合体であってもよい。他の例としては、蛍光を発する低分子化合物と抗原(または抗体)との複合体が挙げられる。また、溶液の溶媒には、水又は/及び有機溶媒を用いる。
【0071】
上記構成の第3ディスク(酵素免疫測定用素子)231を第1実施形態に係る微小化学システムに用いると、第1実施形態に係る微小化学システムと同様の効果が得られる。また、流路の表面積を従来よりも大幅に向上させると共に、液体が通過する際に発生するミキシング効果を奏することができる。その結果として、従来に比べ感度の高くかつ高速で行える酵素免疫測定が可能な微小化学システムを提供できる。
【0072】
なお、一変形例として、流路の内壁表面には、例えば、ニッケル、白金などの金属、ダイヤモンドライクカーボン、化合物又は生体適合性を有した高分子(アビジン等)を含有した薄膜が被覆されていてもよく、この薄膜の表面に所定の抗体、抗原又は触媒が固定されていてもよい。これにより、流路表面に、所定の抗体又は抗原が高密度に安定して固定されるので、さらに酵素免疫測定における感度を向上できるとともに、高速で行うことができる。
【0073】
<第3実施形態>
次に、本発明の第1実施形態における微小化学システムの他の実施形態について説明する。図13は本発明の第3実施形態に係る微小化学システム装置の概略構成図である。図14は、図13の微小化学システム301のB−Bの断面模式図である。図15の(a)は、本発明の第3実施形態に係る第1ディスクの斜視図、(b)は(a)の凸部の断面模式図である。図16(a)は、図15の第1ディスクの変形例の斜視図、(b)は(a)の凸部の断面模式図である。なお、第1実施形態における符号1〜41がふられている各部と、本実施形態において符号301〜341がふられている各部及び本変形例において符号411〜413,415,434がふられている各部とは、順に同様のものであるので、説明を省略することがある。
【0074】
第1実施形態と第3実施形態との異なる点を図13〜15を参照しつつ説明する。第3実施形態は、(1)第1ディスク301が、第2ディスク321と反対側の表面に凸部317を有しており、凸部317に検出槽に連通した孔が形成されている点、(2)検出槽334に膜が設けられていない点、(3)光ファイバ304が微小化学システム300の底面の検出槽334と同軸上に近接して設けられており、第1照射装置303から検出槽334へ照射された電磁波の吸収光を光ファイバ304によって受けている点、及び、(4)第3ディスク31に粒径10μm以下の金属微粒子が含有されている点において第1実施形態と異なる。なお、この凸部は検出槽と同軸上に形成されている。なお、金属微粒子は、金又は銀の微粒子を用いることができる。
【0075】
図15に示すように、第1ディスクは、第2ディスクと反対側の表面の検出槽334と同軸上の位置に直方体の凸部317が形成されている。そして、凸部317の凸方向に貫通した孔316が第4ディスク341に形成されており、この孔316が検出槽334に連通している。なお、凸部317は、直方体をしているものに限られず、図16に示すように半円形型の凸部417や三角形型の凸部のものであってもよい。
【0076】
本実施形態に係る微小化学システム装置によると、第1実施形態に係る微小化学システム装置と同様の効果が得られる。また、回転装置302及び遠心力凸部317及び孔316により生じるベンチュリー効果によって、第4ディスク341から送液された試料を検出槽334の第2ディスク321の位置にまで流体を送液させ、検出槽334を満たすことができる。また、ベンチュリー効果によって生ずる流路入口(検出槽334入口)と流路出口(孔316出口)との圧力差によって、流路中の液体を輸送する力が遠心力に加わる。その結果、図8に示す各ステップ(分離、混合、反応、送液、検出等)の回転数を下げることができる。これによって、送液に伴う乱流の発生及び乱流による気泡の生成を抑えることができ、各ステップ毎の送液の精度を向上させることが出来る。
【0077】
なお、本実施形態において、第3ディスク31に粒径10μm以下の金属微粒子が含有されているものを用いてもよい。これによって、この金属微粒子が反応槽の内壁表面に現れ、抗原又は抗体として固定化される。この結果、試料の反応をより促進できるとともに、反応の精度をより向上させることができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態の微小化学システムおよび微小化学システム装置について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、攪拌調整槽が第2ディスクに位置し、反応槽が第3ディスクに位置するが、各槽の位置は本実施形態に示すディスクに限られない。また、回転数の変化は、第1実施形態に示す回転数に限られない。
【0079】
また、本実施形態において、第2流路の途中に反応槽を設けた微小化学システムを用いたが、反応槽を設けずに、検出槽において反応を行ってもよい。これにより、検出槽において試料の反応過程の細かい時間変化を検出することができるので、検出範囲がより広くなる。このとき、反応及び検出の際に、図8に示す2点鎖線の回転数のような高速回転でディスクを回転すると、反応過程をより精度よく検出できる。また、反応槽を設けずに、攪拌調整槽において、攪拌及び反応をおこなってもよい。
【0080】
また、本実施形態に係る微小化学システムに用いる試料は、血液に限られず、例えば、食中毒菌(O157、サルモネラ菌)、環境ホルモン、癌の細胞などを用いることができ、などの医療、環境、食料等、の様々な分野において利用することができる。
【0081】
また、本実施形態において、流路の途中に槽が設けられているが、槽を設けることなく流路の途中で混合、反応、検出を行ってもよい。さらに、各槽及び流路の位置は本実施形態に示すディスクに位置する場合に限られず、異なるディスクに位置してもよい。
【0082】
また、第1実施形態において、流路を内部に有する細孔を複数束ねたものを反応槽に用いているが、反応槽に限られず、攪拌調整槽や第3流路に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態に係る微小化学システム装置の概略構成図である。
【図2】図1の微小化学システム装置を構成する微小化学システムの斜視図である。
【図3】図2の微小化学システムを構成する4枚のディスクの上面図である。
【図4】図2のA−Aの断面模式図である。
【図5】(a)〜(f)のそれぞれは、図2の反応槽の製造工程を示す図である。
【図6】(a)〜(d)のそれぞれは、図3の第1ディスクと、第2ディスクと、第3ディスクと、第4ディスクとを積層して接合する接合工程を示す図である。
【図7】(a)〜(c)のそれぞれは、図2のディスクの平面流路を作製する工程を示す図であり、(d)〜(f)のそれぞれは、図2のディスクの異なる層のディスクに形成された面方向の流路を接続する接続流路を作製する工程の一例を示す図であり、(g)は、これらの工程により作製したディスクを接合させたディスクの断面図である。
【図8】図1の微小化学システムに試料として血液を用いた際のディスクの回転数と時間との関係を示す図である。
【図9】(a)〜(d)のそれぞれは、図2のディスクにおいて、試料及び送液される工程を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る第2ディスク(酵素免疫測定用素子)の本体の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)であって、(a)が斜視写真、(b)が断面写真である。
【図11】図10の酵素免疫測定用素子の本体の製造工程を順に示す図である。
【図12】(a)は、本実施形態にかかる第2ディスクを第1実施形態に係る微小化学システムに用いた際の微小化学システムの一部を示す斜視図であり、(b),(c)は、(a)における送液工程の一部を示す図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る微小化学システム装置の概略構成図である。
【図14】図13の微小化学システムのA’−A’の断面模式図である。
【図15】(a)は、本発明の第3実施形態に係る第1ディスクの斜視図、(b)は(a)の凸部の断面模式図である。
【図16】(a)は、図15の第1ディスクの変形例の斜視図、(b)は(a)の凸部の断面模式図である。
【符号の説明】
【0084】
1 微小化学システム
2 回転装置
3 第1照射装置
4a,4b 光ファイバ
5 分光器
6 検出器
7 コンピューター(制御装置)
8 第2照射装置
11,211,311 第1ディスク
12 試料蓄積槽
13 第1流路
34,334 検出槽
15 第1バルブ
16,316 孔
21,231 第2ディスク
22 攪拌調整槽
23 第3流路
24 膜
25 第3バルブ
31 第3ディスク
32 試薬蓄積槽
33 第2流路
35 反応槽
37 第2バルブ
38 第4バルブ
39 第5バルブ
40 パルス発生マーカー
41 第4ディスク
100 微小化学システム装置
251 X線マスク
252 感光性樹脂
252a,252b 感光部
253 X線
254 流路
317,417 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの回転により生じる遠心力によってディスクに形成された流路に流体を移送する微小化学システムであって、
前記ディスクを2層以上積層した積層体を備え、
前記流路が、前記ディスクの面方向に形成された面方向の流路と、異なる層の前記ディスクに形成された前記面方向の流路を接続する接続流路とを有していることを特徴とする微小化学システム。
【請求項2】
前記積層体の最上層のディスクの表面に凸部を有しており、
前記凸方向に前記凸部を貫通し、且つ、前記ディスクに形成された流路に接続した孔を有していることを特徴とする請求項1に記載の微小化学システム。
【請求項3】
前記ディスクに形成された流路の少なくとも一部が、細孔を複数束ねたものであり、
前記細孔の断面の最大長さが3mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微小化学システム。
【請求項4】
前記ディスクに形成された流路の内壁表面に薄膜が被覆されており、
前記薄膜が前記ディスクの材料と異なる材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微小化学システム。
【請求項5】
前記ディスクに形成された流路の途中に設けられた、
試料蓄積槽と、
試薬蓄積槽と、
前記試料蓄積槽の試料と前記試薬蓄積槽の試薬とを攪拌する攪拌調整槽と、
前記攪拌調整槽において調整された試料を検出する検出槽とを有しており、
前記試料蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、前記試薬蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、及び、前記攪拌調整槽と前記検出槽との間が、それぞれ流路を介して接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微小化学システム。
【請求項6】
前記攪拌調整槽と前記検出槽とを接続している流路の途中に反応槽が設けられており、
前記攪拌調整槽と前記反応槽との間、及び、前記反応槽と前記検出槽と間が、それぞれ流路を介して接続されていることを特徴とする請求項5に記載の微小化学システム。
【請求項7】
前記反応層が位置するディスクが、粒径10μm以下の金属微粒子を含有していることを特徴とする請求項5又は6に記載の微小化学システム。
【請求項8】
前記反応槽が位置するディスクが、流路を内部に有する孔が多数穿設された酵素免疫測定用素子であり、
前記孔の内部の前記流路同士が内部において交差しているとともに、前記孔の内部の前記流路の内壁表面に所定の抗体又は抗原が固定されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の微小化学システム。
【請求項9】
前記酵素免疫測定用素子の前記流路の内壁表面が薄膜で被覆形成されたものであり、
前記薄膜の表面に前記抗体又は前記抗原が固定されていることを特徴とする請求項8に記載の微小化学システム。
【請求項10】
前記試料蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、前記試薬蓄積槽と前記攪拌調整槽との間、及び、前記攪拌調整槽と前記検出槽との間を接続している流路のそれぞれの途中に設けられたバルブを有していることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の微小化学システム。
【請求項11】
前記攪拌調整層と前記反応槽との間、及び、前記反応槽と前記検出槽と間を接続している流路のそれぞれの途中に設けられたバルブを有していることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の微小化学システム。
【請求項12】
前記バルブが、相変化する材料を含んでいることを特徴とする請求項10又は11に記載の微小化学システム。
【請求項13】
前記攪拌調整槽の内壁表面に、抗原又は抗体が固定されていることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1項に記載の微小化学システム。
【請求項14】
前記凸部が、前記検出槽と同軸上の位置に形成されており、
前記孔と検出槽とが接続されていることを特徴とする請求項5〜13のいずれか1項に記載の微小化学システム。
【請求項15】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の微小化学システムと、前記積層体を回転させる回転装置とを備えていることを特徴とする微小化学システム装置。
【請求項16】
前記積層体へ電磁波を照射する照射手段を備えていることを特徴とする請求項16に記載の微小化学システム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−71675(P2010−71675A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236461(P2008−236461)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(507286932)
【Fターム(参考)】