説明

微粒子効果剤の効果を高めるための方法

微粒子効果剤を体表面に適用するための方法が提供される。本方法では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤が用いられる。ポリマーでコートされた効果剤は、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の存在下で、毛髪または皮膚などの体表面に適用される。適用におけるポリマー結合ペプチドの存在は、コートされた微粒子効果剤の体表面上での結合寿命を延ばすのに役立つ。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2005年9月16日出願の米国仮特許出願第60/718035号明細書から米国特許法第119条の下で優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、微粒子効果剤の使用およびそれら効果剤の体表面への結合期間を延長させるための方法に関する。より詳細には、本発明は、ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の存在下でポリマーでコートされた粒子効果剤を提供することで、効果剤の体表面への結合効果が延長する。
【背景技術】
【0003】
毛髪および皮膚を対象とするコンディショナーおよび着色剤は周知であり、パーソナルケア製品として用いられることが多い。現行のコンディショナーおよび非酸化着色剤に付随する主な問題は、それらが長期持続効果に必要な耐久性に欠けている点である。酸化毛髪染料は、長期持続する色を提供するが、それらが含有する酸化剤は毛髪の損傷を引き起こす。毛髪およびスキンケア組成物の耐久性を改善するため、ヘアコンディショナーおよび毛髪着色剤などのペプチドベースの効果剤が開発されている(ファン(Huang)ら、同時係属および共同所有の特許文献1および特許文献2)。ペプチドベースの効果剤は、毛髪または皮膚に対して高い結合親和性を有する特定のペプチド配列とコンディショニング剤または着色剤などの効果剤との共役により調製される。ペプチド部分は毛髪または皮膚に結合し、それにより効果剤に強力に付着する。これらのペプチドベースの効果剤は改善された耐久性を提供するが、効果剤に対する結合ペプチドの共役を必要とする。無機サンスクリーンに共役された皮膚結合ペプチドを含んでなるペプチドベースのサンスクリーンは、同時係属および共同所有の特許文献3中でブーゼマン−ウィリアム(Buseman−William)らによって記載されている。
【0004】
毛髪または皮膚に対して高い結合親和性を有するペプチドが、ファージディスプレイスクリーニング技術を用いて同定されている(ファン(Huang)ら、上記;エステル(Estell)ら、特許文献4;ムレイ(Murray)ら、特許文献5;ジャンセン(Janssen)ら、特許文献6;およびジャンセン(Janssen)ら、特許文献7)。さらに、正に帯電したアミノ酸に基づく実験的に生成された毛髪および皮膚結合ペプチドが報告されている(ローズ(Rothe)ら、特許文献8)。
【0005】
コーンウェル(Cornwell)ら(特許文献9)は、酸化的毛髪染料で処理された毛髪からの脱色を低減するための方法を記載し、この方法は酸化的毛髪染料による毛髪処理の前または後のいずれかに、毛髪と塩基性アミノ酸、尿素、グアニジン、およびそれらの塩または混合物などの有機アミノ化合物とを接触させるステップを含んでなる。しかし、その開示では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤の体表面に対する耐久性を高めることを目的とした、特定のポリマー結合ペプチド、または毛髪または皮膚結合ペプチドに共役されるポリマー結合ペプチドを含んでなる複合体の使用についての記載がない。
【0006】
ポリマーおよびプラスチック表面に対して結合親和性を有するペプチドが、ファージディスプレイを用いて同定されている。例えば、アデイ(Adey)ら(非特許文献1)は、ポリスチレンおよびポリ塩化ビニルの表面に結合するペプチドについて記載している。さらに、ポリウレタン(マレイ(Murray)ら、特許文献5)、ポリエチレンテレフタレート(オブライエン(O’Brien)ら、同時係属および共同所有の特許文献10)、ならびにポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびナイロン(グリンスタッフ(Grinstaff)ら、特許文献11)に結合するペプチドについての報告がなされている。しかし、微粒子効果剤の体表面上への結合力を高めることを目的としたかかるペプチドの使用については記載がない。
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0050656号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0226839号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0249682号明細書
【特許文献4】国際公開第0179479号パンフレット
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0098524号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0152976号明細書
【特許文献7】国際公開第04048399号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2004/000257号パンフレット
【特許文献9】米国特許第6,551,361号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2005/0054752号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2003/0185870号明細書
【非特許文献1】ジーン(Gene)156:27−31頁(1995年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、解決すべき課題は、実施が単純かつ容易な微粒子効果剤の毛髪および皮膚における耐久性を高めるための別の方法を提供することである。
【0009】
出願人らは、微粒子効果剤上のポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを用いることで体表面上での微粒子効果剤の耐久性が向上しうるという発見により、上述の課題に対処している。このアプローチは、多種のポリマーでコートされた微粒子効果剤と併用されるべき1種のポリマー結合ペプチドの使用を可能にし、それにより各粒子のタイプを対象とする異なる粒子結合ペプチドに対する必要がなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
体表面上での微粒子効果剤の結合の寿命を延ばすための方法が開示される。ポリマーでコートされた微粒子効果剤が、ポリマー結合ペプチドの存在下で体表面に適用される。方法は、色素、微粒子コンディショナー、および無機サンスクリーンの毛髪または皮膚などの体表面への適用に特に適する。ポリマー結合ペプチドを、毛髪および皮膚などの体表面に対して親和性を有するペプチドを含んでなるキメラとして改質または使用可能である。ポリマー結合ペプチドの存在下でのポリマーでコートされた効果剤を、毛髪着色剤およびシャンプーなどの種々のパーソナルケア組成物中で使用可能である。
【0011】
したがって、一実施形態では、本発明は、
a)ポリマーでコートされた微粒子効果剤を提供し、
b)ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物を提供し、そして
c)(a)のコートされた微粒子効果剤を(b)の組成物とともに、体表面に、コートされた効果剤が体表面に結合するのに十分な時間適用する
ことを含んでなる微粒子効果剤を体表面に適用するための方法を提供する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、
a)ポリマーでコートされた微粒子効果剤と、
b)ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物と
を含んでなるパーソナルケア組成物を提供する。
【0013】
別の実施形態では本発明は、一般構造[(BSBP)−(PBP)(式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)PBPはポリマー結合ペプチドであり、そして
c)m、n、およびxは独立して1〜約10の範囲である)
を有するジブロックのペプチドベースの複合体を提供する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、一般構造[[(BSBP)−S−[(PBP)−S(式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)PBPはポリマー結合ペプチドであり、
c)Sは分子スペーサーであり、そして
d)m、n、xおよびzは独立して1〜約10の範囲であり、yは1〜約5であり、かつqおよびrはrとqが両方とも0であることはないという条件で各々独立して0または1である)
を有するトリブロックのペプチドベースの複合体を提供する。
【0015】
図面および配列記述の簡単な説明
本発明の様々な実施形態は、本願の一部を形成する以下の詳細な説明、図面および添付の配列記述からより十分に理解されうる。
【0016】
以下の配列は、37C.F.R.1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を有する特許出願における要件−配列の規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に従い、かつ、世界知的所有権機関(WIPO)基準ST.25(1998年)ならびにEPOおよびPCTの配列表における要件(規則5.2および49.5(a−bis)、ならびに実施細則の第208節および付録C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データにおいて用いられる記号および形式は、37C.F.R.§1.822に示される規則に従う。
【0017】
配列表は、本明細書の場合、コンパクトディスク上に提供される。配列表を有するコンパクトディスクの内容は、37CFR1.52(e)に従い、参照により本明細書中に援用される。コンパクトディスクは、3通りに提出されており、互いに同一である。ディスクは、「コピー1−配列表」、「コピー2−配列表」、およびCRFというラベルが付されている。ディスクは、以下のサイズ:34,000バイトを有する以下のファイル:CL3145 Conv Seq List.ST25を有しており、2006年8月31日に作成されたものである。
【0018】
配列番号1〜14はポリメタクリル酸メチル結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0019】
配列番号15〜21はポリプロピレン結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0020】
配列番号22〜30はポリテトラフルオロエチレン結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0021】
配列番号31〜36はナイロン結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0022】
配列番号37〜43はポリエチレン結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0023】
配列番号44〜46はポリスチレン結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0024】
配列番号47〜52および73〜81は毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0025】
配列番号53〜57および82〜93は皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0026】
配列番号58〜62は実験的に生成された毛髪および皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0027】
配列番号63〜65および94〜97はペプチドスペーサーのアミノ酸配列である。
【0028】
配列番号66はカスパーゼ3切断部位のアミノ酸配列である。
【0029】
配列番号67〜70は複数のコピーの毛髪結合ペプチド//ポリマー結合ペプチド複合体のアミノ酸配列である。
【0030】
配列番号71は、配列番号70として与えられる、トリブロックのペプチドに基づく複数のコピーの毛髪結合ペプチド//ポリマー結合ペプチド複合体を調製するのに用いられるヌクレオチド配列である。
【0031】
配列番号72は、実施例18で記載されるプラスミドpKSIC4−HCC77623のヌクレオチド配列である。
【0032】
配列番号98〜112はシャンプーに耐性を有するポリメタクリル酸メチル結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、ポリマーでコートされた微粒子効果剤をポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物と併用するステップを含む、微粒子効果剤の耐久性を高めるための方法に関する。本発明は、本方法を用いることで従来の方法と比べて耐久性が向上するという条件で、毛髪および皮膚を着色しかつ調整可能であることから有用である。
【0034】
以下の定義は、本明細書中で用いられ、本明細書および特許請求の範囲を解釈するものとして示されるべきである。
【0035】
本明細書で用いられる「発明」または「本発明」という用語は、限定されない用語であり、特定の発明の任意の単一の実施形態を示すように意図されていないが、本明細書および特許請求の範囲にて記載されるあらゆる有望な実施形態を包含する。
【0036】
「PBP」はポリマー結合ペプチドを意味する。
【0037】
「BSBP」は体表面結合ペプチドを意味する。
【0038】
「HBP」は毛髪結合ペプチドを意味する。
【0039】
「SBP」は皮膚結合ペプチドを意味する。
【0040】
「BA」は効果剤を意味する。
【0041】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合により互いに連結される2つもしくはそれ以上のアミノ酸を示す。
【0042】
「毛髪結合ペプチド」という用語は、毛髪に対して高い親和性で結合するペプチド配列を示す。本発明の毛髪結合ペプチドは、約7アミノ酸長〜約50アミノ酸長、より好ましくは約7アミノ酸長〜約25アミノ酸長、最も好ましくは約7〜約20アミノ酸長である。
【0043】
「皮膚結合ペプチド」という用語は、皮膚に対して高い親和性で結合するペプチド配列を示す。本発明の皮膚結合ペプチドは、約7アミノ酸長〜約50アミノ酸長、より好ましくは約7アミノ酸長〜約25アミノ酸長、最も好ましくは約7〜約20アミノ酸長である。
【0044】
「ポリマー結合ペプチド」という用語は、ポリマーに対して高い親和性で結合するペプチド配列を示す。本発明のポリマー結合ペプチドは、約7アミノ酸長〜約50アミノ酸長、より好ましくは約7アミノ酸長〜約25アミノ酸長、最も好ましくは約7〜約20アミノ酸長である。
【0045】
「微粒子効果剤」という用語は、体表面に適用される場合、美容または予防効果をもたらす微粒子物質に関する一般用語である。微粒子効果剤は、パーソナルケア産業にて一般に用いられる他の微粒子物質とともに、典型的には色素、微粒子コンディショナー、無機サンスクリーンなどを含む。
【0046】
「体表面」という用語は、微粒子効果剤の適用における基質としての機能を果たしうるヒト身体の任意の表面を意味する。典型的な体表面は、限定はされないが、毛髪、皮膚、爪、歯、歯肉、および角膜組織を含む。
【0047】
本明細書で用いられる「毛髪」という用語は、ヒト毛髪、眉、およびまつげを示す。
【0048】
本明細書で用いられる「皮膚」という用語は、ヒト皮膚、またはブタ皮膚、ビトロ−スキン(Vitro−Skin)(登録商標)およびエピダーム(EpiDerm)(商標)などのヒト皮膚における代用物を示す。体表面として本明細書で用いられる皮膚は、一般に上皮細胞の層を含んでなり、かつさらに内皮細胞の層を含んでなる場合がある。
【0049】
本明細書で用いられる「共役」および「共役される」という用語は、任意の化学的会合を示し、かつ共有および非共有相互作用の双方を含む。
【0050】
「ペプチドベースの複合体」という用語は、体表面結合ペプチドとポリマー結合ペプチドとの直接的なまたは分子スペーサーを介する共役によって形成される組成物を示す。
【0051】
「ストリンジェンシー」という用語は、本発明のポリマー結合ペプチドの選択に対して適用されると、ペプチドをポリマーから溶出するのに用いられる溶出剤の濃度を示す。溶出剤の濃度が高まると、より厳しい条件が与えられる。
【0052】
「結合親和性」または「親和性」という用語は、結合ペプチドのその個別の基質との相互作用の強さを示す。結合親和性は、ELISAに基づく結合アッセイにて測定されるMB50値の観点で、本明細書中で定義される。
【0053】
「ナノ粒子」という用語は、1〜500nmの平均粒径を有する粒子として本明細書中で定義される。好ましくは、粒子の平均粒径は約1〜200nmである。本明細書で用いられる「粒度」および「粒径」は同じ意味を有する。ナノ粒子は、限定はされないが、金属、半導体、ポリマー、あるいは他の有機または無機粒子、ならびに有機および無機色素を含む。
【0054】
「アミノ酸」という用語は、タンパク質またはポリペプチドの塩基性化学構造単位を示す。以下の略語は、特定のアミノ酸を同定するために本明細書中で用いられる。
【0055】
【表1】

【0056】
「遺伝子」は、コード配列の上流(5’非コード配列)および下流(3’非コード配列)の調節配列を含む、特定のタンパク質を発現する核酸断片を示す。「天然遺伝子」は、それ自身の調節配列とともに天然に見出される遺伝子を示す。「キメラ遺伝子」は、調節およびコード配列(共に天然に見出されることのない)を含んでなる、天然遺伝子ではない任意の遺伝子を示す。したがって、キメラ遺伝子は、異なるソースに由来する調節配列およびコード配列、または同じソースに由来するが天然に見出される様式とは異なる様式で整列される調節配列およびコード配列を含んでなる場合がある。「外来」遺伝子は、宿主生物内に通常見出されないが、遺伝子導入法によって宿主生物に導入される遺伝子を示す。外来遺伝子は、非天然生物に挿入される天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含んでなる可能性がある。
【0057】
「合成遺伝子」は、当業者に既知の手順を用いて化学的に合成されるオリゴヌクレオチドの構成単位から構築されうる。これらの構成単位は、ライゲートされ、アニールされることで遺伝子セグメントが形成され、それは次いで酵素によって組織化されて遺伝子全体が作成される。DNAの配列に関連した「化学的に合成される」とは、ヌクレオチド成分がインビトロで構築されることを意味する。手動によるDNAの化学合成が十分に確立された手順を用いて実施可能であり、あるいは自動化学合成が多数の市販の機械のうちの1つを用いて実施可能である。したがって、遺伝子をヌクレオチド配列の最適化に基づく最適な遺伝子発現に適合させることで、宿主細胞のコドンバイアスを反映させることが可能である。当業者は、コドンの使用が宿主にとって好ましいコドンの方向にバイアスされるか否かといった遺伝子発現が成功する可能性について理解している。好ましいコドンについては、配列情報が使用可能な宿主細胞に由来する遺伝子の検討に基づいて判定可能である。
【0058】
「ファージディスプレイ」という用語は、バクテリオファージまたはファージミド粒子の表面上への機能的外来ペプチドまたは小タンパク質の提示を示す。遺伝子操作されたファージを用い、その天然表面タンパク質のセグメントとしてペプチドを提示することが可能である。ペプチドライブラリーを、異なる遺伝子配列を有するファージの集団により生成可能である。
【0059】
「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特定のDNAセグメントを増幅するために用いられる技術である(米国特許第4,683,195号明細書および米国特許第4,800,159号明細書)。
【0060】
本明細書で用いられる標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、サムブルック,J.(Sambrook,J.)、フリッチ,E.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアティス,T.(Maniatis,T.)、「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(1989年)(以下では「マニアティス(Maniatis)」);シルハヴィ,T.J.(Silhavy,T.J.)、ベナン,M.L.(Bennan,M.L.)およびエンキスト,L.W.(Enquist,L.W.)、「エクスペリメンツ・ウイズ・ジーン・フュージョンズ(Experiments with Gene Fusions)」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(1984年);およびアウスベル,F.M.(Ausubel,F.M.)ら、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology)」、グリーン・パブリッシング・アソシエイツ・アンド・ウイリー・インターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)により発行(1987年)に記載されている。
【0061】
本発明は、毛髪および皮膚などの体表面上で色素、微粒子コンディショナー、および無機サンスクリーンなどの微粒子効果剤の耐久性を高めるための方法であって、ポリマーでコートされた微粒子効果剤を、ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物と共に体表面に適用するステップを含んでなる、方法を提供する。ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドは本明細書中で「ポリマー結合ペプチド」とも称され、ファージディスプレイなどのコンビナトリアルな方法を用いて同定可能である。さらに、ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物は、毛髪または皮膚結合ペプチドなどの体表面結合ペプチドを遊離ペプチドまたは体表面結合ペプチドに共役されたポリマー結合ペプチドを含んでなる複合体のいずれかとして、さらに含んでなる場合がある。本発明の方法では、ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物を、ポリマーでコートされた微粒子効果剤の適用と同時、効果剤の適用前または効果剤の適用後に適用し、効果剤の体表面へのシールが可能である。
【0062】
微粒子効果剤
本発明の方法は、パーソナルケアにおいて当該技術分野で既知の多種多様な微粒子効果剤と併用可能である。微粒子効果剤の例として、限定はされないが、色素、微粒子コンディショニング剤、および無機サンスクリーンが挙げられる。
【0063】
本明細書で用いられる「色素」という用語は不可溶性着色剤を意味する。多種多様な有機および無機色素は、単独または併用で本発明にて使用可能である。毛髪および皮膚を着色するための色素は、当該技術分野で周知であり(例えばグリーン(Green)ら(国際公開第0107009号パンフレット)、参照により本明細書中に援用、「CFTAインターナショナル・カラー・ハンドブック(CFTA International Color Handbook)」、第2版、ミセル・プレス(Micelle Press)、英国(1992年)および「コスメティック・ハンドブック(Cosmetic Handbook)」、米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)、FDA/IASブックレット(FDA/IAS Booklet)(1992年))、様々なソースから市販されている(例えばベイヤー(Bayer)、ピッツバーグ(Pittsburgh)、ペンシルバニア州;チバ−ガイギー(Ciba−Geigy)、タリータウン(Tarrytown)、ニューヨーク州;ICI、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州;サンドズ(Sandoz)、ウィーン(Vienna)、オーストリア;ビーエーエスエフ(BASF)、マウントオリーブ(Mount Olive)、ニュージャージー州;およびヘキスト(Hoechst)、フランクフルト(Frankfurt)、ドイツ)。典型的な色素は、限定はされないが、D&CレッドNo.36、D&CレッドNo.30、D&CオレンジNo.17、グリーン3レーキ、Ext.イエロー7レーキ、オレンジ4レーキ、およびレッド28レーキ;D&CレッドNo.7、11、31および34のカルシウムレーキ、D&CレッドNo.12のバリウムレーキ、ストロンチウムレーキD&CレッドNo.13、FD&CイエローNo.5のアルミニウムレーキ、FD&CイエローNo.6のアルミニウムレーキ、FD&CNo.40のアルミニウムレーキ、D&CレッドNo.21、22、27、および28のアルミニウムレーキ、FD&CブルーNo.1のアルミニウムレーキ、D&CオレンジNo.5のアルミニウムレーキ、D&CイエローNo.10のアルミニウムレーキ;D&CレッドNo.33のジルコニウムレーキ;クロモフタル(Cromophthal)(登録商標)イエロー131AK(チバ・スペチャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、サンファースト(Sunfast)(登録商標)マゼンタ122(サンケミカル(Sun Chemical))およびサンファースト(Sunfast)(登録商標)ブルー15:3(サンケミカル(Sun Chemical))、酸化鉄、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、フェロシアン化アンモニウム鉄、炭酸マグネシウム、カルミン、硫酸バリウム、雲母、オキシ塩化ビスマス、ステアリン酸亜鉛、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、ブラック(black)二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、ウルトラマリンブルー、クエン酸ビスマス、ならびにヒドロキシアパタイト、およびジルコン(Zircon)(ケイ酸ジルコニウム)などの白色材料、およびカーボンブラック粒子を含む。
【0064】
色素は、定義によると実質的に不可溶性であり、それ故に分散形態で用いられる。色素は分散剤を用いて分散されるかまたは自己分散色素が使用される場合がある。分散剤の使用により色素が分散させる場合、分散剤は、限定はされないが、下記すなわち例えばブリュックマン(Brueckmann)ら(米国特許第5,124,438号明細書)により記載されたタンパク質分散剤;および例えばオブライエン(O’Brien)らにより記載されたペプチドベースの分散剤(同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2005/0054752号明細書)といったランダムなまたは構造化された有機ポリマー分散剤を含む、当該技術分野で既知の任意の適切な分散剤でありうる。好ましいランダムな有機ポリマー分散剤は、アクリルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーを含む。構造化された分散剤が最も好ましく、それはAB、BABおよびABCブロックコポリマー、分枝重合体ならびにグラフト重合体を含む。好ましくは、有機ポリマーは、アクリレート、メタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリルアミド、アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、およびヒドロキシエチルメタクリレートよりなる群から選択されるモノマー単位を含んでなり、これは例えばニガン(Nigan)により記載されている(米国特許出願公開第2004/0232377号明細書)。いくつかの有用な構造化されたポリマー分散剤は、米国特許第5,085,698号明細書、欧州特許出願公開第0556649号明細書および米国特許第5,231,131号明細書に記載されている(これらの開示内容は参照により本明細書中に援用される)。さらに、色素は、米国特許第4,494,994号明細書(参照により本明細書中に援用される)中でチオカ(Cioca)らによって記載されたリグニンスルホン酸およびポリペプチドを含んでなる表面活性物質を用いて分散可能である。
【0065】
色素上の有機ポリマーは、一般に色素への適用後、場合により共有結合またはイオン結合によって架橋されうる。架橋はポリマーコーティングの恒久性および耐環境性を高める。
【0066】
色素は、場合により有機ポリマーでのコーティングに先立って表面処理されうる。一般的な表面処理は、限定はされないが、アルキルシラン、シロキサン、メチコン、およびジメチコンを含む。表面処理は、色素表面に対して親和性を有するポリマーの範囲を拡大する。
【0067】
自己分散色素は、表面改質されることで、独立した分散剤を伴わずに化学的付着により、基における安定な分散を実現する分散性状態となっている色素である。水性担体媒体中での分散においては、表面改質は親水基および最も典型的にはイオン性の親水基の付加を含む。自己分散色素は、物理的処理(真空プラズマなど)または化学的処理(例えば、オゾン、次亜塩素酸または類似のものによる酸化)による、官能基または官能基を有する分子の色素表面上への移植によって調製可能である。親水性官能基の単一種または複数種が、1つの色素粒子に接着されうる。自己分散色素は、例えば、米国特許第5,571,311号明細書、米国特許第5,609,671号明細書、米国特許第5,968,243号明細書、米国特許第5,928,419号明細書、米国特許第6,323,257号明細書、米国特許第5,554,739号明細書、米国特許第5,672,198号明細書、米国特許第5,69,8016号明細書、米国特許第5,718,746号明細書、米国特許第5,749,950号明細書、米国特許第5,803,959号明細書、米国特許第5,837,045号明細書、米国特許第5,846,307号明細書、米国特許第5,895,522号明細書、米国特許第5,922,118号明細書、米国特許第6,123,759号明細書、米国特許第6,221,142号明細書、米国特許第6,221,143号明細書、米国特許第6,281,267号明細書、米国特許第6,329,446号明細書、米国特許第6,332,919号明細書、米国特許第6,375,317号明細書、米国特許第6,287,374号明細書、米国特許第6,398,858号明細書、米国特許第6,402,825号明細書、米国特許第6,468,342号明細書、米国特許第6,503,311号明細書、米国特許第6,506,245号明細書、および米国特許第6,852,156号明細書において記載されている。先の参考文献の開示内容は、参照により本明細書中に援用される。
【0068】
金属および半導体ナノ粒子は、それらの光放射が強力であることからヘアカラーリング剤としても使用可能である(ヴィック(Vic)ら、米国特許出願公開第2004/0010864号明細書)。金属ナノ粒子は、限定はされないが、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、鉄、銅、コバルト、およびこれらの金属よりなる合金といった粒子を含む。「合金」は、本明細書中では2種類以上の金属の均質混合物として定義される。「半導体ナノ粒子」は、限定はされないが、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、硫化銀、硫化カドミウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化鉛、ヒ化ガリウム、シリコン、酸化スズ、酸化鉄、およびリン化インジウムの粒子を含む。ナノ粒子は、適切な有機コーティングまたは単層により、安定化されかつ水溶化される。本明細書で用いられる単層で保護されたナノ粒子は、安定化されたナノ粒子の1種である。安定化された水溶性の金属および半導体ナノ粒子を調製するための方法は当該技術分野で既知であり、適切な例が同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2004/0115345号明細書(参照により本明細書中に援用される)中でファン(Huang)らにより記載されている。ナノ粒子の色は粒子の大きさに依存する。したがって、ナノ粒子の大きさの制御により、異なる色を得ることができる。
【0069】
微粒子効果剤は、有機ナノ粒子、シリカナノ粒子などの無機ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、ならびに金属および半導体ナノ粒子などのナノ粒子である場合があり、具体的には直毛化剤(hair straightening aids)、毛髪強化剤(hair strengthening aids)および毛髪仕上げ剤(hair volumizing agents)といった毛髪コンディショニング剤として役立つ。
【0070】
微粒子効果剤は、290〜400ナノメーターの波長で紫外光を吸収、反射、または散乱させる無機のUVサンスクリーンでもありうる。無機のUVサンスクリーン物質は、典型的には二酸化チタン(コグニス(Cognis Co.)から入手可能なサンスマート(SunSmart)など)、酸化亜鉛、および酸化鉄を含む(がこれらに限定されない)無機色素および金属酸化物である。好ましいサンスクリーンは二酸化チタンナノ粒子である。適切な二酸化チタンナノ粒子は、米国特許第5,451,390号明細書;米国特許第5,672,330号明細書;および米国特許第5,762,914号明細書において記載されている。二酸化チタンP25は、デグサ(Degussa)(パーシッパニー(Parsippany)、ニュージャージー州)から入手可能な適切な市販製品の一例である。二酸化チタンナノ粒子における他の販売供給者は、ケミラ(Kemira)(ヘルシンキ(Helsinki)、フィンランド)、ザハトレーベン(Sachtleben)(ドゥイスブルグ(Duisburg)、ドイツ)およびテイカ(Tayca)(大阪(Osaka)、日本)を含む。
【0071】
二酸化チタンナノ粒子は、典型的には100ナノメートル(nm)未満の平均粒度径を有し、それは液体懸濁液中の粒子の粒度分布を測定する動的光散乱によって測定される。粒子は、典型的には約3nm〜約6000nmの範囲でありうる凝集体である。当該技術分野で既知の任意のプロセスを用い、かかる粒子の調製が可能である。プロセスは、二酸化チタンナノ粒子が生成されるという条件で、ハロゲン化チタンの気相酸化または可溶性のチタン錯体からの溶解沈殿を含みうる。
【0072】
二酸化チタンナノ粒子を調製するための好ましいプロセスは、酸素およびハロゲン化チタン、好ましくは四塩化チタンの、典型的には400〜2000℃の範囲の高温反応ゾーンへの注入によるものである。反応ゾーン内に存在する高温条件下で、大きい表面積および狭いサイズ分布を有する二酸化チタンのナノ粒子が形成される。リアクター内のエネルギー源は、プラズマトーチなどの任意の加熱源でありうる。
【0073】
ポリマーでコートされた微粒子効果剤
本発明における使用においては、微粒子効果剤がポリマーコーティングでコートされることで、下記のようなコンビナトリアルな方法によって同定される、ポリマーに対して親和性を有するペプチドがポリマーコーティングに結合することになる。ポリマーコーティングは、限定はされないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリペプチド、リグニン、多糖類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ならびにメタクリレート、アクリレートまたはスチレンに由来する少なくとも1つのモノマーを含んでなるコポリマー(例えばブロックおよびグラフトコポリマー)を含む、多数の異なる有機および生体ポリマーから形成可能である。
【0074】
上記のようにポリマー分散剤で分散された色素が微粒子効果剤として用いられる場合、ポリマー分散剤はポリマーコーティングとしての機能を果たしうる。上記のポリマー分散剤のいずれかが使用されうる。例えば、ポリアクリレートを含有する分散剤で分散された色素は、ポリアクリレート結合ペプチドと併用されうる。あるいは、分散された色素は、下記のような別のポリマーでコートされうる。
【0075】
典型的にはポリマー分散剤と併用されない色素および自己分散色素ならびに他の微粒子効果剤においては、粒子は当該技術分野で既知の粒子コーティング方法を用いてポリマーでコートされうる。典型的には、コーティング粒子において用いられる方法は、ポリマーコーティング溶液の粒子表面上への適用とそれに続く溶媒の除去に依存する溶液に基づく方法である。例えば、微粒子効果剤は、粒子をポリマーを含有する溶液と粒子をコーティングするのに十分な時間、単純に混合し、次いで溶媒を除去することにより、ポリマーでコートされうる。さらに、微粒子効果剤は、例えばギグノン(Guignon)ら(Drying Technol.20:419−447頁(2002年))により記載されたスプレーコーティング技術を用いてポリマーでコートされうる。コーティングはまた、ヴルスター(Wurster)コーター(例えば、カルドゾ(Cardozo)ら、米国特許出願公開第2006/0019860号明細書を参照)を用いて適用されうる。本発明の微粒子効果剤は、ロスカ(Rosca)ら(ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(J.Control Release)99:271−280頁(2004年))で記載のように乳化−溶媒蒸発技術を用いてもポリマーコーティング可能である。さらに、微粒子効果剤は、シュール(Schurr)によって記載されたインジェクター・ミキサー(injector mixer)の方法および装置(米国特許第4,430,001号明細書および国際公開第97/007879号パンフレット)を用いてポリマーでコートされうる。インジェクター・ミキサーの方法においては、ガス注入器内でコーティング液体の噴霧化および粒子の分散を同時に行うことにより、少ないレベルの添加物がパウダーと激しく混合される。この方法は、少ない水の使用および非常に短時間の接触時間の利点をもたらし、それにより高温での熱感受性材料のコーティングが可能になる。
【0076】
ポリマー結合ペプチドの同定
本明細書中でポリマー結合ペプチド(PBP)とも称される、ポリマーに対して親和性を有するペプチドは、ポリマー表面に強力に結合するペプチド配列である。本発明のポリマー結合ペプチドは、約7アミノ酸長〜約50アミノ酸長、より好ましくは約7アミノ酸長〜約25アミノ酸長、最も好ましくは約7〜約20アミノ酸長である。適切なポリマー結合ペプチドは、当該技術分野で周知の方法を用いて選択されうる。
【0077】
オブライエン(O’Brien)ら(同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2005/0054752号明細書)、アベイ(Adey)ら(ジーン(Gene)156:27−31頁、(1995年))、マレイ(Murray)ら(米国特許出願公開第2002/0098524号明細書)およびグリンスタッフ(Grinstaff)ら(米国特許出願公開第2003/0185870号明細書)(これらすべては参照により本明細書中に援用される)で記載のように、ポリマー結合ペプチドはランダムに生成され、次いで特定のポリマー基質に対し、目的の基質に対するその結合親和性に基づいて選択されうる。ペプチドのランダムライブラリーの生成は周知であり、かつ細菌ディスプレイ(ケンプ,D.J.(Kemp,D.J.);プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)78(7):4520−4524頁(1981年)、およびヘルフマン(Helfman)ら、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)80(1):31−35頁、(1983年))、酵母ディスプレイ(チェン(Chien)ら、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)88(21):9578−82頁(1991年))、コンビナトリアル固相ペプチド合成(米国特許第5,449,754号明細書、米国特許第5,480,971号明細書、米国特許第5,585,275号明細書、米国特許第5,639,603号明細書)、ならびにファージディスプレイ技術(米国特許第5,223,409号明細書、米国特許第5,403,484号明細書、米国特許第5,571,698号明細書、米国特許第5,837,500号明細書)を含む種々の技術によって実施可能である。かかる生体ペプチドライブラリーを生成するための技術は当該技術分野で周知である。典型的な方法は、ダニ,M.(Dani,M.)、ジャーナル・オブ・リセプター・アンド・シグナル・トランスダクション・リサーチ(J.of Receptor & Signal Transduction Res.)、21(4):447−468頁(2001年)、シドゥ(Sidhu)ら、メソッド・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)328:333−363頁(2000年)、ケイ(Kay)ら、コンビナトリアル・ケミストリー・アンド・ハイスループット・スクリーニング(Combinatorial Chemistry & High Throughput Screening)、第8巻:545−551頁(2005年)、および「ファージディスプレイ・オブ・ペプチド・アンド・プロテイン、ア・ラボラトリー・マニュアル(Phage Display of Peptides and Proteins,A Laboratory Manual)」、ブライアンK.ケイ(Brian K.Kay)、ジル・ウィンター(Jill Winter)、およびジョン・マッカファーティ(John McCafferty)編;アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1996年において記載されている。さらに、ファージディスプレイライブラリーは、ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs)(ベバリー(Beverly)、マサチューセッツ州)などの企業から市販されている。
【0078】
ペプチドをランダムに生成するための好ましい方法は、ファージディスプレイによるものである。ファージディスプレイはインビトロ選択技術であり、ここでは、ペプチドまたはタンパク質がバクテリオファージのコートタンパク質に遺伝的に融合される結果、融合ペプチドがファージビリオンの外表面上に提示される一方、融合体をコードするDNAはビリオン内部に存在する。提示ペプチドとそれをコードするDNAの間のこの物理的な連結により、膨大な数のペプチド変異体のスクリーニングが可能になり、ここで各々は「バイオパニング」と称される単純なインビトロ選択手順により対応するDNA配列に連結される。その最も単純な形態では、バイオパニングは、ファージに提示された変異体のプールとプレートまたはビーズ上に固定化されている目的の標的とのインキュベーション、未結合のファージの流出、および特異的に結合されたファージのファージと標的との間の結合相互作用の破壊による溶出によって行われる。次いで、溶出されたファージはインビボで増幅され、プロセスが繰り返される結果、最も強固な結合配列のためにファージプールが段階的に濃縮される。3回以上の選択/増幅後、個々のクローンはDNA配列決定によって特徴づけられる。
【0079】
具体的には、ポリマー結合ペプチドは、以下の方法を用いて選択されうる。ファージペプチドの適切なライブラリーは、上記の方法を用いて生成されるかまたはライブラリーは供給業者から購入される。ファージペプチドのライブラリーが生成された後、ライブラリーは適量のポリマー基質と接触される。ファージペプチドのライブラリーは、基質と接触させるために適切な溶液中に溶解される。試験基質は、溶液中に懸濁されうるかまたはプレートまたはビーズ上に固定化されうる。好ましい溶液は、界面活性剤を含有する緩衝化された生理食塩水溶液である。適切な溶液は、0.5%トゥイーン(Tween)(登録商標)20を有するトリス緩衝生理食塩水(TBS)である。ペプチドのポリマー基質への物質移動速度を高めるために溶液を任意の手段によってさらに撹拌することで、結合を最大に至らせるのに必要な時間を短縮することが可能である。
【0080】
接触時に多数のランダムに生成されたファージペプチドがポリマー基質に結合することで、ファージペプチド−ポリマー複合体が形成されることになる。未結合のファージペプチドは、洗浄により除去されうる。あらゆる未結合の材料が除去された後、ポリマー基質に対して様々な程度の結合親和性を有するファージペプチドは、様々なストリンジェンシーを有する緩衝液中での選択された洗浄により断片化されうる。使用される緩衝液のストリンジェンシーを高めると、ファージペプチド−基質複合体におけるファージペプチドとポリマー基質の間の求められる結合力が高まる。
【0081】
多数の物質を用いることで、限定はされないが、酸性pH(1.5〜3.0);塩基性pH(10〜12.5)を含む、選択ペプチドにおける緩衝溶液のストリンジェンシー;MgCl(3〜5M)およびLiCl(5〜10M);水;エチレングリコール(25〜50%);ジオキサン(5〜20%);チオシアネート(1〜5M);グアニジン(2〜5M);尿素(2〜8M)などの高塩濃度;ならびに、SDS(ナトリウムドデシルサルフェート)、DOC(デオキシコール酸ナトリウム)、ノニデット(Nonidet)P−40、トリトン(Triton)X−100、トゥイーン(Tween)(登録商標)20(ここではトゥイーン(Tween)(登録商標)20が好ましい)などの異なる界面活性剤の様々な濃度を変化させることが可能である。これらの物質は、限定はされないが、トリス−HCl、トリス緩衝生理食塩水、トリス−ホウ酸塩、トリス−酢酸、トリエチルアミン、リン酸塩緩衝液、およびグリシン−HCl(ここではトリス緩衝生理食塩溶液が好ましい)を含む緩衝溶液中で調製可能である。
【0082】
ポリマー基質に対して高まった結合親和性を有するファージペプチドが、ストリンジェンシーが高まった状態の緩衝液を用いる選択プロセスを繰り返すことによって溶出可能であることが理解されるであろう。溶出されたファージペプチドを、当該技術分野で既知の任意の手段によって同定し配列決定してもよい。
【0083】
一実施形態では、本発明のポリマー結合ペプチドを生成するための以下の方法が用いられうる。コンビナトリアルに生成されたファージペプチドのライブラリーが目的のポリマー基質と接触されることで、ファージペプチド−基質複合体が形成される。ファージペプチド−基質複合体は、不完全なペプチドおよび未結合の基質から分離され、かつファージペプチド−基質複合体に由来する結合されたファージペプチドは、好ましくは酸処理により複合体から溶出される。次いで、溶出されたファージペプチドは同定され、配列決定される。あるポリマー基質に結合しても別の基質に結合しないペプチド配列を同定するため、サブトラクティブ(subtractive)なパニングステップの追加が可能である。具体的には、コンビナトリアルに生成されたファージペプチドのライブラリーが最初に非標的と接触されることで、それに結合するファージペプチドが除去される。次いで、非結合ファージペプチドは所望のポリマー基質と接触され、上記プロセスが続く。あるいは、コンビナトリアルに生成されたファージペプチドのライブラリーは、非標的および所望のポリマー基質と同時に接触されうる。次いで、ファージペプチド−基質複合体はファージペプチド−非標的複合体から分離され、所望のファージ−基質複合体において上記の方法が続く。
【0084】
あるいは、ポリマー基質に対する親和性が高まった状態のペプチドを単離するための改良されたファージディスプレイスクリーニング方法が用いられうる。改良された方法では、ファージペプチド−基質複合体は上記のように形成される。次いで、これらの複合体は溶出緩衝液で処理される。上記の溶出緩衝液のいずれかの使用が可能である。好ましくは、溶出緩衝液は酸性溶液である。次いで、残存する溶出に耐性を有するファージペプチド−基質複合体を用い、大腸菌(E.coli)ER2738などの細菌宿主細胞に直接感染または形質移入する。感染された宿主細胞は、LB(ルリア−ベルタニ(Luria−Bertani))培地などの適切な成長培地内で成長され、かつこの培養物はIPTG(イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド)およびS−Gal(商標)を有するLB培地などの適切な成長培地を有する寒天上に延展される。成長後、プラークはDNAの単離および配列決定のために採取され、目的の基質に対して高い結合親和性を有するペプチド配列が同定される。あるいは、PCRを用い、上記の改良されたファージディスプレイスクリーニング方法から、溶出に耐性を有するファージペプチドを、ジャンセン(Janssen)ら、米国特許出願公開第2003/0152976号明細書(参照により本明細書中に援用される)で記載のように適切なプライマーを用いてファージペプチド−基質複合体上でPCRを直接実施することにより同定可能である。
【0085】
さらに、シャンプーに耐性を有するポリマー結合ペプチドを、シャンプーに耐性を有する毛髪結合ペプチドの選択を目的に改良されたバイオパニング方法を用いて選択可能であり、それはオブライエン(O’Brien)らにより記載されている(同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2006/0073111号明細書、参照により本明細書中に援用)。同様に、ヘアコンディショナーに耐性を有するポリマー結合ペプチドは、ヘアコンディショナーに耐性を有する毛髪結合ペプチドの選択を目的に改良された方法を用いて同定可能であり、それはワン(Wang)らにより記載されている(同時係属および共同所有の米国特許出願第11/359163号明細書)。シャンプーおよびヘアコンディショナーに耐性を有するポリマー結合ペプチドは、各々シャンプーまたはヘアコンディショナー処理に耐える能力があることから、毛髪の処理において特に有用である。シャンプーまたはヘアコンディショナーに耐性を有するポリマー結合ペプチドを同定するための方法では、ファージペプチドの初期ライブラリーは、ポリマー基質と接触するために目的のマトリックス(すなわち、シャンプーマトリックスまたはヘアコンディショナーマトリックス)中に溶解される。あるいは、ファージペプチド−基質複合体は、上記のようにポリマー基質とファージペプチドのライブラリーとの接触による形成後、目的のマトリックスと接触される。ファージペプチド−基質複合体と目的のマトリックスとの接触は1回もしくはそれ以上の回数繰り返されうる。それに続くバイオパニング方法は、上記のように行われる。シャンプーマトリックスまたはヘアコンディショナーマトリックスは、フルストレングス(full strength)の製品またはその希釈物でありうる。シャンプーに耐性を有するポリメタクリル酸メチル結合ペプチドの選択についての詳細な説明が実施例21で示される。
【0086】
上記の方法を用いて同定されたポリマー結合ペプチドの適切な例は、限定はされないが、配列番号1〜14で与えられるポリメタクリル酸メチル結合ペプチド、配列番号98〜112で与えられるシャンプーに耐性を有するポリメタクリル酸メチル結合ペプチド、配列番号15〜21で与えられるポリプロピレン結合ペプチド、配列番号22〜30で与えられるポリテトラフルオロエチレン結合ペプチド、配列番号31〜36で与えられるナイロン結合ペプチド、配列番号37〜43で与えられるポリエチレン結合ペプチド、および配列番号44〜46で与えられるポリスチレン結合ペプチドを含む。さらに、アデイ(Adey)らにより開示されたポリスチレンおよびポリ塩化ビニル結合ペプチド(ジーン(Gene)156:27−31頁、(1995年))、マレイ(Murray)らにより開示されたポリウレタン結合ペプチド(米国特許出願公開第2002/0098524号明細書)、オブライエン(O’Brien)らにより開示されたポリエチレンテレフタレート結合ペプチド(同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2005/0054752号明細書)、ならびにグリンスタッフ(Grinstaff)らにより開示されたポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびナイロン結合ペプチド(米国特許出願公開第2003/0185870号明細書)など、当該技術分野で既知のポリマー結合ペプチドの使用が可能である。2つもしくはそれ以上のポリマー結合ペプチドを直接にまたはスペーサーを介して互いに連結し、ペプチドとポリマー基質との相互作用を高めることが望ましい場合がある。複数のペプチド組成物および適切なスペーサーを調製するための方法が下記に示される。
【0087】
ポリマー結合ペプチドの生成
本発明のポリマー結合ペプチドは、標準のペプチド合成方法を用いて調製可能であり、それは当該技術分野で周知である(例えば、スチュワート(Stewart)ら、「ソリッド・フェーズ・ペプチド・シンセシス(Solid Phase Peptide Synthesis)」、ピアス・ケミカル(Pierce Chemical Co.)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州、1984年;ボダンスキー(Bodanszky)、「プリンシプル・オブ・ペプチド・シンセシス(Principles of Peptide Synthesis)」、シュプリンガー−フェアラーク(Springer−Verlag)、ニューヨーク(NewYork)、1984年;およびペニントン(Pennington)ら、「ペプチド・シンセシス・プロトコール(Peptide Synthesis Protocols)」、ヒューマナ・プレス(Humana Press)、トトワ(Totowa)、ニュージャージー州、1994年を参照)。さらに、多数の企業がカスタムのペプチド合成サービスを提供している。
【0088】
あるいは、本発明のポリマー結合ペプチドは、組換えDNAおよび分子クローニング技術を用いて調製可能である。ポリマー結合ペプチドのコード遺伝子は、ファン(Huang)ら(米国特許出願公開第2005/0050656号明細書)およびオブライエン(O’Brien)ら(上記)で記載のように、異種の宿主細胞内、特に微生物宿主の細胞内で生成可能である。ペプチドは、組換えDNAおよび分子クローニング技術によって調製される場合、N末端でプロリン(P)残基および場合によりC末端でアスパラギン酸(D)残基をさらに含んでなる場合がある。これらの付加残基はDP切断部位の使用に起因することから、所望のペプチド配列は封入体形成の促進に用いられるペプチドタグ、およびペプチド配列の縦列反復の間から分離される(実施例18を参照)。
【0089】
体表面結合ペプチド
ポリマー結合ペプチドは、限定はされないが、毛髪および皮膚結合ペプチドを含む体表面結合ペプチドと併用されうる。本明細書中で定義される体表面結合ペプチド(BSBP)は、体表面に対して高い親和性で結合するペプチド配列である。体表面結合ペプチドは、上記およびファン(Huang)ら(同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2005/0050656号明細書および米国特許出願公開第2005/0226839号明細書)、エステル(Estell)ら(国際公開第0179479号パンフレット);マレイ(Murray)ら(米国特許出願公開第2002/0098524号明細書);ジャンセン(Janssen)ら、(米国特許出願公開第2003/0152976号明細書);およびジャンセン(Janssen)ら、(国際公開第04048399号パンフレット)で記載のコンビナトリアルな方法を用いて生成されうる。さらに、シャンプーに耐性を有する毛髪結合ペプチドは、同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2006/0073111号明細書中のオブライエン(O’Brien)らにより記載の改良されたバイオパニング方法を用いて選択されうる。同様に、ヘアコンディショナーに耐性を有する毛髪結合ペプチドおよびスキンケア組成物に耐性を有する皮膚結合ペプチドは、それぞれワン(Wang)ら(同時係属および共同所有の米国特許出願第11/359163号明細書)およびワン(Wang)ら(同時係属および共同所有の米国特許出願第11/359162号明細書)で記載の方法を用いて同定されうる。それらの方法では、ファージペプチドの初期ライブラリーのいずれかは、基質との接触のために目的のマトリックス(すなわち、シャンプーマトリックス、ヘアコンディショナーマトリックス、またはスキンケア組成物マトリックス)中に溶解されるか、あるいはファージペプチド基質複合体は、上記のように基質とファージペプチドのライブラリーとの接触により形成されてから目的のマトリックスと接触される。それに続くバイオパニング方法は、上記のように行われる。シャンプーマトリックス、ヘアコンディショナーマトリックス、またはスキンケア組成物マトリックスは、フルストレングスの製品またはその希釈物でありうる。適切なコンビナトリアルに生成された体表面結合ペプチドの例として、限定はされないが、配列番号47〜52および73〜81として与えられる毛髪結合配列、ならびに配列番号53〜57および82〜93として与えられる皮膚結合配列が挙げられる(表A参照)。これらの体表面結合ペプチドは、上記の方法を用いて調製されうる。
【0090】
あるいは、毛髪および皮膚結合ペプチド配列は、ローズ(Rothe)ら(国際公開第2004/000257号パンフレット)で記載のように、静電相互作用を介して毛髪および皮膚に結合可能である正に帯電したアミノ酸を含んでなるペプチドの設計により実験的に生成されうる。実験的に生成された毛髪および皮膚結合ペプチドは、約7アミノ酸〜約50アミノ酸を有し、かつ、リジン、アルギニン、およびヒスチジンなど、少なくとも約40モル%の正に帯電したアミノ酸を含んでなる。HRK、RHK、HKR、RKH、KRH、KHR、HKX、KRX、RKX、HRX、KHXおよびRHXなどのトリペプチドモチーフを含有するペプチド配列が、Xが任意の天然アミノ酸でありうるが最も好ましくはグリシン、アラニン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、バリンおよびフェニルアラニンなどの中性側鎖アミノ酸から選択される場合、最も好ましい。さらに、ペプチド配列が、配合された生成物中での溶解度、粘度および他の成分との相溶性における要件を含む、エンドユースにおける他の機能的要件を満たさなければならず、それ故に用途における需要に応じて変化することになることは理解されるべきである。いくつかの場合では、ペプチドは最大60モル%のアミノ酸を含有し、ヒスチジン、リジンまたはアルギニンを含有しない場合がある。適切な実験的に生成された毛髪および皮膚結合ペプチドは、限定はされないが、配列番号58〜62として与えられるペプチド配列を含む(表A参照)。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
体表面結合ペプチドは、本発明のポリマー結合ペプチドとの併用により、様々な意味で粒子ベースの効果剤の効果の促進が可能である。体表面結合ペプチドは、下記のとおり、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物に添加されうる。あるいは、ポリマー結合ペプチドに共役された体表面結合ペプチドを含んでなる複合体が使用されうる。共役相互作用は、共有結合または水素結合、静電相互作用、疎水性相互作用、またはファンデルワールス相互作用などの非共有相互作用でありうる。非共有相互作用の場合、ペプチドベースの複合体は、体表面結合ペプチドをポリマー結合ペプチドおよび任意のスペーサーと混合し、相互作用の発生にとっての十分な時間を確保することにより調製されうる。未結合の材料は、当該技術分野で既知の方法、例えばクロマトグラフィー法を用い、生成されたペプチドベースの複合体から分離されうる。
【0094】
ペプチドベースの複合体は、米国特許出願公開第2005/0050656号明細書中でファン(Huang)らによって記載のように、特定の体表面結合ペプチド、例えば毛髪または皮膚結合ペプチドをポリマー結合ペプチドに直接にまたは分子スペーサーを介して共有結合することによっても調製可能である。任意の適切な既知のペプチドまたはタンパク質とのコンジュゲーションケミストリー(conjugation chemistry)を用い、本発明のペプチドベースの複合体の形成が可能である。コンジュゲーションケミストリーは当該技術分野で周知である(例えば、ハーマンソン(Hermanson)、「バイオコンジュゲート・テクニックス(Bioconjugate Techniques)」、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)(1996年)を参照)。適切なカップリング剤は、限定はされないが、カルボジイミドカップリング剤、酸塩化物、イソシアネート、エポキシド、マレイミド、ならびにペプチド上の末端アミン基および/またはカルボキシル酸基、および水硫基に向けて反応性を示す他の機能的カップリング試薬を含む。さらに、ペプチド上の反応性のアミンまたはカルボキシル酸基を保護し、ペプチドベースの複合体にとって所望の構造を生成することが必要な場合がある。t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)などのアミノ酸における保護基の使用は当該技術分野で周知である(例えば、スチュワート(Stewart)ら、上記;ボダンスキー(Bodanszky)、上記;およびペニントン(Pennington)ら、上記を参照)。
【0095】
体表面結合ペプチドをポリマー結合ペプチドに分子スペーサーを介して共役することが望ましい場合もある。スペーサーは、ペプチド配列を分離し、それらがペプチドの体表面またはポリマーでコートされた効果剤への結合に干渉しないことを保証するのに役立つ。分子スペーサーは、アルキル鎖、フェニル化合物、エチレングリコール、アミド、エステルなどの種々の分子のいずれかでありうる。好ましいスペーサーは、親水性を示し、1〜約100個の原子、より好ましくは2〜約30個の原子の鎖長を有する。好ましいスペーサーの例として、限定はされないが、エタノールアミン、エチレングリコール、6個の炭素原子の鎖長を有するポリエチレン、3〜6個の反復単位を有するポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル鎖、ならびにエチル、プロピル、ヘキシル、ステリル(steryl)、セチル、およびパルミトイルアルキル鎖が挙げられる。分子スペーサーは、上記のカップリング化学物質(coupling chemistries)のいずれかを用いてペプチドに共有結合しうる。スペーサーの取り込みを促進するため、ペプチドに共役するためにスペーサーおよび反応基を両末端に有する二官能性カップリング剤の使用が可能である。適切な二官能性カップリング剤は当該技術分野で周知であり、かつ、限定はされないが、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミン;グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド;エチレングリコール−ビス(コハク酸N−ヒドロキシサクシニミドエステル)、ジサクシニミジルグルタレート、ジサクシニミジルスベレート、およびエチレングリコール−ビス(サクシニミジルサクシネート)などのビスN−ヒドロキシサクシニミドエステル;ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート;1,4ブタネジイルジグリシジルエーテルなどのビスオキシラン;サクシニルジサリシレート(succinyldisalicylate)などのジカルボキシル酸などを含む。異なる反応基を各末端に有するヘテロ二官能性カップリング剤の使用も可能である。
【0096】
さらに、分子スペーサーは、任意のアミノ酸およびその混合物を含んでなるペプチドでありうる。好ましいペプチドスペーサーは、アミノ酸のプロリン、リジン、グリシン、アラニン、およびセリン、ならびにそれらの混合物よりなる。ペプチドスペーサーは、1〜約50アミノ酸長、好ましくは1〜約20アミノ酸長でありうる。典型的なペプチドスペーサーは、限定はされないが、配列番号63〜65、および94〜97を含む。さらに、ペプチドスペーサーは、配列番号66として与えられるプロテアーゼカスパーゼ3部位などの特定の酵素切断部位を有する場合があり、それは微粒子効果剤の体表面からの酵素的除去を可能にする。これらのペプチドスペーサーは、当該技術分野で既知の任意の方法により結合ペプチド配列に連結可能である。例えば、ペプチドベースの複合体全体は、上記の標準ペプチド合成方法を用いて調製されうる。さらに、結合ペプチドおよびペプチドスペーサーブロックは、カルボジイミドカップリング剤(例えば、ハーマンソン(Hermanson)、「バイオコンジュゲート・テクニックス(Bioconjugate Techniques)」、アカデミック・プレス(AcademicPress)、ニューヨーク(New York)(1996年)を参照)、二酸塩化物、ジイソシアネート、ならびにペプチド上の末端アミン基および/またはカルボキシル酸基に反応性を示す他の二官能性カップリング試薬を用いて結合されうる。あるいは、ペプチドベースの複合体全体は、上記の組換えDNAおよび分子クローニング技術を用いて調製されうる。スペーサーは、ペプチドスペーサー分子と有機スペーサー分子の組み合わせである場合もあり、それは上記の方法を用いて調製されうる。
【0097】
ファン(Huang)ら(米国特許出願公開第2005/0050656号明細書)で記載のように、互いに共役された体表面結合ペプチドおよびポリマー結合ペプチドの複数のコピーを有し、ペプチドベースの複合体とポリマーでコートされた効果剤と体表面との間の相互作用を高めることが望ましい場合もある。同じ体表面結合ペプチドおよびポリマー結合ペプチドの複数のコピーまたは異なる体表面結合ペプチドとポリマー結合ペプチドの組み合わせの使用が可能である。複数のコピーのペプチドベースの複合体は、上記のような様々なスペーサーを含んでなる場合がある。典型的な複数のコピーの表面結合ペプチド//ポリマー結合ペプチド複合体は、配列番号67〜70として与えられる複数のコピーの毛髪結合ペプチド//ポリマー結合ペプチド複合体を含むがこれらに限定されない。
【0098】
本発明の一実施形態では、ペプチドベースの複合体は、体表面結合ペプチド(BSBP)およびポリマー結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、一般構造[(BSBP)−(PBP)(式中、nおよびmは独立して1〜約10、好ましくは1〜約5の範囲であり、かつxは1〜約10でありうる)を有する。
【0099】
別の実施形態では、ペプチドベースの複合体は、上記のように体表面結合ペプチドをポリマー結合ペプチドから分離する分子スペーサー(S)を含んでなる。体表面結合ペプチドおよびポリマー結合ペプチドの複数のコピーは使用可能でもあり、かつ体表面結合ペプチドおよびポリマー結合ペプチドの複数のコピーは分子スペーサーによりそれら自体および相互から分離可能である。この実施形態では、ペプチドベースの複合体は、体表面結合ペプチド、スペーサー、およびポリマー結合ペプチドを含んでなるトリブロック組成物であり、一般構造[[(BSBP)−S−[(PBP)−S(式中、m、n、xおよびzは独立して1〜約10の範囲であり、yは1〜約5であり、かつqおよびrはrとqが両方とも0であることはないという条件で各々独立して0または1である)を有する。
【0100】
別の実施形態では、体表面結合ペプチドは毛髪結合ペプチドであり、かつペプチドベースの複合体は、毛髪結合ペプチド(HBP)およびポリマー結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、一般構造[(HBP)−(PBP)(式中、nおよびmは独立して1〜約10、好ましくは1〜約5の範囲であり、かつxは1〜約10でありうる)を有する。
【0101】
別の実施形態では、体表面結合ペプチドは毛髪結合ペプチドであり、かつペプチドベースの複合体は、毛髪結合ペプチド(HBP)、スペーサー(S)、およびポリマー結合ペプチド(PBP)を含んでなるトリブロック組成物であり、一般構造[[(HBP)−S−[(PBP)−S(式中、m、n、xおよびzは独立して1〜約10の範囲であり、yは1〜約5であり、かつqおよびrはrとqが両方とも0であることはないという条件で各々独立して0または1である
)を有する。
【0102】
別の実施形態では、体表面結合ペプチドは皮膚結合ペプチドであり、かつペプチドベースの複合体は、皮膚結合ペプチド(SBP)およびポリマー結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、一般構造[(SBP)−(PBP)(式中、nおよびmは独立して1〜約10、好ましくは1〜約5の範囲であり、かつxは1〜約10でありうる)を有する。
【0103】
別の実施形態では、体表面結合ペプチドは皮膚結合ペプチドであり、かつペプチドベースの複合体は、皮膚結合ペプチド(SBP)、スペーサー(S)、およびポリマー結合ペプチド(PBP)を含んでなるトリブロック組成物であり、一般構造[[(SBP)−S−[(PBP)−S(式中、m、n、xおよびzは独立して1〜約10の範囲であり、yは1〜約5であり、かつqおよびrはrとqが両方とも0であることはないという条件で各々独立して0または1である)を有する。
【0104】
本明細書で用いられるBSBP、HBP、SBP、およびPBPが総称であり、かつ各々、単一の体表面結合ペプチド、毛髪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、またはポリマー結合ペプチド配列を示すことを意味しないことは理解されるべきである。上で用いられるm、n、xまたはzが1より大きい場合、異なる配列の一連の体表面結合ペプチド(例えば毛髪または皮膚結合ペプチド)および異なる配列のポリマー結合ペプチドが組成物の一部を形成しうる状況がもたらされることは、十分に本発明の範囲内である。さらに、「S」もまた総称であり、単一のスペーサーを示すことを意味しない。上で用いられるq、x、r、またはzが1より大きい場合、多数の異なるスペーサーが組成物の一部を形成しうる状況がもたらされることは、十分に本発明の範囲内である。さらに、これらの構造が必ずしもペプチドと任意の分子スペーサーとの間の共有結合を示すとは限らないことは理解されるべきである。上記のように、ペプチドと任意のスペーサーとの間のカップリング相互作用は共有または非共有結合でありうる。
【0105】
ポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物
ポリマーに対して親和性を有するペプチドは、水溶液またはパーソナルケア組成物などの様々な組成物から体表面に適用可能である。例えば、ポリマー結合ペプチドは、ポリマー結合ペプチドを含んでなる水溶液から毛髪に適用可能である。あるいは、ポリマー結合ペプチドは、ヘアケア組成物(下記)から毛髪に適用可能である。いずれの場合でも、ポリマー結合ペプチドは、組成物の総重量を基準にして約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の濃度で組成物中で用いられる。適切なポリマー結合ペプチドは上記のとおりである。さらに、異なるポリマー結合ペプチドの混合物が組成物中で用いられうる。混合物中のペプチドは、薬効を軽減させるペプチド間の相互作用が全くないように選択される必要がある。ポリマー結合ペプチドの適切な混合物については、当業者により通常の実験を用いて決定されうる。ポリマー結合ペプチドの混合物が組成物中で用いられる場合、ポリマー結合ペプチドの総濃度は、組成物の総重量を基準にして約0.01重量%〜約10重量%である。
【0106】
別の実施形態では、毛髪結合ペプチドを、ポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物に添加することが可能である。組成物中の毛髪結合ペプチドの濃度は、組成物の総重量を基準にして約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5%である。さらに、異なる毛髪結合ペプチドの混合物の使用が可能である。もし毛髪結合ペプチドの混合物が用いられる場合、組成物中の毛髪結合ペプチドの総濃度は、組成物の総重量を基準にして約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5%である。
【0107】
別の実施形態では、ポリマー結合ペプチドはペプチドベースの複合体の形態で用いられ、ここでポリマー結合ペプチドは上記のように毛髪結合ペプチドに共役される。
【0108】
ヘアケア組成物は、限定はされないが、シャンプー、コンディショナー、リンス、ローション、エアロゾル、ゲル、ムース、および毛髪染料を含む、毛髪を処理するための組成物として本明細書中で定義される。ヘアケア組成物は、ヘアケア組成物として美容的に許容できる媒体を含んでなる場合があり、その例は、例えば米国特許第6,280,747号明細書中でフィリップ(Philippe)ら、米国特許第6,139,851号明細書中でオムラ(Omura)ら、および米国特許第6,013,250号明細書中でキャネル(Cannell)ら(これらすべては参照により本明細書中に援用される)により記載されている。例えば、これらのヘアケア組成物は、水溶液、アルコール溶液または水性アルコール溶液であり、アルコールは好ましくは水性アルコール溶液における総重量を基準にして約1〜約75重量%の割合のエタノールまたはイソプロパノールでありうる。さらに、ヘアケア組成物は、限定はされないが、抗酸化剤、保護剤、充填剤、界面活性剤、UVAおよび/またはUVBサンスクリーン、香料、増粘剤、浸潤剤およびアニオン、非イオン性または両性ポリマー、ならびに染料または色素を含む、1つもしくはそれ以上の従来の化粧用または皮膚用の添加物またはアジュバントを含有しうる。
【0109】
同様に、ポリマー結合ペプチドは、ポリマー結合ペプチドを含んでなる水溶液から皮膚に適用可能である。あるいは、ポリマー結合ペプチドは、スキンケア組成物(下記)から皮膚に適用可能である。いずれの場合でも、皮膚結合ペプチドは、組成物の総重量を基準にして約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の濃度で組成物中で用いられる。適切なポリマー結合ペプチドは上記のとおりである。さらに、異なるポリマー結合ペプチドの混合物が組成物中で用いられうる。混合物中のペプチドは、有益な効果を軽減させることになると思われるペプチド間の相互作用が全くないように選択される必要がある。ポリマー結合ペプチドの適切な混合物については、当業者により通常の実験を用いて決定されうる。ポリマー結合ペプチドの混合物が組成物中で用いられる場合、ペプチドの総濃度は組成物の総重量を基準にして約0.01重量%〜約10重量%である。
【0110】
別の実施形態では、皮膚結合ペプチドはポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物に添加されうる。組成物中の皮膚結合ペプチドの濃度は、組成物の総重量を基準にして約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5%である。さらに、異なる皮膚結合ペプチドの混合物が用いられうる。皮膚結合ペプチドの混合物が用いられる場合、組成物中の皮膚結合ペプチドの総濃度は、組成物の総重量を基準にして約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5%である。
【0111】
別の実施形態では、ポリマー結合ペプチドはペプチドベースの複合体の形態で用いられ、ここでポリマー結合ペプチドは上記のように皮膚結合ペプチドに共役される。
【0112】
スキンケア組成物については、限定はされないが、スキンケア、スキンクレンジング、化粧品、サンスクリーン、および皺取り製品を含む、皮膚を処理するための組成物として本明細書中で定義される。スキンケア組成物は、スキンケア組成物用の美容的に許容できる媒体を含んでなる場合があり、その例は、例えばフィリップ(Philippe)ら、上記により記載されている。例えば、美容的に許容できる媒体は、一般に組成物の総重量を基準にして約10〜約90重量%の割合で脂肪物質を含有する無水組成物である場合があり、ここで脂肪相は少なくとも1つの液体、固体または半固体の脂肪物質を含有する。脂肪物質は、限定はされないが、オイル、ワックス、ゴム、およびいわゆる粥状脂肪物質を含む。あるいは、組成物は油中水または水中油エマルジョンなどの安定なディスパージョンの形態でありうる。さらに、組成物は、限定はされないが、抗酸化剤、保護剤、充填剤、界面活性剤、UVAおよび/またはUVBサンスクリーン、香料、増粘剤、浸潤剤およびアニオン、非イオン性または両性ポリマー、ならびに染料または色素を含む、1つもしくはそれ以上の従来の化粧用または皮膚用の添加物またはアジュバントを含有しうる。
【0113】
微粒子効果剤を体表面に適用するための方法
本発明の方法に従い、ポリマー結合ペプチドを用い、体表面上で、例えば、色素、微粒子コンディショナー、および無機サンスクリーンといった一般の微粒子効果剤の耐久性を高めることが可能である。本発明での使用においては、微粒子効果剤は上記のようにポリマーでコートされる。一般に、ポリマーでコートされた微粒子効果剤は、コートされた効果剤が体表面に結合しかつポリマー結合ペプチドが微粒子効果剤上のポリマーコーティングに結合するのに十分な時間、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の前に、後に、またはそれと同時に体表面に適用される。微粒子効果剤を毛髪または皮膚に適用するための様々な方法が、下記により詳細に記載されている。
【0114】
一実施形態では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤は毛髪に適用される。コートされた効果剤は、水溶液などの任意の適切な溶液または従来のヘアケア組成物、例えば着色組成物から毛髪に適用可能である。これらのヘアケア組成物は当該技術分野で周知であり、適切な組成物は上記のとおりである。ポリマーでコートされた微粒子効果剤は、微粒子効果剤が毛髪に結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間毛髪上に残され、場合により毛髪をすすいで毛髪に結合されていない微粒子効果剤が除去されうる。次いで、ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が、ポリマー結合ペプチドがポリマーコーティングに結合するのに十分な時間、好ましくは約5秒〜約60分間毛髪に適用される。ポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物は、毛髪からすすがれるかまたは毛髪上に残される場合がある。
【0115】
別の実施形態では、ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が、ポリマー結合ペプチドが毛髪に結合するのに十分な時間、好ましくは約5秒〜約60分間毛髪に適用される。ポリマー結合ペプチドを含んでなる未結合の組成物は、毛髪からすすがれるかまたは毛髪上に残される場合がある。次いで、ポリマーでコートされた微粒子効果剤は、微粒子効果剤がポリマー結合ペプチドに結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間毛髪に適用される。場合により毛髪をすすぐことで、ポリマー結合ペプチドに結合されていない微粒子効果剤が除去されうる。
【0116】
別の実施形態では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤およびポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物は同時に、微粒子効果剤が毛髪に結合しかつポリマー結合ペプチドが微粒子効果剤上のポリマーコーティングに結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間毛髪に適用される。場合により、毛髪をすすぐことで、未結合の微粒子効果剤およびポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物が毛髪から除去されうる。
【0117】
別の実施形態では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤は、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の一部として提供される。その実施形態では、微粒子効果剤およびポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物は、微粒子効果剤が毛髪に結合しかつポリマー結合ペプチドが微粒子効果剤上のポリマーコーティングに結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間毛髪に適用される。微粒子効果剤およびポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物は、毛髪からすすがれるかまたは毛髪上に残される場合がある。
【0118】
別の実施形態では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤は皮膚に適用される。コートされた効果剤は、水溶液などの任意の適切な溶液または従来のスキンケア組成物、例えば当該技術分野で周知の、皮膚着色剤、スキンコンディショナー、サンスクリーン、または同種のものから皮膚に適用可能である。ポリマーでコートされた微粒子効果剤は、微粒子効果剤が皮膚に結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間皮膚上に残される。場合により、皮膚をすすぐことで、皮膚に結合していない微粒子効果剤が除去されうる。次いで、微粒子効果剤上のポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が、ポリマー結合ペプチドがポリマーコーティングに結合するのに十分な時間、好ましくは約5秒〜約60分間皮膚に適用される。ポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物は、皮膚からすすがれるかまたは皮膚上に残される場合がある。
【0119】
別の実施形態では、ポリマーコーティングに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が、ポリマー結合ペプチドが皮膚に結合するのに十分な時間、好ましくは約5秒〜約60分間皮膚に適用される。ポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物は、皮膚からすすがれるかまたは皮膚上に残される場合がある。次いで、ポリマーでコートされた微粒子効果剤は、微粒子効果剤がポリマー結合ペプチドに結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間皮膚に適用される。場合により、皮膚をすすぐことで、ポリマー結合ペプチドに結合されていない微粒子効果剤が除去されうる。
【0120】
別の実施形態では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤およびポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物は同時に、微粒子効果剤が皮膚に結合しかつポリマー結合ペプチドが微粒子効果剤上のポリマーコーティングに結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間皮膚に適用される。場合により、皮膚をすすぐことで、未結合の微粒子効果剤およびポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物が皮膚から除去されうる。
【0121】
別の実施形態では、ポリマーでコートされた微粒子効果剤は、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の一部として提供される。その実施形態では、微粒子効果剤およびポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物は、微粒子効果剤が皮膚に結合しかつポリマー結合ペプチドが微粒子効果剤上のポリマーコーティングに結合するのに十分な時間、典型的には約5秒〜約60分間皮膚に適用される。微粒子効果剤およびポリマー結合ペプチドを含んでなる組成物は、皮膚からすすがれるかまたは皮膚上に残される場合がある。
【0122】
上記の方法のいずれにおいても、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物は、効果剤の耐久性をさらに高めるため、ポリマーでコートされた微粒子効果剤を含んでなる組成物およびポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の適用後、場合により体表面に再適用可能である。
【0123】
さらに、上記の方法のいずれにおいても、ポリマーシーラントを含んでなる組成物が、効果剤の耐久性をさらに高めるため、ポリマーでコートされた微粒子効果剤を含んでなる組成物およびポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の適用後、場合により体表面に適用可能である。ポリマーシーラントを含んでなる組成物は、ポリマーシーラントを含んでなる水溶液あるいはヘアケアまたはスキンケア組成物でありうる。典型的には、ポリマーシーラントは、組成物の総重量を基準にして約0.25重量%〜約10重量%の濃度で組成物中に存在する。ポリマーシーラントは、パーソナルケア製品に関する当該技術分野で周知であり、かつ、限定はされないが、ポリ(アリルアミン)、アクリレート、アクリレートコポリマー、メタクリレート、メタクリレートコポリマー、ポリウレタン、カルボマー、メチコン、アモジメチコン、ポリペプチド、ポリエチレングリコール、蜜ろう、シロキサンなどを含む。ポリマーシーラントの選択は、用いられる特定の微粒子効果剤およびポリマー結合ペプチドに依存ずる。最適なポリマーシーラントは、当業者により通常の実験を用いて容易に決定されうる。
【0124】
パーソナルケア組成物
本発明は、ポリマーでコートされた微粒子効果剤およびポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物を含んでなるパーソナルケア組成物も提供する。パーソナルケア組成物は、上記のヘアケアおよびスキンケア組成物など、体表面に適用することで美容的または予防的効果がもたらされる任意の組成物でありうる。
【実施例】
【0125】
本発明は、以下の実施例においてさらに規定される。これらの実施例が本発明の好ましい実施形態を示す一方であくまで例示目的で示されることが理解されるべきである。上の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明における本質的な特性を確認でき、かつ、その趣旨および範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更および改良を行い、様々な用途および条件にそれを適合させることができる。
【0126】
用いられる略語の意味は以下のとおりである。すなわち、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「g」は重力定数を意味し、「rpm」は毎分回転数を意味し、「pfu」はプラーク形成単位を意味し、「BSA」はウシ血清アルブミンを意味し、「ELISA」は酵素結合免疫吸着アッセイを意味し、「IPTG」はイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドを意味し、「A」は吸光度を意味し、「A450」は450nmの波長で測定された吸光度を意味し、「TBS」はトリス緩衝生理食塩水を意味し、「TBST−X」は「X」がトゥイーン(Tween)(登録商標)20の重量パーセントである場合でトゥイーン(Tween)(登録商標)20を含有するトリス緩衝生理食塩水を意味し、「Xgal」は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドを意味し、「SEM」は平均値の標準誤差を意味し、「vol%」は容量パーセントを意味し、「atm」は大気を意味し、「kPa」はキロパスカルを意味し、「SLPM」は1分当たりの標準リットルを意味し、「psi」は1平方インチ当たりのポンドを意味し、「RCF」は相対遠心力を意味する。
【0127】
一般的方法
実施例で用いられる標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、サムブルック,J.(Sambrook,J.)、フリッチ,E.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアティス,T.(Maniatis,T.)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州、1989年、T.J.シルハヴィ(T.J.Silhavy)、M.L.ベナン(M.L.Bennan)およびL.W.エンキスト(L.W.Enquist)、「Experiments with Gene Fusions」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州、1984年、およびアウスベルF.M.(AusubelF.M.)ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、グリーン・パブリッシング・アソシエイツ・アンド・ウイリー・インターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience)、ニューヨーク州、1987年で記載されている。
【0128】
細菌培養物の維持および成長に適する材料および方法もまた当該技術分野で周知である。以下の実施例における使用に適する技術については、「Manual of Methods for General Bacteriology」、フィリップ ゲルハート(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マレイ(R.G.E.Murray)、ラルフ N.コスティロー(Ralph N.Costilow)、ユージン W.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリス A.ウッド(Willis A.Wood)、ノエル R.クリーグ(Noel R.Krieg)およびG.ブリッグス フィリップス(G.Briggs Phillips)編、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントンDC(Washington、DC)、1994年、またはトーマス D.ブロック(Thomas D.Brock)「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版、シナウアー・アソシエイツ(Sinauer Associates,Inc.)、サンダーランド(Sunderland)、マサチューセッツ州、1989年において見出されうる。
【0129】
細菌細胞の成長および維持において用いられるすべての試薬、制限酵素および物質を、他に指定がない限り、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ミルウォーキー(Milwaukee)、ウィスコンシン州)、BD ダイアグノスティック・システムズ(BD Diagnostic Systems)(スパークス(Sparks)、メリーランド州)、ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)(ロックヴィル(Rockville)、メリーランド州)、またはシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)(セントルイス(St.Louis)、ミズーリ州)から入手した。
【0130】
ファージディスプレイペプチドライブラリー
以下の実施例では、6つのファージディスプレイペプチドライブラリーを用いた。3つのペプチドライブラリー、すなわちPh.D.(商標)−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキット(12−merの線形ペプチドライブラリー)、Ph.D.(商標)−7ファージディスプレイライブラリーキット(7−merの線形ペプチドライブラリー)、およびPh.D.(商標)−C7Cファージディスプレイライブラリーキット(7−merの拘束された(constrained)ペプチドライブラリー)を、ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs)(ベバリー(Beverly)、マサチューセッツ州)から購入した。これらのキットは、M13ファージの小コートタンパク質(pIII)に融合されたランダムペプチド7または12−merのコンビナトリアルライブラリーに基づくものであった。3つ全部のライブラリー内のランダム化されたペプチド配列が小コートタンパク質pIIIのN末端で発現される結果、ビリオン当たり、提示ペプチドにおける結合価が5価のコピーが生成される。Ph.D.−7およびPh.D.−12ライブラリーの双方ではペプチド−pIII融合体の第1の残基が第1のランダム化された位置である一方、Ph.D.−C7Cライブラリー内の第1のランダム化された位置に対してAla−Cysが先行する。すべてのライブラリーは、提示ペプチドとpIIIの間に4つのアミノ酸からなる短いリンカー配列を有する。Ph.D.−C7Cライブラリーのランダム化されたセグメントに1対のシステイン残基が隣接し、それらはジスルフィド結合へのファージ構築の間に酸化され、結果として提示ペプチドがループとして標的に提示される。3つ全部のライブラリーは約3×10の配列よりなる。容量10μLには、各ペプチド配列の約55のコピーが含有される。
【0131】
3つの他のファージディスプレイペプチドライブラリー、すなわち、15−merのランダムな線形ペプチド配列を有するもの、20−merのランダムな線形ペプチド配列を有する別のもの、位置3および11にシスチン残基を有する14−merのジスルフィドで拘束されたランダムなペプチド配列を有する3番目を、ケイ(Kay)らにより記載の方法(コンビナトリアル・ケミストリー・アンド・ハイスループット・スクリーニング(Combinatorial Chemistry & High Throughput Screening)、第8巻、545−551頁(2005年))を用いて調製した。この方法は、大腸菌株CJ236(dut ung)を用いてウリジンを有する一本鎖ファージミドDNA(U−ssDNA)が生成されるという、シドゥ(Sidhu)らにより報告された方法(メソッド・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology) 328:333−363頁(2000年))を改良したものである。このDNAは、第二鎖のプライマーとしてだけでなくランダムアミノ酸をコードするものを挿入するための、オリゴヌクレオチドを用いる第二鎖合成用の鋳型として用いられた。第二鎖合成の完了時、二本鎖(dsDNA)は野生型株に形質転換された。任意のU−ssDNAが宿主細胞によって分解され、それ故にファージ粒子を生成するための組換え鎖のみが残された。この方法を用い、ペプチド融合体または変異体をM13コートタンパク質に対して生成してもよい。ケイ(Kay)らの方法では、遺伝子IIIの開始点でアンバー停止コドンが用いられる。DNA配列のランダム化されたストレッチを有するオリゴヌクレオチドを、ランダム化された領域が停止コドンと一致するように一本鎖ファージゲノムにアニールした。一本鎖DNA(ssDNA)を共有結合で閉じた環状dsDNAに酵素的に変換し、次いで大腸菌の非サプレッサー株にエレクトロポレートした。新たに合成されたDNA鎖(マイナス鎖)は、宿主細胞内でプラス鎖を生成するための鋳型としての機能を果たし、それを、ウイルス遺伝子を転写/翻訳するために用い、かつウイルス粒子内にパッケージ化した。
【0132】
実施例1
バイオパニングを用いたポリメタクリル酸メチル(PMMA)結合ペプチドの選択
この実施例の目的は、改良されたファージディスプレイバイオパニング方法を用いてポリメタクリル酸メチル(PMMA)に結合するファージペプチドを同定することであった。
【0133】
この実施例では、Ph.D.(商標)−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキットおよびPh.D.(商標)−7ファージディスプレイライブラリーキットを用いた。何らかのバイアスが結果に導入されることを回避するため、各実験の第1回目を製造業者から提供されたオリジナルのライブラリーを用いて実施した。
【0134】
PMMA表面に対するバイオパニング
使用したPMMA材料は、ルサイト(Lucite)(登録商標)メチルメタクリレートポリマーシート(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Co.)、ウィルミントン(Wilmington)、デラウェア州から入手)の1/8インチ(32mm)厚、1/2インチ(12.7mm)直径のディスクおよびドットブロット装置(シュライヒャー・アンド・シュエル(Schleicher & Schuell)、キーン(Keene)、ニューハンプシャー州から入手)であった。PMMAディスクに対するバイオパニングにおいては、以下のプロトコルを用いた。PMMAディスクを90%イソプロパノール5mLで満たしたチューブ内に室温で30分間入れ、次いで各々を10分間、脱イオン水で5回洗浄した。次いで、0.5%トゥイーン(Tween)(登録商標)20(TBST−0.5%)を含有するTBST中の1mg/mL BSAよりなるブロッキング緩衝液5mLをチューブに添加し、4℃で1時間インキュベートした。
【0135】
ディスクをTBST−0.5%で5回洗浄し、次いで1mg/mL BSAを含有するTBST−0.5% 2mLを各ウェルに添加した。次いで、オリジナルのファージライブラリー(2×1011pfu)10μLすなわち12−merまたは7−merのライブラリーをディスクに添加し、室温で15分間インキュベートした。ディスクをTBST−0.5%で10回洗浄した。次いで、ディスクをクリーンチューブに移し、0.2Mグリシン−HCl、pH2.2中の1mg/mL BSAよりなる非特異的な溶出緩衝液2mLをチューブに添加し、10分間インキュベートした。ディスクを溶出緩衝液でさらに3回洗浄し、次いでTBST−0.5%で3回洗浄した。酸耐性を有するファージペプチドをさらに付着させたディスクを使用し、ファージ増幅のため、宿主細胞の大腸菌ER2738(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs)、ベバリー(Beverly)、マサチューセッツ州)に直接感染させた。ディスクをLB(Luria−Bertani)培地内で1:100に一晩で希釈した大腸菌ER2738培養物とともに37℃で4.5時間インキュベートした。この時間経過後、細胞培養物を30秒間遠心し、上清の上部80%を新しいチューブに移し、PEG/NaCl(シグマ・ケミカル(Sigma Chemical Co.)、セントルイス(St.Louis)、ミズーリ州から入手した20%ポリエチレングリコール−800、2.5M塩化ナトリウム)の1/6容量を添加し、ファージを4℃で一晩沈殿させておいた。沈殿物を4℃、10,000×gでの遠心分離により回収し、得られたペレットをTBS1mL中に再懸濁した。次いで、この増幅された第1回目のファージストックを下記の方法に従って滴定(titer)した。バイオパニングの次のラウンドにおいては、第1回目から得た2×1011pfuを超えるファージストックを使用した。バイオパニングプロセスを実験によっては3〜4回繰り返した。
【0136】
バイオパニングの最終ラウンドでの酸洗浄ステップ後、PMMAディスクを用い、500μLの中間−ログ(mid−log)段階の細菌宿主細胞、大腸菌ER2738に直接感染させ、次いでLB培地内で20分間成長させ、次いで3mLのアガローストップ(5mM MgClおよび0.7%アガロースを有するLB培地)と45℃で混合した。この混合物をLB培地/IPTG/S−Gal(商標)プレート(15g/L寒天、0.05g/L IPTG、および0.04g/L S−Gal(商標)を有するLB培地)上に延展し、37℃で一晩インキュベートした。ブラックプラークを計数し、ファージ力価を計算した。DNAの単離および配列決定分析においては、単一のブラックプラークをランダムに採取した。これらの高親和性を示すPMMA結合ファージペプチドのアミノ酸配列を表1に示す。
【0137】
【表4】

【0138】
実施例2
ELISAによるPMMA結合ファージペプチドクローンの特徴づけ
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用い、対照としての機能を果たす皮膚−1ファージクローンTPFHSPENAPGS(配列番号53で与えられる)とともに実施例1で同定した選択されたファージペプチドクローンのPMMAとの結合親和性を評価した。
【0139】
空の96ウェル装置、シュライヒャー・アンド・シュエル(Schleicher & Schuell,Inc.)(キーン(Keene)、ニューハンプシャー州)から入手したミニフォールド(Minifold)Iドット−ブロット(I Dot−Blot)システムをPMMA表面として用いた。試験対象の各クローンにおいては、ウェルをTBS中の2%の無脂肪粉乳よりなるブロッキング緩衝液200μLとともに室温で1時間インキュベートした。ブロッキング緩衝液を、システムを反転して除去し、ブロットしてペーパータオルで乾燥させた。ウェルをTBST−0.5%よりなる洗浄緩衝液で6回すすいだ。ウェルを1mg/mL BSAを含有するTBST−0.5% 200μLで満たし、次いで精製したファージストック10μL(1012を超えるコピー)を各ウェルに添加した。試料をゆっくり振とうさせながら37℃で15分間インキュベートした。結合していないファージを、ウェルをTBST−0.5%で10〜20回洗浄して除去した。次いで、ブロッキング緩衝液中で1:500に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ/抗−M13抗体複合体(米国アマシャム(Amersham USA)、ピスカタウェイ(Piscataway)、ニュージャージー州)100μLを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。複合体溶液を除去し、ウェルをTBST−0.05%で6回洗浄した。ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology)(ロックフォード(Rockford)、イリノイ州)から入手したTMB基質(200μL)を各ウェルに添加し、色を5〜30分間、典型的には10分間室温で展開させておいた。次いで、停止溶液(2M HSO 200μL)を各ウェルに添加し、溶液を96ウェルプレートに移し、A450をマイクロプレート分光光度計(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices)、サニーベイル(Sunnyvale)、カリフォルニア州)を用いて測定した。少なくとも3つの反復試験(replicates)の平均として報告された、得られた吸光度値と平均値の標準誤差(SEM)を表2に示す。
【0140】
【表5】

【0141】
結果は、試験対象のPMMA結合ファージペプチドのすべてがPMMAに対して対照の皮膚−1ペプチドよりも有意に高い結合親和性を有していたことを示している。
【0142】
実施例3
PMMA結合ペプチドにおけるPMMAとの結合親和性の測定
この実施例の目的は、ELISAアッセイを用い、PMMA結合ペプチドのPMMA表面に対する親和性を測定(MB50値として測定)することであった。
【0143】
PMMA結合ペプチドA09を、シンペップ(Synpep Inc.)(ダブリン(Dublin)、カリフォルニア州)によって合成した。検出目的で、ペプチドをアミノ酸結合配列のC末端でのビオチン化リジン残基の付加によってビオチン化し、アミド化システインを配列のC末端に付加した。試験対象のペプチドのアミノ酸配列を配列番号13として示す。
【0144】
PMMA結合ペプチドA09におけるMB50の測定
PMMAに結合するビオチン化ペプチドA09(配列番号13)におけるMB50の測定を、実施例2に記載の96ウェル装置を用いて実施した。96ウェルを、ブロッキング緩衝液(ピアス・ケミカル(Pierce Chemical Co.)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州から入手したスーパーブロック(SuperBlock)(商標))を用いて室温で1時間ブロッキングした後、各々を室温で2分間、TBST−0.5%で6回洗浄した。様々な濃度のビオチン化された結合ペプチドを各ウェルに添加し、37℃で15分間インキュベートし、各々を室温で2分間、TBST−0.5%で6回洗浄した。次いで、ストレプトアビジン−西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)複合体(ピアス・ケミカル(Pierce Chemical Co.)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州)を各ウェルに添加し(1ウェル当たり1.0μg)、室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、各ウェルを室温で2分間、TBST−0.5%で6回洗浄した。最後に、色の展開および吸光度の測定を実施例2に記載のように行った。
【0145】
結果を、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)4.0(グラフパッド・ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州)を用いてA450対ペプチドの濃度としてプロットした。MB50値をスカッチャード(Scatchard)プロットから計算したものを表3に示す。
【0146】
四量体PMMA結合ペプチドA09におけるMB50の測定
ペプチドA09四量体におけるMB50の測定においては、PMMA表面およびすべての結合状態は上記と同様であった。四量体−A09ペプチド複合体を、ストレプトアビジン−HRPとビオチン化ペプチドA09(配列番号13)を1:4のモル比で混合することによって調製した。すべてのブロッキングおよび洗浄ステップ後、様々な濃度のストレプトアビジン/(A09)複合体を各ウェルに添加し、37℃で15分間インキュベートし、各々を室温で2分間、TBST−0.5%で6回洗浄した。次いで、色の展開および吸光度の測定を実施例2に記載のように行った。結果を、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)4.0(グラフパッド・ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州)を用いてA450対ペプチド複合体の濃度としてプロットした。MB50値をスカッチャードプロットから計算したしたものを表3に示す。
【0147】
【表6】

【0148】
結果は、PMMA結合ペプチドA09、およびストレプトアビジン/A09四量体複合体のPMMAに対する結合親和性が高かったことを示している。A09四量体複合体内での結合ペプチドの複数のコピーの使用により、結合親和性が10倍超高まった。
【0149】
実施例4
メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させた色素にPMMA結合ペプチドを併用したヘアカラーリング
この実施例の目的は、メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させたカーボンブラック色素にPMMA結合ペプチドを併用したヘアカラーリングについて示すことであった。
【0150】
カーボンブラックディスパージョンの調製
カーボンブラックディスパージョンを、まず以下の原料、すなわち(i)210.4重量部(pbw)の脱イオン水、(ii)80.3pbwの41.5wt%(固体)のアニオンポリマー分散剤、および(iii)9.24pbwのジメチルエタノールアミンを十分に混合することによって調製した。アニオンポリマー分散剤は、米国特許出願公開第20030128246号明細書(パラグラフ0122〜0125)(参照により本明細書中に援用される)中の「分散剤1の調製」に従ってPOEA(フェノキシエチルアクリレート)/−g−ETEGMA(エトキシトリエチレングリコールメタクリレート)/MAA(メタクリル酸)が66.3/−g−4.2/29.5に調製されたグラフトコポリマーであり、ここではモノマーの比が公報中で示された61.6/5.8/32.6の重量パーセント比ではなく66.3/4.2/29.5の重量パーセント比を得るように調節した。これに100pbwの黒色色素(ニペックス(Nipex)180IQ、デグサ(Degussa))を徐々に添加した。色素の混和後、100pbwの脱イオン水を混入し、ミルベースを形成し、それを破砕のために媒体ミルにより循環させた。次いで、脱イオン水(55.4pbw)を希釈のために添加して最終強度にした。この黒色のディスパージョン(276g)を、200gのグリセリン、120gのエチレングリコール、1.6gのプロクセル(Proxel)(アーク・ケミカルズ(Arch Chemicals,Inc.)、チェシャー(Cheshire)、コネチカット州)、143.6gの脱イオン水および2.5gのスルフィノール(Surfynol)(登録商標)485(エアー・プロダクツ(Air Products)、アレンタウン(Allentown)、ペンシルバニア州)と混合し、黒色着色剤の基材を形成した。着色剤配合物のpHを、必要に応じ、10%リン酸または10%水酸化ナトリウム溶液の添加により7.0に調整した。水性カーボンブラックストック溶液を、毛髪の耐久性試験において使用するため、この着色剤の基材を水で希釈して調製し、1重量%〜2重量%の炭素配合量を得た。
【0151】
配列番号14として与えられる、C末端に付加されたアミド化システインを有するPMMA結合ペプチドA09をシンペップ(SynPep Inc.)(ダブリン(Dublin)、カリフォルニア州)から入手した。このペプチド(100mg)を10gの1%カーボンブラックディスパージョンに添加し、溶液を室温で数時間撹拌した。
【0152】
ヘアカラーリング
インターナショナル・ヘア・インポーターズ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products)(ベルローズ(Bellerose)、ニューヨーク州)から入手した天然白髪の毛髪見本(2.60g)を3mm×100mmの試験管に入れ、PMMA結合ペプチドを含有するカーボンブラックディスパージョン7〜8mLを添加した。混合物をマグネチックスターラーを用いて30分間撹拌し、色素ディスパージョンと毛髪との接触が良好であることを確認した。毛髪見本を試験管から取り出し、30分間風乾状態にした。
【0153】
ヘアカラーの耐久性を、毛髪を脱イオン水ですすぐことによって試験した。毛髪見本を、水ですすぐ間、手でマッサージした。水すすぎ後、毛髪見本は黒色の大部分を保持した。
【0154】
実施例5(比較)
PMMA結合ペプチドの非存在下でのメタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させた色素を用いるヘアカラーリング
この実施例の目的は、PMMA結合ペプチドの非存在下でのカーボンブラック色素を用いて得られるヘアカラーリングの耐久性を評価し、かつそれを実施例4で得られた耐久性と比較することであった。
【0155】
カーボンブラックディスパージョンを実施例4に記載のように調製したが、PMMA結合ペプチドを添加しなかった。10gのカーボンブラックディスパージョンおよび2.30gの毛髪見本を用い、実施例4に記載のように毛髪を着色し、水ですすいだ。
【0156】
水すすぎ後、黒色がわずかに残存した。この結果は、実施例4で得られた結果と比較すると、カーボンブラック色素がPMMA結合ペプチドと併用される場合に改善された耐久性が得られることを示している。
【0157】
実施例6(比較)
メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させた色素にシロキサンシーラントを併用したヘアカラーリング
この実施例の目的は、カーボンブラック色素と従来のシロキサンシーラントとの併用で得られるヘアカラーリングの耐久性を評価しかつそれを実施例4で得られた耐久性と比較することであった。
【0158】
カーボンブラックディスパージョンを実施例4に記載のように調製したが、PMMA結合ペプチドを添加しなかった。1gのデカメチルシクロペンタシロキサン(アルドリッチ(Aldrich)、ミルウォーキー(Milwaukee)、ウィスコンシン州;製品番号44、427−8;CAS番号541−02−6)を9gのカーボンブラックディスパージョンに添加した。このカーボンブラックディスパージョンおよび2.30gの毛髪見本を用い、実施例4に記載のように毛髪を着色し、水ですすいだ。
【0159】
水すすぎ後、黒色のすべてが洗い出された。この結果は、実施例4で得られた結果と比較すると、カーボンブラック色素がPMMA結合ペプチドと併用される場合に得られる耐久性が同色素が従来のシロキサンシーラントと併用される場合と比較して改善されることを示している。
【0160】
実施例7
メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させた色素にPMMA結合ペプチドおよびポリ(アリルアミン)シーラントを併用したヘアカラーリング
この実施例の目的は、ポリマーシーラントとしてのポリ(アリルアミン)とカーボンブラック色素およびPMMA結合ペプチドとの併用で得られるヘアカラーの耐久性が向上することを示すことであった。
【0161】
炭素ディスパージョンを実施例4に記載のように調製し、PMMA結合ペプチドと併用した。ヘアカラーリングを、2.66gの毛髪見本を用いて実施例4に記載のように行った。毛髪見本を着色して30分間乾燥させた後、毛髪試料を(アルドリッチ(Aldrich);製品番号479177;CAS番号30551−89−4から入手した、ポリ(アリルアミン)の20wt%水溶液を水で希釈することにより調製した)ポリ(アリルアミン)の4wt%溶液中に浸した。毛髪見本を実施例4に記載のように速やかにすすぎ、次いでシャンプーで処理した(パンテーン・プロ−V・シア・ボリューム(Pantene Pro−V Sheer Volume)、プロクター・アンド・ギャンブル(Proctor & Gamble)、シンシナティ(Cincinnati)、オハイオ州)。シャンプー処理は、シャンプーの1/4サイズの滴を毛髪に添加するステップと、シャンプーを毛髪上に一様に分布させるステップと、毛髪を30秒間強くマッサージするステップとを含んだ。次いで、毛髪見本を脱イオン水ですすぎ、シャンプーを除去した。
【0162】
水ですすぎかつシャンプーで処理した後、毛髪見本は黒色の約50%を保持した。強力なシャンプー処理に対して色が残存したという結果は、シーラントとしてのポリ(アリルアミン)とカーボンブラック色素およびPMMA結合ペプチドとの併用により、カーボンブラック色素およびPMMA結合ペプチドのみの場合に得られる耐久性と比べると耐久性の向上が得られることを示している。
【0163】
実施例8〜12
メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させた色素にPMMA結合ペプチドを併用したヘアカラーリング
これらの実施例の目的は、メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させたカーボンブラック色素とPMMA結合ペプチドとの併用で得られるヘアカラーの耐久性が向上することを示し、かつそれをカーボンブラック色素のみの場合に得られる耐久性と比較することであった。さらに、ポリ(アリルアミン)シーラントの適用によってさらなる向上が得られることが示された。色保持を、分光光度測定技術を用いて定量した。
【0164】
カーボンブラックディスパージョンを実施例4に記載のように調製した。ヘアカラーリングを、PMMA結合ペプチド(配列番号14)を併用する場合と併用しない場合で実施例4に記載のように行った。ポリ(アリルアミン)シーラントの効果を実施例7に記載のように試験した。
【0165】
(実施例4に記載のように行った)水すすぎ後および(実施例7に記載のように行った)シャンプー処理後における色強度を、X−Rite(登録商標)SP78(商標)スフィア・スペクトロフォトメーター(Sphere Spectrophotometer)(エックスライト(X−Rite,Inc.)、グランヴィル(Grandville)、ミシガン州)を用い、着色された毛髪試料を光センサ内に入れて光度計の応答を示すL、aおよびbパラメータを計算することによって測定した。初期ベースラインL値を未着色の毛髪において測定し、すべての測定値は3つの個別測定値の平均であった。ΔE値を下記の方程式1を用いて計算した。
ΔE=((L−L+(a−a+(b−b1/2 (1)
(式中、L=明度変数、aおよびbはインターナショナル・コミッション・オブ・イルミネ−ション(International Commission of Illumination)(CIE)によって定義されたCIELAB色空間の色度座標である(ミノルタ(Minolta)、「Precise Color Communication−Color Control From Feeling to Instrumentation」、ミノルタ・カメラ(Minolta Camera Co.)、1996年))。より大きいΔE値はより良好な色保持を示す。結果を表4にまとめる。
【0166】
【表7】

【0167】
結果は、PMMA結合ペプチドとメタクリレートでコートされたカーボンブラック色素の併用の結果、水すすぎ(実施例8)とシャンプー処理(実施例10)の双方を行った後、カーボンブラックの単独使用の場合(比較の実施例9および12)と比べ、ヘアカラーの保持において有意な向上がもたらされたことを示している。さらに、ポリ(アリルアミン)シーラントの使用により、シャンプー処理後、色保持においてさらなる向上がもたらされた(実施例11)。
【0168】
実施例13
バイオパニングを用いたポリプロピレン結合ペプチドの選択
この実施例の目的は、改良されたファージディスプレイバイオパニング方法を用いてポリプロピレン(PP)に結合するファージペプチドを同定することであった。
【0169】
ポリプロピレン結合ペプチドを、実施例1に記載のバイオパニング方法を用いて同定した。バイオパニング方法にて用いられるポリプロピレン基質は、ポリプロピレンメッシュ材料、具体的には(デイボール(Davol Inc.)、クランストン(Cranston)、ロードアイランド州、 C.R.バード(C.R.Bard Inc.)の子会社から入手した)ヘルニア・リペア/リコンストラクティブ・サージェリー・プロステティクス・パッチ(Hernia Repair/Reconstructive Surgery Prosthetics Patch)であった。ポリプロピレンメッシュを、1cm四方に切断し、室温で30分間、90%イソプロパノールで前処理した後、パニングプロセス前に各々を10分間、脱イオン水で5回洗浄した。全部で4回のバイオパニングを行い、表5に高親和性のポリプロピレン−結合ファージペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0170】
【表8】

【0171】
実施例14
バイオパニングを用いたポリテトラフルオロエチレン結合ペプチドの選択
この実施例の目的は、改良されたファージディスプレイバイオパニング方法を用い、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に結合するファージペプチドを同定することであった。
【0172】
実施例1に記載のバイオパニング方法を用い、ポリテトラフルオロエチレン結合ペプチドを同定した。バイオパニング方法にて用いられるポリテトラフルオロエチレン基質は、(デイボール(Davol Inc.)、クランストン(Cranston)、ロードアイランド州、 C.R.バード(C.R.Bard Inc.)の子会社から入手した)ePTFEフィルム材料であった。ポリテトラフルオロエチレンフィルムを1cm四方に切断し、室温で30分間、90%イソプロパノールで前処理した後、パニングプロセス前に各々を10分間、脱イオン水で5回洗浄した。全部で4回のバイオパニングを行い、表6に高親和性のPTFE−結合ファージペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0173】
【表9】

【0174】
実施例15
バイオパニングを用いたナイロン6,6結合ペプチドの選択
この実施例の目的は、改良されたファージディスプレイバイオパニング方法を用いてナイロン6,6に結合するファージペプチドを同定することであった。
【0175】
実施例1に記載のバイオパニング方法を用い、ナイロン6,6結合ペプチドを同定した。バイオパニング方法における基質として用いられるナイロン6,6のビーズは、添加物を含有せず、当該技術分野で周知の標準のナイロン重合プロセスを用いて調製した(コーハン M.I.(Kohan M.I.)、「ナイロン・プラスチックス・ハンドブック(Nylon Plastics Handbook)」、ハンセン/ガードナー・パブリケーションズ(Hansen/Gardner Publications,Inc.) [1995年] 17−20頁および34−45頁を参照)。ナイロンビーズを室温で30分間、90%イソプロパノールで前処理した後、パニングプロセス前に各々を10分間、脱イオン水で5回洗浄した。全部で4回のバイオパニングを行い、表7に高親和性のナイロン6,6−結合ファージペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0176】
【表10】

【0177】
実施例16
バイオパニングを用いたポリエチレン結合ペプチドの選択
この実施例の目的は、改良されたファージディスプレイバイオパニング方法を用いてポリエチレン(PE)に結合するファージペプチドを同定することであった。
【0178】
実施例1に記載のバイオパニング方法を用い、ポリエチレン結合ペプチドを同定した。超高分子量のポリエチレンテープをバイオパニング方法における基質として用いた。類似のテープが、デイボール(Davol Inc.)(クランストン(Cranston)、ロードアイランド州)から入手可能である。PEテープを1cm四方に切断し、これを室温で30分間、90%イソプロパノールで前処理した後、パニングプロセス前に各々を10分間、脱イオン水で5回洗浄した。全部で4回のバイオパニングを行い、表8に高親和性のPE−結合ファージペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0179】
【表11】

【0180】
実施例17
バイオパニングを用いたポリスチレン結合ペプチドの選択
この実施例の目的は、改良されたファージディスプレイバイオパニング方法を用いてポリスチレン(PS)に結合するファージペプチドを同定することであった。
【0181】
実施例1に記載のバイオパニング方法を用い、ポリスチレン結合ペプチドを同定した。ポリスチレン(PS)結合ペプチドを、可溶性タイプIコラーゲンでコートされた96ウェルのポリスチレンプレート(コーニング(Corning Inc.)、アクトン(Acton)、マサチューセッツ州)に対するバイオパニング実験の間に発見した。96ウェルを100ng/mlの可溶性タイプIコラーゲン(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)、セントルイス(St Louis)、ミズーリ州)でコートした。全部で4回のバイオパニングを行った。3種の非常に豊富なファージペプチドを同定し、それらは後にPSによく結合し、コートされたタイプIコラーゲンに結合しないことが確認された。表9に高親和性のPS−結合ファージペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0182】
【表12】

【0183】
実施例18
トリブロックのペプチドベースの複合体の生物学的生成
この実施例の目的は、組換えDNAおよび分子クローニング技術を用いてトリブロックのペプチドベースの複合体を調製することであった。トリブロックのペプチドベースの複合体は、複数の毛髪結合ペプチド、ペプチドスペーサー、およびPMMA結合ペプチドブロックから構成された。ペプチドを大腸菌内で封入体として発現させた。封入体の形成を促進するため、追加のアミノ酸配列(すなわちペプチドタグ)をトリブロックのペプチドベースの複合体配列に融合した。酸に不安定なAsp−Pro(DP)配列をペプチドタグとトリブロックのペプチドベースの複合体配列との間に挿入し、トリブロックのペプチドのペプチドタグからの単離を促進した。
【0184】
産生株の作成
トリブロックのペプチドベースの複合体の配列を表10に示す。DNA配列を、大腸菌に対して好ましいコドンを用いてこのペプチド配列をコードし、かつ配列リピートおよびmRNAの二次構造を回避するように設計した。遺伝子DNA配列は、DNA2.0,Inc.(メンロパーク(Menlo Park)、カリフォルニア州)により、グスタフソン(Gustafsson)ら(トレンズ・イン・バイオテクノロジー(Trends in Biotechnol.)22(7):346−355頁(2004年))により記述された独自仕様のソフトウェアを用いて設計された。アミノ酸配列のコード配列の後に、2つの終止コドンおよびエンドヌクレアーゼAscIにおける認識部位が続いた。N末端のGSアミノ酸配列は、エンドヌクレアーゼBamHIにおける認識部位によってコードされた(GGA/TCC)。DNA配列は配列番号71によって与えられる。
【0185】
【表13】

【0186】
遺伝子は、DNA2.0,Inc.により、合成オリゴヌクレオチドから構築され、標準のプラスミドクローニングベクターにクローニングされた。配列は、DNA2.0,Inc.により、DNA配列決定によって検証された。
【0187】
合成遺伝子をエンドヌクレアーゼ制限酵素BamHIおよびAscIでクローニングベクターから切断し、標準の組換えDNA方法を用いて発現ベクターにライゲートした。ベクターpKSIC4−HC77623は、市販のベクターpDEST17(インビトロジェン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州)から得られた。それは酵素ケトステロイドイソメラーゼ(KSI)の断片をコードする市販のベクターpET31b(ノバジェン(Novagen)、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州)に由来する配列を含む。KSI断片を融合パートナーとして含め、大腸菌内で不可溶性の封入体へのペプチドの分割を促進した。pET31bに由来するKSIのコード配列を標準の突然変異誘発方法(クイックチェンジ(QuickChange)II、ストラタジーン(Stratagene)、ラ・ホーヤ(La Jolla)、カリフォルニア州)を用いて修飾し、野生型KSI配列内に見出される1つのCysコドンに加えて3つの追加のCysコドンを含めた。配列番号72で与えられかつ図1中に示されるプラスミドpKSIC4−HC77623を、当業者に周知である標準の組換えDNA方法を用いて作成した。
【0188】
トリブロックのペプチドベースの複合体(表1)をコードするDNA配列を、BamHI部位とAscI部位との間のベクター内の配列と置換することによってpKSIC4−HC77623に挿入した。ペプチドのコード配列を有するプラスミドDNAおよびベクターDNAをエンドヌクレアーゼ制限酵素BamHIおよびAscIで消化し、次いでペプチドのコード配列およびベクターDNAを混合し、当業者に周知である標準のDNAクローニング方法を用い、ファージT4DNAリガーゼによりライゲートした。トリブロックのペプチドベースの複合体のコード配列がpKSIC4−HC77623に挿入された、正確なコンストラクトを、標準的方法を用い、制限分析により同定し、DNA配列決定により検証した。
【0189】
このコンストラクトでは、ペプチド複合体のコード配列をHC77623のコード配列と置換した。配列をバクテリオファージT7遺伝子10プロモーターに作動可能に連結し、変異体のKSIパートナーと融合された融合タンパク質として発現させた。
【0190】
ペプチドベースの複合体の発現を試験するため、発現プラスミドをBL21−AI大腸菌株(インビトロジェン(Invitrogen)、カタログ番号C6070−03)に形質転換した。組換え融合ペプチドを生成するため、LB−アンピシリン培養液(10g/Lのバクト−トリプトン、5g/Lのバクト−酵母抽出物、10g/LのNaCl、100mg/Lのアンピシリン、pH7.0)50mLに形質転換された細菌を接種し、培養物を37℃でOD600が0.6に達するまで振とうした。発現を、0.5mLの20wt% L−アラビノースの培養物への添加によって誘発し、振とうをさらに4時間持続させた。ポリアクリルアミドゲル電気泳動による細胞タンパク質の分析により、融合ペプチドの生成が示された。
【0191】
発酵
上記の組換え大腸菌株を6Lの発酵物中で、初期にはバッチモード、次いでフェドバッチモードで成長させた。発酵培地の組成物を表11に示す。発酵培地のpHは6.7であった。発酵培地をオートクレーブ滅菌し、その後、以下の滅菌成分、すなわち塩酸チアミン(4.5mg/L)、グルコース(22.1g/L)、微量元素、表12を参照(10mL/L)、アンピシリン(100mg/L)、および接種材料(種)(125mL)を添加した。pHを、必要に応じて水酸化アンモニウム(20容量%)またはリン酸(20容量%)を用いて調整した。添加成分をオートクレーブまたは濾過により滅菌した。
【0192】
【表14】

【0193】
【表15】

【0194】
発酵のための作動条件を表13にまとめる。グルコースの初期濃度は22.1g/Lであった。初期の残留グルコースが失われた場合、予定された指数関数的なグルコースの供給を発酵運転のフェドバッチ段階から開始した。供給されたグルコース(表14および15を参照)は500g/Lのグルコースを含有し、それに5g/Lの酵母抽出物を補充した。供給培地の成分をオートクレーブまたは濾過のいずれかにより滅菌した。目標は、0.25g/gの収率係数(バイオマス対グルコース)を前提として0.13時間−1の特定の成長速度を持続させ、かつ発酵容器内の酢酸レベルを非常に低い値(すなわち0.2g/L未満)に維持することであった。グルコースの供給は、運転の終了まで持続した。誘発を、選択された時間(すなわち15時間の発酵経過時間)で2g/LのL−アラビノースのボーラスによって開始した。発酵培養液1リットル当たり5gの酵母抽出物を送達するためのボーラスを、以下の時刻、すなわち誘導の1時間前、誘導時刻、および誘導時間の1時間後に、発酵容器に添加した。発酵運転を、発酵経過時間の19.97時間後および誘導時間の4.97時間後に終了させた。
【0195】
【表16】

【0196】
【表17】

【0197】
【表18】

【0198】
ペプチドの単離および精製
発酵運転の終了後、発酵培養液全体を、APVモデル2000ガウリン(Gaulin)型ホモジナイザーに12,000psi(82,700kPa)で3回通過させた。培養液を、それぞれの均質化に先立ち5℃未満に冷却した。均質化した培養液を、ウエストファリア(Westfalia)ウィスパーフューゲ(WhisperFuge)(商標)(ウエストファリア・セパレーター(Westfalia Separator Inc.)、ノースヴェール(Northvale)、ニュージャージー州)積層ディスク型遠心分離機により700mL/分および12,000RCFで速やかに処理し、封入体を懸濁された細胞残渣および溶解された不純物から分離させた。回収されたペーストを水中に15g/L(無水ベース)で再懸濁し、pHをNaCO/NaOH緩衝液を用いて8.0〜10.0の値に調整した。pHを選択し、封入体タンパク質の溶解を伴わずに封入体からの細胞残渣の除去を促進した。懸濁液をAPV2000ガウリン(Gaulin)型ホモジナイザーに12,000psi(82,700kPa)においてワンパスで通過させることで徹底的な混合がもたらされた。均質化した高pH懸濁液を、ウエストファリア(Westfalia)ウィスパーフューゲ(WhisperFuge)(商標)積層ディスク型遠心分離機内で、700mL/分および12,000RCFで速やかに処理し、洗浄された封入体を懸濁された細胞残渣および溶解された不純物から分離させた。回収されたペーストを純水中に15g/L(無水ベース)で再懸濁した。懸濁液をAPV2000ガウリン(Gaulin)型ホモジナイザーに12,000psi(82,700kPa)においてワンパスで通過させることで、徹底的な洗浄がもたらされた。均質化された懸濁液を、ウエストファリア(Westfalia)ウィスパーフューゲ(WhisperFuge)(商標)積層ディスク型遠心分離機内で、700mL/分および12,000RCFで速やかに処理し、洗浄された封入体を残存する懸濁された細胞残渣およびNaOHから分離させた。
【0199】
回収されたペーストを純水中に25g/L(無水ベース)で再懸濁し、混合物のpHを、HClを用いて2.2に調整した。酸性化懸濁液を5〜14時間、70℃に加熱してDP部位の切断を完了させ、融合ペプチドを生成物ペプチドから標的ペプチドの損傷を伴うことなく分離させた。生成物スラリーをNaOHを用いてpH5.1に調整し(注:ここで用いられるpHは回収されるペプチドの溶解度に応じて変化しうる)、次いで5℃に冷却して12時間保持した。混合物を9000RCFで30分間遠心し、上清をデカントした。次いで、上清を0.45μmの膜で濾過した。一部の低溶解度のペプチドにおいては、ペプチドの回収を増大させるため、複数回のペレットの洗浄が必要である場合がある。
【0200】
濾過された生成物を回収し、凍結乾燥前に2:1の因子で真空蒸発により濃縮した。220および278nmでの分光光度検出を用い、生成物ペプチドの溶出を監視し追跡した。
【0201】
実施例19および20
メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させた色素にトリブロックのペプチドベースの複合体を併用したヘアカラーリング
これらの実施例の目的は、メタクリル酸を含有する高分子分散剤で分散させたカーボンブラック色素にトリブロックのペプチドベースの複合体を併用して得られるヘアカラーの耐久性が向上することを実証し、それをカーボンブラック色素単独の場合に得られる耐久性と比較することであった。ペプチド複合体は、複数の毛髪結合ペプチド、スペーサー、およびPMMA結合ペプチド配列を含んでなるものであった。
【0202】
カーボンブラックディスパージョンを実施例4に記載のように調製した。実施例18に記載された、配列番号70で与えられるトリブロックのペプチドベースの複合体を用いた。ペプチド複合体(20mg)を脱イオン水1mLに添加し、混合物を氷上に置いてソニケーターで1分間分散させた。分散されたペプチド複合体を、40mgのカーボンブラックディスパージョンを有する20mLのシンチレーションバイアルに添加し、脱イオン水3mLを添加して最終容量を約4mLにした。得られたカーボンブラックディスパージョンを、氷上に置いて3分間超音波処理した。
【0203】
ヘアカラーリング
インターナショナル・ヘアー・インポーターズ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products)(ベルローズ(Bellerose)、ニューヨーク州)から入手した天然白髪(約1.00g)の毛髪見本を20mLのシンチレーションバイアルに入れ、ペプチド複合体を含有するカーボンブラックディスパージョン8mLを添加した。混合物を、インキュベーターシェーカーを用いて室温で30分間、100rpmで振とうさせ、色素ディスパージョンと毛髪との接触が良好であることを確認した。毛髪見本をバイアルから取り出し、脱イオン水ですすいだ。水すすぎ後、毛髪見本における黒色の大部分が保持された。
【0204】
上記のステップを、ペプチド複合体を含有しないカーボンブラックディスパージョンを用いて繰り返した。水すすぎ後、両方の毛髪試料の色強度を実施例8〜12に記載のように測定した。結果を表16に示す。
【0205】
【表19】

【0206】
表16に示される結果は、複数の毛髪結合ペプチド、スペーサー、およびPMMA結合ペプチド配列を含んでなるペプチド複合体とメタクリレートでコートされたカーボンブラック色素の併用の結果、水すすぎ後のヘアカラーの保持において、カーボンブラックの単独使用の場合(比較実施例20)と比べて有意な向上が得られた(実施例19)ことを示している。
【0207】
実施例21
バイオパニングを用いるシャンプーに耐性を有するポリメタクリル酸メチル(PMMA)結合ペプチドの選択
この実施例の目的は、改良されたファージディスプレイバイオパニング方法を用い、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に結合しかつシャンプー洗浄に耐性を有するファージペプチドを同定することであった。PMMA基質とファージライブラリーとの接触後、得られたファージペプチド−PMMA複合体を希釈したシャンプーで洗浄した。
【0208】
バイオパニング実験にて用いたPMMA材料は、アルトグラス・インターナショナル、アルケマ(Altuglas International、Arkema Inc.)、フィラデルフィア(Philadelphia)、ペンシルバニア州から入手したポリマー樹脂、プレキシグラス(Plexiglas)VS100(約3mm直径のビーズ)であった。PMMAビーズに対するバイオパニングにおいては、以下のプロトコルを用いた。3個のPMMAビーズからなる3セットを3つのチューブ内に分布させ、各々を0.5%トゥイーン(Tween)(登録商標)20(TBST−0.5%)を含有するTBST中の1mg/mL BSAよりなるブロッキング緩衝液1mLで満たし、4℃で1時間インキュベートした。ビーズをTBST−0.5%で5回洗浄し、次いで1mg/mL BSAを含有するTBST−0.5% 1mLを各チューブに添加した。次いで、3つのうちの1つのプールされたファージライブラリー(各チューブ内、4×1011pfu)10μLを3つのチューブに添加し(すなわち3個のPMMAビーズを有する1つのチューブ当たり1つのプールされたライブラリー)、ビーズを37℃で15分間インキュベートした。3つのプールされたファージライブラリーは、以下のファージペプチドライブラリー(一般的方法のセクションで記載される)、すなわち12−merの線形ライブラリー(Ph.D.(商標)−12ファージディスプレイペプチドライブラリー)および7−merの線形ライブラリー(Ph.D.(商標)−7ファージディスプレイライブラリー)、15−merの線形ライブラリーおよび20−merの線形ライブラリー、ならびに拘束された7−merのライブラリー(Ph.D.(商標)−C7Cファージディスプレイライブラリー)および拘束された14−merのライブラリーにおける1:1混合物よりなるものであった。ビーズをTBST−0.5%で10回洗浄した。次いで、ビーズをクリーンチューブに移し、0.2Mグリシン−HCl、pH2.2中の1mg/mL BSAよりなる非特異的な溶出緩衝液1mLを各チューブに添加し、チューブを10分間インキュベートした。インキュベーション後、1Mトリス塩基、pH9.1よりなる中和緩衝液150μLを各チューブに添加した。各チューブからのビーズに由来する溶出液を使用し、ファージ増幅のために宿主細胞の大腸菌ER2738(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs)、ベバリー(Beverly)、マサチューセッツ州)に感染させた。溶出液を、LB培地内で1:100に一晩かけて希釈した大腸菌ER2738培養物とともに37℃で4.5時間インキュベートした。この時間経過後、細胞培養物を30秒間遠心し、上清の上部80%を新しいチューブに移し、PEG/NaCl(シグマ・ケミカル(Sigma Chemical Co.)、セントルイス(St.Louis)、ミズーリ州から入手した20%ポリエチレングリコール−800、2.5M塩化ナトリウム)の1/6容量を添加し、ファージを4℃で一晩沈殿させておいた。沈殿物を、4℃、10,000×gでの遠心分離により回収し、得られたペレットをTBS1mL中に再懸濁した。これはストック増幅の第1回目であった。
【0209】
次いで、増幅された第1回目のファージストックを下記の方法に従って滴定した。バイオパニングの第2回目においては、第1回目から得た2×1011pfuを超えるファージストックを使用した。バイオパニングプロセスを第1回目における記載のように繰り返した。第3回目から、ファージ結合ステップ(すなわちファージペプチド−PMMA複合体の形成)後にシャンプー洗浄ステップを追加した。具体的には、ニュートロジーナ(Neutrogena)(登録商標)リプレニッシング(Replenishing)シャンプーとTBS緩衝液の1:1混合物よりなるシャンプー溶液を用い、ビーズを1〜2秒のボルテックスで6回洗浄後、TBST−0.5%で6回洗浄した。次いで、ビーズをクリーンチューブに移し、残りのステップは先行するラウンドのステップと同一であった。パニングの第4回目または第5回目を第3回目での記載と同様に行った。
【0210】
バイオパニングの最終ラウンドでの溶出ステップ後、各チューブからの溶出液の一部(1〜2μL)を用い、200μLの中間−ログ段階の細菌宿主細胞である大腸菌ER2738に感染させ、次いでそれをLB培地内で20分間成長させ、次いで3mLのアガローストップ(5mM MgClおよび0.7%アガロースを有するLB培地)と45℃で混合した。この混合物をLB培地/IPTG/S−Gal(商標)プレート(15g/L寒天、0.05g/L IPTG、および0.04g/L S−Gal(商標)を有するLB培地)上に延展し、37℃で一晩インキュベートした。ブラックプラークを計数し、ファージ力価を計算した。DNAの単離および配列決定分析において、単一のブラックプラークをランダムに採取した。これらのシャンプーに耐性を有するPMMA結合ファージペプチドのアミノ酸配列を表17に示す。
【0211】
【表20】

【0212】
実施例22
シャンプーに耐性を有するPMMA結合ファージクローンの結合親和性の定量的特徴づけ
この実施例の目的は、ファージクローンの結合親和性を滴定(titering)によって定量することであった。特定のペプチドを提示するファージクローンを、異なるペプチド配列の結合特性を比較するために用いた。力価に基づくアッセイを用い、ファージ結合を定量した。このアッセイでは、1つのPMMAビーズの表面によって保持される出力pfu(3つの別々のビーズの平均)を測定した。すべてのファージクローンにおける入力は、1012pfu/ビーズ/チューブであった。このアッセイで測定されたのがペプチドを発現するファージ粒子の結合であって単離ペプチドの結合ではないことは強調されるべきである。
【0213】
1チューブ当たり1個のプレキシグラス(Plexiglas)VS100ビーズを使用し、各チューブをTBST−0.5%中に1mg/mL BSAを含有するブロッキング緩衝液で満たし、4℃で1時間インキュベートした。各ビーズをTBST−0.5%で5回洗浄した。次いで、チューブを1mg/mL BSAを含有する1mLのTBST−0.5%で満たし、次いで精製したファージクローン(1012pfu)を各チューブに添加した。実施例21に記載のように、ビーズ試料を37℃で15分間インキュベートし、次いでシャンプー溶液で6回洗浄した後、TBST−0.5%で6回洗浄した。各ビーズをクリーンチューブに移し、pH2.2の0.2Mグリシン−HCl中の1mg/mL BSAよりなる非特異的な溶出緩衝液100μLを添加した。試料を10分間インキュベートし、次いで中和緩衝液(1Mトリス−HCl、pH9.2)15μLを各チューブに添加した。滴定および配列決定分析において、各チューブから溶出されたファージを新しいチューブに移した。
【0214】
結合されたファージを滴定するため、溶出されたファージをSM緩衝液で希釈し、10〜10で10倍連続希釈して調製した。各希釈物のうちの10μLの一定分量を中間−ログ段階の大腸菌ER2738(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs))200μLとともにインキュベートし、LB培地内で20分間成長させ、次いで3mLのアガローストップ(5mM MgClおよび0.7%アガロースを有するLB培地)と45℃で混合した。この混合物をLB培地/IPTG/Xgalプレート(15g/L寒天、0.05g/L IPTG、および0.04g/L Xgalを有するLB培地)上に延展し、37℃で一晩インキュベートした。ブループラークを計数してファージ力価を計算し、それを3つの別々のビーズで得られた3つの測定値の平均として表18に示す。
【0215】
【表21】

【0216】
表18中の結果は、ファージクローンが様々な程度の親和性でPMMAに結合することを示している。配列番号101および109は最高の力価を有した。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】実施例18に記載されるベクターpKSIC4−HC77623のプラスミドマップである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリマーでコートされた微粒子効果剤を提供し、
b)ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物を提供し、そして
c)(a)のコートされた微粒子効果剤を、(b)の組成物とともに、体表面に、コートされた効果剤が体表面に結合するのに十分な時間適用する
ことを含んでなる微粒子効果剤を体表面に適用するための方法。
【請求項2】
体表面が毛髪および皮膚よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微粒子効果剤が、有機色素、無機色素、金属酸化物、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子、およびポリマーナノ粒子よりなる群から選択される材料を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
微粒子効果剤が、D&CレッドNo.36、D&CレッドNo.30、D&CオレンジNo.17、グリーン3レーキ、Ext.イエロー7レーキ、オレンジ4レーキ、レッド28レーキ;D&CレッドNo.7、11、31および34のカルシウムレーキ、D&CレッドNo.12のバリウムレーキ、ストロンチウムレーキD&CレッドNo.13、FD&CイエローNo.5のアルミニウムレーキ、FD&CイエローNo.6のアルミニウムレーキ、FD&CNo.40のアルミニウムレーキ、D&CレッドNo.21、22、27、および28のアルミニウムレーキ、FD&CブルーNo.1のアルミニウムレーキ、D&CオレンジNo.5のアルミニウムレーキ、D&CイエローNo.10のアルミニウムレーキ;D&CレッドNo.33のジルコニウムレーキ;クロモフタル(Cromophthal)(登録商標)イエロー、サンファースト(Sunfast)(登録商標)マゼンタ、サンファースト(Sunfast)(登録商標)ブルー、酸化鉄、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、フェロシアン化アンモニウム鉄、炭酸マグネシウム、カルミン、硫酸バリウム、雲母、オキシ塩化ビスマス、ステアリン酸亜鉛、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、ブラック(black)二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、ウルトラマリンブルー、クエン酸ビスマス、ヒドロキシアパタイト、ケイ酸ジルコニウム、ならびにカーボンブラック粒子よりなる群から選択される材料を含んでなる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ポリマーが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリペプチド、リグニン、多糖類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ならびにメタクリレート、アクリレートまたはスチレンに由来する少なくとも1つのモノマーを含んでなるコポリマーよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドが、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、46、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、および112よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
体表面が毛髪であり、ここで毛髪結合ペプチドが、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなるステップ(b)の組成物に、場合により添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
体表面が皮膚であり、ここで皮膚結合ペプチドが、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなるステップ(b)の組成物に、場合により添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドが、体表面に対して親和性を有するペプチドに、場合により共役される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
体表面に対して親和性を有するペプチドが、分子スペーサーを有するポリマーに対して親和性を有するペプチドに共役される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
体表面に対して親和性を有するペプチドが毛髪結合ペプチドである請求項9に記載の方法。
【請求項12】
体表面に対して親和性を有するペプチドが皮膚結合ペプチドである請求項9に記載の方法。
【請求項13】
毛髪結合ペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスによりコンビナトリアルに生成される請求項7または11に記載の方法。
【請求項14】
皮膚結合ペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスによりコンビナトリアルに生成される請求項8または12に記載の方法。
【請求項15】
毛髪結合ペプチドが実験的に生成される請求項7または11に記載の方法。
【請求項16】
皮膚結合ペプチドが実験的に生成される請求項8または12に記載の方法。
【請求項17】
実験的に生成された毛髪結合ペプチドが毛髪に対して親和性を有する正に帯電したアミノ酸を含んでなる請求項15に記載の方法。
【請求項18】
実験的に生成された皮膚結合ペプチドが皮膚に対して親和性を有する正に帯電したアミノ酸を含んでなる請求項16に記載の方法。
【請求項19】
毛髪結合ペプチドが、配列番号47、48、49、50、51、52、58、59、60、61、62、73、74、75、76、77、78、79、80、および81よりなる群から選択される請求項7または11に記載の方法。
【請求項20】
皮膚結合ペプチドが、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、および93よりなる群から選択される請求項8または12に記載の方法。
【請求項21】
ポリマーでコートされた微粒子効果剤およびポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が体表面に同時に適用される請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ポリマーでコートされた微粒子効果剤が、ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物の適用に先立ち体表面に適用される請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が、ポリマーでコートされた微粒子効果剤の適用に先立ち体表面に適用される請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスによって同時に生成される請求項1に記載の方法。
【請求項25】
d)ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物を体表面に再適用する
ステップをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項26】
d)ポリマーシーラントを含んでなる組成物を体表面に適用する
ステップをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ポリマーシーラントが、ポリ(アリルアミン)、アクリレート、アクリレートコポリマー、メタクリレート、メタクリレートコポリマー、ポリウレタン、カルボマー、メチコン、ポリペプチド、アモジメチコン、ポリエチレングリコール、蜜ろう、およびシロキサンよりなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
a)ポリマーでコートされた微粒子効果剤と、
b)ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物と
を含んでなるパーソナルケア組成物。
【請求項29】
微粒子効果剤が、有機色素、無機色素、金属酸化物、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子、およびポリマーナノ粒子よりなる群から選択される材料を含んでなる請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項30】
微粒子効果剤が、D&CレッドNo.36、D&CレッドNo.30、D&CオレンジNo.17、グリーン3レーキ、Ext.イエロー7レーキ、オレンジ4レーキ、レッド28レーキ;D&CレッドNo.7、11、31および34のカルシウムレーキ、D&CレッドNo.12のバリウムレーキ、ストロンチウムレーキD&CレッドNo.13、FD&CイエローNo.5のアルミニウムレーキ、FD&CイエローNo.6のアルミニウムレーキ、FD&CNo.40のアルミニウムレーキ、D&CレッドNo.21、22、27、および28のアルミニウムレーキ、FD&CブルーNo.1のアルミニウムレーキ、D&CオレンジNo.5のアルミニウムレーキ、D&CイエローNo.10のアルミニウムレーキ;D&CレッドNo.33のジルコニウムレーキ;クロモフタル(Cromophthal)(登録商標)イエロー、サンファースト(Sunfast)(登録商標)マゼンタ、サンファースト(Sunfast)(登録商標)ブルー、酸化鉄、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、フェロシアン化アンモニウム鉄、炭酸マグネシウム、カルミン、硫酸バリウム、雲母、オキシ塩化ビスマス、ステアリン酸亜鉛、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、ブラック二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、ウルトラマリンブルー、クエン酸ビスマス、ヒドロキシアパタイト、ケイ酸ジルコニウム、ならびにカーボンブラック粒子よりなる群から選択される材料を含んでなる請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項31】
ポリマーが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリペプチド、リグニン、多糖類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ならびにメタクリレート、アクリレートまたはスチレンに由来する少なくとも1つのモノマーを含んでなるコポリマーよりなる群から選択される請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項32】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドが、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、46、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、および112よりなる群から選択される請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項33】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が毛髪結合ペプチドをさらに含んでなる請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項34】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドを含んでなる組成物が皮膚結合ペプチドをさらに含んでなる請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項35】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドが、体表面に対して親和性を有するペプチドに、場合により共役される、請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項36】
体表面に対して親和性を有するペプチドが、分子スペーサーを有するポリマーに対して親和性を有するペプチドに共役される請求項35に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項37】
体表面に対して親和性を有するペプチドが毛髪結合ペプチドである請求項35に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項38】
体表面に対して親和性を有するペプチドが皮膚結合ペプチドである請求項35に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項39】
毛髪結合ペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスにより同時に生成される請求項33または37に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項40】
皮膚結合ペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスにより同時に生成される請求項34または38に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項41】
毛髪結合ペプチドが実験的に生成される請求項33または37に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項42】
皮膚結合ペプチドが実験的に生成される請求項34または38に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項43】
実験的に生成された毛髪結合ペプチドが、毛髪に対して親和性を有する正に帯電したアミノ酸を含んでなる請求項41に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項44】
実験的に生成された皮膚結合ペプチドが、皮膚に対して親和性を有する正に帯電したアミノ酸を含んでなる請求項42に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項45】
毛髪結合ペプチドが、配列番号47、48、49、50、51、52、58、59、60、61、62、73、74、75、76、77、78、79、80、および81よりなる群から選択される請求項33または37に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項46】
皮膚結合ペプチドが、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、および93よりなる群から選択される請求項34または38に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項47】
ポリマーに対して親和性を有するペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスにより同時に生成される請求項28に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項48】
一般構造[(BSBP)−(PBP)(式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)PBPはポリマー結合ペプチドであり、そして
c)m、n、およびxは独立して1〜約10の範囲である)
を有するジブロックのペプチドベースの複合体。
【請求項49】
一般構造[[(BSBP)−S−[(PBP)−S(式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)PBPはポリマー結合ペプチドであり、
c)Sは分子スペーサーであり、そして
d)m、n、xおよびzは独立して1〜約10の範囲であり、yは1〜約5であり、かつqおよびrはrとqが両方とも0であることはないという条件で各々独立して0または1である)
を有するトリブロックのペプチドベースの複合体。
【請求項50】
体表面結合ペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスにより同時に生成される請求項48または49に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項51】
体表面結合ペプチドが毛髪結合ペプチドまたは皮膚結合ペプチドである請求項48または49に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項52】
毛髪結合ペプチドまたは皮膚結合ペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスにより同時に生成される請求項51に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項53】
毛髪結合ペプチドまたは皮膚結合ペプチドが実験的に生成される請求項51に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項54】
実験的に生成された毛髪結合ペプチドまたは皮膚結合ペプチドが正に帯電したアミノ酸を含んでなる請求項53に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項55】
毛髪結合ペプチドが、配列番号47、48、49、50、51、52、58、59、60、61、62、73、74、75、76、77、78、79、80、および81よりなる群から選択される請求項51に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項56】
皮膚結合ペプチドが、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、および93よりなる群から選択される請求項51に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項57】
ポリマー結合ペプチドが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよびコンビナトリアル固相ペプチド合成よりなる群から選択されるプロセスにより同時に生成される、請求項48または49に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項58】
ポリマー結合ペプチドが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリペプチド、リグニン、多糖類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ならびにメタクリレート、アクリレートまたはスチレンに由来する少なくとも1つのモノマーを含んでなるコポリマーよりなる群から選択されるポリマーに対して親和性を有する請求項48または49に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項59】
ポリマー結合ペプチドが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、および112よりなる群から選択される請求項48または49に記載のペプチドベースの複合体。
【請求項60】
スペーサーが、エタノールアミン、エチレングリコール、6炭素原子の鎖長を有するポリエチレン、3〜6の反復単位を有するポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル鎖、エチルアルキル鎖、プロピルアルキル鎖、ヘキシルアルキル鎖、ステリル(steryl)アルキル鎖、セチルアルキル鎖、およびパルミトイルアルキル鎖よりなる群から選択される請求項49に記載のトリブロックのペプチドベースの複合体。
【請求項61】
スペーサーが1〜約50個のアミノ酸を含んでなるペプチドである請求項49に記載のトリブロックのペプチドベースの複合体。
【請求項62】
スペーサーが、プロリン、リジン、グリシン、アラニン、セリン、およびこれらの混合物よりなる群から選択されるアミノ酸を含んでなる請求項61に記載のトリブロックのペプチドベースの複合体。
【請求項63】
スペーサーが、配列番号63、64、65、66、94、95、96、および97よりなる群から選択されるペプチド配列を含んでなる請求項61に記載のトリブロックのペプチドベースの複合体。
【請求項64】
トリブロックのペプチドベースの複合体が、配列番号67、68、69、および70よりなる群から選択される配列を有する請求項49に記載のトリブロックのペプチドベースの複合体。
【請求項65】
配列番号98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、および112よりなる群から選択されるポリメタクリル酸メチル結合ペプチド。

【図1】
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【公表番号】特表2009−508870(P2009−508870A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531377(P2008−531377)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036108
【国際公開番号】WO2007/035531
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】