説明

微粒子感知装置

【課題】簡易な構成で空気中に浮遊する煙などの微粒子を感知できる微粒子感知装置を提供する。
【解決手段】感知対象空間ARに浮遊する微粒子の濃度が高まると、PN符号などのデジタル信号を含む光信号が微粒子によって散乱され、発光ダイオードD1からフォトダイオードD2への光信号の伝達が阻害される。信号の伝達が阻害されることにより、感知対象空間ARを介して受光した光信号から再生されるデジタル信号の誤り率(誤りビット数)が増大する。この誤り率の変化から、感知対象空間ARの微粒子が感知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に浮遊する煙や埃などの微粒子を感知する微粒子感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する微粒子を感知するセンサとして、例えば火災報知機に搭載される煙センサが広く知られている。下記の非特許文献1には、赤外光の散乱を利用して煙を感知する煙センサが記載されている。この煙センサでは、ラビリンスと呼ばれる反射板に囲われたチャンバーの中に投光部と受光部が設置されている。ラビリンスは、外部からの煙の流入が可能になっているとともに、投光部の赤外光が受光部へ届かないように赤外光を反射する構造になっている。火災で発生した煙がラビリンスに流入すると、赤外光が煙によって散乱され、その散乱光が受光部にあたる。受光部における散乱光の受光量の変化により煙が感知される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】西川、他5名、”煙熱複合型インテリジェント火災感知器「サイバーセンサ」”、松下電工技報、松下電工株式会社、2003年2月、NO.80、p.75−83
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来の煙センサでは、微小な受光量に基づいて煙の濃度を判定するため、受光部から出力されるアナログ信号を低雑音かつ高ゲインの増幅器によって増幅する必要がある。また、煙の濃度の測定や火災の判定等を行うためには種々のデジタル処理が不可欠であることから、増幅器において増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するためのADコンバータも必要になる。従って、従来の煙センサでは、高ゲインの増幅器やADコンバータのために回路の規模が大きくなり構成が複雑になるという不利益がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で空気中に浮遊する煙などの微粒子を感知できる微粒子感知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る微粒子感知装置は、空気中に浮遊する微粒子を感知する装置であって、デジタル信号を含んだ入力信号に応じて光信号を発生し、当該光信号を上記微粒子の感知対象空間にあてる投光部と、上記投光部から上記感知対象空間を介して入射する光信号を受光して電気信号に変換する受光部と、上記電気信号から上記デジタル信号を再生する信号再生部と、上記投光部の上記入力信号に含まれる上記デジタル信号と上記信号再生部において再生される信号との差異を検出する検出部とを有する。
【0007】
上記微粒子感知装置によれば、上記デジタル信号を含んだ上記光信号が上記投光部から出射され、上記感知対象空間を介して上記受光部に入射される。上記受光部に入射された上記光信号は上記電気信号に変換され、上記信号再生部において上記電気信号から上記デジタル信号が再生される。上記感知対象空間に微粒子が存在すると、その影響によって上記光信号の伝送が阻害され、伝送エラーが生じる。この伝送エラーが、上記検出部において、上記投光部の上記入力信号に含まれる上記デジタル信号と上記信号再生部において再生される信号との差異として検出される。
【0008】
好適に、上記検出部は、上記投光部の上記入力信号に含まれる上記デジタル信号のビット列と上記信号再生部において再生される信号のビット列とを所定の検出ビット長にわたって比較し、当該比較において値の異なる誤りビットの数を計数してよい。
【0009】
好適に、上記微粒子感知装置は、上記微粒子の濃度の検出レンジを調整する動作モードにおいて、上記誤りビット数が所定の範囲に含まれるように上記投光部の出射光の強度、及び/又は、上記出射光のパルス幅を変化させる第1の調整部を有してよい。
【0010】
好適に、上記微粒子感知装置は、上記微粒子の濃度の検出レンジを調整する動作モードにおいて、上記検出部の上記検出ビット長に対する上記誤りビット数の割合が所定の範囲に含まれるように上記検出ビット長を変化させる第2の調整部を有してよい。
【0011】
好適に、上記微粒子感知装置は、上記デジタル信号を生成する信号生成部と、上記光信号の周波数帯域を調整する動作モードにおいて、上記誤りビット数が所定の範囲に含まれるように上記信号生成部の上記デジタル信号のビットレートを変化させる第3の調整部を有してよい。
【0012】
好適に、上記微粒子感知装置は、疑似ランダム雑音の性質を有した符号系列を上記デジタル信号として生成する信号生成部を有してよい。
【0013】
好適に、上記信号生成部は、疑似ランダム雑音の性質を有したビットパターンを繰り返し生成してよい。上記微粒子感知装置は、上記光信号の周波数帯域を調整する動作モードにおいて、上記誤りビット数が所定の範囲に含まれるように上記信号生成部の上記ビットパターンのビット長を変化させる第4の調整部を有してよい。
【0014】
好適に、上記微粒子感知装置は、上記検出部の上記誤りビット数と所定の判定しきい値との比較結果に応じて、上記感知対象空間における上記微粒子の濃度を判定する判定部を有してよい。
【0015】
好適に、上記微粒子感知装置は、上記検出部の上記誤りビット数の平均値を算出する平均値算出部と、上記判定しきい値を調整する動作モードにおいて、上記平均算出部が算出した上記誤りビット数の平均値に応じて上記判定しきい値を変化させる第5の調整部を有してよい。
【0016】
好適に、上記微粒子感知装置は、キャリア信号を所定のパターンのビット列により変調し、当該変調結果を上記投光部に入力する変調部を有してよい。上記信号再生部は、上記キャリア信号に基づいて上記変調部により変調された上記ビット列を上記電気信号から復調してよい。上記検出部は、上記変調部における元の上記ビット列と上記信号再生部において復調されるビット列とを所定の検出ビット長にわたって比較し、当該比較において値の異なる誤りビットの数を計数してよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、投光部から感知対象空間を介して受光部に入射する光信号の伝送エラーを検出することにより、簡易な構成で微粒子を感知できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【図2】クロック信号に同期したPN系列の例を示す。
【図3】第2の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【図4】第3の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【図5】第4の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【図6】第5の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【図7】第6の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【図8】第7の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。図1に示す微粒子感知装置は、クロック生成部10と、PN系列生成部20と、駆動部30と、増幅部40と、信号再生部50と、誤り検出部60と、判定部70と、発光ダイオードD1と、フォトダイオードD2とを有する。
PN系列生成部20は、本発明における信号生成部の一実施形態である。
信号再生部50は、本発明における信号再生部の一実施形態である。
誤り検出部60は、本発明における検出部の一実施形態である。
判定部70は、本発明における判定部の一実施形態である。
【0020】
クロック生成部10は、一定の周波数のクロック信号Scを発生する。
【0021】
PN系列生成部20は、ランダム雑音に近い性質を持った一定ビット長のビットパターン(PN符号:pseudorandom noise code)を繰り返し生成する。図2は、クロック信号Scに同期したPN系列の例を示す。例えばPN系列生成部20は、PN9,PN15などのM系列や、M系列同士の加算により生成されるGOLD系列などのPN符号を生成する。
【0022】
PN系列生成部20は、クロック信号Scに同期してPN符号を生成する。すなわち、PN系列生成部20は、クロック信号Scの1サイクルごとにPN符号を1ビットずつ出力する。
【0023】
駆動部30は、PN符号生成部20から入力されるPN符号に応じて発光ダイオードD1を駆動する。例えば駆動部30は、発光ダイオードD1に供給する電流をPN符号に応じてオンオフしたり、PN符号に応じて電流の大きさを切り替える。
【0024】
発光ダイオードD1は、駆動部30から供給される駆動電流に応じて発光する。発光ダイオードD1において発生する光信号は、不図示の投光用光学系を通じて微粒子の感知対象空間ARに照射される。なお、投光用光学系と発光ダイオードD1を含むブロックは、本発明における投光部の一例である。
【0025】
フォトダイオードD2は、不図示の受光用光学系を通じて入射される光信号を受光し、電気信号に変換する。例えば、受光用光学系の受光面は、感知対象空間ARを介して投光用光学系の発光面と向かい合って配置される。発光ダイオードD1において発生した光信号は、感知対象空間ARを介してフォトダイオードD2に入射する。なお、受光用光学系とフォトダイオードD2を含むブロックは、本発明における受光部の一例である。
【0026】
増幅部40は、フォトダイオードD2において光信号から変換された電気信号に含まれるPN符号の成分を、信号再生部50において再生可能なレベルまで増幅する。
【0027】
信号再生部50は、増幅部40において増幅された信号からPN符号を再生する。信号再生部50は、例えば、コンパレータ回路とラッチ回路を有する。コンパレータ回路は、増幅部40の出力信号としきい値と比較して、その比較結果に応じたハイレベル又はローレベルの信号を出力する。ラッチ回路は、コンパレータ回路の出力信号をクロック信号Scに同期したタイミングでラッチする。
【0028】
誤り検出部60は、PN系列生成部20において生成されるPN符号と信号再生部50において再生されるPN符号との差異を検出する。例えば、誤り検出部60は、PN系列生成部20において生成されるPN符号のビット列と信号再生部50において再生されるPN符号のビット列とを所定の検出ビット長にわたって比較し、この比較において値の異なるビット(誤りビット)の数を計数する。すなわち、誤り検出部60は、検出ビット長あたりのビット誤り数を検出する。
【0029】
判定部70は、誤り検出部60において計数される検出ビット長あたりの誤りビット数を所定の判定しきい値と比較し、この比較結果に応じて感知対象空間ARにおける微粒子の濃度を判定する。
例えば、判定部70は、誤りビット数が所定の判定しきい値を超えているか否かを示す判定信号を出力する。
あるいは、判定部70は、誤りビット数と複数の判定しきい値とを比較し、誤りビット数が属するしきい値の範囲に応じた微粒子濃度を示す判定信号を出力してもよい。
【0030】
ここで、上述した構成を有する本実施形態に係る微粒子感知装置の動作を説明する。
【0031】
PN系列生成部20においてクロック信号Scに同期したPN符号が生成されると、発光ダイオードD1の電流が駆動部30によってPN符号に応じて駆動され、発光ダイオードD1の発光強度がPN符号に応じて変化する。発光ダイオードD1で発生した光信号は、投光用の光学系から微粒子の感知対象空間ARに向けて投光され、感知対象空間ARを介して受光用の光学系に受光される。光学系に受光された光信号は、フォトダイオードD2において電気信号に変換される。フォトダイオードD2の電気信号は、増幅部40において増幅された後、信号再生部50に入力される。
【0032】
信号再生部50では、増幅部40で増幅された電気信号から、クロック信号Scに同期したPN符号の成分が再生される。信号再生部50で再生されたPN符号は、誤り検出部60においてPN系列生成部20のPN符号と1ビットずつ比較され、所定の検出ビット長あたりの誤りビットの数が計数される。
【0033】
微粒子の濃度が低い場合、感知対象空間ARに浮遊する微粒子による光の散乱の程度が低いため、誤り検出部60で計数される誤りビット数は比較的低い状態にある。微粒子の濃度が高くなると、感知対象空間ARにおける光の散乱の程度が高くなり、光信号の伝達が阻害されるため、信号伝達エラーが増大し、誤り検出部60で計数される誤りビット数が高くなる。すなわち、微粒子の濃度に応じて誤り検出部60の誤りビット数が変化する。判定部70では、この誤りビット数と所定の判定しきい値との比較により、感知対象空間ARにおける微粒子の濃度が判定される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る微粒子感知装置では、感知対象空間ARに浮遊する微粒子の濃度が高まると、PN符号などのデジタル信号を含んだ光信号が微粒子によって散乱され、発光ダイオードD1からフォトダイオードD2への光信号の伝達が阻害される。信号の伝達が阻害されることにより、感知対象空間ARを介して受光した光信号から再生されるデジタル信号の誤り率(誤りビット数)が増大し、この誤り率の変化から感知対象空間ARの微粒子が感知される。
従って、本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、投光側から受光側へ伝送される光信号の誤り率に応じて微粒子が感知されるため、散乱光の信号の大きさを精密に測定する必要がなくなり、ADコンバータを省略できる。また、フォトダイオードD2の光検出信号に含まれるデジタル信号(PN符号)は、コンパレータ回路等の簡易な回路で再生できる。そのため、従来の装置に比べて回路構成を大幅に簡易化できるという利点がある。
【0035】
また、本実施形態に係る微粒子感知装置では、散乱光の微弱な強度変化に基づいて微粒子を感知する従来の装置のように、光検出信号を高いゲインで増幅する必要がない。増幅部40のゲインは、信号再生部50のコンパレータ回路等においてデジタル信号(PN符号)を再生できる程度のものであればよい。
従来の装置の場合、微弱なフォトダイオードの電流(例えば数ナノアンペア)をADコンバータの入力レンジ(例えば数ボルト)に合わせて増幅する必要があったが、本実施形態に係る微粒子感知装置では、コンパレータ回路を駆動できる程度の振幅(例えば数10ミリボルト)まで増幅すればよいため、従来に比べてゲインを大幅に小さくできる。
従って、本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、従来に比べて増幅部40の回路構成を簡略化できるとともに、高ゲインの場合に問題となる発振等の回路の不安定性を低減できる。
【0036】
また、従来の装置の場合、光検出信号の大きさに応じて微粒子の濃度を検出するため、光検出信号の増幅器の入力オフセット等を補正(校正)する必要がある。これに対し、本実施形態に係る微粒子感知装置では、検出対象が伝送信号の誤り率であることから、このようなアナログ回路の補正が不要になり、回路構成を簡易化できる。
【0037】
また、本実施形態に係る微粒子感知装置では、ランダム雑音に近い性質を有するPN符号に基づいて光信号が生成されるため、光信号の周波数スペクトルが広い帯域において均一に拡散される。
もし光信号が特定の周波数に固定されていると、この周波数に近い外来ノイズが存在する場合に、外来ノイズの影響でビット誤りが生じるため、微粒子の検出精度が低下してしまう。これに対し、本実施形態のように光信号の帯域が拡散されていれば、特定周波数の外来ノイズによるビット誤りの影響が相対に小さくなるため、検出精度の低下を効果的に抑制できる。
更に、投光側から受光側へ伝播する光信号の周波数帯域が微粒子の性質等に応じて変化する場合でも、その変化幅がカバーされる程度に光信号の帯域が拡散されていれば、周波数帯域の変化に伴う検出精度の低下を抑制できる。
【0038】
また、本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、投光側から受光側へ光信号が直接届くため、微粒子による散乱光が間接的に受光側へ届く従来の装置に比べて受光量が増大する。これにより、光の強度を大幅に小さくできるため、従来の装置に比べて発光素子の消費電力を削減できる。
また、ラビリンスなどの光学装置を用いて投光側から受光側への光の伝搬を防ぐ必要がないため、装置の構造を簡易化できるという利点もある。
【0039】
また、本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、光信号がデジタル信号(PN符号)に応じて時間的に変化するため、一定強度の投射光を用いる従来の装置に比べて発光素子の消費電力を削減できる。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る微粒子感知装置は、感知対象空間における微粒子濃度の検出レンジを調整する動作モード(第1の調整モード)を有する。
【0041】
図3は、第2の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
図3に示す微粒子感知装置は、図1に示す微粒子感知装置と同様の構成に加えて、光強度調整部91Aを有する。光強度調整部91Aは、本発明における第1の調整部の一実施形態である。
また、図3に示す微粒子感知装置は、図1における駆動部30の替わりに後述する駆動部30Aを有する。
【0042】
駆動部30Aは、PN符号生成部20から入力されるPN符号に応じて発光ダイオードD1を駆動するとともに、第1の調整モードにおいては、光強度調整部91Aの制御に従って発光ダイオードD1の駆動電流を変化させる。例えば駆動部30Aは、電流源の出力電流を可変することで、駆動電流を連続的に変化させる。また、駆動部30Aは、電流値の異なる複数の電流源を選択的に切り替えることにより駆動電流を変化させてもよい。
【0043】
光強度調整部91Aは、第1の調整モードにおいて、誤り検出部60で計数される誤りビット数が所定の範囲に含まれるように駆動部30Aの駆動電流の大きさを変化させる。例えば、光強度調整部91Aは、感知対象空間の微粒子濃度が十分低い状態において、ビット誤り数が所定の下限範囲に含まれるようにする。
【0044】
発光ダイオードD1の駆動電流が変化し、これに応じて発光ダイオードD1の光信号の強度(振幅)が変化すると、微粒子の影響による光信号の伝送エラーの生じ易さが変化するため、微粒子濃度の検出レンジが変化する。
すなわち、光信号の強度を小さくした場合は、微粒子の影響を受けて光信号の伝送エラーが生じ易くなる。この場合、微粒子濃度が低い範囲で誤りビットの計数が可能となるが、微粒子濃度の高い範囲では誤りビット数の飽和が生じる(誤りビット数が検出ビット長と等しくなり、ビット誤り率が100%になる)ため濃度の検出が行えなくなる。
一方、光信号の強度を大きくした場合は、光信号が微粒子の影響を受け難くなる。そのため、微粒子濃度の高い範囲では上述した飽和を起こさずに濃度の検出が可能になるが、微粒子濃度の低い範囲では誤りビット数がゼロになる(ビット誤り率がゼロになる)ため濃度の検出が行えなくなる。
【0045】
本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、第1の調整モードにおいて、ビット誤り数が所定の範囲に含まれるように発光ダイオードD1の駆動電流の大きさ(発光強度)を変化させることによって、微粒子濃度の検出レンジを適切に調整することができる。例えば、一定の時間や一定の周期で第1の調整モードの調整を行えば、周囲の環境(明るさ等)に応じた適切な検出レンジを自動的に設定できる。
【0046】
また本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、光信号の強度(振幅)を増減させることにより、微粒子濃度の変化に対する誤りビット数の変化の度合い(感度)を適切に設定することもできる。
【0047】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る微粒子感知装置では光信号の強度(振幅)を変化させることによって微粒子濃度の検出レンジが調整されるが、第3の実施形態に係る微粒子感知装置では光信号のパルス幅を変化させることによって検出レンジが調整される。
【0048】
図4は、第3の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
図4に示す微粒子感知装置は、図1に示す微粒子感知装置と同様の構成に加えて、パルス幅調整部91Bを有する。パルス幅調整部91Bは、本発明における第1の調整部の一実施形態である。
また、図4に示す微粒子感知装置は、図1における駆動部30の替わりに後述する駆動部30Bを有する。
【0049】
駆動部30Bは、PN符号生成部20から入力されるPN符号に応じて発光ダイオードD1を駆動するとともに、第1の調整モードにおいては、光強度調整部91Bの制御に従って発光ダイオードD1の駆動信号のパルス幅を変化させる。
例えば駆動部30Bは、光強度調整部91Bの制御信号に応じてパルス幅が調節されたパルス信号を出力するパルス幅制御回路を含んでいる。PN符号がハイレベルのとき(図2(B)における値「1」のとき)、駆動部30Bは、このパルス信号に応じて発光ダイオードD1を駆動する。
【0050】
光強度調整部91Bは、第1の調整モードにおいて、誤り検出部60で計数される誤りビット数が所定の範囲に含まれるように駆動部30Bの駆動電流のパルス幅を変化させる。
【0051】
発光ダイオードD1の駆動電流のパルス幅が変化し、これに応じて発光ダイオードD1の光信号のパルス幅が変化する場合、微粒子の影響による光信号の伝送エラーの生じ易さが変化するため、微粒子濃度の検出レンジが変化する。
すなわち、パルス幅が狭くなる場合は、微粒子の影響を受けて光信号の伝送エラーが生じ易くなるため濃度検出範囲が低くなり、パルス幅が広くなる場合は、光信号が微粒子の影響を受け難くなるため濃度検出範囲が高くなる。
【0052】
本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、第1の調整モードにおいて、ビット誤り数が所定の範囲に含まれるように発光ダイオードD1の駆動電流のパルス幅(光信号のパルス幅)を変化させることによって、微粒子濃度の検出レンジを適切に設定することができる。
【0053】
また本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、光信号のパルス幅を変化させることにより、微粒子濃度の変化に対する誤りビット数の変化の度合い(感度)を適切に設定することもできる。
【0054】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第2,第3の実施形態に係る微粒子感知装置では光信号の強度(振幅)やパルス幅を変化させることによって微粒子濃度の検出レンジが調整されるが、第4の実施形態に係る微粒子感知装置では、誤りビット数を計数する際の検出ビット長を変化させることによって検出レンジが調整される。
【0055】
図5は、第4の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
図5に示す微粒子感知装置は、図1に示す微粒子感知装置と同様の構成に加えて、検出ビット長調整部92を有する。検出ビット長調整部92は、本発明における第2の調整部の一実施形態である。
また、図5に示す微粒子感知装置は、図1における誤り検出部60の替わりに後述する誤り検出部60Aを有する。
【0056】
誤り検出部60Aは、誤り検出部60と同様に、PN系例生成部20において生成されるPN符号のビット列と信号再生部50において再生されるPN符号のビット列とを所定の検出ビット長にわたって比較し、この比較において誤りビットの数を計数する。また、誤り検出部60Aは、第1の調整モードにおいて、ビット誤り数を計数する際の基準となる検出ビット長を検出ビット長調整部92の制御に従って変更する。
【0057】
検出ビット長調整部92は、第1の調整モードにおいて、誤り検出部60Aの検出ビット長に対する誤りビット数の割合(ビット誤り率)が所定の範囲に含まれるように検出ビット長を変化させる。
【0058】
検出ビット長が長くなると、同一のビット誤り数で比較した場合のビット誤り率が相対的に小さくなり、光信号の微小な伝送エラーを検出できるようになるため、低濃度側の検出レンジが拡大する。
【0059】
本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、第1の調整モードにおいて、検出ビット長に対する誤りビット数の割合(ビット誤り率)が所定の範囲に含まれるように検出ビット長を変化させることによって、低濃度側の検出レンジを適切に拡大することができる。
【0060】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態に係る微粒子検出装置は、光信号の周波数帯域を調整する動作モード(第2の調整モード)を有する。
【0061】
図6は、第5の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
図6に示す微粒子感知装置は、図1に示す微粒子感知装置と同様の構成に加えて、ビットレート調整部93を有する。ビットレート調整部93は、本発明における第3の調整部の一実施形態である。
また、図6に示す微粒子感知装置は、図1におけるPN符号生成部20の替わりに後述するPN符号生成部20Aを有する。
【0062】
PN系列生成部20Aは、ビットレート調整部93の制御に従ってPN符号のビットレートを変化させる。例えば、PN系列生成部20Aは、ビットレート調整部93の制御に従ってクロック信号Scの周波数を変化させる周波数シンセサイザを有しており、この周波数シンセサイザで生成されたクロック信号に同期してPN符号を生成する。
【0063】
ビットレート調整部93は、第2の調整モードにおいて、誤り検出部60の誤りビット数が所定の範囲に含まれるようにPN符号のビットレートを変化させる。
【0064】
PN符号のビットレートが変化すると、PN符号の周波数帯域が変化し、発光ダイオードD1において発生する光信号の周波数帯域が変化する。すなわち、光信号の周波数帯域は、PN符号のビットレートが高くなると高周波側にシフトし、PN符号のビットレートが低くなると低周波側にシフトする。
【0065】
本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、第2の調整モードにおいて、誤り検出部60のビット誤り数が所定の範囲に含まれるようにPN符号のビットレートが可変される。これにより、例えば突発的な外来ノイズなどの雑音環境の変動によってビット誤り数が異常な値になる場合でも、光信号の周波数帯域をシフトさせてビット誤り数を正常範囲に戻すことができる。従って、外来ノイズによる検出精度の低下を効果的に抑制できる。
例えば、一定の時間や一定の周期で第2の調整モードの調整を行えば、周囲のノイズ環境に応じた適切な光信号の周波数帯域を自動的に設定できる。
【0066】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
第5の実施形態に係る微粒子感知装置ではPN符号のビットレートを変化させることによって光信号の周波数帯域が調整されるが、第6の実施形態に係る微粒子感知装置ではPN符号のビットパターンの長さを変化させることによって光信号の周波数帯域が調整される。
【0067】
図7は、第6の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
図7に示す微粒子感知装置は、図1に示す微粒子感知装置と同様の構成に加えて、ビット長調整部94を有する。ビット長調整部94は、本発明における第4の調整部の一実施形態である。
また、図7に示す微粒子感知装置は、図1におけるPN符号生成部20の替わりに後述するPN符号生成部20Bを有する。
【0068】
PN系列生成部20Bは、ビットレート調整部93の制御に従ってPN符号のビット長を変化させる。例えば、PN系列生成部20Aは、ビット長が異なる複数のPN符号(PN9,PN15など)を生成可能であり、ビット長調整部94によって指定されたPN符号を生成する。
【0069】
ビット長調整部94は、第2の調整モードにおいて、誤り検出部60の誤りビット数が所定の範囲に含まれるようにPN符号のビット長を変化させる。
【0070】
PN符号のビット長が変化すると、PN符号の周波数帯域の帯域幅が変化し、発光ダイオードD1において発生する光信号の帯域幅が変化する。すなわち、光信号の帯域幅は、クロック信号Scの周波数が一定の場合、PN符号のビット長が長くなると広がり、PN符号のビット長が短くなると狭くなる。
【0071】
本実施形態に係る微粒子感知装置によれば、第2の調整モードにおいて、誤り検出部60のビット誤り数が所定の範囲に含まれるようにPN符号のビット長が調節される。そのため、雑音環境の変動が生じた場合でも光信号の帯域幅を変化させてビット誤り数を正常範囲に戻すことができる。従って、外来ノイズによる検出精度の低下を効果的に抑制できる。
【0072】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
第7の実施形態に係る微粒子感知装置は、微粒子濃度の判定を行う判定部の判定しきい値を調整する動作モード(第3の調整モード)を有する。
【0073】
図8は、第7の実施形態に係る微粒子感知装置の構成の一例を示す図である。
図8に示す微粒子感知装置は、図1に示す微粒子感知装置と同様の構成に加えて、判定しきい値調整部95及び平均値算出部96を有する。判定しきい値調整部94は本発明における第5の調整部の一実施形態であり、平均値算出部96は本発明における平均値算出部の一実施形態である。
【0074】
平均値算出部96は、誤り検出部60において計数される誤りビット数の平均値を算出する。例えば、平均値算出部96は、一連の誤りビット数の計数結果を随時積算することによって誤りビット数の移動平均を算出する。
【0075】
判定しきい値調整部95は、第3の調整モードにおいて、平均値算出部96が算出した誤りビット数の平均値に応じて判定部70の判定しきい値を変化させる。例えば、判定しきい値調整部95は、誤りビット数の平均値に所定のオフセット値を加算した値を判定しきい値に設定する。
【0076】
本実施形態に係る微粒子感知装置では、平常状態における誤りビット数の平均値が周囲の環境(例えば明るさなど)によって変動する場合でも、その変動に合わせて判定しきい値を再設定することができるため、平常状態からの微粒子濃度の変化を適切に感知できる。これにより、微粒子濃度の平常状態からの急激な変化を的確に感知できることから、例えば火災感知機などへ好適に応用できる。
【0077】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0078】
上述の実施形態ではPN符号を用いて光信号の周波数帯域を拡散させているが、本発明の他の実施形態では、PN符号に対して更にRZ(return to zero)、CMI(coded mark inversion
signal)などの別の符号化を施してもよい。
【0079】
また、本発明の他の実施形態では、キャリア信号をPN符号などの所定のビット列によって変調し、その変調結果に応じて発生した光信号の伝送エラーを検出することにより微粒子の感知を行ってもよい。
【0080】
例えば図9に示す微粒子感知装置は、図1に示す微粒子感知装置と同様な構成を有するとともに、キャリア信号生成部81と変調部82を有する。また、図9に示す微粒子感知装置は、信号再生部50の替わりに復調部83を有する。
キャリア信号生成部81は、クロック信号Scに同期したキャリア信号Srを生成する。キャリア信号Srは、クロック信号Scより高い周波数を有する。
変調部82は、キャリア信号SrをPN符号によって変調する。例えば変調部82は、PN符号に応じてキャリア信号Srの位相を反転させる。
復調部83は、増幅部40において増幅された信号からキャリア信号Srに基づいてPN符号を復調する。例えば復調部83は、増幅部40の出力信号にキャリア信号Srを乗算し、この乗算後の信号からローパスフィルタ回路によってキャリア信号Srを除去することにより、PN符号の成分を復調(同期検波)する。復調された信号をクロック信号Scに同期してラッチし、後段の誤り検出部60に出力する。
図9に示す微粒子感知装置は、投光側において変調したPN符号を受光側において復調する点で異なっているものの、他の動作については上述した実施形態に係る微粒子感知装置と同様であり、これらと同様な効果を奏することができる。
【0081】
また、本発明の他の実施形態では、上述した実施形態のようにPN符号を用いず、一定周波数でハイレベルとローレベルを反復する信号を光信号によって伝送し、その伝送エラーによって微粒子の検知を行ってもよい。
【0082】
上述した実施形態では、投光側から受光側へ光信号を直接伝搬させているが、本発明の他の実施形態では、投光側から出射される光信号の散乱光のみを受光側へ入射させるようにしてもよい。この場合、光信号の伝送エラーの減少によって微粒子の濃度が上昇したことを判定できる。
【0083】
本発明の微粒子感知装置における微粒子の感知は、連続的に行ってもよいし、非連続に行ってもよい。例えば、一定周期ごとに微粒子の感知を行い、微粒子の感知を停止する期間において発光素子の駆動を停止するようにすれば、消費電力を効果的に削減できる。
また、上述した動作モード(第1、第2又は第3の調整モード)については、定期的に各動作モードにおける調整動作を行なって、微粒子感知動作を実行するようにしてもよいし、外部からの指示に応答して各動作モードにおける調整動作を行なって、微粒子感知動作を実行するようにしてもよい。この外部からの指示には、例えば、電源の起動、リセット動作、マニュアルによる指示などが含まれる。
【0084】
本発明の他の実施形態は、上述した実施形態を任意に組み合わせたものも含む。
【符号の説明】
【0085】
10…クロック生成部、20,20A,20B…PN系列生成部、30,30A,30B…駆動部、40…増幅部、50…信号再生部、60,60A…誤り検出部、70…判定部、81…キャリア信号生成部、82…変調部、91A…光強度調整部、91B…パルス幅調整部、92…検出ビット長調整部、93…ビットレート調整部、94…ビット長調整部、95…判定しきい値調整部、96…平均値算出部、D1…発光ダイオード、D2…フォトダイオード。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に浮遊する微粒子を感知する微粒子感知装置であって、
デジタル信号を含んだ入力信号に応じて光信号を発生し、当該光信号を上記微粒子の感知対象空間にあてる投光部と、
上記投光部から上記感知対象空間を介して入射する光信号を受光して電気信号に変換する受光部と、
上記電気信号から上記デジタル信号を再生する信号再生部と、
上記投光部の上記入力信号に含まれる上記デジタル信号と上記信号再生部において再生される信号との差異を検出する検出部と
を有する微粒子感知装置。
【請求項2】
上記検出部は、上記投光部の上記入力信号に含まれる上記デジタル信号のビット列と上記信号再生部において再生される信号のビット列とを所定の検出ビット長にわたって比較し、当該比較において値の異なる誤りビットの数を計数する、
請求項1に記載の微粒子感知装置。
【請求項3】
上記微粒子の濃度の検出レンジを調整する動作モードにおいて、上記誤りビット数が所定の範囲に含まれるように上記投光部の出射光の強度、及び/又は、上記出射光のパルス幅を変化させる第1の調整部を有する、
請求項2に記載の微粒子感知装置。
【請求項4】
上記微粒子の濃度の検出レンジを調整する動作モードにおいて、上記検出部の上記検出ビット長に対する上記誤りビット数の割合が所定の範囲に含まれるように上記検出ビット長を変化させる第2の調整部を有する、
請求項2に記載の微粒子感知装置。
【請求項5】
上記デジタル信号を生成する信号生成部と、
上記光信号の周波数帯域を調整する動作モードにおいて、上記誤りビット数が所定の範囲に含まれるように上記信号生成部の上記デジタル信号のビットレートを変化させる第3の調整部を有する、
請求項2に記載の微粒子感知装置。
【請求項6】
疑似ランダム雑音の性質を有した符号系列を上記デジタル信号として生成する信号生成部を有する、
請求項2に記載の微粒子感知装置。
【請求項7】
上記信号生成部は、疑似ランダム雑音の性質を有したビットパターンを繰り返し生成し、
上記光信号の周波数帯域を調整する動作モードにおいて、上記誤りビット数が所定の範囲に含まれるように上記信号生成部の上記ビットパターンのビット長を変化させる第4の調整部を有する、
請求項6に記載の微粒子感知装置。
【請求項8】
上記検出部の上記誤りビット数と所定の判定しきい値との比較結果に応じて、上記感知対象空間における上記微粒子の濃度を判定する判定部を有する、
請求項2乃至7の何れか一項に記載の微粒子感知装置。
【請求項9】
上記検出部の上記誤りビット数の平均値を算出する平均値算出部と、
上記判定しきい値を調整する動作モードにおいて、上記平均算出部が算出した上記誤りビット数の平均値に応じて上記判定しきい値を変化させる第5の調整部を有する、
請求項8に記載の微粒子感知装置。
【請求項10】
キャリア信号を所定のパターンのビット列により変調し、当該変調結果を上記投光部に入力する変調部を有し、
上記信号再生部は、上記キャリア信号に基づいて上記変調部により変調された上記ビット列を上記電気信号から復調し、
上記検出部は、上記変調部における元の上記ビット列と上記信号再生部において復調されるビット列とを所定の検出ビット長にわたって比較し、当該比較において値の異なる誤りビットの数を計数する、
請求項1に記載の微粒子感知装置。
【請求項11】
上記信号再生部が、上記電気信号と所定のしきい値とを比較して上記デジタル信号を再生するためのコンパレータを含む、
請求項1乃至9の何れかに記載の微粒子感知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−276584(P2010−276584A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132364(P2009−132364)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】