説明

微粒子検出器

ダクト(4)内のガス中における通常ゼロすなわち許容できるレベルより上の一過性微粒子の存在を検出するための装置および方法。前記装置は、ダクト(4)のほぼ全断面にわたって投影することができる赤外線、紫外線および可視光線から選択した照射用の少なくとも1つのエミッタ(2)と、微粒子からの照射の任意の閃光を検出するための少なくとも1つの検出器(8,18,25)とを備える。装置および方法は、例えば、病院および発電所のような微粒子の堆積または存在が望ましくないエリア内の微粒子を検出、監視する際に特に役に立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微粒子の検出に関し、特に、微粒子の監視を含む検出のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子の存在は、多くの状況において、少なくとも厄介なものであり、最悪の場合には、破局をもたらすものであり、違法なものである。微粒子は不純物をその存在が望ましくない場所へと運ぶ恐れがある。そのような場所としては、工業プラントおよび空気の質の監視を含む環境等がある。それ故、例えば、電子構成要素の製造の際には、微粒子が存在すると、不純物が気が付かないうちに、例えばチップのような構成要素に混入して、構成要素を不良品にする恐れがある。無菌および微粒子を含まない状態にしたいエリア内においては、多くの試験方法が実行される。微粒子が存在すると、このような汚染エリアからの試験結果が価値のないものになる恐れがある。例えば、病院環境内においては、多くの病棟、特に手術室を多くの状況においてできるだけ無菌状態に維持するために、本質的に微粒子を含まない状態に維持する必要がある。例えば、発電所の場合には、タービン翼上の微粒子の堆積を低減するために、タービンへの入口内の微粒子を最小限度に維持しなければならない。このような微粒子の堆積は、通常、水をスプレーすることにより除去しなければならない。またはそうしないと、タービンの性能が低下し、最終的には、翼が破壊し、タービンが完全に破壊してしまう。いずれの場合でも、発電時間が短くなる。
【0003】
関連するエリア内への空気等のガスの入口は、上記例の微粒子を含まない状態にしなければならない。しかし、エリアの出口から微粒子を放出してはならない。例えば、発電所、化学プラント処理を含む産業プロセスからの排気は、微粒子を大気中に放出してはならない。このような放出は環境的に許されるものではなく、微粒子の放出は承認された最大限度または法的制限内に維持しなければならない。
【0004】
あるエリアに出入りする微粒子は、通常、多くの場合、あるエリアにガスを供給したり、あるエリアからガスを放出するダクト内に位置するある範囲の低減システム(abatement system)を使用することにより、低減される。このような低減システムとしては、例えば、フィルタ、フィルタの組合わせ、電気集塵装置、湿式アレスタ(wet arrester)などがある。低減システムを間違ってまたは誤って設置した場合、または時間の経過中に低減システムが劣化した場合には、低減システムを通過する微粒子を低減する際の低減システムの効率が低減する。通常は、許容できる低減システムの性能についての経験により決まる所与の期間が経過すると、低減システムの交換が行われる。しかし、また、この期間が経過する前に低減システムが使用不能となるような故障を起こす場合があり、フィルタ・システムを通して許容レベル以上の微粒子が進入する場合があることも分かっている。このことは、例えば、ガスの流れが非常に速い場合、または低減システムが一組のフィルタを備えていて、このうちの1つのフィルタが時を経ずして故障を起こすような場合に特に問題になる。
【0005】
現在入手できる微粒子検出器は、ダクト内の非常に狭い領域またはエリア内の微粒子の存在を検出するだけである。このような検出器の場合には、導電性ロッドがダクト内に位置していて、帯電した微粒子がロッドの近くを通過したり、またはロッドに衝突した場合の電荷の増大により、検出するロッド内に電流を誘起する。このような検出器は、ダクトの非常に小さな容積上の微粒子を測定し、ロッドは、ダクト内のガスの流れに対して障害物としての働きをする。他の検出器の場合には、非常に細い鉛筆状の光のビームがダクトを横切って放射され、1つの横方向のダクト測定の際に不透明度が測定される。さらに他の検出器の場合には、非常に細いビームがダクト内に放射され、検出器の焦点が通常15cmであるビームの小さな部分に結ばれ、ビームのこの部分からの戻り反射が監視される。これらすべての検出器は、ダクトの非常に小さな断面エリア上の微粒子の存在のみを測定し、より広い断面上の微粒子の存在は、外挿により推定することができるだけであり、特に真の層流が存在する場合にそうなるわけではないダクトの断面エリアを横切って微粒子を均一に分布させる乱流が存在するという仮定に全面的に依存している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、ダクトの断面を横切るダクト内のガス内に浮遊する微粒子を検出するための装置および方法の開発が待望されている。一定の基準による微粒子の検出の場合も、その通常ゼロすなわち許容できる低いレベル上の一過性微粒子の存在を検出するために、ダクトを連続的にまたは一定の間隔で監視することになる。本発明の装置は、このような機能を提供する。これらのダクト内においては、微粒子の通常のレベルはほぼゼロである(すなわち、微粒子を含んでいない)か、または低減システムが効率的に作動している場合には、非常に低くまた許容することができるレベルである。本発明の装置は、断面の小さなサンプルが断面全体を表しているという仮定に基づいていない。
【0007】
国際特許出願公開第03/012375号に記載されている検出器のような他の検出器は周知のものである。この場合、ガス環境内の微粒子の高い濃度の定量測定が、好適には、配管内で、マイクロ波技術であることが好ましい技術により行われる。しかし、このような検出器および以下に説明する特許公報および特許明細書に開示されている検出器は、配管の選択した断面の一部をサンプリングするだけであり、そこからほぼ等質の微粒子濃度を推測する。それ故、このような検出器は、このようなほぼ等質の微粒子が存在しない場合には機能しない。さらに、このような検出器は、低いレベルの微粒子を監視しない。米国特許出願公開第2002/0105645A1号公報には、水またはオイル内の微粒子を監視するための装置が記載されている。しかし、この装置は配管内のいくつかの点しか測定できない。米国特許第6055052号明細書の装置は、粒子径は測定するが、配管内の空気内の微粒子の予想しなかった存在は測定しない。上記特許明細書の装置が解決した問題、これら特許明細書から集めた情報は、本発明の装置および方法により解決する問題とは全く異なるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ダクトのほぼ全断面にわたって放射することができる赤外線、紫外線および可視光線から選択した照射のための少なくとも1つのエミッタと、微粒子からの照射の任意の閃光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備えるダクト内のガス内の一過性微粒子の存在を検出するための装置を提供する。
【0009】
他の態様によれば、本発明は、ダクトと、ダクトのほぼ全断面にわたって投影することができる赤外線、紫外線および可視光線から選択した照射のための少なくとも1つのエミッタと、微粒子からの照射の任意の閃光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備えるダクト内のガス内の一過性微粒子の存在を検出するための装置を提供する。
【0010】
他の態様によれば、本発明は、ダクトを赤外線、紫外線および可視光線から選択した照射用の少なくとも1つのエミッタで照射するステップと、ダクトのほぼ全断面にわたって上記照射を投影するステップと、微粒子からの照射の任意の閃光を検出するステップを含むダクト内のガス内の微粒子を検出するための方法を提供する。
【0011】
それ故、本発明の装置および方法は、できれば低減システムをガスが通過した後、例えば、タービン等のそれぞれの前後のような、特にそのプロセスの入口の上流または出口の下流において、産業プロセスの入口または出口内のガス内の一過性微粒子の存在を検出する際に役に立つ。
【0012】
ダクトの断面についての「ほぼ全体」という用語は、配管の選択した断面部分のサンプリング、および微粒子濃度のほぼ等質性の仮定を必要としないように、ダクトの十分な断面が照射されることを意味する。それ故、本発明は、ダクトの全断面にわたる微粒子の存在の正確で実際の検出を行うことができる。「ほぼ全体」という用語は、好適には、ダクトの全断面を照射しなければならないことを意味するが、例えば、照射されない部分がダクトの断面の10%以下であってもよい。
【0013】
本明細書においては、「実質的な断面」という用語は、ダクトの断面の少なくとも10%、好適には50%、より好適には80%、および最も好適には本質的に全断面がエミッタからの照射によりカバーされることを意味する。
【0014】
本明細書においては、「微粒子」という用語は、微粒子の形をしている動物性、植物性または鉱物性物質を意味する。特にこの用語は、大気中に存在し、産業プロセスおよびエンジン内で発生する微細な微粒子物質を含む。本明細書においては、「ガス」という用語は、低減システムで使用する物質と化学的に反応しない任意のガス状物質、特に空気を意味する。
【0015】
本発明の装置および方法は、対象とされる照射の微粒子からの閃光の検出に依存する。「閃光」という用語は、微粒子からの照射のきらめきまたは輝きを意味する。閃光はどの方向を向いていてもよい。何故なら、照射は微粒子から反射するからである。少なくともいくつかの閃光は、検出器の方向を向いている。ガスの流れの領域内においては、本発明の装置および方法は、ダクトのほぼ全断面にわたるガスの流れ内に浮遊する微粒子をより正確に測定することができる。フィルタの出口に近いガスがほぼ層状である場合には、好適には、本発明の装置を層流のエリア内に配置することが好ましい。このように配置することにより、フィルタの平面アレイ内の特定のフィルタ内の欠陥の位置をより正確に測定することができる。
【0016】
本発明の装置は、ガスをある位置の方向に向け、ある位置から離れる方向に向ける入口ダクトまたは出口ダクト内に設置される。ダクトは、当業者であれば周知の任意の適当な材料から作ることができる。ダクト材料の例としては、コーティングしてもよいし(例えば、亜鉛メッキ)、コーティングしなくてもよい通常は鋼鉄である金属、ステンレス鋼、アルミニウム、例えば、硬質または柔軟な塩化ポリビニル、ポリプロピレン、ポリスチレンのようなプラスチック材料、低密度または高密度ポリエチレン、ABS等がある。またダクト材料は、アコーディオンの形をしていてもよい。断面がエミッタおよび検出器を収容することができる場合には、ダクトは、例えば、矩形(例えば、正方形)、円形、楕円形のような任意の便利なまたは適当な断面を有することができ、任意の断面の大きさを有することができる。エミッタおよび/または検出器は、ダクトの断面内に設置することができる。しかし、ガスの処理量が非常に大きい場合には、好適には、エミッタまたは検出器が、ガスの処理量を低減しないように、エミッタまたは検出器の任意の部分がダクトまたは装置をずらしたり破損する危険を低減するために、エミッタおよび検出器をダクトの壁部内またはダクト壁部内の窓(照射を通す)に隣接して設置することが好ましい。
【0017】
照射は、赤外線、紫外線および微粒子から閃光を発生することができる可視光線から選択される。好適には、照射は可視スペクトル内に位置するものであることが好ましい。
下記の他のエミッタよりコストが安い赤外線照射を使用することができ、一方、ダクトまたはガス内に存在する任意の水蒸気は、赤外線照射の少なくとも一部を吸収する。このような欠点は、例えば、水の赤外線スペクトル内の低い吸収エリア内に感度を有するCCDカメラ(約675nmのところに感度のピークを有する)のような検出器を使用することにより軽減することができる。しかし、照射輝度は比較的低く(これは検出器の感度を増大することにより補償することができる)、視準が悪く、波長がより長いために閃光の検出性能が制限される場合がある。
【0018】
紫外線照射も使用することができるが、欠点は検出器のコストが比較的高いこと、および感度が比較的低いことである。
マイクロ波照射は適当な放射源ではない。何故なら、ダクト内の振動およびダクトへの外部の動きが振動を起こし、閃光の任意の検出を信頼できないものにするからである。また、市販のマイクロ波システムは、本発明が必要とする効果とは異なる効果である微粒子の検出のためにドップラー・シフトに依存している。ドップラー・シフトは、微粒子の速度を測定する。それ故、マイクロ波システムは小さな後方散乱または閃光を発生する。さらに、マイクロ波照射の波長は、個々の微粒子の通常の寸法と比較すると非常に長く、マイクロ波照射の全反射が、微粒子の雲から発生する。ビーム・サイズおよび方向は比較的容易に制御することができ、そのためダクトの有効範囲を適当に制御することができるが、多経路がマイクロ波の照射に関連する問題である。ダクトの材料の透明性も望ましくない信号を発生する場合がある。
【0019】
可視スペクトル内での照射が望ましい。好適には、照射は460nm〜680nmの波長を有することが好ましい。可視照射のエミッタとしては、例えば、フィラメント・ランプからのもの、発光ダイオードからのもの等があるが、このような光は、通常、適当な輝度を有していないか、または必要な平行ビームを有するビームを供給するように焦点を結ぶことができない。遥かに好適なエミッタはレーザである。レーザが微粒子から強力な閃光を発生すること、およびレーザ・デバイスの寿命が比較的長いことが分かっている。適当なレーザは、少なくとも1mWの出力を有し、出力は、粒子径および装置の必要な感度を考慮して決定することができる。ある1つの周波数エミッタをその周波数に特定の検出器と整合させると、検出の際の信号対雑音比を改善することができ、そのため本発明の装置の感度が増大する。ダクトは、照射がダクトの対向側面から後方に反射しないように、エミッタに対向するダクトの側面上の照射、特にレーザからの照射を吸収するためにビーム・ダンプを備えることができる。エミッタでないものが放射した照射の任意の効果を低減するために帯域フィルタを使用することもできる。
【0020】
エミッタは、全断面またはダクトの一つのみの軸線を横切って照射を投影するように配置することができる。エミッタは、例えば、連続的なまたはほぼ連続的なステップ運動でモータにより移動または回転することができる、レンズ、ミラーまたはプリズムにより走査を行うことができる。レーザからであることが好ましい照射は、ライン発生装置を使用することによりダクトを横切ってファン状に広がることができる。「ファン状の広がり」という用語は、照射した照射のビームが、調査対象のエリアを横切って拡がることを意味する。照射用の1つのエミッタを使用することが好ましいが、特に、ダクトの断面の幾何学的形状が不規則である場合、またはダクト構造が不規則である場合には、複数のエミッタを使用することもできる。
【0021】
例えば、好適には円筒状のものであることが好ましい光学レンズによるエミッタからのビームのファン状の広がりにより、細いビームは、好適には約90度であることが好ましい、任意の所望の内角を有するファンの形に変換される。このようにファン状に広げると、コストが安くなり、可動部品を使用する必要がなくなり、そのため設定や整合の手間が少なくてすむという利点があるが、ビームの大きな(および故意の)拡散によりエミッタからの距離が増大すると、照射の輝度が急速に低減し、電力が広い範囲に広がり、そのため任意の所与の検出器の感度を得るためのエミッタの出力が増大し、ファン全体内の閃光を監視するには二次元検出器が必要になる。
【0022】
例えば、レンズまたはほぼ連続的に機械的に移動するミラーによるエミッタからのビームの機械的走査により、所望の走査角度を通してビームを掃引することができる。通常、ミラーはサーボ・ガルバノメータまたはステッパ・モータにより制御される。装置が機械的に丈夫でなければならない場合には、ステッパ・モータのほうが望ましい。ステッパ・モータのもう1つの利点は、任意の偽の信号をマスクするために、エミッタ・ビームの位置に関する情報を使用することができることである。このようなシステムの利点により、ビーム(任意の吸収を除く)の全長に沿って一定の輝度を高い輝度に維持することができる。すなわち、通常の拡散以外のビームの拡散が少なく、掃引角度および掃引速度のような走査パラメータを容易に制御することができることである。掃引の持続時間は、1秒から数分当たり数十回の掃引が行われる時間であってもよい。掃引時間が長くなると、小さな微粒子の痕跡を非常に高い感度で検出することができ、より高い信頼性と再現性で微粒子の測定を容易に行うことができるように、小さな閃光の検出を数秒間にわたって積分することができる。掃引速度をより速くすると、通常、低減システムが壊滅的な故障を起こした場合に、より迅速な対策を講じることができる。
【0023】
検出器としては、微粒子からの照射の閃光を検出することができる任意の適当な検出器を使用することができる。適当な検出器としては、例えば、カメラ、フォトトランジスタ、およびピン・ダイオード等がある。適当なカメラは、0.003〜1.0Luxの範囲内の感度を有することができる。検出器は、例えば、フィルタが、カメラを照射の狭い波長を感知することができるようにするために、1つまたは複数の光学フィルタを備えることができ、および/または、近い閃光および遠い閃光の正規化を助けるために段階減光フィルタを使用することができる。好適には、1つの検出器またはフォトトランジスタを使用することが好ましいが、複数の検出器を使用することもできる。
【0024】
エミッタと検出器との相対的位置決めは、最適化することができるが、使用する検出器のタイプにより異なる。例えば、好適には、カメラの視野をエミッタの方向のラインからずらすことにより、照射した面の二次元画像を入手することができる。しかし、ビームがダクトを横切って送られるように、検出器がエミッタに隣接して位置する場合には、検出した閃光は、戻り反射の閃光である(後方散乱)。しかし、微粒子に関する位置情報を決定することはできない。
【0025】
それ故、本発明の装置および方法を使用した場合、微粒子が、例えば、レーザ光線を通過した場合、光の小さな閃光が後方に反射する。すなわち、閃光が検出器のうちの1つまたは複数により検出される。粒子径および反射率の違いにより(および光学系上の任意のゴミにより)各ゴミ粒子に対する閃光の振幅は異なるけれども、閃光の速度および持続時間を使用して微粒子の流れおよび微粒子の内容を決定することができる。それ故、閃光の速度および持続時間を記録することができ、閃光の振幅は微粒子の輝度の表示である。次に、ダクト内の微粒子の量を表示するために、閃光の速度および持続時間を、例えば総和により記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
添付の図面および実施例を参照しながら本発明を説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、波長532nm(グリーン)での出力が1.5W、ビーム幅が約2mmのレーザであるエミッタ2から照射が行われる、本発明の装置の簡単な平面図である。ビームは、ビーム壁部へほぼ直角に一方の壁部からダクト4を横切る円筒状のレンズによりファン状に拡がる。ダクトの断面の50%が照射される。対向壁部には、本質的に放射した光がその壁部から後方に反射しないように、その点で受光した照射を吸収するためのビーム・ダンプ6が設けられている。ダクト内の任意の微粒子からの閃光は、ダクトを横切って約45度の角度で、その視野の中心を有する12mmのレンズを有する0.08LuxのC/CSマウントCCDカメラ8により検出される。カメラは、視野の焦点を合わせるためのズーム・レンズ10、またエミッタからの光による閃光だけを受け入れるための532nmフィルタ12、およびカメラ8からこれらの距離でカメラ8の近くで発生する閃光の正規化を助けるための段階減光フィルタ14(英国ヨーク州所在のエドマンドオプティクス社のC41〜960可変密度ビームスプリッタ)を備える。エミッタ2およびカメラは、両方とも、ダクト4の壁部の外側に位置しているために、照射および閃光は、透明な窓(図示せず)を通してダクト壁部を透過する。次に、カメラ8からの出力は、ラップトップ・コンピュータ16により分析されるので、例えば、観察した長さに沿っての閃光の識別および定量、および時間の経過中のレベルでの増大等の、微粒子のレベルに関する必要なデータを計算および監視することができ、微粒子低減システムに関する任意の行動を必要に応じて実行することができる。
【実施例2】
【0028】
図2は、ビームが、光学レンズにより、ダクトのほぼ全断面を横切ってファン状に拡がっている例1のレーザからの照射ビームの三次元の図面である。エミッタはダクトの隅に位置している。
【0029】
この装置のもう1つの実施形態の場合には、レーザからのビームは、ダクトのほぼ全断面を横切ってステッパ・モータにより機械的に走査される。
【実施例3】
【0030】
図3および図4は、後方散乱が、波長680nmでの出力が3mWのレーザ・エミッタからの照射により検出される本発明の装置の概略図である。この装置は、ガスの流れの方向に直角に装着される。レーザ・エミッタからの照射は、ダクトの断面の60%が照射されるように、80度の角度で1つの平面内でビームを拡散する(すなわち、ファン状に広げる)光学ライン発生装置によりファン状に拡がる。後方散乱は、エミッタ2の周囲に正方形に配置されている4つのフォトトランジスタ18により検出される。次に、フォトトランジスタからの出力は、周囲光(変化する変化周囲光を含む)の任意の効果を最小限度に低減し、また通過する微粒子からの一過性の閃光だけが捕捉されるように、高利得AC結合増幅器20および加算増幅器22により増幅される。
【0031】
本発明の装置のこの実施形態においては、PCが増幅器から受信した情報を記憶し、次に照射エリアを横切る微粒子の濃度の図を作成するために、この情報の振幅の二乗平均平方根(RMS)が計算される。表1内において多数のRMS計算の結果が、「Alpha」(英国シェフィールド州所在のユニデータヨーロッパ社の商標である)の測定値と比較される(微粒子の二点間測定値を記録し、次に、上記レベルを全領域上で均一であると見なす単一経路光学粒子ビーム・モニタを備える確立されたシステム)。
【0032】
【表1】

結果は、この装置が、レーザ・ヘッドの検出可能な範囲内を通過する微粒子を感知できることを示す。大きなRMS測定値は、低いAlpha測定値、RMS測定値を歪ませる傾向がある電気的および光学的雑音について、大きなAlpha測定値とよい対応を示す(試験6)が、より高度のエレクトロニクスは、同じ修正をする。しかし、本発明の好ましい実施形態の装置は、ダクトの実質的な部分上の微粒子をうまく検出し、監視する。
【実施例4】
【0033】
図5は、本発明の装置で使用するための走査装置の略図である。この装置においては、レーザ2からの照射ビームは、ステッパ・モータ28からのギヤボックス26のシャフト上に位置するミラー24に向けられる。次に、ミラー24からの照射は、必要に応じて配置されている検出器により検出される。「ホーム検出器」25は、位置の基準として使用することができ、ギヤボックス26内の任意のバックラッシュの計算を助けるために使用することができる。
【0034】
適当なステッパ・モータ28のステップ角は1.8度(ハーフ・ステップ・モードでは0.9度)、ステップ角精度は5%、電圧は5V、定格電流は0.5A/相である。適当なギヤボックス26は、ダクトのほぼ全断面を走査する。適当なギヤボックスは、また、100:1の比率(ステップ角:0.018度/0.009度)を有する。このような走査装置は、丈夫であり、振動の影響を受けないし、また広い温度範囲で使用することができ、走査速度が遅いが、位置情報を反復使用することができ、保守が容易である。
【実施例5】
【0035】
この実施例の場合、本発明の装置がタービンへのガス入口内のタービンの上流のダクト内に位置するガス・タービン発電所のフィルタ・ハウスの1つのガントリ内で一連の実験を行った。ガントリの長さは約15mであり、幅は約1mであった。この装置を、ガントリ内のフィルタのアレイに隣接して設置した。
【0036】
レーザ・エミッタが532nmの波長で200mW〜1.6Wの出力を有するという点を除けば、装置は図3および実施例3の装置とほぼ同じものであった。可変電力により、光学電力レベルの広い範囲内でシステムの性能を迅速に評価することができた。検出器は、35mm〜70mmのズーム・レンズ、532nmに同調している光帯域フィルタ、信号をデジタル・オシロスコープおよびデータを記憶するためのPCに送ることができるシグナル・コンディショナおよび増幅器を備えているフォトダイオードであった。図4は、使用した検出器システムの略図である。
【0037】
種々のレーザ・パワー出力で試験を行った。微粒子を微粒子散布によりレーザ・エミッタ・ビームの監視位置に導入した後で、(すなわち、1つの周囲微粒子が存在する状態で)、背景信号を測定した。
【0038】
図6aおよび図6bは、背景微粒子(0.22mg/m)の場合に、それぞれダクト内に微粒子を導入した(9.74mg/m)後で、レーザ・パワーが1.6W、バイアスが50μA、利得が23の場合のオシロスコープの軌跡である。図7aおよび図7bは、背景微粒子(0.22mg/m)の場合に、それぞれ微粒子を導入した(11.2mg/m)後で、レーザ・パワーが500mW、バイアスが5μA、利得が48の場合のオシロスコープの軌跡である。
【0039】
図6bおよび図7bから、微粒子の存在が容易に検出されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の装置の概略の配置。
【図2】本発明の装置の概略の配置。
【図3】本発明の装置の概略の配置。
【図4】本発明の装置で使用するための典型的な検出器システム。
【図5】典型的な走査配置。
【図6】(a)及び(b)は図3の装置による微粒子からのオシロスコープのトレース。
【図7】(a)及び(b)は図3の装置による微粒子からのオシロスコープのトレース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト内におけるガス中の一過性微粒子の存在を検出するための装置であって、前記ダクトのほぼ全断面にわたって投影することができる赤外線、紫外線および可視光線から選択した照射用の少なくとも1つのエミッタと、前記微粒子からの照射の任意の閃光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備える装置。
【請求項2】
照射のための前記エミッタが、単一のエミッタである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記照射が、460nm〜680nmの範囲内の波長を有する請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記エミッタがレーザである請求項1〜3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記照射が、532nm〜680nmの範囲内の波長を有する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記検出器がカメラである請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記検出器が、少なくとも1つのフォトトランジスタである請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記検出器がビデオ・カメラである請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記検出器が、前記照射エミッタの周囲に配置されている請求項1〜8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記エミッタからの照射がファン状に拡がっている請求項1〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記検出器が、ライン発生装置によりファン状に配置されている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記照射が、光学レンズによりファン状に拡がっている請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記エミッタからの照射が走査される請求項1〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記エミッタからの照射が、ミラーにより前記ダクト内で走査され、その運動が、前記ダクト内の照射の方を向く請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記エミッタ照射周波数が、その周波数用の検出器と整合する請求項1〜14の何れか1項に記載の装置。
【請求項16】
照射用の前記エミッタおよび前記検出器が、前記ダクト壁部の外部に位置し、前記ダクト壁部が透明な窓を備えていて、そのため照射および閃光が透明な窓を通して前記ダクト壁部を透過する請求項1〜15の何れか1項に記載の装置。
【請求項17】
ダクトと、前記ダクトのほぼ全断面にわたって投影することができる照射用の少なくとも1つのエミッタと、前記微粒子からの照射の任意の閃光を検出するための少なくとも1つの検出器とを備える、請求項1〜16の何れか1項に記載のダクト内で微粒子を検出するための装置。
【請求項18】
産業プロセスへの入口の前記ダクト内に位置する請求項17に記載の装置。
【請求項19】
産業プロセスからの出口の前記ダクト内に位置する請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が、前記入口内のガスの方向に関して、産業プロセスへの前記入口内のタービンの上流の前記ダクト内に位置する請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記装置が、前記出口内のガスの方向に関して、産業プロセスからの前記出口内のタービンの下流の前記ダクト内に位置する請求項19に記載の装置。
【請求項22】
ダクトを赤外線、紫外線および可視光線から選択した照射用の少なくとも1つのエミッタで照射するステップと、ダクトのほぼ全断面にわたって前記照射を投影するステップと、前記微粒子からの前記照射の任意の閃光を検出するステップとを含み、ダクト内におけるガス中の通常ゼロすなわち許容できるレベルより上の一過性微粒子の存在を検出するための方法。
【請求項23】
前記ガスが低減システムを通過した後、特定のある位置における前記ダクト内で前記放射線を投影するステップを含む請求項23に記載の方法。
【請求項24】
産業プロセスへの前記入口で、ダクト内の一過性微粒子を検出するステップを含む請求項23または24に記載の方法。
【請求項25】
産業プロセスからの前記出口で、ダクト内の一過性微粒子を検出するステップを含む請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記出口内のガスの方向について、産業プロセスへの前記入口内のタービンの上流のダクト内の一過性微粒子を検出するステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記出口内のガスの方向について、産業プロセスからの前記出口内のタービンの下流のダクト内の一過性微粒子を検出するステップを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記産業プロセスが発電所である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記低減システムが、本質的に微粒子を含んでいない環境を必要とするエリアへの前記入口内に位置する請求項24に記載の方法。
【請求項30】
本質的に微粒子を含んでいない環境が、病院内である請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−507705(P2007−507705A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530561(P2006−530561)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004141
【国際公開番号】WO2005/033675
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(506109971)ユニデータ ヨーロッパ リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIDATA EUROPE LIMITED
【Fターム(参考)】