説明

微粒子物質

微粒子混合製剤であって、各微粒子が賦形剤被覆によって取り囲まれた活性物質のコアを含み、該微粒子が(10)μm以下の体積平均径を有し、経口投与によって該活性物質を血流中で最大活性物質濃度を達成するためにかかる時間(Tmax)が1時間以下となるような速度で放出する。該混合製剤は、Nektar(商標)SCF微粒子形成法によって製造されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質と賦形剤との微粒子混合製剤、そのような混合製剤の製造方法、及びそれらを含む製品及び組成物に関する。特に、本発明は、改善されたバイオアベイラビリティー及び/又は薬物動態を有する、被覆された、例えば味のマスクされた薬物製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の影響から活性物質を保護するために、又は特に経口投与を意図された医薬活性物質の場合には、それらの味をマスクするために、活性物質を賦形剤で被覆することが知られている。被覆材料が錠剤などの最終的な剤型に適用されることができるにもかかわらず、活性物質の各粒子が個別に好適な賦形剤中に内包される場合には、しばしば大いにより有効であり、したがって、錠剤の崩壊又は懸濁液などの他の形態の粒子の投与においても、味のマスキングを保持する。
【0003】
薬物のような活性物質の固体粒子を賦形剤で被覆するための多くの方法が知られている。一般に、これらは、最初に「コア」活性物質粒子を製造し、そして第二に例えば、スプレーによって被覆層を適用する、少なくとも2つの段階を含む。そのような場合には、適用される被覆層の厚さ及び均一性を制御することが難しいかもしれない。さらに、その適用は、粒子全体の大きさを増加させ、そして今度はその後の投与による活性物質の放出プロフィールに有害な影響を及ぼすことができる。したがって、多くの知られた味のマスキング技術が、溶解が遅く、いやな「口の感触」を有し、そして口腔から消失するのに長時間かかる、比較的大きな粒子を作り出す。
【0004】
例えば、PCT国際特許出願公開第WO96/00610号(第20頁及び21頁を参照のこと)及び同第WO02/38127号に開示された方法のように、超臨界又は近臨界流体貧溶媒法を用いて、液体担体から活性物質「コア」と被覆材料を粒子として共沈殿させる、一工程の方法も知られている。
【0005】
活性物質、特に薬剤としての活性物質、の個別に被覆された固体粒子を製造できることがのぞましく、該粒子は、高いバイオアベイラビリティー及び投与後の迅速な放出速度を有するために十分にサイズが小さいにもかかわらず、十分によく被覆されることによって味をマスキングされる。そのような活性物質/賦形剤の混合製剤は、患者の血流中への急速な放出が必要とされる、いやな味の薬物の経口剤型の製造において特に貴重なものであることが期待される。子供及び/又は高齢者への投与のための薬物を製剤する場合には、効果的な味のマスキングが特別に重要であることができる。
【発明の開示】
【0006】
発明の陳述
本発明の最初の側面によれば、活性物質及び賦形剤の微粒子混合製剤が提供され、ここで、各粒子は賦形剤の被覆によって取り囲まれている活性物質のコアを含み、10μm以下の体積平均径を有する1次粒子の混合製剤が、好ましくはヒト又は動物患者に経口投与され、患者の血流中の活性物質最大濃度到達時間(Tmax)が1時間以内であるような速度で活性物質を放出する。
【0007】
したがって、本発明は、活性物質が被覆される必要のある状況、特に味のマスキングが望ましい場合、にさえ、改善されたバイオアベイラビリティー及び/又は薬物動態学的挙動による利益を受ける活性物質含有製剤を提供することができる。これは今度は、味の良くない医薬活性物質を、賦形剤の味のマスキング効果の利益を受け、なお薬剤の効果の速やかな発生を与えることのできる経口剤型へ製剤することを可能とし、これは、特に味の良くない薬物についての患者の服薬遵守がより困難であることのできる、小児科及び老人科のプログラムにおいて潜在的な利益を有する。
【0008】
Tmaxは、(中性pHの水溶液などの)好適な溶媒中のインビトロ、或いは好ましくはヒト又は動物、理想的にはヒト患者におけるインビボでの標準的な(例えば、米国又はヨーロッパの基準による)薬物動態試験法を用いて測定可能である。患者の血流中の活性物質濃度は、混合製剤投与後、間隔をおいてアッセイされることができ、時間の経過に沿った活性物質の放出プロフィールを得て、ここからTmaxが計算されることができる。好適な方法が、以下の実施例4に記載される。
【0009】
Tmaxは、好ましくは50分以下、より好ましくは45分以下、なおより好ましくは40分以下である。時には30、20又は15分以下でさえあることができる。インビトロの試験は、選択された溶媒中でのその溶解度に依存して、活性物質の放出が検出される前に(例えば、30秒以上、好ましくは45又は60又は90秒以上、さらに120又は150又は180秒以上の)わずかなラグタイムを示すはずであり;これは、効果的な味のマスキングを実証し、そして混合製剤が患者の口中に残るであろう時間に対応する。しかしながら、Tmaxの値がインビボ又はインビトロのいずれで測定されるにせよ、典型的にはTmaxの値は、同じ活性物質と賦形剤を同じ量で含む他の混合製剤よりも本発明の混合製剤についてのほうが低い。したがって、味のマスキングの「ラグタイム」は、好ましくは5分以下、より好ましくは4分以下、理想的には3.5又は3分である。
【0010】
賦形剤の被覆は連続的であることが好ましい。それは、典型的には例えば、被覆材料があらかじめ形成されたコア粒子に適用される場合又は被覆がコア粒子を懸濁した周囲の溶液から沈殿する場合に達成されるように、被覆とコアの間に明らかな物理的境界を有する、活性物質コアの周りの分離した層の形態をとる。
【0011】
或いは、そしてより好ましくは、混合製剤は、PCT国際特許出願公開第WO02/38127号に記載された種類のものであり、それは、他の成分中の一つの成分の固体分散(すなわち、2つの成分の密な分子レベルの混合物)であるが、相対的な賦形剤濃度における有限の勾配を有し、その濃度は各粒子のコアから表面へ、外側に向かって円周的に増加する。そのような粒子は、活性物質の周囲の保護的表面層が有効に存在するように、典型的には賦形剤に富む(理想的には、その表面上に露出された活性物質がわずかであるか又はない)表面領域を有する。しかしながら、粒子は明らかな物理的境界を間に有するコア及び被覆層を別々に有するわけではなく、粒子直径を横切る賦形剤濃度の変化率は、段階的であるよりもむしろ連続的である。
【0012】
そのような粒子の表面における活性物質:賦形剤濃度比は、例えば、その後のヒト又は動物患者への経口投与において、活性物質の効果的な味のマスキングを提供するために十分に低い。理想的には、粒子は外側「表面」層を有し、それはこれらの目的のために、粒子総体積の0.0001%、好ましくは0.001%、からなり、粒子中に含まれる活性物質全体の3重量%以下、好ましくは1重量%、より好ましくは0.5又は0.1又は0.01重量%以下、最も好ましくは検出不能な量を含む最も外側の領域にあたる。
【0013】
この文脈における味のマスキングは、混合製剤を経口服用する患者によって知覚される、活性物質の風味における改善及び/又は風味の悪さの減少を意味する。改善は、該混合製剤を患者の口に合うものとするのに十分であることが好ましく、より好ましくは咀嚼錠の形態で投与されるような患者の口中に比較的長く留まる間さえも患者の口に合うものとするのに十分である。したがって、活性物質の味は、賦形剤によって部分的に、しかし好ましくは完全にマスクされることができる。
【0014】
しかしながら、速やかな活性物質の効果の発生が望ましい場合には特に、混合製剤粒子は、効果的な味のマスキングにもかかわらず、速やかな全身への放出も可能であるように、経口投与の約3分又は150秒又は120秒又は90秒後などに口中から消失したら、速やかに溶解することが好ましい。
【0015】
粒子は、消費者の口中で唾液と接触して(又は中性pHの水溶液中に粒子が浸漬して)物理的によく崩壊することが好ましい。言い換えれば、錠剤又は他の(典型的には固体の)剤型に製剤される場合、それらは理想的には経口投与の120秒以内、又はなお理想的には60、又は45又は30秒以内で口中で個々の粒子に分解する。比較的粒子サイズの小さな本発明の混合製剤は上手く患者の口から速やかに除去され、そしてより迅速に全身へ放出される。
【0016】
本明細書中における「活性物質」という用語により、医薬、殺虫剤又はいかなるものであれ、最終産物においてなんらかの有用な機能を発揮することのできる物質が意味される。
【0017】
活性物質は、単一の活性物質又は2つ以上の活性物質の混合物であることができる。それは、モノマー、オリゴマー又はポリマー、(有機金属を含む)有機的又は無機的、親水性又は疎水性、極性又は非極性であることができる。それは、例えば、パラセタモールなどの合成薬物のような低分子、或いは(酵素、ホルモン、抗体及び抗原を含む)タンパク質又はペプチド、ヌクレオチド、ヌクレオシド又は核酸などの巨大分子であることができる。他の潜在的な活性物質は、ビタミン、アミノ酸、リン脂質及びアミノ脂質を含む脂質、モノ−、ジ−、オリゴ−又はポリサッカライドのような炭化水素、細胞並びにウイルスを含む。
【0018】
活性物質は、医薬又は栄養補助食品又はこれらの2つ以上の混合物を含むことが好ましい(より好ましくは、医薬又は栄養補助食品又はこれらの2つ以上の混合物である)。より好ましくは、活性物質は、薬剤として活性な物質であり、なおより好ましくは、例えば、錠剤、カプセル、散剤、溶液又は懸濁液などの形態の、典型的には全身に送達される経口送達に好適なものである。しかしながら、それらの意図された機能(例えば、除草剤、殺虫剤、食糧、造影剤、染料、香料、化粧品及び衛生用品、界面活性剤、被覆剤、磁器、写真又は爆薬製造において使用するための製品)がどんなものであれ、多くの他の活性物質が本発明の混合製剤の一部分を形成可能である。
【0019】
経口送達について特別に着目されるのは、全身的に送達されることを必要とし、且つ迅速な作用発生を要求する薬剤としての活性物質である。
【0020】
活性物質の水溶性が低い場合、本発明は特別に価値がある。本明細書で使用されるとおり、「水不溶性の」及び「水溶解性の低い」という用語は、例えば、約5.0〜8.0のpHの生理学的中性pHにおいて、そして周囲温度及び圧力において測定された、1.0mg/ml未満、例えば、0.1〜1.0mg/mlの水溶解性をさす。そのような場合、より迅速な作用の発生及び/又は全体的に改善されたバイオアベイラビリティーが顕著な利益を提供することができ、例えば、より低用量の薬剤としての活性物質が本発明の混合製剤を介して患者に投与されることを可能とする。
【0021】
活性物質は、低分子(好ましくは水に不溶性の低分子)、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ポリサッカライド、ステロイド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質などを含むがこれらに限定されない、多数の構造的クラスの一つに分類される。
【0022】
本発明により混合製剤化されることのできる薬剤としての活性物質は、抗生物質、抗体、抗ウイルス剤、抗てんかん剤、鎮痛剤、抗炎症剤、及び気管支拡張剤、及びウイルスを含み、そして、末梢神経、アドレナリン受容体、コリン受容体、骨格筋、循環器系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部、内分泌及びホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、オータコイド系、消化器及び排泄系、ヒスタミン系、並びに中枢神経系に作用する薬物を制限されることなく含む、無機及び有機化合物であることができる。好適な剤は、例えば、ポリサッカライド、ステロイド、催眠薬、鎮静剤、精神賦活剤、トランキライザー、抗痙攣薬、筋肉弛緩剤、抗感染薬、抗偏頭痛薬、抗パーキンソン病薬、鎮痛剤、抗炎症剤、筋肉収縮剤、抗菌剤、抗マラリア剤、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経模倣薬、生理学的効果を引き出すことのできるポリペプチド及びタンパク質、利尿薬、脂質調節剤、抗アンドロゲン剤、駆虫剤、新生物、抗腫瘍剤、血糖降下剤、栄養剤及び栄養補助食品、成長補助剤、脂肪、抗腸炎剤、電解質、ワクチン及び診断薬から選ばれることができる。
【0023】
本発明において有用な活性物質の具体例は、モルフィン、コデイン、フェンタニル、インドメタシン、ナプロキセン、及びピロキシカムのような鎮痛剤/抗リューマチ剤;フェニラミン、ジメチンデン、テルフェンジン、ロラタジン、及びドキシラミンのような抗アレルギー剤;アジスロマイシン、クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトール、及びチアセタゾンのような抗生物質;カルバマゼピン、クロナゼパム、アルプラゾラム、メダゾラム、メスキシミド、フェニトイン、及びバルプロ酸のような抗てんかん剤;ナタマイシン、アンフォテリシンB、ボリコナゾール、及びミコナゾールのような抗真菌剤;アルドステロン、デキサメタゾン、トリアンシノロン、ブデソニド、フルチカゾン及びベクロメタゾンのようなコルチコイド;リスリド、メチセルギド、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミンのような偏頭痛薬;ベンゾジアゼピン及びクロルメチアゾールのような向精神薬;メファラン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イフォサミド、トロフォサミド、クロランブシル、フルオロウラシル、メトトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ダクチノマイシン及びカンプトテシンのような抗癌剤;Ara-C、FudR、及び5FUのような細胞分裂停止薬;AZT、ddC、及びddIのようなウイルス静止剤(virostatic);並びにVLA-4阻害剤及びホスホジエステラーゼ阻害剤(PD-4阻害剤など)のような非ステロイド系抗炎症剤などの喘息薬を含むがこれらに限定されない。
【0024】
さらなる活性物質は、シクロスポリン、シプロフロキサシン、アミカシン、トブラマイシン、ペンタミジンイセチオネート、プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアンシノロンアセタミド、フルニソリド、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、サルメテロールキシノフォエート、フマル酸ホルモテロール、酒石酸エルゴタミン、プロゲステロン、ミクロナゾール、ピロキシカム、タクロリムス、シロリムス、インドメタシン、エコナゾール、イトラコナゾール、アミオダロン、フェキソフェナジン、ガバペンチン、スプリオノラクトン、クラリスロマイシン、サキナビル、ジダノシンパラメトキシシンナメート、THC、ニコチン、ハリオファントリン、スタチン、タキソール、タキソテレ、アルファキソロン、エリスロマイシン、アルベンダゾール、ニトロスカナート、ダントロレン、カファロン、チルミコシン、ニタゾキサニド、フルオロキノロン(例えば、シプロフロキサシン)、チルミコシン、オールトランスレチノイン酸並びにこれらのアナログ、アゴニスト及びアンタゴニストを含むがこれらに限定されない。活性物質は、不溶性の荷電した又は荷電していない分子、分子複合体の成分又は薬剤として許容可能な塩のような多様な形態であることができる。活性物質は、天然の分子であることができるか又はそれらは組換え生産されることができ、或いはそれらは1つ以上のアミノ酸が付加又は除去された、天然の又は組換え生産された活性物質のアナログであることができる。さらに、活性物質は、ワクチンとしての使用に好適な生きた弱毒化ウイルス又は死んだウイルスを含むことができる。
【0025】
特に、活性物質は、(例えば、ジクロフェナックナトリウム又はカリウムのような金属塩などの塩の形態の)ジクロフェナック、(例えば、フェキソフェナジン塩酸塩のような酸塩などの塩の形態の)フェキソフェナジン、及び他の水不溶性の(又は水溶性の低い)、味のよくない活性物質、特に非ステロイド系抗炎症剤、抗生物質及び抗アレルギー剤、並びにそれらの混合物を含む薬物から選択されることができる。
【0026】
活性物質は、上記で列挙された薬剤として活性な物質の薬剤として許容可能な塩、溶媒和物、エステル、アナログ及び誘導体(例えば、プロドラッグ形態)から選択されることができる。
【0027】
血流中へただちに放出されること(すなわち、薬剤効果の迅速な発生)が特別に望ましい薬物は、偏頭痛、悪心、不眠症、(アナフィラキシー性のものを含む)アレルギー性反応、神経学的又は精神医学的障害(特にパニック発作及び他の精神病又は神経症)、勃起障害、糖尿病及び関連する障害並びに心疾患の治療において使用されるもの、そして、抗けいれん薬、気管支拡張剤、及び疼痛又は炎症の緩和のための薬物を含む。
【0028】
活性物質は、味及び/又はにおいの良くない、味のマスキング剤で被覆されることの必要な、消費を意図される(薬物のような)物質であることができる。例は、味の苦い抗マラリア薬であるキニンサルフェイト及びクロロキン;喘息の治療に使用されるような多くの経口コルチコステロイド;多くの抗生物質;ジシクロミンHCl(抗けいれん薬);ジピリダモール(血小板阻害剤);トプリメート(抗てんかん剤);オキシコドン(鎮痛剤);(骨格筋の機能亢進の治療に使用される)カリスポドール;ブプロピオン(抗うつ薬);(偏頭痛治療に使用される)スマトリパン;ベラパミルHCl(カルシウムイオン流動阻害剤);チニダゾール(駆虫剤);アセチルサリチル酸(アスピリン、解熱剤);(酸/消化障害の治療に使用される)シメチジンHCl;ジルチアゼムHCl(抗狭心症薬);テオフィリン;パラセタモール;ラミブジン、スタブジン、ジドブジン、ジダノシン、サキナビル、アンプレナビル、リトナビル、インディナビル及びエファビレンツのような抗HIV薬;並びにオルフェナドリンシトレート(抗ムスカリン薬)を含む。明らかにこのリストは完全なものではない。
【0029】
活性物質は、熱、光、水分、酸素、化学混入物質又は他の環境的影響に対して敏感であるため、或いは一緒に貯蔵又は加工されなければならない他の物質との(例えば、同時投与されるなど、それが混合製剤化される他の活性物質との)不適合性のために、保護的被覆を必要とする物質であることができる。
【0030】
或る物質が他の物質によって被覆される、ある物質が他の物質のマトリックス内に分散される、又は2つ以上の活性物質の混合物など、活性物質自体は一緒に製剤される2つ以上の物質を含むことができる。
【0031】
賦形剤は、単一の物質又は2つ以上の物質の混合物であることもでき、そしてモノマー、オリゴマー又はポリマーであることができる(典型的には、オリゴマー又はポリマーのいずれか)。それは、(有機金属を含む)有機的又は無機的、親水性又は疎水性であることができる。それは典型的には、活性物質の表面に適用された場合、熱、光、水分、酸素、化学混入物質のような外部からの影響から活性物質を保護することができ、並びに/又は活性物質がともに加工又は貯蔵されることの必要な他の物質と活性物質の間の不適合性を減少させることができ、並びに/又は活性物質の放出の速さ若しくはタイミングを標的とし、又は変更することができ、並びに/又は活性物質の風味及び/若しくはにおいをマスクすることができる物質である。それは、無毒性で且つ薬剤として許容可能であることが好ましい。特に、それはエチルセルロースのような疎水性ポリマーであることができる。
【0032】
賦形剤は、特別には、味及び/又はにおいのマスキング剤であることができ、その場合、それは風味及びにおいのない物質又は少なくとも良い味及びにおいの物質であるべきであり、好ましくは、疎水性であり、薬物又は食糧のような消費可能な製品の消費者の口中での典型的な存在時間の間に唾液によって顕著に分解されない物質である。セルロース性ポリマーのような水不溶性ポリマーは、味のマスキング剤として特に好適である。
【0033】
本発明の混合製剤のための好適な賦形剤は、ポリマー物質、特に疎水性ポリマーであって、無毒性且つ薬剤として許容可能であることが好ましい。例は、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);ヒドロキシプロピルメチルフタレートのようなフタル酸基を取り込んでいるポリマー;ポリメチルアクリレート及びEudragit(商標)として入手可能なメタクリレートのようなアクリレート及びメタクリレート;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン及びそれらのコポリマーのようなポリオキシアルキレン;ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンのようなビニルポリマー;乳酸及びグリコール酸のようなヒドロキシ酸のホモ−及びコ−ポリマー;並びにそれらの混合物を含む。
【0034】
他の一般に使用される被覆材料は、シェラックのような天然ゴム、並びにレシチン、カルナバワックスのようなワックス、及び微晶質ワックスなどの多くの脂質性材料、並びにDPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)のようなリン脂質を含む。
【0035】
被覆物質は、使用される実施条件下で膜形成能を有することが好ましい。
【0036】
本発明の混合製剤中では、活性物質は非結晶性又は半結晶性形態であることが好ましく、これは一般的に、例えば薬物含有混合製剤が患者に投与された場合に改善された溶解とバイオアベイラビリティーへ導く。それは、(小さな接触角によって示されるように)容易に吸湿する結晶形態で存在することができる。しかしながら、理想的には、活性物質は、全体として、特に各粒子のコアにおいては非結晶性形態で存在する。賦形剤も、非結晶性又は半結晶性形態を有することが好ましく、より好ましくは非結晶性形態を有する。
【0037】
活性物質は、その結晶形態への復帰に関して、賦形剤との本発明による混合製剤化後、少なくとも1ヶ月間、好ましくは3ヶ月間、より好ましくは6又は9又は12ヶ月間、最も好ましくは18又は24又は36ヶ月間、安定であることが好ましい。言い換えれば、関連する貯蔵期間にわたって、混合製剤中の活性物質の結晶化度の変化がわずかであるか又はないこと(例えば、10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは2%未満)が好ましい。活性物質は、理想的には、混合製剤化の直後及び関連する貯蔵期間後の両方において、10%未満が結晶化している。理想的には、そのような安定性は、混合製剤が、錠剤、カプセル又は懸濁液などの剤型中に存在する場合にも示される。
【0038】
これらの目的のために、混合製剤は、周囲温度(例えば、18〜25℃、又は20〜23℃、例えば約22℃、又は許容された工業的標準温度である25℃)及び20%又は30%又は40%又は60%又はさらに75%以下の相対湿度(RH)下で貯蔵されることができる。慣用方法では、凍結/融解サイクルのような慣用の熱サイクル法のようなより長い貯蔵期間を擬態するために、より高い貯蔵温及び/又は湿度が使用されることができる。例えば、ある期間の40℃及び75%RHでの貯蔵が、約3倍の長さの25℃及び60%RHでの貯蔵を擬態するために一般的に使用され;本発明の混合製剤の安定性が、これらの2つの貯蔵条件のいずれかにおいて評価されることができる。
【0039】
結晶化度は、例えばX線回折(XRD)技術、好ましくはシンクロトロン照射源を使用するような高分解X線粉末回折法、を用いて評価されることができる。結晶化度は、例えば、溶液からゆっくりとした蒸発による結晶化によって製造された同じ化学物質の結晶に関して評価されることができる。X線回折ラインの広幅化は、結晶格子の不完全などの結晶化度の低下を示すことができる。ラインの広幅化は、例えば、1つ以上の回折ピークについてのピーク幅の増加(例えば、ピークの高さの半分の値でのスペクトルの幅、FWHM)によって顕在化されることができる。低下した結晶化度のレベルは、1つ以上のX線回折ピークのより低い2θ値への位置のシフトによっても顕在化されることができる。
【0040】
活性物質中の非結晶相及び結晶相のレベルもまた、ある温度及び湿度におけるその水分取り込み、及び/又はその熱量プロフィール、及び/又はその示差走査熱量測定(DSC)プロフィールなどの知られた方法で評価されることができる。
【0041】
本発明の混合製剤の体積平均粒子径(VMD)は、好ましくは10μm未満、より好ましくは、0.5〜8μmなどの8μm以下、より好ましくは5μm以下、最も好ましくは0.5又は1〜5μmである。混合製剤がナノ粒子を含むことができる場合、例えば、平均粒子サイズは1μm未満、又はさらに900nm又は800nm又は700nm未満であることができる。本発明の小さなサイズの微粒子の混合製剤は、慣用の味のマスクされた製品に比べて特に、それらのバイオアベイラビリティーの亢進にも寄与する。
【0042】
粒子サイズは、例えば、Sympatec GmbH, Germanyから入手可能な、(幾何学的投射当量(質量平均径、MMD)を提供する)Helos(商標)システムのようなレーザー回折センサーを用いて測定されることができる。体積平均径は、商業的に入手可能なソフトウエアパッケージを用いて得られることができる。
【0043】
上記の数字は1次粒子サイズに関するものであり;本発明の混合製剤中では、そのような1次粒子は、好ましくはただ緩く凝集又は集まって、25又は30又は40μm以下のより大きな体積平均径の測定値を与えることができる。振とうによるなどの穏やかな乱流が、1次粒子サイズの測定の前にいかなるそのような集まりも分解するために採用されることができる。
【0044】
「口当たり」の悪さ(すなわち、飲み込んだ後の口の中でのざらざらした感触)を避けるためには、粒子サイズ(すなわち、体積平均径)、特に存在するいかなる集まりの粒子サイズ、もいずれにせよ140μm未満であることが好ましく、より好ましくは100μm未満、さらにより好ましくは50又は40μm未満であることが好ましい。
【0045】
粒子は、例えば、(特にNektar(商標)SCF技術以外の)従来技術により作られた対応する製品に比べて取り扱い容易な形態、特に粒子間の接着性が低く、集合性が低く、滑らかな低エネルギー表面及び/又は表面電荷の低い粒子であることが好ましい。それらは典型的に、自由流動性の粉末、好ましくは集合しない又は緩くのみ集合した形態である。
【0046】
本発明の混合製剤中では、ポリマー濃度は好ましくは味のマスキング効果を提供するのに十分な、より好ましくは完全に又は実質的に完全に活性物質の風味をマスキングする濃度である。それは、好適には15%w/w以上、好ましくは20%w/w以上、より好ましくは30%w/w以上、さらにより好ましくは少なくとも40又はさらに50%w/wである。それは、95又は98%w/w以下、好適には90%w/w以下、より好適には80%w/w以下であることができる。70又は60又は50%w/w未満のポリマー濃度を使用することがしばしば便利である。好適な濃度は、したがって、30〜70%w/wであることができる。
【0047】
活性物質と賦形剤の間に明らかな物理的境界を有さない有効な賦形剤「被覆」の形成を確実にするために、そして特に、それが賦形剤の意図された機能である場合に、有効な味のマスキングを確実にするために、活性物質及び賦形剤の相対濃度は、例えば、PCT国際特許出願公開第02/38127号の第16〜18ページに記載のとおりに選択されることができる。この被覆は、理想的には、固体且つ連続的であり、すなわち孔又は間隙又又は他の不連続性のないものである。賦形剤レベルも、活性物質を少なくとも部分的に、好ましくは完全に非結晶性形態で沈殿させるように十分に高いことが好ましい。
【0048】
活性物質及び/又は賦形剤は、好ましくは、実質的に(例えば、95%w/w以上、好ましくは98%又は99%w/w又は99.5%w/w以上)純粋な形態である。一般的に、本発明の微粒子混合製剤は、好ましくは2.5%w/w以下、より好ましくは2又は1.5又は1%w/w以下の不純物を含み、それは、粒子中に形成されることが意図される、活性物質及び賦形剤以外の(固相又は液相の)物質を意味する。
【0049】
混合製剤は、好ましくは低レベル、理想的には適用可能なICH(International Conference on Harmonization)ガイドラインよりも低いレベルの残留溶媒を含む。例えば、それは、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは800又は700ppm未満のメタノール、そして5000ppm未満、より好ましくは3000又は2000又はさらに1000ppm未満のアセトンを含む。それは、好ましくは5000ppm未満、より好ましくは3000又は2000又はさらに1000未満のエタノール、及び720ppm、より好ましくは600又は500又はさらに300ppm未満のテトラヒドロフラン(THF)を含む。
【0050】
したがって、本発明の混合製剤は、好ましくは2000又は1000ppm未満、より好ましくは800又は700ppm未満、さらにより好ましくは500又は400ppm未満、最も好ましくは200ppm未満の、各残留溶媒又はより好ましくはすべての残留溶媒を含み、これは、粒子形成の時点で(例えば、活性物質及び/又は賦形剤を含む溶液中、及び/又は上記2つを共沈殿させるのに使用される貧溶媒中に)存在した溶媒を意味する。さらにより好ましくは、混合製剤は、検出可能な残留溶媒を含まないか、又は少なくとも粒子形成の時点で存在した各溶媒について定量限界未満のレベルしか含まない。低いレベルの残留溶媒は、非結晶相領域が再結晶化する傾向を少なくして、混合製剤中で活性物質を安定化させるのを助けることができると考えられている。
【0051】
そのような残留溶媒の低いレベルは、以下に記載するように、その方法の直接的な生成物を次の乾燥時間に供することなく、単独のステップのGAS又はより好ましくはNektar(商標)SCF粒子形成法を用いて生成物を形成することによって、単純に達成されることができる。この文脈中で「乾燥」は、一般に、通常は周囲温度より高温(例えば、22又は25℃超)でそして典型的には30又は35又はさらに40℃以上の温度のオーブン中で、例えば1時間以上、典型的には、6又は12又は24、又はある場合には36又は48時間以上を意味し、そのような乾燥ステップは、しばしば、微粒子活性物質が、より便利な非−GASの、有機溶媒からの沈殿又は結晶化そしてその後のろ過を含む方法、によって形成される場合に必要である。
【0052】
本発明の生成物は、オーブン乾燥なしに製造可能であり、一般により小さいそして均一な粒子サイズが可能である。高温での乾燥中、粒子は融解しそして合体する傾向であることができ、例えば、加熱が完全に均一ではなく、局所的な「ホット・スポット」が生成物内に生じる。これは、より粗くそしてしばしば自由流動性の低い粒子を生じることができる。さらに、乾燥中の粒子本体からの溶媒の蒸発は、粒子中、特にその表面又はその表面近傍におけるキャビティへ導くことができ;そして、(より滑らかでなく、典型的には高エネルギーの表面である)表面の形態が、粒子間の接着のリスクを高め、そして流動性、流体中での分散性及び他の取り扱いにおける特徴を危うくする可能性がある。高温での乾燥はまた、粒子生成物中に含まれるいかなる温度感受性の活性物質の統合性も弱めることができ、並びに(さらなる加工ステップとして、)生成物への混入の可能性、そして収率の損失を増加させることができる。
【0053】
対照的に、本発明による粒子生成物は、滑らかで比較的低エネルギーの表面を有し、典型的には従来技術により作られた対応する生成物よりもより接着性が低い傾向がある。それらはまた、固体の形態−例えば、(穿孔処理された、又はキャビティを含む)凹んだ、多孔質の、又は少なくとも部分的に流体を含む−粒子である傾向がある。
【0054】
活性物質が2つ以上の異なる多形性の形態で存在する場合、他の多形性の形態に比べて、唯一つの形態を99.5%w/w以上の純度、好ましくは99.8%w/w以上の純度で含むことが好ましい。多形体の純度は、例えば、融点データ(例えば、示差走査熱量測定)を用いて、又はより好ましくは、多形体の回折ピークの特徴に基づくX線粉末回折(例えば、X線小角散乱(SAXS)技術)を用いて加熱中の多形体の遷移を検出し、評価されることができる。
【0055】
本発明の混合製剤は、本質的に活性物質及び賦形剤から成ることが好ましく、すなわち、界面活性剤、乳化剤及び安定化剤などの追加の成分を含まないか、又は(例えば、5%w/w未満、好ましくは2%w/w未満、又は1%w/w未満の)ごく少量含むことが好ましい。シリカ、特にコロイド状シリカなどの充填剤を含まないことが好ましい。
【0056】
いくつかの場合には、本発明の混合製剤は、エチルセルロース(特にEC−N7)と混合製剤化された硫酸キニン、及び/又はエチルセルロース(特にEC−N7)と混合製剤化されたアスパルテーム(L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル)、及び/又はエチルセルロース(特にEC−N7)と混合製剤化された塩化ナトリウムのみから成るものでないことが好適である。
【0057】
いくつかの場合には、本発明の混合製剤が、エチルセルロース(EC)(特に、10cps又は7cps)と混合製剤化されたL-アスコルビン酸、そして/或いはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(特に3cps)と混合製剤化されたL-アスコルビン酸、そして/或いはHPMC(3cps)、EC(7cps)と混合製剤化されたカルバマゼピンそして/或いはHPMC(3cps)、EC(7cps)又はポリビニルピロリドン(PVP)(特に10,000の平均分子量)と混合製剤化されたインドメタシン、そして/或いはHPMC(3cps)又はEC(7cps)と混合製剤化されたケトプロフェン、そして/或いはHPMC(特に、3cps若しくは6cps若しくは15cps)又はEC(7cps若しくは10cps)と混合製剤化されたパラセタモール、そして/或いはHPMC(3cps)又はEC(7cps)と混合製剤化されたテオフィリン、そして/或いはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はPoloxamer(商標)若しくはPluronic(商標)(特に、Poloxamer(商標)237若しくはPluronic(商標)F87)のようなポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマーと混合製剤化されたジアリールヘテロサイクリックCOX-2選択的阻害剤などのCOX-2選択的阻害剤のみからなるものでないことは、本発明の混合製剤にとって好適であるかもしれない。
【0058】
(a)Kollidone(商標)ポリマー混合物又は他のポリビニルアセテート及びポリビニルピロリドンの混合物の形態などのポリビニルアセテート並びに(b)Eudragit(商標)ポリマーなどのジメチルアミノエチルメタクリレート及び中性のメタクリル酸エステルの味のマスキング剤混合物、特に、トリエタノラミン及び/又はタルク、及び/又はエチルセルロースのようなアルカリ調節剤も含むような味のマスキング剤混合物、を含む被覆を含まないことは、本発明の混合製剤にとって好適であるかもしれない。そのような賦形剤混合物は、米国特許第US6,551,617号、特にその書類の実施例1〜3、に記載されている。
【0059】
本発明の混合製剤にとっては、(例えば、米国特許出願第US-2003/0170310号に記載された)フェキソフェナジン−カルボマー複合体を含まないこと、又は賦形剤の場合にはカルボマーを含まないことが好適であるかもしれない。
【0060】
本発明の混合製剤は、活性物質及び賦形剤を含む溶液から溶媒を除去すること、例えば、蒸発又はスプレー乾燥又は凍結乾燥、より好ましくは共通の溶媒又は混合溶媒から貧溶媒を使用して2つの物質を共沈殿させることにより、作られることができる。最も好適には、上記物質は、加圧された(典型的には超臨界又は近臨界の)流体貧溶媒を用いてGAS(Gas Anti-Solvent)沈殿法(Gallagher et al, ACS Symp. Ser., 406, p334(1989)を参照のこと)として知られる方法又は例えばヨーロッパ特許第EP-0322687号、PCT国際特許出願公開第WO-90/03782号及び同第WO-97/31691号に開示されるようなその変法、又は「ASES」、「PCA」及び「SAS」で表される方法によって共沈殿される。
【0061】
最も好ましくは、上記混合製剤は、以前は「SEDS(商標)」(Solution Enhanced Dispersion by Supercritical fluids)法として知られたNektar(商標)SCF粒子形成法を用いて、活性物質及び賦形剤を共通の溶媒又は溶媒混合物から共沈殿させることによって作られる。
【0062】
Nektar(商標)SCF法は、1つ以上の「標的」物質を形成するための方法である。それは、GAS法であり、したがって、液体ビヒクル中の標的物質の溶液又は懸濁液(「標的溶液/懸濁液)を(一般には、超臨界又は近臨界の流体である)加圧された流体の貧溶媒と、貧溶媒による標的溶液/懸濁液からのビヒクルの抽出を可能とし標的物質の粒子をそこから沈殿させる条件下で、接触させることを含む。その条件は、貧溶媒と抽出されたビヒクル間に形成された流体混合物がまだ加圧された(一般には、超臨界又は近臨界の)状態であるような条件である。貧溶媒流体は、標的物質に関して非溶媒であり、そして液体ビヒクルと混和可能なものであるべきである。
【0063】
Nektar(商標)SCF法の実施は、特に、標的溶液/懸濁液からビヒクルを抽出し、そして分散させることに同時に貧溶媒流体を使用することを含む。言い換えれば、貧溶媒の機械的(運動)エネルギーが標的溶液/懸濁液を分散させる作用を及ぼすと同時にビヒクルを抽出することができるような方法で流体どうしが接触させられる。この文脈における「分散」は、一般に、1つの流体から他の流体への運動エネルギーの移動をさし、通常は、そこへ運動エネルギーが移動させられる流体の小滴又は他の類似の流体成分が形成されることを意味する。
【0064】
好適なNektar(商標)SCF法は、PCT国際特許出願公開第WO95/01221号、同第WO96/00610号、同第WO98/36825号、同第WO99/44733号、同第WO99/59710号、同第WO01/03821号、同第WO01/15664号、同第WO02/38127号及び同第WO03/008082号に記載されている。他の好適な「SEDS(商標)」法は、PCT国際特許出願公開第WO99/52507号、同第WO99/52550号、同第WO00/30612号、同第WO00/30613号、同第WO00/67892号、及び同第WO02/058674号に記載されている。これらのすべての文献は、本出願とともに読まれることを意図される。
【0065】
本発明の混合製剤を調製するためにNektar(商標)SCF法を使用する場合、標的溶液/懸濁液は、活性物質及び賦形剤を共通の(それ自体が、あらかじめ混合された或いはin situで貧溶媒との接触時又はその直前に混合された2つ以上の液体を含むことができる)液体ビヒクル中に含む。Nektar(商標)SCF法は、その内容全体が本明細書中に参考文献として援用されているPCT国際特許出願公開第WO02/38127号中に記載された種類のものが最も好ましく、ここで、活性物質と賦形剤は共通の溶媒系から共沈殿させられる。
【0066】
標的溶液/懸濁液及び貧溶媒は、PCT国際特許出願公開第WO95/01221号及び/又は同第WO96/00610号に記載された方法でお互いに接触させられることが好ましく、該方法中では、標的溶液/懸濁液及び貧溶媒が出会った地点において、貧溶媒の流れの機械的エネルギー(典型的にはせん断作用)が流体をよく混合しそして分散するのを容易にさせる流体入り口を用いる、粒子形成容器中へ標的溶液/懸濁液及び貧溶媒が導入される。標的溶液/懸濁液及び貧溶媒は、好ましくは出会って、そして例えば多通路の同軸ノズルの分かれた通路を通って、実質的に同時に粒子形成容器中に入る。
【0067】
或いは、Nektar(商標)SCF法は、その内容全体が参考文献として本明細書中に援用されている、PCT国際特許出願公開第WO03/008082号及び/又は我々の同時係属の英国特許出願第0300338.1号及び/又は同第0300339.9号に記載のタイプであることができる。そのような方法において、標的溶液/懸濁液及び貧溶媒は、分かれた、しかし近い位置において容器に入り、そして粒子形成容器に入るときの貧溶媒の速度は理想的には近音速、音速又は超音速である。
【0068】
Nektar(商標)SCF法は、上記の文献に記載されたものの組み合わせであることができる。該方法の好ましい特徴は、本発明の第2の側面に関して以下に記載されるものであることができる。活性物質及び賦形剤は両方とも、加圧された(例えば、超臨界又は近臨界の)二酸化炭素に不溶性又はわずかにのみ溶解性であることが好ましく;そのような物質は、貧溶媒として二酸化炭素を用いるNektar(商標)SCF法に特別に役立つものである。
【0069】
或いは、RESSとして知られる方法(Rapid Expansion of Supercritical Solution 、Tom & Debenedetti, J. Aerosol. Sci., 22(5), 555-584(1991)を参照のこと)におけるように、活性物質及び賦形剤は、加圧された(典型的には超臨界又は近臨界の)流体溶媒から共沈殿されることができる。
【0070】
この文脈において、加圧された状態の貧溶媒流体への言及は、関連する操作温度において、その蒸気圧超であること、好ましくは大気圧超であること、さらに好ましくは70〜250バールであることを意味する。貧溶媒流体は、好ましくは、大気圧、周囲温度において気体である流体である。言い換えれば、周囲温度(例えば、18〜25℃、例えば、22℃)において、1バール超の蒸気圧を有さなければならない。
【0071】
より好ましくは、「加圧された」とは、問題の流体の臨界圧Pcか、それに近いこと、より好ましくはそれを超えることを意味する。貧溶媒は、そうでなければ液体二酸化炭素などの加圧された液体であることができるにもかかわらず、臨界又は近臨界流体であることが好ましい。実際は、おそらく、超臨界又は近臨界流体貧溶媒に関しては、圧力は(1.01〜9.0)Pc、好ましくは(1.01〜7.0)Pcの範囲内又は、液体二酸化炭素のような加圧された液体貧溶媒に関しては、例えば、(0.7〜3.0)Pc、好ましくは(0.7〜1.7)Pcである。
【0072】
本明細書中で使用されるとおり、「超臨界流体」は、同時に臨界圧(Pc)以上そして臨界温度(Tc)以上の流体を意味する。実際に、流体の圧力は、おそらく、(1.01〜9.0)Pc、好ましくは(1.01〜7.0)Pcの範囲内であり、その温度は(ケルビンで測定した)(1.01〜4.0)Tcの範囲内である。しかしながら、(200倍以下のような)それらの臨界値をかなり超える操作条件下で使用される必要があるかもしれない。
【0073】
本明細書において使用される、「近臨界流体」という用語は、(a)そのTcを超えるが、わずかにPcより低い、(b)そのPcより高いが、わずかにそのTcより低い、又は(c)そのTc及びそのPcのいずれよりもわずかに低い、いずれかである流体をさすため使用される。「近臨界流体」という用語は、したがって、その臨界圧以上であるがその臨界温度未満(しかし、それに近いことが好ましい)の高圧の流体、及びその臨界温度以上であるが、その臨界圧未満(しかし、それに近いことが好ましい)の流体である、高密度の蒸気の両方を包含する。
【0074】
例えば、高圧の液体は、そのPcの約1.01倍と9倍の間の圧力、及びそのTcの約0.5倍〜0.99倍の温度を有することができる。高密度蒸気は、それ相当に、そのPcの約0.5倍〜0.99倍の圧力、及び、そのTcの約1.01倍〜4倍の温度を有する。
【0075】
「加圧された流体」、「超臨界流体」及び「近臨界流体」という用語はそれぞれ、混合物全体が加圧された超臨界又は近臨界状態にある限りにおける、それぞれのタイプの流体の混合物を包含する。
【0076】
本発明の第2の側面は、上記のとおり、活性物質の周囲の賦形剤の(特別には、味のマスキングのための)保護層を達成するように、賦形剤で活性物質を被覆する、並びにヒト又は動物対象への混合製剤の経口投与による活性物質のバイオアベイラビリティー及び/又は放出速度を増加させるという、二重の目的のために、活性物質と賦形剤の微粒子混合製剤を製造するための、Nektar(商標)SCF法の使用を提供する。本発明は、特に、本発明の第1の側面による混合製剤を製造するためのNektar (商標)SCF法を提供する。
【0077】
上記方法は、貧溶媒として、好ましくは超臨界、近臨界の液体、より好ましくは超臨界の液体、CO2を使用して実施される。温度、圧力及び液体の流速などの操作条件の選択及び必要な場合には、溶媒及び貧溶媒調節剤の選択は、活性物質及び賦形剤の性質、例えば、それらの流体中での溶解度及び、そのどちらかが異なるポリマー形態で存在可能であればどちらの形態で沈殿するかに依存する。一般に、条件は粒子サイズを最小にするように選ばれ、これは通常、貧溶媒のより高い相対的流速(例えば、(2つの液体がお互いに接触する直前又はその時の)標的溶液/懸濁液:貧溶媒の流速比が0.03以下、好ましくは0.02以下、又はさらに0.01以下)、及び/又はより高い操作温度(例えば、50〜100℃、好ましくは70〜90℃)、及び/又はより高い操作圧力(例えば、80〜210バール、好ましくは90〜200バール)を選択することを意味する。
【0078】
Nektar(商標)SCF法の条件は、好ましくは残留溶媒レベルを減少させ、及び/又は一般に(適切な多形性の純度を含む)生成物の純度を高めるように選択されることも好ましい。それら(活性物質及び賦形剤と同様に)は、粒子生成物中の活性物質と賦形剤の間の明らかな物理的境界なしに有効な賦形剤「被覆」を形成することを確実にするために、活性物質と賦形剤の間の沈降速度の差を大きくするようにPCT国際特許出願公開第WO-02/38127号の第20頁〜28頁に記載のように選択されることができる。上記方法は、貧溶媒との接触によって賦形剤が活性物質よりも遅く沈殿し、したがって、粒子表面に向かってより高濃度を有するように、個別にあつらえられることが好ましい。これは例えば、活性物質よりも賦形剤により適合性である溶媒を使用することにより、及び/又はお互いのより低い適合性を有する活性物質及び賦形剤を使用することによって(一方は極性が高く、他方は極性が低い、など)行われることができる。
【0079】
本発明の第2の側面の生成物は、第1の側面による混合製剤であることが好ましい。好ましい実施態様において、そのような生成物はヒト又は動物患者に投与(好ましくは経口投与)されたとき、例えばGAS共沈殿法以外の方法、特にNektar(商標)SCF法以外の方法によって製造される製剤からの活性物質と同量を投与するのに比べて、活性物質の全体のバイオアベイラビリティーを改善する。バイオアベイラビリティーは、経時的な活性物質の患者血流への放出プロフィールに関して標準的な方法によって評価されることができる。それは例えば、投与後に達成された活性物質の最大血漿濃度(Cmax)、又は適切なエンドポイント又は無限大までのゼロ時間からの血漿濃度曲線の下の面積の積分値のいずれかとして測定されることができる。
【0080】
Cmax値は例えば、本発明の混合製剤について、(同量の)同じ活性物質及び賦形剤の混合製剤であるがNektar(商標)SCF法以外の方法で作られたものよりも5%以上、好ましくは7又は8又は9%以上高い。AUC値は、4%以上、好ましくは5又は10%以上、より好ましくは15又は18%高いことができる。これらの改良は、同量の同じ活性物質であるが、しかしいかなる被覆賦形剤も含まず、そして好ましくはNektar(商標)SCF法以外の方法(例えば、微粒子化、すなわち機械的なサイズの減少を含む方法)により製造される同じ活性物質に比較しても観察されることができる。
【0081】
Tmax値は、本発明の混合製剤について、(同量の)同じ活性物質及び賦形剤の混合製剤であるがNektar(商標)SCF法以外の方法で作られたものよりも10%以上、好ましくは12又は15%以上低いことができる。ここでも、この改良は、同量の同じ活性物質であるが、しかしいかなる被覆賦形剤も含まず、そして好ましくはNektar(商標)SCF法以外の方法(例えば、微粒子化、すなわち機械的なサイズの減少を含む方法)により製造される同じ活性物質に比較しても観察されることができる。
【0082】
本発明の第3の側面によれば、第1の側面による微粒子混合製剤を含む、組成物、好ましくは医薬又は栄養補助食品組成物が提供される。
【0083】
組成物はいかなる好適な形態をとることもでき;例えば、散剤、顆粒又は錠剤のような固体組成物、或いは溶液または懸濁液のような液体形態(ペースト及びゲルのようなより粘ちょうな形態も含む)であることができる。それはさらに、活性物質及び/又は賦形剤を含むことができ、そのうちのいくつかは、本発明の混合製剤の一部として主要な活性物質及び賦形剤とともに共沈殿されていることができる。組成物は、医薬剤型において典型的に使用される、フレーバー剤及び甘味料、着色料、充填剤、錠剤滑沢剤及び崩壊剤などの他の添加剤を含むことができ;ここでも、これらは主要な活性物質及び賦形剤とともに共沈殿されていることができる。
【0084】
さらに、賦形剤は組成物中に存在する他の物質との不適合性に対して活性物質を遮蔽することを助けることができる。この一例では、共通の剤型から同時投与されることが必要な2つの不適合性の活性物質がある時、2つのうちの1つの周りの好適な賦形剤被覆が、投与の前にそれをもう一方から分離することができる。
【0085】
例えば、ジクロフェナックなどの一定の非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)は、胃潰瘍を引き起こすことができ、そしてしばしば、これらの副作用を軽減するためにミソプロストールなどのプロスタグランジンとともに投与される。しかしながら、プロスタグランジンは、NSAIDの存在下では不安定であり、したがって、2つの薬物が同時投与される場合、それは(米国特許第US-5,015,481号のように)薬物混合物を安定化させるためのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むこと、又は上記薬物を2つの薬物層を分離する賦形剤の層を有する多成分の錠剤として製剤することが知られている。
【0086】
本発明は、そのような2つの不適合性薬物を同時製剤するためのより率直な方法を提供する。第1の薬物−例えば、NSAID−は、エチルセルロースなどの好適な賦形剤の被覆とともに1つのステップで製剤されることができ、そして次に被覆された粒子は第2の薬物−例えば、プロスタグランジン−と単に混合されて、単層錠剤のような剤型を特別に作り出すことができる。賦形剤被覆は、必要に応じて第1の薬物の味をマスクするようにも作用するであろう。
【0087】
したがって、本発明の微粒子混合製剤は、特別には賦形剤で被覆された(ジクロフェナック、ピロキシカム、チアプロフェン酸、フルビプロフェン、テノキシカム、メロキシカムまたはそれらのいずれかの混合物などの)NSAIDを含むことができ、そして本発明の第3の側面による医薬組成物はミソプロストールなどのプロスタグランジンとともに(好ましくは、物理的に混合された)そのような被覆NSAID粒子を含むことができる。プロスタグランジンは場合により、賦形剤などの他の物質と混合されるか又は混合製剤されることができる。そのような組成物は、経口投与用の錠剤、好ましくは単層錠剤などの好適な剤型に製剤されることができる。
【0088】
本発明の第4の側面は、製品、好ましくは第1の側面による混合製剤及び/または第3の側面による組成物を含む医薬製品を提供する。活性物質が医薬である場合、製品は好ましくは(咀嚼錠又は溶解錠を含む)錠剤、散剤含有カプセル又は懸濁液のような経口送達に好適な剤型を含む。しかしながら、局所適用のためのゲル及びペースト、注射に好適な溶液及び懸濁液、坐剤などの他の剤型も可能である。そのような剤型は、参考文献としてその全体が本明細書中に援用されている、米国特許第5,178,878号、同第5,223,264号、同第5,401,513号、同第5,464,632号、同第5,503,846号、同第5,607,697号、同第5,639,475号、同第5,709,886号、同第5,776,491号、同第5,807,576号、同第5,807,578号、同第5,871,781号、同第5,587,172号、同第6,024,981号、同第6,156,339号、同第6,316,029号及びPCT国際特許出願公開第WO98/14179号、同第WO98/46215号及び同第00/30617号中で開示されたように、本分野で知られている。
【0089】
本発明の組成物又は製品が、(糖などの)甘味料及び/又は他のフレーバーを含まない場合、微粒子混合製剤中に含まれる賦形剤は、存在する活性物質の味をマスクするのにそれ自体で充分である。
【実施例】
【0090】
実施例1
そのナトリウム塩の形態の非ステロイド系抗炎症剤ジクロフェナックを味のマスキング用ポリマーであるエチルセルロース(EC)(4cps)とともに共沈殿させて味のマスクされた製剤を得た。使用した方法は、PCT国際特許出願公開第WO-02/38127号の実施例Aにおいて使用したタイプのNektar(商標)SCF粒子共沈殿法であり、物理的に明らかな「コア」層及び「被覆」層を有さない分子レベルの密な2つの成分の混合物を含むにもかかわらず、ECの表面層によって有効に味がマスクされた。
【0091】
使用した粒子形成容器は、10リッターの容量であった。2つの通路を持つ同軸性のノズルは出口直径が0.9mmであった。超臨界の二酸化炭素‐貧溶媒‐を流速50kg/時間で内部ノズル通路を介して導入し、そして薬物とポリマーのメタノール溶液(6%w/v、薬物:ポリマー重量比1:1)を流速0.8kg/時間で外側通路を介して導入した。
【0092】
粒子形成容器中の圧力は、200バール及び温度は40℃であった。
【0093】
図1及び図2に見られる生成物は、凝集して全体の体積平均径が27.5μmとなるミクロン未満のサイズの一次粒子からなる非結晶性のかたまりである。
【0094】
SEMは、以下の実施例5に示すようにジクロフェナックの有効な味のマスキングを達成するのに充分に高いポリマー濃度が粒子表面において現れたにもかかわらず、薬物とポリマーが緊密な分子レベルの固体分散物として存在したことを示した。
【0095】
以下の実施例4は、この形態で投与したときの、薬物の薬物動態的挙動及びバイオアベイラビリティーの促進を実証する。
【0096】
実施例2
薬物及びポリマーをテトラヒドロフランから共沈殿させ、PCT国際特許出願公開第WO-03/008082号の実施例A記載のタイプの流体入り口配置を用いた以外は実施例1を繰り返した(すなわち、貧溶媒及び溶液の別々の入り口、そして貧溶媒を音波に近い、音波の、又は超音波速度で導入する)。
【0097】
粒子形成容器は2リッターの容積を有した。ノズルは直径0.2mmの出口及び溶液ラインは直径0.125mmの出口を有し、これら2つの出口の間の垂直間隙は4mmであった。操作温度および圧力(すなわち、粒子形成容器内部)は、36℃及び80バールであった。ノズルの上流で二酸化炭素をあらかじめ85℃まで温め、200ml/分で導入した。薬物/ポリマー溶液は、9%w/v(薬物:ポリマーの重量比1:2)の濃度を有し、そして8ml/分で導入した。
【0098】
実施例1と類似した生成物が得られ、すなわち、ECの味のマスキング層を少なくともその表面に有し、そして有利なバイオアベイラビリティー及び薬物動態を有する非結晶性ジクロフェナックを含む微粒子が得られた。溶媒としてTHFを使用すると、低い残留溶媒レベル(400ppm以下)を生じ、これはおそらく、メタノールとジクロフェナックとの間に比べて弱いTHFとジクロフェナックとの間の相互作用による。回収率も高かった。
【0099】
実施例3
2リッターの容器及び出口直径0.4mmのノズルを使用して、薬物及びポリマーを90:10v/vのアセトンとメタノールの混合物から共沈殿させた以外は実施例1を繰り返した。操作温度および圧力は、40℃及び200バールであった。二酸化炭素を200ml/分で、薬物/ポリマー溶液(5%w/v、薬物:ポリマーの重量比1:1)4ml/分で導入した。生成物のサンプルを図3及び4に示し;ここでも、それは凝集した全体の体積平均径が約27μmとなる非結晶性のミクロン未満の粒子からなる。
【0100】
ジクロフェナック/ECのための他の溶媒系候補は、例えば、80:20v/v、又はより好ましくは90:10v/vのジクロロメタンとメタノールの混合物である。
【0101】
実施例4
この実施例は、実施例1で製造したジクロフェナック/EC混合製剤のインビボでのバイオアベイラビリティー及び薬物動態的挙動を評価した。
【0102】
上記混合製剤を、それぞれが50mgのジクロフェナックナトリウム、177mgのEC、263mgのマンニトール、及び10mgのステアリン酸マグネシウムを含む、実施例1における調製物の咀嚼錠に作った。そして、標準的な手順にしたがって、混合製剤の薬物動態を臨床試験において評価した。
【0103】
3つの対照製剤も使用した。第1のC1は、ジクロフェナックナトリウム及び水溶性のポリマーであるポリビニルピロリドン(PVP)の固体分散であり、特別にはPVPが別の方法で不溶性の薬物を可溶化することを助ける急速な放出系として設計した。溶媒としてのメタノール、10リッターの粒子形成容器、直径0.9mmの出口を有する2つの通路を有する同軸ノズル、40℃及び200バールの操作温度及び圧力、50kg/時間の流速の二酸化炭素、並びに0.9kg/時間の流速の溶液を用い、ジクロフェナック及びPVPを実施例1のNektar(商標)SCF法に類似の方法で共沈殿させた。メタノール溶液濃度は10%w/vで、3:1の重量比の薬物及びポリマーを含んだ。生成物を、それぞれが25mgのジクロフェナックナトリウム及び16.6mgのPVPを含むカプセルに製剤した。
【0104】
第2の対照であるC2は、50mgのジクロフェナックナトリウム、440mgのマンニトール及び10mgのステアリン酸マグネシウムを含む、味をマスクしない錠剤であった。第3のC3は、「ボルタロール(Voltarol)(商標)」として商業的に入手可能で、50mgのジクロフェナックカリウム、リン酸カルシウム、スターチ、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルスターチ、ステアリン酸マグネシウム及び被覆成分を含む、「速放性」ジクロフェナック錠剤であった。
【0105】
試験は、1施設、単一用量、無作為化、オープンラベル、4通りの交差試験(four-way crossover studies)として構築した。14人のヒト対象を登録し(最低12人で完成)、そしてそれぞれを無作為に4つの治療順序のうちの一つに割り当てた。それぞれに1つの錠剤(本発明による錠剤又は対照の錠剤)を投与し、一夜の後、関連する治療順序にしたがって3つの他の錠剤を続いて投与した。連続する用量は、3日間の洗い流し期間によって分離した。
【0106】
各対象及び各投薬について、投与後の8時間以内に15個の血液サンプルを集め、対象一人あたり60個のサンプルを得た。投薬の12時間前及びサンプリング期間の間、対象をクリニックに拘束した。
【0107】
表1は、4つの製剤についての経口投与後の時間の経過にともなう血漿濃度プロフィールを要約したものである。Cmaxは、投与後に達した最高血漿濃度であり、Tmaxはそれに達するまでの時間(投与の時間をT=0とする)である。AUCは、T=0から無限大まで積分した血漿濃度曲線の下の面積である。各場合において、示した値は、各対象についての平均値であり;言い換えれば、血漿濃度プロフィールを構築し、そして表1の平均値を計算する前に、Cmax、Tmax及びAUCの値を14人の対照のそれぞれについて計算した。
【0108】
【表1】

【0109】
本発明の混合製剤がジクロフェナックをPVP-可溶化速放系と同様に急速に放出し、特別に製剤された市販の製剤である「速放性」のC3よりもより速く放出することを観察することができる。
【0110】
AUCの値が示すように、本発明の混合製剤の全体のバイオアベイラビリティーも、対照C2及びC3よりも良好であり、そして得られた最大血漿濃度は商業的に入手可能な味のマスクされた製品(C3)よりも高いことを観察することができる。
【0111】
本発明の混合製剤は、商業的に入手可能な対照製剤よりも25%低い〜25%高い生物学的同等性の基準を満たし;すなわち、少なくとも対照からの場合と同じ速度及び同じ程度までジクロフェナックがそこから吸収される。
【0112】
実施例5
この実施例は、実施例1の混合製剤の味のマスキング効果を確認した。
【0113】
それぞれが本発明により(実施例4のように)味のマスクされた咀嚼錠及び実施例4において対照C2と呼んだ味のマスクされない錠剤の両方を摂取した8人のボランティア回答者。4人は味のマスクされた錠剤を最初に摂取し、4人は対照の錠剤を最初に摂取した。投薬の間隔は4時間であった。回答者は、錠剤の味をスケール0(悪い)〜6(良い)に見積もった。
【0114】
結果を図5に示し、これは、本発明の味のマスクされた混合製剤(「EC」)の味のマスクされない対照(「NTM」)に対する明らかな全体としての好ましさを示し、前者においては、薬物の味の悪さがエチルセルロース「被覆」によって効果的にマスクされていたことを実証した。
【0115】
実施例6
この実施例は、非結晶相の薬物の結晶形態への復帰に関して、実施例1の混合製剤の安定性を評価した。
【0116】
実施例1の生成物のサンプルを、製剤した散剤としての形態及び実施例4に記載のとおりに調製した錠剤の形態で、40℃の温度及び75%の相対湿度(RH)で保存した。これらの条件は、例えば25℃及び60%RHなどのより穏やかな条件における(およそ3倍の長さの)より長期の保存を擬態する。バルクの散剤サンプルを蓋をしたHDPE容器中に保存し、錠剤サンプルはねじ式の蓋を有するガラス瓶に保存した。
【0117】
少量のサンプルを間隔をおいて取り出し、そしてそれらの結晶性をX線回折(XRD)によって評価した。それらの不純物レベル及びそれらのLoD(「乾燥減量」、保存による水分含量の増加の指標)も測定した。不純物をHPLCによって評価した。LoDは熱重量分析によって測定した。
【0118】
図6は、3ヶ月の保存後に取り出した散剤サンプルについてのXRDプロフィールであり、それがまだ100%非結晶性であったことを示す。XRD分析では、これらの条件下での6ヶ月の保存後でさえ結晶性が検出できなかった。サンプルはまた、それらの最初のLoD及び不純物レベルにおける比較的小さな変化も示した。
【0119】
表2は、上記試験の結果を要約したものである。
【0120】
【表2】

【0121】
ジクロフェナック原料が結晶性である一方、本発明により製造され、22%、25%、25%及び50%w/wの薬物を含む、ジクロフェナックナトリウム及びエチルセルロースのさらなる混合製剤もすべて、100%非結晶性の形態であることがわかった。
【0122】
実施例7
この実施例においては、その塩酸塩の形態の抗ヒスタミン薬、フェキソフェナジンを味のマスキング用ポリマー、エチルセルロース(EC)(4cps)とともに共沈殿させて味のマスクされた実施例1において製造されたタイプの製剤を得た。使用した方法はここでも、実施例2に関して記載したタイプのNektar(商標)SCF粒子沈殿法(すなわち、分離した貧溶媒と溶液の入り口、音波に近い、音波の、又は超音波の速度で導入される貧溶媒
)であった。
【0123】
使用した粒子形成容器は、2リッターの容量であった。貧溶媒ノズルは、直径0.2mmの出口及び直径0.5mmの溶液ラインを有し、2つの出口の間の垂直の間隙は4mmであった。操作温度及び圧力(すなわち、粒子形成容器中)は、35℃及び80バールであった。ノズルの上流で二酸化炭素をあらかじめ85℃まで温め、12kg/時間の流速で導入した。
【0124】
実施例7Aにおいて、薬物とポリマーをエタノール/アセトン混合物(1:9v/v)中に50mg/mlの濃度で溶解した。溶液の流速は10ml/分であった。実施例7Bにおいて、それらを同じ溶媒に25mg/mlで溶解し、4ml/分の溶液の流速で導入した。
【0125】
実施例7C及び7Dにおいて、それらを1:9(v/v)のメタノール/アセトン混合物に100mg/mlの濃度で溶解した。溶液の流速はそれぞれ、10及び12ml/分であった。
【0126】
標的溶液中での薬物:ポリマーの重量比は、該重量比が70:30であった実施例7B以外はすべての実験において50:50であった。
【0127】
すべての生成物は一次粒子サイズが10μm未満の非結晶性であることがわかった。表3は、生成物の分析結果を要約する。XRDは、X線回折、DSCは示差走査熱量測定をさす。粒子サイズは、Sympatec(商標)により決定した体積平均径であった。
【0128】
【表3】

【0129】
実施例8
実施例7Dの生成物を短時間の水中での溶解試験にかける。120mgの混合製剤(60mgのフェキソフェナジンに相当)を100mlの脱イオン水に加え、周囲温度及び圧力下で50rpm以下の一定速度で攪拌した。混合製剤の水への添加後の3分間、2mlのサンプルを溶解フィルターを通して15秒毎に取り出した。各サンプルからの1mlを10mlの脱イオン水で希釈し、UV吸収(λ=260nm)によってフェキソフェナジン含量について分析した。
【0130】
図7は、実施例7Dの生成物のみでなく、対照としてのフェキソフェナジン原料についても、時間の経過とともに放出された利用可能な総薬物のパーセンテージに関する結果を示す。グラフは、本発明の混合製剤中では、ポリマーが最初の60〜90秒間、薬物の放出を阻害し、これが味のマスキング効果を示唆するが、150秒後にはかなり急速な薬物放出が開始することを示す。
【0131】
実施例9
フェキソフェナジン塩酸塩及びエチルセルロース(4cps)のさらなる混合製剤が、実施例7と同じ方法を用いて製造された。
【0132】
薬物及びポリマーを、100mg/mlの濃度及び50:50の薬物:ポリマー重量比でメタノール/アセトン混合物(1:9v/v)に含ませた。
【0133】
実施例9A及び9Bについては、粒子形成容器は2リッターの容量を有し、貧溶媒ノズルの出口直径は0.2mm及び溶液ラインの出口直径は0.125mmであった。本発明の方法の規模の拡大に成功し、0.5〜1kgの薬物のバッチを製造することを証明した実施例9C及び9Dについては、10リッターの容器を使用し、直径0.4mmのノズル出口及び直径0.25mmの溶液ラインの出口を有した。どちらの場合にも、2つの出口の間の垂直な間隙は4mmであった。
【0134】
実施例9A及び9Bは35℃及び80バールの操作温度及び圧力(すなわち、粒子形成容器中)を使用した。ノズルの上流で二酸化炭素をあらかじめ85℃まで温め、12.5kg/時間の流速で導入し、薬物溶液は4ml/分の流速で導入した。
【0135】
実施例9C及び9Dについては、操作温度及び圧力はそれぞれ40℃及び85バールであり、二酸化炭素の流速は50kg/時間であり、溶液の流速は0.8kg/時間であった。
【0136】
ここでも、すべての生成物は非結晶性であることがわかった。表4は、生成物の分析結果を要約する。粒子サイズは、Sympatec(商標)によって決定した体積平均径であった。Tgはガラス転移温度をさす。最後の列は、最終生成物において測定した(HPLCによる)実際の薬物濃度を示す。
【0137】
【表4】

【0138】
図8及び9は、実施例9A及び9Cにおけるそれぞれの生成物のSEM写真である。
【0139】
実施例10
以下のフロースルー方法を用いて実施例9の生成物を水中での溶解試験にかけた。60mgの混合製剤(30mgのフェキソフェナジンに相当)をガラスビーズと混合し、2.5mlのHPLCカラム(150mm×4mm内径)中に充填した。100mlの脱イオン水を溶解媒体貯留槽からカラムを通ってUV分光光度計のフロースルーセルに循環させるために標準的なHPLCポンプを使用した(ポンプ流速1.0ml/分)。そして、再循環のためのペリスタポンプを使用して溶解媒体を貯留槽に戻した。溶解媒体貯留槽を50rpm以下の一定速度で攪拌した。260nmにおけるUV吸収を30分間、5秒ごとに自動的に測定して、(溶解媒体をブランク対照として使用して)フェキソフェナジン含量を測定した。分析は周囲温度及び圧力において実施した。
【0140】
図10は、実施例9の生成物について、そしてフェキソフェナジン原料(RMとラベル)についても、時間の経過とともに放出された利用可能な総薬物パーセンテージに関する結果を示す。グラフは、本発明の混合製剤中では、ポリマーが最初の数分間、原料に比べて薬物の放出を顕著に阻害したことを示し、ここでも、味のマスキング効果が示唆される。より長期間にわたっては、溶解はより急速になり、実施例9Dの生成物はバイオアベイラビリティーに関して原料よりも実際に性能がすぐれている。
【0141】
実施例11
本発明によって製造されたフェキソフェナジン/エチルセルロース混合製剤中での有効な薬物「被覆」は、粒子表面の化学的組成のXPS(X線光電子分光法)分析によって確認された。実施例7Bのものと類似の方法を用いてサンプルを調製し、薬物及びポリマーをエタノール/アセトン混合物から沈殿させて、バルク産物中での50%w/w薬物の名目上の濃度を得た。標的溶液の流速は、1ml/分であり、二酸化炭素の流速は12.5kg/時間であり;他のすべての操作条件は実施例7Bのとおりである。
【0142】
表面の分析は、表面のポリマー濃度が、バルク散剤において50%w/wで存在するのに比較して88%w/wであり、表面薬物レベル(12%w/w)がそのバルクの濃度に比べてかなり低いことを明らかにした。これは、表面ポリマーのレベルが、効果的に薬物を内包しそして経口投与においてその味をマスクするのに十分に高いことを示唆する。
【0143】
実施例12
さらなるフェキソフェナジン/EC混合製剤を実施例9Cと同じ条件下で調製し、それらの残留溶媒レベルをガスクロマトグラフィーによって決定した。1000ppm未満のアセトン(1000ppmはこの方法によるアセトンについての定量下限である)及び700ppm未満、場合により670又は650ppmもの低濃度のメタノールを含む混合製剤化粒子を生成することが可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0144】
ここに、本発明は例示のみによって、及び以下の添付された例示的な図面を参照することによって説明される。
【図1】図1は、以下の実施例1の生成物の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】図2は、以下の実施例1の生成物の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】図3は、以下の実施例3の生成物のSEM写真である。
【図4】図4は、以下の実施例3の生成物のSEM写真である。
【図5】図5は、実施例1の生成物に対する味のマスキング評価の結果を示す棒グラフである。
【図6】図6は、以下の実施例6による保存後の実施例1の生成物のX線回折(XRD)プロフィールである。
【図7】図7は、以下の実施例7の生成物のうちの一つの短期間の溶解速度を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例9Aの生成物のSEM写真である。
【図9】図9は、実施例9Cの生成物のSEM写真である。
【図10】図10は、実施例9の生成物の短期間の溶解速度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質及び賦形剤の微粒子混合製剤であって、ここで、各粒子が前記賦形剤の被覆によって取り囲まれている前記活性物質のコアを含み、上記粒子は10μm以下の体積平均径を有し、ここで、該混合製剤がヒト又は動物患者に経口投与されて、上記患者の血流中の活性物質最大濃度到達時間(Tmax)が1時間以下であるような速度で上記活性物質を放出する、前記微粒子混合製剤。
【請求項2】
Tmaxが40分以下である、請求項1に記載の微粒子混合製剤。
【請求項3】
前記活性物質及び前記賦形剤の密な分子レベルの混合物であるが、相対的賦形剤濃度の有限な勾配を有し、上記賦形剤濃度が各粒子のコアから表面へ外に向かって円周状に増加し、そして粒子の直径を横切る賦形剤濃度の変化率が段階的というよりも連続的である、請求項1又は2に記載の微粒子混合製剤。
【請求項4】
上記活性物質が、経口送達に好適な薬剤として活性な物質を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項5】
上記賦形剤被覆が上記活性物質の有効な味のマスキングを提供する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粒子製剤。
【請求項6】
上記活性物質が、全身的な送達に好適及び/又はこれを意図され、そして作用の急速な発生を必要とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項7】
上記活性物質が低い水溶解性を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項8】
上記活性物質がジクロフェナック又はフェキソフェナジンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項9】
上記賦形剤が疎水性ポリマーである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項10】
上記賦形剤がセルロース又はセルロース誘導体である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項11】
上記賦形剤がエチルセルロースである、請求項10に記載の微粒子混合製剤。
【請求項12】
上記活性物質が非結晶性の形態で存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項13】
上記活性物質が、その結晶形態への復帰に関して、本発明による上記賦形剤との混合製剤化後の少なくとも12ヶ月間安定である、請求項12に記載の微粒子混合製剤。
【請求項14】
1次粒子の体積平均径が5μm以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項15】
存在するいかなるかたまりの体積平均径も40μm未満である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項16】
上記賦形剤濃度が30〜70%w/wである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項17】
100ppm未満の残留溶媒を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項18】
上記活性物質が非ステロイド系抗炎症剤である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項19】
上記活性物質がジクロフェナックである、請求項18に記載の微粒子混合製剤。
【請求項20】
上記活性物質がフェキソフェナジンである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項21】
上記活性物質及び上記賦形剤が、共通の溶媒または溶媒混合物から圧縮液体貧溶媒を用いて共沈殿することによって製造される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤。
【請求項22】
混合製剤化された活性物質及び賦形剤の微粒子を沈殿させるために、圧縮液体貧溶媒が液体ビヒクル中の溶液(「標的溶液」)を分散しそしてそれから該ビヒクルを抽出することを同時に可能とする条件下で、該標的溶液を上記圧縮液体貧溶媒と接触させて、上記活性物質及び上記賦形剤を上記標的溶液から共沈殿させることによって製造される、請求項21に記載の微粒子混合製剤。
【請求項23】
上記共沈殿方法によるその形成に続く別の乾燥ステップにかけていない、請求項21又は22に記載の微粒子混合製剤。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の微粒子混合製剤を含む、医薬組成物又は栄養補助食品組成物。
【請求項25】
上記微粒子混合製剤中の上記活性物質が非ステロイド系抗炎症剤であり、ここで、該組成物がさらにプロスタグランジンを含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
上記微粒子混合製剤中の上記活性物質がジクロフェナックであり、そして上記プロスタグランジンがミソプロストールである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の混合製剤又は請求項24〜26のいずれか1項に記載の組成物を含む、医薬製品又は栄養補助食品製品。
【請求項28】
経口による消費を意図される固形錠剤の形態の請求項27に記載の製品。
【請求項29】
活性物質及び賦形剤の微粒子混合製剤の製造方法であって、混合製剤化された活性物質及び賦形剤の微粒子を沈殿させるために、圧縮液体貧溶媒が液体ビヒクル中の溶液(「標的溶液」)を分散しそしてそれからビヒクルを抽出することを同時に可能とする条件下で、該標的溶液を上記貧溶媒と接触させることによって、上記活性物質及び上記賦形剤を上記標的溶液から共沈殿させることを含む、前記方法。
【請求項30】
活性物質及び賦形剤の微粒子混合製剤の製造における、以下の2つの目的:
(i)上記活性物質の周囲の上記賦形剤の保護層を達成するために、上記賦形剤で上記活性物質を被覆すること、及び
(ii)上記混合製剤のヒト又は動物対象への経口投与後の上記活性物質のバイオアベイラビリティー及び/又は放出速度を増加させること、
のための、微粒子形成法の使用であって、ここで、混合製剤化された活性物質と賦形剤の粒子を沈殿させるために、圧縮液体貧溶媒が液体ビヒクル中の溶液(「標的溶液」)を分散しそしてそれからビヒクルを抽出することを同時に可能とする条件下で、該標的溶液を上記貧溶媒と接触させることによって、上記活性物質及び上記賦形剤を上記標的溶液から共沈殿させることを含む、前記使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−525303(P2006−525303A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506221(P2006−506221)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001935
【国際公開番号】WO2004/098561
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(502008306)ネクター セラピューティクス ユーケー リミティド (4)
【Fターム(参考)】