説明

心停止の偽警報を減らす心電図モニタリング

患者モニタが、患者(10)の心電図信号(40)をモニタリングする心電計(14、20)と;患者の心電図信号をモニタリングする前記心電計と並行して患者の第二の生理学的信号(50)をモニタリングする二次生理学的信号モニタ(16、20)と;
患者の心電図信号に基づいてアラーム条件を検出するよう構成されたアラーム条件検出器(42、44)と;並行してモニタリングされる患者の第二の生理学的信号の脈動成分のパルス規則性に基づいて前記アラーム条件を検証するよう構成されたアラーム条件検証器(52、54、56)と;前記アラーム条件検出器がアラーム条件を検出し、前記アラーム条件検証器が前記アラーム条件を有効確認することの両方を条件として、人間に知覚できるアラームを生成するよう構成されたアラーム指示器(24、26、58)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記は医術、医療モニタリング技術、生理学的モニタリング技術、患者安全性技術および関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
心電図記録法(ECG: electrocardiography)モニタリングは従来の患者モニタリング技術としてよく知られている。技量のある心臓医または他の技量のある医療診断医は時間の関数としてのECG波形の波の形状、反復率およびその他の側面からかなりの情報を推定することができる。より日常的な患者モニタリングのためには、ECGは心拍数に関する連続的な情報を提供し、看護師または他の医療担当者がECG信号における大きな変化に基づいて緊急の患者問題を同定できる。
【0003】
患者モニタリングにとって特に関心がもたれているのが、心室細動または心停止のような心臓不整脈の高速かつ正確な検出である。心室細動は、心臓が制御を失い、ランダムまたは擬似ランダムな仕方で拍動しはじめる状態である。この状態は即座に注意を向けることを必要とする。心停止はより急を要する。これは俗に「一本線(flatline)」と呼ばれる、心臓が全く拍動を止めている状態であり、心拍停止としても知られる。心停止は数分内に脳の損傷および死につながり、よって即座に処置する必要がある。病院または他の医療施設では、心停止の検出は、「コードブルー」イベントを開始し、患者を蘇生しようとして緊急チームが呼び出される。
【0004】
ECGは有利なことに、高速かつおおむね正確な心停止の検出を提供する。ECGは心拍数自身を監視するので、ECGが心停止を検出しそこなうことはまずない。ECG装置が故障したら、結果は「一本線」状態と同様のヌル信号となる可能性が高く、結果としてコードブルー・イベントになる。結果として、ECGが「偽陰性」を与える、すなわち本物の心停止イベントの検出に失敗する可能性はきわめて低い。
【0005】
しかしながら、ECGは「偽陽性」イベントを生成することはありうる。すなわち、患者の心臓が実際には正常に拍動している(あるいは少なくとも心停止ではない)ときに心不全を示してしまうのである。そのような偽陽性イベントは、たとえば日常的な患者の動きによって引き起こされる、一つまたは複数のECG電極が外れることまたはその他の故障によって、トリガーされうる。偽陽性イベントの他の原因としては、ECG「グリッチ」、信号飽和などが含まれる。各偽陽性の心停止検出は、医療要員が緊急モードで対応することにつながり、無用なコードブルー・イベントをトリガーしうる。
【0006】
あらゆる心停止検出イベントのうち約90%以上が実際には、患者が心停止を経験しておらずECGが誤って一本線状態を示している偽陽性イベントであると推定されている。これらの偽陽性心停止検出イベントのコストは、誤ったイベントに対応する医療専門家の失われた時間、そのエリア内のあらゆる医療専門家の緊張、自分の医療モニタが突然大きな音のアラームを発するまたは他の仕方で緊急状態を示すことを見出す患者の緊張、本当の患者心停止の際に適切に緊急な仕方で応答しなくなるかもしれないほどの医療人員の感覚の麻痺が含まれる。
【0007】
他方、単一の偽陰性心停止検出イベントのコストは、心停止を経験している患者に医療支援を提供することが遅れることにより、患者が脳損傷または死を被る可能性があるということである。
【0008】
ECG信号を解析することによって、あるいはECG信号を他の並行して取得される動脈血圧のような患者モニタリング情報で増強することによって、偽陽性心停止検出イベントの数を減らそうとする試みがなされてきた。たとえば、非特許文献1はECG信号が動脈血圧(ABP: arterial blood pressure)脈動レートによって増強されるアプローチを開示している。このアプローチでは、心停止アラームは、ABP信号についてのパルスからパルスまでの間隔が閾値より短い場合には抑制される。このアプローチは、APB脈動レートが心サイクルと相関しており、ABP脈動間隔が閾値より短ければAPBパルスは心サイクル活動に対応しており、一本線ECGは誤りに相違ないことを示すということを前提としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Aboukhalil et al., "Reducing false alarm rates for critical arrhythmias using arterial blood pressure waveform", Journal of Biomedical Informatics, vol.41, pp.442-51 (2008)
【非特許文献2】Zong et al., "An open-source algorithm for detection of ABP pulse onset", Computers in Cardiology, 29:345-48(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
問題なことに、偽陽性心停止検出イベントについての既存の技法は、偽陰性イベントを生成する、よって本物の心停止イベントを「見逃す」可能性も実質的に高めてしまう。たとえば、非特許文献1のアプローチは、APB信号中のノイズまたはアーチファクトが閾値より短い間隔でAPBパルスのシーケンスを生じると、本物の心停止検出アラームを抑制してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ある開示される側面によれば、患者モニタは:患者の心電図信号をモニタリングする心電計と;患者の心電図信号をモニタリングする前記心電計と並行して患者の第二の生理学的信号をモニタリングする二次生理学的信号モニタと;患者の心電図信号に基づいてアラーム条件を検出するよう構成されたアラーム条件検出器と;並行してモニタリングされる患者の第二の生理学的信号の脈動成分のパルスの規則性に基づいて前記アラーム条件を検証するよう構成されたアラーム条件検証器と;前記アラーム条件検出器がアラーム条件を検出し、前記アラーム条件検証器が前記アラーム条件を有効確認することの両方を条件として、人間に知覚できるアラームを生成するよう構成されたアラーム・インジケータ(indicator)とを有する。
【0012】
もう一つの開示される側面によれば、患者モニタリング方法は:患者の心電図信号をモニタリングする段階と;患者の心電図信号をモニタリングする前記段階と並行して患者の第二の生理学的信号をモニタリングする段階と;患者の心電図信号に基づいてアラーム条件を検出する段階と;並行してモニタリングされる患者の第二の生理学的信号の脈動成分のパルスの規則性に基づいて前記アラーム条件を検証する段階と;前記アラーム条件が前記検証する段階によって有効確認されることを条件として、人間に知覚できるアラームを生成する段階とを含む。
【0013】
もう一つの開示される側面によれば、前段に記載された患者モニタリング方法を実行するようデジタル・プロセッサによって実行可能な命令を記憶する記憶媒体が開示される。
【発明の効果】
【0014】
一つの利点は、偽陰性心停止検出イベントを同時に抑制することなく、偽陽性心停止検出イベントの削減を提供することにある。
【0015】
もう一つの利点は、偽陽性心停止イベントの実質的な削減を提供し、それによりECGベースの心停止イベント検出の精度を高めることにある。
【0016】
さらなる利点は、以下の詳細な説明を読み、理解すれば当業者には明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】心停止イベントの検出および検証をもつ患者モニタリング・システムを示す概略図である。
【図2】図1のパルス規則性指数(PRI: pulse regularity index)計算コンポーネントをさらに詳細に示す概略図である。
【図3】体積曲線(プレチスモグラム)信号を、該プレチスモグラム信号から計算されたパルス規則性指数(PRI)とともに示す概略図である。
【図4】三チャンネルECG信号、並行してモニタリングされる体積曲線(プレチスモグラム)信号および該プレチスモグラム信号から計算されたパルス規則性指数(PRI)を、二つの真の心停止イベントを含む時間期間について示す概略図である。
【図5】三チャンネルECG信号、並行してモニタリングされる体積曲線(プレチスモグラム)信号および該プレチスモグラム信号から計算されたパルス規則性指数(PRI)を、一つの偽心停止イベントを含む時間期間について示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本稿では、ECG心停止イベント・アラームを、動脈血圧信号または体積曲線信号のような二次生理学的信号のリズムおよび振幅情報に基づいて検証することが開示される。開示される検証技法は二次生理学的信号の瞬間的なパルスからパルスの間隔を利用するのみならず、短期的なパルス規則性特徴をECG心停止イベントを検証するために組み込む。心拍ごとに、短期的な二次生理学的信号パルスのリズムおよび振幅特徴を、規則性に関して要約するパルス規則性指数(PRI)が開示される。PRI値は、短期的なパルス規則性の度合いを表し、ECG心停止アラームを検証するために使用される。
【0019】
(リズムおよび振幅に関して)規則的なパルスは心停止の際には起こらない。規則的なパルスはまた、ランダム・ノイズやアーチファクトによって生成される可能性も低い。よって、PRIを用いる開示される検証アプローチは、誤ったECG心停止アラームを退けつつ、真のECG心停止アラームを保持することにおいて高い信頼性をもつ。PRIは少なくともECG心停止アラームの際に、拍動ごとに計算される。(心停止イベントに先立つ)最後のパルス検出サイクルについて計算されたPRI値が、心停止アラームを検証するために検査される。よって、この処理は、計算効率がよく、ECG心停止アラームの高速な検証を提供する。
【0020】
図1を参照するに、患者10がベッド12上に配置されているか、あるいは救急車または他の緊急応答車両において立っていたり座っていたり、あるいは他の仕方で配置されたりしてもよい。図示した患者10は人間の患者であるが、獣医の場面などで、患者が動物であることも考えられている。心電図(ECG)信号を取得するために患者10に電極14が取り付けられている。センサー16が二次生理学的信号を検出する。たとえば、センサー16は患者10の指、足指または他の部分に取り付けられるパルスオキシメーターまたは体積曲線(プレチスモグラム)信号を検出する他のセンサーまたは動脈血圧(ABP)センサーまたは他の血圧センサーなどであってもよい。センサー16は二次生理学的信号(すなわち、電極14によって検出されるECG信号以外)を検出する。二次生理学的信号は、正常な生理学的条件の間、パルス間隔およびパルス振幅においてかなりの規則性をもつ脈動的な信号成分を呈示する。
【0021】
患者モニタ20は、ECG電極14によって検出されたECG信号をモニタリングし、センサー16によって検出されるプレチスモグラム信号、ABP信号または他の二次生理学的信号をモニタリングする。換言すれば、患者モニタ20は、ECG信号をモニタリングする心電計と、センサー16によって検出されるプレチスモグラム信号、ABP信号または他の二次生理学的信号をモニタリングする二次生理学的信号モニタの両方のはたらきをする。あるいはまた、別個の心電計および二次生理学的信号モニタが設けられてもよい(図示せず)。患者モニタ20は、図1の例におけるECG信号、体積曲線(プレチスモグラム)信号および呼吸信号のような一つまたは複数のモニタリングされる生理学的パラメータを表示する。
【0022】
患者モニタ20はさらに、アラーム条件の際に人間に知覚できるアラームを生成するための一つまたは複数のアラーム・インジケータを含む。たとえば例示的な視覚的アラーム・インジケータ24はアラーム条件の際にディスプレイ22上に表示される(好ましくは点滅、赤色など目立って、気づかれやすい仕方で)。例示的なスピーカー26はアラーム条件の際に可聴アラームを生成する。要素24、26によって視覚的または聴覚的に示されうるアラーム条件は、少なくとも心停止イベントを含み、任意的に、心室除細動イベント、呼吸不全などといった他の生命または健康を脅かすイベントを含んでいてもよい。例示的なアラーム・インジケータ24、26に加えて、またはその代わりに、アラーム条件がナースステーション(図示せず)に位置されるリモート・インジケータによって示されることも考えられる。単一のアラーム・インジケータ・タイプ(視覚的または聴覚的のどちらか)も考えられている。
【0023】
デジタル・プロセッサ30は、アラーム条件を検出および検証するために、モニタリングされるECG信号およびモニタリングされるABP、プレチスモグラムまたは他の二次生理学的信号といったモニタリングされる生理学的信号を処理するために設けられる。デジタル・プロセッサ30はさまざまな位置に位置され、さまざまな形で具現されることができ、二つ以上のデジタル・プロセッサを含んでいてもよい。例示的な実施形態では、デジタル・プロセッサ30は患者モニタ20のコンポーネントである。代替的または追加的に、デジタル・プロセッサはナースステーションに配置されていてもよく、患者モニタ20などによってモニタリングされる生理学的信号を受信して処理するコンピュータとして具現されてもよい。もう一つの例として、デジタル・プロセッサは、ECGおよび第二の生理学的信号を取得する患者モニタ20内に配置されている第一のプロセッサと、アラーム検証を実行するナースステーションのコンピュータ内に配置される第二のデジタル・プロセッサとを含んでいてもよい。
【0024】
本稿で開示されるアラーム検出および検証技法は、開示されるアラーム検出および検証技法を実行するようデジタル・プロセッサ30によって実行可能な命令を記憶している記憶媒体として好適に具現できることも理解しておくべきである。そのような記憶媒体はたとえば、次のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい:ハードディスクまたは他の磁気記憶媒体;光ディスクまたは他の光記憶媒体;ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリまたは他の電気的または静電的記憶媒体など。
【0025】
図1に示されるように、デジタル・プロセッサ30は、ECGアラームを検出し、検証するよう構成される。検出されたECG信号40は、ECG信号が拍動する心臓を示す脈動的な振る舞いを呈さない「一本線」状態を検出するために心停止検出器42によって処理される。判断ブロック44において、心停止が検出されたかどうかがECG信号40のみに基づいて判定される。心停止が検出されるかどうかに関わりなく、心停止状態があるかどうかの連続的なECGモニタリングを提供するために、処理ブロック40、42、44は反復的に巡回する。これは、判断「YesまたはNo」でラベル付けされた図1内の戻りループ矢印によって示される。
【0026】
判断ブロック44において、ECG信号40のみに基づいて心停止イベントが検出されたと判定される場合(判断「Yes」でラベル付けされた図1内の矢印によって示される)、心停止アラーム条件は、患者モニタ20およびセンサー16によって実装される体積曲線記録器によってモニタリングされるプレチスモグラム信号50に基づいて検証される。例示的なプレチスモグラム信号50は、正常な生理学的条件の際にパルス間隔およびパルス振幅において実質的な規則性をもつ脈動信号成分を呈するAPB信号または他の二次生理学的信号に置き換えてもよい。ECG信号のみによって生成された心停止アラームを検証するために、プレチスモグラム信号50(またはECG信号ではない、脈動成分をもつ他の二次生理学的信号)がパルス規則性指数(PRI)計算ブロック52によって処理されて、モニタリングされる二次生理学的信号50の脈動成分のパルス規則性を定量化するパルス規則性指数(PRI)が生成される。計算されたPRIは比較ブロック54において検証基準と比較される。この比較に基づいて、心停止アラーム検証ブロック56は、ECGのみによって生成された心停止アラームが有効確認されるべきかどうかを決定する。心停止アラームが有効確認される場合、人間に知覚できる心停止アラーム58が発される。これはたとえば、オーディオ・スピーカー26を作動させて聴覚的に知覚可能な心停止アラームを発させる、および/または、視覚的に知覚可能なアラーム・インジケータ24を患者モニタ20のディスプレイ22上に示す、あるいはナースステーション(図示せず)において聴覚的および/または視覚的アラームを作動させることなどによる。
【0027】
検証基準は、複数の較正患者からの並行して取得されたECG信号および第二の生理学的信号のトレーニング・セットに関して検出および検証動作をトレーニングすることによって好適に決定される。トレーニング・セットでは心停止条件がラベル付けされている。たとえば、このトレーニングに基づいて、あらゆる実際の心停止イベントが適正に検証され(偽陰性なし)、ECGのみによって生成される心停止アラーム・イベントのかなりの数が、PRIをトレーニングされた閾値と比較することによって無効にされるよう、PRIについて閾値が好適に決定される。いくつかの実施形態では、トレーニングは、異なるクラスの患者について異なる検証基準を生成するために異なる特性の患者について実行されてもよい。たとえば、図1に示された実施形態は、種々の年齢クラス(たとえば幼児年齢クラス、小児年齢クラス、大人年齢クラス、高齢者年齢クラス)についてトレーニングされたものであり、PRI定義および検証基準選択器60は、入力された患者年齢62に基づいて、PRI計算ブロック52において使うためのPRI定義および比較ブロック54において使うための検証基準を選択する。異なる患者クラスについての調整は、閾値基準の調整または定量的なPRI公式もしくは定義の定義の調整の形またはその両方の形を取ることができる。
【0028】
図2を参照するに、パルス規則性指数計算ブロック52の例示的な実装が例示的な例として記述されている。一般に、PRI計算は二次生理学的信号の脈動成分のパルスを検出するパルス検出器70および検出されたパルスについてのパルス振幅およびパルス間隔に基づくPRI計算80を内包する。図2の例示的な実施形態では、PRIはパルスごとに現在のパルスについて現在のパルスおよび直前のN個のパルスに基づいて計算される。正の整数Nは現在のパルスの時点でのパルス振幅およびパルス間隔の規則性の意味のある推定のための十分な情報を提供するよう選択されるが、著しく以前の脈動振る舞いによって不相応な影響を受けていないPRIを与えるよう十分短くするべきである。一般に、Nは2以上であり、いくつかの実施形態では3以上である。いくつかの例示的な例では、N=4が使われ、よって解析されるN+1個のパルス(現在のパルスおよび直前のN個のパルスを含む)は全部で5個のパルスからなる。脈動信号が毎分約60〜150拍の心拍数と調和すると想定すると、N+1=5個のパルスは約2秒ないし5秒ぶんの情報に相当する。ここでもまた、Nについての他の値を使ってもよい。それぞれの現在パルスについて、PRIは、現在のパルスおよび直前のN個のパルスから導出されるリズムおよび振幅特徴に基づいて計算される。ECG心停止アラームを検証するためには、心停止イベントの直前、その時点または直後の現在のパルスからのPRIだけが、心停止アラーム・イベントを検証するために検査される。
【0029】
一般に、パルス検出70は、パルスのピークまたは開始をパルス時間についての基準点として考えることができる。例示的な図2では、パルス検出70は、ここに参照によってその全体において組み込まれる非特許文献2に記載されるのと同様の方法を使って実行される。この方法は、パルス開始を基準点として使う。モニタリングされたプレチスモグラム信号50は、たとえば約15Hzのカットオフ周波数をもつ(ただし、他のカットオフ周波数も考えられている)低域通過フィルタ72によってフィルタ処理される。低域通過フィルタ処理されたプレチスモグラム信号は、傾斜‐和関数74によって傾斜‐和関数(SSF: slope-sum function)信号に変換され、これがパルス開始の検出を容易にする。SSF信号に適応閾値および局部探索76が適用されてパルスが見出され、局部探索プロセスがパルスの開始を位置特定する。
【0030】
しかしながら、二次生理学的信号50が脈動成分をもたない場合には問題が生じることがある。これは実際に、たとえば、実際の心停止イベントの際に予期されうることである。この状況に対処するため、強制されるパルス検出78が設けられる。これは、モニタリングされた第二の生理学的信号50があらかじめ選択された時間区間内にパルスをもたないことを条件として、N+1個のパルスの組のうちの一つまたは複数のパルスを強制されたパルス検出と定義する。すなわち、最後に検出されたパルス以降2秒(または他のあらかじめ選択された時間期間)より長くにわたってパルスが検出されない場合、N+1個のパルスの一つとして強制されたパルス検出が定義される。強制されたパルス検出は、そのようなものとしてラベル付けされるので、PRI計算80の際には特別な扱いを受ける。あるいはまた、強制されたパルス検出にデフォルトの振幅および(直近の隣接パルスに対する)デフォルトのパルス間隔を割り当てることも考えられる。
【0031】
PRI生成動作80はN+1個のパルスの時系列を入力として受ける。この例示的なPRI計算の例では、動作78によって生成されるいかなる強制されたパルス検出も、のちのパルス間隔および振幅特徴解析のためには、正常なパルス検出と同じように扱われる。各パルス(この例では強制されたパルス検出も含む)について、パルス振幅および間隔情報が、N+1個のパルスにわたって解析された統計的なパルスからパルスへの(PP: pulse-to-pulse)間隔特徴および統計的なパルス振幅特徴として計算される。PP間隔および振幅統計は次のようにしでできる。Piで表される現在のパルスおよびPi-n n=1,…,Nで表される直前のN個のパルスについて、次の変数を計算する:(i)強制された検出の数FDNUM;(ii)パルスからパルスへの間隔(PPI: pulse-to-pulse interval)の平均値PPIMEAN;(iii)PPIの標準偏差PPISD;(iv)N+1個のパルス振幅の平均値PPAMEAN;(iv)N+1個のパルス振幅の標準偏差PPASD
【0032】
この例示的なPRI計算の例では、パルス振幅および間隔情報の統計的な特徴を表すためにファジー変数が使われる。次の三つのファジー変数が定義される:PPIMEAN_is_Reasonable〔PPIMEANがほどほど〕、PPISD_is_Small〔PPISDが小さい〕およびPPASD_is_Small〔PPASDが小さい〕。標準的な関数、つまりS関数およびZ関数がメンバーシップ関数として使われる。S関数およびZ関数は次のように定義される。
【0033】
【数1】

S関数およびZ関数をメンバーシップ関数として使うと、ファジー変数は今の例示的なPRI計算の例について、次のように定義される:
‘PPIMEAN_is_Reasonable’(PPI-Mean-R)
μPPI-Mean-R=S(PPIMEAN;200,400)∧Z(PPIMEAN;1500,2000) (3)
ここで、PPIMEANは考えられているN+1個のパルス検出のうちのPPIの平均値である。諸パラメータの単位はmsであり、演算子∧は標準的なファジー交わりである:μA∧μB=min[μAB]。
【0034】
‘PPISD_is_Small’はZ関数をメンバーシップ関数として使って定義できる
‘PPISD_is_Small’(PPI-SD-S)
μPPI-SD-S=Z(PPISD/PPIMEAN;0.1,0.2) (4)
ここで、PPISDは考えられているN+1個のパルス検出のうちのPPIの標準偏差である。
【0035】
PPASD_is_SmallはZ関数をメンバーシップ関数として使って定義できる
‘PPASD_is_Small’(PPA-SD-S)
μPPA-SD-S=Z(PPASD/PPAMEAN;0.1,0.2) (5)
ここで、PPASDはパルスごとの振幅(PPA: pulse-by-pulse amplitude)の標準偏差であり、PPIMEANは考えられているN+1個のパルス検出のうちのPPAの平均値である。
【0036】
さらに、二値変数No_Forced_Detections〔強制検出なし〕(NFD)がブール関数を使って定義される:
‘No_Forced_Detections’(NFD)
μNFD=Boolean(‘FDCount==0’) (6)
ここで、FDCountは考えられているN+1個のパルス検出のうちの強制された検出の数であり、Boolean(True[真])=1、Boolean(False[偽])=0である。
【0037】
合成ファジー変数Pulses_are_Regular〔パルスは規則的〕が次のファジー論理推論(すなわち、ファジー条件文)から導出される。
【0038】
IF ‘No_Forced_Detections’ AND
‘PPIMEAN_is_Reasonable’ AND
(‘PPISD_is_Small’ OR ‘PPASD_is_Small’) (7)
THEN ‘Pulses_are_Regular’
μ‘Pulses_are_regular’=μNFD∧μPPI-mean-R∧(μPPI-SD-S∨μPPA-SD-S)
ここで、μNFD、μPPI-mean-R、μPPI-SD-SおよびμPPA-SD-Sは式(3)〜(6)から得られる。演算子∨は標準的なファジー合併:μA∨μB=max[μAB]。ファジー変数Pulses_are_Regularは0から1までの間の値をもち、値1が最良の短期的なパルス規則性を表し、値0が最悪の短期的なパルス規則性(すなわち、実質的にパルス規則性なし)を表す。PRI値はファジー変数Pulses_are_Regularの値に割り当てられる:
PRI=μ‘Pulses_are_regular’ (8)。
【0039】
例示的なPRI計算は、次のように機能する。ある二次生理学的信号(たとえば例示的なプレチスモグラム信号50またはAPB信号)について、各パルスの開始(あるいはまたピークまたは他の基準点)が検出される。2秒(または別のあらかじめ選択された時間期間)より長くにわたって検出可能なパルスがなければ、強制されたパルス検出が適用される。各検出されたパルス(または強制されたパルス検出)について、PRIの値は式(8)に従って計算され、パルスに関連付けられる。PRIはパルスに関連付けられた短期的なパルス規則性を示す。ここで、「短期的」とは、PRIの計算において考慮に入れられる現在のパルスを含めたN+1個のパルスの時間区間によって定義される。
【0040】
上記のPRI定義は大人の患者のクラスについてである。他のクラスの患者(たとえば小児患者)については、これらの患者についての有用な検証動作を提供するために、PRI定義選択器および検証基準選択器はPRI値もしくは閾値基準またはその両方を調整してもよい。
【0041】
図3を参照するに、例示的なPRI計算の例が表示されている。図3の上のトレースは源プレチスモグラム信号を示し、図3の下のトレースはN=4として式(8)を使って計算されたPRIを示す。図3の各垂直線はパルスの開始を表す。単一の強制されたパルス検出が用いられ、該強制されたパルス検出に対応する垂直線に対するラベル「F」によって示されている。予想されるように、PRIはプレチスモグラム信号が視覚的に明白な規則性をもつ領域では1の値をもち、プレチスモグラム信号の規則性が視覚的に明白な不規則性をもつ図3の中央領域では0の値まで減少する。
【0042】
図1の参照に戻ると、比較ブロック54において、PRIはECGによって生成された心停止アラームを検証するために検証基準と比較される。ECG心停止アラームが発される時刻iにおいて、時刻iに先立つまたは時刻iと同期した最後のパルスに関連付けられたPRIが検証基準と比較される。例示的なPRI計算の例では、検証基準は好適にはThrと表される検証閾値である。PRIが検証閾値Thrより大きければ(すなわちPRI>Thrであれば)、ECGのみによって生成された心停止アラームは偽警報として拒否される。そうでなければ、心停止アラームは判断ブロック56において真のアラームとして受け入れられ、人間に知覚できる心停止アラーム58が発報される。
【0043】
図示した実施形態では、有効確認において使うための二次生理学的信号は一つだけである(図示したプレチスモグラム信号50)。二つ(以上)の二次生理学的信号が検証のために利用可能である場合、それらの信号は、各二次生理学的信号についてPRIを計算し、計算されたPRIの一つを選ぶことによって使用されることができる。PRIが大きいほどパルスが規則的である例について、検証基準は、好適には、ECG心停止アラームを打ち消す(override)ために超えなければならない閾値である。この場合、二つの利用可能な二次生理学的信号(たとえば利用可能なプレチスモグラムおよびABP信号の両方)から計算された最大のPRIが比較ブロック54において好適に使用される。
【0044】
ウィンドウ・サイズNおよび検証閾値Thrは、注釈付けされたECG心停止アラームおよびその関連付けられたECGおよび二次生理学的(たとえばABPまたはプレチスモグラム)信号をもつトレーニング・データのセットを使って最適化できる。実際に実施されたトレーニング・セッションでは、N=4およびThr=0.5が該トレーニングによって選択された。そのトレーニングについては、65レコードの注釈付けされたデータセットが使用された。その全レコードはプレチスモグラム信号データをもち、11レコードはABP信号データをも有する。このトレーニング・セットは、756の集中治療室患者から選択されたものであり、全1916時間の(レコード当たり平均28時間の)連続的なECG信号および並行したABPおよび/またはプレチスモグラム信号を提供する。トレーニング・セットはECGのみによって示される心停止アラームを147含んでいた。これら147のアラームのうち、15のアラームは真の陽性(すなわち実際の心停止イベント)であり、132は人間の専門家によって判断されるところの偽陽性であった。検証のためにプレチスモグラム信号のみを使うトレーニングされた検証システムは、15の真の心停止アラーム・イベントを一つも拒否することなく、偽ECG心停止アラームの46%を拒否した。ABP信号(利用可能なとき)が検証システム内のプレチスモグラム信号の代わりに使われた場合、やはり真の心停止アラーム・イベントは一つも拒否することなく、偽ECG心停止アラームの52%が取り消された。ABP(利用可能なとき)およびプレチスモグラムの両方を使うとき、やはり真の心停止アラーム・イベントは一つも拒否することなく、偽ECGアラームの59%が拒否された。
【0045】
図4を参照するに、真のECG心停止アラームが、本項記載のようにしてトレーニングされた図1の検証システムによって正しく保持された(つまり、真のアラームとして有効確認された)例が示されている。上の三つのトレースは三チャンネルECGを示す。二つの(真の)心停止アラームがECGベースの心停止検出器によって発されており、三チャンネルECGトレースを通過する太い縦の線によって示されている。下から二番目のトレースは、並行して取得されたプレチスモグラム信号であり、いちばん下のトレースがプレチスモグラム信号から計算されたPRIである。ECG心停止が起こったとき、プレチスモグラム信号は規則性を失い、プレチスモグラム信号における呼吸に起因する脈動があったにもかかわらず、計算されたPRIはゼロまで減少した。二つの(真の)ECG心停止アラームのそれぞれの時点で、PRI値が低く(本質的にはゼロ)、トレーニングされた閾値であるThr=0.5より低いことが観察される。両方のECGアラームが真の陽性の心停止アラームとして有効確認される。下の二つのプロットでは、下の二つの曲線(すなわち、プレチスモグラムおよびPRIの曲線)のみを通過するより細い縦線がパルス開始検出を示す。三つの強制されたパルス検出が、「F」によってラベル付けされる縦線によって示されている。
【0046】
図5を参照するに、偽ECG心停止アラームの例が示されている。これは本項記載のようにしてトレーニングされた図1の検証システムによって拒否された(すなわち、有効確認されなかった)。上の三つのトレースは三チャンネルECGを示す。単一の(偽の)心停止アラームがECGベースの心停止検出器によって発されており、三チャンネルECGトレースを通過する太い縦の線によって示されている。下から二番目のトレースは、並行して取得されたプレチスモグラム信号であり、いちばん下のトレースがプレチスモグラム信号から計算されたPRIである。ECG信号の振幅低下のため、偽ECG心停止イベントが発された。しかしながら、プレチスモグラム信号はこのECG心停止イベントの間も規則的な振る舞いを続けており、計算されたPRIは1に留まった。これは高度な脈動規則性を示している。(偽)ECG心停止イベントの開始において、PRIはトレーニングされたThr=0.5より大きく、よって、ECG心停止アラームは拒否された(つまり、有効確認されなかった)。
【0047】
以上の例示的な実施形態では、アラーム条件はECGを使って検出され、二次生理学的信号(たとえばプレチスモグラムおよび/またはAPB信号)のパルス規則性の定量化に基づいて検証される心停止アラーム条件である。しかしながら、開示される技法を使って、他のアラーム条件が検出され、検証されることもできる。たとえば、心室細動アラーム・イベントはECG信号から容易に検出される。検出された心室細動イベントの検証は、同様に、本稿で開示されるような二次生理学的信号(たとえばプレチスモグラムおよび/またはAPB信号)のパルス規則性の定量化に基づいて検証できる。心室細動アラーム・イベントの検証のためには、追加的なノイズ拒否フィルタ処理を用いることが有利でありうることが考えられる。というのも、心室細動アラーム・イベントは心拍の完全な停止ではなく、むしろ心拍のランダム化を伴うからである。心室細動アラーム・イベントを検証するための検証基準のトレーニングは、ラベル付けされた心室細動アラーム・イベントをもつトレーニング・データを用いるべきである。心室細動アラーム・イベントのラベル付けは、単独であってもよいし、心停止イベント(もしトレーニング・データに存在していれば)のラベル付けに加えてであってもよい。
【0048】
本願は、一つまたは複数の実施形態を記載してきた。以上の詳細な記述を読み、理解すれば他の者にも修正や変更が思いつくことがありうる。本願は、付属の請求項およびその等価物の範囲内にはいる限りそのようなあらゆる修正および変更を含むものと解釈されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心電図信号をモニタリングする心電計と;
患者の心電図信号をモニタリングする前記心電計と並行して患者の第二の生理学的信号をモニタリングする二次生理学的信号モニタと;
患者の心電図信号に基づいてアラーム条件を検出するよう構成されたアラーム条件検出器と;
並行してモニタリングされる患者の第二の生理学的信号の脈動成分のパルス規則性に基づいて前記アラーム条件を検証するよう構成されたアラーム条件検証器と;
前記アラーム条件検出器がアラーム条件を検出し、前記アラーム条件検証器が前記アラーム条件を有効確認することの両方を条件として、人間に知覚できるアラームを生成するよう構成されたアラーム指示器とを有する、
患者モニタ。
【請求項2】
請求項1記載の患者モニタであって、前記アラーム条件検出器が、心停止アラーム条件を検出するよう構成されている、患者モニタ。
【請求項3】
請求項1または2記載の患者モニタであって、前記二次生理学的信号モニタが:
患者の心電図信号をモニタリングする前記心電計と並行して患者の動脈血圧をモニタリングする動脈血圧(ABP)モニタ;および
患者の心電図信号をモニタリングする前記心電計と並行して患者のプレチスモグラム信号をモニタリングするプレチスモグラム器、
からなる群から選択される、患者モニタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の患者モニタであって、前記アラーム条件検証器が、(i)モニタリングされる前記第二の生理学的信号の脈動成分のパルス規則性を定量化するパルス規則性指数(PRI)を計算し、(ii)前記PRIがある検証基準を満たすことに基づいて前記アラーム条件を有効確認するよう構成されている、患者モニタ。
【請求項5】
請求項4記載の患者モニタであって、前記アラーム条件検証器が、(i)モニタリングされる前記第二の生理学的信号の脈動成分の現在のパルスおよび(ii)モニタリングされる前記第二の生理学的信号の脈動成分の直前のN個のパルスを含むN+1個のパルスの組に基づいて、前記パルス規則性指数(PRI)を計算するよう構成されており、Nは2以上の正の整数である、患者モニタ。
【請求項6】
請求項5記載の患者モニタであって、前記アラーム条件検証器が、(i)前記N+1個のパルスの組のパルスについての振幅情報および(ii)前記N+1個のパルスの組のパルスどうしの間の時間間隔情報に基づいて前記パルス規則性指数(PRI)を計算するよう構成されている、患者モニタ。
【請求項7】
請求項5または6記載の患者モニタであって、前記アラーム条件検証器は、モニタリングされる前記第二の生理学的信号の脈動成分があらかじめ選択された時間期間にパルスをもたないことを条件として、前記N+1個のパルスの組の一つまたは複数のパルスを強制されたパルス検出として定義するよう構成されている、患者モニタ。
【請求項8】
請求項4ないし7のうちいずれか一項記載の患者モニタであって、前記アラーム条件検証器が、(i)前記PRIの定義および(ii)前記検証基準の少なくとも一方を患者年齢に基づいて選択するよう構成されている、患者モニタ。
【請求項9】
請求項4ないし8のうちいずれか一項記載の患者モニタであって、
前記二次生理学的信号モニタが、患者の心電図信号をモニタリングする前記心電計と並行して患者の少なくとも二つの異なる第二の生理学的信号をモニタリングし;
前記アラーム条件検証器が、前記少なくとも二つの第二の生理学的信号のそれぞれについて前記パルス規則性指数(PRI)を計算し、計算された最も大きいPRIが前記検証基準を満たすかどうかに基づいて、前記アラーム条件を有効確認するよう構成されている、
患者モニタ。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちいずれか一項記載の患者モニタであって、前記アラーム条件検証器が、少なくとも低域通過フィルタ処理を含む信号処理を使って、モニタリングされる前記第二の生理学的信号からモニタリングされる前記第二の生理学的信号の脈動成分を抽出するよう構成される、患者モニタ。
【請求項11】
患者モニタリング方法であって:
患者の心電図信号をモニタリングする段階と;
患者の心電図信号をモニタリングする前記段階と並行して患者の第二の生理学的信号をモニタリングする段階と;
患者の心電図信号に基づいてアラーム条件を検出する段階と;
並行してモニタリングされる患者の第二の生理学的信号の脈動成分のパルス規則性に基づいて前記アラーム条件を検証する段階と;
前記アラーム条件が前記検証する段階によって有効確認されることを条件として、人間に知覚できるアラームを生成する段階とを含む、
方法。
【請求項12】
請求項11記載の患者モニタリング方法であって、さらに:
前記検証基準は、複数の較正患者から並行して取得されたECG信号および第二の生理学的信号のトレーニング・セットに関して前記検出および検証動作をトレーニングすることに基づいて決定する段階を含み、前記トレーニング・セットでは心停止条件がラベル付けされている、患者モニタリング方法。
【請求項13】
請求項11または12記載の患者モニタリング方法であって、前記検出する段階が:
患者の心電図信号に基づいて心停止アラーム条件を検出する段階を含む、
患者モニタリング方法。
【請求項14】
請求項11ないし13のうちいずれか一項記載の患者モニタリング方法であって、前記検証する段階が:
Nは2以上の正の整数であるとして、並行してモニタリングされる患者の前記第二の生理学的信号の脈動成分の現在のパルスおよび直前のN個のパルスを含むN+1個のパルスを検出する段階と;
N+1個の検出されたパルスのパルス規則性を定量化するパルス規則性指数(PRI)を計算する段階と;
前記PRIをある検証基準と比較する段階とを含む、
患者モニタリング方法。
【請求項15】
請求項14記載の患者モニタリング方法であって、N+1個のパルスを検出する前記段階が:
パルスを検出しない場合、前記N+1個のパルスのうちの少なくとも一つを、強制されたパルス検出として検出することを含む、
患者モニタリング方法。
【請求項16】
請求項14または15記載の患者モニタリング方法であって、Nが3以上の正の整数である、患者モニタリング方法。
【請求項17】
請求項14ないし16のうちいずれか一項記載の患者モニタリング方法であって、前記パルス規則性指数(PRI)を計算する段階が:
(i)前記N+1個のパルスの振幅および(ii)前記N+1個のパルスの相続くパルス間の間隔の両方に基づいて前記PRIを計算することを含む、
患者モニタリング方法。
【請求項18】
請求項11ないし17のうちいずれか一項記載の患者モニタリング方法であって、前記検証する段階が:
並行してモニタリングされる患者の前記第二の生理学的信号の脈動成分のパルス振幅の規則性およびパルス間隔の規則性の両方を含むパルス規則性に基づいて前記アラーム条件を検証することを含む、
患者モニタリング方法。
【請求項19】
請求項18記載の患者モニタリング方法であって、前記検証する段階がさらに、並行してモニタリングされる患者の前記第二の生理学的信号の脈動成分の平均パルス間隔にさらに基づく、患者モニタリング方法。
【請求項20】
請求項11ないし19のうちいずれか一項記載の患者モニタリング方法を実行するようデジタル・プロセッサによって実行可能な命令を記憶する記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−529951(P2012−529951A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515580(P2012−515580)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052123
【国際公開番号】WO2010/146481
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】