説明

心房性および脳性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンの検出アッセイ法

心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)ホルモン系の活性化または不活性化を判定するインビトロの方法であって、試料中の心房性および脳性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモン(プロANPおよびプロBNP)またはその断片の存在または量を同時に検出する段階を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は心不全などの心臓病の診断および/またはその治療のモニタリングに有用な試験方法に関し、ならびにその方法で用いる物質に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
うっ血性心不全(CHF)は心臓病により引き起こされる臨床症候群であり、これは息切れおよび異常なナトリウムや水の貯留により特徴付けられており、浮腫の原因になっている。これは、心臓が拡張期血圧の顕著な増加なしに、体の要求を満たすのに十分な心拍出量を発生できない場合に起こる。これは心室の収縮もしくは拡張機能、またはその両方を損なう心臓病の結果である。これは単一疾患ではなく多くの異なる形態の心臓病の末期段階であり、その最も一般的なものが冠動脈疾患、高血圧症および糖尿病である(Kannel et al. 1994)。心不全には組織内灌流の低下による症状(例えば、疲労、運動耐容能の低下)もしくは血管床のうっ滞による症状(例えば、呼吸困難、肺浮腫、末梢浮腫)またはその両方が現れる。心不全の治療は一般に、その原因疾患に対して行われる。
【0003】
ヨーロッパの一般住民における症候性心不全の罹患率は、およそ0.4〜2%になるものと推定される。罹患率は年齢とともに急上昇するので、平均寿命の増加は近い将来に心不全の発症率に大きな影響を与えるものと予想される。無症候型の左心室収縮機能障害は症候性うっ血性心不全と同じくらい当たり前に見られるものと推定される(McDonagh et al. 1997)。
【0004】
心不全の診断(臨床検査、心電図検査、胸部X線)に使われる現在の日常の臨床および検査パラメーターは、その診断によっては偽陽性の結果が出るので、不十分であるということが判明している(Remes et al. 1991)。心電図検査は特定の診断および予後情報を提供するが、これはとりわけスクリーニングにまたは診療現場での迅速診断に適していない。すなわち、心臓の機能障害に対する新たな診断学的検査が必要とされている。
【0005】
いくつかの研究によって、心不全の診断で心房性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモン(プロANP)および脳性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモン(プロBNP)に由来する単一ペプチドを測定することの有用性が実証されている(Talwar et al. 2000; De Lemos et al. 2001; Daly et al. 2002)。心臓の機能障害は心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、プロANPのN末端断片(NT-プロANP)およびプロBNPのN末端断片(NT-プロBNP)の血中濃度の上昇と関係している(Sagnella 1998)。高い血漿濃度は心筋梗塞および心不全後の予後不良と相関する(Omland et al. 2002)。さらに、NT-プロBNPの血漿レベルのモニタリングは、従来の臨床パラメーターによる経過観察よりも心不全の治療法でいっそう強力なガイダンスを提供するものと思われる(Troughton et al. 2000)。
【0006】
しかしながら、国際公開公報第87/06938号、国際公開公報第00/35951号、国際公開公報第91/00292号、米国特許第5,786,163号、欧州特許第648 228 B1号、国際公開公報第00/45176号、国際公開公報第00/19207号、米国特許第6,124,430号、欧州特許第542 255 B1号に開示されているものまたは商用のものなどの、先行技術の診断方法は、一度に単一のペプチド(ANP、BNP、NT-プロANPまたはNT-プロBNP)を測定することを目的としているだけであり、その測定をすることができるだけである。例えば、先行技術はナトリウム利尿ペプチドを測定するアッセイ法でANP受容体またはNPRA(GC-A)受容体の使用について開示しているが、しかしナトリウム利尿ペプチドの同時測定については少しも開示していない。米国特許第5,747,274号は、それぞれが異なるマーカーに特異的な、少なくとも3種の異なるモノクローナルまたはポリクローナル抗体の対を用いた少なくとも3種の心疾患マーカーの同時検出について開示している。その結果として、これらのアッセイ法は複数の結果を生じてしまう。したがって、当技術分野においては、心不全などの心臓の機能障害を検出するかまたは診断するための高信頼性で高感度だが比較的安価で単純な手段が依然として必要とされている。
【0007】
したがって、本発明はプロANP由来およびプロBNP由来の両ペプチドを同時にアッセイすることによりANPおよびBNPホルモン系の活性化または不活性化を検出する試験方法を提供する。プロANPおよびプロBNP由来の両ペプチドは同一試料中で、同時にアッセイされてもよい。この方法は単一の結果をもたらし、先行技術の方法よりも行うことが簡単である。さらに、本アッセイ方法は先行技術の方法よりも高い感度を示す。さらに、患者が心不全の初期または後期にあるかを問わず、本試験は高信頼性の試験結果を与える顕著な能力を有する。それ自体で同時に行われる、本発明の単一のアッセイ形式は利用可能な試験に代わるいっそう安価でいっそう費用効率が高い手段を提供し、したがってANPおよびBNP両ホルモン系の活性化または不活性化の高信頼性の測定を可能にする。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
したがって、本発明は心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)ホルモン系の活性化または不活性化を判定するインビトロの方法であって、試料中の心房性および脳性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモン(プロANPおよびプロBNP)またはその断片の存在または量を同時に検出する段階を含む方法を提供する。
【0009】
本発明は同様に以下を提供する:
-以下を含む薬剤:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)、NT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
-その薬剤をコードする配列または相補配列を含む、ポリヌクレオチド:
-そのポリヌクレオチドを含む、発現ベクターおよび宿主細胞;
-以下の段階を含む、ポリペプチド薬剤の産生方法:
(a) ポリペプチドの発現をもたらす条件の下で宿主細胞を培養する段階; および任意で
(b) 発現したポリペプチドを回収する段階;
- (a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)、NT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片
に特異的に結合する物質を同定する方法であって、
以下の段階を含む方法:
(A) 特異的結合を可能とする条件の下で(a)および(b)と候補物質を接触させる段階; ならびに
(B) 候補物質が(a)および(b)に結合するかどうかを判定する段階;
-以下の両者に結合できる、抗体、その断片または誘導体:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)もしくはNT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片
-抗体の作製方法;
-抗体を含む、固体支持体。
【0010】
本発明はさらに、心不全の治療を診断するおよび/またはモニタリングする方法ならびにそのような方法で用いる診断キットを提供する。
【0011】
本発明の詳細な説明
本発明は心臓病、具体的には、心不全の治療を診断するおよび/またはモニタリングするのに有用となる新たな試験方法に関し、ならびにその方法で用いる成分およびキットに関する。この方法は個体での心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)ホルモン系および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)ホルモン系の活性化または不活性化の検出を同時に可能にする。単一試験法が使われてもよい。全体として、この方法では、個体から得られた適当な生体試料においてA型およびB型ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドの存在および/または量を同時にアッセイする。
【0012】
用語および省略
プロANPとは心房性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンのことである。
プロANPはN末端断片の切断によって成熟した心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)にプロセッシングされる。ヒトプロANPは126アミノ酸を有する(プロANP1-126)。
SEQ ID NO:1

【0013】
ANPとは心房性ナトリウム利尿ペプチドのことである。
ヒトANPはそのプロホルモンのアミノ酸番号99から126(プロANP99-126)によって形成される。
SEQ ID NO:2

【0014】
NT-プロANPとはプロANPのN末端断片のことである。
ヒトプロANPのN末端断片はアミノ酸番号1から98(プロANP1-98)によって形成される。
SEQ ID NO:3

【0015】
プロBNPとは脳性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンのことであり、
プロBNPはN末端断片の切断によって成熟した脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)にプロセッシングされる。ヒトプロBNPは108アミノ酸を有する(プロBNP1-108)
SEQ ID NO:4

【0016】
BNPとは脳性ナトリウム利尿ペプチドのことである。
ヒトBNPはそのプロホルモンのアミノ酸番号77から108(プロBNP77-108)によって形成される。
SEQ ID NO:5

【0017】
NT-プロBNPとはプロBNPのN末端断片のことである。
ヒトプロBNPのN末端断片はアミノ酸番号1から76(プロBNP1-76)によって形成される。
SEQ ID NO:6

【0018】
プロXNPとはプロANPおよびプロBNPの両者に由来するかまたは起源があるアミノ酸配列を含んだ本発明の薬剤のことである。
XNPとはANPとBNPの両者に由来するかまたは起源があるアミノ酸配列を含んだ本発明の薬剤のことである。
NT-プロXNPとはNT-プロANPとNT-プロBNPの両者に由来するかまたは起源があるアミノ酸配列を含んだ本発明の薬剤のことである。
NT-プロXNP1とはプロBNP15-24およびプロANP82-96から形成される本発明の薬剤のことである。
NT-プロXNP2とはプロBNP1-37およびプロANP29-98から形成される本発明の薬剤のことである。
NT-プロXNP3とはプロBNP10-29およびプロANP20-80から形成される本発明の薬剤のことである。
NT-プロXNP4とはプロBNP1-76およびプロANP1-98から形成される本発明の薬剤のことである。
NT-プロXNP5とはプロBNP10-29およびプロANP60-80から形成される本発明の薬剤のことである。
プロXNP6とはプロBNP15-108またはその部分配列およびプロANP1-126またはその部分配列から形成される本発明の薬剤のことである。
XNP7とはプロBNP77-92またはその部分配列およびプロANP112-126またはその部分配列から形成される本発明の薬剤のことである。
【0019】
変異ポリペプチド
ポリペプチドの変異体について本明細書のなかで言及する。例えば、本発明の結合物質および薬剤に関する記述のなかで、プロANP、ANP、NT-プロANP、プロBNP、BNPおよびNT-プロBNPの変異体について言及する。GC-A、GC-BおよびGC-C受容体ポリペプチドの変異体についても言及する。
【0020】
「変異体」という用語は、該当するポリペプチドと同じ本質的特性または該当するポリペプチドの基本的な生物学的機能性を有するポリペプチドのことを指す。したがって変異体は通常、そのポリペプチドの1種または複数種の活性を補完することができる。通常、変異体はそのポリペプチドの配列の全部または一部に相同的なアミノ酸配列を含む。一般に、(相同)変異体は、例えば、少なくとも15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400またはそれ以上の連続アミノ酸の領域に対し、所定の配列と70%を超える同一性、好ましくは少なくとも75%もしくは80%または少なくとも90%、および特に好ましくは少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%の同一性があるアミノ酸配列を有する。変異体には、そのペプチドが対象ポリペプチドの基本的な生物学的機能性を維持している限り、対立遺伝子変異体、種相同体およびそのタンパク質配列内での一アミノ酸またはアミノ酸群の欠失、修飾または付加が含まれてもよい。
【0021】
対立遺伝子変異体とは、例えば、ヒトで生まれながらに存在しうる変異体であって、該当するポリペプチドと実質的に同様の方法で機能しうる変異体とすることができる。同様に、タンパク質の種相同体とは他の種で生まれながらに存在する等価なタンパク質であって、所定のポリペプチドの基本的な生物学的機能を保持する等価なタンパク質とすることができる。すなわち、例えば、生体試料中で検出できるものなどの、天然由来のまたは天然のポリペプチド変異体は、他の公知のポリペプチドの対立遺伝子変異体または種相同体とすることができる。
【0022】
対立遺伝子変異体および種相同体は、例えば、適切な種の細胞から作製したライブラリーを、対立遺伝子変異体または種変異体をコードするクローンを得るのに適したプローブを用いてプロービングすることにより得ることができる。このクローンを従来の技術により操作して、それ自体は公知の組換えまたは合成技術によって産生できるポリペプチドを作り出すことができる。
【0023】
変異体には該当するポリペプチドよりも長さが長いポリペプチドが含まれてもよい。変異体は少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400アミノ酸から、例えば、500、1000または2000までのアミノ酸を含んでもよくまたはそのアミノ酸からなってもよい。
【0024】
変異体は融合タンパク質であってもよい。
【0025】
変異体にはアミノ酸置換、例えば、1個、2個もしくは3個から10個、20個もしくは30個(または10個、20個、30個もしくは40個から50個、60個もしくは70個)の置換が含まれてもよい。この修飾ポリペプチドは一般に、対象ポリペプチドの1種または複数種の活性を補完する能力および/または対象ポリペプチドの抗原活性を保持する。例えば、下記の表にしたがって、同類置換が行われてもよい。第2列の同一ブロック中のアミノ酸および好ましくは第3列中の同一ライン上のアミノ酸が相互に置換されてもよい。

【0026】
さらに短いポリペプチド配列または断片は本発明の範囲内である。例えば、長さが少なくとも2アミノ酸、5アミノ酸、10アミノ酸、12アミノ酸、15アミノ酸、17アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸のまたは30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、60アミノ酸、70アミノ酸、80アミノ酸、100アミノ酸、200アミノ酸、300アミノ酸、400アミノ酸もしくは500アミノ酸までのペプチド(対象ポリペプチドのサイズに依存する)は、これが対象ポリペプチドの基本的な生物学的機能性を示す限り、本発明の範囲内に入るものと考えられる。具体的には、本発明のこの局面はタンパク質が完全なタンパク質配列の断片であって、ペプチド結合領域またはエピトープなどの、他の分子または実体に対する結合部位に相当しうる状況を包含するが、これに限定されることはない。そのような断片は対象ポリペプチドのその他の機能を保持していてもまたは保持していなくてもよい。
【0027】
本明細書のなかで言及する変異ポリペプチドは全体として、該当するポリペプチドの基本的な生物学的機能性を保持している。この変異体は対象ポリペプチドの1種または複数種の天然の生物活性または生物機能を保持していてもよい。
【0028】
具体的には、本明細書のなかで言及する変異体は全体として、該当するポリペプチドの1種または複数種の結合特性を保持している。あるいはまたさらには、この変異体は対象ポリペプチドの抗原活性を保持していてもよい。
【0029】
1つの態様では、変異体は対象ポリペプチドの結合特性または認識特性の少なくとも1つを示す。具体的には、変異体は対象ポリペプチドに結合できる生成物、例えば、リガンド、受容体または抗体に結合することができてもよい。すなわち、例えば、ANPまたはBNPの変異体はGC-A受容体に結合することができてもよい。同様に、GC-AまたはGC-B受容体の変異体はANPまたはBNPを結合してもよい。通常、変異体は該当するポリペプチドが生成物に結合する親和性の少なくとも70%、80または90%、例えば、95%、97%または99%などの、少なくとも60%である親和性で生成物を結合する。適当な結合アッセイ法は当技術分野において公知である。
【0030】
所定のポリペプチドの特定の活性または結合特性を有する変異体は、例えば、ポリペプチドのライブラリーからそのような活性または特性に基づいて同定されてもよい。
【0031】
さらなる態様では、変異ポリペプチドは対象ポリペプチドの抗原特性を保持していてもよい。そのような変異体は、例えば、被験体において免疫反応を引き起こすことができてもよい。この免疫反応は抗体媒介性であってもおよび/またはT細胞媒介性のような細胞媒介性であってもよい。すなわち、変異体は対象ポリペプチドに特異的でありかつ結合する抗体を産生させることができてもよい。免疫反応を引き起こすためのペプチドは、典型的には動物モデルでの免疫研究によって同定されてもよい。例えば、候補ペプチドが動物に投与されてもよく、その後、そのペプチドに特異的である生じた抗体またはT細胞反応が判定されてもよい。ペプチドを動物に投与後に生じた抗血清について、そのペプチドを結合するまたは対象ポリペプチドを結合する能力がないか評価されてもよい。
【0032】
所定のポリペプチドの結合特性の少なくとも1つを有する変異体は、そのポリペプチドの少なくとも1つの結合領域を含んでもよい。そのような結合領域は一般に、受容体または抗体などの他の生成物とのポリペプチドの結合を媒介する。この結合領域は所定のポリペプチドの外側または内側にあってもよい。このように、変異体には該当するポリペプチドの結合部位、エピトープまたは抗原断片が含まれてもよい。変異体中の結合領域は、該当するポリペプチド中において結合領域が有する高次構造を保持していることが好ましい。1つの局面では、変異体は断片である。例えば、この断片は長さが少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも10アミノ酸、例えば、少なくとも12アミノ酸もしくは15アミノ酸または最大で20アミノ酸、30アミノ酸もしくは40アミノ酸であってもよい。最大で60アミノ酸、90アミノ酸、100アミノ酸または200アミノ酸などのさらに長い断片が使用されてもよい。そのような断片は対象ポリペプチドの細胞機能または細胞活性を別の方法で示さなくてもよい。
【0033】
ANPおよびBNP
心房性ナトリウム利尿ペプチドANPおよびBNPならびにA型およびB型ナトリウム利尿ペプチドプロホルモン(プロANPおよびプロBNP)のN末端断片(NT-プロANPおよびNT-プロBNP)は、心臓が圧力または容量過負荷にさらされると、循環血液に放出される。それらの機能は負荷を低減して心臓を保護することである。心臓は2種の別個の生物学的に活性なナトリウム利尿ペプチド(ANPおよびBNP)であって、各々がそれぞれの遺伝子に由来しかつ別々に制御されるペプチドを産生するという事実にもかかわらず、それらの生物学的作用は標的細胞に対し単一の受容体GC-A (NPRA)によって媒介される(Drewett et al. 1994)。ANPおよびBNP両ホルモン系の活性化とはANPおよびBNP両遺伝子もしくは産生の上方制御または血漿濃度の増加のことを指すのに対し、ANPおよびBNP両ホルモン系の不活性化とはANPおよびBNP両遺伝子もしくは産生の下方制御または血漿濃度の減少のことを指す。
【0034】
心臓の圧力および容量過負荷では、ANP遺伝子の発現ならびにANPおよびNT-プロANPの血中濃度は心臓の前負荷の増加によって主に引き起こされるのに対し、BNP遺伝子の発現ならびにBNPおよびNT-プロBNPの血中濃度は後負荷の増加に主に感受性である(Yoshimura et al. 1993; Yasue et al. 1994)。さらに、ANPおよびBNP遺伝子は心臓の異なる心室中で別々に制御されている(Dzimiri et al. 2002)。血漿ANPまたはNT-プロANP濃度の上昇は心房過負荷、例えば、頻脈と関係しており、その一方でBNPおよびNT-プロBNPは心室過負荷、例えば、大動脈弁狭窄症のより良い指標となっている。著しく上昇したANPおよびBNP(ならびにNT-プロANPおよびNT-プロBNP)両者の血中濃度は拡張型心筋症で見られるように、混合型の心房および心室過負荷を示唆するものである。このように、生理学的および病態生理学的状況では、ANPおよびBNPにより媒介される情報は標的細胞膜に集中して、共通の細胞内シグナル伝達カスケードを引き起こす。既に触れたように、既存のアッセイ法では1度に分析物(ANP、BNP、NT-プロANPまたはNT-プロBNP)のうちの1つを測定している。心臓病の診断におけるナトリウム利尿ペプチドの長所は高い陰性適中率にあるので、本発明におけるANPおよびBNP(またはNT-プロANPおよびNT-プロBNP)のコンビネーションアッセイ法は、分析物のいずれかを単独でアッセイすることで得られるものに対して付加価値を付けるはずである。ANPおよびBNP(またはNT-プロANPおよびNT-プロBNP)の連続的アッセイ法は、品質管理のための倍の労力を含めて、不必要に複雑であり、それほど費用効率が高くないであろう。
【0035】
本発明は体内で働いている生理的調節系を模倣することにより、A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する比例的に累積しているペプチド濃度の簡単な同時測定手段によってANPおよびBNPホルモン系のそれぞれの活性化または不活性化から得られる情報を組み合わせることができる新たな診断方法およびその用途を提供する。
【0036】
試験方法
本発明は心不全などの心臓病を診断するおよび評価するのに適した新しくて感度の高い方法であって、ANPおよびBNPホルモン系の活性化または不活性化を判定する方法を提供する。本発明の方法は適当な生体試料中のプロANP、プロBNPおよびその断片の混合レベルの検出またはモニタリングに重点を置いている。この方法によれば、プロANPおよびプロBNPの両者に由来するかまたは起源があるペプチドが所定の試料において同時にアッセイされてもよい。1つの態様では、この方法は診断目的のスクリーニングにまたは治療のモニタリングに使用されてもよい。
【0037】
プロANPおよびプロBNPに由来するペプチドには、プロANPおよびプロBNPに加えてNT-プロANP、ANP、NT-プロBNP、BNPも含まれる。試料には、例えば、タンパク質分解によりそれらのプロホルモンに同じく由来する他のペプチドが含まれてもよい。例えば、他のペプチドにはプロANP1-30、プロANP31-67またはプロANP79-98が含まれてもよい。すなわち、1つの態様では、プロANP、NT-プロANP、ANP、プロBNP、NT-プロBNPおよびBNP、ならびに任意で他の派生ペプチドのいずれかの組合せがその方法でアッセイされてもよい。1つの態様では、試料にはプロBNP由来ペプチドなしでプロANP由来ペプチドが含まれてもよくまたは逆の場合も同じである。
【0038】
それらのペプチドは同時に検出されるので、単一の測定値または結果が必要とされるだけである。その方法は心不全のような心臓の機能障害の検出およびその危険性の評価に、ならびに心不全に対する治療の評価に適している。したがって、その方法は先行技術の方法よりも高感度であり、安価であって行いやすい。
【0039】
本発明においてアッセイされるペプチドは、一般集団では正常な基準レベルで存在している。ANPおよびBNP系の活性化は、その混合ペプチドレベルがこの正常な基準レベルを超える場合に起こるものと考えられる。したがって、いずれかの特定のアッセイ形式では、その結果によって基準レベルよりも定性的にまたは定量的に高いペプチドレベルが示されるならば、それらの系の活性化が示唆される。例えば、アッセイ法は、本発明の薬剤を用いて較正されてもよく、その結果、アッセイ法における特定の測定値が正常なペプチドレベルに相当することが分かる。またはアッセイ法は、正常または基準レベルのペプチドでは無視できるまたは重要でない結果となるようなものであってもよい。
【0040】
例えば、恐らく治療に応じて心不全後のANPおよびBNP系の不活性化は、その混合ペプチドレベルが初期の心臓事象に伴う高いレベルから低下する場合に起こる。連続的なアッセイ法を行うことにより、ペプチドレベルの定性的または定量的減少を検出することが可能になるはずである。同様に減少率を測定することやしたがって所定の治療の有効性を評価することが可能になるはずである。
【0041】
本方法はプロANP由来およびプロBNP由来の両ペプチドを同時に検出することができる。個別的なペプチドレベルの実際の変化は、例えば、A+およびB+、A+およびB-、A-およびB+またはA-およびB-(AがプロANP由来ペプチドのレベルに相当し、BがプロBNP由来ペプチドのレベルに相当する場合)であってもよい。
【0042】
本アッセイ方法は定性的または定量的であってもよい。例えば、本発明の薬剤が競合的アッセイ法において競合的抗原として使われる場合には、定量的アッセイ法が可能である。
【0043】
全体として、本方法はプロANP由来およびプロBNP由来の両ペプチドを結合できる第1の結合物質と試料を、そのような結合が生じることを可能とする条件の下で接触させる段階を含む。次いで、第1の結合物質とそのようなペプチドとの間で形成されたいずれかの結合複合体を検出する。適当な検出手段は当技術分野において公知であり、以下にさらに詳細に記述されている。
【0044】
検出されるペプチドは上記のとおりである。1つの局面では、それらは天然由来のペプチドである。これらのペプチドはANPおよびBNP系の活性化または不活性化の指標となる。第1の結合物質は本明細書において定義されるとおりである。
【0045】
1つの態様では、第1の結合物質は本明細書において定義される二重特異的またはオリゴ特異的結合物質である。そのような結合物質はプロANP由来およびプロBNP由来の両ペプチドに結合することができる。1つの態様では、この第1の結合物質は、本発明の薬剤が例えば、競合的結合アッセイ法において競合的抗原としてアッセイ法に使用されない場合、アッセイ法に使用される。第1の結合物質と試料中のそれらのペプチドとの間の結合複合体が検出されてもよく、活性化または不活性化が前述のとおり測定されてもよい。
【0046】
1つの局面では、本方法は本明細書において記述される本発明の薬剤(XNP、プロXNPまたはNT-プロXNP)と試料を接触させる段階をさらに含む。この薬剤はプロANPおよびプロBNPの両者に由来するかまたは起源があるペプチドを含み、それは第1の結合物質に結合することができる。そのような薬剤は本アッセイ法を較正するための標準物質として使用されてもよい。その薬剤は競合的アッセイ法において競合的抗原として使用されてもよい。したがって、所定の試料中のペプチドレベルは薬剤の濃度という点で表現されてもよい。適当なアッセイ形式、検出および定量化手段は当技術分野において公知であり、以下にさらに詳細に記述されている。
【0047】
本発明の方法は一般に、試料、通常は生体試料に適用される。通常は、この試料はヒトなどの、個体由来の身体の試料であることが知れているまたは疑われているものである。試料は個体または患者から採取されたものであってもよい。この試料には体液、例えば、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液またはA型およびB型ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドが存在している可能性のある他の生体液が含まれてもよい。この試料はヒト試料であってもよい。1つの態様では、この試料は標準的または日常的な手順を用いて個体または患者から得ることができる。したがって、この試料はアッセイ法を診断スクリーニングまたは治療のモニタリングもしくは評価に使用できるようなものであってもよい。1つの局面では、この試料は現存する個体または被験体から得ることができる。
【0048】
試料は、これが本方法に使用される前に処理されてもよい。例えば、これは典型的には水、生理食塩水または緩衝液を含有する生理食塩水(これらの希釈液のいずれかには界面活性剤がさらに含まれてもよい)で希釈されてもよい。
【0049】
通常、本方法は水溶液中で行われる。しかしながら、特定の態様では(そのうちのいくつかは以下に論じられる)、第1の結合物質または薬剤は固体支持体中に固定化されてもよい。典型的には、そのような支持体はマイクロタイタープレートのウェルの表面などの、本方法が行われている容器の表面である。他の態様では、支持体はシート(例えば、ニトロセルロースもしくはナイロンシート)またはビーズ(例えば、セファロースもしくはラテックス)であってもよい。
【0050】
1つの態様では、固体支持体は粒子、尿試験紙またはマイクロタイタープレートである。ELISAプレートが使用されてもよい。
【0051】
第1の結合物質または薬剤が検出可能な標識で標識されてもよい。適当な標識の例は本明細書において記述されている。
【0052】
原理的には、いずれかの適当なアッセイ技術は本発明のなかで利用されてもよい。例えば、適当な方法にはイムノアッセイ法、つまり未標識もしくは標識の抗原もしくはその類似体(イムノアッセイ法)、またはその抗原もしくは類似体を認識する標識もしくは未標識の結合物質(イムノメトリックアッセイ法および受容体結合アッセイ法)をそれぞれ利用する、競合的と非競合的双方の抗体結合法が含まれる。サンドイッチアッセイ法が使用されてもよい。
【0053】
使用できるイムノアッセイ法にはユーロピウム蛍光イムノアッセイ法(FIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、イムノラジオメトリックアッセイ法、酵素イムノアッセイ法、イムノエンザイモメトリックアッセイ法、時間分解フルオロイムノアッセイ法、イムノフルオロメトリックアッセイ法、化学発光イムノアッセイ法(CLIA)、陽極または陰極の電気化学発光イムノアッセイ法、各種のドライケミストリー試験ストリップアッセイ法、粒子ベースのイムノアッセイ法、表面プラスモン共鳴、弾性表面波および表面増感ラマン分光法に基づくアッセイ法などの、直接的な無標識のイムノアッセイ法、2つの異なる標識を用いる近接アッセイ法などの均一系イムノアッセイ法、チップ技術、アレイ技術、粒子増強イムノアッセイ法ならびにその他の粒子によるイムノアッセイ法、一重と二重両サイズの標識または未標識の粒子(both single and dual size labelled or unlabelled particles)によるイムノアッセイ法が含まれる。ラテックスおよび金は、異なる形式で、使用される粒子の例として言及することができる。比濁および比朧測定も可能なアッセイ形式である。
【0054】
クロマトグラフィック膜技術が本発明を実践するための形式として使われてもよい。クロマトグラフィック膜試験には、側方および流水式双方の試験が含まれる。使われる試薬は膜上に永続的にまたは非永続的に固定化されており、膜上でそれらは異なる試験領域、すなわち、試薬、試験、対照などのための1箇所または複数箇所の領域においてかなり異なる役割がある。固定化される試薬は結合物質、本発明の薬剤、抗-結合物質抗体、抗-分析物抗体、抗-薬剤抗体または標識とすることができる。
【0055】
試料中のペプチドとのまたは薬剤との第1の結合物質の結合複合体は、第2の結合物質を用いて検出されてもよい。例えば、第2の結合物質は上記に掲載されているものなどの検出可能な標識をそれ自体が持つ抗体であってもよい。第2の結合物質は第1の結合物質の複合体の沈殿を引き起こすかまたは別の方法でその複合体を固定化し分離する物質であってもよい。
【0056】
これから、本方法の特定の態様をさらに詳細に記述することとする。
(a) 1つの態様では、抗原として標識プロXNP薬剤を、A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドとその薬剤の両方を認識する第1の結合物質として抗体とともに使用する。そのような方法では、既知の一定量の標識薬剤を未知量の非標識抗原、すなわち、測定されるペプチド分析物を含有する試料に添加する。標識および非標識の両抗原は、例えば、競合的に第1の結合物質に結合するので、添加した既知量の薬剤と比べて、結合した標識薬剤の量の測定値を利用して、どのくらいの量の非標識抗原が試料中に存在しているかを測定することができ、したがって、ANPおよびBNP両系の活性化または不活性化を比例的に累積しているA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドの程度として反映させることができる。
【0057】
(b) 他の好ましいタイプの方法では、標識された第1の結合物質を使用する。そのような方法では、標識された第1の結合物質とA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドとの複合体をアッセイして、試料中のA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する比例的に累積しているペプチドの量の程度を与える。具体的な事例は、第1の結合物質をナトリウム利尿受容体GC-Aまたはその断片もしくは伸長体、A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドと薬剤を認識する二重特異的、オリゴ特異的もしくは二官能性抗体とできる事例である。
【0058】
(c) さらなるタイプの方法は、結合物質に対する標識抗体の使用に依存しており、その抗体は、結合物質が抗体を含む場合に使われる一次または二次抗体とは異なる動物種で産生させることができる。
【0059】
(d) さらなる方法は(i) 標識された第1の結合物質を含むまたは標識薬剤を含む、薬剤および第1の結合物質と試料を接触させる段階; ならびに(ii) A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドと薬剤を認識する結合物質に対する非標識薬剤または標識薬剤との標識された第1の結合物質の結合を検出する段階および/または定量的に測定する段階を含む。
【0060】
(e) 1つの方法はA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドを含むことが知れているまたは疑われている試料を(任意の順序で): (i) A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドと本発明の薬剤の両方を認識する第1の結合物質; および(ii) 既知量の標識薬剤であって、抗原として作用し、その標識が試料中に存在するA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する非標識ペプチドの量に依存する量でその結合物質に結合されるような標識薬剤と接触させる段階; ならびに結合および/または非結合標識の量を試料中のA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する比例的に累積しているペプチドの非標識レベルの程度としてアッセイする段階を含む。
【0061】
(f) 従来型のイムノアッセイ方法(例えば、ラジオイムノアッセイ法)では以下の段階を含むことができる:
(i) A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドと本発明の薬剤の両方を認識し結合する標識されていない第1の結合物質を固体支持体上に固定化する段階;
(ii) A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する標的の天然ペプチドを含むまたは含むと疑われる試料を、固定量の標識薬剤とともに、固定化されている結合物質に結合しようとA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドと標識薬剤が自由に競合できるように添加する段階;
(iii) 固定化された(結合された)物質を固定化されていない(結合されていない)物質から分離する段階;
(iv) 結合物質に結合した標識薬剤の量を測定する段階; ならびに
(v) アッセイしている試料中のA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する比例的に累積しているペプチドの濃度を測定するため、既知濃度の薬剤を含むキャリブレーターを用いて得られたシグナルと試験試料のアッセイ混合物中の結合または未結合の標識薬剤の量を比較する段階。
【0062】
(g) または、方法(f)は溶液中で行うことができ、その際には、第2の結合物質を利用して、第1の結合物質-抗原複合体を沈殿させるかまたは別の方法でその複合体を固定化し分離することができる。この典型的な例は以下の段階を含む:
(i) 検出されるA型およびB型のナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドを含むまたは含むと疑われる試料を、固定量の本発明の標識薬剤の存在下で、本発明によるA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドを認識するかまたはそのペプチドに結合する第1の結合物質と接触させる段階;
(ii) 結果的に生じた混合物を第1の結合物質に結合する固定化された第2の結合物質と接触させる段階;
(iii) 固定化された物質を固定化されていない物質から分離する段階; および
(iv) アッセイしている試料中のA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する比例的に累積しているペプチドの濃度を測定するため、既知濃度の新規薬剤を含むキャリブレーターを用いて得られた量と固定化されたまたは固定化されていない物質中の標識薬剤の量を比較する段階。
【0063】
(h) 固定化された非標識薬剤の使用を採用するイムノメトリックアッセイ法も想定されるものであり、この典型的な例は以下の段階を含む:
(i) 本発明の非標識薬剤を固体支持体上に固定化する段階;
(ii) A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する標的ペプチドを含むまたは含むと疑われる試料を、本発明によるA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドを認識する標識された結合物質の固定量とともに、試料中のA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドが、標識された結合物質に対し、固定化された本発明の薬剤と自由に競合できるように添加する段階;
(iii) 固定化された本発明の薬剤に結合していない、A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドを認識する標識された第1の結合物質を分離する段階;
(iv) 固定化された本発明の薬剤に結合した標識結合物質の量を測定する段階; ならびに
(v) アッセイしている試料中のA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する比例的に累積しているペプチドの濃度を測定するため、既知濃度の本発明の薬剤を含むキャリブレーターを用いて得られた活性と試験試料のアッセイ混合物中の固定化されたまたは固定化されていない標識結合物質の量を比較する段階。
【0064】
このように、本発明は試料中のA型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来する比例的に累積しているペプチドの濃度の測定方法であって、ANPおよびBNP両系の活性化または不活性化を示す方法を提供する。
【0065】
第1の結合物質
本方法によれば、プロANPおよびプロBNPの両者に由来するペプチドが所定の試料において同時にアッセイされてもよい。前述のように、プロANPおよびプロBNPに由来するペプチドには、プロANPおよびプロBNPに加えてNT-プロANP、ANP、NT-プロBNP、BNPも含まれる。試料には、例えば、タンパク質分解によりそれらのプロホルモンに同じく由来する他のペプチドが含まれてもよい。例えば、他のペプチドにはプロANP1-30、プロANP31-67またはプロANP79-98が含まれてもよい。すなわち、1つの態様では、プロANP、NT-プロANP、ANP、プロBNP、NT-プロBNPおよびBNP、ならびに任意で他の派生ペプチドのいずれかの組合せがこの方法でアッセイされてもよい。
【0066】
本アッセイ法では前述のペプチドなどの、A型およびB型の両ナトリウム利尿ペプチドプロホルモンに由来するペプチドを認識するまたはそのペプチドに結合する第1の結合物質を使用する。すなわち、この物質は両プロホルモンの断片を含めて、プロANPおよびプロBNPの両者にまたは変異体に結合することができる。1つの態様では、第1の結合物質は両セットのペプチドを等しい親和性で結合しなくてもよい。この結合物質は天然由来のプロANP、ANPもしくはNT-プロANPに結合してもよくおよび/または天然由来のプロBNP、BNPもしくはNT-プロBNPに結合してもよい。例えば、これはSEQ ID No 1、2もしくは3およびSEQ ID No 4、5もしくは6に結合してもよく、またはこれはその対立遺伝子変異体もしくは種相同体に結合してもよい。あるいはまたさらには、この物質は上記の配列のいずれかの1つまたは複数の断片、例えば、エピトープ、抗原断片または結合部位を含む断片に結合してもよい。そのような断片は以下にさらに詳細に論じられている。
【0067】
1つの局面では、第1の結合物質は以下の両者に結合することができる:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)の相同変異体; または
(iii) (i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)もしくはNT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)の相同変異体; または
(iii) (i)もしくは(ii)の断片。
【0068】
変異体および断片は本明細書において定義されるとおりである。
【0069】
1つの態様では、相同変異体(ii)は(i)に対し少なくとも70%の同一性を有し、および/または断片(iii)は長さが少なくとも6アミノ酸である。1つの局面では、相同変異体(ii)は(i)の種相同体または対立遺伝子変異体である。
【0070】
1つの態様では、本発明による結合物質はANPのアミノ酸番号7から23および/もしくはBNPのアミノ酸番号10から26またはその変異体を含むペプチドまたはそれらからなるペプチドに結合することができる。これらのペプチド領域はその天然分子中の保存された環構造を形成する。
【0071】
結合物質はプロANPおよび/またはプロBNPのエピトープに結合してもよい。例えば、適当なエピトープにはBNPのアミノ酸番号5〜13、1〜10、15〜25および27〜32ならびにNT-プロBNPのアミノ酸番号65〜76および1〜13またはその変異体が含まれる。
【0072】
1つの態様では、結合物質はプロBNP1-37、プロBNP15-24、プロBNP10-29、プロBNP77-92、プロBNP1-108、プロANP29-98、プロANP82-96、プロANP20-80、プロANP60-80、プロANP1-126およびプロANP112-126またはその変異体より選択される1つまたは複数のペプチドに結合することができる。例えば、結合物質はプロBNP15-24とプロANP82-96の両者に、プロBNP1-37とプロANP29-98の両者に、プロBNP10-29とプロANP20-80の両者に、プロBNP10-29とプロANP60-80の両者に、プロBNP1-108とプロANP1-126の両者にまたはプロBNP77-92とプロANP112-126の両者に結合することができてもよい。例えば、本発明による結合物質はNT-プロXNP1(SEQ ID NO:13)、NT-プロXNP2(SEQ ID NO:14)、NT-プロXNP3(SEQ ID NO:15)、NT-プロXNP4(SEQ ID NO:17)、NT-プロXNP5(SEQ ID NO:18)、プロXNP6(SEQ ID NO:19)またはXNP7(SEQ ID NO:20)に結合してもよい。
【0073】
本発明の結合剤を使用する本発明のそれらの態様では、第1の結合物質は結合剤に結合することもできる。
【0074】
結合を判定するのに適した結合アッセイ法は当技術分野において公知である。通常、第1の結合物質は、これが本明細書において記述されているものなどの結合および検出アッセイ法で使用可能とされる程度に所定のペプチドに結合することができる。例えば、適当な結合物質は所定のペプチドに特異抗体の結合親和性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%で結合してもよく、またはその物質は所定のペプチドにナトリウム利尿受容体GC-Aの、例えば、ANPもしくはBNPに受容体GC-Aの結合親和性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%で結合してもよい。
【0075】
本明細書において用いる第1の結合物質とは、単一の物質または物質の混合物のことであってよい。適当な結合物質は、例えば、二重特異的またはオリゴ特異的な特性を有する、受容体もしくは抗体、またはその断片もしくは誘導体、あるいはその混合物であってよい。
【0076】
1つの局面では、本発明の薬剤も使用される態様において、結合物質の混合物が第1の結合物質として使用される。混合物には単一特異的な、二重特異的なおよび/またはオリゴ特異的な結合物質が含まれてもよい。本方法によってプロANP由来およびプロBNP由来のペプチドの検出を可能とする、結合物質の任意の適当な組成物が使用されてもよい。プロANP由来のペプチドに特異的な結合物質およびプロBNP由来のペプチドに特異的な結合物質が任意の適当な割合で存在してもよい。例えば、それらは等しい量でまたは等しい結合能で存在してもよい。あるいは、それぞれが、例えば、他方の2倍、3倍、4倍、5倍から最大で10倍の量でまたは結合能で存在してもよい。1つの態様では、プロANP由来のペプチドに特異的な結合物質、例えば、抗体およびプロBNP由来のペプチドに特異的な結合物質、例えば、抗体の1:1混合物がアッセイ法で使用されてもよい。
【0077】
アッセイ法に本発明の薬剤が含まれない態様では、第1の結合物質は単一の二重特異的またはオリゴ特異的な結合物質であることが好ましい。すなわち、そのような態様で用いる第1の結合物質は、結合時に二官能性またはオリゴ官能性である単一の物質であってよい。その単一の物質は上記に示した第1の結合物質の結合親和性を有する。それは、例えば、2つまたはそれ以上のリガンド結合部位を有していてもよく、あるいは2つまたはそれ以上のリガンドがその物質中の1部位に同じまたは異なる親和性で結合してもよい。例えば、そのような物質には受容体もしくは抗体またはどちらかの断片が含まれてもよい。
【0078】
(a) 受容体
適当な受容体の例はナトリウム利尿受容体GC-Aである。ヒトGC-Aの配列はアクセッション番号P16066(SEQ ID NO:33)の下で見つけられる。この受容体またはその断片、伸長体もしくは誘導体は当業者に公知の方法によって産生させることができる(Misono et al., 1999)。手短に言えば、この受容体の細胞外リガンド結合ドメイン(SEQ ID NO:34)は、ヒトANPおよびBNPの両者を結合するのに必要とされるアミノ酸配列をコードするDNA配列を適当な原核生物用または真核生物用発現ベクターにクローニングし、このベクターを適切な宿主細胞中に形質移入し、この宿主細胞を適当な培地中で増殖させて、その組換えタンパク質を回収することにより産生されてもよい。この受容体由来の配列を酵素消化によって放出し、これをアフィニティークロマトグラフィーおよび逆相HPLCで精製し、これをペプチドマッピングおよび配列決定により同定してもよい。
【0079】
GC-B受容体(アクセッション番号P20594、SEQ ID NO:35)またはANPrecCまたはクリアランス受容体(アクセッション番号P17342、SEQ ID NO:36)が結合物質として機能することもできる。
【0080】
このように、1つの態様では、第1の結合物質には以下が含まれてもよい:
(a) ナトリウム利尿受容体GC-A(SEQ ID NO:33)、GC-B(SEQ ID NO:35)もしくはGC-C(SEQ ID NO:36);
(b) (a)の相同変異体; または
(c) (a)もしくは(b)の断片。
【0081】
1つの局面では、第1の結合物質にはナトリウム利尿受容体GC-Aの細胞外結合ドメイン(SEQ ID NO:34)またはその断片の相同変異体が含まれる。
【0082】
上記の結合物質のいずれかの伸長体または誘導体が使用されてもよい。すなわち、例えば、分子の結合能または特性を依然として保持させながら、固体支持体との付着を容易にする取っ手を付加することによって、分子の構造を改変してもよい。
【0083】
(b) 抗体
第1の結合物質には抗体または抗体の断片もしくは誘導体が含まれてもよい。すなわち、1つの局面では、本発明は上記の結合特異性を有する抗体に関する。
【0084】
抗体は所定のペプチド配列の特定エピトープに対して産生させることができる。抗体、またはその他の化合物は、これが特異的であるタンパク質(protein)または複数のタンパク質(proteins)に選択的なまたは高い親和性で結合するが、しかしこれがその他のポリペプチドに実質的に結合しないかまたはそのポリペプチドに低い親和性のみで結合する場合、ポリペプチドに「特異的に結合」する。抗体の特異的結合能を判定するための競合的結合アッセイ法またはイムノメトリックアッセイ法に対するさまざまなプロトコルは、当技術分野において周知である(例えば、Maddox et al, J. Exp. Med. 158, 1211-1226, 1993を参照されたい)。そのようなイムノアッセイ法には通常、特異的タンパク質と抗体との間の複合体の形成および複合体形成の測定が含まれる。
【0085】
本発明による抗体は全抗体またはその断片のいずれかを含んでもよく、その抗体は上述の結合特異性を有する。断片にはFv、F(ab')およびF(ab')2断片、ならびに一本鎖抗体が含まれる。全抗体は通常、本明細書において論じられる抗体の産生方法のいずれかによって産生される抗体である。通常、抗体は霊長類、ヒト、齧歯類(例えば、マウスもしくはラット)、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギまたはラクダ抗体などの、哺乳類抗体である。抗体はいずれかのクラスまたはアイソタイプの抗体、例えば、IgMであってもよいが、IgGであることが好ましい。
【0086】
抗体は2種の異なる抗原に結合できる二官能性抗体、または3種またはそれ以上の異なる抗原に結合できるオリゴ特異的抗体であってもよい。抗体には、以上のとおりポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、オリゴクローナル抗体、二官能性抗体または交差反応性のポリクローナル抗体が含まれてもよい。
【0087】
本方法で使用できる全抗体の断片には、抗原結合部位、例えば、F(ab')またはF(ab)2断片が含まれる。そのような断片または抗体を使用して、抗体誘導体を形成させてもよい。例えば、全抗体または断片を2つまたはそれ以上の断片または抗体をつなぎ合わせるのに使用できるリンカーなどの、その他の成分と結び付けてもよい。そのようなリンカーは化学的リンカーであってよく、またはそれは断片または全抗体との融合タンパク質の形態で存在することができる。このように、リンカーを使用して、同じまたは異なる結合特異性を有する、例えば、同じまたは異なる多型を結合できる全抗体または断片をつなぎ合わせてもよい。抗体は2つの可変ドメインを背中合わせに連結することによって形成される「二重特異性抗体(diabody)」であってもよい。1つの態様では、抗体は異なる天然抗体、例えば、ヒト化抗体由来の配列を含むキメラ抗体である。二官能性抗体が所望の特性を有する断片の化学結合によって作製されてもよい。
【0088】
本発明の抗体は任意の適当な方法によって産生させることができる。例えば、抗体、その断片または誘導体は、抗体を産生させる免疫原の選択、抗体もしくは抗体断片の化学的結合、単クローン性のハイブリドーマ/脾細胞の体細胞融合または組換え技術によって産生させることができる。ファージディスプレイ技術が抗体産生に使用されてもよい。
【0089】
抗体の調製および特徴付けのための手段は当技術分野において周知であり、例えば、Harlow and Lane (1988) 「Antibodies: A Laboratory Manual」, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい。例えば、全ポリペプチドまたはその断片、例えば、その抗原エピトープまたは「免疫原」に対する抗体を宿主動物中で産生させることにより、抗体を産生させることができる。その断片は本明細書において記述される断片のいずれか(通常は、少なくとも6アミノ酸長または少なくとも10もしくは15アミノ酸長)とすることができる。本発明の薬剤を使用して、公知技術により抗体を産生させてもよい。
【0090】
ポリクローナル抗体の産生方法には、免疫原による適当な宿主動物、例えば、実験動物の免疫およびその動物の血清からの免疫グロブリンの単離が含まれる。したがって、その動物に免疫原を接種し、その次に血液を動物から採血し、IgG画分を精製することができる。
【0091】
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、適当な宿主動物(例えば、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、モルモット、ラットまたはマウス)を免疫原で免疫することによって産生される。例えば、免疫原には本発明による薬剤が含まれてもよい。1つの態様では、免疫原の1回または複数回の追加免疫が動物に行われる。例えば、1、2、3、4回またはそれ以上の回数の追加免疫が使われてもよい。ポリクローナルまたはモノクローナル抗体の産生方法は当業者には周知であり、これらの方法のいずれかを使用して、抗体を調製することができる。必要に応じて、免疫原が、例えば、そのアミノ酸残基の側鎖を介して適当な担体に結合されている複合体として、免疫原を投与してもよい。この担体分子は通常、生理学的に許容される担体である。
【0092】
実験動物がポリクローナル抗体を産生してから、その血清を希釈して使ってもよく、または所望の免疫グロブリンを血清から単離してもよい。1つの態様では、血清を使用前に希釈してもよい。適当な希釈度としては、例えば、1000倍から500,000倍希釈、例えば、20,000倍から80,000倍希釈、10,000倍から15,000倍希釈または50,000倍から60,000倍希釈を挙げることができる。1つの態様では、本発明のアッセイ法で使用される抗体濃度は、そのような希釈度の血清中の抗体濃度と同じである。得られた抗体は単離されてもよく、必要に応じて、例えば、70%〜100%の純度に精製されてもよい。通常は、動物に免疫原を接種し、その血液を採血し、IgG画分を精製する。
【0093】
モノクローナル抗体の産生方法は同様に、当業者には周知である(Kohler & Millstein 1975 Nature 256, 495-497)。そのような方法には一般に、特許請求される抗体を産生する不死化細胞が含まれる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、免疫動物由来の脾臓細胞を腫瘍細胞と融合することによって産生される。得られたハイブリドーマ細胞は不死化されており、この細胞は所望の抗体を産生する。所望の抗体を産生する不死化細胞は、従来の手順によって選択することができる。ハイブリドーマは培養液中で増殖されてもよく、あるいは腹水の形成のために腹腔内に、または同種宿主もしくは免疫不全宿主の血流中に注入されてもよい。
【0094】
ヒトリンパ球のインビトロ免疫、次いでこのリンパ球をEpstein-Barrウイルスで形質転換することにより、ヒト抗体を産生させてもよい。Skerra and Pluckthun (1988)によって記述されている組換えDNA技術により、モノクローナル抗体を産生させてもよい。例えば、当業者に周知の方法により、実質的に無傷の抗体に対しパパインおよびペプシンのタンパク質分解反応によってそれぞれ調製される、モノクローナルとポリクローナルの両抗体のF(ab')およびF(ab')2断片のように、いずれかの誘導体を使用することも可能である。
【0095】
このように、本発明により提供される抗体(および本発明の方法で使用される抗体)は抗体を発現する細胞を培養する段階および任意で抗体を細胞から精製する段階によって作製することができる。
【0096】
本工程で使用される細胞は、該当する抗原ペプチドのいずれかを含むペプチドを哺乳類に投与する段階、B細胞を哺乳類から抽出する段階およびその抗原に結合する抗体を発現する能力に基づいてこれらの細胞からある細胞を選択する段階により得ることができるものとすることができる。任意で、これらのB細胞を抽出または選択後に、例えば、それらを不死化細胞と融合することにより(ハイブリドーマを形成させるため)またはEBVウイルスの感染により不死化する。
【0097】
抗体を発現する細胞には抗体を発現できるポリヌクレオチド、つまり抗体をコードするポリヌクレオチドが含まれる。
【0098】
抗体を作製するのに利用できる他のタイプの細胞は、抗体を発現するポリヌクレオチドで組み換えられているものである。そのような細胞は原核生物または真核生物(本明細書において記述される哺乳類のいずれかに由来するような)であってよい。
【0099】
抗体は固体支持体上に固定化されてもよい。典型的には、固体支持体はマイクロタイタープレートの表面などの、本方法が行われている容器の表面である。他の態様では、支持体は粒子、シート(例えば、ニトロセルロースもしくはナイロンシート)またはビーズ(例えば、セファロースもしくはラテックス)であってもよい。抗体はELISAプレート上にまたは尿試験紙中に存在してもよい。
【0100】
本発明の抗体は、例えば、免疫沈降法を含めて精製、単離またはスクリーニング法に有用である。
【0101】
本発明は同様に、本発明の方法を行うのに利用できる尿試験紙を含む。この尿試験紙には液体および本明細書において記述される抗体の1種または複数種をクロマトグラフ的に輸送できる多孔質材が含まれる。この尿試験紙を試料と接触させると、尿試験紙は液体を試料からその試験紙上の検出領域に向けて汲み上げる。試料中のプロANPまたはプロBNPに由来するペプチドが、検出領域とのその結合によって検出される。
【0102】
1つの態様では、その液体は本発明の抗体を含有する尿試験紙中の領域を経て汲み出される。これらの抗体は該当するペプチドに結合し、抗体/ペプチド複合体を形成する。この複合体は薬剤(尿試験紙上に固定化されている)を含む検出領域に向けて汲み出され、その薬剤が複合体を結合し、したがって複合体を検出領域中に固定化する。この薬剤は通常、複合体の抗体またはペプチドのいずれかを結合する特異的結合剤(例えば、抗体)である。抗体/ペプチド複合体は通常、その特異的抗体に付着される標識の使用により、検出領域中で検出される。
【0103】
他の態様では、試料中のタンパク質は、これが尿試験紙に汲み上げられる前に標識される。次に、この標識タンパク質が尿試験紙(試料と接触された)に汲み上げられ、これが多型特異的抗体(検出領域に結合されている)に結合することにより検出される。
【0104】
通常は、上記の尿試験紙系で使用される標識は、十分な抗体/タンパク質複合体が検出領域中に固定化されると、視覚的に検出可能となる(すなわち、ヒトの眼で見ることができる)視覚的に検出可能な標識である。適当な標識は金(もしくはその他のコロイド金属)粒子またはフルオロフォア(例えば、フルオレセイン)である。
【0105】
尿試験紙には、尿試験紙に汲み上げられるタンパク質の変性を引き起こす変性剤が含まれてもよい。1つの態様では、試料を尿試験紙と接触させる前に、試料を変性条件に供する(例えば、変性剤と接触させる)。
【0106】
本発明の薬剤(プロXNP、NT-プロXNP、XNP)
(a) ペプチド薬剤
1つの態様では、本試験方法ではプロANPおよびプロBNPの両者に由来するかまたは起源があるアミノ酸配列を含んだ薬剤(プロXNP、XNPまたはNT-プロXNP)を利用する。この薬剤は試験される試料中のプロANP由来およびプロBNP由来のペプチド、とりわけ天然由来のペプチドを模倣するものである。本方法で用いる薬剤は同様に、その方法で用いられる第1の結合物質により認識されるかまたは結合される。すなわち、薬剤は本発明のアッセイ法において第1の結合物質に結合するために試料中のペプチドと競合することができる。薬剤は同様に、アッセイ法においてキャリブレーターまたは標準物質として使用されてもよい。すなわち、薬剤は試料中のプロANPおよびプロBNPに由来するペプチドを定量化するのに特に有用である。例えば、本アッセイ方法において、試料中のペプチドの程度は薬剤の濃度として表現されてもよい。さらに、薬剤は上述の方法によって、第1の結合物質として用いるのに適した抗体を産生させる免疫原として使用されてもよい。
【0107】
薬剤はペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含んでもあるいはペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質で本質的に構成されてもよい。例えば、薬剤は融合タンパク質を含んでもまたは融合タンパク質で構成されてもよい。本発明による薬剤には全体として、プロANPの配列特性およびプロBNPの配列特性が含まれる。すなわち、薬剤には通常、プロANPに由来する少なくとも1つのペプチド配列およびプロBNPに由来する少なくとも1つのペプチド配列が含まれる。
【0108】
具体的には、薬剤は以下の両者を含むことができる:
(a) (i) SEQ ID No 1、2もしくは3;
(ii) (i)の相同変異体; または
(iii) (i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) SEQ ID No 4、5もしくは6;
(ii) (i)の相同変異体; または
(iii) (i)もしくは(ii)の断片。
【0109】
1つの態様では、薬剤は以下の両者を含む:
(a) (i) SEQ ID No 1、2もしくは3;
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) SEQ ID No 4、5もしくは6;
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片。
【0110】
1つの局面では、薬剤はANPのアミノ酸番号7から23および/もしくはBNPのアミノ酸番号10から26またはその変異体を含む。これらのペプチドは天然ANPおよびBNP中の保存された環構造を形成し、この環構造は薬剤中で保存されることができる。1つの態様では、薬剤はプロANPおよび/またはプロBNPのエピトープを含む。例えば、適当なエピトープにはBNPのアミノ酸番号5から13、1から10、15から25または27から32およびNT-プロBNPのアミノ酸番号65から76または1から13が含まれる。1つの態様では、薬剤はNT-プロANPおよびNT-プロBNPの両者に由来する(上記による)ペプチド配列を含み(このような薬剤はNT-プロXNPと称される)、または薬剤はANPおよびBNPの両者に由来するペプチド配列を含む(この薬剤はXNPと称される)。
【0111】
1つの態様では、薬剤はプロBNP1-37、プロBNP15-24、プロBNP10-29、プロBNP77-92、プロBNP1-108、プロANP29-98、プロANP82-96、プロANP20-80、プロANP60-80、プロANP112-126またはその変異体の1つまたは複数より選択されるペプチド配列を含むことができる。1つの局面では、薬剤はこの羅列より選択される少なくとも1つのプロBNPおよび少なくとも1つのプロANP配列を含む。適当な組合せはプロBNP15-24とプロANP82-96、プロBNP1-37とプロANP29-98、プロBNP10-29とプロANP20-80、プロBNP10-29とプロANP60-80、プロBNP1-108とプロANP1-126またはプロBNP77-92とプロANP112-126である。すなわち、本発明による薬剤はNT-プロXNP1(SEQ ID NO:13)、NT-プロXNP2(SEQ ID NO:14)、NT-プロXNP3(SEQ ID NO:15)、NT-プロXNP4(SEQ ID NO:17)、NT-プロXNP5(SEQ ID NO:18)、プロXNP6(SEQ ID NO:19)またはXNP7(SEQ ID NO:20)を含んでもあるいはそれらで構成されてもよい。
【0112】
プロANPおよびプロBNPに由来するペプチド配列に加えて、薬剤には長さまたは組成を自由に変えることができるリンカー、コネクターまたは付加アミノ酸配列が含まれてもよい。適当なリンカーは当技術分野において公知である。リンカーの構造は1つまたは複数の標識(例えば、蛍光基または酵素)をリンカーに付着可能とするようなものとすることができる。例えば、適当なスペーサーおよび付加物としては、Gly-Lys-Tyr-Gly (GKYG) (SEQ ID NO:16)、Ser-Arg、Gly-SerまたはTyrもしくはCysなどの一アミノ酸が挙げられる。Tyr残基は放射ヨウ素標識を可能とし、LysまたはCys残基はアミノ基またはスルフヒドリル基を必要とする標識の付着を可能とする。
【0113】
薬剤は抗体について記述したものなどの、固体支持体上に固定化されてもよい。
【0114】
本発明の薬剤は化学的に修飾された、例えば、翻訳後に修飾されたアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、その薬剤はグリコシル化されてもよく、または修飾アミノ酸残基を含んでもよい。その薬剤をヒスチジン残基の付加により修飾して、精製に役立ててもよい。固体支持体との付着に適した形態でペプチドまたはタンパク質を産生させることが望ましいかもしれない。タンパク質またはペプチドはしたがって、例えば、システイン残基の付加により、固体支持体とのその結合を増強させるように修飾されてもよい。
【0115】
(b) 薬剤をコードするポリヌクレオチド
本発明は同様に、本発明による薬剤または本発明による薬剤のペプチド部分をコードするポリヌクレオチドに関する。そのようなポリヌクレオチドには、上記に定義される薬剤のペプチドをコードする配列および/またはそのコード配列に相補的である配列が含まれる。
【0116】
具体的には、本発明のポリヌクレオチドは以下の両者を含むことができる:
(a) (i) SEQ ID NO 7、8もしくは9;
(ii) (i)に相補的な配列;
(iii) (i)もしくは(ii)にストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする配列;
(iv) (i)、(ii)もしくは(iii)に対し遺伝暗号の結果として縮重している配列;
(v) (i)から(iv)の配列のいずれかに対し少なくとも70%の同一性を有する配列; または
(vi) (i)から(v)の配列のいずれかの断片;
および
(b) (i) SEQ ID NO 10、11もしくは12;
(ii) (i)に相補的な配列;
(iii) (i)もしくは(ii)にストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする配列;
(iv) (i)、(ii)もしくは(iii)に対し遺伝暗号の結果として縮重している配列;
(v) (i)から(iv)の配列のいずれかに対し少なくとも70%の同一性を有する配列; または
(vi) (i)から(v)の配列のいずれかの断片。
【0117】
ポリヌクレオチドは同様に、薬剤中のリンカーまたはスペーサーアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。本発明のポリヌクレオチドは通常、1000塩基対またはそれ以下、例えば、500塩基対またはそれ以下を含む。ポリヌクレオチドは最大で200塩基対、300塩基対、400塩基対、500塩基対、600塩基対、700塩基対、800塩基対または900塩基対を含んでもよい。例えば、ポリヌクレオチドは最大で50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチドまたは175ヌクレオチドを含んでもよい。
【0118】
典型的には、ポリヌクレオチドはDNAである。しかしながら、本発明にはRNAポリヌクレオチドが含まれてもよい。ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってよく、その内部に合成または修飾ヌクレオチドを含んでよい。
【0119】
本発明のポリヌクレオチドは特定配列(SEQ ID NO:7〜12のいずれか)のコード配列またはコード配列の相補体にバックグラウンドを有意に超えるレベルでハイブリダイズすることができる。例えば、DNAライブラリー中に存在するその他のDNAのせいで、バックグラウンド・ハイブリダイゼーションが起こりうる。本発明のポリヌクレオチドと特定配列のコード配列またはコード配列の相補体との間の相互作用によって生じたシグナルレベルは一般に、その他のポリヌクレオチドと特定配列のコード配列との間の相互作用の強度の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍である。相互作用の強度は例えば、プローブを、例えば、32Pで放射能標識することによって測定することができる。選択的ハイブリダイゼーションが一般に、中等度から高度のストリンジェンシーの条件を用いて達成されてもよい。しかしながら、そのようなハイブリダイゼーションは、当技術分野において知られている任意の適当な条件の下で行われてもよい(Sambrook et al, 1989を参照されたい)。例えば、高度のストリンジェンシーが必要とされるならば、適当な条件としては60℃から最大65℃の0.1から0.2×SSCが挙げられる。もっと低いストリンジェンシーが必要とされるならば、適当な条件としては60℃の2×SSCが挙げられる。
【0120】
SEQ ID NO:7〜12のいずれかのコード配列がヌクレオチド置換、例えば、1置換、2置換もしくは3置換から10置換、25置換もしくは50置換により修飾されてもよい。あるいはまたさらには、SEQ ID NO:7〜12のいずれかのポリヌクレオチドが1つもしくは複数の挿入および/もしくは欠失によりならびに/または一端もしくは両端での伸長により修飾されてもよい。シグナル配列などの付加配列が同様に含まれてもよい。縮重置換が行われてもよくおよび/または、例えば、先の変異体の項に含まれる表に示されるように、修飾配列の翻訳時に同類アミノ酸置換をもたらすことになる置換が行われてもよい。
【0121】
SEQ ID NO:7〜12のいずれかのDNAコード配列の相補体に選択的にハイブリダイズできるヌクレオチド配列は一般に、その特定のコード配列の少なくとも20ヌクレオチド、例えば少なくとも30ヌクレオチド、例えば少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも60、80、100ヌクレオチド、例えば100もしくは200ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたりあるいは最も好ましくはその全長にわたり、その特定のコード配列に対し少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するはずである。
【0122】
例えば、UWGCG Packageは、相同性を計算するために使用できるBESTFITプログラム(例えばその初期設定に使用される)を提供している(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, p387-395)。例えば、Altschul (1993) J. Mol. Evol. 36:290-300; Altschul et al (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10に記述されているように、PILEUPおよびBLASTアルゴリズムを使用して、(通常はそのデフォルト設定に基づき)相同性を計算するかまたは配列を整列することができる。
【0123】
BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列における同一長さのワードと整列される場合に、いくつかの陽性評価された閾値スコアTに適合するかまたはそれを満足するかのいずれかである問合せ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、最初に高スコアの配列対(HSP)を同定することを含む。Tは隣接するワードスコア閾値といわれる(Altschul et al, 1990)。これらの最初の隣接ワードのヒットは、それらを含むHSPを見い出すための検索を開始するための核として作用する。ワードのヒットは、累積アライメントスコアが増加しうる限り、各配列に沿って両方向に拡張される。各方向におけるワードヒットの拡張は: 累積アライメントスコアがその最大達成値から未知数Xだけ遠ざかる場合; 累積スコアが、1またはそれ以上の負のスコアリング残基アライメントの累積のために0またはそれ以下になる場合; またはいずれかの配列の端に到達する場合に停止される。BLASTアルゴリズムのパラメーターであるW、T、およびXはアライメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムはデフォルトとして、11のワード長(W)、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919を参照されたい)の50のアライメント(B)、10の予測(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較を使用する。
【0124】
BLASTアルゴリズムは2つの配列の間で類似性の統計的解析を行う: 例えば、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877を参照されたい。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の適合が偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、第1配列の第2配列との比較において最小合計確率 が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、ある(第1)配列は他の(第2)配列に類似すると考えられる。
【0125】
上記の配列同一性の度合いおよび最小サイズの任意の組合せを利用して、本発明のポリヌクレオチドを定義してもよいが、いっそうストリンジェントな組合せ(すなわち、いっそう長い長さにわたりいっそう高い配列同一性)が好ましい。すなわち、例えば、25ヌクレオチドにわたり、好ましくは30ヌクレオチドにわたり少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドは、40ヌクレオチドにわたり少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドと同様に、本発明の1つの局面を形成する。
【0126】
ポリヌクレオチドの断片は、例えば、最大で40ヌクレオチド長、または最大で30ヌクレオチド長であってよい。その長さは最大で5、10、15、20または25ヌクレオチドであることが好ましい。
【0127】
1つの態様では、本発明の薬剤をコードするポリヌクレオチドはSEQ ID NO:21から27のいずれかを含むことができる。すなわち、ポリヌクレオチドはNT-プロXNP1、NT-プロXNP2、NT-プロXNP3、NT-プロXNP4、NT-プロXNP5、プロXNP6またはXNP7をコードすることができる。
【0128】
ポリヌクレオチドは以下を含むことができる:
(a) SEQ ID NO 21、22、23、24、25、26もしくは27;
(b) (a)に相補的な配列;
(c) (a)もしくは(b)にストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする配列;
(d) (a)、(b)もしくは(c)に対し遺伝暗号の結果として縮重している配列;
(e) (a)から(d)の配列のいずれかに対し少なくとも70%の同一性を有する配列; または
(f) (a)から(e)の配列のいずれかの断片。
【0129】
本発明によるポリヌクレオチドは組換え的に、合成的にまたは当業者が利用できるいずれかの手段により産生されてもよい。それらは同様に、標準的な技術によりクローニングされてもよい。このポリヌクレオチドは典型的には、単離された形および/または精製された形で提供される。
【0130】
一般に、プライマーは所望の核酸配列を1回に1ヌクレオチドずつ段階的に製造することを含めて、合成手段によって産生することができる。自動化技術を利用してこれを達成するための技術は、当技術分野において容易に利用可能である。
【0131】
概して、本明細書に記述される技術は当技術分野において周知であるが、具体的には、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 1989を参照してもよい。
【0132】
本発明によるポリヌクレオチドは本発明によるポリペプチド薬剤の産生に有用性があり、その産生はインビトロで、インビボでまたはエクスビボで行われてもよい。このポリヌクレオチドは組換えタンパク質の合成に使用されてもよい。組換えタンパク質の発現方法は当技術分野において公知であり、以下でさらに論じられる。
【0133】
本発明のポリヌクレオチドまたはプライマーは、暴露用の標識を持ち運んでもよい。適当な標識としては、125I、32Pもしくは35Sなどの放射性同位体、酵素標識またはビオチンなどの他のタンパク質標識が挙げられる。そのような標識を本発明のポリヌクレオチドまたはプライマーに付加してもよく、それ自体は公知の技術により検出してもよい。
【0134】
(c) ベクター、宿主細胞およびペプチド薬剤の発現
本発明のポリヌクレオチドは複製可能な組換えベクターに組み込まれてもよい。このベクターは適合する宿主細胞中でその核酸を複製させるのに使用されてもよい。したがって、複製可能なベクターに本発明のポリヌクレオチドを導入し、適合する宿主細胞中にこのベクターを導入し、ベクターの複製をもたらす条件の下でこの宿主細胞を増殖させることによって、本発明のポリヌクレオチドが作製されてもよい。
【0135】
1つの局面では、ベクターは本発明のポリペプチド薬剤をコードする核酸配列を含む発現ベクターである。そのような発現ベクターは、分子生物学の分野において日常的に構築されており、例えば、プラスミドDNAならびに適切なイニシエーター、プロモーター、エンハンサーおよびその他の要素の使用を含んでもよく、これらはタンパク質の発現を可能とするために、必要とされる可能性があり、正しい方向で配置される。適当なその他のベクターは当業者には明らかであろう。この関連でのさらなる例証として、本発明者らはSambrook et al. 1989を参考にしている。
【0136】
1つの態様では、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明で用いるポリヌクレオチドはベクター中において、宿主細胞がそのコード配列の発現を実現可能とする制御配列に作動可能に連結されており、すなわち、このベクターは発現ベクターである。「作動可能に連結される」という用語は、記述の構成成分が自身をその意図される様式で機能可能とする関係にある並置のことを指す。コード配列に「作動可能に連結される」プロモーターなどの調節配列は、コード配列の発現が調節配列に適合する条件の下で達成されるように配置される。
【0137】
ベクターは、例えば、複製起点、任意で上記のポリヌクレオチドの発現用のプロモーターおよび任意でプロモーターのレギュレーターを備えたプラスミドベクター、ウイルスベクターまたはファージベクターであってよい。ベクターには1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子、例えば、細菌プラスミドの場合にはアンピシリン耐性遺伝子または真菌ベクター用の耐性遺伝子が含まれてもよい。
【0138】
プロモーターおよびその他の発現調節シグナルは、発現を意図する宿主細胞に適合するように選択されてもよい。例えば、酵母プロモーターとしては出芽酵母(S. cerevisiae)のGAL4およびADHプロモーター、分裂酵母(S. pombe)のnmt1およびadhプロモーターが挙げられる。哺乳類プロモーターとしては、カドミウムなどの重金属に応答して誘導されることができるメタロチオネインプロモーターが挙げられる。SV40大型T抗原プロモーターまたはアデノウイルスプロモーターなどのウイルスプロモーターが同様に使用されてもよい。これらのプロモーターは全て当技術分野において容易に利用可能である。
【0139】
β-アクチンプロモーターなどの哺乳類プロモーターが使用されてもよい。組織特異的プロモーターが使用されてもよい。ウイルスプロモーター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルスの末端反復配列(MMLV LTR)、ラウス肉腫ウイルス(RSV) LTRプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV) IEプロモーター、アデノウイルス、HSVプロモーター(HSV IEプロモーターなどの)またはHPVプロモーター、具体的には、HPVの上流調節領域(URR)が同様に使用されてもよい。ウイルスプロモーターは当技術分野において容易に利用可能である。
【0140】
ベクターは、例えば、DNAもしくはRNAの産生のためにインビトロで使用されてもよく、または宿主細胞、例えば、哺乳類宿主細胞に形質移入もしくは形質転換するのに使用されてもよい。
【0141】
発現ベクターを適当な宿主細胞中に形質転換して、本発明のポリペプチド薬剤または本発明による薬剤のペプチド成分の発現をもたらしてもよい。上記の発現ベクターを形質転換または形質移入した宿主細胞をそのポリペプチドまたは断片の発現を可能とする条件の下で培養し、その発現産物を回収する。このポリペプチドを当技術分野において公知の方法により単離し精製してもよい。例えば、ファージディスプレイ技術を使用してもよい。宿主細胞はベクターに適合するよう選択することができ、好ましくは細菌性とすることができる。宿主細胞は同様にヒト以外の動物の細胞、または本発明のポリヌクレオチドを形質転換した植物の細胞であってもよい。
【0142】
総則
本発明の薬剤、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または抗体のどれもが実質的に単離された形で存在してよい。それらはその使用用途を妨害することのない担体または希釈剤と混合されてもよく、これらは依然として実質的に単離されていると見なされてよい。それらは同様に、実質的に精製された形で存在してもよく、その場合、それらは一般に、タンパク質、ポリヌクレオチド、細胞または調製物の乾燥重量の少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、98%または99%を含むことができる。
【0143】
本発明の薬剤または抗体のどれもが、一般に、適当な検出可能な標識で標識されてよい。例えば、適当な標識としては、放射能標識、酵素標識(例えば、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼ、例えば、HRP)、ビオチン(これはペルオキシダーゼに結合されたアビジンまたはストレプトアビジンにより検出することができる)などの化学標識、ユーロピウムなどのランタニドおよび蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、ならびに発光もしくは化学発光標識(例えば、アクリジニウムエステル、ルミノール)、金(もしくはその他のコロイド金属)、色素または粒子が挙げられる。酵素標識は化学発光またはクロモゲンに基づく系を利用して検出されてもよい。
【0144】
診断および治療のモニタリング
本方法は個体において心臓の健康状態を評価するのに有用である。具体的には、この方法を使用して心臓欠陥を検出しかつ評価することができる。本方法を利用して標的化できる心疾患の具体例は、うっ血性心不全である。
【0145】
心不全は、心臓が体の要求を満たすのに十分な心拍出量を発生できないことによって特徴付けられる臨床症状であり、ANPおよびBNPホルモン系の活性化をもたらす。ANP系の活性化は病初では心房過負荷と主に関係しており、その一方でBNP系の活性化は主に心室過負荷を示唆するものである。これらの系の不活性化は、患者自身の調節系または心不全治療用の治療薬の使用の結果である。
【0146】
前述のように、試料中のプロANPおよびプロBNPに由来する混合ペプチドレベルを基準ペプチドレベルに対して判定することによる本方法を使用して、個体におけるANPおよびBNP両ホルモン系の活性化または不活性化を判定することができる。すなわち、本方法を使用して、心臓系の機能性を評価することができる。本発明の方法は心臓の圧力または容量の過負荷患者において心不全などの心臓病のスクリーニングおよび除外診断、その重症度の評価、予後診断の評価、その治療の経過観察および治療のガイダンスに有用である。
【0147】
例えば、その方法は心臓病の診断に使用されてもよい。その方法を使用して、個体をスクリーニングしても、心臓病の重症度を評価しても、予後を評価してもまたは、例えば、心不全に対する感受性を評価してもよい。本方法は同様に、心臓病の治療に対する経過観察としてならびに心臓病の治療を評価するために、モニタリングするためにおよびガイドするために利用されてもよい。本方法によってANPおよびBNP系の活性化または不活性化をモニタリングすることにより、心臓病で苦しむ患者での治療、例えば、薬物療法の効果を評価することが可能である。すなわち、本方法を使用して、特定の治療法に対する患者の反応性を評価してもおよび提供される治療を改善してもよい。
【0148】
本方法を使用して、心臓病に対する感受性を評価してもよい。次いで、心不全などの心臓病と関係する症状の重症度を発現する可能性を低下させるのにまたはその重症度を軽減させるのに必要とされうる生活様式の変化について、個体に忠告してもよい。同じ目的で、個体を予防的に治療してもよい。
【0149】
診断キット
本発明は同様に、診断キットを提供する。このキットは本方法で用いるのに適しており、一般に、上記のとおり心臓病の診断および評価に有用である。
【0150】
キットの内容物はキットが対象とするアッセイ形式に適するものとできる。通常、このキットには本明細書において定義される第1の結合物質、および任意で、同様に本明細書において記述されるとおり、第1の結合物質により形成される結合複合体を検出するための手段が含まれる。キットには本発明による薬剤であって、キット中の第1の結合物質に結合できる薬剤がさらに含まれてもよい。第1の結合物質および/または薬剤は標識されてもよい。
【0151】
一般に、キットには緩衝液、沈降分離装置、標識化手段および/または検出手段などの、特定のアッセイ法に用いるその他の試薬または成分が含まれてもよい。1つの態様では、このキットはキット内容物およびアッセイ形式に関してキットの利用者に指示を与える能書などの、説明手段を含むことができる。
【0152】
すなわち、競合的アッセイ用のキットは以下を含むことができる:
(a) 第1の結合物質;
(b) 標識薬剤(NT-プロXNP、プロXNPまたはXNP);
(c) 標準物質(NT-プロXNP、プロXNPまたはXNP); および
(d) 検出系に応じたその他の通常の構成要素、例えば、沈降分離装置、緩衝液など。
【0153】
サンドイッチアッセイ用のキットは以下を含むことができる:
(a) 第1の結合物質;
(b) 標識された第2の結合物質;
(c) 標準物質(NT-プロXNP、プロXNP、XNP);
(c) 検出系に応じたその他の通常の構成要素。
【0154】
実施例
以下の実施例によって本発明を説明する。特に指定のない限り、使用される方法は標準的な生化学および分子生物学技術である。適当な一般的方法論の教本の例としては、Sambrook et al, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (1989) and Ausubel et al, Current Protocols in Molecular Biology (1995) John Wiley and Sons Incが挙げられる。
【0155】
実施例1 組換えNT-プロXNPの発現および精製
ヒトNT-プロBNPのアミノ酸番号1〜37をコードするヌクレオチドおよびヒトNT-プロANPのアミノ酸番号29〜98をコードするヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ヒト心房RNAから逆転写PCRにより増幅される。NT-プロBNP増幅用の5'-プライマーは制限酵素BamHIに対する切断部位を含んでおり

、その3'-プライマーはXbaIに対する切断部位を含んでいる

。NT-プロANP増幅用の5'-プライマーはXbaIリンカーを有しており(5'-GCTCTAGAGAAGATGAGGTCGTGC-3' SEQ ID NO:30)、その3'-プライマーはEcoRIリンカーを有している

。さらに、NT-プロANP単位複製配列は、EcoRI切断部位に先行してその3'-末端に読み枠の合った終結コドン(TGA)を含んでいる。その他のバージョンのNT-プロBNP単位複製配列は、BamHIリンカー配列直後のその5'-末端に読み枠の合ったTyrコドンを含んでいる

。このRT-PCR産物をアガロース電気泳動により精製し、これをXbaIおよびBamHIまたはEcoRIで切断し、これをpGEX-4T-1ベクター(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)のBamHI/EcoRI部位に端と端を接しさせて(NT-プロBNP → NT-プロANP)サブクローニングした。この構築体のヌクレオチド配列および読み枠を配列決定により確認する。
【0156】
GST-タンパク質の発現およびアフィニティー精製を以下の手順にしたがって行う。組換えプラスミドを形質転換した大腸菌(E. coli)の終夜培養液を2×YTA中で100倍希釈し、これを660 nmのODが0.6に達するまで37℃で増殖させる。イソプロピル-1-チオ-D-ガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度0.1 mMまで添加し、この培養液をさらに1〜2時間インキュベートする。この細菌細胞を遠心(7000 g、+4℃で10分間)により集菌し、これをPBS (50 μl/ml培養液)中に再懸濁して超音波処理する。この細胞溶解液を7000 gで15分間清澄化する。この上清をグルタチオンアガロースカラム(Sigma, Saint Louis, MO, USA)に添加し、PBSで3回洗浄する。その融合タンパク質を10 mMグルタチオンの50 mM Tris-HCl, pH 8.0で溶出し、これを20℃で分注保存する。試料はSDS-PAGE (12%アクリルアミド)により分離する。原核生物用または真核生物用発現ベクターの両者を使用することができる。したがって、全ペプチドまたはそのペプチドもしくはタンパク質の少なくとも一部分は、原核細胞または真核細胞で産生されてもよい。
【0157】
トロンビン(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて室温で1時間処理(1 U/100 μgタンパク質)することで、組換えペプチドを融合パートナーから遊離させる。4.6×150 mm Vydac C4カラムを用いた逆相HPLCにより、このペプチドを精製する。このカラムを20〜48%アセトニトリルのトリフルオロ酢酸水溶液による40分の直線勾配で溶出する。溶出速度を1 ml/分とし、HPLCの間に200〜280 nmの吸光度を測定して産物の純度をモニタリングする。
【0158】
(NH2末端からCO2H末端にかけて)ヒトプロBNP1-37、短いスペーサー、セリンおよびアルギニンならびにヒトプロANP29-98からなる精製産物のHPLCプロファイルの例が図1に示されている。GSTが起源である2つの付加的なアミノ酸グリシンおよびセリンが、付加物としてペプチドのN末端に残されている。
【0159】
実施例2 NT-プロXNPの化学合成
(NH2末端からCO2H末端にかけて)ヒトプロBNP10-29、CysスペーサーおよびヒトプロANP60-80の配列を含む連結エピトープNT-プロXNP5は、Fmoc化学反応を用いてペプチド合成機(Peptide Synthesizer)により組み立てた。または、(NH2末端からCO2H末端にかけて)ヒトプロBNP15-24、Gly-Lys-Tyr-GlyスペーサーおよびヒトプロANP82-96の配列を含む連結エピトープペプチドNT-プロXNP1を組み立てた。この生成物をHMP樹脂から95%トリフルオロ酢酸/2.5% H2O、2.5%トリ-イソプロピルシランで切り出し、これをジエチルエーテルで沈殿し、乾燥させて30%酢酸中のSephadex G-15で脱塩した。アセトニトリルの0.1 %トリフルオロ酢酸水溶液の直線勾配を用いた分取用RCM NovaPak C18カートリッジ(2.5×10 cm)中での逆相HPLCにより、このペプチドを精製した。異なる選択性を有する溶出条件での逆相HPLCにより、この純度を確認した。ペプチドの同一性は、アミノ酸分析またはMALDI-TOF質量分析およびペプチドマッピングにより確認した。
【0160】
実施例3 NT-プロXNPのイムノアッセイ法
結合物質は免疫原としてアフィニティー精製した、GST/NT-プロANP20-80およびNT-プロBNP10-29 TBGの融合タンパク質またはNT-プロ-BNP1-37およびNT-プロANP29-98のGST融合タンパク質を使用することで得られたヤギ抗体から調製した。ペプチド抗原の後者のものは実施例1に記述されている方法で調製し、ヒトプロBNP1-37、Ser-Argスペーサー、ヒトプロANP29-98およびGly-Ser付加物を含んでいる。または、他のペプチド抗原は実施例2に記述されている方法で調製し、(NH2末端からCO2H末端にかけて)ヒトプロBNP10-29、システインスペーサー(免疫化の前にこのスペーサーからペプチド抗原をウシチログロブリン(TBG)に結合させた)およびヒトプロANP60-80の配列を含んでいた。ヤギに等容量のフロインド完全アジュバント中で乳化させた免疫原1〜1.5 mgの1 ml 0.9% NaClを、その背中の複数部位に注射した。免疫原0.5 mgのフロインド不完全アジュバントの追加免疫を2〜3週の間隔で2〜4回付与し、最後の注射から14日後に血液を採血する。この抗血清を、本発明の放射性ヨウ化ペプチドまたはタンパク質薬剤を結合する力価(以下を参照されたい)、ならびに該当するペプチドおよび本発明のペプチドまたはタンパク質薬剤に対する感受性および特異性にしたがって選択した。本発明のペプチドもしくはタンパク質薬剤またはそのいずれかの断片もしくは誘導体のいずれかの修飾を同様に免疫化の目的で利用して、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を産生させてもよい。
【0161】
実施例1に記述されているように産生された組換えNT-プロBNP1-37/NT-プロANP29-98 (1.5 μg)をクロラミン-T 10 μgの0.5 Mリン酸緩衝液pH 7.5の存在下で0.5 mCi Na125Iにより60秒間放射性ヨウ化し、引き続いて二亜硫酸ナトリウム 10 μgを添加した。この混合液をSephadex G-25ゲルろ過により脱塩し、Symmetry C18カラムおよび流速1 ml/分で20%から50%アセトニトリルのトリフルオロ酢酸水溶液による30分の直線勾配での逆相HPLCにより精製した。各画分液1 mlを回収し、Multi-Gammaカウンター(Wallac, Turku, Finland)中で放射能についてモニターした。
【0162】
実施例1に記述されているように産生された組換えNT-プロBNP1-37/NT-プロANP29-98はNT-プロXNPイムノアッセイ法でアッセイキャリブレーターとしても使用した。全ての希釈に使われたアッセイ緩衝液は0.04 Mリン酸水素ナトリウム、0.01 Mリン酸二水素ナトリウム、0.1 M NaCl、0.1%ゼラチン、0.05% Triton X-100, pH 7.4で構成される。血漿または血清試料を25 μlを2通りで抗血清100 μlおよびトレーサー溶液(約8 000 cpmのヨウ化ペプチドを含有) 100 μlとともに+4℃で16〜24時間インキュベートした。キャリブレーター(0.08〜8 nmoll-1)を同じ量および濃度の抗血清、トレーサーおよび抗-抗血清とともに上記と同じ時間インキュベートすることにより、キャリブレーションを行った。アッセイされる抗血清の量は結合時に十分な競合を確実とするため、競合物質を存在させなかった場合にトレーサーの40〜50%に結合するように決められた。
【0163】
図2bは免疫原としてNT-プロBNP1-37/NT-プロANP29-98(SEQ ID NO:14を含む)のGST融合タンパク質を用いたヤギの免疫化における抗体力価の経過、つまりNT-プロANP1-98およびNT-プロBNP1-76のRIAでの1回目、3回目および4回目の追加免疫後の力価を示している。例えば、図2bは免疫原としてNT-プロBNP1-37/NT-プロANP29-98(SEQ ID NO:14を含む)のGST融合タンパク質の使用により得られた、ヤギで調製された結合物質は、典型的には50,000倍〜60,000倍の希釈率がNT-プロANP1-98およびNT-プロBNP1-76の別々のラジオイムノアッセイ法でも実証された、NT-プロANP(SEQ ID NO:3)およびNT-プロBNP(SEQ ID NO:6)の40〜50%結合および同時結合に適していたことを示している。免疫原としてNT-プロBNP10-29/NT-プロANP60-80(SEQ ID NO:18を含む)のTBG-複合体を用いて、類似の結合物質をヤギの免疫化で産生させた。競合的NT-プロXNPアッセイ法での典型的な希釈率は10,000倍から15,000倍に及んだ。
【0164】
正常ヤギ血清担体(1 μl)を含有する、ロバ抗ヤギIgGの8%ポリエチレングリコール6000 0.5 mlを用いた沈殿により、結合および遊離NT-プロXNPを分離した。遠心後、沈殿物を放射能についてカウントした。このタイプのアッセイ法により得られた基準曲線の例が図2aに示されている。
【0165】
図2aはNT-プロXNPのイムノアッセイ法に対する競合的結合曲線を示している。このアッセイ法では組換えNT-プロBNP1-37/NT-プロANP29-98をキャリブレーターおよびトレーサーとしてならびにNT-プロXNP、NT-プロANPおよびNT-プロBNPを同時に認識するポリクローナルヤギ抗体に基づく結合物質を利用している。X-軸には添加したキャリブレーターの量が描かれており、Y-軸には添加したキャリブレーターとの結合/未結合が描かれている。
【0166】
実施例3に記述したNT-プロXNPのイムノアッセイ法を利用して、心疾患の患者700人でNT-プロXNPの血清レベルを測定した。この結果は図3に示されている。NT-プロXNPのレベルは、NT-プロANP1-98およびNT-プロBNP1-76の別の自家ラジオイムノアッセイ法により同一試料で測定されたNT-プロANPおよびNT-プロBNPレベルとかなり有意に相関している。
【0167】
ニューヨーク心臓協会(NYHA)の基準にしたがって分類された500人の心臓病患者で、実施例3の方法を利用してNT-プロXNPの血清レベルをアッセイした。この結果は図4に示されている。別の自家ラジオイムノアッセイ法により同一試料で測定されたNT-プロANPおよびNT-プロBNPの血清レベルが活性化ANPおよびBNP系の指標として参照用に示されている。
【0168】
実施例3の方法を利用して心不全を患う患者でNT-プロXNPの血漿レベルをアッセイしたところ、これらはそれらの患者での薬物療法のプラス効果と相関していた。結果は図5に示されている。別の自家ラジオイムノアッセイ法により同一試料で測定されたNT-プロANPおよびNT-プロBNPの血清レベルが参照用に示されている。心不全(安定したNYHAクラスII〜III)を患う患者(n=11)をイノディレイタイター(inodilatator)の静脈内注射により24時間治療した。心拍出量(CO)をml/分として心エコー検査で測定した。NT-プロANP、NT-プロBNPおよびNT-プロXNPのレベルを薬物の投与の開始前におよびその開始から24時間の時点でアッセイした。治療に対する反応を検出する相対感度を心エコー検査によるCOの10%増加ならびにANPおよびBNP系の不活性化の指標としてNT-プロANPおよびNT-プロBNPおよびNT-プロXNPの20%減少のカットオフ値で判定した。NT-プロXNPは11症例のうちの全てでカットオフを超えたが、NT-プロANPおよびNT-プロBNPならびにCOは11症例のうちの9症例でカットオフ除外された。
【0169】
参照文献


【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】本発明の新規のタンパク質またはペプチド薬剤の逆相HPLCによる精製。
【図2A】NT-プロXNPのイムノアッセイ法に対する競合的結合曲線。
【図2B】免疫原としてNT-プロXNP2のGST融合タンパク質を用いたヤギの免疫化における抗体力価の経過。
【図3】心疾患患者におけるNT-プロANP、NT-プロBNPおよびNT-プロXNPの血清レベル。
【図4】心臓病患者におけるNT-プロANP、NT-プロBNPおよびNT-プロXNPの血清レベル。
【図5】治療に対する心不全患者での血漿NT-プロANP、NT-プロBNPおよびNT-プロXNPならびに心拍出量(CO)の反応。
【配列表フリーテキスト】
【0171】
配列の簡単な説明
SEQ ID NO:1 ヒトプロANPのアミノ酸配列
SEQ ID NO:2 ヒトANPのアミノ酸配列
SEQ ID NO:3 ヒトNT-プロANPのアミノ酸配列
SEQ ID NO:4 ヒトプロBNPのアミノ酸配列
SEQ ID NO:5 ヒトBNPのアミノ酸配列
SEQ ID NO:6 ヒトNT-プロBNPのアミノ酸配列
SEQ ID NO:7 ヒトプロANPをコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:8 ヒトANPをコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:9 ヒトNT-プロANPをコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:10 ヒトプロBNPをコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:11 ヒトBNPをコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:12 ヒトNT-プロBNPをコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:13 本発明による薬剤NT-プロXNP1のアミノ酸配列
SEQ ID NO:14 本発明による薬剤NT-プロXNP2のアミノ酸配列
SEQ ID NO:15 本発明による薬剤NT-プロXNP3のアミノ酸配列
SEQ ID NO:16 アミノ酸スペーサー配列
SEQ ID NO:17 本発明による薬剤NT-プロXNP4のアミノ酸配列
SEQ ID NO:18 本発明による薬剤NT-プロXNP5のアミノ酸配列
SEQ ID NO:19 本発明による薬剤プロXNP6のアミノ酸配列
SEQ ID NO:20 本発明による薬剤XNP7のアミノ酸配列
SEQ ID NO:21 NT-プロXNP1をコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:22 NT-プロXNP2をコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:23 NT-プロXNP3をコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:24 NT-プロXNP4をコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:25 NT-プロXNP5をコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:26 プロXNP6をコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:27 XNP7をコードするヌクレオチド配列
SEQ ID NO:28 プライマー配列
SEQ ID NO:29 プライマー配列
SEQ ID NO:30 プライマー配列
SEQ ID NO:31 プライマー配列
SEQ ID NO:32 プライマー配列
SEQ ID NO:33 ヒトGC-A受容体のアミノ酸配列
SEQ ID NO:34 ヒトGC-A受容体の細胞外ドメインのアミノ酸配列
SEQ ID NO:35 ヒトGC-B受容体のアミノ酸配列
SEQ ID NO:36 ヒトGC-C受容体のアミノ酸配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)ホルモン系の活性化または不活性化を判定するインビトロの方法であって、試料中の心房性および脳性ナトリウム利尿ペプチドプロホルモン(プロANPおよびプロBNP)またはその断片の存在または量を同時に検出する段階を含む方法。
【請求項2】
以下の両者に結合できる二重特異的またはオリゴ特異的な第1の結合物質と試料を接触させる段階を含む、請求項1記載の方法:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)もしくはNT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片。
【請求項3】
以下を含む薬剤:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)もしくはNT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
ならびに
以下に結合できる第1の結合物質:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)もしくはNT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iv) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(c) 薬剤
と試料を接触させる段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第1の結合物質が以下を含む、請求項3記載の方法:
(a) 二重特異的もしくはオリゴ特異的結合物質; または
(b) 単一特異的結合物質の混合物。
【請求項5】
第1の結合物質が以下を含む、請求項2から4のいずれか一項記載の方法:
(a) ナトリウム利尿受容体GC-A(SEQ ID NO:33);
(b) (a)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(c) 長さが少なくとも400アミノ酸である(a)もしくは(b)の断片。
【請求項6】
第1の結合物質がナトリウム利尿受容体GC-Aの細胞外結合ドメイン(SEQ ID NO:34)を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
第1の結合物質が抗体またはその断片もしくは誘導体を含む、請求項2から4のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
抗体がポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、オリゴクローナル抗体、二官能性抗体または交差反応性のポリクローナル抗体を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
薬剤において、(a) (i)がSEQ ID NO.3でありおよび(b) (i)がSEQ ID NO.6であるまたは(a) (i)がSEQ ID NO.2でありおよび(b) (i)がSEQ ID NO.5である、請求項3から8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
薬剤が以下を含むまたは以下からなる、請求項3から8のいずれか一項記載の方法:
(a) プロBNP15-24とプロANP82-96;
(b) プロBNP1-37とプロANP29-98;
(c) プロBNP10-29とプロANP20-80;
(d) プロBNP1-76とプロANP1-98;
(e) プロBNP10-29とプロANP60-80;
(f) プロBNP1-108とプロANP1-126; または
(g) プロBNP77-92とプロANP112-126
【請求項11】
薬剤がポリペプチドである、請求項3から10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
第1の結合物質および/または薬剤が
(a) 検出可能な標識で標識される; および/または
(b) 固定化される、
請求項2から11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
第1の結合物質に結合できる第2の結合物質と試料を接触させる段階をさらに含む、請求項2から12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
第2の結合物質が
(a) 検出可能な標識で標識される; および/または
(b) 固定化される、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
第2の結合物質が第1の結合物質および第2の結合物質に結合する任意のペプチドの沈殿を引き起こす、請求項13記載の方法。
【請求項16】
イムノアッセイ法を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記請求項のいずれか一項記載の方法であって、それにより心不全を診断するまたは心臓病の治療をモニタリングする方法。
【請求項18】
以下を含む薬剤:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)、NT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片。
【請求項19】
以下を含むまたは以下からなる、請求項18記載の薬剤:
(a) プロBNP15-24とプロANP82-96;
(b) プロBNP1-37とプロANP29-98;
(c) プロBNP10-29とプロANP20-80;
(d) プロBNP1-76とプロANP1-98;
(e) プロBNP10-29とプロANP60-80;
(f) プロBNP1-108とプロANP1-126; または
(g) プロBNP77-92とプロANP112-126
【請求項20】
SEQ ID NO.13、14、15、17、18、19または20のいずれか一つを含む、請求項19記載の薬剤。
【請求項21】
検出可能な標識で標識される、請求項18から20のいずれか一項記載の薬剤。
【請求項22】
請求項18から21のいずれか一項記載のポリペプチド薬剤。
【請求項23】
請求項22記載のポリペプチドをコードする配列またはそのコード配列に相補的である配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項24】
以下を含む、請求項23記載のポリヌクレオチド:
(a) (i) SEQ ID NO 7、8もしくは9;
(ii) (i)に相補的な配列;
(iii) (i)もしくは(ii)にストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする配列;
(iv) (i)、(ii)もしくは(iii)に対し遺伝暗号の結果として縮重している配列;
(v) (i)から(iv)の配列のいずれかに対し少なくとも70%の同一性を有する配列; または
(vi) (i)から(v)の配列のいずれかの断片;
および
(b) (i) SEQ ID NO 10、11もしくは12;
(ii) (i)に相補的な配列;
(iii) (i)もしくは(ii)にストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする配列;
(iv) (i)、(ii)もしくは(iii)に対し遺伝暗号の結果として縮重している配列;
(v) (i)から(iv)の配列のいずれかに対し少なくとも70%の同一性を有する配列; または
(vi) (i)から(v)の配列のいずれかの断片。
【請求項25】
請求項23または24記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項26】
請求項23もしくは24記載のポリヌクレオチドまたは請求項25記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項27】
以下の段階を含む、請求項22記載のポリペプチドの産生方法:
(a) ポリペプチドの発現をもたらす条件の下で請求項26記載の宿主細胞を培養する段階; および任意で
(b) 発現したポリペプチドを回収する段階。
【請求項28】
化学合成を含む、請求項22記載のポリペプチドの産生方法。
【請求項29】
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)、NT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片
に特異的に結合する物質を同定する方法であって、
以下の段階を含む方法:
(A) 特異的結合を可能とする条件の下で(a)および(b)と候補物質を接触させる段階; ならびに
(B) 候補物質が(a)および(b)に結合するかどうかを判定する段階。
【請求項30】
以下の段階を含む、請求項29記載の方法:
(a) 請求項17から21のいずれか一項記載の薬剤と候補物質を接触させる段階; および
(b) 候補物質が薬剤に結合するかどうかを判定する段階。
【請求項31】
以下の両者に結合できる、二重特異的もしくはオリゴ特異的な抗体、その断片または誘導体:
(a) (i) プロANP(SEQ ID NO.1)、ANP(SEQ ID NO.2)もしくはNT-プロANP(SEQ ID NO.3);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片;
および
(b) (i) プロBNP(SEQ ID NO.4)、BNP(SEQ ID NO.5)もしくはNT-プロBNP(SEQ ID NO.6);
(ii) (i)に対し少なくとも70%の同一性を有する相同配列; または
(iii) 長さが少なくとも6アミノ酸である(i)もしくは(ii)の断片。
【請求項32】
検出可能な標識で標識される、請求項31記載の抗体、断片または誘導体。
【請求項33】
抗体を発現する細胞を培養する段階および任意で抗体を細胞から精製する段階を含む、請求項31または32で定義される抗体の作製方法。
【請求項34】
細胞が、請求項22記載のポリペプチドを哺乳類に投与する段階、B細胞を哺乳類から抽出する段階および請求項31記載の抗体の特異性を有する抗体を発現する能力に基づいてこれらから細胞を選択する段階により得ることができるものである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
細胞が抗体を発現するポリヌクレオチドで組み換えられている、請求項33記載の方法。
【請求項36】
請求項31または32記載の抗体を含む、固体支持体。
【請求項37】
粒子、尿試験紙またはマイクロタイタープレートである、請求項36記載の固体支持体。
【請求項38】
診断または治療のモニタリングにより人体または動物体の治療で用いる請求項17から22のいずれか一項記載の薬剤、請求項23もしくは24記載のポリヌクレオチドまたは請求項31もしくは32記載の抗体、その断片もしくは誘導体。
【請求項39】
心不全の診断および/またはその治療のモニタリング用の試薬を製造するための請求項2から8のいずれか一項で定義される第1の結合物質、請求項18から22のいずれか一項記載の薬剤、請求項23もしくは24記載のポリヌクレオチドまたは請求項31から32のいずれか一項記載の抗体の使用。
【請求項40】
以下を含む、診断キット:
(a) 請求項2で定義される第1の結合物質; または
(b) 請求項3で定義される第1の結合物質および薬剤;
その際に任意で、結合物質および/または薬剤が標識される。
【請求項41】
第1の結合物質が請求項4から8のいずれか一項で定義されるものである、および/または請求項36もしくは37記載の固体支持体上に存在する、請求項40記載のキット。
【請求項42】
薬剤が請求項18から22で定義されるものである、請求項40または41記載のキット。
【請求項43】
心不全の診断および/またはその治療のモニタリング用の方法での請求項2から8のいずれか一項で定義される第1の結合物質、請求項18から22のいずれか一項記載の薬剤、請求項23もしくは24記載のポリヌクレオチド、請求項31もしくは32記載の抗体、断片もしくは誘導体、請求項36もしくは37記載の固体支持体または請求項40から42のいずれか一項記載のキットの使用。
【請求項44】
以下の段階を含む、個体において心不全の治療を診断するおよび/またはモニタリングする方法:
(a) 個体から生体試料を得る段階;
(b) 試料中のプロANPおよびプロBNPまたはその断片の存在または量を同時に検出する段階を含む方法により、個体においてANPおよびBNP両ホルモン系の活性化または不活性化を判定する段階。
【請求項45】
請求項1から17のいずれか一項で定義される方法を含む、請求項43記載の使用または請求項44記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−526988(P2007−526988A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518044(P2006−518044)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006971
【国際公開番号】WO2005/003764
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506005237)
【Fターム(参考)】