説明

応力効果に基づく高感度弾性波マイクロセンサー

【解決手段】音響センシングはブリッジ構造を利用する。ブリッジ構造は、基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有する。ブリッジ構造は、基板に対して物理的に固定されておらず、支持点間の距離にわたって形成される。ブリッジ構造は、圧電部を備えると共に、ブリッジに近接する少なくとも一つのアクティブ音響領域を備える。ブリッジの少なくとも一つの表面の少なくとも一部にはセンシング材が配置される。ブリッジは、アクティブ音響領域に配置される弾性波デバイスにより測定可能な応力効果を生成する。一つの態様において、弾性波デバイスが応力効果を測定することにより、標的物質の検出が可能になる。ブリッジの少なくとも一部に取り付けられるセンシングフィルム上に標的分子が蓄積するにつれて、ブリッジ内に応力が生成され、この結果、弾性波デバイスで測定される周波数変化が引き起こされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2007年10月19日出願された継続中の米国特許出願11/875,162の利益を主張し、その内容は全体として参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、センサーに関し、詳しくは、圧電弾性波デバイスにおけるマイクロマシン構造を用いたセンシング技術に関する。
【背景技術】
【0003】
空港のセキュリティや軍事用や医学用の用途等、さまざまな分野における要求に基づき、センシング技術は目覚ましい発展を遂げてきた。たとえば、爆発物や危険な放射性物質および生物学的物質を空港や船のターミナルでスクリーニングする際、不十分なセンシング機器を用いたことにより不首尾に終わる事例が公表されている。
【0004】
センサーやセンシング用途にはさまざまなものが存在する。最近のガスセンサーの多くは、標的分析物にセンシングフィルムをさらすことによる質量負荷に基づいて検出を行う。質量負荷は、ガスの吸着による質量増加によって引き起こされる振動部材の測定量変化を意味する。質量負荷型共振器は電極を備え、所定の共振周波数で振動する。ガス分子がセンシングフィルムに吸着されるにつれて、ガス分子により付加された質量が弾性波デバイスの伝播や共振を変動させる。このようなデバイスでは、変化は周波数の減少としてあらわれる。
【0005】
カンチレバーをセンシング領域に用いることもできる。カンチレバー手法の一つは、高感度カンチレバー構造を用いて、カンチレバーの曲げに基づいた光学検出を行う。別のカンチレバー手法では、ピエゾ抵抗/圧電素子をカンチレバー上に配置し、カンチレバーの曲げに誘導される歪みを抵抗あるいは電圧変化として直接検出する。しかし、これらのシステムは、広範なセンシング用途における顧客の要求を満たしているとは言えない。
【0006】
従来技術の例をいくつか説明する。図1Aに、パッケージ、たとえば、マイクロマシン(MEMS)容量ダイヤフラムセンサーに配置される、静電容量に基づくプラットフォームを示す。基板5上に、下板20と中心充填孔25を有する上板10とを配置する。ポリマー製センシングフィルム30を下板20と上板10との間に置く。エネルギー源と応答測定器とを接続する下板電気コネクター15により電気的に接続する。通常、このようなデバイスでは、厚膜ポリマー製センシングフィルムを用いてセンサーアレイを形成する。当該分野で周知のように、暴露によりポリマーの誘電率が変化することを利用して検出を行う。このような容量センサーを設計する場合には、二枚の板の間隔幅を一定にして、測定に都合のよいベースラインが得られるようにする。このようなシステムは、通常、低出力で、プレコンセントレーターは存在しない。
【0007】
図1Bに、センサーアレイに組み込まれて、質量負荷を利用した検出を行うSiC共振器を示す。図1Bの圧電低周波MEMS構造では、P型シリコン基板40上に、SiC等のN型材45が配置される。N型材45は基板40を被覆するに留まらず、基板の端部から外側に広がって、カンチレバービームと呼ばれる拡張構造を形成する。エピタキシャル圧電層(AIN)50が、カンチレバービーム上の部分を含むN型被覆45の一部に載置される。上部電極55が、エピタキシャル圧電層50上に配置される一方、下部電極35は、カンチレバービーム上に伸長することなく、基板40上の一部でN型層に接続される。この構造では、プレコンセントレーターを用いて感度を増大させることができるが、検体を集める時間がかかるため、リアルタイムでの動作には通常用いられない。このシステムでも厚膜ポリマーが用いられるため、ポリマーの厚み制御の問題が生じる。ポリマーがセンサーのアクティブ振動領域を被覆する必要があるため、共振器はQおよび温度安定性の影響を受けやすい。また、プレコンセントレーターを加熱する必要があるため、必要な電力が増大し、エネルギー効率がよいとは言えない。このような一般的な型のデバイスに関する詳細は、たとえば、米国特許第6,953,977号に詳述されている。
【0008】
図2Aに、センシング分野でよく用いられるSAW遅延線構造を示す。圧電SAW基板75上に配置される入力側トランスデューサー60と出力側トランスデューサー70との間のデバイス表面にガス特異性のあるセンシングフィルム65を載置することにより、この2ポート型構造をガスセンサーとして用いることができる。センシングフィルム65をガスに暴露させると、センシングフィルム65の機械的および電気的摂動に応じて、弾性波デバイスの伝播特性が変化する。SAW構造を発振回路に接続すれば、この変化は、発振器周波数の減少あるいは増加としてあらわれる。センシングフィルムとして、たとえば、金属、金属酸化物、金属窒化物、ポリマー、生物材料(抗原、細菌性バイオフィルム、細胞培養)等を用いることができる。このようなフィルムとデバイス構造とを組み合わせる場合、センシングフィルムをデバイス全体に広げるようにしてもよいし、デバイス伝導体あるいは基板をセンシング媒体として用いるようにしてもよい。SAWセンサーの場合も、ポリマーがセンサーのアクティブ振動領域を被覆する必要があるため、Qおよび温度安定性の影響を受けやすい。周知のSAW共振器には、米国特許第6,335,667号に詳述されているものや、米国特許第7,002,281号に開示されているマルチ反射弾性波デバイス等がある。
【0009】
図2Aに示すようなSAWに基づくプラットフォームは、通常、厚膜ポリマーでセンサーアレイが形成される。センシングフィルムは、遅延パス内に配置され、質量負荷を利用して、周波数変化の検出を行う。プレコンセントレーターを用いて感度を増大させることもできるが、プレコンセントレーターの加熱により、必要電力が増大し、エネルギー効率がよいとは言えない。
【0010】
光学的手法を用いてカンチレバーの変位を測定するシステムも知られている。図2Bに、機械的構造の機械的共振を利用したMEMSカンチレバーシステムと光学的検出を組み合わせたシステムを示す。この種のシステムでは、通常、圧電材料ではないシリコン基板が用いられる。シリコン基板80は、キャビティ部100を有する。デバイス端部から延伸するカンチレバー85を含むデバイス周縁部の層状構造によりシステムが形成されている。フィルム面90上に、金属化層等のセンシングフィルム95が配置され、化学的に付着されている。
【0011】
シリコンMEMSカンチレバー部85は、(図示しない)発振器により駆動され、カンチレバー85の機械的共振で振動する(図示しない)圧電トランスデューサーと接続される。レーザーダイオード105から出射されるレーザービーム信号110は、カンチレバーの表面で反射して、検出器に入る。応答の測定値を用いて相対周波数を固定し、相対周波数からの変動を検出する。
【0012】
共振モードでカンチレバーの曲げが誘導され、バイセル検出器115を用いて、周波数を測定する。あるいは、構成を単純化して、駆動共振を用いることなく、曲げ効果を直接測定するようにしてもよい。このような光学的カンチレバーシステムは、レーザーダイオード105から出射されるレーザー光110の偏向角の変化を測定する。カンチレバー85の端部に入射したレーザー光110は、カンチレバーの端部で反射し、バイセル光沢検出器等の光学検出機115に入る。ガスがセンシングフィルム95に及ぼした影響は、カンチレバー85の変化としてあらわれ、光学検出器115により、カンチレバー85の端部で反射したレーザー光110の偏向角の変化を測定する。構造は複雑になるが、カンチレバー85における応力誘導効果を光学検出手法と組み合わせることにより、十分な感度の検出が可能になる。
【0013】
この種のセンサーは、通常、カンチレバーの曲げの変化あるいはカンチレバーの幾何学的配置により規定される機械的構造の共振周波数の変化を測定する。センシングフィルムの曲げあるいは歪みの変化を、カンチレバーの形状の直接的な変化として、光学的検出システムで検出するアプローチが可能である。また、フィルム質量の変化あるいはセンシングフィルムの剛性の変化を利用して、カンチレバーの全バネ質量定数を変動させて、その結果、共振周波数を変化させるアプローチも可能である。このような共振システムでは、光学的検出機構に加えて、カンチレバーユニットを駆動させるための圧電トランスデューサーと発振器あるいは静電的手段とを必要とする。この種のセンサーは、カンチレバー自体の形状や共振周波数により制御されるため、設計や実装に制限があり、センシングフィルムによりカンチレバーの共振Qを悪化させる可能性もある。この種のセンサーに関する基礎的な情報は、米国特許第5,719,324号および第5,445,008号に詳述されている。
【0014】
弾性波デバイス(AWD)カンチレバーセンサーは、非線形音響原理で作動し、(たわみ等の)バイアス歪みにより、移動可能に載置されるカンチレバー上に支持される弾性波デバイスの弾性特性が変化する。カンチレバーは少なくとも一端が移動可能なため、引張バイアス応力や圧縮バイアス応力がかかることはなく、弾性体の自由変形に伴う偶発的なせん断応力のみがかかる。非線形応力(T)と歪み(S)との関係を以下の二次式で表わすことができる。
【0015】
T+To=c(S+So)+c’(S+So2
【0016】
T+To=cS+c’(S2+2SoS)+cSo+c’So2
【0017】
ここで、cは線形弾性係数、c’は非線形弾性係数、下付き記号oは、一定バイアス場を意味する。カンチレバーにおいて、Toは約0であり、Soはバイアス歪みである。小さな超音波歪みに対して、この関係式をパラメトリックに線形化することができる。
【0018】
T〜(c+c’So)S
【0019】
この結果、パラメトリックに変動する有効弾性定数が得られる。
【0020】
センシングフラットフォームが利用可能な一方で、既存のセンシング技術に対して感度や簡便さを大きく改善したセンシング技術に対する業界の需要が高まっている。
【発明の概要】
【0021】
本発明は、フィルム誘導応力に対する幾何学的応答に基づくセンシング技術に関する。
【0022】
本発明の一つの態様は、ブリッジ構造を備える音響センシングシステムである。ブリッジ構造は、基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有し、基板に対して物理的に固定されておらず、支持点間の距離にわたって形成される。ブリッジ構造は、圧電部を備えると共に、ブリッジの一部に近接して少なくとも一つの弾性波デバイス(AWD)を備える。AWDがアクティブ音響領域を有し、ブリッジの摂動がAWDにより測定可能な応力効果を生成する。
【0023】
本発明の別の態様は、さらに、ブリッジの少なくとも一つの表面の少なくとも一部上に配置されるセンシング材をさらに備える。
【0024】
本発明のまた別の態様は、金属と、金属酸化物と、金属窒化物と、セラミックと、炭化物と、ポリマーと、磁性材料と、磁気歪み材料と、電気歪み材料と、生物材料と、からなる群から選択される少なくとも一つであるセンシング材を備える。
【0025】
本発明のまた別の態様は、ブリッジの一方の側に配置される少なくとも一つの正極とブリッジの反対側に配置される少なくとも一つの接地電極とにより形成される厚み方向電界励起(TFE)構造であるアクティブ音響領域を備え、電気エネルギー源が、少なくとも一つの正極と少なくとも一つの接地電極とに接続される。
【0026】
本発明の別の態様は、2ポート型デバイスである厚み方向電界励起(TFE)構造を備え、第1のトランスデューサーが、正電気接続と負電気接続とを介して電気エネルギー源に電気的に連結され、第2のトランスデューサーが、電気エネルギー源からの入力電気信号に対する応答を第2の正電気接続と第2の負電気接続とに出力する。
【0027】
本発明の一つの態様は、ブリッジの一方の側で電気エネルギー源に対して電気的に連結される少なくとも一つの正極と少なくとも一つの負極とにより形成される横方向電界励起(LFE)構造であるアクティブ音響領域を備える。
【0028】
本発明の別の態様は、ブリッジの一方の側と電気的に連結される少なくとも一つのトランスデューサーにより形成される表面発生弾性波(SGAW)構造であるアクティブ音響領域を備え、少なくとも一つのトランスデューサーが電気エネルギー源と電気的に連結される。
【0029】
本発明のまた別の態様は、さらに、少なくとも一つのトランスデューサーに動作可能に連結される表面発生弾性波(SGAW)エネルギー操作構造を備え、SGAWエネルギー操作構造が、反射格子と、遅延線と、金属捕捉格子と、マルチストリップカプラと、インターデジタル・トランスデューサーと、薄膜捕捉層と、からなる群から選択される。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、1ポート型デバイスである表面発生弾性波(SGAW)構造を備え、単一のトランスデューサーが、正電気接続と負電気接続とを介して、電気エネルギー源に電気的に連結される。
【0031】
本発明のまた別の態様は、2ポート型デバイスである表面発生弾性波(SGAW)構造を備え、少なくとも一つのトランスデューサーが、第1のトランスデューサーと第2のトランスデューサーとを備え、第1のトランスデューサーが、正電気接続と負電気接続とを介して電気エネルギー源に電気的に連結され、第2のトランスデューサーが、電気エネルギー源からの入力信号に対する応答を第2の静電気接続と第2の負電気接続とに出力する。
【0032】
本発明の別の態様は、フルブリッジ型バルク弾性波と、フルブリッジ型バルク弾性波モノリシック水晶フィルター(MCF)と、フルブリッジ型バルク弾性波横方向電界励起(LFE)と、フルブリッジ型表面発生弾性波と、フルブリッジ型フィルムバルク音響共振器(FBAR)と、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波と、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波MCFと、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波LFEと、アイソレーションブリッジ型表面発生弾性波と、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波FBARと、からなる群から選択される少なくとも一つの構造であるブリッジを備える。
【0033】
本発明は、延伸膜の非線形弾性特性に基づき作動するたわみ板波(FPW)デバイスから容易に区別できる。FPWは、すべての側面で支持される2次元膜である。これに対して、ブリッジ構造は、少なくとも2つの端部で支持され、2つの側面の少なくとも一部に沿った応力レリーフ(逃げ)構造を有する。FPW構造が等方性応力に応答するのに対して、ブリッジ構造は、望ましい方向にフィルム応力を集める。本発明の構成により、ブリッジの応力感度を最適化することができる。
【0034】
本発明の他の態様は、2つの支持部と4つの支持部のいずれかを介して、基板に接続されるブリッジを備える。
【0035】
本発明の一つの態様は、さらに、弾性波デバイス(AWD)と接続され、応力効果を測定する測定装置を備える。
【0036】
本発明の別の態様は、標的物質の検出方法である。検出方法は、基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有し、基板に対して物理的に固定されておらず、支持点間の距離にわたって形成される圧電ブリッジであって、ブリッジの一部に近接して配置される少なくとも一つの弾性波デバイス(AWD)を備える圧電ブリッジを形成し、ブリッジを所定環境にさらし、環境に対するブリッジの応力応答を引き出し、ブリッジの応力応答に対する弾性波デバイスの応答を検出する。
【0037】
本発明のさらに別の態様において、検出方法は、さらに、ブリッジの少なくとも一部にセンシング材を配置し、標的物質をセンシング材に吸着/吸収させる。
【0038】
本発明の他の態様において、検出方法は、さらに、周波数変化が最大になるように、弾性波デバイスの角度(Ψ)を調整する。
【0039】
本発明の一つの態様は、応力効果を測定するセンシングデバイスである。センシングデバイスは、基板であって、電気接続が基板の周囲に配置され、電気エネルギー源と測定装置とに接続される基板と、基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有するブリッジ構造と、を備える。ブリッジ構造は、基板に対して物理的に固定されておらず、支持点間の距離にわたって形成される。ブリッジ構造は、ブリッジの一部に近接して形成される少なくとも一つの弾性波デバイスを備える。弾性波デバイスは、少なくとも2つの電極が載置される圧電部を備える。ブリッジの摂動が弾性波デバイスの電気特性を変化させ、電気特性の変化が、測定装置による測定を可能にするように、電気エネルギー源からの信号を変形させる。
【0040】
本発明の別の態様は、さらに、ブリッジの少なくとも一つの表面の少なくとも一部上に配置され、ブリッジに摂動を生じさせるセンシング材を備える。
【0041】
本発明のさらに別の態様は、バルク弾性波(BAW)ブリッジ型ガスセンサーと、BAWブリッジ型磁気センサーと、BAWブリッジ型トルクセンサーと、表面弾性波(SAW)ブリッジ型ガスセンサーと、SAWブリッジ型磁気センサーと、SAWブリッジ型トルクセンサーと、モノリシック水晶フィルター(MCF)ブリッジ型ガスセンサーと、MCFブリッジ型磁気センサーと、MCFブリッジ型トルクセンサーと、フィルムバルク音響共振器(FBAR)ブリッジ型ガスセンサーと、FBARブリッジ型磁気センサーと、FBARブリッジ型トルクセンサーと、からなる群から選択される少なくとも一つであるセンシングデバイスを備える。
【0042】
本発明の一つの態様はブリッジアレイを備える。たとえば、基本的に互いに直交するように加工される少なくとも2つのブリッジのアレイを備える。水晶基板の対象軸に沿うように適切に調整すれば、トルクセンサーシステムを構成することができる。
【0043】
本発明の別の態様において、圧電部は、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ランガサイト、リン酸アルミニウム、リン酸ガリウム、カルシウム−ニオブ−ガリウムケイ酸塩、カルシウム−タンタル−ガリウムケイ酸塩、ストロンチウム−ニオブ−ガリウムケイ酸塩、ストロンチウム−タンタル−ガリウムケイ酸塩、カルシウム−ニオブ−アルミニウムケイ酸塩、カルシウム−タンタル−アルミニウムケイ酸塩、ストロンチウム−ニオブ−アルミニウムケイ酸塩、ストロンチウム−タンタル−アルミニウムケイ酸塩、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、およびこれらの化合物の組成物からなる群から選択される。
【0044】
本発明の一つの態様は、音響センシングシステムであって、基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有し、基板に対して物理的に固定されておらず、支持点間の距離にわたって形成されるブリッジ構造であって、圧電部を備えると共に、ブリッジの一部に近接して少なくとも一つの弾性波デバイス(AWD)を備えるブリッジ構造を備える。AWDがアクティブ音響領域を有し、アクティブ音響領域の境界がブリッジの境界から分離されている。ブリッジ構造に電気信号が入力され、ブリッジにより誘導される応力がAWDにより測定可能な力−周波数効果を生成し、力−周波数効果が電気信号の変調を引き起こす。
【0045】
本発明の別の態様は、物理パラメータを測定するセンシングデバイスであって、基板であって、電気接続が基板の周囲に配置され、電気エネルギー源と測定装置とに接続される基板と、基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有するブリッジ構造と、を備える。ブリッジ構造は、基板に対して物理的に固定されておらず、支持点間の距離にわたって形成される。ブリッジ構造は、ブリッジの一部に近接して形成される少なくとも一つの弾性波デバイスを備える。弾性波デバイスは、少なくとも2つの電極が載置される圧電部を備える。ブリッジは、ブリッジへの集中力(ポイント・フォース)の印加により誘導される応力に応答し、ブリッジの応力応答が弾性波デバイスの電気特性を変化させ、電気特性の変化が、測定装置による測定を可能にするように、電気エネルギー源からの信号を変形させる。
【0046】
本発明の他の態様は、さらに、ブリッジに近接して配置され、圧力に応答するダイヤフラムを備え、ダイヤフラムが集中力を伝達する。
【0047】
本発明の別の態様において、ブリッジに近接する磁性領域上で作用する磁界が集中力を生成する。
【0048】
本発明のさらに別の態様において、ブリッジに近接するプルーフマス上で作用する加速度が集中力を生成する。
【0049】
本明細書で言及する特徴や利点がすべてというわけではなく、当業者には自明のことであるが、図面や明細書、特許請求の範囲を考慮することにより、他のさまざまな特徴や利点も明らかになるであろう。また、本明細書で用いている表現は、読みやすさや理解のしやすさを主に考えて選択したものであり、何ら本発明の要旨の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明は、添付図面と共に以下の説明を読むことによって完全に理解されうるものである。
【0051】
【図1A】静電容量に基づくプラットフォーム用の従来のセンサーを示す図。
【0052】
【図1B】従来のマイクロマシン(MEMS)共振器センサーを示す図。
【0053】
【図2A】従来の表面弾性波(SAW)遅延線を示す図。
【0054】
【図2B】従来のカンチレバーに基づく光学プラットフォームを示す図。
【0055】
【図3A】従来のカンチレバーに基づく光学検出デバイスの基本動作を示すフローチャート。
【0056】
【図3B】本発明の一実施例に従うカンチレバーに基づく弾性波検出デバイスの基本動作を示すフローチャート。
【0057】
【図4A】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造をセンシングフィルムを備えない状態で示す上面斜視図。
【0058】
【図4B】本発明の一実施例に従う図4Aのフルブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の底面斜視図。
【0059】
【図4C】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の断面側面斜視図。
【0060】
【図5A】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型モノリシック水晶フィルター(MCF)構造をセンシングフィルムを備えない状態で示す上面斜視図。
【0061】
【図5B】本発明の一実施例に従う図5Aのフルブリッジ型モノリシック水晶フィルター(MCF)構造の底面斜視図。
【0062】
【図5C】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型モノリシック水晶フィルター(MCF)構造の断面側面斜視図。
【0063】
【図6A】横方向電界励起を利用した本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造をセンシングフィルムを備えない状態で示す上面斜視図。
【0064】
【図6B】本発明の一実施例に従う図7Aのアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の底面斜視図。
【0065】
【図6C】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の断面側面斜視図。
【0066】
【図7A】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造をセンシングフィルムを備えない状態で示す上面斜視図。
【0067】
【図7B】本発明の一実施例に従う図6Aのフルブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造の底面斜視図。
【0068】
【図7C】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造の断面側面斜視図。
【0069】
【図8A】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型バルク弾性波(BAW)フィルムバルク音響共振器(FBAR)構造をセンシングフィルムを備えない状態で示す上面斜視図。
【0070】
【図8B】本発明の一実施例に従う図8Aのフルブリッジ型バルク弾性波(BAW)フィルムバルク音響共振器(FBAR)構造の底面斜視図。
【0071】
【図8C】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型バルク弾性波(BAW)フィルムバルク音響共振器(FBAR)構造の断面側面斜視図。
【0072】
【図9A】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造をセンシングフィルムと共に示す上面斜視図。
【0073】
【図9B】本発明の一実施例に従う図9Aのアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の底面斜視図。
【0074】
【図9C】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の断面側面斜視図。
【0075】
【図10A】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)モノリシック水晶フィルター(MCF)構造をセンシングフィルムと共に示す上面斜視図。
【0076】
【図10B】本発明の一実施例に従う図10Aのアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)モノリシック水晶フィルター(MCF)構造の底面斜視図。
【0077】
【図10C】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)モノリシック水晶フィルター(MCF)構造の断面側面斜視図。
【0078】
【図11A】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)横方向電界励起(LFE)構造をセンシングフィルムと共に示す上面斜視図。
【0079】
【図11B】本発明の一実施例に従う図11Aのアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)横方向電界励起(LFE)構造の底面斜視図。
【0080】
【図11C】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)横方向電界励起(LFE)構造の断面側面斜視図。
【0081】
【図12A】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造をセンシングフィルムと共に示す上面斜視図。
【0082】
【図12B】本発明の一実施例に従う図12Aのアイソレーションブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造の底面斜視図。
【0083】
【図12C】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造の断面側面斜視図。
【0084】
【図13A】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)フィルムバルク音響共振器(FBAR)構造をセンシングフィルムと共に示す上面斜視図。
【0085】
【図13B】本発明の一実施例に従う図13Aのアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)フィルムバルク音響共振器(FBAR)構造の底面斜視図。
【0086】
【図13C】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)フィルムバルク音響共振器(FBAR)構造の断面側面斜視図。
【0087】
【図14A】面内応力の力−周波数効果を示すために、方位角に対して周波数シフトをプロットしたグラフ。
【0088】
【図14B】本発明の一実施例に従うフルブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の角度アラインメントを示す上面斜視図。
【0089】
【図14C】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)構造の角度アラインメントを示す上面斜視図。
【0090】
【図14D】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造の角度アラインメントを示す上面斜視図。
【0091】
【図14E】本発明の一実施例に従うアイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)モノリシック水晶フィルター(MCF)構造の角度アラインメントを示す上面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明の一般的な目的は、圧電ブリッジを用いて、センサー技術の感度を向上させることにあり、感度向上は、部分的には、標的物質に接触した場合にフィルムに誘起される応力に対するブリッジの幾何学的応答に基づくものである。
【0093】
本出願は、カンチレバーを用いたセンシング技術を開示した「たわみに誘起される周波数効果に基づく高感度マイクロセンサー」と題する出願に関連する。上記出願に詳述されているカンチレバーを用いた態様では、複数の支持部を連結した構造により、カンチレバーにたわみを生じさせていた。主に、移動可能に懸架されたカンチレバーを変形させる、測定量に誘起される応力を用いた、弾性波デバイスの歪み依存の非線形性により、センサー応答に対する曲げ歪みの影響が最大になるように、センサーを設計する必要があった。これに対して、本出願で詳述する応力応答性のマイクロセンサーの態様では、ブリッジ上に配置したセンシングフィルムから所定の影響をブリッジが受けた場合に、所定の度合いの応力が生じるように、より確実な技術を得ることを意図したものである。具体的に言うと、センサー構造は、支持される弾性波デバイスの電気特性に対する、基板の応力に誘導される非線形特性の影響を最大にするように、設計される。また、支持構造は、しっかりと固定されると共に、最適な方向に応力を集めるように、設計される。
【0094】
ブリッジ構造は、少なくとも2点の支持点で基板に連結される。3点以上の支持点で連結するようにしてもよい。支持点は、ブリッジの側面に設けられ、端点として作用する。端点の存在により、ブリッジ構造をカンチレバー構造と区別することができ、たわみよりもむしろ応力を発生させるように、端点の位置が選択される。たとえば、ブリッジの面内で応力を発生させるものでもよい。
【0095】
カンチレバーとは異なり、ブリッジ構造は物理的な制約を受ける。このバイアス電場は、ほぼゼロのバイアス歪みに対応するものであり、弾性コンプライアンス「s」および非線形コンプライアンス「s’」を用いた状態の代替構成方程式が、非線形音響問題に対するベストアプローチとなる。
【0096】
S+So=s(T+To)+s’(T+To2
【0097】
すなわち、パラメトリックに依存する有効な弾性コンプライアンスが、剛体的に制限を受けるブリッジのバイアス応力に依存する。
【0098】
当業者に明らかなように、機械的に移動可能なカンチレバーあるいはカンチレバーブリッジと機械的に固定されるブリッジ構造との間には、根本的な構造の差がある。また、曲げ歪みを誘導するのに最適なセンシングフィルムの要件と、引っ張り応力あるいは圧縮応力を誘導するのに最適なセンシングフィルムの要件とは大きく異なる。
【0099】
一つの態様における圧電ブリッジは、ブリッジの長さ方向に沿って配置されるセンシングフィルムが標的ガスのような所定の影響下にさらされた場合にフィルム応力が増加あるいは減少することに起因して、剛体的に固定されたブリッジの共振アクティブな弾性波領域が誘起応力に応答する、という現象を利用したものである。センシングフィルムの弾性特性が増加あるいは減少することにより、ブリッジに応力が生じ、この結果、ブリッジの共振部分、すなわち、アクティブ音響領域において対応する周波数変化が起こる。
【0100】
所定の実施形態において、ブリッジは、所定の位置に保持され、移動できない。センシングフィルムが変化すると、ブリッジが応力を受ける。ここで、ブリッジの両端は固定されているため、ブリッジに逆応力が蓄積される。ブリッジが固定されていることにより、デバイス全体の振動に対する感度が低くなる。このようなロバスト構造には、ある種の厳しい環境が理想的には適している。ただし、ブリッジセンシング機構は、非線形弾性特性に依存するものであり、歪みに基づくセンサーにおける幾何学的変化ほど大きなものではないが、二次効果(三次弾性定数)を生じることに注目する必要がある。
【0101】
TSMデバイスを用いた力周波数あるいはたわみ周波数を含む共振器の力と応力とに関する基礎的な情報は、同一出願人による「水晶共振器用の低加速度感度取り付け構造」と題する米国特許第6,984,925号に詳述されており、あらゆる目的のために参照することにより本出願に組み込まれる。周知のように、TSMデバイスは、力−周波数効果および力−たわみ効果を感知する。一態様に従う米国特許第6,984,925号には、デバイスに結合される応力の効果を最小限にするように、構造の最適な角度を調整する技術が説明されている。
【0102】
一つの態様において、ブリッジ内部の応力は、AWDにおいて、たとえば、厚みすべりモード(TSM)共振器/検出器において、応力に誘起される周波数変化を生じさせる。この態様において、フィルムの内部で発生した応力により、ブリッジの逆応力が誘起され、この結果、非線形の材料特性に変化が生じる。ここで用いられるTSMデバイスには、バルク弾性波(BAW)デバイス、横方向電界励起(LFE)デバイス、モノリシック水晶フィルター(MCF)デバイスが含まれる。輪郭すべりモード、ねじれモード、長さ拡張モード、厚みねじりモード等の他のモードも同様に用いることが可能である。空気中あるいは真空下における動作に関する概念および請求項は、厚み拡張モードにも適用され、厚み拡張モードも含まれると考えられる。表面発生弾性波(SGAW)デバイスには、いくつかの特定種類のデバイス、たとえば、表面弾性波(SAW)デバイス、表面横波(STW)デバイス、表面スキミング・バルク波(SSBW)デバイス、疑似表面弾性波(PSAW)デバイス、ラブ波デバイス、ラム波デバイス、液体誘導弾性波(LGAW)デバイス、音響プレートモード(APM)が含まれる。本明細書で用いる「弾性波デバイス(AWD)」という言葉は、共振器、フィルターあるいは遅延線として機能するこのようなデバイスのいずれをも含む広い意味で用いるものであり、特定の材料や形状、カットに何ら限定されるものではない。
【0103】
本発明のさらなる態様は、ブリッジ構造を用いて、「静的」あるいは「低周波数」磁場により誘起される、ブリッジの外部発生応力を監視する。磁歪効果をセンシングフィルムと共に用いることもできるし、あるいは、強磁性を有するプルーフマスを用いて、ブリッジに応力を加えるようにしてもよい。ブリッジの中核をなすプルーフマスにより、磁場に応じて、ブリッジの鉛直方向の曲げおよび長手方向の延伸が誘起される。長手方向の延伸により、ブリッジ材の弾性に基づき、復元応力が生じる。
【0104】
従来の低周波数BAWデバイス(すなわち、20MHz未満の厚みすべりモード(TSM))は、質量負荷センサーとして構成した場合に、二つの問題点があった。第一の問題点は、動作周波数が非常に低いことである。弾性波センサーに関しては、質量感度は周波数の二乗の関数であるという経験則がある。したがって、100MHzのTSMデバイスは、理論的には、10MHzのTSMデバイスの100倍の感度を持つことになる。しかし、音響的にアクティブな場所に低Qポリマーフィルムを置いた場合、周波数の増加と共に、周波数安定性が急激に悪化するために、このような感度の上昇は通常ありえない。実際には、共振周波数に対する影響として付加質量を直接的に測定することは難しく、このため、本発明は、高周波数AWDを最適化された周波数安定性(高Q)で動作させる一方で、最適化感度との検体相互作用として、センシングフィルムにより周波数の摂動を引き起こすことを目的とする。
【0105】
別の問題点は、センシングフィルム上に吸着されたあるいはセンシングフィルム内に吸収された質量によるセンサーの周波数変化が限られていることである。低周波数TSMデバイスは、通常、サイズが大きく、検体の必要量は、単位面積当たりの質量に対するF2感度を超えて、面積を考慮した少なくとも1/F2と見積もられる。BAWデバイスと同様に、表面弾性波(SAW)デバイスの問題点は、センシングフィルム上に吸着されたあるいはセンシングフィルム内に吸収された質量によるセンサーの周波数変化が限られていることである。
【0106】
また、弾性波を用いないカンチレバーにおける弾性フィルムの変化により、標的ガスにさらされた場合に質量負荷に応答するように構成されたカンチレバー構造と比較して、高い感度のセンサープラットフォームを提供できる。たとえば、T.Thundat、E.A.Wachter、S.L.Sharp、R.J.Warmackの“Detection of Mercury Vapor Using Resonating Microcantilevers”「共振マイクロカンチレバーを用いた水銀蒸気の検出」Appl.Phys.Lett.66,13,1995および{ HYPERLINK "http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,570260,00.html" ,http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,570260,00.html}を参照のこと。これらの構造にも、カンチレバー自体が共振構造であることから、製造変動性や環境変動性が生じる、また、センシングフィルムの直接的な弾性波負荷により、QおよびSN比が減少する、という問題点がある。
【0107】
共振器に関して、力−周波数効果が知られている。たとえば、K.YoonkeeおよびA.Ballato、“Force-Frequency Effects of Y-cut Langanate and Y-cut Langasite”「YカットランガネイトおよびYカット欄がサイトの力-周波数効果」、2002年IEEE International Frequency Control Symposium and PDA ExhibitionおよびJ.J.Boy、R.J.Besson、E.Bigler、R.Bourquinn、B.Dulmet、“Theoretical and Experimental Studies of the Force-Frequency Effects in BAW LGS and LGT Resonators”「BAW LGSおよびLGT共振器における力-周波数効果の理論的および実験的研究」2001年International Frequency Control Symposium and PDA Exhibitionを参照のこと。
【0108】
本発明の一つの態様は、弾性波デバイスにより測定される、ブリッジに対するフィルムの力−周波数効果を用いて、ガス等の標的物質を検出する。この場合、ブリッジの少なくとも一部に取り付けられたセンシングフィルム上に、ガス分子が蓄積される。
【0109】
ある種のガスに感受性があり他のガスには感受性がないような所定の一種類あるいは複数種類のガス用に、センシングフィルムを選択する。水銀(Hg)の検出を例にとると、金(Au)フィルムを用いて、Hgを集め、アマルガムを形成する。HgはAuセンシングフィルム上に吸着されるため、金フィルムの原子密度が変化して、フィルムは膨張しようとする。ブリッジ材の弾性により、この膨張に抗する復元力(応力)が生じる。Hgの表面への吸着率により、BAW周波数の変化率が変動する。表面へのHg吸着量は、濃度に依存し、応答の大きさを変動させる。この結果、検出対象ガスの濃度が検出できる。
【0110】
先に開示されたカンチレバーの態様のように、共振器の動作周波数を決めるものは必ずしもブリッジの形状や寸法ではないことに注目する必要がある。ブリッジは、その全体が共振素子として作用するものではなく、フォトリソグラフィー的な捕捉エネルギー共振器あるいは遅延線のような共振器(アクティブ音響領域)上に応力を誘導する剛体あるいは半剛体支持部を与えるものにすぎない。対応するアクティブ音響領域を備える弾性波デバイスは、ブリッジ全体の寸法よりも小さなブリッジの一部の上に載置され、ブリッジの端よりも内側に配置される。
【0111】
図3Aを参照して、図2Bで説明した従来のMEM光学カンチレバーに基づくセンシングプラットフォームの基本的な動作を説明する。ここでは、カンチレバーの曲げを生じるフィルム応力に基づく例に従って説明する。このガス検出工程では、まず、ガスに対する暴露116を行うと、ポリマーフィルムへの吸着117が生じる。センシングフィルムに対してガスが吸着されることにより、フィルム応力が変化し、移動可能に支持されるカンチレバーに曲げが生じる。カンチレバーの曲げ118により、衝突レーザービームが偏向し、光学的検出119に基づく高感度測定が可能になる。
【0112】
最新技術では、カンチレバーの機械的配置に依存する機械的な共振周波数システムが用いられる。センシングを行う際には、カンチレバー上に載置したセンシングフィルムの変化により、機械的カンチレバーのバネ定数が変動し、その結果、(質量負荷や弾性硬化等の)センシングフィルム応答の種類に応じて、機械的共振周波数が増大あるいは減少する。ブリッジの共振モード(マイクロマシン「ギター絃」)が共振器として働くブリッジ等価構造を想定する可能性もあるが、センシングフィルムは、共振ブリッジに大きな負荷をかけ、捕捉エネルギー共振器あるいはSGAW構造と比べて、ブリッジ自体の製造変動性が悪い。
【0113】
機械的共振周波数は、(100kHzよりもかなり小さい)比較的低い周波数になる場合が多い。また、他に周知の効果として、カンチレバーの静的な曲げがある。静的な曲げは、必ずしも、カンチレバーの機械的な共振周波数に関係するものではなく、センシングフィルムを標的ガスにさらした場合に蓄積されるフィルム応力に起因すると考えられる。応力に応じて、力/応力平衡を復元するために機械的なカンチレバーの曲げが生じ、この曲げの量を光学的に測定する。参考までに、さらなる情報が必要であれば、米国特許第6,336,366号を参照されたい。
【0114】
図3Bを参照して、弾性波検出の一実施例を説明する。このガス検出工程では、センシングフィルムを有する一つあるいは複数の弾性波検出器を備えるブリッジをガスに対して暴露121すると、ガス吸着/吸収122が起こり、膜応力123が生じる。弾性波検出124に基づき、膜応力を測定する。たとえば、応力による周波数変化を測定し、処理することで、標的物質の影響を求める。実際には、さまざまな他の測定量を用いても、フィルム内に応力を誘導する、あるいは、ブリッジに取り付けられた、または、ブリッジと一体化された一つあるいは複数の物質上で応力を作用させることができる。
【0115】
センサーに弾性波デバイスを用いる場合、機械的効果および電気的効果が変化する。機械的効果としては、質量負荷や弾性硬化や軟化が挙げられる。センシングフィルム上にガスが吸着する、あるいはセンシングフィルム内にガスが吸収されると、デバイス表面上のフィルムのモル密度、容積、固有応力が変化し、保持されるブリッジには逆の力が蓄積される。一つの態様において、TSMデバイスとブリッジとを2つの別々の構成要素として用いて、ブリッジ内に生じたフィルム誘起応力をブリッジ支持部に配置されたTSMセンサーに集める。TSMデバイスは、応力を検出し、力−周波数効果に応答する。
【0116】
参考までに、吸着(質量負荷)を大まかに説明すると、センシング材表面上に標的物質を集めることを意味する。センシングフィルムを対象ガスにさらすと、ガス分子が表面上に集まる(吸着)、あるいは、センシングフィルムのバルク内に拡散する(吸収)。吸着の影響は、通常、質量負荷としてあらわれ、(BAW、SGAW、FBAR、LFE等の)圧電共振器構造の圧電共振周波数を減少させる。(SAW遅延線等の)遅延線構造に関しては、質量の表面捕集により、センシングフィルムを通って、入力側IDTから出力側IDTに弾性波が伝播する際に、弾性波速度が減少する(このような速度減少が位相の変化をもたらす)。非圧電的な機械的カンチレバーの場合にも、吸着(表面捕集)の影響は、質量負荷と機械的共振周波数の減少をもたらす。
【0117】
吸収(フィルム内部への拡散)の影響は、余分のガス分子がセンシングフィルムのバルク内部に拡散する際の膨張によるフィルムのモル密度あるいは容積の変化としてあらわれる。このようなセンシングフィルムの容積変化により、フィルム応力が蓄積され、この結果、鉛直方向および水平方向にフィルムが膨張しようとする。フィルムの寸法変化の鉛直方向成分は、構造のいずれの部分にもほとんど影響を及ぼさないが、水平成分は、たわみ、硬化、応力という3つの大きな効果をもたらす。第1の効果であるたわみは、フィルムの膨張に応じて移動可能な構造上で生じ、第2の効果である弾性スティフネスは、通常、カンチレバー上でも固定構造でも生じる一方で、第3の効果は、固定構造上で主に生じる。
【0118】
たわみ効果は、吸収の結果生じるものであり、フィルムの膨張により、フィルム応力並びにその平衡化の作用に応じて、すべてのカンチレバーに曲げが生じる。カンチレバーの曲げが止まった後は、初期フィルム応力がカンチレバーを最終的な曲げ位置に保持するために必要なカンチレバー応力と等しいため、構造にかかる応力は正味ゼロになる。このような曲げを「たわみ」と称し、結果として得られる効果は応力ではなく歪みとなる。弾性波構造と機械的カンチレバー構造との間には、顕著な差異がある。機械的カンチレバーが曲がることによって、カンチレバーの形状に変化が生じ、カンチレバー端部の鉛直方向の位置に大きな変位が生じる。従来技術では、カンチレバーの変位を通常は光学的に測定する。
【0119】
カンチレバー上に配置される弾性波デバイスの弾性波共振は、BAWの場合、圧電厚みに依存し、SGAWの場合、IDTおよび反射器設計特性に依存し、LFEの場合、圧電厚みに依存し、MCFの場合、厚み/ギャップに依存する。従来技術において、カンチレバー並びにその支持領域にフィルム応力がかかることにより、たわみ変形が生じ、寸法の変化が起こり、さらに、材料特性の変化が引き起こされる可能性がある。寸法変化および材料特性変化は、弾性波デバイスの電気的応答に反映される。特に、たわみ変形は、電気特性を規定する基本的な弾性定数、圧電定数、誘電率を変動させる。これは、一定応力下で測定された強誘電材あるいは圧電材の誘電率と一定歪み下で測定された強誘電材あるいは圧電材の誘電率との間に大きな差があることからもわかる。
【0120】
フィルムの吸収(フィルム内部への拡散)により、弾性硬化と呼ばれる現象であるセンシングフィルムの剛性増大が起こる。従来のカンチレバーでは、フィルム剛性の増大は、カンチレバーのバネ定数の増加をもたらす。バネ定数の増加は、機械的共振振動数の上昇を招く。すなわち、機械的カンチレバーのバネ定数が変化して、機械的共振周波数が上昇する。この効果の測定感度は、カンチレバーの曲げによる測定変位の感度よりも小さい。
【0121】
同様に、エッチング加工されたレリーフ(逃げ)構造を備える場合でも備えない場合でも、弾性波デバイスに関して、このようなフィルム弾性の増大は、(共振器用の)圧電共振周波数の増加あるいは速度の増加を招き、遅延線構造の位相変化が生じる。しかし、この効果は、弾性波デバイスの直接的な応力に基づく変化と比べて、小さい。共振器が軽負荷条件下では、フィルムの摂動が弱いため、非線形材料効果によるフィルム特性の小さな変化は、共振器の本体ほどの影響も及ぼさない、ということは明白である。
【0122】
弾性波ブリッジの弾性波共振は、主に、BAWの場合、材料特性と厚みに依存し、SGAWの場合、IDTと反射器設計特性に依存し、LFEの場合、圧電厚みに依存し、MCFの場合、厚み/ギャップに依存する。フィルム剛性の増大は、共振周波数の増加(フィルムの場合、速度の増加)を招く、あるいは、遅延線の場合位相の変化を招く(剛性の増大により、波の進行速度が速くなる)。優れた設計のデバイスに関しては、ブリッジの一般的な形状に対する依存性はない。
【0123】
応力効果に関しては、カンチレバーが固定され、容積を増やすことができないため、フィルムの吸収(フィルム内部への拡散)により、センシングフィルムに応力が生じる。
【0124】
ガスセンサーに弾性波デバイスを用いる場合、機械的効果および電気的効果が変化する。機械的効果としては、質量負荷や弾性硬化や軟化が挙げられる。センシングフィルム上にガスが吸着する、あるいはセンシングフィルム内にガスが吸収されると、デバイス表面上のフィルムの固有応力が変化し、ブリッジは逆応力を受ける。一つの態様において、TSMデバイスとブリッジとを2つの別々の構成要素として用いる。ブリッジに応力がかかると、応力はブリッジの支持部に配置されたTSMデバイスに伝送される。TSMセンサーは、力周波数効果により、応力を検出する。この種の構造は、フローセンシングに利用可能である。すなわち、ブリッジ構造に対して垂直に向かう衝突流れがブリッジを直接的に屈曲および延伸させ、あるいは、ブリッジを振動させ、その結果、流れあるいは振動等の衝突信号を有するAWDの周波数あるいは位相を調節する。たとえば、一つの態様において、AWDが有する動作周波数は、膜に応力がかかることにより変動する。膜が振動すると、振動に伴って、AWDの周波数変調あるいは位相変調を行うことができる。振動検出、磁気センシング、通信等、このようなデバイスをさまざまな用途に適用することができる。
【0125】
一つの態様において、弾性波モードは、弾性波デバイスによって規定されるブリッジ構造の一部で実現される。ブリッジ構造自体が圧電材を用いているため、別個の圧電層を設ける必要はない。上述したMEMS構造とは異なり、弾性波デバイスの動作は、必ずしもセンシングフィルムやブリッジのバネ定数に依存するものではない。本発明の一実施形態は、構造のバネ定数を変える代わりに、共振器にかかる負荷である応答の効果を監視する。すなわち、本発明の一実施形態では、基本的な動作を変えることなく、デバイスの二次効果を監視する。
【0126】
本発明の一つの態様において、圧電共振周波数あるいは圧電設計周波数は、ブリッジ構造の幾何学的配置に依存するものではなく、各システムは、他の圧電設計基準に依存する(たとえば、BAWの場合は、板の厚みとBAW電極に依存し、SAWの場合は、IDT構造に依存し、MCFの場合には、板の厚みと電極構造とに依存する)。また、ブリッジ構造が満足な圧電共振器や遅延線の形成に十分な長さや幅を有していれば、ブリッジの実際の幾何学的構造は処理では問題にならない。すなわち、弾性波デバイスは、ブリッジの知識を必要とせず、アクティブ音響領域上に直接かかる質量、あるいは、カンチレバー、ブリッジや他の応力/歪み誘導構造によってもたらされる可能性のあるアクティブ音響領域の近傍における力、応力や歪みに応答するに過ぎない。
【0127】
種々の設計の実施例や適用例をいくつか挙げる。BAW(TSM)共振器の例では、共振周波数は、通常、板の厚みと、上部/下部電極と、上部電極と下部電極の重なりと、によって決まる。アクティブ領域上の質量やアクティブ音響領域にかかる応力や歪みにより、共振周波数が変化する。
【0128】
MCF(TSM)フィルターの場合には、設計周波数は、板の厚みと、上部入力側と接地との重なりと、上部出力側と接地との重なりと、入力側電極と出力側電極の間のギャップと、によって決まると考えられる。アクティブ領域上の質量やアクティブ音響領域にかかる応力や歪みにより、BAWエネルギーの入力側TSMから出力側TSMへの伝送が変化する。
【0129】
LFE(TSM)共振器の共振周波数は、通常、板の厚みと、入力側電極および出力側電極と、入力側電極と出力側電極の間のギャップと、によって決まる。アクティブ領域上の質量やアクティブ音響領域にかかる応力や歪みにより、LFE構造の共振周波数が変化する。
【0130】
FBARは、基本的に平行板共振器であり、前述したTSM共振器に類似のものである。
【0131】
SAW共振器の場合には、共振周波数は、IDT周期/電極構造と、格子(共振器)構造と、有効キャビティ長と、によって決まると考えられる。アクティブ領域上の質量やアクティブ音響領域にかかる応力や歪みにより、SAW構造の共振周波数が変化する。
【0132】
SAW遅延線の設計周波数は、通常、2ポート型IDT周期/電極構造に依存する。アクティブ領域上の質量やアクティブ音響領域にかかる応力や歪みにより、SAWエネルギーの入力側IDTから出力側IDTへの伝送が変化する。音響プレートモード(APM)共振器の共振周波数は、通常、IDT周期/電極構造と、格子(共振器)構造と、圧電板厚みと、によって決まる。アクティブ領域上の質量やアクティブ音響領域にかかる応力や歪みにより、APM構造の共振周波数が変化する。
【0133】
FPW共振器の場合には、共振周波数は、薄膜圧電厚みと、上部電極および下部電極の配置と、によって決まる。アクティブ領域上の質量やアクティブ音響領域にかかる応力や歪みにより、共振周波数が変化する。
【0134】
本発明の一実施形態では、AWDからブリッジが切り離されている。この構成では、基本的に3つの動作モードが存在する。第1のモードは、質量負荷モードであり、通常、共振周波数は減少する。第2のモードは、弾性硬化モードであり、これも共振周波数の動作に関連し、弾性硬化により機械的共振周波数が増大する。第3のモードは、ブリッジ構造とその支持部のバイアス応力に関し、検出操作は基板材の応力誘導変化によって直接的な影響を受けるため、もっとも影響を受けやすいモードである。一つあるいは複数のAWDにおいて、応答は、歪みのみ、あるいは、応力のみに限定されるものではない。言い換えると、一つの態様において、AWDは、応力とひずみの組み合わせによる効果を測定するものでもよい。
【0135】
図4A、4B、4Cを参照して、フルブリッジ型BAW構造を説明する。構造基板125は圧電材であり、一方の面に接地電気接続120が設けられ、反対側の面に正電気接続155が設けられている。使用時やパッケージングの際に利用しやすい形状にエッチング加工されたポケット領域145が形成されている。エッチング加工されたレリーフ領域140は、弾性波ブリッジ137に近接して設けられ、ブリッジ137の周辺側部境界を規定する。
【0136】
弾性波ブリッジ137内において、圧電ブリッジ135の一方の面に配置される接地電極130と他方の面に配置される正極150とを組み合わせることにより、弾性波デバイス(AWD)138が形成される。接地電極130は、接地電気接続120に接続され、一方、正極150は正電気接続150に接続される。一つの態様において、このような音響デバイスは、電極130および150の上部領域近傍のアクティブ音響領域内で機能する。
【0137】
本実施例において、センシングフィルム160は、接地電極130の少なくとも一部上に配置される。圧電ブリッジ135は、ブリッジ137の周辺側部を規定するエッチング加工レリーフ領域140を介して、圧電基板125に取り付けられる。ブリッジ137は、通常、応力を許容可能な剛性を有するブリッジ用の適切な支持部を提供可能な寸法に形成される。
【0138】
弾性波ブリッジ137に逆応力が蓄積されるにつれ、弾性波デバイスは、水晶等から形成される圧電ブリッジ層内部への応力移動に伴って、周波数を変化させる。したがって、一実施例において、センシングフィルム160により応力がかかると、この応力に応じて周波数を変化させるように構成された圧電膜135を備えるTSMデバイスが形成される。厚みすべりモードデバイス(TSM)、一般的な意味では、厚みすべりモード(TSM)は、接地電極と正極との間に圧電材が配置される構成で、AT水晶やYカットランガサイト等の適切に選択された基板材及び配向を有するデバイス上に生じる効果を意味する。電極に信号を印加すると、厚みすべり機械的共振の励振が生じる。センシングフィルムの固有フィルム応力により、AWDの歪みが誘導される。AWDの細部構造に応じて、誘導された歪みにより、直接AWD応答や非線形弾性が変化したり、基板の密度変化が生じたりする場合もあるし、あるいは、歪みが誘導される際に間接的にAWD応答が変化する場合もある。いずれにしても、AWDの音響エネルギーをセンシングフィルムに直接加える必要はない。ただし、音響エネルギーを直接加えることを妨げるものではない。したがって、センシングフィルムを有していない態様やセンシングフィルムが音響的にアクティブな領域138内に位置しない態様も可能である。
【0139】
たとえば、ある動作モードは、フィルム160のガス吸着による力周波数効果に基づくものであり、フィルム160の弾性変化に起因する圧電ブリッジ膜135の応力に応じて、周波数が変化する。本実施例では、フィルム160は、ブリッジ137の表面積の大部分を占めるように形成されているが、設計基準に応じて、ブリッジ表面のごく一部のみを占めるようにフィルム160を形成するものとしてもよい。また、本発明の要旨の範囲内で、一つのブリッジ137に複数のセンシングフィルムを用いる構成でもよい。
【0140】
さらに、共振器部(弾性波デバイス)は、通常、アクティブ音響領域に入力される応力にのみ応答するため、長いブリッジは必要ではない。ガス吸着とその結果生じる応力がガス濃度に対して一次関数的に変化するものであれば、弾性波デバイスの周波数変化もガス濃度に対して一次関数的に変化する。このような特徴は、あらゆる種類のセンシングフィルム(単層ポリマー、金属薄膜、金属酸化物薄膜等)によく適している。本発明の技術と感度増大とを組み合わせることにより、様々な生物学的応答や化学的応答を測定することができる。
【0141】
ブリッジ135は、水晶等の任意の圧電材でもランガサイトやその同形体でも形成可能である。水晶を用いた実施例もあるが、ブリッジ材料を何らこれに限定するものではない。
【0142】
本発明の要旨の範囲内で、液体センシングや物理的センシングは、種々の他の適用例でも実現可能である。たとえば、ブリッジ上にセンシングフィルムを載置して用いる代わりに、ニッケル等の磁気フィルムをブリッジ端部に配置するようにしてもよい。磁気被膜によりブリッジの動きに影響を与えるような磁界の存在下にデバイスを配置するようにしてもよい。一例として、歯車歯の存在下で磁石を用いてデバイスにバイアスをかけることにより、速度を測定することができる。このような構成例を無線送信器と共にSAWあるいは高周波BAWと組み合わせることにより、無線磁気センシングが可能になる。
【0143】
弾性波ブリッジ137に対して、弾性波デバイスが中央に配置されない態様も可能である。ブリッジの周囲に複数の弾性波デバイスを同時に配置する構成も可能である。シングルエンド構造の場合、弾性波デバイスをブリッジ接合部に配置するようにしてもよい。また、設計基準に応じて、ブリッジの長さ方向に沿って弾性波デバイスを配置する構成も可能である。
【0144】
ここでは、BAWを例にとって説明したが、SAW、LFE、MCF、FBAR、MEMS型の共振器デバイス等、他の様々なデバイスにも本発明を同様に適用可能である。
【0145】
本発明の例示を目的として、ブリッジ形状/設計の例をいくつか説明する。大きくは矩形ブリッジと円形ブリッジの二つのグループに分けられ、さらに、それぞれが、全矩形と半矩形のサブグループ、全円形と半円形のサブグループに分けられる。各サブグループにおいて、長さや角度のさまざまなバリエーションが考えられる。本発明は、設計基準に応じて、さまざまな形状や大きさで構成可能である。形状は対称形でも非対称形でもよく、非対称形の設計は、応力効果に応じて調整可能である。矩形や円形の構造は、本発明の要旨を説明するための例示にすぎず、何ら本発明を限定するものではない。楕円形、ひし形、正方形等、他の幾何学的形状の構造も、本発明の要旨の範囲内で構成可能である。
【0146】
弾性波デバイスがブリッジのほんの一部分であるような態様も可能であるし、ブリッジのほぼ全部を弾性波デバイスとして、ブリッジ端部から離れた場所でエネルギーの捕捉を行う態様も可能である。さらに、用途や必要に応じて、ブリッジの周囲に複数の弾性波デバイスを配置する構成も可能得ある。
【0147】
図5A、図5B、図5Cを参照して、BAWモノリシック水晶フィルター(MCF)デバイス等の2ポート型弾性波デバイスを説明する。圧電基板125の一方の面には、接地電極130に接続される接地電気接続120が設けられ、他方の面には、少なくとも2つの正極、すなわち、入力側正極170と出力側正極175とが設けられている。
【0148】
本実施例では、入力側正電気接続165が基板125上に配置され、圧電ブリッジ135を介して、入力側正極175と電気的に連結されている。これにより第1のトランスデューサー(変換器)すなわち電気的ポートが形成される。また、出力側正電気接続180が、圧電ブリッジ135を介して、出力側正極175と電気的に連結されている。これにより第2のトランスデューサーすなわち電気的ポートが形成される。
【0149】
当業者には自明のことであるが、MCFの電極は他の様々な配置・配列で構成可能であり、接地電極を入力側接地電極と出力側接地電極とに分けるような構成でもよい。
【0150】
作動時に、フィルム160に起因する応力がブリッジ172に加えられると、入力側から出力側への結合に影響が出る。2ポート型構造は、周波数変化と損失変化とのみを監視する1ポート型構造とは少し異なる挙動を示す。2ポート型構造を採用した場合にも、周波数変化を監視するが、2極連結共振器構造により生じる2種類の周波数をさまざまな用途に用いることができる。
【0151】
一つの態様において、電極間の連結を、密結合(overcoupling)、疎結合(undercoupling)、臨界結合(critical coupling)等、様々なレベルで実現する設計が可能である。2ポート型構造では、入力側/出力側で信号を個別に測定し、ピーク検出器を用いることにより、測定挿入損失を許容できる。特定モードでデバイスを作動可能か否かは、2つの電極が連結効果に十分なくらい近接しているか否かによって決まる。ブリッジの応力が少なくとも一つのトランスデューサーの特性あるいはトランスデューサー間のギャップに影響を与え、その結果、結合状態に影響を与える。すなわち、臨界結合モードでデバイスを作動させると、ブリッジの変化により共振が離れる方向に移動し、密結合状態が生じる。
【0152】
電極間の間隔が当初大きな設計では、2つの共振が同じ周波数になり、バターワースフィルター関数に従う。電極の歪みにより電極が互いに近付くと、一方の共振器のリアクタンスが他方の共振器に影響を与え、フィルター関数は、2つのピークを有するチェビシェフフィルター関数となる。2つの周波数間の周波数間隔は、電極の相互結合に基づき変化する。
【0153】
図6A、6B、6Cを参照して、フルブリッジ型バルク弾性波(BAW)横方向電界励起(LFE)構造を説明する。本実施例では、ブリッジ177は、設置電極を持たず、センシングフィルム160は圧電ブリッジ135上に配置される。反対側には、入力側正極170と出力側正極175の2つの電極が設けられる。本実施例では、上部電極と下部電極とを必要として、デバイスを貫通する電界が形成される厚み方向電界励起(TFE)の代わりに、電極が片方の面のみに配置され、同じ側の面に配置される2つの電極170と175との間でデバイスを横方向に横切る電界が形成される横方向電界励起(LFE)を利用する。所定の材料配向に応じて、横方向電界励起に影響を与えることのない反対側面に金属層を設けるようにしても良い。他のさまざまな理由に応じて、このような別のフィルムをさらに形成することも可能である。
【0154】
図7A、7B、7Cを参照して、ブリッジ上に形成されるフルブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造を説明する。一つの態様において、表面起動型弾性波デバイスは、デバイスの電気特性や機械特性に対して測定量が誘導する摂動を用いて、このような測定量を検出し定量するために、ある種の表面変位を利用する。
【0155】
表面発生弾性波デバイスには、表面上に(1ポート型あるいは2ポート型)トランスデューサーを備え、入力エネルギーにより表面波を発生させるような種々のデバイスが含まれる。具体的には、表面発生弾性波デバイスには、いくつかの特定種類のデバイス、たとえば、表面弾性波(SAW)デバイス、表面横波(STW)デバイス、表面スキミング・バルク波(SSBW)デバイス、疑似表面弾性波(PSAW)デバイス、音響プレートモード(APM)、ラブ波デバイス、ラム波デバイス、液体誘導弾性波(LGAW)デバイス、音響プレートモード(APM)が含まれる。表面変位媒体としては、たとえば、反射格子、金属捕捉格子、遅延線、薄膜捕捉層が挙げられる。
【0156】
図7A、7B、7Cに戻って、ブリッジ182は、グランドプレーン(接地板)と見なせるものの多くの場合浮動式の金属化表面185を備える。たとえば、単相トランスデューサー等を用いる所定の方法で、金属化表面185を「接地」するようにしてもよい。弾性波ブリッジ182の対向面にはエッチング加工されたレリーフ部140が形成され、ブリッジ182は基板125にしっかりと連結される。
【0157】
一方の側では、入力側正母線195に入力側正ポート電気接続190が連結され、他方の側では、入力側負母線220に入力側負電気接続215が連結される。入力側インターデジタル・トランスデューサー(IDT)235は、入力側正母線195と入力側負母線220とに電気的に接続される。ブリッジ182上には、一つあるいは複数の表面格子が配置され、入力側インターデジタル・トランスデューサー(IDT)235は、所定の音響エネルギー源からエネルギーを受け取る。2つのIDT234と240との間には、中央格子200のような、ある種の表面変位が形成される。中央格子200は、IDT235および240とは異なった数の指(フィンガー)、すなわち、異なった格子周期を有するものでもよい。
【0158】
出力側では、出力側正母線205が出力側正電気接続210に連結される。同様に、出力側負母線225は、出力側負電気接続230に連結される。
【0159】
一つの態様において、ブリッジの長さ方向に垂直な伝搬方向にSGAWを配置することにより、SGAWを介して応力を測定することができる。さらに、伝搬特性は、伝搬方向および/あるいは結晶軸に対してさまざまな角度でかけられる応力に対する感度が高い。伝搬方向に比べて、デバイス特性により最適な角度が決まるように、ブリッジの長さ方向の角度が規定される。
【0160】
反射用の端部格子対を有し、入力側IDTと出力側IDTの両方として作用する1ポート型IDTを用いた態様も可能である。さらに、分散構造、非分散構造、共鳴構造や遅延線構造も可能である。表面トランスデューサー側で、ブリッジ182条に配置されるインターデジタル・トランスデューサー(IDT)を用いて、発生した弾性波を測定する。SAWの場合には、入力側IDTと、出力側IDTと、その間に配置される遅延線とを備えるものでもよい。STWの場合には、入力側トランスデューサーと、出力側トランスデューサーと、金属捕捉格子とを備えるものでもよい。ラブモードデバイスの場合には、薄膜捕捉層を用いるものでもよい。せん断水平型APMの場合には、弾性波がセンシング板表面と相互作用をするように厚みすべりモードデバイスと表面発生弾性波デバイスとを組み合わせた場合のように、表面変位と相互作用する入力側トランスデューサーと出力側トランスデューサーとを備える。
【0161】
一つの態様において、圧電ブリッジ135は、水晶、ニオブ酸リチウム、リチウムタンタライト等の材料から構成され、電位を機械エネルギーに変換し、逆に、機械エネルギーを電位に変換することができる。基板とインターデジタル・トランスデューサーとの幾何学的配置や基板材の種類および結晶配向に基づいて、励起・測定波スペクトルが決まる。電気信号と機械信号との間の変換を可能にする物質として、他の圧電材や、強誘電材、分極セラミック等を用いることができるが、説明を簡単にするために、これらを圧電材と総称する。
【0162】
ポリマーフィルムをSAWトランスデューサーの反対側のブリッジ表面に配置するような構成でもよい。このようなフィルムは、SAWの働きを弱めることなく、フィルム応力をブリッジに入力して、SAW特性を変化させる。
【0163】
図8A、8B、8Cを参照して、フルブリッジ型フィルムバルク音響共振器(FBAR)を説明する。ブリッジ172の一方の面に配置される接地電極251は、通常(図示しない)ビアを用いて、薄膜圧電層243を介して、接地接続248と電気的に連結される。本実施例では、正電気接続242は、薄膜圧電層243上に配置され、FBAR圧電ブリッジ部246がその下部に配置された正極244と電気的に連結される。FBARレリーフ247は、矩形ブリッジ構造172の周囲を規定し、FBAR圧電矩形ブリッジ部246により正極244と接地電極251とが隔てられている。正極242は、エネルギー捕捉領域を規定するブリッジの端部から挿入されている構成が望ましい。底基板ポケット249により、ブリッジ構造172は、開口部上に懸架され、ブリッジ端部に連結されて、しっかりと支持される。
【0164】
図8Cにブリッジ構造172の一例を示す。ブリッジ構造172自体が、ブリッジ172の下の開口部を規定する底基板ポケット249を有する底基板241を備える。接地電極251は、底基板241の少なくとも一部上に配置され、接地電極251の一部は、ポケット249の開口部に露出している。接地電極251の上に形成された薄膜圧電部243により、接地電極251の少なくとも一部が被覆される。薄膜圧電部243のほぼ全体が接地電気接続248により被覆されるが、接地電気接続層247を備えない領域であるブリッジ部分だけは被覆されない。
【0165】
ブリッジ部分では、薄膜圧電部はブリッジ圧電部246として機能する。底基板ポケット249上に懸架される接地電極251が、ブリッジ172の下部を形成する。薄膜圧電ブリッジ246は、接地電極251上に配置される。正電気接続242の一部が圧電ブリッジ246上に配置され、センシングフィルム160が、正電気接続242上に配置される。接地電気接続248を備えないブリッジ領域では、ブリッジ172側面にFBARレリーフ構造247が形成される。
【0166】
FBARは、z方向の電界を用いてz伝搬縦波あるいは圧縮波を生成する厚み方向電界励起(TFE)により作動する。横方向電界励起(LFE)を利用したFBARでは、印加電界はy方向であり、(横方向電界により励起される)すべり弾性波がz方向に伝搬する。
【0167】
図9A、9B、9Cを参照して、複数に分かれたセンシングフィルムを備えるアイソレーションブリッジ型BAW構造を説明する。図4Aないし図4Cで説明したフルブリッジ型構造とは異なり、本実施例では、別れたセンシングフィルムを有するアイソレーションブリッジ182が形成される。構造基板125は、圧電材であり、その一方の面に接地電気接続120が配置され、反対側の面に正極150が配置される。使用時やパッケージングの際に利用しやすい形状にエッチング加工されたポケット領域145が形成されている。エッチング加工されたレリーフ領域140は、アイソレーション弾性波ブリッジ182に近接して設けられ、その周辺側部境界を規定する。
【0168】
接地電極130は、接地電気接続120に連結され、一方、正極150は、正電気接続155に連結される。アクティブ音響領域は、弾性波デバイスの重なり領域になる。センシングフィルム160が、接地電極130の少なくとも一部上に配置される。本実施例において、圧電ブリッジ135は、弾性波ブリッジ182の周辺側部を規定するエッチング加工レリーフ140を介して、圧電基板125に取り付けられる。ブリッジ182は、通常、応力を許容可能な剛性を有する適切な支持部を提供可能な寸法に形成される。
【0169】
アイソレーション弾性波ブリッジ182内において、圧電ブリッジ135の一方の面に配置される接地電極130と他方の面に配置される正極150とを組み合わせることにより弾性波デバイス(AWD)が形成される。一つの態様において、このような音響デバイスは、電極の上部領域近傍のアクティブ音響領域内で機能する。
【0170】
弾性波ブリッジ182の各アームに逆応力が蓄積されるにつれ、弾性波デバイスは、水晶等から形成される圧電ブリッジ層135内部への応力移動に伴って、周波数を変化させる。したがって、一実施例において、センシングフィルム160により応力がかかると、この応力に応じて周波数を変化させるように構成された圧電膜135を備えるTSMデバイスが形成される。
【0171】
たとえば、フィルム160のガス吸着による応力−力−周波数効果に基づく動作モードにおいて、フィルム160の構造的および化学的変化に伴う弾性波ブリッジ182の応力と弾性波ブリッジ182から圧電ブリッジに入力される応力とに応じて、周波数変化が生じる。本実施例では、ブリッジ182上の複数の部分にフィルム160を配置している。一つのブリッジ182に対して複数のセンシングフィルム160を用いることにより、異なった標的物質の検出が可能になる。あるいは、特定の標的物質に対する応答と感度とが最大になるようにセンシングフィルム160の方向を調節するようにしてもよい。
【0172】
さらに、共振器部(弾性波デバイス)は、通常、アクティブ音響領域に入力される応力にのみ応答するため、長いブリッジは必要ではない。ガス吸着とその結果生じる応力がガス濃度に対して一次関数的に変化するものであれば、弾性波デバイスの周波数変化もガス濃度に対して一次関数的に変化する。このような特徴は、あらゆる種類のセンシングフィルム(単層ポリマー、金属薄膜、金属酸化物薄膜等)によく適している。本発明の技術と感度増大とを組み合わせることにより、様々な生物学的応答や化学的応答を測定することができる。
【0173】
本発明のブリッジは、設計基準に応じて、さまざまな形状や大きさで構成可能である。形状は対称形でも非対称形でもよく、非対称形の設計は、応力効果に応じて調整可能である。矩形や円形の構造は、本発明の要旨を説明するための例示にすぎず、何ら本発明を限定するものではない。楕円形、ひし形、正方形等、他の幾何学的形状の構造も、本発明の要旨の範囲内で構成可能である。
【0174】
弾性波デバイスがブリッジのほんの一部分であるような態様も可能であるし、ブリッジのほぼ全部を弾性波デバイスとする態様も可能である。さらに、用途や必要に応じて、ブリッジの周囲に複数の弾性波デバイスを配置する構成も可能得ある。
【0175】
共振器に応力を入力する一方で、アクティブ音響領域からセンシングフィルムを分離するようなアイソレーションブリッジ型の態様も可能である。このようなアイソレーションにより、ブリッジの複数面上に配置されるセンシングフィルムの包含処理が容易になる。悪影響を及ぼす可能性のあるデバイス外側からの応力を入力可能な厚膜ポリマーフィルムを利用するアイソレーションの態様も可能である。
【0176】
図10A、10B、10Cは、アイソレーションブリッジ型BAWモノリシック水晶フィルター(MCF)デバイスを示す。この構造は、図5Aないし図5Cで説明した実施例と同様の構造に加えて、電極130、170、175により形成されるアクティブ音響領域と離れたアイソレーション部分をブリッジ周囲に設けた構造である。圧電基板125の一方の面上で、接地電気接続120が接地電極130に連結され、他方の面上には、入力側正極170と出力側正極175の少なくとも2つの正極が設けられる。
【0177】
本実施例では、入力側正電気接続165が基板125上に配置され、入力側正極170と電気的に連結される。反対側の面には、接地電極130が設けられ、その間に圧電ブリッジ135を配置することにより、第1の弾性波トランスデューサーが形成される。また、出力側正電気接続180は、出力側正極175に連結され、反対側の面に設けられる接地電極130と、その間に配置される圧電ブリッジ135と共に、第2の弾性波トランスデューサーを形成する。
【0178】
本実施例では、中央弾性波デバイスの片方の側およびブリッジ174の両側にセンシング領域が形成されている。(明確には示していないが)センシング領域は、圧電ブリッジ135を基部として、さらに、必要に応じて金属化層245およびセンシングフィルム160とを用いて形成される。
【0179】
センシングフィルム160をアイソレーションBAW構造の上面と底面とに配置して、せん断モードデバイスとして動作させるようにしてもよい。さらに、伝搬方向に対するブリッジの配向は、設計基準に応じた任意の角度にすることができる。応答を最大にするような配向が一般的ではあるが、用途によっては、他の配向が望ましい特性を与える場合もある。アイソレーションブリッジ型MCFデバイスの動作に関しては、上述したフルブリッジ型構造の動作と同様である。
【0180】
当業者には自明のことであるが、MCFの電極は他の様々な配置・配列で構成可能であり、接地電極を入力側接地電極と出力側接地電極とに分けるような構成でもよい。
【0181】
図11A、11B、11Cを参照して、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波(BAW)横方向電界励起(LFE)構造を説明する。本実施例は、図6Aないし6Cで説明したフルブリッジ型BAW・LFEとは、複数のセンシングフィルムを用いることと、電極170および175と反対側の露出面131とにより形成される弾性波デバイス周囲に配置される構造と、が異なっている。入力側正極170と出力側正極175とにより、弾性波が2つの電極170と175の間で横方向にデバイスを横切る横方向電界励起(LFE)を利用した弾性波デバイスが形成される。アクティブ弾性波領域に近接して複数のセンシング領域が形成される。センシング領域は、圧電ブリッジ135と、金属化層245と、センシングフィルム160と、の組み合わせによって形成される。複数のセンシングフィルム160を圧電ブリッジ176上に配置するようにしてもよい。この場合、応答を増強するように同一種類のセンシングフィルム160を用いてもよいし、異なる標的物質に応答するように異なった種類のセンシングフィルムを用いるようにしてもよい。
【0182】
図12A、12B、12Cを参照して、アイソレーションブリッジ型表面発生弾性波(SGAW)構造を説明する。本実施例は、反射器を有する1ポート型デバイスであるが、反射器を有する2ポート型共振器や遅延線等の2ポート型構造も本発明の範囲内で構成可能である。ブリッジ176は、グランドプレーン(接地板)と見なせるものの多くの場合浮動式の金属化表面245を備える。弾性波ブリッジ176の対向面にはエッチング加工されたレリーフ部140が形成され、ブリッジ176は基板125にしっかりと結合される。
【0183】
1ポート型の正電気接続250が1ポート型の正母線260に連結される。これに隣接する側では、1ポート型の負電気接続265が1ポート型の負母線270に連結される。1ポート型のインターデジタル・トランスデューサー(IDT)275が、1ポート型の正母線260と1ポート型の負母線270とに電気的に接続される。ブリッジ176上には、一つあるいは複数の表面格子255が配置され、入力側インターデジタル・トランスデューサー(IDT)275は、所定の音響エネルギー源からエネルギーを受け取る。表面格子255は、IDT275とは異なった数の指、すなわち、異なった格子周期を有するものでもよい。
【0184】
表面格子255の反対側がセンシング領域になるが、本実施例では、圧電ブリッジ135上に配置される金属化層245と、金属化層245上に配置されるセンシングフィルム160と、によりセンシング領域が形成される。複数のセンシングフィルム160を備えるようにしてもよい。
【0185】
2ポート型のIDTを用いて、入力側IDTと出力側IDTとを分離し、中央表面格子を備えるようにしてもよい。分散構造、非分散構造、共鳴構造や遅延線構造も可能である。さらに、さまざまな組み合わせや態様で実現可能である。
【0186】
図13A、13B、13Cを参照して、アイソレーション型BAWフィルムバルク音響共振器(FBAR)を説明する。ブリッジ172の一方の面に配置される接地電極251は、通常(図示しない)ビアを用いて、薄膜圧電層243を介して、接地接続248と電気的に連結される。本実施例では、正電気接続242は、薄膜圧電層243上に配置され、FBAR圧電ブリッジ部246がその下部に配置された正極244と電気的に連結される。FBARレリーフ247は、矩形ブリッジ構造172の周囲を規定し、FBAR圧電矩形ブリッジ部246により正極244と接地電極251とが隔てられている。底基板ポケット249により、ブリッジ構造172は、開口部上に懸架され、ブリッジ端部に連結されて、しっかりと支持される。
【0187】
図8Cにブリッジ構造172の一例を示す。ブリッジ構造172自体が、ブリッジ172の下の開口部を規定する底基板ポケット249を有する底基板241を備える。接地電極251は、底基板241の少なくとも一部上に配置され、接地電極251の一部は、ポケット249の開口部に露出している。接地電極251の上に形成された薄膜圧電部243により、接地電極251の少なくとも一部が被覆される。薄膜圧電部243のほぼ全体が接地電気接続248により被覆されるが、接地電気接続層247を備えない領域であるブリッジ部分だけは被覆されない。
【0188】
ブリッジ部分では、薄膜圧電部はブリッジ圧電部246として機能する。底基板ポケット249上に懸架される接地電極251が、ブリッジ172の下部を形成する。薄膜圧電ブリッジ246は、接地電極251上に配置される。正電気接続242の一部が圧電ブリッジ246上に配置され、センシングフィルム160が、正電気接続242上に配置される。接地電気接続248を備えないブリッジ領域では、ブリッジ172側面にFBARレリーフ構造247が形成される。
【0189】
図14Aを参照して、周波数応答曲線に示すような最適な周波数変化応答に関して説明する。感度が最大になるようにブリッジの方向を調節する態様を例にとって説明する。詳細に関しては、参照することにより本出願に組み込まれる“Resonators for severe environments”「厳しい環境用の共鳴器」T.J.LukaszekおよびA.Ballato、Proc.33rd Annual Symposium on Frequency Control(周波数制御に関する第33回年会要旨集)、311-321ページ、1979年を参照のこと。応力に対する感度が最適になる方向があり、ATカット水晶の場合、結晶X軸に沿ってブリッジをアラインメントさせた場合に、応力効果が最適になる。すなわち、所定の基板に対して最適な応力効果が得られるように、所定の方位角方向に沿って、ブリッジデバイスの方向を調節する。
【0190】
図14B、14C、14Dを参照して、応力に対する角度Ψをアラインメントした場合の応答例を説明する。フルブリッジ型構造およびアイソレーションブリッジ型構造に関して角度アラインメントに従う応答曲線が得られるように、構造を設計し、最適化する。
【0191】
図示した設計例は例示に過ぎず、ブリッジの長さや直径および結晶x軸に対するブリッジのアラインメント角度に基づき、さまざまに変更可能である。ブリッジに応力がかかると、この応力に応じて、弾性波デバイスの共振周波数あるいは伝搬または結合特性が変化する。ブリッジの共振周波数あるいは伝搬または結合特性は、通常、応力に依存し、ブリッジの長さや直径には依存しない。この性質により、本発明の構成は、他のマイクロマシン共振構造と比較して、ブリッジ構造の長さを短く、直径を小さくでき、製造寸法の小さな変動にほとんど左右されないという利点がある。この結果、他の競合するブリッジ技術と比べて、より小さな面積で、より高い生産効率でブリッジアレイを形成することができる。
【0192】
固定式デバイスに本発明のセンシング技術を組み込んで、環境を常時監視し、所定の標的物質が検出された際にはそれを通知するような構成も可能である。以上詳述したように、ブリッジセンシングデバイスのアレイにそれぞれ弾性波デバイスを配置することにより、所定フィルムにおけるガス検出を行うようにしてもよい。異なる設計で異なるフィルムを用いる複数のアレイを一つの筺体に収容し、複数の異なるガス検出を行うようにしてもよい。
【0193】
図14Dに戻って、一実施形態として、音響エネルギー源300と測定装置310とを構造に接続した構成を説明する。弾性波信号を発生させて応答を測定するための電気的接続や回路構成は、有線の場合も無線の場合も当該分野で周知である。電気的トレース、ビア、母線を介して、エネルギー源300を電気的に構造に接続し、応力誘導変化に対して高い感度を有する弾性波に変換する。たとえば、簡単な構成例では、エネルギー源300として、駆動信号を生成する発振回路を用いる。安定した周波数を持つ駆動信号を電気接続を介して構造に入力すると、電気接続はブリッジデバイスの対応する電極と電気的に連結されるため、弾性波が生じる。出力応答を、電極や電気接続を介して、周波数測定装置等の測定装置310に電気的に導入する。ブリッジの移動に基づく周波数の変化を処理して、センシングフィルムによる効果を求める。
【0194】
以上詳述したように、本発明を利用して、さまざまな実施形態や適用を実現可能である。適用例としては、BAWブリッジを用いたBAWブリッジ型ガスセンサー、BAWブリッジ型磁気センサー、BAWブリッジ型トルクセンサー、SGAWブリッジを用いたSGAWブリッジ型ガスセンサー、SGAWブリッジ型磁気センサー、SGAWブリッジ型トルクセンサー、MCFブリッジを用いたMCFブリッジ型ガスセンサー、MCFブリッジ型磁気センサー、MCFブリッジ型トルクセンサー、LFEブリッジを用いたLFEブリッジ型ガスセンサー、LFEブリッジ型磁気センサー、LFEブリッジ型トルクセンサー、FBARブリッジを用いたFBARブリッジ型ガスセンサー、FBARブリッジ型磁気センサー、FBARブリッジ型トルクセンサー等が挙げられる。また、圧力センサーに適用し、膜に加えられた圧力をブリッジ上の一点あるいは小さな領域にかかる垂直抗力として伝達する構成も可能である。接点からの応力分布により、ブリッジの形状により規定される応力場が生じ、応力がセンサー周波数を変化させ、その結果、膜に加えられた圧力に比例する出力が得られる。
【0195】
フルブリッジ型構造では、AWDはブリッジ上に配置され、一方、アイソレーションブリッジ型構造では、AWDは2つのブリッジの間に配置される。ブリッジに対する摂動により誘導される応力に応答するように、AWDを他の位置に配置することもできる。また、ブリッジに近接した配置とすることもできる。
【0196】
上述した本発明の実施形態は、本発明を例示し、説明するためのものであり、何ら本発明を説明した実施形態に限定するものではない。本発明の要旨の範囲内でさまざまに変更・変形可能である。本発明の要旨は、何ら上述した詳細に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲により規定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響センシングのためのシステムであって、
基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有し、前記基板に対して物理的に固定されておらず、前記支持点間の距離にわたって形成されるブリッジ構造を備え、
前記ブリッジ構造は、圧電部を備えると共に、前記ブリッジの一部に近接して少なくとも一つの弾性波デバイス(AWD)を備え、
前記AWDがアクティブ音響領域を有し、
前記ブリッジの摂動が前記AWDにより測定可能な応力効果を生成する、
システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、さらに、
前記ブリッジの少なくとも一つの表面の少なくとも一部上に配置されるセンシング材を備える、システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、
前記センシング材が、金属と、金属酸化物と、金属窒化物と、セラミックと、炭化物と、ポリマーと、磁性材料と、磁気歪み材料と、電気歪み材料と、生物材料と、からなる群から選択される少なくとも一つである、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムであって、
前記アクティブ音響領域が、前記ブリッジの一方の側に配置される少なくとも一つの正極と前記ブリッジの反対側に配置される少なくとも一つの接地電極とにより形成される厚み方向電界励起(TFE)構造であり、電気エネルギー源が前記少なくとも一つの正極と前記少なくとも一つの接地電極とに接続される、
システム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムであって、
前記厚み方向電界励起(TFE)構造が、2ポート型デバイスであり、第1のトランスデューサーが、正電気接続と負電気接続とを介して前記電気エネルギー源に電気的に連結され、第2のトランスデューサーが、前記電気エネルギー源からの入力電気信号に対する応答を第2の正電気接続と第2の負電気接続とに出力する、
システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムであって、
前記アクティブ音響領域が、前記ブリッジの一方の側で電気エネルギー源に対して電気的に連結される少なくとも一つの正極と少なくとも一つの負極とにより形成される横方向電界励起(LFE)構造である、
システム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムであって、
前記アクティブ音響領域が、前記ブリッジの一方の側と電気的に連結される少なくとも一つのトランスデューサーにより形成される表面発生弾性波(SGAW)構造であり、前記少なくとも一つのトランスデューサーが電気エネルギー源と電気的に連結される、
システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムであって、さらに、
前記少なくとも一つのトランスデューサーに動作可能に連結される表面発生弾性波(SGAW)エネルギー操作構造を備え、前記SGAWエネルギー操作構造が、反射格子と、遅延線と、金属捕捉格子と、マルチストリップカプラと、インターデジタル・トランスデューサーと、薄膜捕捉層と、からなる群から選択される、
システム。
【請求項9】
請求項7記載のシステムであって、
前記表面発生弾性波(SGAW)構造は、1ポート型デバイスであって、前記単一のトランスデューサーが、正電気接続と負電気接続とを介して、前記電気エネルギー源に電気的に連結される、
システム。
【請求項10】
請求項7記載のシステムであって、
前記表面発生弾性波(SGAW)構造は、2ポート型デバイスであって、前記少なくとも一つのトランスデューサーが、第1のトランスデューサーと第2のトランスデューサーとを備え、前記第1のトランスデューサーが、正電気接続と負電気接続とを介して前記電気エネルギー源に電気的に連結され、前記第2のトランスデューサーが、前記電気エネルギー源からの入力信号に対する応答を第2の静電気接続と第2の負電気接続とに出力する、
システム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムであって、
前記ブリッジが、フルブリッジ型バルク弾性波と、フルブリッジ型バルク弾性波モノリシック水晶フィルター(MCF)と、フルブリッジ型バルク弾性波横方向電界励起(LFE)と、フルブリッジ型表面発生弾性波と、フルブリッジ型フィルムバルク音響共振器(FBAR)と、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波と、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波MCFと、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波LFEと、アイソレーションブリッジ型表面発生弾性波と、アイソレーションブリッジ型バルク弾性波FBARと、からなる群から選択される少なくとも一つの構造である、
システム。
【請求項12】
請求項1記載のシステムであって、
前記ブリッジが、2つの支持部と4つの支持部のいずれかを介して、前記基板に接続される、
システム。
【請求項13】
請求項1記載のシステムであって、さらに、
前記弾性波デバイス(AWD)と接続され、前記応力効果を測定する測定装置を備える、
システム。
【請求項14】
標的物質の検出方法であって、
基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有し、前記基板に対して物理的に固定されておらず、前記支持点間の距離にわたって形成される圧電ブリッジであって、前記ブリッジの一部に近接して配置される少なくとも一つの弾性波デバイス(AWD)を備える圧電ブリッジを形成し、
前記ブリッジを所定環境にさらし、
前記環境に対する前記ブリッジの応力応答を引き出し、
前記ブリッジの応力応答に対する前記弾性波デバイスの応答を検出する、
検出方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、さらに、
前記ブリッジの少なくとも一部にセンシング材を配置し、前記標的物質を前記センシング材に吸着/吸収させる、
方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法であって、さらに、
周波数変化が最大になるように、前記弾性波デバイスの角度(Ψ)を調整する、
方法。
【請求項17】
応力効果を測定するセンシングデバイスであって、
基板であって、電気接続が前記基板の周囲に配置され、電気エネルギー源と測定装置とに接続される基板と、
前記基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有するブリッジ構造と、を備え、
前記ブリッジ構造は、前記基板に対して物理的に固定されておらず、前記支持点間の距離にわたって形成され、
前記ブリッジ構造は、前記ブリッジの一部に近接して形成される少なくとも一つの弾性波デバイスを備え、
前記弾性波デバイスは、少なくとも2つの電極が載置される圧電部を備え、
前記ブリッジの摂動が前記弾性波デバイスの電気特性を変化させ、
前記電気特性の変化が、前記測定装置による測定を可能にするように、前記電気エネルギー源からの信号を変形させる、
センシングデバイス。
【請求項18】
請求項17記載のデバイスであって、さらに、
前記ブリッジの少なくとも一つの表面の少なくとも一部上に配置され、前記ブリッジに摂動を生じさせるセンシング材を備える、
デバイス。
【請求項19】
請求項17記載のデバイスであって、
前記センシングデバイスが、バルク弾性波(BAW)ブリッジ型ガスセンサーと、BAWブリッジ型磁気センサーと、BAWブリッジ型トルクセンサーと、表面弾性波(SAW)ブリッジ型ガスセンサーと、SAWブリッジ型磁気センサーと、SAWブリッジ型トルクセンサーと、モノリシック水晶フィルター(MCF)ブリッジ型ガスセンサーと、MCFブリッジ型磁気センサーと、MCFブリッジ型トルクセンサーと、フィルムバルク音響共振器(FBAR)ブリッジ型ガスセンサーと、FBARブリッジ型磁気センサーと、FBARブリッジ型トルクセンサーと、からなる群から選択される少なくとも一つである、
デバイス。
【請求項20】
請求項17記載のデバイスであって、
前記圧電部が、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ランガサイト、リン酸アルミニウム、リン酸ガリウム、カルシウム−ニオブ−ガリウムケイ酸塩、カルシウム−タンタル−ガリウムケイ酸塩、ストロンチウム−ニオブ−ガリウムケイ酸塩、ストロンチウム−タンタル−ガリウムケイ酸塩、カルシウム−ニオブ−アルミニウムケイ酸塩、カルシウム−タンタル−アルミニウムケイ酸塩、ストロンチウム−ニオブ−アルミニウムケイ酸塩、ストロンチウム−タンタル−アルミニウムケイ酸塩、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、および前記化合物の組成物からなる群から選択される、
デバイス。
【請求項21】
音響センシングシステムであって、
基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有し、前記基板に対して物理的に固定されておらず、前記支持点間の距離にわたって形成されるブリッジ構造であって、圧電部を備えると共に、前記ブリッジの一部に近接して少なくとも一つの弾性波デバイス(AWD)を備えるブリッジ構造を備え、
前記AWDがアクティブ音響領域を有し、前記アクティブ音響領域の境界が前記ブリッジの境界から分離され、
前記ブリッジ構造に電気信号が入力され、
前記ブリッジにより誘導される応力が前記AWDにより測定可能な力−周波数効果を生成し、
前記力−周波数効果が前記電気信号の変調を引き起こす、
音響センシングシステム。
【請求項22】
物理パラメータを測定するセンシングデバイスであって、
基板であって、電気接続が前記基板の周囲に配置され、電気エネルギー源と測定装置とに接続される基板と、
前記基板上で互いに間隔をあけて配置される支持点に接続される少なくとも2つの端点を有するブリッジ構造と、を備え、
前記ブリッジ構造は、前記基板に対して物理的に固定されておらず、前記支持点間の距離にわたって形成され、
前記ブリッジ構造は、前記ブリッジの一部に近接して形成される少なくとも一つの弾性波デバイスを備え、
前記弾性波デバイスは、少なくとも2つの電極が載置される圧電部を備え、
前記ブリッジは、前記ブリッジへの集中力の印加により誘導される応力に応答し、
前記ブリッジの応力応答が前記弾性波デバイスの電気特性を変化させ、
前記電気特性の変化が、前記測定装置による測定を可能にするように、前記電気エネルギー源からの信号を変形させる、
センシングデバイス。
【請求項23】
請求項22記載のデバイスであって、さらに、
前記ブリッジに近接して配置され、圧力に応答するダイヤフラムを備え、前記ダイヤフラムが前記集中力を伝達する、
デバイス。
【請求項24】
請求項22記載のデバイスであって、
前記ブリッジに近接する磁性領域上で作用する磁界が前記集中力を生成する、
デバイス。
【請求項25】
請求項22記載のデバイスであって、
前記ブリッジに近接するプルーフマス上で作用する加速度が前記集中力を生成する、
デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【公表番号】特表2011−501158(P2011−501158A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530132(P2010−530132)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/080263
【国際公開番号】WO2009/052347
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(507388465)デラウェア・キャピタル・フォーメイション・インコーポレーテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Delaware Capital Formation Incorporated
【Fターム(参考)】