説明

患者リストバンド用タグ作成装置、患者リストバンド用タグ作成システムおよび印刷媒体

【課題】患者用リストバンドのタグ収容部の奥まで挿入しやすいタグを作成する。
【解決手段】患者識別情報が印刷され患者用リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部5aおよび印刷タグ部5aに切離し可能に連なり印刷タグ部5aをタグ収容部に挿入するための挿入用タブ部5bから成るタグ前駆体5を、長さ方向に延在するミシン目51により紙幅を印刷タグ部5aとなる印刷タグ領域61aおよび挿入用タブ部5bとなる挿入用タブ領域61bに区画した長尺状の印刷媒体50を用いて、作成する患者リストバンド用タグ作成装置であって、患者識別情報を取得する情報取得部と、印刷媒体を送りながら、取得された患者識別情報を印刷タグ領域61aに印刷する印刷制御部75と、印刷媒体50を紙幅方向に切断して、タグ前駆体5として切り離すカッタと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の氏名、患者ID番号、血液型等の患者識別情報が印刷されるもので、患者リストバンドのタグ収容部に収容するタグを、作成する患者リストバンド用タグ作成装置、患者リストバンド用タグ作成システムおよび印刷媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院などにおいて、患者の取違え等を防止するためのものとして、患者識別情報を印刷した表示部と、患者の手首や足首に巻き付けるバンド本体とが、一体に形成された患者リストバンド(医療用リストバンド)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−137017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の患者リストバンドは、その一部を構成する表示部に患者識別情報を直接印刷することから、印刷部分が汚損・欠損しやすく、また、印刷ミスをした場合に患者リストバンド全体が無駄になる、という問題があった。このような問題を解決すべく、患者リストバンドに、患者識別情報を印刷したタグを外部から視認可能に収容する袋状のタグ収容部を形成し、このタグ収容部の挿入開口からタグを挿入し、挿入開口を封止してタグを収容することが考えられる。
【0005】
この場合、タグの後端がタグ収納部の挿入開口から外にはみ出さないように、タグをタグ収容部の奥まで挿入する必要がある。しかしながら、タグ収容部の挿入開口はタグの大きさに合わせたサイズとなっているため狭くなっており、指先がつかえて挿入し難いという課題がある。特に、指先が器用でない人などは、ピンセット等を使わなければ、タグをタグ収容部の奥まで挿入することが困難であった。
【0006】
本発明は、タグ収納部を有する患者用リストバンドにおいて、タグ収容部の奥まで挿入しやすいタグを作成することができる患者リストバンド用タグ作成装置、患者リストバンド用タグ作成システムおよび印刷媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の患者リストバンド用タグ作成装置は、患者リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と、当該印刷タグ部に切り離し可能に連なっており印刷タグ部をタグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成るタグ前駆体を、長手方向に延在するミシン目により紙幅を印刷タグ部となる印刷タグ領域と挿入用タブ部となる挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷する印刷部と、患者識別情報を取得する情報取得部と、印刷媒体を送りながら、取得された患者識別情報を印刷タグ領域に印刷する印刷制御部と、前記印刷媒体を紙幅方向に切断するカッタと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、挿入用タブ付きタグ、すなわち、患者識別情報が印刷された印刷タグ部と、ミシン目により印刷タグ部と切離し可能に連なっているもので、印刷タグ部をタグ収容部に挿入した後、切り離すことができる挿入用タグ部とから成るタグ前駆体が作成される。このため、挿入用タブ部を指先で摘んで、印刷タグ部を患者リストバンドのタグ収容部に挿入することで、挿入用タブ部を摘んだ指先がタグ収容部の挿入開口につかえることなく、印刷タグ部をタグ収容部の奥まで容易に挿入することができる。次に、挿入した印刷タグ部を指で押さえながら、タグ収容部の挿入開口からはみ出ている挿入用タブ部をミシン目からちぎり取ることで、印刷タグ部のみをタグ収容部に収容することができる。
【0009】
また、タグ前駆体は、長尺状の印刷媒体を印刷後、カッタで紙幅方向に切断することにより作成されるため、タグ前駆体を必要な枚数だけ適切に印刷して作成することができ、使い勝手が良い。すなわち、カッタを用いずにタグ前駆体を作成しようとすると、長手方向と紙幅方向に切り離すことができるように、予め格子状に形成したミシン目により複数枚分のタグ前駆体が得られるように作り込んだシート状の印刷媒体(印刷シート)を用いる必要がある。入院患者数のさほど多くない通常の病院では、その都度必要となるタグ前駆体は1枚ないし数枚程度であり(1枚の印刷シートから作成可能なタグ前駆体の枚数より少ない)、一度に印刷シート全体を使用することがない。このため、例えばタグ前駆体を1枚だけ作成した場合、印刷した後、ミシン目の切り離しができるところまで紙送りをする必要があるため、切り取った後の印刷シートは、必ず逆送りをして戻す必要がある。この後、次の印刷をすると、シート送り方向における印刷位置ズレが起き易く、送り方向に隣接するタグ前駆体間に跨って印刷されるおそれなどがある。また、複数のサイズのタグ前駆体を作成したい場合、サイズの数だけ印刷シートを用意しなけらばならない。カッタを用いると長手方向の任意の位置で切断することができるので、多くの印刷媒体を用意する必要がない。
【0010】
本発明の他の患者リストバンド用タグ作成装置は、それぞれが、患者識別情報が印刷され患者用リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と、当該印刷タグ部に切り離し可能に連なっており印刷タグ部をタグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成る第1情報用タグ前駆体と第2情報用タグ前駆体とを、長手方向に延在する第1ミシン目により紙幅を第1情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第1印刷タグ領域と第1情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第1挿入用タブ領域とに区画すると共に、長手方向に延在する第2ミシン目により紙幅を第2情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第2印刷タグ領域と第2情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第2挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷する印刷部と、患者識別情報である第1情報と第2情報とを区別して取得する情報取得部と、印刷媒体を送りながら、第1情報が取得されたとき、第1印刷タグ領域に第1情報を印刷し、第2情報が取得されたとき、第2印刷タグ領域に第2情報を印刷する印刷制御部と、印刷媒体を紙幅方向に切断するカッタと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、1種類の印刷媒体を用いて、第1情報用タグ前駆体と、第2情報用タグ前駆体とが選択的に作成される。すなわち、第1情報が取得されたときは、第1印刷タグ領域に印刷を行うことで、第1情報が印刷された印刷タグ部と、第1ミシン目により印刷タグ部と切離し可能に連なる挿入用タグ部とから成る第1情報用タグ前駆体が作成され、第2情報が取得されたときは、第2印刷タグ領域に印刷を行うことで、第2情報が印刷された印刷タグ部と、第2ミシン目により印刷タグ部と切離し可能に連なる挿入用タグ部とから成る第2情報用タグ前駆体が作成される。このため、第1情報用タグ前駆体を作成するための印刷媒体と、第2情報用タグ前駆体を作成するための印刷媒体との2種類の印刷媒体を用意する必要がなく、また印刷媒体を交換する必要もない。
【0012】
さらに、第1情報用タグ前駆体の挿入用タブ部を指先で摘んで、印刷タグ部を第1情報用リストバンドのタグ収容部に挿入することで、挿入用タブ部を摘んだ指先がタグ収容部の挿入開口につかえることなく、印刷タグ部をタグ収容部の奥まで容易に挿入することができる。次に、挿入した印刷タグ部を指で押さえながら、挿入用タブ部を第1ミシン目からちぎり取ると、印刷タグ部のみがタグとしてタグ収容部に収容される。同様に、第2情報用タグ前駆体の挿入用タブ部を指先で摘んで、印刷タグ部を第2情報用リストバンドのタグ収容部に挿入することで、印刷タグ部をタグ収容部の奥まで容易に挿入することができる。次に、挿入した印刷タグ部を指で押さえながら、挿入用タブ部を第2ミシン目からちぎり取ると、印刷タグ部のみがタグとしてタグ収容部に収容される。
【0013】
この場合、第1印刷タグ領域と第2印刷タグ領域とは、紙幅方向の相異なる側に寄せてそれぞれ印刷することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1情報が第2ミシン目の両側に跨って印刷され、第2情報が第1ミシン目の両側に跨って印刷される。これに対し、第1印刷タグ領域と第2タグ印刷領域とを幅方向の同じ側に配置した場合には、第1情報は、第2ミシン目の両側に跨って印刷され、第2情報は、第2ミシン目の片側のみに印刷される(第1印刷タグ領域が第2印刷タグ領域よりも大きい場合)。このため、第2印刷タグ領域の幅が印刷媒体の紙幅の1/2以上であれば、第1印刷タグ領域と第2タグ印刷領域とを紙幅方向の同じ側に配置した場合に比べて、第1ミシン目と第2ミシン目との間隔が広くなる。したがって、タグ前駆体をタグ収容部に挿入後、一方のミシン目により挿入用タブをちぎり取る際に、誤って他方のミシン目により印刷タグ部をちぎってしまうことを防止できる。
【0015】
この場合、印刷制御部は、第2情報を、第1情報に対して上下逆方向に回転させた状態で印刷することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、使用時、第1情報と第2情報とが相互に上下逆向きとならないように、第1情報用タグ前駆体および第2情報用タグ前駆体の印刷タグ部を、その挿入用タブ部を摘んでそれぞれタグ収容部に収容することができる。すなわち、第1印刷タグ領域と第2印刷タグ領域とを、幅方向の相異なる側にそれぞれ配置したことで、第1挿入用タブ領域が第1印刷タグ領域に対して連なる側と、第2挿入用タブ領域が第2印刷タグ領域に対して連なる側とが、相互に逆となる。このため、第2情報を、第1情報と同じ向きで印刷すると、挿入用タブ部を摘んで印刷タグ部をタグ収容部に収容すると、第1情報と第2情報とが上下逆向きとなるが、本構成によれば、そのようなことがない。
【0017】
なお、タグ収容部を、挿入方向の前後両側に挿入開口を形成し、前後いずれからも印刷タグ部を挿入可能な構成とすれば、第1印刷タグ領域と第2印刷タグ領域とを幅方向の相異なる側にそれぞれ配置した場合にも、第2情報を、第1情報と同じ向きで印刷すればよい。すなわち、この場合には、第1情報用タグ前駆体を一方の挿入開口からタグ収容部に挿入し、第2情報用タグ前駆体を他方の挿入開口から挿入するようにすればよい。
【0018】
これらの場合、印刷媒体は、紙幅方向における第1印刷タグ領域の寸法と第2印刷タグ領域の寸法とが相異なるように構成されていることが好ましい。
【0019】
これらの場合、第1情報は大人患者用識別情報であり、第2情報は小児患者用識別情報であることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、患者が大人である場合の大人用タグ前駆体と、患者が小児である場合の小児用タグ前駆体とを、1種類の印刷媒体を用いて選択的に作成することができる。
なお、体の大きさの違いにより、通常、大人患者用のタグは大きく、小児患者用のタグは小さいものが使用される。このため、幅方向において、大人患者用である第1印刷タグ領域の寸法は、小児患者用である第2印刷タグ領域の寸法よりも長くなる。もちろん、小児患者用のタグが大きく、大人患者用のタグが小さい場合には、その逆となり、第2印刷タグ領域の幅が第1印刷タグ領域の幅よりも長くなる。
【0021】
本発明の患者リストバンド用タグ作成システムは、上記した患者リストバンド用タグ作成装置と、患者リストバンド用タグ作成装置とリンクし、情報取得部に患者識別情報を供給する情報供給装置と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、情報供給装置から患者識別情報が供給され、供給された患者識別情報が印刷された印刷タグ部と、挿入用タグ部とから成るタグ前駆体が作成される。このため、情報供給装置により患者識別情報を供給できると共に、患者用リストバンドのタグ収容部の奥まで挿入しやすいタグ前駆体を作成することができる。
【0023】
本発明の印刷媒体は、上記した患者リストバンド用タグ作成装置に用いることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、上記した患者リストバンド用タグ作成装置に供することで、患者用リストバンドのタグ収容部の奥まで容易に挿入可能なタグ前駆体に作成される。
また、本発明の患者リストバンド用タグ作成方法は、患者リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と、前記印刷タグ部に切り離し可能に連なっており前記印刷タグ部を前記タグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成るタグ前駆体を、長手方向に延在するミシン目により紙幅を前記印刷タグ部となる印刷タグ領域と前記挿入用タブ部となる挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷部により印刷する工程と、情報取得部により、前記患者識別情報を取得する工程と、印刷制御部により、前記印刷媒体を送りながら、取得された前記患者識別情報を前記印刷タグ領域に印刷する工程と、カッタにより、前記印刷媒体を紙幅方向に切断する工程と、を備えたことを特徴とする。
好ましくは、本発明の患者リストバンド用タグ作成方法は、それぞれが、患者用リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と前記印刷タグ部に切り離し可能に連なっており前記印刷タグ部を前記タグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成る第1情報用タグ前駆体と第2情報用タグ前駆体とを、長手方向に延在する第1ミシン目により紙幅を前記第1情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第1印刷タグ領域と前記第1情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第1挿入用タブ領域とに区画すると共に、前記長手方向に延在する第2ミシン目により紙幅を前記第2情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第2印刷タグ領域と前記第2情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第2挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷部により印刷する工程と、情報取得部により、患者識別情報である第1情報と第2情報とを区別して取得する工程と、印刷制御部により、前記印刷媒体を送りながら、前記第1情報が取得されたとき、前記第1印刷タグ領域に前記第1情報を印刷し、前記第2情報が取得されたとき、前記第2印刷タグ領域に前記第2情報を印刷する工程と、カッタにより、印刷媒体を紙幅方向に切断する工程と、を備えたことを特徴とする。
好ましくは、本発明の患者リストバンド用タグ作成方法は、前記印刷制御部により、前記第1印刷タグ領域と前記第2印刷タグ領域を、前記紙幅方向の相異なる側に寄せてそれぞれ印刷することを特徴とする。
好ましくは、本発明の患者リストバンド用タグ作成方法は、前記印刷制御部により、前記第2情報を、前記第1情報に対して上下逆方向に回転させた状態で印刷することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る患者リストバンド用タグ作成システムおよびこれに用いるロール紙(印刷媒体)について説明する。この患者リストバンド用タグ作成システムは、患者氏名等の患者識別情報が印刷され患者リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部およびこれをタグ収容部に挿入するための挿入用タブ部から成るタグ前駆体を、ロール紙を用いて作成するものである。そこで、まず、印刷タグ部が収容される患者リストバンドについて説明する。
【0026】
図1に示すように、患者リストバンド1は、患者識別情報を表示することにより患者の取違え等防止するためのものであって、患者識別情報が印刷された印刷タグ部5a(後述する)を収容するタグ収容部11を備えたバンド本体2と、バンド本体2の一端に設けられ、バンド本体2の他端を係止する固定具3とから構成され、バンド本体2を患者の手首(あるいは足首)に巻き付け、固定具3でこれを環状に恒久的に固定して使用するようになっている。
【0027】
タグ前駆体5は、詳細は後述するが、印刷タグ部5aと挿入用タブ部5bとから成り、印刷タグ部5aには、患者識別情報として、氏名、患者ID番号、生年月日、診療科名、診療病棟、担当医、血液型、食物アレルギーを示すマーク「●」および患者ID番号に基づくバーコードが印刷されている。
【0028】
バンド本体2は、タグ収容部11と、タグ収容部11の一端から延在するベルト部12と、タグ収容部11の他端に連なり、固定具3の突部材26および受け部材27がそれぞれ設けられた係止部13とで一体に構成されている。
【0029】
バンド本体2は、その表側(患者の手首に巻いた際の外側)全体を構成する透明の表側シート16に対し、裏側からベルト部12およびタグ収容部11のベルト部12側端部を覆う不透明の裏側ベルト部シート17と、タグ収容部11および係止部13を覆う不透明の裏側収容部シート18とをそれぞれ重ねて、バンド本体2の輪郭に沿って熱溶着したものである。この表側シート16と、裏側収容部シート18とにより、袋状のタグ収容部11が構成されている。
【0030】
表側シート16が透明に構成されていることで、タグ収容部11に収容された印刷タグ部5aを表側から視認可能であり、また印刷タグ部5aに印刷されたバーコード等(後述する)をリーダにより光学的に読取り可能となっている。もちろん、裏側の両シートをも透明にしてもよい。なお、バンド本体2を構成するこれらのシートは、防水性を有し、医学的に安全性の高いポリウレタン等の素材で構成することが好ましい。
【0031】
裏側収容部シート18のベルト部12側の縁端は、裏側ベルト部シート17のタグ収容部11側の縁端の裏側に重なっており、この部分がタグ収容部11の挿入開口21となっている。これにより、印刷タグ部5aの挿入作業の際に挿入開口21を開きやすくすると共に、タグ収容部11に一旦収容された印刷タグ部5aが誤って出ることが防止される。すなわち、挿入開口21を構成する裏側収容部シート18のベルト部12側の縁端が、表側シート16から離れやすくなると共に、収容された印刷タグ部5aが挿入開口21から出ようとしても裏側ベルト部シート17により押さえられる。さらに、患者リストバンド1を使用する際には、挿入開口21をヒートシールして、水密に封止する。
【0032】
ベルト部12には、その長手方向に並んで複数の係止孔22が形成されており、患者の手首の太さに合わせて、固定具3による係止位置が調整できるようになっている。すなわち、複数の係止孔22のいずれかに後述する突部材26の突部が挿通されて、ベルト部12が係止部13に係止される。なお、余ったベルト部12の先端側は、ハサミ等により切断される。
【0033】
係止部13は、タグ収容部11の端部に直接連なり、固定具3の突部材26が取り付けられた突部材取付片23と、突部材取付片23に対して折り畳み自在に連結され、固定具3の受け部材27が取り付けられた受け部材取付片24とから構成されている。
【0034】
固定具3は、係止部13の突部材取付片23に取り付けられた突部材26と、受け部材取付片24に取り付けられ、突部材26が表側から嵌合する受け部材27とで構成されている。すなわち、図示しないが、突部材26は、先端にほぞが形成された突部を有し、また、受け部材27は、突部材26の突部が抜止め状態で嵌合する嵌合孔を有している。
【0035】
このようにして構成された患者リストバンド1は、印刷タグ部5aをタグ収容部11に収容した後、表側(表側シート16)を外側にして患者の手首に巻き付け、さらに、ベルト部12の任意の係止孔22に突部材26を挿通させ、係止部13の突部材取付片23に対して受け部材取付片24を折り畳み(表側が谷)、突部材26と受け部材27とを嵌合させることで、患者の手首に対して恒久的に固定される。なお、退院時等に患者から患者リストバンド1を外すときには、ベルト部12をハサミ等で切断する。
【0036】
続いて、図2ないし図6を参照して、印刷タグ部5aと挿入用タブ部5bとから成るタグ前駆体5を作成する患者リストバンド用タグ作成システム31(以下、単に「タグ作成システム」ともいう。)について説明する。
【0037】
図2に示すように、タグ作成システム31は、装着したロール紙50(図5等参照)を繰り出しながらこれに印刷を行う印刷装置32(患者リストバンド用タグ作成装置)と、印刷装置32とリンクし、患者識別情報を供給する情報供給装置33とを備えている。すなわち、印刷装置32は、情報供給装置33から供給された患者識別情報を取得するインタフェース34(情報取得部)を有しており、インタフェース34を介して取得した患者識別情報を印刷バッファ等に格納するようになっている。印刷装置32は、例えば、後述する複数台の端末PCのうちの1台(第2端末PC42)と共に病院のナースルーム47に設置されている。なお、本実施形態では、印刷装置32は、外部から患者識別情報を取得する構成であるが、自身の入力部(キーボード等)からの入力情報を、CPUおよびメモリ等から成る印刷制御部で処理し、患者識別情報を取得する構成であってもよい。この場合、印刷装置32に入力情報を確認するためのディスプレイを備えていてもよい。
【0038】
情報供給装置33は、病院の事務室46に設置された第1端末PC41およびナースルーム47に設置された第2端末PC42と、ネットワーク45を介して2台の端末PC41,42に接続され、各入院患者の患者関連情報を登録するデータベース44を有するサーバ43とから構成されている。
【0039】
第1端末PC41を用いて、病院の事務員が各入院患者の患者関連情報を入力することで、患者関連情報がサーバ43のデータベース44に順次登録される。一方、第2端末PC42を用いて、病院の看護士が、タグ前駆体5が必要となった患者をデータベース44から検索することで患者関連情報が取得され、これに基づいて作成された患者識別情報が印刷装置32に供給される。なお、情報供給装置33としては、スタンドアロンタイプのパソコンであってもよい。すなわち、印刷装置32に直接接続されたパソコンに対し、キーボードあるいはフレキシブルディスク等の記憶媒体を用いて患者関連情報を入力すると共に、これから作成した患者識別情報を印刷装置32に供給する構成であってもよい。
【0040】
図3に示すように、具体的には、第1端末PC41から、キーボード等により、患者関連情報として、各患者の氏名、住所、連絡先、患者ID番号、生年月日、診療科名、診療病棟、担当医、血液型、食物アレルギーの有無等が入力され、これらの患者関連情報がデータベース44に登録される。
【0041】
一方、第2端末PC42は、検索した患者の患者関連情報から、印刷タグ部5aに印刷すべき所定の情報(ここでは、上記した患者氏名、患者ID番号、生年月日、診療病棟、担当医、血液型、食物アレルギー)に基づいて、印刷データを作成し、これを患者識別情報として印刷装置32に供給する。
【0042】
図4に示すように、患者識別情報の印刷対象となるロール紙50は、長尺状の印刷用紙をコアに巻回したものであり、巻き始め端から巻き終わり端に亘って長さ方向に延在して、紙幅を幅広の第1区画部50aと幅狭の第2区画部50bとに区画するミシン目51を有しており、詳細は後述するが、この第1区画部50aがタグ前駆体5の印刷タグ部5aとなる印刷タグ領域61aであり、第2区画部50bが挿入用タブ部5bとなる挿入用タブ領域61bである。つまり、ロール紙50は、ミシン目51により、全幅を印刷タグ部5aとなる印刷タグ領域61aと、挿入用タブ部5bとなる挿入用タブ領域61bとに区画されている。
【0043】
印刷タグ領域61aは、患者リストバンド1のタグ収容部11のサイズに対応した幅を有しており、挿入用タブ領域61bは、指先で摘めるだけの幅を有している。このため、タグ前駆体5は、挿入用タブ部5bを指先で摘んで印刷タグ部5aをタグ収容部11の奥まで挿入することが可能であり、印刷タグ部5aが奥まで挿入されると、挿入用タブ領域61bのみがタグ収容部11の挿入開口21からはみ出すようになっている(詳細は後述する)。
【0044】
図5に示すように、印刷装置32は、カラーインクジェットプリンタであり、ロール紙50を繰り出し自在に装着すると共に、それぞれグリップローラで構成された給紙ローラ72および排紙ローラ73によりロール紙50を排紙口77に向けて間欠送り(副走査)する送り部71と、複数色(例えば、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの4色)のインクがそれぞれ導入される複数のインクジェットヘッド(図示省略)を有し、これをキャリッジ(図示省略)を介してロール紙50に対して移動(主走査)させながらロール紙50に印刷を行う印刷部74と、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、ゲートアレイなどから構成されるもので、印刷部74やインタフェース34、後述のオートカッタ機構76(カッタ)など印刷装置32を統括制御する印刷制御部75と、印刷部74と排紙ローラ73との間に位置して、ロール紙50を紙幅方向に切断するオートカッタ機構76(カッタ)とを備えている。そして、印刷装置32は、印刷制御部75においてインクジェットヘッドの主走査と吐出タイミングとを制御することで、ロール紙50の幅方向における印刷位置を調整できる。印刷制御部75は、インタフェース34から患者識別情報を取得し、印刷部74を制御して印刷媒体50の所定の位置に所定の方向で患者識別情報を印刷し、オートカッタ機構76を駆動させて切断する。このように、印刷装置32の動作は全て印刷制御部75が行っている。
【0045】
図4に示すように、印刷装置32は、取得した患者識別情報を、ロール紙50の印刷タグ領域5a(第1区画部50a)に印刷するようになっている。印刷識別情報の印刷後、印刷済み部分がさらに排紙口77側に送られ、オートカッタ機構76により、印刷済み部分の後端を幅方向に切断する。このようにして、患者識別情報が印刷された印刷タグ部5aと、ミシン目51により印刷タグ部5aに切離し可能に連なった挿入用タブ部5bとから成るタグ前駆体5が作成される。これによれば、タグ前駆体5を必要な枚数だけ適切に作成することができ、使い勝手が良い。
【0046】
図6に示すように、作成されたタグ前駆体5は、次のようにして患者リストバンド1のタグ収容部11に挿入・収容される。まず、看護士等は、左手で患者リストバンド1を挿入開口21(裏側)を自身に向けて持ちながら、タグ前駆体5の印刷面が患者リストバンド1の表側にくるようにして、右手の指先でタグ前駆体5の挿入用タブ部5bを摘んで、印刷タグ部5aをタグ収容部11の挿入開口21から挿入する(同図(a)参照)。
【0047】
そして、印刷タグ部5aをタグ収容部11の奥まで挿入する。このとき、上述したように、印刷タグ部5aの後端(ミシン目51)は、タグ収容部11の挿入開口21よりも内側に位置しており、挿入用タブ部5bのみが挿入開口21から外部にはみ出している(同図(b)参照)。
【0048】
続いて、左手でミシン目51の印刷タグ部5a側を、表裏両側から押さえながら、右手で挿入用タブ部5bを摘んで、これをミシン目51により印刷タグ部5aから引きちぎる(同図(c)参照)。このようにして、患者リストバンド1のタグ収容部11には、患者識別情報が印刷された印刷タグ部5aのみが収容される。
【0049】
以上のように、本実施形態のタグ作成システム31によれば、印刷タグ部5aをタグ収容部11の奥まで挿入しやすいタグ前駆体を作成することができる。すなわち、印刷タグ部5aと挿入用タブ部5bとから成るタグ前駆体5が作成され、挿入用タブ部5bを指先で摘んで印刷タグ部5aをタグ収容部11に挿入することで、挿入用タブ部5bを摘んだ指先がタグ収容部11の挿入開口21につかえることなく、印刷タグ部5aをタグ収容部11の奥まで容易に挿入することができる。さらに、挿入後、タグ収容部11の挿入開口21からはみ出ている挿入用タブ部5bを、ミシン目51によりちぎって印刷タグ部5aから切り離すことで、印刷タグ部5aをタグとしてタグ収容部11に収容することができる。
【0050】
次に、タグ作成システムの他の実施形態について説明する。第2実施形態のタグ作成システムは、図2に示した第1実施形態のものと略同様の構成であり、印刷装置32と情報供給装置33とを備えているが、大人の患者に付ける大人患者リストバンドのための大人用タグ前駆体(第1情報用タグ前駆体)と、小児(子供)の患者に付ける小児患者リストバンドのための小児用タグ前駆体(第2情報用タグ前駆体)とを、選択的に作成する点で相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0051】
図7は、大人患者リストバンド101と、小児患者リストバンド102とを示す図である。大人患者リストバンド101および小児患者リストバンド102は、第1実施形態の患者リストバンド1と略同様に構成されたものであるが、同図に示すように、小児患者リストバンド102は、手首の太さの違いに対応させて、大人患者リストバンド101に比べて小さく構成されている。
【0052】
これに併せて、小児患者リストバンド102のタグ収容部112は、大人患者リストバンド101のタグ収容部111に比べて、小さくなっている。このため、小児患者リストバンド102のタグ収容部112に収容される小児用タグ前駆体106の印刷タグ部106aは、大人患者リストバンド101のタグ収容部111に収容される大人用タグ前駆体105の印刷タグ部105aに比べて、小さく幅狭となるように作成される。
【0053】
情報供給装置33は、対象となる患者が大人である場合の大人患者識別情報(第1情報)と、対象となる患者が小児である場合の小児患者識別情報(第2情報)とを区別して、印刷装置32に供給する。すなわち、第2端末PC42は、データベース44から取得した患者関連情報の各項目のうち、生年月日のデータから、その患者の年齢を算出し、算出した年齢が、所定の基準年齢(例えば13歳)以上であるか否かを判別し、所定の基準年齢以上であると判定した場合には、その患者が大人であるとして患者識別情報を供給し、所定の基準年齢未満であると判定した場合には、その患者が小児であるとして患者識別情報を供給する。もちろん、第1端末PC41により、患者関連情報として、その患者が大人であるか小児であるかを直接的に入力し、その入力結果に基づいて、第2端末PC42が大人患者識別情報と小児患者識別情報とを区別して供給するようにしてもよい。
【0054】
図8は、第2実施形態のタグ作成システム31に用いられるロール紙150を示す図である。同図に示すように、このロール紙150は、長さ方向に延在する第1ミシン目151および第2ミシン目152を有しており、第1ミシン目151および第2ミシン目152により、紙幅が、幅狭の第1区画部150aと、幅広の第2区画部150bと、中間幅の第3区画部150cとに区画されている。
【0055】
詳細は後述するが、この第2区画部150bおよび第3区画部150cが大人用タグ前駆体105の印刷タグ部105aとなる第1印刷タグ領域161aであり、第1区画部150aが大人用タグ前駆体105の挿入用タブ部105bとなる第1挿入用タブ領域161bである。また、第1区画部150aおよび第2区画部150bが小児用タグ前駆体106の印刷タグ部106aとなる第2印刷タグ領域162aであり、第3区画部150cが小児用タグ前駆体106の挿入用タブ部106bとなる第2挿入用タブ領域162bである。
【0056】
つまり、ロール紙50は、第1ミシン目151により、紙幅を大人用タグ前駆体105の印刷タグ部105aとなる第1印刷タグ領域161aと、大人用タグ前駆体105の挿入用タブ部105bとなる第1挿入用タブ領域161bとに区画されていると共に、第2ミシン目152により、紙幅を小児用タグ前駆体106の印刷タグ部106aとなる第2印刷タグ領域162aと、小児用タグ前駆体106の挿入用タブ部106bとなる第2挿入用タブ領域162bとに区画されている。また、第1印刷タグ領域161aと第2印刷タグ領域162aとは、幅方向の相異なる側に寄せて配置されている。
【0057】
第1印刷タグ領域161aは、大人患者リストバンド101のタグ収容部111のサイズに対応した幅を有しており、第1挿入用タブ領域161bは、指先で摘めるだけの幅を有している。同様に、第2印刷タグ領域162aは、小児患者リストバンド102のタグ収容部112のサイズに対応した幅を有しており、第2挿入用タブ領域162bは、指先で摘めるだけの幅を有している。また、幅方向における第1印刷タグ領域161aの寸法と第2印刷タグ領域162aとが相異なるように(第2印刷タグ領域162aの方が短い)構成されている。
【0058】
印刷装置32は、情報供給装置33から大人患者識別情報が供給されたとき、ロール紙150の第1印刷タグ領域161aに大人患者識別情報を印刷し、小児患者識別情報が供給されたとき、ロール紙150の第2印刷タグ領域162aに小児患者識別情報を印刷する。ここで、小児患者識別情報は、大人患者識別情報に対して180度回転させた状態で印刷される。
【0059】
そして、オートカッタ機構76により、印刷済み部分の後端を幅方向に切断する。このようにして、大人患者識別情報が印刷された印刷タグ部105aと、第1ミシン目151により印刷タグ部105aに切離し可能に連なった挿入用タブ部105bとから成る大人用タグ前駆体105と、小児患者識別情報が印刷された印刷タグ部106aと、第2ミシン目152により印刷タグ部106aに切離し可能に連なった挿入用タブ部106bとから成る小児用タグ前駆体106とが選択的に作成される。なお、図中の矢印105cは、大人用タグ前駆体105における切り離し位置を示し、矢印106cは、小児用タグ前駆体106における切り離し位置を示している。
【0060】
これによれば、1種類のロール紙150を用いて、大人用タグ前駆体105と、小児用タグ前駆体106とを選択的に作成することができる。すなわち、大人用タグ前駆体105を作成するためのロール紙と、小児用タグ前駆体106を作成するためのロール紙との2種類のロール紙を用意する必要がない。
【0061】
また、この場合、大人患者識別情報が第2ミシン目152の両側(第2区画部150bおよび第3区画部150c)に跨って印刷され、小児患者識別情報が第1ミシン目151の両側(第1区画部150aおよび第2区画部150b)に跨って印刷される。これに対し、第1印刷タグ領域161aと第2印刷タグ領域162aとを幅方向の同じ側に配置した場合には、大人患者識別情報は、第2ミシン目152の両側(第2区画部150bおよび第3区画部150c)に跨って印刷され、小児患者識別情報は、第2ミシン目152の片側(第3区画部150c)のみに印刷される(後述の変形例参照)。
【0062】
このため、第2印刷タグ領域162aの幅がロール紙150の紙幅の1/2以上であれば、第1印刷タグ領域161aと第2印刷タグ領域162aとを幅方向の同じ側に配置した場合に比べて、第1ミシン目151と第2ミシン目152との間隔が広くなる。したがって、印刷タグ部105a,106aをタグ収容部111,112に挿入後、一方のミシン目151,152により挿入用タブ部105b,106bをちぎり取る際に、誤って他方のミシン目152,151により印刷タグ部105a,106aの途中をちぎってしまうことがない。
【0063】
さらに、小児患者識別情報が、大人患者識別情報に対して180度回転させた状態で印刷されることで、大人患者識別情報と小児患者識別情報とが相互に上下逆向きとならないように、大人用タグ前駆体105および小児用タグ前駆体106の印刷タグ部105a,106aを、その挿入用タブ部105b,106bを摘んでタグ収容部111,112にそれぞれ収容することができる。
【0064】
図9に示すように、本実施形態のロール紙150を用いて、タグ前駆体105,106以外の印刷物を作成することも可能である。すなわち、病院では、患者入院時に、患者リストバンド101,102用のタグ前駆体105,106を作成すると同時に、病室名札171、ベッド名札172、担当者名札173等の小型印刷物をも作成する場合がある。
【0065】
これらの小型印刷物は、通常、それぞれ要求されるサイズが異なるものとなっている。この点、本実施形態のロール紙150を用いれば、第1ミシン目151および第2ミシン目152を利用して、大(第2区画部150b)、中(第3区画部150c)、小(第1区画部150a)の3種類のサイズの小型印刷物を作成することができる。例えば、第1区画部150aを病室名札171、第2区画部150bをベッド名札172、第3区画部150cを担当者名札173として作成することが可能である。これにより、複数種の印刷媒体を用意してその都度印刷媒体を交換・セットすることなく、サイズの異なる複数種の小型印刷物を作成することができる。
【0066】
図10に示すように、各区画部150a,150b,150cの幅(ロール紙150の幅方向における各ミシン目151,152の位置)に、病室名札171等の小型印刷物のサイズが合わない場合でも、ミシン目151,152を無視して、ただの印刷ロール紙として使用することで、病室名札171、ベッド名札172および担当者名札173を印刷可能である。
【0067】
なお、図示しないが、第1実施形態のロール紙50を用いた場合にも、同様に、ミシン目51を利用して、あるいはこれを無視して、タグ前駆体5以外の小型印刷物を作成することが可能である。
【0068】
図11は、第2実施形態のロール紙の変形例を示す図である。このロール紙250は、上記したロール紙150と同様に、第1ミシン目251により、紙幅を大人用タグ前駆体205の印刷タグ部205aとなる第1印刷タグ領域261aと、大人用タグ前駆体205の挿入用タブ部205bとなる第1挿入用タブ領域261bとに区画されていると共に、第2ミシン目252により、紙幅を小児用タグ前駆体206の印刷タグ部206aとなる第2印刷タグ領域262a(第1印刷タグ領域261aよりも短い)と、小児用タグ前駆体206の挿入用タブ部206bとなる第2挿入用タブ領域262bとに区画されているが、第1印刷タグ領域261aと第2印刷タグ領域262aとは、幅方向の同一側に寄せて配置されている点で、上記のロール紙150と相違する。
【0069】
この変形例においても、印刷装置32により、大人患者識別情報が供給されたとき、ロール紙250の第1印刷タグ領域261aに大人患者識別情報を印刷し、小児患者識別情報が供給されたとき、ロール紙250の第2印刷タグ領域262aに小児患者識別情報を印刷することで、大人用タグ前駆体205と小児用タグ前駆体206とが選択的に作成される。この場合は、小児患者識別情報は、大人患者識別情報と同じ向きに印刷すればよい。なお、図中の矢印205cは、大人用タグ前駆体205における切り離し位置を示し、矢印206cは、小児用タグ前駆体206における切り離し位置を示している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)は側方から見た患者リストバンドを示す図、(b)は表側から見た患者リストバンドおよびこれに収容されるタグ前駆体を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係る患者リストバンド用タグ作成システムのブロック図。
【図3】患者関連情報の一例を示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係る患者リストバンド用タグ作成システムに用いられるロール紙およびこれから作成されたタグ前駆体を示す図。
【図5】患者リストバンド用タグ作成システムを構成する印刷装置の概念図。
【図6】患者リストバンドのタグ収容部にタグ前駆体の印刷タグ部を挿入・収容する手順を示す図。
【図7】(a)は表側から見た大人患者リストバンドおよびこれに収容される大人用タグ前駆体を示す図、(b)は表側から見た小児患者リストバンドおよびこれに収容される小児用タグ前駆体を示す図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る患者リストバンド用タグ作成システムに用いられるロール紙およびこれから作成された大人用タグ前駆体および小児用タグ前駆体を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る患者リストバンド用タグ作成システムに用いられるロール紙のミシン目を利用して作成された小型印刷物を示す図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る患者リストバンド用タグ作成システムに用いられるロール紙のミシン目を無視して作成された小型印刷物を示す図。
【図11】本発明の他の実施形態に係る患者リストバンド用タグ作成システムに用いられるロール紙の変形例およびこれから作成された大人用タグ前駆体および小児用タグ前駆体を示す図。
【符号の説明】
【0071】
1…患者リストバンド、5…タグ前駆体、5a…印刷タグ部、5b…挿入用タブ部、11…タグ収容部、32…印刷装置、34…インタフェース、50…ロール紙、51…ミシン目、61a…印刷タグ領域、61b…挿入用タブ領域、74…印刷部、75…印刷制御部、76…オートカッタ機構、105…大人用タグ前駆体、105a…印刷タグ部(大人用)、105b…挿入用タブ部(大人用)、106…小児用タグ前駆体、106a…印刷タグ部(小児用)、106b…挿入用タブ部(小児用)、150…ロール紙、151…第1ミシン目、152…第2ミシン目、161a…第1印刷タグ領域、161b…第1挿入用タブ領域、162a…第2印刷タグ領域、162b…第2挿入用タブ領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と、前記印刷タグ部に切り離し可能に連なっており前記印刷タグ部を前記タグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成るタグ前駆体を、
長手方向に延在するミシン目により紙幅を前記印刷タグ部となる印刷タグ領域と前記挿入用タブ部となる挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷する印刷部と、
前記患者識別情報を取得する情報取得部と、
前記印刷媒体を送りながら、取得された前記患者識別情報を前記印刷タグ領域に印刷する印刷制御部と、
前記印刷媒体を紙幅方向に切断するカッタと、を備えたことを特徴とする患者リストバンド用タグ作成装置。
【請求項2】
それぞれが、患者用リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と前記印刷タグ部に切り離し可能に連なっており前記印刷タグ部を前記タグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成る第1情報用タグ前駆体と第2情報用タグ前駆体とを、
長手方向に延在する第1ミシン目により紙幅を前記第1情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第1印刷タグ領域と前記第1情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第1挿入用タブ領域とに区画すると共に、前記長手方向に延在する第2ミシン目により紙幅を前記第2情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第2印刷タグ領域と前記第2情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第2挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷する印刷部と、
患者識別情報である第1情報と第2情報とを区別して取得する情報取得部と、
前記印刷媒体を送りながら、前記第1情報が取得されたとき、前記第1印刷タグ領域に前記第1情報を印刷し、前記第2情報が取得されたとき、前記第2印刷タグ領域に前記第2情報を印刷する印刷制御部と、
印刷媒体を紙幅方向に切断するカッタと、を備えたことを特徴とする患者リストバンド用タグ作成装置。
【請求項3】
前記印刷制御部は、前記第1印刷タグ領域と前記第2印刷タグ領域を、前記紙幅方向の相異なる側に寄せてそれぞれ印刷することを特徴とする請求項2に記載の患者リストバンド用タグ作成装置。
【請求項4】
前記印刷制御部は、前記第2情報を、前記第1情報に対して上下逆方向に回転させた状態で印刷することを特徴とする請求項3に記載の患者リストバンド用タグ作成装置。
【請求項5】
前記印刷媒体は、前記紙幅方向における前記第1印刷タグ領域の寸法と前記第2印刷タグ領域の寸法とが相異なるように構成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の患者リストバンド用タグ作成装置。
【請求項6】
前記第1情報は大人患者用識別情報であり、前記第2情報は小児患者用識別情報であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の患者リストバンド用タグ作成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の患者リストバンド用タグ作成装置と、
前記患者リストバンド用タグ作成装置とリンクし、前記情報取得部に前記患者識別情報を供給する情報供給装置と、を備えたことを特徴とする患者リストバンド用タグ作成システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の患者リストバンド用タグ作成装置に用いることを特徴とする印刷媒体。
【請求項9】
患者リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と、前記印刷タグ部に切り離し可能に連なっており前記印刷タグ部を前記タグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成るタグ前駆体を、
長手方向に延在するミシン目により紙幅を前記印刷タグ部となる印刷タグ領域と前記挿入用タブ部となる挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷部により印刷する工程と、
情報取得部により、前記患者識別情報を取得する工程と、
印刷制御部により、前記印刷媒体を送りながら、取得された前記患者識別情報を前記印刷タグ領域に印刷する工程と、
カッタにより、前記印刷媒体を紙幅方向に切断する工程と、を備えたことを特徴とする患者リストバンド用タグ作成方法。
【請求項10】
それぞれが、患者用リストバンドのタグ収容部に収容される印刷タグ部と前記印刷タグ部に切り離し可能に連なっており前記印刷タグ部を前記タグ収容部に挿入するための挿入用タブ部と、から成る第1情報用タグ前駆体と第2情報用タグ前駆体とを、
長手方向に延在する第1ミシン目により紙幅を前記第1情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第1印刷タグ領域と前記第1情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第1挿入用タブ領域とに区画すると共に、前記長手方向に延在する第2ミシン目により紙幅を前記第2情報用タグ前駆体の印刷タグ部となる第2印刷タグ領域と前記第2情報用タグ前駆体の挿入用タブ部となる第2挿入用タブ領域とに区画した長尺状の印刷媒体を用いて、印刷部により印刷する工程と、
情報取得部により、患者識別情報である第1情報と第2情報とを区別して取得する工程と、
印刷制御部により、前記印刷媒体を送りながら、前記第1情報が取得されたとき、前記第1印刷タグ領域に前記第1情報を印刷し、前記第2情報が取得されたとき、前記第2印刷タグ領域に前記第2情報を印刷する工程と、
カッタにより、印刷媒体を紙幅方向に切断する工程と、を備えたことを特徴とする患者リストバンド用タグ作成方法。
【請求項11】
前記印刷制御部により、前記第1印刷タグ領域と前記第2印刷タグ領域を、前記紙幅方向の相異なる側に寄せてそれぞれ印刷することを特徴とする請求項10に記載の患者リストバンド用タグ作成方法。
【請求項12】
前記印刷制御部により、前記第2情報を、前記第1情報に対して上下逆方向に回転させた状態で印刷することを特徴とする請求項11に記載の患者リストバンド用タグ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−215991(P2007−215991A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351205(P2006−351205)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】