説明

情報保持画像、情報検索装置、情報検索システム及び情報検索プログラム

【課題】検索対象の高精度の検索を簡易な方法で実現できる情報保持画像、情報検索装置、情報検索システム及び情報検索プログラムを提供する。
【解決手段】検索サーバは、地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、このメッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像を有しており、検索サーバの検索領域設定部30は、検索条件に基づいて、検索対象が分布している対象領域を含む情報保持画像を抽出する。検索領域設定部30は、上記抽出した情報保持画像上に、検索条件に基づいて検索領域を設定する。画素値判定部32は、上記検索領域に含まれる各メッシュ領域の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かを判定し、検索対象が存在していると判定した情報保持画像を検索結果候補とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報保持画像、情報検索装置、情報検索システム及び情報検索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネット等の情報通信ネットワーク上に存在する複数のサーバが保持している地理情報を利用する技術が提案されている。このような例として、国土地理院等が整備するクリアリングハウスがある。このクリアリングハウスが提供する地理情報には、対象となる地図の範囲を示す範囲情報がメタデータとして付加されている。ここで、メタデータとは、地理情報の所在、内容等を表す付加情報である。利用者は、上記メタデータに含まれる範囲情報により、目的とする検索対象(例えば、店舗その他の諸施設等)を含む地図情報を検索することができる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、地図データサーバに格納された地図データを、地図データの地理的な範囲(範囲情報)を含むメタデータにより検索する技術が開示されている。ここで、上記地理的な範囲は、例えば東西南北の境界座標(例えば、緯度、経度)により表すことができる。
【0004】
図8(a),(b),(c)には、従来における地図情報の検索例が示される。図8(a)では黒丸で、図8(b)では白丸で、それぞれ地図上に分布した検索対象が示されている。また、地図はメタデータに含まれる東西南北の境界座標により範囲が画定されており、本例の図8(a),(b)は、同じ範囲の地図となっている。このため、例えば図8(c)に破線で示される範囲αに存在する検索対象を検索した場合、メタデータに含まれる範囲情報に基づき、この範囲αを含む地図として図8(a),(b)の地図が抽出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−344250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の技術においては、地図情報の検索に使用するメタデータに地図の範囲を定義する範囲情報は含まれるが、当該範囲に含まれる検索対象の分布状況までは含まれていなかった。このため、検索対象が上記範囲情報で定義される範囲の地図上で偏在している場合に、検索精度が低下するという問題があった。
【0007】
例えば、上記図8(a)と図8(b)の例では、検索対象の種類が異なり、その分布(偏在の状況)も異なっている。ここで、図8(c)の範囲αにおける検索対象を検索すると、図8(a)の黒丸で示された検索対象は正しく検索できるが、図8(b)の白丸で示された検索対象は、地図の範囲α以外の場所に偏在していて範囲αには存在していないにもかかわらず、検索対象(白丸)と範囲αがともに図8(b)の地図に含まれているために、検索結果として図8(b)の地図が抽出されてしまうという不都合が生じる。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、検索対象の高精度の検索を簡易な方法で実現できる情報保持画像、情報検索装置、情報検索システム及び情報検索プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の情報保持画像の発明は、地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の情報保持画像において、前記メッシュ領域が、1個の画素により構成されており、前記1個の画素により表される前記メッシュ領域の実空間における面積または長さが予め規格化されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の情報検索装置の発明は、地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像上に検索領域を設定する検索領域設定手段と、前記検索領域に含まれる前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かを判定する画素値判定手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の情報検索システムの発明は、ネットワーク上に存在するサーバが保持する検索対象の有無の情報を、地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像として提供する情報保持画像提供装置と、前記情報保持画像提供装置に対して検索対象の検索条件を出力する検索条件出力装置と、を備え、前記情報保持画像提供装置は、前記検索条件に基づいて、前記情報保持画像上に検索領域を設定し、前記検索領域に含まれる前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かの判定結果を前記検索条件出力装置に対して返信することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の情報検索プログラムの発明は、コンピュータを、地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像上に検索領域を設定する検索領域設定手段、前記検索領域に含まれる前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かを判定する画素値判定手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、請求項2及び請求項5の発明によれば、情報保持画像の画素値により検索対象を簡易に高精度で検索できる。
【0015】
請求項3、請求項4の発明によれば、情報保持画像上の所望の領域において、検索対象を簡易に高精度で検索できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態にかかる情報検索システムの構成例を示す図である。
【図2】実施形態にかかる検索サーバを構成するコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】実施形態にかかる検索サーバの機能ブロック図である。
【図4】情報保持画像の説明図である。
【図5】メッシュ領域の実空間における面積または長さの規格化の説明図である。
【図6】情報提供サーバが提供する検索対象関連情報と、この検索対象関連情報に基づいて作成された情報保持画像の例を示す図である。
【図7】実施形態にかかる検索サーバの動作例のフロー図である。
【図8】従来における地図情報の検索例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
【0018】
図1には、実施形態にかかる情報検索システムの構成例が示される。図1において、情報検索システムは、検索サーバ100と情報提供サーバ102とがインターネット、イントラネット等の通信ネットワーク104に接続されている。ここで、情報提供サーバ102は、通信ネットワーク104に複数接続されていてもよい。また、通信ネットワーク104には、検索サーバ100に対して、所望の検索対象を検索するための検索条件を出力する検索装置106も接続されている。
【0019】
検索サーバ100は、情報提供サーバ102が提供する、上記検索対象に関する検索対象関連情報に対するメタデータを保持しており、利用者はこのメタデータにより検索対象を検索することができる。ここで、上記検索対象は、例えば工場内の部品置場、オフィス内の机、店舗、ビル等の建物、行政区画等の領域その他の様々な大きさのものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの検索対象は、地理座標により範囲が画定された対象領域上に分布している。また、上記検索対象関連情報は、検索対象の名称等の識別情報と対象領域における検索対象の位置情報とを含んでいる。また、上記メタデータは、地理座標により範囲が画定された上記対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、このメッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像を含んでいる。このメッシュ領域の画素値により検索対象の分布状態を表すことができる。なお、上記メッシュ領域を構成する画素の数は限定されないが、1個の画素によりメッシュ領域を構成するのが、一定画素数の画像に含めることができる情報量を多くできるので好適である。
【0020】
また、上記情報提供サーバ102は、上記検索対象に関する検索対象関連情報を提供するサーバであり、各検索対象には位置情報が関連付けられている。上記位置情報は、地理座標とすることができ、検索対象の分布を地図情報とともに提供する構成としてもよい。
【0021】
また、上記検索装置106は、コンピュータ、携帯電話等の通信ネットワーク104に接続可能な装置であれば限定されない。
【0022】
図2には、実施形態にかかる検索サーバ100を構成するコンピュータのハードウェア構成の例が示される。図2において、検索サーバ100は、中央処理装置(例えばマイクロプロセッサ等のCPUを使用することができる)10、ランダムアクセスメモリ(RAM)12、読み出し専用メモリ(ROM)14、入力装置16、表示装置18、通信装置20及び記憶装置22を含んで構成されており、これらの構成要素は、バス24により互いに接続されている。また、入力装置16、表示装置18、通信装置20及び記憶装置22は、それぞれ各入出力インターフェース26を介してバス24に接続されている。
【0023】
CPU10は、RAM12またはROM14に格納されている制御プログラムに基づいて、後述する各部の動作を制御する。RAM12は主としてCPU10の作業領域として機能し、ROM14にはBIOS等の制御プログラムその他のCPU10が使用するデータが格納されている。
【0024】
また、入力装置16は、キーボード、ポインティングデバイス等により構成され、使用者が動作指示等を入力するために使用する。なお、この入力装置16は省略してもよい。
【0025】
また、表示装置18は、液晶ディスプレイ等により構成され、CPU10による処理結果等を表示する。なお、この表示装置18は省略してもよい。
【0026】
また、通信装置20は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート、ネットワークポートその他の適宜なインターフェースにより構成され、CPU10がネットワーク等の通信手段を介して外部の装置とデータをやり取りするために使用する。
【0027】
また、記憶装置22は、ハードディスク等の磁気記憶装置であり、後述する処理に必要となる種々のデータを記憶する。なお、記憶装置22としては、ハードディスクの代わりに、EEPROM等の不揮発性記憶装置を使用してもよい。
【0028】
図3には、実施形態にかかる検索サーバ100の機能ブロック図が示される。図3において、検索サーバ100は、情報保持画像取得部28、検索領域設定部30、画素値判定部32、表示制御部34及び通信部36を含んで構成されており、これらの機能は例えばCPU10とCPU10の処理動作を制御するプログラムにより実現される。
【0029】
情報保持画像取得部28は、通信装置20を介して情報提供サーバ102が提供する検索対象関連情報に対するメタデータとして、上述した情報保持画像を取得する。この場合、情報保持画像は、各情報提供サーバ102で生成してもよいし、情報保持画像取得部28が情報提供サーバ102から検索対象関連情報を収集し、その検索対象関連情報に基づいて情報保持画像取得部28が生成してもよい。あるいは、情報提供サーバ102が予め生成し提供している情報保持画像を、情報保持画像取得部28が更新状況を確認しながら適宜取得しこれを提供する構成としてもよい。情報保持画像については後述する。
【0030】
検索領域設定部30は、通信装置20を介して検索装置106から受け取った検索対象の検索条件に基づき、情報保持画像上に検索領域を設定する。
【0031】
画素値判定部32は、上記検索領域に含まれるメッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値が、検索対象が存在することを示す画素値となっているか否かを判定する。なお、メッシュ領域が1個の画素により構成されている場合には、メッシュ領域を構成する各画素について上記判定を行う。
【0032】
表示制御部34は、表示装置18を制御し、画素値判定部32の判定結果等を表示する。なお、表示装置18が省略される場合には、表示制御部34も省略される。
【0033】
通信部36は、通信装置20により、情報提供サーバ102、検索装置106等の外部の装置とのデータのやり取りを制御する。
【0034】
図4(a),(b)には、情報保持画像の説明図が示される。図4(a)は、情報提供サーバ102が提供する検索対象関連情報の例であり、東西南北の地理座標により範囲が画定された対象領域中に、白丸で示された検索対象が分布している状態を示している。なお、各検索対象には、対象領域における位置情報が、例えば地理座標として関連付けられている。また、図4(a)では、矩形によりメッシュ領域mが示されており、各検索対象は、いずれかのメッシュ領域m中に存在している。なお、各メッシュ領域mを構成する画素の数は限定されないが、1画素により1つのメッシュ領域mを構成するのが好適である。
【0035】
また、図4(b)は、図4(a)における検索対象の存在の有無に関する情報に基づいて生成された情報保持画像の例である。図4(b)では、メッシュ領域mの各々に検索対象(白丸)が存在するか否かの情報を、上記メッシュ領域mを構成する画素の画素値により表しており、斜線のメッシュ領域mに検索対象が存在することを示している。この場合、当該メッシュ領域mに存在する検索対象の数は問題にしておらず、1個以上検索対象が存在すれば「存在」となり、検索対象が0個の場合のみ「不存在」となる。
【0036】
上記情報保持画像としては、例えば2値画像、濃淡画像(グレー画像)、カラー画像等を使用することができる。2値画像を使用する場合には、各メッシュ領域mを例えば白黒2色のいずれかとし、検索対象の「存在」を白で表し、「不存在」を黒で表すことができるが、この逆の意味付けであってもよい。白及び黒の色にどのような意味付け(検索対象の「存在」及び「不存在」)をするかは予め決めておく。また、情報保持画像として例えば256階調の濃淡画像を使用する場合には、256階調を表す8ビットの各ビットに、独立する地理的分布情報(例えば、地理情報システム(Geographic
Information System;GIS)のレイヤに相当)を割り当てておき、各ビットの0または1の値で、各レイヤにおける検索対象の「存在」または「不存在」を表してもよい。これにより、各メッシュ領域mの白と黒の濃淡により同時に8種類のレイヤにおける検索対象の「存在」または「不存在」の情報を保持することができる。さらに、情報保持画像として例えば256色のカラー画像を使用する場合には、各メッシュ領域mの画素の色を表現する8ビットの各ビットの0または1の値で、検索対象の「存在」または「不存在」を表してもよい。この場合も濃淡画像を使用する場合と同様、各メッシュ領域mの色により同時に8種類の検索対象の「存在」または「不存在」の情報を保持することができる。さらに、濃淡画像の階調数またはカラー画像の色数を増やせば、同時に表すことができる検索対象の「存在」または「不存在」の情報量を増やすことができる。このように、情報保持画像では、各メッシュ領域mの画素値により各メッシュ領域mに検索対象が存在するか否かの情報を保持することができる。
【0037】
図5には、メッシュ領域の実空間における面積または長さの規格化の説明図が示される。メッシュ領域は、上述したように、地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎に分割した領域であるが、図5の例では、1画素毎に分割している。
【0038】
図5において、「サイズ」は、1個の画素により構成されるメッシュ領域の実空間における長さ(矩形のメッシュ領域の1辺の長さ等)の分類である。なお、メッシュ領域の面積により分類してもよい。また、「検索対象の場所」は、検索対象が存在する場所の情報である。また、「場所特定技術」は、上記サイズ毎に、検索対象の存在場所を特定するための技術の例である。但し、検索対象の場所を特定する技術は、図5の例に限定されない。また、「移動手段」は、上記サイズ毎に、検索対象が存在するメッシュ領域を移動するために適した移動手段である。但し、移動手段は、図5の例に限定されない。また、「ネットワーク」は、上記サイズ毎に適用されるネットワークの規模の目安である。但し、ネットワークの目安は、図5の例に限定されない。
【0039】
図5に示されるように、上記「サイズ」は、予め定めた長さ毎に規格化されている。ここで、規格化とは、一定の長さまたは面積毎に上記「検索対象の場所」等を分類することをいう。このように、メッシュ領域の長さまたは面積を規格化することにより、情報保持画像のメッシュ領域のサイズを、情報提供サーバ102が提供する検索対象関連情報に応じて統一することができる。これにより、検索対象の分布情報が含まれる情報保持画像を上記サイズにより分類することができ、所望の検索対象の検索処理に最も適した情報保持画像を選択することができる。
【0040】
ここで、例えばサイズが大きい情報保持画像では、情報保持画像が対象とする対象領域が広くなり、これより狭い領域において検索対象を検索する場合に、当該広い領域を含む情報保持画像が上記狭い領域を含むことから、検索結果として抽出され、所望の領域における検索対象の検索処理に対してノイズとなる。一方、サイズが小さい情報保持画像では、情報保持画像が対象とする対象領域が狭くなり、これより広い領域における検索対象を検索する場合に、適切な検索結果といえず、この場合にも所望の領域における検索対象の検索処理に対してノイズとなる。したがって、上述したように、情報保持画像を上記サイズにより分類することにより、上記情報提供サーバ102の検索対象関連情報の検索処理を効率化することができる。
【0041】
図6(a),(b),(c)には、情報提供サーバ102が提供する検索対象関連情報と、この検索対象関連情報に基づいて作成された情報保持画像の例が示される。図6(a)が検索対象関連情報の例であり、地理座標により範囲が画定された対象領域における道路R及び店舗Eの分布情報となっている。図6(a)では、様々な幅の線状領域により道路Rが示され、黒点により店舗の入り口Eが示されている。
【0042】
図6(b)は、図5で説明したメッシュのサイズが30mの情報保持画像の例であり、1個の画素で構成されたメッシュ領域が、1辺の長さが30mの領域となっている。この図6(b)は、図6(a)における道路Rの分布情報を示す情報保持画像となっている。すなわち、図6(b)において、白色のメッシュ領域には道路Rが存在しており、黒色のメッシュ領域には道路Rが存在していないことを表している。また、図6(c)は、図5で説明したメッシュのサイズが10mの情報保持画像の例であり、1個の画素で構成されたメッシュ領域が、1辺の長さが10mの領域となっている。この図6(c)は、図6(a)における店舗Eの分布情報を示す情報保持画像となっている。すなわち、図6(c)において、白色のメッシュ領域には店舗Eが存在しており、黒色のメッシュ領域には店舗のEが存在していないことを表している。
【0043】
図6(b),(c)に示されるように、表現する検索対象に応じてメッシュのサイズを適宜選択することにより、検索対象の種類毎に最適な情報保持画像とすることができる。
【0044】
図7には、実施形態にかかる検索サーバ100の動作例のフローが示される。図7は、検索装置106からの要求に応じて情報提供サーバ102が保持する検索対象関連情報を、メタデータである情報保持画像を使用して検索する動作の例である。
【0045】
図7において、コンピュータ、携帯電話等で構成された検索装置106が、上記検索対象関連情報を検索するための検索条件を検索サーバ100に対して出力する(S1)。この検索条件には、メッシュ領域のサイズ、検索対象、検索対象が分布している対象領域、対象領域中で検索対象の検索を行う検索領域等の情報が含まれている。
【0046】
上記検索条件を検索サーバ100の通信部36が受け取ると、検索領域設定部30が上記検索条件に基づいて、検索対象が分布している対象領域を含む情報保持画像を抽出する(S2)。この際、図5に示された規格化されたサイズが検索条件に示されたメッシュ領域のサイズと同一の情報保持画像を抽出するのが好適である。
【0047】
次に、検索領域設定部30は、S2で抽出した情報保持画像上に、検索装置106が出力した検索条件、特に検索領域の情報に基づいて検索領域を設定する(S3)。この検索領域は、図6(c)に示されるように、入力装置16を用いて、情報保持画像上に例えば矩形領域βとして設定される。なお、検索領域は、図6(c)の例に限定されない。
【0048】
次に、画素値判定部32は、検索領域設定部30が設定した検索領域に含まれる各メッシュ領域の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かを判定する(S4)。ここで、検索対象の存在、不存在は、予め決定された画素値の意味づけにより決定するが、例えば、情報保持画像が図6(b)または図6(c)に例示されるように白黒画像である場合には、白色の画素が検索対象の存在を表し、黒色が不存在を表すように意味づけすることができる。
【0049】
画素値判定部32は、S4の処理により検索対象が存在していると判定した場合に、当該情報保持画像をメタデータとする検索対象関連情報を検索結果候補として通信部36を介して検索装置106に返信する(S5)。
【0050】
検索装置106では、S5で返信された検索結果候補に基づき、いずれの情報提供サーバ102に検索対象関連情報を要求するかを決定し(S6)、決定した情報提供サーバ102に対して、当該情報提供サーバ102の検索対象関連情報を要求する(S7)。なお、情報提供サーバ102の決定は、検索結果候補を確認した利用者からの指示入力に基づいて行う構成であってもよい。また、決定した情報提供サーバ102に対して何れの検索対象関連情報を要求するかについても、利用者からの指示入力に基づいて決定する構成であってもよい。
【0051】
検索対象関連情報を要求された情報提供サーバ102は、自身のハードディスク等の格納領域から要求された検索対象関連情報を抽出し(S8)、抽出した検索対象関連情報を、要求を送信した検索装置106に返信する(S9)。
【0052】
検索装置106は、受信した検索対象関連情報を表示画面等に表示する(S10)。なお、表示画面に表示する代わりに、印刷装置により検索対象関連情報を印刷する構成であってもよい。
【0053】
上述した、図7の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供しても良い。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明として捉えても良い。
【符号の説明】
【0054】
10 CPU、12 RAM、14 ROM、16 入力装置、18 表示装置、20 通信装置、22 記憶装置、24 バス、26 入出力インターフェース、28 情報保持画像取得部、30 検索領域設定部、32 画素値判定部、34 表示制御部、36 通信部、100 検索サーバ、102 情報提供サーバ、104 通信ネットワーク、106 検索装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持することを特徴とする情報保持画像。
【請求項2】
請求項1記載の情報保持画像において、前記メッシュ領域は、1個の画素により構成されており、前記1個の画素により表される前記メッシュ領域の実空間における面積または長さが予め規格化されていることを特徴とする情報保持画像。
【請求項3】
地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像上に検索領域を設定する検索領域設定手段と、
前記検索領域に含まれる前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かを判定する画素値判定手段と、
を備えることを特徴とする情報検索装置。
【請求項4】
ネットワーク上に存在するサーバが保持する検索対象の有無の情報を、地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像として提供する情報保持画像提供装置と、
前記情報保持画像提供装置に対して検索対象の検索条件を出力する検索条件出力装置と、
を備え、
前記情報保持画像提供装置は、前記検索条件に基づいて、前記情報保持画像上に検索領域を設定し、前記検索領域に含まれる前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かの判定結果を前記検索条件出力装置に対して返信することを特徴とする情報検索システム。
【請求項5】
コンピュータを、
地理座標により範囲が画定された対象領域を所定数の画素毎のメッシュ領域に分割し、前記メッシュ領域の各々に検索対象が存在するか否かの情報を、前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値により保持する情報保持画像上に検索領域を設定する検索領域設定手段、
前記検索領域に含まれる前記メッシュ領域を構成する所定数の画素の画素値が、検索対象が存在することを表す画素値となっているか否かを判定する画素値判定手段、
として機能させることを特徴とする情報検索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−81473(P2011−81473A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231133(P2009−231133)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「ユビキタス・プラットフォーム技術の研究開発(ユビキタス空間情報基盤技術)」の委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】