説明

情報処理システム、情報処理方法、サーバ装置及びプログラム

【課題】ネットワークを介してサーバ装置から端末装置に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像が端末装置の表示部に表示されるときの電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止できる情報処理システム、情報処理方法、サーバ装置及びその関連技術を提供する。
【解決手段】ネットワーク30を介してサーバ装置20から端末装置10に与えられる伝送情報のうち、文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施してから、その伝送情報がサーバ装置20から端末装置10に与えられる。その改変処理では、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理等が行われる。改変対象の画像要素には、電磁信号による情報の漏洩を防止すべき画像要素が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、サーバ装置及びその関連技術に関し、より詳細には、表示部を備える端末装置から非意図的に放出されている雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、動作時に非意図的に微弱な電磁波の雑音(電磁信号)を放出していることは古くから知られている。この放出電磁信号には機器内部の情報信号に相関のある信号が含まれている。近年、この放出電磁信号を受信して得られる観測信号から、機器内部の情報を取得する技術が注目されている。
【0003】
この電子機器から放出される電磁信号の観測から機器内部の情報を取得する技術、及びその対策に関する技術は、「TEMPEST(Transient Electromagnetic Pulse Surveillance Technology)」と呼ばれている。このTEMPESTでは、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)などの電子機器から放出される電磁信号を観測し、モニタの表示画像を再現することが可能であることが報告されている。
【0004】
したがって、このTEMPESTを用いることにより、表示部を有する電子機器から非意図的に放出される電磁信号の受信信号から表示画像に関する情報が漏洩することになる。電子機器の表示部には個人情報や秘匿情報が表示される場合があることから、情報セキュリティ上、重大な問題となっている。具体的には、PC等の電子機器において表示部に文字等が表示されているとき、この電子機器から表示部の表示画像信号を含有する電磁信号が非意図的に放出されている。この電磁信号は、受信機を用いて観測することができる。そして、その観測信号に簡単な信号処理方法を施すことによって電子機器の表示部の表示画像を再現できる。このため、この放出電磁信号による情報漏洩問題を検討する必要性が報告されている(非特許文献1参照)。
【0005】
このような表示画像の再現は、PC等のいわゆるコンピュータの表示画面だけでなく、携帯電話端末やカーナビゲーションシステムはもちろん、テレビや、銀行等のATM(Automated Teller Machine)、公共機関端末、交通機関等券売機等、画像表示装置を有するすべての電子機器において同様に懸念される。
【0006】
このように、TEMPESTを用いると情報機器が有する画像表示装置の表示画面を遠方において非接触に再現することができる。このため、表示装置の表示画面に個人情報や秘匿情報等が表示されている場合、その画像表示装置の表示情報が盗取される可能性がある。よって、TEMPESTによる画像表示装置の表示画面内の情報の漏洩を防止する対策が不可欠である。
【0007】
また、このような表示画像に関する情報の漏洩は、ネットワークを介してサーバ装置から端末装置に与えられた情報等に基づいて端末装置側で表示画像が形成され、その表示画像が端末装置の表示部に表示されるときにも生じる可能性がある。
【非特許文献1】関口 秀紀、外3名、「放出電磁信号によるPCモニタ表示画像の再現に関する一考察」、信学技報、社団法人電子情報通信学会、平成17年11月14日、第ISEC2005巻、第97号、p.53−58
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の解決すべき課題は、ネットワークを介してサーバ装置から端末装置に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像が端末装置の表示部に表示されるときの電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止できる情報処理システム、情報処理方法、サーバ装置及びその関連技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明に係る情報処理システムでは、端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備え、前記端末装置は、表示部と、前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた伝送情報に基づいて表示画像を形成し、前記表示画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、前記サーバ装置は、前記伝送情報を準備し、前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える情報準備部と、前記情報準備部によって準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す改変処理部とを備え、前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であり、前記情報準備部は、前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える。
【0010】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る情報処理システムにおいて、前記サーバ装置の前記情報準備部は、前記伝送情報としてウェブページに関するウェブ情報を準備し、前記ウェブ情報を、ウェブサーバとウェブクライアントとの情報通信に用いられる通信プロトコルを用いて前記ネットワークを介して前記端末装置に与え、前記端末装置の前記表示制御部は、前記ネットワークを介して与えられた前記ウェブ情報に基づき、前記表示画像としてウェブページの画像を形成し、前記画像を前記表示部に表示する。
【0011】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る情報処理システムにおいて、前記端末装置は、操作を受け付ける操作部をさらに備え、前記端末装置の前記表示制御部は、前記操作部を介して受け付けた入力情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に与え、前記サーバ装置の前記情報準備部は、前記端末装置から与えられた前記入力情報に基づいて前記伝送情報を準備して前記ネットワークを介して前記端末装置に与える。
【0012】
また、請求項4の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る情報処理システムにおいて、前記端末装置は、操作を受け付ける操作部をさらに備え、前記表示制御部は、前記表示部に表示させた前記表示画像中に設けられ、改変対象とされた入力領域に対する入力を前記操作部を介して受け付けた場合、前記操作部を介して入力された入力情報に基づく前記入力領域への画像の表示を行わずに、前記入力情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に与え、それに応答して前記サーバ装置から与えられた第1の改変済み情報に基づいて画像を作成し、その画像を前記入力領域に表示させ、前記サーバ装置の前記改変処理部は、前記端末装置から与えられた前記入力情報によって特定された画像要素に対する前記改変処理を施し、その改変処理によって得られた情報を前記第1の改変済み情報として前記ネットワークを介して前記端末装置に与える。
【0013】
また、請求項5の発明では、請求項4の発明に係る情報処理システムにおいて、前記サーバ装置の前記改変処理部は、前記端末装置にて表示される前記表示画像中の改変対象とすべき前記入力領域を、前記情報準備部を介して前記端末装置に通知する。
【0014】
また、請求項6の発明では、請求項4又は請求項5の発明に係る情報処理システムにおいて、前記端末装置の前記改変制御部は、改変対象とされた前記入力領域に表示されている前記画像の一部又は全部の消去指示を受け付けた場合、前記消去指示に基づく前記入力領域の表示内容の更新を行わずに、前記消去指示を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に通知し、それに応答して前記サーバ装置から与えられた第2の改変済み情報に基づいて前記入力領域の表示内容を更新し、前記サーバ装置の前記改変処理部は、前記端末装置から前記消去指示が通知されるのに応じ、前記消去指示を反映させた後に前記入力領域に表示させるべき改変済みの画像に関する情報を作成し、その情報を前記第2の改変済み情報として前記ネットワークを介して前記端末装置に与える。
【0015】
また、請求項7の発明では、請求項4ないし請求項6のいずれかの発明に係る情報処理システムにおいて、前記表示制御部は、改変対象とされた前記入力領域に表示されている前記画像である変換前文字に対する文字変換を指示する変換指示を前記操作部を介して受け付けた場合、前記変換指示を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に通知し、それに応答して前記サーバ装置から与えられた第3の改変済み情報に基づいて変換候補文字に対応する候補画像を作成し、その候補画像を前記表示部に表示させ、前記サーバ装置の前記改変処理部は、前記端末装置から前記変換指示が通知されるのに応じ、前記変換前文字に対する文字変換を行い、その文字変換により得られた前記変換候補文字に対する前記改変処理を施し、その改変処理によって得られた情報を前記第3の改変済み情報として前記ネットワークを介して前記端末装置に与える。
【0016】
また、請求項8の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る情報処理システムにおいて、前記サーバ装置の前記改変処理部が行う前記改変処理において、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して少なくとも1つの改変部を付与する処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を、その表示画像輪郭部の輪郭部に少なくとも1つの改変部が付与された予め用意された改変済みの前記画像要素に入れ替える処理が行われ、前記改変部の色相、明度及び彩度からなる3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値は、前記改変部が付与される前記画像要素の対応する属性値から、前記画像要素の背景画像の対応する属性値へと徐々に変化される。
【0017】
また、請求項9の発明では、請求項8の発明に係る情報処理システムにおいて、前記改変部は、前記表示部の主走査方向である水平方向について前記3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値が徐々に変化される。
【0018】
また、請求項10の発明では、請求項9の発明に係る情報処理システムにおいて、前記改変部は、前記改変対象の画像要素の輪郭部の複数箇所に付与され、前記表示部の前記水平方向に沿って延びる略線状の形態を有する。
【0019】
また、請求項11の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る情報処理システムにおいて、前記改変対象の画像要素には、前記表示部の主走査方向である水平方向に延びる線分が含まれ、前記サーバ装置の前記改変処理部が行う前記改変処理において、前記線分に前記水平方向に延びる少なくとも1つの改変部を設ける処理、あるいは、前記線分を前記少なくとも1つの改変部が付与された予め用意された改変済みの線分に入れ替える処理が行われ、前記線分の前記改変部が設けられた部分では、前記線分の色相、明度及び彩度からなる3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値が、前記線分の前記改変部が設けられていない部分の対応する属性値から、前記線分の背景画像の対応する属性値へと徐々に変化される。
【0020】
また、請求項12の発明では、請求項1ないし請求項11のいずれかの発明に係る情報処理システムにおいて、前記サーバ装置の前記改変処理部は、前記改変処理後の前記改変対象の画像要素に対応するビットマップデータを作成し、前記改変対象の前記画像要素に関する元情報を前記ビットマップデータに入れ替える。
【0021】
また、請求項13の発明では、請求項1ないし請求項11のいずれかの発明に係る情報処理システムにおいて、前記改変対象の画像要素は文字コードとフォントに関する情報によって規定されており、前記サーバ装置の前記改変処理部には、前記改変済みの画像要素に対応する少なくとも1種類の改変フォントに関する情報が予め登録されており、前記改変処理部は、前記改変対象の画像要素の前記フォントに関する情報を前記改変フォントに関する情報に入れ替える。
【0022】
また、請求項14の発明では、請求項13の発明に係る電子機器において、前記改変処理部には、前記改変済みの画像要素に対応する複数種類の改変フォントに関する情報が、前記改変対象の画像要素のフォントの種類に対応付けられて予め登録されており、前記改変処理部は、前記複数種類の改変フォントのうちから前記改変対象の画像要素の前記フォントの種類に対応付けられた改変フォントを選択し、前記改変対象の画像要素の前記フォントに関するデータを、前記選択した改変フォントに関するデータに入れ替える。
【0023】
また、請求項15の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る情報処理システムにおいて、前記端末装置は、操作を受け付ける操作部と、前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた改変処理用のプログラムに基づき、前記表示部に表示させる前記表示画像に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理の少なくとも一部を前記サーバ装置に代わって行う改変制御部とをさらに備え、前記端末装置の前記表示制御部は、前記改変制御部による前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記表示画像を前記表示部に表示させ、前記サーバ装置は、前記改変処理用のプログラムを前記ネットワークを介して前記端末装置に与えるプログラム供給部をさらに備える。
【0024】
また、請求項16の発明では、請求項1ないし請求項15のいずれかの発明に係る情報処理システムにおいて、前記サーバ装置は単一の情報処理装置によって構成されている。
【0025】
また、請求項17の発明では、請求項1ないし請求項15のいずれかの発明に係る情報処理システムにおいて、前記サーバ装置は複数の情報処理装置によって構成されている。
【0026】
また、請求項18の発明に係る情報処理システムでは、端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備え、前記端末装置は、表示部と、前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた伝送情報に基づいて表示画像を形成し、前記表示画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた改変処理用のプログラムに基づき、前記表示画像に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対する改変処理を施す改変制御部とを備え、前記サーバ装置は、前記伝送情報を準備し、前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える情報準備部と、前記改変処理用のプログラムを前記ネットワークを介して前記端末装置に与えるプログラム供給部とを備え、前記端末装置の前記表示制御部は、前記改変制御部による前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記表示画像を前記表示部に表示させ、前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理である。
【0027】
また、請求項19の発明では、端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置を用いた情報処理方法であって、前記サーバ装置によって、前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報を準備する段階と、前記サーバ装置によって、準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す段階と、前記サーバ装置によって、前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える段階と、前記端末装置によって、前記サーバ装置から与えられた前記伝送情報に基づいて前記表示画像を形成し、その表示画像を表示部に表示させる段階とを備え、前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理である。
【0028】
また、請求項20の発明では、端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置を用いた情報処理方法であって、前記サーバ装置によって、前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報及び改変処理用のプログラムを前記ネットワークを介して前記端末装置に与える段階と、前記端末装置によって、前記サーバ装置から与えられた前記伝送情報に基づいて前記表示画像を形成するとともに、前記サーバ装置から与えられた前記改変処理用のプログラムに基づき、前記表示画像に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対する改変処理を施す段階と、前記端末装置によって、前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記表示画像を表示部に表示させる段階とを備え、前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理である。
【0029】
また、請求項21の発明では、端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置であって、前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報を準備し、前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える情報準備部と、前記情報準備部によって準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す改変処理部とを備え、前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であり、前記情報準備部は、前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える。
【0030】
また、請求項22の発明では、端末装置とネットワークを介して接続されたコンピュータに読み込まれるプログラムであって、前記プログラムは、前記コンピュータに、前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報を準備する手順と、準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す手順と、前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える手順とを実行させ、前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理である。
【0031】
また、請求項23の発明では、請求項20の発明に係るサーバ装置を構成するコンピュータに読み込まれるプログラムであって、前記プログラムは、前記コンピュータに前記改変処理部が担う処理を実行させる。
【発明の効果】
【0032】
請求項1に記載の発明によれば、サーバ装置から端末装置に与えられる伝送情報のうち、文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施してから、その伝送情報がサーバ装置から端末装置に与えられる。その改変処理では、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理が行われる。また、改変対象の画像要素には、電磁信号による情報の漏洩を防止すべき画像要素を設定することができる。それ故、ネットワークを介してサーバ装置から端末装置に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像が端末装置の表示部に表示されるときの電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止できる。例えば、サーバ装置から端末装置にネットワークを介して個人情報及び秘匿情報等が送信され、それらの情報が端末装置で表示されるときに、それらの情報が端末装置から放出される電磁信号によって漏洩するのを確実に防止できる。
【0033】
また、画像要素に対する改変処理がサーバ装置にて行われるため、端末装置に改変処理のための特別な構成(例えば、改変処理用のソフトウェア等)を設ける必要がない。それ故、一般的に使用されている端末装置を用いて本発明に係る情報処理システムを容易に構成できる。
【0034】
また、改変処理として、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理が行われる場合には、文字コード又はベクトル情報により規定された任意の画像要素に対して改変処理を行える。
【0035】
また、改変処理として、改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理が行われる場合には、画像要素の入れ替えだけで改変処理が完了するので、改変処理によるサーバ装置の負荷の低減、及び改変処理の迅速化が図れる。
【0036】
請求項2に記載の発明によれば、漏洩を防止すべき情報が含まれたウェブ情報が端末装置にて表示される際に、漏洩を防止すべき情報が放出される電磁信号により漏洩するのを防止できる。
【0037】
また、サーバ装置から端末装置に与える伝送情報がウェブ情報として与えられる。このため、ウェブページの閲覧が可能な端末装置であれば任意の端末装置に対し、表示画像の画像要素に対して改変処理を施したウェブ情報をサーバ装置からネットワークを介して送ることができる。
【0038】
請求項3に記載の発明によれば、サーバ装置が端末装置から与えられた入力情報に基づいて準備した伝送情報を端末装置に送る際にも、その伝送情報に含まれる情報が電磁信号の放出により漏洩するのを防止できる。
【0039】
請求項4に記載の発明によれば、端末装置の表示画像中に設けられ、改変対象とされた入力領域に対して入力が行われた場合、その入力情報がサーバ装置に与えられる。このとき、その入力情報に基づく入力領域への画像表示は行われない。そして、その入力情報によって特定される画像要素に対するサーバ装置による改変処理によって得られた第1の改変済み情報が端末装置に与えられ、その第1の改変済み情報に基づいて端末装置により入力領域への改変済みの画像要素が表示される。それ故、端末装置にて表示されている表示画像中の入力領域に漏洩対策が必要な場合に、入力領域に表示された情報が電磁信号により漏洩するのを防止できる。
【0040】
請求項5に記載の発明によれば、端末装置にて表示される表示画像中の改変対象とすべき入力領域がサーバ装置側で指定される。このため、情報の漏洩対策が必要な情報が入力される可能性のある入力領域については、サーバ装置の指示により確実に改変対象にすることができ、これによって端末装置側で入力される重要情報等の漏洩を確実に防止できる。
【0041】
請求項6に記載の発明によれば、端末装置の表示画像中に設けられた改変対象の入力領域に表示されている画像の一部又は全部の消去指示が操作部を介して行われた場合には、その削除指示がサーバ装置に与えられる。このとき、その消去指示に基づく端末装置による入力領域の表示内容の更新は行われない。そして、それに応答してサーバ装置から端末装置に与えられた第2の改変済み情報に基づいて、端末装置による入力領域の表示内容の更新が行われる。それ故、端末装置の表示画像中の改変対象とされた入力領域に表示される表示内容をサーバ装置側で確実に管理できる。
【0042】
また、端末装置側で改変対象の入力領域に入力された情報の訂正又は消去等にも対応できるため、便利である。
【0043】
請求項7に記載の発明によれば、端末装置の表示画像中に設けられた改変対象の入力領域に入力された文字に対する文字変換が指示された場合には、サーバ装置により変換候補となる変換候補文字に対して改変処理が施される。そして、その改変処理によって得られた候補画像が端末装置にて表示部に表示される。それ故、文字変換の際の変換候補文字が表示部に表示される際にも、その変換候補文字に対して改変処理を施すことができ、電磁信号による情報の漏洩に対してより万全を期すことができる。
【0044】
請求項8に記載の発明によれば、改変済みの画像要素の輪郭部には少なくとも1つの改変部が付与されている。そして、その改変部の色相、明度及び彩度からなる3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値が、その改変部が付与される画像要素の対応する属性値から、その画像要素の背景画像の対応する属性値へと徐々に変化される。それ故、電子機器の表示部に表示される改変済みの画像要素の視認性の劣化を抑制しつつ、画像要素の輪郭部を電磁信号から復元困難な状態に効果的に曖昧化できる。その結果、電子機器から放出される画像信号に関する電磁信号が第三者により受信されても、その受信信号から改変処理が施された画像要素が復元されるのを阻止できる。
【0045】
請求項9に記載の発明によれば、改変済みの画像要素の輪郭部に付与された改変部では、表示部の主走査方向である水平方向について上記の3つの属性値のうちの少なくとも1つの属性値が徐々に変化される。このため、改変処理が施された画像要素では、その画像要素の輪郭部に対応する画像信号の部分を電磁信号から復元困難な状態に効果的に曖昧化でき、画像信号に関する電磁信号から画像要素が復元されるのをより確実に阻止できる。
【0046】
請求項10に記載の発明によれば、改変済みの画像要素の輪郭部に付与された改変部は、改変対象の画像要素の輪郭部の複数箇所に付与され、表示部の水平方向に沿って延びる略線状の形態を有する。それ故、端末装置の表示部に表示される改変済みの画像要素の視認性の劣化を抑制しつつ、画像要素の輪郭部を電磁信号から復元困難な状態に効果的に曖昧化できる。
【0047】
請求項11に記載の発明によれば、改変済みの水平方向に延びる線分には水平方向に延びる少なくとも1つの改変部が付与されている。そして、その改変部の色相、明度及び彩度からなる3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値が、その線分の改変部が設けられていない部分の対応する属性値からその線分の背景画像の対応する属性値へと徐々に変化される。それ故、電子機器の表示部に表示される改変済みの線分の視認性の劣化を抑制しつつ、線分の画像を電磁信号から復元困難な状態に効果的に曖昧化できる。その結果、電子機器から放出される画像信号に関する電磁信号が第三者により受信されても、その受信信号から改変処理が施された線分が復元されるのを阻止できる。
【0048】
請求項12に記載の発明によれば、改変処理により改変処理後の画像要素に対応するビットマップデータが作成されため、文字コート又はベクトル情報により規定される任意の画像要素に対して改変処理を行える。
【0049】
請求項13に記載の発明によれば、サーバ装置の改変処理部に、改変済みの画像要素に対応する少なくとも1種類の改変フォントに関する情報が予め登録されている。そして、改変処理の際には、改変対象の画像要素のフォントに関する情報が改変フォントに関する情報に入れ替えられる。それ故、フォントの入れ替えだけで改変処理が完了するので、改変処理によるサーバ装置の負荷の低減、及び改変処理の迅速化が図れる。
【0050】
請求項14に記載の発明によれば、複数種類の改変フォントが予め用意され、その複数種類の改変フォントが改変対象の画像要素のフォントの種類に応じて使い分けられる。それ故、改変済みの画像要素に用いられる改変フォントに、改変前の画像要素のフォントの種類と同一又は類似のフォントを用いることができ、改変処理により画像要素のフォントが全くことなるフォントに変わってしまう等の不都合が生じるのを回避できる。
【0051】
請求項15に記載の発明によれば、改変処理の少なくとも一部をサーバ装置に代わって端末装置に行わせることができ、これによってサーバ装置の負荷の低減が図れる。
【0052】
また、端末装置が改変処理を実行するために用いられる改変処理用のプログラムは、サーバ装置から自動的に供給されるため、予め端末装置側で準備しておく必要がない。それ故、一般的に使用されている端末装置を用いて本発明に係る情報処理システムを容易に構成できる。
【0053】
請求項16に記載の発明によれば、単一の情報処理装置によってサーバ装置を構成できる。
【0054】
請求項17に記載の発明によれば、複数の情報処理装置を連携させてサーバ装置を構成できる。例えば、複数の情報処理装置から与えられた伝送情報に対して、単一の情報処理装置により改変処理を行うこともできる。この場合、改変処理に必要なプログラム等を単一の情報処理装置にインストールしておけばよい等の利点がある。
【0055】
請求項18に記載の発明によれば、サーバ装置から端末装置に与えられる伝送情報のうち、文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して端末装置により改変処理が施される。そして、その改変処理後の伝送情報に基づいて形成された表示画像が端末装置により表示される。その改変処理では、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理が行われる。また、改変対象の画像要素には、電磁信号による情報の漏洩を防止すべき画像要素を設定することができる。それ故、ネットワークを介してサーバ装置から端末装置に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像が端末装置の表示部に表示されるときの電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止できる。例えば、サーバ装置から端末装置にネットワークを介して個人情報及び秘匿情報等が送信され、それらの情報が端末装置で表示されるときに、それらの情報が端末装置から放出される電磁信号によって漏洩するのを確実に防止できる。
【0056】
また、改変処理を実行するための改変処理用のプログラムがサーバ装置から端末装置に与えられるため、端末装置に改変処理のための特別な構成(例えば、改変処理用のソフトウェア等)を事前に準備する必要がない。それ故、一般的に使用されている端末装置を用いて本発明に係る情報処理システムを容易に構成できる。
【0057】
また、改変処理が端末装置側で行われるため、サーバ装置の処理の負荷を低減できる。
【0058】
また、改変処理として、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理が行われる場合には、文字コード又はベクトル情報により規定された任意の画像要素に対して改変処理を行える。
【0059】
また、改変処理として、改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理が行われる場合には、画像要素の入れ替えだけで改変処理が完了するので、改変処理による端末装置の負荷の低減、及び改変処理の迅速化が図れる。
【0060】
請求項19に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と実質的に同様な効果が得られる。
【0061】
請求項20に記載の発明によれば、請求項18に記載の発明と実質的に同様な効果が得られる。
【0062】
請求項21に記載の発明によれば、サーバ装置から端末装置に与えられる伝送情報のうち、文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施してから、その伝送情報がサーバ装置から端末装置に与えられる。その改変処理では、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理が行われる。また、改変対象の画像要素には、電磁信号による情報の漏洩を防止すべき画像要素を設定することができる。それ故、ネットワークを介してサーバ装置から端末装置に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像が端末装置の表示部に表示されるときの電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止できる。例えば、サーバ装置から端末装置にネットワークを介して個人情報及び秘匿情報等が送信され、それらの情報が端末装置で表示されるときに、それらの情報が端末装置から放出される電磁信号によって漏洩するのを確実に防止できる。
【0063】
また、画像要素に対する改変処理がサーバ装置にて行われるため、端末装置に改変処理のための特別な構成(例えば、改変処理用のソフトウェア等)を設ける必要がない。それ故、本発明に係るサーバ装置から一般的に使用されている端末装置に対して伝送情報を送ることができる。
【0064】
また、改変処理として、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理が行われる場合には、文字コード又はベクトル情報により規定された任意の画像要素に対して改変処理を行える。
【0065】
また、改変処理として、改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理が行われる場合には、画像要素の入れ替えだけで改変処理が完了するので、改変処理によるサーバ装置の負荷の低減、及び改変処理の迅速化が図れる。
【0066】
請求項22に記載の発明によれば、請求項21に記載の発明と実質的に同様な効果が得られる。
【0067】
請求項23に記載の発明によれば、本発明に係るプログラムをコンピュータに読み込ませることにより、種々のコンピュータに改変処理を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図であり、図2はその情報処理システムに備えられる端末装置のブロック図であり、図3はその情報処理システムに備えられるサーバ装置のブロック図である。
【0069】
本実施形態に係る情報処理システム100は、図1に示すように、少なくとも1つの端末装置10と、端末装置10とネットワーク30を介して接続されたサーバ装置20とを備えている。ネットワーク30は、インターネット等の広域ネットワーク、又はLAN(Local Area Network)、又はそれらの組み合わせ等によって構成される。
【0070】
端末装置10は、図2に示すように、制御部11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14、表示部15、操作部16、及び通信部17を備えている。端末装置10としては、表示部15を備え、ネットワーク30に接続できるものであれば任意の情報端末を用いることができる。具体例としては、例えば、PC、携帯電話端末及びPDA(Personal Digital Assistants)などが挙げられる。他の例としては、コンビニエンスストア、銀行の各支店等に設置されたATMなども挙げられる。
【0071】
制御部11は、端末装置10の制御を統括するものであり、CPU(Central Processing Unit)等を備えて構成される。この制御部21には、機能要素として表示制御部11aが備えられている。この表示制御部11aは、ネットワーク30を介してサーバ装置20から与えられた伝送情報に基づいて表示画像を形成し、その表示画像を表示部15に表示させる。ここで、制御部11及び後述するサーバ装置20の制御部21に備えられる表示制御部11a及び情報準備部21a等の機能要素とは、制御部11,21に読み込まれた1又は複数のソフトウェアによって実現される機能のことをいう。
【0072】
ROM12には、制御部11が情報処理のために実行する基本的なプログラム及び設定データ等が保存されている。RAM13は、制御部11が情報処理を行うためのワークエリア等に用いられる。記憶部14は、ハードディスク装置、大容量の半導体メモリ等の記憶内容が書換できる記憶装置によって構成され、情報の保存場所として用いられる。この記憶部14には、オペレーティングシステム、各種アプリケーションソフトウェアに関する情報も保存される。表示部15は、液晶表示装置等によって構成され、画像信号によって与えられた画像の表示を行う。操作部16は、キーボード及びマウスなどによって構成され、ユーザの操作を受け付ける。通信部17は、端末装置10がネットワーク30を介した情報通信を行うためのインターフェースである。
【0073】
サーバ装置20は、図3に示すように、制御部21、ROM22、RAM23、記憶部24、及び通信部25を備えている。なお、図3に示す構成は一例であり、サーバ装置20に表示部及び操作部等を備えてもよい。
【0074】
制御部21は、サーバ装置20の制御を統括するものであり、CPU(Central Processing Unit)等を備えて構成される。この制御部21は、機能要素として、情報準備部21a及び改変処理部21bが備えられている。これらの機能要素の役割については後述する。ROM22には、制御部21が情報処理のために実行する基本的なプログラム及び設定データ等が保存されている。RAM23は、制御部21が情報処理を行うためのワークエリア等に用いられる。記憶部24は、ハードディスク装置等の記憶内容が書換できる記憶装置によって構成され、情報の保存場所として用いられる。この記憶部24には、オペレーティングシステム、各種アプリケーションソフトウェアに関する情報も保存される。通信部25は、サーバ装置20がネットワーク30を介した情報通信を行うためのインターフェースである。
【0075】
制御部21の情報準備部21aは、端末装置10に与えるための前記伝送情報を準備し、その伝送情報を通信部17及びネットワーク30を介して端末装置10に与える。改変処理部21bは、情報準備部21aによって準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す。改変処理とは、一例を挙げると、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理である。この改変処理は、ネットワーク30を介してサーバ装置20から端末装置10に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像が端末装置10の表示部15に表示されるときの、電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止するためのものである。
【0076】
改変処理についてより詳細な説明を行う。ここでは、サーバ装置20から端末装置10に与えられた伝送情報に基づいて、図4に示すように文字コードによって規定される「A」という文字1が表示部15に表示されるケースを例にして説明を行う。
【0077】
図5(a)は改変処理の対象となる画像要素の一例である「A」という文字1の画像を示す図であり、図5(b)はその文字1の改変処理後の画像を示す図である。図6は図5(b)の下方部分を拡大して示す図である。なお、改変対象である文字1の画像は改変処理が施された後、改変隅の文字2の画像として表示部15に表示されるため、図5(a)の文字1の画像が表示部15に表示されることはない。
【0078】
ここで、本発明においては、表示部15の表示画面15aに表示される全体の画像を表示画像と称する。その表示画像のうち、文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理が施される。また、表示画像内における改変対象の画像要素の背景となっている部分を背景画像と称する。文字コードにより規定される画像要素とは、文字コードが割り当てられた文字、記号、図形等のすべての画像要素を含む概念である。その具体例としては、漢字、平仮名、カタカナ、数字、アルファベット、ローマ字、及び、他の言語に使用される文字等が挙げられる。また、ベクトル情報により規定される画像要素とは、ベクトル情報として記載された文字、記号、図形等のすべての画像要素を含む概念である。本発明では、文字コード又はベクトル情報により規定された任意の画像要素を、情報の漏洩対策の必要性に応じて改変処理の対象とできる。例えば、静止画に限らず、動画に対しても改変処理を適用してもよい。
【0079】
図5(a)に示す文字1の画像は、PC等の表示画面において一般的に使用されているフォントのうちの1つで表示されている。例えば、文字1は黒色で、文字1の画像の背景は白色である。図5(b)に示す改変済みの文字2の画像は、改変処理により、文字1の画像の輪郭部に、複数の改変部3(「ヒゲ」)が付与されたものである。なお、改変済みの文字2の画像における改変部3以外の部分(文字2の画像の本体部分)2aは黒色である。
【0080】
改変部3は、文字2の本体部分2aの輪郭部における水平方向Hの両側の少なくともいずれか一方側(例えば、両側)から、水平方向Hに沿って線状に延びている。ここで、水平方向Hとは、表示部15の表示画面15aの主走査方向と平行な方向である。なお、この水平方向Hの向きは、表示部15の設置状態に応じて変化する。例えば、図2に示すように表示部15が通常の向きで設置された場合は、水平方向Hは視認者から見て左右方向(横方向)となる。しかし、表示部15が図2の状態から90度回転された状態で配置された場合には、水平方向Hは視認者からみて上下方向(縦方向)となる。
【0081】
また、改変部3は、文字2の本体部分2aの輪郭部における垂直方向Vについて間隔をあけて複数箇所に付与されている。ここで、垂直方向Vとは、表示部15の表示画面15aの副走査方向と平行な方向である。なお、変形例として、改変部3を、文字2の本体部分2aの輪郭部における垂直方向Vについて間隔をあけないで付与してもよい。
【0082】
また、図6に示すように、水平方向6に沿った改変部3の幅6、垂直方向Vに沿った改変部3の幅5、及び、垂直方向Vに沿った改変部3間の間隔4は、設定データを変更することにより個別に自在に変更できる。
【0083】
また、改変部3は、改変済みの文字2の画像の本体部分2aに近い方から順に第1から第3の灰色の領域116〜118に分けられている。第1の灰色の領域116が最も黒に近い灰色で表示され、第3の灰色の領域118が最も白に近い灰色で表示され、第2の灰色の領域117が第1の灰色の領域116と第3の灰色の領域118の中間の灰色で表示される。このように、改変部3は、本体部分2aから水平方向Hに遠ざかるにつれて、マンセル表色法の色相、彩度及び明度の3属性値の少なくとも1つの属性値(例えば、明度)が段階的に変化されている。これによって、改変部3にグラデーションが形成されている。すなわち、改変部3をグラデーション部ということもできる。ここで、本発明において、「グラデーション」とは、異なる2つの明度のうち一方の明度を一端として他方の明度を他端とし、これら両端の間を明度が段階的に変化する表現をいう。その明度が段階的に変化される際の画面上における単位画素数当たりの変化の数が多いほど、グラデーションが滑らかな変化となる。なお、改変部3に施すグラデーションとして、上記の3つの属性値のうちの明度以外のいずれか1つの属性値、あるいは3つの属性値のうちのいずれか2つ又は全部を段階的に変化させてもよい。
【0084】
図7(a)は図5(a)の水平ライン8に沿った1ライン分のRGB信号を示す図であり、図7(b)は図5(b)の水平ライン9に沿った1ライン分のRGB信号を示す図である。図7(a)及び図7(b)における横軸は時間経過を示し、縦軸は電圧値を示している。
【0085】
図5(a)の水平ライン8は背景画像の部分(白色部分)と文字1の画像の部分(黒色部分)を走査するラインである。このため、このライン8のRGB信号の測定結果である図7(a)では、RGB信号の電圧値が低いところが黒色であり、その電圧値が高いところが白色である。
【0086】
図5(b)の水平ライン9は背景画像の部分(白色部分)と、文字2の画像の本体部分2a、及び改正部3を走査するラインである。このため、このライン9のRGB信号の測定結果である図7(b)では、RGB信号の電圧値が一番低いところが黒色、2番目に低いところが第1の灰色の領域116、中間のところが第2の灰色の領域117、2番目に高いところが第3の灰色の領域118、一番高いところが白色である。
【0087】
図8(a)は図7(a)のRGB信号により放出される電磁信号の測定結果を示す図であり、図8(b)は図7(b)のRGB信号により放出される電磁信号の測定結果を示す図である。図8(a)及び図8(b)における横軸は表示画面の水平ライン8,9上のピクセル数を示し、縦軸は放出される電磁信号の電圧値を示している。
【0088】
図8(a)において電圧値が1mVを超えるレベルの電磁信号が放出されているところは、図5(a)においてRGB信号の電圧値が低いところと高いところとの境界、即ち黒色と白色との境界である。
【0089】
これに対し、図8(b)においては電圧値が1mVを超える電磁信号は放出されていない。つまり、図8(a)で示される1mVを超えるレベルの電磁信号は、図5(b)のように白色部分から黒色部分へと画像の明度の変化が滑らかな場合、図8(b)のように観測できない程度まで低減する。
【0090】
このように改変済みの文字2の輪郭部に対応する画像信号に基づいて放出される電磁信号を殆ど観測できないレベルに低減すれば、放出される電磁信号の観測結果から文字2の画像を復元することができない。その結果、文字2の画像信号に基づいて放出される電磁信号から文字2に関する情報が漏洩するのを防止できる。
【0091】
したがって、上述のような改変処理を改変対象の画像要素に施すことにより、その画像要素の画像信号に基づいて放出される電磁信号から画像要素に関する情報が漏洩するのを確実に防止できる。
【0092】
ここで、上述の改変部3に施すグラデーションは、複数段階で直線的(換言すると線形的に(リニア的に))に変化することが好ましい。このように直線的にグラデーションが変化する場合、一次関数のみで計算処理することができるため、処理量が比較的少なく、計算処理を促進して、数多くの画像要素を迅速に改変できる。そして、計算処理量を抑制することによって、計算処理のための特別な追加ハードウェア等を備えなくとも、改変処理をソフトウェアのみで実現することができる。従って、特別な装置を必要とせず、種々の情報処理装置に改変処理を行わせることができる。
【0093】
図9はグラデーションが施される領域の水平方向の幅を変更した場合を示す模式図であり、(a)は前記幅が狭い場合を示し、(b)は前記幅が広い場合を示す。ここでは、改変対象の画像要素が黒100%で、背景画像が黒0%(白色)である場合を例にして説明する。図9(a)では、黒100%のドットと黒0%のドットとの間に1つの中間レベルのドットを挿入することによってグラデーションを施している。また、図9(a)では、黒100%のドットと黒0%のドットとの間に段階的に変化する3つの中間レベルのドットを挿入することによってグラデーションを施している。図9(a)のように、グラデーションの変化率が50%と高い場合、グラデーションが施される領域の水平方向の幅は狭い。これに対し、図9(b)のようにグラデーションの変化率を25%と低くすると、グラデーションが施される領域の水平方向の幅は広くなる。
【0094】
このようにグラデーションが施される改変部3における水平方向の幅を変更させることによって、グラデーションの変化率を変更することができる。これによって、改変処理後の画像要素の電磁信号による傍受のされ難さと、画像要素の見易さとのバランスを調整することができる。すなわち、改変部3の水平方向の幅を広くしてグラデーションの変化率を低くすると傍受され難くすることができるが、画像としては見難くなる。一方、幅を狭くしてグラデーションの変化率を高くすると見易くなるが、傍受されやすくなる。
【0095】
また、表示画像内の改変対象の画像要素と背景画像とを一定の変化率のグラデーションでつなぐように改変部3を形成してもよい。この場合、改変対象の画像要素と背景画像とのコントラスト等の大きさ応じて、改変部3の水平方向の幅が広くなる。例えば、文字の画像が表示画面内に表示されている場合、改変部3の水平方向の幅が広くなると、隣接する文字間で改変部3同士が重なる場合がある。このような場合には、文字と背景のコントラスト等を予め小さくした後、改変部3を付与すればよい。文字等の改変対象の画像要素と背景画像の明度の差を小さくする方法としては、例えば文字が黒100%で背景が黒0%(白)である場合に、文字を黒50%の灰色に変えて、文字と背景とのコントラストを小さくする方法が挙げられる。
【0096】
なお、文字等の画像要素に改変(修飾)を施す方法としては、放出される電磁信号が殆ど観測できない程度まで低減できれば、改変部(ヒゲ)を付けるという方法に限定されるものではない。例えば、改変対象の画像要素の本体部分(非修飾部分)の周りを全周に渡って取り囲むように、あるいは本体部分の周囲を部分的に取囲むように改変部を付加してもよい。この方法では、ヒゲ状の改変部を付与する方法よりも、より確実に放出される電磁信号を低減することができ、より画像が推定され難くすることができる。
【0097】
また例えば、上述のヒゲ状の改変部3の周辺にさらに複数のドットを付加してもよい。これによって、より高い目くらまし効果が得られ、画像をより推定され難くくできる。
【0098】
以上では、画像信号に基づいて放出される電磁信号を低減することにより、画面表示されている画像が推定されるのを防止する方法について説明した。しかし、結果として画面に表示されている画像が推定されないできれば、必ずしも電磁信号を低減することにこだわる必要はない。
【0099】
上述のヒゲ状の改変部3を、例えば、赤、黄、青、赤、緑のように異なる1又は複数の色で構成してもよい。この場合、改変部3の各部分の色をランダムに変えてもよい。あるいは、改変部3を単一の中間明度(例えば、黒70%の灰色)だけで構成してもよい。この場合、ある改変部3の明度を黒70%の灰色にし、別の改変部3の明度を黒30%の灰色にするという具合に、改変部3の明度を改変部3ごとにランダムに変化させてもよい。
【0100】
図10(a)は改変前の線分の画像を示す図であり、図10(b)は改変後の線分の画像を示す図である。このように、改変対象の画像要素として水平方向Hに延びる線分を設定してもよい。この場合の改変処理では、線分に水平方向Hに延びる少なくとも1つの改変部が設けられる。
【0101】
例えば、図10(a)のように、黒0%(白色)の背景として、改変前の線分201が水平方向Hに黒100%の明度で連続している場合について、改変処理の具体例を説明する。この場合、図10(b)に示すように、線分202の複数箇所に改変部203が設けられている。そして、この改変部203では、線分202の改変部203が設けられた部分では、線分202の明度が、水平方向Hに進むにつれて、元の線分201の明度である黒100%から背景の明度である黒0%との間で段階的に変化されている。この図10(b)の例では、改変部203において、水平方向Hに進むにつれて、明度が黒75%、黒50%、黒25%、黒0%、黒25%、黒50%、黒75%の順に段階的に変化されている。より詳細には、図10(b)の例では改変後の線分202の全体が明度が周期的に変化する改変部203とされている。そして、線分202の明度が、水平方向Hに進むにつれて、黒100%、黒75%、黒50%、黒25%、黒0%、黒25%、黒50%、黒75%、黒100%、黒75%、・・・の順に段階的かつ周期的に変化されている。
【0102】
線分202に設ける改変部203の数は、改変前の線分201の水平方向Hの幅、及び改変部203の水平方向Hの幅等に応じて調節される。例えば、改変前の線分201の水平方向Hの幅が小さい場合には、1つの改変部203を設けるようにしてもよい。
【0103】
ここで、改変対象とされる線分には、漢字の「一」、カタカナの長音文字「ー」、ハイフン記号又は引き算記号「−」 及び水平方向Hに延びる罫線又は直線など、水平方向Hに沿って線状に延びる種々の画像要素が含まれる。
【0104】
以上のような改変処理は、記憶部24等に保存された改変処理の内容を規定する設定データに基づいて行われる。この規定データの内容について、文字コードによって与えられる文字画像(フォント画像)に対して改変処理を行う場合を例に具体的に説明する。設定データは、例えばデータファイル化されて記憶部24等に保存されており、改変処理の際に改変処理部22bによって読み出されて改変処理に用いられる。
【0105】
設定データによる規定内容の例としては、<対象フォント>、<対象pt数>、<改変部の縦方向の間隔>、<改変部の縦方向の幅>、<改変部の横方向の幅>、<非修飾部分の幅>等が挙げられる。<対象フォント>は、通常のPC等で用いられるフォントのうち、改変対象とされるフォントを示している。この場合、全てのフォントが改変対象とされる場合もあれば、一部のフォントが改変対象から除外される場合もある。
【0106】
<対象pt数>は、改変対象とされるフォントサイズを示し、ここに記述されたフォントサイズ以上であれば改変対象となることを示す。一定のフォントサイズ以上のものを改変対象とするのは、例えば16pt(ポイント)程度より小さいフォントサイズでは、表示画像を再現できる程度の電磁信号は発生し難いので、改変処理を行う意義が乏しいからである。
【0107】
<改変部の縦方向の間隔>は、図6に示す表示画面上における隣接する改変部3間の垂直方向Vの間隔4を規定するものであり、ここに記述された値によって間隔4が規定される。<改変部の縦方向の幅>は、図6に示す表示画面上における改変部3の垂直方向の幅5を規定するものであり、ここに記述された値によって幅5が規定される。<改変部の横方向の幅>は、図6に示す表示画面上における改変部3の水平方向Hの幅6を規定するためのものであり、ここに記述された値によって幅6が規定される。<非修飾部分の幅>は、図6に示す表示画面上における改変部3を付与すべき画像要素の本体部分2a(非修飾部分)の水平方向Hの幅7を規定するためのものであり、本体部分2aの幅7がここに記述された値以上である場合に改変部3を付与する。本体部分2aの幅7が所定の値以上でなければ改変部3を付与しないのは、本体部分2aの幅7が所定の値以下であれば、明確な電磁信号が表れ難いため、改変部3を付ける意義が乏しいからである。
【0108】
なお、<対象pt数>及び<改変部の縦方向の間隔>等は、<対象フォント>に応じて異なる値を設定することができる。
【0109】
サーバ装置20の情報準備部21aは、前記伝送情報として、例えばウェブページに関するウェブ情報を準備し、そのウェブ情報を、ウェブサーバとウェブクライアントとの情報通信に用いられる通信プロトコルを用いてネットワーク30を介して端末装置10に送信する。通信プロトコルには、例えばHTTP(HyperText Transfer Protocol)、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)、又はGopherプロトコル等が用いられる。これに対して、端末装置10の表示制御部11aは、ネットワーク30を介して与えられたウェブ情報に基づき、表示画像としてのウェブページの画像を形成し、その画像を表示部15に表示させる。
【0110】
このため、漏洩を防止すべき情報が含まれたウェブ情報が端末装置10にて表示される際に、漏洩を防止すべき情報が放出される電磁信号により漏洩するのを防止できる。
【0111】
また、サーバ装置20から端末装置10に与える伝送情報がウェブ情報として与えられる。このため、ウェブページの閲覧が可能な端末装置10であれば任意の端末装置10に対し、表示画像の画像要素に対して改変処理を施したウェブ情報をサーバ装置20からネットワーク30を介して送ることができる。
【0112】
なお、上記の例では、サーバ装置20から端末装置10にウェブ情報が送信される構成としたが、送信される伝送情報は、ウェブ情報に限らない。例えば、電子メール及び種々のドキュメント情報等が、伝送情報として送信されるようにしてもよい。この場合にも、その伝送情報に含まれる画像要素に上述の改変処理を施すことにより、その伝送情報に関する画像が端末装置10によって表示されたときに、表示画像に含まれる重要情報等が電磁信号によって漏洩するのを防止できる。
【0113】
ここで、フォントシステムとしていわるビットマップフォントシステムが採用されている場合の改変処理について説明する。この場合は、改変対象の画像要素が文字コード(フォントに関するデータも含む)によって規定されているため、その文字コードに基づいてビットマップ形式の文字等の画像要素が一旦生成される。そして、そのビットマップ形式の画像要素に対して改変処理が施される。改変処理後の画像要素はビットマップデータとして記載されて、他の伝送情報とともにサーバ装置20から端末装置10に与えられる。このビットマップデータで記述された改変処理後の文字画像等の形態を、「CrypTypeフォント」と称する。この改変処理により、伝送情報中の改変対象とされた画像要素に対応する文字コードに関する情報が、改変処理後の画像要素のビットマップデータに置き換えられる。
【0114】
次に、フォントシステムにいわゆるアウトラインフォントシステムが採用され、改変対象の画像要素がベクトル情報によって規定されている場合の改変処理について説明する。この場合の改変処理の方法としては、2つの方法があり得る。1つは、アウトラインフォントのベクトル情報からビットマップ形式で改変対象の画像要素を生成し、その生成した画像要素に改変処理を行う方法である。もう1つは、アウトラインフォントに、そのベクトル情報に基づいて改変部を付与した後、ビットマップに変換する方法である。なお、後者の方法では、改変処理を規定する設定データの内容として、ベクトル情報に対応した改変部の付け方が記述されていれば、ベクトル情報を有効に活用して効率的に改変部を付与できる。
【0115】
図11は、ベクトル情報を利用した改変部の付け方を説明するための模式図である。ベクトルα,β,γは、x軸、y軸を基準として、「A」という文字を構成する各ラインの方向を示している。x軸が走査線方向に相当する。改変処理を規定する設定データの記述における縦方向及び横方向は、それぞれy軸方向及びx軸方向に相当するので、ベクトルの方向から改変部を付ける位置を容易に把握できる。特に、ベクトル情報によれば、ベクトルγがx軸方向と一致することを把握することができるので、このベクトルγには改変部を付与しないようにすることもできる。これは、x軸方向と一致するラインの部分(線分)では、RGB信号の電圧値変化が表れず、放出される電磁信号も微弱であるため、改変部を付与する意義が乏しいからである。
【0116】
なお、x軸方向と一致する比較的長い線分は、その存在自体が画像を再現させる電磁信号を発生してしまうので、上述の図10(b)で示す方法で改変処理を施すのが好ましい。
【0117】
ここまで、改変処理の例として、フォント文字を修飾する場合について説明したが、フォント文字以外の直線や円形等の描画ラインについても同様に修飾することが可能である。また、改変処理の方法として、フォントや描画ラインを改変する方法を説明し、具体的なフォントの改変方法として、ビットマップに改変を施す方法及びアウトラインフォントのベクトル情報を利用する方法等種々の改変方法を説明した。また、それらの変更方法において、改変対象の文字のポイント数、改変部の横方向の幅等種々の改変用パラメータを設定することも説明した。
【0118】
これらの改変方法や改変用のパラメータは、改変対象の画像要素に対して一律に適用する必要はない。むしろ、改変対象の画像要素ごと、あるいは画像要素内の部分ごとに異なるものを不規則に適用してもよい。これによって、より改変前の画像を推定し難くすることができる。具体的には、例えば文字の複雑さ(例えば、画数(ストローク数))に応じて改変用のパラメータの値を変えて適用してもよい。すなわち、漢字の「難」とひらがなの「し」とでは、「難」の方が複雑であり、改変前であっても推定し難くい。このため、「難」のように複雑な文字については、「し」と同じ間隔等で改変部を付ける必要はない。
【0119】
一方、端末装置10側では、表示制御部11aがサーバ装置20から与えられたそのビットマップデータに基づいて改変済みの画像要素を生成し、その画像要素を表示部15に表示させる。なお、伝送情報に含まれる改変対象以外の文字コード及びベクトル情報等は、そのままサーバ装置20から端末装置10に与えられる。端末装置10の制御部22は、伝送情報に含まれる文字コード及びベクトル情報に基づいて画像要素を形成し、その画像要素を表示部15に表示させる。伝送情報中の文字コード及びベクトル情報以外の情報(例えば、ビットマップデータ等)で与えられた画像要素は、改変対象とされることなく、そのままサーバ装置20から端末装置10に送られる。
【0120】
上記の構成では、文字コード又はベクトル情報により特定される画像要素に対して改変処理が行われ、それによって改変済み画像要素に対応するビットマップデータが作成される。このため、文字コード又はベクトル情報により規定される任意の画像要素に対して改変処理を行えるという利点がある。
【0121】
ここで、上記の改変処理において、一度改変処理を行った画像要素については、その改変済みの画像要素に関する情報(例えば、改変済みの画像要素のビットマップデータ)を保存しておき、その保存情報を以後の処理に利用するようにしてもよい。この場合、例えば、同じ画像要素に対する改変処理を行うときには、改変対象の画像要素に関する情報(文字コードに関する情報等)が、保存しておいた改変済みの画像要素を表すビットマップデータに置き換えられる。これによって、改変処理の迅速化及び効率化が図れる。
【0122】
なお、保存情報の保存は、例えば一次保存用の記憶領域(例えば、キャッシュ領域等)が用いられる。また、保存情報の情報量を抑制するため、一次保存用の記憶領域が一杯になった場合、又は、使われなくなった保存情報が含まれている場合等には、保存情報に優先順位を設定し、優先順位の低いものから順に削除するようにしてもよい。この場合に手法として、いわゆるGarbage Collectionの手法が用いられる。
【0123】
図12は本実施形態における端末装置及びサーバ装置の動作を示すフローチャートであり、図13はサーバ装置による改変処理に関する動作を詳細に示すフローチャートである。
【0124】
図12に示すように、端末装置10の操作部16に対してサーバ装置20に伝送情報の送信を喚起するような操作が行われた場合、その操作が表示制御部11aによって受け付けられる。そして、その操作に関する操作情報が表示制御部11aによってネットワーク30を介してサーバ装置20に送られる(ステップS11)。
【0125】
この操作情報の具体的な内容としては、種々のものが考えられる。例えば、呼び出すべきウェブページを特定すための情報、及び、ウェブページ内のリンク等を介して呼び出すべきドキュメントファイルを特定するための情報が挙げられる。他の例としては、サーバ装置20の情報準備部21aによって情報処理、情報管理及びグループウェア等の種々のサービスをネットワーク30を介して端末装置10に提供してもよい。この場合、前記操作情報としてサーバ装置20のサービスに関する情報が挙げられる。情報処理サービス及び情報管理サービスとしては、サーバ装置20によりネットワーク30を介して端末装置10に提供されるサービスであれば任意のものが適用できる。
【0126】
例えば、文書作成機能(ワープロ機能)を提供するサービス、電子メールの作成、送信及び受信に関する機能を提供するサービス、ウェブ内の情報検索サービス、スケジュール管理のための機能を提供するサービス、及び、いわゆるウェブバンキングに関するサービスなどが挙げられる。さらに他の例としては、コンビニエンスストア及び銀行の各支店等に設置されたATM(端末装置10)を介して入金、出金及び振込等のために提供されるサービスなども挙げられる。
【0127】
サーバ装置20の情報準備部21aは、端末装置10から与えられた操作情報に基づいて、伝送情報を準備する(ステップS21)。この伝送情報についても、情報準備部21aが端末装置10に対して提供するサービスに応じて種々のものが考えられる。
【0128】
続いて、サーバ装置20の改変処理部21bが、情報準備部21aによって準備された伝送情報に含まれる改変対象の画像要素に対して改変処理を行う(ステップS22)。
【0129】
このステップS22の処理では、図13に示すように、まず改変処理部21bが伝送情報中に改変対象の画像要素が含まれているか否かを判断する(ステップS22a)。この判断は、伝送情報中に改変処理部21bによる改変処理を喚起する改変指示情報(コマンド)が設定されているか否かに基づいて行われる。改変指示情報は、予め設定された設定情報に基づいて情報準備部21aが伝送情報を準備するときに伝送情報中の改変対象となる部分に自動的に付与するようにしてもよい。あるいは、伝送情報を構成する情報要素中に改変指示情報が予め設定されていてもよい。
【0130】
ステップS22aの判断の結果、伝送情報中に改変指示情報が設定されている場合には、改変処理のためのフック(hook)が設定され、ステップS22bに進み、改変指示情報が設定されていない場合には、フックの設定及び改変処理が行われることなく、図12のステップS23に進む。
【0131】
ここで、フックとは、特定のAPI(Application Program Interface)又は関数が制御を実行しているときに、その特定のAPI又は関数の制御を他のAPI又は関数に横取りさせ、代わりに実行させるためものものである。フックによって呼び出された他のAPI又は関数による制御が終了すると、制御が元のAPI又は関数に戻される。本実施形態では、前記フックが設定されることにより、例えば情報準備部21aの制御を担っているAPIの制御が、改変処理部21bの制御を担っているAPIに横取りされるようになっている。あるいは、この点に関する変形例として、制御部21が改変処理用の外部プログラム(いわゆるフィルターと呼ばれるようなプログラム)に改変処理を行わせるようにしてもよい。
【0132】
ステップS22bでは、例えば、改変対象とされた文字等のサイズが例えば16pt以上であるか否かが判断され、16pt以上である場合にはステップS22cにて、改変対象の文字等の画像に上述のように改変部が付与された後、図12のステップS23に進む。16pt未満である場合には、その文字等に対して改変処理が行われることなく、図12のステップS23に進む。
【0133】
ステップS23では、サーバ装置20の情報準備部21aが、改変処理部21bによる改変処理が施された伝送情報をネットワーク30を介して端末装置10に送信する。
【0134】
これに続き、端末装置10の表示制御部11aは、ネットワーク30を介してサーバ装置20から与えられた伝送情報に基づいて表示画像を形成し、その表示画像を表示部15に表示させる(ステップS13)。このとき、伝送情報中の改変処理が施された画像要素については、そのビットマップデータに基づいて改変済みの画像要素が生成し、その画像要素が表示部15に表示される。また、伝送情報に含まれる改変対象以外の画像要素については、その画像要素を規定する文字コード等の情報要素に基づいて画像要素(例えば、通常のフォントで表現された文字の画像等)が生成され、その生成された画像要素が表示部15に表示される。
【0135】
ここで、サーバ装置20の改変処理部21bは、サーバ装置20にインストールされたプログラム(ソフトウェア)によって制御部21内に生成される機能要素(処理モジュール)である。このため、そのプログラムをインストールすることにより、種々のコンピュータを本実施形態に係るサーバ装置20の機能を持たせることができる。なお、プログラムのサーバ装置20への読み込みは、CDROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記録媒体からサーバ装置20の図示しない読み込み装置によって読み込まれる場合、及び、ネットワーク30を介して読み込まれる場合等がある。読み込まれたプログラムは、記憶部24等に保存される。
【0136】
以上のように、本実施形態によれば、改変対象の画像要素に上述のような改変処理が施される。これによって、ネットワーク30を介してサーバ装置20から端末装置10に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像が端末装置10の表示部15に表示されるときの電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止できる。例えば、サーバ装置20から端末装置10にネットワーク30を介して個人情報及び秘匿情報等が送信され、それらの情報が端末装置10で表示されるときに、それらの情報が端末装置10から放出される電磁信号によって漏洩するのを確実に防止できる。
【0137】
また、画像要素に対する改変処理がサーバ装置20にて行われるため、端末装置10に改変処理のための特別な構成(例えば、改変処理用のソフトウェア等)を設ける必要がない。それ故、一般的に使用されている端末装置10を用いて本実施形態に係る情報処理システム10を容易に構成できる。
【0138】
また、上述のように、改変対象の画像要素に1又は複数の改変部を付与することにより、端末装置10の表示部15に表示される改変済みの画像要素の視認性の劣化を抑制しつつ、画像要素を電磁信号から復元困難な状態に効果的に曖昧化できる。その結果、端末装置10から放出される画像信号に関する電磁信号が第三者により受信されても、その受信信号から改変処理が施された画像要素が復元されるのを阻止できる。
【0139】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理システム100について説明する。本実施形態に係る情報処理システム100は、上述の第1実施形態に係る情報処理システム100と実質的に同様な構成を有しているため、共通する部分に関する説明は省略する。
【0140】
ここで、情報端末によって表示されるウェブ画面等の表示画像において、その表示画像内に設けられた入力領域に対して情報端末の操作部を介して文字等の情報が入力できる場合がある。このような場合、通常のPC等の情報端末では、その操作部を介して入力領域に対する情報の入力が行われた場合、その入力された文字等の情報が入力領域に直ぐに表示されるようになっている。入力領域に表示された文字等は、改変処理が施されていない通常のフォントで表示されるため、入力された文字等に関する情報が電磁信号によって漏洩するおそれがある。
【0141】
そこで、本実施形態では、そのような端末装置10のウェブ画面等の表示画像中に入力領域が設けられた場合の対策が講じられている。その対策について以下に説明する。
【0142】
本実施形態では、ネットワーク30を介してサーバ装置20から与えられた伝送情報に基づいて端末装置10が表示する表示画像51中には、図14に示すように、入力領域52が設けられている。そして、入力領域52に入力される情報について電磁信号による漏洩対策が必要な場合には、その入力領域52が改変対象として設定される。表示画像51中に複数の入力領域52が設けられる場合には、その一部の入力領域52のみが改変対象とされる場合と、全部の入力領域52が改変対象とされる場合がある。
【0143】
また、改変対象とすべき入力領域52を端末装置10側に認識させるため、識別用の所定の情報又はコマンドが伝送情報内に付与される。すなわち、入力領域52を改変対象とすべきか否かに関する指示は、サーバ装置20(より詳細には改変処理部21b)から端末装置10に与えられる。例えば、その指示は、端末装置10に送信する伝送情報に改変処理に関するプラグインを設定することにより行われる。端末装置10への改変処理用のプログラムの導入は、例えば、Java(登録商標)、Flash,Ajax、Apollo又はSilverlight等の技術を用いて行われる。
【0144】
本実施形態に係る情報処理システム100の端末装置10及びサーバ装置20の動作について、図15及び図16のフローチャートを参照して説明する。本実施形態においては、端末装置10の表示制御部11a及びサーバ装置20の改変処理部21bは、第1実施形態で説明した上述の処理に加えて、以下の処理を行うようになっている。
【0145】
すなわち、図15に示すように、表示制御部11aは、表示部15に表示させた表示画像51中に設けられた入力領域52に対する文字等の情報の入力が操作部16を介して行われた場合、その入力を受け付ける(ステップS31)。なお、この表示画像51はネットワーク30を介してサーバ装置20から与えられた伝送情報に基づいて作成されたものである。
【0146】
続いて、表示制御部11aは、入力が行われた入力領域52が改変対象となっているか否かを判断する(ステップS32)。この判断は、上述の伝送情報中に付与された識別のための情報等に基づいて行われる。
【0147】
ステップS32の判断の結果、その入力領域52が改変対象とされている場合には、表示制御部11aは、その入力情報に基づいて文字等の画像を作成し、その画像を入力領域52内に表示する(ステップS33)。一方、その入力領域52が改変対象とされている場合には、入力情報に基づく入力領域52に対する画像の表示を行わずに、入力情報をネットワーク30を介してサーバ装置20に送信する(ステップS34)。このとき、入力情報は、例えば入力された文字等に関するキーコードとしてサーバ装置20に送信される。キーコードとは、操作部16に含まれる図示しないキー又はマウス等の操作内容を表す情報である。
【0148】
サーバ装置20の改変処理部21bは、端末装置10から送信されてきた入力情報に基づいて改変すべき文字等の画像要素を特定し(ステップS41)、特定した画像要素に対して上述の改変処理を施す(ステップS42)。
【0149】
続いて、改変処理部21bは、改変済みの画像要素に関する情報(例えば、ビットマップデータ)を第1の改変済み情報として、ネットワーク30を介して端末装置10に送信する(ステップS43)。
【0150】
続いて、端末装置10の表示制御部11aは、サーバ装置20から与えられた第1の改変済み情報に基づいて文字等の画像を作成し、その画像を表示画像51中の入力領域52に表示する(ステップS35)。
【0151】
次に、図16のフローチャートを参照して、端末装置10の操作部16を介した操作により、表示画像51中の改変対象とされた入力領域52に表示された画像の一部又は全部が消去される際の処理について説明する。
【0152】
図16に示すように、端末装置10の表示制御部11aは、操作部16を介して表示画像51中の改変対象とされた入力領域52に表示されている画像の一部又は全部を消去する操作が行われた場合、その操作を受け付ける(ステップS51)。この操作としては、例えば、キーボードのバックスペースキー又はデリートキー等に対する操作が挙げられる。また、他の例としては、入力領域52に表示されている画像の一部又は全部が選択され、その選択された部分に対する削除が指示されるような操作が挙げられる。
【0153】
続いて、表示制御部11aは、受け付けた消去指示に基づく入力領域52の表示内容の更新(削除処理)を行わずに、消去指示をネットワーク30を介してサーバ装置20に通知する。このとき、操作部16の操作内容に関するキー操作等に関する情報をサーバ装置20に与えるようにしてもよい。
【0154】
続いて、サーバ装置20の改変処理部21bは、端末装置10から前記消去指示が通知されるのに応じ、消去指示を反映させた後に入力領域52に表示させるべき改変済みの画像に関する情報を作成する(ステップS61)。この処理では、例えば、その入力領域52に表示されている画像のうちの消去指示の対象となっている部分を消去した後に、入力領域52に表示すべき文字等の画像要素の改変済みの画像要素に関する情報が作成される。そして、改変処理部21bは、その作成した情報を第2の改変済み情報としてネットワーク30を介して端末装置10に送信する(ステップS62)。
【0155】
続いて、端末装置10の表示制御部11aは、サーバ装置20から与えられた第2の改変済み情報に基づいて入力領域52の表示内容を更新する(ステップS51)。このとき、入力領域52に表示されている画像のうち、消去指示の対象となっている部分が消去される。
【0156】
なお、改変対象とされた入力領域52内にカーソル画像が表示される場合には、次のような構成が採用できる。例えば、端末装置10がカーソル画像を作成するための基礎となる画像形成用情報(例えば、ビットマップデータ等)の作成を、サーバ装置20の改変処理部21bに行わせるようにしてもよい。この場合、端末装置10の表示制御部11aは、サーバ装置20から与えられた画像形成用情報に基づいてカーソル画像を作成し、そのカーソル画像を改変対象とされた入力領域52に表示する。入力領域52内おけるカーソル画像の移動は、端末装置10の操作部16を介した操作等に基づいて行われる。
【0157】
例えば、操作部16のカーソキー又はマウス等を介してカーソル画像の移動が指示された場合、その操作に対応するキーコードが端末装置10の表示制御部11aによってネットワーク30を介してサーバ装置20に与えられる。これに応答し、サーバ装置20の改変処理部21bが、その与えられた指示(例えば、キーコード)に基づいて新たな表示位置に移動させたカーソル画像を入力領域52に表示するための画像形成用情報を作成し、ネットワーク30を介して端末装置10に与える。そして、端末装置10の表示制御部11aが、その画像形成用情報に基づいて表示位置が移動されたカーソル画像を作成し、そのカーソル画像を改変対象とされた入力領域52に表示する。
【0158】
このとき、サーバ装置20にてカーソル画像に対して上述の改変処理を施し、改変処理済みのカーソル画像に対応する画像形成用情報が端末装置10に与えられるようにしてもよい。
【0159】
次に、本実施形態に係る情報処理システム100において、改変対象とされた入力領域52に仮表示された文字に対して、端末装置10の操作部16を介して文字変換が指示された場合の動作について説明する。
【0160】
ここで「仮表示」とは、入力された文字が確定される前で文字変換が可能な表示状態をいう。そしてここでは、改変対象とされた入力領域52に変換前文字が前記仮表示の状態で表示されている状態で、その変換前文字に対して、端末装置10の操作部16に含まれる図示しない変換キーが操作された場合の動作について説明する。なお、改変対象の入力領域52に表示された文字等は、すべて上記の改変処理が施された状態で表示されれる。このため、改変対象の入力領域52に仮表示される変換前文字についても、上記の改変処理が施された状態で表示される。
【0161】
また、「文字変換」とは、操作部16を介して入力された文字を他の文字に変換する処理をいい、例えば、ローマ字入力された平仮名を漢字、全角のカタカナ、半角のカタカナ、全角のローマ字、又は全角のローマ字等に変換する処理をいう。また、この「文字変換」として、操作部16を介して入力された文字を、その文字に関連付けて登録された他の文字に変換する処理を含めてもよい。例えば、文字列「情報処理システム」と文字「じ」とを関連付けて登録しておき、文字「じ」を操作部16を介して入力して変換させることにより、変換結果として「情報処理システム」が表示部15の入力領域52に表示されるようにしてもよい。
【0162】
端末装置10の表示制御部11aは、改変対象とされた入力領域52に表示されている変換前文字に対する文字変換を指示する変換指示を操作部16を介して受け付けた場合、その変換指示をネットワーク30を介してサーバ装置20に通知する。
【0163】
サーバ装置20の改変処理部21bは、端末装置10から変換指示が通知されるのに応じ、変換前文字に対する文字変換を行う。そして、改変処理部21bは、その文字変換により得られた変換候補文字に対する上記の改変処理を施し、その改変処理によって得られた情報を第3の改変済み情報としてネットワーク30を介して端末装置10に与える。
【0164】
端末装置10の表示制御部11aは、変換指示に関する通知に応答してサーバ装置20から与えられた第3の改変済み情報に基づいて、変換前文字に対する文字変換により得られた変換候補文字に対応する候補画像を作成し、その候補画像を表示部に表示させる。
【0165】
そして、端末装置10の操作部16を介していずれかの変換候補文字に対応する候補画像を選択する選択指示が入力されると、表示制御部11aは、その選択指示をネットワーク30を介してサーバ装置20に通知する。サーバ装置20の改変処理部21bは、端末装置10から選択指示が通知されるのに応じ、その選択指示によって指定された変換候補文字に対して上記の改変処理を施し、その改変処理によって得られた情報を改変済み情報としてネットワーク30を介して端末装置10に与える。端末装置10の表示制御部11aは、その改変済み情報に基づいて選択された変換候補文字に対応する改変された文字画像を作成し、表示部15の改変対象とされた入力領域52に表示させる。これによって、改変対象とされた入力領域52に仮表示された変換前文字に対する文字変換が完了(確定)する。
【0166】
ここで、端末装置10の表示制御部11aにより行われる変換指示の通知、変換候補文字の画像の作成等は、サーバ装置10の制御部21からネットワーク30を介して与えられるJava(登録商標)等のプログラムにより実行される。
【0167】
次に図17及び図18を参照して文字変換の具体例について説明する。ここでは、端末装置10の表示画像51中に設けられた改変対象とされた入力領域52に、氏名が入力される場合について説明する。より具体的には、図18に示すように、端末装置10の操作部16を介してローマ字入力により「W,A,T,A,N,A,B,E」の順にキーが操作された場合について説明する。
【0168】
「W,A,T,A,N,A,B,E」の順にキーが操作された場合、入力領域52には、平仮名で「わたなべ」が仮表示される。なお、この「わたなべ」は改変処理された状態で表示される。この状態で端末装置10の操作部16を介して文字変換に関する変換指示が入力された場合、その変換指示が端末装置10からサーバ装置20に与えられる。サーバ装置20にてその「わたなべ」に対する文字変換され、文字変換によって得られた変換候補文字に対する改変処理が行われる。そして、改変処理後の変換候補文字に関する画像形成用情報が、サーバ装置20から端末装置10に与えられ、図17に示すように、その画像形成用情報に基づいて作成された変換候補文字に関する複数の候補画像53が改変された状態で表示部15の表示画像51中に表示される。
【0169】
図17に示す例では、複数の候補画像53が、リスト化されてウインド領域54内に表示されている。そして、ウインド領域54内に表示された各候補画像53に付与された識別番号の操作部16から入力する。あるいは、操作部16を介して選択バー55を所望の候補画像53の位置に移動させる。これによって、複数の候補画像53(変換候補文字)のうちから所望の候補画像53を選択することができる。
【0170】
以上のように、本実施形態によれば、端末装置10にて表示されているウェブ画面等の表示画像51中の入力領域52に対して漏洩対策が必要な場合に、入力領域52に入力された情報が電磁信号により漏洩するのを防止できる。例えば、サーバ装置20が提供するウェブバンキングに関するサービスを端末装置10により利用する場合、端末装置10によって金額及び振込先等に関する重要情報の入力が行われる。本実施形態により、そのような重要情報の漏洩が確実に防止できる。
【0171】
また、端末装置10にて表示される表示画像51中の改変対象とすべき入力領域52がサーバ装置20側で指定される。このため、情報の漏洩対策が必要な情報が入力される可能性のある入力領域52については、サーバ装置20の指示により確実に改変対象にすることができ、これによって端末装置10側で入力される重要情報等の漏洩を確実に防止できる。
【0172】
また、改変対象の入力領域52に表示されている画像の一部又は全部の消去指示が端末装置10の操作部16を介して行われた場合には、その削除指示がサーバ装置20に与えられる。このとき、その消去指示に基づく端末装置10による入力領域52の表示内容の更新は行われない。そして、それに応答してサーバ装置20から端末装置10に与えられた第2の改変済み情報に基づいて、端末装置10による入力領域52の表示内容の更新が行われる。それ故、改変対象とされた入力領域52に表示される表示内容をサーバ装置20側で確実に管理できる。
【0173】
また、端末装置10側で改変対象の入力領域52に入力された情報の訂正又は消去等にも対応できるため、便利である。
【0174】
また、端末装置10の表示画像51中に設けられた改変対象の入力領域52に入力された文字に対する文字変換が指示された場合には、サーバ装置20により変換候補となる変換候補文字に対して改変処理が施される。そして、その改変処理によって得られた候補画像53が端末装置10にて表示部15に表示される。それ故、文字変換の際の変換候補文字が表示部15に表示される際にも、その変換候補文字に対して改変処理を施すことができ、電磁信号による情報の漏洩に対してより万全を期すことができる。
【0175】
[第3実施形態]
図19及び図20は本発明の第3実施形態に係る情報処理システムに備えられる端末装置及びサーバ装置のブロック図であり、図21はその端末装置及びサーバ装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態に係る情報処理システム100が上述の第1実施形態及び第2実施形態に係る情報処理システム100と実質的に異なる点は、端末装置10及びサーバ装置20の制御部11,21に機能要素が追加された点及びその関連部分のみである。このため、本実施形態に係る情報処理システム100と上述の第1実施形態及び第2実施形態に係る情報処理システム100とが共通する部分に関する説明は省略する。
【0176】
本実施形態においては、図19に示すように、端末装置10の制御部11に追加の機能要素として、改変制御部11bが備えられている。なお、この改変制御部11bは、ネットワーク30を介して与えられた改変処理用のプログラムが制御部11に読み込まれている間だけ生成される機能要素であり、その改変処理用のプログラムの処理の終了等によって消失する。
【0177】
改変制御部11bは、サーバ装置20から与えられた改変処理用のプログラムに基づき、表示部15に表示させる表示画像に含まれる改変対象の画像要素に対する改変処理の少なくとも一部をサーバ装置20に代わって行う。表示制御部11aは、改変制御部11bによる改変対象の画像要素に対する改変処理が施された後の表示画像を表示部15に表示させる。
【0178】
また、本実施形態においては、図20に示すように、サーバ装置20の制御部21に追加の機能要素として、プログラム供給部21cが備えられている。このプログラム供給部21cは、記憶部24等から上記の改変処理用のプログラムを読み出し、その改変処理用のプログラムをネットワーク30を介して端末装置10に送信する。
【0179】
ここで、改変対象となっている画像要素に対する改変処理をどのような割合又は組み合わせで、サーバ装置20と端末装置10とに分担させるかは、サーバ装置20によって指示される。例えば、すべての改変処理を端末装置10に行わせるようにしてもよし、一部の改変処理のみを端末装置10に行わせるようにしてもよい。
【0180】
次に、図21のフローチャートを参照して、端末装置10及びサーバ装置20の動作について説明する。なお、図21のフローチャートにおいて、図12のフローチャートと対応するステップには同一の参照符号を付与している。また、図21の各ステップの処理のうち、ステップS13a,S23a以外の処理は図12の処理と実質的に同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0181】
なお、図21のステップS22では、情報準備部21aによって準備された伝送情報に対して行う改変処理のうち、サーバ装置20に割り当てられた改変処理のみが行われる。すべての改変処理を端末装置10に行わせる場合には、ステップS22での改変処理は行われない。
【0182】
ステップS23aでは、サーバ装置20の情報準備部21aによる伝送情報の送信処理に同期させて、あるいは伝送情報の送信処理と独立して、プログラム供給部21cによる改変処理用のプログラムの送信処理が行われる。
【0183】
これに続いて、ステップS13aでは、端末装置10の表示制御部11aによって、サーバ装置20から与えられた伝送情報に基づいた表示画像が作成され、その表示画像が表示部15に表示される。また、この処理と連動して(あるいは独立して)、改変制御部11bが、サーバ装置20から与えられた改変処理用のプログラムに基づき、表示部15に表示させる表示画像に含まれる改変対象の画像要素に対する改変処理を行う。その改変処理によって得られた改変済みの画像要素は、表示制御部11aによって表示部15に表示される。
【0184】
なお、このステップS13aにおいて、上述の第2実施形態にて説明した以下の処理を行うようにしてもよい。すなわち、
(a) 上述の図14に示す表示画像51中の改変対象とされた入力領域52に対する操作部16を介した情報の入力の受け付け、
(b) その入力情報に基づいて特定した画像要素に対する改変処理、及び、
(c) それによって得られる改変済みの画像要素の入力領域52への表示
などを行うようにしてもよい。
【0185】
この場合、入力領域52への入力情報に対する改変処理が端末装置10側で行われるため、入力情報のサーバ装置20への送信は行われない。また、操作部16を介して入力領域52に表示された画像に対する削除指示が入力された場合の上述の表示内容の更新に必要な処理も、端末装置10内で行われる。
【0186】
以上のように、本実施形態によれば、改変処理の少なくとも一部をサーバ装置20に代わって端末装置10に行わせることができ、これによってサーバ装置20の負荷の低減が図れる。
【0187】
また、端末装置10が改変処理を実行するために用いられる改変処理用のプログラムは、サーバ装置20から自動的に供給されるため、予め端末装置10側で準備しておく必要がない。それ故、一般的に使用されている端末装置10を用いて本実施形態に係る情報処理システム100を容易に構成できる。
【0188】
[第4実施形態]
図22は、本発明の第4実施形態に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図である。本実施形態に係る情報処理システム100が上述の第1から第3実施形態に係る情報処理システム100と実質的に異なる点は、上述の各実施形態におけるサーバ装置20を複数のサーバ装置(情報処理装置)61〜63によって構成した点のみである。このため、本実施形態に係る情報処理システム100と上述の第1から第3実施形態に係る情報処理システム100とが共通する部分に関する説明は省略する。
【0189】
本実施形態においては、図22に示すように、ネットワーク30又は他のネットワーク31によって接続された複数のサーバ装置61〜63によって上述の各実施形態に対応するサーバ装置20が構成されている。これによって、上述の各実施形態におけるサーバ装置20の機能が複数のサーバ装置20に分担されている。
【0190】
例えば、複数のサーバ装置61〜63のいずれか1つ(例えば、サーバ装置61)がメインサーバ装置とされ、それ以外(例えば、サーバ装置62,63)がサブサーバ装置とされる。メインサーバ装置61には、端末装置10に対する窓口としての役割が与えられるとともに、上述の改変処理部21b及びプログラム供給部21cに関する機能が与えられる。上述の情報準備部21aに関する機能は、例えばすべてのサーバ装置61〜63に備えられる。そして、メインサーバ装置61に設けられた改変処理部21bが、各サーバ装置61〜63の情報準備部21aによって準備された伝送情報に含まれる改変対象の画像要素に対する改変処理を行う。また、各サーバ装置61〜63の情報準備部21aによって準備された伝送情報の端末装置10への送信は、メインサーバ装置61に設けられる情報準備部21aによって行われる。
【0191】
このような構成により、改変処理に必要なプログラム等をメインサーバ装置61にインストールしておけばよい等の利点がある。
【0192】
図22に示す構成の具体例として、例えば図23に示す構成が挙げられる。この図23に示す例では、端末装置10としてコンビニエンスストアに設置されたATM(以下、「コンビニATM」という)が適用され、サーバ装置61としてABC銀行のサーバ装置が適用され、サーバ装置63としてXYZ信用金庫のサーバ装置が適用されている。そして、ABC銀行のサーバ装置61には、上述の情報準備部21a、改変処理部21b及びプログラム供給部21cに関する機能が与えられ、XYZ信用金庫のサーバ装置63には、上述の情報準備部21aに関するのみが与えられ、改変処理部21b及びプログラム供給部21cに関する機能は与えられていない。このため、XYZ信用金庫のサーバ装置63からネットワーク30を介してコンビニATM10に与えられる伝送情報に対する改変処理は、ABC銀行のサーバ装置61によって行われるようになっている。
【0193】
このような図22及び図23に示す構成において、サーバ装置61の改変処理に関する処理を専用のアプライアンスに行わせるようにしてもよい。
【0194】
[変形例]
上述の各実施形態で行われる改変処理では、改変処理のアウトプットである改変済みの画像要素を表すビットマップデータを出力するようになっている。この点に関する変形例としては、次の構成が挙げられる。なお、ここでは改変対象の画像要素が文字コードとフォントに関する情報(例えば、フォントの種類を指定する情報)によって規定されている場合について説明する。
【0195】
すなわち、サーバ装置20の改変処理部21bに、改変済みの画像要素に対応する少なくとも1種類の改変フォントに関する情報を予め登録しておく。そして、改変処理部21bが、改変処理のときに、改変対象の画像要素のフォントに関する情報を改変フォントに関する情報に入れ替える。この入れ替えられた改変フォントに関する情報は、文字コードとともに情報準備部21aによってネットワーク30を介して端末装置10に送信される。端末装置10の表示制御部11aは、文字コードと改変フォントに関する情報に基づいて画像要素を生成し、その画像要素を表示部15に表示させる。
【0196】
なお、文字コードに対応する改変フォントに対応する文字画像を描画するために必要な情報(描画用情報)は、例えば改変処理部21bが改変処理を行ったときにネットワーク30を介して端末装置10に送信するようにしてもよい。あるいは、描画用情報を予め端末装置10にインストールしておくようにしてもよい。
【0197】
また、端末装置10に改変処理用のプログラムを与えて、改変処理を端末装置10に行わせる場合には、上記のフォントに関する情報の入れ替えが端末装置10の改変制御部11bによって行われる。この場合にも、改変フォントに関する描画用情報は、改変処理用プログラムと共に端末装置10に与えられるようにしてもよし、あるいは、予め端末装置10にインストールしておくようにしてもよい。
【0198】
このような構成を採用した場合、フォントの入れ替えだけで改変処理が完了するので、改変処理によるサーバ装置20等の負荷の低減、及び改変処理の迅速化が図れる。
【0199】
さらなる変形例として次の構成が挙げられる。すなわち、サーバ装置20の改変処理部21bに、改変済みの画像要素に対応する複数種類の改変フォントに関する情報を、改変対象の画像要素のフォントの種類に対応付けられて予め登録しておく。登録される改変フォントの種類としては、例えば明朝体、角ゴシック体及び丸ゴシック体等が用意される。そして、改変処理部21bは、改変処理のときに、複数種類の改変フォントのうちから改変対象の画像要素のフォントの種類に対応付けられた改変フォントを選択し、改変対象の画像要素のフォントに関する情報を、選択した改変フォントに関する情報に入れ替える。
【0200】
これによって、改変済みの画像要素に用いられる改変フォントに、改変前の画像要素のフォントの種類と同一又は類似のフォントを用いることができ、改変処理により画像要素のフォントが全くことなるフォントに変わってしまう等の不都合が生じるのを回避できる。
【0201】
また、上述の各実施形態に係る構成の変形例として、端末装置10とサーバ装置20との間でネットワーク30を介して伝送される情報の一部又は全部を暗号化した状態で伝送するようにしてもよい。この暗号化は、例えばSSL(Secure Socket Layer)等の暗号化機能を利用することで行える。このように端末装置10とサーバ装置20との間で伝送される情報を暗号化することによって、機密情報等の重要情報が権限のない第三者によって取得され漏洩するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の情報処理システムに備えられる端末装置のブロック図である。
【図3】図1の情報処理システムに備えられるサーバ装置のブロック図である。
【図4】図2の端末装置の表示部に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図5】(a)は改変処理の対象となる画像要素の一例を示す図であり、(b)はその画像要素の改変処理後の状態を示す図である。
【図6】図5(b)の下方部分を拡大して示す図である。
【図7】(a)は図5(a)の水平ライン8に沿った1ライン分のRGB信号を示す図であり、(b)は図5(b)の水平ライン9に沿った1ライン分のRGB信号を示す図である。
【図8】(a)は図7(a)のRGB信号により放出される電磁信号の測定結果を示す図であり、(b)は図7(b)のRGB信号により放出される電磁信号の測定結果を示す図である。
【図9】グラデーションが施される領域の水平方向の幅を変更した場合を示す模式図であり、(a)は前記幅が狭い場合を示し、(b)は前記幅が広い場合を示す。
【図10】(a)は改変前の線分の画像を示す図であり、(b)は改変後の線分の画像を示す図である。
【図11】ベクトル情報を利用した改変部の付け方を説明するための模式図である。
【図12】図1の情報処理システムに備えられる端末装置及びサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】サーバ装置による改変処理に関する動作を詳細に示すフローチャートである。
【図14】端末装置によって表示される入力領域付きの表示画像の例を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに備えられる端末装置及びサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに備えられる端末装置及びサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムにおいて端末装置側で文字変換が指示された場合の動作を説明するための説明図である。
【図18】図17に示す例において端末装置の操作部にて操作されたキーの情報を示す図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る情報処理システムに備えられる端末装置のブロック図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る情報処理システムに備えられるサーバ装置のブロック図である。
【図21】図19及び図20の端末装置及びサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明の第4実施形態に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図である。
【図23】図22に示す構成の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0203】
3 改変部、10 端末装置、11 制御部、11a 表示制御部、11b 改変制御部、12 ROM、13 RAM、14 記憶部、15 表示部、16 操作部、17 通信部、20 サーバ装置、21 制御部、21a 情報準備部、21b 改変処理部、21c プログラム供給部、22 ROM、23 RAM、24 記憶部、25 通信部、30,31 ネットワーク、61〜63 サーバ装置、100 情報処理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備え、
前記端末装置は、
表示部と、
前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた伝送情報に基づいて表示画像を形成し、前記表示画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記伝送情報を準備し、前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える情報準備部と、
前記情報準備部によって準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す改変処理部と、
を備え、
前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であり、
前記情報準備部は、前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記情報準備部は、前記伝送情報としてウェブページに関するウェブ情報を準備し、前記ウェブ情報を、ウェブサーバとウェブクライアントとの情報通信に用いられる通信プロトコルを用いて前記ネットワークを介して前記端末装置に与え、
前記端末装置の前記表示制御部は、前記ネットワークを介して与えられた前記ウェブ情報に基づき、前記表示画像としてウェブページの画像を形成し、前記画像を前記表示部に表示することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記端末装置は、操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記端末装置の前記表示制御部は、前記操作部を介して受け付けた入力情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に与え、
前記サーバ装置の前記情報準備部は、前記端末装置から与えられた前記入力情報に基づいて前記伝送情報を準備して前記ネットワークを介して前記端末装置に与えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記端末装置は、
操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記表示部に表示させた前記表示画像中に設けられ、改変対象とされた入力領域に対する入力を前記操作部を介して受け付けた場合、前記操作部を介して入力された入力情報に基づく前記入力領域への画像の表示を行わずに、前記入力情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に与え、それに応答して前記サーバ装置から与えられた第1の改変済み情報に基づいて画像を作成し、その画像を前記入力領域に表示させ、
前記サーバ装置の前記改変処理部は、
前記端末装置から与えられた前記入力情報によって特定された画像要素に対する前記改変処理を施し、その改変処理によって得られた情報を前記第1の改変済み情報として前記ネットワークを介して前記端末装置に与えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記改変処理部は、前記端末装置にて表示される前記表示画像中の改変対象とすべき前記入力領域を、前記情報準備部を介して前記端末装置に通知することを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記端末装置の前記改変制御部は、
改変対象とされた前記入力領域に表示されている前記画像の一部又は全部の消去指示を受け付けた場合、前記消去指示に基づく前記入力領域の表示内容の更新を行わずに、前記消去指示を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に通知し、それに応答して前記サーバ装置から与えられた第2の改変済み情報に基づいて前記入力領域の表示内容を更新し、
前記サーバ装置の前記改変処理部は、
前記端末装置から前記消去指示が通知されるのに応じ、前記消去指示を反映させた後に前記入力領域に表示させるべき改変済みの画像に関する情報を作成し、その情報を前記第2の改変済み情報として前記ネットワークを介して前記端末装置に与えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記表示制御部は、
改変対象とされた前記入力領域に表示されている前記画像である変換前文字に対する文字変換を指示する変換指示を前記操作部を介して受け付けた場合、前記変換指示を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に通知し、それに応答して前記サーバ装置から与えられた第3の改変済み情報に基づいて変換候補文字に対応する候補画像を作成し、その候補画像を前記表示部に表示させ、
前記サーバ装置の前記改変処理部は、
前記端末装置から前記変換指示が通知されるのに応じ、前記変換前文字に対する文字変換を行い、その文字変換により得られた前記変換候補文字に対する前記改変処理を施し、その改変処理によって得られた情報を前記第3の改変済み情報として前記ネットワークを介して前記端末装置に与えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記改変処理部が行う前記改変処理において、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して少なくとも1つの改変部を付与する処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を、その表示画像輪郭部の輪郭部に少なくとも1つの改変部が付与された予め用意された改変済みの前記画像要素に入れ替える処理が行われ、
前記改変部の色相、明度及び彩度からなる3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値は、前記改変部が付与される前記画像要素の対応する属性値から、前記画像要素の背景画像の対応する属性値へと徐々に変化されることを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理システムにおいて、
前記改変部は、前記表示部の主走査方向である水平方向について前記3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値が徐々に変化されることを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理システムにおいて、
前記改変部は、前記改変対象の画像要素の輪郭部の複数箇所に付与され、前記表示部の前記水平方向に沿って延びる略線状の形態を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記改変対象の画像要素には、前記表示部の主走査方向である水平方向に延びる線分が含まれ、
前記サーバ装置の前記改変処理部が行う前記改変処理において、前記線分に前記水平方向に延びる少なくとも1つの改変部を設ける処理、あるいは、前記線分を前記少なくとも1つの改変部が付与された予め用意された改変済みの線分に入れ替える処理が行われ、
前記線分の前記改変部が設けられた部分では、前記線分の色相、明度及び彩度からなる3つの属性値のうちの少なくともいずれか1つの属性値が、前記線分の前記改変部が設けられていない部分の対応する属性値から、前記線分の背景画像の対応する属性値へと徐々に変化されることを特徴とする情報処理システム。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記改変処理部は、前記改変処理後の前記改変対象の画像要素に対応するビットマップデータを作成し、前記改変対象の前記画像要素に関する元情報を前記ビットマップデータに入れ替えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項13】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記改変対象の画像要素は文字コードとフォントに関する情報によって規定されており、
前記サーバ装置の前記改変処理部には、前記改変済みの画像要素に対応する少なくとも1種類の改変フォントに関する情報が予め登録されており、
前記改変処理部は、前記改変対象の画像要素の前記フォントに関する情報を前記改変フォントに関する情報に入れ替えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の電子機器において、
前記改変処理部には、前記改変済みの画像要素に対応する複数種類の改変フォントに関する情報が、前記改変対象の画像要素のフォントの種類に対応付けられて予め登録されており、
前記改変処理部は、前記複数種類の改変フォントのうちから前記改変対象の画像要素の前記フォントの種類に対応付けられた改変フォントを選択し、前記改変対象の画像要素の前記フォントに関するデータを、前記選択した改変フォントに関するデータに入れ替えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項15】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記端末装置は、
操作を受け付ける操作部と、
前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた改変処理用のプログラムに基づき、前記表示部に表示させる前記表示画像に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理の少なくとも一部を前記サーバ装置に代わって行う改変制御部と、
をさらに備え、
前記端末装置の前記表示制御部は、前記改変制御部による前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記表示画像を前記表示部に表示させ、
前記サーバ装置は、
前記改変処理用のプログラムを前記ネットワークを介して前記端末装置に与えるプログラム供給部をさらに備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置は単一の情報処理装置によって構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項17】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置は複数の情報処理装置によって構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項18】
端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備え、
前記端末装置は、
表示部と、
前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた伝送情報に基づいて表示画像を形成し、前記表示画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記ネットワークを介して前記サーバ装置から与えられた改変処理用のプログラムに基づき、前記表示画像に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対する改変処理を施す改変制御部と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記伝送情報を準備し、前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える情報準備部と、
前記改変処理用のプログラムを前記ネットワークを介して前記端末装置に与えるプログラム供給部と、
を備え、
前記端末装置の前記表示制御部は、前記改変制御部による前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記表示画像を前記表示部に表示させ、
前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であることを特徴とする情報処理システム。
【請求項19】
端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置を用いた情報処理方法であって、
前記サーバ装置によって、前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報を準備する段階と、
前記サーバ装置によって、準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す段階と、
前記サーバ装置によって、前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える段階と、
前記端末装置によって、前記サーバ装置から与えられた前記伝送情報に基づいて前記表示画像を形成し、その表示画像を表示部に表示させる段階と、
を備え、
前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であることを特徴とする情報処理方法。
【請求項20】
端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置を用いた情報処理方法であって、
前記サーバ装置によって、前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報及び改変処理用のプログラムを前記ネットワークを介して前記端末装置に与える段階と、
前記端末装置によって、前記サーバ装置から与えられた前記伝送情報に基づいて前記表示画像を形成するとともに、前記サーバ装置から与えられた前記改変処理用のプログラムに基づき、前記表示画像に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対する改変処理を施す段階と、
前記端末装置によって、前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記表示画像を表示部に表示させる段階と、
を備え、
前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であることを特徴とする情報処理方法。
【請求項21】
端末装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置であって、
前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報を準備し、前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える情報準備部と、
前記情報準備部によって準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す改変処理部と、
を備え、
前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であり、
前記情報準備部は、前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項22】
端末装置とネットワークを介して接続されたコンピュータに読み込まれるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
前記端末装置に表示画像を形成させるための伝送情報を準備する手順と、
準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す手順と、
前記伝送情報に含まれる前記改変対象の画像要素に対する前記改変処理が施された後の前記伝送情報を前記ネットワークを介して前記端末装置に与える手順と、
を実行させ、
前記改変処理とは、前記改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理、あるいは、前記改変対象の画像要素を輪郭部が改変された予め用意された改変済みの画像要素に入れ替える処理であることを特徴とするプログラム。
【請求項23】
請求項20に記載のサーバ装置を構成するコンピュータに読み込まれるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに前記改変処理部が担う処理を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−65526(P2009−65526A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232836(P2007−232836)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(506412321)株式会社ビヨンディット (3)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】