説明

情報処理システムおよび端末

【課題】 複数の端末を含む情報処理システムであって、各端末が異なるカテゴリに属する端末を制御することのできる情報処理システムを提供すること。
【解決手段】 複数の端末101〜104の各々は、複数のユーザのユーザ認証情報と複数のカテゴリのうちの少なくとも1つとを対応付けて記憶するための認証情報メモリ209を備え、ユーザ認証情報の入力を受け付けると、CPU201は、認証情報メモリ209に当該ユーザ認証情報と対応付けられて記憶されたカテゴリに対応するプログラムを選択的に実行する。複数のカテゴリのうちの指定された1つのカテゴリに属する端末101〜104は、別のカテゴリに属する他の端末101〜104を特定するための特定情報と、他の端末を制御するためのコマンドとを送信する。別のカテゴリに属する端末101〜104は、受信した特定情報とコマンドとに従い動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよび端末に関し、特に、異なるカテゴリに属する端末のマルチメディア機能を制御することのできる情報処理システムおよび端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク化の進展、電子機器の技術向上に伴い、生徒端末と教師端末とを接続した電子的な教室および学校に関する提案が多くなされている。
【0003】
このような提案には以下に述べるように3つの類型がある。
1) 各生徒が同じ教室にいて、同時に授業を受ける形態(非遠隔・集団型)、
2) 各生徒は教師または学校と物理的に離れたところにいるが、同時に授業を受ける形態(遠隔・集団型)、
3) 各生徒は教師または学校と物理的に離れたところにおり、個別に授業を受ける形態(遠隔・個別型)。
【0004】
とりわけ、非遠隔・集団型の場合は、生徒端末は従来の教科書やノートと同じように生徒によって学校に持参され、授業で使用されるという点で、従来の教科書やノートの置き換えとなるものである。
【0005】
このような非遠隔・集団型の技術の例としては、教官用端末と、マルチメディア機能を持った学生用端末とが互いにLANで結ばれた形態が特許文献1に、講師用システム手帳と受講者用システム手帳とが互いに無線で結ばれた形態が特許文献2に開示されている。
【0006】
一方、非遠隔・集団型の場合、一般的に、生徒は教室内で名札を所持するが、たとえば特許文献3および4には、名札を利用したセキュリティシステムが開示されている。特許文献3には、個別のIDを送信するトランスポンダを特定利用者の名札、バッジ等に埋め込み、利用者がコンピュータ装置に近づくだけでIDを認識でき、その利用者のみがコンピュータ装置を操作できる技術が開示されている。また、特許文献4には、名札に本人の識別データを記憶した無線タグを備え、セキュリティ端末が無線タグと更新することにより、特別機能の起動の許容又は拒絶を判断する技術が開示されている。
【0007】
特許文献1に開示された教育支援システムでは、マルチメディア情報を扱い、教官用端末側から学生用端末のウィンドウを制御することによりマルチウィンドウ環境を使用することができる。しかしながら、マルチメディア機能の起動を各生徒に任せると、生徒が気を取られて授業に集中しないとか、めいめいが勝手に音声を再生して授業の進行を妨げるようなことがあり得る。また、教師用(教官用)端末と生徒用(学生用)端末とは異なる構成をしていることから、このようなシステムを導入しようとしても、教師用端末の需要は生徒用端末の需要に比べて一般的に低いため、教師用端末は高価になってしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献3および4に開示された技術では、名札は単に認証(ログイン)やログアウトを自動化するにとどまっている。
【特許文献1】特開平4−251280号公報
【特許文献2】特開平4−44155号公報
【特許文献3】特開平6−259160号公報
【特許文献4】特開平9−245138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、複数の端末を含む情報処理システムであって、各端末が異なるカテゴリに属する端末を制御することのできる情報処理システムを提供することである。
【0010】
また、第2の目的は、カテゴリの異同にかかわらず各々同じ構成の端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のある局面に従う情報処理システムは、複数の端末を含む情報処理システムであって、複数の端末の各々は、複数のユーザのユーザ認証情報と複数のカテゴリのうちの少なくとも1つとを対応付けて記憶するための認証情報記憶手段と、ユーザ認証情報の入力を受け付ける認証情報受付手段と、認証情報受付手段がユーザ認証情報を受け付けた場合に、認証情報記憶手段に当該ユーザ認証情報と対応付けられて記憶されたカテゴリに対応するプログラムを選択的に実行するプログラム実行手段とを備え、複数のカテゴリのうちの指定された1つのカテゴリに対応するプログラム実行手段は、別のカテゴリに属する他の端末を特定するための特定情報と、他の端末を制御するためのコマンドとを送信するコマンド送信手段を含み、別のカテゴリに対応するプログラム実行手段は、コマンド送信手段により送信された特定情報とコマンドとに従って動作するコマンド実行手段を含む。
【0012】
上述の、「別のカテゴリに属する他の端末」とは、プログラム実行手段により別のカテゴリに対応するプログラムが実行されている他の端末であることを示す。
【0013】
好ましくは、コマンド送信手段は、別のカテゴリに属する端末のマルチメディア機能を制御するためのコマンドを送信することを特徴とする。
【0014】
好ましくは、複数の端末の各々は、1種類または複数種類のコマンドと、特定情報として端末を識別する端末識別情報とを入力するためのコマンド入力手段をさらに備える。
【0015】
好ましくは、複数の端末の各々は、1種類または複数種類のコマンドと、特定情報として端末のユーザを識別するユーザ識別情報とを入力するためのコマンド入力手段をさらに備える。
【0016】
好ましくは、複数の端末の各々は、入力されたユーザ識別情報を、端末を識別する端末識別情報に変換する識別情報変換手段をさらに備える。
【0017】
好ましくは、情報処理システムは、入力されたユーザ識別情報を、端末を識別する端末識別情報に変換する識別情報変換手段をさらに含む。
【0018】
好ましくは、情報処理システムは、端末の使用に必要なユーザ認証情報を送出し、ユーザにより所持されるユーザ認証情報送出手段をさらに含み、複数の端末の各々は、認証情報受付手段においてユーザ認証情報送出手段から送出されたユーザ認証情報を受け付けた場合に、端末の使用を許可するか否かを判断する判断手段をさらに備える。
【0019】
好ましくは、情報処理システムは、ユーザの個人情報を表示するための、複数台の個人情報表示手段をさらに含み、複数台の個人情報表示手段の各々は、他の個人情報表示手段との間で、ユーザの階層情報を含む個人情報を送受信するための個人情報通信手段と、個人情報通信手段において個人情報を受信した場合に、予め定められた階層情報の優先順位に従って、表示のための個人情報を選択する選択手段とを備える。
【0020】
この発明の他の局面に従う端末は、複数のユーザのユーザ認証情報と複数のカテゴリのうちの少なくとも1つとを対応付けて記憶するための認証情報記憶手段と、ユーザ認証情報の入力を受け付ける認証情報受付手段と、認証情報受付手段がユーザ認証情報を受け付けた場合に、認証情報記憶手段に当該ユーザ認証情報と対応付けられて記憶されたカテゴリに対応するプログラムを選択的に実行するプログラム実行手段とを備え、複数のカテゴリのうちの指定された1つのカテゴリに対応するプログラム実行手段は、別のカテゴリに属する他の端末を特定するための特定情報と、他の端末を制御するためのコマンドとを送信するコマンド送信手段を含み、別のカテゴリに対応するプログラム実行手段は、コマンド送信手段により送信された特定情報とコマンドとを受信して、特定情報とコマンドとに従って動作するコマンド実行手段を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の情報処理システムによると、指定された1つのカテゴリに属する端末は、別のカテゴリに属する端末を制御することができる。
【0022】
また、本発明の情報処理システムに用いられる端末は、ユーザ認証情報の入力に従ってカテゴリを選択することができる。したがって、需要の少ないカテゴリに属する端末も需要の多いカテゴリに属する端末と同じ構成とすることができる。また、これにより、トータルの製造コストを低減することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態にかかる情報処理システムは、図1に示すように、教師と生徒とが使用することを前提としている端末101,102,103,104、AVアンプ105、スピーカ106、大画面モニタ107、および通信回線108により構成される。なお、端末の台数は、ここでは4台としているが、これに限られない。
【0025】
図1を参照して、端末101,102,103,104、AVアンプ105、大画面モニタ107は通信回線108で結ばれているとする。以下、通信回線108としては無線を想定するが、有線であってもよい。ただし、可搬性およびより紙の書籍に近い感覚を与えるという点で、無線接続が好ましい。AVアンプ105は、入力された信号を増幅して、スピーカ106から出力する。
【0026】
本実施の形態において、各教師と生徒とは、端末101,102,103,104を一人一台所持しており、教室では通電させた状態で使用するものとする。端末101〜104は同じ構造を持つ。
【0027】
なお、本発明の実施の形態では、授業を受ける側を教育機関の種別を問わず「生徒」という用語で、生徒に対して授業を行う側を教育機関の種別を問わず「教師」という用語で表す。
【0028】
以下、端末101は教師が使用、端末102,103,104は生徒が使用することを前提に説明する。なお、教師が使用する端末の数をここでは1台としているが、これは典型的な使用状況を表わすに過ぎず、2台以上であってもよい。現実には、複数の教師で生徒を指導する場合など、教師が使用する端末が複数存在することもあり得るからである。
【0029】
以下、端末101〜104のうち、教師が用いるものを「教師端末」、生徒が用いるものを「生徒端末」と表現することがある。また、教師端末は端末101とし、生徒端末は単に端末102として説明する。
【0030】
教師が使用する端末101のハードウェア構成(以下「構成要素」ともいう)を図2に示し、生徒が使用する端末102,103,104のハードウェア構成を図3に示す。なお、本発明の第1の実施の形態において、端末101〜104は同じ構造を持つが、後に教師端末と生徒端末とを区別して説明する場合があるため、別の符号を割り当てるものとする。
【0031】
図2を参照して、教師端末101は、教師端末101全体の制御および各種演算処理を行なうCPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、通信回線108を介してデータ通信を行なう通信部203、入力装置204、起動スイッチ205、ディスプレイ206、スピーカ207、ROM(Read Only Memory)208、認証情報メモリ209、外部記憶装置210、端末識別情報メモリ211、システム状態メモリ212、システム状態バックアップメモリ213を含み、これらの各ハードウェアはデータバス214によりつながれる。
【0032】
また、図3を参照して、生徒端末102は、生徒端末102全体の制御および各種演算処理を行なうCPU301、RAM302、通信回線108を介してデータ通信を行なう通信部303、入力装置304、起動スイッチ305、ディスプレイ306、スピーカ307、ROM308、認証情報メモリ309、外部記憶装置310、端末識別情報メモリ311、システム状態メモリ312、システム状態バックアップメモリ313を含み、これらの各ハードウェアはデータバス314によりつながれる。
【0033】
以降、端末101〜104の構成および動作の説明にあたっては、端末102で代表させて説明を行う。特記しない限りは、端末102に関する説明は、他の端末101,103,104にも該当するものとする。
【0034】
このように、教師用端末と生徒用端末とを同じ構成にすることにより、量産が可能となり、特に教師用端末の生産価格の低下を図ることができる。
【0035】
ここで、端末102の外観図の例を図4に示す。ここでは、A5判の大きさのディスプレイ306を持った、可搬性のある端末を想定しており、全ての構成要素が筐体502に収められている。
【0036】
なお、図4に示すような形態に限らず、図5に示すように、教室で用いられる際に机601に埋め込む形態としてもかまわない。このような形態でも、端末102を机601から脱着可能な構造にすれば、教室外での使用も行える。この例では、取手602を端末102に備えることで、端末102の持ち運びを容易にするとともに、生徒端末102の机601への取り付けや、机601からの取り外しを容易にすることができる。また、切り込み603を机601に設け、ユーザがそこから手を入れることができるようにすることで、端末102の机601への取り付けや、机601からの取り外しを容易にすることができる。また、この場合、図6に示すように、生徒端末102の装着時に、机601との段差がなくなるように構成することが好ましい。このようにすることで、ユーザは、机601の上での作業を行ないやすくなる。
【0037】
このように、持ち運びのしやすい電子端末とすることにより、従来より親しまれてきた紙の教科書と同様の便利さを実現することができる。
【0038】
図5で示される形態では、机601には電源ケーブル604が接続され、端末102はそこから給電される。したがって、教室での動作のための大容量な電池は不要となり、端末102をより軽量にすることができる。また、机601まで通信回線108が到達している。このように通信回線108が有線であれば、有線通信で端末同士を結ぶことができ、無線通信よりも高速な通信をより確実に行うことができる。
【0039】
また、この場合、通信部303で、有線通信、無線通信のいずれも行えるようにしてもよい。たとえば、机601に埋め込まれた場合は有線通信で、そうでないときは無線通信を行うことにより、可搬性を持ちながら、必要な場合には、有線通信の高速性や確実性を享受できる端末102が実現できる。
【0040】
次に、再び図3を参照して、端末102のハードウェア構成について具体的に説明する。
【0041】
通信部303は、通信回線108を介して、無線データ通信を行えるものとする。また、入力装置304は、たとえば、ディスプレイ306の部分を指で押さえて選択されることにより、ユーザからの指示の入力を受け付ける。なお、入力装置304は、端末102に接続される独立型キーボードであってもよいし、音声によるテキスト入力が行なえる装置であってもよい。
【0042】
起動スイッチ305はON・OFFの2つの状態を持つスイッチである。ユーザの操作により、起動スイッチ305がOFF状態からON状態になると、端末102が起動する。
【0043】
認証情報メモリ309は、一般ユーザが書き換えできない不揮発性のメモリである。認証情報メモリ309の書き換えが行える特権的な「管理者」ユーザがいてもよいし、認証情報メモリ309は、製造メーカーが、注文を受けた通りに作成するというものでもよい。以下、「ユーザ」といえば、認証情報メモリ309の書き換えを行えない、上記の「一般ユーザ」のことを指す。
【0044】
認証情報メモリ309は、ユーザが脱着できない不揮発性のメモリである。認証情報メモリ309の内容の例を図7に示す。端末102の正当なユーザに対応するユーザ識別情報3701と、パスワード3702、およびユーザが生徒であるか、教師であるかを示すユーザ属性情報3703が格納されている。ここではユーザ属性情報3703の値が「0」であれば生徒、「1」であれば教師を示すものとする。図7の例では、たとえば、“MATSUMOTO”というユーザ識別情報3701を持ったユーザのパスワード3702は“SHINANO”であり、ユーザ属性情報3703の値は0であることから、このユーザは生徒であることが分かる。
【0045】
なお、認証情報メモリ309の内容例として、ここではユーザ識別情報とパスワードとの組み合わせを挙げたが、これにかぎらない。例えば、第三者に推測されにくい文字列によって、ユーザ識別情報とパスワードとを兼ねたものにしてもよい。また、認証情報メモリ309の内容を、悪意あるユーザからシステムを保護するために暗号化して格納しておいてもよい。
【0046】
端末識別情報メモリ311は、ユーザが書き換えできない不揮発性メモリであり、端末を一意に識別する情報が格納されているものとする。ここでは、説明を簡単にするために、端末識別情報として、1から始まる番号が、端末101,102,103,104に順に1,2,3,4と割り振られているものとする。これを以下端末101〜104の端末番号と表現することがある。もちろん、これは端末識別情報の一つの例であって、他の番号でもよいばかりでなく、端末識別情報は番号でなくてもよい。例えば、各端末に一意に割り振られた文字列などでもよい。
【0047】
なお、本発明の実施の形態において、説明を行なわない他の構成要素(電源など)や動作については、適切な公知の技術を用いるものとする。
【0048】
外部記憶装置310には、テキスト、画像、音声、動画などのコンテンツを格納する。CPU301は外部記憶装置310に格納されたコンテンツを読み出してディスプレイ306やスピーカ307に出力することができる。なお、教師端末と生徒端末とで常に同じコンテンツを再生している必要があるわけではなく、例えば生徒端末では教科書コンテンツが再生され、教師端末では教師用の解説の入った教科書コンテンツが再生されてもよい。また、端末102において再生されているコンテンツにユーザがメモなどを書き込む機能を設けてもよい。
【0049】
コンテンツの形態としては、たとえば、コンテンツは番号を持ったページに分けられており、コンテンツ中のページには0から始まる番号(ページ番号)が順に付けられているものとする。また、コンテンツ中の音声データには0から始まる番号(音声データ番号)が順に付けられているものとする。同様に、コンテンツ中の動画データにも0から始まる番号(動画データ番号)が順に付けられているものとする。
【0050】
このようなコンテンツの構成は、電子書籍を念頭に置いたものであるが、これはあくまでも一つの例であって、他のの構成および内容であってもかまわない。
【0051】
ROM308は、図8に示すように、7つの領域に分かれている。それぞれの領域には、イニシャルプログラム901、教師端末用プログラム902、教師端末用データ903、生徒端末用プログラム904、生徒端末用データ905、共通プログラム906、共通データ907が格納されている。これによって、後に述べるように、同じ端末102が、教師端末としても、生徒端末としても動作できるようになる。
【0052】
イニシャルプログラム901は、起動スイッチ205がONになった直後に端末102で実行されるプログラムである。教師端末用プログラム902は、教師端末として動作する場合に実行されるプログラムである。教師端末用データ903は、教師端末用プログラム902が使用するデータであり、かつ後に述べる生徒端末用プログラム904が使用しないものである。
【0053】
生徒端末用プログラム904は、生徒端末として動作する場合に実行されるプログラムである。生徒端末用データ905は、生徒端末用プログラム904が使用するデータであり、かつ教師端末用プログラム902が使用しないものである。
【0054】
共通プログラム906は、教師端末用プログラム902、生徒端末用プログラム904の双方から呼び出されるサブルーチンからなる。共通データ907は、教師端末用プログラム902、生徒端末用プログラム904の双方で用いるデータである。
【0055】
次に、起動スイッチ305のON操作による起動時の端末102の動作について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
CPU301は、イニシャルプログラム901を起動する(ステップS3601)。イニシャルプログラム901の動作に従い、ユーザ識別情報とパスワードが入力装置304からユーザによって入力される(ステップS3602)。CPU301は、入力されたユーザ識別情報とパスワードを認証情報メモリ309と照合して認証を行う(ステップS3603)。認証に成功した場合は(ステップS3603でYES)、さらにCPU301は、ユーザが教師であるか、生徒であるかの判定を、認証情報メモリ309のユーザ属性情報3703を参照して行う(ステップS3604)。
【0057】
ステップS3604で、ユーザが教師であると判定された場合は(ステップS3604でYES)、CPU301は教師端末用プログラム902を実行する(ステップS3605)。ステップS3604で、ユーザが生徒であると判定された場合は(ステップS3604でNO)、CPU301は、生徒端末用プログラム904を実行する(ステップS3606)。
【0058】
また、起動時の端末102の動作の変形例について、図10のフローチャートを用いて説明する。この変形例では、教師としての認証は求めるが、それに失敗した場合は、端末102が常に生徒端末として動作する。
【0059】
CPU301は、イニシャルプログラム901を起動する(ステップS2001)。イニシャルプログラム901の動作に従い、ユーザ識別情報とパスワードが入力装置304からユーザによって入力される(ステップS2002)。CPU301は、入力されたユーザ識別情報とパスワードを認証情報メモリ309と照合して、入力されたユーザ識別情報に対応するユーザのパスワードが正しく、かつ認証情報メモリ309のユーザ属性情報3703が、そのユーザが教師であることを意味する値をもっているかを判定する(ステップS2003)。
【0060】
ユーザが教師として判定された場合は(ステップS2003でYES)、教師端末用プログラム902を実行する(ステップS2004)。それ以外の場合は(ステップS2003でNO)、生徒端末用プログラム904を実行する(ステップS2005)。
【0061】
この他にも、たとえば、生徒端末として起動するか、教師端末として起動するかを、図11のような画面から選択するように構成してもよい。図11に示す画面は、起動スイッチ305による起動時に、ディスプレイ306に表示されるものである。ここでは、教師端末エリア2201をタッチすれば対応する文字列「教師端末として動作する」が反転表示される。この状態で、YESボタン2203をタッチすれば教師端末として動作して、この画面が閉じる。生徒端末エリア2202をタッチすれば「生徒端末として動作する」が反転表示される。この状態でYESボタン2203をタッチすれば生徒端末としての動作が選択される。このような構成では、認証情報を用いた認証を行うわけではないので、認証情報メモリ309は省略可能である。ただし、このような構成は誰でもが教師端末を使用できるようになるので、どのような用途にも適合するとは限らない。
【0062】
なお、端末102が、生徒端末として動作するか、教師端末として動作するかのカテゴリの決定を、起動時以外にも行ってもよい。この場合も、カテゴリを指定する操作シーケンスを予め定めておけばよい。
【0063】
このように、本発明の第1の実施の形態において、教師端末と生徒端末との構成を共通としている。このため、それぞれの端末を別々に製造、保管する必要がなくなり、端末102の製造コストおよび流通コストの削減を図ることができる。
【0064】
また、上述のように、本発明の第1の実施の形態の情報処理システムは、1つまたは複数の端末からなる情報処理システムであって、端末それぞれは複数のカテゴリのいずれか1つまたはそれ以上に属する。端末それぞれがいずれのカテゴリに属するかは、ユーザの操作によって決定されるものである。
【0065】
次に、再び図1を参照して、大画面モニタ107には、画像信号が無線で入力される。その画像信号が表すデータの内容は、教師端末101のディスプレイ206および生徒端末102のディスプレイ306に入力される内容と同じとする。ただし、ディスプレイ206およびディスプレイ306が縦長の画面であり、大画面モニタ107が横長の場合は、図12に示すように大画面モニタの表示面401に縦長の画面402を表示するものとする。
【0066】
また、AVアンプ105には音声信号が無線で入力される。その音声信号が表すデータの内容は、教師端末101のスピーカ207および生徒端末102のスピーカ307に入力されるものと同じとする。AVアンプ105は、入力された音声信号を増幅して、スピーカ106で再生する。
【0067】
次に、教師端末101が異なるカテゴリに属する生徒端末102の動作を制御する処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
図13を参照して、生徒端末102または他の生徒端末に対するコマンドが教師端末101の入力装置204から入力される(ステップS1401)。第1の実施の形態において、入力されるコマンドは、後に示すように、生徒端末102または他の生徒端末の端末識別情報をパラメータとして含む。
【0069】
CPU201は入力されたコマンドを通信部203から通信回線108を介して、生徒端末102に送信する(ステップS1402)。生徒端末102は通信部303にてコマンドを受信する(ステップS1403)。ついで生徒端末102は、受信したコマンドに応じた動作を行う(ステップS1404)。
【0070】
上記のステップS1401〜S1404までの一連の処理は、教師端末101のユーザがステップS1401に対応する操作を行うたびに繰り返される。
【0071】
各コマンドの通信に用いられる物理的・論理的データフォーマット自体は本発明の理解にとって本質的ではないので省略するが、コマンドの通信によって、コマンド番号およびパラメータを含む情報を送信するものとする。なお、送信される情報としては、コマンド番号そのものでなくてもよく、コマンド番号と1対1で対応する情報(コマンド番号を一意に決定可能な情報)であればよい。
【0072】
コマンドによって必要とするパラメータは異なっており、以下のとおりである。なお、本実施の形態において、「コマンド番号N」という表現で、コマンド番号Nに対応するコマンドを示すことがある。
【0073】
以下に、コマンド番号、[パラメータ]、[対応する動作]を示す。
0、[端末識別情報]、「音声の再生を許可」
1、[端末識別情報]、「音声の再生を禁止」
2、[端末識別情報、音声データ番号、音量レベル]、「指定した音声データを再生」
3、[端末識別情報]、「動画の再生を許可」
4、[端末識別情報]、「動画の再生を禁止」
5、[端末識別情報、動画データ番号、音量レベル]、「指定した動画データを再生」
6、[端末識別情報]、「AVアンプ105への音声信号出力を許可」
7、[端末識別情報]、「AVアンプ105への音声信号の出力を禁止」
8、[端末識別情報]、「大画面モニタ107への画像信号出力を許可」
9、[端末識別情報]、「大画面モニタ107への画像信号出力を禁止」
10、[端末識別情報]、「前回のコマンド送信直前の状態に復帰」
11、[端末識別情報、ページ番号]、「Nページ目の内容を表示」
12、[端末識別情報、音量レベル]、「スピーカ307から出力される音声の音量レベルを指定」
13、[端末識別情報]、「生徒に自由に操作させる」
14、[端末識別情報]、「AVアンプ105に、スピーカ307の出力内容を出力させる」
15、[端末識別情報]、「大画面モニタ107に、ディスプレイ306の出力内容を出力させる」
端末識別情報は、生徒端末同士を識別できるものであればどんなものでもよいが、ここでは端末102の端末識別情報メモリ311で説明した端末番号を用いる。なお、すでに述べた通り、端末識別情報メモリ311に格納する端末識別情報は端末番号でなくてもよい。また、コマンドにパラメータとして含まれる端末識別情報は端末識別情報メモリ311に含まれる端末識別情報と相互変換ができるものであれば、同じ形式でなくてもよい。典型的な例として、先に述べたように、端末識別情報メモリ311には端末識別情報が暗号化されている場合などが考えられる。
【0074】
上記コマンド中の端末番号には、全ての生徒端末を示す仮想的な端末番号を定めておく。ここではそのような特別な番号として(−1)を用いる。これにより、個別の端末を対象とした指定も行え、教室にいる生徒全員の端末を対象にした指定も行える。
【0075】
コマンドが端末101から送信された場合の、ステップS1404における端末102の動作を図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】
通信部303がコマンドを受け取る(ステップS701)。なお、このステップS701の処理は、上述のステップS1403に対応する処理である。
【0077】
CPU301は、受け取ったコマンドから端末識別情報を取り出す(ステップS702)。そして、端末番号が(−1)であるかどうかを判断して(ステップS703)、YESであればステップS706に進む。NOであればCPU301は、コマンドから取り出された端末識別情報を端末識別情報メモリ311の内容と一致するかを判断する(ステップS704)。端末識別情報メモリ311の内容と一致しなければ(ステップS704でNO)、現在の動作を続けて(ステップS705)この処理を終了する。一方、端末識別情報メモリ311の内容と一致していれば(ステップS704でYES)、ステップS706に進む。
【0078】
ただし、ここでいう一致とは、端末識別情報メモリ311の内容に所定の変換をした結果一致したというものでもよい。つまりは、通信部303が受信する各コマンドが対象とする端末が判定できればよい。
【0079】
ステップS706において、CPU301はコマンド番号が10であるかどうかを判断する。コマンド番号が10であれば(ステップS706でYES)、CPU301は、システム状態バックアップメモリ313の内容をシステム状態メモリ312にコピーして(ステップS707)、ステップS710に進む。システム状態メモリ312、システム状態バックアップメモリ313の構成、動作については後述する。
【0080】
コマンド番号が10であれば(ステップS706でNO)、CPU301は、システム状態メモリ312の内容をシステム状態バックアップメモリ313にコピーする(ステップS708)。ついで、CPU301は、コマンドおよびそこに含まれるパラメータ、システム状態メモリ312、システム状態バックアップメモリ313の現在の内容から、システム状態メモリ312、システム状態バックアップメモリ313の内容を変更する(ステップS709)。
【0081】
次に、CPU301は、システム状態メモリ312の更新された内容に合わせてシステムの状態を変更し(ステップS710)、この処理を終了する。これで、端末102としては、コマンドの内容に応じた動作を行うことになる。
【0082】
ここで、システム状態メモリ312の構成および動作について、図15の構成図を用いて説明する。
【0083】
システム状態メモリ312は、音声再生権レジスタ801、動画再生権レジスタ802、音声信号出力権レジスタ803、画像信号出力権レジスタ804、音量レベルレジスタ805、ページ番号レジスタ806、音声データ番号レジスタ807、動画データ番号レジスタ808、音声信号出力状態レジスタ809、画像信号出力状態レジスタ810、およびそれらの構成要素を結ぶデータバス811からなる。
【0084】
システム状態バックアップメモリ313についても同じ構成を持つものとする。ステップS707では、システム状態バックアップメモリ313の各レジスタの内容がシステム状態メモリ312の対応するレジスタにコピーされる。逆に、ステップS708では、システム状態メモリ312の各レジスタの内容がシステム状態バックアップメモリ313の対応するレジスタにコピーされる。
【0085】
音声再生権レジスタ801は、0または1の値をとり、「0」が音声再生が許可されていることを、「1」が禁止されていることを示す。
【0086】
動画再生権レジスタ802は、0または1の値をとり、「0」が動画再生が許可されていることを、「1」が禁止されていることを示す。
【0087】
音声信号出力権レジスタ803は、0または1の値をとり、「0」がAVアンプ105に音声信号を出力することが許可されていることを、「1」が禁止されていることを示す。
【0088】
画像信号出力権レジスタ804は、0または1の値をとり、「0」が大画面モニタに画像信号を出力することが許可されていることを、「1」が禁止されていることを示す。
【0089】
音量レベルレジスタ805は、たとえば0から15の値をとり、スピーカ307からに出力される音量のレベルを示す。「0」はミュート(無音)を表し、数字が大きくなるほど、音量レベルは大きくなる。
【0090】
ページ番号レジスタ806は、0から65535までの値をとり、現在表示されているコンテンツ中のページ番号を示す。
【0091】
音声データ番号レジスタ807は、0から65535の値をとり、現在表示されているコンテンツ中の音声データの番号を示す。
【0092】
動画データ番号レジスタ808は、0から65535の値をとり、現在表示されているコンテンツ中の動画データの番号を示す。
【0093】
音声信号出力状態レジスタ809は、0または1の値をとり、「0」がAVアンプ105に音声信号を送信していないことを、「1」がAVアンプ105に音声信号を送信していることを示す。
【0094】
画像信号出力状態レジスタ810は、0または1の値をとり、「0」が大画面モニタ107に画像信号を送信していないことを、「1」が大画面モニタ107に音声信号を送信していることを示す。
【0095】
そうすると、ステップS709におけるCPU301およびシステム状態メモリ312の動作は以下の通りとなる。
【0096】
CPU301は、コマンド番号が0であれば、音声再生権レジスタ801に0をセットする。CPU301は、コマンド番号が1であれば、音声再生権レジスタ801に1をセットする。
【0097】
CPU301は、コマンド番号が2であれば、音声再生権レジスタ801に0をセット、音声データ番号レジスタ807にコマンドに含まれている音声データ番号を、音量レベルレジスタ805に、コマンドに含まれている音量レベルを格納する。これは、音声再生が許可されており、かつ音声データ番号レジスタ808が示す番号の音声データを、音量レベルレジスタ805が示す音量レベルで、再生している状態を示す。
【0098】
CPU301は、コマンド番号が3であれば、動画再生権レジスタ802に0をセットする。CPU301は、コマンド番号が4であれば、動画再生権レジスタ802に1をセットする。
【0099】
CPU301は、コマンド番号が5であれば、動画再生権レジスタ802に0をセット、動画データ番号レジスタ808にコマンドに含まれている音声データ番号を、音量レベルレジスタ805に、コマンドに含まれている音量レベルを格納する。これは、動画再生が許可されており、動画データ番号レジスタ808が示す番号の音声データを、音量レベルレジスタ805が示す音量レベルで、再生している状態を示す。
【0100】
CPU301は、コマンド番号が6であれば、音声信号出力権レジスタ803に0をセットする。CPU301は、コマンド番号が7であれば、音声信号出力権レジスタ803に1をセットする。CPU301は、コマンド番号が8であれば、画像信号出力権レジスタ804に0をセットする。CPU301は、コマンド番号が9であれば、画像信号出力権レジスタ804に1をセットする。コマンド番号が10であれば、ステップS709には到達しない。
【0101】
CPU301は、コマンド番号が11であれば、ページ番号レジスタ806にコマンドに含まれるページ番号をセットする。これはNページ目の内容を表示している状態を示す。CPU301は、コマンド番号が12であれば、音量レベルレジスタ805にコマンドに含まれる音量レベルをセットする。
【0102】
CPU301は、コマンド番号が13であれば、音声再生権レジスタ801に0を、動画再生権レジスタ802に0を、音声信号出力権レジスタ803に0を、画像信号出力権レジスタに0を格納する。これは、この4つのレジスタで制御されていた機器または機能の使用は、端末102のユーザの操作に任されている状態を意味する。
【0103】
CPU301は、コマンド番号が14であれば、音声信号出力状態レジスタ809に1にセットする。CPU301は、コマンド番号が15であれば、画像信号出力状態レジスタ810を1にセットする。
【0104】
ステップS710では、上で述べたようにして設定されたシステム状態メモリ312の内容に合わせて、CPU301が端末102の状態を変化させるのである。ただし、コマンド番号0、3、6、8、13については、ステップS709でシステム状態メモリ312に値がセットされた時点でコマンドの処理は終わるので、ステップS710での処理はNOP(オペレーションなし)とする。これはコマンドの内容が何らかの動作を許可するものであり、実際に許可された動作が行われるかは、これ以降の端末102のユーザの操作に依存するからである。コマンド番号1、4、7、9については、何らかの動作を禁止するものであり、ステップS710では、対応する動作が行われていれば、それが停止される。
【0105】
コマンド番号2、5、10、11、14、15については、何らかの動作を指定するものであり、そのような動作となるように、CPU301が端末102の状態を変更するのである。例えば、コマンド番号15であれば、画像信号を大画面モニタ107に送信することがこれに相当する。このような動作は、端末102の動作、特に他のユーザに影響が大きいと考えられる動作や、共有される機器の使用を端末101から制御していることになる。特に他のユーザに影響が大きい動作としては、マルチメディア機能、例えば音声の出力を制御することが典型的な例として考えられるが、動作の制御はこれに限られない。AVアンプ105や大画面モニタ107は、ユーザが共有している機器の、個々の端末102の使用を制御している例である。
【0106】
端末101における、システム状態メモリ212、システム状態バックアップメモリ213については、本発明の第1の実施の形態では特に利用されていないが、端末101と端末102のハードウエア構成を同一にするためにあえてシステム状態メモリ312、システム状態バックアップメモリ313と同じ構成を持たせたものである。もちろん、端末102側から、端末101にここで述べたコマンドや別のコマンド(例えば生徒が質問を持っていることを示すコマンド)などを送信して、端末101の状態を変更する構成も考えられ、この場合は、システム状態メモリ212が利用される。また、上記のコマンド番号10と同じような、以前の状態に端末101を復帰させるコマンドを実現するためには、システム状態バックアップメモリ213も用いられる。
【0107】
このような動作の概略を述べれば、端末102が端末101に送信したコマンドを、CPU201が解析して、システム状態メモリ212およびシステム状態バックアップメモリ213を変更し、システム状態メモリ212の新しい状態に合わせてCPU201が端末101の状態を変化させるという動作となる。このような動作は、上記のステップS701〜S710の端末102およびその構成要素の動作の説明を、対応する端末101およびその構成要素と置き換えることで可能となる。
【0108】
ここで、本発明の実施の形態における情報処理システムを構成する端末として、携帯電話端末を用いることとしてもよい。これは、今日の一般的な携帯電話端末がたとえば図3で示す情報端末に近い機能、構成を持っていることから、携帯電話端末を用いても上述のような動作を同様に行なうことができるからである。また、このような例は、機器の本来目的から、通信部303の機能がもともと装置に備わっているという好ましい性質を持つ。もちろん、携帯電話端末に備わっている通信手段以外の通信部303を保持して、教師端末他とやりとりすることとしてもかまわない。
【0109】
この場合、制御対象として、音声出力や動画再生に加えて、発信や通話、着信、着信音再生、発話、ソフトウエア実行、カメラ撮影などの機能が制御対象として考えられる。例えば、授業中は携帯電話端末の着信音の再生や、着信、あるいは発話、または端末で行えるゲームなどのソフトウエアの実行、カメラ撮影などの機能を禁止または許可するような制御を教師端末から行うことが考えられる。
【0110】
また、後に本発明の第3の実施の形態で述べるように、コマンド入力自体を教師端末以外から行うこととしてもよい。この場合、携帯電話端末についても、その制御を教師端末以外のコマンド入力手段から行うことができる。
【0111】
以上述べてきたように、本発明の第1の実施の形態の通信システムにおける端末は、同一の端末であっても、ユーザの操作によって異なるカテゴリに属するようになる。また、端末は、その属するカテゴリによって、行える動作または取り得る状態が異なる。これについてより具体的に述べると、各端末は、その属するカテゴリによって異なる権限を持つということができる。
【0112】
カテゴリによって端末の権限が異なる例としては、本発明の実施の形態では、後に述べるように、教師端末は、生徒端末の機能を制御できることが挙げられる。また、各端末が、属するカテゴリによって自由に使用できる機器が異なるということも挙げられる。例えば、生徒端末が、AVアンプ105や大画面モニタ107を使用できるかどうかは、教師端末によって制御されるが、教師端末自身は、自由にこのような機器を使用できるのである。この例では、教師端末101は自由に使用できる機器の範囲が生徒端末102に比べて広いということになる。
【0113】
なお、生徒端末が決して使用を許可されない機器を設けてもよい。例えば、AVアンプ105については生徒端末からは決して音声信号を出力できないように構成し、それ以外については生徒端末と教師端末の使用できる機器は同じに構成してもよい。この場合は、教師端末の方が、生徒端末に比べて使用できる機器の範囲が単純に広いということになる。
【0114】
つまりこの例では、各端末に与えられた権限とは、制御または使用できる機能、または制御または使用できる機器、または制御できる他の端末の範囲を決定するものである。
【0115】
このような、権限がカテゴリによって異なる構成は、教室や、企業など、指示系統が明確な集団での使用に特に適したものといえる。上記の例ではカテゴリの数は教師端末・生徒端末の2つであるが、保護者が用いる保護者端末、教師以外の学校職員が用いる職員端末など別の端末のカテゴリを設け、または追加してもよい。この場合も、上記と同様に、それぞれの端末のカテゴリに対応した認証を行うことで、1種類の端末を複数のカテゴリに属する端末として動作させることが可能となる。
【0116】
このようなカテゴリは学校での使用を予期したものであり、もちろん他の使用局面では、他のわけ方があり得る。例えば、企業であれば、一般従業員が使用する端末、マネージャーが使用する端末のカテゴリを設け、後者の権限をより大きくすることが考えられる。この場合、マネージャーが使用する端末の使用にあたっては、図7や図10を用いて説明した教師端末としての認証と同じ方法が用いられる。
【0117】
目的によっては、各カテゴリの持つ権限を階層的に構成し、上位のカテゴリほど権限を大きくしてもよい。例えば、他のカテゴリに属する端末の制御できる項目が多いとか、使用できる機器の種類が多いように構成することとしてもよい。
【0118】
また、権限を階層的に構成するばかりが常に望ましいのではなく、ある機器または機能については、あるカテゴリに属する端末が大きな権限を有するが、別の機器または機能については、別のカテゴリに属する端末が大きな権限を有するような構成も可能である。これは、例えば、企業であれば、個々の部署によって、取り扱いに習熟している機器または機能が異なる場合に有効な構成となる。
【0119】
なお、第1の実施の形態では、主に、教師端末から生徒端末の制御を行うために、教師端末から生徒端末への通信が主であったが、もちろん、生徒端末から教師端末への通信を行うこととしてもよい。そうすることによって可能となる主なアプリケーションの例としては、生徒の回答を生徒端末から教師端末に送信して、教師が生徒の回答を採点するなどが考えられる。
【0120】
また、生徒端末同士が、通信部303を介して通信しあうこととしてもよい。そうすることによって可能となる主なアプリケーションとしては、たとえば、生徒同士が互いの回答やメッセージをやり取りするなどが挙げられる。
【0121】
また、教師端末から生徒端末を制御するコマンドの他の例として、現在指定している1つまたは複数のコンテンツ以外のコンテンツの再生を禁止するなどとしてもよい。例えば、英語の授業中に、数学の教科書の再生を禁止する、あるいは歴史の授業中には歴史の教科書と副読本以外の再生を禁止するなどである。
【0122】
このように、第1の実施の形態の情報処理システムにおいては、少なくとも1つのカテゴリに属する端末は、少なくとも1つの別のカテゴリに属する端末の機能を制御することができる。したがって、電子的な端末に固有の機能を持たせつつも、集団での授業に不適切な使用を防ぐような制御を可能にすることで、紙の教科書に取って代わることができる。
【0123】
なお、教師端末がAVアンプ105の音量や音質を制御したり、大画面モニタ107の画質を制御するなど、一般的なリモコンの機能を持たせることとしてもよい。
【0124】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態における情報処理システムの構成は、第1の実施の形態で示した情報処理システムの構成と同様である。したがって、その構成については説明を繰り返さない。なお、本実施の形態においても、端末101〜104の代表として端末102を用いて説明する。また、端末101が教師端末を、端末102が生徒端末を示すこととして説明する。
【0125】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で教師端末101が生徒端末102に送信するコマンドのパラメータが異なる。実施の形態2では、教師端末101から発生させるコマンドのパラメータとして、生徒端末102〜104の端末識別情報を指定する代わりに、その生徒端末102〜104のユーザを識別する、ユーザ識別情報を入力する。
【0126】
以下、本発明の第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0127】
図16に示されるように、ROM208は8つの領域に分かれている。それぞれの領域には、図8に示したROM308と同様に、イニシャルプログラム901、教師端末用プログラム902、教師端末用データ903、生徒端末用プログラム904、生徒端末用データ905、共通プログラム906、共通データ907が格納され、第2の実施の形態ではさらに、変換テーブル1101が格納される。
【0128】
変換テーブル1101の構成例を図17に示す。実施の形態2において、変換テーブル1101は、ユーザ識別情報1102と端末識別情報1103とが対応付けられたテーブルとなっている。ユーザ識別情報1102は、端末101〜104のユーザ名を示し、端末識別情報1103は、端末101〜104の端末識別情報である端末番号を示す。“ANY_USER”は、全ユーザを示す、仮想的なユーザ名であり、対応する(−1)という端末識別情報は全ての生徒端末を示す。これは、発明の第1の実施の形態で、全ての生徒端末を示す仮想的な端末番号として(−1)を用いたのに合わせたものである。
【0129】
なお、本発明の第2の実施の形態では対応テーブルはROM208上にあり、生徒端末102〜104の使用状況に合わせて動的に更新できるわけではない。したがって、ユーザ識別情報1102は、端末101〜104の想定されるユーザに対応するものであり、実際にそのようなユーザが端末101〜104を使用中であるかどうかを反映しているわけではない。
【0130】
ユーザ識別情報1102(ユーザ名)から端末識別情報1103(端末番号)が一意的に得られるのであれば、異なるユーザ識別情報1102(ユーザ名)が同じ端末識別情報1103(端末番号)に対応してもよい。これは特に、ここで述べたような変換テーブル1101がROM208で実現されている場合、変換テーブル1101の汎用性を高めることになる。
【0131】
ここではユーザ識別情報1102を大文字アルファベットとしているが、もちろん漢字、ひらがな、カタカナあるいはその他の言語の文字で格納することも可能であるし、出席番号など、他の情報でもかまわない。なお、端末識別情報1103についても、ここで挙げた端末番号が唯一の例ではないのはすでに述べたとおりである。
【0132】
次に、教師端末101および生徒端末102の動作を、図18のフローチャートを用いて説明する。端末101のユーザは、パラメータとしてユーザ識別情報1102を含むコマンドを入力装置204から入力する(ステップS1501)。ステップS1501におけるシステムの動作は図13に示したステップS1401におけるシステムの動作とほぼ同様であるが、コマンドに含まれるパラメータとして、端末識別情報の代わりにユーザ識別情報が用いられている点が異なる。
【0133】
CPU201は、変換テーブル1101を参照して、コマンドにパラメータとして含まれるユーザ識別情報1102を端末識別情報1103に変換する(ステップS1502)。そして、CPU201は、変換された端末識別情報1103を含むコマンドを、通信部203から端末102に送信する(ステップS1503)。ステップS1503およびそれ以降のシステムの動作は、第1の実施の形態の情報処理システムのステップS1402およびそれ以降の動作と同様である。これはステップS1502によって、コマンドはパラメータとして端末識別情報を含む、第1の形態の情報処理システムで用いられたのと同じ形式となっているからである。端末102は通信部303にてコマンドを受信する(ステップS1504)。ついで端末102が、受信したコマンドに応じた動作を行う(ステップS1505)。
【0134】
ここまで、教師端末からの生徒端末の識別への応用について主に説明してきたが、生徒端末、教師端末同士の識別でも同じ方法を用いてもよい。
【0135】
本発明の第2の実施の形態では、複数の端末が存在し、それぞれに対応づけられたユーザが存在する場合に、端末識別情報によって端末を指定する代わりに、対応づけられたユーザをユーザ識別情報によって指定することで、特に、他のユーザが使用している端末の制御を行うことが容易となる。なお、ユーザ識別情報を、ユーザ自身が使用している端末の指定に用いることも可能である。
【0136】
このように、端末識別情報が、一般に各ユーザから見えにくく、したがって記憶もしにくいのに対し、その端末を使用しているユーザを指定するユーザ識別情報は、端末入れ替えなどがあったとしても、影響を受けることがないというメリットがある。また、本来該当ユーザ自身の情報は記憶しやすく、また記憶することが前提となっていることなどから、容易に他の端末の制御を行なうことができる。
【0137】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態における情報処理システムの構成は、第1の実施の形態および第2の実施の形態に示した情報処理システムの構成と同様である。したがって、その構成については説明を繰り返さない。なお、本実施の形態においても、端末101〜104の代表として端末102を用いて説明する。また、端末101が教師端末を、端末102が生徒端末を示すこととして説明する。
【0138】
第3の実施の形態では、上記第2の実施の形態においてROM208に存在した端末識別情報への変換テーブルを、RAM202に置くように構成したものである。これにより、変換テーブルを書き換え可能に構成することが可能となる。
【0139】
以下、起動スイッチ205、起動スイッチ305の操作によって端末が起動された直後の端末102の動作について、図19のフローチャートを用いて説明する。
【0140】
図19を参照して、CPU301は、イニシャルプログラム901を実行する(ステップS1601)。イニシャルプログラム901の動作に従い、ユーザ識別情報とパスワードとが入力装置304からユーザによって入力される(ステップS1602)。CPU301は、入力されたユーザ識別情報(ユーザ名)とパスワードとを認証情報メモリ309と照合することで認証を行う(ステップS1603)。認証に成功した場合は(ステップS1603でYES)、教師端末用プログラム902を実行して(ステップS1604)この処理を終了する。
【0141】
一方、認証に失敗した場合は(ステップS1603でNO)、CPU301は、ステップS1602で入力されたユーザ識別情報(ユーザ名)を端末識別情報メモリ311の内容とペアにして教師端末101に送信する(ステップS1605)。ついでCPU301は生徒端末用プログラム904を実行する(ステップS1606)。
【0142】
端末101は端末102から送信されたユーザ名と端末識別情報とを通信部203で受信する(ステップS1607)。ついで、CPU201は、受信したユーザ名と端末識別情報とのペアを、RAM202の上にある変換テーブル1101に追記して(ステップS1608)、この処理を終了する。
【0143】
もちろん、新たなユーザまたは端末が、本発明の第3の実施の形態の情報処理システムに参加するたびに、ステップS1601からの処理が繰り返される。
【0144】
変換テーブル1101の使用のされ方は発明の第2の実施の形態の、特にステップS1501からステップS1505の説明で述べた通りである。
【0145】
また、ログオフにあたる端末102の操作シーケンスを定めておけば、そのような動作がなされた場合には、上記ステップS1607で変換テーブル1101に追記された内容を削除することもできる。
【0146】
上述のように、本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態と異なり、変換テーブル1101はRAM202上にあり、生徒端末102〜104の使用状況に合わせて動的に更新できるので、ユーザ識別情報1102は、実際にそのようなユーザが各端末102〜104を使用中であることを表していることになる。
【0147】
このように端末の識別情報と、ユーザの識別情報との対応を動的に得て、それを元に、ユーザの識別情報から端末の識別情報に変換するように構成することで、第2の実施の形態で述べたメリット、すなわち、より容易に他端末の制御が行えるというメリットに加えて、生徒は端末の貸し借りなども自由にでき、また故障した端末の入れ替えを自在に行えるというメリットが得られる。
【0148】
なお、これまでは各コマンドを入力する手段として端末101の入力装置204を用いるとして説明してきたが、図20のようにコマンドを入力する手段としてコマンド入力装置2109を教師端末101から独立させた形態としてもかまわない。
【0149】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態における情報処理システムの構成を図21に示す。
【0150】
図21を参照して、第4の実施の形態における情報処理システムは、図1で示した端末101、102、103、104、およびAVアンプ105、スピーカ106、大画面モニタ107、に加えて、サーバ1209を含む。そして、これらの各構成要素は、通信回線108によりつながれる。サーバ1209以外の構成は、第1〜第3の実施の形態と同様であるので、他の構成要素の動作および構成についての説明を繰り返さない。なお、本実施の形態においても、端末101〜104の代表として端末102を用いて説明する。また、端末101が教師端末を、端末102が生徒端末を示すこととして説明する。
【0151】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態において、RAM202に存在した変換テーブルを、教師端末101ではなく、共用のサーバ1209に置くように構成したものである。したがって、以下、上記第3の実施の形態との相違についてのみ述べる。なお、基本となる構成については、適宜実施の形態1と比較して述べる。
【0152】
サーバ1209は、図22に示すようにCPU1301、RAM1302、ROM1303、外部記憶装置1304、入力装置1305、ディスプレイ1306、通信部1307およびそれらを結んでいるデータバス1308からなる。通信部1307は、通信回線108と接続され、データのやりとりを行う。入力装置1305については、通常用いられるようなキーボード、マウスをここで想定するが、他の構成であってもかまわない。
【0153】
以下、起動スイッチ305のON操作によって端末が起動された直後の端末102およびサーバ1209の動作について、図23のフローチャートを用いて説明する。
【0154】
図23を参照して、CPU301は、イニシャルプログラム901を実行する(ステップS1701)。イニシャルプログラム901の動作に従い、ユーザ識別情報(ユーザ名)とパスワードとが入力装置304からユーザによって入力される(ステップS1702)。CPU301は、入力されたユーザ識別情報(ユーザ名)とパスワードを認証情報メモリ309と照合することで認証を行う(ステップS1703)。認証に成功した場合は(ステップS1703でYES)、教師端末用プログラム902を実行して(ステップS1704)、この処理を終了する。
【0155】
一方、認証に失敗した場合は(ステップS1703でNO)、CPU301は、ステップS1702で入力されたユーザ識別情報(ユーザ名)を端末識別情報メモリ311の内容とペアにしてサーバ1209に送信する(ステップS1705)。ついでCPU301は生徒端末用プログラム904を実行する(ステップS1706)。
【0156】
サーバ1209は、生徒端末102から送信されたユーザ識別情報(ユーザ名)と端末識別情報とを通信部1307で受信する(ステップS1707)。ついで、CPU1301は、受信したユーザ識別情報(ユーザ名)と端末識別情報とのペアを、RAM1302の上にある変換テーブル1101に追記する(ステップS1708)。
【0157】
なお、ログオフにあたる端末102の操作シーケンスを定めておけば、そのような動作がなされた場合には、上記ステップS1707で変換テーブル1101に追記された内容を削除することもできる。
【0158】
次に、変換テーブル1101の使用方法について、図24のフローチャートを用いて説明する。上記第2の実施の形態の図18と同じ動作については同じステップ番号を付す。
【0159】
端末101のユーザは、パラメータとしてユーザ識別情報1102を含むコマンドを入力装置204から入力する(ステップS1501)。CPU201は、ユーザ識別情報1102を含むコマンドを送信する(ステップS3901)。そして、サーバ1209は、通信部1307でユーザ識別情報1102を含むコマンドを受信する(ステップS3902)。
【0160】
次に、サーバ1209のCPU1301は、RAM1302の変換テーブル1101を参照して、ユーザ識別情報1102を端末識別情報1103に変換する(ステップS3903)。そして、サーバ1209は、端末識別情報1103を含むコマンドを、通信部1307から端末102に送信する(ステップS3904)。
【0161】
そして、端末102は通信部303にて、端末識別情報1103を含むコマンドを受信する(ステップS1504)。ついで端末102が、受信したコマンドに応じた動作を行う(ステップS1505)。
【0162】
このように、本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態と、変換テーブル1101の物理的な所在を除けば動作に本質的な違いはない。
【0163】
なお、ここまでの説明では、変換テーブル1101が物理的には一箇所に集中して存在するように説明したが、ネットワークで各端末が接続されている状況では、端末102〜104に分散した各端末の端末識別情報と、それぞれの端末を現在使用中のユーザに対応するユーザ識別情報とのペアを端末102〜104が持っていることとしてもよい。このようにすれば、ネットワーク上に分散したデータを集合的に参照することで、変換テーブル1101というテーブルがあると見なして動作することも可能である。
【0164】
なお、上記第3の実施の形態と第4の実施の形態との違いは、単に変換テーブル1101を物理的にどこにおくかの違いである。また、ユーザ識別情報を、端末識別情報に変換する手段としては、変換テーブル1101のようなテーブル形式でなくても、対応が取れれば他の形式であってもかまわない。また、既述した通り、ユーザ識別情報を、端末識別情報に変換する手段は、アクセスさえできれば、サーバ1209に置いても、端末101に置いても、分散的な形式で端末102に置いてもよい。
【0165】
さらには、例えば、各コマンドを入力する手段や、各コマンドが対象とする端末を判定する手段など、他の構成要素についても、構成要素同士が通信回線で結ばれていれば、通信時間やエラーが無視できる状況では、それらが物理的にどこに所在してもかまわない。後に発明の第8の実施の形態でみるように、生徒が身に着けた名札が、変換テーブルとして動作することも、そのような名札も通信回線で結ばれていれば、特に支障がない。
【0166】
例えば各コマンドを入力する手段を端末101に含まれた形態でこれまで説明してきたが、コマンドをサーバ1209の入力装置1305から入力することとしてもよい。
【0167】
また、各コマンドが対象とする端末の判定が、これまでの説明では、各端末102〜104で行われているが、たとえば、このような判定をサーバ1209などで行うこととしてもよい。この場合、各端末102はその結果を通信部303で受け取ることになる。
【0168】
なお、ここまで、ユーザ識別情報と端末識別情報を変換する、識別情報変換手段として、変換テーブルを用いてきたが、たとえば以下のような方法を用いて変換することとしてもよい。ユーザ識別情報を素数で表し、端末識別情報を別の素数で表し、その積を配列という形態でサーバ1209のRAM1302に記録しておく。ここで、端末識別情報とユーザ識別情報とに用いる素数の集合を重なりがないように定めておくものとする。
【0169】
このときの、識別情報変換手段としてのサーバ1209の動作を図25のフローチャートに基づいて説明する。以下、ユーザ識別情報と端末識別情報の配列をP[i](i=0、1、・・・)で表す。
【0170】
サーバ1209のCPU1301は、配列インデックスiを0に初期化する(ステップS3801)。ついで、P[i]が入力されたユーザ識別情報で割り切れるかどうかを検査する(ステップS3802)。割り切れれば(ステップS3802でYES)、P[i]を入力されたユーザ識別情報で割って端末識別情報に変換する(ステップS3803)。そして、変換された端末識別情報を出力して(ステップS3804)終了する。
【0171】
一方、ステップS3802でP[i]が入力されたユーザ識別情報で割り切れなければ(ステップS3802でNO)、CPU1301は配列インデックスiをインクリメントする(ステップS3805)。CPU1301は配列インデックスiが、配列の長さ(Nとする)と一致しているかどうかを判定する(ステップS3806)。
【0172】
ステップS3806で配列インデックスiがNと一致していれば(ステップS3806でYES)、端末識別情報として、エラーを表す(−1)という値を代入する(ステップS3807)。これは、iがP[i]のいずれとも一致しないことを示すからである。正常な状態では、P[i]の作り方から、各端末識別情報とユーザ識別情報の対応が一意的である限りは入力されたユーザ識別情報によってP[i]が割り切れるようなiは1つだけ常に存在することに注意する。したがって、iがP[i]のいずれとも一致しないのは、後で述べるような悪意あるユーザによるRAM1302の内容の変更などの問題が考えられるので、エラーを表す(−1)という値を端末識別情報に代入することにしたものである。もちろん、この(−1)という値は一例であって、正常な端末識別情報と区別ができれば、他でもよい。また、端末識別情報の値以外の手段で、エラー終了を他の構成要素に伝えることができればそれでもよい。
【0173】
このような形態のメリットとしては、2つの素数を十分大きくとることで、その積から、端末識別情報やユーザ識別情報の少なくとも1つを知らずに、他方を知ることが大変困難になるため、RAM1302の内容を悪意あるユーザが読み出せても、端末識別情報と識別情報との対応を変更してしまうなどの悪用を行うことが困難になることが挙げられる。この例では、上で説明したように、RAM1302の値を変更しても、それが素数の積となっていなければ、端末識別情報への変換時に、エラーとなるからである。
【0174】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態における情報処理システムの構成は、第1〜第3の実施の形態で示した情報処理システムの構成と同様である。したがって、その構成については説明を繰り返さない。なお、本実施の形態においても、端末101〜104の代表として端末102を用いて説明する。また、端末101が教師端末を、端末102が生徒端末を示すこととして説明する。
【0175】
第5の実施の形態では、変換テーブル1101を、生徒端末102がコマンドを受信した際に参照するようにしたものである。以下、発明の第2の実施の形態との相違について説明する。
【0176】
以下、図26のフローチャートを用いて、教師端末101および生徒端末102の動作を説明する。なお、図18に示した処理と同じ動作については、同じステップ番号を付す。
【0177】
教師端末101のユーザは、ユーザ識別情報を含むコマンドを入力装置204から入力する(ステップS1501)。CPU201は、入力されたユーザ識別情報を含むコマンドを通信部203から生徒端末102に送信する(ステップS1802)。生徒端末102は通信部303にてユーザ識別情報を含むコマンドを受信する(ステップS1803)。ついで生徒端末102が、受信したコマンドに応じた動作を行う(ステップS1804)。ここまでの説明で分かるように、コマンドにパラメータとして含まれるユーザ識別情報の端末識別情報への変換が、ステップ1803に到るまで行われていない。
【0178】
ステップS1804における生徒端末102の動作を図27のフローチャートに基づいて説明する。
【0179】
通信部303がコマンドを受け取る(ステップS1901)。なお、このステップS1901の処理は、上記ステップS1803に対応する処理である。
【0180】
CPU301は、受け取ったコマンドからユーザ識別情報を取り出す(ステップS1902)。CPU301は、ステップS1902で取り出されたユーザ識別情報を変換テーブル1101を用いて端末識別情報に変換する(ステップS1903)。
【0181】
CPU301は、ステップS1903で得られた端末識別情報が(−1)であるかどうかを判断する(ステップS1904)。端末識別情報が(−1)であれば(ステップS1904でYES)、ステップS1907に進む。
【0182】
一方、端末識別情報が(−1)でなければ(ステップS1904でNO)、CPU301は、コマンドから取り出された端末識別情報を端末識別情報メモリ311の内容と比較する(ステップS1905)。一致しなければ(ステップS1905においてNO)、現在の動作を続けて(ステップS1906)終了する。
【0183】
なお、変換テーブル1101には、(−1)という端末識別情報が、“ANY_USER”というユーザ識別情報に対応したものとして含まれるため、ステップS1904でも(−1)という端末識別情報が出現し得ることに注意する。
【0184】
ステップS1907において、CPU301はコマンド番号が10であるかどうかを判断する。コマンド番号が10であれば(ステップS1907でYES)、CPU301は、システム状態バックアップメモリ313の内容をシステム状態メモリ312にコピーして(ステップS1908)、ステップS1911に進む。
【0185】
コマンド番号が10でなければ(ステップS1907でNO)、CPU301は、システム状態メモリ312の内容をシステム状態バックアップメモリ313にコピーする(ステップS1909)。
【0186】
ついで、CPU301は、コマンドおよびそこに含まれるパラメータ、システム状態メモリ312、システム状態バックアップメモリ313の現在の内容から、システム状態メモリ312、システム状態バックアップメモリ313の内容を変更して(ステップS1910)、ステップS1911に進む。
【0187】
ステップS1911において、CPU301は、システム状態メモリ312の更新された内容に合わせて、システムの状態を変更する。以上で、この処理を終了する。
【0188】
なお、通信部303が受信するコマンドにユーザ識別情報が含まれていることを利用すれば、以下のような構成も可能となる。すなわち、端末102自体が現在使用中のユーザに対応するユーザ識別情報を保持しているのであれば、それを受信したコマンドに含まれるユーザ識別情報と比較することで、当該コマンドが、自身を対象にするものであるかどうかを判断でき、変換テーブル1101を省略できる。
【0189】
ただし、このような構成では、同じユーザが複数の端末を用いているなどの理由でユーザ識別情報が一致した二つの端末があると、その2つの端末を区別して制御することは不可能になる。それに対して、変換テーブル1101があれば、そのようなケースでも、例えば変換テーブル1101で、ユーザ識別情報から端末識別情報を一意的に得られないという警告を、生徒端末102から教師端末101に送信したりしてもよい。また、そのような場合のみ、それぞれの端末識別情報を教師端末101に表示して、いずれを選ぶかを再度入力させることや、同じユーザ識別情報を持っている端末それぞれのスピーカ307から警告音を発生させるなどの動作も可能となる点でより好ましい。
【0190】
なお、変換テーブル1101は、第4の実施の形態と同様に、サーバなど、生徒端末102と物理的に離れたところに置いてもかまわない。このように、変換テーブル1101が物理的にどこに存在するかは、第5の実施の形態における情報処理システムの動作において重要なことではない。
【0191】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態における情報処理システムにかかる構成を、図28に示す。第6の実施の形態にかかる情報処理システムは、端末101,102,103,104、およびAVアンプ105、スピーカ106、大画面モニタ107に加えて、名札2308,2309,2310、および、空間属性情報発信機2311,2312を備える。そして、これらの各構成要素は通信回線108によりつながれる。
【0192】
発明の第6の実施の形態の構成要素の動作は、名札2308,2309,2310、空間属性情報発信機2311,2312以外の構成は、第1〜第3の実施と同様であるので、他の構成要素の動作および構成についての説明は繰り返さない。なお、本実施の形態においても、端末101〜104の代表として端末102を用いて説明する。また、端末101が教師端末を、端末102が生徒端末を示すこととして説明する。
【0193】
第6の実施の形態では、生徒端末102の使用にあたって、生徒を識別する名札2308〜2310を、生徒端末102の制御および使用に利用するものである。すなわち、後に詳述するように、名札2308〜2310にある個人情報によって、端末102に自動的にログインする。なお、本実施の形態において「ログイン」とは、端末の使用が許可されることも含むものとする。
【0194】
名札2308,2309,2310は、生徒端末102,103,104のユーザによって、1ユーザあたり1台の割合で所持されることを想定したものである。なお、第6の実施の形態において、生徒端末102,103,104や名札2308,2309,2310が3台として説明するが、他の台数であってもよい。また、空間属性情報発信機2311,2312の台数についても、ここでは2台としているが、他の台数でもよい。
【0195】
また、以下、「個人情報」とは、伝統的な名札に表示される氏名や学年、役職などを含むこととする。
【0196】
空間属性情報発信機2311,2312はその設置された箇所を示す空間属性情報を送信している。以下、空間属性情報発信機2311および空間属性情報発信機2312の構成は、その発信する空間属性情報の内容以外は同様なので、空間属性情報発信機2311に関する説明は、特記しない限りは、空間属性情報発信機2312にも該当するものとする。
【0197】
空間属性情報発信機2311が送信する空間属性情報の例を図29に示す。これは、学校内での使用を想定した例である。以下、特記しない限りは、「クラス」とは、たとえば「1年B組」の「B組」のように、学年の情報を伴わない「学級」の意味で用いる。
【0198】
空間属性情報発信機2311が送信する空間属性情報は、クラス識別情報3001、学年識別情報3002、学校識別情報3003からなる。ただし、クラス識別情報3001、学年識別情報3002は、特定のクラスにも学年にも対応しない(物理的な)スペースに空間属性情報発信機2311が設置されているときは、空となっている。特定のクラスにも対応しないが、特定の学年に対応するようなスペース(同じ学年の各クラスに共用されているスペース)がもしあれば、そのようなスペースに設置された空間属性情報発信機2311が送信する空間属性情報では、クラス識別情報3001のみが空となる。
【0199】
またどの学校にも属さないスペース(学校以外のスペース)に空間属性情報発信機2311が設置されているときは、この2つに加えて、学校識別情報3003も空とする。
【0200】
なお、「なりすまし」などを防ぐために、空間属性情報発信機2311は空間属性情報を暗号化して送信し、名札2308はそれを受信した後に復号することとしてもよい。
【0201】
次に、名札2308の構成例を図30に示す。名札2308は、CPU2401、個人情報メモリ2402、通信部2403、ディスプレイ2404、表示スイッチ2405、RAM2406およびそれらの構成要素をつなぐデータバス2407からなる。通信部2403を介して名札2308の各構成要素は通信回線と結ばれている。ディスプレイ2404はフルドット表示が行えるものとする。なお、本実施の形態において、RAM2406は必ずしも必要ではないため、設けないこととしてもよい。
【0202】
名札2309、名札2310の構成および各構成要素の動作についても、個人情報メモリ2402の内容以外は、名札2308と同一とする。したがって、以下特記しない限り、名札2308に関する説明は、名札2309、名札2310にも該当するものとする。
【0203】
ディスプレイ2404には、個人情報メモリ2402の内容に基づいた表示が行われる。図31は個人情報メモリ2402の構成を説明する図である。
【0204】
図31(a)は、個人情報メモリ2402に格納されるデータの種類を説明したものである。ここでは学校での使用を想定した例を示す。個人情報メモリ2402には、ユーザ個人の階層情報である、名2801、姓2802、第一タイトル2803、第二タイトル2804、クラス識別情報2805、学年識別情報2806、学校識別情報2807、名読みがな2810、姓読みがな2811、および、ユーザ識別情報2808、パスワード2809が格納される。
【0205】
このような個人情報メモリ2402に格納されるデータの具体例を図31(b)に示す。たとえば、名2801として「○郎」、姓2802として「△川」、第一タイトル2803として「動物愛護委員」、第二タイトル2804として「日直」が格納される。また、クラス識別情報2805として「B組」、学年識別情報2806として「1年」、学校識別情報2807として「☆山中学校」、ユーザ識別情報2808として「TARO」、パスワード2809として「RIVER」、名読みがな2810として「・・ろう」、姓読みがな2811として「・・かわ」が格納される。
【0206】
なお、図31に示す例は模式的なものであって、実際にどのように個人情報メモリ2402にここで図示した情報が格納されるかについては、本発明にとって本質的なことではないので、詳細に立ち入らない。
【0207】
図31に示した個人情報メモリ2402の例を用いた場合の、ディスプレイ2404における表示例を図32に示す。
【0208】
図32(a)は、名2801と姓2802とを表示するものであり、「△川 ○郎」が表示される。これは、名札2308を着けたユーザがクラス識別情報2805が示す教室にいる場合に用いることを主に意図している。すなわち、名2801および姓2802以外の属性は、周囲の人間には明らかに周知なので、表示する意味があまりない。したがって名2801と姓2802のみを表示しているのである。のちの図32(b)との比較で分かるように、図32(a)では表示する情報が少ないことを利用して、大きなフォントを用いて表示する。そうすることで、より見やすくすることができる。ここで、ディスプレイ2404がフルドット表示が行えることを活用する。なお、このようなディスプレイ2404は、必ずしもフルドット表示が行えなくてもかまわない。
【0209】
図32(b)は、名2801、姓2802、クラス識別情報2805および学年識別情報2806を表示するものであり、「1年B組 △川 ○郎」が表示される。これは名札2308を着けたユーザが、クラス識別情報2805で示される教室の外であるが、学校2807の校舎、校地など、学校2807の施設内にいる場合に用いることを主に意図している。この場合は、そのユーザがどのクラスに属するかは、ユーザの姓、名とならんで、周囲の人間にとって周知とは限らないため、重要性が高いと考えられるのでいずれの情報も表示するようにしたものである。
【0210】
図32(c)は、名札2308を着けたユーザが学校識別情報2807が示す施設の外にいる場合に用いることを主に意図した所属する学校の外で表示する例である。この場合は、そのユーザが所属する学校の情報が重要となり、逆にそのユーザがどの学年やどのクラスに属するかは学校の外でそのユーザが出会う人々にとっては、少なくとも通常の状況では重要性が低い。また、個人名などを表示することは個人情報保護の見地からは必ずしも望ましくない。したがって、表示するのは学校識別情報2807のみとし、「☆山中学校」と表示される。また、この場合も図31(a)と同じように、フォントを大きめにして視認性を高めている。
【0211】
ユーザ識別情報2808およびパスワード2809については、名札2308の表示には用いられていないがその役割については後述する。第一タイトル2803、第二タイトル2804についても後述する。
【0212】
なお、たとえば学校識別情報2807が示す施設の外でもユーザの名2801、姓2802を表示したり、あるいは逆に何の表示も行わないこととしてもかまわない。
【0213】
また、図31で示した以外の個人情報メモリの例であってもよい。たとえば名2801、姓2802を分離しないこととしてもかまわない。
【0214】
図32(a)(b)(c)で例をあげたような表示の切り替えは、表示スイッチ2405によってユーザが行う構成とすることができる。しかし、さらに有効なものとするために、本発明の第6の実施の形態では、このような表示の切り替えを空間属性情報発信機2311の送信する空間属性情報によって自動的に行う。
【0215】
図33は、そのように構成された名札2308の動作を示すフローチャートである。ここでは図32に示したように、クラス内用、校内用、校外用の3種類の表示を区別する。
CPU2401は、通信部2403から、上記で述べた空間属性情報を受信する(ステップS2901)。
【0216】
次いでCPU2401は、空間属性情報の受信に成功したかどうかを判定する(ステップS2902)。空間属性情報の受信に成功しなければ(ステップS2902でNO)、CPU2401は、図32(c)で示されているような校外用の表示を行い(ステップS2903)、処理を終了する。これは、多くの場合、空間属性情報の受信に成功しないのは、空間属性情報を送信している空間属性情報発信機が近くに設置されていないことを意味するので、校外にいる可能性が高いと考えられるためである。そのため、最も一般性のある集団を想定した表示を行うのである。
【0217】
ステップS2902で受信に成功していれば(ステップS2902でYES)、CPU2401は、受信した空間属性情報に含まれる学校識別情報3003と、個人情報メモリ2402に含まれる学校識別情報2807とを比較する(ステップS2904)。一致しなければ(ステップS2904でNO)、CPU2401は図32(c)で示されているような校外用の表示を行い(ステップS2903)、終了する。これは名札2308を着けたユーザが、所属しているのとは別の学校にいることを示しているからである。
【0218】
ステップS2904で両者が一致すれば(ステップS2904でYES)、CPU2401は、受信した空間属性情報に含まれる学年識別情報3002と、個人情報メモリ2402に含まれる学年識別情報2806とを比較する(ステップS2905)。一致しなければ(ステップS2905でNO)、CPU2401は図32(b)で示されているような校内用の表示を行い(ステップS2906)、終了する。
【0219】
ステップS2905で両者が一致すれば(ステップS2905でYES)、CPU2401は、受信した空間属性情報に含まれるクラス識別情報3001と、個人情報メモリ2402に含まれるクラス識別情報2805とを比較する(ステップS2907)。一致しなければ(ステップS2907でNO)、CPU2401は図32(b)で示されているような校内用の表示を行い(ステップS2906)、終了する。
【0220】
一方ステップS2907で両者が一致すれば(ステップS2907でYES)、CPU2401は図32(a)で示されているようなクラス内用の表示を行い(ステップS2908)、終了する。
【0221】
肩書きなど、姓、名以外の個人の属性についても、それが意味のある場合にのみ表示するという考え方を適用すれば、姓や名と同じ考え方で制御が可能である。たとえば、クラスの中で任命されている委員を示す第一タイトル2803、第二タイトル2804は、当人がクラス識別情報2805で示された教室にいる場合には表示することには意味があるが、校外では通常の状況では表示することに意味がないと考えられるので、そのように制御すればよい。以上のようなことを前提とした、クラス内での表示例を図34(a)に示す。もちろん、第一タイトル、第二タイトルが、クラスの外でも、校内では意味があるのであれば、そのような表示を校内用に行えばよい。そのような表示例を図34(b)に示す。
【0222】
ここでは、通常の意味での名札では表示が困難な、一時的な役柄である「日直」なども、表示するようにしている。これも、通常の意味での名札に対する、本発明の名札2308の利点の一つである。
【0223】
このような構成は、例えば個人情報メモリ2402を書き換え可能なものとして構成して、通信部2403から一定のコマンドを受信すれば、CPU2401が個人情報メモリ2402を書き換えるように構成すれば可能である。
【0224】
このような名札2308の動作を一般的に表現すれば、個人情報の下記の1〜5の性質を用いて、効率的に個人情報の表示を行い、また不要な個人情報を表示しないことによる個人情報の保護を行い、周囲の人間にとって必要な情報のみを表示することにより、より大きな文字で表示するなど、より見やすい個人情報の表示が可能とするものである。
【0225】
1.個人が属する複数集団の間には包含関係による階層が存在するものがあること、
2.個人の各時点での状況によっては、どの集団に属するかは、周囲の人間にとって周知あるいは当然の前提となること。したがってあらためて表示が不要となる情報があること、
3.当人と同一の集団に属さない人間にとっては、包含関係の階層の一定レベル以下のいずれの集団に当人が属しているかという情報は通常の状況では不要であること、
4.当人と同一の集団に属さない人間にとっては、通常の状況では不要な個人の属性があること、
5.集団には、対応する物理的なスペースが存在することが多い。
【0226】
例えば、図32に示した例では、人間の集団として、クラス⊆学年⊆学校という包含関係が前提となっている。言い換えれば、クラス識別情報2805が示すクラスという集団は、学年識別情報2806が示す学年という集団より下位の階層にあり、学年識別情報2806が示す学年という集団は、学校識別情報2807が示す学校という集団より、下位の階層にある。
【0227】
したがって、名札2308を着けたユーザと、同じ教室で授業を受けており、日ごろ行動を共にしている周囲の人間にとっては、少なくとも名札2308を着けたユーザが自分たちと同じクラスに属することは周知であり、したがって該ユーザがどのクラスに属しているかを、そのような周囲の人間を対象に、表示する必要性は低い。これが図32(a)のような表示を行うことが有用な理由である。つまり、上記1および2で述べた性質が用いられている。図32(b)において、学校識別情報を表示しないのも同様である。
【0228】
また、図32(c)で示したように、校外で姓、名を表示せず、学校識別情報のみを表示しているのは、上記3および4で述べた性質を利用したものである。
【0229】
また、上記のような制御ができるのは、クラスという集団にはその教室、学校の構成員という集団にはその校舎、校地というように、対応する物理的なスペースがあるため、空間属性情報によって、集団を判別することができるためである。このように5で述べた性質が利用されている。
【0230】
以上をより一般的に表現すれば、名札2308はそれを着けたユーザの状況に応じて、周囲の人間にとって関心が高い、あるいは重要度が高い、あるいはより理解しやすい内容または形態に適応的に変化させて、ユーザの個人情報を表示しているということになる。
【0231】
より理解しやすい内容を表示する別の例として、名札2308が受信した学年識別情報が、低年齢の学年を示す場合、個人情報メモリ2402の名読みがな2810、姓読みがな2811を、名2801、姓2802の代わりに表示してもよい。つまりこの場合はひらがなで表示される。なお、同じような考え方で、ローマ字、カタカナなどで表示することも、個人情報メモリ2402の構成をそのようにすれば可能となる。
【0232】
また、本発明の第6の実施における名札2308は、上述の、個人情報の一般的な性質を用いたものであるから、ここまで述べてきたような学校内での使用以外にも、広く応用可能である。ここではユーザとして学校の生徒を想定した例を挙げたが、このような表示を行う名札の応用範囲はこれに限らない。そのユーザの状況によって、表示すべき個人情報が異なるような場合には、ここで述べたような名札2308が応用可能である。
【0233】
図35(a)に、たとえば企業内での使用を想定した個人情報メモリ2402の例を示す。個人情報メモリ2402には、ユーザの階層情報である、名3201、姓3202、第一タイトル3203、第二タイトル3204、セクション識別情報3205、ディビジョン識別情報3206、企業識別情報3207、および、ユーザ識別情報3208、パスワード3209が格納される。
【0234】
第一タイトル3203および第二タイトル3204は、企業内での役職名を示す。人間が所属する集団として、セクション⊆ディビジョン⊆企業という包含関係を前提としており、ここではセクションとしては「課」、ディビジョンとしては「部」に相当している。なお、本実施の形態において、このような意味づけや階層のレベルの数に限られない。
【0235】
図35(b)には、企業での使用を想定した個人情報メモリ2402の具体的な例を示す。たとえば、名3201として「○郎」、姓3202として「△川」、第一タイトル3203として「課長」、第二タイトル3204として「社内美化委員」が格納される。また、セクション識別情報3205として「開発第一課」、ディビジョン識別情報3206として「開発部」、企業識別情報3207として「☆山工業株式会社」、ユーザ識別情報3208として「TARO」、パスワード3209として「RIVER」が格納される。
【0236】
以下、空間属性情報発信機2311は、各セクションや共用スペースなど、企業の施設内に適宜置かれているものとする。また、学校の例で述べたのと全く同様に、空間属性情報発信機2311から送信される空間属性情報の内容が個人情報メモリ2402の内容と比較できて、CPU2401は、名札2308を着けたユーザの所在が判定できるものとする。
【0237】
企業内での使用を前提とした空間属性情報発信機2311から送信される空間属性情報の内容の例を図36に示す。空間属性情報発信機2311が送信する空間属性情報は、セクション識別情報3401、ディビジョン識別情報3402、企業識別情報3403からなる。
【0238】
図37は、図35で述べた個人情報メモリ2402を用いた場合の、ディスプレイ2404における表示例を示す図である。
【0239】
図37(a)は、名札2308を着けたユーザが、所属するセクション内にいる場合の表示例であり、名3201、姓3202、第一タイトル3203、第二タイトル3204のみが表示されている。図37(b)は、同じユーザが、所属するディビジョンにいる場合の表示例であり、上記に加えて、セクション識別情報3205が表示されている。
【0240】
図37(c)は、同じユーザが、所属するディビジョン外の社内にいる場合の表示例であり、上記に加えてディビジョン識別情報3206が表示されている。図37(d)は、同じユーザが社外にいる場合の表示例であり、姓3202および企業識別情報3207のみが表示されている。
【0241】
図38は、図37のような表示を行うように構成された名札2308の動作を示すフローチャートである。
【0242】
CPU2401は、通信部2403から、上記で述べた空間属性情報を受信する(ステップS3501)。次いでCPU2401は、空間属性情報の受信に成功したかどうかを判定する(ステップS3502)。空間属性情報の受信に成功しなければ(ステップS3502でNO)、CPU2401は、図37(d)で示されているような社外用の表示を行い(ステップS3503)、処理を終了する。これは、多くの場合、空間属性情報の受信に成功しないのは、空間属性情報を送信している空間属性情報発信機が近くに設置されていないことを意味するので、社外にいる可能性が高いと考えられるためである。したがって、最も一般性のある集団を想定した表示を行うのである。
【0243】
ステップS3502で受信に成功していれば(ステップS3502でYES)、CPU2401は、受信した空間属性情報に含まれる企業識別情報3403と、個人情報メモリ2402に含まれる企業識別情報3207とを比較する(ステップS3504)。一致しなければ(ステップS3504でNO)、CPU2401は図37(d)で示されているような社外用の表示を行い(ステップS3503)、終了する。これは名札2308を着けたユーザが、所属しているのとは別の企業にいることを示しているからである。
【0244】
ステップS3504で両者が一致すれば(ステップS3504でYES)、CPU2401は、受信した空間属性情報に含まれるディビジョン識別情報3402と、個人情報メモリ2402に含まれるディビジョン識別情報3206とを比較する(ステップS3505)。一致しなければ(ステップS3505でNO)、CPU2401は図37(c)で示されているような社内用の表示を行い(ステップS3506)、終了する。
【0245】
ステップS3505で両者が一致すれば(ステップS3505でYES)、CPU2401は、受信した空間属性情報に含まれるセクション識別情報3401と、個人情報メモリ2402に含まれるセクション識別情報3205とを比較する(ステップS3507)。一致しなければ(ステップS3507でNO)、CPU2401は図37(b)で示されているようなディビジョン内用の表示を行い(ステップS3508)、終了する。
【0246】
一方ステップS3507で両者が一致すれば(ステップS3507でYES)、CPU2401は図37(a)で示されているようなセクション内用の表示を行い(ステップS3509)、終了する。
【0247】
なお、ここではこれまで空間属性情報を、空間属性情報発信機2311の送信によって得る例を説明してきたが、十分な精度が確保でき、またその出力結果と学校、クラス、企業、部署などの対応がつくのであれば、GPSを利用して空間属性情報を得ることも考えられる。いずれにしろ、個人情報メモリ2402の内容に基づいて、どのような表示をすべきかの決定に用いることができるような空間属性情報の取得手段があればよい。
【0248】
先に述べた、学校での応用例では、低学年に対して、名2801、姓2802の代わりに、名読み仮名2810、姓読み仮名2811を表示したのと同様に、異なる言語の文字の表記を個人情報メモリ2402に格納しておき、ユーザが所在するオフィスによって表示を切り替えこととしてもよい。このような表示の切り替えは、たとえば多国籍企業などで有効と考えられる。この場合、たとえば、同じ日本人のユーザの名札2308は、取得した空間属性情報より、米国のオフィスではローマ字表記を、日本のオフィスでは漢字表記で姓、名を表示することとなる。これも、名札2308の個人情報メモリ2402をそのように構成することで可能となる。その際、表示のレイアウトを少し変えて、米国のオフィスでは名、姓の順、日本オフィスでは姓、名の順に表示することとしてもよい。
【0249】
第6の実施の形態では、先に述べたように、名札2308にある個人情報によって、端末102に自動的にログインする。ここで、名札2308が端末102の認証にどのように用いられるかを説明する。
【0250】
図39は端末102における認証処理を示すフローチャートである。以下図39を用いて、端末102の動作を説明する。
【0251】
CPU301は、イニシャルプログラム901を起動する(ステップS2601)。CPU301は、名札2308に、個人情報メモリ2402に含まれる、ユーザ識別情報2808、パスワード2809の送信を要求する(ステップS2602)。
【0252】
CPU301は、通信部303で通信部2403から送信されたユーザ識別情報2808、パスワード2809を受信する(ステップS2603)。
【0253】
次いでCPU301は、ステップS2603で受信したユーザ識別情報2808とパスワードとを認証情報メモリ309の内容と照合して認証を行う(ステップS2604)。認証に成功した場合(ステップS2604でYES)は、生徒端末用プログラム904を実行する(ステップS2605)。認証に失敗した場合(ステップS2604でNO)は、終了する。
【0254】
このように、第6の実施の形態においては、名札2308の個人情報メモリ2402に含まれた情報を用いて自動的に端末102にログインすることができる。これにより、ユーザの操作の負担を軽減することができる。
【0255】
なお、ここでは、学校での使用を念頭において説明を行ったが、生徒端末でなくても、一般的な端末の認証に応用可能である。この場合も、ステップS2601〜ステップS2605と同様の処理を行なうことにより実現される。
【0256】
また、ここではユーザ識別情報とパスワードとのペアによって端末の認証を行う構成について説明したが、もちろんこれはあくまでも一例であって、名札2308が、ユーザ認証情報を送出する、ユーザ認証情報送出手段として機能すれば他の方法であってもよい。例えば、他の例として、非常に長く、第三者に類推されにくい文字列が、ユーザ識別情報およびパスワードの機能を兼ねたようなものも考えられる。この場合も、このような文字列の入力は自動的に行われるので、手で入力することが困難な文字列等をユーザ認証情報とすることができる。
【0257】
また、認証によるログインの自動化だけでなく、ログアウトの自動化も名札2308を用いて行うこととしてもよい。例えば、CPU301が、通信部303と名札2308の通信部2403との間で一定時間ごとに交信を行い、交信に成功しないときはCPU301は、ユーザがログアウトしたとみなすこととする。これは交信が途絶えた場合、ユーザが端末から離れたところに移動したことを示すと考えられるからである。ログアウトした場合、ユーザが再度使う場合には、ステップS2601からステップS2605に示した手順で、再び認証を行うものとする。このようにして、ユーザが端末102から離れた場合に、許可されていないユーザが端末を用いることを防ぐことができる。
【0258】
このように、ログインやログアウトを自動的に行なうことにより、より広い年齢層が端末を使用することが可能となる。また、多人数の集団では、全てのユーザが、端末のログアウトを確実に行っているかを把握することは困難であるので、ログアウトを自動化することにより、管理を容易にすることができる。
【0259】
また、第6の実施の形態で用いられる名札は、空間属性情報とユーザの階層情報とにより、複数の個人情報の中から表示のための個人情報を選択して表示することができる。これにより、周囲の状況に合わせた個人情報の表示を行なうことが可能となる。
【0260】
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態における情報処理システムの構成は、第6の実施の形態において示した情報処理システムの構成と同様である。したがって、その構成については説明を繰り返さない。以下、第6の実施の形態で用いた図を用いて説明する。なお、本実施の形態においても、端末101〜104の代表として端末102を用いて説明する。また、端末101が教師端末を、端末102が生徒端末を示すこととして説明する。また、名札2308〜2310の代表として名札2308を用いて説明する。
【0261】
第7の実施の形態において、名札2308は、第6の実施の形態における表示制御に加えて、他の名札が有する個人情報メモリの内容によっても表示を切り替える制御を行なう。
【0262】
図28および図30を参照して、名札2308は、個人情報メモリ2402の内容を通信部2403から発信できるような構成となっている。名札2308は他の名札2309,2310から受信した内容に応じて、表示を切り替える。以下、他の名札の代表として名札2309を用いて説明する。
【0263】
名札2308は、第6の実施の形態において説明したように、空間属性情報発信機2311から送信される空間属性情報により表示制御を行うが、たとえば他の名札2309から階層情報を含む個人情報を受信した場合、すなわち他の名札2309が近くにある場合には、その内容によりさらに表示制御を行なう。
【0264】
たとえば、学校における使用例を想定した場合、名札2308が他の名札2309から受信した階層情報が、ユーザと同一のクラス識別情報2805であれば、クラス内用の表示を行なう。また、他の名札2309から受信した階層情報が、学年識別情報2806は異なるが、同一の学校識別情報2807であれば、校内用の表示を行なう。
【0265】
また、各々の名札は、階層情報についての優先順位を予め記憶しておき、その優先順位に従って、表示のための個人情報を選択することとしてもよい。たとえば、学年識別情報2806に優先順位を定め、他の名札2309から受信する学年識別情報2806が名札2308の学年識別情報2806よりも低学年を優先的に表示する。
【0266】
また、多国籍企業等の場合でも、名札2308〜2310の個人情報メモリ2402の構成を変えることにより、同様の制御を行なうことができる。この場合、たとえば、周囲のユーザの名札2309から送信される階層情報が、外国人であることを表す場合には、ローマ字その他の適切な外国語の文字による表記で姓、名などを表示することとしてもよい。
【0267】
<第8の実施の形態>
本発明の第8の実施の形態における情報処理システムの構成は、第6の実施の形態において示した情報処理システムの構成と同様である。したがって、その構成については説明を繰り返さない。以下、第6の実施の形態で用いた図を用いて説明する。なお、本実施の形態においても、端末101〜104の代表として端末102を用いて説明する。また、端末101が教師端末を、端末102が生徒端末を示すこととして説明する。また、名札2308〜2310の代表として名札2308を用いて説明する。
【0268】
本発明の第8の実施の形態は、第6の実施の形態で説明した名札2308が、ユーザ識別情報1102を端末識別情報1103に変換する変換テーブル1101としても機能するものである。これは、第4の実施の形態で述べたように、変換テーブル1101が分散した一形態であり、他の端末のユーザを指定すれば、端末を指定した動作が行えるというものである。
【0269】
第4の実施の形態でも説明したように、各構成要素が通信回線108で結ばれている以上、変換テーブル1101の物理的な所在は問題にならないため、このようにな動作が行える。以下、その構成、動作について、発明の第6の実施の形態との相違点を簡単に説明する。
【0270】
図39を参照して、ステップS2604で認証に成功した後に、ステップS2605で実行される生徒端末用プログラム904は、端末識別情報メモリ311の内容を名札2308に送信する。また、受信した端末識別情報メモリ311の内容をCPU2401は個人情報メモリ2402に含まれるユーザ識別情報2808とペアでRAM2406に格納するものとする。
【0271】
このように構成することで、すでに名札2308,2309,2310が存在するところでは、特別なハードウエアの付加なしに、発明の第4の実施の形態の利点が得られることとなる。
【0272】
ここで、変換テーブル1101の使用方法について、図40のフローチャートを用いて説明する。上記第4の実施の形態の図24と同じ動作については同じステップ番号を付す。
【0273】
端末101のユーザは、パラメータとしてユーザ識別情報1102を含むコマンドを入力装置204から入力する(ステップS1501)。CPU201は、ユーザ識別情報1102を含むコマンドを送信する(ステップS3901)。そして、名札2308は、通信部2403でユーザ識別情報1102を含むコマンドを受信する(ステップS4002)。
【0274】
次に、名札2308のCPU2401は、RAM2406の変換テーブル1101を参照して、ユーザ識別情報1102を端末識別情報1103に変換する(ステップS4003)。そして、名札2308は、端末識別情報1103を含むコマンドを、通信部2403から端末102に送信する(ステップS4004)。
【0275】
そして、端末102は通信部303にて、端末識別情報1103を含むコマンドを受信する(ステップS1504)。ついで端末102が、受信したコマンドに応じた動作を行う(ステップS1505)。
【0276】
また、名札2308のディスプレイ2404に、現在ユーザがログインしている端末識別情報1103を表示することとしてもよい。この形態では、RAM2406に端末識別情報メモリ311の内容が置かれるのでこれが可能となる。こうすることで、ユーザ自身が、現在自分が使用している端末を容易に知ることができる。また、発明の第6の実施の形態で述べたような、自動的なログアウトの機構がなくても、ログアウトのし忘れや、すでにログインしていることを忘れて、他の端末にログインすることを防ぐことができ、システムの効率的な使用に寄与することができる。
【0277】
これは名札2308が、ユーザが多くの場合身に着けていたり、手じかなところに置くなどされるため、ディスプレイ2404にこのような情報を表示すれば、ユーザやその周囲の人間が、現在該ユーザがログインしている端末が存在するということを見落としにくいと考えられるためである。このような構成は、特に発明の第6の実施の形態で述べた、自動的なログアウトが用いられない形態で有効と考えられる。
【0278】
なお、このような、ユーザが現在ログインしている端末識別情報を名札2308で表示するような構成は、名札2308を、識別情報変換手段として機能させなくてもよく、ユーザが使用している端末の端末識別情報を名札2308が保持さえすればよい。
【0279】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0280】
【図1】発明の第1の実施の形態である情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】発明の第1の実施の形態における教師端末の構成を示す図である。
【図3】発明の第1の実施の形態における生徒端末の構成を示す図である。
【図4】発明の第1の実施の形態における端末の形態の例を示す図である。
【図5】発明の第1の実施の形態における端末の形態の別の例を示す図である。
【図6】発明の第1の実施の形態における机601の形態の例を示す図である。
【図7】発明の第1の実施の形態における認証情報メモリの内容の例を示す図である。
【図8】発明の第1の実施の形態における端末のROMの内容を説明する図である。
【図9】発明の第1の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図10】発明の第1の実施の形態における端末の動作の別の例を示すフローチャートである。
【図11】発明の第1の実施の形態における端末の動作の選択を行う画面の例を示す図である。
【図12】発明の第1の実施の形態に大画面モニタの動作について説明する図である。
【図13】発明の第1の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図14】発明の第1の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図15】発明の第1の実施の形態における端末のシステム状態メモリの構成を示す図である。
【図16】発明の第2の実施の形態における端末のROMの内容を説明する図である。
【図17】発明の第2の実施の形態における変換テーブルの例を示す図である。
【図18】発明の第2の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図19】発明の第3の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図20】発明の第3の実施の形態の構成の別の例を示す図である。
【図21】発明の第4の実施の形態である情報処理システムの構成を示す図である。
【図22】発明の第4の実施の形態におけるサーバの構成を示す図である。
【図23】発明の第4の実施の形態における端末およびサーバの動作を示すフローチャートである。
【図24】発明の第4の実施の形態における端末およびサーバの動作を示すフローチャートである。
【図25】発明の第4の実施の形態におけるサーバの動作の例を示すフローチャートである。
【図26】発明の第5の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図27】発明の第5の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図28】発明の第6の実施の形態である情報処理システムの構成を示す図である。
【図29】発明の第6の実施の形態における空間属性情報発信機が送信する空間属性情報の例を示す図である。
【図30】発明の第6の実施の形態における名札の構成を示す図である。
【図31】発明の第6の実施の形態における個人情報メモリの構成の例を示す図である。
【図32】発明の第6の実施の形態における名札の個人情報の表示の例を示す図である。
【図33】発明の第6の実施の形態における名札の動作の例を示す図である。
【図34】発明の第6の実施の形態における名札の表示例を示す図である。
【図35】発明の第6の実施の形態における個人情報メモリの構成の別の例を示す図である。
【図36】発明の第6の実施の形態における空間属性情報発信機が送信する空間属性情報の別の例を示す図である。
【図37】発明の第6の実施の形態における名札の別の表示例を示す図である。
【図38】発明の第6の実施の形態における名札の動作の別の例を示すフローチャートである。
【図39】発明の第6の実施の形態における端末の動作を示すフローチャートである。
【図40】発明の第8の実施の形態における端末および名札の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0281】
101〜104 端末、2308〜2310 名札、105 AVアンプ、106 スピーカ、107 大画面モニタ、108 通信回線、201,301,1301,2401 CPU、202,302,1302,2406 RAM、203,303,1307,2403 通信部、204,304,1305 入力装置、205,305 起動スイッチ、206,306,1306,2404 ディスプレイ、207,307 スピーカ、208,308,1303 ROM、209,309 認証情報メモリ、210,310,1304 外部記憶装置、211,311 端末識別情報メモリ、212,312 システム状態メモリ、213,313 システム状態バックアップメモリ、214,314 データバス、1101 変換テーブル、1209 サーバ、2311,2312 空間属性情報発信機、2042 個人情報メモリ,2405 表示スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末を含む情報処理システムであって、
前記複数の端末の各々は、
複数のユーザのユーザ認証情報と複数のカテゴリのうちの少なくとも1つとを対応付けて記憶するための認証情報記憶手段と、
前記ユーザ認証情報の入力を受け付ける認証情報受付手段と、
前記認証情報受付手段が前記ユーザ認証情報を受け付けた場合に、前記認証情報記憶手段に当該ユーザ認証情報と対応付けられて記憶された前記カテゴリに対応するプログラムを選択的に実行するプログラム実行手段とを備え、
前記複数のカテゴリのうちの指定された1つのカテゴリに対応する前記プログラム実行手段は、別のカテゴリに属する他の端末を特定するための特定情報と、前記他の端末を制御するためのコマンドとを送信するコマンド送信手段を含み、
前記別のカテゴリに対応する前記プログラム実行手段は、前記コマンド送信手段により送信された前記特定情報と前記コマンドとに従って動作するコマンド実行手段を含む、情報処理システム。
【請求項2】
前記コマンド送信手段は、前記別のカテゴリに属する端末のマルチメディア機能を制御するためのコマンドを送信することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記複数の端末の各々は、1種類または複数種類の前記コマンドと、前記特定情報として前記端末を識別する端末識別情報とを入力するためのコマンド入力手段をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の端末の各々は、1種類または複数種類の前記コマンドと、前記端末のユーザを識別するユーザ識別情報とを入力するためのコマンド入力手段をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記複数の端末の各々は、前記入力されたユーザ識別情報を、前記端末を識別する端末識別情報に変換する識別情報変換手段をさらに備え、
前記コマンド送信手段は、前記特定情報として前記端末識別情報を送信することを特徴とする、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記情報処理システムは、前記コマンド送信手段から送信される前記特定情報としての前記ユーザ識別情報を受信し、前記ユーザ識別情報を、前記端末を識別する端末識別情報に変換する識別情報変換手段をさらに含む、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記識別情報変換手段は、前記ユーザ識別情報と前記端末識別情報とを対応付けた変換テーブルであることを特徴とする、請求項5または6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記識別情報変換手段は、ユーザにより所持され、当該ユーザの個人情報を提示するための個人情報表示手段を有する、請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記情報処理システムは、前記端末の使用に必要な前記ユーザ認証情報を送出し、ユーザにより所持されるユーザ認証情報送出手段をさらに含み、
前記複数の端末の各々は、前記認証情報受付手段において前記ユーザ認証情報送出手段から送出された前記ユーザ認証情報を受け付けた場合に、前記端末の使用を許可するか否かを判断する判断手段をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記判断手段により使用を許可した前記端末は、所定の間隔で前記ユーザ認証情報と交信を行ない、前記ユーザ認証情報送出手段との交信が途絶えた場合に、ログアウトすることを特徴とする、請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記別のカテゴリに対応する前記プログラム実行手段は、前記ユーザ認証情報送出手段に、自身の前記端末識別情報を送信する端末情報送信手段をさらに含み、
前記ユーザ認証情報送出手段は、前記端末情報送信手段から送信された前記端末識別情報を表示する識別情報表示手段を備える、請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記ユーザ認証情報送出手段は、
所持されるユーザに関する複数の個人情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶された個人情報のうちの1つ以上の情報を表示する個人情報表示手段とを備える、請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記情報処理システムは、所定の空間属性情報を送信する属性情報送信手段をさらに含み、
前記ユーザ認証情報送出手段は、
前記属性情報送信手段からの前記空間属性情報を受信する属性情報受信手段と、
前記属性情報受信手段によって受信された前記空間属性情報に従って、前記記憶手段に記憶された前記複数の個人情報から、前記個人情報表示手段に表示するための個人情報を選択する選択手段とをさらに備える、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記複数の個人情報には、前記空間属性情報に対応する、ユーザの複数の階層情報が含まれ、
前記選択手段は、前記属性情報受信手段において前記空間属性情報が受信されない場合には、前記複数の階層情報のうちの所定の階層情報を選択することを特徴とする、請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記ユーザ認証情報送出手段は、前記選択手段により選択された前記個人情報の量に従って、前記個人情報の表示の大きさを決定する決定手段をさらに備え、
前記決定手段は、前記選択手段により選択された前記個人情報の量が少ない場合には、前記表示の大きさを大きくすることを特徴とする、請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記情報処理システムは、ユーザの個人情報を表示するための、複数台の個人情報表示手段をさらに含み、
前記複数台の個人情報表示手段の各々は、他の個人情報表示手段との間で、ユーザの階層情報を含む前記個人情報を送受信するための個人情報通信手段と、
前記個人情報通信手段において前記個人情報を受信した場合に、予め定められた前記階層情報の優先順位に従って、表示のための個人情報を選択する選択手段とを備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項17】
複数のユーザのユーザ認証情報と複数のカテゴリのうちの少なくとも1つとを対応付けて記憶するための認証情報記憶手段と、
前記ユーザ認証情報の入力を受け付ける認証情報受付手段と、
前記認証情報受付手段が前記ユーザ認証情報を受け付けた場合に、前記認証情報記憶手段に当該ユーザ認証情報と対応付けられて記憶された前記カテゴリに対応するプログラムを選択的に実行するプログラム実行手段とを備え、
前記複数のカテゴリのうちの指定された1つのカテゴリに対応する前記プログラム実行手段は、別のカテゴリに属する他の端末を特定するための特定情報と、前記他の端末を制御するためのコマンドとを送信するコマンド送信手段を含み、
前記別のカテゴリに対応する前記プログラム実行手段は、前記コマンド送信手段により送信された前記特定情報と前記コマンドとを受信して、前記特定情報と前記コマンドとに従って動作するコマンド実行手段を含む、端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2006−127121(P2006−127121A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314032(P2004−314032)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】