説明

情報処理システム

【課題】操作性を向上することが可能な情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムは、連携処理可能な複数の処理装置を有し、操作する者を特定する操作者情報と、操作する者が管理すべき管理情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記複数の処理装置のいずれかが、前記記憶手段に記憶されている特定の操作者により操作される場合、該特定の操作者に対応する管理情報を前記記憶手段から前記複数の処理装置のいずれかに転送する転送手段とを有する情報処理システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、転送装置を介して入力された画像情報に所定の通信を施し、この画像情報を転送装置を通じて画像形成装置に出力する画像処理装置が開示されている。
特許文献2には、操作者識別番号を付加したアプリケーションソフトを選択し、ダウンロードするマルチファンクション装置が開示されている。
特許文献3には、データを記憶する外部記憶媒体を画像形成装置の接続手段に接続し、読取手段により記憶媒体に内蔵される個人情報の読取りを行い、読み取ったデータを認証手段により照合、認証させる画像形成システムが開示されている。
特許文献4には、サーバにネットワークを介して接続された複数のクライアントをユーザが任意に使用するときに用いられる個人環境提供システムが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平09−238215号公報
【特許文献2】特開2000−298561号公報
【特許文献3】特開2003−263289号公報
【特許文献4】特開2002−251377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の処理装置を操作者別に管理することができる情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、連携処理可能な複数の処理装置を有し、操作者を特定する操作者情報と、操作者が管理すべき管理情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記複数の処理装置のいずれかが、前記記憶手段に記憶されている特定の操作者により操作される場合、該特定の操作者に対応する管理情報を前記記憶手段から前記複数の処理装置のいずれかに転送する転送手段とを有する情報処理システムである。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記管理情報が、処理装置を設定する設定情報を含み、この設定情報は、処理装置ごとに設定を施す装置個別設定情報を含み、前記転送手段は、前記複数の処理装置のうち特定の処理装置が操作される場合、該特定の処理装置に対応する装置個別設定情報を、前記記憶手段から転送する請求項1に記載の情報処理システムである。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記設定情報が、処理装置に共通の設定を施す共有設定情報をさらに含む請求項1または2に記載の情報処理システムである。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記複数の処理装置のうち異なる処理装置から、前記記憶手段に記憶されている共有設定情報が操作される場合、前記記憶手段は、この共有設定情報を装置個別設定情報として記憶する請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理システムである。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記記憶手段が、管理情報の機密度に応じた場所に、管理情報を記憶する請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理システムである。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記処理装置が、前記転送手段から、前記特定の操作者に対応する管理情報を受信し、前記特定の操作者が操作を終えた場合、前記転送手段から受信した管理情報を消去する請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理システムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明によれば、複数の処理装置を操作者別に管理することができる。
【0012】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明により得られる効果に加え、複数の処理装置別に管理情報を管理することができる。
【0013】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1または2に係る本発明により得られる効果に加え、複数の処理装置に共通の管理情報を管理することができる。
【0014】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに係る本発明により得られる効果に加え、複数の処理装置に共通の管理情報を処理装置別に管理することができる。
【0015】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4のいずれかに係る本発明により得られる効果に加え、管理情報に重み付けすることができる。
【0016】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1乃至5のいずれかに係る本発明により得られる効果に加え、本構成を有していない場合に比較して、セキュリティを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1の情報処理システム]
以下、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る第1の情報処理システムを示す図である。図1に示すように、この情報処理システムにおいて、コピー、プリント、ファクシミリ等の複数の機能を有する複合機10−1〜10−nが、ネットワーク12を介して管理装置14と接続されて構成される。
このような構成により、複合機10−1〜10−nおよび管理装置14は、互いに情報を送受信する。
【0018】
ただし、nは1以上の整数であって、nが常に同じ数を示すとは限らない。
以下の各図において、実質的に同じ構成部分には、同じ符号が付される。
以下、「複合機10−1〜10−n」など、複数存在しうる構成部分のいずれかが、特定されずに示される場合には、単に「複合機10」などと略記されることがある。
また、以下、本発明の一実施形態の処理装置がいわゆる複合機であるとして説明するが、本発明の一実施形態の処理装置は、これ以外の装置(たとえば、プリンタおよびファクシミリなど)でもかまわない。
【0019】
[複合機10のハードウエア構成]
図2は、図1の複合機10のハードウエア構成を例示する図である。図2に示すように、複合機10は、CPU100、メモリ102、ハードディスクドライブなどの記憶装置104、他のコンピュータとデータを送受信する通信インターフェース(IF)106、タッチパネルおよびディスプレイなどのユーザインターフェース(UI)装置108、スキャナ110、プリントエンジン112および給紙装置114から構成される。これらの構成要素は、制御バス116を介して互いに通信可能に接続される。
CPU100は、メモリ102または記憶装置104に記憶された情報処理プログラムに基づいて、所定の処理を実行して、複合機10の動作を制御する。
メモリ102および記憶装置104は、CPU100に所定の動作を実行させて複合機10の動作を制御する情報処理プログラム、スキャナ110により読み取られた原稿に基づく画情報および複合機10に関する装置情報(たとえば、機種名およびIPアドレスなど)等を記憶する。
UI装置108は、たとえば、操作パネルであり、記憶装置104に記憶された画情報および複合機10の設定情報(たとえば、画情報の読み取り方法など)などを表示し、表示された情報に対する操作を受け付けたり、このような操作をユーザに許可するためのユーザ認証に必要な入力(たとえば、ユーザIDおよびパスワードの入力など)を受け付けたりする。
プリントエンジン112は、給紙装置114から供給された用紙に印刷を施す。
【0020】
なお、本実施形態では、CPU100は、メモリ102または記憶装置104に記憶された情報処理プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の外部記憶媒体に記憶してCPU100に提供してもかまわない。
また、以下、ユーザIDおよびパスワードの組み合わせが入力されてユーザ認証が行われるものとして説明するが、これ以外の組み合わせ(たとえば、ユーザ名およびパスワードの組合せや、グループIDおよびパスワードの組合せなど)によってユーザ認証を行ってもかまわないし、トークン(たとえば、ICタグが埋め込まれた社員証など)によってユーザ認証を行ってもかまわない。
【0021】
[複合機10で動作するソフトウエア]
図3は、図1等の複合機10で動作する情報処理プログラム118の構成を示す図である。
図3に示すように、情報処理プログラム118は、認証情報送信部120、装置情報送信部122、管理情報受信部124、表示画面作成部126およびユーザ操作送信部128から構成される。このような構成により、情報処理プログラム118は、認証情報、装置情報およびユーザ操作の内容を管理装置14に対して送信し、管理情報を管理装置14から受信する。
認証情報送信部120は、UI装置108により入力が受け付けられた認証情報を、通信IF106などを介して、管理装置14に送信する。装置情報送信部122は、メモリ102または記憶装置104に記憶された装置情報を、通信IF106などを介して、管理装置14に送信する。管理情報受信部124は、通信IF106などを介して、管理装置14から管理情報(後述)を受信し、この管理情報を表示画面作成部126に出力する。表示画面作成部126は、管理情報受信部124からの管理情報に基づいて、UI装置108に表示する表示画面を作成し、UI装置108に出力する。ユーザ操作送信部128は、UI装置108により受け付けられたユーザの操作の内容(たとえば、管理情報の新規作成および変更など)を、通信IF106などを介して、管理装置14に送信する。
【0022】
図4は、図3の情報処理プログラム118の動作フロー(S10)を示すフローチャートである。
ステップ100(S100)において、図2のUI装置108が認証情報の入力を受け付けたか否かが判定される。認証情報が入力された場合には、ステップ102の処理に進む。一方、そうでない場合には、認証情報が入力されるまで、ステップ100の処理を繰り返す。
ステップ102(S102)において、図3の認証情報送信部120および装置情報送信部122が、それぞれ、ステップ100で入力された認証情報および装置情報を管理装置14に送信して、ステップ104の処理に進む。
【0023】
ステップ104(S104)において、図3の管理情報受信部124が、管理装置14から管理情報またはエラーを受信し、図3の表示画面作成部126が、管理装置14からの受信データが管理情報またはエラーのいずれであるかを判定する。管理装置14からの受信データがエラーであり、ユーザ認証に失敗した(ログイン失敗,詳細は後述)と判定された場合には、表示画面作成部126は、ステップ106の処理に進む。一方、管理装置14からの受信データが管理情報であり、ユーザ認証に成功した(ログイン成功,詳細は後述)と判定された場合には、表示画面作成部126は、ステップ108の処理に進む。
ステップ106(S106)において、表示画面作成部126は、警告画面(不図示)を作成し、UI装置108に表示させて、処理を終了する。警告画面は、たとえば、入力された認証情報に誤りが含まれているため、ログインに失敗したことを示すエラーメッセージを表示する。
【0024】
ステップ108(S108)において、表示画面作成部126は、ステップ104で受信した管理情報に基づいて、UI装置108に表示する表示画面を作成する。UI装置108は、この表示画面から、ユーザによる操作を受け付け、ステップ110の処理に進む。
ステップ110(S110)において、UI装置108が、ユーザ操作が終了したか否かを判定する。UI装置108は、たとえば、「ログアウト」ボタンなどの押下を検知した場合に、ユーザ操作が終了したと判定し、ステップ110の処理に進む。一方、そうでない場合には、ユーザ操作が終了するまで、ステップ110の処理を繰り返す。なお、「ログアウト」ボタンの押下が検知された場合には、ログイン中に操作された管理情報を上書き消去して、他のユーザによりデータ復旧されることを防ぐ。
ステップ112(S112)において、図3のユーザ操作送信部128が、ステップ108で受け付けたユーザ操作の内容を管理装置14に送信する。
【0025】
[管理装置14のハードウエア構成]
図5は、図1の管理装置14のハードウエア構成を例示する図である。
図5に示すように、管理装置14は、CPU140およびメモリ142などを含む本体144、入出力装置146、通信IF148、記憶装置150および記憶媒体152から構成される。
つまり、管理装置14は、情報処理および他の装置との通信が可能なコンピュータとしての構成部分を有している。
なお、入出力装置146は、表示装置、キーボード、マウスおよびジョイスティックなどを備え、記憶媒体152は、CD装置、FD装置およびHDD装置などを備える。
CPU140は、メモリ142または記憶装置150に記憶された管理プログラムに基づいて、所定の処理を実行して、管理装置14の動作を制御する。
【0026】
[管理装置14で動作するソフトウエア]
図6は、図1の管理装置14で動作する管理プログラム154の構成を示す図である。
図6に示すように、管理プログラム154は、管理情報記憶部156、認証情報受信部158、認証部160、装置情報受信部162、管理情報送信部164、ユーザ操作受信部166および管理情報操作部168から構成される。このような構成により、管理プログラム154は、認証情報、装置情報およびユーザ操作の内容を複合機10から受信し、管理情報を複合機10に対して送信する。
【0027】
管理情報記憶部156は、認証情報、画情報および設定情報をユーザごとに記憶する。なお、認証情報は、予めシステム管理者などによって登録されている。
認証情報受信部158は、図5の通信IF148などを介して、複合機10から送信された認証情報を受信し、認証部160に出力する。
認証部160は、認証情報受信部158からの認証情報が、管理情報記憶部156に記憶されているか否かを判定する。認証部160は、認証情報受信部158からの認証情報が管理情報記憶部156に記憶されている場合には、認証情報は正しいと判定し、認証に成功したユーザIDを管理情報送信部164に出力する。一方、そうでない場合には、認証情報に誤りが含まれていると判定し、エラーメッセージを管理情報送信部164に出力する。
【0028】
装置情報受信部162は、通信IF148などを介して、複合機10から送信された装置情報を受信し、管理情報送信部164に出力する。
管理情報送信部164は、認証部160からのデータがユーザIDである場合には、このユーザIDおよび装置情報受信部162からの装置情報に基づいて、管理情報記憶部156を参照し、通信IF148などを介して、管理情報を複合機10に送信する。一方、管理情報送信部164は、認証部160からのデータがエラーメッセージである場合には、このエラーメッセージを、通信IF148などを介して、複合機10に送信する。
ユーザ操作受信部166は、通信IF148などを介して、複合機10からユーザ操作の内容を受信し、管理情報操作部168に出力する。
管理情報操作部168は、ユーザ操作受信部166からのユーザ操作の内容に基づいて、管理情報記憶部156に記憶された管理情報を操作する。
【0029】
図7は、図6の管理情報記憶部156に記憶される管理情報の例である。
図7に示すように、管理情報は、ユーザ認証に用いられる認証情報、すべての複合機10で利用可能である共有情報、および、複合機10ごとで利用可能である装置個別情報という三つの種別からなる。さらに、認証情報は、ユーザIDおよびパスワードからなり、共有情報は、共有設定情報、共有画情報、機密設定情報および機密画情報からなり、装置個別情報は、装置個別設定情報および装置個別画情報からなる。
また、図7に示すように、管理情報は、管理情報のオーナ(管理情報を作成し、管理情報に対するすべての権限を有するユーザ)に関連付けられて記憶されている。ここでは、ユーザ「yamada」が、「議事録」親展ボックス、人事検討会議事録、「人事」親展ボックス、来年度人事異動案、「営業第1部顧客名簿」親展ボックス、標準色空間の設定、デバイス色空間の設定、営業第1部顧客名簿07および営業第1部顧客名簿08のオーナとなっている。
【0030】
[認証情報]
ユーザIDおよびパスワードは、ユーザ認証に用いられる。先述したように、これ以外の組み合わせであってもかまわない。
【0031】
[共有情報]
共有設定情報は、すべての複合機10で利用可能であり、共有情報のなかでも機密度の低い設定情報である。共有設定情報は、たとえば、すべての複合機10の操作パネルに表示される「議事録」親展ボックスなどである。
共有画情報は、すべての複合機10で利用可能であり、共有情報のなかでも機密度の低い画情報である。共有画情報は、たとえば、すべての複合機10で利用可能である人事検討会議事録、予算会議議事録および企画検討会議事録などである。
機密設定情報は、限られた複合機10から利用可能であり、共有情報のなかでも機密度の高い設定情報である。機密設定情報は、たとえば、職位が部長以上であるユーザが複合機10を操作する場合にのみ、操作パネルに表示される「人事」親展ボックスおよび「予算」親展ボックスなどである。
機密画情報は、限られた複合機10から利用可能であり、共有情報の中でも機密度の高い画情報である。機密画情報は、たとえば、職位が部長以上であるユーザが複合機10を操作する場合にのみ、利用可能である来年度人事異動案および来年度予算案などである。
新規作成された設定情報(または画情報)は、ユーザが操作パネルを操作することによって、機密設定情報(または機密画情報)として保存されてもかまわないし、予め定められたマーク(たとえば、マル秘および社外秘など)がスキャンした文書に含まれていることが検知されることによって、機密設定情報(または機密画情報)として保存されてもかまわない。
【0032】
[装置個別情報]
装置個別設定情報は、複合機10ごとに設定される設定情報である。装置個別設定情報は、たとえば、ユーザが操作する複合機10の設置場所に応じて、「営業第1部顧客名簿」親展ボックス、「営業第2部顧客名簿」および「営業第3部顧客名簿」のいずれかを表示させ、ユーザが操作する複合機10の機種名が、タイプAである場合には、標準色空間で文書をスキャンし、タイプBである場合には、デバイス色空間で文書をスキャンする設定情報、タイプCである場合には、600dpiで文書をスキャンし、タイプDである場合には、400dpiで文書をスキャンする設定情報、および、タイプEである場合には、G4通信方式対応ファクシミリ(G4FAX)用のアドレス帳を参照し、タイプFである場合には、インターネットファックス機能を備えたファクシミリ用のアドレス帳を参照する設定情報などである。
装置個別画情報は、限られた複合機10で利用可能である画情報である。装置個別画情報は、たとえば、ユーザが操作する複合機10が営業第1部のフロア内の複合機10である場合にのみ、出力可能である営業第1部顧客名簿07および営業第1部08などである。
なお、装置個別情報は、一定の権限を有するユーザが限られた複合機10を操作する場合にのみ、利用可能である装置個別機密設定情報および装置個別機密画情報などを含んでもよい。
【0033】
図8は、図6の管理プログラム154の動作フロー(S20)を示すフローチャートである。
図8に示すように、ステップ200(S200)において、図6の認証情報受信部158およびユーザ操作受信部166のいずれがデータを受信したかが判定される。認証情報受信部158が認証情報を受信した場合には、ステップ202の処理に進み、ユーザ操作受信部166がユーザ操作を受信した場合には、ステップ30の管理情報操作処理(後述)に進む。
【0034】
ステップ202(S202)において、図6の認証部160は、認証情報受信部158からの認証情報が、図6の管理情報記憶部156に記憶されているか否かを判定する。認証部160は、認証情報が記憶されている場合には、認証に成功したものとして、認証に成功したユーザIDを図6の管理情報送信部164に出力し、ステップ204の処理に進む。一方、そうでない場合には、エラーメッセージを管理情報送信部164に出力し、ステップ206の処理に進む。
ステップ204(S204)において、管理情報送信部164は、管理情報記憶部156を参照して、管理情報記憶部156に記憶される管理情報のうち、ステップ202で認証に成功したユーザIDに対応付けられる共有情報と、このユーザが操作する複合機10に対応付けられる装置個別情報とを、複合機10に送信する。さらに、管理情報送信部164は、権限情報記憶部(不図示)も参照して、他のユーザIDに対応付けられる共有情報のうち、ステップ202で認証に成功したユーザIDのユーザが利用可能な共有情報を、複合機10に送信する。権限情報記憶部は、たとえば、ユーザIDおよび職位を対応付けて記憶する。
ステップ206(S206)において、管理情報送信部164は、認証部160からのエラーメッセージを、複合機10に送信する。
【0035】
図9Aは、図7に示す管理情報が図6の管理情報記憶部156に記憶されている場合に、職位が部長であるユーザ「yamada」が営業第1部の複合機10でログインに成功したとき、管理装置14が送信する管理情報に基づいて、複合機10の操作パネルに表示される画面の例である(図4のステップ108および図8のステップ204を参照)。
このようなときには、図9Aに示すように、すべての複合機10で共通して利用可能である「議事録」親展ボックス、部長以上の職位のユーザが操作する複合機10からのみ利用可能である「予算」親展ボックスおよび「人事」親展ボックス、営業第1部の複合機10からのみ利用可能である「営業第1部顧客名簿」親展ボックス、および、これらの親展ボックス内の文書が表示される。
つまり、ユーザ「yamada」に対応付けられる共有情報、ユーザ「yamada」が操作する複合機10に対応付けられる装置個別情報、および、他のユーザ「satoh」に対応付けられる共有情報が表示される。
【0036】
図9Bは、図7に示す管理情報が図6の管理情報記憶部156に記憶されている場合に、職位のないユーザ「suzuki」が営業第3部の複合機10でログインに成功したとき、管理装置14が送信する管理情報に基づいて、複合機10の操作パネルに表示される画面の例である。
このようなときには、図9Bに示すように、すべての複合機10で共通して利用可能である「議事録」親展ボックス、営業第3部の複合機10からのみ利用可能である「営業第3部顧客名簿」親展ボックス、および、これらのボックス内の文書が表示される。
つまり、ユーザ「suzuki」に対応付けられる共有情報、および、ユーザ「suzuki」が操作する複合機10に対応付けられる装置個別情報が表示される。
図9Aおよび図9Bの場合では、ログインユーザの権限および複合機10の設置場所が異なるので、操作パネルに表示される情報が異なっている。
【0037】
このように、複合機10は、ログインユーザおよびログインユーザが操作する複合機10に対応付けられる管理情報のみを管理装置14から受信して表示するので、すべてのユーザ(またはすべての複合機10)に対応付けられる管理情報を受信し、受信した管理情報のうち、ログインユーザ(または複合機10)に対応付けられる管理情報を表示する場合に比べて、複合機10、ネットワーク12および管理装置14にかかる負荷が軽減する。よって、処理が中断されることが少なくなり、ユーザは複合機10および管理装置14を操作しやすくなる。
また、ユーザが操作する複合機10が、複合機10−1〜10−nのいずれであるかに関わらず、装置の設置場所および種別などが同じであれば、同じ画面が表示されるので、複合機10−1〜10−nごとに異なる画面が表示される場合に比べて、ユーザは複合機10を操作しやすくなる。
【0038】
図10は、図8の管理情報操作処理のフロー(S30)を示すフローチャートである。
図10に示すように、ステップ300(S300)において、図6の管理情報操作部168が、図6のユーザ操作受信部166からのユーザ操作の内容が、新規の画情報(または設定情報)を作成すること、既存の画情報(または設定情報)を出力すること、および、既存の画情報(または設定情報)を変更することのいずれであるかを判定する。ユーザ操作の内容が新規の画情報(または設定情報)を作成することである場合、ステップ302の処理に進み、既存の画情報(または設定情報)を出力することである場合、ステップ308の処理に進み、既存の画情報(または設定情報)を変更する場合、ステップ314の処理に進む。
ステップ302(S302)において、管理情報操作部168は、新規作成された画情報(または設定情報)の機密度を判定する。管理情報操作部168は、たとえば、新規作成された画情報が、機密画情報として設定されている場合には、ステップ304の処理に進む。一方、たとえば、新規作成された画情報が、共有画情報として設定されている場合には、ステップ306の処理に進む。
【0039】
ステップ304(S304)において、管理情報操作部168は、ステップ302で機密度が高いと判定された画情報を、論理的または物理的に安全なディスクに保存する。論理的に安全なディスクは、たとえば、複雑なパスワードを入力することによってアクセス可能なディスクである(ディスクは、論理ディスクおよび物理ディスクのいずれでもかまわない。)。物理的に安全なディスクは、たとえば、遠隔に設置されたディスクである。
ステップ306(S306)において、管理情報操作部170は、ステップ302で機密度が低いと判定された画情報(または設定情報)を、通常使用しているディスクに保存する。
このように、機密度に応じて保存先を変更することにより、すべての管理情報を同じ場所に保存する場合に比べ、コストおよびリスクが軽減される。たとえば、すべての管理情報を同じ安全なディスクに保存する場合に比べ、データ保守にかかるコストが軽減される。また、すべての管理情報を通常のディスクに保存する場合に比べ、データ損失のリスクが軽減される。
【0040】
ステップ308(S308)において、管理情報操作部168は、出力する画情報(または設定情報)が装置個別情報であるか否かを判定する。出力する情報が装置個別情報である場合、ステップ310の処理に進み、そうでない場合、ステップ312の処理に進む。
ステップ310(S310)において、管理情報操作部168は、図6の装置情報受信部162からの装置情報に基づいて、この装置情報に対応付けられる装置が装置個別情報を出力可能か否かを判定し、出力可能であると判定した場合にのみ、この装置個別情報を複合機10に送信する。管理情報操作部168は、たとえば、営業第1部のフロア内の複合機10(営業第1部のネットワークに接続された複合機10)から、営業第1部の顧客名簿を出力しようとする場合には、出力可能であると判定し、営業第2部の顧客名簿を出力しようとする場合には、出力不可能であると判定する。
【0041】
ステップ312(S312)において、管理情報操作部168は、出力する情報を複合機10に送信する。
ステップ314(S314)において、管理情報操作部168は、ユーザが操作中の画情報(または設定情報)に対して、他の複合機10からもユーザ操作がされているか否かを判定する。管理情報操作部168は、たとえば、図6のユーザ操作受信部166が同一の画情報(または設定情報)に対して、複数の複合機10からユーザ操作を受信した場合には、ステップ316の処理に進み、そうでない場合には、ステップ318の処理に進む。
【0042】
ステップ316(S316)において、管理情報操作部168は、他の複合機10からもユーザ操作がされている画情報(共有画情報)を、それぞれ別個の画情報として保存する。管理情報操作部168は、たとえば、画情報の変更がされた複合機10および変更内容が対応付けられるよう、装置個別画情報として保存する。同様に、管理情報操作部168は、他の複合機10からもユーザ操作がされている設定情報(共有設定情報)を、装置個別設定情報として保存する。
ステップ318(S318)において、管理情報操作部168は、変更が加えられた画情報(または設定情報)を上書き保存する。
【0043】
なお、ステップ300において、ユーザ操作の内容が、既存の画情報(または設定情報)の種別を変更することまたは既存の画情報(または設定情報)を削除することである場合には、種別を変更または削除しようとする画情報(または設定情報)のオーナが、ログイン中のユーザと同じであるか否かを判定し、同じであるときのみ、種別を変更または削除する。
【0044】
[第2の情報処理システム]
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。
図11は、本発明の一実施形態に係る第2の情報処理システムを示す図である。図11に示すように、この情報処理システムは、複合機10−1〜10−nがネットワーク12を介して管理装置14−1〜14−nと接続されて構成され、複合機10−1〜10−nおよび管理装置14−1〜14−nは、互いに情報を送受信する。
なお、管理装置14は、それぞれ、メモリ142または記憶装置150に、異なる管理情報を記憶する。たとえば、管理装置14−1は営業第1部に所属するユーザの管理情報を記憶し、管理装置14−2は営業第2部に所属するユーザの管理情報を記憶し、管理装置14−3は営業第3部に所属するユーザの管理情報を記憶する。
また、複合機10は、たとえば、管理装置14を識別する識別子(たとえば、管理装置14のコンピュータ名およびIPアドレスなど)の入力を受け付けることによって、いずれの管理装置14に記憶された管理情報を参照するかを決定する。
【0045】
たとえば、営業第1部の複合機10−1〜10−pにおいて、管理装置14−1のIPアドレスが入力され、営業第2部の複合機10−q〜10−rにおいて、管理装置14−2のIPアドレスが入力され、営業第3部の複合機10−s〜10−tにおいて、管理装置14−3のIPアドレスが入力される(1≦p,q,r,s,t≦n;p,q,r,s,tはいずれも整数)。このような場合、複合機10−1〜10−pは、管理装置14−1にアクセスし、営業第1部の管理情報を参照するグループとして認識され、複合機10−q〜10−rは、管理装置14−2にアクセスし、営業第2部の管理情報を参照するグループとして認識され、記複合機10−s〜10−tは、管理装置14−3にアクセスし、営業第3部の管理情報を参照するグループとして認識される。
なお、いずれの管理装置14の管理情報を参照するかを、ユーザが管理装置の識別子を入力することによって決定するものとして説明したが、ユーザが管理装置の識別子を入力することなく決定してもかまわない。
たとえば、社内の組織体制に沿って、複合機10のグループ分けを予め決めておき、複合機10が、所属するグループに対応付けられた管理情報を記憶する管理装置14にアクセスするよう、ルーティングを設定してもかまわない。
【0046】
図12は、第2の情報処理システム2における複合機10で動作する情報処理プログラム118の動作フロー(S30)を示すフローチャートである。
ステップ300,304〜312において、図4のステップ100,104〜112と同様の処理が行われる。
ステップ302(S302)において、ステップ300で入力された認証情報および装置情報を、ユーザによって入力された識別子に対応付けられる管理装置14に送信する。
【0047】
図13は、第2の情報処理システム2における管理装置14で動作する管理プログラム154の動作フロー(S40)を示すフローチャートである。
ステップ400〜406において、図8のステップ200〜206と同様の処理が行われる。ただし、ステップ404において、認証に成功したユーザが操作する複合機10のほか、この複合機10と同じグループに属するすべての複合機10に、管理情報を送信する。たとえば、ステップ404において、営業第1部の管理情報を記憶する管理装置14−1は、営業第1部の管理情報を参照するグループに属するすべての複合機10−1〜10−pに、同じ管理情報を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る第1の情報処理システムを示す図である。
【図2】複合機10のハードウエア構成を例示する図である。
【図3】複合機10で動作する情報処理プログラム118の構成を示す図である。
【図4】情報処理プログラム118の動作フロー(S10)を示すフローチャートである。
【図5】管理装置14のハードウエア構成を例示する図である。
【図6】管理装置14で動作する管理プログラム154の構成を示す図である。
【図7】管理情報記憶部156に記憶される管理情報の例である。
【図8】管理プログラム154の動作フロー(S20)を示すフローチャートである。
【図9A】複合機10の操作パネルに表示される画面の例である。
【図9B】複合機10の操作パネルに表示される画面の例である。
【図10】管理情報操作処理のフロー(S30)を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に係る第2の情報処理システムを示す図である。
【図12】第2の情報処理システムにおける複合機10で動作する情報処理プログラム118の動作フローを示すフローチャートである。
【図13】第2の情報処理システムにおける管理プログラム154の動作フロー(S40)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 第1の情報処理システム
10 処理装置
100 CPU
102 メモリ
104 記憶装置
106 通信IF
108 UI装置
110 スキャナ
112 プリントエンジン
114 給紙装置
116 制御バス
118 情報処理プログラム
120 認証情報送信部
122 装置情報送信部
124 管理情報受信部
126 表示画面作成部
128 ユーザ操作送信部
12 ネットワーク
14 管理装置
140 CPU
142 メモリ
144 本体
146 入出力装置
148 処理装置
150 記録装置
152 記録媒体
154 管理プログラム
156 管理情報記憶部
158 認証情報受信部
160 認証部
162 装置情報受信部
164 管理情報送信部
166 ユーザ操作受信部
168 管理情報操作部
2 第2の情報処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連携処理可能な複数の処理装置を有し、
操作者を特定する操作者情報と、操作者が管理すべき管理情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記複数の処理装置のいずれかが、前記記憶手段に記憶されている特定の操作者により操作される場合、該特定の操作者に対応する管理情報を前記記憶手段から前記複数の処理装置のいずれかに転送する転送手段と
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記管理情報は、処理装置を設定する設定情報を含み、
この設定情報は、処理装置ごとに異なる設定を施す装置個別設定情報を含み、
前記転送手段は、前記複数の処理装置のうち特定の処理装置が操作される場合、該特定の処理装置に対応する装置個別設定情報を、前記記憶手段から転送する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記設定情報は、処理装置に共通の設定を施す共有設定情報をさらに含む
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の処理装置のうち異なる処理装置において、前記記憶手段に記憶されている共有設定情報が操作される場合、前記記憶手段は、この共有設定情報を装置個別設定情報として記憶する
請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記記憶手段は、管理情報の機密度に応じた場所に、管理情報を記憶する
請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記処理装置は、前記転送手段から、前記特定の操作者に対応する管理情報を受信し、前記特定の操作者が操作を終えた場合、前記転送手段から受信した管理情報を消去する
請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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