説明

情報処理端末

【課題】2つのタッチパネル式のディスプレイの間隙が狭く、かつディスプレイへのタッチ操作が行い易い構成の情報処理端末を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理端末は、タッチパネル式のディスプレイを有する2つの筐体をヒンジ部によって開閉可能に連結した情報処理端末において、ヒンジ部が、2つの筐体のそれぞれに接続する、互いに平行な2つの回転軸を有する二軸ヒンジであり、回転軸の軸方向におけるディスプレイの外側に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれにタッチパネル式のディスプレイを備えた2つの筐体を有する情報処理端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナルコンピュータなどの情報処理端末の中には2つのディスプレイを備えたものがある。そのような情報処理端末の中には、それぞれにディスプレイを備えた2つの筐体が折り畳み可能に連結された構成のものがある。
【0003】
このような構成の情報処理端末では、持ち運び時にはコンパクトに折り畳むことができ、利用時には2つのアプリケーションを同時に利用したり、1つのアプリケーションを2つのディスプレイにわたる大きな画面で利用したりといった多彩な利用が可能である。
【0004】
しかしながら、このような構成の情報処理端末には2つのディスプレイの間隙があるため、1つの大きな画像を2つのディスプレイにわたって表示した場合に画像が分断される。そのため、このような構成の情報処理端末では、2つのディスプレイをできるだけ近づけることが要求される。
【0005】
図1は、特許文献1に記載された携帯電子図書の外観図である。特許文献1に記載された携帯電子図書は、2つの筐体(表示装置X1、X2)を開閉可能に連結する軸方向において蝶番部X12a、X22aを表示画面X13、X23の外側に配置することで、2つの表示画面X13、X23を近くに配置することを可能にしている。また、この携帯電子図書は、2つの表示画面X13、X23の表面が蝶番部X12a、X22aの中心を通る面と一致するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−113501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1に記載された携帯電子図書では、2つの表示装置X1、X2を180度開いたときに2つの表示画面X13、X23で構成される平面が蝶番部X12a、X22aの中心を通る面と一致する。そのため2つの表示装置X1、X2を寄せることが可能となっている。
【0008】
しかし、2つの表示装置X1、X2を180度開いたとき、表示画面X13、X23で構成される平面から高さ方向に蝶番部X12aが突出した状態となる。この蝶番部X12aは、強度を確保するため、また見開き角度を自由に設定できるようにするために、ある程度の大きさが必要である。
【0009】
表示装置X1、X2がタッチパネル式のディスプレイであれば、ユーザが指やペンでディスプレイへのタッチ操作を行うとき、突出した蝶番部X12a、X22aに手指やペンがあたる可能性があり、操作性を阻害する要因となる。
【0010】
本発明の目的は、2つのタッチパネル式のディスプレイの間隙が狭く、かつディスプレイへのタッチ操作が行い易い構成の情報処理端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理端末は、タッチパネル式のディスプレイを有する2つの筐体をヒンジ部によって開閉可能に連結した情報処理端末において、
前記ヒンジ部が、前記2つの筐体のそれぞれに接続する、互いに平行な2つの回転軸を有する二軸ヒンジであり、前記回転軸の軸方向における前記ディスプレイの外側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2つのタッチパネル式のディスプレイの間隙が狭く、かつディスプレイへのタッチ操作が行い易い構成の情報処理端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】特許文献1に記載された携帯電子図書の外観図である。
【図2】本実施形態による情報処理端末の開いた状態の外観を表す斜視図である。
【図3】本実施形態による情報処理端末の閉じた状態の外観を表す斜視図である。
【図4】本実施形態による情報処理端末の開いた状態における平面図である。
【図5】ヒンジ部16の周辺の概略構成を示す図である。
【図6】ヒンジ部16と他の部分との配置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図2は、本実施形態による情報処理端末の開いた状態の外観を表す斜視図である。図3は、本実施形態による情報処理端末の閉じた状態の外観を表す斜視図である。
【0016】
本実施形態による情報処理端末10は、一例として通信機能を備えた携帯情報端末であり、ヒンジ部15、16によって開閉可能に接続された2つの筐体13、14からなり、各筐体13、14のそれぞれにディスプレイ11、12を備えている。
【0017】
図2に示すように、筐体13と筐体14を180度開いた状態では、2つのディスプレイ11、12の表示面が同じ方向を向き、ユーザの視界に同時に入る。図3に示すように、筐体13と筐体14を閉じた状態では、2つのディスプレイ11、12の表示面が向かい合い、筐体13、14によってディスプレイ11、12が保護される。また、筐体13と筐体14の開き角は0度から180度までの間で自由に調整することができる。
【0018】
図4は、本実施形態による情報処理端末の開いた状態における平面図である。図4を参照すると、ヒンジ部15、16は、軸方向においてディスプレイ11、12の外側に配置されている。図4では、ディスプレイ11、12の左側にヒンジ部16が配置され、ディスプレイ11、12の右側にヒンジ部15が配置され、ヒンジ部15、16とディスプレイ11、12が縦方向で重ならないようにしてある。
【0019】
そのため、ディスプレイ11、12を、ヒンジ部15、16を避けて筐体13、14の連結部分に寄せて配置し、ディスプレイ11、12の間隙を狭めることが可能となっている。
【0020】
また、ヒンジ部15、16は、2つの筐体のそれぞれに接続する、互いに平行な2つの回転軸を有する二軸ヒンジである。そのため、筐体13と筐体14を寄せても、180度開いたディスプレイ11、12で構成される平面からヒンジ部15、16が突出することがなく、また十分な強度を確保し、見開き角度の自由な設定が可能である。
【0021】
本実施形態では、図2に示したように、2つの筐体13、14を180度開いたとき、筐体13、14のディスプレイ側の表面とヒンジ部15、16の表面とが一致するように構成されている。そのため、ユーザが筐体13、14の一方あるいは両方に触れながらタッチ操作を行ってもヒンジ部15、16を意識せずにスムーズにタッチ操作を行うことができる。
【0022】
なお、ここで用いられる二軸ヒンジは、歯車やベルトで2つの回転軸を連動して逆方向に回転させるヒンジ機構を備えた一般的なものである。2つの回転軸が逆方向に回転することで筐体13、14が開閉する。
【0023】
図5は、ヒンジ部16の周辺の概略構成を示す図である。
【0024】
図5を参照すると、ヒンジ部16には、2つの回転軸22、23を連動して回転させるヒンジ機構21と、筐体13、14間の配線26を通す配線スペース27とがある。この構成によりフラットケーブルを用いなくても筐体13、14の厚さを増すことなく筐体13、14間に配線26を渡すことができる。
【0025】
フラットケーブルを用いると、筐体13と筐体14との間の隙間にてケーブルが露出して破損の原因となったり、別途カバーで保護する必要が生じたりする。それに対して、本実施形態では、ヒンジ部16の配線スペース27にケーブルを通しているので、ケーブルが露出せず、安全である。
【0026】
ヒンジ部16を通る配線26は、複数の信号線を束ねた多芯シールドケーブルである。多芯のシールドケーブルを用いることで信号線のノイズ耐性が高められている。
【0027】
2つの筐体13、14のそれぞれと接続する2つの回転軸22、23を連動して回転させるヒンジ機構21は、ヒンジ部16内の軸方向の外側に配置されている。つまり図5では、ヒンジ機構21がヒンジ部16内の上側に配置されている。回転軸22、23は固定部材24、25によって筐体13、14にそれぞれ固定されている。そして、ヒンジ部16内のヒンジ機構21より内側の配線スペース27を配線26が通っている。配線26をヒンジ機構21の内側に通すことで、配線26とヒンジ機構21等との干渉を回避すると共に、配線26の配線長を短くすることができる。
【0028】
配線26は回転軸22、23の内側への延長線上で、ヒンジ部16と筐体13、14の間を渡っている。これにより、筐体13、14が開閉したときの配線26の動きを最小限に抑え、筐体13、14の開閉による配線26の疲労を低減することができる。
【0029】
図6は、ヒンジ部16と他の部分との配置関係を説明するための図である。
【0030】
図6を参照すると、筐体14の、回転軸の軸方向におけるヒンジ部16と同じ位置に、スイッチ32が配置されている。つまり、図6におけるディスプレイ12の下側にヒンジ部16とスイッチ32が横に並んで配置されている。ディスプレイ11、12を寄せるためにヒンジ部16を図6におけるディスプレイ12の下側に配置したことで筐体14に生じた幅の広い枠部分をスイッチ32に利用することで、ヒンジ部16とスイッチ32を効率良く配置して装置サイズに対してディスプレイサイズを大きくすることができる。
【0031】
また、図6を参照すると、筐体14の、回転軸の軸方向におけるヒンジ部16と同じ位置に、メイン基板31が内蔵されている。つまり、図6におけるディスプレイ12の下側、スイッチ32と同じ位置の筐体14内部にメイン基板31が配置されている。ディスプレイ11、12を寄せるためにヒンジ部16を図6におけるディスプレイ12の下側に配置したことで筐体14に生じた幅の広い枠部分の内部をメイン基板31に利用することで、ヒンジ部16とメイン基板31を効率良く配置して装置サイズに対してディスプレイサイズを大きくすることができる。
【0032】
また、図6を参照すると、軸方向において、ディスプレイ11、12の両側にヒンジ部15、16があり、ディスプレイ111、12の片側にメイン基板31があり、メイン基板31がある側のヒンジ部16とディスプレイ11、12との距離が、メイン基板31が無い側のヒンジ部15とディスプレイ11、12との距離よりも長くなっている。筐体13、14間を渡る配線26は筐体14内では主にメイン基板31に接続される。そのため、上述の構成を採用することで、メイン基板31がある側では、メイン基板31のスペースを確保すると共にメイン基板31からの配線26のとりまわしスペースを確保することができ、メイン基板31が無い側ではディスプレイ11、12の枠の幅を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 情報処理端末
11、12 ディスプレイ
13、14 筐体
15、16 ヒンジ部
21 ヒンジ機構
22、23 回転軸
24、25 固定部材
26 配線
27 配線スペース
31 メイン基板
32 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式のディスプレイを有する2つの筐体をヒンジ部によって開閉可能に連結した情報処理端末において、
前記ヒンジ部が、前記2つの筐体のそれぞれに接続する、互いに平行な2つの回転軸を有する二軸ヒンジであり、前記回転軸の軸方向における前記ディスプレイの外側に配置されていることを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
前記2つの筐体を180度開いたとき、前記筐体の前記ディスプレイ側の表面と前記ヒンジ部の表面とが一致することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
前記2つの筐体間の配線が前記ヒンジ部内を通っていることを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理端末。
【請求項4】
前記ヒンジ部を通る前記配線が複数の信号線を束ねた多芯シールドケーブルであることを特徴とする、請求項3に記載の情報処理端末。
【請求項5】
前記ヒンジ部は、前記2つの筐体のそれぞれと接続する前記2つの回転軸および該2つの回転軸を連動して回転させるヒンジ機構を前記軸方向の外側に配置し、前記ヒンジ機構より内側を前記配線が通ることを特徴とする、請求項3または4に記載の情報処理端末。
【請求項6】
前記配線は前記回転軸の内側への延長線上で前記ヒンジ部と前記筐体の間を渡ることを特徴とする、請求項5に記載の情報処理端末。
【請求項7】
前記筐体の、前記軸方向における前記ヒンジ部と同じ位置に、スイッチが配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理端末。
【請求項8】
前記筐体の、前記軸方向における前記ヒンジ部と同じ位置に、メイン基板が内蔵されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理端末。
【請求項9】
前記軸方向において、前記ディスプレイの両側に前記ヒンジ部があり、前記ディスプレイの片側に前記メイン基板があり、前記メイン基板がある側の前記ヒンジ部と前記ディスプレイとの距離が、前記メイン基板が無い側の前記ヒンジ部と前記ディスプレイとの距離よりも長いことを特徴とする、請求項8に記載の情報処理端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−53832(P2012−53832A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197815(P2010−197815)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】