説明

情報処理装置、そのソフトウェア管理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行うソフトウェアを搭載した場合に、その更新動作に伴う消費電力を低減することが可能な情報処理装置、そのソフトウェア管理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】表示状態検出手段3は、画面Mに常駐して表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェア4が、非表示状態となるのを検出する。更新動作管理手段2は、表示状態検出手段3で第1のソフトウェア4が非表示状態となったのを検出した場合に、第1のソフトウェア4の更新動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、そのソフトウェア管理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関し、詳細には、マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置、そのソフトウェア管理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電子機器の分野では装置の小型化に伴いバッテリ駆動型の装置が種々登場しており、バッテリ駆動時間に対するユーザの要求は年々大きくなっている。かかるバッテリ駆動型の電式機器では、種々の省電力機能を駆使して駆動時間の長時間化を図る方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ソフトウェアが省電力が必要な環境か否か判断して環境に最適な動作を実現するために、ソフトウェア処理装置は、動作環境判断部でアニメーション等の処理を実行する際に省電力を必要とする動作環境か否かを判断し、切替処理部により省電力が必要な環境ではソフトウェアの一部の機能を有効とした簡略化された低負荷な処理を実行し、省電力が不要な環境ではソフトウェアの全ての機能を有効とした高負荷な処理を実行する技術が開示されている。
【0004】
ところで、マイクロソフト社が提供する基本ソフトである「Windows Vista(R)」では、サイドバー・ガジェットがUIとして提供されている。サイドバーは、デスクトップの片側に表示されるウィンドウで、ガジェットを管理して、使用可能としている。ガジェットはサイドバーとドッキングして、Webサービスに接続して、業務データ、気象情報、最新ニュース等の配信や、他のプログラムと連動して、効率的な操作等を実現するものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、サイドバー・ガジェットは、タイマーイベントでガジェットが頻繁に更新されるため(例えば、時計は4sec毎に更新、CPUメーターは3sec毎に3回連続更新、アニメーションは連続的に更新等)、消費電力が大きい点が問題となる。特に、サイドバー・ガジェットが他のウィンドウの下に隠れている場合でも、タイマーイベントでガジェットが頻繁に更新されるため、消費電力上、問題となる。
【0006】
【特許文献1】特開2002−189539号公報
【非特許文献1】http://www.microsoft.com/japan/windows/products/windowsvista/features/details/sidebargadgets.mspx
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行うソフトウェアを搭載した場合に、その更新動作に伴う消費電力を低減することが可能な情報処理装置、そのソフトウェア管理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置において、画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出する表示状態検出手段と、前記表示状態検出手段で前記第1のソフトウェアが非表示状態となったのを検出した場合に、前記第1のソフトウェアの更新動作を停止させる更新動作管理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記表示状態検出手段は、他のソフトウェアのウィンドウが最大化されたことを検出することにより、前記第1のソフトウェアの非表示状態を検出することが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、本体側筐体と、当該本体側筐体に対して開閉可能に設けられ、かつ、閉じられる側の面にモニタを有するモニタ側筐体とを備え、前記表示状態検出手段は、前記モニタ側筐体の閉じ状態を検出することにより、前記第1のソフトウェアの非表示状態を検出することが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1のソフトウェアは、サイドバーと共に表示される1または複数のガジェットであり、前記更新動作管理手段は、前記サイドバーに前記ガジェットの更新動作を停止させる命令を通知し、当該サイドバーは、当該命令を受け取った場合に、前記1または複数のガジェットの更新動作を停止させることが望ましい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置のソフトウェア管理方法において、画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出する表示状態検出工程と、前記表示状態検出工程で前記第1のソフトウェアが非表示状態となったのを検出した場合に、前記第1のソフトウェアの更新動作を停止させる更新動作管理工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置に搭載されるプログラムにおいて、画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出する表示状態検出工程と、前記表示状態検出工程で前記第1のソフトウェアが非表示状態となったのを検出した場合に、前記第1のソフトウェアの更新動作を停止させる更新動作管理工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置において、画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出する表示状態検出手段と、前記表示状態検出手段で前記第1のソフトウェアが非表示状態となったのを検出した場合に、前記第1のソフトウェアの更新動作を停止させる更新動作管理手段と、を備えているので、画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行うソフトウェアを搭載した場合に、その更新動作に伴う消費電力を低減することが可能な情報処理装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の概念図である。実施の形態に係る情報処理装置1は、マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えており、図1に示すように、更新動作管理手段2と、表示状態検出手段3とを備えている。表示状態検出手段3は、画面Mに常駐して表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェア4が、非表示状態となるのを検出する。更新動作管理手段2は、表示状態検出手段3で第1のソフトウェア4が非表示状態となったのを検出した場合に、第1のソフトウェア4の更新動作を停止させる。情報処理装置1では、コンピュータがプログラムを実行することにより、更新動作管理手段2および表示状態検出手段3として機能する。
【0017】
表示状態検出手段3は、例えば、他のソフトウェアのウィンドウが最大化された状態の検出、または、モニタ側筐体の閉じ状態を検出することにより、第1のソフトウェアの非表示状態を検出する。
【0018】
また、第1のソフトウェアは、例えば、Windows Vista(R)で提供されるサイドバーと共に表示される1または複数のガジェットである。この場合、更新動作管理手段2は、サイドバーにガジェットの更新動作を停止させる命令を通知し、当該サイドバーは、当該命令を受け取った場合に、前記1または複数のガジェットの更新動作を停止させる。
【0019】
本実施の形態によれば、画面に常駐して表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出した場合に、第1のソフトウェアの更新動作を停止させることとしたので、画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行うソフトウェアを搭載した場合に、その更新動作に伴う消費電力を低減することが可能となる。
【0020】
(実施例1)
図2は、本発明に係る情報処理装置を適用した実施例1に係るノート型パーソナルコンピュータの外観構成を示す図である。ノート型パーソナルコンピュータ10は、図2に示すように、いずれも略直方体である本体側筐体20およびモニタ側筐体30を備える。本体側筐体20は、キーボード等を有する入力部108と、モニタ側筐体30の開閉を検出する不図示のLIDセンサ(図3参照)とを備える。モニタ側筐体30は、モニタ105を備える。さらに、本体側筐体20およびモニタ側筐体30は、それぞれの端部で左右の一対の連結部(ヒンジ部)40によって連結されており、連結部40は、これらの筐体を開閉自在に支持している。本体側筐体20の上にモニタ側筐体30を折り畳む(閉じる)と、ノート型パーソナルコンピュータ10では、不図示のLIDセンサ(図3参照)がモニタ側筐体30の開閉を検出する。
【0021】
図3は、実施例1に係るノート型パーソナルコンピュータの概略のハードウェア構成例を示す図である。実施例1では、本発明に係る情報処理装置をバッテリ駆動型のノート型パーソナルコンピュータに適用した場合について説明する。
【0022】
実施例1に係るノート型パーソナルコンピュータは、同図に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、HDD(ハードディスク)104、ディスプレイ105、光学ドライブ装置106、ネットワークカード107、入力部108、USBポート109、LIDセンサ110、バッテリ112、パワーコントローラ111、DC−DCコンバータ113、およびACアダプタ114等を備えており、各部はバスを介して接続されている。
【0023】
CPU101は、バスを介して接続されたHDD104に格納されたマルチタスク機能およびマルチウィンドウ機能を備えたOS121によりノート型パーソナルコンピュータ10の全体の制御を行うとともに、HDD104に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。
【0024】
ROM102は、BIOS102aやデータ等を格納している。BIOS(Basic I/O System)102aは、OS121、アプリケーションプログラム125、ガジェット126などがノート型パーソナルコンピュータ10のデバイスにアクセスするための機能を提供するものであり、ファームウェアとも称される。RAM103は、CPU101による各種プログラムの実行時にワークエリアとして利用されるメモリ機能を有している。
【0025】
モニタ105は、液晶ディスプレイ、バックライト、バックライトを駆動するインバータ、液晶ディスプレイを駆動するドライバ回路、ビデオコントローラ等を備えている。液晶ディスプレイは、CPU101の各種の処理に伴うメニュー、ステータス、表示遷移等を表示する機能を有している。ビデオコントローラは、CPU101の制御に従って、インバータを制御してバックライトの輝度の調整や、ビデオ信号をドライバ回路に送出して、液晶ディスプレイの表示を制御する。
【0026】
ネットワークカード107は、インターネット等のネットワークに接続してデータ通信や赤外線で他の機器と通信する機能を司る。
【0027】
入力部108は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルの移動または各種メニューを選択するスライスパッド等を備えている。LIDセンサ110は、モニタ側筐体30の開閉を検出して、開閉を示す検出信号をBIOS102aに通知する。
【0028】
HDD104は、ノート型パーソナルコンピュータ10全体の制御を行うためのOS121と、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ122と、ユーティリテイプログラム(DLL:Dynamic Link Library)123と、ノート型パーソナルコンピュータの消費電力を制御する電源管理部124と、特定業務に向けられたアプリケーションプログラム125、各種用途に使用される小さなアプリケーションプログラムであるガジェット126等を記憶する機能を有する。HDD104に記憶するプログラムは、例えば、CD−ROMから光学ドライブ装置106を介して、または、ネットワークからネットワークカード107を介してインストールすることができる。
【0029】
OS121は、マイクロソフト社が提供する基本ソフトである「Windows Vista(R)」であり、ノート型パーソナルコンピュータ10の基本的な動作を制御しているものであり、各種資源を管理し、例えば、アプリケーションプログラム125やガジェット126が発生した命令を、ドライバ122やBIOS102aに伝える。OS121は、マルチモニタ機能、マルチタスク機能、およびマルチウィンドウ機能を有し、アプリケーションプログラム125やガジェット126の実行コンテキスト(あるアプリケーションプログラム34が利用しているレジスタセットやメインメモリイメージ、ファイルハンドルなど)やGUIの部品などのソフトウェア資源の管理も行うようになされている。また、OS121は、UIとしてサイドバー121aを提供する。サイドバー121aは、ガジェット126と共にモニタ105に表示され、ガジェット126を管理する。
【0030】
電源管理部124は、ノート型パーソナルコンピュータの電力(消費電力)を制御するものである。具体的には、電源管理部124は、ノート型パーソナルコンピュータをS0〜S5のシステム状態(ACPIスリープステート)の移行の制御などを行う。ここで、S0はフル稼働状態、S1は低消費電力状態、S2は低消費電力状態、S3はスリープ状態、S4は休止状態、S5は電源オフを示している。
【0031】
ドライバ122は、ハードウェアを動作させるための専用ソフトウェアであり、ドライバ122には、例えば、入力部108のマウスを動作させるためのマウスドライバ、モニタ105に画像を表示させるためのモニタドライバなどがある。
【0032】
ACアダプタ114は、商用電源に接続して、AC電圧をDC電圧に変換してDC−DCコンバータ113に出力する。DC−DCコンバータ113は、ACアダプタ114から供給されるDC電圧を所定の電圧に変換して各部に電力を供給し、また、バッテリ112の充電を行う。バッテリ112は、DC−DCコンバータ113により充電され、充電した電圧を各部に供給する。パワーコントローラ111は、バッテリ112およびDC−DCコンバータ113の動作を制御する。バッテリ112は、ACアダプタ114が商用電源に接続されていない場合に使用される。
【0033】
図4は、ノート型パーソナルコンピュータ10のモニタ105に表示されるデスクトップ画面の一例を示す図である。ノート型パーソナルコンピュータ10の電源が投入されると、Windows Vista(R)」のサイドバー121aとガジェット126が起動し、サイドバー121a・ガジェット126がモニタ105の画面上に設けられたサイドバー121a・ガジェット126用の表示スペースに表示される。同図に示す例では、サイドバー121aには、複数の画像や情報を表示するガジェット126A、126B、126Cが表示されている。ガジェット126Aは画像によるアナログ時計(文字盤)を示し、ガジェット126Bは、カレンダーを示し、ガジェット126Cは、天気予報を示している。デスクトップに表示されている各ガジェット126は、タイマーイベントで更新される。また、デスクトップ画面には、各アプリケーション125のアイコン(R)が表示されており、125Aは文書作成用のアプリケーション、125Bは表計算用のアプケーション、125Cはデータベース作成用のアプケーション、125Dは、電子メールの授受用のアプリケーション、125Eはウェブページの閲覧用のアプリケーションを示している。
【0034】
図5は、上記図2のノート型パーソナルコンピュータ10のガジェット126の更新処理に関する機能構成を示す図である。ユーティリテイプログラム(DLL(Dynamic Link Library))123は、アプリケーションプログラム125およびOS121のウィンドウメッセージにフック(Hook)を設定して、ウィンドウメッセージを取得し、ウィンドウの最大化を検知した場合には、サイドバー121aにガジェット126の更新動作の停止(WM_SHOWWINDOW(HIDE))を指示する。
【0035】
ノート型パーソナルコンピュータ10のガジェット126の更新停止の手順の概略を説明する。まず、ユーティリテイプログラム(DLL)123は、ウィンドウのメッセージ(window message)をフック(Hook)するためにフックを設定(SetWindowsHook.Ex)する(S1)。ここで、OS121は、アプリケーション125からウィンドウの拡大の指示(アプリケーション125の起動による拡大ウィンドウの表示を含む)が入力された場合には、ウィンドウを拡大する処理を行い、ウィンドウメッセージ(WM_SIZE)をウィンドウに送信する(S2)。
【0036】
ユーティリテイプログラム(DLL)123は、ウィンドウメッセージのルーチンをフックし(S3)、適切なメッセージ(WM_SIZE)を検知した場合、ウィンドウ情報を取得する(S4)。つぎに、ユーティリテイプログラム(DLL)123は、ウィンドウ情報がウィンドウの「最大化」であるか否かを判断し(S5)、ウィンドウの「最大化」である場合には(S5の「Yes」)、サイドバー121aの表示が隠れるため、サイドバー126にガジェット126の更新動作を停止させるために、WM_SHOWWINDOW(HIDE)を通知する(S7)。サイドバー121aは、WM_SHOWWINDOW(HIDE)を受け取ると、ガジェット126の更新動作を停止させる。
【0037】
他方、ユーティリテイプログラム(DLL)123は、ウィンドウ情報がウィンドウの「最大化」でない場合には(S5の「No」)、ウィンドウの「リストア」であるか否かを判断し(S6)、ウィンドウの「リストア」である場合には(S6の「Yes」)、サイドバー121aの表示が現れるため、サイドバー121aに、ガジェット126の更新動作を再開させるために、WM_SHOWWINDOW(SHOW)を通知する(S8)。サイドバー121aは、WM_SHOWWINDOW(SHOW)を受け取ると、ガジェット126の更新動作を再開させる。
【0038】
図6は、上記図5の構成のノート型パーソナルコンピュータ10の画面表示例を示す図である。例えば、図5(A)に示すデスクトップ画面では、サイドバー121aに表示されているガジェット126A,B,Cは更新動作が行われている。ここで、例えば、アプリケーション125Aが起動され、(B)に示すように、アプリケーション125Aの最大化されたウィンドウW1が表示されると、サイドバー121aおよびガジェット126A,B,Cが非表示状態(隠れた状態)となるので、ガジェット126A,B,Cの更新動作を停止させる。つぎに、(C)に示すように、アプリケーション125AのウィンドウW1が縮小されると、サイドバー121aおよびガジェット126A,B,Cが表示状態となるので、ガジェット126A,B,Cの更新動作を再開させる。また、(D)に示すように、縮小化されたウィンドウW1を最大化させると、サイドバー121aおよびガジェット126A,B,Cが非表示状態(隠れた状態)となるので、ガジェット126A,B,Cの更新動作を停止させる。このように、サイドバー121aおよびガジェット126A,B,Cが表示状態の場合は、ガジェット126A,B,Cの更新動作を実行させる一方、サイドバー121aおよびガジェット126A,B,Cが非表示状態の場合は、ガジェット126A,B,Cの更新動作を停止させることにより、サイドバー121aおよびガジェット126A,B,Cが非表示状態の場合のガジェット126A,B,Cの更新動作による電力消費を防止する。
【0039】
以上説明したように、実施例1によれば、他のソフトウェアのウィンドウが最大化されたことを検出して、ガジェットの非表示状態を検出した場合には、ガジェットの更新動作を停止させることとしたので、ガジェットが他のウィンドウの下層になり、非表示状態となった場合にガジェットの更新動作を停止させることで、ガジェットが非表示状態となった場合のガジェットの更新動作による電力消費を削減でき、ガジェットが非表示状態にある場合の消費電力を低減することが可能となる。
【0040】
(実施例2)
つぎに、実施例2にかかるノート型パーソナルコンピュータについて説明する。実施例1は、他のソフトウェアのウィンドウが最大化されてガジェット126が非表示状態となった場合に、ガジェット126の更新動作を停止させる構成であるのに対して、実施例2では、モニタ側筐体30が閉じ状態となってガジェット126が非表示状態となった場合に、ガジェットの更新動作を停止させる構成である。実施例2に係るノート型パーソナルコンピュータの外観構成およびハードウェア構成は実施例1と同様であるのでその説明は省略する。
【0041】
図7は、Windows Vista(R)が提供する電源オプションのプロパティ画面の一例を示している。電源オプションのプロパティ画面では、モニタ側筐体30を閉じたとき(コンピュータを閉じた場合)、電源ボタンを押したとき、およびスリープボタンを押したときに、”スリープ状態“、”休止状態“、”シャットダウン”または”何もしない”に設定可能となっている。電源管理部124は、電源オプションのプロパティ画面の設定内容に従って、ノート型パーソナルコンピュータ10の電力(消費電力)を制御する。
【0042】
図8は、実施例2に係るノート型パーソナルコンピュータ10のガジェット126の更新処理に関する機能構成を示す図である。ユーティリテイプログラム223は、LID CLOSE ACTION情報を取得した場合において、モニタ側筐体30を閉じた際に、何もしないが設定されている場合には、サイドバー121aにガジェット126の更新動作の停止(WM_SHOWWINDOW(HIDE))を指示する。
【0043】
実施例2に係るノート型パーソナルコンピュータ10のガジェット126の更新停止の手順の概略を説明する。LIDセンサ110は、モニタ側筐体30の開閉を検出して、開閉を示す検出信号をBIOS102aに出力する。BIOS102aは、LIDセンサ110からモニタ側筐体30の閉じを示す検出信号を受け取った場合には、ユーティリテイプログラム223にLID CLOSEを通知する(S11)。ユーティリテイプログラム223は、LID CLOSEを受け取ると、電源管理部124からLID CLOSE ACTION情報(モニタ側筐体30を閉じたときの設定(スリープ、休止状態、シャットダウン又は何もしない))を取得(Get Current Power Policies)する(S12、S13)。ユーティリテイプログラム223は、”何もしない(Do Nothing)”が設定されているか否かを判断し(S14)、”何もしない”が設定されている場合には(S14の「Yes」)、サイドバー121aに、ガジェット126の更新動作を停止させるために、WM_SHOWWINDOW(HIDE)を通知する(S15)。サイドバー121aは、WM_SHOWWINDOW(HIDE)を受け取ると、ガジェット126の更新動作を停止させる。他方、”何もしない(Do Nothing)”が設定されていない場合(S14の「No」)、すなわち、スリープ状態等が設定されている場合には、ノート型パーソナルコンピュータ10は、スリープ状態等に移行して、ガジェット126の更新動作は停止するため、ユーティリテイプログラム223は特に処理を行わない。
【0044】
また、BIOS102aは、LIDセンサ110からモニタ側筐体30の開を示す検出信号を受け取った場合には、ユーティリテイプログラム223にLID OPENを通知する(S16)。ユーティリテイプログラム223は、LID OPENを受け取った場合には、ガジェット126の更新動作は停止中か否かを判断し(S17)、ガジェット126の更新動作が停止中の場合には(S17の「Yes」)、サイドバー121aに、ガジェット126の更新動作を再開させるために、WM_SHOWWINDOW(SHOW)を通知する(S18)。サイドバー121aは、WM_SHOWWINDOW(SHOW)を受け取ると、ガジェット126の更新動作を再開させる。
【0045】
実施例2によれば、モニタ側筐体30が閉じられた際に、スリープ状態等の移行が設定されていない場合には、ガジェット126の更新動作を停止させることとしたので、モニタ側筐体30が閉じられ、かつ、スリープ状態等に移行しない場合にガジェットの更新動作による電力消費を削減でき、ガジェットが非表示状態にある場合の消費電力を低減することが可能となる。
【0046】
なお、上記実施例では、ノート型パーソナルコンピュータについて説明したが、コンピュータの型式は上述したノート型パーソナルコンピュータに限定されるものではなく、バッテリを電源として駆動する全ての情報処理装置に適用可能であり、例えば、PDA、携帯端末、デジタルカメラ等の情報処理装置に適用可能である。また、画面に常駐して表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアとして、Windows Vista(R)で提供されるサイドバーで管理されるガジェットについて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、画面に常駐して表示され、かつ、継続的に更新動作を行う他のソフトウェアにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る情報処理装置、そのソフトウェア管理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、バッテリを電源として駆動する情報処理装置に特に有用であり、例えば、PDA、携帯端末、デジタルカメラ等の情報処理装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の概念図である。
【図2】本発明に係る情報処理装置を適用したノート型パーソナルコンピュータの外観構成を示す図である。
【図3】実施例1に係るノート型パーソナルコンピュータの概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】ノート型パーソナルコンピュータのモニタに表示されるデスクトップ画面の一例を示す図である。
【図5】ノート型パーソナルコンピュータのガジェットの更新処理に関する機能構成を示す図である。
【図6】ノート型パーソナルコンピュータの画面表示例を示す図である。
【図7】Windows Vista(R)が提供する電源オプションのプロパティ画面の一例を示す図である。
【図8】実施例2に係るノート型パーソナルコンピュータのガジェットの更新処理に関する機能構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 情報処理装置
2 更新動作管理手段
3 表示状態検出手段
10 ノート型パーソナルコンピュータ
20 本体側筐体
30 モニタ側筐体
40 連結部(ヒンジ部)
101 CPU
102 ROM
102a BIOS
103 RAM
104 HDD(ハードディスク)
105 モニタ
106 光学ドライブ装置
107 ネットワークカード
108 入力部
109 USBポート
110 LIDセンサ
111 パワーコントローラ
112 バッテリ
113 DC−DCコンバータ
114 ACアダプタ
121 OS
121a サイドバー
122 ドライバ
123 ユーティリテイプログラム(DLL)
124 電源管理部
125 アプリケーションプログラム
126 ガジェット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置において、
画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出する表示状態検出手段と、
前記表示状態検出手段で前記第1のソフトウェアが非表示状態となったのを検出した場合に、前記第1のソフトウェアの更新動作を停止させる更新動作管理手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示状態検出手段は、他のソフトウェアのウィンドウが最大化されたことを検出することにより、前記第1のソフトウェアの非表示状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
本体側筐体と、当該本体側筐体に対して開閉可能に設けられ、かつ、閉じられる側の面にモニタを有するモニタ側筐体とを備え、
前記表示状態検出手段は、前記モニタ側筐体の閉じ状態を検出することにより、前記第1のソフトウェアの非表示状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1のソフトウェアは、サイドバーと共に表示される1または複数のガジェットであり、
前記更新動作管理手段は、前記サイドバーに前記ガジェットの更新動作を停止させる命令を通知し、当該サイドバーは、当該命令を受け取った場合に、前記1または複数のガジェットの更新動作を停止させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置のソフトウェア管理方法において、
画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出する表示状態検出工程と、
前記表示状態検出工程で前記第1のソフトウェアが非表示状態となったのを検出した場合に、前記第1のソフトウェアの更新動作を停止させる更新動作管理工程と、
を含むことを特徴とする情報処理装置のソフトウェア管理方法。
【請求項6】
マルチウィンドウ機能およびマルチタスク機能を備えた情報処理装置に搭載されるプログラムにおいて、
画面に常駐的に表示され、かつ、継続的に更新動作を行う第1のソフトウェアが、非表示状態となるのを検出する表示状態検出工程と、
前記表示状態検出工程で前記第1のソフトウェアが非表示状態となったのを検出した場合に、前記第1のソフトウェアの更新動作を停止させる更新動作管理工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−61394(P2010−61394A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226336(P2008−226336)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】