説明

情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法

【課題】立体画像の表示が変化した場合の視差への影響を軽減する。
【解決手段】情報処理装置100は、立体画像を表す左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rを、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させ、立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える表示制御部110を備える。表示制御部110は、変化量が、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが左右方向について逆転していることを示すものである場合に、観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやPC(Personal Computer)のディスプレイなどの表示装置を用いて、ユーザに立体画像を提供することが一般的になってきている。立体画像は、例えば特許文献1に記載のように、観察者の右眼に提示される左眼用画像と、左眼に提示される右眼用画像とに、所定の視差を与えることによって実現される。例えばテレビの場合、パララックスバリアなどを用いた視点画像の分離によって、ユーザの視点の移動に対応して、左眼用画像と右眼用画像との組み合わせを複数含む多視点用の画像が表示される場合も多い。
【0003】
一方、写真(静止画)や動画などの画像を、回転など表示の変化を伴って画面に表示することが広く行われている。例えば、PCに保存されている一連の画像を順次表示させるスライドショーなどのソフトウェアにおいては、画像が表示される際の視覚効果として、画像の回転が用いられることが多い。また、例えば衛星画像などを閲覧するソフトウェアにおいては、画像をユーザの操作によって自由に回転できる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−045584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の記載のように、左眼用画像と右眼用画像とに視差が与えられた立体画像において、回転など表示の変化によって画像の左右が逆転した場合、逆視が発生するという問題がある。逆視とは、左眼用画像と右眼用画像との視差の向きが逆になった状態である。逆視の状態は、例えば立体画像の手前と奥が逆転して知覚されたりするため、ユーザに不快感を与えるものである。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、立体画像の表示が変化した場合の視差への影響を軽減することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、立体画像を表す左眼用画像および右眼用画像を、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させ、上記立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、上記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える表示制御部を備える情報処理装置が提供される。
【0008】
上記表示制御部は、上記変化量が、上記左眼用画像と上記右眼用画像との間のずれが左右方向について逆転していることを示すものである場合に、上記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えてもよい。
【0009】
上記表示制御部は、上記立体画像の回転角度が、(180×n)°を含む第1の範囲にある場合に(nは奇数)、上記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えてもよい。
【0010】
上記第1の範囲は、((180×n)±45)°であってもよい。
【0011】
上記表示制御部は、上記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えるときに、補間画像を表示させてもよい。
【0012】
上記表示制御部は、上記変化量に応じて、上記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させてもよい。
【0013】
上記表示制御部は、上記変化量が、上記左眼用画像と上記右眼用画像との間のずれが左右方向に比べて上下方向で卓越していることを示すものである場合に、上記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させてもよい。
【0014】
上記同一の画像は、上記左眼用画像または上記右眼用画像であってもよい。
【0015】
上記表示制御部は、上記立体画像の回転角度が、(90×m)°を含む第2の範囲にある場合に(mは奇数)、上記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させてもよい。
【0016】
上記第2の範囲は、((90×m)±45)°であってもよい。
【0017】
上記表示制御部は、上記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させるときに、補間画像を表示させてもよい。
【0018】
上記補間画像は、上記左眼用画像と上記右眼用画像との間の線形補間によって生成されてもよい。
【0019】
上記補間画像は、250msの間表示されてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、立体画像を表す左眼用画像および右眼用画像を、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させる処理と、上記立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、上記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える処理とをコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、立体画像を表す左眼用画像および右眼用画像を、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させるステップと、上記立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、上記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えるステップとを含む情報処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、立体画像の表示が変化した場合の視差への影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る立体画像の入力および出力についての説明図である。
【図3】同実施形態に係る立体画像の入力および出力についての説明図である。
【図4】同実施形態に係る立体画像の表示の変化についての説明図である。
【図5】同実施形態に係る立体画像の表示の変化についての説明図である。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る立体画像の入力および出力についての説明図である。
【図8】同実施形態に係る立体画像の表示の変化についての説明図である。
【図9】同実施形態に係る立体画像の表示の変化についての説明図である。
【図10】同実施形態に係る情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【図12】同実施形態における回転角度の判定についての説明図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る補間画像を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1−1.情報処理装置の構成
1−2.立体画像の表示が変化した場合の処理
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
3−1.立体画像の表示が変化した場合の処理
3−2.変形例
4.第4の実施形態
5.まとめ
【0026】
<1.第1の実施形態>
(1−1.情報処理装置の構成)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【0027】
図1を参照すると、情報処理装置100は、表示制御部110、表示部120、デコーダ130、および記憶部140を含む。表示部120には、左表示部120Lおよび右表示部120Rが含まれる。左表示部120Lに表示される画像は、観察者の左眼eLに提示される。また、右表示部120Rに表示される画像は、観察者の右眼eRに提示される。なお、表示部120には、左表示部120Lおよび右表示部120R以外の表示部が含まれ、表示制御部110は、左表示部120Lおよび右表示部120R以外の表示部に対応する視点画像を含む複数の視点用画像を出力してもよい。
【0028】
表示制御部110は、互いに視差を有する左眼用画像および右眼用画像を、左表示部120Lおよび右表示部120Rに出力し、立体画像を表示させる。このとき、表示制御部110は、表示される立体画像に対して拡大、縮小または回転など表示の変化を加えてもよい。さらに、後述するように、表示制御部110は、立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、左表示部120Lおよび右表示部120Rに出力する画像を制御してもよい。表示制御部110は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサによって実現される。この場合、プロセッサは、記憶部140に格納されたプログラムに従って動作し、表示制御部110の機能を実現する。プロセッサは、例えば記憶部140に含まれるDRAM(Dynamic Random Access Memory)を用いて動作してもよい。上記プログラムは、例えばディスク状記憶媒体またはメモリカードなどのリムーバブル記憶媒体に格納されて情報処理装置100に提供されるものであってもよく、また、LAN(Local Area Network)またはインターネットなどのネットワークを介して情報処理装置100にダウンロードされるものであってもよい。
【0029】
表示部120は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、または有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどのディスプレイでありうる。表示部120は、左表示部120Lおよび右表示部120Rを含み、左表示部120Lおよび右表示部120Rは、表示制御部110からそれぞれ入力された画像を表示する。ここで、左眼用画像を左表示部120Lから観察者の左眼eLに、右眼用画像を右表示部120Rから観察者の右眼eRに導く方法は、適宜選択されうる。この方法として、例えば、パララックスバリア方式またはレンチキュラレンズ方式が用いられてもよい。この場合、左表示部120Lおよび右表示部120Rは、表示部120において、左眼用画像および右眼用画像にそれぞれ割り当てられた画素の集合でありうる。また、上記方法として、フレームシーケンシャル方式が用いられてもよい。この場合、表示部120には、所定の時間単位で左眼用画像と右眼用画像とが交互に表示される。つまり、この場合、表示部120は、時間単位で、左眼用画像が表示される時間には左表示部120Lとして、また右眼用画像が表示される時間には右表示部120Rとして機能する。
【0030】
デコーダ130は、記憶部140に格納された画像データを読み出し、読み出した画像データを所定のフォーマットに従ってデコードすることによって、立体画像の左眼用画像および右眼用画像を取得する。デコーダ130は、取得した左眼用画像および右眼用画像を、表示制御部110に出力する。デコーダ130は、例えば表示制御部110と同様にDSPなどのプロセッサがプログラムに従って動作することによって実現されてもよく、また集積回路を用いた専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0031】
記憶部140には、情報処理装置100の処理に関するデータが格納される。記憶部140は、例えば、フラッシュROM、もしくはDRAMなどの半導体メモリ、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、もしくはCD(Compact Disc)などの光ディスク、またはハードディスクなどでありうる。記憶部140は、情報処理装置100に内蔵される記憶装置であってもよく、情報処理装置100に着脱可能なメモリカードなどのリムーバブルメディアであってもよい。また、記憶部140は、複数の種類の記憶装置またはリムーバブルメディアを含んでもよい。記憶部140には、デコーダ130によって読み出される画像データが格納されるほか、表示制御部110などの機能を実現するDSPなどのプロセッサが動作するためのプログラムが格納されてもよい。
【0032】
(1−2.立体画像の表示が変化した場合の処理)
次に、図2〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置100の、立体画像の表示が変化した場合の処理について説明する。図2および図3は、本実施形態において、デコーダ130から表示制御部110に入力される画像と、表示制御部110から左表示部120Lおよび右表示部120Rに出力される画像との関係を模式的に示す図である。図4および図5は、本実施形態において、表示制御部110によって表示される立体画像の表示の変化を模式的に示す図である。図6は、本実施形態における表示制御部110の処理を示すフローチャートである。
【0033】
図2には、通常の状態において、情報処理装置100のデコーダ130から表示制御部110に入力される画像と、表示制御部110から左表示部120Lおよび右表示部120Rに出力される画像とが模式的に示されている。デコーダ130からは、左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rが表示制御部110に入力される。表示制御部110は、左眼用画像200Lを左表示部120Lに、右眼用画像200Rを右表示部120Rに、それぞれ出力する。
【0034】
一方、図3には、表示制御部110が立体画像の表示を変化させ、この変化の変化量が所定の条件を満たした場合において、デコーダ130から表示制御部110に入力される画像と、表示制御部110から左表示部120Lおよび右表示部120Rに出力される画像とが模式的に示されている。デコーダ130からは、図2において示された場合と同様に、左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rが表示制御部110に入力される。表示制御部110は、左眼用画像200Lを右表示部120Rに、右眼用画像200Rを左表示部120Lに、それぞれ出力する。つまり、この場合、表示制御部110は、観察者の左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える。
【0035】
図4には、表示制御部110が立体画像に対して回転角度θ1の回転を加える前後の状態が示されている。なお、以下の説明では、立体画像が、画面の左右方向をx軸、画面の上下方向をy軸、画面の奥行き方向をz軸とする3次元座標系において表示されるものとする。図示された例において、表示制御部110は、立体画像に、z軸回りに回転角度θ1の回転を加える。ここで、図示されているように、回転角度θ1は、180°に近い角度であるものとする。また、立体画像が回転する際に、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとは、互いの相対的な位置を保って一体的に回転するものとする。
【0036】
ここで、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとは、互いにずれて表示されている。このずれは、視差を模式的に示したものである。なお、ここでは、左眼用画像200Lが右眼用画像200Rに対して画面の左側にずれるような視差を、正の値の視差とする。図示されている例では、説明を簡単にするために、立体画像の全体において、一様な視差が設定されている。しかし、実際の立体画像における視差の値は、必ずしも一様ではない。例えば、画像のある部分では視差の値が正であり、別の部分では視差の値が負である、といったように、視差の正負は画像の部分ごとに独立して設定されうる。また、視差の値の大きさも、画像の部分ごとに異なりうる。しかしながら、そのような場合においても、視差が画面の左右方向のずれとして設定されることには変わりがない。よって、図示された例を用いた以下の説明は、立体画像について普遍的に適用可能である。なお、立体画像において、視差の値が正である部分は、画面の奥に向かって引き込まれているように見える。逆に、視差の値が負である部分は、画面の手前に向かって飛び出すように見える。
【0037】
図示された例において、回転前の立体画像では、左眼用画像200Lが、右眼用画像200Rに対して画面の右側にずれて表示されている。一方、回転後の立体画像では、左眼用画像200Lが、右眼用画像200Rに対して画面の左側にずれて表示されている。すなわち、回転前の立体画像は負の値の視差を有するのに対し、回転後の立体画像は正の値の視差を有する。これはつまり、回転角度θ1の回転によって、立体画像の視差の値の正負が逆転したということである。視差の値の正負が逆転すると、視差の向きは、左右方向について逆転する。この状態は、すなわち逆視の状態である。逆視の状態になると、上述のように画面の奥と手前の認識に関わる、視差の値の正負が逆転するため、立体画像の見え方が非常に不自然になり、観察者に大きな負荷がかかる。そこで、このような場合に、情報処理装置100の表示制御部110は、図3において示されたような、観察者の左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える処理を実行する。
【0038】
図5には、表示制御部110が立体画像に対して回転角度θ1の回転を加え、かつ、観察者の左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えた場合の、回転前後の立体画像の状態が示されている。図示された例において、回転前の立体画像では、左眼用画像200Lが、右眼用画像200Rに対して画面の右側にずれて表示されている。一方、回転後の立体画像でも、左眼用画像200Lが、右眼用画像200Rに対して画面の右側にずれて表示されている。すなわち、回転前の立体画像は負の値の視差を有するのに対し、回転後の立体画像も負の値の視差を有する。これはつまり、回転角度θ1の回転によって、立体画像の視差の値の正負が逆転するが、表示制御部110が左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとを入れ替えたために、逆転が相殺され、立体画像の視差の値の正負が変化しなかったということである。よって、図示された場合において、逆視の状態は発生しない。
【0039】
図6には、図2〜図5を用いて説明されたような立体画像の表示を実現するための、情報処理装置100の表示制御部110の処理が、フローチャートによって示されている。まず、表示制御部110は、回転角度θを検出する(ステップS101)。次に、表示制御部110は、回転角度θが、|θ|>180°−γで表される第1の範囲にあるか否かを判定する(ステップS103)。γは、第1の範囲の幅を示す。なお、γのとりうる値については後述する。ここで、回転角度θが第1の範囲にあると判定された場合、表示制御部110は、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える(ステップS105)。一方、ステップS103において、回転角度θが第1の範囲にはないと判定された場合、表示制御部110は、そのまま処理を終了する。
【0040】
上記のフローチャートにおいて、回転角度θは、例えば、表示制御部110が立体画像の表示を変化させる際のモデルビュー変換行列から取得されうる。具体的には、モデルビュー変換行列を表す3×3行列Rにx軸方向の単位ベクトルをかけて得られるベクトルVのx座標とy座標から、逆三角関数のarctanを用いてθを算出することができる。回転角度θは、他の方法で求められてもよい。
【0041】
また、上記のフローチャートにおいて、表示制御部110が左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える場合の回転角度θは、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが左右方向について逆転していることを示すものである、従って、γの値は、90°以下の任意の値でありうる。|θ|>180°−90°、すなわち|θ|>90°でなければ、視差の値の正負の逆転は起こらないためである。
【0042】
<2.第2の実施形態>
続いて、図7〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態と比べて、表示制御部110が立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて出力する画像を制御する処理において相違するが、その他の機能構成は第1の実施形態と略同一であるため、詳細説明は省略する。図7は、本実施形態において、デコーダ130から表示制御部110に入力される画像と、表示制御部110から左表示部120Lおよび右表示部120Rに出力される画像との関係を模式的に示す図である。図8および図9は、本実施形態において、表示制御部110によって表示される立体画像の表示の変化を模式的に示す図である。図10は、本実施形態における表示制御部110の処理を示すフローチャートである。
【0043】
図7には、表示制御部110が立体画像の表示を変化させ、この変化の変化量が所定の条件を満たした場合において、デコーダ130から表示制御部110に入力される画像と、表示制御部110から左表示部120Lおよび右表示部120Rに出力される画像とが模式的に示されている。デコーダ130からは、図2において示された場合と同様に、左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rが表示制御部110に入力される。表示制御部110は、左眼用画像200Lを左表示部120Lおよび右表示部120Rの両方に出力する。つまり、この場合、表示制御部110は、観察者の左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させる。なお、観察者の左眼eLおよび右眼eRに提示される同一の画像は、必ずしも左眼用画像200Lでなくてもよい。観察者の左眼eLおよび右眼eRに提示される同一の画像は、右眼用画像200Rであってもよく、また、別途に生成された画像であってもよい。
【0044】
図8には、表示制御部110が立体画像に対して回転角度θ2の回転を加える前後の状態が示されている。図示された例において、表示制御部110は、立体画像に、z軸回りに回転角度θ2の回転を加える。ここで、図示されているように、回転角度θ2は、90°に近い角度であるものとする。また、立体画像が回転する際に、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとは、互いの相対的な位置を保って一体的に回転するものとする。
【0045】
図示された例において、回転前の立体画像では、左眼用画像200Lが、右眼用画像200Rに対して画面の右側にずれて表示されている。一方、回転後の立体画像では、左眼用画像200Lが、右眼用画像200Rに対して画面の上側にずれて表示されている。つまり、回転後の立体画像においては、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが、画面の左右方向に比べて上下方向で卓越している。このような場合、逆視の状態は発生していないものの、立体画像に本来設定される視差とは異なる方向のずれが生じているため、観察者に不自然な印象を与える可能性がある。そこで、このような場合に、情報処理装置100の表示制御部110は、図7において示されたような、観察者の左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させる処理を実行する。
【0046】
図9には、表示制御部110が立体画像に対して回転角度θ2の回転を加え、かつ、観察者の左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させる場合の、回転前後の立体画像の状態が示されている。図示された例において、回転前の立体画像では、左眼用画像200Lが、右眼用画像200Rに対して画面の右側にずれて表示されている。一方、回転後の立体画像では、左眼用画像200Lが、観察者の左眼eLおよび右眼eRの両方に対して表示されている。これはつまり、回転角度θ2の回転によって、立体画像に本来設定される視差とは異なる方向のずれが生じるため、左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させることによってこのずれを除いたということである。よって、図示された場合において、観察者に不自然な印象を与える可能性は低い。
【0047】
図10には、図7〜図9を用いて説明されたような立体画像の表示を実現するための、情報処理装置100の表示制御部110の処理が、フローチャートによって示されている。まず、表示制御部110は、回転角度θを検出する(ステップS201)。次に、表示制御部110は、回転角度θが、90°+δ>|θ|>90°−δで表される第2の範囲にあるか否かを判定する(ステップS203)。δは、第2の範囲の幅を示す。なお、δのとりうる値については後述する。ここで、回転角度θが第2の範囲にあると判定された場合、表示制御部110は、左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させる(ステップS205)。一方、ステップS203において、回転角度θが第2の範囲にはないと判定された場合、表示制御部110は、そのまま処理を終了する。
【0048】
上記のフローチャートにおいて、表示制御部110が左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させる場合の回転角度θは、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが左右方向に比べて上下方向で卓越し、観察者に不自然な印象を与える可能性が高いことを示すものである、従って、δの値は、45°以下の任意の値でありうる。90°−45°>|θ|、すなわち45°>|θ|の範囲では、視覚における補正が働き、不自然ではない立体画像が知覚されるためである。
【0049】
<3.第3の実施形態>
続いて、図11および図12を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態と比べて、表示制御部110が立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて出力する画像を制御する処理において相違するが、その他の機能構成は第1の実施形態と略同一であるため、詳細説明は省略する。図11は、本実施形態における表示制御部110の処理を示すフローチャートである。図12は、本実施形態における回転角度の判定について説明するための図である。
【0050】
(3−1.立体画像の表示が変化した場合の処理)
図11には、本実施形態に係る情報処理装置100の表示制御部110の処理が、フローチャートによって示されている。まず、表示制御部110は、回転角度θを検出する(ステップS301)。次に、表示制御部110は、回転角度θが、|θ|>180°−εで表される第3の範囲にあるか否かを判定する(ステップS303)。εは、第3の範囲の幅を示す。なお、εのとりうる値については後述する。ここで、回転角度θが第3の範囲にあると判定された場合、表示制御部110は、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える(ステップS305)。ステップ305における表示制御部110の処理は、本発明の第1の実施形態の説明における、図6のステップS105の処理と略同一である。
【0051】
一方、ステップS303において、回転角度θが第3の範囲にないと判定された場合、次に、表示制御部110は、回転角度θが、|θ|<εで表される第4の範囲にあるか否かを判定する(ステップS307)。ここで、回転角度θが第4の範囲にあると判定された場合、表示制御部110は、そのまま処理を終了する。一方、ステップS307において、回転角度θが第4の範囲にはないと判定された場合、表示制御部110は、左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させる(ステップS309)。ステップ309における表示制御部110の処理は、本発明の第2の実施形態の説明における、図10のステップS205に処理と略同一である。
【0052】
以上の処理によって、回転角度θと、左眼eLおよび右眼eRに提示される画像との関係をまとめると、表1のようになる。
【0053】
【表1】

【0054】
図12を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置100の表示制御部110の処理についてさらに説明する。図12では、表示制御部110による回転角度θの判定が示されている。領域R1として図示されている領域は、|θ|<εとなる領域であり、図11を参照して説明された第4の領域にあたる。また、領域R3として図示されている領域は、|θ|>180°−εとなる領域であり、図11を参照して説明された第3の領域にあたる。領域R2として図示されている領域は、上記の第3の領域にも第4の領域にも含まれない領域であり、表1において「上記以外」として示されている条件にあたる領域である。
【0055】
領域R1は、回転角度θが比較的小さく、視覚における補正の働きによって、不自然ではない立体画像が知覚される領域である。従って、回転角度θがこの領域にある場合、表示制御部110は、左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rを、そのまま左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して表示させる。
【0056】
領域R2は、回転角度θが±90°に近く、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが、左右方向に比べて上下方向で卓越する領域である。この領域で左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとがそのまま左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して表示された場合、逆視の状態ではないものの、観察者に不自然な印象を与える可能性がある。よって、表示制御部110は、左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像、ここでは左眼用画像200Lを表示させる。
【0057】
領域R3は、回転角度θが±180°に近く、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが、左右方向について逆転している領域である。この領域で左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとがそのまま左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して標示された場合、逆視の状態になってしまい、観察者に大きな負荷がかかる。そこで、表示制御部110は、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える。
【0058】
εは、回転角度θが、θ=0°から徐々に増加した場合に、視覚における補正の働きによって、視差が破綻せずに、不自然ではない立体画像が知覚される限界の回転角度θとして求められうる。このようなεは、例えば45°でありうる。また、領域R3における、左眼eLおよび右眼eRにそれぞれ提示される画像が入れ替えられた立体画像についても同様のことがいえるため、領域R1と領域R2との境界、および領域R2と領域R3との境界は、いずれも同じεを用いて、領域R1と領域R2との境界が|θ|=ε、領域R2と領域R3との境界が|θ|=180°−εとして定められる。ε=45°である場合、領域R1と領域R2との境界は|θ|=45°、領域R2と領域R3との境界は|θ|=135°になる。
【0059】
(3−2.変形例)
(変形例1:ヒステリシス制御(1))
上記のような、回転角度θの値に基づく表示制御部110の動作では、ヒステリシスの考え方が応用されてもよい。ヒステリシスとは、系の状態がそれまでの経過に依存することである。この場合、表示制御部110は、回転角度θがそれまでどの領域にあったかに応じて、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を切り替える境界値を変動させる。例えば、図12において示される例においては、表示制御部110が、回転角度θの領域R1から領域R2への変化方向d1と、回転角度θの領域R2から領域R1への変化方向d2との間で、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を切り替える回転角度θを異ならせることが考えられる。
【0060】
具体的に、ε=45°、すなわち、領域R1と領域R2との境界がθ=45°、領域R2と領域R3との境界がθ=135°である場合を例として説明する。変化方向d1の場合、表示制御部110は、回転角度θが45°を上回って50°になった時点で、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を同一の画像にしてもよい。また、変化方向d2の場合、表示制御部110は、回転角度θが45°を下回って40°になった時点で、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を、同一の画像から左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rに切り替えてもよい。同様にして、表示制御部110は、回転角度θが領域R2から領域R3に変化する場合は、θ=140°になった時点で左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を切り替え、回転角度θが領域R3から領域R2に変化する場合は、θ=130°になった時点で左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を切り替えてもよい。
【0061】
このような制御によって、例えば、回転角度θが、領域の境界となる角度をわずかに上回る角度まで増加して、その後減少してこの角度を下回るような場合、または、回転角度θが領域の境界となる角度をまたいで微振動するような場合に、不必要な表示の切り替えを防止し、観察者に自然な立体画像を提示することができる。
【0062】
(変形例2:ヒステリシス制御(2))
また、別の例として、表示制御部110は、回転角度θが領域の境界の角度を越えて変化した後、所定の時間が経過した時点で左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を切り替えてもよい。例えば、表示制御部110は、回転角度θが、領域R1と領域R2の境界であるθ=45°を越えて変化した後、500ms程度の時間が経過した時点で、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を同一の画像にしてもよい。500ms程度の時間が経過する前に、回転角度θがさらに変化し、領域R2と領域R3との境界であるθ=135°を越えた場合、表示制御部110は、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を同一の画像にすることなく、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えてもよい。
【0063】
このような制御によって、例えば、回転角度θが、領域の境界となる角度を上回る角度まで増加したものの、その後すぐ減少してこの角度を下回るような場合、または、回転角度θが短時間で複数の領域の境界となる角度を越えて変化するような場合に、頻繁に表示が切り替わることを防止し、観察者に自然な立体画像を提示することができる。
【0064】
<4.第4の実施形態>
続いて、図13を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、本発明の第4の実施形態は、第1〜第3の実施形態と比べて、表示制御部110が、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を切り替えるときに補間画像を表示させる点において相違するが、その他の機能構成は第1〜第3の実施形態と略同一であるため、詳細説明は省略する。図13は、本実施形態において表示される補間画像を模式的に示す図である。
【0065】
図13には、本実施形態において情報処理装置100の表示制御部110によって表示される補間画像200Iが、左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rと共に示されている。表示制御部110は、観察者の左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を切り替えるときに、切り替え前の画像と切り替え後の画像との間に補間画像200Iを表示する。補間画像200Iは、単一の画像によって構成されてもよいし、複数の画像が順次表示されることによって構成されてもよい。また、左眼eLおよび右眼eRの両方に対して補間画像200Iが表示される場合、左眼eLおよび右眼eRにはそれぞれ異なる補間画像が表示されてもよい。
【0066】
例えば、補間画像200Iは、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間の線形補間によって生成されうる。この場合、例えば、補間画像200Iにおける任意の点は、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとのそれぞれにおいてその点に対応する点を結ぶ直線状に設定される。例えば、補間画像200Iにおける山の頂上の点は、左眼用画像200Lにおける山の頂上の点と右眼用画像200Rにおける山の頂上の点とを結ぶ直線上に設定される。上記のような線形補間によって生成される補間画像200Iによる視差は、必ずしも正しくない。そのため、補間画像200Iが表示される時間は、観察者が画像の急な切り替わりを感じることを軽減する最低限の時間であってもよい。そのような時間は、例えば250ms程度の時間でありうる。
【0067】
また、デコーダ130から入力される立体画像が、補助的な情報として深さ情報などを有する画像である場合、表示制御部110は、この深さ情報を用いて、回転角度θに応じた視差を算出し、この視差に基づいて補間画像200Iを生成してもよい。この場合、生成される補間画像200Iによる視差は、ある程度正しいと考えられるため、補間画像200Iが表示される時間は、上記の線形補間の場合よりも長い時間でありうる。さらに、表示制御部110は、回転角度θの変化に応じて連続的に補間画像200Iを生成してもよい。
【0068】
ここで、上記の第1の実施形態において説明されたように、左眼eLおよび右眼eRに対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える場合、表示制御部110は、左表示部120Lおよび右表示部120Rの両方に補間画像200Iを出力しうる。この場合、左表示部120Lでは、表示される画像が左眼用画像200Lから右眼用画像200Rに変化し、右表示部120Rでは、表示される画像が右眼用画像200Rから左眼用画像200Lに変化する。それゆえ、表示制御部110が左表示部120Lおよび右表示部120Rの両方に補間画像200Iを出力することによって、左眼eLおよび右眼eRの両方について、観察者が画像の急な切り替わりを感じることを軽減することができる。
【0069】
また、上記の第2の実施形態において説明されたように、左眼eLおよび右眼eRのそれぞれに対して同一の画像を表示させる場合、表示制御部110は、左表示部120Lおよび右表示部120Rのうち、表示する画像が変化する方に補間画像200Iを出力しうる。この場合、左表示部120Lでは表示される画像が変化しないのに対し、右表示部120Rでは、表示される画像が右眼用画像200Rから左眼用画像200Lに変化する。それゆえ、表示制御部110が右表示部120Rに補間画像200Iを出力することによって、右眼eRについて、観察者が画像の急な切り替わりを感じることを軽減することができる。
【0070】
<5.まとめ>
上記の本発明の実施形態において、情報処理装置100は、立体画像を表す左眼用画像200Lおよび右眼用画像200Rを、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させ、立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える表示制御部110を備える。このような構成によって、表示の変化に応じて、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの位置関係が逆転した場合でも、観察者に対して適切な立体画像を提供することができる。
【0071】
また、表示制御部110は、変化量が、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが左右方向について逆転していることを示すものである場合に、観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えてもよい。このような構成によって、表示の変化によって立体画像が逆視になることを防ぎ、観察者に対して適切な立体画像を提供することができる。
【0072】
また、表示制御部110は、立体画像の回転角度θが、(180×n)°を含む第1の範囲にある場合に(nは奇数)、観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えてもよい。このような構成によって、立体画像の表示が変化しているときの変化量を回転角度θとして定量的に取得し、観察者の右眼および左眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えるか否かを判断することができる。
【0073】
また、第1の範囲は、((180×n)±45)°であってもよい。このような構成によって、視覚における補正を考慮した回転角度θの判定をすることができる。
【0074】
また、表示制御部110は、観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えるときに、補間画像200Iを表示させてもよい。このような構成によって、左眼および右眼の両方において表示される画像が変化する場合に、観察者が表示される画像の急な切り替わりを感じることを軽減することができる。
【0075】
また、表示制御部110は、変化量に応じて、観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させてもよい。このような構成によって、表示の変化に応じて、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとして相異なる立体画像を提供することが適切でない場合でも、観察者に対して適切な画像を提供することができる。
【0076】
また、表示制御部110は、変化量が、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間のずれが左右方向に比べて上下方向で卓越していることを示すものである場合に、観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させてもよい。このような構成によって、表示の変化によって不自然な立体画像が表示されることを防ぎ、観察者に対して適切な画像を提供することができる。
【0077】
また、同一の画像は、左眼用画像200Lまたは右眼用画像200Rであってもよい。このような構成によって、同一の画像を簡単に用意することができる。
【0078】
また、表示制御部110は、立体画像の回転角度θが、(90×m)°を含む第2の範囲にある場合に(mは奇数)、観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させてもよい。このような構成によって、立体画像の表示が変化しているときの変化量を回転角度θとして定量的に取得し、観察者の右眼および左眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させるか否かを判断することができる。
【0079】
また、第2の範囲は、((90×m)±45)°であってもよい。このような構成によって、視覚における補正を考慮した回転角度θの判定をすることができる。
【0080】
また、表示制御部110は、観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させるときに、補間画像200Iを表示させてもよい。このような構成によって、左眼および右眼のいずれかにおいてにおいて表示される画像が変化する場合に、観察者が表示される画像の急な切り替わりを感じることを軽減することができる。
【0081】
また、補間画像200Iは、左眼用画像200Lと右眼用画像200Rとの間の線形補間によって生成されてもよい。このような構成によって、立体画像が深さ情報などの付加的な情報をもたなくても、補間画像200Iを生成することができる。
【0082】
また、補間画像200Iは、250msの間表示されてもよい。このような構成によって、線形補間によって生成される正しくない視差をもつ立体画像を、観察者が表示される画像の急な切り替わりを感じることを軽減する最低限の時間だけ補間画像200Iを表示することができる。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
例えば、上記実施形態では、立体画像はx軸、y軸、z軸からなる3次元の座標系において表示されるものとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、立体画像はx軸、y軸からなる2次元の座標系において表示されてもよい。この場合、上記実施形態の説明におけるz軸回りの回転を、座標平面上の任意の点の回りの回転に置き換えればよい。
【0085】
また、上記実施形態においては、立体画像の表示の変化として、z軸回りの回転を例として説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、立体画像の表示の変化は、y軸回りの回転であってもよく、また、回転を伴わない反転であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、立体画像の回転角度の基準として、180°および90°を用いたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、180°は、立体画像の左右が反転する回転角度の基準であるため、−180°、または540°など、180°の奇数倍の角度が同様に基準として用いられてもよい。また、90°は、立体画像の左右と上下が入れ替わる回転角度の基準であるため、−90°、または270°など、90°の奇数倍の角度が同様に基準として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0087】
100 情報処理装置
110 表示制御部
120 表示部
200L 左眼用画像
200R 右眼用画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像を表す左眼用画像および右眼用画像を、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させ、前記立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、前記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える表示制御部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記変化量が、前記左眼用画像と前記右眼用画像との間のずれが左右方向について逆転していることを示すものである場合に、前記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記立体画像の回転角度が、(180×n)°を含む第1の範囲にある場合に(nは奇数)、前記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の範囲は、((180×n)±45)°である、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えるときに、補間画像を表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記変化量に応じて、前記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記変化量が、前記左眼用画像と前記右眼用画像との間のずれが左右方向に比べて上下方向で卓越していることを示すものである場合に、前記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させる、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記同一の画像は、前記左眼用画像または前記右眼用画像である、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記立体画像の回転角度が、(90×m)°を含む第2の範囲にある場合に(mは奇数)、前記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させる、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2の範囲は、((90×m)±45)°である、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記観察者の左眼および右眼のそれぞれに対して同一の画像を表示させるときに、補間画像を表示させる、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記補間画像は、前記左眼用画像と前記右眼用画像との間の線形補間によって生成される、請求項5または11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記補間画像は、250msの間表示される、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
立体画像を表す左眼用画像および右眼用画像を、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させる処理と、
前記立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、前記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替える処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
立体画像を表す左眼用画像および右眼用画像を、それぞれ観察者の左眼または右眼に対して表示させるステップと、
前記立体画像の表示が変化しているときの変化量に応じて、前記観察者の左眼および右眼に対してそれぞれ表示させる画像を入れ替えるステップと、
を含む情報処理方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−53165(P2012−53165A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194108(P2010−194108)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】