説明

情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法

【課題】煩雑な操作を必要とせずに、秘密性を保持してデータ送信を可能とする情報処理装置を提供する。
【解決手段】PCでは、送信するファイルおよび送信先の指定を受付けると(S1,2)、管理サーバに記憶されるユーザ情報のうちから送信先のユーザのユーザ情報を取得する。ユーザ情報は、複数の項目ごとに情報が記憶されており、PCでは、そのうちの1以上の項目が送信するファイルの暗号化に用いる項目として選択され、その情報を用いて暗号化する(S5)。PCは、暗号化データを送信先に送信すると共に、暗号化に用いたデータ情報のうちの項目を該送信先に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法に関し、特に、他の装置にデータ送信する情報処理装置、該装置を含む情報処理システム、および該装置における情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)などである画像形成装置において原稿をスキャンして画像データを作成し、該データを送信する際に、送信先によって暗号化パスワードを変えて暗号化した上で送信する場合がある。
【0003】
このようなデータ送信の方法として、たとえば特開2010−21746号公報(以下、特許文献1)などにおいて、電子ファイルを添付したメールを送信する際には、メールサーバが添付ファイルを自動的に判別し、自動で暗号化キーを生成した上で暗号化して送信先に送る技術が知られている。
【0004】
またたとえば、特開2007−318217号公報(以下、特許文献2)は、事前に公開鍵を宛先リストに登録しておくことで、宛先に応じて暗号化するかしないか自動判別し、暗号化するときに公開鍵があるかないかを自動判別して公開鍵があれば自動で暗号化して送信し、公開鍵がなければそのまま送信する技術を開示している。
【0005】
またたとえば、特開2004−86731号公報(以下、特許文献3)は、スキャナで読み込んで生成したデータを共有サーバのフォルダに格納する際に暗号化し、指定した相手のみにパスワードをメールで通知する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−21746号公報
【特許文献2】特開2007−318217号公報
【特許文献3】特開2007−86731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、送信先ごとに暗号化パスワードを設定する操作は煩雑であり、データ送信の操作を複雑化するという問題がある。
【0008】
たとえば、特許文献1に開示されている技術では、ファイルを送信したメールとは別に秘密性を保持した方法で暗号化キーを送付する作業が必要となるため、操作が煩雑になるという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に開示されている技術では、事前に送付先の公開鍵を取得して登録しておくという作業が必要となり、作業が煩雑になるという問題がある。さらに、公開鍵を登録していない相手には暗号化して送付することができないという問題もある。
【0010】
また、特許文献3に開示されているような技術では、パスワードをメール本文に記載するため該メールを第三者に見られることで当該第三者がアクセス可能となってしまう、という問題がある。また、サーバに対するアクセス権のないユーザに対して配布することができないため、そのようなユーザに対しては別途送付する必要があるという問題がある。
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、煩雑な操作を必要とせずに、秘密性を保持してデータ送信を可能とする情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、情報処理装置は、他の装置と通信するための通信手段と、操作入力を受付けるための入力手段と、データ送信処理を実行するため処理手段とを備える。処理手段は、データ送信の指示を受付けると、データ送信の送信先として指定されたユーザに関する、2以上の項目ごとの情報を含んだユーザ情報を取得する処理と、送信先に指定されたユーザについてのユーザ情報のうちから少なくとも1つの項目を選択し、選択された項目の情報を用いてデータ送信の対象とする送信データを暗号化する処理と、暗号化された送信データを送信先に対して送信する処理と、選択された項目を特定する情報を、送信先に対して通知する処理とを実行する。
【0013】
好ましくは、処理手段は、送信先として複数のユーザの指定を受付けると、複数のユーザそれぞれについてのユーザ情報を取得し、それぞれのユーザ情報の中から、それぞれ独立して暗号化する処理に用いる情報の項目を選択し、送信データを、それぞれの送信先に送信するために、それぞれ、選択された項目の情報を用いて暗号化する。
【0014】
好ましくは、処理手段は、送信先に指定されたユーザについてのユーザ情報において項目数が所定数よりも少ない場合に、暗号化する処理に用いられる情報が以前に用いられた情報と同じとなる頻度が高くなることを通知する処理をさらに実行する。
【0015】
好ましくは、処理手段は、暗号化する処理において、送信先に指定されたユーザについてのユーザ情報のうちの、前回の送信先に関する暗号化する処理において用いられた項目とは異なる項目の情報を用いる。
【0016】
好ましくは、処理手段は、暗号化する処理において、ユーザ情報に含まれる項目ごとの情報のうちの2以上の項目の情報を組み合わせて用いる。
【0017】
好ましくは、処理手段は、暗号化する処理において用いる情報が文字数の少ない情報である場合、暗号化のセキュリティが低下することを通知する処理をさらに実行する。
【0018】
好ましくは、処理手段は、暗号化された送信データをメールに添付して送信する場合、項目を特定する情報を送信先に対して通知する処理において、そのメールの本文に前記項目を特定する情報を追記する。
【0019】
好ましくは、処理手段は、暗号化された送信データを送信先に指定されたユーザに予め対応付けられた記憶領域に送信する場合、項目を特定する情報を送信先に対して通知する処理において、項目を特定する情報をメール本文としたメールを送信先に送信する。
【0020】
本発明の他の局面に従うと、情報処理システムは、ユーザごとの、2以上の項目ごとの情報を含んだユーザ情報を記憶する記憶装置と、データ送信可能な情報処理装置とを備える。情報処理装置の処理手段は、データ送信の指示を受付けると、記憶装置からデータ送信の送信先として指定されたユーザに関するユーザ情報を取得する処理と、送信先に指定されたユーザについてのユーザ情報のうちから少なくとも1つの項目を選択し、選択された項目の情報を用いてデータ送信の対象とする送信データを暗号化する処理と、暗号化された送信データを送信先に対して送信する処理と、暗号化する処理に用いた情報についての項目を特定する情報を、送信先に対して通知する処理とを実行する。
【0021】
本発明のさらに他の局面に従うと、情報処理方法は情報処理装置から他の装置に対してデータを送信するための処理方法であって、データ送信の送信先として指定されたユーザに関する、2以上の項目ごとの情報を含んだユーザ情報を取得するステップと、送信先に指定されたユーザについてのユーザ情報のうちから少なくとも1つの項目を選択し、選択された項目の情報を用いてデータ送信の対象とする送信データを暗号化するステップと、暗号化された送信データを送信先に対して送信するステップと、選択された項目を特定する情報を、送信先に対して通知するステップとを備える。
【発明の効果】
【0022】
この発明によると、煩雑な操作を必要とせずに、秘密性を保持してファイル送信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態にかかるデータ処理システムの構成の具体例を示す図である。
【図2】ユーザ情報の具体例を示す図である。
【図3】送信側の装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】送信側の装置での動作を表わすフローチャートである。
【図5】送信側の装置での動作を表わすフローチャートである。
【図6】送信側の装置での動作を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0025】
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかるデータ処理システム(以下、システムと略す)の構成の具体例を示す図である。
【0026】
図1を参照して、本実施の形態にかかるシステムは、画像形成装置としてのMFP(Multi Function Peripheral)1と、データ処理装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、PCと略す)2,3と、メールサーバ4と、ユーザ管理サーバ5とを含む。
【0027】
ユーザ管理サーバ5は、ユーザについての、ユーザアカウントやパスワードの管理、該ユーザに関するデータを保持する。
【0028】
MFP1およびPC2は、いずれもユーザ管理サーバ5に電気的に接続され、通信が可能である。ユーザ管理サーバ5はたとえば一般的なPCなどの装置で構成されて、後述するメール送信の際に使用する送信先アドレスなどの情報(リスト)として、ユーザごとに図2に示されたユーザ情報を記憶する。図2はユーザ情報の具体例を示す図である。図2を参照して、ユーザ情報は、送信先とするユーザに関する情報の項目として、ユーザ名、当該ユーザに対応付けられたメールアドレス、住所、および電話番号を含む複数の項目の情報である。ユーザ情報に含まれる項目は図2に示される項目に限定されず、たとえば誕生日など、その他の項目が含まれてもよい。
【0029】
また、MFP1、PC2、およびPC3は、いずれもメールサーバ4に電気的に接続され、通信が可能である。
【0030】
以降の例では、MFP1およびPC2がデータを送信するユーザが用いる装置とし、PC3がデータを受信するユーザが用いる装置とする。そのため、以降の説明では、データ送信に用いられるMFP1およびPC2を、まとめて送信側の装置とも称し、データ受信に用いられるPC3を受信側の装置とも称する。この場合、図1に示されたように、送信側の装置はメールサーバ4に対してメールを送信し、メールサーバ4から受信側の装置に対して該メールが送信される。
【0031】
なお、これら機器の間の通信方法は特定の方法には限定されない。たとえば、これらの装置がすべてインターネットに接続され、インターネットを介した通信を行なうものであってもよいし、LAN(Local Area Network)などの特定のネットワークを介した通信であってもよい。
【0032】
<動作概要>
本実施の形態にかかるシステムでは、データの送信先を指定する際にユーザ管理サーバ5に記憶されている、送信先のとするユーザに関するユーザ情報のうちのある項目に関する情報を暗号化パスワードとして用いてファイルを暗号化する。
【0033】
データの送信方法がメール送信である場合には、暗号化されたファイルをメールに添付すると共に、当該メール本文に暗号化に用いたユーザ情報のうちの項目を特定する情報を記載して、該メールを送信する。
【0034】
データの送信方法がメール送信以外である場合には、暗号化されたファイルを指定された送信方法で送信すると共に、暗号化に用いたユーザ情報のうちの項目を特定する情報を記載したメールを作成して送信する。
【0035】
<機能構成>
図3は、送信側の装置の構成の具体例を示すブロック図である。図3は、送信側の装置がMFP1である場合の例である。
【0036】
図3を参照して、送信側の装置としてのMFP1は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を含んで全体を制御するための処理部11と、情報を表示し、かつ操作入力を受付けるための操作パネル12と、CPUで実行されるプログラムや画像データなどを記憶するためのメモリ13と、原稿の複写や印字や画像データの生成などの画像形成処理を行なうための画像処理部14と、他の装置と通信するための通信部15を含む。画像処理部14は、設置された原稿を光学的に読み取って画像データを取得するための画像読取部を含む。
【0037】
さらに図3を参照して、処理部11には、図示しないCPUがメモリ13に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで主にCPUに構成される機能として、入力部101、取得部102、判断部103、通知部104、暗号化部105、メール作成部106、送信部107、および記憶部108が含まれる。
【0038】
入力部101は、ユーザ操作に応じた操作パネル12からの操作信号の入力を受付けるための機能である。
【0039】
取得部102は、入力部101が受付けた該操作信号がデータまたはファイルの送信の指示である場合に、ユーザ管理サーバ5から、送信先のユーザに関するユーザ情報を取得するための機能である。なお、本例では、送信先としてユーザが指定されると該ユーザに関する図2のようなユーザ情報がユーザ管理サーバ5から取得されるものとするが、当該ユーザ情報のうち、後述する暗号化部105において暗号化に用いる項目のみがユーザ管理サーバ5から取得されてもよい。
【0040】
判断部103は、取得したユーザ情報において情報が記憶されている項目数が所定数以上であるか否かを判断するための機能である。ここでの所定数は、当該項目で記憶されている情報の暗号化処理での使用頻度を判断するための用いられるものである。たとえば、判断部103は、予め規定したしきい値を記憶しておき、情報が記憶されている項目数と該しきい値とを比較してその結果がしきい値以上であるか否かで所定数以上であるか否かを判断する。
【0041】
通知部104は、判断部103において、ユーザ情報で情報が記憶されている項目数が所定数より少ないと判断された場合に、その判断に対応した情報を通知するための機能である。通知部104は、たとえば操作パネル12にその情報を表示させてもよいし、予め記憶されている送信先に対してその情報を送信させてもよい。
【0042】
暗号化部105は、送信対象のデータまたはファイルを取得し、ユーザ情報のうちの1または複数の項目の情報を選択して、その情報を用いて該データまたは該ファイルを暗号化する処理を行なうための機能である。
【0043】
当該装置がMFP1であって、送信対象のデータとして原稿をスキャンして得られる画像データが指定されている場合、暗号化部105は、画像処理部14に含まれるスキャンに設置された原稿を読み取らせて画像データを得た上で、当該画像データに対して暗号化する処理を施す。または、当該装置がPC2であって、送信対象のデータとして原稿をスキャンして得られる画像データが指定されている場合、暗号化部105は、当該PC2に接続されたMFP1に設置された原稿を読み取らせて画像データを得た上で、当該画像データに対して暗号化する処理を施す。送信対象のデータとして自身または他の装置の記憶装置に記憶されるデータが指定されている場合、暗号化部105は、記憶装置にアクセスして指定されたデータを得た上で、当該画像データに対して暗号化する処理を施す。
【0044】
記憶部108は、暗号化部105での暗号化処理に用いられたユーザ情報の項目をたとえばメモリ13の所定領域などに記憶するための機能である。また、記憶部108は、暗号化部105で暗号化処理を実行する際に、当該送信先についての先の暗号化処理で用いられたユーザ情報の項目を読み出し、暗号化部105に渡す機能である。
【0045】
暗号化部105は、暗号化処理を行なう際に、ユーザ情報から、記憶部108から渡された先の暗号化処理で用いられた項目とは異なる項目を選択して、その項目の情報を用いる。
【0046】
送信部107は、指定された送信先のユーザが、ユーザ管理サーバ5でアカウント管理されているか否かを判断し、その結果に応じて、指定されたファイルの送信方法を判断する。すなわち、送信先のユーザがユーザ管理サーバ5でアカウント管理されているユーザである場合には、指定されたファイルの送信方法としてメールに添付して送信するのではなく、該ユーザに対応付けられてユーザ管理サーバ5に予め記憶されている、MFP1内の記憶領域(ボックス)や共有ファイルサーバなどの記憶領域に送信すると判断する。なお、送信方法はたとえば操作パネル12などによって送信者に指定されるものであってもよい。その場合、送信部107は、送信者によって指定された送信方法で送信すると判断する。
【0047】
さらに、送信部107は、上述のように判断された方法でファイルおよび/または後述のメールを送信するための機能でもある。
【0048】
メール作成部106は、暗号化処理に用いたユーザ情報の項目を特定する情報をメール本文としたメールデータを作成するための機能である。ファイルの送信方法としてメールに添付して送信する場合、メール作成部106は上記メールデータに暗号化されたファイルを添付する。
【0049】
なお、送信側の装置であるPC2の装置構成も、画像処理部14を除いて図3の構成と概ね同様とする。
【0050】
<動作フロー>
図4〜図6は、送信側の装置としてのMFP1またはPC2での動作を表わすフローチャートである。図4〜図6のフローチャートに示される動作は、処理部11に含まれる図示しないCPUがメモリ13に含まれるプログラムを読み出して図3に示される各機能を発揮させることで実行されるものである。
【0051】
図4を参照して、ステップS1でCPUは、操作パネル12からデータ送信の指示と共に送信するデータまたはファイルを指定する信号の入力を受付ける。ここでは、送信側の装置内または共有ファイルサーバなどのディスクに保存されているデータ、過般記憶部媒体に保存されているデータのように、送信側の装置から直接アクセスすることが可能な電子データまたはファイルが選択される。または、送信するデータまたはファイルがMFP1から読み込んだ、またはこれから読み込まれる画像データである場合には、その読み込みの対象である原稿(紙媒体)に記載されている情報が選択されてもよい。
【0052】
ステップS2でCPUは、操作パネル12からデータ送信の送信先の選択を受付ける。送信先の選択は送信先リストから選択されるものである。この送信先リストは、ユーザ管理サーバ5に記憶されるユーザ情報に基づくものであってもよいし、送信側の装置自身に保存されているものであってもよい。また、ここでの選択は、複数の送信先を同時に指定するものであってもよい。
【0053】
ステップS3でCPUは、ステップS2で指定された送信先についてのユーザ情報をユーザ管理サーバ5から取得し、情報が記憶されている項目が所定数よりも多いか少ないかを判断する。ここでは、ステップS2で複数の送信先が指定された場合には、指定されたそれぞれの送信先についてユーザ情報を用いて上記判断がなされるものとする。
【0054】
この判断の結果、情報が記憶されている項目が所定数よりも少ない場合には(ステップS3でNO)、ステップS31で、以前の暗号化と同じパスワードを使用する頻度が高くなることを通知する。ここでの通知は、たとえば操作パネル12にその旨を示す画面を表示するなどであってよい。
【0055】
一方、情報が記憶されている項目が所定数よりも多い場合、すなわち、ユーザ情報に多くの情報が登録されている場合には(ステップS3でYES)、以前の暗号化と同じパスワードが使用される頻度が低下し、何度も送信した場合においても異なる暗号化パスワードを使用できるため、上記通知は不要とされる。そのため、上記ステップS31はここではスキップされる。
【0056】
ステップS4でCPUは、ユーザ情報のうちから暗号化に使用する項目を選択し、それが、前回用いた項目と同じであるか否かを判断する。そして、同じである場合には(ステップS4でYES)、ステップS41でCPUは、使用する情報の頻度の偏りを防止するために、ユーザ情報のうちから、前回使用した項目とは異なる項目を選択し、該項目の情報を暗号化に用いる。ここでの選択方法は、自動で選択する際に偏りがなくなる方法であればよく、特定の方法には限定されない。一例として、常に完全なランダムで選択する方法や、項目ごとに使用回数を関連付けて記憶して使用頻度を判定し、使用頻度の少ない項目の情報を優先的に使用する方法、などが挙げられる。
【0057】
また、暗号化に用いる情報がたとえば4文字未満の文字列や数字のみの文字列などのように、複雑度が低いことによって暗号化セキュリティが低下する場合には、CPUは、暗号化のセキュリティが低下することを通知してもよい。ここでの通知も、たとえば操作パネル12にその旨を示す画面を表示するなどであってよい。または、CPUは、複数の項目の情報を組み合わせる、あるいはつなぎ合わせることによって暗号化セキュリティを向上させてもよい。この場合、後述するステップS7において、メールに暗号化パスワードとして使用した情報の組み合わせ方についても追記するものとする。
【0058】
なお、上記ステップS2で複数の送信先が指定された場合、CPUは、それぞれの送信先に対応したユーザ情報からそれぞれ独立に項目を選択する。すなわち、CPUは、それぞれの送信先について同じ項目(たとえば電話番号等)を選択してもよいし、異なる項目を選択してもよい。
【0059】
ステップS5でCPUは、ユーザ情報のうちから選択された項目の情報を用いてステップS1で選択されたデータまたはファイルを暗号化する。上記ステップS2で複数の送信先が指定された場合、CPUは、それぞれの送信先に送信するための、該データまたはファイルをそれぞれ選択された項目の情報で暗号化する。
【0060】
暗号化の方法はユーザが操作パネル12やディスプレイ上で指定して設定することができてもよい。また、送信先の登録情報として事前にユーザ情報に登録されてもよい。このようにすることで、CPUは登録されている暗号化方法で暗号化処理を実行する。
【0061】
ステップS6でCPUは、送信先がユーザ管理サーバ5でアカウントが管理されているユーザであるか否かを判断する。その結果、送信先がアカウントが管理されているユーザである場合には(ステップS6でYES)、CPUは、当該データまたはファイルをメール添付するのではなく、該ユーザに対応付けられて予め記憶されている、MFP1内の記憶領域(ボックス)や共有ファイルサーバなどの情報をユーザ管理サーバ5から取得し、その設定にしたがって電子データまたはファイルの送信方法を設定する。
【0062】
なお、この場合、さらに、送信者の設定によって、当該フデータまたはァイルをメールに添付して送信するか否かや、送信先のユーザに対応付けられた記憶領域に送信することを設定することが可能である。そのため、図4および図5を参照して、CPUは、送信先のユーザがユーザ管理サーバ5でアカウントが管理されているユーザであっても、送信者によってメールに添付して送信することが指定されている場合には(ステップS6でYES、かつステップS61でYES)、ステップS62で暗号化された当該データまたはファイルをメールに添付して送信する。送信者によって送信先のユーザに対応付けられた記憶領域に送信することが指定されている場合には(ステップS6でYES、かつステップS61でNO)、図4および図5を参照して、ステップS63でCPUは、送信先のユーザの設定情報をユーザ管理サーバ5から取得し、その情報に基づいて送信先のユーザに対応付けられているフォルダやMFP1の記憶領域(BOX)へと暗号化されたデータまたはファイルを送信する。なお、この場合に、送信先のユーザに対応付けられているフォルダ等に送信側の装置からアクセスができない場合には、自動的に当該データまたはファイルをメール添付して送信してもよい。
【0063】
なお、送信先のユーザがユーザ管理サーバ5でアカウントが管理されているユーザでない場合には(ステップS6でNO)、ステップS62でCPUは、暗号化された当該データまたはファイルをメールに添付して送信する。
【0064】
いずれの送信であっても、ステップS7でCPUは、暗号化に用いた情報がユーザ情報のどの項目の情報であるかを特定する情報を、メール本文に追記したメールを作成し、送信する。ステップS62で暗号化したデータまたはファイルをメールに添付する場合には該メールの本文に追記し、ステップS63で暗号化したデータまたはファイルを送信先のユーザに対応付けられた記憶領域に送信する場合には上記情報をメール本文に記載したメールを作成し、当該送信先のユーザに対して送信する。
【0065】
たとえば、上記ステップS5において図2に示されたユーザ情報のうちの電話番号が用いられた場合、ステップS7でCPUは、「電話番号で暗号化しています」などを自動的にメール本文に追記して送信する。またたとえば、誕生日が暗号化に用いられた場合には、「あなたの誕生日をパスワードにして暗号化しています」などを自動的にメール本文に追記して送信する。
【0066】
<実施の形態の効果>
以上の動作が送信側の装置において実行されることで、送信側の装置では、指定された送信先についてのユーザ情報から自動的に項目を選択してその項目の情報を暗号化処理に用いるため、事前に暗号化パスワードを登録するという煩雑な操作が不要となる。
【0067】
また、送信側の装置では暗号化に用いた項目を特定する情報を自動的にメールで送信先のユーザに送信するため、暗号化ファイルとは別途、パスワードを通知するための操作が不要となる。
【0068】
さらに、その暗号化に用いられた情報は送信先のユーザに関する情報であるために、パスワードそのものがメールで送信されなくても項目を特定する情報が送信されればよい。そのため、パスワードそのものを送信する場合に比べてセキュリティを向上させることができる。また、送信先ごとに異なるパスワードを管理することが不要となる。
【0069】
さらに、上述の送信側の装置における動作を送信側の装置に実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0070】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0071】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0072】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 MFP、2,3 PC、4 メールサーバ、5 ユーザ管理サーバ、11 処理部、12 操作パネル、13 メモリ、14 画像処理部、15 通信部、101 入力部、102 取得部、103 判断部、104 通知部、105 暗号化部、106 メール作成部、107 送信部、108 記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置と通信するための通信手段と、
操作入力を受付けるための入力手段と、
データ送信処理を実行するため処理手段とを備え、
前記処理手段は、データ送信の指示を受付けると、
前記データ送信の送信先として指定されたユーザに関する、2以上の項目ごとの情報を含んだユーザ情報を取得する処理と、
前記送信先に指定されたユーザについての前記ユーザ情報のうちから少なくとも1つの項目を選択し、前記選択された項目の情報を用いて前記データ送信の対象とする送信データを暗号化する処理と、
前記暗号化された前記送信データを前記送信先に対して送信する処理と、
前記選択された項目を特定する情報を、前記送信先に対して通知する処理とを実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記送信先として複数のユーザの指定を受付けると、前記複数のユーザそれぞれについてのユーザ情報を取得し、前記それぞれのユーザ情報の中から、それぞれ独立して前記暗号化する処理に用いる情報の項目を選択し、前記送信データを、前記それぞれの送信先に送信するために、それぞれ、前記選択された項目の情報を用いて暗号化する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記送信先に指定されたユーザについての前記ユーザ情報において前記項目数が所定数よりも少ない場合に、暗号化する処理に用いられる情報が以前に用いられた情報と同じとなる頻度が高くなることを通知する処理をさらに実行する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記暗号化する処理において、前記送信先に指定されたユーザについてのユーザ情報のうちの、前回の前記送信先に関する暗号化する処理において用いられた項目とは異なる項目の情報を用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記暗号化する処理において、前記ユーザ情報に含まれる項目ごとの情報のうちの2以上の項目の情報を組み合わせて用いる、請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記暗号化する処理において用いる情報が文字数の少ない情報である場合、暗号化のセキュリティが低下することを通知する処理をさらに実行する、請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理手段は、前記暗号化された送信データをメールに添付して送信する場合、前記項目を特定する情報を前記送信先に対して通知する処理において、前記メールの本文に前記項目を特定する情報を追記する、請求項1〜6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理手段は、前記暗号化された送信データを前記送信先に指定されたユーザに予め対応付けられた記憶領域に送信する場合、前記項目を特定する情報を前記送信先に対して通知する処理において、前記項目を特定する情報をメール本文としたメールを前記送信先に送信する、請求項1〜6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザごとの、2以上の項目ごとの情報を含んだユーザ情報を記憶する記憶装置と、
データ送信可能な情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置の処理手段は、データ送信の指示を受付けると、
前記記憶装置から前記データ送信の送信先として指定されたユーザに関するユーザ情報を取得する処理と、
前記送信先に指定されたユーザについての前記ユーザ情報のうちから少なくとも1つの項目を選択し、前記選択された項目の情報を用いて前記データ送信の対象とする送信データを暗号化する処理と、
前記暗号化された前記送信データを前記送信先に対して送信する処理と、
前記暗号化する処理に用いた情報についての前記項目を特定する情報を、前記送信先に対して通知する処理とを実行する、情報処理システム。
【請求項10】
情報処理装置から他の装置に対してデータを送信するための処理方法であって、
前記データ送信の送信先として指定されたユーザに関する、2以上の項目ごとの情報を含んだユーザ情報を取得するステップと、
前記送信先に指定されたユーザについての前記ユーザ情報のうちから少なくとも1つの項目を選択し、前記選択された項目の情報を用いて前記データ送信の対象とする送信データを暗号化するステップと、
前記暗号化された前記送信データを前記送信先に対して送信するステップと、
前記選択された項目を特定する情報を、前記送信先に対して通知するステップとを備える、情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−85141(P2012−85141A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230361(P2010−230361)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】