説明

情報処理装置、情報処理システム、メッセージ制御方法およびプログラム

【課題】サーバ装置が、管理者に対してエラーメッセージなど障害に関する情報を提供でき、かつ、BIOSの設定変更などによるメッセージの切替を必要とせずに、一般ユーザに対してエラーメッセージを表示することによる不安や不信感を抱かせるおそれを軽減できるようにする。
【解決手段】処理部101は、コンソール表示用メッセージと、エラーメッセージを含むログ・メッセージとの、いずれか一方に所定の識別情報(例えば未使用のエスケープ・シーケンス)を含んでメッセージを出力する。フィルタリング部102は、処理部101から出力されるメッセージに所定の識別情報が含まれるか否かに基づいて、コンソール表示用メッセージとログ・メッセージとを分類する。当該分類により、管理者に対してはエラーメッセージを提供し、一般ユーザに対してはエラーメッセージの表示を抑制して不安や不信感を抑制し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、メッセージ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置など情報処理装置の起動手順として、当該情報処理装置の電源を接続(ON)されると、まずBIOS(Basic Input/Output System)を実行してハードウェアの初期設定を行い、その後オペレーティング・システム(Operating System;OS)を実行するという手順が一般的に用いられている。
【0003】
図6は、起動手順において、BIOSを実行し、その後オペレーティング・システムを実行するサーバ・システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。同図に示す処理部1201は、サーバ装置1200の具備するメイン・ボード(Main Board)によって実現される。処理部1201のうち、BIOS実行部1211は、サーバ装置1200のメイン・ボードに設置されたCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)が、BIOSファームウェア(Firmware)を実行することによって実現され、ハードウェアの初期設定などの起動処理機能を提供する。
【0004】
BIOS実行部1211が、BIOSを実行しているときにシリアル・コンソール向けのメッセージを出力すると、シリアル通信部1212は、当該メッセージをシリアルの通信信号にて管理部1220に出力する。
【0005】
管理部1220およびネットワーク通信部1230は、シリアル・オーバー・ラン(Serial Over LAN;SOL)機能を提供し、シリアル通信部1212からシリアルの通信信号にて出力されたシリアル・コンソール向けのメッセージを、ネットワーク1293を介してシリアル・コンソール端末装置1291に送信する。
より具体的には、シリアル通信部1221が、シリアル通信部1212から出力されたシリアルの通信信号を、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などネットワーク用の規格の通信信号に変換し、プロトコル処理部1225に出力する。そして、プロトコル処理部1225は、シリアル通信部1221から出力された信号を、Telnet(Telecommunication Network)またはSSH(Secure Shell)など端末通信用の規格の通信信号に変換してネットワーク通信部1230に出力する。そして、ネットワーク通信部1230は、プロトコル処理部1225から出力された通信信号を、ネットワーク1293を介してシリアル・コンソール端末装置1291に出力する。
【0006】
また、BIOSの起動に関連して、特許文献1に記載の商品販売データ処理装置は、システム起動用のファームウェアであるBIOSプログラムの処理において、設定エリアの設定にしたがって汎用インターフェイスに接続された外部機器にシステム起動処理の進捗状況を示す進捗情報(例えば、プロセス“電源オン”に対して進捗コード“00”、プロセス“CPU初期化”に対して進捗コード“4F”、プロセス“画面表示”に対して進捗コード“CF”、プロセス“OS起動”に対して進捗コード“FF”)を出力する。
これにより、拡張ボードを用意したり筐体を開けたりすることなく、容易に商品販売データ処理装置におけるファームウェア処理の進捗状況やエラー情報を確認できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−39684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
シリアル・コンソールを一般ユーザが使用するサーバ・システムでは、ユーザの混乱を防止するため、オペレーティング・システムやBIOSから出力されるメッセージを制限する運用が、一般的に行われている。例えば、サーバ装置のハードウェア構成における軽微なエラーメッセージをBIOSが出力し、シリアル・コンソールが当該エラーメッセージを表示すると、サーバ装置の実用上問題が無いにもかかわらず、ユーザに不安や不信感を抱かせてしまうおそれがある。そこで、エラーメッセージなどをシリアル・コンソールに表示させない(サーバ装置がエラーメッセージを出力しない)ことで、ユーザの不安や不信感を回避する運営がなされている。
【0009】
ところが、エラーメッセージをシリアル・コンソールに表示させないことで、サーバ装置に障害が発生した際に、当該サーバ装置の管理者が、障害に関する充分な情報を得られないおそれがある。かかる場合、管理人は、障害原因を突き止めることが困難であるため、ウォッチドッグタイマ(Watch Dog Timer;WDT)機能を利用してサーバ装置の再起動を試みるなど限られた対応策しか採ることができない。また、サーバ装置の再起動によっても障害が解消しない場合、管理人が、当該サーバ装置の製造元に連絡して対応を依頼するなど、障害復旧に時間を要してしまうおそれがある。
【0010】
ここで、特許文献1に記載の商品販売データ処理装置において進捗情報の表示を設定可能とするのと同様に、一般ユーザがシリアル・コンソールを使用する場合と、サーバ装置の管理者がシリアル・コンソールを使用する場合とで、オペレーティング・システムやBIOSの設定を変更して、出力するメッセージを切り替える方法が考えられる。しかしながら、かかる方法では、メッセージを切り替えるためにオペレーティング・システムやBIOSの設定を変更する必要があり、サーバ装置の管理者にとって手間である。また、当該設定変更を戻し忘れると、シリアル・コンソールが一般ユーザに対してエラーメッセージ等を表示してしまい、当該表示を見た一般ユーザに不安や不信感を抱かせるおそれがある。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決することのできる情報処理装置、情報処理システム、メッセージ制御方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による情報処理装置は、BIOSを実行する処理部と、前記処理部が出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング部と、前記フィルタリング部がログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得部と、前記フィルタリング部がコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを取得するコンソール表示用メッセージ取得部と、を具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様による情報処理システムは、BIOSを実行する処理部と、前記処理部が出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング部と、前記フィルタリング部がログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得部と、前記フィルタリング部がコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを送信するコンソール表示用メッセージ送信部と、を具備する情報処理装置と、前記コンソール表示用メッセージ送信部が送信したメッセージを表示するコンソール端末装置と、を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様によるメッセージ制御方法は、情報処理装置のメッセージ制御方法であって、BIOSを実行するBIOS実行ステップと、前記BIOS処理ステップにて出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング・ステップと、前記フィルタリング・ステップにてログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得ステップと、前記フィルタリング・ステップにてコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを取得するコンソール表示用メッセージ取得ステップと、を具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様によるプログラムは、情報処理装置に、BIOSを実行するBIOS実行ステップと、前記BIOS処理ステップにて出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング・ステップと、前記フィルタリング・ステップにてログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得ステップと、前記フィルタリング・ステップにてコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを取得するコンソール表示用メッセージ取得ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サーバ装置の管理者に対してエラーメッセージなど障害に関する情報を提供でき、かつ、BIOSの設定変更などによるメッセージの切替を必要とせずに一般ユーザに不安や不信感を抱かせるおそれを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態における情報処理装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態におけるサーバ・システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態におけるサーバ装置の部品構成を示す概略構成図である。
【図4】同実施形態において、サーバ装置がメッセージデータを送信する処理手順を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態において、サーバ装置における端末装置からのデータの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】起動手順において、BIOSを実行し、その後オペレーティング・システムを実行するサーバ・システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における情報処理装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、情報処理装置100は、処理部101と、フィルタリング部102と、ログ・メッセージ取得部103と、コンソール表示用メッセージ取得部104とを具備する。
【0019】
情報処理装置100は、例えばサーバ装置等のコンピュータであり、情報処理装置100自らの起動時に、まずBIOSを実行してハードウェアの初期設定を行い、その後オペレーティング・システムを実行する。
ここでいうBIOSは、情報処理装置100に接続された周辺機器などのハードウェアを、最も低いレベル(ハードウェア側のレベル)にて制御するプログラムである。例えば、BIOSは、情報処理装置100の起動時において、ハードウェアの初期設定を行い、また、オペレーティング・システムを呼び出す。なお、以下では、ファームウェアとしてのBIOSをBIOSファームウェア(BIOSFM)と称する。
【0020】
処理部101は、BIOSを実行する。そして、処理部101は、BIOSの実行において所定のイベントを検出すると、検出したイベントに応じたメッセージを出力する。例えば、処理部101は、ハードウェアの初期設定の開始時に(初期設定開始を検出して)、初期設定開始に応じたメッセージとして予め設定されているBIOSのバージョン情報等を示すメッセージを出力する。
【0021】
フィルタリング部102は、処理部101が出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類する。
ここでいうログは、情報処理装置100の動作履歴を示す記録である。また、ここでいうログ・メッセージは、テキスト(文字)などメッセージ形式にて示される、ログを構成するデータである。
【0022】
また、ここでいうコンソールは、情報処理装置100を操作するための入出力装置である。例えば、コンソールは、入力装置としてキーボードを具備し、出力装置として液晶ディスプレイ装置などのディスプレイ装置を具備する。また、ここでいうコンソール表示用メッセージは、情報処理装置100が、コンソールの出力装置に出力させる(例えば液晶ディスプレイに表示させる)、テキスト(文字)などメッセージ形式のデータである。
なお、フィルタリング部102によるメッセージの分類に関する詳細については後述する。
【0023】
ログ・メッセージ取得部103は、フィルタリング部102がログ・メッセージに分類したメッセージを取得する。
例えば、ログ・メッセージ取得部103は、フィルタリング部102の分類に従って得られるログ・メッセージを、情報処理装置100の具備するメモリに書き込む。あるいは、ログ・メッセージ取得部103が、情報処理装置100に接続された記憶装置にログ・メッセージを送信して、当該記憶装置に当該ログ・メッセージを記憶させるようにしてもよい。
【0024】
コンソール表示用メッセージ取得部104は、フィルタリング部102がコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを取得する。
例えば、コンソール表示用メッセージ取得部104は、フィルタリング部102の分類に従って得られるコンソール表示用メッセージを、情報処理装置100に接続されたコンソールに送信して、当該コンソール装置の具備する表示装置に表示させる。あるいは、コンソール表示用メッセージ取得部104が、情報処理装置100の具備するメモリにコンソール表示用メッセージを書き込み、情報処理装置100に接続されたコンソールが、当該メモリから定期的にコンソール表示用メッセージを読み出して、コンソール自らの具備する表示装置に表示させるようにしてもよい。
【0025】
次に、図2〜図5を参照して、本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明する。
図2は、本実施形態におけるサーバ・システムの機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、サーバ・システム1は、サーバ装置200と、シリアル・コンソール端末装置291と、ログ表示端末装置292とを具備する。また、サーバ装置200と、シリアル・コンソール端末装置291と、ログ表示端末装置292とは、それぞれネットワーク293に接続されている。
【0026】
サーバ装置200は、処理部210と、管理部220と、ネットワーク通信部230とを具備する。処理部210は、OSメッセージ記憶部211と、OS実行部212と、BIOSメッセージ記憶部213と、BIOS実行部214と、シリアル通信部215とを具備する。管理部220は、シリアル通信部221と、フィルタリング部222と、ログ管理部223と、ログ記憶部224と、プロトコル処理部225とを具備する。
【0027】
サーバ装置200は、情報処理装置100(図1)の一例であり、サーバ装置200自らの起動時に、まずBIOSを実行してハードウェアの初期設定を行い、その後オペレーティング・システムを実行する。
ここでいうオペレーティング・システムは、サーバ装置200が実行するアプリケーション・ソフトウェアに対してハードウェアとのインタフェースを提供し、また、サーバ装置200か実行するアプリケーション・ソフトウェアを管理するなど、サーバ装置200を管理するプログラムである。なお、以下では、ソフトウェアとしてのオペレーティング・システムを、OSソフトウェアと称する。
【0028】
処理部210は、処理部101(図1)の一例である。処理部210は、オペレーティング・システムやBIOSやアプリケーション・プログラム(アプリケーション・ソフトウェア)を実行して、シリアル・コンソール端末装置291から要求される処理など各種処理を行う。また、処理部210は、オペレーティング・システムやBIOSの実行において所定のイベントを検出すると、検出したイベントに応じたメッセージを出力する。特に、処理部210は、所定の識別情報を含むログ・メッセージ(ログ・メッセージのテンプレート)またはコンソール表示用メッセージ(コンソール表示用メッセージのテンプレート)を、BIOSメッセージ記憶部213から読み出して出力する。ここで、後述するように、BIOSメッセージ記憶部213は、処理部210(OS実行部212)がBIOSの実行において出力するメッセージとして、ログ・メッセージのテンプレートとコンソール表示用メッセージのテンプレートとを、いずれか一方に所定の識別情報を含んで予め記憶している。そして、処理部210は、ログ・メッセージまたはコンソール表示用メッセージをBIOSメッセージ記憶部213から読み出して、BIOSの実行において出力するメッセージとして管理部220に出力する。
【0029】
OS実行部212は、オペレーティング・システムを実行する。そして、OS実行部212は、オペレーティング・システムの実行において所定のイベントを検出すると、検出したイベントに応じたメッセージを出力する。
BIOS実行部214は、BIOSを実行する。そして、BIOS実行部214は、BIOSの実行において所定のイベントを検出すると、検出したイベントに応じたメッセージを出力する。
【0030】
OSメッセージ記憶部211は、OS実行部212が出力するメッセージのテンプレートを予め記憶する。後述するように、OSメッセージ記憶部211は、コンソール表示用メッセージを記憶する。
BIOSメッセージ記憶部213は、BIOS実行部214が出力するメッセージのテンプレートを予め記憶する。ここで、BIOSメッセージ記憶部213は、本発明におけるメッセージ記憶部の一例であり、BIOS実行部214が出力するログ・メッセージ(ログ・メッセージのテンプレート)とコンソール表示用メッセージ(コンソール表示用メッセージのテンプレート)とを、当該ログ・メッセージおよび当該コンソール表示用メッセージのいずれか一方に所定の識別情報を含んで予め記憶する。
【0031】
例えば、BIOSメッセージ記憶部213は、ログ・メッセージの先頭にエスケープ・シーケンスを含んで記憶する(すなわち、BIOSメッセージ記憶部213は、先頭にエスケープ・シーケンスを含むログ・メッセージを記憶する。)
ここでいうエスケープ・シーケンスは、データ表示における制御用情報を示すコードである。エスケープ・シーケンスには、文字など表示用データに割り当てられていないコード、あるいは、表示用データにて用いられるコードの並び(以下、コード列と称する)とは異なるコード列が用いられる。
【0032】
本実施形態では、コンソール表示用メッセージに用いられる文字コード体系を拡張し、当該文字コード体系において未使用のコード列を所定の識別情報として用いる。すなわち、BIOSメッセージ記憶部213は、コンソール表示用メッセージのテンプレートとして、拡張前の文字コード体系に基づく文字列を予め記憶し、また、ログ・メッセージのテンプレートとして、拡張された文字コード体系に基づいて先頭にエスケープ・シーケンスを含む文字列を予め記憶する。なお、以下では、この拡張された文字コード体系を「拡張文字コード体系」と称する。
【0033】
シリアル通信部215は、OS実行部212やBIOS実行部214から出力されるメッセージを、シリアルの通信信号に変換して管理部220に出力する。例えば、シリアル通信部215は、OS実行部212やBIOS実行部214から拡張文字コード体系にて出力されたメッセージを、RS−232(ANSI/TIA/EIA-232-F-1997)の規定に基づくシリアル信号(シリアル通信において通信される信号)に変換して、管理部220(シリアル通信部221)に出力する。
【0034】
管理部220は、サーバ装置200の各部の監視(モニタリング)や、ユーザの遠隔操作に基づくサーバ装置200の各部の制御を行う。
ここで、管理部220は、処理部210と別電源で動作して、サーバ装置200の電源が切断(OFF)された状態でもネットワーク通信部230を介して外部からの信号(起動指令)を受信し、受信した信号に従って処理部210などサーバ装置200の各部を制御する。このように、管理部220は処理部210と別電源で動作していることから、処理部210の起動処理中(サーバ装置200の起動処理中)においても各種処理を実行することができる。
【0035】
シリアル通信部221は、シリアル通信部215からシリアル信号にて出力されるデータを、管理部220内部の信号形式に変換してフィルタリング部222に出力する。
【0036】
フィルタリング部222は、フィルタリング部102(図1)の一例であり、シリアル通信部221から出力されるメッセージを、ログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類する。具体的には、フィルタリング部222は、メッセージの先頭に、上記の所定の識別情報であるエスケープ・シーケンスが含まれるか否かを判定する。そして、フィルタリング部222は、当該エスケープ・シーケンスが含まれると判定したメッセージをログ・メッセージに分類してログ管理部223に出力する。一方、フィルタリング部222は、当該エスケープ・シーケンスが含まれないと判定したメッセージをコンソール表示用メッセージに分類してプロトコル処理部225に出力する。
【0037】
また、フィルタリング部222は、BIOS実行部214が出力した所定のデータまたはOS実行部212が出力した所定のデータに基づいて、処理部210が出力したメッセージが、OS実行部212が出力したメッセージか否かを判定し、OS実行部212が出力したメッセージであると判定すると、当該メッセージをコンソール表示用メッセージに分類する。
【0038】
例えば、フィルタリング部222は、BIOS(BIOS実行部214)から出力されるPOST(Power On Self Test)信号を取得してBIOSの起動処理の段階を把握し、オペレーティング・システム実行中か否か(オペレーティング・システムが起動されたか否か)を判定する。そして、フィルタリング部222は、オペレーティング・システム実行中において処理部210から出力されるメッセージを、OS実行部212が出力したメッセージであると判定し、コンソール表示用メッセージに分類してプロトコル処理部225に出力する。
【0039】
ログ管理部223は、ログ・メッセージ取得部103(図1)の一例であり、フィルタリング部222から出力されるログ・メッセージを取得してログ記憶部224に書き込む。また、ログ管理部223は、ログ表示端末装置292からログ・メッセージ読出要求が出力されると、当該要求に従って、ログ記憶部224からログ・メッセージを読み出し、ネットワーク通信部230およびネットワーク293を介してログ表示端末装置292に出力する。
【0040】
ログ記憶部224は、ログ管理部223によって書き込まれるログ・メッセージを記憶する。
プロトコル処理部225は、コンソール表示用メッセージ取得部104(図1)の一例であり、フィルタリング部222から出力されるコンソール表示用メッセージを取得する。そして、プロトコル処理部225は、取得したコンソール表示用メッセージを、TelnetまたはSSHなど端末通信用の規格の通信信号に変換してネットワーク通信部230に出力する。
【0041】
ネットワーク通信部230は、ネットワーク293を介してシリアル・コンソール端末装置291やログ表示端末装置292と通信を行う。特に、ネットワーク通信部230は、フィルタリング部222がコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを送信する。すなわち、ネットワーク通信部230は、フィルタリング部222からプロトコル処理部225に出力され、プロトコル処理部225がプロトコル変換したコンソール表示用メッセージを、TCP/IPなどネットワーク293の通信規格の信号にて、ネットワーク293を介してシリアル・コンソール端末装置291に送信する。
【0042】
ここで、処理部210から出力されたシリアル信号は、管理部220とネットワーク通信部230とによってネットワーク293の通信規格に信号に変換してシリアル・コンソール端末装置291に出力されている。すなわち、管理部220とネットワーク通信部230とで、SOL(Serial Over LAN)機能を提供している。これによって、サーバ装置200とシリアル・コンソール端末装置291との間にシリアルケーブルを設けずとも、処理部210がシリアル信号にて出力するコンソール表示用メッセージをサーバ装置200からシリアル・コンソール端末装置291に送信することができる。
【0043】
シリアル・コンソール端末装置291は、例えばパーソナル・コンピュータ(Personal Computer;PC)が、端末ソフト(端末機能を実現するためのプログラム(ターミナルプログラム))を実行することによって実現され、ネットワーク通信部230が送信したコンソール表示用メッセージを表示する。
ここでいうシリアル・コンソールは、シリアル信号のコンソール表示用メッセージを表示するコンソールである。このシリアル・コンソールは、入出力速度は低速だが、テキストで扱うことのできる端末であり、BIOSやオペレーティング・システムから受信するメッセージの表示、および、BIOSやオペレーティング・システムへのデータ送信を行うことができる。
【0044】
特に、シリアル・コンソールは、サーバ装置などの情報処理装置から出力されるテキストベースのメッセージ、すなわち、文字列によるメッセージを表示する。情報処理装置からシリアル・コンソールにメッセージを送信する際、グラフィカルな制御情報など複雑なデータを送信する必要は無く、情報処理装置はテキストベースのメッセージをシリアル・コンソールに送信すればよい。このため、オペレーティング・システムの起動前(特に、BIOS実行による情報処理装置の起動処理時)においても、情報処理装置がメッセージをシリアル・コンソールに送信し、シリアル・コンソールが当該メッセージを表示することが出来る。
【0045】
本実施形態におけるシリアル・コンソール端末装置291は、このシリアル・コンソールを模擬する。具体的には、処理部210が、オペレーティング・システムまたはBIOSを実行してシリアル信号にて出力するコンソール表示用メッセージは、上記のように管理部220とネットワーク通信部230とが提供するSOL機能によってネットワーク293の通信規格の信号に変換されてシリアル・コンソール端末装置291に送信され、シリアル・コンソール端末装置291は、当該メッセージを表示する。また、シリアル・コンソール端末装置291がネットワーク293に通信規格の信号にて送信する信号は、管理部220とネットワーク通信部230とが提供するSOL機能によってシリアル信号に変換されてメイン・ボード310に出力される。
【0046】
ログ表示端末装置292は、例えばパーソナル・コンピュータが、端末ソフトを実行することによって実現される。ログ表示端末装置292は、自らの具備する入力装置(例えばキーボード)にて受け付けるユーザ操作に従って、ログ・メッセージ読出要求を、ネットワーク293を介してネットワーク通信部230に出力する。また、ログ表示端末装置292は、ネットワーク通信部230から送信されるログ・メッセージを、自らの具備する出力装置(例えば液晶ディスプレイ装置)に表示する。
【0047】
ネットワーク293は、例えばTCP/IPなどの通信規格に基づくLANである。ネットワーク293は、サーバ装置200とシリアル・コンソール端末装置291との間の通信信号や、サーバ装置200とログ表示端末装置292との間の通信信号を伝送する。特に、ネットワーク293は、サーバ装置200から送信されるコンソール表示用メッセージをシリアル・コンソール端末装置291に伝送し、シリアル・コンソール端末装置291から送信される、オペレーティング・システムないしBIOS向けのデータ(例えば、BIOSへの指令)をサーバ装置200に伝送する。また、ネットワーク293は、ログ表示端末装置292から送信されるデータ(例えばログ記憶部224が記憶するログ・メッセージの読出要求)を、サーバ装置200に伝送し、サーバ装置200から送信されるログ・メッセージをログ表示端末装置292に伝送する。
【0048】
図3は、サーバ装置200の部品構成を示す概略構成図である。
同図において、サーバ装置200は、メイン・ボード310と、管理ボード320と、NIC(Network Interface Card)330とを具備する。
メイン・ボード310は、中央処理装置(Central Processing Unit;CPU)311と、主メモリ312と、BIOSメモリ313と、UART(Universal Asynchronous Reciever Transmitter)314とを具備する。管理ボード320は、BMC(Baseboard Management Controller)プロセッサ321と、BMC−RAM322と、BMC−ROM323と、UART324と、ボード間I/F(Interface)回路325とを具備する。NIC330は、ボード間I/F回路331と、ネットワーク・コントローラ回路332とを具備する。
また、UART314とUART324とはシリアルケーブルによる通信経路W301で接続されており、ネットワーク・コントローラ回路332とネットワーク293(図2)とは、パラレルケーブルによる通信経路W311で接続されている。
【0049】
メイン・ボード310は、サーバ装置200において中心的な役割を果たす回路基板である。
中央処理装置311は、サーバ装置200のメインプロセッサ(中心的な処理装置として動作する回路)であり、プログラムを実行することで各種機能を提供する。中央処理装置311が提供する機能には、オペレーティング・システム機能、BIOS機能およびアプリケーション機能が含まれる。
【0050】
主メモリ312は、中央処理装置311が実行するプログラムや各種データを記憶する。主メモリ312が記憶するプログラムには、OSソフトウェアやアプリケーション・プログラムが含まれる。また、主メモリ312は、中央処理装置311のワーキング・メモリとして用いられる。
BIOSメモリ313は、BIOSファームウェアを記憶する。
【0051】
UART314は、シリアルポートの制御を行う集積回路であり、シリアル信号からパラレル信号への変換、および、その逆方向の変換を行う。UART314は、中央処理装置311から内部バスを経由して出力されるパラレル信号(メイン・ボード310の内部バスの信号形式の信号)をシリアル信号に変更し、シリアルケーブルの経路W301を介して管理ボード320(UART324)に出力し、また、管理ボード320から経路W301を介して出力されるシリアル信号をパラレル信号に変換し、内部バスを経由して中央処理装置311に出力する。
【0052】
中央処理装置311と主メモリ312とで、OS実行部212を実現する。具体的には、中央処理装置311が主メモリ312からOSソフトウェアを読み出して実行することで、OS実行部212を実現する。
また、中央処理装置311とBIOSメモリ313とで、BIOS実行部214を実現する。具体的には、中央処理装置311がBIOSメモリ313からBIOSファームウェアを読み出して実行することで、BIOS実行部214を実現する。
【0053】
また、主メモリ312は、自らの記憶領域によってOSメッセージ記憶部211とBIOSメッセージ記憶部213とを実現する。すなわち、主メモリ312は、OS実行部212が出力するメッセージのテンプレートと、BIOS実行部214が出力するメッセージのテンプレートとを予め記憶する。
また、UART314は、シリアル通信部215を実現する。
これら各部を用いてメイン・ボード310は、処理部210を実現する。
【0054】
管理ボード320は、サーバ装置200の各部の監視や、ユーザの遠隔操作に基づくサーバ装置200の各部の制御を行う回路基板である。管理ボード320は、メイン・ボード310と別電源の供給を受けて動作し、サーバ装置200(特にメイン・ボード310)の停止中や起動処理中においても動作する。
【0055】
BMCプロセッサ321は、管理ボード320において中心的役割を果たすプロセッサであり、ファームウェアを実行することで、BMCの各種機能を提供する。BMCプロセッサ321が提供する機能には、サーバ装置200の各部の監視や、ユーザの遠隔操作に基づくサーバ装置200の各部の制御や、後述する各部の機能が含まれる。
【0056】
BMC−RAM322は、BMCプロセッサ321が書き込むログ・メッセージなど各種データを記憶する。また、BMC−RAM322は、BMCプロセッサ321のワーキング・メモリとして用いられる。
BMC−ROM323は、BMCプロセッサ321が実行するファームウェアであるBMCファームウェアを記憶する。
【0057】
ボード間I/F回路325は、管理ボード320の内部バスの信号形式と、ボード間の信号形式との変換を行う。ボード間I/F回路325は、BMCプロセッサ321から出力される信号を、ボード間の信号形式にてNIC330(ボード間I/F回路331)に出力し、また、NIC330から出力される信号を管理ボード320の内部バスの信号形式にてBMCプロセッサ321に出力する。
【0058】
UART324は、UART314と同様、シリアルポートの制御を行う集積回路であり、シリアル信号からパラレル信号への変換、および、その逆方向の変換を行う。UART324は、BMCプロセッサ321から内部バスを経由して出力されるパラレル信号(管理ボード320の内部バスの形式の信号)をシリアル信号に変更し、シリアルケーブルの経路W301を介してメイン・ボード310(UART314)に出力し、また、メイン・ボード310から経路W301を介して出力されるシリアル信号をパラレル信号に変換し、内部バスを経由してBMCプロセッサ321に出力する。
【0059】
ボード間I/F回路325は、管理ボード320の内部バスの信号形式と、ボード間の信号形式との変換を行う。ボード間I/F回路325は、BMCプロセッサ321から出力される信号を、ボード間の信号形式にてNIC330(ボード間I/F回路331)に出力し、また、NIC330から出力される信号を管理ボード320の内部バスの信号形式にてBMCプロセッサ321に出力する。
【0060】
BMCプロセッサ321とBMC−ROM323とで、フィルタリング部222およびログ管理部223を実現する。具体的には、BMCプロセッサ321がBMC−ROM323からBMCファームウェアを読み出して実行することで、フィルタリング部222およびログ管理部223を実現する。
また、BMC−RAM322は、自らの記憶領域によってログ記憶部224を実現する。すなわち、BMC−RAM322は、ログ・メッセージを記憶する。
【0061】
また、UART324は、シリアル通信部221を実現する。
また、BMCプロセッサ321とBMC−ROM323とボード間I/F回路325とでプロトコル処理部225を実現する。具体的には、BMCプロセッサ321がBMC−ROM323からファームウェアを読み出して実行することで、UART324から出力される信号を、Telnetなど端末通信用の規格の通信信号に変換し、ボード間I/F回路325が、当該信号をNIC330(ボード間I/F回路331)に出力する。また、NIC330から出力される端末通信用の規格の通信信号をボード間I/F回路325が取得すると、ファームウェアを実行するBMCプロセッサ321が、当該信号をUART314向けの信号に変換してUART314に出力する。
これら各部を用いて管理ボード320は、管理部220を実現する。
【0062】
NIC330は、サーバ装置200をネットワーク293(図2)に接続するための回路基板である。
ボード間I/F回路331は、NIC330内部の信号形式と、ボード間の信号形式との変換を行う。ボード間I/F回路331は、ネットワーク・コントローラ回路332から出力される信号を、ボード間の信号形式にて管理ボード320(ボード間I/F回路325)に出力し、また、管理ボード320から出力される信号をNIC330内部の信号形式にてネットワーク・コントローラ回路332に出力する。
ネットワーク・コントローラ回路332は、ネットワーク293に接続されて信号の送受信を行う。具体的には、ネットワーク・コントローラ回路332は、ボード間I/F回路331から出力される信号をネットワーク293の通信規格の信号にてネットワーク293に送信し、また、ネットワーク293から受信する信号をNIC330内部の信号形式にてボード間I/F回路331に出力する。
【0063】
ボード間I/F回路331の機能とネットワーク・コントローラ回路332の機能とを用いて、NIC330は、ネットワーク通信部230(図2)を実現する。すなわち、NIC330は、管理ボード320(ボード間I/F回路325)から出力される信号をネットワーク293に送信することで、当該信号をシリアル・コンソール端末装置291またはログ表示端末装置292に送信する。また、NIC330は、ネットワーク293を介してシリアル・コンソール端末装置291またはログ表示端末装置292から送信された信号を、管理ボード320に出力する。
【0064】
次に、図4および図5を参照してサーバ装置200の動作について説明する。
図4は、サーバ装置200がメッセージデータを送信する処理手順を示すフローチャートである。サーバ装置200は、オペレーティング・システムの実行またはBIOSの実行においてメッセージ送信対象のイベントを検出すると、同図の処理を開始する。
【0065】
同図の処理において、まず、OS実行部212またはBIOS実行部214が、検出したイベントに応じたメッセージを、OSメッセージ記憶部211またはBIOSメッセージ記憶部213から読み出す(ステップS101)。
次に、メッセージを読み出したOSメッセージ記憶部211またはBIOSメッセージ記憶部213は、当該メッセージをシリアル通信部215およびシリアル通信部221を介してフィルタリング部222に出力する(ステップS102)。
【0066】
メッセージを取得したフィルタリング部222は、オペレーティング・システムが動作中か否か、すなわちOS実行部212がオペレーティング・システムを実行中か否かを判定する(ステップS103)。上述したように、フィルタリング部222は、BIOS実行部214が出力した所定のデータまたはOS実行部212が出力した所定のデータに基づいて当該判定を行う。
【0067】
オペレーティング・システムが動作中ではないと判定した場合(ステップS103:NO)、フィルタリング部222は、当該メッセージがBIOSから出力されたと判定して、当該メッセージに対するデータ解析を行う(ステップS111)。
そして、フィルタリング部222は、当該メッセージの先頭に、所定の識別情報としてのエスケープ・シーケンスが含まれるか否かを判定する(ステップS112)。
【0068】
当該エスケープ・シーケンスが含まれないと判定した場合(ステップS112:NO)、および、ステップS103において、OSが動作中であると判定した場合(ステップS103:YES)、フィルタリング部222は、当該メッセージをコンソール表示用メッセージに分類してプロトコル処理部225に出力する。そして、プロトコル処理部225は、フィルタリング部222から出力されたコンソール表示用メッセージを、ネットワーク通信部230およびネットワーク293を介してシリアル・コンソール端末装置291に送信する(ステップS121)。
その後、同図の処理を終了する。
【0069】
一方、ステップS112において当該エスケープ・シーケンスが含まれると判定した場合(ステップS112:YES)、フィルタリング部222は、当該メッセージをログ・メッセージに分類してログ管理部223に出力する。そして、ログ管理部223は、フィルタリング部222から出力されたログ・メッセージをログ記憶部224に書き込む(ステップS131)。
その後、同図の処理を終了する。
【0070】
図5は、サーバ装置200における端末装置からのデータの処理手順を示すフローチャートである。サーバ装置200は、オペレーティング・システムまたはBIOSに対する指令等のデータがシリアル・コンソール端末装置291またはログ表示端末装置292から送信されると、同図の処理を開始する。
【0071】
同図の処理において、まず、ネットワーク通信部230が、シリアル・コンソール端末装置291またはログ表示端末装置292からネットワーク293を介して送信されたデータを受信し(ステップS201)、プロトコル処理部225〜シリアル通信部215を介してOS実行部212およびBIOS実行部214に出力する(ステップS202)。
OS実行部212、BIOS実行部214は、それぞれ、当該データが、オペレーティング・システムに対するデータ、BIOSに対するデータか否かを判定し、該当するデータを取得する(ステップS203)。
その後、同図の処理を終了する。
【0072】
以上のように、フィルタリング部222が、処理部210から出力されるメッセージを、コンソール表示用メッセージとログ・メッセージとに分類するので、エラーメッセージやデバッグメッセージをログ・メッセージに分類してシリアル・コンソール端末装置291における表示を抑制しつつログ記憶部224に記憶させ、一方、その他のメッセージをコンソール表示用メッセージに分類して、シリアル・コンソール端末装置291が表示するように制御できる。
これにより、サーバ装置200の管理者に対してエラーメッセージなど障害に関する情報を提供でき、かつ、BIOSの設定変更などによるメッセージの切替を必要とせずに一般ユーザに不安や不信感を抱かせるおそれを軽減することができる。
【0073】
また、フィルタリング部222は、BIOS実行部214が出力した所定のデータまたはOS実行部212が出力した所定のデータに基づいて、オペレーティング・システムが動作中か否かを判定する。そして、フィルタリング部222は、オペレーティング・システムが動作中であると判定した場合、処理部210から出力されるメッセージを、OS実行部212が出力したメッセージであると判定してコンソール表示用メッセージに分類する。
これにより、オペレーティング・システムから出力されるメッセージ(OS実行部212がオペレーティング・システムを実行して出力するメッセージ)にエラーメッセージやデバッグメッセージが含まれない場合に、フィルタリング部222は、所定の信号が出力されたか否かを判定するという、より簡単な処理でコンソール表示用メッセージとログ・メッセージとの分類を行うことが出来るので、フィルタリング部222の負荷を軽減することができる。
【0074】
また、BIOSメッセージ記憶部213は、BIOS実行部214がBIOSを実行して出力するメッセージ(のテンプレート)のうち、ログ・メッセージにエスケープ・シーケンスを含んで予め記憶する。
これにより、BIOS実行部214は、ログ・メッセージを出力する際に、当該メッセージにエスケープ・シーケンスを挿入する必要が無く、BIOS実行部214の負荷を軽減することができる。
【0075】
なお、以上では、フィルタリング部222が、エスケープ・シーケンスを含まないメッセージをコンソール表示用メッセージに分類し、エスケープ・シーケンスを含むメッセージをログ・メッセージに分類する例について説明したが、フィルタリング部222が行う分類方法は、これに限らない。
例えば、フィルタリング部222が、エスケープ・シーケンスを含まないメッセージをログ・メッセージに分類し、処理部210から出力される全てのメッセージ(すなわち、エスケープ・シーケンスを含まないメッセージおよびエスケープ・シーケンスを含むメッセージ)をログ・メッセージとして分類するようにしてもよい。
これにより、BIOS実行部214が、コンソール表示用メッセージとして出力したメッセージをさらにログ・メッセージとしても出力する重複を削減できる。
【0076】
また、フィルタリング部222のメッセージ分類方法は、上述したような、オペレーティング・システムの動作中に処理部210から出力されるメッセージをコンソール表示用メッセージに分類する方法に限らない。
例えば、OS実行部212が、BIOS実行部214と同様に、ログ・メッセージに所定のエスケープ・シーケンスを含んで出力するようにし、オペレーティング・システムの動作中においても、処理部210が、所定のエスケープ・シーケンスの有無に基づいて、コンソール表示用メッセージとログ・メッセージとを分類するようにしてもよい。
このような分類を行うことで、オペレーティング・システムから出力されるメッセージにエラーメッセージやデバッグメッセージが含まれる場合に、フィルタリング部222は、より適切にメッセージを分類することができる。これにより、オペレーティング・システムから出力されるメッセージにエラーメッセージやデバッグメッセージが含まれる場合にも、サーバ装置200の管理者に対してエラーメッセージなど障害に関する情報を提供でき、かつ、BIOSの設定変更などによるメッセージの切替を必要とせずに一般ユーザに不安や不信感を抱かせるおそれを軽減することができる。
【0077】
なお、情報処理装置100またはサーバ装置200の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 サーバ・システム
100 情報処理装置
101、210 処理部
102、222 フィルタリング部
103 ログ・メッセージ取得部
104 コンソール表示用メッセージ取得部
200 サーバ装置
211 OSメッセージ記憶部
212 OS実行部
213 BIOSメッセージ記憶部
214 BIOS実行部
215、221 シリアル通信部
220 管理部
223 ログ管理部
224 ログ記憶部
225 プロトコル処理部
230 ネットワーク通信部
291 シリアル・コンソール端末装置
292 ログ表示端末装置
293 ネットワーク
310 メイン・ボード
311 中央処理装置
312 主メモリ
313 BIOSメモリ
314 UART
320 管理ボード
321 BMCプロセッサ321
322 BMC−RAM
323 BMC−ROM
324 UART
325 ボード間I/F回路
330 NIC
331 ボード間I/F回路331
332 ネットワーク・コントローラ回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
BIOSを実行する処理部と、
前記処理部が出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング部と、
前記フィルタリング部がログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得部と、
前記フィルタリング部がコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを取得するコンソール表示用メッセージ取得部と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
BIOSを実行するBIOS実行部と、
オペレーティング・システムを実行するOS実行部と、
を具備し、
前記フィルタリング部は、前記BIOS実行部が出力した所定のデータまたは前記OS実行部が出力した所定のデータに基づいて、前記処理部が出力したメッセージが、前記OS実行部が出力したメッセージか否かを判定し、前記OS実行部が出力したメッセージであると判定すると、当該メッセージをコンソール表示用メッセージに分類することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ログ・メッセージと前記コンソール表示用メッセージとを、当該ログ・メッセージおよび当該コンソール表示用メッセージのいずれか一方に前記所定の識別情報を含んで予め記憶するメッセージ記憶部を具備し、
前記処理部は、前記所定の識別情報を含む前記ログ・メッセージまたは前記コンソール表示用メッセージを、前記メッセージ記憶部から読み出して出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
BIOSを実行する処理部と、
前記処理部が出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング部と、
前記フィルタリング部がログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得部と、
前記フィルタリング部がコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを送信するコンソール表示用メッセージ送信部と、
を具備する情報処理装置と、
前記コンソール表示用メッセージ送信部が送信したメッセージを表示するコンソール端末装置と、
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
情報処理装置のメッセージ制御方法であって、
BIOSを実行するBIOS実行ステップと、
前記BIOS処理ステップにて出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング・ステップと、
前記フィルタリング・ステップにてログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得ステップと、
前記フィルタリング・ステップにてコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを取得するコンソール表示用メッセージ取得ステップと、
を具備することを特徴とするメッセージ制御方法。
【請求項6】
情報処理装置に、
BIOSを実行するBIOS実行ステップと、
前記BIOS処理ステップにて出力したメッセージに所定の識別情報が付与されているか否かに従って、当該メッセージをログ・メッセージとコンソール表示用メッセージとに分類するフィルタリング・ステップと、
前記フィルタリング・ステップにてログ・メッセージに分類したメッセージを取得するログ・メッセージ取得ステップと、
前記フィルタリング・ステップにてコンソール表示用メッセージに分類したメッセージを取得するコンソール表示用メッセージ取得ステップと、
を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−37421(P2013−37421A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170824(P2011−170824)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】