説明

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

【課題】ユーザが煩雑な行動をしなくても、ユーザに適切なサービスを提供する。
【解決手段】オペレータ確率算出部42は、状態を検知するセンサ部41の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、HDレコーダ3を操作するオペレータであるオペレータ確率を算出する。インタラクション部14や番組推薦部15は、オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行う。すなわち、例えば、オペレータ確率が最も高いターゲットの行動に対応したアクションや、そのターゲットの嗜好に合致した番組の推薦が行われる。本発明は、例えば、ユーザとのインタラクションを通じて、各種の処理を行うインタラクション装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関し、特に、例えば、ユーザが煩雑な行動をしなくても、ユーザに適切なサービスを提供することができるようにする情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ユーザとのインタラクションを通じて、各種の処理を行うインタラクション装置がある。インタラクション装置では、ユーザの発言やジェスチャ等の行動を、インタラクションシグナルとして受け付け、そのインタラクションシグナルに対応した処理を行うことにより、ユーザの発言やジェスチャ等の行動に対応して、テレビ番組の推薦や、チャンネルの変更、その他のアクションが実行される。
【0003】
ここで、以下、適宜、インタラクション装置の周囲に存在するユーザを、ターゲットという。また、以下、適宜、インタラクション装置を操作する(意思を有する)ユーザを、オペレータという。
【0004】
なお、撮像部が撮像した人間の映像に基づいて、人間のジェスチャを特定し、人間の行動・意図を推定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、個人識別を行いながらジェスチャ認識をすることにより、個人のジェスチャに応じて、機器を制御するインタフェース装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005-242759号公報
【特許文献2】国際公開第2003/025859号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のインタラクション装置には、周囲に、ターゲットが1人しか存在しないことを仮定し、その1人しか存在しないターゲットを、オペレータとして、アクションを行うものがある。
【0008】
かかるインタラクション装置については、周囲に、ターゲットが1人しか存在しないという仮定を維持するために、1人のターゲットしか存在し得ないように、ターゲットが存在し得る空間を、例えば、電話ボックスのような狭い空間に設計することが行われる。
【0009】
さらに、そのような狭い空間に、複数のターゲットが存在してしまった場合のために、インタラクション装置では、その設計者の経験に基づいたヒューリスティック(例えば、「遠くにいる人はオペレータではない」とか、「通り過ぎていく人はオペレータではない」など)を用いて、複数のターゲットから無理矢理1人のターゲットが、オペレータに選択される。
【0010】
また、周囲に、複数のターゲットが存在し得ることを想定したインタラクション装置があるが、かかるインタラクション装置では、例えば、周囲に存在する複数のターゲットのそれぞれが、いずれもオペレータであるとして、複数のターゲットのいずれの行動も、インタラクションシグナルとして受け付けられる。
【0011】
しかしながら、インタラクション装置において、複数のターゲットのいずれの行動も、インタラクションシグナルとして受け付けられる場合には、インタラクション装置の操作を希望する真のオペレータによるインタラクション装置の操作が、そのようなオペレータではないターゲットの行動によって妨害されることが頻繁に生じることがある。
【0012】
すなわち、一般に、ターゲットとなり得るユーザは、オペレータとなることを意識していなければ、インタラクション装置の周囲にいても、インタラクション装置を無視して行動することが多い。したがって、インタラクション装置では、オペレータとなることを意識していないターゲットの発話やジェスチャ等の行動が、インタラクションシグナルとして誤って受け付けられ(誤認識され)、その結果、オペレータとなることを希望しているターゲットによるインタラクション装置の操作が妨害されることがある。
【0013】
そこで、インタラクション装置において、ターゲットが、オペレータであることを明示的に示す行動、すなわち、例えば、「私がユーザです。」といった発話や、特定のジェスチャをした場合に、そのターゲットを、オペレータとして選択する方法がある。
【0014】
しかしながら、このように、「私がユーザです。」といった明示的な発話やジェスチャを必要とすることは、インタラクション装置の操作を開始するのに、ユーザに、面倒な行動を強いることになり、インタラクション装置を、スムースに素早く利用することが困難となる。さらに、その結果、ユーザに不便さを感じさせることになる。
【0015】
すなわち、例えば、インタラクション装置が、オペレータに対して、そのオペレータの嗜好に合致したテレビ番組を推薦する機能を有する場合において、ターゲットが、インタラクション装置に番組を推薦してもらうには、発話「私がユーザです。」といった、オペレータであることを明示的に示す行動をしなければならない。したがって、例えば、インタラクション装置の周囲に、2人のターゲットが存在する場合には、その2人のターゲットのうちの一方は、他方のターゲットがオペレータになっていると、インタラクション装置に番組を推薦してもらうのに、発話「私がユーザです。」といった、オペレータであることを明示的に示す行動をしなければならず、非常に面倒である。
【0016】
また、インタラクション装置では、オペレータであることを明示的に示す行動があった場合に、その行動を行ったターゲットをオペレータとして選択するインタラプト処理を、インタラクションの処理のいたるところで準備しておかなくてはならず、インタラクションの処理を、ソフトウェアで実現する場合には、そのソフトウェアの設計が面倒となる。
【0017】
ところで、例えば、上述のように、オペレータに対して、そのオペレータの嗜好に合致したテレビ番組を推薦するインタラクション装置では、まず、オペレータとなり得るターゲットの嗜好を表す嗜好情報等の個人情報が記憶される。さらに、周囲に存在するターゲットのうちの1人が、オペレータに選択され、例えば、顔認識などのセンシング技術によって、オペレータが認識(特定)される。そして、その認識されたオペレータの嗜好情報に基づいて、テレビ番組が推薦される。
【0018】
一方、例えば、上述したような、周囲に存在する複数のターゲットのそれぞれが、いずれもオペレータであるとして、複数のターゲットのいずれの行動も、インタラクションシグナルとして受け付けるインタラクション装置では、顔認識によって、複数のターゲットそれぞれを認識することは可能であるが、その複数のターゲットそれぞれの嗜好情報を適切に利用して、テレビ番組を推薦する等のサービスを提供することが困難である。
【0019】
すなわち、複数のターゲットのいずれの行動も、インタラクションシグナルとして受け付けるインタラクション装置では、顔認識によって、複数のターゲットそれぞれを認識した後は、例えば、その複数のターゲットのうちのいずれかを、いわば主たるオペレータとして、そのオペレータの嗜好情報に基づいて、テレビ番組を推薦するか、あるいは、複数のターゲットそれぞれの嗜好情報を、いわば平均化し、その平均化後の嗜好情報に基づいて、テレビ番組を推薦する程度のことを行うしかない。
【0020】
また、インタラクション装置の周囲に存在する複数のターゲットのそれぞれに、例えば、キーボード等を操作することによって、ターゲットの個人情報と、オペレータであることの尤度を、インタラクション装置に入力してもらう方法が考えられ、かかる方法によれば、例えば、複数のターゲットのそれぞれの嗜好情報を、複数のターゲットのそれぞれの尤度に応じた割合で用いて、テレビ番組を推薦することが可能となる。
【0021】
しかしながら、ターゲットに、ターゲットの個人情報と、オペレータであることの尤度をインタラクション装置に入力してもらうのでは、インタラクション装置の周囲に存在するターゲットの増減等の状況の変更があった場合に、即座に対応することが困難であり、また、ユーザに不便を感じさせることになる。
【0022】
以上のような状況の下、ターゲットであるユーザが、オペレータであることを明示的に示す行動をとるといった、煩雑な行動をしなくても、ユーザに適切なサービスを提供することができるようにすることが要請されている。
【0023】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザが煩雑な行動をしなくても、ユーザに適切なサービスを提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一側面の情報処理装置は、ユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理装置であり、状態を検知するセンサ部と、前記センサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記情報処理装置を操作するオペレータであるオペレータ確率を算出するオペレータ確率算出手段と、前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行う処理手段とを備える。
【0025】
本発明の一側面の情報処理方法、又はプログラムは、ユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理装置の情報処理方法、又はユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理を、コンピュータに実行させるプログラムであり、状態を検知するセンサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記情報処理装置、又は前記コンピュータを操作するオペレータであるオペレータ確率を算出し、前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行うステップを含む。
【0026】
以上のような一側面の情報処理装置、情報処理方法、又はプログラムにおいては、状態を検知するセンサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記情報処理装置、又は前記コンピュータを操作するオペレータであるオペレータ確率が算出され、前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理が行われる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一側面によれば、ユーザが煩雑な行動をしなくても、ユーザに適切なサービスを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0029】
本発明の一側面の情報処理装置は、
ユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理装置(例えば、図1のHDレコーダ3など)において、
状態を検知するセンサ部(例えば、図1のセンサ部41)と、
前記センサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記情報処理装置を操作するオペレータであるオペレータ確率を算出するオペレータ確率算出手段(例えば、図1のオペレータ確率算出部42)と、
前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行う処理手段(例えば、図1のインタラクション部14や、番組推薦部15)と
を備える。
【0030】
前記オペレータ確率算出手段には、
前記センサ部の出力から、1以上のターゲットそれぞれの情報を抽出する情報抽出手段(例えば、図6の情報抽出部101)と、
前記情報抽出手段が抽出した情報を、1以上のターゲットそれぞれごとにまとめたターゲット情報を生成するターゲット情報生成手段(例えば、図6のターゲット情報生成部102)と、
前記1以上のターゲットそれぞれごとのターゲット情報に基づいて、前記1以上のターゲットそれぞれごとに、前記オペレータ確率を算出する確率算出手段(例えば、図6の確率算出部104)と
を設けることができる。
【0031】
前記オペレータ確率算出手段には、前記ターゲット情報生成手段が時系列に生成するターゲット情報を記憶する記憶手段(例えば、図6のターゲット情報記憶部103)をさらに設けることができ、
前記確率算出手段には、前記記憶手段に記憶された時系列のターゲット情報に基づいて、前記オペレータ確率を算出させることができる。
【0032】
前記処理手段には、
前記オペレータ確率が最も高いターゲットを、前記オペレータに選択するオペレータ選択手段(例えば、図1のオペレータ選択部51)と、
前記オペレータの行動に対応して、行うべきアクションを選択するアクション選択手段(例えば、図1のアクション選択部52)と、
前記アクション選択手段が選択したアクションに対応した処理を実行するアクション実行手段(例えば、図1のアクション実行部53)と
を設けることができる。
【0033】
また、前記処理手段には、
前記1以上のターゲットそれぞれの嗜好を表す嗜好情報を記憶する嗜好情報記憶手段(例えば、図1の嗜好テーブル記憶部61)と、
前記1以上のターゲットそれぞれの前記オペレータ確率に基づいて、前記1以上のターゲットそれぞれの嗜好情報から、番組を推薦するのに用いる番組推薦用嗜好情報を生成する嗜好情報処理手段(例えば、図1の嗜好情報処理部62)と、
前記番組推薦用嗜好情報に基づいて、番組を推薦するサービスを提供するサービス提供手段(例えば、図1のサービス提供部63)と
を設けることができる。
【0034】
本発明の一側面の情報処理方法、又はプログラムは、
ユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理装置の情報処理方法、又はユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理を、コンピュータに実行させるプログラムであり、
状態を検知するセンサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記情報処理装置、又は前記コンピュータを操作するオペレータであるオペレータ確率を算出し(例えば、図15のステップS101ないしS104)、
前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行う(例えば、図2のステップS11ないしS14や、図3のステップS21ないしS24)
ステップを含む。
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
図1は、本発明を適用したインタラクション装置としてのAV(Audio Visual)システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0037】
図1において、AVシステムは、ディスプレイ1、スピーカ2、及びHD(Hard Disk)レコーダ3から構成されている。
【0038】
ディスプレイ1は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、HDレコーダ3から供給される画像データ(ビデオデータ)に対応する画像を表示する。スピーカ2は、HDレコーダ3から供給される音声データ(オーディオデータ)に対応する音声を出力する。
【0039】
HDレコーダ3は、記録再生部11,TV(Television)部12、ターゲット情報取得部13、インタラクション部14、及び番組推薦部15から構成される。
【0040】
記録再生部11は、記録再生制御部21及び記録媒体22から構成され、画像データ及び音声データの記録と再生を行う。
【0041】
すなわち、記録再生制御部21は、TV部12から供給される画像データ及び音声データを、記録媒体22に記録する。また、記録再生制御部21は、記録媒体22から画像データ及び音声データを再生し(読み出し)、TV部12に供給する。
【0042】
記録媒体22は、例えば、HDであり、記録再生制御部21によって駆動され、そこには、画像データ及び音声データが記録される。
【0043】
なお、記録再生制御部21では、その他、例えば、図示しないDVD(Digital Versatile Disc)などのHDレコーダ3に着脱可能な記録媒体に対する画像データ及び音声データの記録と再生を行うことも可能である。
【0044】
TV部12は、番組受信部31、信号処理部32、EPG(Electronic Program Guide)記憶部33、及び出力制御部34から構成され、テレビ番組のデータ等を取得し、ディスプレイ1及びスピーカ2や、記録再生部11に供給する。
【0045】
すなわち、番組受信部31は、例えば、地上波やCATV(Cable Television)を介して送信されてくるテレビジョン放送信号を受信し、信号処理部32に供給する。あるいは、番組受信部31は、例えば、インターネット上のサーバから、テレビ番組のデータ等を受信し、信号処理部32に供給する。
【0046】
信号処理部32は、番組受信部31から供給されるデータ(信号)に必要な処理を施し、そのデータから、EPGデータやテレビ番組としての画像データ及び音声データを抽出する。さらに、信号処理部32は、EPGデータを、EPG記憶部33に供給し、テレビ番組としての画像データ及び音声データを、出力制御部34に供給する。
【0047】
EPGデータ記憶部33は、信号処理部32から供給されるEPGデータを記憶する。なお、EPGデータ記憶部33は、信号処理部32から、新たなEPGデータが供給されるたびに、その記憶内容を、信号処理部32からの新たなEPGデータによって更新し、これにより、常時、最新のEPGデータを記憶する。また、EPGデータ記憶部33に記憶されたEPGデータは、適宜、必要なブロックによって参照される。
【0048】
出力制御部34は、記録再生部11や信号処理部32から供給される画像データを、ディスプレイ1に供給して、対応する画像を表示させるとともに、音声データをスピーカ2に供給して、対応する音声を出力させる。
【0049】
また、出力制御部34は、信号処理部32から供給される画像データ及び音声データを、記録再生部11に供給して記録させる。さらに、出力制御部34は、EPG記憶部33からEPGデータを読み出し、ディスプレイ1に供給して、対応するEPGを表示させる。
【0050】
その他、出力制御部34は、他のブロックから適宜供給されるデータを、ディスプレイ1またはスピーカ2に供給して、対応する画像を表示させ、または対応する音声を出力させる。
【0051】
ターゲット情報取得部13は、センサ部41及びオペレータ確率算出部42から構成され、HDレコーダ3の周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれに関するターゲット情報を、ターゲットごとに取得し、インタラクション部14や、番組推薦部15、その他必要なブロックに供給する。
【0052】
すなわち、センサ部41は、状態を検知し、その検知の結果得られるセンサ信号を出力する。
【0053】
オペレータ確率算出部42は、センサ部41が出力するセンサ信号に基づいて、HDレコーダ3の周囲に存在する1以上のターゲットそれぞれごとに、そのターゲットの行動(状態)等を表すターゲット情報を取得する。さらに、オペレータ確率算出部42は、センサ部41が出力するセンサ信号に基づいて、HDレコーダ3の周囲に存在する1以上のターゲットそれぞれがオペレータであるオペレータ確率を算出し、ターゲットごとのターゲット情報に含めて、インタラクション部14や、番組推薦部15、その他必要なブロックに供給する。
【0054】
インタラクション部14は、オペレータ選択部51、アクション選択部52、及びアクション実行部53から構成され、ターゲット情報取得部13から供給されるターゲット情報に含まれるオペレータ確率等に基づいて、所定の処理を行う。
【0055】
すなわち、オペレータ選択部51は、ターゲット情報取得部13からのターゲット情報に含まれるオペレータ確率が最も高いターゲットを、オペレータに選択し、そのオペレータのターゲット情報を、アクション選択部52に供給する。
【0056】
アクション選択部52は、オペレータ選択部51から供給されるターゲット情報、つまり、オペレータの行動に対応して、行うべきアクションを選択し、そのアクションを表すアクション情報を、アクション実行部53に供給する。
【0057】
アクション実行部53は、アクション選択部52から供給されるアクション情報が表すアクション、つまり、アクション選択部52が選択したアクションに対応した処理を実行する。
【0058】
番組推薦部15は、嗜好テーブル記憶部61、嗜好情報処理部62、及びサービス提供部63から構成され、ターゲット情報取得部13から供給されるターゲット情報に含まれるオペレータ確率等に基づいて、所定の処理を行う。
【0059】
すなわち、嗜好テーブル記憶部61は、ターゲットとなり得るユーザごとに、そのユーザの嗜好を表す嗜好情報が登録された嗜好テーブルを記憶する。
【0060】
嗜好情報処理部62は、ターゲットとなり得るユーザについて、例えば、そのユーザが視聴した番組や、予約録画(記録媒体22への記録)をした番組などに基づいて、嗜好情報を生成し、嗜好テーブル記憶部61に記憶された嗜好テーブルに登録する。ここで、ユーザ視聴した番組には、ユーザがリアルタイムで視聴した番組、及び記録媒体22に録画した後に再生して視聴した番組が含まれる。
【0061】
また、嗜好情報処理部62は、ターゲット情報取得部13からのターゲット情報に含まれるオペレータ確率に基づいて、嗜好テーブル記憶部61の嗜好テーブルに登録されたターゲット(となっているユーザ)の嗜好情報から、番組を推薦するのに用いる番組推薦用嗜好情報を生成し、サービス提供部63に供給する。
【0062】
サービス提供部63は、嗜好情報処理部62から供給される番組推薦用嗜好情報に基づいて、番組を推薦するサービスを提供する。
【0063】
すなわち、サービス提供部63は、例えば、推薦する番組の一覧の画像である推薦画面を生成し、TV部12の出力制御部34に供給して、ディスプレイ1に表示させ、あるいはスピーカ2から出力させる。
【0064】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1のインタラクション部14の処理について説明する。
【0065】
上述したように、ターゲット情報取得部13は、HDレコーダ3の周囲に存在する1以上のターゲットそれぞれに関するターゲット情報を、ターゲットごとに取得し、インタラクション部14に供給するので、インタラクション部14のオペレータ選択部51は、ターゲット情報取得部13からターゲットごとのターゲット情報が供給されてくるのを待って、ステップS11において、ターゲット情報取得部13からのターゲットごとのターゲット情報を受信して、ステップS12に進む。
【0066】
ステップS12では、オペレータ選択部51は、ターゲット情報取得部13からのターゲット情報に含まれるオペレータ確率が最も高いターゲットを、オペレータに選択し、そのオペレータのターゲット情報を、アクション選択部52に供給して、ステップS13に進む。
【0067】
ステップS13では、アクション選択部52は、オペレータ選択部51からのターゲット情報が表す行動、すなわち、オペレータの行動に対応して、HDレコーダ3が行うべきアクションを選択し、そのアクションを表すアクション情報を、アクション実行部53に供給して、ステップS14に進む。
【0068】
アクション実行部53は、アクション選択部52からのアクション情報が表すアクションに対応した処理を実行する。
【0069】
すなわち、例えば、アクション情報が、受信する番組又はチャンネルを変更するアクションを表している場合、アクション実行部53は、TV部12の番組受信部31を制御し、これにより、番組受信部31が受信する番組又はチャンネルを変更させる。
【0070】
その後、インタラクション部14は、ターゲット情報取得部13からターゲットごとのターゲット情報が再度供給されてくるのを待って、ステップS11に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0071】
以上のように、インタラクション部14では、例えば、オペレータ確率が最も高いターゲットが、オペレータに選択され、そのオペレータのターゲット情報、つまり、オペレータの行動に対応して、HDレコーダ3が行うべきアクションが選択されて実行される。
【0072】
したがって、オペレータ確率が最も高いターゲット以外のターゲット、つまり、オペレータである可能性が高くないターゲットの行動は無視されるので、そのようなターゲットの行動を、オペレータの行動であると誤認識することが軽減され、その結果、HDレコーダ3では、オペレータとなっているユーザとのインタラクションのための安定したアクションを行うことができる。
【0073】
さらに、HDレコーダ3では、ターゲットとなっているユーザが、オペレータであることを明示的に示す行動をとるといった、煩雑な行動をしなくても、ユーザが意図したチャンネルの変更等の、ユーザに適切なサービスを提供することが可能となる。
【0074】
次に、図3のフローチャートを参照して、図1の番組推薦部15の処理について説明する。
【0075】
上述したように、ターゲット情報取得部13は、HDレコーダ3の周囲に存在する1以上のターゲットそれぞれに関するターゲット情報を、ターゲットごとに取得し、番組推薦部15に供給するので、番組推薦部15の嗜好情報処理部62は、ターゲット情報取得部13からターゲットごとのターゲット情報が供給されてくるのを待って、ステップS21において、ターゲット情報取得部13からのターゲットごとのターゲット情報を受信して、ステップS22に進む。
【0076】
ステップS22では、嗜好情報処理部62は、ターゲット情報取得部13からのターゲット情報に含まれるオペレータ確率に基づいて、嗜好テーブル記憶部61の嗜好テーブルに登録されたターゲット(となっているユーザ)の嗜好情報から、番組を推薦するのに用いる番組推薦用嗜好情報を生成し、サービス提供部63に供給して、ステップS23,S24に順次進む。
【0077】
ステップS23及びS24では、サービス提供部63は、嗜好情報処理部62から供給される番組推薦用嗜好情報に基づいて、番組を推薦するサービスを提供する。
【0078】
すなわち、ステップS24では、サービス提供部63は、嗜好情報処理部62からの番組推薦用嗜好情報と、TV部12のEPG記憶部33に記憶されたEPGデータとに基づき、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットに推薦する1以上の番組を決定し、ステップS24に進む。
【0079】
ステップS24では、サービス提供部63は、ステップS23で決定した番組を推薦する。すなわち、ステップS24では、サービス提供部63は、例えば、ステップS23で決定した、ターゲットに推薦する番組の一覧の画像である推薦画面を生成し、出力制御部34に供給して、ディスプレイ1に表示させる。
【0080】
その後、番組推薦部15は、ターゲット情報取得部13からターゲットごとのターゲット情報が再度供給されてくるのを待って、ステップS21に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0081】
なお、ディスプレイ1において、推薦画面が頻繁に表示されると、番組の視聴の妨げになり得るので、推薦画面の表示は、表示モードが、推薦画面の表示を許可するモードになっている場合や、ユーザから、推薦画面の表示の要求があった場合等にのみ行うようにすることが可能である。
【0082】
次に、図1の番組推薦部15では、例えば、図1のインタラクション部14と同様に、オペレータ確率が最も高い1人のターゲットをオペレータに選択し、そのオペレータの嗜好情報を、そのまま番組推薦用嗜好情報として、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組の1以上を推薦することができる。
【0083】
また、図1の番組推薦部15では、複数のターゲットの嗜好情報から、番組推薦用嗜好情報を生成し、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組を推薦することができる。
【0084】
そこで、図4及び図5を参照して、複数のターゲットの嗜好情報から、番組推薦用嗜好情報を生成し、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組を推薦する2つの推薦方法について説明する。
【0085】
ここで、以下、適宜、オペレータ確率が最も高い1人のターゲットをオペレータに選択し、そのオペレータの嗜好情報を、そのまま番組推薦用嗜好情報として、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組の1以上を推薦する推薦方法を、第1の推薦方法という。また、以下、適宜、複数のターゲットの嗜好情報から、番組推薦用嗜好情報を生成し、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組を推薦する2つの推薦方法のうちの一方を、第2の推薦方法といい、他方を、第3の推薦方法という。
【0086】
図4は、図1の番組推薦部15の嗜好テーブル記憶部61に記憶されている嗜好テーブルを示している。
【0087】
図4において、嗜好テーブルには、N人の、ターゲットとなり得るユーザを識別するユーザラベルTi(i=1,2,・・・,N)と、そのユーザTi(ユーザラベルTiによって識別(特定)されるユーザ)の嗜好を表す嗜好情報viとが対応付けられている。
【0088】
また、図4において、嗜好情報viとしては、例えば、番組の各種のカテゴリ(ジャンル)に対する嗜好の度合いを表す値をコンポーネントとするベクトルが採用されている。
【0089】
いま、説明を簡単にするために、HDレコーダ3の周囲にN人のターゲット(となっているユーザ)T1,T2,・・・,TNが存在することとする。この場合、ターゲット情報取得部13から番組推薦部15には、N人のターゲットTiそれぞれについて、そのターゲットTiがオペレータであるオペレータ確率Piを含むターゲット情報が供給される。
【0090】
第2の推薦方法では、番組推薦部15の嗜好情報処理部62は、ターゲット情報取得部13からのN人のターゲットTiのターゲット情報に含まれるオペレータ確率Piに基づいて、N人のターゲットTiの嗜好情報viを合成した情報を、番組推薦用嗜好情報として生成する。
【0091】
すなわち、嗜好情報処理部62は、例えば、N人のターゲットT1,T2,・・・,TNそれぞれのオペレータ確率P1,P2,・・・,PNを重みとして、N人のターゲットT1,T2,・・・,TNそれぞれの嗜好情報v1,v2,・・・,vNを重み付け加算し、その重み付け加算の結果(P1×v1+P2×v2+・・・+PN×vN)を、番組推薦用嗜好情報として、サービス提供部63に供給する。
【0092】
この場合、サービス提供部63は、嗜好情報処理部62からの番組推薦用嗜好情報に合致する複数の番組を、EPG記憶部33に記憶されたEPGデータを参照することにより決定し、その複数の番組のタイトル等の、番組に関する推薦番組情報を配置した推薦画面を、ディスプレイ1に表示させることで、番組を推薦する。
【0093】
以上のような第2の推薦方法によれば、オペレータ確率がより高いターゲットの嗜好により合致した番組の推薦が行われる。
【0094】
次に、第3の推薦方法では、嗜好情報処理部62は、ターゲット情報取得部13からターゲット情報が供給されるN人のターゲットTiのうちの、オペレータ確率Piが上位M位(M≦N)内のターゲットTiのオペレータ確率Piに基づいて、その上位M位内のターゲットTiの嗜好情報viと、その嗜好情報viに基づいて推薦する番組の数(以下、適宜、推薦数という)とを対応付けた情報を、番組推薦用嗜好情報として生成する。
【0095】
すなわち、例えば、Mを3として、オペレータ確率Piが上位3位内のターゲットTiを、上位から、Tx,Ty,Tzと表すとともに、ターゲットTx,Ty,Tzのオペレータ確率Piを、それぞれ、Px,Py,Pzと表す。さらに、ターゲットTx,Ty,Tzの嗜好情報viを、それぞれ、vx,vy,vzと表す。また、推薦画面に推薦番組情報を配置することができる番組の数(総数)をk個とする。
【0096】
この場合、嗜好情報処理部62は、ターゲットTxの嗜好情報vxに基づいて推薦する番組の推薦数として、そのターゲットのTxのオペレータ確率Pxに対応した値、すなわち、例えば、ここでは比例した値Cx=Px×k/(Px+Py+Pz)を算出し(但し、Cxの小数点以下は、例えば切り捨て)、その推薦数Cxと嗜好情報vxとを対応付ける。
【0097】
同様に、嗜好情報処理部62は、ターゲットTyの嗜好情報vyに基づいて推薦する番組の推薦数として、そのターゲットのTyのオペレータ確率Pyに対応した値Cy=Py×k/(Px+Py+Pz)を算出し、その推薦数Cyと嗜好情報vyとを対応付けるとともに、ターゲットTzの嗜好情報vzに基づいて推薦する番組の推薦数として、そのターゲットのTzのオペレータ確率Pzに対応した値Cz=Pz×k/(Px+Py+Pz)を算出し、その推薦数Czと嗜好情報vzとを対応付ける。
【0098】
そして、嗜好情報処理部62は、推薦数Cxと嗜好情報vxのセット、推薦数Cyと嗜好情報vyのセット、及び推薦数Czと嗜好情報vzのセットを、番組推薦用嗜好情報として、サービス提供部63に供給する。
【0099】
この場合、サービス提供部63は、EPG記憶部33に記憶されたEPGデータを参照することにより、嗜好情報処理部62からの番組推薦用嗜好情報に含まれる嗜好情報vxに合致する番組を、その嗜好情報vxとセットになっている推薦数Cxだけ、推薦する番組として決定する。
【0100】
同様にして、サービス提供部63は、嗜好情報vyに合致する番組を、その嗜好情報vyとセットになっている推薦数Cyだけ、推薦する番組として決定するとともに、嗜好情報vzに合致する番組を、その嗜好情報vzとセットになっている推薦数Czだけ、推薦する番組として決定する。
【0101】
そして、サービス提供部63は、例えば、図5に示すような推薦画面を生成し、この推薦画面をディスプレイ1に表示させることで、番組を推薦する。
【0102】
すなわち、図5は、第3の推薦方法において、サービス提供部63が生成する推薦画面を示している。
【0103】
サービス提供部63は、図5に示すように、嗜好情報vxに合致した推薦数Cxだけの番組の推薦番組情報、嗜好情報vyに合致した推薦数Cyだけの番組の推薦番組情報、及び嗜好情報vzに合致した推薦数Czだけの番組の推薦番組情報を、上から順番に配置した推薦画面が生成される。
【0104】
以上のような第3の推薦方法によれば、オペレータ確率がより高いターゲットに対して、より多い数の番組の推薦が行われる。
【0105】
以上のように、番組推薦部15では、オペレータ確率に基づいて、番組を推薦する第1ないし第3の推薦方法のうちのいずれの方法によっても、番組の推薦を行うことができる。
【0106】
そして、第1の推薦方法では、オペレータ確率が最も高い1人のターゲットをオペレータに選択し、そのオペレータの嗜好情報を、そのまま番組推薦用嗜好情報として、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組を推薦するので、オペレータ確率が最も高い1人のターゲットに対し、その嗜好に合致した番組を推薦することができる。
【0107】
また、第2の推薦方法では、HDレコーダ3の周囲に存在する複数のターゲットのオペレータ確率に基づいて、その複数のターゲットの嗜好情報を合成した情報を、番組推薦用嗜好情報として生成し、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組を推薦するので、オペレータ確率が最も高いオペレータとなったターゲットの他、その他のターゲットの嗜好をも考慮した番組の推薦を行うことができる。したがって、オペレータとなったターゲット以外のターゲットの興味をひく番組の推薦を行うことができる。
【0108】
さらに、第3の推薦方法では、HDレコーダ3の周囲に存在する複数のターゲットのオペレータ確率に基づいて、そのオペレータ確率に対応した推薦数と、ターゲットの嗜好情報とを対応付けた情報を、番組推薦用嗜好情報として生成し、その番組推薦用嗜好情報に合致する番組を推薦するので、第2の推薦方法と同様に、オペレータ確率が最も高いオペレータとなったターゲットの他、その他のターゲットの嗜好も考慮した番組の推薦を行うことができる。したがって、オペレータとなったターゲット以外のターゲットの興味をひく番組の推薦を行うことができる。
【0109】
なお、第2及び第3の推薦方法では、例えば、HDレコーダ3の周囲に2人のターゲットが存在し、その2人のターゲットのオペレータ確率が、いずれも、例えば100%(1.0)で同一であった場合には、その2人のターゲットの嗜好を同等に考慮した番組の推薦が行われる。
【0110】
すなわち、第2の推薦方法では、HDレコーダ3の周囲に存在する2人のターゲットの嗜好情報を、同等の重みで合成して得られる番組推薦用嗜好情報に基づき、その2人のターゲットの嗜好を同等に考慮した番組の推薦が行われる。
【0111】
また、第3の推薦方法では、HDレコーダ3の周囲に存在する2人のターゲットの嗜好に合致した番組が、同一の推薦数だけ推薦される。
【0112】
ここで、オペレータ確率は、単なる一般的な非線形の尤度ではないため、複数のターゲットの嗜好情報を合成するときの重み(合成比)等の計算に親和性が高く、正規化したり線形化したりしなくても幅広い合成方法に容易に適用することができる。
【0113】
そして、かかるオペレータ確率を用いることにより、複数のターゲットの嗜好情報を考慮した番組の推薦、さらには、その他の幅の広いサービスの提供が可能となる。
【0114】
なお、上述した第2の推薦方法では、オペレータ確率が大であるターゲットの嗜好情報ほど、大きな重みで合成した番組推薦用嗜好情報を生成するようにしたが、その他、番組推薦用嗜好情報の生成は、オペレータ確率が小であるターゲットの嗜好情報ほど、大きな重みで合成することにより行うことができる。この場合、HDレコーダ3に興味を持っていないユーザの嗜好に合致した番組の推薦が行われ、そのようなユーザの興味をひくことができる。
【0115】
同様に、第3の推薦方法でも、オペレータ確率が大であるターゲットの嗜好情報に、大の推薦数を対応付けるのではなく、オペレータ確率が小であるターゲットの嗜好情報に、大の推薦数を対応付けるようにすることにより、HDレコーダ3に興味を持っていないユーザの嗜好に合致した番組の推薦が行われ、そのようなユーザの興味をひくことができる。
【0116】
なお、番組推薦部15において、番組の推薦を、第1ないし第3の推薦方法のうちのいずれの方法によって行うかは、例えば、ユーザの操作に応じて設定することができる。また、番組の推薦の方法は、上述の第1ないし第3の推薦方法に限定するものではない。
【0117】
次に、図6は、図1のターゲット情報取得部13のセンサ部41とオペレータ確率算出部42の構成例を示している。
【0118】
センサ部41は、カメラ91やマイク(マイクロフォン)92、その他のセンサで構成され、状態を検知し、その検知の結果得られるセンサ信号を、オペレータ確率算出部42に出力する。
【0119】
すなわち、カメラ91は、光(の状態)を検知し、その結果得られる画像データを、センサ信号として出力する。マイク92は、音(の状態)を検知し、その結果得られる音声データを、センサ信号として出力する。
【0120】
その他、センサ部41には、赤外線を検知する赤外線センサなどを設けることができる。
【0121】
オペレータ確率算出部42は、情報抽出部101、ターゲット情報生成部102、ターゲット情報記憶部103、確率算出部104、及びモデル記憶部105から構成され、センサ部41が出力するセンサ信号に基づいて、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットの行動等を表すターゲット情報を取得する。さらに、オペレータ確率算出部42は、センサ部41が出力するセンサ信号から取得されたターゲット情報に基づいて、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットがオペレータであるオペレータ確率を算出し、ターゲット情報に含めて出力する。
【0122】
すなわち、情報抽出部101は、画像処理部111や音声処理部112、その他の、センサ信号を処理する各種の信号処理部で構成され、センサ部41からのセンサ信号から、HDレコーダ3の周囲に存在する1以上のターゲットそれぞれの情報を抽出し、ターゲット情報生成部102に供給する。
【0123】
ここで、画像処理部111は、顔検出器121や、動き検出器122、指差し検出器123、視線方向検出器124、その他の検出器又は認識器で構成され、センサ部41からのセンサ信号のうちの画像データを処理し、その画像データから、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットについて、各種の情報を抽出して、ターゲット情報生成部102に供給する。
【0124】
すなわち、顔検出器121は、センサ部41からの画像データから、ターゲットの顔が映っている画像内の領域を検出し、顔が向いている方向(顔方向)、顔の位置(顔位置)、及び顔のサイズ(顔サイズ)を求めて、ターゲット情報生成部102に供給する。
【0125】
なお、顔検出器121では、センサ部41からの画像データからターゲットの顔の認識(顔認識)も行われ、その認識結果として、ユーザを識別するユーザラベルが、ターゲット情報生成部102に供給される。この、顔検出器121での顔認識の認識結果としてのユーザラベルは、例えば、図1の番組推薦部15において、嗜好テーブル記憶部61に記憶されている嗜好テーブルに登録された嗜好情報の中から、顔認識がされたターゲットの嗜好情報を特定するのに用いられる。
【0126】
動き検出器122は、センサ部41からの画像データから、ターゲットが動いている方向(動き方向)と、その動きの大きさ(動き量)、さらには、ターゲットの動きを表す動きベクトルの始点の位置(動き位置)を抽出し、ターゲット情報生成部102に供給する。
【0127】
指差し検出器123は、センサ部41からの画像データから、ターゲットが指を差す行動をしているかどうかを検出し、ターゲットが指を差す行動をしている場合には、さらに、ターゲットが指を差している方向(指差し方向)と、その指差しを行っている手の位置(指差し位置)とを検出し、ターゲット情報生成部102に供給する。
【0128】
視線方向検出器124は、センサ部41からの画像データから、ターゲットの視線の方向(視線方向)を検出し、ターゲット情報生成部102に供給する。
【0129】
ここで、画像を利用したインタラクション装置では、入力された画像を元にユーザ推定に利用できると考えられる情報が、各種画像処理アルゴリズムを用いて抽出されるが、画像処理部111でも、そのようなインタラクション装置と同様にして、各種の情報を抽出することができる。
【0130】
また、画像処理部111では、カメラ91が、いわゆるステレオカメラである場合には、奥行き方向の情報を抽出することができる。
【0131】
音声処理部112は、センサ部41からのセンサ信号のうちの音声データを処理し、その音声データから、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットについて、各種の情報を抽出して、ターゲット情報生成部102に供給する。
【0132】
ここで、音声処理部112では、例えば、音声認識器を利用して、ターゲットの音声を認識し、その認識結果として、ターゲットの音声の音韻や韻律の情報を得ることができる。また、音声処理部112では、音源方向認識器を利用して、ターゲットが音声を発している方向(話しかけている方向)を得ることができる。
【0133】
なお、例えば、上述したように、センサ部41に赤外線センサが設けられている場合には、情報抽出部101には、その赤外線センサの出力を処理し、ターゲットの各部位の温度を抽出して、ターゲット情報生成部102に供給する信号処理部が設けられる。
【0134】
また、センサ部41に設けるセンサと、情報抽出部101に設ける信号処理部とのセットは、ターゲット情報生成部102において、ターゲットごとにまとめる(統合する)ことができる情報を得ることができるセットであれば、どのようなセットであっても良い。
【0135】
ターゲット情報生成部102は、情報抽出部101から供給される情報を、ターゲットごとにまとめたターゲット情報を生成する。
【0136】
すなわち、ターゲット情報生成部102は、情報抽出部101からの情報から、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットの人数を判断する(HDレコーダ3の周囲にターゲットが存在するかどうかの判断も含む)。さらに、ターゲット情報生成部102は、情報抽出部101からの情報が、どのターゲットの情報であるかを判断し、情報抽出部101からの情報を、ターゲットごとに分類して、ターゲットごとにまとめたターゲット情報、つまりターゲットの人数分だけのターゲット情報を生成する。
【0137】
ターゲット情報生成部102は、所定の時間間隔で、上述したように、ターゲット情報を生成し、そのターゲット情報を、時系列に、ターゲット情報記憶部103に供給する。
【0138】
ここで、上述のように、ターゲットごとに情報をまとめる処理は、インタラクション装置で一般的に行われている短期記憶(STM(Short Term Memory))によって行うことができる。
【0139】
なお、STMには、入力される各種認識(検出)結果の場所情報や時間情報を用いて統合する様々な技術が存在する。例えば、検出位置の近さや差分時刻経過後の予想移動点からの近さなどを用いてまとめるようなSTMの技術が存在するが、ターゲット情報生成部102で行われるSTMの技術の種類は、HDレコーダ3が観測することができる範囲に存在するターゲットごとに各種認識結果情報をまとめることさえできれば、特に限定されるものではない。
【0140】
ターゲット情報記憶部103は、ターゲット情報生成部102から時系列に供給されるターゲットごとのターゲット情報を一時記憶する。
【0141】
確率算出部104は、モデル記憶部105に記憶されたモデルを用い、ターゲット情報記憶部103に記憶されたターゲット情報に基づいて、ターゲットごとのオペレータ確率を算出し、そのターゲットのターゲット情報に含めて出力する。
【0142】
すなわち、確率算出部104は、例えば、確率推論計算モデル、具体的には、ベイジアンネットワーク(BN(Bayesian Network))を用い、ターゲット情報記憶部103に記憶されたターゲット情報を構成する各情報(以下、適宜、要素情報という)を、BNへの入力として確率計算を行うことにより、ターゲットごとに、オペレータ確率を算出(推論)する。
【0143】
ここで、BNには、1時刻だけの情報を用いて確率計算をするスタティックベジアンネットワーク(Static Bayesian Network)や、過去から保存している全時刻の情報を用いて確率計算をするダイナミックベジアンネットワーク(DBN(Dynamic Bayesian Network))などがある。さらに、BNには、スタティックベジアンネットワークやDBNを細分化した様々なモデルが存在するが、オペレータ確率の算出に用いるBNは、特に限定されるものではない。
【0144】
また、オペレータ確率の算出に用いるモデルは、ターゲットごとのターゲット情報の要素情報が与えられたときに、そのターゲットのオペレータ確率を推論することができるモデルであればどのようなモデルでも良く、したがって、特に、BNに限定されるものではない。
【0145】
モデル記憶部105は、確率算出部104がオペレータ確率の算出に用いるモデル、すなわち、例えば、BNを記憶している。
【0146】
次に、図7ないし図9を参照して、図6の画像処理部111の処理について、さらに説明する。
【0147】
まず、図7は、カメラ91で撮影された画像の例を示している。
【0148】
図7の画像では、3人のユーザ(人)がターゲットとして映っている。すなわち、図7の画像には、手前側に座っている2人のターゲットと、奧側を左から右方向に歩いている1人のターゲットとの、合計で3人のターゲットが存在する。
【0149】
図8及び図9は、画像処理部111において、図7の画像から抽出される情報を示している。
【0150】
画像処理部111では、例えば図7に示した3人のターゲットが映っている画像から、その3人のターゲットについて、図8及び図9に示すように、顔方向、顔位置、顔サイズ、動き方向、動き量、指差し方向、視線方向等の情報の全部又は一部が抽出される。
【0151】
次に、図10を参照して、図6のターゲット情報生成部102の処理について、さらに説明する。
【0152】
例えば、情報抽出部101からターゲット情報生成部102に対して、図7に示した3人のターゲットが映っている画像から抽出された、図8及び図9に示した情報が供給された場合、ターゲット情報生成部102は、図8及び図9に示した各情報が、図7の画像に映っている3人のターゲットのうちのいずれに属するかを判断し、その判断に基づいて、図8及び図9に示した各情報を、図10に示すように、図7の画像に映っている3人のターゲットそれぞれごとにまとめたターゲット情報を生成する。
【0153】
ターゲット情報生成部102は、以上のように、ターゲットごとのターゲット情報を時系列に生成し、ターゲット情報記憶部103(図6)に時系列に供給する。
【0154】
次に、図11は、図6のターゲット情報記憶部103の記憶内容を示している。
【0155】
ターゲット情報記憶部103は、図11に示すように、ターゲット情報生成部102から時系列に供給される、顔方向、顔位置、顔サイズ、動き方向、動き量、指差し方向、視線方向等の情報を要素情報とするターゲット情報を、ターゲットごとに記憶する。
【0156】
次に、図12は、図6の確率算出部104がオペレータ確率の算出に用いるBN、つまり、モデル記憶部105に記憶されているモデルを示している。
【0157】
図12では、オペレータ確率の算出に用いるBN(以下、適宜、オペレータ確率算出用DNという)として、DBNが採用されている。
【0158】
図12のオペレータ算出用BNは、ターゲット情報の要素情報(となり得る情報)のそれぞれに対応するノードを有する。なお、図12では、図が煩雑になるのを避けるため、指差し方向、動き方向、顔位置、顔方向、顔サイズ、動き量、及び指差し位置の7つの情報が、ターゲット情報の要素情報のすべてであるとして、その7つの情報である指差し方向、動き方向、顔位置、顔方向、顔サイズ、動き量、又は指差し位置それぞれに対応するノードを図示してある。
【0159】
オペレータ算出用BNは、さらに、ターゲット情報の要素情報のそれぞれに対応するノード(以下、適宜、要素情報ノードという)の他、ターゲットがオペレータである確率(オペレータ確率)を推論するために、ターゲットがオペレータであることを表すノードであるオペレータノードを有する。
【0160】
なお、オペレータ算出用BNは、要素情報ノードと、オペレータノードとを有していれば、他のノード、すなわち、例えば、隠れノードや、HDレコーダ3の状態を表すノードを有していてもかまわない。
【0161】
ここで、HDレコーダ3の状態を表すノードとしては、例えば、HDレコーダ3にDVDが装着されているか否かを表すノードなどを採用することができる。例えば、HDレコーダ3にDVDが装着されていない場合に、ユーザがDVDを対象とする再生や記録の操作をすることはないから、HDレコーダ3にDVDが装着されているか否かを表すノードを採用することにより、HDレコーダ3にDVDが装着されていない場合において、DVDを対象とする再生や記録の指令する行動(ジェスチャ)をしているユーザがいるときに、そのユーザについて求められるオペレータ確率を低くすることができる。
【0162】
図12のオペレータ算出用BNは、時刻t(現在時刻)についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNと、その1時刻前の時刻t-1についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNとを有している。
【0163】
また、図12のオペレータ算出用BNにおいて、ノードどうしを接続する太線の矢印は、初期ネットワーク(prior network)を表し、細線の矢印は、遷移ネットワーク(transition network)を表す。
【0164】
ここで、図12において、時刻tについての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNと、時刻t-1についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNとの間の関係は、時刻t-1についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNと、時刻t-2についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNとの関係にも適用することができ、したがって、図12のオペレータ算出用BNは、その関係を利用して、時刻t-1についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNの左側(過去側)に、時刻t-2についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNを拡張することができる。
【0165】
以下、同様にして、図12のオペレータ算出用BNは、より過去の時刻についての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNを拡張することができる。ある過去の時刻t-Tについての要素情報ノード及びオペレータノードからなるBNまで拡張したオペレータ算出用BNによれば、例えば、時刻t-Tから現在時刻tまでのターゲット情報の要素情報を、対応する要素情報ノードに与えるとともに、時刻t-Tから時刻t-1までのオペレータ確率を、対応するオペレータノードに与えることにより、現在時刻tのオペレータノードに対応する情報、すなわち、現在時刻tのオペレータ確率を推論することができる。
【0166】
なお、現在時刻tのオペレータ確率の推論は、時刻t-Tから現在時刻tまでのターゲット情報の要素情報と、時刻t-Tから時刻t-1までのオペレータ確率とのすべてを与えなくても行うことができる。すなわち、BNによれば、現在時刻tのオペレータ確率の推論は、時刻t-Tから現在時刻tまでのターゲット情報の要素情報と、時刻t-Tから時刻t-1までのオペレータ確率とのうちの一部を与えるだけでも行うことができる。
【0167】
また、BNを用いて情報の推論を行う推論アルゴリズムとしては、例えば、スタティックなBNでは厳密解を求めることが可能であるPearl πλメッセージパッシング法やJunction Treeアルゴリズム、高速に近似解を求めるアルゴリズムとしてはLoopy BPやCluster BPなどが存在する。DBNでは1.5 Junction Tree Algorithmや、これを応用したBoyen-Koller inference Algorithmなどがある。1.5 Junction Tree Algorithmによれば、厳密解を求めることができ、Boyen-Koller inference Algorithmによれば、近似解ではあるが高速に解を求めることができる。
【0168】
ところで、オペレータ算出用BNを含むBNは、ネットワーク構造と確率分布表(CPT(Conditional Probability Table))と呼ばれるパラメータによって規定される。
【0169】
オペレータ算出用BNを規定するネットワーク構造とCPTは、確率算出部104(図6)で求められるオペレータ確率に大きな影響を与えるから、ネットワーク構造とCPTの設定は注意深く行わなければならない。
【0170】
かかるネットワーク構造とCPTは、例えば、HDレコーダ3の設計者が手動で設定することもできるし、ネットワーク構造とCPTの学習用の学習データを用意し、その学習データを用いて学習を行うことにより求めることもできる。
【0171】
図13は、ネットワーク構造とCPTを学習により求める学習装置の構成例を示している。
【0172】
図13において、学習装置は、構造学習部151、構造記憶部152、CPT学習部153、及びCPT記憶部154から構成されている。
【0173】
構造学習部151には、学習データが供給される。
【0174】
ここで、学習データは、図6のターゲット情報生成部102で生成されるのと同様のターゲット情報と、オペレータラベルとのセットからなり、以下のように収集される。
【0175】
すなわち、学習データを構成するターゲット情報は、多数の人に、ターゲットとして行動してもらい、その行動をセンサ部41と同様のセンサ部で検知し、その検知結果から、情報抽出部101と同様の情報抽出部、及びターゲット情報生成部102と同様のターゲット情報抽出部を用いて取得する。
【0176】
また、学習データを構成するターゲット情報の取得時には、ターゲットがオペレータとして行動したときの、その行動から得られたターゲット情報には、ターゲットがオペレータであることを表すターゲットラベルが対応付けられ、それ以外の行動から得られたターゲット情報には、ターゲットがオペレータでないことを表すターゲットラベルが対応付けられる。
【0177】
構造学習部151は、以上のような学習データのうちの、ターゲット情報の各要素情報を、オペレータ算出用BN(図12)の、対応する要素情報ノードに与えるとともに、そのターゲット情報に対応付けられたターゲットラベルを、オペレータノードに与えることにより、オペレータ算出用BNのネットワーク構造を求め、構造記憶部152に供給して記憶させる。
【0178】
また、構造学習部151は、オペレータ算出用BNのネットワーク構造を求めるのに用いた学習データを、CPT学習部153に供給する。
【0179】
CPT学習部153は、構造記憶部152に記憶されたネットワーク構造と、構造学習部151から供給される学習データとに基づき、CPTを求め、CPT記憶部154に供給して記憶させる。
【0180】
図6のモデル記憶部105には、以上のようにして構造記憶部152に記憶されたネットワーク構造と、CPT記憶部154に記憶されたCPTとで規定されるオペレータ算出用BNが記憶されている。
【0181】
そして、図6の確率算出部104は、モデル記憶部105に記憶されたオペレータ算出用BNと、ターゲット情報記憶部103から供給されるターゲットごとのターゲット情報を用いて、オペレータ確率を、ターゲットごとに求める。
【0182】
図14は、図7の画像に映っている3人のターゲットそれぞれについて求められたオペレータ確率を示している。
【0183】
図7の画像には、上述したように、手前側に座っている2人のターゲットと、奧側を歩いている1人のターゲットとの合計3人のターゲットが映っているが、いま、座っている2人のターゲットのうちの左側に位置しているターゲットを、ターゲットT1と、右側に位置しているターゲットを、ターゲットT2と、奧側の歩いている1人のターゲットを、ターゲットT3と呼ぶこととすると、図14では、ターゲットT1のオペレータ確率が80%(0.80)と、ターゲットT2のオペレータ確率が98%(0.98)と、ターゲットT3のオペレータ確率が4%(0.04)と、それぞれ求められている。
【0184】
この場合、例えば、図1のインタラクション部14では、オペレータ選択部51において、3人のターゲットT1,T2,T3のうちの、オペレータ確率が98%で最も高いターゲットT2が、オペレータに選択される。したがって、ユーザは、「私がユーザですよ。」といった発話をするような煩雑な行動をしなくても、オペレータとなることができる。
【0185】
すなわち、ターゲットとなるユーザが2人以上存在する場合に、オペレータを交代するための行動が必要ないので、シームレスにユーザを交代することができる。
【0186】
また、上述の場合には、インタラクション部14において、オペレータ確率が最も高い1人のターゲットをオペレータとして選択するようにしたが、HDレコーダ3の設計時に、オペレータとして選択することが適切なオペレータ確率の閾値を設定しておき、インタラクション部14では、その閾値以上のオペレータ確率のターゲットすべてを、オペレータとして選択することができる。そして、インタラクション部14では、オペレータとして選択したターゲットの人数に応じて、HDレコーダ3が実行すべきアクションを選択することができる。
【0187】
さらに、オペレータ確率は、確率であるため、比を求めることを容易に行うことができ、HDレコーダ3では、その比を利用して、柔軟なサービスを提供することができる。
【0188】
すなわち、例えば、図1の番組推薦部15では、オペレータ確率の閾値を50%などとして、その閾値以上のオペレータ確率のターゲットすべてをオペレータとして選択し、そのオペレータの嗜好を考慮した番組の推薦が可能となる。
【0189】
具体的には、例えば、図14に示したように、ターゲットT1のオペレータ確率が80%であり、ターゲットT2のオペレータ確率が98%であり、ターゲットT3のオペレータ確率が4%である場合において、閾値が50%であるときには、番組推薦部15では、オペレータ確率が閾値(50%)以上であるターゲットT1とT2がオペレータとして選択される。
【0190】
さらに、番組推薦部15では、ターゲットT1の嗜好情報と、ターゲットT2の嗜好情報とを、ターゲットT1のオペレータ確率(80%)と、ターゲットT2のオペレータ確率(98%)との比80:98で合成し、その合成の結果得られる番組推薦用嗜好情報に合致した番組が推薦される。この場合、より場の様子にあった番組の推薦(オペレータとなる意思を表示するような行為を行っているターゲットT1とターゲットT2の嗜好に合致した番組の推薦)が可能となる。
【0191】
次に、図15のフローチャートを参照して、図6のオペレータ確率算出部42の処理について説明する。
【0192】
センサ部41は、所定の間隔でセンサ信号をオペレータ確率算出部42に出力しており、オペレータ確率算出部42は、センサ部41からセンサ信号が出力されると、そのセンサ信号を受信し、情報抽出部101に供給する。
【0193】
情報抽出部101は、ステップS101において、センサ部41からのセンサ信号を処理することにより、そのセンサ信号から、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットの情報を抽出し、ターゲット情報生成部102に供給して、ステップS102に進む。
【0194】
ステップS102では、ターゲット情報生成部102は、例えば、STMによって、情報抽出部101から供給される情報を、ターゲットごとにまとめたターゲット情報を生成し、ターゲット情報記憶部103に供給して記憶させ、ステップS103に進む。
【0195】
ステップS103では、確率算出部104は、モデル記憶部105に記憶されたオペレータ算出用BNを用い、ターゲット情報記憶部103に記憶されたターゲットごとのターゲット情報を、オペレータ算出用BNに与える(入力する)ことにより、ターゲットごとのオペレータ確率を算出して、ステップS104に進む。
【0196】
ステップS104では、確率算出部104は、ステップS103で求めたターゲットごとのオペレータ確率を、そのターゲットのターゲット情報に含めて出力する。
【0197】
以下、オペレータ確率算出部42では、例えば、センサ部41からセンサ信号が出力されるたびに、ステップS101ないしS104の処理が行われる。
【0198】
次に、図16を参照して、図1のHDレコーダ3の処理の概要について説明する。
【0199】
まずステップS201において、オペレータ確率算出部42が、センサ部41が出力するセンサ信号から、顔方向その他の、HDレコーダ3の周囲に存在するターゲットの情報を抽出し、その情報を、ターゲットごとにまとめたターゲット情報を生成する。
【0200】
さらに、オペレータ確率算出部42は、ステップS202において、ターゲットごとのターゲット情報を、オペレータ算出用BNに与えることにより、ターゲットごとのオペレータ確率を算出し、ターゲットごとのターゲット情報に、そのターゲットのオペレータ確率を含めて出力する。
【0201】
そして、例えば、インタラクション部14は、ステップS203において、オペレータ確率算出部42が出力したターゲットごとのターゲット情報に含まれるオペレータ確率が、例えば、最も高いターゲットを、オペレータとして選択し、オペレータ確率算出部42が出力したターゲットごとのターゲット情報から、オペレータのターゲット情報を抽出する。
【0202】
さらに、インタラクション部14は、ステップS204において、オペレータのターゲット情報に基づき、オペレータのシーン、つまり、オペレータがどのような行動をとった場面であるのかを推定し、その推定結果に基づいて、HDレコーダ3が行うべきアクション(動作)を決定する。そして、インタラクション部14は、その決定したアクションを行うための処理を実行する。
【0203】
次に、上述したオペレータ確率算出部42や、インタラクション部14、番組推薦部15の一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、組み込み用のコンピュータや汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0204】
そこで、図17は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0205】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク205やROM203に予め記録しておくことができる。
【0206】
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体211に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体211は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0207】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体211からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部208で受信し、内蔵するハードディスク205にインストールすることができる。
【0208】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)202を内蔵している。CPU202には、バス201を介して、入出力インタフェース210が接続されており、CPU202は、入出力インタフェース210を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部207が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)203に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU202は、ハードディスク205に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部208で受信されてハードディスク205にインストールされたプログラム、またはドライブ209に装着されたリムーバブル記録媒体211から読み出されてハードディスク205にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)204にロードして実行する。これにより、CPU202は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU202は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース210を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部206から出力、あるいは、通信部208から送信、さらには、ハードディスク205に記録等させる。
【0209】
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0210】
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0211】
以上、本発明を、AVシステムに適用した場合について説明したが、本発明は、その他、例えば、音声信号を入力として扱う電話自動応答システムや、タッチパネルを入力として扱うチケット予約システム、画像を入力として扱うテレビ番組予約システムなどのインタラクション装置等に適用可能である。
【0212】
なお、オペレータ確率に基づいて所定の処理を行う処理手段は、図1に示したインタラクション部14や番組推薦部15に限定されるものではない。
【0213】
さらに、インタラクション部14(図1)では、オペレータ選択部51においてオペレータに選択されたターゲット(ユーザ)を識別するユーザラベルを、出力制御部34を介して、ディスプレイ1に表示させることができる。この場合、HDレコーダ3の周囲にいるターゲットは、だれがオペレータとなっているのかを、容易に認識することができる。
【0214】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明を適用したAVシステムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】インタラクション部14の処理を説明するフローチャートである。
【図3】番組推薦部15の処理を説明するフローチャートである。
【図4】嗜好テーブルを示す図である。
【図5】推薦画面を示す図である。
【図6】ターゲット情報取得部13の構成例を示すブロック図である。
【図7】画像処理部111の処理を説明する図である。
【図8】画像処理部111の処理を説明する図である。
【図9】画像処理部111の処理を説明する図である。
【図10】ターゲット情報生成部102の処理を説明する図である。
【図11】ターゲット情報記憶部103の記憶内容を示す図である。
【図12】オペレータ確率の算出に用いるBNを示す図である。
【図13】ネットワーク構造とCPTを学習により求める学習装置の構成例を示すブロック図である。
【図14】画像に映っているターゲットについて求められたオペレータ確率を示す図である。
【図15】オペレータ確率算出部42の処理を説明するフローチャートである。
【図16】HDレコーダ3の処理の概要を説明する図である。
【図17】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0216】
1 ディスプレイ, 2 スピーカ, 11 記録再生部, 12 TV部, 13 ターゲット情報取得部, 14 インタラクション部, 15 番組推薦部, 21 記録再生制御部, 22 記録媒体, 31 番組受信部, 32 信号処理部, 33 EPG記憶部, 34 出力制御部, 41 センサ部, 42 オペレータ確率算出部, 51 オペレータ選択部, 52 アクション選択部, 53 アクション実行部, 61 嗜好テーブル記憶部, 62 嗜好情報処理部, 63 サービス提供部, 91 カメラ, 92 マイク, 101 情報抽出部, 102 ターゲット情報生成部, 103 ターゲット情報記憶部, 104 確率算出部, 105 モデル記憶部, 111 画像処理部, 112 音声処理部, 121 顔検出器, 122 動き検出器, 123 指差し検出器, 124 視線方向検出器, 151 構造学習部, 152 構造記憶部, 153 CPT学習部, 154 CPT記憶部, 201 バス, 202 CPU, 203 ROM, 204 RAM, 205 ハードディスク, 206 出力部, 207 入力部, 208 通信部, 209 ドライブ, 210 入出力インタフェース, 211 リムーバブル記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理装置において、
状態を検知するセンサ部と、
前記センサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記情報処理装置を操作するオペレータであるオペレータ確率を算出するオペレータ確率算出手段と、
前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行う処理手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記オペレータ確率算出手段は、
前記センサ部の出力から、1以上のターゲットそれぞれの情報を抽出する情報抽出手段と、
前記情報抽出手段が抽出した情報を、1以上のターゲットそれぞれごとにまとめたターゲット情報を生成するターゲット情報生成手段と、
前記1以上のターゲットそれぞれごとのターゲット情報に基づいて、前記1以上のターゲットそれぞれごとに、前記オペレータ確率を算出する確率算出手段と
を有する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記オペレータ確率算出手段は、前記ターゲット情報生成手段が時系列に生成するターゲット情報を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記確率算出手段は、前記記憶手段に記憶された時系列のターゲット情報に基づいて、前記オペレータ確率を算出する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記オペレータ確率算出手段は、ベイジアンネットワークを用いて、前記オペレータ確率を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、
前記オペレータ確率が最も高いターゲットを、前記オペレータに選択するオペレータ選択手段と、
前記オペレータの行動に対応して、行うべきアクションを選択するアクション選択手段と、
前記アクション選択手段が選択したアクションに対応した処理を実行するアクション実行手段と
を有する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理手段は、
前記1以上のターゲットそれぞれの嗜好を表す嗜好情報を記憶する嗜好情報記憶手段と、
前記1以上のターゲットそれぞれの前記オペレータ確率に基づいて、前記1以上のターゲットそれぞれの嗜好情報から、番組を推薦するのに用いる番組推薦用嗜好情報を生成する嗜好情報処理手段と、
前記番組推薦用嗜好情報に基づいて、番組を推薦するサービスを提供するサービス提供手段と
を有する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記嗜好情報処理手段は、前記1以上のターゲットそれぞれの前記オペレータ確率に基づいて、前記1以上のターゲットそれぞれの嗜好情報を合成した情報を、前記番組推薦用嗜好情報として生成する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記嗜好情報処理手段は、前記1以上のターゲットそれぞれの前記オペレータ確率に基づいて、前記1以上のターゲットそれぞれの嗜好情報と、その嗜好情報に基づいて推薦する番組の数とを対応付けた情報を、前記番組推薦用嗜好情報として生成する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理装置の情報処理方法において、
状態を検知するセンサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記情報処理装置を操作するオペレータであるオペレータ確率を算出し、
前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行う
ステップを含む情報処理方法。
【請求項10】
ユーザの行動に対応して、処理を行う情報処理を、コンピュータに実行させるプログラムにおいて、
状態を検知するセンサ部の出力に基づいて、周囲に存在するユーザである1以上のターゲットそれぞれが、前記コンピュータを操作するオペレータであるオペレータ確率を算出し、
前記オペレータ確率に基づいて、所定の処理を行う
ステップを含む情報処理を、前記コンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2007−310620(P2007−310620A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138586(P2006−138586)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】