説明

情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム

【課題】配信システムとしての利便性を阻害することなく、各情報処理装置としての消費電力の浪費や不要な騒音の発生を抑止することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】コンテンツホルダにおける電源電力を断とするとき、ルートノードに対して、電源断とする旨の電源オフリクエストメッセージを送信し(ステップS2)、その電源オフリクエストメッセージに対応する許可メッセージが送信されて来ないときは(ステップS4;NO)、電源供給を継続する(ステップS8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、本発明は、ネットワークを介して配信されるべき映画等のコンテンツ(配信情報)の配信等を行う情報処理装置及び当該情報処理装置における情報処理方法並びに当該情報処理装置用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等のネットワーク技術は著しく進歩しつつあり、その中で、例えば下記特許文献1に開示されている如きコンテンツ配信システムに関する研究が行われている。
【0003】
ここで、当該コンテンツ配信システムにおいて、例えば映画等のコンテンツは、その製作者又は管理者(当該製作者又は管理者を、以下単に管理者等と称する)により当該コンテンツ配信システム内のいずれかのコンテンツノードに対してネットワークを介して最初に配信され、当該各コンテンツノードにおいて蓄積/記憶される。なお、上記管理者等によりコンテンツ配信システム内に最初にコンテンツが配信されることを、以下、「コンテンツの投入」と称する。
【0004】
そして、当該投入されたコンテンツをコンテンツ配信システム内において配信する場合には、当該コンテンツに相当する動画情報等を蓄積/記憶している上記コンテンツノードから、当該コンテンツの視聴を希望する者により操作されるリクエストノードに対して当該動画情報等が配信(伝送)される。
【0005】
なお、当該「コンテンツノード」の定義付けについては、例えば下記特許文献1の明細書段落番号[0071]を参照することができ、また当該「リクエストノード」の定義付けについては、例えば下記特許文献1の明細書段落番号[0064]及び[0065]を参照することができる。
【0006】
また、上記コンテンツ配信システムにおいては、一旦投入されたコンテンツは、初期投入の後、最初に投入先となったコンテンツノードだけではなく、例えば分散ハッシュテーブル(いわゆるDHT(Distributed Hash Table))アルゴリズムに則って他のノード内にそのコンテンツの複製(レプリカ)が作成される。そして、当該レプリカが暫増的に作成されることで、最初に投入されたコンテンツノード以外にも、同一のコンテンツを蓄積/記憶するコンテンツノードがコンテンツ配信システム内に複数存在することとなる。これにより、配信元の分散が実現され、リクエストノードへの配信の迅速化及び安定化が図られることとなる。
【0007】
なお、上記レプリカが作成されたノードを、以下、適宜「レプリカノード」と称する。また、上記DHTアルゴリズムについては、例えば下記特許文献1の明細書段落番号[0039]乃至[0072]並びに図1乃至図5の記載を参照することができる。
【0008】
ここで、上述したコンテンツ配信システムでは、各ノードが一般家庭に配置されているパーソナルコンピュータやいわゆるセットトップボックス(Set Top Box)として実現される場合がある。そしてこの場合は、コンテンツ配信システムに全く関連しない予期しないタイミングで各ノードにおける電源スイッチがオフとされ、当該コンテンツ配信システムに参加しているノードとしての機能が全く失われてしまうこととなる。
【特許文献1】特開2006−197400公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1記載のコンテンツ配信システムでは、上述したように各ノードの機能が予期せず失われてしまうことがあり得る。この結果、例えばあるコンテンツについて、上記コンテンツノード又はレプリカノードとして機能しているノード全ての電源スイッチがオフとされることがあり得ることとなる。そしてこの場合は、他の稼働中のノードにおいては、そのコンテンツの利用が全くできなくなってしまうという問題点があった。
【0010】
一方、ノードの各電源スイッチがいずれもオフとされない構成とすると、そのコンテンツ配信システムにおいて不要な電力を消費してしまう虞がある。
【0011】
そこで、本願は上記の問題点に鑑みて為されたもので、その目的の一例は、コンテンツ配信システムとしての利便性を阻害することなく、各情報処理装置としての消費電力の浪費を抑止することが可能な情報処理装置及び情報処理方法並びに情報処理用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の情報処理装置がネットワークを介して接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において、前記ネットワークシステム内において配信されるべき配信情報を記録する記録手段と、当該情報処理装置に対する電源電力の供給を断とするとき、前記記録されている配信情報の前記ネットワークシステム内における配信を管理する他の前記情報処理装置である配信管理装置に対して、前記供給を断とする旨の電源断要求メッセージを送信する送信手段と、前記送信した電源断要求メッセージに対応する電源断許可メッセージが前記配信管理装置から送信されて来たか否かを判断する判断手段と、前記電源断許可メッセージが送信されて来ないとき前記供給を継続する電源制御手段と、を備える。
【0013】
よって、配信管理装置から電源断許可メッセージが送信されて来ないとき電源電力の供給を継続するので、配信情報を記録している情報処理装置に対する電源電力の供給が当該情報処理装置の都合のみで断とされることを防止することで、当該配信情報のネットワークシステム内に対する配信が不用意に不可能となることを防止することができる。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記記録手段に前記配信情報が複数記録されているとき、前記送信手段は、当該配信情報毎に、当該配信情報の前記配信を管理する前記配信管理装置に対して夫々前記電源断要求メッセージを送信し、更に前記電源制御手段は、前記電源断許可メッセージを送信して来ない前記配信管理装置が少なくとも一つあるとき、前記供給を継続するように構成される。
【0015】
よって、複数の配信情報が記録されているとき、当該各配信情報の夫々について、それを管理する配信管理装置に電源断要求メッセージを送信し、電源断許可メッセージを送信して来ない配信管理装置が少なくとも一つあるとき、電源電力の供給を継続するので、配信情報が複数記録されている場合であっても、いずれかの配信情報の配信が不用意に不可能となることを防止できる。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の配信管理装置たる情報処理装置であって、当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段と、前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置が前記ネットワークシステム内に一つもないとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理手段と、を備える。
【0017】
よって、電源管理情報に基づき、配信情報を配信可能な他の情報処理装置がネットワークシステム内に一つもないとき、電源断要求メッセージを送信してきた情報処理装置に対する電源断許可メッセージを行わないので、他の情報処理装置における電源電力の供給状態を把握して配信情報が配信不可となることを防止できる。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の配信管理装置たる情報処理装置であって、当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段と、前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置の数が、当該配信情報を記録している全ての前記情報処理装置の数に対して予め設定されている割合以下となったとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理手段と、を備える。
【0019】
よって、電源管理情報に基づき、配信情報を配信可能な他の情報処理装置の数が、当該配信情報を記録している全ての情報処理装置の数に対して予め設定されている割合以下となったとき、電源断要求メッセージを送信してきた情報処理装置に対する電源断許可メッセージを行わないので、他の情報処理装置における電源電力の供給状態を把握して配信情報が配信不可となることを防止できる。
【0020】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の情報処理装置において、前記管理の対象となっている前記配信情報が複数あるとき、各前記配信情報に対する配信要求数を夫々検出する検出手段を更に備え、前記電源管理手段は、前記配信要求数が多い前記配信情報ほど前記電源断許可メッセージを送信する前記情報処理装置の数を少なくするように構成される。
【0021】
よって、配信要求数が多い配信情報ほど電源断許可メッセージを送信する情報処理装置の数を少なくするので、配信要求数が多い、すなわち人気のある配信情報の配信に伴う負荷が、少ない数の情報処理装置に集中することを回避して迅速な配信状態を確保することができる。
【0022】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項3から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、当該情報処理装置に対する電源電力の供給を断とするとき、前記記録されている電源管理情報を伝送することが可能な前記ネットワークシステムに属する他の前記情報処理装置を検索する検索手段と、検索された他の前記情報処理装置に対して前記電源管理情報を送信した後、当該電源電力の供給を断とする電源断手段と、を備える。
【0023】
よって、配信管理装置として機能している場合において電源電力の供給を断とするとき、電源管理情報の他の情報処理装置への伝送を行った後に断とするので、配信情報に対応するそれまでの電源管理情報がネットワークシステム内から消失することを防止することで、当該配信情報に対応する継続的な電源管理を続行することができる。
【0024】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項3から6のいずれか一項に記載のネットワークシステムに新たに参加する情報処理装置であって、当該参加後にいずれかの前記配信情報について新たに前記配信管理装置として機能することとなったとき、当該参加までに当該配信情報について前記配信管理装置として機能していた前記情報処理装置を前記ネットワークシステム内において検索する検索手段と、前記検索された情報処理装置から前記電源管理情報を取得する取得手段と、前記取得した電源管理情報を記録する前記管理情報記録手段と、前記電源管理手段と、を備える。
【0025】
よって、新たに配信管理装置として機能することとなったとき、電源管理情報をそれまで配信管理装置として機能していた他の情報処理装置から取得して記録するので、新たに参加する情報処理装置が新たに配信管理装置として機能することとなる場合でも、管理下となる配信情報に対応する継続的な電源管理を続行することができる。
【0026】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させる。
【0027】
よって、配信管理装置から電源断許可メッセージが送信されて来ないとき電源電力の供給を継続するように当該コンピュータが機能するので、配信情報を記録している情報処理装置に対する電源電力の供給が当該情報処理装置の都合のみで断とされることを防止することで、当該配信情報のネットワークシステム内に対する配信が不用意に不可能となることを防止することができる。
【0028】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、複数の情報処理装置がネットワークを介して接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置であって、前記ネットワークシステム内において配信されるべき配信情報を記録する記録手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法において、当該情報処理装置に対する電源電力の供給を断とするとき、前記記録されている配信情報の前記ネットワークシステム内における配信を管理する他の前記情報処理装置である配信管理装置に対して、前記供給を断とする旨の電源断要求メッセージを送信する送信工程と、前記送信した電源断要求メッセージに対応する電源断許可メッセージが前記配信管理装置から送信されて来たか否かを判断する判断工程と、前記電源断許可メッセージが送信されて来ないとき前記供給を継続する電源制御工程と、を含む。
【0029】
よって、配信管理装置から電源断許可メッセージが送信されて来ないとき電源電力の供給を継続するので、配信情報を記録している情報処理装置に対する電源電力の供給が当該情報処理装置の都合のみで断とされることを防止することで、当該配信情報のネットワークシステム内に対する配信が不用意に不可能となることを防止することができる。
【0030】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の配信管理装置である情報処理装置であって、当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置が前記ネットワークシステム内に一つもないとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理工程を含む。
【0031】
よって、電源管理情報に基づき、配信情報を配信可能な他の情報処理装置がネットワークシステム内に一つもないとき、電源断要求メッセージを送信してきた情報処理装置に対する電源断許可メッセージを行わないので、他の情報処理装置における電源電力の供給状態を把握して配信情報が配信不可となることを防止できる。
【0032】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の配信管理装置である情報処理装置であって、当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置の数が、当該配信情報を記録している全ての前記情報処理装置の数に対して予め設定されている割合以下となったとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理工程を含む。
【0033】
よって、電源管理情報に基づき、配信情報を配信可能な他の情報処理装置の数が、当該配信情報を記録している全ての情報処理装置の数に対して予め設定されている割合以下となったとき、電源断要求メッセージを送信してきた情報処理装置に対する電源断許可メッセージを行わないので、他の情報処理装置における電源電力の供給状態を把握して配信情報が配信不可となることを防止できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、配信管理装置から電源断許可メッセージが送信されて来ないとき電源電力の供給を継続するので、配信情報を記録している情報処理装置に対する電源電力の供給が当該情報処理装置の都合のみで断とされることを防止することで、当該配信情報のネットワークシステム内に対する配信が不用意に不可能となることを防止することができる。
【0035】
従って、ネットワークシステム内における配信に支障を来すことなく、電源電力の供給を断とすることができるので、ネットワークシステムとしての利便性を阻害することなく各情報処理装置としての消費電力の浪費を抑止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、インターネット等のネットワークを用いて上記コンテンツの配信を行う配信システムであって、当該ネットワークに属する端末装置間で、当該コンテンツが相互に直接授受される(換言すれば、コンテンツを複数の端末装置間で共有する)配信システム、すなわちいわゆるP2P(Pear to Pear)型の配信システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。また、以下の説明においては、上記端末装置を一般的に「ノード」と称することとする。
(I)本発明の原理
初めに、本発明の実施形態について具体的に説明する前に、本発明の原理、実施形態に係るP2P型配信システム(以下、単に配信システムと称する)の概要と共に説明する。
(A)配信システムの概要
先ず、実施形態に係る配信システムの概要を、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1及び図2は当該配信システムの概要を示す模式図である。
【0037】
上記特許文献1に記載されているDHTを用いた配信システムでは、上記特許文献1にも一部記載されているが、その配信システムによって配信されるコンテンツ自体には、他のコンテンツとは異なるユニークなコンテンツIDが付与される。このコンテンツIDのビット長は、各ノードに対応するノードIDのビット長と同一とされる。ここで、当該ノードIDとは、配信システム上において各ノードを他のノードから識別するために当該ノード毎に付与されたユニークなID情報である。そして、当該コンテンツIDとして一般的には、そのコンテンツのタイトルを示すタイトルデータ、コンテンツを構成するデータの属性を示す属性データ、コンテンツを構成するデータのうち先頭から数バイト分のデータ等に対してハッシュ関数を適用して得られる値を用いる。
【0038】
ここで、対応するノードID及びコンテンツIDが相互に同じビット長で表現されていることも関連して、上記ノード及びコンテンツは、同一のリング状の仮想的なID空間上に点在するものとして考えることができる。
【0039】
すなわち、先ず一のノードを●で表示し且つ一のコンテンツを○で表示する図1(a)に示すように、コンテンツが属するリングRcとノードが属するリングRnとを仮想的に同心円状に想定し、更に各リングRc及びRnにおいて反時計回りに各IDの値が増加すると規定する。このように規定すれば、各ノード又は各コンテンツは、各リングRc及びRn上に重なることなく存在すると仮定できるのである。なお、各IDを上記の例のように128ビット長で表現すると桁数が多くなりすぎるので、図1(a)においては、説明の簡略化のために、各IDのビット長が32ビットとして表現されている(以下、同様)。そして、上述したように各IDの値を決めるに当たってハッシュ関数を用いたことに起因して、各ノード及び各コンテンツは、上記各リングRc及びRn上に偏ることなく概ね分散して存在することとなる。
【0040】
一方、上記DHTを用いた配信システムでは、「あるコンテンツIDが付与されているコンテンツを管理するノードは、そのコンテンツIDの値に一番近い値を有するノードIDが付与されているノード」とされている。
【0041】
ここで、「近い」は、その配信システムに関する各種規定等において一貫してさえいればどのように定義付けられても良いのであるが、具体的には例えば、「そのコンテンツIDの値を超えない値であって且つIDとしての値同士の差が最も小さいもの」というように定義付けられる。
【0042】
より具体的には、例えば図1(a)に例示するように、ノードIDの値が「A0334055」であるノードとノードIDの値が「A03340FF」であるノードとがリングRn上で隣り合って存在しているとする。このとき、コンテンツIDの値が「A0334080」であるコンテンツは、ノードIDの値が「A0334055」であるノードが管理することになる。なお、図1(a)では、○のコンテンツを管理する端末情報を、当該各○から伸びた矢印で示している。このようにすると、多数のノードで分散して様々なコンテンツを管理することができる。
【0043】
このとき、「管理」の意味は、そのコンテンツIDが付与されているコンテンツをその中に記録しているという意味ではなく、そのコンテンツが記録されているノードの所在(例えばIPアドレス等)を、そのノードが認識しているとの意味である。実際にコンテンツが記録されているノードと管理するノードとが異なっても良いし、或いは管理するノード内にその管理対象であるコンテンツが記録されていても良い。
【0044】
そして、上述したコンテンツ管理用のノードを「ルートノード」と称する。ルートノードは、それが管理することとされているコンテンツを示すコンテンツIDと、当該コンテンツIDにより示されるコンテンツが記録されているノードのIPアドレスと、の対からなるインデックス情報を記録し、これを配信システム内の他のノードから参照可能に記録する。このインデックス情報内に、そのコンテンツのタイトルやその属性(ジャンル)等が含まれる場合もある。
【0045】
また、異なるコンテンツを夫々示すコンテンツIDが偶然に近い値となり、その値に近い値のノードIDを有するノードが他に存在しない場合には、一つのルートノードが複数のコンテンツに対応する複数のインデックス情報を記録することとなる。更に、同一のコンテンツが異なる複数のノード内に記録されている場合であって、その同一のコンテンツを記録しているノードが偶然に一つのルートノードに近い場合、当該ルートノードには、同一のコンテンツが夫々に記録されている複数のノードのインデックス情報が記録されることとなる。上述してきたルートノード内のインデックス情報EXの一例を図1(b)に示す。
【0046】
更に、実際に各コンテンツ自体を記録しているノードを「コンテンツホルダ」(上記特許文献1で言うコンテンツノード)と称する。このとき、当該コンテンツホルダ自体はノードであるから、そのノードIDは、図1(a)におけるリングRn上に存在していることになる。
【0047】
次に、上記DHTを用いた配信システムにおいて、上述したように全てのノードのIPアドレスを各ノード夫々が記録する必要性を排除するための工夫の一つであるDHT(ルーティングテーブル)自体について説明する。
【0048】
実施形態に係るDHTには、図1に例示したID空間を、段階的なレベル毎にレベル数を上げつつ細分化(例えば、レベル1の場合は当該ID空間を四分割)していき、そのレベル毎(段階的に細分化した領域毎)に、任意のノードのノードIDとそのIPアドレスとを対としたルーティング情報が記述されている。そして、例えばコンテンツの配信元情報を要求するための配信元問い合わせ情報がそのインデックス情報が記録されているルートノードに転送される場合、このルーティング情報を参照しつつ当該問い合わせ情報が目的のルートノードまで転送される。すなわち、DHTにおけるレベルが上がる度に、ルーティング先のノードIDが到達しようとするルートノードのノードIDに一桁ずつ合致していき、最終的に当該到達しようとするルートノードに上記要求情報が到達する。
【0049】
なお、DHTを用いた配信システムにおいては、上述した如き問い合わせ情報(クエリ)や、そのコンテンツの配信自体を要求する配信要求情報、コンテンツを初めて配信システム内に投入する際に用いれる登録メッセージ、などを「メッセージ」と称している。そして、上述した仕組みのDHTを使うと、上記メッセージを図1に例示する如き上記ID空間内で効率よく目的のノードまで転送することができる。
【0050】
ここで、以下の説明においては、コンテンツホルダにおいて新たにコンテンツが記録された場合に、それを他のノードから発見可能にする(公開する)ために、当該コンテンツホルダにおいて生成されるメッセージを登録メッセージと称し、後述するリクエスタからルートノード又は後述するキャッシュノードに対して送信するメッセージを配信元問い合わせメッセージと称する。
【0051】
このとき、上記配信元問い合わせメッセージは、当該配信要求メッセージにより要求されているコンテンツホルダに到達する直前に、配信要求対象のコンテンツを管理するルートノードに到達することになる。これは、上述したようにルートノードのノードIDの値が、そのルートノードがコンテンツを管理しているコンテンツホルダのノードIDの値に最も近いことによる。そして、当該配信元問い合わせメッセージを受け取ったルートノードは、その配信元問い合わせメッセージにより要求されているコンテンツを蓄積しているコンテンツホルダのIPアドレス等を、当該配信元問い合わせメッセージの発信元まで返信する。すなわち、ルートノード内に記録されているインデックス情報(図1(b)参照)の中から、当該配信元問い合わせメッセージにより要求されているコンテンツを示すタイトル、属性情報及びそのコンテンツホルダとしてのノードのIPアドレス等が配信元問い合わせメッセージの発信元であるノードまで返信される。このようなDHTの活用により、効率的に所望のコンテンツの所在が、例えば配信要求元において認識できるのである。なお、上述したコンテンツの配信要求元であるノードを、以下「リクエスタ」と称する。
【0052】
次に、あるノードに新たなコンテンツが蓄積された場合における、当該コンテンツの登録処理について説明する。
【0053】
新しいコンテンツが、ノード(すなわちそのコンテンツのコンテンツホルダ)に蓄積されると、そのコンテンツホルダは、配信システム内の他のノードに対してそのコンテンツが蓄積されたことを公開することになる。
【0054】
すなわち、あるノードに新たなコンテンツが蓄積されたとき、当該蓄積されたコンテンツに対するコンテンツホルダとなるそのノードは、蓄積されたコンテンツのタイトル等に基づき、当該コンテンツに対応するコンテンツIDを算出する。
【0055】
次に、当該コンテンツホルダは、算出されたコンテンツIDと同じ値を有するノードIDを有するノードを到達先として(そのノードIDを有するノードが実在するかどうかに拘わらず)、登録メッセージを送信する。この登録メッセージは、そのコンテンツを示すタイトル、属性情報及びそのコンテンツホルダとしてのノードのIPアドレス等を含むものであり、上記DHTの記述に従って各ルーティング先を介して各レベルの到達先としてのノードに順次転送される。
【0056】
そして、最も近い値のノードIDを有するノードに到達すると、そのノードはその後にその登録メッセージを転送すべきノードがID空間内に存在しないことを認識する(すなわち、DHTで桁合わせをすると、次に転送すべきノードが自分自身であることを認識する)。そしてこの時点で、当該登録メッセージが到達しているノードが新たなコンテンツを管理するルートノードとなることになる。その後、当該ルートノードとなったノードは、登録メッセージ含まれているコンテンツID及びコンテンツホルダを示すIPアドレス並びに属性情報等を図1(b)に例示するインデックス情報EXとして記録する。
【0057】
次に、実施形態に係る配信システムにおける「キャッシュノード」なる概念について、図2を用いて説明する。なお、図2及び後述の図3においては、ルートノードを二重丸で示し、コンテンツホルダを内部に×が記された○で示す。また、リクエスタを内部に|が記された○で示し、後述するキャッシュノードを内部に+が記された○で示し、他の一般のノードは●で示す。
【0058】
上述したDHTを用いたルーティングによりリクエスタRQ1乃至RQ3からの配信元問い合わせメッセージQrをルートノードRN(又はコンテンツホルダCH)に転送する場合、その転送経路(図2(a)及び図2(b)において破線で示す)は、図2(a)に示すように上述した登録メッセージQpが辿った経路(図2(a)及び図2(b)において実線で示す)と似た経路となる。よって、この経路上にある各ノード(図2(a)において符号CNで示す)においても図1(b)に例示するインデックス情報EXを記録しておけば、当該経路を経る配信元問い合わせメッセージQrに対応して、その到達先であるルートノードRN又はコンテンツホルダCHに当該配信元問い合わせメッセージQrが到達する前に、早い段階で当該配信元問い合わせメッセージQrに対応する回答をリクエスタRQ1乃至RQ3まで返信することができる。
【0059】
すなわち、配信システム内に公開されたコンテンツの配信を要求するリクエスタRQ1乃至RQ3が、そのコンテンツが記録されているノード(すなわちコンテンツホルダCH)のIPアドレスを要求する旨の配信元問い合わせメッセージQrを送信すると、当該配信元問い合わせメッセージQrは、各ノード内のDHTに記述されているルーティング先を転送されルートノードRNに近づいていく。そして、最終的には、その経路がコンテンツホルダCHからの登録メッセージQpの経路と合流して、ルートノードRNに到達する。
【0060】
ここで、図2(a)に示したリングRc上の経路を木構造に置き換えると図2(b)に示した如きものとなるが、これを実施形態においては「スパニングツリー」と称する。
【0061】
図2(a)に示したように、各リクエスタRQから送信された配信元問い合わせメッセージQrの経路とコンテンツホルダCHから送信された登録メッセージQpの経路とは、それら経路上のいずれかのノードにおいていずれ交わる。そこで、公開用の登録メッセージQpをルートノードRNまで到達させる経路上にあるノード夫々に、当該登録メッセージQpに含まれているインデックス情報EXを一時的に記録させつつ(すなわち、一時的にキャッシュさせつつ)当該登録メッセージQpの転送を行う。そうすれば、リクエスタRQからの配信元問い合わせメッセージQrに対する返信が、ルートノードRNに至る経路上の配信元問い合わせメッセージQrが到達したノードから、配信元問い合わせメッセージQrがルートノードRNに到達する前に行われるのである。このようにルートノードRN以外のノードであってインデックス情報EXを一時的に記録しているノードが上記キャッシュノードCNとなる。
(B)本発明の原理
次に、概要を上述した配信システムを前提とする本発明に原理について、図3を用いて説明する。
【0062】
上記[発明が解決しようとする課題]の欄において説明したように、上記特許文献1記載の発明では、あるコンテンツについてのコンテンツホルダCH及びレプリカノードの全てにおいて夫々の電源がオフとされることで、そのコンテンツの配信システム内における配信が不可能となってしまう場合があった。これは、コンテンツホルダCHやレプリカノード夫々における電源のオン/オフが全て当該各ノード自体にのみ依存していためである。
【0063】
そこで、本発明では、コンテンツを管理するルートノードRN毎に、図3に示す如き電源状態管理テーブルTBを記憶させる。このとき、当該電源状態管理テーブルテーブルTBは、ノードID情報101と、電源状態情報102と、を含む電源管理情報100を、当該コンテンツホルダCH及びレプリカノードの全てについて含んでいる。この構成において、ノードID情報101は、そのルートノードRNが管理を担当するコンテンツについてのコンテンツホルダCH及びレプリカノード夫々のノードIDを示す。また、電源状態情報102は、当該コンテンツホルダCH及びレプリカノード夫々における現在の電源の状態を示す。
【0064】
そして、例えばあるコンテンツホルダCHから、そのコンテンツホルダCHにおける電源をオフとすることの許可を要求する電源オフリクエストメッセージがルートノードRNに送信されて来る。すると、本発明に係るルートノードRNは、当該電源状態管理テーブルTBの内容を参照し、自らが管理するコンテンツについてコンテンツホルダCH及びレプリカノードの全ての電源がオフとされることがないように、その電源オフリクエストメッセージを送信して来たコンテンツホルダCHの電源をオフとすることを許可するか否かを判断する。
【0065】
これにより、当該コンテンツホルダCHは、当該ルートノードRNにより電源オフが許可された場合のみ、自らの電源をオフとする。
【0066】
以上の原理により、本発明に係る配信システムは、あるコンテンツについてのコンテンツホルダCH及びレプリカノードの全てにおいて電源がオフとされることに起因する、当該コンテンツの配信不能状態の発生を未然に防止するのである。
(II)実施形態
次に、上述した原理に則った本発明に係る実施形態について、具体的に図4乃至図7を用いて説明する。
【0067】
初めに、実施形態に係るノードの概要構成について図4を用いて説明する。なお、図4は実施形態に係るノードの概要構成を示すブロック図である。また、本実施形態においては、上記コンテンツホルダCH、リクエスタRQ、ルートノードRN、キャッシュノードCN、レプリカノード及びその他のノードNは、基本的に全て同一のハードウエア構成を有するものであるので、それらを代表して一般のノードNの構成について、図4を用いてその概要を説明する。
【0068】
図4に示すように、実施形態に係る配信システムに含まれているノードNは、制御部11と、記録部12と、バッファメモリ13と、デコーダ部14と、映像処理部15と、表示部16と、音声処理部17と、スピーカ18と、通信部20と、入力部21と、を備えて構成されている。そして、制御部11、記録部12、バッファメモリ13、デコーダ部14、及び通信部20はバス22を介して相互にデータの授受が可能に接続されている。
【0069】
この構成において、制御部11は、演算機能を有するCPU、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記録するROM(Read Only Memory)等から構成されている。
【0070】
また、記録部12は、例えばHDD等により構成されており、上記コンテンツ自体としてのコンテンツデータ、上記インデックス情報EX、上記DHT、本発明に係る電源状態管理テーブルTB及びその他の必要なプログラム等を記録保存(格納)する。このとき、上記コンテンツデータは、その配信前は、あるコンテンツホルダCHとしてのノードN内の記録部12内にのみ記録されている。
【0071】
更に、バッファメモリ13は、受信されたコンテンツデータを一時蓄積する。
【0072】
次に、デコーダ部14は、コンテンツデータに含まれるエンコード(符号化)されたビデオデータ(映像情報)及びオーディオデータ(音声情報)等をデコード(データ伸張や復号化等)する。
【0073】
また、映像処理部15は、当該デコードされたビデオデータ等に対して所定の描画処理を施しビデオ信号として出力する。
【0074】
更に、表示部16は、CRT(Cathode Ray Tube)又は液晶ディスプレイ等よりなるものであり、映像処理部15から出力されたビデオ信号に基づき映像表示する。
【0075】
また、音声処理部17は、上記デコードされたオーディオデータをアナログオーディオ信号にD/A(Digital/Analog)変換した後これを増幅器等により増幅して出力する。
【0076】
そして、スピーカ18は、音声処理部17から出力されたオーディオ信号を音波として出力する。
【0077】
一方、通信部20は、ネットワーク8を通じて他のノード装置1との間の情報の通信制御を行なうためのものである。
【0078】
更に、入力部21は、例えば、キーボード、マウス或いは、操作パネル等よりなるものであり、夫々の使用者からの指示を受け付け当該指示に応じた指示信号を制御部11に出力する。
【0079】
そして、制御部11におけるCPUが記録部12等に記録された各種プログラムを実行することにより、当該制御部11が、リクエスタRQ、キャッシュノードCN、ルートノードRN、コンテンツホルダCH、レプリカノード又はそれら以外の一般のノードNとしての全体動作を統括制御する。
【0080】
なお、上記ノードNが本発明に係る情報処理装置としてのコンテンツホルダCH又はレプリカノードである場合は、記録部12が本発明に係る記録手段として機能し、通信部が本発明に係る送信手段として機能し、制御部11が本発明に係る判断手段及び電源制御手段として機能する。また、上記ノードNが本発明に係る情報処理装置としてのルートノードRNである場合は、記録部12が本発明に係る管理情報記録手段として機能し、制御部11が本発明に係る電源管理手段として機能する。
【0081】
次に、それがコンテンツホルダCH又はレプリカノードである場合と、ルートノードRNである場合と、に分けて、実施形態に係る各ノードNの動作について説明する。
(A)コンテンツホルダ又はレプリカノードにおける動作
初めに、実施形態に係るコンテンツホルダCH又はレプリカノードにおける動作を、図5及び図6を用いて説明する。なお、当該コンテンツホルダCH又はレプリカノードを、以下、単にコンテンツホルダCH等と称する。
【0082】
また、図5(a)は実施形態に係るコンテンツホルダCH等において電源スイッチをオフとする操作が為された場合の動作を示すフローチャートである。図5(b)は当該コンテンツホルダCHにおいて後述するスリープモードに移行した後の動作を示すフローチャートである。図6は当該コンテンツルホルダCH等において再び電源スイッチがオンとされた場合の動作を示すフローチャートである。更に、図5及び図6夫々に示すフローチャートは、コンテンツホルダCH等において実行されるべき配信システムとしての本来のメインルーチンに対して、いわゆる割り込み動作として実行される動作を示すフローチャートである。
【0083】
当該コンテンツホルダCH等において、上記メインルーチンを実行中にその使用者により電源スイッチをオフとする操作が為されると、図5(a)に示すフローチャートが開始される。
【0084】
ここで、以下の実施形態における「電源スイッチ」とは、ノードNに係る電源回路を直接切る構成の電源スイッチ(ハードウエア的な電源スイッチ)ではなく、ソフトウェア的な処理によりオン/オフの制御が可能な電源スイッチを言うものとする。この場合、当該ソフトウェア的な処理により当該電源スイッチのオン/オフを監視し、後述するステップS5の処理又はS82の処理による判定後、当該電源スイッチをオフとすることを当該ソフトウェア的な処理により制御するのである。
【0085】
図5(a)に示すフローチャートが開始されると、当該コンテンツホルダCH等の制御部11は、全てのコンテンツについての処理(具体的には、例えば、そのコンテンツホルダCH等が二以上のコンテンツの配信元となっている場合における当該コンテンツ全てについての配信処理)が完了したか否かを確認する(ステップS1)。未だ完了していないときは(ステップS1;NO)、制御部11は、当該処理を継続しつつ、当該コンテンツホルダCH等が記憶している一又は複数のコンテンツの配信を管理するルートノードRNの全てに対して、そのコンテンツホルダCH等の電源をオフとすることの許可を求める電源オフリクエストメッセージを送信する(ステップS2)。
【0086】
ここで、当該送信された電源オフリクエストメッセージは、例えば図2に示したスパニングツリーを辿って対応するルートノーRNまで送信される。
【0087】
その後、制御部11は、送信した電源オフリクエストメッセージに対応するルートノードRNからの回答メッセージ(電源オフを許可する許可メッセージ又は電源オフを許可しない不許可メッセージのいずれか)を逐次受信し(ステップS3)、上記ステップS1の判定処理に戻る。
【0088】
一方、当該全てのコンテンツについての処理が完了した、すなわち、当該コンテンツホルダCH等に限って言えば、電源をオフとしても問題ない状態となったときは、制御部11は、上記ステップS1において「YES」と判定し、上記ステップS2に移行する。
【0089】
そして、制御部11は、上記ステップS2において送信した電源オフリクエストメッセージに対応する上記許可メッセージとしての回答メッセージが、全て送信されて来たか否かを確認する(ステップS4)。それらが全て送信されて来ていないときは(ステップS4;NO)、制御部11は、当該コンテンツホルダCH等としてのスリープモードへ移行し(ステップS8)、そのまま配信システム内のコンテンツホルダCH等としての動作を継続する。
【0090】
ここで、当該スリープモードとは、当該コンテンツホルダCH等の表示部16における画像表示動作及びスピーカ18からの放音動作は停止され、更に入力部21における入力操作は無効とされるが、配信システム内のコンテンツホルダCH等としての動作、すなわち、コンテンツの配信やメッセージの中継動作等は実行されている状態を言う。
【0091】
一方、電源オフリクエストメッセージに対応する上記許可メッセージとしての回答メッセージが全て送信されて来たときは、制御部11は、ステップS4において「YES」と判定し、次のステップS5に移行する。そして、制御部11は、記憶しているコンテンツ以外の他のコンテンツについてのルートノードRNとして機能しているか否かを確認する。
【0092】
これにより、自身がルートノードRNとして機能していないときは(ステップS5;NO)、制御部11は、そのまま当該コンテンツホルダCH等の電源を(ソフトウェア的に)オフとし(ステップS7)、実施形態としての動作を停止する。
【0093】
他方、ステップS5の判定において、自身が他のコンテンツについてのルートノードRNとして機能しているときは、制御部11は、上記ステップS5において「YES」と判定し、次のステップS6に移行する。
【0094】
そして、制御部11は、当該ルートノードRNとしての機能を配信システム内において維持すべく、記憶している上記電源状態管理テーブルTBを上記インデックス情報EXを手掛かりに配信システム内において最も近い他のノードNに転送する。このステップS6の動作により、当該他のノードNが他のコンテンツについてのルートノードRNとして機能することとなる。また、ステップS6の動作後、制御部11は、上記ステップS7以降の動作に移行する。
【0095】
次に、当該コンテンツホルダCH等がスリープモード(図5(a)ステップS8参照)に移行した後の当該コンテンツホルダCH等における動作について、図5(b)を用いて説明する。
【0096】
当該スリープモードに移行した後において、いずれかのルートノードRNから新たに上記許可メッセージを受信したときは、コンテンツホルダCH等の制御部11は、上記ステップS2において送信した電源オフリクエストメッセージに対応する上記許可メッセージとしての回答メッセージが、全てのルートノードRNから送信されて来たか否かを再度確認する(ステップS81)。そして、それら回答メッセージが全て送信されて来ていると判断できるときは、制御部11は、ステップS81において「YES」と判定する。次に、制御部11は、当該コンテンツホルダCH等が、自身が記憶しているコンテンツ以外の他のコンテンツについてのルートノードRNとして機能しているか否かを再度確認する。
【0097】
そして、このステップS82の判定により、当該ノードN自身がルートノードRNとして機能していないときは、制御部11は、ステップS82において「NO」と判定し、更にそのまま当該コンテンツホルダCH等の電源をオフとして(ステップS84)、実施形態としての動作を停止する。
【0098】
一方、当該ノードN自身が他のコンテンツについてのルートノードRNとして機能しているときときは、制御部11はステップS82において「YES」と判定する。そして制御部11は、上記ステップS6の場合と同様にして、最も近い他のノードNに電源状態管理テーブルTBを転送する。これにより、制御部11は、当該他のノードNを他のコンテンツについてのルートノードRNとして機能させ(ステップS83)、上記ステップS84以降の動作に移行する。
【0099】
他方、電源オフリクエストメッセージに対応する上記許可メッセージとしての回答メッセージが全てのルートノードRNから送信されて来ていないときは、制御部11は、ステップS81において「NO」と判定する。その後、制御部11は、上記ステップS8において移行したスリープモードをそのまま継続する(ステップS85)。
【0100】
次に、図5に示す動作により電源がオフとされたコンテンツホルダCH等において、改めて電源スイッチがオンとされたときの動作について図6を用いて説明する。
【0101】
当該コンテンツホルダCH等において改めて電源スイッチがオンとされると、次に当該コンテンツホルダCH等の制御部11は、図5(a)に示すステップS1の処理と同様に、全てのコンテンツについての処理が完了したか否かを確認する(ステップS10)。そして、未だ当該処理が完了していないと判断されたとき、制御部11は、ステップS10において「NO」と判定する。その後、制御部11は、当該処理を継続しつつ、当該コンテンツホルダCH等の記憶部12に記憶されている一又は複数のコンテンツの配信を管理するルートノードRNの全てに対して、そのコンテンツホルダCH等の電源がオンとなったことを示す電源オンメッセージを送信し(ステップS11)、上記ステップS1の判定処理に戻る。
【0102】
ここで、当該送信された電源オンメッセージは、例えば図2に示したスパニングツリーを辿って対応するルートノーRNまで送信される。
【0103】
一方、ステップS10の判定において、当該全てのコンテンツについての処理が完了したと制御部11が判定したときは(ステップS10;YES)、次に、制御部11は、当該制御部11が含まれているコンテンツホルダCH等自身が新たにルートノードRNとなるべきコンテンツが、配信システム内に投入されているか否かを確認する(ステップS12)。このステップS12としての確認動作は、例えば配信システム内においてその時点で配信可能となっているコンテンツを示すいわゆるコンテンツカタログと、上記インデックス情報EXと、に基づいて制御部11が実行することができる。
【0104】
ステップS12の確認動作において、制御部11が、自身が新たにルートノードRNとなるべきコンテンツがないと確認したときは、ステップS12において「NO」と判定し、制御部11は、そのまま当該コンテンツホルダCH等としての配信動作等のメインルーチンへ移行する。
【0105】
他方、ステップS12の確認動作において、制御部11が、自身が新たにルートノードRNとなるべきコンテンツがあると確認したときは、ステップS12において「YES」と判定する。その後、制御部11は、それまで当該コンテンツについてのルートノードRNとして機能していた他のノードNから、上記電源状態管理テーブルTBを譲り受ける処理を実行し(ステップS13)、上記メインルーチンに移行する。
(B)ルートノードにおける動作
次に、実施形態に係るルートノードRNにおける動作について、図7を用いて説明する。
【0106】
なお、図7(a)は実施形態に係るコンテンツホルダCH等のいずれかから上記電源オフリクエストメッセージ(図5(a)ステップS2参照)を受信した場合の当該ルートノードRNにおける動作を示すフローチャートであり、図7(b)は当該コンテンツホルダCH等のいずれかから上記電源オンメッセージ(図6ステップS11参照)を受信した場合の当該ルートノードRNにおける動作を示すフローチャートである。
【0107】
また、図7に示すフローチャートは、ルートノードRNにおいて実行されるべき配信システムとしての本来のメインルーチンに対して、いわゆる割り込み動作として実行される動作を示すフローチャートである。
【0108】
当該ルートノードRNにおいて、そのメインルーチンを実行中に上記電源オフリクエストメッセージを受信すると、当該ルートノードRN内の制御部11は、当該電源オフリクエストメッセージを送信して来たコンテンツホルダCH等が記憶しているコンテンツを記憶する記憶部を備えており且つ電源状態がオンである他のノードN(他のコンテンツホルダCH等)が配信システム内にあるか否かを、その記憶部12に記憶している上記電源状態管理テーブルTBを参照して確認する(ステップS20)。そして、当該他のノードNがあると確認できたときは、当該制御部11はステップS20において「YES」と判定する。そして、当該制御部11は、その電源オフリクエストメッセージを送信して来たコンテンツホルダCH等に対して上記許可メッセージを送信する(図5(a)ステップ3、S4参照。ステップS21)。そして、当該制御部11は、電源状態管理テーブルTB内において当該許可メッセージの送信先たるコンテンツホルダCH等に対応する電源管理情報100内の電源状態情報102の値を、「電源オン」から「電源オフ」に更新し(ステップS22)、実施形態に係る動作を終了する。
【0109】
一方、ステップS20の判定において、当該他のコンテンツホルダCH等として機能している他のノードNがその時点で配信システム内に存在しないと確認されたときは、当該制御部11はステップS20において「NO」と判定し、その電源オフリクエストメッセージを送信して来たコンテンツホルダCH等に対して上記不許可メッセージを送信する(図5(a)ステップ3、S4参照。ステップS23)。その後、制御部11は、電源状態管理テーブルTB内において当該不許可メッセージの送信先たるコンテンツホルダCH等に対応する電源管理情報100内の電源状態情報102の値を、「電源オン」から「電源オフ許可待ち」に更新し(ステップS24)、実施形態に係る動作を終了する。
【0110】
なお、上記ステップS20の判定において、電源オフリクエストメッセージを送信して来たコンテンツホルダCH等に対して許可メッセージを送信するか不許可メッセージを送信するかの判断を制御部11が行う場合、より具体的には、コンテンツホルダCH等として機能し得る他のノードNが一つも配信システム内に存在しないときにのみ当該制御部11が「不許可メッセージ」を送信する(ステップS20;NO)ようにしても良い。
【0111】
或いは、当該ルートノードRNで管理しているコンテンツホルダCH等の数に応じて、人気があって配信要求が多いコンテンツは、電源オン又はスリープモードとさせておくコンテンツホルダCH等の数を二以上の閾値数とするか、又は電源オン又はスリープモードとさせておくコンテンツホルダCH等の割合をそのコンテンツについての全コンテンツホルダCH等の数に対して予め設定された閾値割合以上としておき、当該電源オン又はスリープモードとさせておくコンテンツホルダCH等の数が当該閾値数又は閾値割合未満となると制御部11が判断したときにのみ、「不許可メッセージ」を送信する(ステップS20;NO)ようにしても良い。
【0112】
次に、当該ルートノードRNにおいて、そのメインルーチンを実行中に上記電源オンメッセージを受信すると、当該ルートノードRN内の制御部11は、先ず、電源状態管理テーブルTB内において当該電源オンメッセージを送信して来たコンテンツホルダCH等に対応する電源管理情報100内の電源状態情報102の値を、「電源オフ」から「電源オン」に更新する(ステップS30)。次に、当該制御部11は、電源状態管理テーブルTBを参照して電源状態情報102の値が「電源オフ許可待ち」であるコンテンツホルダCH等を検索する(ステップS31)。
【0113】
そして、電源状態情報102の値が「電源オフ許可待ち」であるコンテンツホルダCH等があると確認したときは、制御部11は、ステップS31において「YES」と判定する。その後、制御部11は、その電源オフ許可待ちであるコンテンツホルダCH等に対して上記許可メッセージを送信する(ステップS32)。次に、制御部11は、電源状態管理テーブルTB内において当該許可メッセージの送信先たるコンテンツホルダCH等に対応する電源管理情報100内の電源状態情報102の値を、「電源オフ許可待ち」から「電源オフ」に更新し(ステップS33)、ルートノードRNとしてのメインルーチンに戻る。
【0114】
他方、ステップS31の判定において、電源状態情報102の値が「電源オフ許可待ち」であるコンテンツホルダCH等がないと制御部11が確認したときは、ステップS31において「NO」と判定し、そのままルートノードRNとしてのメインルーチンに戻る。
【0115】
なお、上記ステップS31の判定において、電源オフリクエストメッセージを送信して来たコンテンツホルダCH等に対して許可メッセージを送信するか否かの制御部11による判断については、図7(a)に示すステップS20の場合と同様に、コンテンツホルダCH等として機能し得る他のノードNが一つでも配信システム内に存在すれば、制御部11が「許可メッセージ」を送信する(ステップS31;YES)ようにしても良いし、或いは、当該ルートノードRNで管理しているコンテンツホルダCH等の数に応じて、人気があって配信要求が多いコンテンツは、電源オン又はスリープモードとさせておくコンテンツホルダCH等の数を二以上の閾値数とするか、又は電源オン又はスリープモードとさせておくコンテンツホルダCH等の割合をそのコンテンツについての全コンテンツホルダCH等の数に対して予め設定された閾値割合以上としておき、当該電源オン又はスリープモードとさせておくコンテンツホルダCH等の数が当該閾値数又は閾値割合以上となっていると制御部11が判断したときにのみ、「許可メッセージ」を送信する(ステップS31;YES)ようにしても良い。
【0116】
以上説明したように、実施形態のコンテンツホルダCH等及びルートノードRN夫々の制御部11による動作によれば、ルートノードRNから許可メッセージが送信されて来ないとき電源電力の供給を継続するので、コンテンツを記録しているコンテンツホルダCH等に対する電源電力の供給が当該コンテンツホルダCH等の都合のみで断とされることを防止することで、当該コンテンツの配信システム内に対する配信が不用意に不可能となることを防止することができる。
【0117】
従って、配信システム内における配信に支障を来すことなく、電源電力の供給を断とすることができるので、配信システムとしての利便性を阻害することなく各コンテンツホルダCH等としての消費電力の浪費や不要な騒音の発生を抑止できる。
【0118】
また、コンテンツホルダCH等内に複数のコンテンツが記録されているとき、当該各コンテンツの夫々について、それを管理するルートノードRNに電源オフリクエストメッセージを送信し、許可メッセージを送信して来ないルートノードRNが少なくとも一つあると制御部11が判断したとき、当該制御部11が電源電力の供給を継続するので、コンテンツが複数記録されている場合であっても、いずれかのコンテンツの配信が不用意に不可能となることを防止できる。
【0119】
更に、電源状態管理テーブルTBに基づき、コンテンツを配信可能な他のコンテンツホルダCH等が配信システム内に一つもないと制御部11が判断したとき、当該制御部11が電源オフリクエストメッセージを送信してきたコンテンツホルダCH等に対する許可メッセージを行わないので、他のコンテンツホルダCH等における電源電力の供給状態を把握してコンテンツが配信不可となることを防止できる。
【0120】
また、ルートノードRNとして機能している場合においてそれ自体の電源電力の供給を断とするとき、当該ルートノードRN内の制御部11が、電源状態管理テーブルTBの他のコンテンツホルダCH等への伝送を行った後に断とするので、コンテンツに対応するそれまでの電源状態管理テーブルTBが配信システム内から消失することを防止することで、当該コンテンツに対応する継続的な電源管理を続行することができる。
【0121】
更に、新たにルートノードRNとして機能することとなったとき、当該ルートノードRN内の制御部11が、電源状態管理テーブルTBをそれまでルートノードRNとして機能していた他のコンテンツホルダCH等から取得して記録するので、新たに参加するコンテンツホルダCH等が新たにルートノードRNとして機能することとなる場合でも、管理下となるコンテンツに対応する継続的な電源管理を続行することができる。
【0122】
更に、上記閾値数又は閾値割合を用いて当該電源オン又はスリープモードとさせておくコンテンツホルダCH等の数を制御部11が制御する場合は、他のコンテンツホルダCH等における電源電力の供給状態を把握してコンテンツが配信不可となることを防止できると共に、配信要求数が多い、すなわち人気のあるコンテンツの配信に伴う負荷が、少ない数のコンテンツホルダCH等に集中することを回避して迅速な配信状態を確保することができる。
【0123】
更にまた、上述した図5及び図7に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係るコンテンツホルダCH等又はルートノードRNにおける制御部11として機能させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0124】
以上夫々説明したように、本発明はネットワークを介したコンテンツの配信の分野に利用することが可能であり、特にダウンロード形式によるコンテンツの配信の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】実施形態に係る配信システムの概要を示す模式図(I)であり、(a)は当該配信システムにおけるID空間を示す模式図であり、(b)はインデックス情報を例示する図である
【図2】実施形態に係る配信システムの概要を示す模式図(II)であり、(a)は当該配信システムにおけるメッセージの伝送状態を示す模式図であり、(b)はスパニングツリーとして表した当該メッセージの伝送状態を示す図である。
【図3】本発明に係る電源状態管理テーブルを例示する図である。
【図4】実施形態に係るノードの概要構成をコンテンツホルダ等について共通的に示すブロック図である。
【図5】実施形態に係るコンテンツホルダ及びレプリカノードにおける動作を示すフローチャートであり、(a)は電源をオフとする操作が為された場合の動作を示すフローチャートであり、(b)は実施形態に係る許可メッセージが送信されて来た場合の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係るコンテンツホルダ及びレプリカノードにおいて電源をオンとする操作が為された場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係るルートノードにおける動作を示すフローチャートであり、(a)は実施形態に係る電源オフリクエストメッセージが送信されて来た場合の動作を示すフローチャートであり、(b)は実施形態に係る電源オンメッセージが送信されて来た場合の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
11 制御部
12 記録部
13 バッファメモリ
14 デコーダ部
15 映像処理部
16 表示部
17 音声処理部
18 スピーカ
20 通信部
21 入力部
22 バス
100 電源管理情報
101 ノードID情報
102 電源状態情報
Rc、Rn リング
EX インデックス情報
CH コンテンツホルダ
RQ、RQ1、RQ2、RQ3 リクエスタ
RN ルートノード
CN キャッシュノード
Qp 登録メッセージ
Qr 配信元問い合わせメッセージ
N ノード
TB 電源状態管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理装置がネットワークを介して接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において、
前記ネットワークシステム内において配信されるべき配信情報を記録する記録手段と、
当該情報処理装置に対する電源電力の供給を断とするとき、前記記録されている配信情報の前記ネットワークシステム内における配信を管理する他の前記情報処理装置である配信管理装置に対して、前記供給を断とする旨の電源断要求メッセージを送信する送信手段と、
前記送信した電源断要求メッセージに対応する電源断許可メッセージが前記配信管理装置から送信されて来たか否かを判断する判断手段と、
前記電源断許可メッセージが送信されて来ないとき前記供給を継続する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記記録手段に前記配信情報が複数記録されているとき、
前記送信手段は、当該配信情報毎に、当該配信情報の前記配信を管理する前記配信管理装置に対して夫々前記電源断要求メッセージを送信し、
更に前記電源制御手段は、前記電源断許可メッセージを送信して来ない前記配信管理装置が少なくとも一つあるとき、前記供給を継続することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配信管理装置たる情報処理装置であって、
当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段と、
前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置が前記ネットワークシステム内に一つもないとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の配信管理装置たる情報処理装置であって、
当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段と、
前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置の数が、当該配信情報を記録している全ての前記情報処理装置の数に対して予め設定されている割合以下となったとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の情報処理装置において、
前記管理の対象となっている前記配信情報が複数あるとき、各前記配信情報に対する配信要求数を夫々検出する検出手段を更に備え、
前記電源管理手段は、前記配信要求数が多い前記配信情報ほど前記電源断許可メッセージを送信する前記情報処理装置の数を少なくすることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
当該情報処理装置に対する電源電力の供給を断とするとき、前記記録されている電源管理情報を伝送することが可能な前記ネットワークシステムに属する他の前記情報処理装置を検索する検索手段と、
検索された他の前記情報処理装置に対して前記電源管理情報を送信した後、当該電源電力の供給を断とする電源断手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか一項に記載のネットワークシステムに新たに参加する情報処理装置であって、
当該参加後にいずれかの前記配信情報について新たに前記配信管理装置として機能することとなったとき、当該参加までに当該配信情報について前記配信管理装置として機能していた前記情報処理装置を前記ネットワークシステム内において検索する検索手段と、
前記検索された情報処理装置から前記電源管理情報を取得する取得手段と、
前記取得した電源管理情報を記録する前記管理情報記録手段と、
前記電源管理手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とする情報処理用プログラム。
【請求項9】
複数の情報処理装置がネットワークを介して接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置であって、前記ネットワークシステム内において配信されるべき配信情報を記録する記録手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法において、
当該情報処理装置に対する電源電力の供給を断とするとき、前記記録されている配信情報の前記ネットワークシステム内における配信を管理する他の前記情報処理装置である配信管理装置に対して、前記供給を断とする旨の電源断要求メッセージを送信する送信工程と、
前記送信した電源断要求メッセージに対応する電源断許可メッセージが前記配信管理装置から送信されて来たか否かを判断する判断工程と、
前記電源断許可メッセージが送信されて来ないとき前記供給を継続する電源制御工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の配信管理装置である情報処理装置であって、当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置が前記ネットワークシステム内に一つもないとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理工程を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
請求項9に記載の配信管理装置である情報処理装置であって、当該配信管理装置による管理の対象となっている前記配信情報を記録している前記情報処理装置における電源電力の供給状態を示す電源管理情報を記録する管理情報記録手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記記録されている電源管理情報に基づき、前記管理の対象となっている前記配信情報を記録している他の前記情報処理装置であって電源電力が供給されている他の前記情報処理装置の数が、当該配信情報を記録している全ての前記情報処理装置の数に対して予め設定されている割合以下となったとき、前記電源断要求メッセージを送信してきた前記情報処理装置に対しては前記電源断許可メッセージを返信しない電源管理工程を含むことを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−293432(P2008−293432A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140766(P2007−140766)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】