説明

情報処理装置、画像形成システム、画像形成装置およびプログラム

【課題】第三者によって表示装置に表示される情報が見られてしまうことを防止しつつ、ユーザによるパスワード入力操作の負担を軽減して操作性を向上させる。
【解決手段】情報処理装置2は、ユーザによる操作入力を受け付けて各種情報を入力する操作入力部14と、各種情報を表示する表示装置13と、表示装置13の表示画面にマスク処理を施す条件となるマスク処理設定情報を設定するマスク処理設定部32と、マスク処理設定情報に基づいて印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで表示装置13の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックするマスク処理部35と、画像形成装置において印刷ジョブが実行されることに伴って画像形成装置から受信するロック解除指令に基づいて表示装置13の表示画面のロック状態を解除するロック解除部36と、を備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成システム、画像形成装置およびプログラムに関し、特に表示画面に表示された情報が盗み見られることによる情報の流出を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスなどのネットワーク環境にはプリンタなどの画像形成装置が設けられている。画像形成装置は、ネットワークを介して受信する印刷ジョブを実行して印刷出力を行うように構成される。このようなネットワーク環境には、例えばユーザごとに割り当てられたコンピュータが配置されている。ユーザは、自身のコンピュータを操作することによって画像形成装置に印刷ジョブを送信した後、画像形成装置の設置場所まで移動することにより画像形成装置から出力される印刷物を取得する。
【0003】
このような環境では、ユーザが印刷物を取得するために画像形成装置の設置場所まで移動している間に、ユーザのコンピュータにおいて表示されている情報が第三者によって盗み見られる可能性があり、セキュリティ上の問題がある。そのため、従来は、コンピュータで表示された情報が盗み見られることによる情報の流出を防止するための技術として種々の提案がなされている(例えば特許文献1,2,3,4,5)。
【0004】
これらの従来技術では、例えばコンピュータにインストールされているプリンタドライバが画像形成装置への印刷ジョブの送信を開始すると、所定の遅延時間経過後にコンピュータ上でスクリーンセーバなどを起動することにより、コンピュータで表示される情報が第三者に盗み見られることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−326533号公報
【特許文献2】特開2007−11986号公報
【特許文献3】特開2007−72892号公報
【特許文献4】特開2009−199337号公報
【特許文献5】特開2009−251746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コンピュータ上で起動されるスクリーンセーバは、キーボード操作やマウス操作が行われたタイミングで解除されてしまう可能性がある。この場合、ユーザが離席している間に、第三者によってキーボード操作やマウス操作が行われてしまうと、コンピュータで表示される情報が見られてしまうことになる。これを防止するためには、コンピュータ上でスクリーンセーバなどを起動する際に、パスワードを設定してスクリーンセーバを起動した状態でロックをかけ、キーボードなどからそのパスワードに一致する入力操作が行われない限り、スクリーンセーバの起動状態を解除しない構成とすることが好ましい。
【0007】
しかしながら、上記のような構成の場合、印刷物を取得して自席に戻ってきたユーザがコンピュータを再び使用するときには、その都度、スクリーンセーバの起動状態を解除するためのパスワード入力操作を行わなければならなくなり、効率的にコンピュータを使用することができないという問題がある。また、煩わしいパスワード入力操作を毎回行う必要があるので、コンピュータの操作性が著しく低下するという問題もある。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、第三者によって表示情報が見られることを良好に防止しつつ、ユーザによるパスワード入力操作の負担を軽減して操作性を向上させるようにした情報処理装置、画像形成システム、画像形成装置およびプログラムを提供することをその目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像形成装置において印刷出力を行わせるための印刷ジョブを生成して送信する情報処理装置であって、ユーザによる操作入力を受け付けて各種情報を入力する操作入力手段と、各種情報を表示する表示手段と、前記表示手段の表示画面にマスク処理を施す条件となるマスク処理設定情報を設定する設定手段と、前記マスク処理設定情報に基づいて前記印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックするマスク処理手段と、前記画像形成装置において前記印刷ジョブが実行されることに伴って前記画像形成装置から受信するロック解除指令に基づいて前記表示手段の表示画面のロック状態を解除する解除手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記解除手段は、前記表示手段の表示画面のロック状態を解除すると共に、前記表示手段の表示画面に施されたマスク処理を解除することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記解除手段は、前記表示手段の表示画面のロック状態を解除してから所定の有効時間が経過するまでの間に前記操作入力手段に対する操作が行われることにより、前記表示手段の表示画面に施されたマスク処理を解除することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置において、前記マスク処理手段は、前記表示手段の表示画面のロック状態が解除されてから所定の有効時間が経過するまでの間に前記操作入力手段に対する操作が行われなかった場合、前記表示手段の表示画面にマスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面を再度ロックすることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置において、前記マスク処理手段は、前記印刷ジョブを送信した直後のタイミング、前記印刷ジョブを送信してから前記操作入力手段に対する操作が行われない状態で所定時間が経過したタイミング、前記画像形成装置から送信される印刷ジョブ受信通知を受信したタイミング、および、前記画像形成装置から送信される印刷ジョブ実行開始通知を受信したタイミングのうちのいずれかのタイミングで、前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックすることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項6にかかる発明は、印刷ジョブを生成して送信する情報処理装置と、前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを受信して印刷出力を行う画像形成装置とを有する画像形成システムであって、前記情報処理装置は、各種情報を表示する表示手段を備えており、前記表示手段の表示画面に施すマスク処理に関するマスク処理設定情報を付加した印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブを前記画像形成装置へ送信した後の所定のタイミングで前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックする構成であり、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から受信する印刷ジョブを実行することに伴い、前記マスク処理設定情報に基づいて前記情報処理装置にロック解除指令を送信する構成であり、前記情報処理装置は、前記画像形成装置から受信する前記ロック解除指令に基づいて前記表示手段の表示画面のロック状態を解除することを特徴としている。
【0015】
請求項7にかかる発明は、印刷ジョブを実行して印刷出力を行う画像形成装置であって、各種情報を表示する表示手段を有する情報処理装置から、前記表示手段の表示画面に施されるマスク処理に関するマスク処理設定情報が付加された印刷ジョブを受信する受信手段と、前記受信手段によって印刷ジョブが受信されることに伴って前記マスク処理設定情報を解析することにより、前記情報処理装置において前記表示手段の表示画面にマスク処理が施された状態でのロックを解除するための条件を判定する条件判定手段と、前記受信手段によって受信された印刷ジョブを実行するジョブ実行手段と、前記ジョブ実行手段によって印刷ジョブが実行されることに伴い、前記条件判定手段で判定された条件に従って前記情報処理装置にマスク処理が施された状態のロックを解除させるためのロック解錠指令を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0016】
請求項8にかかる発明は、各種情報を表示する表示手段を有するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、前記表示手段の表示画面にマスク処理を施す条件となるマスク処理設定情報を設定する設定手段、前記マスク処理設定情報を付加した印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブを所定の画像形成装置に送信する送信手段、前記マスク処理設定情報に基づいて前記印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックするマスク処理手段、および、前記画像形成装置において前記印刷ジョブが実行されることに伴って前記画像形成装置から受信するロック解除指令に基づいて前記表示手段の表示画面のロック状態を解除する解除手段、として機能させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで表示手段の表示画面にマスク処理を施されると共に、当該マスク処理が施された態で表示手段の表示画面がロックされる。そして画像形成装置において印刷ジョブが実行されることに伴って画像形成装置から受信するロック解除指令に基づいて表示手段の表示画面のロック状態を自動的に解除する構成である。それ故、表示手段に表示される情報が第三者によって見られることを良好に防止しつつ、ユーザによるパスワード入力操作を軽減することができるので、操作性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成システムの一構成例を示す図である。
【図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】情報処理装置のCPUがユーザの印刷指示に基づきプログラムを起動した状態の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】情報処理装置の表示装置に表示されるプリンタドライバの設定画面の一例を示す図である。
【図5】情報処理装置から画像形成装置へ送信される印刷ジョブの一例を示す図である。
【図6】画像形成装置のハードウェア構成および機能構成の一例を示す図である。
【図7】画像形成装置から情報処理装置へ送信されるマスク処理指令の一例を示す図である。
【図8】画像形成装置から情報処理装置へ送信されるロック解除指令の一例を示す図である。
【図9】情報処理装置において印刷ジョブの送信指示を検出した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】情報処理装置において印刷ジョブの送信指示を検出した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】画像形成装置において印刷ジョブが受信された場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】画像形成装置で行われるセキュリティ印刷処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】情報処理装置においてロック解除指令を受信した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】情報処理装置で行われる有効時間カウント処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明における画像形成システム1の一構成例を示す図である。この画像形成システム1は、例えばオフィス環境などに設置される。画像形成システム1は、ユーザが操作する情報処理装置2と、印刷ジョブを実行する画像形成装置3とが、ネットワーク5に接続された構成である。ネットワーク5は、例えばLAN(Local Area Network)などのネットワークである。このネットワーク5を介して、情報処理装置2および画像形成装置3のそれぞれが相互にデータ通信可能となっている。尚、ネットワーク5には、情報処理装置2が複数台接続されていても良いし、また画像形成装置3が複数台接続されていても良い。また各種サーバなどがネットワーク5に接続された構成であっても構わない。
【0021】
画像形成装置3は、ネットワーク5を介して印刷ジョブを受信し、その印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う装置である。画像形成装置3は、プリンタ専用装置であっても良いが、本実施形態では一般にMFP(Multi Function Peripheral)と称される複合機である場合を例示している。このような複合機は、プリンタ機能、コピー機能、FAX機能、スキャナ機能などの複数の機能を備えており、これら各機能に対応するジョブを実行する。
【0022】
情報処理装置2は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。このような情報処理装置2は、例えばユーザごとに割り当てられてオフィス環境内に配置されている。通常、ユーザは自身の情報処理装置2を操作しながら職務を行っており、例えば各種ソフトウェアを利用して作成したドキュメントなどの印刷対象データを印刷する際には情報処理装置2にインストールされているプリンタドライバなどのプログラムを起動させて印刷ジョブを画像形成装置3に送信する。
【0023】
ユーザは、情報処理装置2を操作することにより、画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信した後、図中破線で示すように、画像形成装置3で出力される印刷物を取得するために、情報処理装置2から離れて画像形成装置3の設置場所まで移動する。このとき、情報処理装置2の表示装置13において印刷対象データの内容を表示したままにしておくと、その内容が第三者に盗み見られる可能性がある。そこで、本実施形態の情報処理装置2は、画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで表示装置13の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックするように構成される。
【0024】
表示装置13の表示画面に施すマスク処理は、例えば印刷対象データの内容が表示されている状態の表示画面を、それとは異なる秘密性のない別の表示画面に切り換えるものであればどのようなものであっても良い。例えば情報処理装置2のオペレーティングシステム(いわゆる、OS)に搭載されているスクリーンセーバを起動することによって印刷対象データの内容を隠蔽するものであっても良い。またオペレーティングシステムとは別のプログラムを起動することによって印刷対象データの内容を隠蔽するものであっても良い。また表示装置13をスリープモードに移行させることにより表示画面を消灯させるものであっても良い。さらに、情報処理装置2に対してユーザがログインしている状態をログオフ状態に移行させ、表示画面にログオフ画面を表示させるものあっても構わない。
【0025】
このようなマスク処理は、情報処理装置2に対して何らかの入力操作が行われると、それによって解除されてしまう可能性がある。そのため、本実施形態では、第三者によってマスク処理が解除されてしまうことを防止するために、表示画面にマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックする。表示画面に対してマスク処理を施した状態でさらにロックをかけることにより、その後は、ロック解除パスワードに一致するパスワードの入力がない限り、表示画面のロック状態は解除されず、またマスク処理も解除されないようになる。
【0026】
図2は、情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置2は、各種プログラムを実行するCPU10と、CPU10によるプログラム実行に伴って一時的なデータなどを記憶するメモリ11と、ネットワーク5に接続するためのネットワークインタフェース12と、液晶表示デバイスなどで構成される表示装置13と、キーボード14aおよびマウス14bを備えて構成される操作入力部14と、ハードディスク装置などで構成される記憶装置15とを備えている。そして、これら各部がデータバス16に接続された構成である。CPU10は、データバス16を介して、メモリ11、ネットワークインタフェース12、表示装置13、操作入力部14および記憶装置15のそれぞれとデータの受け渡しが可能である。
【0027】
この情報処理装置2には、上述したオペレーティングシステムの他、様々なプログラムがインストールされている。特に本実施形態では、情報処理装置2が画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信するためのプリンタドライバとして実行されるプログラム20がインストールされており、そのプログラム20が記憶装置15に記憶されている。このプログラム20は、印刷ジョブを画像形成装置3に送信するだけでなく、表示装置13の表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックする機能を実現する。さらにプログラム20は、画像形成装置3とデータ通信を行うことにより、表示装置13の表示画面にマスク処理が施された状態でのロックを解除したり、表示画面に施されているマスク処理を解除したりする機能を実現する。
【0028】
また、記憶装置15には、印刷対象データ21が記憶されると共に、プログラム20が実行されることにより参照されるマスク処理設定情報22が記憶される。尚、このマスク処理設定情報22は、プログラム20の動作パラメータとしてプログラム20に書き込まれた情報であっても構わない。
【0029】
図3は、情報処理装置2のCPU10がユーザの印刷指示に基づきプログラム20を起動した状態の機能構成の一例を示すブロック図である。CPU10は、プリンタドライバとしてプログラム20を起動すると、ユーザインタフェース制御部30、印刷設定処理部31、印刷ジョブ生成部33、印刷ジョブ送信部34、マスク処理部35およびロック解除部36として機能する。
【0030】
ユーザインタフェース制御部30は、印刷ジョブ送信時のユーザによる各種設定操作を受け付けて処理する制御部である。すなわち、表示装置13に対して、プリンタドライバとしての設定画面を表示し、キーボード14aおよびマウス14bからユーザ操作に基づく操作信号を入力する。ユーザインタフェース制御部30は、ユーザによって入力される操作信号を印刷設定処理部31に出力する。またユーザによって印刷ジョブの送信が指示された場合は、印刷ジョブ生成部33を機能させる。
【0031】
印刷設定処理部31は、ユーザ操作に基づいて印刷ジョブに関する設定を行う処理部である。この印刷設定処理部31は、マスク処理設定部32を備えている。マスク処理設定部32は、記憶装置15に記憶されているマスク処理設定情報22を読み出し、ユーザ操作に基づいてマスク処理設定情報22を書き換えることにより、印刷ジョブを送信することに伴って行うマスク処理に関する設定、および、ロック解除に関する設定を行う。
【0032】
図4は、表示装置13に表示されるプリンタドライバの設定画面の一例を示す図である。図4に示すように、この設定画面には、カラー設定などの印刷に関する基本設定を行うための基本設定タグ101と、印刷時のレイアウト設定を行うためのレイアウトタグ102と、表示画面のマスク処理およびロック解除に関する設定を行うための特殊設定タグ103とが表示される。ユーザは、マウス14bを操作することによってマウスポインタ104を画面内で移動させ、一のタグをクリック操作することにより、所望の設定を行うための画面を表示させることができる。図例では、特殊設定タグ103が選択され、表示画面のマスク処理およびロック解除に関する設定を行うためのマスク処理設定画面が表示された状態を示している。図4に示すマスク処理設定画面では、画面左側がマスク処理に関する設定を行うためのマスク処理設定欄110となっており、画面右側がロック解除に関する設定を行うためのロック解除設定欄120となっている。
【0033】
マスク処理設定欄110には、表示装置13の表示画面に対するマスク処理設定のオン/オフを切り換えるためのチェック欄111が表示されており、マウス操作によってこのチェック欄111にチェックマークを付することによりマスク処理設定がオンになる。またチェックマークが消えた状態ではマスク処理設定はオフである。図例では、マスク処理設定がオンになっている状態を示している。マスク処理設定がオンのとき、ユーザはマスク処理の実行タイミングを次の4つのうちから択一的に選択することができる。
【0034】
第1のタイミングは、情報処理装置2が画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信した直後のタイミングである。選択ボタン112がクリック操作されると、この第1のタイミングが選択された状態となり、情報処理装置2は、画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信した直後のタイミングで表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示画面をロックする。尚、図例では、この第1のタイミングが選択された状態を示している。
【0035】
第2のタイミングは、情報処理装置2が画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信した後、ユーザが操作入力部14に対して操作を行わない非操作状態が所定時間継続したタイミングである。選択ボタン113がクリック操作されると、この第2のタイミングが選択された状態となる。この場合、ユーザは、非操作状態であることを検出し続ける所望の時間を時間設定欄113aに設定することができる。この場合、情報処理装置2は、画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信した後、ユーザが操作入力部14に対して何も操作を行わない非操作状態が時間設定欄113aに設定された時間を経過したタイミングで表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示画面をロックする。
【0036】
第3のタイミングは、情報処理装置2から送信した印刷ジョブが画像形成装置3によって受信された後のタイミングである。選択ボタン114がクリック操作されると、この第3のタイミングが選択された状態となり、情報処理装置2は、印刷ジョブを送信する際、画像形成装置3に対して印刷ジョブの受信完了後にマスク処理指令を返答するよう要求する。これにより、画像形成装置3が印刷ジョブの受信を完了すると、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信してくるようになる。そして情報処理装置2は、画像形成装置3からマスク処理指令を受信したタイミングで、表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示画面をロックする。
【0037】
第4のタイミングは、情報処理装置2から送信した印刷ジョブが画像形成装置3によって実行が開始されたタイミングである。選択ボタン115がクリック操作されると、この第4のタイミングが選択された状態となり、情報処理装置2は、印刷ジョブを送信する際、画像形成装置3に対して印刷ジョブの実行開始時にマスク処理指令を返答するよう要求する。これにより、画像形成装置3が印刷ジョブの実行を開始すると、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信してくるようになる。そして情報処理装置2は、画像形成装置3からマスク処理指令を受信したタイミングで、表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示画面をロックする。
【0038】
このようにユーザはマスク処理設定欄110に対する操作を行うことにより、表示画面にマスク処理を施すか否かを設定することができると共に、マスク処理を施す場合にはマスク処理を実行するタイミングを所望のタイミングに選択することができる。
【0039】
またロック解除設定欄120には、表示装置13の表示画面にマスク処理が施されたロック状態を解除する解除処理設定のオン/オフを切り換えるためのチェック欄121が表示されており、マウス操作によってこのチェック欄121にチェックマークを付することにより解除処理設定がオンになる。またチェックマークが消えた状態では解除処理設定はオフである。図例では、解除処理設定がオンになっている状態を示している。
【0040】
解除処理設定がオンのとき、ユーザはパスワード入力欄122にロックを解除するためのロック解除パスワードを入力する。ただし、パスワード入力欄122へのパスワードの入力は、ユーザが手動操作で入力するものに限られない。例えば、情報処理装置2のオペレーティングシステムに搭載されているスクリーンセーバのロック機能を利用する場合、マスク処理設定部32は、オペレーティングシステムからスクリーンセーバのロック解除用のパスワードを取得し、その取得したパスワードをパスワード入力欄122へ自動的に表示するものであっても構わない。
【0041】
また、解除処理設定がオンのとき、ユーザは、ロック解除のみを行うか、或いは、ロックとマスク処理の双方を解除するかを選択することができる。例えば、選択ボタン123をクリック操作すれば、ロック解除のみを行う設定となり、ロック解除時には表示画面にマスク処理が施された状態でのロックだけが解除され、表示画面にマスク処理の施された状態を継続させる設定となる。また、選択ボタン124をクリック操作すれば、ロック解除とマスク処理解除との双方を行う設定となり、ロック解除時には表示画面にマスク処理が施された状態でのロックが解除されると共に、表示画面に施されているマスク処理も解除される設定となる。
【0042】
さらに、解除処理設定がオンのとき、ユーザは、ロック解除後にそのロック解除された状態を継続させる有効時間を設定することができる。この設定操作は、時間設定欄125に対してユーザが所望する時間を入力することにより行われる。ただし、この有効時間は0秒には設定できないようにしておくことが好ましい。これにより、ロックが解除された状態を少なくとも数秒程度は継続させることが可能になる。
【0043】
このようにユーザはロック解除設定欄120に対する操作を行うことにより、表示画面に施されるマスク処理のロック状態を自動的に解除するか否かを設定することができると共に、ロック解除を自動的に行う場合には、ロック解除のみを行うのか、それともロックとマスク処理との双方を同時に解除するのかを選択することができる。さらに、ロックを自動解除した場合のロック解除状態を継続させる時間を適宜設定することが可能である。
【0044】
また図示を省略するが、ユーザにより基本設定タグ101がクリック操作されると、ユーザインタフェース制御部30は、印刷ジョブに関する基本設定を受け付けるための基本設定画面を表示する。この基本設定画面では、上述したような印刷時のカラー設定などの他、画像形成装置3において印刷ジョブを実行させるタイミングを設定することもできる。例えば、画像形成装置3で印刷ジョブの受信が完了すると直ちに印刷ジョブを実行させる通常印刷と、画像形成装置3で印刷ジョブの受信が完了しても直ぐには印刷ジョブを実行させず、ユーザが画像形成装置3に対してユーザIDやパスワードなどの認証情報を入力したタイミングで印刷ジョブを実行させるセキュリティ印刷とを選択的に設定することができる。セキュリティ印刷が設定された場合は、ユーザが画像形成装置3の設置場所に来たことを確認してから印刷ジョブが実行されるので、画像形成装置3で出力される印刷物の内容が第三者に見られてしまうことはなく、セキュリティの高いジョブ実行形態となっている。
【0045】
上記のようにして、ユーザがプリンタドライバの設定画面に対して各種設定操作を行うと、ユーザインタフェース制御部30は、その設定操作の内容を表示画面に反映させると共に、その設定操作を印刷設定処理部31へ通知する。その結果、印刷設定処理部31は、印刷ジョブに対する各種設定情報を生成し、その情報を印刷ジョブ生成部33へ出力する。特にマスク処理設定部32は、図4に示すマスク処理設定画面に対してユーザにより行われる設定操作に基づいてマスク処理設定情報22を生成する。具体的には、記憶装置15から読み出したマスク処理設定情報22に含まれるマスク処理に関する設定値、および、ロック解除に関する設定値を、ユーザによる設定操作に基づいて更新する。そしてマスク処理設定情報22を更新した場合は、更新後のマスク処理設定情報22を再び記憶装置15に記憶する。またマスク処理設定部32は、ユーザによる設定操作が反映されたマスク処理設定情報22を印刷ジョブ生成部33に出力する。
【0046】
印刷ジョブ生成部33は、ユーザによる印刷ジョブの送信指示が与えられた場合に動作を開始する。ユーザによる印刷ジョブの送信指示は、例えば図4に示すOKボタン106がクリック操作されることにより行われる。尚、ユーザは印刷ジョブの送信をすることなく、プログラム20の実行を終了させる場合、図4に示すキャンセルボタン107をクリック操作すれば良い。
【0047】
印刷ジョブ生成部33は、ユーザによる印刷ジョブの送信指示が与えられると、記憶装置15に記憶されている印刷対象データ21を読み出し、この印刷対象データ21に基づいて描画用データを生成する。描画用データは、例えば、PDL(Page Description Language)、PS(PostScript)、PCL(Printer Control Language)などのデータフォーマットとして生成され、画像形成装置3へ送信される印刷ジョブに含まれる。
【0048】
また印刷ジョブ生成部33は、印刷設定処理部31から入力する情報に基づいて印刷ジョブに付属させる付属情報を生成する。この付属情報には、印刷ジョブを実行する際の印刷設定に関する印刷設定情報と、マスク処理およびロック解除に関するマスク処理設定情報22とが含まれる。このような付属情報は、例えば、PJL(Printer Job Language)などのデータフォーマットとして生成される。
【0049】
そして印刷ジョブ生成部33は、上記のようにして生成される描画用データと付属情報とを含む印刷ジョブを生成する。その後、CPU10では印刷ジョブ送信部34が機能する。
【0050】
印刷ジョブ送信部34は、印刷ジョブ生成部33によって生成される印刷ジョブをネットワークインタフェース12に出力し、ネットワーク5を介して画像形成装置3へと送信する処理部である。この印刷ジョブ送信部34により、情報処理装置2から画像形成装置3に対して印刷ジョブが送信される。
【0051】
マスク処理部35は、マスク処理設定情報22に基づいて印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで表示装置13の表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックする処理部である。この処理により、表示装置13の表示画面は、印刷対象データの内容が表示されない状態に切り換えられ、しかもその状態で画面がロックされるので、ユーザが情報処理装置2から離れた場合であっても第三者によって印刷対象データの内容が閲覧されることを防止できる。
【0052】
このマスク処理部35は、例えば印刷ジョブ送信部34によって印刷ジョブが画像形成装置3に送信されるタイミングで機能し、記憶装置15に記憶されているマスク処理設定情報22を読み出す。そして表示装置13の表示画面に対するマスク処理設定がオン設定であるかを判定し、オン設定であれば、マスク処理実行タイミングを特定する。
【0053】
マスク処理設定情報22において、印刷ジョブを送信した直後のタイミングで表示画面にマスク処理を施す設定が行われている場合、マスク処理部35はその設定に対応した処理を行う。すなわち、マスク処理部35は、印刷ジョブ送信部34による印刷ジョブの送信が完了したタイミングで表示装置13の表示画面にマスク処理を施し、さらにそのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックする。
【0054】
またマスク処理設定情報22において、印刷ジョブを送信した後、ユーザが操作入力部14に対して操作を行わない非操作状態が所定時間継続したタイミングで表示画面にマスク処理を施す設定が行われている場合、マスク処理部35はその設定に対応した処理を行う。すなわち、マスク処理部35は、印刷ジョブ送信部34による印刷ジョブの送信が完了したタイミングで、操作入力部14からの入力信号の有無を所定時間監視する。尚、この所定時間は、図4の時間設定欄113aに設定された時間である。
【0055】
そして所定時間の間に、操作入力部14からの入力信号が検出されなかった場合、マスク処理部35は、表示装置13の表示画面にマスク処理を施し、さらにそのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックする。
【0056】
これに対し、所定時間の間に、操作入力部14からの入力信号が検出された場合、マスク処理部35は、その時点で監視を終了する。この場合、マスク処理部35は、表示装置13の表示画面に対するマスク処理やロックは行わない。これにより、例えばユーザが文書データの印刷操作を行った後、それに引き続いて表計算データの印刷操作を繰り返し行いたい場合に、文書データの印刷ジョブを送信した直後に表示装置13の表示画面にマスク処理が施され、しかも表示画面がロックされてしまうことを防止することができる。
【0057】
またマスク処理設定情報22において、情報処理装置2から送信した印刷ジョブが画像形成装置3によって受信された後のタイミングで表示画面にマスク処理を施す設定が行われている場合、又は、情報処理装置2から送信した印刷ジョブが画像形成装置3によって実行が開始されたタイミングで表示画面にマスク処理を施す設定が行われている場合、マスク処理部35はそれらの設定に対応した処理を行う。すなわち、マスク処理部35は、印刷ジョブ送信部34による印刷ジョブの送信が完了した後、画像形成装置3からのマスク処理指令を待機する状態となり、画像形成装置3からマスク処理指令を受信したタイミングで、表示装置13の表示画面にマスク処理を施し、さらにそのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックする。
【0058】
マスク処理部35により、表示装置13の表示画面にマスク処理が施され、さらにそのマスク処理が施された状態で表示装置13の表示画面がロックされた状態になると、次にロック解除部36が機能する。
【0059】
ロック解除部36は、表示装置13の表示画面にマスク処理が施された状態でのロックを解除する処理部である。また、ロック解除部36は、ロックを解除するだけでなく、表示画面に施されたマスク処理を解除することも可能である。ロック解除部36は、マスク処理部35によって表示装置13の表示画面にマスク処理が施され、さらにそのマスク処理が施された状態で表示装置13の表示画面がロックされた状態になると、画像形成装置3から送信されるロック解除指令を待機する状態となる。ロック解除指令は、画像形成装置3において印刷ジョブが実行され、印刷出力が完了することにより、画像形成装置3から情報処理装置2へと送信される。このロック解除指令には、ロック解除パスワードの他、
ロック解除のみを行うか、又は、ロックとマスク処理の双方を解除するかを示す情報、並びに、ロック解除後にその解除状態を継続させる有効時間に関する情報が含まれている。
【0060】
ロック解除部36は、待機状態において画像形成装置3からロック解除指令を受信すると、そのロック解除指令に基づいて表示装置13の表示画面のロック状態を解除すると共に、必要に応じてマスク処理も同時に解除する。そしてロック解除部36は、ロックを解除したタイミングで、操作入力部14からの入力信号の有無を所定時間監視する。尚、この所定時間は、ロック解除状態を継続させる有効時間である。
【0061】
そして所定時間の間に、操作入力部14からの入力信号が検出されなかった場合、ロック解除部36は再びマスク処理部35を機能させる。これにより、マスク処理部35は、表示装置13の表示画面に対して必要に応じてマスク処理を施し、表示画面にマスク処理が施された状態で表示装置13の表示画面をロックする。
【0062】
これに対し、所定時間の間に、操作入力部14からの入力信号が検出された場合、ロック解除部36は、その時点で監視を終了する。このとき、表示装置13の表示画面にマスク処理が施されている状態であれば、ロック解除部36は、操作入力部14からの入力信号が検出されたことに伴い、表示画面のマスク処理を解除する。
【0063】
したがって、本実施形態の情報処理装置2は、画像形成装置3における印刷出力が完了してから所定時間が経過するまでの間に、ユーザが画像形成装置3で出力された印刷物を取得し、さらに情報処理装置2の設置場所まで戻ってきて情報処理装置2に対して任意の入力操作を行えば、ロック解除パスワードを入力するための操作を行うことなく、情報処理装置2を使用することが可能である。
【0064】
図5は、情報処理装置2から画像形成装置3へ送信される印刷ジョブD1の一例を示す図である。上述したように、ユーザが自身の情報処理装置2を操作して印刷ジョブ送信指示を行うと、情報処理装置2から画像形成装置3に対して印刷ジョブD1が送信される。この印刷ジョブD1には、印刷対象データに基づいて生成された描画用データD2と、ユーザによる設定操作に基づいて生成された付属情報D3とが含まれる。また付属情報D3には、画像形成装置3において印刷ジョブを実行する際の印刷設定を指定する印刷設定情報D4と、マスク処理およびロック解除に関するマスク処理設定情報D5とが含まれる。
【0065】
付属情報D3に含まれる印刷設定情報D4には、カラー設定などの印刷ジョブ実行時に適用する各種の設定情報が含まれる他、印刷ジョブの実行タイミングを指定する情報として、上述した通常印刷およびセキュリティ印刷のいずれか一方を指定する情報が含まれる。
【0066】
また付属情報D3に含まれるマスク処理設定情報D5は、情報処理装置2の記憶装置15に記憶されているマスク処理設定情報22とほぼ同じ内容の情報である。例えば、マスク処理設定情報D5には、表示画面に対するマスク処理設定のオン/オフに関する情報が含まれており、マスク処理設定がオンのときには更にマスク処理の実行タイミングに関する情報が含まれる。また、マスク処理設定情報D5には、ロック状態を解除する解除処理設定のオン/オフに関する情報も含まれている。そして解除処理設定のオンのときには、更に、ロック解除パスワード、ロック解除のみを行うか又はロックとマスク処理の双方を解除するかを示す情報、並びに、ロック解除後にその解除状態を継続させる有効時間に関する情報が含まれている。
【0067】
画像形成装置3は、このような印刷ジョブD1を受信すると、付属情報D3に含まれる印刷設定情報D4に基づいて印刷ジョブを実行する。また、画像形成装置3は、付属情報D3に含まれるマスク処理設定情報D5に基づいて、情報処理装置2に対し、マスク処理指令や、ロック解除指令を送信する。
【0068】
図6は、画像形成装置3のハードウェア構成および機能構成の一例を示す図である。画像形成装置3は、各部を制御する制御部40と、ユーザインタフェースとなる操作パネル41と、原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部43と、描画用データに基づいて用紙などの印刷媒体に画像形成を行って印刷出力を行うプリンタ部44と、FAXデータの送受信を行うFAX部45と、ネットワーク5を介して情報処理装置2とデータ通信を行うためのネットワークインタフェース46と、ハードディスク装置などで構成される記憶装置47とを備えており、これらがデータバス48を介して相互にデータの入出力が可能な構成である。
【0069】
操作パネル41は、ユーザに対して各種情報を表示する表示部41aと、ユーザが画像形成装置3に対して各種操作を行うための操作部41bとを備えている。表示部41aは、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成される。操作部41bは、表示部41aの表示画面に配置されたタッチパネルキーと、表示部41aの周囲に配置された押しボタンキーとを備えている。例えば、セキュリティ印刷を設定した印刷ジョブを実行する場合、ユーザは操作パネル41を操作することによってユーザIDやパスワードなどの認証情報を入力し、画像形成装置3にログインする。画像形成装置3は、ログインユーザに対応したセキュリティ印刷の印刷ジョブを記憶している場合、その印刷ジョブを読み出して実行する。
【0070】
記憶装置47には、セキュリティ印刷が設定された印刷ジョブを記憶するためのジョブ記憶部49が設けられている。画像形成装置3は、ネットワーク5を介して受信した印刷ジョブに、セキュリティ印刷の設定が行われていれば、受信後直ちに印刷ジョブを実行するのではなく、その受信した印刷ジョブをジョブ記憶部49に記憶する。そして上述したように印刷ジョブを送信したユーザが画像形成装置3にログインすることにより、ジョブ記憶部49からセキュリティ印刷の印刷ジョブを読み出して実行する。
【0071】
制御部40は、例えばCPUとメモリとを備えており、CPUが所定のプログラムを実行することにより、各部を制御する制御手段として機能する。特に本実施形態においては、制御部40は、ネットワーク5を介して受信する印刷ジョブの実行を制御すると共に、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送出したり、ロック解除指令を送出したりするように構成されている。
【0072】
このような制御部40は、図6に示すように、ジョブ受信部50、ジョブ解析部51、ジョブ実行部53、マスク処理指令部54、および、ロック解除指令部55として機能する。尚、制御部40は、この他にも種々の処理部として機能するが、それらについて図示を省略している。
【0073】
ジョブ受信部50は、情報処理装置2から送信される印刷ジョブD1を、ネットワークインタフェース46を介して受信する処理部である。ジョブ受信部50は、印刷ジョブD1を受信すると、ジョブ解析部51を機能させる。
【0074】
ジョブ解析部51は、ジョブ受信部50によって受信された印刷ジョブD1を解析する処理部である。このジョブ解析部51は、印刷ジョブD1に含まれる印刷設定情報D4を解析し、印刷ジョブの実行タイミングとして通常印刷が設定されていれば、その印刷ジョブD1をジョブ実行部53に出力する。これに対し、セキュリティ印刷が設定されていれば、ジョブ受信部50によって受信された印刷ジョブD1をジョブ記憶部49に保存する。
【0075】
またジョブ解析部51は、条件判定部52を備えている。条件判定部52は、印刷ジョブD1に含まれるマスク処理設定情報D5を解析することにより、情報処理装置2において表示装置13の表示画面にマスク処理を施すためのマスク処理指令を送信する必要があるか否かを判定する。情報処理装置2にマスク処理指令を送信する必要がある場合、条件判定部52は、マスク処理指令を送信する条件(すなわち、マスク処理の実行タイミング)を判定する。マスク処理設定情報D5において、画像形成装置3が印刷ジョブD1を受信したタイミングでマスク処理を実行する設定となっている場合、条件判定部52は、印刷ジョブD1の受信が完了したことに伴い、マスク処理指令部54を機能させ、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信させる。また、マスク処理設定情報D5において、画像形成装置3が印刷ジョブD1の実行を開始したタイミングでマスク処理を実行する設定となっている場合、条件判定部52は、ジョブ実行部53が印刷ジョブD1の実行を開始したタイミングで、マスク処理指令部54を機能させ、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信させる。
【0076】
また条件判定部52は、印刷ジョブD1に含まれるマスク処理設定情報D5を解析することにより、情報処理装置2において表示装置13の表示画面にマスク処理が施されたロック状態を解除するためのロック解除指令を送信する必要があるか否かを判定する。情報処理装置2にロック解除指令を送信する必要がある場合、条件判定部52は、ロック解除指令を送信する条件を判定する。これにより、ロック解除のみを行うか、又は、ロックとマスク処理の双方を解除するかが特定されると共に、ロックを解除した状態での有効時間を特定することができる。また、ロックを解除するためのロック解除パスワードも特定することができる。そして条件判定部52は、その特定した情報をロック解除指令部55に通知する。
【0077】
ジョブ実行部53は、印刷ジョブD1に含まれる描画用データD2をプリンタ部44に出力することでジョブの実行を制御する処理部である。このとき、印刷ジョブD1に含まれる印刷設定情報D4に基づいてプリンタ部44の駆動制御を行うことにより、ユーザによって指定された印刷設定を反映させた印刷出力を行う。
【0078】
ジョブ実行部53は、ジョブ受信部50によって通常印刷として設定されている印刷ジョブD1が受信されると、その印刷ジョブD1に基づいて直ちに印刷ジョブの実行を開始する。またユーザが操作パネル41を操作することによって画像形成装置3にログインした場合、そのログインユーザに対応するセキュリティ印刷の印刷ジョブD1がジョブ記憶部49に記憶されていれば、それを読み出し、その読み出した印刷ジョブD1に基づいて印刷ジョブの実行を開始する。そしてジョブ実行部53は、印刷ジョブD1に基づく印刷出力が完了すると、ロック解除指令部55を機能させる。
【0079】
マスク処理指令部54は、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信する処理部である。マスク処理指令部54は、条件判定部52によって指定されたタイミングでマスク処理指令を情報処理装置2に送信する。例えば、マスク処理設定情報D5において、画像形成装置3が印刷ジョブD1を受信したタイミングでマスク処理を実行する設定となっている場合、マスク処理指令部54は、ジョブ受信部50によって印刷ジョブD1の受信が完了したことに伴い、マスク処理指令を情報処理装置2に送信する。また、マスク処理設定情報D5において、画像形成装置3が印刷ジョブD1の実行を開始したタイミングでマスク処理を実行する設定となっている場合、マスク処理指令部54は、ジョブ実行部53が印刷ジョブD1の実行を開始したタイミングで、マスク処理指令を情報処理装置2に送信する。ただし、情報処理装置2が印刷ジョブD1を送信したことにより、情報処理装置2の内部処理で既にマスク処理が施されている場合には、マスク処理指令部54はマスク処理指令を送信する必要はない。
【0080】
ロック解除指令部55は、ジョブ実行部53が印刷ジョブD1を実行し、それに伴う印刷出力が全て完了したタイミングでロック解除指令を情報処理装置2に送信する処理部である。ロック解除指令部55は、条件判定部52から通知される情報に基づいてロック解除指令を生成する。すなわち、ロック解除指令部55によって情報処理装置2に送信されるロック解除指令には、ロックを解除するためのロック解除パスワードと、ロック解除のみを行うか、又は、ロックとマスク処理の双方を解除するかを示す情報と、ロックを解除した状態での有効時間を示す情報とが含まれる。
【0081】
図7は、画像形成装置3から情報処理装置2へ送信されるマスク処理指令の一例を示す図である。上述したように、画像形成装置3から情報処理装置2に対してマスク処理指令が送信されるタイミングには2つのタイミングがある。
【0082】
図7(a)は、画像形成装置3が印刷ジョブD1を受信したタイミングでマスク処理指令を送信する場合を示している。この場合、例えば画像形成装置3から情報処理装置2に対し印刷ジョブD1を正常に受信したことを示す印刷ジョブ受信通知D11が送信され、その印刷ジョブ受信通知D11にマスク処理指令D12が含まれる。情報処理装置2は、このマスク処理指令D12を受信することにより、表示装置13の表示画面に対してマスク処理を施すと共に、表示画面をロックする。
【0083】
図7(b)は、画像形成装置3が印刷ジョブD1に基づくジョブの実行を開始したタイミングでマスク処理指令を送信する場合を示している。この場合、例えば画像形成装置3から情報処理装置2に対して印刷ジョブの実行を開始したことを示す印刷ジョブ実行開始通知D13が送信され、その印刷ジョブ実行開始通知D13にマスク処理指令D14が含まれる。情報処理装置2は、このマスク処理指令D14を受信することにより、表示装置13の表示画面に対してマスク処理を施すと共に、表示画面をロックする。
【0084】
次に図8は、画像形成装置3から情報処理装置2へ送信されるロック解除指令の一例を示す図である。上述したように、画像形成装置3において印刷ジョブの実行が完了すると、画像形成装置3から情報処理装置2に対してロック解除指令が送信される。この場合、例えば画像形成装置3から情報処理装置2に対して印刷ジョブの実行が完了したことを示す印刷ジョブ実行完了通知D21が送信され、その印刷ジョブ実行完了通知D21にロック解除指令D22が含まれる。また、ロック解除指令D22には、上述したように、ロック解除パスワードの他、ロック解除のみを行うか、又は、ロックとマスク処理の双方を解除するかを示す情報と、ロックを解除した状態での有効時間を示す情報とが含まれる。情報処理装置2は、このロック解除指令D22を受信することにより、表示装置13の表示画面に対してマスク処理を施したロック状態を解除する。
【0085】
したがって、画像形成装置3で出力された印刷物9を取得したユーザが、所定時間の間に自席に戻って情報処理装置2を操作すれば、表示装置13の表示画面に施されたロックが解除されているので、ユーザ自らロック解除パスワードの入力操作を行わなくても、情報処理装置2を使用することができるようになる。
【0086】
次に、上記のように構成された情報処理装置2および画像形成装置3の動作について説明する。
【0087】
まず、情報処理装置2において表示装置13の表示画面にマスク処理を施すための動作について説明する。図9および図10は、情報処理装置2において印刷ジョブの送信指示を検出した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、CPU10によって行われる処理であり、例えば、情報処理装置2の表示装置13に対して図4に示すプリンタドライバの設定画面が表示されている状態で、ユーザがOKボタン106をクリック操作することにより、情報処理装置2に対して印刷ジョブの送信指示を与えた場合に開始される。
【0088】
CPU10は、ユーザによる印刷ジョブの送信指示を検出すると、印刷対象データ21を読み込み(ステップS101)、その印刷対象データ21に基づいて画像形成装置3へ送信するための印刷ジョブD1を生成する(ステップS102)。またCPU10は、マスク処理設定情報22を読み込む(ステップS103)。そして表示画面のロック解除設定がオンであるか否かを判断し(ステップS104)、オンであれば、印刷ジョブD1の付属情報D3に、ロック解除設定に関するマスク処理設定情報D5を付加する(ステップS105)。尚、ロック解除設定がオフであれば、ロック解除設定に関するマスク処理設定情報D5は付加しない。
【0089】
そしてCPU10は、表示画面のマスク処理設定がオンであるか否かを判断し(ステップS106)、オンであれば、画像形成装置3から受信するマスク処理指令に基づいてマスク処理を実行するか否かを判断する(ステップS107)。その結果、画像形成装置3から受信するマスク処理指令に基づいてマスク処理を実行する場合は、印刷ジョブD1の付属情報D3に、マスク処理設定に関するマスク処理設定情報D5を付加する(ステップS108)。これに対し、ロック解除設定がオフである場合(ステップS106でNO)、又は、画像形成装置3からマスク処理指令を受信しなくても印刷ジョブD1の送信後に情報処理装置2の内部処理でマスク処理を実行可能な場合(ステップS107でNO)は、マスク処理設定に関するマスク処理設定情報D5は付加しない。
【0090】
そしてCPU10は、上記のようして生成された印刷ジョブD1を画像形成装置3に送信する(ステップS109)。続いて図10のフローチャートに進み、CPU10は、印刷ジョブの送信直後にマスク処理を実行するか否かを判断する(ステップS110)。印刷ジョブの送信直後にマスク処理を実行する場合(ステップS110でYES)、CPU10は、表示画面にマスク処理を施し(ステップS112)、さらにマスク処理を施した状態で表示画面をロックする(ステップS113)。
【0091】
一方、印刷ジョブの送信直後にマスク処理を実行しない場合(ステップS110でNO)、CPU10は、印刷ジョブを送信してから非操作状態が所定時間継続した後にマスク処理を実行するか否かを判断する(ステップS114)。ここでNOと判断された場合はステップS118へと進む。これに対し、YESと判断された場合は、印刷ジョブD1が送信されたことに伴って時間計測を開始する(ステップS115)。そして所定時間が経過した否かを判断する(ステップS116)。尚、この所定時間は、図4に示す時間設定欄113aに設定された時間である。そして所定時間が経過していない場合、CPU10はさらにユーザによる操作を検出したか否かを判断する(ステップS117)。ここでは、操作入力部14から何らかの操作信号を入力していればYESとなり、操作信号を全く入力していなければNOとなる。そしてユーザによる操作を検出していなければ、ステップS116に戻り、所定時間が経過するまで同様の処理を繰り返す。そしてユーザによる操作を検出することなく、所定時間が経過した場合(ステップS116でYES)、CPU10は、表示画面にマスク処理を施し(ステップS112)、さらにマスク処理を施した状態で表示画面をロックする(ステップS113)。これに対し、所定時間が経過するまでの間に、ユーザによる操作を検出した場合(ステップS117でYES)、CPUは、表示画面に対するマスク処理およびロック処理を行うことなく、ループ処理を抜ける。
【0092】
そしてステップS118に進み、CPU10は、画像形成装置3から受信するマスク処理指令に基づいてマスク処理を実行するか否かを判断する(ステップS118)。その結果、画像形成装置3から受信するマスク処理指令に基づいてマスク処理を実行する場合(ステップS118でYES)は、画像形成装置3からマスク処理指令を受信するまで待機する(ステップS119)。そしてマスク処理指令を受信すると、CPU10は、それに伴って、表示画面にマスク処理を施し(ステップS120)、さらにマスク処理を施した状態で表示画面をロックする(ステップS121)。一方、画像形成装置3から受信するマスク処理指令に基づいてマスク処理を実行する設定にはなっていない場合(ステップS118でNO)、CPU10は、ステップS119〜S121を行うことなく、処理を終了する。
【0093】
情報処理装置2において上記のような処理が行われることにより、情報処理装置2が印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで表示装置13の表示画面にマスク処理を施すことができると共に、そのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックすることができる。そして情報処理装置2は、上記のようにして表示装置13の表示画面をロックした状態にすると、その後は画像形成装置3から送信されるロック解除指令の受信待機状態へと移行する。
【0094】
次に、画像形成装置3において印刷ジョブD1が受信された場合の動作について説明する。図11および図12は、画像形成装置3において印刷ジョブD1が受信された場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、主として画像形成装置3の制御部40によって行われる。
【0095】
制御部40は、情報処理装置2から送信された印刷ジョブD1を受信すると、その印刷ジョブD1に含まれる付属情報D3を読み込む(ステップS201)。そして印刷ジョブD1の解析を行う(ステップS202)。そして制御部40は、印刷ジョブD1を受信した後に、情報処理装置2においてマスク処理が実行されるか否かを判断する(ステップS203)。マスク処理設定情報D5において印刷ジョブD1を受信した後にマスク処理が実行される設定となっていれば(ステップS203でYES)、制御部40は、印刷ジョブD1の受信が完了することに伴い、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信する(ステップS204)。一方、そのような設定になっていない場合(ステップS203でNO)、制御部40は、マスク処理指令を送信することなく、次のステップS205に進む。
【0096】
次に制御部40は、セキュリティ印刷の設定が行われているか否かを判断する(ステップS205)。その結果、セキュリティ印刷の設定が行われていれば(ステップS205でYES)、セキュリティ印刷処理を実行する(ステップS206)。尚、このセキュリティ印刷処理の詳細については後述する。
【0097】
これに対し、セキュリティ印刷の設定が行われていない場合(ステップS205でNO)、通常印刷となるので、制御部40は受信した印刷ジョブD1に基づくジョブの実行を直ちに開始する(ステップS207)。これにより、画像形成装置3では、印刷ジョブD1に基づく印刷出力が開始される。そして制御部40は、印刷ジョブD1に基づくジョブの実行開始時に、情報処理装置2においてマスク処理が実行されるか否かを判断する(ステップS208)。マスク処理設定情報D5において印刷ジョブの実行開始時にマスク処理が実行される設定となっていれば(ステップS208でYES)、制御部40は、印刷ジョブの実行開始に伴い、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信する(ステップS209)。一方、そのような設定になっていない場合(ステップS208でNO)、制御部40は、マスク処理指令を送信することなく、次のステップS210に進む。
【0098】
そして制御部40は、印刷ジョブD1に基づく印刷出力が完了するまで待機する状態となり(ステップS210)、印刷出力が完了すると、表示画面のロック解除設定がオンになっているか否かを判断する(ステップS211)。そしてロック解除設定がオンになっていれば、予め判定されているロック解除の条件に従ってロック解除指令を生成し、そのロック解除指令を情報処理装置2に送信する(ステップS212)。これに対し、ロック解除設定がオフであれば、制御部40は、ロック解除指令を送信することなく、処理を終了する。
【0099】
図12は、画像形成装置3で行われるセキュリティ印刷処理(ステップS206)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。受信した印刷ジョブD1にセキュリティ印刷の設定が行われている場合、制御部40は、その受信した印刷ジョブD1をジョブ記憶部49に記憶する(ステップS231)。その後、ユーザによって認証情報が入力されるのを待機する状態となり(ステップS232)、認証情報が入力されると、その認証情報が印刷ジョブD1に設定されている認証情報と一致するか否かを判断する(ステップS233)。そして認証情報が一致することにより、ステップS234へと進む。一方、認証情報が一致しなければ、ステップS232に戻る。
【0100】
ユーザによって入力された認証情報が一致した場合、制御部40は、ジョブ記憶部49から印刷ジョブD1を読み込み(ステップS234)、その印刷ジョブD1に基づくジョブの実行を開始する(ステップS235)。これにより、画像形成装置3では、印刷ジョブD1に基づく印刷出力が開始される。そして制御部40は、印刷ジョブD1に基づくジョブの実行開始時に、情報処理装置2においてマスク処理が実行されるか否かを判断する(ステップS236)。マスク処理設定情報D5において印刷ジョブの実行開始時にマスク処理が実行される設定となっていれば(ステップS236でYES)、制御部40は、印刷ジョブD1の実行開始に伴い、情報処理装置2に対してマスク処理指令を送信する(ステップS237)。一方、そのような設定になっていない場合(ステップS236でNO)、制御部40は、マスク処理指令を送信することなく、次のステップS238に進む。
【0101】
そして制御部40は、印刷ジョブD1に基づく印刷出力が完了するまで待機する状態となり(ステップS238)、印刷出力が完了すると、表示画面のロック解除設定がオンになっているか否かを判断する(ステップS239)。そしてロック解除設定がオンになっていれば、予め判定されているロック解除の条件に従ってロック解除指令を生成し、そのロック解除指令を情報処理装置2に送信する(ステップS240)。これに対し、ロック解除設定がオフであれば、制御部40は、ロック解除指令を送信することなく、処理を終了する。
【0102】
画像形成装置3において上記のような処理が行われることにより、画像形成装置3が印刷ジョブD1を受信した後の所定のタイミングで、情報処理装置2に、表示装置13の表示画面に対してマスク処理を実行させるためのマスク処理指令を送信することができると共に、印刷ジョブD1に基づくジョブの実行が完了したタイミングで、情報処理装置2に、表示画面のロック状態を解除させるためのロック解除指令を送信することができる。
【0103】
次に情報処理装置2において画像形成装置3から送信されるロック解除指令を受信した場合の動作について説明する。図13および図14は、情報処理装置2においてロック解除指令を受信した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、情報処理装置2のCPU10によって行われる。
【0104】
CPU10は、画像形成装置3からロック解除指令を受信すると、その時点で表示装置13の表示画面にマスク処理を施しているか否かを判断する(ステップS151)。マスク処理が施されていない場合は、解除の必要がないため、この処理は終了する。これに対し、マスク処理が施されている場合(ステップS151でYES)、CPU10は、受信したロック解除指令を解析する(ステップS152)。これにより、ロック解除指令に含まれるロック解除パスワードやその他の情報が抽出される。そしてCPU10は、ロック解除指令に含まれるロック解除パスワードが、マスク処理設定情報22に設定されているロック解除パスワードに一致するか否かを判断する(ステップS153)。ここでロック解除パスワードが一致しない場合、ロック解除を行うことができないので、この処理は終了する。一方、ロック解除パスワードが一致した場合(ステップS153でYES)、CPU10は、表示装置13の表示画面にマスク処理が施されている状態でのロックを解除する(ステップS154)。ここでは、ロックだけが解除され、表示画面にマスク処理が施されている状態はそのまま保持される。
【0105】
次にCPU10は、ロック解除指令に基づき、マスク処理を解除するか否かを判断する(ステップS155)。そしてロック解除指令に、マスク処理を解除する指令が含まれていれば、表示画面のマスク処理を解除する(ステップS156)。これにより、表示装置13の表示画面は、例えば印刷対象データの内容が表示された状態に復帰する。尚、ロック解除指令に、マスク処理を解除する指令が含まれていなければ、マスク処理は解除しない。この場合、ロックだけが解除された状態のまま継続する。
【0106】
そしてCPU10は、ロック解除指令に基づき、有効時間の指定が含まれているか否かを判断する(ステップS157)。ロック解除指令に有効時間の指定が含まれていない場合、そのまま処理を終了する。一方、ロック解除指令に有効時間の指定が含まれる場合(ステップS157でYES)、CPU10は、有効時間カウント処理を実行する(ステップS158)。
【0107】
図14は、有効時間カウント処理(ステップS158)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。CPU10は、有効時間のカウント動作を開始する(ステップS171)。そしてCPU10は、ユーザによる操作を検出したか否かを判断する(ステップS172)。ここでは、操作入力部14から何らかの操作信号を入力していればYESとなり、操作信号を全く入力していなければNOとなる。そしてユーザによる操作を検出していなければ、有効時間が経過したか否かを判断する(ステップS173)。ここで、有効時間が未だ経過していない場合(ステップS173でNO)、ステップS172に戻り、ユーザによる操作を検出するか、或いは、有効時間が経過するまで、同様の処理を繰り返す。
【0108】
そして有効時間が経過するまでの間に、ユーザによる操作を検出した場合(ステップS172でYES)、CPU10は、有効時間のカウント動作を終了する(ステップS174)。このとき、表示画面にマスク処理が施されていれば、そのマスク処理を解除する。そして全ての処理が終了する。
【0109】
またユーザによる操作を検出することなく、有効時間が経過した場合(ステップS173でYES)、CPU10は、表示装置13の表示画面に対して再びマスク処理を施す(ステップS175)。尚、既にマスク処理が施されている状態であれば、ステップS175の処理は行わなくても良い。そしてCPU10は、マスク処理を施した状態で表示画面を再びロックする(ステップS176)。そして全ての処理が終了する。
【0110】
情報処理装置2において上記のような処理が行われることにより、表示装置13の表示画面にマスク処理を施してロックしている状態を、画像形成装置3において印刷ジョブの実行が完了した後に、自動的に解除することができる。また、その解除状態を、予め設定されている有効時間が経過するまでの間、継続させることができる。そのため、ユーザは、その有効時間が経過するまでの間に、印刷物を取得してきて情報処理装置2に対して何らかの入力操作を行うことで情報処理装置2を使用することができるようになる。このとき、煩わしいロック解除パスワードの入力操作を行う必要がないので、操作性が著しく向上する。またユーザが印刷物を取得した後、直ぐには自席に戻らないようなときには、表示装置13の表示画面に対して再びマスク処理が施されると共に、マスク処理が施された状態で表示画面がロックされるので、第三者によって印刷対象データの内容が見られてしまうことを良好に防止することが可能である。
【0111】
以上のように本実施形態の情報処理装置2は、画像形成装置3に対して印刷ジョブD1を送信した後の所定のタイミングで、表示装置13の表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックする。そして画像形成装置3において印刷ジョブD1が実行されることに伴い、画像形成装置3から受信するロック解除指令に基づいて表示装置13の表示画面のロック状態を解除するように構成されている。したがって、ユーザが画像形成装置3で出力される印刷物を取得するために、情報処理装置2から離れた場合であっても、表示装置13に表示される情報が第三者によって見られることを良好に防止することが可能である。さらに、印刷物を取得して戻ってきたユーザは、情報処理装置2に対してロック解除パスワードを入力することなく、情報処理装置2を使用することができるようになるので、ユーザによるパスワード入力操作の負担を軽減することができ、情報処理装置2の操作性を著しく向上させることが可能である。
【0112】
また情報処理装置2は、表示装置13の表示画面のロック状態が解除されてから所定の有効時間が経過するまでの間に操作入力部14に対するユーザの操作が行われなかった場合、表示装置13の表示画面にマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面を再度ロックすることもできる。そのため、ユーザが長時間戻らないような場合でも、表示装置13に表示される情報が第三者によって見られてしまうことを良好に防止することが可能である。
【0113】
また情報処理装置2は、画像形成装置3に対して印刷ジョブD1を送信した直後のタイミング、印刷ジョブD1を送信してから操作入力部14に対する操作が行われない状態で所定時間が経過したタイミング、画像形成装置3から送信される印刷ジョブ受信通知を受信したタイミング、および、画像形成装置3から送信される印刷ジョブ実行開始通知を受信したタイミングのうちのいずれかのタイミングで、表示装置13の表示画面にマスク処理を施すと共に、そのマスク処理を施した状態で表示装置13の表示画面をロックするように構成されている。ユーザは、これら複数のタイミングから所望のタイミングを選択することができるので、より一層操作性の優れたものとなっている。
【0114】
また本実施形態の画像形成装置3は、情報処理装置2から、表示装置13の表示画面に施されるマスク処理に関するマスク処理設定情報D5が付加された印刷ジョブD1を受信した場合、マスク処理設定情報D5を解析することにより、情報処理装置2において表示装置13の表示画面にマスク処理が施された状態でのロックを解除するための条件を判定し、その印刷ジョブD1を実行することに伴い、予め判定された条件に従って情報処理装置2にマスク処理が施された状態のロックを解除させるためのロック解錠指令を送信するように構成されている。このような画像形成装置3と連携することにより、本実施形態の情報処理装置2は、第三者によって表示情報が見られることを良好に防止しつつ、ユーザによるパスワード入力操作の負担を軽減して操作性を向上させることが可能になる。
【0115】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明には、上述した実施形態以外にも種々の変形例が適用可能である。
【0116】
例えば上記実施形態では、情報処理装置2において表示装置13の表示画面にマスク処理を施してロックするマスク処理部35、および、表示画面のロックやマスク処理を解除するロック解除部36が、プリンタドライバの機能に含まれる場合を例示した。しかしながら、マスク処理部35およびロック解除部36の機能は、プリンタドライバに含まれていなくても良く、プリンタドライバと連携して動作する別のプログラムによって実現される機能であっても構わない。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成システム
2 情報処理装置(コンピュータ)
3 画像形成装置
5 ネットワーク
13 表示装置(表示手段)
14 操作入力部(操作入力手段)
20 プログラム
32 マスク処理設定部(マスク処理設定手段)
33 印刷ジョブ生成部
34 印刷ジョブ送信部
35 マスク処理部(マスク処理手段)
36 ロック解除部(解除手段)
50 ジョブ受信部(受信手段)
52 条件判定部(条件判定手段)
53 ジョブ実行部(ジョブ実行手段)
54 マスク処理指令部
55 ロック解除指令部
D1 印刷ジョブ
D5 マスク処理設定情報
D22 ロック解除指令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において印刷出力を行わせるための印刷ジョブを生成して送信する情報処理装置であって、
ユーザによる操作入力を受け付けて各種情報を入力する操作入力手段と、
各種情報を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面にマスク処理を施す条件となるマスク処理設定情報を設定する設定手段と、
前記マスク処理設定情報に基づいて前記印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックするマスク処理手段と、
前記画像形成装置において前記印刷ジョブが実行されることに伴って前記画像形成装置から受信するロック解除指令に基づいて前記表示手段の表示画面のロック状態を解除する解除手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記解除手段は、前記表示手段の表示画面のロック状態を解除すると共に、前記表示手段の表示画面に施されたマスク処理を解除することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記解除手段は、前記表示手段の表示画面のロック状態を解除してから所定の有効時間が経過するまでの間に前記操作入力手段に対する操作が行われることにより、前記表示手段の表示画面に施されたマスク処理を解除することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記マスク処理手段は、前記表示手段の表示画面のロック状態が解除されてから所定の有効時間が経過するまでの間に前記操作入力手段に対する操作が行われなかった場合、前記表示手段の表示画面にマスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面を再度ロックすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記マスク処理手段は、前記印刷ジョブを送信した直後のタイミング、前記印刷ジョブを送信してから前記操作入力手段に対する操作が行われない状態で所定時間が経過したタイミング、前記画像形成装置から送信される印刷ジョブ受信通知を受信したタイミング、および、前記画像形成装置から送信される印刷ジョブ実行開始通知を受信したタイミングのうちのいずれかのタイミングで、前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
印刷ジョブを生成して送信する情報処理装置と、前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを受信して印刷出力を行う画像形成装置とを有する画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、各種情報を表示する表示手段を備えており、前記表示手段の表示画面に施すマスク処理に関するマスク処理設定情報を付加した印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブを前記画像形成装置へ送信した後の所定のタイミングで前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックする構成であり、
前記画像形成装置は、前記情報処理装置から受信する印刷ジョブを実行することに伴い、前記マスク処理設定情報に基づいて前記情報処理装置にロック解除指令を送信する構成であり、
前記情報処理装置は、前記画像形成装置から受信する前記ロック解除指令に基づいて前記表示手段の表示画面のロック状態を解除することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
印刷ジョブを実行して印刷出力を行う画像形成装置であって、
各種情報を表示する表示手段を有する情報処理装置から、前記表示手段の表示画面に施されるマスク処理に関するマスク処理設定情報が付加された印刷ジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段によって印刷ジョブが受信されることに伴って前記マスク処理設定情報を解析することにより、前記情報処理装置において前記表示手段の表示画面にマスク処理が施された状態でのロックを解除するための条件を判定する条件判定手段と、
前記受信手段によって受信された印刷ジョブを実行するジョブ実行手段と、
前記ジョブ実行手段によって印刷ジョブが実行されることに伴い、前記条件判定手段で判定された条件に従って前記情報処理装置にマスク処理が施された状態のロックを解除させるためのロック解錠指令を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
各種情報を表示する表示手段を有するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、
前記表示手段の表示画面にマスク処理を施す条件となるマスク処理設定情報を設定する設定手段、
前記マスク処理設定情報を付加した印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブを所定の画像形成装置に送信する送信手段、
前記マスク処理設定情報に基づいて前記印刷ジョブを送信した後の所定のタイミングで前記表示手段の表示画面にマスク処理を施すと共に、当該マスク処理を施した状態で前記表示手段の表示画面をロックするマスク処理手段、および、
前記画像形成装置において前記印刷ジョブが実行されることに伴って前記画像形成装置から受信するロック解除指令に基づいて前記表示手段の表示画面のロック状態を解除する解除手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−198168(P2011−198168A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65407(P2010−65407)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】