説明

情報処理装置、超音波撮影装置および情報処理方法

【課題】 超音波プローブを対象物体の表面に沿ってナビゲーションするためのガイド図形を表示する処理の仕組みを提供する。
【解決手段】 被検体の超音波画像を得る超音波プローブによる撮影を支援するための情報処理装置100は、被検体の内部の位置を指定する注目位置指定部104と、指定された位置に基づく被検体の体表における位置を特定する体表点位置特定部112と、超音波プローブにより得られる超音波画像の撮影位置と特定された位置とを表示部124に表示させる表示制御部120と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の超音波画像を得る超音波プローブによる撮影を支援するための情報処理装置、超音波撮影装置、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像診断装置(超音波撮影装置)は非侵襲かつ簡易に被検体内部の画像が得られるため有用性が高いが、一方で撮影しにくい組織があり、また画質の問題もある。そこで、磁気共鳴映像装置(MRI装置)、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、核医学診断装置(PET装置やSPECT装置)等で得られた画像と併用することで効率的かつ精度の高い診断を行うことができる。たとえば、あらかじめ体内の注目部位をMRI画像等から指定しておき、この注目部位を超音波でも撮影し確認するといった診断が行われる。
【0003】
ここで、医師が超音波撮影装置を用いて注目部位を探し出す際の操作を適切に支援する技術は、医療現場における作業効率を向上させ、患者の負担を低減しあるいはコストの削減を実現しうるため有用である。医師や技師の熟練していなくとも効率的に診断できるよう、よりきめ細かい支援情報の提示が求められている。
【0004】
例えば特許文献1には、病変部位を撮像するための超音波プローブの当て方を示すガイド画像をボディマーク上に表示する表示方法が開示されている。この方法では超音波プローブの当て方を示す多数のガイド画像の中から、病変部位に応じたガイド画像が読み出され、ボディマークと合成して表示される。また特許文献2には、3Dボディマーク上に、病変部の位置を表す図形と、超音波画像面を表す図形と、超音波画像面から病変部の中心位置に向かう方向を表す矢印図形とを表示する表示方法が開示されている。さらに特許文献3には、過去の診断時における超音波プローブの位置を示す登録プローブマークと、現在の超音波プローブの位置を示す現プローブマークと、登録プローブマークと現プローブマークとの座標のずれを示す図形と、を表示する表示方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−97985号公報
【特許文献2】特開2008−279272号公報
【特許文献3】特開2005−124712号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M. Kazhdan, M. Bolitho, H. Hoppe,“Poisson Surface Reconstruction,”Proc. Symposium on Geometry Processing, pp.61-70, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の従来例では、予め用意したガイド画像から1つを選んで表示しているに過ぎない。このガイド画像は病変を撮影するための正確な位置を示しているわけではないため、超音波プローブの目的位置が正確には分からない。
【0008】
また、特許文献2に記載の従来例では、対象物体の内部の注目点位置に向かう方向を表す矢印図形を示しているに過ぎない。よって超音波プローブをどの位置に持っていけば対象物体の表面に沿ってのみしか動かすことのできない超音波プローブの操作を適切に支援することはできなかった。
【0009】
また特許文献3に記載の従来例では予め登録されたプローブの位置しか表示することができない。超音波画像の参照画像としてMRI画像等の三次元画像を活用する前提では、直接病変等の注目部位の位置はMRI画像をみれば確認できる。よって撮像範囲が狭い超音波プローブによる撮影で病変を適切に撮影できる位置を特定し、登録するという処理はユーザに大きな作業負担をかけることとなる。
【0010】
そこで本発明は、MRI等の三次元画像を参照しながら超音波撮影を行う際に、ユーザの作業負担を減らしつつ超音波プローブの操作をガイドすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、被検体の超音波画像を得る超音波プローブによる撮影を支援するための情報処理装置であって、前記被検体の内部の位置を指定する指定手段と、
前記指定された位置に基づく前記被検体の体表における位置を特定する特定手段と、前記超音波プローブにより得られる超音波画像の撮影位置と前記特定された位置とを表示部に表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように、三次元画像において指定された位置に基づく体表における位置と、超音波プローブによる撮影位置とを表示することができる。よってユーザは三次元画像で見たい位置を指定するだけで、どの位置に超音波プローブを移動させればよいかを容易に表示から確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1に係る情報処理装置の機器構成を説明する図である。
【図2】情報処理装置の各部をソフトウェアにより実現することのできるコンピュータの基本構成を示す図である。
【図3】実施例1における、全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施例2に係る情報処理装置の機器構成を説明する図である。
【図5】実施例2に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】乳房の超音波断層画像を撮像する様子を示す図である。
【図7】超音波断層画像の例を示す図である。
【図8】3Dボディマークの例を示す図である。
【図9】MRI画像の例を示す図である。
【図10】3Dボディマーク上の矢印マークの例を示す図である。
【図11】3Dボディマーク上の矢印マークのその他の表示例を示す図である。
【図12】実施例4に係る情報処理装置の機器構成を説明する図である。
【図13】実施例4に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の例である超音波撮影システムを例に説明する。
【実施例1】
【0015】
(体表点マークをプローブマークと共に3Dボディマーク上に表示)
図1は、本実施例における超音波撮影システムの構成を示す。同図に示すように、本実施例における情報処理装置100は、第2画像撮像装置182と位置姿勢計測装置184とデータサーバ190とに接続されている。
【0016】
本実施例に係る情報処理装置は、対象物体を撮像した三次元医用画像中の注目点から当該対象物体の表面に伸ばした体表点の位置を算出する。そして、対象物体を表す3Dボディマーク上に、体表点の位置情報を表す図形(体表点マーク)を、超音波プローブの位置情報を表す図形(プローブマーク)と共に表示する。本実施例では人体の乳房を対象物体とし、病変の拡がりを表す三次元領域(以下、病変領域と呼ぶ)の中心を注目点とする場合を例として説明する。また、本実施例では、MRI装置によって仰臥位の乳房を撮像して得られたMRI画像を三次元医用画像とする場合を例として説明する。
【0017】
データサーバ190は、第1画像撮像装置180としてのMRI装置によって仰臥位の乳房を撮像して得られたMRI画像と、MRI画像中における注目点の位置情報を保持しているものとする。図9は、MRI画像の例を示す図である。データサーバ190が保持するMRI画像900は、三次元医用画像取得部102を介して情報処理装置100に入力される。また、データサーバ190が保持する病変領域903の中心(注目点904)の位置情報は、注目点位置指定部104を介して情報処理装置100に入力される。
【0018】
第2画像撮像装置182としての超音波装置は、超音波プローブから超音波信号を送受信することによって、仰臥位の乳房を撮像する。図6は、乳房の超音波断層画像を撮像する様子を示す図である。そして、図7は、超音波断層画像の例を示す図である。乳房の表面601に超音波プローブ611を当てて撮像することによって得られた超音波断層画像700は、断層画像取得部106を介して情報処理装置100に逐次的に入力される。
【0019】
位置姿勢計測装置184は、第2画像撮像装置182としての超音波装置が備える超音波プローブ611の位置姿勢を計測する。位置姿勢計測装置184は、例えば、米国Polhemus社のFASTRAK等によって構成され、センサ座標系620(位置姿勢計測装置184が基準として定める座標系)における超音波プローブ611の位置姿勢を計測する。なお、位置姿勢計測装置184は、超音波プローブ611の位置姿勢が計測できるのであれば、どのように構成されていてもよい。計測された超音波プローブ611の位置姿勢は、位置姿勢取得部108を介して情報処理装置100に逐次的に入力される。
【0020】
情報処理装置100は、被検体の超音波画像を得る超音波プローブによる撮影を支援するための情報処理装置であって、以下に説明する構成要素により構成されている。
【0021】
三次元医用画像取得部102は、仰臥位の被検体を撮影し得られたMRI画像900を取得し、表面形状算出部110へと出力する。
【0022】
注目点位置指定部104は、情報処理装置100へと入力される被検体の内部の注目点904の位置情報に基づき、当該注目点904の座標をメモリに格納することにより、当該位置を指定する。体表点位置特定部112へと出力する。
【0023】
断層画像取得部106は、情報処理装置100へと入力される超音波断層画像700を逐次的に取得し、表示制御部120へと出力する。
【0024】
位置姿勢取得部108は、情報処理装置100へと入力されるプローブ611の位置姿勢を逐次的に取得し、プローブマーク生成部118へと出力する。
【0025】
表面形状算出部110は、MRI画像900に基づいて乳房の表面901の形状データを算出し、体表点位置特定部112および3Dボディマーク生成部114へと出力する。
【0026】
体表点位置特定部112は、指定された注目点904に基づく被検体の体表における体表点905の位置を特定する。ここでは、注目点904の位置情報と乳房の表面901の形状データに基づいて、体表点905の位置を算出し、体表点マーク生成部116へと出力する。
【0027】
3Dボディマーク生成部114は、乳房の表面901の形状データに基づいて3Dボディマークを生成する。図8は、乳房の3Dボディマークの例を示す図である。3Dボディマーク生成部114は、生成した3Dボディマーク800を表示制御部120へと出力する。
【0028】
体表点マーク生成部116は、体表点905の位置情報に基づいて、3Dボディマーク800上における体表点905の位置を表す体表点マーク805を生成し、表示制御部120へと出力する。
【0029】
プローブマーク生成部118は、超音波プローブ611の位置姿勢に基づいて、3Dボディマーク800上における超音波プローブ611の位置姿勢を表すプローブマーク811を算出し、表示制御部120へと出力する。
【0030】
表示制御部120は、超音波プローブにより得られる超音波画像の撮影位置と特定された体表点905の位置とを表示部124に表示させる。また、超音波画像の撮影位置と前記特定された前記被検体の体表面の位置とを、被検体のボディマークの画像または被検体を撮影して得られた画像の少なくともいずれかに重畳して表示させる。たとえば、3Dボディマーク800と、体表点マーク805と、プローブマーク811とを位置情報にあわせて合成する。そしてさらに超音波断層画像700と合成し、表示部124に表示させる。
【0031】
なお、図1に示した情報処理装置100の各部の少なくとも一部は、独立した装置として実現してもよい。または、夫々1つもしくは複数のコンピュータにインストールし、コンピュータのCPUにより実行することで、その機能を実現するソフトウェアとして実現してもよい。本実施例では、各部は、それぞれソフトウェアにより実現され、同一のコンピュータにインストールされているものとする。
【0032】
図2は、図1に示した各部の夫々の機能を、ソフトウェアを実行することで実現するためのコンピュータの基本構成を示す図である。
【0033】
CPU201は、RAM202やROM203に格納されたプログラムやデータを用いてコンピュータ全体の制御を行う。また、各部の夫々におけるソフトウェアの実行を制御して、各部の機能を実現する。
【0034】
RAM202は、外部記憶装置207や記憶媒体ドライブ208からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するエリアを備えると共に、CPU201が各種の処理を行うために必要とするワークエリアを備える。
【0035】
ROM203は、一般にコンピュータのプログラムや設定データなどが格納されている。キーボード204、マウス205は入力デバイスであり、操作者はこれらを用いて、各種の指示をCPU201に入力することができる。このプログラムは図3に示す処理を実現するためのプログラムである。
【0036】
表示部206は、CRTや液晶ディスプレイなどにより構成されており、3Dボディマーク800や超音波断層画像700等の表示を行う。また、表示すべきメッセージやGUI等を表示することができる。
【0037】
外部記憶装置207は、ハードディスクドライブなどの大容量情報記憶装置として機能する装置であって、ここにOS(オペレーティングシステム)やCPU201が実行するプログラム等を保存する。また本実施例の説明において、既知であると説明する情報はここに保存されており、必要に応じてRAM202にロードされる。
【0038】
記憶媒体ドライブ208は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体に記憶されているプログラムやデータをCPU201からの指示に従って読み出して、RAM202や外部記憶装置207に出力する。
【0039】
I/F1009は、アナログビデオポートあるいはIEEE1394等のデジタル入出力ポートや、各種の情報を外部へ出力するためのイーサネット(登録商標)ポート等によって構成される。夫々が入力したデータはI/F209を介してRAM202に取り込まれる。三次元医用画像取得部102、注目点位置指定部104、断層画像取得部106、位置姿勢取得部108、およびプローブマーク生成部118の機能の一部は、I/F209によって実現される。
【0040】
上述した各構成要素は、バス210によって相互に接続される。
【0041】
図3は、情報処理装置100が行う、超音波プローブ611による撮影を支援するための情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施例では、同フローチャートはCPU201が各部の機能を実現するプログラムを実行することにより実現される。なお、以下の処理を行う前段で、同フローチャートに従ったプログラムコードは、例えば外部記憶装置207からRAM202に既にロードされているものとする。
【0042】
(S3000) (MRI画像の取得)
ステップS3000で三次元医用画像取得部102の処理は、データサーバ190から情報処理装置100へと入力される、仰臥位の乳房のMRI画像900を取得する。
【0043】
(S3010) (注目点位置の指定)
ステップS3010で注目点位置指定部104は、データサーバ190から情報処理装置100へと入力される位置情報に基づいて、注目点904(病変領域903の中心)を指定する。
【0044】
(S3020) (表面形状の算出)
ステップS3020で表面形状算出部110は、MRI画像900から乳房の表面901の形状データを抽出する。本実施例では、MRI画像900を適切な閾値で2値化して、乳房領域を含む体内領域を表すラベル画像を取得する。そして、ラベル画像のボクセル値が切り替わる境界面におけるボクセルの位置座標ベクトル群として、乳房の表面901の形状を表現する。
【0045】
(S3030) (体表点位置の特定)
ステップS3030で体表点位置特定部112は、被検体の内部の注目点904の位置に基づく被検体の体表面の位置を特定する。MRI画像900中の注目点904から乳房の表面901に伸ばした体表点905の位置を算出することで当該体表点905の位置を特定する。本実施例では、乳房の表面901の形状を表現する位置座標ベクトル群を構成する各位置から注目点904の位置までの距離を夫々算出する。そして、距離が最小となる位置を選択し、選択された位置を体表点905の位置とする。
【0046】
(S3040) (3Dボディマークの生成)
ステップS3040で3Dボディマーク生成部114の処理は、乳房の表面901の形状データに基づいて3Dボディマーク800を生成する。具体的には、乳房の表面901の形状を表現する位置座標ベクトル群(点群)に基づいて、3Dボディマーク800を生成する。例えば非特許文献1に開示されるような周知のポワソン方程式を利用してメッシュを生成する手法によって3角形メッシュを生成する。
【0047】
(S3050) (体表点マークの生成)
ステップS3050で体表点マーク生成部116の処理は、体表点905の位置に体表点マーク805を生成する。例えば、体表点の位置に半径5mmのメッシュ球を生成し、それを体表点マーク805として用いる。
【0048】
(S3060) (超音波画像の取得)
ステップS3060で断層画像取得部106の処理は、第2画像撮像装置182から情報処理装置100へと逐次入力される、超音波断層画像700を取得する。
【0049】
(S3070) (プローブ位置姿勢の取得)
ステップS3070で位置姿勢取得部108は、位置姿勢計測装置184から情報処理装置100へと逐次入力される、センサ座標系620における超音波プローブ611の位置姿勢を取得する。
【0050】
(S3080) (プローブマークの生成)
ステップS3080でプローブマーク生成部118は、超音波プローブ611の位置姿勢に応じたプローブマーク811を生成する。例えば、ステップS3070で取得された超音波プローブの位置姿勢に基づいて、予め作成しておいた、超音波プローブ611の形状を近似的に表す直方体モデルの位置姿勢を変換し、それをプローブマーク811として用いる。
【0051】
(S3090) (画像の合成)
ステップS3090で表示制御部120は、3Dボディマーク800上に、体表点マーク805とプローブマーク811を合成する。
【0052】
(S3100) (マーク、画像の表示)
ステップS3100で表示制御部120は、超音波プローブ611により得られる超音波画像の撮影位置と特定された体表点905の位置とを表示部124に表示させる。表示制御部120はステップS3090にて合成された画像を表示部124に表示させる。ステップS3060で取得した超音波断層画像700上の所定の位置に、当該3Dボディマーク800を重畳表示する。かかるマーク、画像の表示は超音波プローブの位置が変更されることに応じて表示制御部120により動的に変更される。
【0053】
(S3110) (終了判定)
ステップS3110で情報処理装置100は、全体の処理を終了するか否かの判定を行う。例えば、表示部206上に配置された終了ボタンを操作者がマウス205でクリックするなどして、終了の判定を入力する。終了すると判定した場合には、情報処理装置100の処理の全体を終了させる。一方、終了すると判定しなかった場合には、ステップS3060へと処理を戻し、新たに取得される超音波断層画像700および超音波プローブの位置姿勢データに対して、ステップS3060からステップS3100までの処理を再度実行する。
【0054】
なお本実施例では人体の乳房を対象物体とする場合を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らず任意の対象物体であってもよい。また本実施例ではMRI画像中で指摘された病変領域の中心を注目点とする場合を例として説明したが、本発明における注目点はこれに限らず、MRI画像中の生検などの治療痕を表す領域の中心や、血腫を表す領域の中心など、どのような点であってもよい。さらに、注目点は複数あってもよい。
【0055】
以上のとおり本実施例に係る情報処理装置は、第1の医用画像診断装置で対象物体を撮像した画像から、当該対象物体の表面の形状を取得し、第2の医用画像診断装置で対象物体を撮像する際のプローブの位置と姿勢を取得し、画像中の注目点の位置を取得する。そして、表面の形状に基づいて、注目点から前記表面に伸ばした体表点の位置を算出し、体表点の位置に関する情報と前記プローブの位置に関する情報を併せて表示する。
【0056】
これにより、対象物体の内部の注目点から対象物体の表面に伸ばした体表点の位置に関する情報を、超音波プローブの位置に関する情報と共に表示する仕組みを提供できる。そのため、体表点と超音波プローブの位置に関する情報を参照しながらの超音波プローブの操作を支援することができる。
【0057】
たとえば仰臥位の乳房のMRI画像中の注目点から乳房の表面に伸ばした体表点の位置を算出して、その位置を表す体表点マークをプローブマークと共に仰臥位の乳房を表す3Dボディマーク上に表示することができる。そのため、体表点と超音波プローブの位置に関する情報を参照しながらの超音波プローブの操作を支援することができる。
【0058】
(実施例1の変形例1) (対象物体の表面から注目点までの距離を表示)
本実施例では、3Dボディマーク800上の体表点の位置に体表点マーク805を表示する場合を、ステップS3090における表示制御部120の処理の例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、体表点の位置に体表点マーク805は表示せずに、体表点から注目点までの距離などの情報を表示してもよい。または、体表点マーク805上に体表点から注目点までの距離などの情報を重ねて表示してもよい。
【0059】
(実施例1の変形例2) (体表点位置は注目点に最も近接する対象物体の表面の位置に限らない)
本実施例では、注目点904から乳房の表面901までの距離が最小となる点を体表点905の位置とする場合を、ステップS3030における体表点位置特定部112の処理の例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、注目点904からMRI座標系のY軸方向(重力軸方向)に伸ばした線分と乳房の表面901との交点を体表点905の位置としてもよい。この場合、超音波プローブ611の位置を体表点905の位置に合わせて、超音波プローブ611の姿勢をアキシャル断面またはサジタル断面に合わせれば、超音波断層画像700が表す平面内に病変領域703が含まれることになる。
【0060】
または、注目点904からMRI座標系のX軸方向に伸ばした線分と乳房の表面901との交点を体表点905の位置としてもよい。この場合、超音波プローブ611の位置を体表点905の位置に合わせて、超音波プローブ611の姿勢をアキシャル断面またはコロナル断面に合わせれば、超音波断層画像700が表す平面内に病変領域703が含まれることになる。同様に、MRI座標系のZ軸方向の交点を体表点905の位置として、超音波プローブ611の姿勢をコロナル断面またはサジタル断面に合わせれば、超音波断層画像700が表す平面内に病変領域703が含まれることになる。
【0061】
または、乳房の表面901の形状を表現する位置座標ベクトル群を構成する各位置において法線を算出し、算出した夫々の法線から注目点904の位置までの距離を求めて、その距離が所定の距離よりも小さくなる位置を体表点905の位置としてもよい。ここで、複数の候補位置が得られた場合には、例えば、注目点904の位置との距離が最も近い候補位置を体表点905の位置として選択すればよい。
【0062】
(実施例1の変形例3) (体表点位置がプローブを当てられない位置である場合には体表点位置をずらず)
本実施例では、注目点904から乳房の表面901までの距離が最小となる点を体表点905の位置とする場合を例として説明した。しかし、体表点905の位置が例えば乳頭902の位置と略一致する場合には、超音波プローブ611の位置を体表点905の位置に合わせて適切な超音波画像を取得することが困難となる。そこで本変形例では、体表点位置特定部112は、撮影部位または患者情報の少なくともいずれかに対応して記憶された被検体の所定領域の情報を取得する。そのうえで、体表点位置特定部112により特定される被検体の体表上の位置が該所定領域に含まれないように体表上の位置を特定する。
【0063】
処理の一例としては、以下のとおりである。体表点位置特定部112が超音波撮像に適さない乳頭902等の位置と体表点905の位置が略一致するかどうかを判定する。略一致する場合には、体表点905の位置を例えばプローブマークの方向に所定の距離(例えば10mm)だけ移動させる。
【0064】
また別の処理の例としては、体表点位置特定部112が体表点905として特定する体表上の範囲から、先述の所定領域を除外し、除外後の残された範囲から最短となる経路を特定する。ここで除外領域となる所定領域とはたとえば乳房を撮影部位とした撮影の場合には乳頭であるが、超音波探触子の大きさや被検者の負担を考慮して乳頭を包含しかつ乳頭領域よりも十分大きな領域を除外領域としてもよい。
【0065】
その際に、通常の体表点マークとは異なる態様で(色や形を変えて)移動させた体表点マークを表示させることで、避けるべき部位があることを明示的に示したガイド表示を行うことができる。なお、移動前の体表点マークと移動後の体表点マークを同時に表示させることとしてもよい。
【0066】
(実施例1の変形例4) (MRI以外)
本実施例では、第1画像撮像装置180としてMRI装置を用い、これにより得られるMRI画像を例として説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、CT画像を撮影するX線CT装置、光音響トモグラフィ装置、OCT装置、PET/SPECT、3次元超音波装置などを用いることができる。
【実施例2】
【0067】
(対象物体の表面に沿ってプローブを動かすべき方向を表す矢印図形を表示)
本実施例では、実施例1の処理に加え、超音波プローブを対象物体の表面に沿って動かすべき方向に関する情報を、3Dボディマーク上に併せて表示する場合について説明する。以下、本実施例に係る情報処理装置について、実施例1との相違部分についてのみ説明する。
【0068】
図4は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す。なお、図1と同じ部分については同じ番号、記号を付けており、その説明を省略する。
【0069】
注目点選択部405は、注目点904が複数複数存在する場合に、プローブを誘導する対象となる注目点の選択情報を取得し、選択された注目点904の位置情報を体表点位置特定部112へと出力する。
【0070】
誘導方向決定部413は、位置姿勢計測装置184により計測された超音波プローブ611の撮影位置と体表点905に基づいて、体表に沿って超音波プローブ611を動かすべき方向を決定する。誘導方向決定部413はたとえば、超音波プローブ611の位置姿勢と注目点904の位置情報と乳房の表面901の形状データに基づいて、超音波プローブを誘導する方向を表す3次元ベクトルを算出する。ユーザに対しては、この方向に沿って特定された位置へと超音波プローブ611の撮影位置を変えるよう促すため、矢印マーク生成部419へと出力する。
【0071】
矢印マーク生成部419は、超音波プローブ611を誘導する方向を表す3次元ベクトルに基づいて、矢印マークを生成する。図10は、矢印マークの表示例を示す図であり、図8と同じ部分については同じ番号、記号を付けている。矢印マーク生成部419は、生成した矢印マーク1006を表示制御部420へと出力する。
【0072】
表示制御部420は、3Dボディマーク800と体表点マーク805とプローブマーク811と矢印マーク1006とを合成する。そして、さらに超音波断層画像700と合成するとともに、表示部124に表示させる。
【0073】
図5は、情報処理装置400が行う全体の処理手順を示すフローチャートである。実施例1と比べて、ステップS5015とステップS5075とステップS5085の処理が追加されている点と、ステップS3090の処理の代わりにステップS5090の処理が行われる点のみが異なっている。以下、これらの各ステップの処理のみを説明する。同フローチャートは、本実施形態ではCPU201が各部の機能を実現するプログラムを実行することにより実現される。なお、以下の処理を行う前段で、同フローチャートに従ったプログラムコードは、例えば外部記憶装置207からRAM202に既にロードされているものとする。
【0074】
(S5015) (注目点の選択)
ステップS5015で注目点選択部405は、注目点904が複数複数存在する場合に、プローブを誘導する対象となる注目点の選択情報を取得する。例えば、表示部206上に注目点の数だけ配置された選択ボタンを操作者がマウス205でクリックするなどして、注目点の選択情報を入力する。
【0075】
(S5075) (誘導方向の算出)
ステップS5075で誘導方向決定部413は、超音波プローブ611を誘導するための、乳房の表面901に沿った方向を表す3次元ベクトルを算出する。具体的には、まず、超音波プローブの先端の中央部612のMRI座標系910における位置Xから体表点905の位置Xに向かう3次元ベクトルVcsを算出する。そして、Xにおける乳房の表面901の法線ベクトルVとベクトルVcsとのなす角が90度となるように、プローブ座標系610のX軸周りにベクトルVcsを回転させて、乳房の表面901に沿った方向を表す3次元ベクトルVcs’を算出する。
【0076】
(S5085) (矢印マークの生成)
ステップS5085で矢印マーク生成部419は、超音波プローブ611を誘導する方向を表す3次元ベクトルVcs’に基づいて、矢印マーク1006を生成する。例えば、ベクトルVcs’の方向に合わせて、予め作成しておいた3次元矢印モデルの位置姿勢を変換し、それを矢印マーク1006として用いる。
【0077】
(S5090) (画像の合成)
ステップS5090で表示制御部420は、3Dボディマーク800上に体表点マーク805とプローブマーク811と矢印マーク1006とを合成する。そして、ステップS5060で取得した超音波断層画像700上の所定の位置に、当該3Dボディマーク800を重畳する。
【0078】
(S5100) (マーク、画像の表示)
ステップS5100で表示制御部420は上述の処理で合成された画像を表示部124に表示させる。かかるマーク、画像の表示は超音波プローブの位置が変更されることに応じて表示制御部420により動的に変更される。
【0079】
以上のように、本実施例では、誘導方向決定部413が体表点の位置とプローブの位置とに基づいて、プローブを動かすべき方向を決定する。そして表示制御部420は、決定された方向を前記撮影位置と前記体表における前記特定の位置とともに表示させる。
【0080】
これにより、超音波プローブを対象物体の表面に沿って動かすべき方向を表示する仕組みを提供できる。そのため、体表点と超音波プローブの位置に関する情報および超音波プローブを動かすべき方向に関する情報を参照しながらの超音波プローブの操作を支援することができる。
【0081】
たとえば、超音波プローブを対象物体の表面に沿って動かすべき方向に関する情報を、3Dボディマーク上に併せて表示する仕組みを提供できる。そのため、体表点と超音波プローブの位置に関する情報および超音波プローブを動かすべき方向に関する情報を参照しながらの超音波プローブの操作を支援することができる。
【0082】
さらに本実施例では、所定のフレームレートで撮影される超音波画像を表示部に順次表示させつつ、超音波プローブを体表に沿って動かす方向が表示部に表示される。これにより超音波プローブが体表に接触し被検体の断層画像を撮影したままでプローブを動かす方向をユーザに提示できる。ユーザはこれを確認しながら被検体の画像を連続的に観察し続けながら超音波プローブを適切に動かすことができるため、より被検体を観察しやすくなるという効果がある。
【0083】
(実施例2の変形例1) (乳頭を迂回)
本実施例では、超音波プローブ611の位置姿勢と注目点904の位置情報と乳房の表面901の形状データに基づいて超音波プローブの誘導方向を表すベクトルを算出する場合を、ステップS5075における誘導方向決定部413の処理の例として説明した。しかし、超音波プローブ611の位置からベクトルの方向に伸ばした直線の上に、例えば乳頭902が存在する場合には、ベクトルに沿って超音波プローブ611を操作しつつ適切な超音波画像を取得することが困難となる。そこで本変形例では、超音波撮像に適さない乳頭902等の位置と上述の直線との距離が所定の距離(例えば20mm)よりも短いかどうかを判定し、所定の距離よりも短い場合には、3次元ベクトルを算出し直す。具体的には、超音波撮像に適さない乳頭902等の位置から超音波プローブ611の位置までの距離が前記所定の距離よりも常に大きくなるような経由点を乳房の表面901の上に設定し、その経由点に向かう3次元ベクトルを算出し直す。
【0084】
本変形例では乳房における乳頭領域を例に示したが、これに限らず乳房、腹部等の撮影部位や、性別等の患者情報に対応して所定の除外領域(所定領域)を設定できるようにしておき、情報処理装置内の不図示の記憶部またはデータサーバ190に記憶しておく。誘導方向決定部413はかかる除外領域の情報を取得し、当該除外領域(所定領域)を迂回するように超音波プローブ611を動かすべき方向を決定する。これにより、体表に超音波プローブを当てるべきでない所定領域が存在する場合にも、超音波プローブを体表に沿って動かす方向をユーザに適切に指示することができる。
【0085】
(実施例2の変形例2) (最後に体表位置でプローブを回転(適切な姿勢になるように姿勢だけ変更するガイド表示))
本実施例では、超音波プローブ611を対象物体の表面に沿って動かすべき方向に関する情報を、3Dボディマーク上に併せて表示する場合を例として説明した。本変形例ではこれに限らず、指定された注目点904を適切に撮影するために超音波プローブ611の姿勢を変更させる指示を表示させる。
【0086】
この場合、体表点位置特定部112はさらに、指定された注目点904の位置を超音波プローブ611の撮像画像範囲712におさめるための超音波プローブの姿勢を特定する。
【0087】
また、誘導方向決定部413は特定された姿勢へと超音波プローブ611の姿勢を変えるために超音波プローブ611を動かすべき方向を決定する。超音波プローブ611を回転すべき方向は、撮像画像領域812を表す平面と注目点904との距離が小さくなるように算出する。ここで表示制御部420により表示される、回転すべき方向を表す矢印図形は、体表点905に向けて超音波プローブ611を誘導する方向を表す矢印図形とは異なる態様で(色や形を変えて)表示させる。
【0088】
このようにすることで、超音波プローブを押し当てるべき体表の位置のみならず、超音波プローブの体表に対する姿勢についてもガイド表示することとなり、よりユーザの利便性を向上させることができる。
【0089】
これに加えて、超音波プローブ611が体表位置の付近に到達した後に、適切な姿勢とするために超音波プローブを動かすべき方向を表す矢印図形を表示する。この場合表示制御部420は計測された超音波プローブの撮影位置と前記特定された体表点905の位置との間の距離が所定以下になったか否かを判定する判定部として機能する。また表示制御部420はこの判定の結果に応じて姿勢を変えるために超音波プローブを動かす方向を表示させる。たとえば表示制御部420は、プローブと体表点905との距離が所定の閾値よりも大きい場合には姿勢に関する方向指示は表示させず、所定の閾値以下となった場合には姿勢に関する方向指示を表示させることとする。このようにすることで、ユーザに位置と姿勢の複数の指示を同時に与えることが無くなり、ユーザにとって表示の分かりやすさや利便性が向上する。
【0090】
さらに、誘導方向決定部413は、超音波プローブ611が体表位置の付近に到達した後に初めて超音波プローブ611が適切な姿勢となるように回転すべき方向を決定することとすれば、姿勢についての誘導方向を決定する処理の負荷を削減することができる。
【0091】
(実施例2の変形例3)
実施例2の矢印マーク(第1の矢印マーク1006)に加えて、表示制御部120は図11に示すように、体表点905から注目点904へと向かう方向を示す第二の矢印マーク1106を表示部124に表示させる。
【0092】
第二の矢印マーク1106の方向は誘導方向決定部413により演算され求められる。誘導方向決定部413は注目点904の位置と体表点905の位置の関係に基づいて、体表点905から注目点904に向かう方向を演算で求める。求めた方向を、超音波プローブ611の撮像面を向けるべき方向として決定する。表示制御部120は超音波プローブ611の撮影位置を示すプローブマーク811と、体表点905の位置を示す体表点マーク805と、第1の矢印マーク1006と、第二の矢印マーク1106とを3Dボディマーク800上に重畳表示する。重畳する対象は三次元のMRI画像やCT画像であってもよい。また、2次元のボディマークやMRI画像に重畳する場合には、誘導方向決定部413で得られた方向を当該ボディマークの平面やMRI画像の断面に射影した方向を演算し表示することとすればよい。
【0093】
これにより、ユーザは超音波プローブの目標位置とその目標位置へのプローブの動かし方、および目標位置において撮像面を向ける方向を表示画面から容易に把握することができる。
【実施例3】
【0094】
実施例1または2における体表点位置は注目点と体表の形状から一意に定まる点(静止点)であった。これに代えて本実施例では、指定された注目点904の位置と、位置姿勢計測装置184により計測された超音波プローブ611の姿勢とに基づいて現在の超音波プローブの姿勢に適した体表点位置を動的に求め、表示部124に表示する。以下、本実施例に係る情報処理装置について、実施例1または2との相違部分についてのみ説明する。
【0095】
本実施例に係る情報処理装置の構成は、図1と同様である。ただし、位置姿勢取得部108が取得した超音波プローブ611の姿勢が体表点位置特定部112に入力される点と、体表点位置特定部112が体表点位置を算出する際に超音波プローブ611の姿勢を利用する点が異なっている。体表点位置特定部112は、超音波プローブ611と体表との目標接触位置として体表点905の位置を特定する。この際に、位置姿勢計測装置184により計測された超音波プローブ611の姿勢を維持したままで指定された注目点904の位置が超音波プローブ611の撮像範囲に含まれるように、体表点905の位置を特定する。
【0096】
本実施例に係る情報処理装置が行う全体の処理手順を示すフローチャートは、図3と同様である。ただし、ステップS3030およびステップS3050の処理は実行されず、ステップS3070とステップS3080の処理の間に以下の処理(ステップS3073およびステップS3077)が実行される点が異なっている。
【0097】
ステップS3073で体表点位置特定部112は、ステップS3070で取得した超音波プローブ611の姿勢を利用することで、現在の超音波プローブの姿勢に適した体表位置を算出する。まず、超音波プローブ611の姿勢の情報に基づいて、プローブ座標系610の−Y軸方向を算出する。次に、注目点904の位置からプローブ座標系610の−Y軸に沿って伸ばした直線を求める。そして、当該直線と乳房の表面901との交点を、体表点905の位置とする。
【0098】
ステップS3077で体表点マーク生成部116は、実施例1におけるステップS3050と同様に体表点905の位置に体表点マーク805を生成する。
【0099】
このように本実施例では、超音波プローブの姿勢に基づいて、前記注目点から前記表面に伸ばした体表点の位置を算出する。
【0100】
これにより、現在の超音波プローブの姿勢に応じて向かうべき体表点の位置が変化するので、表示される体表点位置に超音波プローブが達した際に、その撮影画像内に注目点が描出されやすいというさらなる効果がある。
【実施例4】
【0101】
実施例1または2における体表点位置は一意に定まる点であった。また、実施例3では、現在の超音波プローブ611の姿勢に適した体表点位置を動的に求めていた。これに対し、本実施例では、現在の超音波プローブ611の位置に応じて体表点905の位置を複数の候補位置から動的に選択し、表示部124に表示する。以下、本実施例に係る情報処理装置について、実施例1乃至3との相違部分についてのみ説明する。
【0102】
図12は、本実施例に係る情報処理装置1200の構成を示す。なお、図1と同じ部分については同じ番号、記号を付けており、その説明を省略する。
【0103】
体表点候補位置算出部1211は、指定された注目点904に基づく被検体の体表における体表点905の候補位置を算出する。ここでは、注目点904の位置情報と乳房の表面901の形状データに基づいて、体表点905の一つ以上の候補位置を算出し、体表点位置特定部1212へと出力する。
【0104】
体表点位置特定部1212は、位置姿勢取得部108が取得した超音波プローブ611の位置に基づいて、体表点905の位置を候補位置の中から特定する。
【0105】
図13は、情報処理装置1200が行う全体の処理手順を示すフローチャートである。実施例1と比べて、ステップS3030およびステップS3050に相当する処理が実行されない点が異なっている。また、ステップS3020に相当する処理の後に、ステップS13025の処理が実行される点が異なっている。また、ステップS3070に相当する処理の後に、以下の処理(ステップS13073およびステップS13077)が実行される点が異なっている。以下、これらの各ステップの処理のみを説明する。
【0106】
ステップS13025で体表点候補位置算出部1211は、被検体の内部の注目点904の位置に基づいて、被検体の体表点の候補位置として複数の候補位置を算出する。本実施例では、乳房の表面901の形状を表現する位置座標ベクトル群を構成する各位置において法線を算出し、算出した夫々の法線から注目点904の位置までの距離を求めて、その距離が所定の距離よりも小さくなる位置を体表点905の候補位置とする。すなわち、注目点904の撮影に適したプローブ位置として、体表からみて略垂直の方向に注目点904が位置するような体表上の複数の点を、体表点905の候補位置として算出する。ただし、注目点904からの距離が所定の値(例えば、超音波の奥行き方向の撮像範囲)以上の点は候補から除外する。また、条件を満たす体表上の点同士が近すぎる(すなわち、同じような点が複数選ばれている)場合には、注目点904からの距離が小さいほうの点のみを候補位置とするようにしてもよい。また、体表点905の候補位置の数が所定数となるように、注目点904からの距離が小さい順に体表上の点を選択してもよい。
【0107】
ここでいう略垂直あるいは略法線方向については、超音波プローブを体表に対して略垂直に当てて撮影するのが通常の撮影方法であるためであり、厳密な垂直或いは法線方向であることを要しない。撮影者がほぼ法線方向と認識する程度の誤差、少なくともプラスマイナス数度は許容される。
【0108】
ステップS13073で体表点位置特定部1212は、ステップS13070で取得した超音波プローブ611の位置を利用することで、現在の超音波プローブの位置に適した体表位置を候補位置の中から特定する。具体的には、超音波プローブ611の位置との距離が最も近い候補位置を選択して、体表点905の位置とする。ここで、超音波プローブ611の位置と候補位置との間の距離は、体表面に沿った測地線距離とすればよい。あるいは、簡単に2点間の直線距離(ユークリッド距離)としてもよい。このようにすれば、撮影者の操作時間を減らしつつ適切な撮影が実現できる。
【0109】
ここで別の例として、体表点位置特定部1212は、超音波プローブ611の姿勢に基づいて、超音波プローブ611の傾き具合をなるべく変更させずに撮影可能となる候補位置を体表点905の位置とする。具体的には、各候補位置について、注目点904の位置を撮影するための超音波プローブ611の姿勢を関連付けて記憶させておき、超音波プローブ611の姿勢と、記憶された姿勢とを体表点位置特定部1212が比較する。比較の結果最も姿勢の変更が少なくて済む候補位置が特定され、体表点905の位置とされる。このようにすることで、超音波プローブ611の姿勢の変更を少なくさせることができ、撮影者の操作を容易にすることができる。
【0110】
ステップS13077で体表点マーク生成部1216は、実施例1におけるステップS3050と同様に体表点905の位置に体表点マーク805を生成する。その際に、体表点位置特定部1212で特定した体表点905の位置のみならず、体表点候補位置算出部1211で算出した候補位置にも、体表点マーク805とは異なる表示態様で体表点候補マークを生成してもよい。ここで、3Dボディマーク800の代わりに2次元のボディマークを用いる場合には、体表点905の位置(および候補位置)を当該ボディマークの平面上に投影した位置を演算し、その位置に体表点マーク805(および体表点候補マーク)を生成すればよい。
【0111】
このように本実施例では、超音波プローブの位置に基づいて、前記注目点から前記表面に伸ばした体表点の位置を算出する。これにより、現在の超音波プローブの位置に最も近い体表点の位置が選択されるので、ユーザの作業負担をより減らすことができる。
【0112】
(実施例4の変形例1) (複数の候補位置から最初に選択)
本実施例では、現在の超音波プローブ611の位置に応じて体表点905の位置を複数の候補位置から動的に選択する場合を例として説明した。本変形例ではこれに限らず、所定のタイミングの超音波プローブ611の位置に基づいて、体表点905の位置を複数の候補位置から一意に定める。この所定のタイミングは、例えば、表示部206上に配置されたボタンを操作者がマウス205でクリックしたタイミングとすればよい。または、超音波プローブ611が被検体に接触して被検体内部の超音波画像が取得され始めたタイミングとしてもよい。該タイミングは、例えば、超音波プローブ611が被検体に接触していない状態の超音波画像と現在の超音波画像との差分が一定以上か否かで判定すればよい。
【0113】
(その他の実施例)
上述の実施例では、注目点904及び体表点905を特定することとしていたが、これに限らず、注目する領域、及びこれに基づく体表の領域を指定することとしても良い。
【0114】
また上述の実施例では、体表点905は体表上における点として特定されているが、これはあくまで体表に接触させて撮影する超音波プローブの接触位置を分かりやすく示すためであり、必ずしも体表上にて特定する必要はなく、体表付近の位置であればよい。
【0115】
本発明は、上述の超音波撮影システムを、複数の機器から構成されるシステムで複数の機器で処理を分散して実現することとしてもよいし、当然一つの機器からなる装置に適用してもよい。たとえば、超音波プローブ611と、位置姿勢計測装置184と、表示部124と、上述の実施例のいずれかの情報処理装置とを備える超音波装置であってもよい。
【0116】
尚、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによって前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0117】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0118】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0119】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行う。
【符号の説明】
【0120】
100 情報処理装置
104 注目点位置指定部
106 断層画像取得部
108 位置姿勢取得部
110 表面形状算出部
112 体表点位置特定部
114 3Dボディマーク生成部
116 体表点マーク生成部
118 プローブマーク生成部
120 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の超音波画像を得る超音波プローブによる撮影を支援するための情報処理装置であって、
三次元画像における前記被検体の内部の位置を指定する指定手段と、
前記指定された位置に基づく前記被検体の体表における位置を特定する特定手段と、
前記超音波プローブにより得られる超音波画像の撮影位置と前記特定された位置とを表示部に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする超音波撮影支援装置。
【請求項2】
計測手段により計測された前記超音波プローブの撮影位置と前記特定された体表における位置との差に基づいて、前記特定された位置へと前記超音波プローブの撮影位置を変えるために前記体表に沿って前記超音波プローブを動かすべき方向を決定する決定手段をさらに有し、
前記表示制御手段は、前記決定された方向を前記撮影位置と前記体表における前記特定の位置とともに表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項3】
前記決定手段は、撮影部位または患者情報の少なくともいずれかに対応させて記憶された被検体の所定領域の情報を取得し、前記所定領域を迂回するように前記超音波プローブを動かすべき方向を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項4】
前記特定手段はさらに、前記指定された位置を超音波プローブの撮像領域におさめるための超音波プローブの姿勢を特定し、
前記決定手段は、前記特定された姿勢へと前記超音波プローブの姿勢を変えるために前記超音波プローブを動かすべき方向を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項5】
前記計測された超音波プローブの撮影位置と前記特定された体表における位置との間の距離が所定以下になったか否かを判定する判定手段をさらに有し、
前記表示制御手段は、前記判定の結果に応じて前記姿勢を変えるために超音波プローブを動かす方向を表示させる
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記体表に沿って前記超音波プローブを動かす方向を表示するとともに、前記超音波プローブにより所定のフレームレートで撮影される前記被検体の超音波画像を順次表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項7】
前記特定手段は、撮影部位または患者情報の少なくともいずれかに対応して記憶された被検体の所定領域の情報を取得し、前記特定手段により特定される前記被検体の体表上の位置が該所定領域に含まれないように前記体表上の位置を特定する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項8】
前記撮影部位の1つは乳房であり、乳房に対応する前記所定領域は乳頭に基づく領域であることを特徴とする請求項3または7に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項9】
前記特定手段は、前記指定された位置と、計測手段により計測された前記超音波プローブの位置または姿勢とに基づいて前記体表における位置を特定する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項10】
前記特定手段は、前記計測された前記超音波プローブの姿勢を維持したままで前記指定された位置が前記超音波プローブの撮像範囲に含まれるような前記超音波プローブと前記体表との目標接触位置を特定する
ことを特徴とする請求項9に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項11】
前記特定手段は、前記指定された位置と前記超音波プローブの状態とに基づいて前記被検体の体表における位置を複数の候補位置から選択することで特定する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項12】
前記特定手段は、前記指定された位置に対応する複数の体表面の候補位置を取得し、前記候補位置のうち、前記超音波プローブの位置に最も近い位置を前記表示対象とする体表面の位置として特定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項13】
前記特定手段は、前記指定された位置が体表面の略法線方向となるような複数の体表面の位置のうち、前記指定された位置までの距離が閾値よりも小さくなる位置を前記表示手段により表示対象とする体表面の位置の候補位置として特定することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項14】
前記決定手段は、前記指定された位置と前記特定された位置との関係に基づいて、前記前記特定された位置から前記指定された位置へと向かう方向を決定し、
前記表示制御手段は、前記撮影位置と前記特定された位置と前記決定された方向とを表示させる
ことを特徴とする請求項2乃至13のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項15】
前記表示制御手段は、前記超音波画像の撮影位置と前記特定された前記被検体の体表面の位置とを、被検体のボディマークの画像または被検体を撮影して得られた画像の少なくともいずれかに重畳して表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項16】
前記被検体のMRI画像またはCT画像のいずれかを、前記被検体を撮影して得られた画像として取得する取得手段
をさらに有することを特徴とする請求項15に記載の超音波撮影支援装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の超音波撮影支援装置と、
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブの位置姿勢を計測する計測手段と、
前記表示部と、
を有することを特徴とする超音波撮影装置。
【請求項18】
被検体の超音波画像を得る超音波プローブによる撮影を支援するための情報処理方法であって、
前記被検体の内部の位置を指定するステップと、
前記被検体の内部の位置に基づく前記被検体の体表面の位置を特定するステップと、
前記超音波プローブにより得られる超音波画像の撮影位置と前記特定された位置とを表示部に表示させるステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−63253(P2013−63253A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−150472(P2012−150472)
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】