説明

情報処理装置および入力方法

【課題】タッチスクリーンディスプレイを用いて容易にカーソルを移動させることができる情報処理装置を実現する。
【解決手段】検出手段は、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置の個数を検出する。出力手段は、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチされた表示オブジェクトに関連付けられた機能を起動するために前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示す第1のデータを出力する。検出手段によって前記タッチスクリーンディスプレイ上の複数の位置がタッチされたことが検出された場合、出力手段は、ディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置の移動方向および移動量を示すデータを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タッチパネルディスプレイを含む情報処理装置および同装置で使用される入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型パーソナルコンピュータ、PDAといった様々な情報処理装置が開発されている。情報処理装置の多くは、タッチパッドのようなポインティングデバイスを有している。ユーザは、例えば、タッチパッド上を指でなぞることにより、画面上のカーソルの位置を移動させることができる。
【0003】
また、最近では、タッチパネルのようなタッチスクリーンディスプレイを備えた、携帯型パーソナルコンピュータ、PDAなども開発されている。ユーザは、例えば、タッチスクリーンディスプレイ上の表示オブジェクト(例えば、ボタン、アイコン等)を指先またはペンでタッチすることにより、その表示オブジェクトに関連付けられた機能を起動することができる。
【0004】
さらに、この分野においては、タッチ検出エリアをキーボードとして使用することも行われている。タッチ検出エリアをキーボードとして使用するための方法としては、例えば、タッチ検出エリア上に添付されたキーボードシートを用いる方法がある。キーボードシート上の複数の文字キーの一つがペンによってタッチされた時、そのタッチされた文字キーに対応する文字が入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−234053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、タッチスクリーンディスプレイを備えた従来の情報処理装置では、タッチスクリーンディスプレイは、通常、ユーザにそのタッチスクリーンディスプレイの画面上の表示オブジェクトのいずれかを指定させるために使用される。このため、従来の情報処理装置では、画面上のカーソルを移動させるためには、タッチスクリーンディスプレイの他に、タッチパッドのようなポインティングデバイス(相対ポインティングデバイス)をさらに設けることが必要となる。
【0007】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、タッチスクリーンディスプレイを用いて容易にカーソルを移動させることができる情報処理装置および入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、情報処理装置は、ディスプレイと、タッチスクリーンディスプレイと、検出手段と、出力手段とを具備する。検出手段は、前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を検出する。前記出力手段は、前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す第1のデータを出力する。前記出力手段は、前記タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動されている間、前記ディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記複数のタッチ位置の移動方向および移動量に対応する第2のデータを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図。
【図2】同実施形態の情報処理装置のタッチスクリーンディスプレイに表示される仮想キーボードの例を示す図。
【図3】同実施形態の情報処理装置のタッチパネルモードとタッチパッドモードを説明するための図。
【図4】同実施形態の情報処理装置がタッチパッドモードである間に実行される動作を説明するための図。
【図5】同実施形態の情報処理装置によって実行されるマルチタッチ位置検出動作を説明するための図。
【図6】同実施形態の情報処理装置のシステム構成を示すブロック図。
【図7】同実施形態の情報処理装置で用いられる入力制御プログラムの構成を示すブロック図。
【図8】同実施形態の情報処理装置によって実行される入力処理の手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、一実施形態に係る情報処理装置の構成を説明する。この情報処理装置は、例えば、バッテリ駆動可能な携帯型パーソナルコンピュータ10として実現されている。
【0011】
図1は、コンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成される。ディスプレイユニット12の上面には、液晶表示装置(LCD)13から構成される表示装置が組み込まれており、そのLCD13の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
【0012】
ディスプレイユニット12は薄い箱型の筐体を有しており、このディスプレイユニット12はコンピュータ本体11にヒンジ部14を介して回動自在に取り付けられている。ヒンジ部14はコンピュータ本体11にディスプレイユニット12を連結する連結部である。すなわち、ディスプレイユニット12の下端部は、コンピュータ本体11の後端部にヒンジ部14によって支持されている。ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対してコンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面がディスプレイユニット12によって覆われる閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。また、ディスプレイユニット12の上面上の所定位置、例えば、LCD13の右側には、本コンピュータ10をパワーオンまたはパワーオフするためのパワーボタン16が設けられている。
【0013】
コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有するベースユニットであり、その上面にはタッチスクリーンディスプレイとして機能する液晶表示装置(LCD)15が組み込まれており、そのLCD15の表示画面はコンピュータ本体11のほぼ中央に位置されている。LCD15の上面には透明のタッチパネルが配置されており、LCD15と透明のタッチパネルとによってタッチスクリーンディスプレイが実現される。このタッチスクリーンディスプレイは、ペン又は指によってタッチされた表示画面上のタッチ位置を検知することができる。コンピュータ本体11上のLCD15は、ディスプレイユニット12のLCD13とは独立したディスプレイである。これらLCD13,15は仮想画面環境を実現するためのマルチディスプレイとして使用することができる。この場合、コンピュータ10のオペレーティングシステムによって管理される仮想画面は、LCD13に表示される第1の画面領域とLCD15に表示される第2の画面領域とを含む。第1の画面領域および第2の画面領域の各々には、任意のアプリケーションウィンドウ、任意のオブジェクト等を表示することができる。
【0014】
本実施形態では、本体11の上面上に設けられたLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)は、図2に示されているように、例えば、仮想キーボード(ソフトウェアキーボードとも云う)151の提示に用いてもよい。仮想キーボード151は、例えば、LCD15の表示画面全体にフルスクリーンモードで表示してもよい。この仮想キーボード151は、複数のキーコード(コードデータ)をそれぞれ入力するための複数の仮想キー(複数の数字キー、複数のアルファベットキー、複数の矢印キー、複数の補助キー、複数のファンクションキー等)を含む。より詳しくは、仮想キーボード151は、複数の仮想キーそれぞれに対応する複数のボタン(ソフトウェアボタン)を含む。
【0015】
一方、ディスプレイユニット12内のLCD13は、図2に示すように、各種アプリケーションウィンドウ等を表示するためのメインディスプレイとして使用することができる。ユーザは、タッチスクリーンディスプレイ15上に表示される仮想キーボード151をタッチ操作することにより、LCD13に表示されるアプリケーションウィンドウ等に対して各種コードデータ(キーコード、文字コード、コマンド等)を入力することが出来る。なお、LCD13も、タッチスクリーンディスプレイとして実現してもよい。
【0016】
コンピュータ本体11の上面上の所定位置、例えば、LCD15の両側には2つのボタンスイッチ17,18が設けられている。これらボタンスイッチ17,18の各々には任意の機能を割り当てることが出来る。例えば、ボタンスイッチ17は、仮想キーボード151を用いたキー入力操作を制御するためのアプリケーションプログラムであるキー入力プログラムを起動するためのボタンスイッチ等として利用し得る。ボタンスイッチ17がユーザによって押された時、キー入力プログラムが起動される。キー入力プログラムは、仮想キーボード151をタッチスクリーンディスプレイ15上に表示する。
【0017】
本実施形態では、本体11の上面上に設けられたLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)は、LCD13の画面上のカーソルを移動するための相対ポインティングデバイスであるタッチパッドとして利用することもできる。例えば、本実施形態のコンピュータ10には、タッチスクリーンディスプレイを用いてデータを入力するための入力制御プログラムが予めインストールされている。この入力制御プログラムは、タッチスクリーンディスプレイ(タッチパネル)のタッチ位置検出機能を用いて、タッチパッドの動作をエミュレートすることができる。この入力制御プログラムは、タッチパネルモードとタッチパッドモードの2つの動作モードを有しており、これら2つの動作モードのいずれか一方で動作する。タッチパネルモードにおいては、入力制御プログラムは、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチされた表示オブジェクト(ボタン、アイコン、仮想キー等)に関連付けられた機能を起動するために、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示すデータをオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム等に出力する。タッチ位置は、例えば、絶対座標によって表される。タッチパッドモードにおいては、入力制御プログラムは、ディスプレイ(LCD13またはLCD15)の画面上のカーソルを移動するために、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置の移動に従って、カーソルの移動先位置を指定するための相対座標値、つまりタッチ位置の移動方向および移動量を示すデータを算出し、その算出したデータを、オペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム等に出力する。このように、タッチパッドモードにおいては、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示すデータの代わりに、タッチ位置の移動方向および移動量を示すデータが出力される。
【0018】
また、入力制御プログラムは、動作モードをタッチパネルモードとタッチパッドモードとの間でシームレスに切り換えるために、例えば、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置の個数を検出する機能も有している。この場合、タッチスクリーンディスプレイ上の複数の位置がタッチされたことを条件に、入力制御プログラムの動作モードが、タッチパネルモードからタッチパッドモードに自動的に切り替わってもよい。また、タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数の位置がタッチされたことを条件に、入力制御プログラムの動作モードが、タッチパネルモードからタッチパッドモードに自動的に切り替わってもよい。ユーザは、例えば、仮想キーボード151上の2つの仮想キーのような2つの表示オブジェクトを同時にタッチする場合もある。したがって、タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数の位置がタッチされたことを条件に入力制御プログラムの動作モードをタッチパッドモードに切り替えるという方法は、動作モードが誤ってタッチパッドモードに切り換えられてしまう可能性を低減することができる。
【0019】
ユーザが一本の指でタッチスクリーンディスプレイをタッチ操作している間は入力制御プログラムはタッチパネルモードで動作する。ユーザが二本の指でタッチスクリーンディスプレイ上の隣接する2つの位置をタッチした時、入力制御プログラムの動作モードはタッチパネルモードからタッチパッドモードに切り替わる。
【0020】
また、ユーザが二本の指でタッチスクリーンディスプレイ上をなぞった場合のように、隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動している間は、入力制御プログラムがタッチパッドモードで動作し、それ以外の期間は入力制御プログラムがタッチパネルモードで動作するようにしてもよい。
【0021】
図3は、タッチパッドモードおよびタッチパネルモードそれぞれの使用形態の例を示している。図3の左部は、タッチパッドモードにおける使用形態の例である。入力制御プログラムは、LCD15(タッチスクリーンディスプレイ)上のタッチ位置の移動を検出し、その検出結果に基づいて、カーソルの移動先位置を指定するための相対座標値、つまりタッチ位置の移動方向および移動量を示すデータを、オペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム等に出力する。したがって、タッチパッドモードにおいては、ユーザは、LCD15(タッチスクリーンディスプレイ)上を指でなぞることにより、例えば、LCD13の画面上のカーソル(マウスカーソル)を移動させることができる。なお、カーソルはLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)上に表示するようにしても良い。またカーソルは、LCD13とLCD15とを含む仮想画面上のどの位置に移動させてもよい。
【0022】
図3の右部は、タッチパネルモードにおける使用形態の例である。ここでは、LCD15(タッチスクリーンディスプレイ)上に表示された仮想キーボード151A,151Bをタッチ操作する場合を想定する。仮想キーボード151Aは上述の仮想キーボードの一部であり、また仮想キーボード151Bは上述の仮想キーボードの残りの一部である。入力制御プログラムは、ユーザによってタッチされたLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)上の位置(タッチ位置)を示す絶対座標値をキー入力プログラムに出力する。キー入力プログラムは、複数の仮想キーから、絶対座標によって示されるタッチ位置に位置する仮想キーを選択し、その選択した仮想キーに関連付けられたキーコードを出力する。これにより、LCD13の画面上には、例えば、文字列「ABC」などが表示される。
【0023】
なお、タッチパネルモードにおけるLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)上の画面イメージを変更することなく、入力制御プログラムの動作モードをタッチパネルモードからタッチパッドモードに変更するようにしてもよい。
【0024】
図4は、ユーザが仮想キーボード151A,151Bを使用して文字を入力している期間中にLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)の画面を二本の指でなぞった場合に実行される動作の例を示している。LCD15(タッチスクリーンディスプレイ)の画面上が二本の指でタッチされた場合、入力制御プログラムは、現在の画面イメージを維持したまま、タッチパッドモードに移行する。そして、入力制御プログラムは、タッチ位置を示す絶対座標値の代わりに、LCD15(タッチスクリーンディスプレイ)の画面上の二本の指の移動に応じて、タッチ位置の移動方向および移動量を示すデータを出力する。この場合、たとえいずれかの指先がLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)の表示オブジェクト(ここでは、仮想キー)上に位置されても、その表示オブジェクトに関連付けられた機能は実行されない。
【0025】
タッチスクリーンディスプレイのタッチ状態が解除された時、つまりLCD15(タッチスクリーンディスプレイ)の画面上から二本の指が離された時、入力制御プログラムの動作モードはタッチパッドモードからタッチパネルモードに戻る。ユーザは、仮想キーボード151A,151Bをタッチ操作することにより、文字を入力することが出来る。
【0026】
このように、タッチスクリーンディスプレイ上の複数の位置がタッチされ、それら複数のタッチ位置が移動されたときのみ、入力制御プログラムはタッチパッドモードで動作してもよい。この結果、ユーザがモード切替のための専用の操作を行うことなく、シームレスにタッチパネルモードとタッチパッドモードとを切り換えることが出来る。なお、上述したように、タッチスクリーンディスプレイ上の複数の位置がタッチされたことのみを条件に入力制御プログラムの動作モードをタッチパッドモードに切り換えてもよい。この場合、入力制御プログラムの動作モードがタッチパッドモードに切り換えられた後においては、ユーザは例えば一本の指でタッチスクリーンディスプレイの画面上をなぞることにより、カーソルの位置を移動させることができる。
【0027】
次に、図5を参照して、複数のタッチ位置を検出するための動作について説明する。図5はタッチスクリーンディスプレイの画面上におけるタッチ位置とタッチ強度との関係を示している。図5の横軸(x軸)はタッチスクリーンディスプレイの画面上の横方向の位置を示し、図5の縦軸(y軸)はタッチスクリーンディスプレイの画面上の縦方向の位置を示す。図5においては、黒色の部分はより強くタッチされていると検知された部分を表し、濃い灰色の部分はタッチの強度が中程度の部分を表し、薄い灰色の部分はタッチの強度が低い部分を表している。タッチスクリーンディスプレイの画面上が指2本でタッチされた場合には図5のようにタッチ強度のピークが2箇所P1,P2(黒色の部分)に現れる。入力制御プログラムは、この2箇所P1,P2をそれぞれタッチ位置として検出する。
【0028】
次に、図6を参照して、本コンピュータ10のシステム構成を説明する。ここでは、LCD13,15の双方がタッチスクリーンディスプレイとして実現されている場合を想定する。
【0029】
本コンピュータ10は、CPU111、ノースブリッジ112、主メモリ113、グラフィクスコントローラ114、サウスブリッジ115、BIOS−ROM116、ハードディスクドライブ(HDD)117、及びエンベデッドコントローラ118等を備えている。
【0030】
CPU111は、コンピュータ10の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、HDD117から主メモリ113にロードされる、オペレーティングシステム(OS)および各種アプリケーションプログラム等を実行する。アプリケーションプログラムには、入力制御プログラム201が含まれている。この入力制御プログラム201は、上述したように、タッチスクリーンディスプレイ(タッチパネル)のタッチ位置検出機能を用いて、タッチパッドの動作をエミュレートする。また、CPU111は、BIOS−ROM116に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)も実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0031】
ノースブリッジ112はCPU111のローカルバスとサウスブリッジ115との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ112には、主メモリ115をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。グラフィクスコントローラ114は、コンピュータ10のディスプレイモニタとしてそれぞれ使用される2つのLCD13,15を制御する表示コントローラである。グラフィクスコントローラ114は、ノースブリッジ112を介してCPU111から受信される描画要求に基づいてビデオメモリ(VRAM)に表示データを描画するための表示処理(グラフィクス演算処理)を実行する。ビデオメモリには、LCD13に表示される画面イメージに対応する表示データを格納する記憶領域と、LCD15に表示される画面イメージに対応する表示データを格納する記憶領域とが割り当てられている。LCD13上には透明のタッチパネル13Aが配置されている。同様に、LCD15上にも透明のタッチパネル15Aが配置されている。タッチパネル13A,15Aの各々は、例えば、抵抗膜方式または静電容量方式等を用いて、タッチパネル(タッチスクリーンディスプレイ)上のタッチ位置を検出するように構成されている。また、タッチパネル13A,15Aの各々としては、複数のタッチ位置を同時に検知可能なマルチタッチパネルを使用してもよい。
【0032】
サウスブリッジ115は、HDD121を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラやSerial ATAコントローラを内蔵している。エンベデッドコントローラ(EC)118は、ユーザによるパワーボタンスイッチ16の操作に応じてコンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0033】
次に、図7を参照して、入力制御プログラム201の構成について説明する。
入力制御プログラム201は、タッチ位置数検出部211、位置関係検出部212、制御部213、出力部214を備えている。タッチ位置数検出部211は、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置の個数を検出する。位置関係検出部212は、タッチ位置数検出部211によってタッチスクリーンディスプレイ上の複数の位置がタッチされたことが検出された場合、それらタッチ位置間の位置関係を検出し、タッチ位置が互いに隣接しているか否かを判定する。制御部213は、タッチ位置数検出部211、および位置関係検出部212それぞれ検出結果に基づき、出力部214の動作を制御する。
【0034】
出力部214は、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチされた表示オブジェクトに関連付けられた機能を起動するために、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示すデータ(絶対座標値)を出力する。さらに、この出力部214は、制御部213によってタブレットモードへの移行が指示された場合、換言すれば、例えば、タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数の位置がタッチされた場合には、タブレットモードに遷移する。タブレットモードでは、出力部214は、ディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示すデータの代わりに、タッチ位置の移動方向および移動量を示すデータを出力する。
【0035】
出力部214は、絶対座標出力部214Aと相対座標出力部215Bとを含む。絶対座標出力部214Aはタッチパネルモードで動作するように構成されており、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示すデータ(絶対座標値)をオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム等に出力する。一方、相対座標出力部215Bはタッチパッドモードで動作するように構成されており、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置の移動方向および移動量を示すデータを、オペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム等に出力する。
【0036】
次に、図8のフローチャートを参照して、入力制御プログラム201によって実行される入力処理の手順を説明する。
【0037】
入力制御プログラム201はタッチパネル15Aからタッチ位置検出情報を受信し、このタッチ位置検出情報に基づいて、タッチスクリーンディスプレイの画面上がタッチされたか否かを判定する。タッチスクリーンディスプレイの画面上がタッチされたならば(ステップS11のYES)、入力制御プログラム201は、タッチスクリーンディスプレイの画面上の複数の位置(例えば2つの位置)がタッチされたか否かを判定する(ステップS12)。タッチスクリーンディスプレイの画面上の複数の位置がタッチされたならば(ステップS12のYES)、入力制御プログラム201は、タッチされた複数の位置が互いに隣接しているか否か、例えば、タッチされた2つの位置間の距離が閾値距離よりも短いか否かを判定する(ステップS13)。
【0038】
複数の位置がタッチされていない場合(ステップS12のNO)、またはタッチされた複数の位置が隣接していない場合(ステップS13のNO)、入力制御プログラム201は、タッチパネルモードで動作し、タッチ位置に対応する絶対座標(タッチ位置を示す第1のデータ)をオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム等に出力する。
【0039】
タッチされた複数の位置が互いに隣接しているならば(ステップS13のYES)、入力制御プログラム201は、タッチパッドモードで動作を開始する(ステップS15)。そして、入力制御プログラム201は、タッチスクリーンディスプレイの画面上のタッチ位置の移動を検出し、その検出結果に従って、上述の第1のデータの代わりに、タッチ位置の移動方向および移動量を示す第2のデータ(相対座標値)をオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム等に出力する(ステップS15)。
【0040】
タッチスクリーンディスプレイの非タッチ状態が閾値時間よりも長く続いたならば(ステップS16のYES)、入力制御プログラム201は、タッチパッドモードから一旦抜ける。そして、入力制御プログラム201は、ステップS11に戻る。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、通常は、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示すデータが出力されるが、タッチスクリーンディスプレイ上の複数の位置がタッチされたことが検出された場合には、ディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を示す第1のデータの代わりに、タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置の移動方向および移動量を示す第2のデータが出力される。このため、専用のタッチパッドを設けることなく、タッチスクリーンディスプレイを用いて容易にカーソルを移動させることができる。また、ユーザは、タッチスクリーンディスプレイを例えば複数の指でタッチするだけでタッチスクリーンディスプレイをタッチパッドとして使用することができるので、ユーザがモード切替のための専用の操作を行うことなく、シームレスにタッチパネルモードとタッチパッドモードとを切り換えることが出来る。
【0042】
なお、本実施形態のコンピュータ10は本体11とディスプレイユニット12とを有しているが、コンピュータ10のシステムを構成するコンポーネントのほとんど全てを必ずしも本体11内に設ける必要はなく、例えば、コンポーネントの一部またはほとんど全てをディスプレイユニット12内に設けても良い。この意味で、本体11とディスプレイユニット12はほぼ対等の関係のユニット同士であると云える。よって、本体11もディスプレイユニットであると考えることができ、またディスプレイユニット12を本体として考えることも出来る。
【0043】
また、本実施形態のコンピュータ10は、タッチスクリーンディスプレイに加え、ディスプレイ(LCD13)を備えているが、タッチスクリーンディスプレイのみを有し、ディスプレイ(LCD13)を備えない構成であってもよい。
【0044】
また、本実施形態のキー入力機能はコンピュータプログラムによって実現されているので、このコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じて、このコンピュータプログラムをタッチスクリーンディスプレイを有するコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に得ることが出来る。
【0045】
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…コンピュータ、11…本体、12…ディスプレイユニット、13,15…LCD、13A,15A…タッチパネル、111…CPU、201…入力制御プログラム、211…タッチ位置数検出部、212…位置関係検出部、213…制御部、214…出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
タッチスクリーンディスプレイと、
前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を検出する検出手段と、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す第1のデータを出力する出力手段とを具備し、
前記出力手段は、前記タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動されている間、前記ディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記複数のタッチ位置の移動方向および移動量に対応する第2のデータを出力する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のデータは、前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す絶対座標値である請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2のデータは、前記カーソルの移動の移動先位置の相対座標値である請求項1記
載の情報処理装置。
【請求項4】
ディスプレイとタッチスクリーンディスプレイとを備える情報処理装置に適用される入力方法であって、
前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を検出し、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す第1のデータを出力し、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動されている間、前記ディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記複数のタッチ位置の移動方向および移動量に対応する第2のデータを出力する、入力方法。
【請求項5】
ディスプレイとタッチスクリーンディスプレイとを備えるコンピュータに、
前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を検出する手順と、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す第1のデータを出力する手順と、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動されている間、前記ディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記複数のタッチ位置の移動方向および移動量に対応する第2のデータを出力する手順と
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
タッチスクリーンディスプレイと、
前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を検出する検出手段と、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す第1のデータを出力する出力手段とを具備し、
前記出力手段は、前記タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動されている間、前記タッチスクリーンディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記複数のタッチ位置の移動方向および移動量に対応する第2のデータを出力する、情報処理装置。
【請求項7】
タッチスクリーンディスプレイを備える情報処理装置に適用される入力方法であって、
前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を検出し、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す第1のデータを出力し、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動されている間、前記タッチスクリーンディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記複数のタッチ位置の移動方向および移動量に対応する第2のデータを出力する、入力方法。
【請求項8】
タッチスクリーンディスプレイを備えるコンピュータに、
前記タッチスクリーンディスプレイ上のタッチ位置を検出する手順と、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記タッチ位置を示す第1のデータを出力する手順と、
前記タッチスクリーンディスプレイ上の隣接する複数のタッチ位置がそれぞれ移動されている間、前記タッチスクリーンディスプレイの画面上のカーソルを移動するために、前記第1のデータの代わりに、前記複数のタッチ位置の移動方向および移動量に対応する第2のデータを出力する手順と
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−47975(P2013−47975A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237610(P2012−237610)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2012−17198(P2012−17198)の分割
【原出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】