説明

情報処理装置および情報処理方法

【課題】装置に対して外部機器を接続したときに、拡張によって使用されなくなったパネルを利用し、主パネルとは別の情報を表示することで利用者により多くの情報を与えることができ、使いやすい操作性を実現する機能拡張型システムを提供する。
【解決手段】外部機器を接続することによって機能が拡張可能な第1操作パネルを有する機器において、拡張後の機器全体の操作を行う第2操作パネルを前記外部機器に有し、前記第2操作パネルによる機器全体の状態表示や操作とは別に前記第1操作パネルからも状態表示や操作を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置および情報処理方法に関し、詳細には、ある装置に対して機能拡張したときに、その装置に対するユーザインターフェースを拡張するための情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種装置の高機能化、多機能化、小型化、ネットワーク化(LANの構築)の進展から、デジタル複写機のマルチファンクション化(コピー機能、ファックス機能、プリンタ機能、ネットワークスキャナ機能、ファイルサーバ機能など)やプリンタのコピー機能拡張オプションなど、オプション構成により動的に機能構成を変更したり、また、ネットワーク経由でパソコン等からの操作を可能にしたプリンタ/複写機が商品化されている。また、装置に対して拡張するための機器を取り付けたときに、拡張した機器の操作もその装置の操作パネルで行えるようにした技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3などがある。
【0003】
【特許文献1】特開平5−35423号公報
【特許文献2】特開平9−52408号公報
【特許文献3】特開平10−244734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構成の場合、とりわけ、プリンタからコピー機に拡張した場合、プリンタのパネルは使われず、拡張されたコピー機能用の大画面のパネルが通常使用され、プリンタ用のパネルは使用不可能となるか、プリンタとして使用しているときにのみ使用可能となっていた。
【0005】
特に最近では、プリンタ、コピー、ファクシミリなどの各種ユーザサービスを提供する拡張可能な複合機が登場してきたため、この複合機に複数の表示パネルが設けられた際にユーザの操作性が複雑化するという問題がある。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題点を解決するために、装置に対して外部機器を接続したときに、拡張によって使用されなくなったパネルに、主パネルとは別の情報を表示することで利用者により多くの情報を与えることができると共に、使いやすい操作性を実現する情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、第1の操作パネルと第2の操作パネルとを有する情報処理装置であって、前記第1の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行って所定の情報処理を実行する第1ソフトウェア部と、前記第2の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行う第2ソフトウェア部と、前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御のための第1インタフェースの機能と、前記第1ソフトウェア部による前記情報処理の実行中に、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御のための第2インターフェースの機能とを含む第3ソフトウェア部と、を備え、前記第1ソフトウェア部は、前記第1インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第1の操作パネルに対して前記情報処理に関する操作入力または表示の制御を行い、前記第2ソフトウェア部は、前記第2インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第2の操作パネルに対して、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記第1インターフェースは、前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の情報処理装置において、前記第2インターフェースは、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4にかかる発明は、第1の操作パネルと第2の操作パネルとを有する情報処理装置で行われる情報処理方法あって、第1ソフトウェア部によって、前記第1の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行って所定の情報処理を実行する第1ステップと、第2ソフトウェア部によって、前記第2の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行う第2ステップと、第3ソフトウェア部によって、前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御のための第1インタフェースの機能と、前記第1ソフトウェア部による前記情報処理の実行中に、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御のための第2インターフェースの機能とを提供するステップと、を含み、前記第1ステップは、前記第1インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第1の操作パネルに対して前記情報処理に関する操作入力または表示の制御を行い、前記第2ステップは、前記第2インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第2の操作パネルに対して、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御を行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の情報処理方法において、前記第1インターフェースは、前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6にかかる発明は、請求項4または5に記載の情報処理方法において、前記第2インターフェースは、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置に対して外部機器を接続したときに、拡張によって使用されなくなったパネルに、主パネルとは別の情報を表示することで利用者により多くの情報を与えることができると共に、使いやすい操作性を実現できる。
【0014】
また、本発明によれば、多機能な画像形成装置の操作入力および表示内容の確認にかかるユーザの負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る情報処理装置および情報処理方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係る機能拡張型システムを応用した複写機拡張可能なプリンタシステム(MFPシステムと略称する)の構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施の形態1は、拡張前のプリンタシステムを構成するプリンタコントローラ10(図中のMFP拡張部20を除いた全体を意味する)を本体として、これに複写機能を拡張するようにMFP拡張部20をシステムバス30で取り付けて構成した。
【0018】
プリンタコントローラ10は、プリンタコントロールのためのプログラムを格納するPrinterROM12、このプログラムの実行時に一時的に使用される記憶装置のRAM13、記録紙に画像を形成するプリンタエンジンをコントロールするエンジン・コントローラ14、プリンタへの種々の設定や操作しているときや動作状態、エラー時のメッセージの表示を行うプリンタ・パネル15およびプリンタコントロールのためのプログラムを実行するCPU11とから構成される。
【0019】
MFP拡張部20は、複写機能やプリンタ機能を実行するプログラムを格納するMFPROM22、このプログラムを実行時に一時的に使用される記憶装置の増設RAM21、原稿を画像として読み込む制御を行なうスキャナ・コントローラ23、複写機の機能やプリンタ機能への種々の設定や操作しているときや動作状態、エラー時のメッセージの表示を行うMFPパネル24から構成される。
【0020】
上記構成で、プリンタコントローラ10がそのまま複写機拡張後もMFPシステム全体のコントローラとして残り、PrinterROM12上に記憶されたプログラムの無効化/書き換え/差し替えのみで拡張された機能を使用可能として動作する。
【0021】
即ち、CPU11がMFPROM22のプログラムを実行すると共に、必要に応じてPrinterROM12上のプログラムの無効化/書き換え/差し替えを行ってMFPシステムとしての機能を実行する。
【0022】
この拡張後、使用者はMFP拡張部20のMFPパネル24を使って複写機能を実行させることになり、プリンタコントローラ10に備わっているプリンタ・パネル15は使用されないか、または(拡張機能をはずして)プリンタ自体として使用するときにのみ操作に使われることになる。
【0023】
しかし、本発明では、このプリンタ・パネル15を副パネルとして積極的に利用することにした。
【0024】
図2は、MFPシステムとして拡張後のソフトウエア構成を示し、MFPROM22に格納されている。
【0025】
本実施の形態1が持っているハードウエアリソースは、オペレーティングシステム(OS)100のリソースとして管理され、パネル(MFPパネル24、プリンタ・パネル15)、エンジン(エンジンコントロ−ラ14)、スキャナ(スキャナコントローラ23)等はドライバソフトウエア300(プリンタ・パネルドライバ、MFPパネルドライバ、エンジンドライバ、スキャナドライバ)を介してOS100上のプロセスからアクセスされる。
【0026】
MFP画面コントロールプロセス200は、MFPパネル24の表示/操作をコントロールし、結果としてプリンタ動作/コピー動作等のMFP システムとしての操作を司る。その際にスキャナコントロールプロセス202、エンジンコントロールプロセス203を利用して実際の動作を行わせる。
【0027】
スキャナコントロールプロセス202は、スキャナコントローラ23を介してスキャナ装置の動作を制御する。
【0028】
エンジンコントロールプロセス203は、エンジンコントローラ14を介してプリンタエンジンをコントロールし、印刷および印刷に関わる装置(給紙装置、フィニッシャ等)の制御を行わせる。
【0029】
プリンタ画面コントロールプロセス201は、図3に示すように複数のスレッドから構成される。
【0030】
プリンタ画面コントロールプロセス201に対するパネルからのキー入力やプロセス間通信イベントは、イベントディスパッチャによって処理される。
【0031】
イベントディスパッチャは、通常選択されたスレッドにイベントを送り、イベントを受け取った各スレッドが動作を行う。例えば、このスレッドには、プリンタ操作スレッド、システム状態スレッド、トレイ設定スレッド、ジョブリストスレッド、動作状態スレッド、切り替えスレッドがある。
【0032】
これらのスレッドは、それぞれ以下のような動作を行わせるためにプリンタ・パネル15を操作の入力および表示画面として利用する。
【0033】
(1)プリンタ操作スレッドは、プリンタ動作に対する操作を行う画面インタフェースを提供する(図4(a)の画面例参照)。このプリンタ操作のインタフェースは、拡張前のものと同等のものであるが、MFPシステムとしての他の機能と排他制御するために、システム全体の状態を保持しているMFP画面コントロールプロセス200と交信して状態をみながら実行される。
【0034】
(2)システム状態スレッドは、MFPシステムの状態を表示する機能を提供する(図4(b)の画面例参照)。このシステム状態は、MFPシステム全体の状態を示す。例えば、コピー、FAX、プリンタとしてどの状態であるかを表示する。また、この状態は、MFP画面コントロールプロセス200と交信して得る。
【0035】
(3)トレイ状態表示スレッドは、トレイ状態を表示する(図4(c)の画面例参照)。このトレイ状態は、システムの持つトレイ情報を表示する。この情報は、エンジン情報を管理するエンジンコントロールプロセス203と交信して得る。
【0036】
(4)ジョブリストスレッドは、システムのジョブの表示/操作を行う機能を提供する(図4(d)の画面例参照)。このジョブリストは、MFPシステム全体の情報を管理するMFP画面コントロールプロセス200と交信して得る。
【0037】
(5)状態表示スレッドは、システムの動作中の詳細な状態を表示する(図4(e)の画面例参照)。この動作状態は、MFP画面コントロールプロセス200、スキャナコントロールプロセス202、エンジンコントロールプロセス203と交信して得られる情報から生成する。
【0038】
(6)切り替えスレッドは、プリンタ画面コントロールプロセス201の動作を指定するためのインタフェースで上記の各スレッドのどれを優先して表示するかを決定する(図4(f)の画面例参照)。この切り替えは、例えば、プリンタ・パネル15のメニューキー入力などのアクションによりディスパッチャより起動される。表示される選択候補の中から上記に示したような各スレッドのどれを優先して表示するかを設定する。
【0039】
以上、上記のように実施の形態を構成したことにより、以下の効果を奏する。まず、拡張によって使用されなくなったパネルに、主パネルとは別の情報を表示することで利用者により多くの情報を与えることができると共に、使いやすい操作性を実現できる。また、拡張後に主パネルとは別の情報を副パネルに提供するので、使用者は副パネルからも情報を得ることができ、操作に必要な情報を豊富に受けることができる。
【0040】
また、副パネルにプリンタの操作など拡張前の機能を提供するので、使用者は違和感なく副パネルを操作することができる。さらに、副パネルにシステムの動作状態を表示するので、使用者はシステムの状態を素早く知ることができる。
【0041】
また、副パネルにトレイ設定を表示するので、使用者はトレイ状態をすばやく知ることができる。さらに、副パネルにジョブリストを表示するので、使用者はシステムの実行しているジョブを素早く知ることができる。
【0042】
また、副パネルに動作中の状態を表示するので、使用者はシステムの動作状態を素早く知ることができる。さらに、副パネルに設定する情報を切り替えるので、使用者は副パネルに表示する内容を選択することができる。
【0043】
(実施の形態2)
ところで、上記実施の形態1では、プリンタを複写機に機能拡張可能なMFPを用いる場合を示したが、本発明は、プリンタ、コピー、ファクシミリなどの機能を有する複合機を用いた場合に適用することもできる。そこで、本実施の形態2では、本発明を複合機に適用した場合を示すこととする。
【0044】
図5は、本実施の形態2に係る複合機のソフトウエア構成を示すブロック図である。この複合機500は、各種共通システムサービス522〜528および汎用OS521からなるプラットホーム520上に、プリンタアプリ511、コピーアプリ512、ファックスアプリ513、スキャナアプリ514、ネットファイルアプリ515および工程検査アプリ516を搭載するよう構成している。
【0045】
同図に示すように、この複合機500は、プロッタ501、ハードディスクドライブ502、ネットワークインターフェース(I/F)部503、操作パネル504、操作パネル505などを有するとともに、ソフトウエア群510は、プラットホーム520およびアプリケーション530からなる。
【0046】
プラットホーム520は、アプリケーション530からの処理要求を解釈して、ハードウエア資源の獲得要求を発生させる下記に示すコントロールサービスと、一または複数のハードウエア資源の管理をおこない、コントロールサービスからの獲得要求を調停するシステムリソースマネージャー(SRM(System Resource Manager)523)と、汎用OS521とを有する。
【0047】
このコントロールサービスは、複数のサービスモジュールにより形成され、具体的には、SCS(System Control Service)522と、ECS(Engine Control Service)524と、MCS(Memory Control Service)525と、OCS(Operation panel Control Service)526と、FCS(FAX Control Service)527と、NCS(Network Control Service)528とがある。なお、このプラットホーム520は、あらかじめ定義された関数により前記アプリケーションからの処理要求を受信可能とするアプリケーションプログラムインターフェースを有する。
【0048】
汎用OS521は、UNIX(登録商標)などの汎用オペレーティングシステムであり、プラットホーム520並びにアプリケーション530の各ソフトウエアをそれぞれプロセスとして並列実行する。オープンソースのUNIX(登録商標)を用いることにより、プログラムの安全性を確保できるとともに、ネットワーク対応可能となり、ソースコードの入手も容易となる。さらに、OS、TCP/IPのロイヤリティが不要であり、アウトソーシングも容易となる。この汎用OSは、各ハードウエア501〜505のデバイスドライバを含むものとする。
【0049】
SRM523は、SCS522とともにシステムの制御およびリソースの管理をおこなうものであり、スキャナ部やプロッタ501などのエンジン、メモリ、HDD502、ホストI/O(セントロI/F部、ネットワークI/F部503、IEEE1394I/F、RS232CI/Fなど)、操作パネル504・505のハードウエア資源を利用する上位層からの要求にしたがって調停をおこない、実行制御する。
【0050】
具体的には、このSRM523は、要求されたハードウエア資源が利用可能であるかどうか(他の要求により利用されていないかどうか)を判断し、利用可能であれば要求されたハードウエア資源が利用可能である旨を上位層に伝える。また、上位層からの要求に対してハードウエア資源の利用スケジューリングをおこない、要求内容(たとえば、プロッタ501による紙搬送と作像動作、メモリ確保、ファイル生成など)を直接実施するようにしてもよい。
【0051】
SCS522は、(1)アプリ管理、(2)操作パネル制御、(3)システム画面表示(ジョブリスト画面、カウンタ表示画面など)、(4)LED表示、(5)リソース管理、(6)割り込みアプリ制御をおこなう。具体的には、(1)アプリ管理では、アプリの登録と、その情報を他のアプリに通知する処理をおこなう。登録されたアプリに対しては、システムの設定やアプリからの要求設定に応じてエンジン状態を通知する。また、登録済みのアプリに対しては、電力モード移行の問い合わせ、割り込みモードなど、システムの状態遷移のための可否問い合わせをおこなう。
【0052】
また、(2)操作パネル制御では、アプリの操作パネル使用権の排他制御をおこなう。そして、操作パネルの使用権を持つアプリへ操作パネルドライバ(OCS)からのキー情報を排他的に通知する。このキー情報は、アプリ切替中などのシステムの状態遷移に応じて一時的に通知を停止するマスク制御をおこなう。
【0053】
また、(3)システム画面表示では、操作パネル使用権を持つアプリからの要求内容に応じて、エンジン状態に対応する警告画面の表示をおこなう。これらのなかには、利用者制限画面などアプリの状態に応じて警告表示をオン/オフするものもある。エンジン状態以外では、ジョブの予約・実行状況を表示するためのジョブリスト画面、トータルカウンタ類を表示するためのカウンタ画面、CSSの通報中を示す画面の表示制御をおこなう。これらのシステム画面表示に関しては、アプリへ操作部使用権の解放を要求せず、アプリ画面を覆うシステム画面として描画をおこなう。
【0054】
また、(4)LED表示では、警告LED、アプリキーなどのシステムLEDの表示制御をおこなう。アプリ固有のLEDについては、アプリが直接表示用ドライバを使用して制御する。
【0055】
また、(5)リソース管理では、アプリ(ECS)がジョブを実行するにあたって、排他しなければならないエンジンリソース(スキャナ、ステープルなど)の排他制御のためのサービスをおこない、(6)割り込みアプリ制御では、特定のアプリを優先動作せさるための制御・サービスをおこなう。
【0056】
特に、この複合機500は、2つの操作パネル504および505を有するため、それぞれ別の情報を表示するよう制御する。たとえば、頻繁に使用されるコピーアプリ511に操作パネル505を割り当て、その他のアプリに操作パネル504を割り当てることができる。また、操作パネル505によりコピーアプリ512を含む各アプリの操作入力および表示をおこない、装置全体の動作状態の表示を操作パネル504に表示するよう制御することもできる。さらに、どちらの操作パネルに優先表示するかを示す優先表示指示内容を操作パネル504から受け付け、この優先表示指示内容にしたがって表示内容を制御することもできる。
【0057】
ECS524は、スキャナ部やプロッタ501などのエンジンを制御するものであり、画像読み込みと印刷動作、状態通知、ジャムリカバリなどをおこなう。
【0058】
具体的には、アプリケーション530から受け取ったジョブモードの指定にしたがい、印刷要求をSRM523に順次発行していくことで、一連のコピー/スキャン/印刷動作を実現する。このECS524が取り扱う対象のジョブは、画像入力デバイスにスキャナ(SCANNER)が指定されているか、または、画像出力デバイスにプロッタ(PLOTTER)が指定されているものとする。
【0059】
たとえば、コピー動作の場合には「SCANNER → PLOTTER」と指定され、ファイル蓄積の場合には「SCANNER → MEMORY」と指定され、ファクシミリ送信の場合には「SCANNER → FAX_IN」と指定される。また、蓄積ファイル印刷またはプリンタアプリ511からの印刷の場合には「MEMORY → PLOTTER」と指定され、ファクシミリ受信の場合には「FAX_OUT → PLOTTER」と指定される。
【0060】
なお、ジョブの定義はアプリケーションによって異なるが、ここでは利用者が取り扱う1セットの画像群に対する処理動作を1ジョブと定義する。たとえば、コピーのADF(Automatic Document Feeder)モードの場合は、原稿台に置かれた1セットの原稿を読み取る動作が1ジョブとなり、圧板モードは最終原稿が確定するまでの読み取り動作が1ジョブとなる。また、コピーアプリ312の場合には、一束の原稿をコピーする動作が1ジョブとなり、ファックスアプリ313の場合には、1文書の送信動作または1文書の受信動作が1ジョブとなり、プリンタアプリの場合には、1文書の印刷動作が1ジョブとなる。
【0061】
MCS525は、メモリ制御をおこなうものであり、具体的には、画像メモリの取得および開放、HDD502の利用、画像データの圧縮および伸張などをおこなう。
【0062】
ここで、HDD502に蓄積される画像データファイルとして必要な情報を管理するために必要な機能としては、(1)ファイルアクセス(生成/削除/オープン/クローズ)機能(排他処理を含む)、(2)ファイル名称/ID管理(ファイル/ユーザ)/パスワード管理/蓄積時刻管理/ページ数/データフォーマット(圧縮方式など)/アクセス制限/作成アプリ/印刷条件管理などの各種ファイル属性管理(物理的なページ単位の画像データのファイルとしての管理)、(3)ファイル単位およびページ単位での結合/挿入/切断機能、(4)ファイルソート機能(蓄積時刻順/ユーザID順など)、(5)全ファイル情報の通知(表示/検索用)、(6)リカバリ機能(破損ファイルのファイル/ページ破棄)、(7)ファイルの自動削除機能などがある。
【0063】
また、RAMなどのメモリへ画像データを保持しアクセスするための機能としては、(1)アプリケーション530からのファイルおよびページ/バンド属性情報を取得する機能、(2)アプリケーション530からの画像データ領域の確保、解放、リード(Read)、ライト(Write)機能などがある。
【0064】
OCS526は、オペレータと本体制御間の情報伝達手段となる操作パネル504および505を制御するモジュールであり、オペレータのキー操作イベントを本体制御に通知する処理、各アプリがGUIを構築するためのライブラリ関数を提供する処理、構築されたGUI情報をアプリ別に管理する処理、操作パネル上への表示反映処理などをおこなう。
【0065】
このOCS526は、(1)GUI構築のためのライブラリの提供機能、(2)操作部ハードウエア資源管理機能、(3)VRAM描画/LCD表示機能(ハードウエア表示、表示アプリ切替、表示言語切替、ウインドウ暗色表示、メッセージ/アイコンブリンク表示、メッセージの連結表示)、(4)ハードキー入力検出機能、(5)タッチパネルキー入力検出機能、(6)LED出力機能、(7)ブザー出力機能などを有する。
【0066】
FCS527は、システムコントローラの各アプリ層からPSTN/ISDN網を使ったファクシミリ送受信、BKM(バックアップSRAM)で管理されている各種ファクシミリデータの登録/引用、ファクシミリ読み取り、ファクシミリ受信印刷、融合送受信をおこなうためのAPIを提供するものである。
【0067】
具体的には、このFCS527は、(1)アプリ層から送信依頼されたドキュメントをPSTN/ISDN網を使ってファクシミリ受信機に送信をおこなう送信機能、(2)PSTN/ISDN網から受信したファクシミリ受信画面、各種レポート類を各アプリ層に転送、印刷をおこなう受信機能、(3)ファックスボードに記憶されている電話帳、グループ情報などのファクシミリ管理項目の引用や登録をおこなう電話帳引用・登録機能、(4)ファックスボードに搭載されているBKMに記憶されている送受信結果履歴情報などを必要としているアプリに通知するファックスログ通知機能、(5)ファックスボードの状態変化があったときにFCSに登録してあるアプリに変化のあったイベントを通知するイベント通知機能などを有する。
【0068】
NCS528は、ネットワークI/Oを必要とするアプリケーションに対して共通に利用できるサービスを提供するためのモジュール群であり、ネットワーク側から各プロトコルによって受信したデータを各アプリケーションに振り分けたり、アプリケーションからデータをネットワーク側に送信する際の仲介をおこなう。具体的には、ftpd、httpd、lpd、snmpd、telnetd、smtpdなどのサーバデーモンや、同プロトコルのクライアント機能などを有する。
【0069】
アプリケーション530は、ページ記述言語(PDL)、PCLおよびポストスクリプト(PS)を有するプリンタ用のアプリケーションであるプリンタアプリ511と、コピー用アプリケーションであるコピーアプリ512と、ファクシミリ用アプリケーションであるファックスアプリ513と、スキャナ用アプリケーションであるスキャナアプリ514と、ネットファイル用アプリケーションであるネットファイルアプリ315と、工程検査用アプリケーションである工程検査アプリ516とを有する。各アプリケーション511〜516は、プラットホーム520上の各プロセスを利用して動作実行し得るため、画面制御、キー操作制御およびジョブ生成などをおこなう画面表示制御プログラムがその主体となる。なお、NCS528により接続されたネットワークを介して新たなアプリケーションをネットワーク経由で搭載することもできる。また、各アプリケーションはアプリケーションごとに追加または削除することができる。
【0070】
次に、図5に示した操作パネル504をプリンタパネルとして用い、操作パネル505をコピーパネルとして用いる場合の表示制御について説明する。図6は、図5に示した操作パネル504をプリンタパネルとして用い、操作パネル505をコピーパネルとして用いる場合の表示制御を説明するための説明図である。
【0071】
同図に示すように、この場合には、汎用OS521内のドライバ600に、プリンタパネルドライバ610(操作パネル504用のドライバ)、コピーパネルドライバ630(操作パネル505用のドライバ)、プロッタドライバ620、スキャナドライバ640を設ける必要がある。また、アプリケーション530には、プリンタアプリ511およびコピーアプリ512が必要となる。さらに、ECS524には、プロッタコントロールプロセス524aとスキャナコントロールプロセス524bとが必要になる。
【0072】
そして、操作パネル504をプリンタパネルとして使用する際には、プリンタアプリ511がSCS522を介して、プリンタパネルドライバ610との間でデータ授受をおこなうことになる。また、操作パネル505をコピーパネルとして使用する際には、コピーアプリ512がSCS522を介して、コピーパネルドライバ630との間でデータ授受をおこなうことになる。なお、このSCS522は、すでに説明したように、アプリの操作パネル使用権の排他制御をおこない、操作パネルの使用権を持つアプリへ操作パネルドライバからのキー情報を通知する。
【0073】
また、プリンタアプリ511による処理をおこなう場合には、プロッタ501を動作させる必要があるので、プリンタアプリ511は、ECS524のプロッタコントロールプロセス524aを介して、プロッタドライバ620との間でデータを授受する。一方、コピーアプリ512による処理をおこなう場合には、さらにスキャナを動作させる必要があるので、コピーアプリ512は、ECS524内のスキャナコントロールプロセス524bを介してスキャナドライバ640とデータ授受をおこなうことになる。
【0074】
上述してきたように、本実施の形態2では、2つの表示パネル504および505を有するとともに複数のアプリ511〜516を搭載する複合機を用いる場合に、異なるアプリに異なる表示パネルを割り当てるよう構成したので、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0075】
なお、本実施の形態2では、2つの表示パネル504および505、各アプリ511〜516、各ドライバが最初から複合機500に存在する場合を示したが、コピーアプリ512などのアプリケーションを後から追加する場合に本発明を適用することもできる。この場合には、アプリ並びに必要に応じてコントロールプロセスを追加することになる。また、表示パネル505を後から追加する場合には、デバイスドライバを新たに追加する必要がある。
【0076】
また、本実施の形態2では、説明の便宜上、表示パネルを2つ設ける場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示パネルを3つ以上設ける場合や、1つの表示パネルを複数に分割して使用する場合に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態1に係る機能拡張型システムを応用した複写機拡張可能なプリンタシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】機能拡張後のソフトウェア構成を示す図である。
【図3】本実施の形態1に係るプリンタ画面コントロールプロセスのソフトウェア構成を示す図である。
【図4】本実施の形態1に係るの副パネルにおける画面例を示す図である。
【図5】本実施の形態2に係る複合機のソフトウエア構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示した操作パネル504をプリンタパネルとして用い、操作パネル505をコピーパネルとして用いる場合の表示制御を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0078】
10 プリンタコントローラ
11 CPU
12 PrinterROM
13 RAM
14 エンジン・コントローラ
15 プリンタ・パネル(副パネル)
20 MFP拡張部
21 増設RAM
22 MFPROM
23 スキャナ・コントローラ
24 MFPパネル(主パネル)
30 システムバス
100 オペレーティングシステム(OS)
200 MFP画面コントロールプロセス
201 プリンタ画面コントロールプロセス
202 スキャナコントロールプロセス
203 エンジンコントロールプロセス
300 ドライバ(プリンタ・パネル、MFPパネル、エンジン、スキャナ)
500 複合機
501 プロッタ
502 HDD
503 ネットワークI/F部
504,505 操作パネル
510 ソフトウエア群
511 プリンタアプリ
512 コピーアプリ
513 ファックスアプリ
514 スキャナアプリ
515 ネットファイルアプリ
516 工程検査アプリ
520 プラットホーム
521 汎用OS(デバイスドライバ含む)
522 SCS
523 SRM
524 ECS
525 MCS
526 OCS
527 FCS
528 NCS
530 アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の操作パネルと第2の操作パネルとを有する情報処理装置であって、
前記第1の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行って所定の情報処理を実行する第1ソフトウェア部と、
前記第2の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行う第2ソフトウェア部と、
前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御のための第1インタフェースの機能と、前記第1ソフトウェア部による前記情報処理の実行中に、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御のための第2インターフェースの機能とを含む第3ソフトウェア部と、を備え、
前記第1ソフトウェア部は、前記第1インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第1の操作パネルに対して前記情報処理に関する操作入力または表示の制御を行い、
前記第2ソフトウェア部は、前記第2インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第2の操作パネルに対して、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1インターフェースは、前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2インターフェースは、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
第1の操作パネルと第2の操作パネルとを有する情報処理装置で行われる情報処理方法あって、
第1ソフトウェア部によって、前記第1の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行って所定の情報処理を実行する第1ステップと、
第2ソフトウェア部によって、前記第2の操作パネルに対する操作入力または表示の制御を行う第2ステップと、
第3ソフトウェア部によって、前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御のための第1インタフェースの機能と、前記第1ソフトウェア部による前記情報処理の実行中に、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御のための第2インターフェースの機能とを提供するステップと、を含み、
前記第1ステップは、前記第1インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第1の操作パネルに対して前記情報処理に関する操作入力または表示の制御を行い、
前記第2ステップは、前記第2インタフェースを呼び出すことにより前記第3のソフトウェア部に対して処理要求を行って、前記第2の操作パネルに対して、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御を行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
前記第1インターフェースは、前記情報処理に関する操作入力または表示に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第2インターフェースは、前記情報処理装置の動作状態または前記情報処理の実行状態の表示制御に関するハードウェア制御を実行する関数により定義されることを特徴とする請求項4または5に記載の情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−305143(P2007−305143A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156354(P2007−156354)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【分割の表示】特願2005−224287(P2005−224287)の分割
【原出願日】平成13年9月19日(2001.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】