情報処理装置並びにコンピューター・プログラム
【課題】電子文書中の注目箇所にアノテーションを貼り付けて、ディスプレイ画面上で注目箇所を探索する作業の操作性を改善する。
【解決手段】電子文書中のそれぞれの注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り付けて各々のアノテーション・データに同一のグループIDを割り振る、あるいはグループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトをそれぞれの注目箇所にコピーしながら貼り付けていくという編集操作を一旦行なっておけば、以降の電子文書の編集作業などにおいて、いずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択するだけで、何度でも所定の箇所を参照することができる。
【解決手段】電子文書中のそれぞれの注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り付けて各々のアノテーション・データに同一のグループIDを割り振る、あるいはグループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトをそれぞれの注目箇所にコピーしながら貼り付けていくという編集操作を一旦行なっておけば、以降の電子文書の編集作業などにおいて、いずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択するだけで、何度でも所定の箇所を参照することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子情報を管理する情報処理装置並びにコンピューター・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子文書を表示し編集するシステムにおいて、ディスプレイ画面へ表示出力する際には、参照したり編集したりする目的に応じて、表示する倍率を変えることが通常行われており、このようなシステムにおいては、表示イメージの拡大並びに縮小機能は必須である。例えばA0やA1といった、いわゆる大判の電子文書は、等倍のままではディスプレイ画面に収まりきらないので、電子文書全体のイメージを把握したいときには縮小表示する一方、編集作業を行なうときには、編集対象となる箇所をある程度拡大することで、文字や図形の詳細を表示するようにする。このように必要に応じて電子文書の縮小表示と拡大表示を使い分けることで、文書編集処理の作業性が高まる。
【0003】
例えば、編集機能毎に最適な表示倍率を格納しておくファンクションテーブルを設けておき、編集機能毎に最適な表示倍率を自動的に採用する情報処理装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
また、画像データ毎に表示装置の表示画面に対する画像の表示領域及び画像全体に占める画像の表示範囲に関する表示属性情報を有して構成される表示属性ファイルを作成してその画像ファイルと関連付けて保存し、画像の表示は表示属性ファイルの表示属性情報に基づいて行なうことによって、煩雑な操作を要することなく、画像データ毎に最適な位置、大きさ、形状及び倍率で画像を表示することができる画像表示方法について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0005】
また、近年では、電子文書の任意位置に、当該電子文書の本文に影響を与えることなく、文字情報、画像情報、音声情報、リンク情報などの付加情報を添付する技術が広く用いられている。このような付加情報はアノテーション(注釈)とも呼ばれる。ユーザーは、紙に付箋を貼ったり、マーカーを引いたり、スタンプを押したりする感覚でアノテーション機能を使用することができる。アノテーションを用いることで、電子文書の内容自体を編集することなく、アノテーションを貼り付けた箇所についての何らかのメッセージを他のユーザーに通知することが可能になる。
【0006】
例えば、複数ページからなる電子文書に散在するアノテーションを一覧表示して、インデックス・リストとして使用できるようにした情報処理装置について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【0007】
【特許文献1】特開平7−114543号公報
【特許文献2】特開2002−207547号公報
【特許文献3】特開2004−13416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、電子情報中の注目箇所の表示位置と表示倍率を記憶させることにより注目箇所を参照する作業の操作性をより効率的にした情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、請求項1に記載の発明は、1ページ以上からなる電子文書を処理する情報処理装置であって、
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部と、
1ページの領域からなる電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部と、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部と、
を備え、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とする情報処理装置である。
【0010】
また、本願の請求項2に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じて複数のアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割して、該分割した各画面に前記選択された複数のアノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページをそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0011】
また、本願の請求項3に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じてページ上に貼り付けられた各アノテーション・オブジェクトにグループ識別情報を割り振り、前記電子情報データ保持部は各アノテーション・オブジェクトに割り振られたグループ識別情報を該当するページ・データに保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0012】
また、本願の請求項4に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割し、前記選択されたアノテーション・オブジェクトと同じグループ識別情報を持つ各アノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを該分割した各画面にそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
【0013】
また、本願の請求項5に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じてグループ識別情報を持つアノテーション・オブジェクトをページ上の他の表示位置にコピーされたアノテーション・オブジェクトに対し同じグループ識別情報と表示倍率を与える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
【0014】
また、本願の請求項6に記載に発明は、前1ページ以上からなる電子情報の処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部、
電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部、
として機能させ、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本願の請求項1並びに6に記載の発明によれば、本構成を備えていない場合に比較して、電子情報中の注目箇所の表示位置と表示倍率を記憶させることにより注目箇所を参照する作業の操作性をより効率的にすることができる。
【0016】
また、本願の請求項2に記載の発明によれば、複数の注目箇所をそれぞれの表示位置と表示倍率に基づいて同時に比較することができる。
【0017】
また、本願の請求項3に記載の発明によれば、前記アノテーション操作制御部を通じてページ上に貼り付けられた各アノテーション・オブジェクトにグループ識別情報を割り振り、前記電子文書データ保持部は各アノテーション・オブジェクトに割り振られたグループ識別情報を該当するページ・データに保持することができる。
【0018】
また、本願の請求項4に記載の発明によれば、アノテーション・オブジェクトが選択されたときには、画面を分割し、該選択されたアノテーション・オブジェクトと同じグループ識別情報を持つ各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられている表示位置をそれぞれ表示して、ユーザーは、関連し合う(若しくは、同時に編集対象となる)注目箇所を探索するための操作を効率化し、複数の注目箇所を同時に比較することができる。
【0019】
また、本願の請求項5に記載の発明によれば、コピーされたアノテーション・オブジェクトに対して、コピー元と同じ表示倍率とグループIDはそのままコピーされる。したがって、アノテーション・オブジェクトのコピー操作を繰り返すことで、ユーザーは同時に確認したくなるような複数の注目箇所を効率よくグループ化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0021】
図1には、情報処理装置としての文書処理装置として動作するコンピューター100の構成を示している。
【0022】
CPU101は、オペレーティング・システム(OS)が提供するプログラム実行環境下で、ROM101やハード・ディスク・ドライブ111に格納されているプログラムを実行する。
【0023】
ROM(Read Only Memory)102は、POST(Power On Self Test)やBIOS(Basic Input Output System)などのプログラム・コードを恒久的に格納する。RAM103は、ROM102やHDD111に格納されているプログラムをCPU101が実行する際にロードしたり、実行中のプログラムの作業データを一時的に保持したりするために使用される。これらはCPU101のローカル・ピンに直結されたローカル・バス104により相互に接続されている。
【0024】
ローカル・バス104は、ブリッジ105を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスなどの入出力バス106に接続されている。
【0025】
キーボード108と、マウスなどのポインティング・デバイス109は、ユーザーにより操作される入力デバイスである。ディスプレイ110は、LCD(Liquid Crystal Display)又はCRT(Cathode Ray Tube)などからなる。ここで言うユーザーは、電子文書中の注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り付け、さらにはアノテーション・オブジェクトを手掛かりに電子文書の参照や編集などの作業を行なう文書編集者に相当する。
【0026】
HDD111は、記録メディアとしてのハード・ディスクを内蔵したドライブ・ユニットであり、ハード・ディスクを駆動する。ハード・ディスクには、オペレーティング・システムや各種アプリケーションなどCPU101が実行するプログラムをインストールしたり、各種のローカル・ファイルを保存したりするために使用される。HDD111にインストールされるアプリケーション・プログラムとして、文書管理ソフトウェアを挙げることができる。また、本実施形態では、HDD111は、電子文書や電子文書に付随する情報の格納場所として活用される。
【0027】
通信部115は、ネットワークに接続され、その他の情報処理装置との通信を実行する。例えば、電子文書を格納する電子文書サーバと通信部115を介して接続することもできる。
【0028】
文書処理装置は、電子文書を取り扱う文書管理ソフトウェアを、コンピューター100上で実行することによって構成することができる。ここで、電子文書は管理すべき任意の領域を示すページ・サイズを持ち、また、ページ上の位置をページ座標系で表すことができるものとする(例えば、ページの左上端を原点とし、右向きにX軸、下向きにY軸を設定する)。
【0029】
また、本発明の一実施形態に係る文書処理装置は、電子文書のページ上の任意の位置に、当該電子文書の本文に影響を与えることなくアノテーション・オブジェクトを貼り付けることができる。アノテーション・オブジェクトは、電子文書のページ上の任意の位置に貼り付けられる付箋、あるいは、テキストに沿って手書きで引かれたマーカーのような態様で表現される電子情報であり、前記したような態様で表示され、操作入力部により操作されることが可能である。アノテーション・オブジェクトを電子文書のページ上の任意の位置にアノテーション・オブジェクトを貼り付けることによって、注目箇所の所在を明示して、ユーザーの参照・編集作業を支援することができる。
【0030】
図2には、本実施形態に係る文書処理装置で取り扱われる電子文書のデータ構造を示している。電子文書は、コンピューター100上ではデータ・ファイルとして取り扱われる。1つの電子文書は1枚以上のページで構成され、図示のように電子文書データはページ数分のページ・データからなる。
【0031】
ページ1枚分のページ・データは、電子文書のページ本文に相当するテキスト・データ(又は写真や図などの画像データ)と、当該ページの表示イメージ上に貼り付けられたアノテーション・オブジェクト毎のアノテーション・データからなる。このように、電子文書本文に相当するデータとアノテーション・データが分離して扱われるので、元の電子文書のデータに影響を与えることなく各ページにアノテーションを貼り付けることができる。
【0032】
アノテーション・オブジェクトに対して設定されるアノテーション・データは、従来から、ページ上で貼り付けた注目箇所のレイアウト情報を含むものであった。これに対し、本実施形態では、注目箇所のレイアウト情報に加え、アノテーション・オブジェクトをページに貼り付けたときのページの表示位置及び表示ページの表示倍率の情報を、ページ表示を再現するための情報として、アノテーション・データに書き込むようになっている。ページの表示位置は、現在表示しているページの表示範囲、若しくは表示範囲の中心(若しくは表示範囲中のその他の特定の部位)となるページ座標位置で記述することができる。表示範囲の中心となるページの表示位置を合わせるとともに同じ表示倍率にすれば、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ表示を再現できることは自明であろう。
【0033】
さらにはオプションとして、アノテーション・データ内にグループIDを持つことができる。例えば、編集作業の上で同時に確認したい複数の注目箇所に貼り付けたアノテーション・オブジェクトに対し、同一のグループIDを持つアノテーション・データを設定することで、注目箇所をグループ化することができる。
【0034】
本実施形態に係る文書処理装置上では、アノテーション・オブジェクトに対する編集処理の1つとしてコピー操作が設けられている。ページ上のある注目箇所に貼り付けられたアノテーション・オブジェクトを、例えば同じページ内の他の場所、あるいは同じ電子文書内の他のページなどにコピーした際には、表示倍率とグループIDはそのままコピーされる(後述)。
【0035】
電子文書を保存する際には、電子文書のページ・データの一部として、ページ上に貼り付けられているアノテーション・オブジェクトの設定内容(すなわち、アノテーション・データ)も保存される。また、電子文書を読み出した際には、電子文書のページ・データの一部として、ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも読み出される。
【0036】
図3には、電子文書に対してアノテーション・オブジェクトを貼り付けるとともに、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた電子文書を表示するための、文書処理装置の機能的構成を模式的に示している。
【0037】
図示の文書処理装置1は、電子文書を格納する記憶部10と、マウス108などのユーザー・インターフェースを通じてユーザー操作を入力する操作入力部(I/F)20と、記憶部10から電子文書の読み出しや書き込みを行なう記憶入出力部30と、記憶部10から読み出された(現在処理対象となっている)電子文書のデータを保持する電子文書データ保持部31と、電子文書のページをディスプレイ画面上に表示する処理を行なう電子文書表示制御部40と、ディスプレイ画面に表示された電子文書に対する操作を行なう電子文書操作制御部50と、電子文書のページ上でのアノテーション・オブジェクトの操作を行なうアノテーション操作制御部60で構成される。
【0038】
記憶入出力部30、電子文書操作制御部50、アノテーション操作制御部60は、基本的には、操作入力部20を介した指示に従って該当する処理を起動する。
【0039】
記憶入出力部30は、処理対象として指定された電子文書のデータを記憶部10から読み出して電子文書データ保持部31に書き込み、また、処理中の電子文書を保存することが指示されると電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータを記憶部10に書き込む。電子文書データ保持部31に保持されている電子文書は、図2に示したようなデータ構造からなる。記憶部10に電子文書を保存する際には、電子文書のページ・データの一部として、各ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも保存する。また、記憶部10から電子文書を読み出す際には、電子文書のページ・データの一部として、ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも読み出す。ここで、記憶部10は、例えばHDD111などのコンピューター100内のローカル記憶領域であるが、勿論、通信部115を介してアクセス可能な電子文書サーバなどであっても良い。
【0040】
電子文書操作制御部50が行なう電子文書に対する操作には、ページ表示倍率や表示位置の変更、ページ移動、文書本体の編集(テキスト・データの追加、訂正、削除など)といった操作が含まれる。電子文書操作制御部50が行なった電子文書に対する操作内容は、電子文書データ保持部31に書き込まれている電子文書中の該当するページ・データに適宜反映される。
【0041】
アノテーション操作制御部60が行なうアノテーション・オブジェクトの操作には、表示中のページ上の所望の場所(例えば注目箇所)への新規のアノテーション・オブジェクトの貼り付け、ページに貼り付けられているアノテーション・オブジェクトの選択、ページ内並びにページ間でのアノテーション・オブジェクトのコピーや設定内容の変更などの編集操作が含まれる。ここで、ページ上のある注目箇所に貼り付けたアノテーション・オブジェクトをコピーして他の1以上の注目箇所にも貼り付けた場合には、コピーされたアノテーション・データは、コピー先での表示位置を持つが、表示倍率とグループIDはそのままコピーされる。すなわち、アノテーション・オブジェクトのコピー操作を繰り返すことで、ユーザーは同時に確認したくなるような複数の注目箇所を効率よくグループ化することができる。アノテーション操作制御部60が行なったアノテーション・オブジェクトに対する操作内容は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書中の該当するページ・データに適宜反映される。
【0042】
電子文書表示制御部40は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータ構造(図2を参照のこと)の解析結果に基づいて、電子文書のページの表示画像を作成し、これをディスプレイ画面に表示出力する制御を行なう。また、電子文書操作制御部50やアノテーション操作制御部60による操作内容は電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータに適宜的に反映されており(上述)、作成されるページの表示画像は、ページ移動や表示倍率並びにページ表示位置の変更、アノテーションの貼り付けや移動、コピーなどの最新の操作に対応したものとなる。
【0043】
図4には、電子文書表示制御部40の内部構成を示している。図示の電子文書表示制御部40は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータ構造を解析する電子文書構造解析部41と、電子文書のデータ構造の解析結果に基づいて電子文書のページの表示画像を作成するページ表示画像作成部42と、作成されたページ表示画像をディスプレイ画面へ表示出力するページ表示制御部43を備えている。
【0044】
ページ表示画像作成部42は、電子文書のページ表示画像を作成する。また、電子文書の該当するページに貼り付けられているアノテーションの表示オブジェクトも作成し、同ページ中にアノテーション・オブジェクトを貼り付けたページ表示画像を作成する。また、操作入力部20などを通じてユーザーによってアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応答して、電子文書構造解析部41は、ページ・データ中の該当するアノテーション・データを参照し、ページ表示画像作成部42はアノテーション・データの参照結果に基づいてページ表示画像を作成するが、この点の詳細については後述に譲る。
【0045】
ユーザーは、電子文書表示制御部40がディスプレイ画面上に表示出力しているページに対して、操作入力部20を介した操作を行なうことができる。そして、このようなユーザー操作に応じて、アノテーション編集機能部30が新規にアノテーション・オブジェクトを貼り付けたり、アノテーションの設定内容を変更したりすることができる。
【0046】
また、ユーザーは、ページ上に貼り付けられているアノテーション・オブジェクトを、操作入力部20を通じて選択することができる。アノテーション・オブジェクトの選択動作に応じて、当該アノテーション・オブジェクトに対して設定された内容に応じた処理が起動される。例えばページ表示画像作成部42は、表示中のページの表示倍率を変更するとともに、ページの表示位置(ページの表示範囲、若しくは、ページの表示範囲の中心となるページ座標位置)をジャンプさせるが、この点の詳細については後述に譲る。
【0047】
図5には、電子文書表示制御部40がディスプレイ画面に表示出力する、アノテーション編集操作に関する画面構成例を示している。
【0048】
図示の表示画面では、それぞれ所定の役割を有する複数のボタンが配設されたボタン表示エリア71と、1枚以上のページからなる電子文書を表示するためのエリアである文書表示エリア72が設けられている。
【0049】
文書表示エリア72内で表示する電子文書のページの表示倍率を任意に(あるいは複数の段階の中から)設定することができる。また、文書表示エリア72に表示された電子文書のページは、アノテーション・オブジェクトを貼り付ける対象となる(同図では、複数のページからなる電子文書の一部のページにアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている様子を例示している)。文書表示エリア72内で表示中のページの表示位置(ページの表示範囲、若しくは表示範囲の中心となるページ座標位置)は、例えばページ画像をマウス109でドラッグ操作することで移動することができる。
【0050】
ボタン表示エリア71に配設される複数のボタンとして、「文書読込み」ボタン71Aと、「アノテーション」ボタン71Bと、「保存」ボタン71Cと、「検索」ボタン71D、「ページ移動」ボタン71E、「ズーム」ボタン71Fなどが挙げられる。但し、本発明の要旨は、ボタン表示エリア71に配設される複数のボタンの特定の組み合わせに限定されるものではなく、ソフトウェアのデザイナーの意図やユーザーの設定変更などに応じて、適宜ボタンの種類を変更できるものとする。
【0051】
ユーザーは、ボタン表示エリア71内の各ボタンを、キーボード108やマウス109などによりポインティング指定することによって、当該ボタンに割り当てられた機能を実行させることができる。
【0052】
「文書読込み」ボタン71Aを指定すると、記憶入出力部30が起動して、記憶部10に格納されている電子文書を取り出して、電子文書データ保持部31に書き込まれる。さらに、電子文書表示制御部40は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータ構造(図2を参照のこと)の解析結果に基づいて、電子文書のページの表示画像を作成し、これをディスプレイ画面に表示出力する制御を行なう。
【0053】
「アノテーション」ボタン71Bを指定すると、アノテーション操作制御部60が起動して、表示中のページ上の所望の場所への新規のアノテーション・オブジェクトの貼り付けやアノテーション・オブジェクトのコピーを行なうことができる。アノテーション・オブジェクトは、電子文書のページに貼る付箋や、テキストに沿って引くマーカーなどの表示オブジェクトからなる。アノテーション・オブジェクトの設定内容(アノテーション・データ)を指定するためのダイアログ・ボックスなどが出現するが、設定方法は任意なのでここでは図示を省略する。アノテーション操作制御部60によるアノテーション・オブジェクトの操作内容は、電子文書データ保持部31内の電子文書の該当するページ・データのアノテーション・データに反映され、さらに文書表示エリア72内の電子文書の表示も更新される。
【0054】
ユーザーは、文書表示エリア72内に表示されている電子文書のページにアノテーション・オブジェクトを貼り付けることで、ページ上で注目箇所を示すことができる。さらに本実施形態では、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページの表示倍率と表示位置を含むアノテーション・データをアノテーション・データ自身又はページ・データに保存するようにしているので、後でアノテーション・オブジェクトを選択したときには、貼り付けたときと同じページの表示状態を再現することができる。
【0055】
「保存」ボタン71Cを指定すると、記憶入出力部30が起動して、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータを記憶部10に書き込む。記憶部10に電子文書を保存する際には、電子文書のページ・データの一部として、各ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも保存する。
【0056】
「検索」ボタン71Dを指定すると、アノテーション操作制御部60が起動して、電子文書に含まれるアノテーション・データを検索して文書表示エリア72内に一覧表示させる。図6には、文書表示エリア72内にアノテーション・オブジェクトが一覧表示されている様子を示している。ユーザーは、この一覧表示をインデックス・リストとして使用して、いずれかのアノテーション・オブジェクトを選択することができ、選択されたアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたページへと表示位置がジャンプする(後述)。
【0057】
「ページ移動」ボタン71Eは、前ページ送りボタン及び次ページ送りボタンの組み合わせからなる。前ページ送りボタン又は次ページ送りボタンを指定すると、電子文書操作制御部50のページ移動表示機能が起動して、当該ボタンを操作した回数だけ前方又は後方に電子文書のページを移動する。ユーザーは、このページ移動表示機能を利用することで、所望のページ情報を文書表示エリア7内に表示させば、取り込んだ多数の情報の中から所望の情報を素早く検索することができる。電子文書操作制御部50によるページ移動の操作内容は、電子文書データ保持部31内の保持データに反映され、さらに文書表示エリア72内では捲られたページの表示に切り替わる。図5中の文書表示エリア72には電子文書の先頭ページが最前面に表示されているが、図7には、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書が1ページだけ後方に移動した様子を示している。
【0058】
「ズーム」ボタン71Fは、ズームアップ・ボタン及びズームダウン・ボタンの組み合わせからなる。ズームアップ・ボタン又はズームダウン・ボタンを指定すると、電子文書操作制御部50が起動して、当該ボタンの操作量に応じて文書表示エリア72内で表示中のページの表示倍率が増減する。電子文書操作制御部50による表示倍率の増減は、電子文書データ保持部31内の保持データに反映され、さらに文書表示エリア72内では増減した後の表示倍率からなるページの表示に切り替わる。図8には、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書のページの表示倍率が増大した様子を示している。
【0059】
なお、電子文書操作制御部50の文書編集機能は、文書管理ソフトウェアに組み込まれていても、あるいは他のアプリケーション・ソフトウェアとしてコンピューター100にインストールされるという形態であってもよい。当該文書編集用機能を起動すると、編集対象とする電子文書のページを文書表示エリア72内に表示させた状態で、ユーザーが編集作業を行なうことになる。
【0060】
また、本実施形態に係る文書処理装置では、文書表示エリア72に複数の画面が表示できるように構成されている。表示形態として、文書表示エリア72を複数の画面に分割して整列させる方法や、複数の画面を重畳表示させる方法が挙げられる。各々の画面には、異なる電子文書の各々で同時に編集対象となったページや、同一の電子文書内で同時に編集作業の対象となった各ページが表示される。
【0061】
図9には、文書表示エリア72を2画面に分割して、電子文書内の異なるページを各画面に表示している様子を示している。例えば、2以上のアノテーション・オブジェクトが同時に選択されたときなどには、このように画面分割を施して該当する複数のページ(若しくは注目箇所)を同時に表示して、比較し易くしている。
【0062】
例えば、ユーザーは、図6に示したようなアノテーション・オブジェクトの一覧表示から、複数のアノテーション・オブジェクトを同時に選択することもできる。2以上のアノテーション・オブジェクトが同時に選択されたときには、このように画面分割を施して該当する複数のページ(若しくは注目箇所)を同時に表示して、比較し易くする。図示の一覧表示の中から、第1行と第3行のアノテーション・オブジェクトを同時に選択すると、図9に示したように、文書表示エリア72を2画面に分割して、各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたページが(アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときと同じページ表示状態で)それぞれ表示される。したがって、ユーザーは、関連し合う(若しくは、同時に編集対象となる)注目箇所を探索するための操作を効率化し、複数の注目箇所を同時に比較することができる。
【0063】
従来では、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたページを、デフォルトの表示倍率で、且つ、デフォルトの表示範囲(表示範囲の中心とすべきページ座標位置)で表示することが一般的であった。これに対し、本実施形態では、選択されたアノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データに記録されている表示倍率とページ座標を取り出して、ページ表示画像作成部42は、その表示倍率でページ画像を作成するとともにそのページ座標を表示範囲の中心位置に設定して、ディスプレイ画面に表示出力するようになっている。したがって、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示態様を再現することができる。
【0064】
例えば、図5中の文書表示エリア72内に表示されている電子文書の最後方(3番目)のアノテーション・オブジェクトが図10に示すようなページの表示倍率及び表示位置でページに貼り付けられたとし、その後の文書編集作業の際に最後方のアノテーション・オブジェクトが(図6中のアノテーション一覧表示などを通じて)選択されると、図10と同じ表示画面が再現される。
【0065】
図5〜図9には、文書表示エリア72内に、複数のページからなる電子文書の一部のページにアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている様子を例示した。電子文書の他の例として、A0やA1といった大判のページ・サイズからなる図面を挙げることができる。図11には、大判の図面上の複数の注目箇所にそれぞれアノテーション・オブジェクトが貼り付けられているという電子文書の表示例を示している。図示の画面は、図5などと同様に、文書管理ソフトウェアが提供するビューアに相当する。なお、同図中で同じ網掛けが施されたアノテーション・オブジェクトは同じグループIDを持つものと理解されたい。
【0066】
図11のような場合、大判の図面を拡大表示すると該当する注目箇所は見え易くなるが、ページ中の位置を把握し難い。逆に、大判の図面を縮小表示すると、文字や図形は潰れて見えにくくなるが、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた複数の注目箇所の位置関係を把握し易くなる。但し、大判図面の拡大表示と縮小表示を繰り返して所望の注目箇所を探し出すのは効率的な作業とは言い難い。
【0067】
これに対し、本実施形態に係る文書処理装置では、アノテーション・データの必須情報として、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ座標及び表示ページの表示倍率を持つようになっている。したがって、アノテーションの選択操作に応じて、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ表示を再現することができるので、ユーザーは、電子文書の編集作業の効率化を図ることができる。
【0068】
例えば、図11中の文書表示エリア72内に表示されている電子文書の5番目のアノテーション・オブジェクトが図12Aに示すようなページの表示倍率及び表示位置でページに貼り付けられたとし、その後の文書編集作業の際に5番目のアノテーション・オブジェクトが(図11に示すような大判ページ全体を見渡す縮小表示画面などを通じて)選択されると、図12Aと同じ表示画面が再現される。
【0069】
なお、アノテーション・オブジェクトを選択したことに応じてジャンプするページの表示範囲は、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ上の表示位置とページの表示倍率によって決まる。したがって、表示範囲がジャンプした後に図12Bに示すようにアノテーション・オブジェクトの貼り直しなどで表示が変わることはない。例えば、アノテーションで隠れた箇所を見る場合でも、ページ上で気軽にアノテーションを移動して隠れた箇所を参照することができる。
【0070】
また、グループIDを有効化して、あるアノテーション・オブジェクトをユーザーが選択操作した際には、その表示位置の拡大表示することに併せて、同じグループIDを持つアノテーション・オブジェクトが貼り付けられた複数の表示位置の拡大表示を連動して行なうようになっている。したがって、ユーザーは、関連し合う注目箇所を探索するための操作を効率化することができるとともに、複数の注目箇所を同時に比較することができる。
【0071】
また、ユーザーは、電子文書のビューア画面上で、ボタン表示エリア71内の「検索」ボタン71Dを指定する操作を通じて、図13に示すように、電子文書に含まれるアノテーション・データを検索して文書表示エリア72内に一覧表示させることができる。ユーザーは、このような一覧表示をインデックス・リストとして使用して、いずれかのアノテーション・オブジェクトを選択することができる。勿論、文書表示エリア72内に表示されているページの表示イメージ上で、マウス109などを用いて所望するアノテーション・オブジェクトを直接選択することもできる。いずれかのユーザー操作方法によってあるアノテーション・オブジェクトが選択されたとき、文書表示エリア72内では、該当するアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている場所(注目箇所)にジャンプする。
【0072】
ここで、グループIDが有効化されているときには、一覧表示でいずれか1つのアノテーション・オブジェクトを選択し、又は、文書表示エリア72内で表示されているページ上から1つのアノテーション・オブジェクトを選択したことに応じて、同じグループIDを持つ複数のアノテーション・オブジェクトを選択したことになる。例えば、図11に示したように複数の注目箇所にそれぞれアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている大判ページ上でグループ#1に属するアノテーション・オブジェクトのうちいずれか1つが選択されると、図14に示すように、文書表示エリア72同一グループ内のアノテーション・オブジェクトの個数に相当する4画面に分割されるとともに、グループ#1を持つ各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた注目箇所が(アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときと同じページ表示状態で)それぞれ表示される。したがって、ユーザーは、同時に編集対象となる複数の注目箇所を同時に表示して比較することができる。
【0073】
図2に示したように、1つの電子文書のデータは、ページ毎のページ・データをチェーン状に接続して構成され、各ページ・データには、テキスト・データなどの本文データと、ページ内の含まれるすべてのアノテーション・オブジェクトのアノテーション・データが含まれる。したがって、図15中の矢印で示すように、電子文書データの各ページ・データのアノテーション・データを探索することで、同じグループIDを持つすべてのアノテーション・オブジェクトを抽出することができる。
【0074】
また、文書管理ソフトウェアが取り扱う電子文書が大判の図面や複数のページからなる場合などには、当該電子文書中の複数の注目箇所を同時に比較したいことがある。本実施形態に係る文書処理装置によれば、アノテーション・オブジェクトのコピー操作を行なうと、コピー元のアノテーション・オブジェクトの表示倍率とグループIDはそのままコピーされる。したがって、複数の注目箇所に同一のグループIDを割り振るという編集操作を一旦行なっておけば、ユーザーは、同時に確認したくなるような複数の注目箇所を効率よく関連付けられているので、何度でも参照することができる。図16には、グループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトを、関連する他の注目箇所に順次コピーしていく操作を例示している(同図中の一点鎖線の矢印は、コンピューター上では一般的な、オブジェクトのコピー操作である)。
【0075】
以降の電子文書の編集作業などにおいて、同じグループIDを持ついずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択する操作を行なうだけで、文書表示エリアが複数の画面に分割され、各画面には同じグループIDを持つアノテーションが貼り付けられた注目箇所が同時に表示される。図17には、コピー操作によりコピー元のアノテーション・オブジェクトと同じ表示倍率とグループIDが割り振られた各表示位置が、複数の画面に同じ表示倍率で表示されている様子を示している。
【0076】
本実施形態で用いるアノテーションを、通常用いられるアノテーションと区別するために、「拡張アノテーション」と呼ぶことにする。上述したように、拡張アノテーションは、貼り付けたときのページ上の表示位置と表示倍率の情報、さらにはオプションとしてグループIDをアノテーション・データに持つ。アノテーション・データを含んだ電子文書データ構造は図5に示した通りであるが、基本的なデータ構造に変更はないため、通常のアノテーションと同様に、任意に電子文書へのアノテーション・オブジェクトの追加削除が可能である。
【0077】
ビューアからのアノテーションの編集機能は、図5などを参照しながら既に説明した通りである。ページ中の任意の位置を任意のページを任意の表示倍率で表示している場合、通常のアノテーションの貼り付けと同様に、拡張アノテーションを表示範囲の任意の位置に貼り付ける。アノテーション操作制御部60は、貼り付けられた拡張アノテーションには、データとして通常のアノテーションと同様に、自身のアノテーション・オブジェクトを表示するための座標やサイズといったデータとともに、現在表示しているページの表示範囲の中心座標と表示倍率を、追加されたデータ領域に記録して、アノテーション・データとして電子文書中のページ・データに追加する(図2を参照のこと)。また、アノテーション操作制御部60は、ユニークIDを発行しグループIDとして登録する。
【0078】
拡張アノテーションがコピーされて異なる表示状態で貼り付けられたときは、アノテーション操作制御部60は、表示倍率とグループIDはコピー元から保持し、アノテーション・オブジェクトの表示情報(通常のアノテーションと同様のデータ)と画面の中心座標を現在の状態で更新する。
【0079】
続いて、ビューアからのアノテーションの参照機能について説明する。アノテーション・オブジェクトの一覧表示(図6を参照のこと)では、拡張アノテーションは通常のアノテーションと同様に扱われ、通常アノテーションと同時に一覧表示される。ユーザーが一覧から拡張アノテーションを選択したことに応答してアノテーション・オブジェクトが貼り付けられているページ(若しくは、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられている場所)にジャンプする。その際、ページ表示画像作成部42は、当該アノテーション・オブジェクトのアノテーション・データに記録されている表示倍率と表示位置を参照し、ページの表示画像をその表示倍率に切り換えるとともに、ページの表示範囲の中心をその表示位置に合わせる。これによって、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示状態を再現して、ページを表示することができる。
【0080】
また、通常のアノテーションと異なり、一覧から複数の拡張アノテーションを同時に選択することが可能である。その状態で表示指示を行なった場合、ページ表示画像作成部42は、画面分割あるいは複数のウィンドウの同時(重畳)表示などの方法によって、選択されたすべての拡張アノテーションを同時に表示させる。同様の機能に、1つの拡張アノテーションを選択してグループ同時表示を実行する場合、ページ表示画像作成部42は、同じグループIDを持つすべての拡張アノテーションに対して同時に表示させる(図17を参照のこと)。
【0081】
図18には、ビューアからアノテーションの参照を行なう場合の状態遷移図を示している。
【0082】
既に述べたように、ビューアは、複数のボタンが配設されたボタン表示エリア71と、電子文書のページのイメージとして表示する文書表示エリア72を備えている。
【0083】
ユーザーが、マウス109の操作などを介して「文書読込み」ボタン71Aを指定すると、記憶部10から所望の電子文書が取り出される。そして、ページ表示画像作成部42は、文書表示エリア72には、電子文書の1ページ目がデフォルトの表示位置及び表示倍率で表示する。
【0084】
文書表示エリア72に表示されたページ上では、電子文書のページ編集、並びに、アノテーションの編集機能を用いて、ページ上へのアノテーション・オブジェクトの貼り付け、削除、設定内容の変更などを行なうことができる。
【0085】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「保存」ボタン71Cを指定すると、文書表示エリア72に表示された電子文書を記憶部10に保存する処理が実行される。図2に示したように電子文書はページ毎のページ・データからなるデータ・ファイルであり、各ページのページ・データは、ページ本文に相当するテキスト・データ(又は写真や図などの画像データ)と、当該ページの表示イメージ上に貼り付けられたアノテーション・オブジェクト毎のアノテーション・データからなり、アノテーションの編集機能を用いたアノテーション・データの変更内容も併せて保存される。
【0086】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「ページ移動」ボタン71Eの前ページ送りボタン又は次ページ送りボタンを指定すると、文書表示エリア72では、電子文書の前ページ又は次ページの表示に切り換わる。その際、デフォルトの表示位置及び表示倍率でページが表示される。
【0087】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「ズーム」ボタン71Fを指定すると、文書表示エリア72では、現在表示されているページの表示倍率が当該ボタンの操作量に応じて増減する。また、ユーザーが、文書表示エリア72内で、現在表示されているページをマウス109でドラッグ操作することで、ページの表示中のページの表示位置(ページの表示範囲、若しくは表示範囲の中心となるページ座標位置)を移動させることができる。
【0088】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「検索」ボタン71Dを指定すると、電子文書に含まれるアノテーション・データを検索して文書表示エリア72内に一覧表示される(図6、図13を参照のこと)。ユーザーは、この一覧表示をインデックス・リストとして使用して、いずれかのアノテーション・オブジェクトを選択することができる。また、ユーザーは、一覧表示を用いなくても、文書表示エリア72内に表示されているページの表示イメージ上で、マウス109などを用いて所望するアノテーション・オブジェクトを直接選択することもできる。
【0089】
そして、いずれかの方法により新しいアノテーション・オブジェクトが選択されると、そのアノテーション・データを参照してページの表示位置と表示倍率が取り出される。そして、ページ表示画像作成部42は、ページの表示画像をその表示倍率に切り換えるとともに、ページの表示範囲の中心をその表示位置に合わせる。これによって、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示状態を再現して、ページを表示することができる。
【0090】
ユーザーは、図6に示したようなアノテーション・オブジェクトの一覧表示を介して、複数のアノテーション・オブジェクトを選択することもできる。あるいは、グループIDが有効化されているときには、いずれか1つのアノテーション・オブジェクトを選択すると、同じグループIDを持つ複数のアノテーション・オブジェクトを選択したことになる。
【0091】
このように複数のアノテーション・オブジェクトが選択された場合には、ページ表示画像作成部42は、選択されたアノテーション・オブジェクトの個数N分だけ文書表示エリア72を画面分割する。そして、選択された各々のアノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データからページ座標と表示倍率を取り出して、分割した各画面内で、各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた注目箇所の表示イメージを、ページ座標と表示倍率に基づいてそれぞれ再現する。
【0092】
図19には、アノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じてページを表示するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0093】
まず、選択されたアノテーション・オブジェクトの個数Nが1を超えるかどうかをチェックする(ステップS1)。
【0094】
ユーザーがアノテーション・オブジェクトの一覧表示を介して複数のアノテーション・オブジェクトを選択したときには、選択した個数がNに相当する。また、グループIDが有効化されているときには、電子文書に書き込まれているアノテーション・データのうち、ユーザーが選択したアノテーション・オブジェクトと同じグループIDを持つものの個数がNに相当する。
【0095】
選択されたアノテーション・オブジェクトの個数Nが1のときには(ステップS1のNo)、ページ表示画像作成部42は、当該アノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データに記載されている表示位置と表示倍率を参照し、ページの表示画像をその表示倍率に切り換えるとともに、ページの表示範囲の中心をその表示位置に合わせる。これによって、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示状態を再現して、ページを表示することができる(ステップS2)。
【0096】
一方、選択されたアノテーション・オブジェクトの個数Nが2以上となるときには(ステップS1のYes)、ページ表示画像作成部42は、文書表示エリア72をN画面に分割する(ステップS3)。そして、選択された各々のアノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データからページ座標と表示倍率を取り出して、分割したN画面内で、各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた注目箇所の表示イメージを、それぞれに該当するアノテーション・データで示される表示位置と表示倍率に基づいてそれぞれ再現する(ステップS4)。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0098】
例えば、文書管理ソフトウェアが取り扱う電子文書が大判の図面や複数のページからなる場合には、当該電子文書中の複数の注目箇所を同時に比較したいことがある。本実施形態に係る文書処理装置によれば、電子文書中のそれぞれの注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り付けて各々のアノテーション・データに同一のグループIDを割り振る、あるいはグループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトをそれぞれの注目箇所にコピーしながら貼り付けていくという編集操作を一旦行なっておけば、何度でも所定の箇所を参照することができる。以降の電子文書の編集作業などにおいて、いずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択する、あるいはアノテーションの一覧から特定のグループIDを選択するという操作を行なうだけで、文書表示エリアが複数の画面に分割され、各画面には同じグループIDを持つアノテーションが貼り付けられた注目箇所(若しくはページ)が同時に表示される。
【0099】
また、アノテーション・オブジェクトの選択に応じて表示される注目箇所は、ページ上にアノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示イメージ上の座標であるから、アノテーション・オブジェクトの貼り直しなどで表示が変わることはない。例えば、アノテーションで隠れた箇所を見る場合でも、ページ上で気軽にアノテーションを移動して隠れた箇所を表示するように構成してもよい。
【0100】
本実施形態に係る文書管理ソフトウェアを、電子地図の表示システムに適用することができる。例えば、地図上の1以上のポイントを記録する際に表示倍率まで記録することで、ユーザーが見易い表示倍率で各ポイントを参照することができる。
【0101】
一般的に、電子地図の表示システムにおいては、地図を参照する際に、目的地をキーワードで検索したり表示されている地図を移動させたりすることにより、注目箇所である目的地に相当する領域の地図を表示させることができる。目的地までの経路を知りたい場合には目的地を含めた周辺領域まで表示できるような表示倍率で表示させ、目的地の建物の外観図や入り口などの詳細情報を知りたい場合は目的地を中心に詳細表示できるようにより拡大した表示倍率で表示させる、といったように、目的地を参照する際の目的に応じて、地図の表示倍率が異なることが多い。このような場合に、電子地図中のそれぞれの注目箇所に上記実施形態と同様のアノテーション・オブジェクトを貼り付けて各々のアノテーション・データに電子地図上の位置座標と表示倍率とを関連させて記憶させるようにしてもよい。このように構成することにより、電子地図上のアノテーションを指示して地図データを表示させると、記憶された注目箇所を中心とし記憶された倍率で表示が再現されることになる。また、複数の注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り、同一のグループIDを割り振る、あるいはグループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトをそれぞれの注目箇所にコピーしながら貼り付けていくという編集操作を一旦行なっておけば、何度でも所定の箇所を参照することができる。前記した電子文書の参照編集作業と同様に、いずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択する、あるいはアノテーションの一覧から特定のグループIDを選択するという操作を行なうだけで、地図表示エリアが複数の画面に分割され、各画面には同じグループIDを持つアノテーションが貼り付けられた注目箇所(若しくはページ)が同時に表示される、という構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、文書処理装置として動作するコンピューター100の構成を示した図である。
【図2】図2は、記憶部10に格納される電子文書のデータ構造を示した図である。
【図3】図3は、電子文書に対してアノテーションを貼り付けるとともに、アノテーションが貼り付けられた電子文書を表示するための、文書処理装置の機能的構成を模式的に示した図である。
【図4】図4は、電子文書表示制御部40の内部構成例を示した図である。
【図5】図5は、文書データ表示部23がディスプレイ画面に表示出力する、アノテーション編集操作に関する画面構成例を示した図である。
【図6】図6は、アノテーション・オブジェクトを一覧表示した画面構成例を示した図である。
【図7】図7は、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書が1ページだけ後方に捲られた様子を示した図である。
【図8】図8は、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書のページの表示倍率が増大した様子を示した図である。
【図9】図9は、文書表示エリア72を2画面に分割して、電子文書内の異なるページを各画面に表示している様子を示した図である。
【図10】図10は、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示イメージを再現する仕組みを説明するための図である。
【図11】図11は、大判の図面上の複数の注目箇所にそれぞれアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている電子文書を表示する画面構成例を示した図である。
【図12A】図12Aは、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示イメージを再現する仕組みを説明するための図である。
【図12B】図12Bは、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示イメージを再現する仕組みを説明するための図である。
【図13】図13は、アノテーション・オブジェクトを一覧表示した画面構成例を示した図である。
【図14】図14は、同じグループIDを持つアノテーション・オブジェクトが示す複数の注目箇所を画面分割して同時に表示した様子を示した図である。
【図15】図15は、記憶部10に格納されている電子文書データから同じグループIDを持つアノテーション・データを探索する様子を示した図である。
【図16】図16は、グループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトを、関連する他の注目箇所に順次コピーしていく操作を例示した図である。
【図17】図17は、コピー操作によりコピー元のアノテーション・オブジェクトと同じ表示倍率とグループIDが割り振られた各表示位置が、複数の画面に同じ表示倍率で表示されている様子を示した図である。
【図18】図18は、ビューアからアノテーションの参照を行なう場合の状態遷移図である。
【図19】図19は、アノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じてページを表示するための処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1…文書処理装置
10…記憶部
20…操作入力部
30…記憶入出力部
31…電子文書データ保持部
40…電子文書表示制御部
41…電子文書構造解析部
42…ページ表示画像作成部
43…ページ表示制御部
50…電子文書操作制御部
60…アノテーション操作制御部
100…コンピューター(文書処理装置)
101…CPU
102…ROM
103…RAM
104…ローカル・バス
105…ブリッジ
106…入出力バス
107…入出力インターフェース
108…キーボード
109…ポインティング・デバイス(マウス)
110…ディスプレイ
111…HDD
115…通信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子情報を管理する情報処理装置並びにコンピューター・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子文書を表示し編集するシステムにおいて、ディスプレイ画面へ表示出力する際には、参照したり編集したりする目的に応じて、表示する倍率を変えることが通常行われており、このようなシステムにおいては、表示イメージの拡大並びに縮小機能は必須である。例えばA0やA1といった、いわゆる大判の電子文書は、等倍のままではディスプレイ画面に収まりきらないので、電子文書全体のイメージを把握したいときには縮小表示する一方、編集作業を行なうときには、編集対象となる箇所をある程度拡大することで、文字や図形の詳細を表示するようにする。このように必要に応じて電子文書の縮小表示と拡大表示を使い分けることで、文書編集処理の作業性が高まる。
【0003】
例えば、編集機能毎に最適な表示倍率を格納しておくファンクションテーブルを設けておき、編集機能毎に最適な表示倍率を自動的に採用する情報処理装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
また、画像データ毎に表示装置の表示画面に対する画像の表示領域及び画像全体に占める画像の表示範囲に関する表示属性情報を有して構成される表示属性ファイルを作成してその画像ファイルと関連付けて保存し、画像の表示は表示属性ファイルの表示属性情報に基づいて行なうことによって、煩雑な操作を要することなく、画像データ毎に最適な位置、大きさ、形状及び倍率で画像を表示することができる画像表示方法について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0005】
また、近年では、電子文書の任意位置に、当該電子文書の本文に影響を与えることなく、文字情報、画像情報、音声情報、リンク情報などの付加情報を添付する技術が広く用いられている。このような付加情報はアノテーション(注釈)とも呼ばれる。ユーザーは、紙に付箋を貼ったり、マーカーを引いたり、スタンプを押したりする感覚でアノテーション機能を使用することができる。アノテーションを用いることで、電子文書の内容自体を編集することなく、アノテーションを貼り付けた箇所についての何らかのメッセージを他のユーザーに通知することが可能になる。
【0006】
例えば、複数ページからなる電子文書に散在するアノテーションを一覧表示して、インデックス・リストとして使用できるようにした情報処理装置について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【0007】
【特許文献1】特開平7−114543号公報
【特許文献2】特開2002−207547号公報
【特許文献3】特開2004−13416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、電子情報中の注目箇所の表示位置と表示倍率を記憶させることにより注目箇所を参照する作業の操作性をより効率的にした情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、請求項1に記載の発明は、1ページ以上からなる電子文書を処理する情報処理装置であって、
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部と、
1ページの領域からなる電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部と、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部と、
を備え、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とする情報処理装置である。
【0010】
また、本願の請求項2に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じて複数のアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割して、該分割した各画面に前記選択された複数のアノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページをそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0011】
また、本願の請求項3に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じてページ上に貼り付けられた各アノテーション・オブジェクトにグループ識別情報を割り振り、前記電子情報データ保持部は各アノテーション・オブジェクトに割り振られたグループ識別情報を該当するページ・データに保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0012】
また、本願の請求項4に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割し、前記選択されたアノテーション・オブジェクトと同じグループ識別情報を持つ各アノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを該分割した各画面にそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
【0013】
また、本願の請求項5に記載の発明は、前記アノテーション操作制御部を通じてグループ識別情報を持つアノテーション・オブジェクトをページ上の他の表示位置にコピーされたアノテーション・オブジェクトに対し同じグループ識別情報と表示倍率を与える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
【0014】
また、本願の請求項6に記載に発明は、前1ページ以上からなる電子情報の処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部、
電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部、
として機能させ、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本願の請求項1並びに6に記載の発明によれば、本構成を備えていない場合に比較して、電子情報中の注目箇所の表示位置と表示倍率を記憶させることにより注目箇所を参照する作業の操作性をより効率的にすることができる。
【0016】
また、本願の請求項2に記載の発明によれば、複数の注目箇所をそれぞれの表示位置と表示倍率に基づいて同時に比較することができる。
【0017】
また、本願の請求項3に記載の発明によれば、前記アノテーション操作制御部を通じてページ上に貼り付けられた各アノテーション・オブジェクトにグループ識別情報を割り振り、前記電子文書データ保持部は各アノテーション・オブジェクトに割り振られたグループ識別情報を該当するページ・データに保持することができる。
【0018】
また、本願の請求項4に記載の発明によれば、アノテーション・オブジェクトが選択されたときには、画面を分割し、該選択されたアノテーション・オブジェクトと同じグループ識別情報を持つ各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられている表示位置をそれぞれ表示して、ユーザーは、関連し合う(若しくは、同時に編集対象となる)注目箇所を探索するための操作を効率化し、複数の注目箇所を同時に比較することができる。
【0019】
また、本願の請求項5に記載の発明によれば、コピーされたアノテーション・オブジェクトに対して、コピー元と同じ表示倍率とグループIDはそのままコピーされる。したがって、アノテーション・オブジェクトのコピー操作を繰り返すことで、ユーザーは同時に確認したくなるような複数の注目箇所を効率よくグループ化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0021】
図1には、情報処理装置としての文書処理装置として動作するコンピューター100の構成を示している。
【0022】
CPU101は、オペレーティング・システム(OS)が提供するプログラム実行環境下で、ROM101やハード・ディスク・ドライブ111に格納されているプログラムを実行する。
【0023】
ROM(Read Only Memory)102は、POST(Power On Self Test)やBIOS(Basic Input Output System)などのプログラム・コードを恒久的に格納する。RAM103は、ROM102やHDD111に格納されているプログラムをCPU101が実行する際にロードしたり、実行中のプログラムの作業データを一時的に保持したりするために使用される。これらはCPU101のローカル・ピンに直結されたローカル・バス104により相互に接続されている。
【0024】
ローカル・バス104は、ブリッジ105を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスなどの入出力バス106に接続されている。
【0025】
キーボード108と、マウスなどのポインティング・デバイス109は、ユーザーにより操作される入力デバイスである。ディスプレイ110は、LCD(Liquid Crystal Display)又はCRT(Cathode Ray Tube)などからなる。ここで言うユーザーは、電子文書中の注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り付け、さらにはアノテーション・オブジェクトを手掛かりに電子文書の参照や編集などの作業を行なう文書編集者に相当する。
【0026】
HDD111は、記録メディアとしてのハード・ディスクを内蔵したドライブ・ユニットであり、ハード・ディスクを駆動する。ハード・ディスクには、オペレーティング・システムや各種アプリケーションなどCPU101が実行するプログラムをインストールしたり、各種のローカル・ファイルを保存したりするために使用される。HDD111にインストールされるアプリケーション・プログラムとして、文書管理ソフトウェアを挙げることができる。また、本実施形態では、HDD111は、電子文書や電子文書に付随する情報の格納場所として活用される。
【0027】
通信部115は、ネットワークに接続され、その他の情報処理装置との通信を実行する。例えば、電子文書を格納する電子文書サーバと通信部115を介して接続することもできる。
【0028】
文書処理装置は、電子文書を取り扱う文書管理ソフトウェアを、コンピューター100上で実行することによって構成することができる。ここで、電子文書は管理すべき任意の領域を示すページ・サイズを持ち、また、ページ上の位置をページ座標系で表すことができるものとする(例えば、ページの左上端を原点とし、右向きにX軸、下向きにY軸を設定する)。
【0029】
また、本発明の一実施形態に係る文書処理装置は、電子文書のページ上の任意の位置に、当該電子文書の本文に影響を与えることなくアノテーション・オブジェクトを貼り付けることができる。アノテーション・オブジェクトは、電子文書のページ上の任意の位置に貼り付けられる付箋、あるいは、テキストに沿って手書きで引かれたマーカーのような態様で表現される電子情報であり、前記したような態様で表示され、操作入力部により操作されることが可能である。アノテーション・オブジェクトを電子文書のページ上の任意の位置にアノテーション・オブジェクトを貼り付けることによって、注目箇所の所在を明示して、ユーザーの参照・編集作業を支援することができる。
【0030】
図2には、本実施形態に係る文書処理装置で取り扱われる電子文書のデータ構造を示している。電子文書は、コンピューター100上ではデータ・ファイルとして取り扱われる。1つの電子文書は1枚以上のページで構成され、図示のように電子文書データはページ数分のページ・データからなる。
【0031】
ページ1枚分のページ・データは、電子文書のページ本文に相当するテキスト・データ(又は写真や図などの画像データ)と、当該ページの表示イメージ上に貼り付けられたアノテーション・オブジェクト毎のアノテーション・データからなる。このように、電子文書本文に相当するデータとアノテーション・データが分離して扱われるので、元の電子文書のデータに影響を与えることなく各ページにアノテーションを貼り付けることができる。
【0032】
アノテーション・オブジェクトに対して設定されるアノテーション・データは、従来から、ページ上で貼り付けた注目箇所のレイアウト情報を含むものであった。これに対し、本実施形態では、注目箇所のレイアウト情報に加え、アノテーション・オブジェクトをページに貼り付けたときのページの表示位置及び表示ページの表示倍率の情報を、ページ表示を再現するための情報として、アノテーション・データに書き込むようになっている。ページの表示位置は、現在表示しているページの表示範囲、若しくは表示範囲の中心(若しくは表示範囲中のその他の特定の部位)となるページ座標位置で記述することができる。表示範囲の中心となるページの表示位置を合わせるとともに同じ表示倍率にすれば、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ表示を再現できることは自明であろう。
【0033】
さらにはオプションとして、アノテーション・データ内にグループIDを持つことができる。例えば、編集作業の上で同時に確認したい複数の注目箇所に貼り付けたアノテーション・オブジェクトに対し、同一のグループIDを持つアノテーション・データを設定することで、注目箇所をグループ化することができる。
【0034】
本実施形態に係る文書処理装置上では、アノテーション・オブジェクトに対する編集処理の1つとしてコピー操作が設けられている。ページ上のある注目箇所に貼り付けられたアノテーション・オブジェクトを、例えば同じページ内の他の場所、あるいは同じ電子文書内の他のページなどにコピーした際には、表示倍率とグループIDはそのままコピーされる(後述)。
【0035】
電子文書を保存する際には、電子文書のページ・データの一部として、ページ上に貼り付けられているアノテーション・オブジェクトの設定内容(すなわち、アノテーション・データ)も保存される。また、電子文書を読み出した際には、電子文書のページ・データの一部として、ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも読み出される。
【0036】
図3には、電子文書に対してアノテーション・オブジェクトを貼り付けるとともに、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた電子文書を表示するための、文書処理装置の機能的構成を模式的に示している。
【0037】
図示の文書処理装置1は、電子文書を格納する記憶部10と、マウス108などのユーザー・インターフェースを通じてユーザー操作を入力する操作入力部(I/F)20と、記憶部10から電子文書の読み出しや書き込みを行なう記憶入出力部30と、記憶部10から読み出された(現在処理対象となっている)電子文書のデータを保持する電子文書データ保持部31と、電子文書のページをディスプレイ画面上に表示する処理を行なう電子文書表示制御部40と、ディスプレイ画面に表示された電子文書に対する操作を行なう電子文書操作制御部50と、電子文書のページ上でのアノテーション・オブジェクトの操作を行なうアノテーション操作制御部60で構成される。
【0038】
記憶入出力部30、電子文書操作制御部50、アノテーション操作制御部60は、基本的には、操作入力部20を介した指示に従って該当する処理を起動する。
【0039】
記憶入出力部30は、処理対象として指定された電子文書のデータを記憶部10から読み出して電子文書データ保持部31に書き込み、また、処理中の電子文書を保存することが指示されると電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータを記憶部10に書き込む。電子文書データ保持部31に保持されている電子文書は、図2に示したようなデータ構造からなる。記憶部10に電子文書を保存する際には、電子文書のページ・データの一部として、各ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも保存する。また、記憶部10から電子文書を読み出す際には、電子文書のページ・データの一部として、ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも読み出す。ここで、記憶部10は、例えばHDD111などのコンピューター100内のローカル記憶領域であるが、勿論、通信部115を介してアクセス可能な電子文書サーバなどであっても良い。
【0040】
電子文書操作制御部50が行なう電子文書に対する操作には、ページ表示倍率や表示位置の変更、ページ移動、文書本体の編集(テキスト・データの追加、訂正、削除など)といった操作が含まれる。電子文書操作制御部50が行なった電子文書に対する操作内容は、電子文書データ保持部31に書き込まれている電子文書中の該当するページ・データに適宜反映される。
【0041】
アノテーション操作制御部60が行なうアノテーション・オブジェクトの操作には、表示中のページ上の所望の場所(例えば注目箇所)への新規のアノテーション・オブジェクトの貼り付け、ページに貼り付けられているアノテーション・オブジェクトの選択、ページ内並びにページ間でのアノテーション・オブジェクトのコピーや設定内容の変更などの編集操作が含まれる。ここで、ページ上のある注目箇所に貼り付けたアノテーション・オブジェクトをコピーして他の1以上の注目箇所にも貼り付けた場合には、コピーされたアノテーション・データは、コピー先での表示位置を持つが、表示倍率とグループIDはそのままコピーされる。すなわち、アノテーション・オブジェクトのコピー操作を繰り返すことで、ユーザーは同時に確認したくなるような複数の注目箇所を効率よくグループ化することができる。アノテーション操作制御部60が行なったアノテーション・オブジェクトに対する操作内容は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書中の該当するページ・データに適宜反映される。
【0042】
電子文書表示制御部40は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータ構造(図2を参照のこと)の解析結果に基づいて、電子文書のページの表示画像を作成し、これをディスプレイ画面に表示出力する制御を行なう。また、電子文書操作制御部50やアノテーション操作制御部60による操作内容は電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータに適宜的に反映されており(上述)、作成されるページの表示画像は、ページ移動や表示倍率並びにページ表示位置の変更、アノテーションの貼り付けや移動、コピーなどの最新の操作に対応したものとなる。
【0043】
図4には、電子文書表示制御部40の内部構成を示している。図示の電子文書表示制御部40は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータ構造を解析する電子文書構造解析部41と、電子文書のデータ構造の解析結果に基づいて電子文書のページの表示画像を作成するページ表示画像作成部42と、作成されたページ表示画像をディスプレイ画面へ表示出力するページ表示制御部43を備えている。
【0044】
ページ表示画像作成部42は、電子文書のページ表示画像を作成する。また、電子文書の該当するページに貼り付けられているアノテーションの表示オブジェクトも作成し、同ページ中にアノテーション・オブジェクトを貼り付けたページ表示画像を作成する。また、操作入力部20などを通じてユーザーによってアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応答して、電子文書構造解析部41は、ページ・データ中の該当するアノテーション・データを参照し、ページ表示画像作成部42はアノテーション・データの参照結果に基づいてページ表示画像を作成するが、この点の詳細については後述に譲る。
【0045】
ユーザーは、電子文書表示制御部40がディスプレイ画面上に表示出力しているページに対して、操作入力部20を介した操作を行なうことができる。そして、このようなユーザー操作に応じて、アノテーション編集機能部30が新規にアノテーション・オブジェクトを貼り付けたり、アノテーションの設定内容を変更したりすることができる。
【0046】
また、ユーザーは、ページ上に貼り付けられているアノテーション・オブジェクトを、操作入力部20を通じて選択することができる。アノテーション・オブジェクトの選択動作に応じて、当該アノテーション・オブジェクトに対して設定された内容に応じた処理が起動される。例えばページ表示画像作成部42は、表示中のページの表示倍率を変更するとともに、ページの表示位置(ページの表示範囲、若しくは、ページの表示範囲の中心となるページ座標位置)をジャンプさせるが、この点の詳細については後述に譲る。
【0047】
図5には、電子文書表示制御部40がディスプレイ画面に表示出力する、アノテーション編集操作に関する画面構成例を示している。
【0048】
図示の表示画面では、それぞれ所定の役割を有する複数のボタンが配設されたボタン表示エリア71と、1枚以上のページからなる電子文書を表示するためのエリアである文書表示エリア72が設けられている。
【0049】
文書表示エリア72内で表示する電子文書のページの表示倍率を任意に(あるいは複数の段階の中から)設定することができる。また、文書表示エリア72に表示された電子文書のページは、アノテーション・オブジェクトを貼り付ける対象となる(同図では、複数のページからなる電子文書の一部のページにアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている様子を例示している)。文書表示エリア72内で表示中のページの表示位置(ページの表示範囲、若しくは表示範囲の中心となるページ座標位置)は、例えばページ画像をマウス109でドラッグ操作することで移動することができる。
【0050】
ボタン表示エリア71に配設される複数のボタンとして、「文書読込み」ボタン71Aと、「アノテーション」ボタン71Bと、「保存」ボタン71Cと、「検索」ボタン71D、「ページ移動」ボタン71E、「ズーム」ボタン71Fなどが挙げられる。但し、本発明の要旨は、ボタン表示エリア71に配設される複数のボタンの特定の組み合わせに限定されるものではなく、ソフトウェアのデザイナーの意図やユーザーの設定変更などに応じて、適宜ボタンの種類を変更できるものとする。
【0051】
ユーザーは、ボタン表示エリア71内の各ボタンを、キーボード108やマウス109などによりポインティング指定することによって、当該ボタンに割り当てられた機能を実行させることができる。
【0052】
「文書読込み」ボタン71Aを指定すると、記憶入出力部30が起動して、記憶部10に格納されている電子文書を取り出して、電子文書データ保持部31に書き込まれる。さらに、電子文書表示制御部40は、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータ構造(図2を参照のこと)の解析結果に基づいて、電子文書のページの表示画像を作成し、これをディスプレイ画面に表示出力する制御を行なう。
【0053】
「アノテーション」ボタン71Bを指定すると、アノテーション操作制御部60が起動して、表示中のページ上の所望の場所への新規のアノテーション・オブジェクトの貼り付けやアノテーション・オブジェクトのコピーを行なうことができる。アノテーション・オブジェクトは、電子文書のページに貼る付箋や、テキストに沿って引くマーカーなどの表示オブジェクトからなる。アノテーション・オブジェクトの設定内容(アノテーション・データ)を指定するためのダイアログ・ボックスなどが出現するが、設定方法は任意なのでここでは図示を省略する。アノテーション操作制御部60によるアノテーション・オブジェクトの操作内容は、電子文書データ保持部31内の電子文書の該当するページ・データのアノテーション・データに反映され、さらに文書表示エリア72内の電子文書の表示も更新される。
【0054】
ユーザーは、文書表示エリア72内に表示されている電子文書のページにアノテーション・オブジェクトを貼り付けることで、ページ上で注目箇所を示すことができる。さらに本実施形態では、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページの表示倍率と表示位置を含むアノテーション・データをアノテーション・データ自身又はページ・データに保存するようにしているので、後でアノテーション・オブジェクトを選択したときには、貼り付けたときと同じページの表示状態を再現することができる。
【0055】
「保存」ボタン71Cを指定すると、記憶入出力部30が起動して、電子文書データ保持部31に保持されている電子文書のデータを記憶部10に書き込む。記憶部10に電子文書を保存する際には、電子文書のページ・データの一部として、各ページ上に貼り付けられているアノテーション・データも保存する。
【0056】
「検索」ボタン71Dを指定すると、アノテーション操作制御部60が起動して、電子文書に含まれるアノテーション・データを検索して文書表示エリア72内に一覧表示させる。図6には、文書表示エリア72内にアノテーション・オブジェクトが一覧表示されている様子を示している。ユーザーは、この一覧表示をインデックス・リストとして使用して、いずれかのアノテーション・オブジェクトを選択することができ、選択されたアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたページへと表示位置がジャンプする(後述)。
【0057】
「ページ移動」ボタン71Eは、前ページ送りボタン及び次ページ送りボタンの組み合わせからなる。前ページ送りボタン又は次ページ送りボタンを指定すると、電子文書操作制御部50のページ移動表示機能が起動して、当該ボタンを操作した回数だけ前方又は後方に電子文書のページを移動する。ユーザーは、このページ移動表示機能を利用することで、所望のページ情報を文書表示エリア7内に表示させば、取り込んだ多数の情報の中から所望の情報を素早く検索することができる。電子文書操作制御部50によるページ移動の操作内容は、電子文書データ保持部31内の保持データに反映され、さらに文書表示エリア72内では捲られたページの表示に切り替わる。図5中の文書表示エリア72には電子文書の先頭ページが最前面に表示されているが、図7には、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書が1ページだけ後方に移動した様子を示している。
【0058】
「ズーム」ボタン71Fは、ズームアップ・ボタン及びズームダウン・ボタンの組み合わせからなる。ズームアップ・ボタン又はズームダウン・ボタンを指定すると、電子文書操作制御部50が起動して、当該ボタンの操作量に応じて文書表示エリア72内で表示中のページの表示倍率が増減する。電子文書操作制御部50による表示倍率の増減は、電子文書データ保持部31内の保持データに反映され、さらに文書表示エリア72内では増減した後の表示倍率からなるページの表示に切り替わる。図8には、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書のページの表示倍率が増大した様子を示している。
【0059】
なお、電子文書操作制御部50の文書編集機能は、文書管理ソフトウェアに組み込まれていても、あるいは他のアプリケーション・ソフトウェアとしてコンピューター100にインストールされるという形態であってもよい。当該文書編集用機能を起動すると、編集対象とする電子文書のページを文書表示エリア72内に表示させた状態で、ユーザーが編集作業を行なうことになる。
【0060】
また、本実施形態に係る文書処理装置では、文書表示エリア72に複数の画面が表示できるように構成されている。表示形態として、文書表示エリア72を複数の画面に分割して整列させる方法や、複数の画面を重畳表示させる方法が挙げられる。各々の画面には、異なる電子文書の各々で同時に編集対象となったページや、同一の電子文書内で同時に編集作業の対象となった各ページが表示される。
【0061】
図9には、文書表示エリア72を2画面に分割して、電子文書内の異なるページを各画面に表示している様子を示している。例えば、2以上のアノテーション・オブジェクトが同時に選択されたときなどには、このように画面分割を施して該当する複数のページ(若しくは注目箇所)を同時に表示して、比較し易くしている。
【0062】
例えば、ユーザーは、図6に示したようなアノテーション・オブジェクトの一覧表示から、複数のアノテーション・オブジェクトを同時に選択することもできる。2以上のアノテーション・オブジェクトが同時に選択されたときには、このように画面分割を施して該当する複数のページ(若しくは注目箇所)を同時に表示して、比較し易くする。図示の一覧表示の中から、第1行と第3行のアノテーション・オブジェクトを同時に選択すると、図9に示したように、文書表示エリア72を2画面に分割して、各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたページが(アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときと同じページ表示状態で)それぞれ表示される。したがって、ユーザーは、関連し合う(若しくは、同時に編集対象となる)注目箇所を探索するための操作を効率化し、複数の注目箇所を同時に比較することができる。
【0063】
従来では、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたページを、デフォルトの表示倍率で、且つ、デフォルトの表示範囲(表示範囲の中心とすべきページ座標位置)で表示することが一般的であった。これに対し、本実施形態では、選択されたアノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データに記録されている表示倍率とページ座標を取り出して、ページ表示画像作成部42は、その表示倍率でページ画像を作成するとともにそのページ座標を表示範囲の中心位置に設定して、ディスプレイ画面に表示出力するようになっている。したがって、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示態様を再現することができる。
【0064】
例えば、図5中の文書表示エリア72内に表示されている電子文書の最後方(3番目)のアノテーション・オブジェクトが図10に示すようなページの表示倍率及び表示位置でページに貼り付けられたとし、その後の文書編集作業の際に最後方のアノテーション・オブジェクトが(図6中のアノテーション一覧表示などを通じて)選択されると、図10と同じ表示画面が再現される。
【0065】
図5〜図9には、文書表示エリア72内に、複数のページからなる電子文書の一部のページにアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている様子を例示した。電子文書の他の例として、A0やA1といった大判のページ・サイズからなる図面を挙げることができる。図11には、大判の図面上の複数の注目箇所にそれぞれアノテーション・オブジェクトが貼り付けられているという電子文書の表示例を示している。図示の画面は、図5などと同様に、文書管理ソフトウェアが提供するビューアに相当する。なお、同図中で同じ網掛けが施されたアノテーション・オブジェクトは同じグループIDを持つものと理解されたい。
【0066】
図11のような場合、大判の図面を拡大表示すると該当する注目箇所は見え易くなるが、ページ中の位置を把握し難い。逆に、大判の図面を縮小表示すると、文字や図形は潰れて見えにくくなるが、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた複数の注目箇所の位置関係を把握し易くなる。但し、大判図面の拡大表示と縮小表示を繰り返して所望の注目箇所を探し出すのは効率的な作業とは言い難い。
【0067】
これに対し、本実施形態に係る文書処理装置では、アノテーション・データの必須情報として、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ座標及び表示ページの表示倍率を持つようになっている。したがって、アノテーションの選択操作に応じて、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ表示を再現することができるので、ユーザーは、電子文書の編集作業の効率化を図ることができる。
【0068】
例えば、図11中の文書表示エリア72内に表示されている電子文書の5番目のアノテーション・オブジェクトが図12Aに示すようなページの表示倍率及び表示位置でページに貼り付けられたとし、その後の文書編集作業の際に5番目のアノテーション・オブジェクトが(図11に示すような大判ページ全体を見渡す縮小表示画面などを通じて)選択されると、図12Aと同じ表示画面が再現される。
【0069】
なお、アノテーション・オブジェクトを選択したことに応じてジャンプするページの表示範囲は、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときのページ上の表示位置とページの表示倍率によって決まる。したがって、表示範囲がジャンプした後に図12Bに示すようにアノテーション・オブジェクトの貼り直しなどで表示が変わることはない。例えば、アノテーションで隠れた箇所を見る場合でも、ページ上で気軽にアノテーションを移動して隠れた箇所を参照することができる。
【0070】
また、グループIDを有効化して、あるアノテーション・オブジェクトをユーザーが選択操作した際には、その表示位置の拡大表示することに併せて、同じグループIDを持つアノテーション・オブジェクトが貼り付けられた複数の表示位置の拡大表示を連動して行なうようになっている。したがって、ユーザーは、関連し合う注目箇所を探索するための操作を効率化することができるとともに、複数の注目箇所を同時に比較することができる。
【0071】
また、ユーザーは、電子文書のビューア画面上で、ボタン表示エリア71内の「検索」ボタン71Dを指定する操作を通じて、図13に示すように、電子文書に含まれるアノテーション・データを検索して文書表示エリア72内に一覧表示させることができる。ユーザーは、このような一覧表示をインデックス・リストとして使用して、いずれかのアノテーション・オブジェクトを選択することができる。勿論、文書表示エリア72内に表示されているページの表示イメージ上で、マウス109などを用いて所望するアノテーション・オブジェクトを直接選択することもできる。いずれかのユーザー操作方法によってあるアノテーション・オブジェクトが選択されたとき、文書表示エリア72内では、該当するアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている場所(注目箇所)にジャンプする。
【0072】
ここで、グループIDが有効化されているときには、一覧表示でいずれか1つのアノテーション・オブジェクトを選択し、又は、文書表示エリア72内で表示されているページ上から1つのアノテーション・オブジェクトを選択したことに応じて、同じグループIDを持つ複数のアノテーション・オブジェクトを選択したことになる。例えば、図11に示したように複数の注目箇所にそれぞれアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている大判ページ上でグループ#1に属するアノテーション・オブジェクトのうちいずれか1つが選択されると、図14に示すように、文書表示エリア72同一グループ内のアノテーション・オブジェクトの個数に相当する4画面に分割されるとともに、グループ#1を持つ各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた注目箇所が(アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときと同じページ表示状態で)それぞれ表示される。したがって、ユーザーは、同時に編集対象となる複数の注目箇所を同時に表示して比較することができる。
【0073】
図2に示したように、1つの電子文書のデータは、ページ毎のページ・データをチェーン状に接続して構成され、各ページ・データには、テキスト・データなどの本文データと、ページ内の含まれるすべてのアノテーション・オブジェクトのアノテーション・データが含まれる。したがって、図15中の矢印で示すように、電子文書データの各ページ・データのアノテーション・データを探索することで、同じグループIDを持つすべてのアノテーション・オブジェクトを抽出することができる。
【0074】
また、文書管理ソフトウェアが取り扱う電子文書が大判の図面や複数のページからなる場合などには、当該電子文書中の複数の注目箇所を同時に比較したいことがある。本実施形態に係る文書処理装置によれば、アノテーション・オブジェクトのコピー操作を行なうと、コピー元のアノテーション・オブジェクトの表示倍率とグループIDはそのままコピーされる。したがって、複数の注目箇所に同一のグループIDを割り振るという編集操作を一旦行なっておけば、ユーザーは、同時に確認したくなるような複数の注目箇所を効率よく関連付けられているので、何度でも参照することができる。図16には、グループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトを、関連する他の注目箇所に順次コピーしていく操作を例示している(同図中の一点鎖線の矢印は、コンピューター上では一般的な、オブジェクトのコピー操作である)。
【0075】
以降の電子文書の編集作業などにおいて、同じグループIDを持ついずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択する操作を行なうだけで、文書表示エリアが複数の画面に分割され、各画面には同じグループIDを持つアノテーションが貼り付けられた注目箇所が同時に表示される。図17には、コピー操作によりコピー元のアノテーション・オブジェクトと同じ表示倍率とグループIDが割り振られた各表示位置が、複数の画面に同じ表示倍率で表示されている様子を示している。
【0076】
本実施形態で用いるアノテーションを、通常用いられるアノテーションと区別するために、「拡張アノテーション」と呼ぶことにする。上述したように、拡張アノテーションは、貼り付けたときのページ上の表示位置と表示倍率の情報、さらにはオプションとしてグループIDをアノテーション・データに持つ。アノテーション・データを含んだ電子文書データ構造は図5に示した通りであるが、基本的なデータ構造に変更はないため、通常のアノテーションと同様に、任意に電子文書へのアノテーション・オブジェクトの追加削除が可能である。
【0077】
ビューアからのアノテーションの編集機能は、図5などを参照しながら既に説明した通りである。ページ中の任意の位置を任意のページを任意の表示倍率で表示している場合、通常のアノテーションの貼り付けと同様に、拡張アノテーションを表示範囲の任意の位置に貼り付ける。アノテーション操作制御部60は、貼り付けられた拡張アノテーションには、データとして通常のアノテーションと同様に、自身のアノテーション・オブジェクトを表示するための座標やサイズといったデータとともに、現在表示しているページの表示範囲の中心座標と表示倍率を、追加されたデータ領域に記録して、アノテーション・データとして電子文書中のページ・データに追加する(図2を参照のこと)。また、アノテーション操作制御部60は、ユニークIDを発行しグループIDとして登録する。
【0078】
拡張アノテーションがコピーされて異なる表示状態で貼り付けられたときは、アノテーション操作制御部60は、表示倍率とグループIDはコピー元から保持し、アノテーション・オブジェクトの表示情報(通常のアノテーションと同様のデータ)と画面の中心座標を現在の状態で更新する。
【0079】
続いて、ビューアからのアノテーションの参照機能について説明する。アノテーション・オブジェクトの一覧表示(図6を参照のこと)では、拡張アノテーションは通常のアノテーションと同様に扱われ、通常アノテーションと同時に一覧表示される。ユーザーが一覧から拡張アノテーションを選択したことに応答してアノテーション・オブジェクトが貼り付けられているページ(若しくは、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられている場所)にジャンプする。その際、ページ表示画像作成部42は、当該アノテーション・オブジェクトのアノテーション・データに記録されている表示倍率と表示位置を参照し、ページの表示画像をその表示倍率に切り換えるとともに、ページの表示範囲の中心をその表示位置に合わせる。これによって、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示状態を再現して、ページを表示することができる。
【0080】
また、通常のアノテーションと異なり、一覧から複数の拡張アノテーションを同時に選択することが可能である。その状態で表示指示を行なった場合、ページ表示画像作成部42は、画面分割あるいは複数のウィンドウの同時(重畳)表示などの方法によって、選択されたすべての拡張アノテーションを同時に表示させる。同様の機能に、1つの拡張アノテーションを選択してグループ同時表示を実行する場合、ページ表示画像作成部42は、同じグループIDを持つすべての拡張アノテーションに対して同時に表示させる(図17を参照のこと)。
【0081】
図18には、ビューアからアノテーションの参照を行なう場合の状態遷移図を示している。
【0082】
既に述べたように、ビューアは、複数のボタンが配設されたボタン表示エリア71と、電子文書のページのイメージとして表示する文書表示エリア72を備えている。
【0083】
ユーザーが、マウス109の操作などを介して「文書読込み」ボタン71Aを指定すると、記憶部10から所望の電子文書が取り出される。そして、ページ表示画像作成部42は、文書表示エリア72には、電子文書の1ページ目がデフォルトの表示位置及び表示倍率で表示する。
【0084】
文書表示エリア72に表示されたページ上では、電子文書のページ編集、並びに、アノテーションの編集機能を用いて、ページ上へのアノテーション・オブジェクトの貼り付け、削除、設定内容の変更などを行なうことができる。
【0085】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「保存」ボタン71Cを指定すると、文書表示エリア72に表示された電子文書を記憶部10に保存する処理が実行される。図2に示したように電子文書はページ毎のページ・データからなるデータ・ファイルであり、各ページのページ・データは、ページ本文に相当するテキスト・データ(又は写真や図などの画像データ)と、当該ページの表示イメージ上に貼り付けられたアノテーション・オブジェクト毎のアノテーション・データからなり、アノテーションの編集機能を用いたアノテーション・データの変更内容も併せて保存される。
【0086】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「ページ移動」ボタン71Eの前ページ送りボタン又は次ページ送りボタンを指定すると、文書表示エリア72では、電子文書の前ページ又は次ページの表示に切り換わる。その際、デフォルトの表示位置及び表示倍率でページが表示される。
【0087】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「ズーム」ボタン71Fを指定すると、文書表示エリア72では、現在表示されているページの表示倍率が当該ボタンの操作量に応じて増減する。また、ユーザーが、文書表示エリア72内で、現在表示されているページをマウス109でドラッグ操作することで、ページの表示中のページの表示位置(ページの表示範囲、若しくは表示範囲の中心となるページ座標位置)を移動させることができる。
【0088】
また、ユーザーが、マウス109の操作などを介して「検索」ボタン71Dを指定すると、電子文書に含まれるアノテーション・データを検索して文書表示エリア72内に一覧表示される(図6、図13を参照のこと)。ユーザーは、この一覧表示をインデックス・リストとして使用して、いずれかのアノテーション・オブジェクトを選択することができる。また、ユーザーは、一覧表示を用いなくても、文書表示エリア72内に表示されているページの表示イメージ上で、マウス109などを用いて所望するアノテーション・オブジェクトを直接選択することもできる。
【0089】
そして、いずれかの方法により新しいアノテーション・オブジェクトが選択されると、そのアノテーション・データを参照してページの表示位置と表示倍率が取り出される。そして、ページ表示画像作成部42は、ページの表示画像をその表示倍率に切り換えるとともに、ページの表示範囲の中心をその表示位置に合わせる。これによって、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示状態を再現して、ページを表示することができる。
【0090】
ユーザーは、図6に示したようなアノテーション・オブジェクトの一覧表示を介して、複数のアノテーション・オブジェクトを選択することもできる。あるいは、グループIDが有効化されているときには、いずれか1つのアノテーション・オブジェクトを選択すると、同じグループIDを持つ複数のアノテーション・オブジェクトを選択したことになる。
【0091】
このように複数のアノテーション・オブジェクトが選択された場合には、ページ表示画像作成部42は、選択されたアノテーション・オブジェクトの個数N分だけ文書表示エリア72を画面分割する。そして、選択された各々のアノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データからページ座標と表示倍率を取り出して、分割した各画面内で、各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた注目箇所の表示イメージを、ページ座標と表示倍率に基づいてそれぞれ再現する。
【0092】
図19には、アノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じてページを表示するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0093】
まず、選択されたアノテーション・オブジェクトの個数Nが1を超えるかどうかをチェックする(ステップS1)。
【0094】
ユーザーがアノテーション・オブジェクトの一覧表示を介して複数のアノテーション・オブジェクトを選択したときには、選択した個数がNに相当する。また、グループIDが有効化されているときには、電子文書に書き込まれているアノテーション・データのうち、ユーザーが選択したアノテーション・オブジェクトと同じグループIDを持つものの個数がNに相当する。
【0095】
選択されたアノテーション・オブジェクトの個数Nが1のときには(ステップS1のNo)、ページ表示画像作成部42は、当該アノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データに記載されている表示位置と表示倍率を参照し、ページの表示画像をその表示倍率に切り換えるとともに、ページの表示範囲の中心をその表示位置に合わせる。これによって、アノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示状態を再現して、ページを表示することができる(ステップS2)。
【0096】
一方、選択されたアノテーション・オブジェクトの個数Nが2以上となるときには(ステップS1のYes)、ページ表示画像作成部42は、文書表示エリア72をN画面に分割する(ステップS3)。そして、選択された各々のアノテーション・オブジェクトに対応するアノテーション・データからページ座標と表示倍率を取り出して、分割したN画面内で、各アノテーション・オブジェクトが貼り付けられた注目箇所の表示イメージを、それぞれに該当するアノテーション・データで示される表示位置と表示倍率に基づいてそれぞれ再現する(ステップS4)。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0098】
例えば、文書管理ソフトウェアが取り扱う電子文書が大判の図面や複数のページからなる場合には、当該電子文書中の複数の注目箇所を同時に比較したいことがある。本実施形態に係る文書処理装置によれば、電子文書中のそれぞれの注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り付けて各々のアノテーション・データに同一のグループIDを割り振る、あるいはグループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトをそれぞれの注目箇所にコピーしながら貼り付けていくという編集操作を一旦行なっておけば、何度でも所定の箇所を参照することができる。以降の電子文書の編集作業などにおいて、いずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択する、あるいはアノテーションの一覧から特定のグループIDを選択するという操作を行なうだけで、文書表示エリアが複数の画面に分割され、各画面には同じグループIDを持つアノテーションが貼り付けられた注目箇所(若しくはページ)が同時に表示される。
【0099】
また、アノテーション・オブジェクトの選択に応じて表示される注目箇所は、ページ上にアノテーション・オブジェクトを貼り付けたときの表示イメージ上の座標であるから、アノテーション・オブジェクトの貼り直しなどで表示が変わることはない。例えば、アノテーションで隠れた箇所を見る場合でも、ページ上で気軽にアノテーションを移動して隠れた箇所を表示するように構成してもよい。
【0100】
本実施形態に係る文書管理ソフトウェアを、電子地図の表示システムに適用することができる。例えば、地図上の1以上のポイントを記録する際に表示倍率まで記録することで、ユーザーが見易い表示倍率で各ポイントを参照することができる。
【0101】
一般的に、電子地図の表示システムにおいては、地図を参照する際に、目的地をキーワードで検索したり表示されている地図を移動させたりすることにより、注目箇所である目的地に相当する領域の地図を表示させることができる。目的地までの経路を知りたい場合には目的地を含めた周辺領域まで表示できるような表示倍率で表示させ、目的地の建物の外観図や入り口などの詳細情報を知りたい場合は目的地を中心に詳細表示できるようにより拡大した表示倍率で表示させる、といったように、目的地を参照する際の目的に応じて、地図の表示倍率が異なることが多い。このような場合に、電子地図中のそれぞれの注目箇所に上記実施形態と同様のアノテーション・オブジェクトを貼り付けて各々のアノテーション・データに電子地図上の位置座標と表示倍率とを関連させて記憶させるようにしてもよい。このように構成することにより、電子地図上のアノテーションを指示して地図データを表示させると、記憶された注目箇所を中心とし記憶された倍率で表示が再現されることになる。また、複数の注目箇所にアノテーション・オブジェクトを貼り、同一のグループIDを割り振る、あるいはグループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトをそれぞれの注目箇所にコピーしながら貼り付けていくという編集操作を一旦行なっておけば、何度でも所定の箇所を参照することができる。前記した電子文書の参照編集作業と同様に、いずれか1つの注目箇所のアノテーションを選択する、あるいはアノテーションの一覧から特定のグループIDを選択するという操作を行なうだけで、地図表示エリアが複数の画面に分割され、各画面には同じグループIDを持つアノテーションが貼り付けられた注目箇所(若しくはページ)が同時に表示される、という構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、文書処理装置として動作するコンピューター100の構成を示した図である。
【図2】図2は、記憶部10に格納される電子文書のデータ構造を示した図である。
【図3】図3は、電子文書に対してアノテーションを貼り付けるとともに、アノテーションが貼り付けられた電子文書を表示するための、文書処理装置の機能的構成を模式的に示した図である。
【図4】図4は、電子文書表示制御部40の内部構成例を示した図である。
【図5】図5は、文書データ表示部23がディスプレイ画面に表示出力する、アノテーション編集操作に関する画面構成例を示した図である。
【図6】図6は、アノテーション・オブジェクトを一覧表示した画面構成例を示した図である。
【図7】図7は、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書が1ページだけ後方に捲られた様子を示した図である。
【図8】図8は、図5に示した文書表示エリア72内の電子文書のページの表示倍率が増大した様子を示した図である。
【図9】図9は、文書表示エリア72を2画面に分割して、電子文書内の異なるページを各画面に表示している様子を示した図である。
【図10】図10は、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示イメージを再現する仕組みを説明するための図である。
【図11】図11は、大判の図面上の複数の注目箇所にそれぞれアノテーション・オブジェクトが貼り付けられている電子文書を表示する画面構成例を示した図である。
【図12A】図12Aは、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示イメージを再現する仕組みを説明するための図である。
【図12B】図12Bは、アノテーション・データに記録されているページ座標と表示倍率に基づいて、アノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときのページの表示イメージを再現する仕組みを説明するための図である。
【図13】図13は、アノテーション・オブジェクトを一覧表示した画面構成例を示した図である。
【図14】図14は、同じグループIDを持つアノテーション・オブジェクトが示す複数の注目箇所を画面分割して同時に表示した様子を示した図である。
【図15】図15は、記憶部10に格納されている電子文書データから同じグループIDを持つアノテーション・データを探索する様子を示した図である。
【図16】図16は、グループIDが割り振られたアノテーション・オブジェクトを、関連する他の注目箇所に順次コピーしていく操作を例示した図である。
【図17】図17は、コピー操作によりコピー元のアノテーション・オブジェクトと同じ表示倍率とグループIDが割り振られた各表示位置が、複数の画面に同じ表示倍率で表示されている様子を示した図である。
【図18】図18は、ビューアからアノテーションの参照を行なう場合の状態遷移図である。
【図19】図19は、アノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じてページを表示するための処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1…文書処理装置
10…記憶部
20…操作入力部
30…記憶入出力部
31…電子文書データ保持部
40…電子文書表示制御部
41…電子文書構造解析部
42…ページ表示画像作成部
43…ページ表示制御部
50…電子文書操作制御部
60…アノテーション操作制御部
100…コンピューター(文書処理装置)
101…CPU
102…ROM
103…RAM
104…ローカル・バス
105…ブリッジ
106…入出力バス
107…入出力インターフェース
108…キーボード
109…ポインティング・デバイス(マウス)
110…ディスプレイ
111…HDD
115…通信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部と、
1ページの領域からなる電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部と、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部と、
を備え、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記アノテーション操作制御部を通じて複数のアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割して、該分割した各画面に前記選択された複数のアノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページをそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上に貼り付けられた各アノテーション・オブジェクトにグループ識別情報を割り振り、前記電子情報データ保持部は各アノテーション・オブジェクトに割り振られたグループ識別情報を該当するページ・データに保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割し、前記選択されたアノテーション・オブジェクトと同じグループ識別情報を持つ各アノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを該分割した各画面にそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アノテーション操作制御部を通じてグループ識別情報を持つアノテーション・オブジェクトをページ上の他の表示位置にコピーされたアノテーション・オブジェクトに対し同じグループ識別情報と表示倍率を与える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
1ページ以上からなる電子情報の処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部、
電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部、
として機能させ、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラム。
【請求項1】
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部と、
1ページの領域からなる電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部と、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部と、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部と、
を備え、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記アノテーション操作制御部を通じて複数のアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割して、該分割した各画面に前記選択された複数のアノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページをそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上に貼り付けられた各アノテーション・オブジェクトにグループ識別情報を割り振り、前記電子情報データ保持部は各アノテーション・オブジェクトに割り振られたグループ識別情報を該当するページ・データに保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、前記画面を複数に分割し、前記選択されたアノテーション・オブジェクトと同じグループ識別情報を持つ各アノテーション・オブジェクトにそれぞれ該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを該分割した各画面にそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アノテーション操作制御部を通じてグループ識別情報を持つアノテーション・オブジェクトをページ上の他の表示位置にコピーされたアノテーション・オブジェクトに対し同じグループ識別情報と表示倍率を与える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
1ページ以上からなる電子情報の処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
電子情報に対するユーザー操作を受け取る操作入力部、
電子情報のページを画面上に表示する電子情報表示制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページに対し表示倍率又はページの表示位置の変更を含む電子情報に対する操作を行なう電子情報操作制御部、
前記操作入力部を介したユーザー操作又はその他の指示に従って、前記画面上に表示されている電子情報のページ上のアノテーション・オブジェクトに対する操作を行なうアノテーション操作制御部、
電子情報の各ページに関するページ・データを保持する電子情報データ保持部、
として機能させ、
前記アノテーション操作制御部を通じてページ上にアノテーション・オブジェクトが貼り付けられたときの当該ページの表示倍率及び当該ページ上の表示位置をアノテーション・データとして保持し、
前記アノテーション操作制御部を通じてアノテーション・オブジェクトが選択されたことに応じて、前記電子情報表示制御部は、該当するアノテーション・データに記載されている表示倍率及び表示位置に基づいて電子情報のページを前記画面上に表示する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図17】
【公開番号】特開2010−61311(P2010−61311A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225248(P2008−225248)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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