説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】省電力モードから通常モードへの移行には、通常モードよりも大きな消費電力が必要となる。省電力モードを備える印刷装置の消費電力を抑制する印刷システムを提供する。
【解決手段】デジタル複合機3が省電力モードの状態において、PC1がユーザから原稿データの印刷指示を受けたときに、印刷データ50をデジタル複合機3と異なる保存先装置に作成された共有フォルダ21に一時的に保存する。動作確認部131がデジタル複合機3の動作状態を定期的に確認し、デジタル複合機3が省電力モードから復帰したときに、共有フォルダ21内に保存された印刷データ50をデジタル複合機3に送信することにより、省電力モードと通常モードの移行回数を削減し、消費電力を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードで動作可能な印刷装置を利用する情報処理装置、及び情報処理装置が印刷装置を利用するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機などの従来の印刷装置は、待機状態が一定の時間継続した場合、省電力モードに移行する。省電力モードでは、プリンタコントローラ及びプリンタエンジンなどを制御する制御部に電力が供給されない。このため、印刷装置の消費電力が低減し、運用コストを低減させることができるというメリットがある。また、消費電力を低減させることで、省エネルギー対策及び環境対策に貢献できるというメリットもある。
【0003】
印刷装置は、印刷ジョブを受信した場合、あるいはユーザが操作パネルを操作した場合などに、省電力モードから通常モードに移行する。通常モードに復帰するときの消費電力は、プリンタエンジンのウォーミングアップなどに伴って通常モードより大きくなる。このため、省電力モードからの復帰回数は少ない方が望ましい。
【0004】
特許文献1には、省電力モードから復帰する回数を削減することができる画像形成装置が開示されている。特許文献1に係る画像形成装置は、省電力モードにおいてリアルタイムでの印刷を要求されていない印刷ジョブが発生した場合、内蔵するハードディスク装置に印刷ジョブを保存する。そして、画像形成装置は、蓄積された印刷ジョブで印刷するページ数が所定の枚数以上となった場合に、蓄積した印刷ジョブを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−313488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1に係る画像形成装置は、省電力モードのときに印刷ジョブを受信した場合、内蔵するハードディスク装置に印刷ジョブを蓄積する。このため、省電力モード時に印刷ジョブを受信した場合、ハードディスク装置を駆動させる必要がある。この結果、特許文献1に係る画像形成装置は、省電力モード時の消費電力が大きくなる傾向にあった。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、省電力モードにおける消費電力を効率よく削減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、情報処理装置であって、印刷の指示に応じて、ネットワークを介して接続された印刷装置の動作状態を確認する第1動作確認部と、前記印刷装置が省電力モードであることを前記第1動作確認部が確認した場合、前記印刷装置と異なる保存先装置に作成された共有フォルダに印刷データを保存する保存部と、前記印刷データが前記共有フォルダに保存された後、前記印刷装置の動作状態を定期的に確認する第2動作確認部と、前記印刷装置が省電力モードを解除したことを前記第2動作確認部が確認した場合、前記保存先装置に対して、前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信することを指示する送信指示部と、を備えることを特徴する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記印刷装置が省電力モードである場合において、前記印刷データを前記共有フォルダに保存するか前記印刷装置に直接送信するかを選択する選択部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置であって、前記送信指示部は、前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信する期限を示す送信期限情報に基づいて、前記保存先装置に対して、前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信することを指示する期限情報管理部、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、印刷装置にネットワークを介して接続する情報処理装置を、印刷の指示に応じて前記印刷装置の動作状態を確認する第1動作確認部、前記印刷装置が省電力モードであることを前記第1動作確認部が確認した場合、前記印刷装置と異なる保存先装置に作成された共有フォルダに印刷データを保存する保存部、前記印刷データが前記共有フォルダに保存された後、前記印刷装置の動作状態を定期的に確認する第2動作確認部、前記印刷装置が省電力モードを解除したことを前記第1動作確認部が確認した場合、前記保存先装置に対して、前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信することを指示する送信指示部、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、情報処理装置は、印刷装置が省電力モードであることを確認した場合、印刷データを印刷装置と異なる保存先装置に作成された共有フォルダに保存する。これにより、印刷装置が大容量の記憶装置を省電力モードのときに駆動させる必要がなく、省電力モードにおける印刷装置の消費電力を削減することができる。
【0013】
また、印刷装置が省電力モードである場合において、選択部が印刷データを共有フォルダに保存するか印刷装置に直接送信するかを選択する。これにより、所望の原稿をすぐに印刷するか否かをユーザの必要に応じて選択することができる。
【0014】
また、印刷データを共有フォルダに保存する場合において、期限情報管理部は送信期限が設定された送信期限情報を用いて印刷データを印刷装置に送信する期限を管理する。これにより、印刷データがいつまでも共有フォルダ内に放置されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る情報処理装置の構成を含むネットワークシステムの構成図である。
【図2】印刷の指示をしてから印刷データが共有フォルダに保存されるまでの情報処理装置のフローチャートである。
【図3】印刷データが共有フォルダに保存されてから印刷データがデジタル複合機に送信されるまでの情報処理装置のフローチャートである。
【図4】印刷データを受信したときのデジタル複合機のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
{情報処理装置とネットワークシステムの全体構成}
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は本実施の形態に係るPC(Personal computer)1を含むネットワークシステムを示すブロック図である。
【0017】
PC1は、LAN(Local Area Network)4に接続されている。LAN4には、PC2と、プリンタ機能、コピー機能、ファックス機能、スキャナ機能およびプリンタ機能を有するデジタル複合機3とが接続されている。ユーザは、PC1を操作して、LAN4経由で印刷指示を送ることにより、デジタル複合機3のプリンタ機能を利用することができる。
【0018】
まず、PC1の構成について説明する。PC1は、ユーザが操作する情報処理装置であり、制御部11と、プリンタドライバ12と、印刷管理部13と、ディスプレイ14と、操作部15と、LANインタフェイス16とを備える。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などを有し、PC1全体の制御を行う。
【0020】
プリンタドライバ12は、印刷形式決定部121と、印刷データ作成部122とを備える。
【0021】
印刷形式決定部121は、ユーザが原稿データ(図示省略)の印刷指示をした場合に、原稿データをPDL(Page Description Language)形式に変換するか、ラスタ形式に変換するかを決定する。
【0022】
印刷データ作成部122は、原稿データを印刷データ50に変換する。印刷データ50は、印刷形式決定部121で選択されたデータ形式で生成され、具体的には、PDLデータまたはラスタデータとして生成される。
【0023】
印刷管理部13は、本発明における保存部及び送信部に該当し、デジタル複合機3に送信する印刷データ50を管理する。具体的には、デジタル複合機3が省電力モードの状態にある場合、印刷管理部13は、PC2に作成された共有フォルダ21に印刷データ50を一時的に保存する待機印刷を実行し、共有フォルダ21に保存された印刷データ50を管理する。待機印刷は、本発明の特徴部分であり、その詳細については後述する。
【0024】
印刷管理部13は、動作確認部131と、選択部132と、期限情報管理部133とを備える。
【0025】
動作確認部131は、ユーザからの印刷指示があったときに、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いてデジタル複合機3の動作状態を確認する。さらに、動作確認部131は、後述の選択部132で待機印刷を選択されたときには、デジタル複合機3の動作状態を定期的に確認する。
【0026】
選択部132は、デジタル複合機3が省電力モードであると動作確認部131が判断した場合に、印刷データ50を直接デジタル複合機3に送信する通常印刷か、待機印刷かを選択する。
【0027】
期限情報管理部133は、選択部132で待機印刷が選択された際に、共有フォルダ21に保存されている印刷データ50をデジタル複合機3に送信する送信期限をユーザに設定させ、送信期限が設定された送信期限情報134を作成する。期限情報管理部133は、送信期限情報134を用いて印刷データ50をデジタル複合機3に送信する期限を管理する。
【0028】
ディスプレイ14は、液晶ディスプレイなどである。操作部15は、キーボード、マウスなどで構成されており、PC1に対する各種の指示を受け付ける。LANインタフェイス16は、LAN4に接続されており、LAN4を経由した通信を制御する。通信の制御には、TCP/IP(Transmission Control Protcol/Internet Protocol)などのプロトコルが用いられる。
【0029】
つぎに、PC2について説明する。PC2は、共有フォルダ21を備える。共有フォルダ21は、選択部132で待機印刷が選択された場合に、PC1で作成された印刷データ50を一時的に保存するフォルダである。
【0030】
つぎに、デジタル複合機3について説明する。デジタル複合機3は、制御部31と、ネットワークコントローラ32と、電源管理部33と、印刷部34とを備える。制御部31は、CPUなどを含み、デジタル複合機3の全体制御を行う。
【0031】
ネットワークコントローラ32は、LAN4に接続されており、TCP/IPなどを用いて、LAN4を経由した通信を制御する。ネットワークコントローラ32は、SNMPパケットを受信した場合、受信したSNMPパケットに対する応答処理を実行する。
【0032】
電源管理部33は、デジタル複合機3の各構成要素への供給電力を、通常モード、省電力モード及び省電力印刷モードに応じて制御する。
【0033】
印刷部34は、PC1が作成した印刷データ50を印刷する。印刷部34は、プリンタコントローラ341と、プリンタエンジン342とを備える。
【0034】
プリンタコントローラ341は、印刷データ50がPDL形式である場合、印刷データ50をラスタデータに変換する。プリンタエンジン342は、図示しない感光ドラム、定着ローラなどを備えており、ラスタデータを紙などの印刷媒体に印刷する。
【0035】
また、印刷データ50がラスタ形式である場合、印刷部34は、ホストベースプリンタとして機能する。この場合、印刷部34は、プリンタコントローラ341を使用せず、プリンタエンジン342だけを用いて印刷データ50を印刷する。
【0036】
{通常モード、省電力モード及び省電力印刷モード}
つぎに、デジタル複合機3の動作状態について説明する。デジタル複合機3は、ユーザの使用状況に応じて、消費電力がそれぞれ異なる通常モード、省電力モード及び省電力印刷モードのいずれかのモードで動作する。
【0037】
通常モードは、デジタル複合機3全体に電力を供給するモードである。デジタル複合機3は、電力を供給する構成単位として、本体処理部、印刷部34、及びネットワークコントローラ32に分けられる。本体処理部は、制御部31及び操作パネル(図示省略)などを含んでいる。通常モードにおいて、電源管理部33は、本体処理部、印刷部34及びネットワークコントローラ32に電力を供給する。
【0038】
省電力モードでは、ネットワークコントローラ32だけに電力が供給される。本体処理部及び印刷部34には、電力が供給されない。
【0039】
省電力印刷モードでは、印刷部34及びネットワークコントローラ32に電力が供給される。本体処理部には、電力が供給されない。
【0040】
たとえば、デジタル複合機3は、ユーザの指示に従って動作した後に一定期間が経過することにより、通常モードから省電力モードに移行する。そして、ユーザが省電力モードの解除ボタンを押した場合などに、デジタル複合機3は、通常モードに復帰する。
【0041】
また、デジタル複合機3は、省電力モードにおいて印刷データ50を受信した場合、省電力モードから省電力印刷モードに移行する。これは、印刷データ50を印刷するときには、印刷部34が動作すればよく、本体処理部に電力を供給する必要がないためである。
【0042】
{通常印刷及び待機印刷}
つぎに、通常印刷及び待機印刷について説明する。通常印刷とは、ユーザから印刷の指示を受けたPC1が、デジタル複合機3の動作状態に関係なく印刷データ50をデジタル複合機3に送信する印刷形態である。デジタル複合機3が通常モードの時には、印刷データ50は、そのままPC1からデジタル複合機3に送信される。デジタル複合機3が省電力モードの時には、印刷管理部13が印刷データ50を直接デジタル複合機3に送信することにより、デジタル複合機3を通常モードに強制的に復帰させる。
【0043】
待機印刷とは、デジタル複合機3が省電力モードのときに印刷データ50を共有フォルダ21に一時的に保存し、デジタル複合機3が通常モードまたは省電力印刷モードに移行したときに共有フォルダ21に保存された印刷データ50を印刷する印刷形態である。
【0044】
なお、共有フォルダ21に保存された印刷データ50は、期限情報管理部133に保存されている送信期限情報134に設定された送信期限が経過している場合、デジタル複合機3の状態にかかわらず、強制的にデジタル複合機3に送信される。
【0045】
{ネットワークシステムの動作}
以下、待機印刷が指示されたときにおける、図1に示すネットワークシステムの動作について説明する。
【0046】
最初に、ユーザが印刷の指示をしてから印刷データ50が共有フォルダ21に保存されるまでのPC1の動作について、図2を用いて説明する。図2に示す動作は、ユーザがPC1を操作して、原稿データの印刷を指示することにより開始される。ここで、原稿データとは、文書作成用のアプリケーションソフトウェアなどにより作成されたデータのことである。
【0047】
印刷形式決定部121は、ユーザが設定した印刷形式に基づいて、原稿データから作成される印刷データ50のデータ形式を決定する。印刷データ作成部122は、決定されたデータ形式に基づいて、原稿データからPDL形式または、ラスタ形式の印刷データ50を作成する(ステップS201)。印刷データ50が作成された後に、動作確認部131は、SNMPを利用して、デジタル複合機3の動作状態を確認する(ステップS202)。具体的には、動作確認部131は、動作状態の確認の要求をデジタル複合機3に送信し、確認の要求に対する応答を受信する。
【0048】
動作確認部131は、受信した応答の内容に基づいて、デジタル複合機3が省電力モードであるか否かを判断する(ステップS203)。デジタル複合機3が省電力モードでない場合(ステップS203でNo)、印刷管理部13は通常印刷が可能であると判断する。印刷データ50が、PC1からデジタル複合機3に送信され(ステップS209)、図2に示す動作は終了する。
【0049】
逆に、デジタル複合機3が省電力モードである場合(ステップS203でYes)、選択部132は、通常印刷をするか、待機印刷をするかをユーザに選択させるために選択ダイアログをディスプレイ14に表示する(ステップS204)。ユーザが操作部15を操作して、通常印刷を選択した場合(ステップS205でNo)、印刷データ50は、デジタル複合機3に送信され(ステップS209)、図2の動作は終了する。
【0050】
逆に、ユーザが待機印刷を選択した場合(ステップS205でYes)、期限情報管理部133は、送信期限の有無を確認する(ステップS206)。つまり、ユーザが送信期限を指定した場合(ステップS206でYes)、期限情報管理部133は、ユーザが指定した送信期限が設定された送信期限情報134を作成する(ステップS207)。そして、印刷データ50が共有フォルダ21に保存される(ステップS208)。
【0051】
一方、ユーザが送信期限を指定しない場合(ステップS206でNo)、印刷管理部13は、印刷データ50をそのまま共有フォルダに保存し(ステップS208)、図2の動作は終了する。待機印刷により、デジタル複合機3が大容量の記憶装置を省電力モードのときに駆動させる必要がなく、省電力モードにおけるデジタル複合機3の消費電力を削減することができる。
【0052】
図2に示す動作により、ユーザは待機印刷と通常印刷を必要に応じて選択することができる。
【0053】
つぎに、印刷データ50が共有フォルダ21に保存されてからデジタル複合機3に送信されるまでのPC1の動作について、図3を用いて説明する。図3に示す操作は、PC1が印刷データ50を共有フォルダ21に保存した後に、開始される。
【0054】
印刷管理部13によって、印刷データ50が共有フォルダ21に保存されてから一定時間が経過している場合(ステップS301でYes)、動作確認部131はデジタル複合機3の動作状態を確認する(ステップS302)。
【0055】
デジタル複合機3が省電力モードでない場合(ステップS303でNo)、動作確認部131は、デジタル複合機3が印刷中であるか否かを判断する(ステップS304)。デジタル複合機3が印刷中でない場合(ステップS304でNo)、印刷管理部13は、共有フォルダ21に保存されている印刷データ50をデジタル複合機3に送信することを、PC2に対して指示する(ステップS306)。PC2は、印刷管理部13の指示に応じて、印刷データ50をデジタル複合機3に送信する。これにより、待機印刷指示された印刷データ50の印刷が、デジタル複合機3で開始される。
【0056】
逆に、デジタル複合機3が印刷中である場合(ステップS304でYes)、印刷管理部13は、デジタル複合機3の印刷状態が解除されるまで待機する。印刷管理部13は、待機時間が経過した後に(ステップS305でYes)、ステップS304の処理に戻り、デジタル複合機3が待機中であるか否か確認する動作を繰り返す。ここで、ステップS305の待機時間は、デジタル複合機3が省電力モードに移行するまでの時間より短い時間である。このように、待機印刷の指示により共有フォルダ21に保存されている印刷データ50は、デジタル複合機3が印刷可能な状態のときにデジタル複合機3に送信される。したがって、デジタル複合機3が省電力モードから復帰する回数を削減し、デジタル複合機3の消費電力を削減させる。
【0057】
ステップS303の説明に戻る。デジタル複合機3が省電力モードである場合(ステップS303でYes)、期限情報管理部133が、送信期限情報134を参照して共有フォルダ21に保存されている印刷データ50の送信期限が経過しているか否かを確認する(ステップS307)。印刷データ50の送信期限が経過していない場合(ステップS307でNo)、印刷管理部13は、S301の動作に戻る。
【0058】
印刷データ50の送信期限が経過している場合(ステップS307でYes)、印刷管理部13は、共有フォルダ21に保存されている印刷データ50をデジタル複合機3に送信することを、PC2に対して指示する(ステップS308)。デジタル複合機3は、省電力モードの状態にあれば、省電力印刷モードに移行した後でPC2から受信した印刷データを印刷する。これにより、待機印刷が指示された印刷データ50が、印刷されないままの状態で放置されることを防ぐことができる。
【0059】
なお、期限情報管理部133は、現在時刻が送信期限となったとき、あるいは、次に確認するタイミングが送信期限を過ぎることを確認したときに、印刷データ50を送信してもよい。
【0060】
なお、共有フォルダ21に印刷データ50が複数あってもよい。その場合、印刷データ50を1つでもデジタル複合機3に送信することにより、デジタル複合機3が省電力モードから復帰する。従って、共有フォルダ21に保存されている印刷データ50全てを送信するとよい。
【0061】
つぎに、デジタル複合機3の動作について、図4を用いて説明する。なお、デジタル複合機3の動作状態は、通常モード、省電力モード及び省電力印刷モードのいずれでもよい。デジタル複合機3は、ネットワークコントローラ32がデータを受信することにより、図4に示す動作を開始する。
【0062】
デジタル複合機3のネットワークコントローラ32がSNMPパケットを受信した場合(ステップS401でYes)、ネットワークコントローラ32は、SNMPパケットに対する応答処理をする(ステップS402)。
【0063】
デジタル複合機3のネットワークコントローラ32は、受信したデータがSNMPパケットでなかった場合(ステップS401でNo)、印刷データ50を受信したか否かを判断する(ステップS403)。受信したデータが印刷データ50でなかった場合(ステップS403でNo)、ネットワークコントローラ32は、受信したデータに対する応答処理をし(ステップS409)、図4に示すデジタル複合機3の処理を終了する。
【0064】
ネットワークコントローラ32は、印刷データ50を受信した場合(ステップS403でYes)、デジタル複合機3の動作状態を確認する(ステップS404)。
【0065】
デジタル複合機3が省電力モードであれば(ステップS404でYes)、ネットワークコントローラ32は、印刷データ50のデータ形式を確認する(ステップS405)。印刷データ50がPDL形式であれば(ステップS405でYes)、ネットワークコントローラ32は、プリンタコントローラ341とプリンタエンジン342に電力を供給させる(ステップS406)。これにより、デジタル複合機3は省電力印刷モードに移行する。PDL形式の印刷データ50は、ラスタデータに変換され、印刷用紙などに印刷される(ステップS407)。
【0066】
逆に、印刷データ50がラスタ形式であれば(ステップS405でNo)、ネットワークコントローラ32は、プリンタエンジン342に電力を供給して(ステップS408)、デジタル複合機3を省電力印刷モードに移行させる。ラスタ形式の印刷データ50は、印刷用紙などに印刷される(ステップS407)。
【0067】
ここで、ステップS404の説明に戻る。デジタル複合機3が通常モードまたは省電力印刷モードであれば(ステップS404でNo)、印刷部34は、印刷データ50を印刷用紙などに印刷する(ステップS407)。なお、省電力印刷モードでPDL形式の印刷データ50が印刷されるときに、プリンタコントローラ341に電力が供給されていないことがある。この場合、プリンタコントローラ341に電力を供給した上で、PDL形式の印刷データ50を印刷すればよい。
【0068】
従って、図3に示す動作(ステップS306)において、PC1は、プリンタコントローラ341に電力が供給されているか否かを確認することなく、印刷データ50をデジタル複合機3に送信する。
【0069】
これにより、プリンタコントローラ341とプリンタエンジン342の両方に電力供給を開始する場合に比べ、プリンタコントローラ341のみ電力供給を開始するので、消費電力を削減することができる。さらに、待機印刷が指示されたPDL形式の印刷データ50を印刷することが可能になる。
【0070】
以上説明したように、デジタル複合機3が省電力モードであって、PC1がユーザに印刷を指示された場合、待機印刷を実行する。待機印刷では、デジタル複合機3と異なる保存先装置に作成された共有フォルダ21に原稿データから作成された印刷データ50が一時的に保存され、共有フォルダ21に保存された印刷データ50は、デジタル複合機3が通常モードに復帰したときに印刷される。これにより、デジタル複合機3は、大容量の記憶装置を設ける必要がない。このため、省電力モード時の消費電力を効率よく削減することができる。
【0071】
さらに、選択部12がユーザに通常印刷か待機印刷かを選択させることにより、原稿データをすぐに印刷するか否かをユーザの要求に応じて選択することができる。
【0072】
さらに、待機印刷の場合において、期限情報管理部133が共有フォルダ21に保存された印刷データ50の送信期限を管理する。印刷管理部13は、送信期限になるとデジタル複合機3の動作状態に関わらず印刷データ50をデジタル複合機3に送信する。これにより、印刷データがいつまでも共有フォルダ内に放置されるのを防ぐことができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、共有フォルダ21がPC2内に設けられているが、これに限られない。たとえば、PC1内に共有フォルダを設け、PC1内の共有フォルダに印刷データ50を保存してもよい。この場合、デジタル複合機3が省電力モードでなく、かつ印刷中でないことを動作確認部131が確認した場合に(ステップS303でNo、ステップS304でNo)、ステップS306の処理が行われる。ステップS306の処理として、印刷管理部13が、PC1内に作成された共有フォルダ21に保存中の印刷データ50をデジタル複合機3に送信することを、制御部11に対して指示すればよい。
【0074】
なお、本実施の形態では、PC1は、通常印刷を実行するときに、プリンタドライバ12が作成した印刷データ50をデジタル複合機3に送信しているがこれに限られない。PC1は、共有フォルダ21に印刷データ50が保存されている場合、プリンタドライバ12が作成した印刷データの送信後に、共有フォルダ21に保存されている印刷データ50を、デジタル複合機3に送信してもよい。
【0075】
なお、本実施の形態では、原稿データからラスタ形式またはPDL形式の印刷データ50を作成しているがこれに限られない。デジタル複合機3がPDF(Protable Document Format)またはXPS(XPL Paper Specification)形式を印刷データ50として処理することができる場合がある。この場合、PC1は、ステップS201の処理を省略してもよい。PDF形式またはXPS形式のデータは、待機印刷の実行時には共有フォルダ21にそのまま保存され、通常印刷の実行時にはデジタル複合機3にそのまま送信される。
【符号の説明】
【0076】
1、2 PC
3 デジタル複合機
4 LAN
11、31 制御部
12 プリンタドライバ
13 印刷管理部
21 共有フォルダ
32 ネットワークコントローラ
33 電源管理部
34 印刷部
50 印刷データ
121 印刷形式決定部
122 印刷データ作成部
131 動作確認部
132 選択部
133 期限情報管理部
134 送信期限情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷の指示に応じて、ネットワークを介して接続された印刷装置の動作状態を確認する第1動作確認部と、
前記印刷装置が省電力モードであることを前記第1動作確認部が確認した場合、前記印刷装置と異なる保存先装置に作成された共有フォルダに印刷データを保存する保存部と、
前記印刷データが前記共有フォルダに保存された後、前記印刷装置の動作状態を定期的に確認する第2動作確認部と、
前記印刷装置が省電力モードを解除したことを前記第2動作確認部が確認した場合、前記保存先装置に対して、前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信することを指示する送信指示部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記印刷装置が省電力モードである場合において、前記印刷データを前記共有フォルダに保存するか前記印刷装置に直接送信するかを選択する選択部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記送信指示部は、
前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信する期限を示す送信期限情報に基づいて、前記保存先装置に対して、前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信することを指示する期限情報管理部、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
印刷装置にネットワークを介して接続する情報処理装置を、
印刷の指示に応じて前記印刷装置の動作状態を確認する第1動作確認部、
前記印刷装置が省電力モードであることを前記第1動作確認部が確認した場合、前記印刷装置と異なる保存先装置に作成された共有フォルダに印刷データを保存する保存部、
前記印刷データが前記共有フォルダに保存された後、前記印刷装置の動作状態を定期的に確認する第2動作確認部、
前記印刷装置が省電力モードを解除したことを前記第1動作確認部が確認した場合、前記保存先装置に対して、前記共有フォルダに保存されている前記印刷データを前記印刷装置に送信することを指示する送信指示部、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−18096(P2011−18096A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160440(P2009−160440)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】