情報処理装置及び情報処理方法及びプログラム
【課題】推測航法時に車輪ロックが発生した場合に、車輪ロックの発生を早期に検知するとともに、車輪ロック発生中の車輌の車速値を精度よく推定する。
【解決手段】車速値算出部2が、車速パルス入力部1から入力される車速パルス(デジタル値)101に基づき車速値102を算出し、車速値変化監視処理部3が、車速値算出部2から入力される車速値102の変化をリアルタイムに常時監視し、車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、車輌において車輪ロックが発生したと判定し、車速値変化監視処理部3により車輪ロックが発生したと判定された場合に、車速値補間処理部4が、車輪ロック発生前に車速値算出部2により算出された車輌の車速値と車輪ロック発生からの経過時間とに基づいて、車輪ロック発生中の車輌の車速値を推定し、推測航法計算部6に出力する。
【解決手段】車速値算出部2が、車速パルス入力部1から入力される車速パルス(デジタル値)101に基づき車速値102を算出し、車速値変化監視処理部3が、車速値算出部2から入力される車速値102の変化をリアルタイムに常時監視し、車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、車輌において車輪ロックが発生したと判定し、車速値変化監視処理部3により車輪ロックが発生したと判定された場合に、車速値補間処理部4が、車輪ロック発生前に車速値算出部2により算出された車輌の車速値と車輪ロック発生からの経過時間とに基づいて、車輪ロック発生中の車輌の車速値を推定し、推測航法計算部6に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置測位において、GPS(Global PosItioning System)測位、車速値・旋回角速度等を用いた推測航法測位およびGPS測位と推測航法測位を組合わせた測位装置全般に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体測位において、GPS測位装置を用いる場合、建物等の構造物が上空を遮るような、GPS測位環境が悪い場所では、GPS測位環境に左右されない、移動体の旋回角速度と車速値を用いた推測航法による測位を行い、GPS測位を補完することが多い。
【0003】
推測航法の精度は、旋回角速度と車速値の精度に左右されるため、推測航法の精度を上げるために、旋回角速度と車速値の精度を上げることが必要であった。
【0004】
特許文献1には、GPS測位により得られる速度と車速値を比較し、車速パルスの抜けを検出する装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−333452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体の車速値と旋回角速度を用いた推測航法を行うにあたり、車速値は移動体の車輪の回転数から得られる車速パルス数をカウントして求めることが一般的であるが、鉄道などの移動体では、減速時に車輪がロックすることがあり、実際に移動体は走行していても、ロック中は車速パルス数がゼロまたは減少し、車速値がゼロまたは減少することがある。
この為、推測航法時に車輪ロックが発生すると、車速値が実際の値と比べて小さくなる為、推測航法時に進行距離が小さくなり、その結果、推測航法の精度が大きく劣化する問題があった。
【0006】
車輪ロックの検出に、GPS測位により得られる速度と車速値を比較し、車輪ロックによる車速値がゼロまたは減少した時に、GPS測位により得られる速度で車速値を補間することができるが、建物等の構造物が上空を遮るような、GPS測位環境が悪い場所では、GPS測位により得られる速度の精度が劣化、または得られないことがあるため、車輪ロックの検出および車速値の補間が適切に行われない場合がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決することを主な目的の一つとしており、車輌における車輪ロックの発生を早期に検知するとともに、GPS測位ができない状況でも車輪ロック発生中の車輌の車速値を精度よく推定することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、
車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出部と、
前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車速値の変化状況を監視し、車速値が第一の車速閾値を下回ってから短時間で第二の車速閾値を下回った際に車輪ロックが発生したと判定するため、車輪ロックの発生を早期に検知することができ、また、車輪ロック発生前の車速値と車輪ロック発生からの経過時間に基づき車輪ロック発生中の車速値を推定するため、GPS測位ができない状況でも、精度よく車輪ロック発生中の車速値を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における測位装置8の構成図である。
図1において、測位装置8は、車速パルス入力部1と車速値算出部2と車速値変化監視処理部3と車速値補間処理部4とジャイロセンサ5と推測航法計算部6と測位結果出力処理部7とを備える。
【0011】
車速パルス入力部1は移動体から入力される車速パルス(アナログ値)100を取り込み、車速パルス(アナログ値)100のパルス数をカウントすることで、車速パルス(デジタル値)101へ変換し、車速パルス(デジタル値)101を車速値算出部2へ出力する。
【0012】
車速値算出部2は、車速パルス入力部1から入力される車速パルス(デジタル値)101を取り込み、取り込んだ車速パルス(デジタル値)101に移動体の車輌依存の定数を乗じることで車速値102を算出する。
車速値算出部2により行われる処理が、車速値算出ステップに相当する。
【0013】
車速値変化監視処理部3は、車速値算出部2から入力される車速値102の変化をリアルタイムに常時監視することで、車輪ロックの発生および車輪ロックが継続していることを検出し、その間は車輪ロック検出信号103を出力する。
車速値変化監視処理部3は、概説すると、車速値算出部2により算出された車輌の車速値の変化状況を監視し、車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、車輌において車輪ロックが発生したと判定する。
また、車速値変化監視処理部3は、車輌において車輪ロックが発生したと判定した後、車速値算出部2により算出された車輌の車速値が第二の車速閾値を上回ってから所定時間を経過した際に、車輌における車輪ロックが解消したと判断する。
車速値変化監視処理部3は、車速値監視部の例である。
また、車速値変化監視処理部3により行われる処理が、車速値監視ステップに相当する。
【0014】
車速値補間処理部4は、車速値変化監視処理部3により車輌において車輪ロックが発生したと判定された場合に、車輪ロック発生前に車速値算出部2により算出された車輌の車速値と車輪ロック発生からの経過時間とに基づいて、車輪ロック発生中の車輌の車速値を推定する。
車速値補間処理部4は、車速値推定部の例である。
【0015】
以下にて、車速値変化監視処理部3において、車輪ロックの発生および車輪ロックからの復帰を検出する方法について詳細に説明する。
【0016】
図4は、車輪ロックによる車速値102の変化の一例を示す図である。
図4に示すように、車輪ロックには、車輪ロックの結果、車速値102がゼロまで落ち込まないパターン1と、車速値102がゼロを示すパターン2が存在することが分かっている。
これらの両方のパターンについて、車輪ロックの発生を検出することが必要である。
次に、車速値変化監視処理部3において、車輪ロックの発生を検出する詳細方法について、説明する。
【0017】
図5及び図6は、実施の形態1の車速値変化監視処理部3の監視条件の一例を示す図である。
図5は、パターン1の場合の車速値変化監視処理部3の監視条件の一例を示し、図6は、パターン2の場合の車速値変化監視処理部3の監視条件の一例を示す。
説明の簡明のため、パターン1の監視条件、パターン2の監視条件を区別して説明しているが、車速値変化監視処理部3は監視条件として両者を併せ持つ。
【0018】
先ず、図5に示す各記号の意味について説明する。
V_max_iは車輪ロックにより車速値102が単調減少しながら下回るかどうかの判定車速値で、図5では6〜15[km/h]まで1[km/h]毎に設定する。判定車速値V_max_iは、第一の車速閾値の例である。
V_min_iは車速値102がV_max_iを下回ってからk・τまでの間に車速値102が下回るかどうかの判定車速値で、V_min_i=k・V_max_iの関係がある。判定車速値V_min_iは、第一種の第二の車速閾値の例である。
このように、V_max_iは複数段階となっており、また、V_min_iもV_max_iに対応して複数段階となっている。
k・τ(k<1、τは任意の秒数)は車速値102がV_max_iを下回ってからV_min_i以下になるかどうかの制限時間である。図5では、kは0.5、τは1.0[sec]に設定する。
なお、図5の例では、制限時間k・τ、判定車速値V_min_i=k・V_max_iの両者において、同じ係数kを用いているが、例えば、制限時間をn・τ(nはk以外の値であって、n<1)とし、異なる係数を用いてもよい。
【0019】
次に、図6において、V_min_0は車速値102がV_max_iを下回ってからτまでの間に車速値102が下回るかどうかの判定車速値であり、移動体の車輌依存で設定される値である。
図6ではV_min_0は0.2[km/h]に設定する。
判定車速値V_min_0は、第二種の第二の車速閾値の例である。
【0020】
上記から、車輪ロックの発生検出条件を以下のように設定する。
(1)車速値102が単調減少してV_max_iを下回った時から、k・τの間にV_min_i以下に単調減少した時
(2)車速値102が単調減少してV_max_iを下回った時から、τの間にV_min_0以下に単調減少した時
上記の条件(1)または(2)を満たした時点で、車速値変化監視処理部3は、車輪ロックが発生したと判断する。
【0021】
次に、車速値変化監視処理部3において、車輪ロックからの復帰を検出する詳細方法について、説明する。
【0022】
上記の車輪ロックの発生検出条件が満たされた後で、車輪ロックから復帰したことを検出する条件を以下のように設定する。
(3)車速値102が車輪ロック検出時の判定車速値V_min_iを越えてからk・τ経過した時(車輪ロックの検出時に上記条件(1)を満たした場合)
(4)車速値102がV_min_0を越えてからτ経過した時(車輪ロックの検出時に上記条件(2)を満たした場合)
(5)車速値補間処理部4において、車輪ロックによる車速値102の減少を補間した補間後車速値104が補間前の車速値102より小さくなった時
(6)図5及び図6における車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過した時
上記の条件(3)〜(6)のどれかを満たした時点で、車輪ロックから復帰したと判断する。尚、図5及び図6ではT_maxは3.0[sec]に設定する。
【0023】
車速値変化監視処理部3は、上記の条件を満たすかどうかを、車速値算出部2から入力される車速値102の変化をリアルタイムに常時監視することで、車輪ロックの発生および車輪ロックが継続していることを検出し、その間は車輪ロック検出信号103を出力する。
【0024】
車速値補間処理部4は、車速値算出部2から入力される車速値102と、車速値変化監視処理部3から入力される車輪ロック検出信号103を取り込み、車輪ロック検出信号103が有効になっている間、車速値102を補間し、補間後車速値104を出力する。
ここで、車速値補間処理部4は、次の式(1)により、車速値102を補間し、補間後車速値104を算出する。
【0025】
Vc(t)=V(t0)+A・(t−t0),A<0(固定値) 式(1)
【0026】
ここで、Vc(t)は時刻t[sec]における補間後の車速値[km/h]、t0は車輪ロック発生を検出した時刻[sec]、V(t0)は車輪ロック発生検出時に記録されている車速値[km/h]、Aは車速補間時の傾き[(km/h)/sec]である。
図7は、実施の形態1の車速値補間処理部4による車速値補間結果の一例を示す図である。
図7では、Aは−0.5[km/h]に設定する。
図7に示すように、車速値補間処理部4は、車輪ロックが発生して、車速値算出部2で車輌の正確な車速を算出できない間に、車輌の車速値を上記の式(1)により推測して、補間後車速値として推測航法計算部6に出力する。
なお、車輪ロックが発生していない場合は、車速値補間処理部4は、車速値補間を行わずに、車速値算出部2により算出された車速値を推測航法計算部6に出力する。
【0027】
推測航法計算部6は、車速値補間処理部4から入力される車速値104(通常時)又は補間後車速値104(車輪ロック発生時)と、ジャイロセンサ5から入力される移動体の旋回角速度106と、初期位置/前回位置105を取り込み、推測航法計算結果107を算出する。
推測航法計算は、図8に示すように、初期位置/前回位置105を(Xi,Yi)とすると、方位角θi、補間後車速値104をViとすると、ΔT[sec]後の時刻の位置(Xi+1,Yi+1)および方位角θi+1は次の式(2)〜(4)により算出できる。
【0028】
Xi+1=Xi+ΔT×Vi×COS(θi) 式(2)
Yi+1=Yi+ΔT×Vi×SIN(θi) 式(3)
θi+1=θi+ΔT×(ωi+1+ωi)/2 式(4)
【0029】
ここで、ωiおよびωi+1はその時刻での旋回角速度106である。
推測航法計算部6により算出された推測航法計算結果107は測位結果出力処理部7に入力され、適切な出力フォーマットに変換されて、測位結果108を出力する。
【0030】
次に、車速値変化監視処理部3による車輪ロック検出処理、及び車速値補間処理部4による車速値補間処理の詳細を図9〜図11のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
図9において、車速値変化監視処理部3は、ステップS101以降の処理を周期的に行う。
先ず、車速値変化監視処理部3は、車速値算出部2により算出された車速の算出値を今回値として入力する(S101)。また、車速値変化監視処理部3は、車速値算出部2から今回値の算出時刻も併せて入力する。
次に、車速値変化監視処理部3は、入力した今回値と記憶している前回値とを比較する(S102)。前回値とは、一つ前の周期において車速値算出部2から入力した車速値であり、後述するステップS109において記憶した車速値である。
次に、車速値変化監視処理部3は今回値と前回値との比較の結果、車輌が減速しているか否かを判断する(S103)。
ステップS103の判断において、減速していない場合、すなわち、前回値と今回値とが同じであり速度に変化がない場合、または今回値が前回値より大きく車輌が加速している場合(S103でNo)は、現在、車速値変化監視処理部3がロック検出モードであるか否かを判断する(S104)。ロック検出モードとは、車速値変化監視処理部3が車輌の車輪ロック検出条件(1)、(2)を適用して車輪ロックを検出可能な状態をいう。
【0032】
ステップS104の判断において、車速値変化監視処理部3がロック検出モードである場合(S104でYes)は、現在車輌は加速中又は等速で走行しているため、車輪ロックが発生する可能性がなく、車速値変化監視処理部3はロック検出モードを解除し(S106)、ステップS107に移行する。
他方、ステップS104の判断において、車速値変化監視処理部3がロック検出モードでない場合(S104でNo)は、車速値変化監視処理部3は、次に、現在、車速値変化監視処理部3が補間モードであるか否かを判断する(S105)。補間モードとは、車輪ロックが検出された後、車速値変化監視処理部3が車速値補間処理部4に対して車速値の補間を指示する車輪ロック検出信号103を出力し、車速値補間処理部4が車輪ロックが継続している間の現実の車速を推定し、推定した速度(補間後車速値)を推測航法計算部6に出力する状態をいう。
【0033】
ステップS105の判断において、車速値変化監視処理部3が補間モードである場合(S105でYes)は、車速値変化監視処理部3は、ステップS120に移行する。ステップS120以降の処理については、後述する。
一方、ステップS105の判断において、車速値変化監視処理部3が補間モードでない場合(S105でNo)は、車速値変化監視処理部3は、次に、今回値を車速値補間処理部4に出力し、車速値補間処理部4が今回値を推測航法計算部6に出力する(S107)。
次に、車速値変化監視処理部3は、今回値をV(t0)として記憶し、また、今回値の算出時刻をt0として記憶する。V(t0)は、車速値補間処理部4が車速値の補間を行う際の基準となる車速値であり、t0は、車速値補間処理部4が車速値の補間を行う際の基準となる時刻である。
また、車速値変化監視処理部3は、今回値を前回値として記憶し(S109)、ステップS101に処理を戻す。
なお、車速値変化監視処理部3は、今回値を前回値として記憶する他に、一定期間の間、車速値算出部2から入力した車速値を記憶し、一定期間分の車速値の履歴を管理している。
【0034】
また、ステップS103の判断において、車輌が減速していると判断した場合(S103でYes)は、車速値変化監視処理部3は、現在、車速値変化監視処理部3がロック検出モードであるか否かを判断し(S110)、車速値変化監視処理部3がロック検出モードである場合(S110でYes)は、ステップS115に処理を移行する。ステップS115以降の処理については後述する。
ステップS110の判断において、車速値変化監視処理部3がロック検出モードでない場合(S110でNo)は、現在、車速値変化監視処理部3が補間モードであるか否かを判断し(S111)、補間モードである場合は、ステップS120に処理を移行する。
他方、補間モードでない場合(S111でNo)は、車速値変化監視処理部3は、前回値から今回値への車速値の変化がいずれかのV_max_iをまたぐか否かを判断する(S112)。すなわち、前回値から今回値への車速値の変化が15km/hから6km/hの間のいずれかの値をまたぐかを判断する。
ステップS112の判断において、前回値から今回値への車速値の変化がいずれのV_max_iもまたがない場合(S112でNo)は、車速値変化監視処理部3はS107に処理を移行する。
他方、前回値から今回値への車速値の変化がいずれかのV_max_iをまたぐ場合(S112でYes)は、またいだV_max_iのうちの最大値をV_max_Lとする(S113)。このV_max_Lは、車輪ロックを検出する際の基準となる車速値であり、V_min_L=k・V_max_Lとなる。
次に、車速値変化監視処理部3は、現在の状態をロック検出モードとし、V_max_Lの値、今回値の算出時刻tを記憶する(S114)。
【0035】
ステップS110の判断において、車速値変化監視処理部3は現在ロック検出モードであると判断した場合(S110でYes)は、車速値がk・τ以内にV_min_L以下になったかを判断する(S115)。この判断は、条件(1)の判断に対応する。
k・τの始点となる時刻は、ステップS114で記憶した時刻tであり、この時刻tからk・τ以内に、今回値がV_min_L(=k・V_max_L)以下になったかを判断する。
ステップS115の判断において、車速値がk・τ以内にV_min_L以下になっていない場合(S115でNo)は、車速値変化監視処理部3は次に、車速値がτ以内にV_min_0以下になったかを判断する(S116)。この判断は、条件(2)の判断に対応する。
τの始点となる時刻は、ステップS114で記憶した時刻tであり、この時刻tからτ以内に、今回値がV_min_0以下になったかを判断する。
ステップS116の判断において、車速値がτ以内にV_min_0以下になっていない場合は、車輪ロックが発生していないとみなし、車速値変化監視処理部3はステップS107に処理を移す(S117)。
【0036】
他方、ステップS115又はS116の判断において、条件を満たす場合(S115又はS116でYes)は、車速値変化監視処理部3は車輪ロックが発生したと判定し(S118)、補間モードに移行する(S119)。なお、車速値変化監視処理部3は、補間モードの間は、車輪ロック検出信号103を継続して車速値補間処理部4に出力する。
また、車速値変化監視処理部3は、補間モードに移行する条件が条件(1)、条件(2)のいずれであるのかを記憶する。更に、車速値変化監視処理部3は、車輪ロックを検出した時刻を記憶する。
車速値変化監視処理部3が補間モードに移行し、車輪ロック検出信号103が車速値補間処理部4に出力されると、車速値補間処理部4は補間後車速値Vc(t)を算出し、推測航法計算部6に出力する(S125)。補間後車速値Vc(t)は、式(1)に従って算出される。
Vc(t)=V(t0)+A・(t−t0),A<0(固定値) 式(1)
ここで、V(t0)は、ステップS108で記憶された車速値であり、t0は、ステップS108で記憶された時刻である。このV(t0)は、車輪ロックが検出される直前の周期で車速値変化監視処理部3が車速値算出部2から入力した車速値(車輪ロックが発生する直前の車速値)であり、車速値補間処理部4は、この車速値を基準にして補間後車速値Vc(t)を算出する。
車速値補間処理部4が補間後車速値Vc(t)を算出し、推測航法計算部6に出力すると、車速値変化監視処理部3が、車速値算出部2から入力した今回値を前回値として記憶する(S129)。
その後、車速値変化監視処理部3はステップS101へ処理を戻す。
【0037】
一方、車輌が減速しているか否かに関わらず、車速値変化監視処理部3が補間モードである場合(S105又はS111でYes)は、車速値変化監視処理部3は、補間モードに移行した条件が条件(1)であったのか、条件(2)であったのかを判断する(S120)。
条件(1)であった場合は、車速値変化監視処理部3は、車速がV_min_Lを上回ってからk・τを経過しているか否かを判断する(S121)。これは条件(3)の判断に対応する。
車速がV_min_Lを上回ってからk・τを経過しているか否かの判断は、例えば、補間モードに移行後車速値が初めてV_min_Lを上回った時刻を記憶しておき、今回値がV_min_Lを上回っているか否か、今回値の算出時刻が、初めてV_min_Lを上回った時刻からk・τ以上経過した後の時刻であるか否かを判断することにより行う。
車速がV_min_Lを上回ってからk・τを経過している場合は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止する。
そして、車速値変化監視処理部3は今回値を車速値補間処理部4に出力し、車速値補間処理部4が今回値を推測航法計算部6に出力する(S127)。
その後、車速値変化監視処理部3は今回値をV(t0)として記憶し、また、今回値の時刻をt0として記憶する(S128)。
更に、車速値変化監視処理部3は今回値を前回値として記憶し(S129)、ステップS101に処理を移す(S130)。
【0038】
一方、ステップS120の判断において、条件(2)であると判断した場合は、車速値変化監視処理部3は、車速がV_min_0を上回ってからτを経過しているか否かを判断する(S121)。これは条件(4)の判断に対応する。
車速がV_min_0を上回ってからτを経過しているか否かの判断は、例えば、補間モードに移行後車速値が初めてV_min_0を上回った時刻を記憶しておき、今回値がV_min_0を上回っているか否か、今回値の算出時刻が、初めてV_min_0を上回った時刻からτ以上経過した後の時刻であるか否かを判断することにより行う。
車速がV_min_0を上回ってからτを経過している場合は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止し、ステップS127以降の処理を行う。
【0039】
ステップS121又はS122の判断において、条件を満たさない場合(S121又はS122でNo)は、車速値変化監視処理部3は、補間後車速値が補間前車速値よりも小さいか否かを判断する(S123)。この判断は、条件(5)の判断に対応する。
補間後車速値が補間前車速値よりも小さいとは、図7に示す状態であり、図7の補間後車速値は右端において補間前車速値(車速値算出部2により算出された車速値)よりも小さくなっており、この時点で、車輪ロックから回復したと判断して車速値の補間を終了する。
補間後車速値が補間前車速値よりも小さい場合(S123でYes)は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止し、ステップS127以降の処理を行う。
他方、補間後車速値が補間前車速値よりも小さくない場合(S123でNo)は、車速値変化監視処理部3は、車輪ロックが発生してからの時間が、車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過したか否かを判断する(S124)。この判断は、条件(6)の判断に対応する。
具体的には、車速値変化監視処理部3は、ステップS118にて記憶した車輪ロック発生時刻からの経過時間が、T_maxを超えているか否かを判断する。
【0040】
車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過している場合(S124でYes)は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止し、ステップS127以降の処理を行う。
他方、車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過していない場合(S124でNo
)は、条件(3)〜(6)のいずれにも合致しないので、補間モードを継続し、車速値補間処理部4がVc(t)を算出し、推測航法計算部6へ出力し(S125)、車速値変化監視処理部3は、ステップS129以降の処理を行う。
【0041】
このように、本実施の形態に係る測位装置によれば、車輪ロックによる車速値102の急激な減少を補間した、補間後車速値104を用いて推測航法を行うことができ、車輪ロックによる推測航法計算の精度劣化を抑制することが可能である。
【0042】
以上、本実施の形態では、移動体の車速値の変化を常時監視し、車速値の変化が一定の条件を満たすことを検出することで、車輪ロックが発生したと認識する測位装置について説明した。
また、本実施の形態では、車輪ロックが発生したと認識してから、車輪ロックが継続していることを検出し、その間の車速値を補間する測位装置について説明した。
また、本実施の形態では、補間した車速値と旋回角速度を用いて推測航法を行い、移動体の測位結果を出力する測位装置について説明した。
また、本実施の形態では、補間した車速値および旋回角速度を出力する測位装置について説明した。
【0043】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2における測位装置13の構成図である。
図2において、測位装置13はデータ受信部12と推測航法計算部6と測位結果出力処理部7とを備える。
また、測位装置13は、図3に示す単一または複数の測位装置11からの補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300を、例えば無線LAN等でデータ受信する機能を有する。
測位装置13は、推測航法計算装置の例である。
なお、測位装置11は、それぞれ別の移動体に搭載されており、また、測位装置13は、移動体に搭載されていない。
次に、図3における測位装置11の構成について以下に説明する。
【0044】
図3において、測位装置11は車速パルス入力部1と車速値算出部2と車速値変化監視処理部3と車速値補間処理部4とジャイロセンサ5と補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9とデータ送信部10とを備える。
このうち、車速パルス入力部1と車速値算出部2と車速値変化監視処理部3と車速値補間処理部4とジャイロセンサ5は、実施の形態1における測位装置8と同じものである為、説明は割愛する。
【0045】
補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9は、車速値補間処理部4から入力される補間後車速値104と、ジャイロセンサ5から入力される移動体の旋回角速度106と、初期位置200を取り込み、補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201を生成し、出力する。
なお、実施の形態1と同様、車輪ロックが発生していない場合は、車速値補間処理部4は、車速値補間を行わずに、車速値算出部2により算出された車速値を補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9に出力する。そして、補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9は、車輪ロックが発生していない場合は、車速値算出部2により算出された車速値と、ジャイロセンサ5から入力される移動体の旋回角速度106と、初期位置200を取り込み、車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201を生成し、出力する。
【0046】
データ送信部10は、補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9から入力される車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201(車輪ロック発生時)を取り込み、車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(車輪ロック発生時)を、例えば無線LAN等によりデータ伝送する。
このように、データ送信部は、車輌の推測航法計算を行う測位装置13(推測航法計算装置)に対して、車輪ロックが発生したと判定される前は、車速値算出部2により算出された車速値を送信し、車輪ロックが発生したと判定された後、車輪ロック発生中は、車速値補間処理部4により推定された補間後車速値を送信する。
【0047】
次に、図2に示す、実施の形態2における測位装置13の動作について説明する。
【0048】
図2において、データ受信部12は、測位装置11から無線LAN等でデータ伝送された車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(車輪ロック発生時)を受信し、車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(車輪ロック発生時)を出力する。
【0049】
推測航法計算部6は、データ受信部12から入力される車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(車輪ロック発生時)と前回位置302を取り込み、推測航法計算結果107を算出する。推測航法計算の詳細は前述の為、割愛する。
【0050】
測位結果出力処理部7は、推測航法計算部6から入力された推測航法計算結果107を取り込み、適切な出力フォーマットに変換し、測位結果(単一/複数)303を出力する。
【0051】
このように、実施の形態2における測位装置13は、測位装置11が複数存在する場合に、測位装置13の一箇所でそれぞれの測位装置11が搭載された移動体の位置を算出することができ、一括処理を行うことができるという利点がある。
一方、実施の形態1における測位装置8は、実施の形態2における測位装置13のように、複数の移動体の位置を一括処理する必要がない場合に適しており、推測航法計算処理を各々の測位装置8で実施することで、処理負荷を分散させる利点がある。
これらの実施の形態1、2は、適用する移動体測位システムに応じて、使い分けることが有効である。
【0052】
以上、本実施の形態では、単一または複数の測位装置により出力された車速値および旋回角速度を用いて推測航法を行い、移動体の測位結果を算出する測位装置について説明した。
【0053】
最後に、実施の形態1、2に示した測位装置8、11、13のハードウェア構成例について説明する。
図12は、実施の形態1、2に示す測位装置8、11、13のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図12の構成は、あくまでも測位装置8、11、13のハードウェア構成の一例を示すものであり、測位装置8、11、13のハードウェア構成は図12に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0054】
図12において、測位装置8、11、13は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904などは、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901などは、出力装置の一例である。
【0055】
通信ボード915は、ネットワークに接続されている。例えば、通信ボード915は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、無線LANを経由してのインターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0056】
上記プログラム群923には、実施の形態1、2の説明において「〜部」として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0057】
ファイル群924には、実施の形態1、2の説明において、「〜の判断」、「〜の計算」、「〜の比較」、「〜の判定」、「〜の更新」、「〜の設定」、「〜の登録」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、実施の形態1、2で説明しているフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0058】
また、実施の形態1、2の説明において「〜部」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、実施の形態1、2の「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、実施の形態1、2の「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0059】
このように、実施の形態1、2に示す測位装置8、11、13は、処理装置たるCPU、記憶装置たるメモリ、磁気ディスク等、入力装置たるキーボード、マウス、通信ボード等、出力装置たる表示装置、通信ボード等を備えるコンピュータであり、上記したように「〜部」として示された機能をこれら処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を用いて実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明における実施の形態1の測位装置の構成図である。
【図2】この発明における実施の形態2の測位装置の構成図である。
【図3】この発明における実施の形態2のデータ送信元の測位装置の構成図である。
【図4】車輪ロックによる車速値の変化の一例を示す図である。
【図5】この発明における実施の形態1および2の車速値変化監視処理部の監視条件の一例を示す図である。
【図6】この発明における実施の形態1および2の車速値変化監視処理部の監視条件の一例を示す図である。
【図7】この発明における実施の形態1および2の車速値補間処理部による車速値補間結果の一例を示す図である。
【図8】推測航法計算の一例を示す図である。
【図9】この発明における実施の形態1および2の測位装置の動作例を示すフローチャート図である。
【図10】この発明における実施の形態1および2の測位装置の動作例を示すフローチャート図である。
【図11】この発明における実施の形態1および2の測位装置の動作例を示すフローチャート図である。
【図12】この発明における実施の形態1および2の測位装置のハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 車速パルス入力部、2 車速値算出部、3 車速値変化監視処理部、4 車速値補間処理部、5 ジャイロセンサ、6 推測航法計算部、7 測位結果出力処理部、8 測位装置、9 補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部、10 データ送信部、11 測位装置、12 データ受信部、13 測位装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置測位において、GPS(Global PosItioning System)測位、車速値・旋回角速度等を用いた推測航法測位およびGPS測位と推測航法測位を組合わせた測位装置全般に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体測位において、GPS測位装置を用いる場合、建物等の構造物が上空を遮るような、GPS測位環境が悪い場所では、GPS測位環境に左右されない、移動体の旋回角速度と車速値を用いた推測航法による測位を行い、GPS測位を補完することが多い。
【0003】
推測航法の精度は、旋回角速度と車速値の精度に左右されるため、推測航法の精度を上げるために、旋回角速度と車速値の精度を上げることが必要であった。
【0004】
特許文献1には、GPS測位により得られる速度と車速値を比較し、車速パルスの抜けを検出する装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−333452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体の車速値と旋回角速度を用いた推測航法を行うにあたり、車速値は移動体の車輪の回転数から得られる車速パルス数をカウントして求めることが一般的であるが、鉄道などの移動体では、減速時に車輪がロックすることがあり、実際に移動体は走行していても、ロック中は車速パルス数がゼロまたは減少し、車速値がゼロまたは減少することがある。
この為、推測航法時に車輪ロックが発生すると、車速値が実際の値と比べて小さくなる為、推測航法時に進行距離が小さくなり、その結果、推測航法の精度が大きく劣化する問題があった。
【0006】
車輪ロックの検出に、GPS測位により得られる速度と車速値を比較し、車輪ロックによる車速値がゼロまたは減少した時に、GPS測位により得られる速度で車速値を補間することができるが、建物等の構造物が上空を遮るような、GPS測位環境が悪い場所では、GPS測位により得られる速度の精度が劣化、または得られないことがあるため、車輪ロックの検出および車速値の補間が適切に行われない場合がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決することを主な目的の一つとしており、車輌における車輪ロックの発生を早期に検知するとともに、GPS測位ができない状況でも車輪ロック発生中の車輌の車速値を精度よく推定することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、
車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出部と、
前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車速値の変化状況を監視し、車速値が第一の車速閾値を下回ってから短時間で第二の車速閾値を下回った際に車輪ロックが発生したと判定するため、車輪ロックの発生を早期に検知することができ、また、車輪ロック発生前の車速値と車輪ロック発生からの経過時間に基づき車輪ロック発生中の車速値を推定するため、GPS測位ができない状況でも、精度よく車輪ロック発生中の車速値を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における測位装置8の構成図である。
図1において、測位装置8は、車速パルス入力部1と車速値算出部2と車速値変化監視処理部3と車速値補間処理部4とジャイロセンサ5と推測航法計算部6と測位結果出力処理部7とを備える。
【0011】
車速パルス入力部1は移動体から入力される車速パルス(アナログ値)100を取り込み、車速パルス(アナログ値)100のパルス数をカウントすることで、車速パルス(デジタル値)101へ変換し、車速パルス(デジタル値)101を車速値算出部2へ出力する。
【0012】
車速値算出部2は、車速パルス入力部1から入力される車速パルス(デジタル値)101を取り込み、取り込んだ車速パルス(デジタル値)101に移動体の車輌依存の定数を乗じることで車速値102を算出する。
車速値算出部2により行われる処理が、車速値算出ステップに相当する。
【0013】
車速値変化監視処理部3は、車速値算出部2から入力される車速値102の変化をリアルタイムに常時監視することで、車輪ロックの発生および車輪ロックが継続していることを検出し、その間は車輪ロック検出信号103を出力する。
車速値変化監視処理部3は、概説すると、車速値算出部2により算出された車輌の車速値の変化状況を監視し、車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、車輌において車輪ロックが発生したと判定する。
また、車速値変化監視処理部3は、車輌において車輪ロックが発生したと判定した後、車速値算出部2により算出された車輌の車速値が第二の車速閾値を上回ってから所定時間を経過した際に、車輌における車輪ロックが解消したと判断する。
車速値変化監視処理部3は、車速値監視部の例である。
また、車速値変化監視処理部3により行われる処理が、車速値監視ステップに相当する。
【0014】
車速値補間処理部4は、車速値変化監視処理部3により車輌において車輪ロックが発生したと判定された場合に、車輪ロック発生前に車速値算出部2により算出された車輌の車速値と車輪ロック発生からの経過時間とに基づいて、車輪ロック発生中の車輌の車速値を推定する。
車速値補間処理部4は、車速値推定部の例である。
【0015】
以下にて、車速値変化監視処理部3において、車輪ロックの発生および車輪ロックからの復帰を検出する方法について詳細に説明する。
【0016】
図4は、車輪ロックによる車速値102の変化の一例を示す図である。
図4に示すように、車輪ロックには、車輪ロックの結果、車速値102がゼロまで落ち込まないパターン1と、車速値102がゼロを示すパターン2が存在することが分かっている。
これらの両方のパターンについて、車輪ロックの発生を検出することが必要である。
次に、車速値変化監視処理部3において、車輪ロックの発生を検出する詳細方法について、説明する。
【0017】
図5及び図6は、実施の形態1の車速値変化監視処理部3の監視条件の一例を示す図である。
図5は、パターン1の場合の車速値変化監視処理部3の監視条件の一例を示し、図6は、パターン2の場合の車速値変化監視処理部3の監視条件の一例を示す。
説明の簡明のため、パターン1の監視条件、パターン2の監視条件を区別して説明しているが、車速値変化監視処理部3は監視条件として両者を併せ持つ。
【0018】
先ず、図5に示す各記号の意味について説明する。
V_max_iは車輪ロックにより車速値102が単調減少しながら下回るかどうかの判定車速値で、図5では6〜15[km/h]まで1[km/h]毎に設定する。判定車速値V_max_iは、第一の車速閾値の例である。
V_min_iは車速値102がV_max_iを下回ってからk・τまでの間に車速値102が下回るかどうかの判定車速値で、V_min_i=k・V_max_iの関係がある。判定車速値V_min_iは、第一種の第二の車速閾値の例である。
このように、V_max_iは複数段階となっており、また、V_min_iもV_max_iに対応して複数段階となっている。
k・τ(k<1、τは任意の秒数)は車速値102がV_max_iを下回ってからV_min_i以下になるかどうかの制限時間である。図5では、kは0.5、τは1.0[sec]に設定する。
なお、図5の例では、制限時間k・τ、判定車速値V_min_i=k・V_max_iの両者において、同じ係数kを用いているが、例えば、制限時間をn・τ(nはk以外の値であって、n<1)とし、異なる係数を用いてもよい。
【0019】
次に、図6において、V_min_0は車速値102がV_max_iを下回ってからτまでの間に車速値102が下回るかどうかの判定車速値であり、移動体の車輌依存で設定される値である。
図6ではV_min_0は0.2[km/h]に設定する。
判定車速値V_min_0は、第二種の第二の車速閾値の例である。
【0020】
上記から、車輪ロックの発生検出条件を以下のように設定する。
(1)車速値102が単調減少してV_max_iを下回った時から、k・τの間にV_min_i以下に単調減少した時
(2)車速値102が単調減少してV_max_iを下回った時から、τの間にV_min_0以下に単調減少した時
上記の条件(1)または(2)を満たした時点で、車速値変化監視処理部3は、車輪ロックが発生したと判断する。
【0021】
次に、車速値変化監視処理部3において、車輪ロックからの復帰を検出する詳細方法について、説明する。
【0022】
上記の車輪ロックの発生検出条件が満たされた後で、車輪ロックから復帰したことを検出する条件を以下のように設定する。
(3)車速値102が車輪ロック検出時の判定車速値V_min_iを越えてからk・τ経過した時(車輪ロックの検出時に上記条件(1)を満たした場合)
(4)車速値102がV_min_0を越えてからτ経過した時(車輪ロックの検出時に上記条件(2)を満たした場合)
(5)車速値補間処理部4において、車輪ロックによる車速値102の減少を補間した補間後車速値104が補間前の車速値102より小さくなった時
(6)図5及び図6における車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過した時
上記の条件(3)〜(6)のどれかを満たした時点で、車輪ロックから復帰したと判断する。尚、図5及び図6ではT_maxは3.0[sec]に設定する。
【0023】
車速値変化監視処理部3は、上記の条件を満たすかどうかを、車速値算出部2から入力される車速値102の変化をリアルタイムに常時監視することで、車輪ロックの発生および車輪ロックが継続していることを検出し、その間は車輪ロック検出信号103を出力する。
【0024】
車速値補間処理部4は、車速値算出部2から入力される車速値102と、車速値変化監視処理部3から入力される車輪ロック検出信号103を取り込み、車輪ロック検出信号103が有効になっている間、車速値102を補間し、補間後車速値104を出力する。
ここで、車速値補間処理部4は、次の式(1)により、車速値102を補間し、補間後車速値104を算出する。
【0025】
Vc(t)=V(t0)+A・(t−t0),A<0(固定値) 式(1)
【0026】
ここで、Vc(t)は時刻t[sec]における補間後の車速値[km/h]、t0は車輪ロック発生を検出した時刻[sec]、V(t0)は車輪ロック発生検出時に記録されている車速値[km/h]、Aは車速補間時の傾き[(km/h)/sec]である。
図7は、実施の形態1の車速値補間処理部4による車速値補間結果の一例を示す図である。
図7では、Aは−0.5[km/h]に設定する。
図7に示すように、車速値補間処理部4は、車輪ロックが発生して、車速値算出部2で車輌の正確な車速を算出できない間に、車輌の車速値を上記の式(1)により推測して、補間後車速値として推測航法計算部6に出力する。
なお、車輪ロックが発生していない場合は、車速値補間処理部4は、車速値補間を行わずに、車速値算出部2により算出された車速値を推測航法計算部6に出力する。
【0027】
推測航法計算部6は、車速値補間処理部4から入力される車速値104(通常時)又は補間後車速値104(車輪ロック発生時)と、ジャイロセンサ5から入力される移動体の旋回角速度106と、初期位置/前回位置105を取り込み、推測航法計算結果107を算出する。
推測航法計算は、図8に示すように、初期位置/前回位置105を(Xi,Yi)とすると、方位角θi、補間後車速値104をViとすると、ΔT[sec]後の時刻の位置(Xi+1,Yi+1)および方位角θi+1は次の式(2)〜(4)により算出できる。
【0028】
Xi+1=Xi+ΔT×Vi×COS(θi) 式(2)
Yi+1=Yi+ΔT×Vi×SIN(θi) 式(3)
θi+1=θi+ΔT×(ωi+1+ωi)/2 式(4)
【0029】
ここで、ωiおよびωi+1はその時刻での旋回角速度106である。
推測航法計算部6により算出された推測航法計算結果107は測位結果出力処理部7に入力され、適切な出力フォーマットに変換されて、測位結果108を出力する。
【0030】
次に、車速値変化監視処理部3による車輪ロック検出処理、及び車速値補間処理部4による車速値補間処理の詳細を図9〜図11のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
図9において、車速値変化監視処理部3は、ステップS101以降の処理を周期的に行う。
先ず、車速値変化監視処理部3は、車速値算出部2により算出された車速の算出値を今回値として入力する(S101)。また、車速値変化監視処理部3は、車速値算出部2から今回値の算出時刻も併せて入力する。
次に、車速値変化監視処理部3は、入力した今回値と記憶している前回値とを比較する(S102)。前回値とは、一つ前の周期において車速値算出部2から入力した車速値であり、後述するステップS109において記憶した車速値である。
次に、車速値変化監視処理部3は今回値と前回値との比較の結果、車輌が減速しているか否かを判断する(S103)。
ステップS103の判断において、減速していない場合、すなわち、前回値と今回値とが同じであり速度に変化がない場合、または今回値が前回値より大きく車輌が加速している場合(S103でNo)は、現在、車速値変化監視処理部3がロック検出モードであるか否かを判断する(S104)。ロック検出モードとは、車速値変化監視処理部3が車輌の車輪ロック検出条件(1)、(2)を適用して車輪ロックを検出可能な状態をいう。
【0032】
ステップS104の判断において、車速値変化監視処理部3がロック検出モードである場合(S104でYes)は、現在車輌は加速中又は等速で走行しているため、車輪ロックが発生する可能性がなく、車速値変化監視処理部3はロック検出モードを解除し(S106)、ステップS107に移行する。
他方、ステップS104の判断において、車速値変化監視処理部3がロック検出モードでない場合(S104でNo)は、車速値変化監視処理部3は、次に、現在、車速値変化監視処理部3が補間モードであるか否かを判断する(S105)。補間モードとは、車輪ロックが検出された後、車速値変化監視処理部3が車速値補間処理部4に対して車速値の補間を指示する車輪ロック検出信号103を出力し、車速値補間処理部4が車輪ロックが継続している間の現実の車速を推定し、推定した速度(補間後車速値)を推測航法計算部6に出力する状態をいう。
【0033】
ステップS105の判断において、車速値変化監視処理部3が補間モードである場合(S105でYes)は、車速値変化監視処理部3は、ステップS120に移行する。ステップS120以降の処理については、後述する。
一方、ステップS105の判断において、車速値変化監視処理部3が補間モードでない場合(S105でNo)は、車速値変化監視処理部3は、次に、今回値を車速値補間処理部4に出力し、車速値補間処理部4が今回値を推測航法計算部6に出力する(S107)。
次に、車速値変化監視処理部3は、今回値をV(t0)として記憶し、また、今回値の算出時刻をt0として記憶する。V(t0)は、車速値補間処理部4が車速値の補間を行う際の基準となる車速値であり、t0は、車速値補間処理部4が車速値の補間を行う際の基準となる時刻である。
また、車速値変化監視処理部3は、今回値を前回値として記憶し(S109)、ステップS101に処理を戻す。
なお、車速値変化監視処理部3は、今回値を前回値として記憶する他に、一定期間の間、車速値算出部2から入力した車速値を記憶し、一定期間分の車速値の履歴を管理している。
【0034】
また、ステップS103の判断において、車輌が減速していると判断した場合(S103でYes)は、車速値変化監視処理部3は、現在、車速値変化監視処理部3がロック検出モードであるか否かを判断し(S110)、車速値変化監視処理部3がロック検出モードである場合(S110でYes)は、ステップS115に処理を移行する。ステップS115以降の処理については後述する。
ステップS110の判断において、車速値変化監視処理部3がロック検出モードでない場合(S110でNo)は、現在、車速値変化監視処理部3が補間モードであるか否かを判断し(S111)、補間モードである場合は、ステップS120に処理を移行する。
他方、補間モードでない場合(S111でNo)は、車速値変化監視処理部3は、前回値から今回値への車速値の変化がいずれかのV_max_iをまたぐか否かを判断する(S112)。すなわち、前回値から今回値への車速値の変化が15km/hから6km/hの間のいずれかの値をまたぐかを判断する。
ステップS112の判断において、前回値から今回値への車速値の変化がいずれのV_max_iもまたがない場合(S112でNo)は、車速値変化監視処理部3はS107に処理を移行する。
他方、前回値から今回値への車速値の変化がいずれかのV_max_iをまたぐ場合(S112でYes)は、またいだV_max_iのうちの最大値をV_max_Lとする(S113)。このV_max_Lは、車輪ロックを検出する際の基準となる車速値であり、V_min_L=k・V_max_Lとなる。
次に、車速値変化監視処理部3は、現在の状態をロック検出モードとし、V_max_Lの値、今回値の算出時刻tを記憶する(S114)。
【0035】
ステップS110の判断において、車速値変化監視処理部3は現在ロック検出モードであると判断した場合(S110でYes)は、車速値がk・τ以内にV_min_L以下になったかを判断する(S115)。この判断は、条件(1)の判断に対応する。
k・τの始点となる時刻は、ステップS114で記憶した時刻tであり、この時刻tからk・τ以内に、今回値がV_min_L(=k・V_max_L)以下になったかを判断する。
ステップS115の判断において、車速値がk・τ以内にV_min_L以下になっていない場合(S115でNo)は、車速値変化監視処理部3は次に、車速値がτ以内にV_min_0以下になったかを判断する(S116)。この判断は、条件(2)の判断に対応する。
τの始点となる時刻は、ステップS114で記憶した時刻tであり、この時刻tからτ以内に、今回値がV_min_0以下になったかを判断する。
ステップS116の判断において、車速値がτ以内にV_min_0以下になっていない場合は、車輪ロックが発生していないとみなし、車速値変化監視処理部3はステップS107に処理を移す(S117)。
【0036】
他方、ステップS115又はS116の判断において、条件を満たす場合(S115又はS116でYes)は、車速値変化監視処理部3は車輪ロックが発生したと判定し(S118)、補間モードに移行する(S119)。なお、車速値変化監視処理部3は、補間モードの間は、車輪ロック検出信号103を継続して車速値補間処理部4に出力する。
また、車速値変化監視処理部3は、補間モードに移行する条件が条件(1)、条件(2)のいずれであるのかを記憶する。更に、車速値変化監視処理部3は、車輪ロックを検出した時刻を記憶する。
車速値変化監視処理部3が補間モードに移行し、車輪ロック検出信号103が車速値補間処理部4に出力されると、車速値補間処理部4は補間後車速値Vc(t)を算出し、推測航法計算部6に出力する(S125)。補間後車速値Vc(t)は、式(1)に従って算出される。
Vc(t)=V(t0)+A・(t−t0),A<0(固定値) 式(1)
ここで、V(t0)は、ステップS108で記憶された車速値であり、t0は、ステップS108で記憶された時刻である。このV(t0)は、車輪ロックが検出される直前の周期で車速値変化監視処理部3が車速値算出部2から入力した車速値(車輪ロックが発生する直前の車速値)であり、車速値補間処理部4は、この車速値を基準にして補間後車速値Vc(t)を算出する。
車速値補間処理部4が補間後車速値Vc(t)を算出し、推測航法計算部6に出力すると、車速値変化監視処理部3が、車速値算出部2から入力した今回値を前回値として記憶する(S129)。
その後、車速値変化監視処理部3はステップS101へ処理を戻す。
【0037】
一方、車輌が減速しているか否かに関わらず、車速値変化監視処理部3が補間モードである場合(S105又はS111でYes)は、車速値変化監視処理部3は、補間モードに移行した条件が条件(1)であったのか、条件(2)であったのかを判断する(S120)。
条件(1)であった場合は、車速値変化監視処理部3は、車速がV_min_Lを上回ってからk・τを経過しているか否かを判断する(S121)。これは条件(3)の判断に対応する。
車速がV_min_Lを上回ってからk・τを経過しているか否かの判断は、例えば、補間モードに移行後車速値が初めてV_min_Lを上回った時刻を記憶しておき、今回値がV_min_Lを上回っているか否か、今回値の算出時刻が、初めてV_min_Lを上回った時刻からk・τ以上経過した後の時刻であるか否かを判断することにより行う。
車速がV_min_Lを上回ってからk・τを経過している場合は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止する。
そして、車速値変化監視処理部3は今回値を車速値補間処理部4に出力し、車速値補間処理部4が今回値を推測航法計算部6に出力する(S127)。
その後、車速値変化監視処理部3は今回値をV(t0)として記憶し、また、今回値の時刻をt0として記憶する(S128)。
更に、車速値変化監視処理部3は今回値を前回値として記憶し(S129)、ステップS101に処理を移す(S130)。
【0038】
一方、ステップS120の判断において、条件(2)であると判断した場合は、車速値変化監視処理部3は、車速がV_min_0を上回ってからτを経過しているか否かを判断する(S121)。これは条件(4)の判断に対応する。
車速がV_min_0を上回ってからτを経過しているか否かの判断は、例えば、補間モードに移行後車速値が初めてV_min_0を上回った時刻を記憶しておき、今回値がV_min_0を上回っているか否か、今回値の算出時刻が、初めてV_min_0を上回った時刻からτ以上経過した後の時刻であるか否かを判断することにより行う。
車速がV_min_0を上回ってからτを経過している場合は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止し、ステップS127以降の処理を行う。
【0039】
ステップS121又はS122の判断において、条件を満たさない場合(S121又はS122でNo)は、車速値変化監視処理部3は、補間後車速値が補間前車速値よりも小さいか否かを判断する(S123)。この判断は、条件(5)の判断に対応する。
補間後車速値が補間前車速値よりも小さいとは、図7に示す状態であり、図7の補間後車速値は右端において補間前車速値(車速値算出部2により算出された車速値)よりも小さくなっており、この時点で、車輪ロックから回復したと判断して車速値の補間を終了する。
補間後車速値が補間前車速値よりも小さい場合(S123でYes)は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止し、ステップS127以降の処理を行う。
他方、補間後車速値が補間前車速値よりも小さくない場合(S123でNo)は、車速値変化監視処理部3は、車輪ロックが発生してからの時間が、車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過したか否かを判断する(S124)。この判断は、条件(6)の判断に対応する。
具体的には、車速値変化監視処理部3は、ステップS118にて記憶した車輪ロック発生時刻からの経過時間が、T_maxを超えているか否かを判断する。
【0040】
車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過している場合(S124でYes)は、車速値変化監視処理部3は補間モードを解除し(S126)、車速値補間処理部4への車輪ロック検出信号103の出力を停止し、ステップS127以降の処理を行う。
他方、車輪ロック継続時間の最大値T_maxを経過していない場合(S124でNo
)は、条件(3)〜(6)のいずれにも合致しないので、補間モードを継続し、車速値補間処理部4がVc(t)を算出し、推測航法計算部6へ出力し(S125)、車速値変化監視処理部3は、ステップS129以降の処理を行う。
【0041】
このように、本実施の形態に係る測位装置によれば、車輪ロックによる車速値102の急激な減少を補間した、補間後車速値104を用いて推測航法を行うことができ、車輪ロックによる推測航法計算の精度劣化を抑制することが可能である。
【0042】
以上、本実施の形態では、移動体の車速値の変化を常時監視し、車速値の変化が一定の条件を満たすことを検出することで、車輪ロックが発生したと認識する測位装置について説明した。
また、本実施の形態では、車輪ロックが発生したと認識してから、車輪ロックが継続していることを検出し、その間の車速値を補間する測位装置について説明した。
また、本実施の形態では、補間した車速値と旋回角速度を用いて推測航法を行い、移動体の測位結果を出力する測位装置について説明した。
また、本実施の形態では、補間した車速値および旋回角速度を出力する測位装置について説明した。
【0043】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2における測位装置13の構成図である。
図2において、測位装置13はデータ受信部12と推測航法計算部6と測位結果出力処理部7とを備える。
また、測位装置13は、図3に示す単一または複数の測位装置11からの補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300を、例えば無線LAN等でデータ受信する機能を有する。
測位装置13は、推測航法計算装置の例である。
なお、測位装置11は、それぞれ別の移動体に搭載されており、また、測位装置13は、移動体に搭載されていない。
次に、図3における測位装置11の構成について以下に説明する。
【0044】
図3において、測位装置11は車速パルス入力部1と車速値算出部2と車速値変化監視処理部3と車速値補間処理部4とジャイロセンサ5と補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9とデータ送信部10とを備える。
このうち、車速パルス入力部1と車速値算出部2と車速値変化監視処理部3と車速値補間処理部4とジャイロセンサ5は、実施の形態1における測位装置8と同じものである為、説明は割愛する。
【0045】
補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9は、車速値補間処理部4から入力される補間後車速値104と、ジャイロセンサ5から入力される移動体の旋回角速度106と、初期位置200を取り込み、補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201を生成し、出力する。
なお、実施の形態1と同様、車輪ロックが発生していない場合は、車速値補間処理部4は、車速値補間を行わずに、車速値算出部2により算出された車速値を補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9に出力する。そして、補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9は、車輪ロックが発生していない場合は、車速値算出部2により算出された車速値と、ジャイロセンサ5から入力される移動体の旋回角速度106と、初期位置200を取り込み、車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201を生成し、出力する。
【0046】
データ送信部10は、補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部9から入力される車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送前データ)201(車輪ロック発生時)を取り込み、車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(車輪ロック発生時)を、例えば無線LAN等によりデータ伝送する。
このように、データ送信部は、車輌の推測航法計算を行う測位装置13(推測航法計算装置)に対して、車輪ロックが発生したと判定される前は、車速値算出部2により算出された車速値を送信し、車輪ロックが発生したと判定された後、車輪ロック発生中は、車速値補間処理部4により推定された補間後車速値を送信する。
【0047】
次に、図2に示す、実施の形態2における測位装置13の動作について説明する。
【0048】
図2において、データ受信部12は、測位装置11から無線LAN等でデータ伝送された車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送中データ)300(車輪ロック発生時)を受信し、車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(車輪ロック発生時)を出力する。
【0049】
推測航法計算部6は、データ受信部12から入力される車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(通常時)又は補間後車速値/旋回角速度/初期位置(伝送後データ)301(車輪ロック発生時)と前回位置302を取り込み、推測航法計算結果107を算出する。推測航法計算の詳細は前述の為、割愛する。
【0050】
測位結果出力処理部7は、推測航法計算部6から入力された推測航法計算結果107を取り込み、適切な出力フォーマットに変換し、測位結果(単一/複数)303を出力する。
【0051】
このように、実施の形態2における測位装置13は、測位装置11が複数存在する場合に、測位装置13の一箇所でそれぞれの測位装置11が搭載された移動体の位置を算出することができ、一括処理を行うことができるという利点がある。
一方、実施の形態1における測位装置8は、実施の形態2における測位装置13のように、複数の移動体の位置を一括処理する必要がない場合に適しており、推測航法計算処理を各々の測位装置8で実施することで、処理負荷を分散させる利点がある。
これらの実施の形態1、2は、適用する移動体測位システムに応じて、使い分けることが有効である。
【0052】
以上、本実施の形態では、単一または複数の測位装置により出力された車速値および旋回角速度を用いて推測航法を行い、移動体の測位結果を算出する測位装置について説明した。
【0053】
最後に、実施の形態1、2に示した測位装置8、11、13のハードウェア構成例について説明する。
図12は、実施の形態1、2に示す測位装置8、11、13のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図12の構成は、あくまでも測位装置8、11、13のハードウェア構成の一例を示すものであり、測位装置8、11、13のハードウェア構成は図12に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0054】
図12において、測位装置8、11、13は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904などは、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901などは、出力装置の一例である。
【0055】
通信ボード915は、ネットワークに接続されている。例えば、通信ボード915は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、無線LANを経由してのインターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0056】
上記プログラム群923には、実施の形態1、2の説明において「〜部」として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0057】
ファイル群924には、実施の形態1、2の説明において、「〜の判断」、「〜の計算」、「〜の比較」、「〜の判定」、「〜の更新」、「〜の設定」、「〜の登録」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、実施の形態1、2で説明しているフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0058】
また、実施の形態1、2の説明において「〜部」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、実施の形態1、2の「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、実施の形態1、2の「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0059】
このように、実施の形態1、2に示す測位装置8、11、13は、処理装置たるCPU、記憶装置たるメモリ、磁気ディスク等、入力装置たるキーボード、マウス、通信ボード等、出力装置たる表示装置、通信ボード等を備えるコンピュータであり、上記したように「〜部」として示された機能をこれら処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を用いて実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明における実施の形態1の測位装置の構成図である。
【図2】この発明における実施の形態2の測位装置の構成図である。
【図3】この発明における実施の形態2のデータ送信元の測位装置の構成図である。
【図4】車輪ロックによる車速値の変化の一例を示す図である。
【図5】この発明における実施の形態1および2の車速値変化監視処理部の監視条件の一例を示す図である。
【図6】この発明における実施の形態1および2の車速値変化監視処理部の監視条件の一例を示す図である。
【図7】この発明における実施の形態1および2の車速値補間処理部による車速値補間結果の一例を示す図である。
【図8】推測航法計算の一例を示す図である。
【図9】この発明における実施の形態1および2の測位装置の動作例を示すフローチャート図である。
【図10】この発明における実施の形態1および2の測位装置の動作例を示すフローチャート図である。
【図11】この発明における実施の形態1および2の測位装置の動作例を示すフローチャート図である。
【図12】この発明における実施の形態1および2の測位装置のハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 車速パルス入力部、2 車速値算出部、3 車速値変化監視処理部、4 車速値補間処理部、5 ジャイロセンサ、6 推測航法計算部、7 測位結果出力処理部、8 測位装置、9 補間後車速値/旋回角速度/初期位置出力処理部、10 データ送信部、11 測位装置、12 データ受信部、13 測位装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出部と、
前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記車速値算出部は、
前記車輌の車輪の回転数に基づいて、前記車輌の車速値を算出し、
前記情報処理装置は、更に、
前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定された場合に、車輪ロック発生前に前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値と車輪ロック発生からの経過時間とに基づいて、車輪ロック発生中の前記車輌の車速値を推定する車速値推定部を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記車速値監視部は、
前記車輌において車輪ロックが発生したと判定した後、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値が前記第二の車速閾値を上回ってから所定時間を経過した際に、前記車輌における車輪ロックが解消したと判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車速値監視部は、
複数段階の第一の車速閾値と、第一の車速閾値の各段階に対応する複数段階の第二の車速閾値を有し、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値がいずれかの第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値に対応する第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記車速値監視部は、
第二の車速閾値として、対応する第一の車速閾値のk倍(k<1)の値の複数段階の第一種の第二の車速閾値と、値が略ゼロの第二種の第二の車速値とを有し、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値がいずれかの第一の車速閾値を下回ってからn・τ秒(n<1、τは任意の値)以内に前記第一の車速閾値に対応する第一種の第二の車速閾値を下回った際、又は前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値がいずれかの第一の車速閾値を下回ってからτ秒以内に第二種の第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記車速値監視部は、
前記車輌において車輪ロックが発生したと判定した後、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値が前記第一種の第二の車速閾値を上回ってからn・τ秒を経過した際、又は前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値が前記第二種の第二の車速閾値を上回ってからτ秒を経過した際に、前記車輌における車輪ロックが解消したと判断することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、更に、
前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定される前は、前記車速値算出部により算出された車速値に基づいて前記車輌の推測航法計算を行い、前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定された後、車輪ロック発生中は、前記車速値推定部により推定された車速値に基づいて前記車輌の推測航法計算を行う推測航法計算部を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、更に、
前記車輌の推測航法計算を行う推測航法計算装置に対して、前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定される前は、前記車速値算出部により算出された車速値を送信し、前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定された後、車輪ロック発生中は、前記車速値推定部により推定された車速値を送信するデータ送信部を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出ステップと、
コンピュータが、前記車速値算出ステップにより算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視ステップとを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出処理と、
前記車速値算出処理により算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出部と、
前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記車速値算出部は、
前記車輌の車輪の回転数に基づいて、前記車輌の車速値を算出し、
前記情報処理装置は、更に、
前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定された場合に、車輪ロック発生前に前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値と車輪ロック発生からの経過時間とに基づいて、車輪ロック発生中の前記車輌の車速値を推定する車速値推定部を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記車速値監視部は、
前記車輌において車輪ロックが発生したと判定した後、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値が前記第二の車速閾値を上回ってから所定時間を経過した際に、前記車輌における車輪ロックが解消したと判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車速値監視部は、
複数段階の第一の車速閾値と、第一の車速閾値の各段階に対応する複数段階の第二の車速閾値を有し、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値がいずれかの第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値に対応する第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記車速値監視部は、
第二の車速閾値として、対応する第一の車速閾値のk倍(k<1)の値の複数段階の第一種の第二の車速閾値と、値が略ゼロの第二種の第二の車速値とを有し、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値がいずれかの第一の車速閾値を下回ってからn・τ秒(n<1、τは任意の値)以内に前記第一の車速閾値に対応する第一種の第二の車速閾値を下回った際、又は前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値がいずれかの第一の車速閾値を下回ってからτ秒以内に第二種の第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記車速値監視部は、
前記車輌において車輪ロックが発生したと判定した後、前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値が前記第一種の第二の車速閾値を上回ってからn・τ秒を経過した際、又は前記車速値算出部により算出された前記車輌の車速値が前記第二種の第二の車速閾値を上回ってからτ秒を経過した際に、前記車輌における車輪ロックが解消したと判断することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、更に、
前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定される前は、前記車速値算出部により算出された車速値に基づいて前記車輌の推測航法計算を行い、前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定された後、車輪ロック発生中は、前記車速値推定部により推定された車速値に基づいて前記車輌の推測航法計算を行う推測航法計算部を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、更に、
前記車輌の推測航法計算を行う推測航法計算装置に対して、前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定される前は、前記車速値算出部により算出された車速値を送信し、前記車速値監視部により前記車輌において車輪ロックが発生したと判定された後、車輪ロック発生中は、前記車速値推定部により推定された車速値を送信するデータ送信部を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出ステップと、
コンピュータが、前記車速値算出ステップにより算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視ステップとを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
車輪を有する車輌の車速値を連続して算出する車速値算出処理と、
前記車速値算出処理により算出された前記車輌の車速値の変化状況を監視し、前記車輌の車速値が第一の車速閾値を下回ってから所定時間内に前記第一の車速閾値よりも小さい第二の車速閾値を下回った際に、前記車輌において車輪ロックが発生したと判定する車速値監視処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−20018(P2009−20018A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183486(P2007−183486)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]