説明

情報処理装置

【課題】廉価でシンプルな情報処理装置であっても、オペレーティングシステムやアプリケーションの入れ替えが容易で、記憶データが破壊される可能性を低減できる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係わる情報処理装置1は、情報処理部3と情報処理部3から脱着自在な記憶媒体2とを備え、記憶媒体2は、識別コードAと1つの処理プログラムの全てとを記憶し、情報処理部3は、記憶媒体の読み取り部31と、識別コードBを記憶する第1記憶部321と、処理プログラムに従って処理を実行する制御部35とを備え、制御部35は処理開始を指示されると、記憶媒体の読み取り部31に装着された記憶媒体2から識別コードAを読み出し、第1記憶部321に記憶されている識別コードBと一致するか否かを判別し、一致する場合にのみ記憶媒体に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、特に操作パネルの入力手段や表示手段を持たないシンプルな構成の印刷処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文献1に、識別コードを利用したコンピュータシステムのセキュリティーを高める技術が開示されている。この技術では、処理の開始から終了までに必要な処理プログラムがシステム立ち上げ用プログラムと、オペレーティングシステムやアプリケーション等の実行プログラムに分割され、情報処理装置に着脱自在なカード状記憶媒体にシステム立ち上げ用プログラムと該カード状記憶媒体の利用可能な情報処理システムを指定する識別コードとが記憶され、情報処理部にオペレーティングシステムやアプリケーション等の実行プログラムと識別コードが記憶されている。
【0003】
情報処理装置を起動する場合、カード状記憶媒体を情報処理装置に接続した状態で電源を投入するとカード状記憶媒体からシステム立ち上げ用プログラムと識別コードを読み出して、記憶している識別コードと一致するか否かを判別し、一致する場合のみシステム立ち上げ用プログラムを実行してオペレーティングシステムやアプリケーション等の実行プログラムを読み出して実行する。
【特許文献1】特開平4−256113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、コンピュータシステムはオペレーティングシステムやアプリケーション等記憶容量が大きいプログラムを記憶する必要があり、せいぜい電源投入スイッチと表示ランプ等以外の操作入力手段を持たない廉価でシンプルな情報処理装置に適用した場合、エラーが発生してもシステム立ち上げ用プログラム、オペレーティングシステムやアプリケーションが分散されているのでどちらに原因があるのか切り分けすることや、オペレーティングシステムやアプリケーションの入れ替えは極めて困難であるという欠点があった。
【0005】
また、情報処理装置が処理データを記憶手段に記憶する場合、データのオーバーフローやプログラムバグ等により記憶データが破壊される可能性があった。
【0006】
本発明は廉価でシンプルな情報処理装置であっても上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、オペレーティングシステムやアプリケーションの入れ替えが容易で、記憶データが破壊される可能性を低減できる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係わる情報処理装置は、情報処理部と情報処理部から脱着自在な記憶媒体とを備え、記憶媒体は、識別コードAと1つの処理プログラムの全てとを記憶し、情報処理部は、記憶媒体の読み取り手段と、識別コードBを記憶する第1の記憶部と、処理プログラムに従って処理を実行する制御部を備え、制御部は処理開始を指示されると、記憶媒体の読み取り手段に装着された記憶媒体から識別コードAを読み出し、第1の記憶部に記憶されている識別コードBと一致するか否かを判別し、一致する場合にのみ記憶媒体に記憶された処理プログラムに従って処理を実行することを特徴とする。
【0008】
更に、情報処理部は、処理結果を記憶する第2の記憶部を備え、1つの処理プログラムによる処理結果を第2の記憶部に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、情報処理装置は、処理プログラムの全てを記憶した記憶媒体の識別コードAと情報処理部の第1の記憶部に記憶している識別コードBとが一致した場合のみ記憶媒体に記憶された処理プログラムに従って処理を実行し、処理結果を第2の記憶部に記憶するので、間違って他装置用の記憶媒体を装着しても簡単に排除できプログラムバグ等があっても簡単に判別できるだけでなく、処理プログラムの入れ替えも記憶媒体を書き替えるだけなので容易である。また処理結果は、必ず第2の記憶部に記憶されるので第1の記憶部に記憶された記憶データが破壊される可能性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図1、図2を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の情報処理装置の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は記憶媒体(例えばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory))2と情報処理部3で構成される。情報処理部3は、記憶媒体読み取り部(例えば、CD−ROMドライブ)31、記憶手段(例えば、ハードディスク、光磁気ディスク等)32、制御部(CPU)35、ROM(Read Only Memory)33、RAM(Random Access Memory)34、通信部36に加え、何れも図示しない電源投入スイッチ、表示ランプ(正常終了、エラー等)等を備える。
【0012】
尚、記憶媒体2はDVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、記憶媒体読み取り部31はDVD−ROMドライブの組合せであっても良い。
【0013】
記憶媒体2は識別コードA、情報処理部3が実行する1つの処理の最初から最後までに必要な全ての処理プログラム(オペレーティングシステム、アプリケーション等)を記憶する。
【0014】
制御部(CPU)35は、ROM33、CD−ROM2等に記憶されたプログラムやデータに従って全ての処理を実行する。
【0015】
ROM33は、制御部(CPU)35の制御プログラム等を記憶する。
【0016】
RAM34は、制御部(CPU)35のワーキングエリアである。
【0017】
記憶手段32は、例えば、ハードディスク、光磁気ディスク等の記憶装置で構成され、少なくとも第1記憶部321と第2記憶部322を有する。第1記憶部321は識別コードB、処理に必要なデータなどを記憶する。第2記憶部322は制御部(CPU)35による処理結果を記憶する。
【0018】
通信部36は、外部(例えば、図示しない印刷装置や画像形成装置等)との通信を行う。
【0019】
以下、情報処理装置1の処理手順について、図2のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0020】
処理は、記憶媒体2を記憶媒体読み取り部31に装着して、図示しない電源投入スイッチにより電源を投入すると開始される。
【0021】
ステップSA1の処理において、制御部35は記憶媒体読み取り部31に装着された記憶媒体2から識別コードAを読み出す。
【0022】
ステップSA2の処理において、制御部35は第1記憶部321から識別コードBを読み出す。
【0023】
ステップSA3の処理において、制御部35は読み出した識別コードAと識別コードBが一致するか否かを判別する。一致する場合は処理をステップSA4に進め、一致しない場合は処理をステップSA6に進め図示しないエラー表示ランプによりエラーを表示し、処理を終了する。
【0024】
一方、ステップSA4の処理において、制御部35は記憶媒体読み取り部31に装着された記憶媒体2から全ての処理プログラムを読み出し、読み出した処理プログラムに従って処理を実行する。
【0025】
ステップSA5の処理において、制御部35は処理結果を第2記憶部322に記憶し、処理を終了する。
【0026】
以上説明したように、せいぜい電源投入スイッチと表示ランプ程度しか有しないシンプルな情報処理部3であっても、必要な処理プログラムは全て記憶媒体2に記憶されているので、間違って他装置用の記憶媒体を装着しても簡単に排除できプログラムバグ等があっても簡単に判別できるだけでなくプログラムに問題が生じても簡単に入れ替える(交換する)ことができる。また、処理の結果は第2記憶部322に記憶されるので、少なくとも第1記憶部321に記憶された情報は破壊される可能性を極めて低く抑えることができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成に置き換えることができる。
【0028】
例えば、記憶媒体2と記憶媒体読み取り部31をCD−ROMとCD−ROMドライブ、DVD−ROMとDVD−ROMドライブ等の組合せで説明したが、メモリカードとメモリカード読み取り装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係わる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1…情報処理装置
2…記憶媒体
3…情報処理部
31…記憶媒体読み取り部
32…記憶手段
33…ROM(Read Only Memory)
34…RAM(Random Access Memory)
35…制御部
36…通信部
321…第1記憶部
322…第2記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理部と、前記情報処理部から脱着自在な記憶媒体と、を備えた情報処理装置において、
前記記憶媒体は、識別コードAと、1つの処理プログラムの全てと、を記憶し、
前記情報処理部は、前記記憶媒体の読み取り手段と、
識別コードBを記憶する第1の記憶部と、
前記処理プログラムに従って処理を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は処理開始を指示されると、前記記憶媒体の読み取り手段に装着された前記記憶媒体から識別コードAを読み出し、前記第1の記憶部に記憶されている識別コードBと一致するか否かを判別し、一致する場合にのみ前記記憶媒体に記憶された処理プログラムに従って処理を実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記情報処理部は、処理結果を記憶する第2の記憶部を備え、
前記処理プログラムによる処理結果を前記第2の記憶部に記憶することを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−190113(P2006−190113A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1837(P2005−1837)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】