説明

情報処理装置

【課題】 装置の使用者が片手を用いて容易に文字入力が可能とする。
【解決手段】 文字入力機能は、左手で文字入力するために、概ねタッチパネルの左下隅を中心とした円内を文字入力領域15bとし、その領域にグループに含まれる文字(列)を代表する文字の表示を含むソフトキーである代表文字キー15dを表示させる。そして、文字入力領域15bを上記円の半径と直角方向になぞることによって、異なる代表文字キー15dを表示させる。そして、表示された代表文字キー15dへのタッチによって、そのキーに対応するグループに含まれる文字(列)をトグル式に入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に係り、特に、タッチパネルを介した文字入力処理に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備えた移動通信装置等の携帯型機器は、装置の使用者が片手の手のひら上に保持し、かつ、その手の指、主に、親指でタッチパネルに接触して操作されることがある。この場合、タッチパネルに表示されるソフトキーは、接触し易い位置に配置されて表示されることが好ましく、例えば、タッチパネル下部の角部を中心とする円内に配置されることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−163278号公報(第2−3頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法では、文字入力の操作が考慮されていない問題点があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、装置の使用者が片手を用いて容易に文字入力が可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、タッチパネルと、文字グループを代表する画像の表示を含むソフトキーを略円の一部の形状の領域内に円弧状に配列して前記タッチパネルに表示させ、前記ソフトキーが表示された円の一部の形状の領域への接触がその円の半径と略直角方向に移動したことが前記タッチパネルによって検出された場合、前記タッチパネルの前記領域内に異なる前記ソフトキーを表示させ、前記表示されたソフトキーへのタッチが前記タッチパネルによって検出された場合、そのタッチの回数に応じて、そのソフトキーに対応する文字グループに含まれる文字又は文字列を前記タッチパネルに順次表示させる文字入力手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置の使用者が片手を用いて容易に文字入力が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る文字入力機能による文字入力動作のフローチャート。
【図3】本発明の実施形態に係る文字入力領域が表示された表示部の表示画面の一例を示す図(その1)。
【図4】本発明の実施形態に係る文字入力領域が表示された表示部の表示画面の一例を示す図(その2)。
【図5】本発明の実施形態に係る文字入力領域が表示された表示部の表示画面の一例を示す図(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る情報処理装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用された移動通信装置の構成を示すブロック図である。この移動通信装置は、装置全体の制御を行う制御部11と、移動通信網通信部12と、移動通信網に属する基地局(図示せず)との間で無線信号の送受信を行うアンテナ12aと、移動通信網送受信部13と、通話部14と、受話音声出力に用いられるスピーカ14aと、送話音声入力に用いられるマイクロフォン14bと、使用者に情報を視覚的に提示する表示部15と、表示部15の表示画面に接して設置されたタッチパッド16と、使用者からの操作指示を入力するキー入力部17と、アプリケーション処理部20とからなる。
【0011】
なお、表示部15及びタッチパッド16は、タッチパネルを構成する。また、プログラムを実行することで実現される本発明に関する機能として、制御部11には、文字入力機能11aが存在している。また、制御部11及びアプリケーション処理部20は、記憶部(図示せず)に記憶されたプログラムがCPU(図示せず)に実行されることによって実装される。
【0012】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る移動通信装置の各部の機能を、図1を参照して説明する。
【0013】
移動通信網通信部12は、アンテナ12aが基地局から受信した無線信号から高周波信号を得て、この高周波信号を移動通信網送受信部13に送信する。また、移動通信網送受信部13から送信された高周波信号をアンテナ12aに送信する。
【0014】
移動通信網送受信部13は、移動通信網通信部12からの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得たデジタル音声信号を通話部14へ、制御信号を制御部11へ、それぞれ送信する。更には、移動通信網送受信部13は、通話部14から送信されたデジタル音声信号と、制御部11から送信された制御信号とを変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを移動通信網通信部12に送信する。
【0015】
通話部14は、移動通信網送受信部13から送信されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bが送信するアナログ音声信号を増幅し、それをデジタル音声信号に変換して移動通信網送受信部13へ送信する。
【0016】
表示部15は、使用者に操作を促す表示や、使用者が操作した内容の表示や、装置の動作状態の表示等に用いられる有機ELディスプレー(Organic Electro-Luminescence Display)又はバックライト付きのLCD(Liquid Crystal Display)であって、制御部11及び装置の各部に制御されることで、文字、数字、更に、アイコンを含む画像データを表示する。また、画像の一部は、操作を識別するソフトキーであり、タッチパッド16のその画像に対応する位置への接触によって入力操作とされる。表示部15の表示画面は、正方形を含む長方形であるが、これに限るものではない。なお、長方形の辺の交点は、丸みを帯びていても良い。また、辺は、直線ではなく、曲線であっても良い。以後、これらの微差の有無に拘らず、長方形であると称する。
【0017】
タッチパッド16は、表示部15の表示画面の大きさと略等しい大きさであって、指やスタイラスペン(以後、指及びスタイラスペンを指等と称する。)が接触されたこと、及び、接触がなくなったことを検出する。なお、接触とは、距離が所定の閾値未満であることを含む。そして、接触が検出された際、接触が検出された1つ又は複数の範囲、更に、各範囲を代表する位置、例えば、それぞれの範囲の重心の位置を制御部11に通知する。また、指等が接触されたままタッチパッド16上を移動した場合、所定の時間間隔で接触された範囲及び位置を制御部11に通知する。
【0018】
このように、表示部15及びタッチパッド16は、タッチパネルとして動作する。なお、以後、指等が接触され、その接触位置が移動しないままその接触がなくなった操作をタッチと称する。また、指等が接触されたままタッチパッド16上を移動し、そして、その接触がなくなった操作を、なぞりと称する。タッチパッド16に対する操作は、タッチ、なぞりの他、所定時間以上のタッチ、所定の時間未満の間隔をおいた複数回のタッチ等を含む。なお、タッチパッド16の接触を検出する方式は、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁波の指等による反射を検出する方式等、任意の方式である。
【0019】
キー入力部17は、装置の使用者によって押下される操作キーからなり、操作キーが押下されると、そのキーの識別子を制御部11に通知する。操作キーは、電源のオン、オフキー、通話の際の音量の調整キー、通話の着呼、発信、終話キー等の限られた指示を入力するためのキーからなる。
【0020】
アプリケーション処理部20は、各種のアプリケーションからなる。入力された文字を扱うアプリケーションは、移動通信網送受信部13を介して送受信される電子メールを表示部15に表示させる電子メール送受信部(図示せず)等である。
【0021】
文字入力機能11aは、制御部11の各種の設定機能及びアプリケーション処理部20のいずれか一方からの文字入力要求に応じて、使用者の操作に基づいてトグル式に文字入力を行う。即ち、文字入力機能11aは、文字入力要求を受信すると、表示部15にソフトキーを含む所定の表示をさせ、タッチパッド16への接触によってその表示を変化させ、また、文字を入力して、入力された文字を文字入力要求した各部へ通知する。
【0022】
ここで、図2に示すフローチャートを参照して、文字入力機能11aによる文字入力動作の詳細を説明する。文字入力機能11aは、制御部11及びアプリケーション処理部20のいずれか一方からの文字入力要求があると動作を開始し(ステップS101)、文字入力領域を表示部15に表示させる(ステップS102)。
【0023】
図3は、文字入力領域が表示された表示部15の表示画面の一例を示し、その表示画面は、アプリケーション処理部20に含まれるアプリケーション、例えば、電子メール送受信部によって表示されるアプリケーション表示欄15aと、文字入力機能11aによって表示される文字入力領域15bとからなる。ここで、アプリケーション表示欄15aは、表示画面の略全面を占める。
【0024】
文字入力領域15bは、左手用には、表示部15の表示画面のうち、概ね、左下隅を中心とした所定の範囲の円内であって(図では、実線の円弧内である。)、装置の使用者が左手の手のひら上に装置を保持し、左手の親指で触れることができる範囲内である。このような位置に配列される結果、表示画面に表示される文字入力領域15bは、図では、破線の円弧と実線の円弧とによって囲まれた仮想的な文字入力領域の略四分の一である。
【0025】
なお、文字入力領域15bは、右手用には、表示部15の表示画面の右下隅を中心とした所定の範囲の円内であって、装置の使用者が右手の手のひら上に装置を保持し、右手の親指で触れることができる範囲内である。左手用であるか、右手用であるかは、タッチパッド16の所定の接触操作によって選択されて、文字入力機能11a内に記憶された設定に依存する。
【0026】
又は、文字入力機能11aの動作開始後、最初の接触が左手の親指によったか、右手の親指によったかにより、それぞれ選択表示されるとしても良い。左手の親指によった場合、接触の範囲は、左下から右上に至る略楕円形である。右手の親指によった場合、接触の範囲は、右下から左上に至る略楕円形である。以後、左手用を参照して説明するが、右手用であっても、表示部15の表示画面で左右が逆の位置に表示されることが相違するものの、同様である。
【0027】
文字入力領域15bは、半透過に表示される。及び/又は、アプリケーション表示欄15aとは異なる色で表示される。その結果、アプリケーション表示欄15aと、文字入力領域15bとが重なる部分では、文字入力機能11aによる表示と、アプリケーションによる表示との両方が略視認可能である。
【0028】
文字入力領域15bには、表示部15の表示画面の左下隅に配列、表示される複数のソフトキーである文字入力制御キー15cと、文字入力領域15bの境界である円弧に略沿って、その円弧の内側に円弧状に配列、表示される複数のソフトキーである代表文字キー15dとからなる。図3は、「あ」、「か」、「さ」、及び「た」なる文字が表示された代表文字キー15dが表示された例を示す。なお、境界である円弧は、図では、表示されるとしたが、表示されなくとも良い。
【0029】
なお、図には、文字入力領域15bのみならず、仮想的な文字入力領域を示し、併せて、仮想的な文字入力領域に含まれる全ての代表文字キーを示した。ここで、表示部15に表示されるのは、文字入力領域15bに含まれる代表文字キー15dのみであって、その他の代表文字キーは表示されない。表示されない代表文字キーの数は任意である。例えば、図では、文字入力領域15bは、仮想的な文字入力領域の約四分の一であるが、表示された代表文字キー15dの数は、全ての代表文字キーの数の四分の一ではない。要は、全ての代表文字キーは円周状に順序付けられて、即ち、循環して順序付けられて配列されており、そのうちの一部であって、連続して順序付けられた代表文字キーが文字入力領域15bに含まれる代表文字キー15dとして表示されているイメージを装置の使用者に与えることができれば良い。
【0030】
多くの代表文字キー15dは、順序付けられた複数の文字又は文字列からなるグループに対応し、そのキーには、そのグループに属し、そのグループを代表する文字が表示される。なお、以後、文字又は文字列を文字(列)と称する。例えば、文字「あ」が表示された代表文字キー15dは、「あ」行の文字からなるグループに対応し、そのグループに属する文字は、「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」、「ぁ」、「ぃ」、「ぅ」、「ぇ」、及び「ぉ」がこの順で順序付けられている。
【0031】
同様に、五十音表の各行の「あ」段の文字が表示された代表文字キー15dは、その行の文字からなるグループに対応し、そのグループに属する文字は、その行の文字があ段、い段、う段、え段、お段の文字の順で順序付けられている。更に、清音文字、小文字、濁音文字、半濁音文字の順で順序付けられている。なお、小文字とは、上述した「ぁ」〜「ぉ」の他、「ゎ」、拗音文字、及び促音文字を含む、小さく記載される文字である。なお、「わ」が表示された代表文字キー15dに対応するグループには、「ん」文字及び「 」文字(間隔文字)も属し、最後に順序付けられている。また、このグループには、更に、記号文字が属していても良い。
【0032】
「小」が表示された代表文字キー15dは、直前に入力された文字又は直後に入力される文字を小文字、即ち、拗音文字、及び促音文字等、小さく記載される文字であることを指示するためのキーである。更に、「記」が表示された代表文字キー15dは、記号文字からなるグループに対応し、「文」が表示された代表文字キー15dは、定型文である文字列からなるグループに対応し、「絵」が表示された代表文字キー15dは、絵文字からなるグループに対応し、それぞれ、グループに属する文字(列)は、順序付けられている。
【0033】
文字入力機能11aは、文字入力領域15bが、その中心を軸に回転されるように、その半径と略直角をなしたなぞりがタッチパッド16によって検出されると、あたかも、その動きに追従して、仮想的な文字入力領域が回転されたように、文字入力領域15b中の代表文字キー15dの表示を変化させる。ここで、文字入力制御キー15cの表示は移動しない(ステップS103)。
【0034】
図4は、図3に示す文字入力領域15bが表示部15に表示されている際、反時計回りのなぞりが行われた場合、新たに表示部15に表示される文字入力領域15bの一例を示し、「か」、「さ」、「た」、及び「な」なる文字が表示された代表文字キー15dが表示されている。併せて、仮想的な文字入力領域に含まれる全ての代表文字キーを示し、仮想的な文字入力領域全体が反時計回りに回転されたイメージを装置の使用者に与えることを示す。なお、時計回りに同程度の長さのなぞりが行われた場合、新たに表示部15に表示される文字入力領域15bには、「絵」、「あ」、「か」、及び「さ」なる文字が表示された代表文字キー15dが表示される。
【0035】
このなぞりの後、再びなぞりが検出された場合、文字入力機能11aは、ステップS103の動作を繰り返す(図示せず)。また、このなぞりが行われず、代表文字キー15dへのタッチがタッチパッド16によって検出された場合、ステップS103の動作は省かれる(図示せず)。
【0036】
そのなぞりがされた後、又は、なぞりがされないまま、表示された代表文字キー15dの中の1つにタッチされたことがタッチパッド16によって検出されると、文字入力機能11aは、そのキーに対応するグループに属する文字(列)をトグル式に入力する動作を行う。即ち、まず、そのグループに属し、先頭に順序付けられた文字(列)を選択し、選択された文字(列)をアプリケーション表示欄15aの文字が入力される位置に仮表示する(ステップS104)。ここで、仮表示とは、入力された文字とは異なる表示形態による表示である。図3及び図4では、「た」が表示された代表文字キー15dへタッチされ、「た」文字がアプリケーション表示欄15aに仮表示されていることをハッチングによって示す。
【0037】
文字入力機能11aは、タッチパッド16に対する操作を判断し(ステップS105)、ステップS104でタッチが検出された代表文字キー15dへのタッチが再び検出された場合、文字入力機能11aは、そのキーに対応するグループに属し、仮表示されている文字(列)に代えて、その文字(列)の次に順序付けられた文字(列)を選択し、選択された文字(列)をアプリケーション表示欄15aの文字が入力される位置に仮表示し(ステップS106)、ステップS105の動作に移る。
【0038】
即ち、例えば、「た」が表示された代表文字キー15dは、「た」行の文字からなるグループに対応し、そのグループに属する文字が、「た」、「ち」、「つ」、「て」、「と」、「っ」、「だ」、「ぢ」、「づ」、「で」、「ど」の順で順序付けられている。そこで、ステップS106の動作により、その代表文字キー15dへのタッチが繰り返されることによって、そのグループに属する文字が「た」、「ち」、「つ」、「て」、「と」、「っ」、「だ」、「ぢ」、「づ」、「で」、「ど」の順でトグル式に選択、仮表示される。
【0039】
なお、仮表示されている文字(列)が最後に順序付けられたものであれば、ステップS106の動作によって、先頭に順序付けられた文字(列)を選択、仮表示する。例えば、「た」が表示された代表文字キー15dへのタッチによって「ど」が選択、仮表示されている際、その代表文字キー15dへのタッチによって「た」が選択、仮表示される。
【0040】
この選択と、アプリケーション表示欄15aに仮表示された文字の変更に伴い、タッチされた代表文字キー15dに表示される文字もアプリケーション表示欄15aに仮表示された文字と同じ文字に変更されて表示されても良い。
【0041】
ステップS104でタッチが検出された代表文字キー15d以外の代表文字キー15dへタッチされた場合、文字入力機能11aは、選択、仮表示されている文字(列)を確定させて入力し、その文字(列)を仮でない、通常の表示をさせて(ステップS107)、ステップS105で操作されたと判断された代表文字キー15dにタッチされたとして、ステップS104の、そのキーに対応するグループに属し、先頭に順序付けられた文字(列)を選択する以降の動作に移る。
【0042】
文字入力領域15bの文字入力制御キー15cが表示されていない部分のなぞりがタッチパッド16によって検出された場合、及び、所定の文字入力制御キー15c、例えば、「→」文字が表示されたキーへのタッチがタッチパッド16によって検出された場合、文字入力機能11aは、選択、仮表示されている文字(列)を確定させて入力し、その文字(列)を仮でない、通常の表示をさせて(ステップS108)、ステップS103のなぞりに従う動作に移る。なお、所定の文字入力制御キー15cへのタッチは、主に、ステップS104で選択、仮表示された文字(列)を確定させ、続いて、その確定された文字(列)と同じグループに属する文字(列)を入力する際に用いられる。
【0043】
例えば、「た」が表示された代表文字キー15dへのタッチによって「た」行の第1の文字を入力し、続いて「た」行の第2の文字を入力する場合、所定の文字入力制御キー15cへのタッチによって、第1の文字を確定させて入力する。そして、「た」が表示された代表文字キー15dへのタッチによる第2の文字の入力動作に移る。ここで、所定の文字入力制御キー15cへのタッチが行われないと、「た」が表示された代表文字キー15dへのタッチが続くだけであり、第1の文字の確定がされないまま、「た」行の文字がトグル式に選択、仮表示されることになる。
【0044】
文字が入力された後、文字入力機能11aは、所定の文字入力制御キー15cへのタッチがタッチパッド16によって検出されると、入力された文字を制御部11に含まれるかな漢字変換機能(図示せず)へ送って、変換させる(図示せず)。また、文字入力要求をした処理からの指示に従って、任意の動作ステップで文字入力動作を終了する(図示せず)。
【0045】
ステップS104で、「小」が表示された代表文字キー15dへタッチされたことがタッチパッド16によって検出された場合、文字入力機能11aは、その旨を文字入力機能11a内に記憶し、ステップS103のなぞりに従う動作に移る。そして、次に選択された文字を小文字に変換する(図示せず)。又は、その場合、直前に選択された文字を小文字に変換する(図示せず)。例えば、「あ」を「ぁ」に変換し、「つ」を「っ」に変換し、「や」を「ゃ」に変換する。小文字は、五十音表の各行の「あ」段の文字が表示された代表文字キー15dに対応するグループに属すので、「あ」段の文字が表示された代表文字キー15dへのタッチによっても選択可能であって、いずれの方法によって選択されても良い。
【0046】
以上の説明で、濁音文字及び半濁音文字は、それらの文字に対応する清音文字が属するグループに属するとしたが、これに限るものではない。それらのグループに属さないとし、対応する清音文字が選択された後、所定の文字入力制御キー15cの操作によって濁音文字又は半濁音文字に変換されるとしても良い。
【0047】
以上の文字入力動作は、かな文字を入力する動作、更には、その文字を漢字に変換して入力する動作であったが、アルファベット文字、記号文字、数字を上記グループに加えることによって、それらの文字を入力することができる。この際、所定の文字入力制御キー15cへの操作によって、かなモードと英数モードとの切り替えができる。かなモードである場合、かな文字が各グループの前半に、英数文字及び記号文字が後半に順序付けられる。英数モードである場合、英数文字及び記号文字が各グループの前半に、かな文字が後半に順序付けられる。
【0048】
また、アルファベット文字の入力のためのグループを、そして、それらのグループを代表する文字を定めることによって、もっぱらアルファベット文字を入力することができる。更に、数字の入力のために、1文字が属するグループを、そして、それらのグループを代表する文字は、それぞれのグループに属する文字であると定めることによって、もっぱら数字を入力することができる。所定の文字入力制御キー15cへの操作によって、これらの入力へ切り替えられる。
【0049】
以上の説明で、代表文字キー15dの中の1つにタッチされた後、文字入力機能11aは、トグル式にそのキーに対応するグループに属する文字を入力するとしたが、これに限るものではない。例えば、そのタッチの後、代表文字キー15dに代えて、そのグループに属する文字が表示されたソフトキーを、代表文字キー15dと同様に、文字入力領域15bの境界である円弧の内側に、その円弧に略沿って表示させる。そして、その表示されたソフトキーのうちの1つへのタッチによって文字を入力する。この動作によれば、選択、仮表示のステップを経由する必要はない。
【0050】
次に、文字入力機能11aによる文字入力領域15bの大きさを変更する動作を説明する。文字入力機能11aは、文字入力領域15bが占める円の半径上をその円の外側に向けたなぞりがタッチパッド16によって検出された場合、例えば、文字入力領域15bの境界である円弧の位置へ指等を触れ、その指等を円の外側へ移動させると、そのなぞりに追従して、文字入力領域15bの大きさを大きく変更する。これに伴い、同時に表示される代表文字キー15dの数は、多くなっても変わらなくとも良い。また、それらのキーが表示される大きさは、大きくなっても変わらなくとも良い。
【0051】
逆に、文字入力領域15bが、その半径上をその円の中心に向けたなぞりがタッチパッド16によって検出された場合、例えば、文字入力領域15bの境界である円弧の位置へ指等を触れ、その指等を円の内側へ移動させると、文字入力機能11aは、そのなぞりに追従して、文字入力領域15bの大きさを小さく変更する。これに伴う同時に表示される代表文字キー15dの数及び表示の大きさは、文字入力領域15bの大きさを大きく変更する際に準ずる。
【0052】
以上の説明で、文字入力領域15bの形状は円の四分の一であり、その円の中心はタッチパッド16の左下の角部、又は、右下の角部であるとしたが、これに限るものではない。まず、その円の中心は、タッチパッド16の内側の任意の位置であっても良く、外側の任意の位置であっても良い。また、形状は、円の一部に限らず、楕円の一部であっても良い。ただし、文字入力領域15bは、装置を保持した手の親指で容易に接触が可能な範囲に位置するので、装置を左手の親指で操作する場合、その領域は、少なくともタッチパッド16の左辺に接し、右手の親指で操作する場合、その領域は、少なくともタッチパッド16の右辺に接することが望ましい。
【0053】
以上説明したように、仮想的な文字入力領域を指で回転させ、その領域の一部をタッチパネルに表示させて、表示された領域中のソフトキーへの親指のタッチによって文字入力が可能である。そこで、情報処理装置を意識することなく自然になじめるユーザインターフェースを提供することができる。
【0054】
(変形例)
図5は、変形された文字入力領域15bを示す。この領域は、三角形状である。また、この例では、文字入力領域15bには、ソフトキーであるQWERTYキー15eと、ソフトキーであるスライドバー15fとが表示されている。QWERTYキー15eには、QWERTYキーの一部が表示されており、文字入力機能11aは、表示されているキーへのタッチによって、そのキーに表示された文字を入力する。また、文字入力機能11aは、スライドバー15fのなぞりに追従して、表示されるQWERTYキー15eを変化させる。
【0055】
なお、コントロールキー、シフトキー等へのタッチが検出されると、文字入力機能11aは、タッチされたキーの表示形態を変更させ、更には、それらのタッチがされたことをピクト欄(図示せず)に表示させて報知する。そして、次にタッチされたソフトキーに表示された文字に対応する制御文字を、また、大文字を入力する。
【0056】
この変形例は、英数字を入力する場合に限らず、かな文字を入力する際にも用いることができる。そして、文字入力領域15b内に表示されるキー配列は、例えば、パソコンで用いられるキー配列と同じなので、装置を始めて使用する者にとって、使用が容易である。
【0057】
以上説明した実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、文字入力領域15bの形状は、円や楕円の一部に限らず、多角形状であっても良い。要するに、文字入力領域15bは、装置を保持した手の親指で容易に接触が可能な範囲にあれば良い。
【0058】
以上の説明は、本発明を移動通信装置に適用した例を用いたが、本発明は、当然にタッチパッドを備えたあらゆる装置、例えば、PDAや、パソコン等に適用することが可能である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0059】
11 制御部
11a 文字入力機能
15 表示部
15a アプリケーション表示欄
15b 文字入力領域
15c 文字入力制御キー
15d 代表文字キー
15e QWERTYキー
15f スライドバー
16 タッチパッド
17 キー入力部
20 アプリケーション処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
文字グループを代表する画像の表示を含むソフトキーを略円の一部の形状の領域内に円弧状に配列して前記タッチパネルに表示させ、
前記ソフトキーが表示された円の一部の形状の領域への接触がその円の半径と略直角方向に移動したことが前記タッチパネルによって検出された場合、前記タッチパネルの前記領域内に異なる前記ソフトキーを表示させ、
前記表示されたソフトキーへのタッチが前記タッチパネルによって検出された場合、そのタッチの回数に応じて、そのソフトキーに対応する文字グループに含まれる文字又は文字列を前記タッチパネルに順次表示させる文字入力手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ソフトキーは、循環して順序付けられており、
前記文字入力手段は、第1の前記ソフトキーから始まって順序付けられた所定個数の前記ソフトキーを表示させ、前記ソフトキーが表示された円の一部の形状の領域への接触がその円の半径と略直角方向に移動したことが前記タッチパネルによって検出された場合、前記第1のソフトキーとは異なる第2の前記ソフトキーから始まって順序付けられた所定個数の前記ソフトキーを表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記文字入力手段は、一部に前記ソフトキーが配列された前記円であって、前記タッチパネルに表示されていない部分にもソフトキーを仮想的に配列し、前記ソフトキーが表示された円の一部の形状の領域への接触がその円の半径と略直角方向に移動したことが検出された場合、前記円を回動させ、前記タッチパネルの前記領域内に位置することになった前記配列されたソフトキーを前記タッチパネルに表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記文字入力手段は、前記ソフトキーが表示された円の一部の形状の領域への接触がその円の半径と略並行方向に移動したことが検出された場合、ソフトキーを表示させる領域を含む円の半径を変更し、かつ、前記ソフトキーが配列される円弧を形成する円の半径を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記文字グループには、五十音表の1行の文字が含まれ、その文字グループを代表する文字は、その行の「あ」段の文字である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ソフトキーが表示された円の一部の形状の領域は、前記タッチパネルの少なくともいずれかの辺に接する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記タッチパネルは、長方形の形状であり、
前記ソフトキーが表示された円の一部の形状の領域は、前記タッチパネルの直交する2つの辺の交点に接する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記領域は、情報処理装置を手のひら上に保持した手の親指で触れることができる範囲内に配列される
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−221652(P2011−221652A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87969(P2010−87969)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】