説明

情報提供システム

【課題】物品収納倉庫における物品の収納位置まで作業者を案内するための情報を提供するシステムを短時間に低コストで導入する。
【解決手段】物品収納倉庫における物品の収納位置を表す印刷情報を読み取る携帯型読取装置11に接続される携帯型情報処理装置12の記憶部に、物品収納倉庫における複数の収納位置それぞれへの案内情報が収納位置に対応付けて記憶される。情報処理装置12の信号処理部により、読取装置11に読み取られた印刷情報が表す収納位置への案内情報が記憶部から読み出されると共に、その読み出された案内情報に対応する案内画像の生成信号が頭部装着型表示装置13に出力され、頭部装着型表示装置13により案内画像が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納倉庫において作業者を物品の収納位置まで案内するための情報を提供するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品収納倉庫において入出庫作業を行う場合、物品の収納位置を記憶した管理用コンピュータからの出力に基づき、入出庫する物品の品名、個数、収納位置である棚の特定記号等の位置情報が記された伝票を印刷し、その伝票を作業者に手渡し、その伝票の記載情報に従って作業者が物品の入出庫作業を行っている。
【0003】
しかし、従来の情報提供システムによれば、作業者が伝票に記載された物品の位置情報を誤認した場合、特に誤った位置に本来の物品に近似した品名の物品が収納されている場合、その誤った位置の物品を出庫したり、その誤った位置に物品を入庫することがあった。
【0004】
そのような事態を防止するため、物品や収納位置にタグを取り付け、作業者に端末コンピュータと頭部装着型表示装置と読取装置とを装着させ、読取装置によるタグ情報の読み取り結果を端末コンピュータからホストコンピュータに伝送し、ホストコンピュータは送信された情報に基づきナビゲーション情報を端末コンピュータに伝送し、そのナビゲーション情報を頭部装着型表示装置を介して作業者に提供する情報提供システムを利用することが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−99278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホストコンピュータと端末コンピュータとの間で情報を伝送する情報提供システムを導入しようとすれば、それ以前の伝票の記載情報のみを作業者に提供していた従前の情報提供システムはそのまま利用できず、場合によってはシステム全体を新しくする必要があり、導入までにコストと時間を要する。本発明は、そのような課題を解決することのできる情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報提供システムは、物品収納倉庫における物品の収納位置を表す印刷情報を読み取る携帯型読取装置と、前記読取装置に接続される携帯型情報処理装置と、前記携帯型情報処理装置に接続される頭部装着型表示装置とを備え、前記情報処理装置は記憶部と信号処理部とを有し、前記記憶部に、前記物品収納倉庫における複数の収納位置それぞれへの案内情報が収納位置に対応付けて記憶され、前記信号処理部により、前記読取装置に読み取られた印刷情報が表す収納位置への案内情報が前記記憶部から読み出されると共に、その読み出された案内情報に対応する案内画像の生成信号が前記頭部装着型表示装置に出力され、前記頭部装着型表示装置により前記案内画像が表示される。
本発明の情報提供システムによれば、物品収納倉庫に物品を入庫あるいは出庫するため、その物品の収納位置を記憶した管理用コンピュータからの出力に基づき、その物品の収納位置を表すバーコード等の印刷情報を含む伝票を印刷するような場合、その印刷情報を作業者が携帯する読取装置により読み取るだけで、作業者が携帯する情報処理装置により案内画像の生成信号を出力し、その物品の収納位置への案内画像を作業者が装着する頭部装着型表示装置により表示することができる。これにより、管理用コンピュータにより伝票を出力する従来のシステムを変更することなく、たとえ広い倉庫においても作業者は眼前の案内画像を視認しながら物品収納位置へ間違いなく到達でき、作業者が物品の収納位置を誤認するのを防止し、物品を確実に本来の収納位置に入庫したり、本来の収納位置から出庫することができる。
【0007】
前記情報処理装置に接続される表示切換スイッチを備え、各収納位置への案内画像として、前記表示切換スイッチの切換操作に応じて互いに相違する画像が表示されるのが好ましい。これにより、作業者を物品の収納位置に迅速かつ的確に案内できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品収納倉庫における物品の収納位置まで作業者を案内する情報を提供するためのシステムを短時間に低コストで導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に示す管理用コンピュータ1は、物品収納倉庫における物品管理を行うために用いられるもので、物品収納倉庫における複数の収納位置を、各収納位置に入出庫される物品の識別情報に対応付けて記憶し、また、キーボード等の入力装置2から物品の入庫予定情報や出庫予定情報が入力されると、記憶した管理プログラムに従い入庫あるいは出庫伝票3をプリンター4に印刷させる。
【0010】
図2に示すように、伝票3に、入出庫する物品の品名、個数、収納位置と、その収納位置を表す印刷情報としてバーコード3aが印刷される。図3に示すように、作業者10は、手に持ったバーコードリーダ11(携帯型読取装置)により伝票3に印刷されたバーコード3aを読み取らせる。バーコードリーダ11は作業者10が携帯して搬送できるものであればよく、コンピュータ12(携帯型情報処理装置)に接続される。コンピュータ12は、本実施形態ではベルトにより作業者10の身体に装着されるが、作業者10が携帯して搬送できるものであればよい。コンピュータ12に作業者10の頭部に装着される頭部装着型表示装置13が接続される。頭部装着型表示装置13は、本実施形態では表示器13aを保持するバンド13bにより作業者10の頭部に装着され、一方の目の前に表示器13aが配置され、他方の目の視界を広く確保できる単眼視タイプとされ、作業性の向上が図られている。なお、表示器13aとして、作業者10の目の前にハーフミラー等のコンバイナを配置し、そのコンバイナにより画像表示光を反射して作業者10の目に導くものを用いてもよく、この場合は両方の目により画像を視認させるものでも視野を確保できる。
【0011】
図4に示すように、コンピュータ12は記憶部12aと信号処理部12bと入出力インターフェース12cを有する。記憶部12aに、上記物品収納倉庫における複数の収納位置それぞれへの案内情報が収納位置に対応付けて記憶される。例えば、物品収納倉庫に複数の収納棚を配置し、各収納棚が複数の引出しを有し、各引出しが複数の物品収納部を有するような場合、物品収納倉庫における収納棚の配置状態と、各収納棚における引出しの配置状態と、各引出しにおける物品収納部の配置状態と、各配置状態における収納位置とが案内情報とされる。
【0012】
信号処理部12bにより、バーコードリーダ11に読み取られたバーコード3aが表す収納位置への案内情報が記憶部12aから読み出されると共に、その読み出された案内情報に対応する案内画像の生成信号が予め記憶された信号生成プログラムに従って生成され、頭部装着型表示装置13に出力される。コンピュータ12に表示切換スイッチ14が接続され、各収納位置への案内画像として、スイッチ14の切換操作に応じて互いに相違する画像が頭部装着型表示装置13により表示される。スイッチ14は、本実施形態ではコンピュータ12の筐体に一体的に設けられた2つの操作キー14a、14bを有し、各操作キー14a、14bに互いに逆方向を示す矢印が付されている。
【0013】
図5は案内画像を例示し、第1案内画像Aと、第2案内画像Bと、第3案内画像Cとが案内画像とされ、操作キー14a、14bの操作に応じた順序で表示される。第1案内画像Aは、物品収納倉庫20における収納棚21の全体配置を地図状に表すと共に物品収納位置を彩色および収納棚21の行位置と列位置により表す。第2案内画像Bは、各収納棚21における引出し21aの配置を斜視図状に表すと共に物品収納位置を彩色および引出し21aの列位置と段位置により表す。第3案内画像Cは、各引出し21aにおける収納部の仕切り配置を斜視図状に表すと共に物品収納位置を彩色シンボルGおよび収納部の仕切り番号により表す。なお、各案内画像A、B、Cには操作キー14a、14bの画像も含まれ、画像変更のために操作する操作キー14a、14bを表し、図中矢印で示すように、第1案内画像Aの表示状態で一方の操作キー14aを操作すると第2案内画像Bが表示され、第1案内画像Aの表示状態で一方の操作キー14aを操作すると第3案内画像Cが表示されると共に他方の操作キー14bを操作すると第1案内画像Aが表示され、第3案内画像Cの表示状態で他方の操作キー14bを操作すると第2案内画像Bが表示される。これにより、最初に第1案内画像A、次に第2案内画像B、最後に第3案内画像Cを表示することで、作業者10を物品の収納位置に迅速かつ的確に案内できる。また、案内画像A、B、Cを頭部装着型表示装置13により表示することで作業者10は何時でも、何処でも確認できる。
【0014】
上記実施形態の情報提供システムによれば、物品収納倉庫における物品の収納位置を記憶した管理用コンピュータ1からの出力に基づき、その物品の収納位置を表すバーコード3aを含む伝票3を印刷する場合、そのバーコード3aを作業者10が携帯するバーコードリーダ11により読み取るだけで、作業者10が携帯するコンピュータ12により案内画像A、B、Cの生成信号を出力し、その物品の収納位置への案内画像A、B、Cを作業者10が装着する頭部装着型表示装置13により表示することができる。これにより、管理用コンピュータ1により伝票3を出力するシステムを変更することなく、たとえ広い倉庫においても作業者10は眼前の案内画像A、B、Cを視認しながら物品収納位置へ間違いなく到達でき、作業者10が物品の収納位置を誤認するのを防止し、物品を確実に本来の収納位置に入庫したり、本来の収納位置から出庫することができる。
【0015】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、案内画像の内容や数は物品の収納位置へ作業者を案内することができれば特に限定されない。また、伝票における印刷情報はバーコードに限定されず、例えば異なる種類の2次元コードでもよいし英数字そのものでもよく、少なくとも物品収納倉庫における物品の収納位置を表す印刷情報であればよい。その印刷情報に応じて、読取装置として携帯型の光学文字読取装置(OCR)やスキャナ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の伝票出力システムを示す図
【図2】本発明の実施形態の伝票を示す図
【図3】本発明の実施形態の情報提供システムの構成を示す斜視図
【図4】本発明の実施形態の情報提供システムの構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施形態の情報提供システムにより表示される案内画像を示す図
【符号の説明】
【0017】
3a バーコード(印刷情報)
11 バーコードリーダ(読取装置)
12 コンピュータ(情報処理装置
12a 記憶部
12b 信号処理部
13 頭部装着型表示装置
14 表示切換スイッチ
A、B、C 案内画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納倉庫における物品の収納位置を表す印刷情報を読み取る携帯型読取装置と、
前記読取装置に接続される携帯型情報処理装置と、
前記携帯型情報処理装置に接続される頭部装着型表示装置とを備え、
前記情報処理装置は記憶部と信号処理部とを有し、
前記記憶部に、前記物品収納倉庫における複数の収納位置それぞれへの案内情報が収納位置に対応付けて記憶され、
前記信号処理部により、前記読取装置に読み取られた印刷情報が表す収納位置への案内情報が前記記憶部から読み出されると共に、その読み出された案内情報に対応する案内画像の生成信号が前記頭部装着型表示装置に出力され、
前記頭部装着型表示装置により前記案内画像が表示される情報提供システム。
【請求項2】
前記情報処理装置に接続される表示切換スイッチを備え、
各収納位置への案内画像として、前記表示切換スイッチの切換操作に応じて互いに相違する画像が表示される請求項1に記載の情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−8374(P2006−8374A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190991(P2004−190991)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】