説明

情報提供装置、基地局装置、および機器管理サーバ

【課題】無駄な記憶容量を無くして地域情報の要求に対する処理の負荷分散を行うことができ、利用者がいる地域または指定した地域に特化した地域情報を提供することができる情報提供装置を提供すること。
【解決手段】 各地域に点在する基地局装置10とネットワーク9を介して通信する有線通信部12と、携帯電話機20から指定された範囲の中にある基地局装置10それぞれが保持する地域情報を収集する地域情報収集部18と、地域情報収集部18によって収集された基地局装置10それぞれの地域情報を携帯電話機20に提供する地域情報提供部19とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域に関する地域情報を提供する情報提供装置および基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットで提供されている掲示板のうち、特定の地域に関する地域情報を掲示する掲示板があって、その地域に住んでいる利用者等が、特定の地域に関する地域情報を掲示板に書き込むと、書き込んだ地域情報が、掲示板を提供するサーバに蓄積される。サーバに蓄積された地域情報は、掲示板を介して不特定多数の利用者に提供される。
【0003】
また、インターネット上の最近のポータルサイトでは、地図と連携して地域に関する地域情報を利用者に提供するサービスが充実している。例えば、インターネットの利用者が、その地図上の特定の位置にある飲食店に対して、この飲食店に関する情報を入力し、他の利用者が、地図上のその位置を表示したとき、または、地図上のその位置をクリックしたとき、入力されたその飲食店に関する情報が表示されるといったサービスが提供されている。
【0004】
この種のサービスを提供する無線通信システムでは、地域情報などを情報センタへ送信すると共に情報センタからの情報を取得する各移動端末と、移動端末の位置を表す位置情報を移動端末から受信し、受信した位置情報に基づいて、蓄積されている情報を検索し、検索された情報を移動端末に送信する情報センタとを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、以下に、図面を用いて詳細に説明する。図10に示す無線通信システムでは、基地局装置90a、基地局装置90b、および情報センタ80がネットワーク9に接続されている。例えば、携帯電話機20aから投稿された地域情報(ネットワーク9に接続されたコンピュータ等から転送された地域情報でもよい)は、基地局装置90aを介して情報センタ80にアップロードされる。携帯電話機20aだけではなく様々な携帯電話機20から地域情報が投稿され、投稿された地域情報は情報センタ80で保持されて管理される。
【0006】
地域情報を参照したい場合には、例えば、携帯電話機20bは、基地局装置90bを介して携帯電話機20bの現在位置に対応する地域情報を情報センタ80に要求し、基地局装置90bを介して、対象の地域情報が情報センタ80から携帯電話機20bにダウンロードされる。このように、地域情報は、情報センタ80で一括管理され携帯電話機20に配信されている。
【特許文献1】特開平10−013961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の無線通信システムでは、情報センタ80で情報を一括管理しているため、携帯電話機20の現在位置と関係のない地域に関する地域情報を保持する必要があり、その分無駄な記憶容量を用意する必要があった。また、地域情報の要求が情報センタ80に集中してしまうため、従来の無線通信システムでは地域情報の要求に対する処理の負荷分散ができないといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、無駄な記憶容量を無くして地域情報の要求に対する処理の負荷分散を行うことができる情報提供装置、基地局装置、および機器管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報提供装置は、各地域に点在する情報出力装置とネットワークを介して通信する通信部と、通信端末から指定された範囲の中にある前記情報出力装置、それぞれが保持する地域情報を収集する地域情報収集部と、前記地域情報収集部によって収集された地域情報を前記通信端末に提供する地域情報提供部とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、点在する基地局装置で地域情報が管理されており、基地局装置は、指定された範囲の中にある基地局装置それぞれが保持する地域情報を通信端末に提供するため、一括で地域情報を管理する情報センタと比較すれば、無駄な記憶容量を無くして地域情報の要求に対する処理の負荷分散を行うことができ、利用者がいる地域または指定した地域に特化した地域情報を提供することができる。
【0011】
また、本発明の情報提供装置において、前記指定された範囲は、前記通信端末の位置、前記情報提供装置自身の位置、または前記通信端末から指定された位置を表す基準位置に基づいた範囲である構成を有している。
【0012】
この構成により、種々の基準位置に基づいた範囲にある情報出力装置それぞれが保持する地域情報を提供することができる。
【0013】
また、本発明の情報提供装置は、前記地域情報提供部が、前記基準位置との距離が短い前記情報出力装置の順に前記収集された地域情報を並べて前記通信端末に提供する備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、具体的には、利用者が興味をもった地域情報が利用者がいる位置から遠い場所の情報であった場合、その情報は利用者にとって価値が低くなる可能性があり、利用者が基準位置から近い順に地域情報を参照することができれば、利用者に価値のある情報を即座に提供できる可能性が高くなるため、利用者に利便性を与えることができる。
【0015】
また、本発明の情報提供装置は、前記情報出力装置には種別があって、前記通信端末から前記範囲と共に前記情報出力装置の種別が指定された場合、前記地域情報収集部が、前記範囲の中にある前記情報出力装置のうち、指定された前記種別に該当する前記情報出力装置が保持する地域情報を収集する構成を有している。
【0016】
この構成により、指定された種別に該当する情報出力装置が保持する地域情報を収集するため、利用者が参照したい種別の情報出力装置から地域情報を閲覧することができる。
【0017】
また、本発明の情報提供装置は、前記地域情報には種別があって、前記通信端末から前記範囲と共に前記地域情報の種別が指定された場合、前記地域情報提供部が、前記地域情報収集部によって収集された地域情報のうち、指定された前記種別に該当する地域情報を前記通信端末に提供する構成を有している。
【0018】
この構成により、指定された種別に該当する地域情報を通信端末に提供するため、利用者が参照したい種別の地域情報を閲覧することができる。
【0019】
また、本発明の情報提供装置は、前記地域情報収集部が、前記ネットワークと通信する機器管理サーバから前記指定された範囲の中にある前記情報出力装置のリストを取得し、取得したリストに載っている前記情報出力装置から地域情報を収集する構成を有している。
【0020】
本発明の基地局装置は、本発明の情報提供装置に、無線通信端末と通信する無線通信部を備えた構成を有している。
【0021】
本発明の機器管理サーバは、情報出力装置のアドレスと前記情報出力装置の位置に関する位置情報とを対応付けた対応情報を保持する情報保持部と、指定された範囲を情報提供装置から受付ける指定範囲受付部と、前記指定範囲受付部が受付けた範囲の中にある前記情報出力装置を前記対応情報から選択する選択部と、前記選択部によって選択された前記情報出力装置のアドレスを前記情報出力装置のリストとして作成するリスト作成部とを備え、前記リスト作成部によって作成された前記情報出力装置のリストを前記情報提供装置に出力する構成を有している。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、無駄な記憶容量を無くして地域情報の要求に対する処理の負荷分散を行うことができ、利用者がいる地域または指定した地域に特化した地域情報を提供することができる情報提供装置、基地局装置、および機器管理サーバを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施例に係る無線通信システムの構成図である。図1に示した無線通信システムでは、複数の基地局装置10および機器管理サーバ30がネットワーク9に接続されている。まず、図1に示した基地局装置10および機器管理サーバ30の概略について説明し、次に、それらの詳細な構成について説明する。基地局装置10は、本発明の情報提供装置、情報出力装置、または基地局装置の1つの実施例として示している。
【0025】
基地局装置10は、携帯電話機20と無線通信を行って、携帯電話機20同士または携帯電話機20と各種サーバとを通信させるものである。基地局装置10は、各地域に点在してあり、PHSの基地局装置10であれば、例えば数百メートルの距離を隔てて都市部の様々な場所に配置されている。
【0026】
なお、基地局装置10のそれぞれを区別する場合には、基地局装置10−1、基地局装置10−2、・・・、基地局装置10−n(nは自然数)と記載し、それぞれを区別しない場合には、基地局装置10と記載する。携帯電話機20のそれぞれを区別する場合には、携帯電話機20a、20bと記載し、携帯電話機のそれぞれを区別しない場合には、携帯電話機20と記載する。
【0027】
基地局装置10の配置に関するイメージ図を図2に示す。図2に示すように、基地局装置10−1から基地局装置10−7までが点在している。基地局装置10は、等間隔に配置されている訳ではなく、携帯電話機20と無線通信を行う上で適切な場所に設置されている。図2では、基地局装置10を7つ図示しているが、実際には、それよりも多数あると想定される。
【0028】
本実施例では、ネットワーク9をIP(Internet Protocol)に準拠したネットワークとして説明する。機器管理サーバ30は、基地局装置10に関する情報を管理するものであり、基地局装置10の識別子、位置情報、設置地名、IPアドレスのそれぞれを対応させて管理している。
【0029】
図3は、本実施例に係る基地局装置のブロック図である。基地局装置10は、無線通信部11、有線通信部12、データベース13、操作入力部14、および制御部15を有している。
【0030】
無線通信部11は、送信部および受信部によって構成され、携帯電話機20と通信するためのアンテナ(図示していない)から無線信号を送受信するものである。また、無線通信部11の送信部は、制御部15から出力された信号を変調し、変調された信号を送信し、無線通信部11の受信部は、信号を受信した場合、その信号を復調処理して制御部15に出力するものである。
【0031】
有線通信部12(通信部)は、各地域に点在する情報出力装置とネットワーク9を介して通信するものであり、例えばネットワークインタフェースによって構成される。情報出力装置としては、基地局装置10であったり、都市部の各地域に設置されている定点カメラ機器などであるが、本実施例では主に情報出力装置を基地局装置10として説明する。
【0032】
データベース13は、地域に関する地域情報を保持するものであり、記憶装置によって構成される。例えば、データベース13が保持する情報としては、図4に示すように、投稿者、投稿時刻、地域情報の種別、地域情報の内容のそれぞれを対応させたものが保持されている。
【0033】
操作入力部14は、テンキーなどから構成され、利用者によって操作されたものを入力するものであり、入力された情報は制御部15に出力される。
【0034】
制御部15は、例えばプログラムを実行するCPU、ROM、RAMなどによって構成され、地域情報受付部16、指定範囲受付部17、地域情報収集部18、および地域情報提供部19によって構成される。これらの部材は、プログラムのモジュールなどでもよい。
【0035】
地域情報受付部16は、利用者が携帯電話機20を用いて投稿した地域情報を無線通信部11を介して受付け、受付けた地域情報をデータベース13に保持させるようになっている。また、地域情報受付部16は、地域情報を無線通信部11を介して受付けるとしたが、有線通信部12または操作入力部14を介して受付けてもよい。
【0036】
指定範囲受付部17は、利用者によって携帯電話機20から指定された範囲を受付けるようになっている。本実施例では、指定された範囲は、受付けた基地局装置10の位置を基準位置とし、基準位置を中心とした半径の距離内にある範囲である。例えば、図2に示すように、利用者が半径を指定して基地局装置10−1が指定された範囲を受付けたとき、その範囲は、受付けた基地局装置10−1の位置を基準位置とし、基準位置を中心とした半径の距離内にある範囲となる。
【0037】
また、指定された範囲は、携帯電話機20の位置を基準位置とし、基準位置を中心とした半径の距離内にある範囲であってもよいし、携帯電話機20で指定された基準位置を中心とした半径の距離内にある範囲であってもよい。また、指定範囲受付部17は、携帯電話機20から指定された範囲を受付けるとしたが、携帯電話機20に替えて、有線通信部12と通信する通信端末(例えばパソコン)でもよい。
【0038】
地域情報収集部18は、携帯電話機20(通信端末)から指定された範囲の中にある基地局装置10(定点カメラ機器またはその他でもよい)のリストを機器管理サーバ30から取得するようになっている。また、基地局装置10は、自身の周囲にある基地局装置10に関する基地局情報を予め有しているならば、地域情報収集部18は、この基地局情報に基づいて、自身の基地局装置10の位置を中心とした半径の距離内にある範囲の基地局装置10のリストを作成するようにしてもよい。
【0039】
例えば、図2に示すように、指定された半径に基づく範囲を基地局装置10−1が受付けたとき、地域情報収集部18は、基地局装置10−1の位置を中心とした半径の距離内にある基地局装置10−4、基地局装置10−5を基地局装置10のリストとして取得する。
【0040】
また、地域情報収集部18は、上述したリストにある基地局装置10のIPアドレスを用いて基地局装置10それぞれが保持する地域情報を有線通信部12を介して収集するようになっている。例えば、地域情報収集部18は、リストにあるIPアドレスの基地局装置10に対し地域情報の要求を表す信号を送信することでリストにある基地局装置10から地域情報を収集する。
【0041】
地域情報提供部19は、地域情報収集部18によって収集された基地局装置10それぞれの地域情報と共に自身が保持している地域情報(データベース13から取得した地域情報)を、指定された範囲を受付けたときの携帯電話機20(通信端末)に提供するようになっている。
【0042】
また、地域情報提供部19は、収集された地域情報を、基準位置との距離が短い基地局装置10の順に並べるか、または、収集された時点で基準位置との距離が短い基地局装置10の順に既に並べられておりその順で地域情報を携帯電話機20(通信端末)に提供するようにしてもよい。このようにすれば、利用者は、自分の位置から近い順に地域情報を参照することができ、基地局装置10は、利用者に利便性を与えることができる。
【0043】
図9は、基準位置から近い順に並べられた地域情報が利用者に提供される際のイメージ図である。図9では、図2で示したように基地局装置10が配置された場合で、基地局装置10−1の位置を基準位置としており、指定された範囲にある自身の基地局装置10−1、基地局装置10−4、および基地局装置10−5の中で、基地局装置10−1、基地局装置10−5、基地局装置10−4の順で基準位置に近いため、この順で基地局装置10から収集された地域情報が並べられている。なお、図9に示した場合では、基地局装置10−1および基地局装置10−5は、同じA地区に設置されており、基地局装置10−4は、B地区に設置されている。
【0044】
また、他の基地局装置10が周囲にある基地局装置10の地域情報を収集する場合では、他の基地局装置10から地域情報の収集要求があるため、制御部15は、データベース13から取得した地域情報を、収集要求のあった基地局装置10に出力する。
【0045】
図5は、本実施例に係る機器管理サーバのブロック図である。機器管理サーバ30は、有線通信部32、データベース33、操作入力部34、表示部35、および制御部36を有している。
【0046】
有線通信部32は、各地域に点在する基地局装置10とネットワーク9を介して通信するものであり、例えばネットワークインタフェースによって構成される。
【0047】
データベース33は、基地局に関する基地局情報を保持するものであり、記憶装置によって構成される。例えば、データベース33が保持する情報としては、図6(A)に示すように、基地局装置10の識別子(ID)、IPアドレス、位置情報、設置地名、のそれぞれを対応させた対応情報が保持されている。なお、位置情報には、基地局装置10が設置されている位置を表す緯度経度などの情報である。
【0048】
操作入力部34は、キーなどから構成され、利用者によって操作されたものを入力するものであり、入力された情報は制御部36に出力される。表示部35は、液晶ディスプレイなどのディスプレイである。
【0049】
制御部36は、例えばプログラムを実行するCPU、ROM、RAMなどによって構成され、指定範囲受付部37、選択部38、およびリスト作成部39によって構成される。これらの部材は、プログラムのモジュールなどでもよい。
【0050】
指定範囲受付部37は、指定された範囲を基地局装置10(情報提供装置)から受付けるようになっている。本実施例では、指定された範囲は、指定された範囲を受付けた基地局装置10の位置を基準位置とし、基準位置を中心とした半径の距離内にある範囲であるため、指定範囲受付部37は、具体例としては指定された範囲を受付けた基地局装置10のIDおよび指定された半径を受け付ける。勿論、指定された範囲を受付けた基地局装置10のIDに替えて、基準位置として携帯電話機20の位置でもよいし、携帯電話機20で指定された位置でもよい。
【0051】
選択部38は、指定範囲受付部37が受付けた範囲の中にある基地局装置10(情報出力装置)を図6に示した対応情報から選択するようになっている。具体例としては、図2に示すように、指定範囲受付部37が、基準位置となる基地局装置10−1の位置と共に、指定された半径に基づく範囲を受付けた場合、選択部38は、基地局装置10−1の位置を中心とした半径の距離内にある基地局装置10−4、基地局装置10−5を選択する。
【0052】
リスト作成部39は、選択部38によって選択された基地局装置10(情報出力装置)のアドレス(必要であれば設置地名なども)を基地局装置10のリストとして作成し、要求した基地局装置10(情報提供装置)に、基地局装置10のリストを出力するようになっている。
【0053】
また、リスト作成部39は、リストを作成する際、基準位置と基地局装置10の位置との距離が短い基地局装置10の順に並べて要求した基地局装置10(情報提供装置)に提供するようにしてもよい。なお、リスト作成部39は、基準位置との距離を、対応情報にある基地局装置10の位置から求める。
【0054】
以上のように構成された基地局装置10および機器管理サーバ30の動作について図面を用いて説明する。図7は、基地局装置10および携帯電話機20の動作例(地域情報の投稿の動作例)を示すシーケンス図である。
【0055】
まず、基地局装置10の地域情報受付部16は、利用者が携帯電話機20を用いて投稿した地域情報を無線通信部11を介して受付け、受付けた地域情報をデータベース13に保持させる(ステップS1)。図7に示したように、地域情報がデータベース13に保持されると、データベース13は、図4で示した状態となる。
【0056】
このように、それぞれの地域に設置されている基地局装置10には、利用者が地域で良い飲食店を発見したことや地域で発生したイベントなど、地域に特化した様々な地域情報が多数の携帯電話機20から投稿され、それぞれの基地局装置10のデータベース13に保持される。各基地局装置10のデータベース13に保持された地域情報は、地域に特化した投稿されているため、地域によってそれぞれ異なったものになる。
【0057】
図8は、基地局装置10、携帯電話機20、および機器管理サーバ30の動作例(地域情報の提供の動作例)を示すシーケンス図である。
【0058】
図7に示したように、地域情報が各基地局装置10のデータベース13に保持された状態で、利用者が地域情報を参照したいと思い、利用者が携帯電話機20に参照したい地域の範囲に係る情報(例えば通信している基地局装置10の位置を基準位置とした半径など)を入力すると、携帯電話機20がその範囲に係る情報を現在通信している基地局装置10に送信する(ステップS11)。
【0059】
基地局装置10の指定範囲受付部17は、利用者によって携帯電話機20から指定された範囲を受付け(ステップS12)、地域情報収集部18は、基地局装置10のリストを取得するため、指定された範囲および自身の基地局装置10のIDを機器管理サーバ30に送信する(ステップS13)。
【0060】
次に、機器管理サーバ30の指定範囲受付部37は、指定された範囲および基地局装置10のIDを受付け(ステップS14)、選択部38は、指定範囲受付部37が受付けた範囲の中にある基地局装置10を図6に示した対応情報から選択する(ステップS15)。具体例としては、指定範囲受付部37が受付けた基地局装置10のIDが基地局装置10−1を識別している場合、図2に示すように、選択部38は、基地局装置10−1の位置を中心とした半径の距離内にある基地局装置10−4、基地局装置10−5を選択する。
【0061】
機器管理サーバ30のリスト作成部39は、選択部38によって選択された基地局装置10のアドレス(必要であれば設置地名なども)を基地局装置10のリストとして作成し、要求した基地局装置10に、基地局装置10のリストを出力する(ステップS16)。
【0062】
次に、基地局装置10の地域情報収集部18は、取得した基地局装置10のリストにある基地局装置10それぞれが保持する地域情報を収集し(ステップS17)、地域情報提供部19は、地域情報収集部18によって収集された基地局装置10それぞれの地域情報と共に自身が保持している地域情報を、指定された範囲を受付けたときの携帯電話機20(通信端末)に提供する(ステップS18)。
【0063】
以上説明したように、点在する基地局装置10で地域情報が管理されており、基地局装置10は、指定された範囲の中にある基地局装置10それぞれが保持する地域情報を携帯電話機20(通信端末)に提供するため、一括で地域情報を管理する情報センタと比較すれば、無駄な記憶容量を無くして地域情報の要求に対する処理の負荷分散を行うことができ、利用者がいる地域または指定した地域に特化した地域情報を提供することができる。
【0064】
また、上述の情報出力装置を基地局装置10として説明したが、定点カメラ機器と混合してもよい。この場合、情報出力装置に基地局装置、定点カメラ機器などの種別があることになる。情報出力装置が定点カメラ機器の場合は、地域情報としては、定点カメラ機器から得られた静止画または動画のデータになる。
【0065】
情報出力装置に種別がある場合、図6で示した対応情報は、図6(B)に示すように、機器のID、機器が基地局か定点カメラかを表す種別(この2種類には限定しない)、IPアドレス、位置情報、設置地名が対応したものでもよい。
【0066】
携帯電話機20(通信端末)から、指定された範囲と共に情報出力装置の種別が指定された場合、ステップS15で、選択部38は、指定範囲受付部37が受付けた範囲の中にある情報出力装置を図6(B)に示した対応情報から選択する。ステップS16で、リスト作成部39は、選択された情報出力装置のアドレスや種別を含む情報出力装置のリストを作成する。ステップS17で、基地局装置10の地域情報収集部18は、取得した情報出力装置のリストにある情報出力装置のうち、指定された種別に適合するものが保持する地域情報を収集する。このようにすれば、利用者が見たい地域の定点カメラ機器からの画像を見ることが可能となり、渋滞や災害などの地域に特化した画像を見ることができる。
【0067】
また、地域情報には、買い物や飲食店の他に交通情報や天気情報などの種別があるが、地域情報の種別に対応して地域情報が収集されてもよい。
【0068】
携帯電話機20(通信端末)から範囲と共に地域情報の種別が指定された場合、ステップS18で、地域情報提供部19は、地域情報収集部18によって収集された地域情報のうち、指定された地域情報の種別に該当する地域情報を、指定された範囲を受付けたときの携帯電話機20(通信端末)に提供する。このようにすれば、利用者の嗜好に合わせた地域情報の提供が可能となる。また、指定された範囲が広く地域情報の数が大量にある場合でも、基地局装置10は効率的に情報を絞り込むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、無駄な記憶容量を無くして地域情報の要求に対する処理の負荷分散を行うことができ、利用者がいる地域または指定した地域に特化した地域情報を提供することができる効果を有し、地域に関する地域情報を提供する情報提供装置、基地局装置、および機器管理サーバに幅広く有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施例に係る無線通信システムの構成図である。
【図2】本実施例に係る基地局装置の配置に関するイメージ図である。
【図3】本実施例に係る基地局装置のブロック図である。
【図4】投稿された地域情報の内容の内容を表す図である。
【図5】本実施例に係る機器管理サーバのブロック図である。
【図6】基地局に関する基地局情報の内容を表す図である。
【図7】本実施例に係る基地局装置および携帯電話機の動作例(地域情報の投稿の動作例)を示すシーケンス図である。
【図8】本実施例に係る基地局装置、携帯電話機、および機器管理サーバの動作例(地域情報の提供の動作例)を示すシーケンス図である。
【図9】基準位置から近い順に並べられた地域情報が利用者に提供される際のイメージ図である。
【図10】従来の無線通信システムの構成図である。
【符号の説明】
【0071】
9 ネットワーク
10、90 基地局装置
11 無線通信部
12 有線通信部
13 データベース
14 操作入力部
15 制御部
16 地域情報受付部
17 指定範囲受付部
18 地域情報収集部
19 地域情報提供部
20 携帯電話機
30 機器管理サーバ
32 有線通信部
33 データベース
34 操作入力部
35 表示部
36 制御部
37 指定範囲受付部
38 選択部
39 リスト作成部
80 情報センタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地域に点在する情報出力装置とネットワークを介して通信する通信部と、
通信端末から指定された範囲の中にある前記情報出力装置、それぞれが保持する地域情報を収集する地域情報収集部と、
前記地域情報収集部によって収集された地域情報を前記通信端末に提供する地域情報提供部と
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記指定された範囲は、前記通信端末の位置、前記情報提供装置自身の位置、または前記通信端末から指定された位置を表す基準位置に基づいた範囲であることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記地域情報提供部は、前記基準位置との距離が短い前記情報出力装置の順に前記収集された地域情報を並べて前記通信端末に提供することを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記情報出力装置には種別があって、前記通信端末から前記範囲と共に前記情報出力装置の種別が指定された場合、前記地域情報収集部は、前記範囲の中にある前記情報出力装置のうち、指定された前記種別に該当する前記情報出力装置が保持する地域情報を収集することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記地域情報には種別があって、前記通信端末から前記範囲と共に前記地域情報の種別が指定された場合、前記地域情報提供部は、前記地域情報収集部によって収集された地域情報のうち、指定された前記種別に該当する地域情報を前記通信端末に提供することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記地域情報収集部は、前記ネットワークと通信する機器管理サーバから前記指定された範囲の中にある前記情報出力装置のリストを取得し、取得したリストに載っている前記情報出力装置から地域情報を収集することを特徴とする請求項1から請求項5までの何れかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れかに記載の情報提供装置に、無線通信端末と通信する無線通信部を備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
情報出力装置のアドレスと前記情報出力装置の位置に関する位置情報とを対応付けた対応情報を保持する情報保持部と、
指定された範囲を情報提供装置から受付ける指定範囲受付部と、
前記指定範囲受付部が受付けた範囲の中にある前記情報出力装置を前記対応情報から選択する選択部と、
前記選択部によって選択された前記情報出力装置のアドレスを前記情報出力装置のリストとして作成するリスト作成部とを備え、
前記リスト作成部によって作成された前記情報出力装置のリストを前記情報提供装置に出力することを特徴とする機器管理サーバ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−88018(P2010−88018A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257178(P2008−257178)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】