説明

情報機器

【課題】機器本体と当該機器本体に着脱可能な電池装置とを有する情報機器において、電池セルを充電する際に使用される外部電源を利用して機器本体の内部回路を確実に動作させるとともに、電池セルを保護することが可能な技術を提供する。
【解決手段】機器本体1には、内部回路4と、外部電源を使用して電池装置51に充電電流Icを供給するとともに内部回路4に電源を供給する充電回路2と、電池装置51に対して電池セル52の充電を制限する旨を通知する制御回路として機能する充電制御回路3及び基準電圧回路5とが設けられている。電池装置51には、充電電流Icによって充電される電池セル52と、充電制御回路3及び基準電圧回路5から充電を制限する旨が通知されると、電池装置51において充電電流Icが流れる経路を遮断する電池保護回路53とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能な電池装置を有する情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機等の情報機器が有する充電可能な電池装置の保護技術に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1では、機器本体に設けられた、二次電池の電圧を検出するための電圧検出用端子の接触不良に伴う当該二次電池の過充電を防止する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−112897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の情報機器では、当該情報機器の外部から供給される電源を利用して、機器本体の充電回路が、電池装置内の電池セルに充電電流を供給するとともに、機器本体内の充電回路以外の内部回路に電源を供給している。したがって、外部電源を使用して、電池セルを充電することができるとともに、機器本体の充電回路以外の内部回路も動作させることができる。
【0005】
しかしながら、電池セルを長時間充電している場合や、動作環境の変化等によって電池セルの温度が上昇した場合など、電池セルを保護する必要が生じた場合に、充電回路の出力を停止して電池セルの充電を停止すると、機器本体内の充電回路以外の内部回路は、充電回路から電源の供給を受けることができず、正常に動作できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、機器本体と当該機器本体に着脱可能な電池装置とを有する情報機器において、電池装置内の電池セルを充電する際に使用される外部電源を利用して機器本体の内部回路を確実に動作させるとともに、電池セルを保護することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の情報機器は、機器本体と、充電可能な電池セルを有する、前記機器本体に着脱可能な電池装置とを備える情報機器であって、前記機器本体は、所定の機能を実行する内部回路と、前記情報機器の外部から供給される電源を使用して、前記電池装置に対して充電電流を供給するとともに前記内部回路に電源を供給する充電回路と、前記電池装置に対して前記電池セルの充電を制限する旨を通知する通知信号を出力する制御回路とを有し、前記電池装置は、前記充電回路から出力される前記充電電流によって充電される前記電池セルと、前記制御回路から前記通知信号が入力されると、前記電池装置において前記充電電流が流れる経路を遮断する保護回路とを有する。
【発明の効果】
【0008】
この発明の情報機器によれば、内部回路に対して充電回路から電源を供給した状態で、電池装置において充電電流が流れる経路を遮断することができるため、外部から供給される電源を利用して内部回路を確実に動作させるとともに、電池セルを保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る情報機器の構成を示す図である。本実施の形態1に係る情報機器は、例えば携帯電話機であって、図1に示されるように、機器本体1と、充電可能な電池セル52を有する電池装置51とを備えている。電池装置51は一般的に「電池パック」と呼ばれている。
【0010】
電池装置51は、電池セル52以外にも、電池セル52を保護する電池保護回路53と、電池装置51の温度を検出するためのサーミスタ素子54とを備えている。電池セル52、電池保護回路53及びサーミスタ素子54は、樹脂等で形成されたケース60内に収納されている。また電池装置51には、プラス電源端子72と、マイナス電源端子73と、外部接続端子74とがケース60から部分的に露出して設けられている。
【0011】
電池セル52のプラス電極はプラス電源端子72に接続されている。サーミスタ素子54は、電池装置51の温度によってその抵抗値が変化する。サーミスタ素子54の一端は外部接続端子74に接続されており、その他端はマイナス電源端子73に接続されている。
【0012】
電池保護回路53は、異常検出回路53aと、充電制限制御判定回路53bと、OR回路53cと、nMOSトランジスタ53d,53eとを備えている。nMOSトランジスタ53dのソースは電池セル52のマイナス電極に接続されており、そのドレインはnMOSトランジスタ53eのドレインと接続されている。nMOSトランジスタ53eのソースはマイナス電源端子73に接続されている。nMOSトランジスタ53dにはボディダイオード53ddが内蔵されており、当該ボディダイオード53ddのアノード及びカソードは、nMOSトランジスタ53dのソース及びドレインにそれぞれ接続されている。nMOSトランジスタ53eにはボディダイオード53eeが内蔵されており、当該ボディダイオード53eeのアノード及びカソードは、nMOSトランジスタ53eのソース及びドレインにそれぞれ接続されている。
【0013】
異常検出回路53aは、電池セル52の異常を検出し、その検出結果に基づいてnMOSトランジスタ53d,53eのそれぞれを個別に制御する。異常検出回路53aは、電池セル52のプラス電極の電位Vbと、nMOSトランジスタ53dのソース電位Vsdと、nMOSトランジスタ53eのソース電位Vseとに基づいて制御信号CS1,CS2を生成し、nMOSトランジスタ53dのゲート及びOR回路53cにそれぞれ出力する。
【0014】
充電制限制御判定回路53bはnMOSトランジスタ53eを制御することが可能である。充電制限制御判定回路53bは、外部接続端子74に接続されているサーミスタ素子54の一端の電位に基づいて制御信号CS3を生成し、それをOR回路53cに出力する。OR回路53cは制御信号CS2,CS3の論理和を演算して制御信号CS4としてnMOSトランジスタ53eのゲートに出力する。
【0015】
機器本体1は、電池セル52を充電する充電回路2と、当該充電回路2を制御する充電制御回路3と、CPU4aなどを含む内部回路4と、電池装置51の温度を測定する際に使用される基準電位Ref11を生成する基準電圧回路5と、抵抗素子6とを備えており、これらの回路及び素子は樹脂等で形成されたケース10内に収納されている。さらに、機器本体1には、充電器側プラス電源端子20と、充電器側マイナス電源端子21と、電池側プラス電源端子22と、電池側マイナス電源端子23と、外部接続端子24とがケース10から部分的に露出するように設けられている。
【0016】
機器本体1に電池装置51が取り付けられると、機器本体1における電池側プラス電源端子22、電池側マイナス電源端子23及び外部接続端子24は、電池装置51におけるプラス電源端子72、マイナス電源端子73及び外部接続端子74とそれぞれ接続されるようになる。また、機器本体1の充電器側プラス電源端子20には、電池セル52を充電する際に使用される外部電源装置101から出力される電源電位が入力され、充電器側マイナス電源端子21には、外部電源装置101から出力されるグランド電位が入力される。そして、充電器側マイナス電源端子21及び電池側マイナス電源端子23は、機器本体1内のグランド配線GNDに接続されている。
【0017】
充電回路2は、外部電源装置101から供給される電源を使用して、電池セル52を充電することができるとともに、内部回路4に電源を供給することができる。充電回路2は、その出力電流Ioを制御するスイッチ素子として機能するpMOSトランジスタ2aと、電池装置51から機器本体1に電流が流入することを防止するダイオード2bと、電流センス抵抗素子2cと、pMOSトランジスタ2aを制御するスイッチ駆動回路2dと、充電電流モニタ回路2eと、充電電圧モニタ回路2fと、基準電圧回路2gと、抵抗素子2h,2iとを備えている。
【0018】
pMOSトランジスタ2aのソースは充電器側プラス電源端子20に接続されており、そのドレインはダイオード2bのアノードに接続されている。pMOSトランジスタ2aにはボディダイオード2aaが内蔵されており、当該ボディダイオード2aaのアノード及びカソードは、pMOSトランジスタ2aのドレイン及びソースにそれぞれ接続されている。
【0019】
電流センス抵抗素子2cの一端2caはダイオード2bのカソードと接続されている。電流センス抵抗素子2cの他端2cbは、電池側プラス電源端子22と、内部回路4の電源ラインと、抵抗素子2hの一端とに接続されている。抵抗素子2hの他端は抵抗素子2iの一端と接続されており、抵抗素子2iの他端は、機器本体1内のグランド配線GNDに接続される。
【0020】
充電電流モニタ回路2eは、電流センス抵抗素子2cの両端の電位差を増幅してスイッチ駆動回路2dに出力する。充電電圧モニタ回路2fは、基準電圧回路2gが出力する基準電位Ref1と、抵抗素子2h,2iの接続点の電位との差を増幅してスイッチ駆動回路2dに出力する。スイッチ駆動回路2dは、充電電流モニタ回路2e及び充電電圧モニタ回路2fの出力に基づいて制御電位を生成し、これをpMOSトランジスタ2aのゲートに出力する。
【0021】
基準電圧回路5はその内部で基準電位Ref11を生成することができる。また、基準電圧回路5にはスイッチ回路5aが設けられている。スイッチ回路5aは、基準電圧回路5で生成された基準電位Ref11を、通常は、抵抗素子6を介して外部接続端子24に出力するが、後述する充電制限制御回路3bから切替信号SSが入力されると、抵抗素子6を介さずに直接外部接続端子24に出力する。
【0022】
充電制御回路3は、充電電流モニタ回路2eの出力と、電流センス抵抗素子2cの他端2cbの電位、つまり充電回路2の出力電位Voとに基づいてスイッチ駆動回路2dを制御する。また、充電制御回路3には、電池装置51の温度を判定する温度判定回路3aと、スイッチ回路5aの動作を切り替えるための上述の切替信号SSを出力する充電制限制御回路3bとが設けられている。温度判定回路3aには、抵抗素子6における外部接続端子24側の一端の電位Vtが入力され、電池セル52を充電する際に、当該電位Vtに基づいて電池装置51の温度が適正範囲内にあるかどうかを判定する。充電制限制御回路3bは、機器本体1が所定種類のアプリケーションソフトウェアを実行している際に、充電回路2の出力電位Voが規定電位以上となると切替信号SSを出力する。
【0023】
内部回路4には、充電回路2、充電制御回路3、基準電圧回路5及び抵抗素子6以外の機器本体1が有する各種回路が含まれている。具体的には、内部回路4には、CPU4a以外に、当該CPU4aが実行する動作プログラムを記憶する記憶回路や、通信相手端末との通信を行う無線通信回路、あるいは液晶ディスプレイパネル等の表示パネルを駆動する駆動回路などが設けられている。内部回路4では、CPU4aがその他の回路を制御することによって、相手端末との通話機能や画像表示機能などの各種機能が実行される。
【0024】
次に、本実施の形態1に係る情報機器の充電動作について詳細に説明する。機器本体1に電池装置51が取り付けられると、電池セル52のプラス電極は、充電回路2の出力及び内部回路4の電源ラインと電気的に接続されるようになる。初期状態においては、異常検出回路53aはともにLowレベルの制御信号CS1,CS2を出力し、充電制限制御判定回路53bはLowレベルの制御信号CS3を出力することから、nMOSトランジスタ53d,53eはともにオン状態となっている。したがって、機器本体1に電池装置51を取り付けると、電池セル52のマイナス電極は、機器本体1のグランド配線GNDに電気的に接続されるようになる。そして、機器本体1に電池装置51を取り付けると、サーミスタ素子54の一端は、抵抗素子6の一端及びスイッチ回路5aに電気的に接続されるようになり、その他端は機器本体1内のグランド配線GNDに電気的に接続されるようになる。
【0025】
機器本体1の充電器側プラス電源端子20及び充電器側マイナス電源端子21に、外部電源装置101から電源電位及びグランド電位がそれぞれ入力されると、充電制御回路3は、抵抗素子6の外部接続端子24側の一端の電位Vt、つまり、抵抗素子6とサーミスタ素子54との接続点の電位に基づいて、電池装置51の温度が、充電する際の適正範囲内にあるか否かを判定する。このとき、充電制限制御回路3bからは切替信号SSは出力されておらず、スイッチ回路5aは基準電位Ref11を抵抗素子6を介して外部接続端子24に出力している。したがって、温度判定回路3aには、基準電位Ref11を抵抗素子6とサーミスタ素子54とで分圧した電位が電位Vtとして入力されている。上述のように、サーミスタ素子54は電池装置51の温度に依存してその抵抗値が変化する。したがって、温度判定回路3aに入力される電位Vtも電池装置51の温度に応じて変化することになる。温度判定回路3aは、電位Vtの値がどの範囲内であれば電池装置51の温度が適正範囲内であるかについての情報を予め記憶しており、現在入力されている電位Vtの値から、電池装置51の現在の温度が適正範囲内にあるかどうかを判定する。
【0026】
なお、電池装置51が機器本体1に取り付けられていない場合には、電位Vtは、基準電圧回路5で生成された基準電位Ref11と同じ値となることから、電位Vtの値から機器本体1に電池装置51が取り付けられているかどうかを温度判定回路3aで判定することができる。
【0027】
温度判定回路3aにおいて、電池装置51の温度が充電する際の適正範囲内にあると判定されると、充電制御回路3は、スイッチ駆動回路2dに対して、pMOSトランジスタ2aの制御を開始するように命令する。そうすると、スイッチ駆動回路2dは、充電電流モニタ回路2e及び充電電圧モニタ回路2fの出力に基づくpMOSトランジスタ2aの制御を開始する。これにより、電池セル52に対する充電が開始する。
【0028】
まず、スイッチ駆動回路2dは、充電回路2の出力電流Ioが定電流となるようにpMOSトランジスタ2aを制御する。電流センス抵抗素子2cの両端の電位差は、充電回路2の出力電流Ioに比例することから、充電電流モニタ回路2eの出力も出力電流Ioに比例する。スイッチ駆動回路2dは、充電電流モニタ回路2eの出力が一定となるようにpMOSトランジスタ2aのゲート電位を制御することによって、出力電流Ioを定電流としている。これにより、内部回路4の動作がほとんど停止しており当該内部回路4に電源電流Ipがほとんど流れていなければ、出力電流Ioは電池セル52に供給される充電電流Icとほぼ等しくなり、電池セル52に対して定電流充電が行われる。
【0029】
電池セル52に充電電流Icが供給されると、電池セル52のプラス電極の電位Vbは上昇する。スイッチ駆動回路2dは、電池セル52の電位Vbが規定電位Vth1に達すると、そのときの充電回路2の出力電位Voを保持するように、pMOSトランジスタ2aを制御する。電池セル52の電位Vbが上昇すると、機器本体1の抵抗素子2h,2iの接続点の電位もそれに比例して上昇する。抵抗素子2h,2iの値と、基準電圧回路2gが出力する基準電位Ref1の値とは、電池セル52のプラス電極の電位Vb、つまり充電回路2の出力電位Voが規定電位Vth1と同じになると、充電電圧モニタ回路2fの出力が零となるように設定されている。スイッチ駆動回路2dは、充電電圧モニタ回路2fの出力が常に零となるようにpMOSトランジスタ2aのゲート電位を制御することによって、充電回路2の出力電位Vo、つまり電池セル52に対する充電電位を規定電位Vth1と同じ値に保持している。これにより、電池セル52に対しての充電が定電流充電から定電圧充電に切り替わる。
【0030】
電池セル52に対しての充電が定電流充電から定電圧充電に切り替わると、電池セル52に供給される充電電流Icは減少していく。そうすると、充電回路2の出力電流Ioも減少していく。充電制御回路3は、充電電流モニタ回路2eの出力をモニタしており、出力電流Ioが満充電判定用のしきい値である終止電流以下になると、スイッチ駆動回路2dに対してpMOSトランジスタ2aの制御を終了するように命令し、当該命令を受けたスイッチ駆動回路2dはpMOSトランジスタ2aをオフ状態とする。これにより、電池セル52に対する充電が完了する。
【0031】
以上の説明から理解できるように、充電回路2が電池セル52を充電している際には、充電回路2から内部回路4に対して電源が供給されるため、内部回路4は、電池セル52を充電している間でも動作することができる。つまり、電池セル52の充電中において、外部電源装置101から機器本体1に供給される電源を利用して内部回路4を動作することができる。よって、電池セル52の充電中に、本実施の形態1に係る情報機器において、通信相手端末との通話や、TVあるいはラジオの視聴をすることができる。
【0032】
電池セル52に対する充電が完了し、機器本体1から外部電源装置101が切り離されると、機器本体1の内部回路4は、以後、電池セル52から供給される電源に基づいて動作する。なお、充電回路2、充電制御回路3及び基準電圧回路5に対しては、外部電源装置101から直接電源が供給される。
【0033】
次に、本実施の形態1に係る情報機器での電池セル52に対する充電時の保護動作について説明する。本実施の形態1に係る情報機器では、機器本体1側で電池セル52を保護することができるとともに、電池装置51側でも電池セル52を保護することができる。まず、機器本体1での電池セル52の保護動作について説明する。
【0034】
充電制御回路3は、充電電流モニタ回路2eの出力をモニタし、充電回路2の出力電流Ioが規定電流Ithよりも大きくなると、充電異常が発生したと判定し、スイッチ駆動回路2dにpMOSトランジスタ2aをオフさせる。これにより、充電回路2からの電池セル52に対する充電電流Icの供給が停止し、電池セル52に対する過電流通電が防止される。
【0035】
また、充電制御回路3は、充電回路2の出力電位Voもモニタしており、当該出力電位Voが規定電位Vth2よりも大きくなると、充電異常が発生したと判定し、スイッチ駆動回路2dにpMOSトランジスタ2aをオフさせる。これにより、充電回路2の出力電位Voはグランド電位となり、電池セル52に対する過電圧印加が防止される。なお、過電圧を判定する際のしきい値となる規定電位Vth2は、定電流充電から定電圧充電に切り替える際のしきい値となる規定電位Vth1よりも大きい値に設定される。
【0036】
また、温度判定回路3aは、電池セル52に充電を開始する際だけではなく、電池セル52を充電している間も電池装置51の温度に依存して変化する電位Vtをモニタしており、電池装置51の温度が適正範囲外となれば、充電制御回路3は、充電異常が発生したと判定し、スイッチ駆動回路2dにpMOSトランジスタ2aをオフさせる。これにより、電池セル52に対する充電が終了し、高温雰囲気中での電池セル52の充電が防止される。
【0037】
また、充電制御回路3は、電池セル52に対する充電開始からの経過時間を充電終了まで計測しており、当該経過時間が規定時間Tthを越えると、充電異常が発生したと判定し、スイッチ駆動回路2dにpMOSトランジスタ2aをオフさせる。これにより、電池セル52に対する長時間の電圧印加が防止される。
【0038】
充電制御回路3は、充電異常が発生すると、内部回路4のCPU4aに対してその旨を通知する。CPU4aは、内部回路4に設けられている図示しない表示部を制御して、当該表示部の表示画面に充電異常が発生した旨を表示する。
【0039】
次に、電池装置51での電池セル52に対する保護動作について説明する。異常検出回路53aは、電池セル52の電位Vbをモニタしており、当該電位Vbが規定電位Vth11よりも大きくなると、充電異常が発生したと判定し、Highレベルの制御信号CS2を出力する。そうすると、制御信号CS4はHighとなり、nMOSトランジスタ53eはオフ状態となる。これにより、電池セル52のマイナス電極は、充電方向においては機器本体1のグランド配線GNDと電気的に分離するようになり、電池装置51において充電電流Icが流れる経路が遮断される。よって、電池セル52に対する過電圧印加が防止される。このように、nMOSトランジスタ53eは、電池装置51において充電電流Icが流れる経路を遮断する保護スイッチ素子として機能する。
【0040】
なお、電池装置51側で電池セル52の過電圧を検出する際のしきい値となる規定電位Vth11は、機器本体1で使用される上述の規定電位Vth1よりも大きい値に設定される。また、当該規定電位Vth11は、機器本体1側で電池セル52の過電圧を検出する際のしきい値となる規定電位Vth2と同じ値か、それよりも大きい値に設定される。
【0041】
また、異常検出回路53aは、nMOSトランジスタ53dのソース電位Vsdと、nMOSトランジスタ53eのソース電位Vseとをモニタしており、ソース電位Vsdがソース電位Vseよりも高く、それらの電位差が規定電位Vth12よりも大きくなると、充電異常が発生したと判定し、Highレベルの制御信号CS2を出力する。これにより、nMOSトランジスタ53eはオフ状態となり、電池セル52のマイナス電極は、充電方向において機器本体1のグランド配線GNDと電気的に分離される。よって、電池セル52には充電電流Icが流れなくなる。
【0042】
nMOSトランジスタ53d,53eのそれぞれについては抵抗素子と見るとことができるため、電池セル52に過剰な充電電流Icが流れていれば、ソース電位Vsdがソース電位Vseよりも高く、それらの電位差は非常に大きくなる。したがって、ソース電位Vsdがソース電位Vseよりも高く、それらの電位差が規定電位Vth12よりも大きくなると、nMOSトランジスタ53eをオフ状態にすることによって、電池セル52に過剰な充電電流Icが流れることを防止することができる。
【0043】
本実施の形態1に係る電池保護回路53は、充電時に電池セル52を保護するだけではなく、放電時にも電池セル52を保護することができる。異常検出回路53aは、ソース電位Vseがソース電位Vsdよりも高く、それらの電位差が規定電位Vth13よりも大きくなると、放電異常が発生したと判定し、Highレベルの制御信号CS1を出力する。これにより、nMOSトランジスタ53dはオフ状態となり、電池セル52のマイナス電極は、放電方向においては機器本体1のグランド配線GNDと電気的に分離されるようになり、電池装置51において放電電流Idが流れる経路が遮断される。よって、電池セル52は放電電流Idを出力しなくなる。このように、nMOSトランジスタ53dは、電池装置51において放電電流Idが流れる経路を遮断する保護スイッチ素子として機能する。
【0044】
上述のようにnMOSトランジスタ53d,53eのそれぞれについては抵抗素子と見るとことができるため、電池セル52に過剰な放電電流Idが流れていれば、ソース電位Vseがソース電位Vsdよりも高く、それらの電位差は非常に大きくなる。したがって、ソース電位Vseがソース電位Vsdよりも高く、それらの電位差が規定電位Vth13よりも大きくなると、nMOSトランジスタ53dをオフ状態とすることによって、電池セル52に過剰な放電電流Idが流れることを防止することができる。よって、プラス電源端子72とマイナス電源端子73とが短絡した場合に電池セル52を保護することができる。
【0045】
以上のように、本実施の形態1に係る情報機器では、機器本体1及び電池装置51のそれぞれに充電保護機能が設けられており、機器本体1及び電池装置51のそれぞれは、自身の充電保護機能を個別に実行することができる。本実施の形態1に係る情報機器では、これ以外にも、機器本体1から電池装置51の充電保護機能を制御することができる。以下に、このことについて詳細に説明する。
【0046】
図2は機器本体1から電池装置51の充電保護機能を制御する際の本実施の形態1に係る情報機器の動作を示すフローチャートである。図2に示されるように、上述のようにして電池セル52に対する充電が開始すると、ステップs1において、CPU4aは内部回路4の動作状態を確認する。そして、CPU4aは内部回路4が高負荷動作を行っていると、ステップs2において、充電制御回路3に対して充電制限制御機能を有効にするように通知する。一方で、CPU4aは、内部回路4が軽負荷動作を行っていると、所定時間後に再度ステップs1を実行し、内部回路4の動作状態を確認する。CPU4aは、それ自身が実行するアプリケーションソフトウェアの種類によって、内部回路4が軽負荷動作を行っているか、高負荷動作を行っているかを判定する。例えば、動画像を視聴するアプリケーションソフトウェアや通話を行うアプリケーションソフトウェアなど、それを実行している間に、内部回路4に比較的多くの電源電流Ipを供給する必要のあるアプリケーションソフトウェアを実行している場合には内部回路4が高負荷動作を行っていると判定し、それ以外の種類のアプリケーションソフトウェアを実行している場合には内部回路4が軽負荷動作を行っていると判定する。
【0047】
充電制御回路3は、ステップs2において充電制限制御機能を有効にすると、ステップs3において電池セル52の電位Vbを確認する。電池セル52の充電中においては、充電回路2の出力電位Voは、電池セル52の電位Vbと同じであるため、充電制御回路3は充電回路2の出力電位Voを確認することによって電池セル52の電位Vbを確認する。
【0048】
ステップs3において電池セル52の電位Vbが規定電位Vth3未満のときには、所定時間後にステップs1が再度実行される。一方で、ステップs3において電池セル52の電位Vbが規定電位Vth3以上のときには、ステップs4において、充電制御回路3は充電制限制御回路3bに切替信号SSを出力させる。そうすると、スイッチ回路5aは、基準電位Ref11の出力先を抵抗素子6から外部接続端子24に切り替える。これにより、基準電位Ref11は、電池装置51のサーミスタ素子54に直接供給されるようになり、外部接続端子74に接続されているサーミスタ素子54の一端の電位は、当該基準電位Ref11と同じ値となる。その結果、電池保護回路53の充電制限制御判定回路53bには基準電位Ref11が入力される。この基準電位Ref11は、機器本体1から電池装置51に対して電池セル52の充電を制限する旨を通知する通知信号として機能する。このように、充電制御回路3及び基準電圧回路5は、電池装置51に対して電池セル52の充電を制限する旨を通知する通知信号を出力する制御回路として機能する。
【0049】
充電制限制御判定回路53bは基準電位Ref11が入力されると、電池セル52の充電を制限するために、制御信号CS3をLowレベルからHighレベルに変化させる。例えば、充電制限制御判定回路53bは、定期的に入力電位を観測し、その値と所定のしきい値電位とを比較して、入力電位が当該しきい値電位よりも高ければ、基準電位Ref11が入力されたと判断して、制御信号CS3をLowレベルからHighレベルに変化させる。スイッチ回路5aの基準電位Ref11の出力先が抵抗素子6から外部接続端子24に切り替えられると、充電制限制御判定回路53bの入力電位は必ず大きくなることから、当該入力電位と比較されるしきい値電位の値を適切に設定することによって、充電制限制御判定回路53bは、基準電位Ref11が入力されたことを確実に検出することができる。
【0050】
制御信号CS3がLowレベルからHighレベルになると、制御信号CS4もLowレベルからHighレベルとなり、nMOSトランジスタ53eがオフ状態となる。その結果、電池セル52のマイナス電極は、充電方向においては機器本体1のグランド配線GNDと電気的に分離するようになり、電池セル52では、プラス電極とマイナス電極の間に電圧が印加されなくなる。
【0051】
上述のように、本実施の形態1に係る情報機器では、充電異常の場合を除いて、充電回路2の出力電流Ioが終止電流以下になると充電が終了するようになっている。電池セル52を充電している際に、内部回路4が高負荷動作を行うと、当該内部回路4に対して充電回路2から大きな電源電流Ipが供給されるため、電池セルの電位Vbが十分に高くなっているにもかかわらず、出力電流Ioがいつまでも終止電流以下にならないことがある。したがって、いつまでも充電が完了せず、電池セル52のプラス電極とマイナス電極の間には過電圧ではないものの比較的高い電圧が長時間印加されることがある。
【0052】
本実施の形態1では、内部回路4が高負荷動作を行っている際に、電池セル52の電位Vbが規定電位Vth3以上となると、nMOSトランジスタ53eをオフ状態としているため、電池セル52において、プラス電極とマイナス電極の間に高い電圧が長時間印加されることを防止することができる。よって、電池セル52の特性劣化を防止することができる。その結果、電池セル52の寿命が向上するとともに、電池セル52の膨れを抑制できる。なお、規定電位Vth3は、規定電位Vth1と同じか、それに近い値に設定される。
【0053】
また、通常は、外部電源装置101は、内部回路4を高負荷動作させるのに十分な電源容量を備えているため、電池セル52から内部回路4に対して電源は供給されず、nMOSトランジスタ53eをオフ状態としても、それまでに電池セル52に蓄積された電力を維持することができる。
【0054】
また、nMOSトランジスタ53eのソースとドレイン間には電池セル52の放電方向を順方向とするボディダイオード53eeが並列接続されている。そして、電池装置51の異常検出回路53aにおいて電池セル52の異常が検出されなければ、nMOSトランジスタ53dはオン状態である。したがって、電池セル52に異常が発生していない場合に、充電制限制御判定回路53bがnMOSトランジスタ53eをオフ状態としたとしても、電池セル52は放電電流Idを出力することが可能である。よって、仮に外部電源装置101が充電回路2を介して十分な電源電流Ipを内部回路4に供給できないことがあったとしても、その不足分を電池セル52から内部回路4に供給することができる。
【0055】
以上のように、本実施の形態1に係る情報機器では、機器本体1から電池装置51に対して電池セル52の充電を制限する旨を通知し、それを受け取った電池装置51は、当該電池装置51において充電電流Icが流れる経路を遮断している。したがって、充電回路2から内部回路4に対して電源を供給した状態で電池装置51内の電池セル52を保護することができる。そのため、外部電源を利用して内部回路4を確実に動作させるとともに、電池セル52を保護することができる。
【0056】
また、本実施の形態1では、nMOSトランジスタ53eがオフされて、電池装置51において充電電流Icが流れる経路が遮断された後でも、ボディダイオード53eeの働きによって、電池装置51において電池セル52の放電電流Idが流れる経路は維持されているため、電池セル52から機器本体1に対して電源電流Ipを供給することができる。したがって、外部から供給される電源が十分でない場合であっても、電池セル52から機器本体1の内部回路4に電源電流Ipを供給することができる。よって、内部回路4を確実に動作させることができる。
【0057】
また、本実施の形態1では、機器本体1から電池装置51に対して電池セル52の充電を制限する旨が通知された場合でも、異常検出回路53aが充電異常を検出した場合でも、nMOSトランジスタ53eをオフ状態にすることによって、電池セル52を保護している。つまり、機器本体1からの制御によって電池装置51が行う電池セル52の保護と、電池装置51自らが充電異常を検出して行う電池セル52の保護とを、同一のスイッチ素子を用いて行っている。したがって、回路規模を大きくすることなく両方の機能を実現できる。
【0058】
また、本実施の形態1では、電池装置51の温度を判定する際に使用される機器本体1及び電池装置51の外部接続端子24,74を利用して、機器本体1から電池保護回路53に対して、電池セル52の充電を制限する旨を通知する通知信号を入力している。そのため、当該通知信号を機器本体1から電池保護回路53に入力する専用の外部接続端子は不要となり、機器本体1と電池装置51との間の接続端子数の増加を抑制できる。
【0059】
また、本実施の形態1では、充電制御回路3及び基準電圧回路5から成る制御回路は、内部回路4で所定種類のアプリケーションソフトウェアが実行されると、電池装置51に対して電池セル52の充電を制限する旨を通知する通知信号を出力するため、実行するアプリケーションソフトウェアの種類によって内部回路4に非常に大きな電源電流Ipが流れて、充電回路2からの電池セル52への充電電流Icの供給が停止されない場合であっても、電池装置51側で充電電流Icが流れる経路を遮断することができる。よって、電池セル52に対して長時間高い電位が印加されることを防止することができる。
【0060】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2に係る情報機器の構成を示す図である。本実施の形態2に係る情報機器は、上述の実施の形態1に係る情報機器において、基本的には、充電制限制御回路3bの替わりに充電制限制御回路13bを備えるものである。
【0061】
充電制限制御回路13bは、基準電圧回路5に電圧制御信号VCSを出力する電圧設定回路13baと、基準電圧回路5のスイッチ回路5aに切替信号SSを出力する出力制御回路13bbとを備えている。
【0062】
本実施の形態2に係る基準電圧回路5は、上述の基準電位Ref11以外にも当該基準電位Ref11とは異なる基準電位を生成して出力することが可能である。以下の説明では、基準電圧回路5は、基準電位Ref11だけではなく基準電位Ref12〜Ref14も生成して出力することが可能であるものとする。そして、基準電位Ref11〜Ref14の値の関係は、Ref11<Ref12<Ref13<Ref14とする。
【0063】
基準電圧回路5は、電圧設定回路13baから出力される電圧制御信号VCSに基づいて、基準電位Ref11〜Ref14のうちから、出力する基準電位を決定する。スイッチ回路5aは、決定された基準電位を、通常は、抵抗素子6を介して外部接続端子24に出力するが、出力制御回路13bbから切替信号SSが入力されると、抵抗素子6を介さずに直接外部接続端子24に出力する。
【0064】
また、本実施の形態2に係る充電制限制御判定回路53bは、nMOSトランジスタ53eを制御する機能だけではなく、その他の機能も備えている。例えば、充電制限制御判定回路53bは、異常検出回路53aにおいて電池セル52の異常を検出する際に使用される上述の規定電位Vth11〜Vth13のそれぞれの値を変更することができる。これにより、電池セル52に対する過電圧を検出する際のしきい値電圧を変更することができ、電池セル52の過剰な充電電流Icを検出する際のしきい値電流を変更することができ、電池セル52の過剰な放電電流Idを検出する際のしきい値電流を変更することができる。その他の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明は省略する。
【0065】
次に本実施の形態2に係る情報機器の動作について、実施の形態1に係る情報機器の動作との相違点を中心にして説明する。上述のように、機器本体1に外部電源装置101から電源電位及びグランド電位が入力されると、充電制御回路3は、電池装置51の温度が、充電する際の適正範囲にあるか否かを判定する。この際、充電制御回路3では、電圧設定回路13baが電圧制御信号VCSを使用して基準電圧回路5に基準電位Ref11を出力するように通知するとともに、出力制御回路13bbが切替信号SSを出力していない。したがって、スイッチ回路5aは、基準電位Ref11を抵抗素子6を介して外部接続端子24に出力し、温度判定回路3aには、基準電位Ref11を抵抗素子6とサーミスタ素子54とで分圧した電位が電位Vtとして入力される。上述のように、この電位Vtは電池装置51の温度に応じて変化することから、温度判定回路3aは、現在入力されている電位Vtの値から、電池装置51の現在の温度が適正範囲内にあるかどうかを判定することができる。
【0066】
また、本実施の形態2に係る情報機器では、機器本体1から電池装置51の充電保護機能を制御する場合には、上述のステップs4において、電圧設定回路13baは電圧制御信号VCSを使用して基準電圧回路5に基準電位Ref11を出力するように通知するとともに、出力制御回路13bbは切替信号SSを出力する。これにより、スイッチ回路5aは、基準電位Ref11の出力先を抵抗素子6から外部接続端子24に切り替え、基準電位Ref11は、充電制限制御判定回路53bにそのまま入力されるようになる。実施の形態1と同様に、この基準電位Ref11は、電池装置51に対して電池セル52の充電を制限する旨を通知する通知信号として機能するため、充電制限制御判定回路53bは基準電位Ref11が入力されると、ステップs5において制御信号CS3をLowレベルからHighレベルに変化させる。そうすると、nMOSトランジスタ53eがオフ状態となり、電池セル52では、プラス電極とマイナス電極の間に電圧が印加されなくなる。
【0067】
上述の実施の形態1に係る情報機器では、電池装置51内で電池セル52の異常を検出する際に使用される規定電位Vth11〜Vth13の値を変更することができなかったが、本実施の形態2に係る情報機器では、その変更を行うことができる。充電制御回路3では、CPU4aから規定電位Vth11を変更する旨の通知を受けると、電圧設定回路13baが電圧制御信号VCSを使用して基準電圧回路5に基準電位Ref12を出力するように通知するとともに、出力制御回路13bbが切替信号SSを出力する。そうすると、スイッチ回路5aは、基準電位Ref12を外部接続端子24に直接出力するようになり、充電制限制御判定回路53bには基準電位Ref12がそのまま入力される。充電制限制御判定回路53bは、基準電位Ref12が入力されると、異常検出回路53aに使用する規定電位Vth11の値を変更するように通知し、異常検出回路53aは、規定電位Vth11の値を予め定められている値に変更する。
【0068】
また、充電制御回路3では、CPU4aから規定電位Vth12を変更する旨の通知を受けると、電圧設定回路13baが電圧制御信号VCSを使用して基準電圧回路5に基準電位Ref13を出力するように通知するとともに、出力制御回路13bbが切替信号SSを出力する。そうすると、スイッチ回路5aは、基準電位Ref13を外部接続端子24に直接出力するようになり、充電制限制御判定回路53bには基準電位Ref13がそのまま入力される。充電制限制御判定回路53bは、基準電位Ref13が入力されると、異常検出回路53aに使用する規定電位Vth12の値を変更するように通知し、異常検出回路53aは、規定電位Vth12の値を予め定められている値に変更する。
【0069】
また、充電制御回路3では、CPU4aから規定電位Vth13を変更する旨の通知を受けると、電圧設定回路13baが電圧制御信号VCSを使用して基準電圧回路5に基準電位Ref14を出力するように通知するとともに、出力制御回路13bbが切替信号SSを出力する。そうすると、スイッチ回路5aは、基準電位Ref14を外部接続端子24に直接出力するようになり、充電制限制御判定回路53bには基準電位Ref14がそのまま入力される。充電制限制御判定回路53bは、基準電位Ref14が入力されると、異常検出回路53aに使用する規定電位Vth13の値を変更するように通知し、異常検出回路53aは、規定電位Vth13の値を予め定められている値に変更する。
【0070】
なお、基準電位Ref11〜Ref14は、互いに異なる値に設定されているため、複数の互いに異なるしきい値電位を設けて、それらと入力電位とを比較することによって、充電制限制御判定回路53bは、基準電位Ref11〜Ref14のうちのどの電位が入力されたかどうかを簡単に判定することができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態2に係る情報機器では、基準電圧回路5から出力される基準電位Ref11〜Ref14が電池装置51に対して制御電位として入力され、電池装置51は、入力される当該制御電位の値に応じた機能を実行している。したがって、当該制御電位を利用することによって、電池装置51側での充電保護機能を制御するだけではなく、電池装置51が行うその他の動作についても機器本体1が簡単に制御することができる。
【0072】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3に係る情報機器の構成を示す図である。本実施の形態3に係る情報機器は、上述の実施の形態1に係る情報機器において、基本的には、充電制限制御回路3bの替わりに充電制限制御回路33bを備えるものである。
【0073】
充電制限制御回路33bは、通信制御回路33baと、スイッチ回路5aに切替信号SSを出力する出力制御回路33bbとを備えている。本実施の形態3に係る機器本体1は電池装置51とシリアル通信を行うことができ、通信制御回路33baによって電池装置51との通信が制御される。
【0074】
本実施の形態3に係る基準電圧回路5は、上述の実施の形態1に係る基準電圧回路5と同様に、基準電位Ref11を生成して出力することができる。一方で、スイッチ回路5aは、通常は、抵抗素子6を介して外部接続端子24に出力するが、出力制御回路33bbから切替信号SSが入力されると、その出力をオフ状態、つまりハイインピーダンス状態にする。
【0075】
また、本実施の形態3に係る充電制限制御判定回路53bは、nMOSトランジスタ53eを制御する機能だけではなく、その他の機能も備えている。例えば、実施の形態2と同様に、充電制限制御判定回路53bは、異常検出回路53aにおいて電池セル52の異常を検出する際に使用される規定電位Vth11〜Vth13のそれぞれの値を変更することができる。さらに、本実施の形態3に係る充電制限制御判定回路53bは、機器本体1の通信制御回路33baとシリアル通信を行う機能も有している。
【0076】
本実施の形態3では、通信制御回路33baのシリアル通信端子は、外部接続端子24と接続されており、通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとのシリアル通信は、機器本体1の外部接続端子24と充電制限制御判定回路53bとを電気的に接続する一本の信号ラインを利用して行う。基準電圧回路5が基準電位Ref11を出力している場合には、通信制御回路33baのシリア通信端子にも基準電位Ref11が印加されるため、この状態では、通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとは通信することができない。したがって、本実施の形態3では、基準電圧回路5の出力をハイインピーダンス状態にして通信ラインを確保し、外部接続端子24と充電制限制御判定回路53bとを接続する信号ラインを利用して通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとが通信できるようにしている。その他の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明は省略する。
【0077】
次に本実施の形態3に係る情報機器の動作について、実施の形態1に係る情報機器の動作との相違点を中心にして説明する。上述のように、機器本体1に外部電源装置101から電源電位及びグランド電位が入力されると、充電制御回路3は、電池装置51の温度が、充電する際の適正範囲にあるか否かを判定する。このとき、充電制御回路3の出力制御回路33bbは切替信号SSを出力しない。したがって、スイッチ回路5aは、基準電位Ref11を抵抗素子6を介して外部接続端子24に出力し、温度判定回路3aには、基準電位Ref11を抵抗素子6とサーミスタ素子54とで分圧した電位が電位Vtとして入力される。上述のように、この電位Vtは電池装置51の温度に応じて変化することから、温度判定回路3aは、現在入力されている電位Vtの値から、電池装置51の現在の温度が適正範囲内にあるかどうかを判定することができる。
【0078】
また、本実施の形態3に係る情報機器では、機器本体1から電池装置51の充電保護機能を制御する場合には、上述のステップs4において、出力制御回路33bbは切替信号SSを出力する。これにより、スイッチ回路5aの出力がハイインピーダンス状態となり、通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとが通信可能となる。その後、通信制御回路33baは充電制限制御判定回路53bとシリアル通信を行い、充電制限制御判定回路53bに対して電池セル52の充電を制限する旨を通知する通知信号を出力する。この通知信号は、例えば、8ビットのデータで構成されている。そうすると、実施の形態1と同様に、ステップs5において、充電制限制御判定回路53bは、制御信号CS3をLowレベルからHighレベルに変化させ、nMOSトランジスタ53eをオフ状態になる。これにより、電池セル52では、プラス電極とマイナス電極の間に電圧が印加されなくなる。
【0079】
上述の実施の形態1に係る情報機器では規定電位Vth11〜Vth13を変更することができなかったが、実施の形態2と同様に、本実施の形態3に係る情報機器では、その変更を行うことができる。充電制御回路3では、CPU4aから規定電位Vth11を変更する旨の通知を受けると、出力制御回路13bbが切替信号SSを出力する。そうすると、スイッチ回路5aの出力がハイインピーダンス状態となり、通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとが通信可能となる。その後、通信制御回路33baは充電制限制御判定回路53bとシリアル通信を行い、充電制限制御判定回路53bに基準電位Ref11を変更する旨を8ビットのデータで通知する。そうすると、充電制限制御判定回路53bは、異常検出回路53aに使用する規定電位Vth11の値を変更するように通知し、異常検出回路53aは、規定電位Vth11の値を予め定められている値に変更する。
【0080】
また、充電制御回路3では、CPU4aから規定電位Vth12を変更する旨の通知を受けると、出力制御回路13bbが切替信号SSを出力する。そうすると、スイッチ回路5aの出力がハイインピーダンス状態となり、通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとが通信可能となる。その後、通信制御回路33baは充電制限制御判定回路53bとシリアル通信を行い、充電制限制御判定回路53bに基準電位Ref12を変更する旨を通知する。そうすると、充電制限制御判定回路53bは、異常検出回路53aに使用する規定電位Vth12の値を変更するように通知し、異常検出回路53aは、規定電位Vth12の値を予め定められている値に変更する。
【0081】
また、充電制御回路3では、CPU4aから規定電位Vth13を変更する旨の通知を受けると、出力制御回路13bbが切替信号SSを出力する。そうすると、スイッチ回路5aの出力がハイインピーダンス状態となり、通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとが通信可能となる。その後、通信制御回路33baは充電制限制御判定回路53bとシリアル通信を行い、充電制限制御判定回路53bに基準電位Ref13を変更する旨を通知する。そうすると、充電制限制御判定回路53bは、異常検出回路53aに使用する規定電位Vth13の値を変更するように通知し、異常検出回路53aは、規定電位Vth13の値を予め定められている値に変更する。
【0082】
なお、本実施の形態3に係る情報機器の上記動作例では、電池装置51から機器本体1に何らかの情報を通知する必要は特に無いことから、通信制御回路33baと、充電制限制御判定回路53bとは、双方向で通信できる必要は必ずしもなく、少なくとも、通信制御回路33baから充電制限制御判定回路53bに対して情報を通知できる一方向の通信が確保されれば良い。
【0083】
また、通信制御回路33baと充電制限制御判定回路53bとが双方向で通信できる場合には、電池装置51の内部状態を機器本体1に通知しても良い。例えば、電池装置51側で、電池セル52に対する充電回数を記憶している場合には、充電制限制御判定回路53bが通信制御回路33baと通信することにより、当該充電回数を通信制御回路33baに通知することができる。その後、CPU4aが、通信制御回路33baに通知された充電回路に基づいて電池セル52の寿命を計算し、当該寿命を図示しない表示部に表示することができる。
【0084】
以上のように、本実施の形態3に係る情報機器では、機器本体1と電池装置51とがシリアル通信を行うことができることから、電池装置51側での充電保護機能を制御するだけではなく、電池装置51が行うその他の動作についても機器本体1が簡単に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1に係る情報機器の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る情報機器の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る情報機器の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る情報機器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 機器本体、2 充電回路、3 充電制御回路、3a 温度判定回路、4 内部回路、5 基準電圧回路、24,74 外部接続端子、51 電池装置、52 電池セル、53 電池保護回路、53a 異常検出回路、53e nMOSトランジスタ、54 サーミスタ素子、101 外部電源装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、充電可能な電池セルを有する、前記機器本体に着脱可能な電池装置とを備える情報機器であって、
前記機器本体は、
所定の機能を実行する内部回路と、
前記情報機器の外部から供給される電源を使用して、前記電池装置に対して充電電流を供給するとともに前記内部回路に電源を供給する充電回路と、
前記電池装置に対して前記電池セルの充電を制限する旨を通知する通知信号を出力する制御回路と
を有し、
前記電池装置は、
前記充電回路から出力される前記充電電流によって充電される前記電池セルと、
前記制御回路から前記通知信号が入力されると、前記電池装置において前記充電電流が流れる経路を遮断する保護回路と
を有する、情報機器。
【請求項2】
請求項1に記載の情報機器であって、
前記保護回路は、前記通知信号が入力されると、前記電池装置において前記電池セルの放電電流が流れる経路は維持しつつ、前記電池装置において前記充電電流が流れる経路を遮断する、情報機器。
【請求項3】
請求項1に記載の情報機器であって、
前記保護回路は、前記電池装置において前記充電電流が流れる経路を遮断するスイッチ素子を有し、
前記保護回路は、前記電池セルに対する充電異常を検出する異常検出回路をさらに有し、
前記保護回路は、前記通知信号が入力された場合のみならず、前記異常検出回路において前記電池セルに対する充電異常が検出された場合にも、前記スイッチ素子をオフ状態にする、情報機器。
【請求項4】
請求項1に記載の情報機器であって、
前記電池装置は、当該電池装置の温度に依存してその抵抗値が変化するサーミスタ素子と、当該サーミスタ素子の一端と接続された第1の外部接続端子とを有し、
前記機器本体は、前記第1の外部接続端子と接続される第2の外部接続端子をさらに有し、
前記制御回路は、抵抗素子を介して前記第2の外部接続端子に基準電位を出力する基準電圧回路と、前記抵抗素子における前記第2の外部接続端子側の一端の電位に基づいて前記電池装置の温度を判定する温度判定回路とを有し、
前記制御回路から出力された前記通知信号は、前記第1及び第2の外部接続端子を通じて、前記保護回路に入力される、情報機器。
【請求項5】
請求項1に記載の情報機器であって、
前記内部回路は、複数種類のアプリケーションソフトウェアを実行することが可能であり、
前記充電回路は、その出力電流が規定電流よりも小さくなると、その出力を停止し、
前記制御回路は、前記内部回路において所定種類の前記アプリケーションソフトウェアが実行されると、前記通知信号を出力する、情報機器。
【請求項6】
請求項1に記載の情報機器であって、
前記制御回路は、複数種類の値の制御電位を前記電池装置に出力することが可能な電圧回路を有し、
前記制御電位の前記複数種類の値のうちの一つが前記通知信号として前記電池装置の前記保護回路に入力され、
前記電池装置は、入力される前記制御電位の値に応じた機能を実行する、情報機器。
【請求項7】
請求項1に記載の情報機器であって、
前記制御回路は、前記電池装置とシリアル通信を行うことが可能であって、
前記通知信号は、前記制御回路が前記電池装置と前記シリアル通信を行うことによって、前記電池装置の前記保護回路に入力される、情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−17542(P2008−17542A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183059(P2006−183059)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】