説明

情報機器

【課題】ユーザの嗜好を満たし、使い易さ、使い勝手を向上させる。
【解決手段】複数のハードスイッチを備えた情報機器において、各ハードスイッチ(1)に対し一意的に識別情報を付与するとともに、該識別情報に対して特定の機能を設定する機能設定手段(3a)と、設定された機能を実行する実行手段(3b)と、ハードスイッチが操作されたとき、該ハードスイッチの識別情報に対して設定された機能を実行する実行手段を活性化して制御する制御手段(3c)とを備え、前記複数のハードスイッチが着脱可能に取付けられているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハードスイッチを着脱可能に取り付けるようにした情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車載装置などの情報機器は、通常、画面周囲に押しボタン式等の固定スイッチ(以下、ハードスイッチと言う)が配置されているが、小さい画面の周囲に配置できるハードスイッチの数は限定される。そのため、ナビゲーション装置などでは、例えば、目的地設定用のハードスイッチを操作して目的地設定画面に遷移した後、画面上のタッチスイッチを操作して順次設定画面を遷移させる手法をとることで、少ないハードスイッチにより諸機能を実現している。
また、ナビゲーション装置等において、限定された数のハードスイッチにより漢字、かな、カナ、アルファベット等の文字入力操作を簡単化するために、ハードスイッチの機能をロータリースイッチで切り替え可能にするものも提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−256119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の車載装置では、画面周囲に固定的にスイッチが配置されるため、デザイン的に各ユーザの好みを満たすことができない。また、ユーザによって使い易いハードスイッチの配置は異なると考えられるが、固定配置のため各ユーザの使い易さを満たすことができない。このことは、特許文献1においても同様である。
また、少ないハードスイッチでいろいろな機能を実現するため、ハードスイッチとタッチスイッチとを組み合わせる手法では、複数回の手数を要する機能が頻繁に使用する機能であっても、毎回同じ手数をかけなければその機能の実行をすることができないため、使い勝手の面で必ずしも十分とは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、ハードスイッチを着脱可能にしてその取り付け位置を変更可能にし、多種多様のスイッチを用意することでユーザの嗜好を満たすとともに、使い易さ、使い勝手を向上させることを目的とする。
本発明は、複数のハードスイッチを備えた情報機器において、各ハードスイッチに対し一意的に識別情報を付与するとともに、該識別情報に対して特定の機能を設定する機能設定手段と、設定された機能を実行する実行手段と、ハードスイッチが操作されたとき、該ハードスイッチの識別情報に対して設定された機能を実行する実行手段を活性化して制御する制御手段とを備え、前記複数のハードスイッチが着脱可能に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、ハードスイッチを着脱可能にしてその取り付け箇所を変更可能にし、多種多様のスイッチを用意することでユーザの嗜好を満たし、使い易さ、使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係る情報機器の例を示すブロック図である。本実施形態で対象とする情報機器は、ナビゲーション装置等の車載装置、小型情報端末など画面周囲に押しボタン式等のハードスイッチが複数配置され、スイッチ操作により所定の機能が実行される任意の機器である。
【0007】
1は押しボタン式等のハードスイッチ群(ハードSW1、ハードSW2……)を示し、情報機器の画面周囲に着脱可能に取付けられ、その取り付け箇所が変更可能なスイッチである。2はタッチパネルのタッチスイッチ群(タッチSW1、タッチSW2……)を示し、ハードスイッチの操作で遷移した画面上で操作されるスイッチ群である。なお、所定の機能を実行する場合には先ずハードスイッチからスタートし、順次タッチスイッチの操作画面に遷移して処理が実行される。3は中央処理装置であり、各ハードスイッチに対し一意的に識別情報(ID)を付与するとともに、識別情報に対して特定の機能を割り付けて設定する機能設定手段3a、機能設定手段で設定した機能や各スイッチに対応する機能を実行する実行手段3b、各スイッチが操作されたとき実行手段3bを活性化して制御する制御手段3cを備えている。4は記憶装置であり、機能設定手段3aで付与された識別情報と対応して割り付けられる機能との関係を記述したテーブル4a、各機能を実行するためのプログラム等が格納され、実行手段3bはこのプログラムを読み出して処理を実行することを示している。
【0008】
本実施形態では、各ハードスイッチに一意に識別情報が付与され、ハードスイッチが操作されると、制御手段3cがその識別情報に割り付けられた標準的機能を実行する実行手段(プログラム)を活性化するが、ユーザは、機能設定手段により識別情報に割り付けられた標準的機能を他の機能に変更したり、標準的機能にさらにタッチスイッチで実行される機能も加えてハードスイッチの機能を拡張することも可能である。
【0009】
以下に、ナビゲーション機能を持った車載機の例に基づいて本実施形態を詳細に説明する。
図2はナビゲーション機能を持った車載機の標準状態を示す図である。
図ではハードスイッチの機能設定画面が表示されており、画面下部に配置されている「現在地」、「メニュー」、「目的地」、……「オーディオ」の各ハードスイッチに対して、識別情報(ID)01、02、03、……06が一意に付与され、01:現在位置表示、02:メニュー画面表示、03:目的地設定画面表示、……06:オーディオ画面表示のように各IDに対して特定の機能が設定されている。なお、図示は省略しているが、「画質」スイッチは画質調整画面の表示、「情報」スイッチは、車両情報・メインメニュー・FM多重・TEL・周辺モニタ・メンテナンス等の選択画面の表示である。本実施形態では、これら各ハードスイッチは着脱可能に取り付けられている。ハードスイッチを操作すると、その識別情報に割り付けられた機能が実行され、例えば、「目的地」を操作すると目的地設定画面に遷移し、図示は省略するが、50音、電話番号、ジャンル、住所等の設定画面が表示され、タッチスイッチ操作で設定画面を順次遷移させて目的地設定が行われる。
【0010】
図3は図2の標準状態に対して左車用にハードスイッチの配置のみ変えた例を示す図である。
ハードスイッチが着脱可能に取り付けられているので、標準状態の配置に対してハードスイッチの取付け場所のみ左右入れ替えて左車用に配置替えしている。各ハードスイッチの識別情報と機能との割り付けは同じであるので、配置替えしてもハードスイッチの機能に変更は生じない。
【0011】
なお、図2、図3の例では識別情報に割り付けられる機能は同じであるが、例えば、ユーザの好みで「メニュー」スイッチの識別情報02に対してオーディオ画面表示の機能を割り付けることも可能である。この場合は「メニュー」スイッチを操作すると、オーディオ画面表示となり、オーディオの好きなユーザにとっては便利である。
【0012】
このように、各ハードスイッチを着脱可能な構造とすることでユーザの嗜好によって取り付け箇所を変更してハードウエア的な意匠を変えることができ、また、スイッチの機能を変更することで多種多様のハードスイッチを用意することが可能となり、ユーザの嗜好を満たし、使い易さ、使い勝手を向上させることができる。また、各ハードスイッチに対して一意に識別情報を付与し、識別情報と機能の割り付けをユーザが設定できるようにしておき、好みによりどの位置にハードスイッチを配置しても意図する機能を実行させることが可能となる。
【0013】
図4は識別情報に割り付ける機能を拡張する例を示す図である。
この例ではオリジナルSW1とオリジナルSW2をユーザの好みで設定した例を示している。
「現在地」のスイッチを車アイコンのオリジナルSW1として識別情報11を付与し、現在地表示の機能を割り付けることで、車アイコンボタンを操作すると現在地表示画面となり、ユーザの嗜好を満足させることが期待できる。
上記したように、ハードスイッチを操作するとこれに関連付けられたタッチパネル上の操作画面に遷移する。例えば、上記したように、「情報」スイッチを操作すると、車両情報・メインメニュー・FM多重・TEL・周辺モニタ・メンテナンス等の選択画面の表示に遷移し、ここで「TEL」を選択すると電話をかけられる画面に遷移し、例えば、119番を選択すると119番通報がされる。つまり、119番通報するためには、情報スイッチ、TELスイッチ、119番入力というように3段階の操作が必要となる。そこで、この例では、「情報」スイッチを電話アイコンのオリジナルSW2とし、識別情報12を付与して、情報画面表示にTEL、119番通報という一連の機能を割りつける。その結果、電話アイコンのオリジナルSW2を操作すると、情報スイッチ、TELスイッチ、119番入力の一連の操作をショートカットして119番通報することが可能となる。このように、ハードスイッチへのショートカットの登録により、頻繁に行う操作に関する手数の低減が可能となる。
【0014】
図5はタッチスイッチで実行される機能をハードスイッチに割り当て、表示画面上のタッチスイッチを非表示とする例を示す図である。
例えば、図5(a)においては、画面に地図が表示されており、画面下の「詳細」、「広域」タッチスイッチにより地図の縮尺を変更することが可能である。ここで、地図の縮尺を変更可能な「詳細」、「広域」ハードスイッチを設け、それぞれ一意に識別情報を付与して「詳細」、「広域」の機能を割り付けて登録すると、タッチスイッチを表示する必要が無くなるため、図5(b)に示すように表示を削除して非表示とすることができる。このように、タッチスイッチで実行される機能をハードスイッチに割り当てることで不要なタッチスイッチを無くして表示画面を有効に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】情報機器の例を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション機能を持った車載機の標準状態を示す図である。
【図3】左車用にハードスイッチの配置のみ変えた例を示す図である。
【図4】識別情報に割り付ける機能を拡張する例を示す図である。
【図5】タッチスイッチで実行される機能をハードスイッチに割り当てる例を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1…ハードスイッチ、2…タッチスイッチ、3…中央処理装置、3a…機能設定手段、3b…実行手段、3c…制御手段、4…記憶装置、4a…識別情報−機能テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハードスイッチを備えた情報機器において、
各ハードスイッチに対し一意的に識別情報を付与するとともに、該識別情報に対して特定の機能を設定する機能設定手段と、
設定された機能を実行する実行手段と、
ハードスイッチが操作されたとき、該ハードスイッチの識別情報に対して設定された機能を実行する実行手段を活性化して制御する制御手段とを備え、
前記複数のハードスイッチが着脱可能に取付けられていることを特徴とする情報機器。
【請求項2】
前記機能設定手段により、識別情報に対して設定される機能が変更可能であることを特徴とする請求項1記載の情報機器。
【請求項3】
さらに情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されるタッチスイッチとを備え、
前記機能設定手段により、前記識別情報に対してタッチスイッチの機能を追加設定可能であることを特徴とする請求項1または2記載の情報機器。
【請求項4】
ハードスイッチの機能にタッチスイッチの機能を付加して一連の操作をショートカット可能にしたことを特徴とする請求項3記載の情報機器。
【請求項5】
前記機能設定手段により、前記識別情報に対してタッチスイッチの機能を追加設定した場合、該当するタッチスイッチを非表示にすることを特徴とする請求項3記載の情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−274640(P2009−274640A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129056(P2008−129056)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】