説明

情報編集システム

【課題】映像・音声データに関する事前の内容確認や編集作業を軽快に行う。
【解決手段】記録再生装置1は、カメラ3及びマイク4と、入力した映像信号と音声信号を低圧縮する第1の映像圧縮処理部7と第1の音声圧縮処理部8と、この低圧縮データを多重化する第1の映像音声多重化処理部9と、記録メディア(ディスク11)に記録するディスク記録再生部10とを有する。さらに、入力した映像信号と音声信号を高圧縮する第2の映像圧縮処理部12と第2の音声圧縮処理部13と、この高圧縮データを多重化する第2の映像音声多重化処理部14と、この出力をアンテナ16から送信する無線伝送部15とを有する。ディスク11のデータの再生は、第1の映像音声分離部17において分離され、第1の映像伸長処理部18と第1の音声伸長処理部19で伸長され、映像信号出力部20と音声信号出力部21からモニタ22とスピーカ23とにそれぞれ出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報編集システムに関し、特に映像・音声データを編集する情報編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像音声データを記録再生する装置として、VCR(Video Cassette Recorder)やDVD(Digital Versatile Disc)レコーダー、HDD(Hard Disc Drive)レコーダー等がある(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、特許文献3では、ビデオカメラを用いた映像音声情報取材システムとその編集システムが記載されており、撮影時に各カットの代表静止画とタイムコードを記録媒体とは別のICメモリに記録して、編集作業を効率化する。
【0004】
また、映像音声の画質および音質を可能な限り維持した圧縮方式でディスクにデータを記録し、同じ映像音声をそれより高い圧縮率の圧縮方式でICメモリに記録し、記録された映像音声の編集はICメモリに記録されたデータに対して行い、その編集情報をもとにディスクに記録された映像音声を自動編集する技術もある(特許文献4)。
【特許文献1】特開平10−222890号公報
【特許文献2】特開2002−251861号公報
【特許文献3】WO97/10673号公報
【特許文献4】特開2005−259196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
VCRはテープ媒体であるためランダムアクセス性が悪く、必要なシーンを探し出したりダビングしたりするといった編集作業には大きな手間と時間を必要としていた。VCRと比較するとDVDレコーダーやHDDレコーダーはランダムアクセス性に優れ、必要なシーンの検索や編集作業が比較的スムーズに行えるようになっているが、今後、地上デジタル放送の普及等で映像のハイビジョン化が進み、記録される映像音声のデータ量は増大していく方向にあり、データ量が増加する分必要なシーンの検索や編集作業がスムーズに行えなくなる可能性がある。
【0006】
また、例えばディスクムービーで撮影した映像音声を編集する場合、ハードウェアの制約から編集に必要なワークメモリ領域やファームウェアの格納領域が限られるため、充実した編集機能を実装するのは困難で、PC(Personal Computer)の大きなワークメモリ領域と充実した編集ソフトウェアを使って編集したいといった要望がある。
【0007】
しかしながら、PCで編集を行う場合においてもハイビジョン化等で映像音声のデータ量が増大するとスムーズに編集作業が行えなくなる可能性がある。また、記録内容を容易に把握可能にするためにICメモリやRFIDタグを取り付け、そこにインデックス情報や音声情報を書き込む記録再生装置であっても、そこに記録されている情報だけを用いて映像音声の編集作業を行う事はできない。
【0008】
また、特許文献3では、
1)記録媒体が手元に無いと編集作業が出来ない。
2)編集作業はオリジナルに対して行うためデータ量の多いデータを用いて編集する事になり、編集作業が重たくなる可能性がある等の問題がある。
【0009】
さらに、特許文献4では、ICメモリに記録されたデータ量の少ない映像音声を編集することで、ディスクに記録されている高画質、高音質の映像音声を自動編集するが、ICメモリが手元にないと編集ができないという問題がある。
【0010】
本発明は、容易かつ自由度の高い情報の編集作業を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、映像音声を高画質高音質で記録媒体に記録するとともに、高圧縮に圧縮して無線送信することを特徴とする。また、無線送信した高圧縮データを編集(アフレコ含む)し、その編集情報を用いて記録媒体に記録された高画質高音質の映像音声を自動編集することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体が手元にない場合でも、記録内容の確認や編集作業ができるため、業務用途では放送取材で撮影された記録媒体が届かなくても、放送局側で事前に内容確認や編集を行うことができる。
【0013】
また家庭用としては、記録媒体をデッキにセットしなくても、内容確認や編集および記録媒体の管理を行うことができるという利便性を有する。高圧縮のデータ量の少ないデータを用いて編集作業を行うため、編集作業を軽快に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態による記録再生装置の一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、記録再生装置1は、映像・音声の入力部であるカメラ3及びマイク4と、入力した映像信号に関する処理を行なう映像信号入力処理部5及び入力した音声信号に関する処理を行なう音声信号入力処理部6と、映像信号を低圧縮する第1の映像圧縮処理部7、音声信号を低圧縮する第1の音声圧縮処理部8と、映像信号を高圧縮する第2の映像圧縮処理部12、音声信号を高圧縮する第2の音声圧縮処理部13と、を有する。
【0015】
さらに、第1の映像圧縮処理部7、第1の音声圧縮処理部8からのデータを多重化する第1の映像音声多重化処理部9と、第2の映像圧縮処理部12、第2の音声圧縮処理部13からのデータを多重化する第2の映像音声多重化処理部14と、第1の映像音声多重化処理部9からの出力を記録メディア(ディスク11)に記録する処理を行なうディスク記録再生部10と、第2の映像音声多重化処理部14からの出力をアンテナ16から送信する処理を行なう無線伝送部15と、を有している。
【0016】
一方、ディスク11のデータは、上記ディスク記録再生部10において再生のための処理が行なわれ、第1の映像音声分離部17において映像と音声と分離され、第1の映像伸長処理部18、第1の音声伸長処理部19において伸長が行なわれ、映像信号出力部20と音声信号出力部21からモニタ22とスピーカ23とにそれぞれ出力される。上記のそれぞれの動作は、システムコントロール部2において制御される。
【0017】
動作に関しては、特許文献4に記載されているため、その詳細を省略し、発明の特徴部分に焦点を当てて説明を行なうことにする。上記のように、高圧縮のデータは外部に送信し、低圧縮のデータは内蔵のディスクに保存する点に特徴がある。
【0018】
次に、ディスクへの記録時のデータ構成例について図2を参照しながら説明を行なう。適宜、図1も参照する。図2(a)、(b)は、ディスク記録データ31と、無線送信データ41との、構成と対応とを示す図である。図2(a)に示すディスク記録データ31は、低圧縮の映像データ33と低圧縮の音声データ35とがセットになった例えば時間情報により管理される編集単位37が、時間軸方向に区切られて連続した形態を有している。図2(b)に示す無線送信データ41は、高圧縮の映像データ43と高圧縮の音声データ45とがセットになり時間軸で区切られた編集単位が、時間的に連続した形態を有しており、この編集単位でシステムコントロール部2により、各種データが管理される。区切りの時間を編集情報の一部として記憶しておくことで、編集前と編集後とのデータを対応付けることができる。
【0019】
記録再生装置1は、例えばビデオムービーであり、ビデオムービーに通信インターフェイスが設けられていれば、それ単独で、インターフェイスが設けられていなければ例えば携帯電話機などを仲介して、家庭内に設置された据え置き型のPCやDVDレコーダーに高圧縮の映像データ43と高圧縮の音声データ45のセットと、編集単位に関する編集単位情報とが送られる。
【0020】
ユーザは、高圧縮の映像データ43と高圧縮の音声データ45のセットと、編集単位に関する情報とを取得するためのインターフェイスを備えた情報処理装置、例えば据え置き型のPCに送られた高圧縮の映像データ43と高圧縮の音声データ45とに基づいて、以下のように編集を行なうことができる。PCは、例えば、上記第2のインターフェイス部と、記憶部と、CPUと、データの編集のための操作を行なうための操作部と、を少なくとも備えている。
【0021】
図3は、据え置き型のPCに送られた高圧縮の映像データ43と高圧縮の音声データ45とに基づいて、記録再生装置1のディスクに記録されているデータの編集を行なう処理を示す図である。図3に示すように、無線送信データ41の高圧縮された映像データ43と高圧縮された音声データ45(上図)のうち、符号47で表されるv3、a3、v4、a4を削除する編集を行ないたい場合には、高圧縮データで編集を行う(中図)。編集前(上図)と編集後(中図)のデータとを記録再生装置1に送信し、受信側の記録再生装置で、編集後(中図)のデータとデータ構成が合うようにディスクの記録データを更新する(下図)。図2(b)に示すように、V3、A3、V4、A4を編集前後のデータ構成の差異又は編集記録(例えばV3、A3、V4、A4を削除した旨の履歴情報)等に基づいて、高圧縮データにおいて行なわれた編集処理を低圧縮データに対して反映することにより、図の例ではデータを削除することができる。据え置き型のPCで作成される編集処理に関する編集処理情報は、上記編集前と編集後の圧縮データそのもの、或いは、その差分情報、或いは、編集処理を行なった際に記録される編集処理履歴情報などのいずれかを含む。
【0022】
以上に説明したように、本実施の形態による記録再生技術によれば、外出先で映像・音声データを無圧縮又は低圧縮で例えばムービーの記録媒体(DVテープ、DVD、HDDなどを含む)に保存するとともに、同じ映像・音声データをムービー側で高圧縮処理(低容量化処理)した後に、例えば、携帯電話機や無線LANカードなどの無線通信手段を利用して自宅や仕事場の据え置き型記録再生装置(PCを含む)等に送る。このようにして、映像・音声データの確認や編集作業を自宅において高圧縮データを利用して行ない、この際の編集履歴又は編集結果に基づいて、記録媒体に格納されている低圧縮の映像・音声データの編集を行なう。低圧縮の映像・音声データの編集作業は、編集履歴又は編集結果に基づいて、ムービー側で行なっても良いし、編集履歴又は編集結果に基づいて後から取得した低圧縮の映像・音声データを編集しても良い。
【0023】
これにより、前者の場合は、ムービーの記録媒体を自宅に届けなくても、高圧縮データにより、事前に内容を確認することができるとともに、編集を行なうことができるという利便性がある。後者の場合は、例えば外出先でムービーにより取得したデータを予め勤務先に送っておき、勤務先で別の人が編集を行ない、後から勤務先に戻った際に得られる記憶媒体を上記編集結果に基づいて編集することもできる。
【0024】
また、家庭内においてシステムを組む場合にも、記憶媒体を別の機器にセットしなくても(セットしたくても、規格が異なる等の理由により元データのままでは対応がとれずにセットできない場合もある)内容確認や編集及び記憶媒体を管理することができる。このようにすると、高圧縮のデータ容量を低減したデータに基づいて編集作業を行なうことができ、装置のハードウェアの能力に依存せずに軽快な編集作業が可能になるという利点がある。
【0025】
次に、本発明の一実施の形態による記録再生技術を利用した新しい技術について図面を参照しながら説明を行なう。図4は、アフレコ編集の例を示す図である。尚、「アフレコ」とは、アフターレコーディングの略であり、映画やテレビなどで、画面に合わせて後から音声を付加する処理を指す。上記の図2に示す無線送信データ41と、アフレコ音声データ61と、を準備しておき、矢印AR1に示すように、アフレコ編集時の視聴においては、無線送信データ41から得られる映像出力63と、アフレコ音声データに基づく音声出力65と、に基づいて、編集に基づく視聴を行ない、編集処理を確定する。確定した編集処理結果に基づいて、矢印AR2に示すように、記録媒体の映像出力V1、V2、…と、アフレコ編集による音声出力A1’、A2’…と、に基づいて、自動的に編集してディスク記録データ67を得ることができる。
【0026】
このように、無線送信した高圧縮データをアフレコ編集し、その編集情報を利用して記録媒体に記録された高画質高音質の映像・音声を自動編集するため、編集作業を軽快に行なうことができるという利点がある。
【0027】
尚、上記各実施の形態においては、記録媒体には低圧縮のデータを記録する例を示したが、生データのままで記録するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、映像・音声データの編集に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態による記録再生装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図2(a)、(b)は、ディスク記録データ31と、無線送信データ41との、構成と対応とを示す図である。
【図3】据え置き型のPCに送られた高圧縮の映像データと高圧縮の音声データとに基づいて、記録再生装置のディスクに記録されているデータの編集を行なう処理を示す図である。
【図4】アフレコ編集の例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1…記録再生装置、2…システムコントロール部、3…カメラ、4…マイク、5…映像信号入力処理部、6…音声信号入力処理部、7…第1の映像圧縮処理部、8…第1の音声圧縮処理部、10…ディスク記録再生部、11…記録メディア、12…第2の映像圧縮処理部、13…第2の音声圧縮処理部、14…第2の映像音声多重化処理部、15…無線伝送部、16…アンテナ、17…第1の映像音声分離部、18…第1の映像伸長処理部、19…第1の音声伸長処理部、20…映像信号出力部、21…音声信号出力部、22…モニタ、23…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像音声データを記憶する記憶部と、前記映像音声データを圧縮するデータ圧縮部と、該データ圧縮部により圧縮された圧縮済み映像音声データと前記映像音声データとを時間軸方向の編集単位に区切って管理するデータ管理部と、圧縮された映像音声データと、前記編集単位に関する編集単位情報と、を外部に送るためのインターフェイスを形成する第1のインターフェイス部と、を有する記録装置と、
前記記録装置からデータを取得するインターフェイスを形成する第2のインターフェイス部と、該第2のインターフェイス部を介して取得した前記圧縮された映像音声データを、前記第2のインターフェイス部を介して取得した前記編集単位情報に基づいて編集するための操作を行なう操作部と、前記圧縮された映像音声データにおいて行なわれた編集処理を前記映像音声データに対して反映するための編集処理情報を作成する編集処理情報作成部と、を有する情報処理装置と
を備えたことを特徴とする情報編集システム。
【請求項2】
前記記憶部には、前記映像音声データを前記圧縮済み映像音声データよりも低圧縮処理で圧縮されたデータが記憶されることを特徴とする請求項1に記載の情報編集システム。
【請求項3】
前記編集処理情報は、編集前と編集後の圧縮データ、その差分情報、或いは、編集処理を行なった際に記録される編集処理履歴情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報編集システム。
【請求項4】
前記第1及び第2のインターフェイス部は、無線通信インターフェイスであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の情報編集システム。
【請求項5】
前記記録装置は、前記情報処理装置から返信される編集処理情報に基づいて、前記映像音声データの自動編集を行なうことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の情報編集システム。
【請求項6】
前記映像データ又は音声データのいずれか一方のみを編集してその結果を前記映像音声データの自動編集に反映させることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の情報編集システム。
【請求項7】
映像音声データを記憶する記憶部と、前記映像音声データを圧縮するデータ圧縮部と、該データ圧縮部により圧縮された圧縮済み映像音声データと前記映像音声データとを時間軸方向の編集単位に区切って管理するデータ管理部と、圧縮された映像音声データと、前記編集単位に関する編集単位情報と、を外部に送るためのインターフェイスを形成する第1のインターフェイス部と、を有する記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の記録装置からデータを取得するインターフェイスを形成する第2のインターフェイス部と、該第2のインターフェイス部を介して取得した前記圧縮された映像音声データを、前記第2のインターフェイス部を介して取得した前記編集単位情報に基づいて編集するための操作を行なう操作部と、前記圧縮された映像音声データにおいて行なわれた編集処理を前記映像音声データに対して反映するための編集処理情報を作成する編集処理情報作成部と、を有する情報処理装置。
【請求項9】
時間軸において区画されるデータの編集単位毎に管理される映像データと音声データとがセットになった映像音声データを圧縮するステップと、
圧縮された前記映像音声データを送るステップと、
送られた圧縮された前記映像音声データを前記編集単位毎に編集し、編集処理前後の差異と前記編集単位とを関連付けして得られた編集処理情報を取得するステップと、
取得した前記編集処理情報を参照して前記映像音声データを自動編集するステップと
を有することを特徴とする情報編集方法。
【請求項10】
コンピュータに請求項9に記載のステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−158757(P2007−158757A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351729(P2005−351729)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】