説明

情報表示システム

【課題】車両が特定の領域に接近或いは進入した場合に、当該車両の運行や当該車両に関する作業を行なうのに必要な情報を伝達することが出来て、しかも通信費用を増大させることがない情報表示システムの提供。
【解決手段】車両(1)に設けた情報処理用端末(2)と、車両(1)を管理するセンター(3)側の情報処理機構(30)とを備え、車両側の情報処理用端末(2)は、車両(1)の現在位置を決定する車両位置特定装置(21)と、記憶装置(22)と、センター側の情報処理機構とデータの授受を行う送受信装置(23、24)と、表示装置(25)と、制御装置(27)を有している。音声警報装置(26)を設けることも出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車等の車両の運行管理に関する。より詳細には、本発明は、車両が特定の領域に接近或いは進入した場合に、当該車両の運行や当該車両に関する作業を行なうのに必要な情報を、当該車両の運転者等に伝達するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車による搬送作業等を行なうに当たって、特定の工場や荷積み・荷卸し作業を行なう領域において、車両の運行について厳格な規制が定められている場合がある。例えば、特定の工場の構内では、車両走行速度の上限値について厳しい規制を実施しており、或いは、停車中にエンジンを停止すること(アイドリングストップ)について厳しい規制を実施しており、荷積み・荷卸しのための車両についても、当該規制の遵守を厳格に要求する様な場合が存在する。
係る厳格な規制を持つ領域に接近した場合には、車両の運転者に対して、その旨を伝達する必要がある。
【0003】
また、依頼者が定めた規制を運転者が気が付かないことや忘れてしまうことなどにより無視してしまう可能性がある。また、場合によっては、運転者が依頼者の定めた規制を軽視し、結果として無視してしまうことがないとは言い切れない。
この様に無視してしまう傾向が強い運転者に対しては、依頼者と接触する機会が多い領域に侵入する場合には、事前に注意を促し或いは警告を発しておく必要がある。
【0004】
さらに、荷積み、荷卸し作業を行なう領域で作業している作業者に対して、貨物自動車が接近した際に、その旨を伝達することが出来れば、荷積み、荷卸し作業の準備や段取りを予め行なうことにより、荷積み、荷卸し作業の効率を飛躍的に向上することが期待出来る。
【0005】
その様な事情により、車両が特定の領域に接近或いは進入した場合に、当該車両の運行や当該車両に関する作業を行なうのに必要な情報を伝達したいという要請が、従来から存在する。
係る要請に対して、車両の位置を常時把握して、事前に伝達するべき領域に接近或いは進入した際に、運転者等にメールを送信することが考えられる。しかし、車両が特定の領域に接近或いは進入する都度、その旨をメールで通信すれば、通信費用が嵩んでしまうという問題が存在する。
【0006】
その様な通信費用の問題を生じることなく、車両が特定の領域に接近或いは進入した場合に、当該車両の運行や当該車両に関する作業を行なうのに必要な情報を伝達する旨の要請については、従来から望まれているにもかかわらず、満足できる解決策は提案されていないのが実情である。
【0007】
その他にも指定された配達地点にアイテムが正しく配達されたか否かを監視する技術(例えば、特許文献1参照)や、所定の領域内の装置と選択的に通信するための技術(例えば、特許文献2参照)や、ユーザに緊急事態対応を供給する技術(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
しかし、これ等の従来技術は、何れも、上述した問題を解決するものではない。
【特許文献1】特表2008−524699号公報
【特許文献2】特表2008−519555号公報
【特許文献3】特表2007−534189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、車両が特定の領域に接近或いは進入した場合に、当該車両の運行や当該車両に関する作業を行なうのに必要な情報を伝達することが出来て、しかも通信費用を増大させることがない情報表示システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、上述した要請に応えるために、いわゆる「ジオフェンス」機能に着目した。「ジオフェンス」は、GPS機能を持つ携帯電話その他の端末をサービス対象者に携帯させ、サービス対象者が特定のエリアから逸脱した場合に、その旨を管理者へ警報するという機能である。
そして、係る機能を応用することにより、通信費用を増大させることなく、車両が特定の領域に接近或いは進入した場合に、当該車両の運行や当該車両に関する作業を行なうのに必要な情報を伝達することが出来ることを見出した。
【0010】
本発明は係る知見に基づいて創作されたものであり、本発明の情報表示システム(100)は、車両(例えば貨物用車両1)に設けた情報処理用端末(2)と、車両(1)を管理するセンター(例えば、貨物自動車の管理事務所3)側の情報処理機構(例えば、サーバーマシン30)とを備え、車両側の情報処理用端末(2)は、車両(1)の現在位置を決定する車両位置特定装置(21)と、記憶装置(22)と、センター側の情報処理機構(30)とデータの授受を行う送受信装置(送信装置23、受信装置24)と、表示装置(表示手段:例えば端末のディスプレイ部分25)と、制御装置(27)を有しており、記憶装置(22)はセンター側の情報処理機構(30)から送受信装置(23、24)を介して送信された特定の領域(5)に関する情報(例えば、規制が厳格な領域及びその近傍を示す地理情報)を記憶する機能を有しており、制御装置(27)は、車両位置特定装置(21)で決定された車両の現在位置が記憶装置(22)に記憶された特定の領域(5)或いはその近傍であるか否かを表示装置(25)に表示する機能を有していることを特徴としている(請求項1)。
【0011】
本発明の情報表示システムにおいて、前記記憶装置(22)は、車両(1)が特定の領域(5)或いはその近傍にある場合に車両(1)の運転者に表示するべき情報(例えば、規制が厳格な領域であるため車両速度に注意するべき旨や、アイドリングストップを遵守するべき旨)が、センター側の情報処理機構(30)から送受信装置(23、24)を介して受信する機能と、受信された当該情報(車両1の運転者に表示するべき情報)を記憶する機能とを有しているのが好ましい(請求項2)。
【0012】
その際に、前記記憶装置(22)は車両(1)の運転者を識別する識別情報を記憶する機能を有しており、前記車両(1)の運転者に表示するべき情報には当該情報を表示するべき運転者の識別情報が付加されており、制御装置(27)は、車両(1)の運転者の識別情報に基づいて、前記車両(1)の運転者に表示するべき情報を表示装置(25)で表示するか否かを決定する機能を有しているのが好ましい(請求項3)。
【0013】
また本発明の情報表示システムにおいて、制御装置(27)は、車両位置特定装置(21)で決定された車両(1)の現在位置が記憶装置(22)に記憶された特定の領域(5)或いはその近傍であるか否かの情報を、送受信装置(23、24)を介してセンター側の情報処理機構(30)に送信せしめる機能を有しているのが好ましい(請求項4)。
【0014】
さらに本発明の情報表示システムにおいて、前記特定の領域に第2の情報処理用端末を設けており、車両側の制御装置(27)は、車両位置特定装置(21)で決定された車両(1)の現在位置が記憶装置(22)に記憶された特定の領域(5)或いはその近傍であるか否かを前記特定の領域(5)に設けられた第2の情報処理用端末(40)に送信せしめる機能を有しており、第2の情報処理用端末(40)は車両(1)の現在位置が特定の領域(5)或いはその近傍にある旨の信号を受信した際に、その旨を表示する第2の表示装置(45)を設けているのが好ましい(請求項5)。
【0015】
本発明の実施に際して、車両(1)は1台であっても良いし、複数台であっても良い。
また、前記特定の領域(5)も単一の領域であっても、複数の領域であっても良い。それに伴い、第2の情報処理用端末(40)も1台であっても良いし、複数台であっても良い。
それに加えて、前記表示装置(25)は、前記車両(1)の運転者に表示するべき情報を、テキスト情報のみならず、音声や光によって示すことも可能である。そのため本発明において、運転者に表示するべき情報を音声で出力する音声警報装置(26)を有する様に構成することが可能である(請求項6)。
【発明の効果】
【0016】
上述する構成を具備する本発明によれば、車両(1)が特定の領域(5)或いはその近傍に進入した場合には、「車両の現在位置が特定の領域或いはその近傍である」であると判断して、車両(1)に設けられた表示装置(25)に表示されるので、運転者は、上述したような厳格な規制が存在する領域を走行する旨を理解して、当該厳格な規制に対応するような運転或いは措置(アイドリングストップ等)を行なうことが出来る。
その結果、荷主或いは依頼者等が定めた規制に違反し、或いは、当該荷主或いは依頼者等に不快感を与え、以降の作業やビジネスに悪影響を及ぼしてしまうことが、事前に防止される。
【0017】
ここで、「車両(1)の現在位置が特定の領域(5)或いはその近傍であるか否かの判断」は、GPS情報に基づいて車両(1)側の情報処理用端末(2)で行なわれ、その都度、センター側(3)からメール等を通信する必要が無い。
そのため、本発明によれば、メール等の通信費用を増大させること無く、厳格な規制が存在する領域を走行する旨を運転者に認識させることが可能となる。
【0018】
本発明において、車両(1)が特定の領域(5)或いはその近傍にある場合に車両(1)の運転者に表示するべき情報(例えば、規制が厳格な領域であるため車両速度に注意するべき旨や、アイドリングストップを遵守するべき旨)が、センター側の情報処理機構(30)から車両(1)側の情報端末(2)に送信可能に構成すれば(請求項2)、走行する領域毎に異なる規制を確実に車両(1)側で記憶し、表示装置(25)に表示させることが出来るので、荷主或いは依頼者等が定めた規制に違反してしまうことを減少させることが出来る。
【0019】
また、車両(1)の運転者により、表示装置(25)で表示するべき情報を変更可能に構成すれば(請求項3)、上述するような規制を遵守しない傾向がある運転者と、規制を遵守出来る運転者とで、表示するべき情報の内容を変化して、全ての運転者が荷主或いは依頼者等が定めた規制を遵守し易い様に調整することが出来る。
【0020】
本発明の情報表示システムにおいて、前記特定の領域(5)に設けられた第2の情報処理用端末(40)を備え、車両(1)が特定の領域(5)或いはその近傍に進入する旨を特定の領域(5)側でも把握可能に構成すれば(請求項5)、例えば、特定の領域(5)側で当該車両(1)に対して荷積み或いは荷卸しを行なう部署では、当該作業に対して荷積み・荷卸し作業を開始するべきタイミングを事前に把握することが出来る。そのため、荷積み・荷卸し作業の準備或いは段取りを、車両到着前に調えておくことが出来るので、荷積み・荷卸し作業の効率を大幅に向上することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る情報表示システムは、全体を符号100で示している。情報表示システム100は、貨物用車両(以下、「車両」と言う)1に搭載された情報処理用端末(以下、「車載端末機」と言う)2、複数の車両を管理するセンター(以下、「センター」と言う)3を有している。また、情報表示システム100は、センター3に設けたサーバーマシン30、複数の配送先4、配送先4を中心とした特定の領域(ジオフェンス)5、GPS用人工衛星7、配送拠点35を有している。
図示の実施形態およびその変形例では、センター3と配送拠点35とは別体に構成されているが、両者を一体に構成することが可能である。その場合には、例えば車両1や配送先4に送信するべき各種情報は、センター3と一体に構成された配送拠点35から(或いは、配送拠点35と一体に構成されたセンター3から)送信されることになる。
また、車両1から配送先4へ各種情報を送信する構成は、車両1からセンター3を経由して配送先4へ各種情報を送信する構成に限らず、他の構成でも良い。例えば、車両1から直接配送先4へ無線送信する構成であっても良い。
【0022】
図1において、太い点線(符号6)は、車両1が複数の配送先4を巡回しながら配送する際の配送ルートを示している。
なお、図1において、特定の領域5が複数表示されているが、単一の領域であってもよい。そして、複数の配送先4が、全て特定の領域5に含まれるとは限らない。
また、車両1は1台であっても、複数台であってもよい。そして車両1は、配送時に際して、常時全ての配送先4を循環するとは限らない。配送先4を循環している間に、配送拠点35に戻り、その後、残りの配送先4への巡回を開始する場合も存在する。
説明の便宜のため、図1において、最初の配送先4にのみ参考符号「(4A)」を付している。
【0023】
図2を参照して、車載端末機2の構成を説明する。
図2において、車載端末機2は、車両位置特定装置21、記憶装置22、送受信装置である送信装置23及び受信装置24、表示装置(以下、「モニタ」と言う)25、音声警報装置26、制御装置27を有している。
車両位置特定装置21は、例えばGPSにより構成されている。
【0024】
記憶装置22は、特定エリア記憶部分221、特定エリア内表示情報記憶部分222、端末識別情報記憶部分223を有している。
特定エリア記憶部分221は、配送先4及びその近傍における地理情報と、個々の配送先4が規制が厳格な特定の領域5に該当するか否かについての情報とを記憶している。
特定エリア内表示情報記憶部分222は、特定の領域5に関する情報を記憶する機能を有している。ここで、特定の領域5に関する情報は、例えばセンター3に設けたサーバーマシン30の図示しない送信手段から送信され、車載端末機2の受信装置24で受信される。そして、特定の領域5に関する情報としては、当該領域5における規制の内容、例えば、「域内の車両速度は15km/h以下を厳守」や、「停車中にはアイドリングストップを励行」等である。
【0025】
また、端末識別情報記憶部分223は、ドライバの識別情報、例えば識別番号(IDNo.)を記憶する機能を有すると共に、車両1が特定の領域或いはその近傍に進入した際に、車両のドライバに表示するべき情報に対して、その情報を表示するべきドライバの識別情報(例えばIDNo.)を付加する機能を有している。
制御装置27は、付加されたドライバの識別情報に基づいて、ドライバに表示するべき情報をモニタ25で表示するか否かを決定するように構成されている。
【0026】
制御装置27は、比較手段271と表示判断手段272とを有している。
そして制御装置27は、車両位置特定装置21で決定された車両の現在位置と、記憶装置22の特定エリア記憶部分221に記憶されたデータ、すなわち規制が厳格な領域及びその近傍を示す地理情報とを比較する機能と、車両1の現在位置が特定の領域5或いはその近傍であるか否かを判断する機能と、車両1が特定の領域5或いはその近傍にある場合には、その旨を表示装置25に表示する機能とを有している。
図2において、符号50は、無線通信ネットワーク(例えば携帯電話回線網やワイヤレスLAN、Bluetooth等)を示している。符号6で示す配送ルートが狭い範囲内である場合には、無線通信ネットワーク50は、例えばワイヤレスLANにより構成しても良い。
【0027】
次に、図3のフローチャートに基づいて、図1、図2をも参照して、図示の実施形態に係る情報表示システム100における制御について説明する。
図3のステップS1において、車両1のドライバは、車載端末機2により、図示を省略した入力手段、例えばモニタ25のタッチパネルのスイッチにより、端末機2の識別番号(IDNo.)、或いは、ドライバの識別番号(IDNo.)及び端末機2の識別番号(IDNo.)、等を必要に応じ入力する。
【0028】
配送拠点35を出発して配送を開始したならば(ステップS2)、配送ルート6に沿って、最初の配送先(図1の符号4A)に向かう。車両1が最初の配送先4Aに近づくと、制御装置27は、車両位置特定装置21の情報と、特定エリア記憶部分221に記憶された情報から、車両1が特定の領域5に入ったか否かを判断する(ステップS3)。
図示の実施形態では、最初の配送先4Aは、規制が厳格な特定の領域5となっている。したがって、車両1が最初の配送先4Aに接近すると、車両1が規制が厳格な特定の領域5に進入した、と判断する(ステップS3がYES)。
【0029】
車両1が特定の領域5に入ったなら(ステップS3がYES)、ステップS4に進む。
一方、車両が向かっている配送先4が、厳しい規制や特有の規制等が存在しない場合には、車両1は特定の領域5内に入っていないと判断して(ステップS3がNO)、ステップS3が「NO」のループを繰り返す。
ステップS4では、車載端末機2のモニタ25によって車両1が特定の領域5に入ったことを表示する。そして送信装置23は、センター3のサーバーマシン30に、車両1が特定の領域5に入ったことを送信する(ステップS5)。
ステップS6において、車両1が特定の領域5に入った旨を受信したサーバーマシン30は、当該特定の領域5内で車両1が遵守すべき事項、例えば、「域内の車両速度は15km/h以下を厳守」等の注意事項(エリア内での注意事項に係るデータ)を、車載端末機2の受信装置24に送信する。そして車両1は、受信装置24により、接近している配送先4A(当該特定の領域5)内で当該車両1が遵守すべき事項に係るデータを受信し、ステップS7に進む。
【0030】
ここで、後述するステップS15において、次回の配送先のデータに加え、配送先における注意事項(データ)を受信するように構成すれば、車両1が特定の領域5に入る都度、ステップS6を実行する必要はなくなる。
【0031】
ステップS7では、制御装置27は、記憶装置22の端末識別情報記憶部分223のデータ(ドライバの識別情報、例えば識別番号)とステップS1で入力された情報(ドライバの識別番号)とを比較して、現在のドライバが「特定のドライバ」であるか否かを判断する。ここで、特定のドライバとは、特定の領域5内における配送先4の規制(例えば、制限速度等)を遵守しない傾向にあるドライバを意味している。
「特定のドライバ(或いは、特定のドライバの識別番号)」であれば(ステップS7がYES)、特定の領域5内における注意事項を、「警告」という強い形式でモニタ25に表示し、且つ、音声警報装置26から「警告」(特定の領域5内における注意事項を遵守するべき旨の警告)を発生する(ステップS8)。そして、ステップS10に進む。
ここで、ステップS8においてモニタ25に表示され且つ音声警報装置26で発生される警告は、後述のステップS9における「注意」に比較して、遥かに目立つ態様となっており、ドライバの注意を惹きつけ易い様になっている。
【0032】
一方、「特定のドライバ(或いは、特定のドライバの識別番号)」でなければ(ステップS7がNO)、特定の領域5内における注意事項をモニタ25に表示し、音声警報装置26によって注意を喚起する(ステップS9)。そしてステップS10に進む。
ステップS10では、配送先4Aでの荷卸が終わり、車両1が特定の領域4Aを出たか否かを判断する。ここで、制御装置27は、車両位置特定装置21からの情報によって、車両1が特定の領域5を出たか否かを判断する。
車両1が特定の領域5を出たならば(ステップS10がYES)、ステップS11において、それまでモニタ25で表示していた内容を消去し、音声警報装置26からの注意事項の発声が終了する。
【0033】
そしてステップS12では、センター3のサーバーマシン30に車両1が特定の領域5を出たことを送信する。
ステップS13では、全ての配送先への配送が終了したか否かを判断する。この判断は、例えば、ドライバから「全ての配送作業を終了した」旨の信号が入力されたか否かにより行なわれる。
全ての配送先への配送が終了したのなら(ステップS13がYES)、制御を終了する。一方、まだ配送が残っていれば(ステップS13がNO)、ステップS14に進む。
【0034】
ステップS14では、センター3へ次の配送先に向かう旨を送信する。次の配送先に向かう旨の信号は、例えば、ドライバが車載端末機2を操作することにより、センター3に送信される。
次の配送先に向かう旨の信号がセンター3に発信されたのであれば、センター3のサーバーマシン30は、次回の配送先のデータを車載端末機2の受信装置24に送信する。
ステップS15では、車載端末機2の受信装置24は、次回の配送先のデータを受信する。そして、ステップS3まで戻り、次の配送先においてステップS3以降を繰り返す。
【0035】
図1〜図3を参照して説明した情報表示システム100によれば、車両1が特定の領域5に進入した場合には、「車両の現在位置が特定の領域或いはその近傍である」であると判断して、車両1に設けられたモニタ25に表示され、或いは、その旨の音声が音声警報装置26から発生する。
係る表示或いは音声により、ドライバは、特定の領域5、すなわち厳格な規制が存在する領域を走行する旨を理解して、当該厳格な規制に対応するような運転或いは措置(アイドリングストップ等)を行なうことが出来る。
その結果、荷主或いは依頼者等が定めた規制に違反することにより、当該荷主或いは依頼者等に不快感を与えることや、作業やビジネスに悪影響を及ぼしてしまうことが、事前に防止される。
【0036】
ここで、「車両1の現在位置が特定の領域5或いはその近傍であるか否かの判断」は、GPSの情報に基づいて車両側の車載端末機2で行なわれ、センター3からメール等を通信する必要が無い。
そのため、図1〜図3のシステム100によれば、メール等の通信費用を増大させること無く、厳格な規制が存在する領域を走行する旨をドライバに認識させることが可能となる。
図3では示されていないが、配送開始時に全ての配送先に関するデータ(注意事項等)を受信するように構成すれば、図3におけるステップS5、S6、S12、S14、S15の送受信が不要となるので、通信コストを更に削減する効果を奏する。
【0037】
図1〜図3の情報表示システム100において、車両1のドライバにより、モニタ25で表示するべき情報を変更可能に構成すれば、上述するような規制を遵守しない傾向があるドライバと、規制を遵守するドライバとで、表示するべき情報の内容を変化して、全てのドライバが荷主或いは依頼者等が定めた規制を遵守し易い様に調整することが出来る。
【0038】
次に、図4、図5を参照して、図1〜図3で示す実施形態の変形例について説明する。
図4において、図1〜図3で示す実施形態の変形例に係るシステムは、全体が符号101で示されている。
図4で示すシステム101では、配送先4には、第2の情報処理用端末機40(以下、「配送先の端末機」と言う)が備えられている。その配送先の端末機40には、第2の表示装置(配送先のモニタ)45が装備され、その配送先のモニタ45によって、車両1が特定の領域5或いはその近傍に進入する旨を特定の領域5側でも把握(表示)可能に構成している。
ここで配送先4の端末機40は、配送先4が情報を確認出来るものであれば良い。また、端末機40を固定型(例えば、デスクトップパソコンなど)または可搬型(例えば、ノートパソコンや携帯電話など)にするかは、必要に応じて決めれば良い。
なお、図4で示す車載端末機2は、図1の車載端末機2と同様である。
【0039】
図5に基づいて、図4、図2をも参照して、変形例に係る情報表示システム101の制御を説明する。
図5に基づく説明においては、図3のフローチャートと異なる点を主として説明する。そして図5において、図3で説明したのと同様な処理を行なうステップについては、図3と同様な符号を付して、重複説明を省略している。
【0040】
図5において、車両1が特定の領域5に入ったなら(ステップS3がYES)、ステップS4に進む。
一方、車両が向かっている配送先4が、厳しい規制や特有の規制等が存在しない場合には、車両1は特定の領域5内に入っていないと判断して(ステップS3がNO)、ステップS3が「NO」のループを繰り返す。
ステップS4では、車載端末機2のモニタ25によって車両1が特定の領域5に入ったことを表示する。そして送信装置23は、センター3側のサーバーマシン30及びセンター3側のサーバーマシン30を経由して配送先4の端末機40に、車両1が特定の領域5に入ったことを送信する(ステップS25)。ここで、車載端末機2の送信装置23から配送先4の端末機40へ、車両1が特定の領域5に入ったことを、直接、無線送信しても良い。
【0041】
ステップS26では、配送先の端末機40において、配送車両1が特定の領域に入ったことがモニタ45に表示される。
一方、センター3のサーバーマシン30は、車両1が特定の領域5に入った旨を受信したならば、車両1が侵入した特定の領域5内で、車両1が遵守すべき配送先のデータ、例えば、「域内の車両速度は15km/h以下を厳守」の注意事項(エリア内での注意事項に係るデータ)を車載端末機2の受信装置24に送信する。
そしてステップS6に進む。
ステップS6以降は、図3と同様である。
【0042】
配送車両1が特定の領域5に入った際に、当該領域5における配送先4の端末機40において、その旨をモニタ45に表示することにより、例えば、当該配送先4で当該車両1に対して荷積み或いは荷卸しを行なう部署では、当該作業に対して荷積み・荷卸し作業を開始するべきタイミングを事前に把握することが出来る。
そのため、荷積み・荷卸し作業の準備或いは段取りを、車両到着前に調えておくことが出来るので、荷積み・荷卸し作業の効率を大幅に向上することが可能になる。
図4、図5の変形例における上記以外の構成及び作用効果に関しては、図1〜図3の実施形態と同様である。
【0043】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る情報表示システムのブロック図。
【図2】図1の実施形態で用いられる車載端末機のブロック図。
【図3】図1の実施形態における制御を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態の変形例を示すブロック図。
【図5】図4の変形例における制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0045】
1・・・貨物用車両
2・・・情報処理用端末/車載端末機
3・・・車両を管理するセンター/センター
4・・・配送先
5・・・特定の領域
6・・・配送ルート
7・・・GPS用人工衛星
21・・・車両位置特定装置
22・・・記憶装置
23・・・送信装置
24・・・受信装置
25・・・表示装置/モニタ
26・・・音声警報装置
27・・・制御装置
30・・・センター側情報処理機構/サーバーマシン
35・・・配送拠点
50・・・無線通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けた情報処理用端末と、車両を管理するセンター側の情報処理機構とを備え、車両側の情報処理用端末は、車両の現在位置を決定する車両位置特定装置と、記憶装置と、センター側の情報処理機構とデータの授受を行う送受信装置と、表示装置と、制御装置を有しており、記憶装置はセンター側の情報処理機構から送受信装置を介して送信された特定の領域に関する情報を記憶する機能を有しており、制御装置は、車両位置特定装置で決定された車両の現在位置が記憶装置に記憶された特定の領域或いはその近傍であるか否かを表示装置に表示する機能を有していることを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、車両が特定の領域或いはその近傍にある場合に車両の運転者に表示するべき情報が、センター側の情報処理機構から送受信装置を介して受信する機能と、受信された当該情報を記憶する機能とを有している請求項1の情報表示システム。
【請求項3】
前記記憶装置は車両の運転者を識別する識別情報を記憶する機能を有しており、前記車両の運転者に表示するべき情報には当該情報を表示するべき運転者の識別情報が付加されており、制御装置は、車両の運転者の識別情報に基づいて、前記車両の運転者に表示するべき情報を表示装置で表示するか否かを決定する機能を有している請求項2の情報表示システム。
【請求項4】
前記制御装置は、車両位置特定装置で決定された車両の現在位置が記憶装置に記憶された特定の領域或いはその近傍であるか否かの情報を、送受信装置を介してセンター側の情報処理機構に送信せしめる機能を有している請求項1〜3の何れか1項の情報表示システム。
【請求項5】
前記特定の領域に第2の情報処理用端末を設けており、車両側の制御装置は、車両位置特定装置で決定された車両の現在位置が記憶装置に記憶された特定の領域或いはその近傍であるか否かを前記特定の領域に設けられた第2の情報処理用端末に送信せしめる機能を有しており、第2の情報処理用端末は車両の現在位置が特定の領域或いはその近傍にある旨の信号を受信した際に、その旨を表示する第2の表示装置を設けている請求項1〜4の何れか1項の情報表示システム。
【請求項6】
運転者に表示するべき情報を音声で出力する音声警報装置を有する請求項2〜5の何れか1項の情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−152417(P2010−152417A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323164(P2008−323164)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】