説明

情報表示システム

【課題】通常の筆記用具を用いた入力が可能で、大形のディスプレイを使用する場合でも、この大形ディスプレイの表示に対応した的確な入力を行うことのできる情報表示システムを提供する。
【解決手段】情報表示システムは、コンピュータPCと、大形のディスプレイD1と、矩形状のフレーム1に取り付けられた少なくとも一組の発光素子と受光素子を備え、上記フレーム1内の入力体に関連して生じる、上記発光素子から受光素子に到達する光の遮断を検知することにより、この入力体のフレーム1内における位置情報を出力する光学式入力手段Sと、から構成され、この光学式入力手段Sの枠内から露呈した印刷物Wの印刷を目印に、所望の部分に筆記用具P等でメモ等書き込むと、上記大形ディスプレイD1の現在の表示に対応した適切な位置に、上記メモ等の新たな情報を重ねて表示できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレゼンテーションや会議等の際に、資料等の情報を表示するのに用いられる情報表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレゼンテーションや会議等では、USBメモリ等の情報記憶媒体に予め記憶させておいた資料等の情報を、コンピュータ等を利用して、液晶パネル等の大形ディスプレイに表示し、その表示された資料等について説明等が行われる。その説明の際には、上記表示された資料等に、文字,図,印等の新たな情報を書き加えるために、入力手段(装置)として、タブレットやタッチパネル等のペン型入力デバイスが利用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記ペン型入力デバイスは、専用ペンと専用ボードとを備えており、その専用ボード上で上記専用ペンを移動させることにより、文字等の情報を入力できるようになっている。すなわち、専用ボード上での専用ペンの先端の軌跡(文字等の入力情報)を、電磁誘導や、抵抗膜方式,静電容量方式等を利用して検知し、その軌跡(電子データ)を、新たな情報として、コンピュータ等を介して上記資料等の情報(画像)に重ねて表示することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−206613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなペン型入力デバイスは、文字,図,印等を直感的に入力することができて便利ではあるものの、専用ペンと専用ボードとが必要であるため、会議等で多人数が専用ボードを利用する場合は、1本の専用ペンを順番に回すか、または、専用ペンを多数準備する必要がある。
【0006】
また、大形ディスプレイに表示される資料等に文字等の新たな情報を書き加える場合、その書き加える位置が専用ボードのどの位置に相当するか明確ではないため、一度大まかな位置を見当をつけて専用ペンを専用ボード上に位置決めし、その位置を大形ディスプレイ上に試しに表示してから、大形ディスプレイにおける目標位置とのずれを入力者が感覚的に補正し、再度位置決めし直して入力する、という手間が生じる。
【0007】
さらに、コンピュータ,電子情報機器等の操作に不慣れな人や、高齢者等を中心に、筆跡や文字等がディスプレイ等に表示される仮想表示より、紙等の媒体上に直接筆跡が残る形でメモ等を残したい、という要望が依然として根強い。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、通常の筆記用具を用いた入力が可能で、大形のディスプレイを使用する場合でも、この大形ディスプレイの表示に対応した的確な入力を行うことのできる情報表示システムの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の情報表示システムは、コンピュータと、上記コンピュータから出力された情報を表示するディスプレイと、下記(A)の枠状の入力手段とを備え、上記入力手段の枠内での入力体の軌跡を、新たな情報として上記コンピュータに入力し、その新たな情報を、上記ディスプレイに表示された情報に加えて表示するという構成をとる。
(A)矩形状のフレームと、これに取り付けられた少なくとも一組の発光素子と受光素子とから構成され、上記フレーム内に位置する入力体に関連して生じる、上記発光素子から受光素子に到達する光の遮断を検知することにより、この入力体のフレーム内における位置情報を出力する光学式入力手段。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報表示システムは、入力体の軌跡(触れ位置)の検知手段として、上記(A)の枠状の光学式入力手段を備えている。そのため、入力に専用のペンは不要であり、メモ等の入力に用いる入力体として、人の指や、通常の筆記に用いるペン等の細長い物を用いることができる。また、その入力は、大形のディスプレイとは離れた位置に配置した上記(A)の入力手段の枠内で、上記入力体を移動させて行うことができるうえ、筆記用具で書き込む際も、電磁誘導方式等のような大きな筆圧を必要とせず、触れ位置の検知手段を意識しない、自然な書き込みを行うことができる。さらに、上記光学式入力手段は、その枠内(触れ位置の検出面)に、電気的および物理的な接点がなく、耐久性に優れるうえ、埃や汚れ等の影響も受けにくいという利点を有する。
【0011】
また、本発明の情報表示システムのなかでも、上記(A)の枠状入力手段のフレームに、その枠状において互いに対向する一方の部分に複数の発光素子が並んで配置され、他方の部分に複数の受光素子が並んで配置され、各発光素子および受光素子が上記フレームの内側に向かって位置決めされ、上記発光素子から受光素子に向かって出射された光が、上記フレーム内に、縦横に交差する光の格子を形成するようになっているものは、これら発光素子(光源)として発光ダイオード(LED)等を使用し、受光素子としてフォトダイオード(PD)を用いる等、汎用的な部品を使用することができる。したがって、情報表示システムの光学式入力手段を、安価に構成できる点で有利である。また、耐衝撃性に優れ、耐久性があるというメリットがある。
【0012】
そして、本発明の情報表示システムにおいて、上記(A)の枠状入力手段のフレームの四つの角部のうち、一つの辺の両側の角部に、上記発光素子と複数の受光素子からなる受光素子アレイとを上下に重ねたモジュールがそれぞれ配置され、これらモジュールの間の上記一つの辺を除く三つの辺の内側面に、テープ状の再帰性光反射体が配設され、一方のモジュールの発光素子から出射された光が、上記再帰性光反射体により反射されて、この一方のモジュールの受光素子アレイに再帰入射するようになっているものは、より少ない部品点数で、三角測量により、上記入力体の先端の位置を特定できる。さらに、この情報表示システムの光学式入力手段も、汎用的な部品を用いて、安価に構成することができるという利点を有する。
【0013】
なお、本発明の情報表示システムにおいて、上記光学式入力手段の枠内に、上記大形のディスプレイに表示する情報と同じ情報を印刷した印刷物、または、その情報を表示する液晶パネル等の第2のディスプレイを設置している場合には、上記印刷物または第2のディスプレイの表示を目印(目安)として、上記大形ディスプレイの表示に書き加える新たな情報を入力することができるため、その新たな情報を、この大形ディスプレイの表示に対応した的確な位置に入力することができる。
【0014】
また、本発明の情報表示システムにおいて、上記光学式入力手段が、上記入力体の移動軌跡情報を電子データとして記憶する記憶手段を備えている場合は、その情報を、コンピュータ等を利用して再度引き出す(再生する)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態における情報表示システムの構成を説明する図である。
【図2】本発明の第2実施形態における情報表示システムの構成を説明する図である。
【図3】(a)は本発明の情報表示システムで使用される光学式入力手段の一実施例の構成を説明する平面図であり、(b)は(a)の一部の部分拡大断面図である。
【図4】(a)は本発明の情報表示システムで使用される光学式入力手段の他の実施例の構成を説明する平面図であり、(b)は(a)のZ部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の情報表示システムにおいて、基本的な最小限の構成からなる第1実施形態のシステム全体を説明する図である。この情報表示システムは、プレゼンテーションや会議等の際に、多くの人に情報を発信してその情報を共有するためのシステムであって、図1のように、パーソナルコンピュータPCと、このパーソナルコンピュータPCから出力された情報を表示する大形のディスプレイD1と、上記大形ディスプレイD1に表示された情報に重ねて表示する新たな情報(メモ等)を入力するための光学式入力手段Sと、その入力に用いる筆記用具P等、本発明の基本構成を備えるものである。そして、上記光学式入力手段Sは、四角枠状(矩形状)のフレーム1と、このフレーム1に取り付けられた少なくとも一組の発光素子と受光素子とから構成され(いずれも図示省略)、上記フレーム1内の入力体(筆記用具P等)に関連して生じる、上記発光素子から受光素子に到達する光の遮断を検知することにより、上記筆記用具P等のフレーム1内における位置情報を出力するとともに、この出力情報が、上記パーソナルコンピュータPCを介して、大形ディスプレイD1に表示された情報に重ねて表示されるようになっている。このように、情報表示システムの入力手段に、光学的な手法で入力情報を検知する光学式入力手段Sを用いたことが、本発明の情報表示システムの特徴である。
【0018】
上記光学式入力手段Sは、四角枠状のフレーム1と、このフレーム1に一体に形成された肉厚状の太枠部2とからなり、上記フレーム1に内蔵された少なくとも一組以上の発光素子と受光素子により、そのフレーム1内の検知領域(ワークエリア)に、筆記用具P等の先端位置を検出するための触れ位置検出手段が設けられている。なお、図1は、上記四角枠状のフレーム1の下側に、大形ディスプレイD1に表示する情報(資料)を印刷した印刷物W、あるいは、上記大形ディスプレイD1と同様の情報画面を表示する第2のディスプレイD2が配置された状態を示している。
【0019】
また、上記光学式入力手段Sは、筆記用具P等のフレーム1内における位置情報(移動軌跡)を記憶するための記憶手段Mを備えている。さらに、上記光学式入力手段Sには、入力を手動で停止するための入力操作停止スイッチQ,光学式入力手段Sが持ち上げられた場合に入力を無効にする入力禁止スイッチR,異常や警告等を表示するランプLや、これを駆動するためのバッテリ、上記発光素子および受光素子のドライバ等の制御手段、コンピュータ等の情報機器と通信するための通信手段(有線または無線)等が、肉厚状となった太枠部2等に内蔵されているが、その図示を省略している。
【0020】
上記パーソナルコンピュータPCは、プレゼンテーションや会議等で説明に用いる資料等の情報を、上記大形のディスプレイD1に出力するとともに、上記光学式入力手段Sからの情報(光学式入力手段Sで入力した文字等の情報)を、上記大形ディスプレイD1に出力する。これにより、上記大形ディスプレイD1には、上記資料等の情報に、光学式入力手段Sで入力した文字等の情報が、重ね合わせた状態で表示される。なお、上記パーソナルコンピュータPCと各機器間の情報(信号)の伝達は、接続ケーブルにより行ってもよいし、無線により行ってもよい。この実施の形態では、パーソナルコンピュータPCと大形ディスプレイD1との間の信号伝達は、接続ケーブルBで行われ、パーソナルコンピュータPCと光学式入力手段Sとの間の信号伝達は、無線通信Fで行われるようになっている。
【0021】
そして、上記パーソナルコンピュータPCには、上記光学式入力手段Sで入力した文字,図,印等の新たな情報を、その入力した位置に対応する大形ディスプレイD1上の画面位置に表示させるために、光学式入力手段Sのワークエリア(検知領域)内における筆記用具P等の先端の座標を、大形ディスプレイD1の画面上の座標に変換し、この大形ディスプレイD1への表示を指示するソフトウェア(プログラム)が組み込まれている。なお、パーソナルコンピュータPC(図1においてはノートパソコン)自身も、操作用のサブディスプレイSDを備えているため、このサブディスプレイSD上に、上記大形ディスプレイD1と同様の情報を表示することもできる。
【0022】
また、上記大形ディスプレイD1に表示する会議資料等の情報は、通常、パーソナルコンピュータPC内のメモリ,ハードディスクや、外部のUSBメモリ等の情報記憶媒体に予め記憶させておき、その情報記憶媒体から出力される。そして、上記大形ディスプレイD1に表示された、上記会議資料等の情報と、上記光学式入力手段Sから入力した文字等の情報とは、重ね合わさった状態で、あるいは、分離した状態で上記情報記憶媒体等に記憶される。
【0023】
上記大形のディスプレイD1としては、例えば、液晶パネル,有機エレクトロルミネッセンスパネル,プラズマパネル,プロジェクタや、ブラウン管モニタ等が用いられる。
【0024】
上記第1実施形態の情報表示システム(図1)を、プレゼンテーションや会議等で用いる場合、まず、準備として、大形ディスプレイD1に表示する会議資料等の情報と同じ情報を、予め紙等に、光学式入力手段Sの枠内の大きさに印刷(前記の印刷物W)しておき、その印刷物Wを光学式入力手段Sの下に設置して、上記大形ディスプレイD1に表示される資料部分に対応する印刷部分を、この光学式入力手段Sの枠内(フレーム1の内側)から露呈させる。なお、上記大形ディスプレイD1の表示を変えたり(ページをめくったり)、資料内で表示位置を移動させたりする場合は、それに合わせて、光学式入力手段Sの下に設置する印刷物Wを、対応するものに変えたり、フレーム1の位置を変えたりすることが行われる。
【0025】
ついで、この状態で、上記印刷物Wにおける光学式入力手段Sの枠内から露呈する部分に、その印刷(文字や模様等)を目印として、筆記用具P等により新たな情報(メモ等)の書き込みを行うと、上記大形ディスプレイD1の表示に追加する新たな情報を、この大形ディスプレイD1の現在の表示に対応した形で、的確な位置に入力することができる。さらに、この入力方法は、上記メモ等を、紙媒体(印刷物W)上に直接記録して残すことができるとともに、その新たな情報が書き込まれた印刷物Wを保存する等して利用することができる。
【0026】
また、上記第1実施形態の情報表示システムにおいて、上記大形ディスプレイD1に表示する会議資料等の情報と同じ情報を、上記光学式入力手段Sの枠内の大きさに合わせて表示することのできる小形の第2のディスプレイ(前記のD2)を準備し、その第2のディスプレイ(D2)を光学式入力手段Sの下に設置して、この第2のディスプレイ(D2)の表示部分(すなわち、上記大形ディスプレイD1と同じ情報画面)を、上記光学式入力手段Sの枠内から露呈させた場合も、この枠内の露呈部分に、上記第2のディスプレイ(D2)の表示を目印として、指や筆記用具P等で新たな情報(メモ等)の書き込みを行うことにより、上記大形ディスプレイD1の表示に追加する新たな情報を、この大形ディスプレイD1の現在の表示に対応した形で、的確な位置に入力することができる。
【0027】
つぎに、上記本発明の情報表示システムを、さらに大規模に構成した例を説明する。
図2は、本発明の情報表示システムを、複数台のコンピュータ(PC1,PC2)と、光学式入力手段が小形の第2ディスプレイD2とセットになったタブレット型の光学式入力手段(S1,S2,S3,S4)を複数台用いて構成した例(第2実施形態)である。なお、前記基本的なシステム構成の第1実施形態と同様の構成部材には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、この構成例では、各コンピュータPC1,PC2と大形ディスプレイD1との間の信号伝達が、有線接続(接続ケーブルB,B’)で行われ、各コンピュータPC1,PC2と光学式入力手段S1,S2,S3,S4との間の信号伝達が、無線接続(無線通信F)で行われる例を示しているが、これら各機器間の接続は有線で行っても無線で行ってもよい。
【0028】
この情報表示システムは、別の部屋や遠隔地等、離れた場所に居る複数の参加者が、会議等の際に、それぞれが入力した情報を全員で共有できるようにした大規模なシステムであって、会議の主会場等に設置される大形ディスプレイD1と、上記大形ディスプレイD1に接続され、この大形ディスプレイD1に表示する画像や入力された情報等を主として制御するホストコンピュータPC1と、上記大形ディスプレイD1およびホストコンピュータPC1から離れた場所に配置される中継用コンピュータPC2と、上記ホストコンピュータPC1あるいは中継用コンピュータPC2等に無線接続される、多数のタブレット型光学式入力手段S1,S2,S3,S4と、各光学式入力手段S1,S2,S3,S4の入力に用いる筆記用具P等を備える。
【0029】
上記タブレット型の光学式入力手段S1,S2,S3,S4は、前記基本的な構成のシステム(第1実施形態)における光学式入力手段(S)と同様、四角枠状のフレーム1と、このフレーム1に一体に形成された肉厚状の太枠部2とからなり、上記フレーム1に内蔵された少なくとも一組以上の発光素子と受光素子により、そのフレーム1内の検知領域(ワークエリア)に、筆記用具Pや指等の先端位置を検出するための触れ位置検出手段が設けられる。なお、この第2実施形態においては、光学式入力手段S1,S2,S3,S4として、図2のように、光学式入力手段S1,S2,S3,S4の各四角枠状のフレーム1の下側(裏面側)に、上記大形ディスプレイD1と同様の情報画面を表示する第2ディスプレイD2が着脱可能に取り付けられているもの(いわゆる「タブレット」型)が使用されている。
【0030】
これは、上記第2実施形態のシステム構成においては、入力端末(光学式入力手段S1,S2,S3,S4)の台数が多いことから、各端末の情報の更新方法として、前記第1実施形態において説明したような、「情報入力の都度に、光学式入力手段(S)の下に載置した印刷物(W)を差し替えていく方法」をとることが、距離的,設備的な制約や印刷のタイムラグ等により難しいためである。そのため、上記大規模なシステム構成の第2実施形態においては、各光学式入力手段S1,S2,S3,S4の情報表示に、上記第2ディスプレイD2のような、情報をリアルタイムに更新可能な表示手段が好適に採用される。勿論、差し替え等を迅速に行うことが可能であれば、上記光学式入力手段(S1,S2,S3,S4)の下に印刷物(W)を載置する方法をとってもよい。
【0031】
上記タブレット型の各光学式入力手段S1,S2,S3,S4に取り付ける第2ディスプレイD2の具体例としては、有機ELディスプレイ,液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ等、平板状で薄型のパネル状表示装置があげられる。また、上記各光学式入力手段S1,S2,S3,S4は、前記図1における光学式入力手段(S)と同様、筆記用具Pや指等のフレーム1内における位置情報(移動軌跡)を記憶するための記憶手段Mを備えている。さらに、各光学式入力手段S1,S2,S3,S4には、入力を手動で停止するための入力操作停止スイッチQ,光学式入力手段Sが持ち上げられた場合に入力を無効にする入力禁止スイッチR,異常や警告等を表示するランプLや、これを駆動するためのバッテリ、上記発光素子および受光素子のドライバ等の制御手段、コンピュータ等の情報機器と通信するための通信手段(有線または無線)等が、肉厚状となった太枠部2等に内蔵されているが、その図示を省略している。
【0032】
上記ホストコンピュータPC1は、前記第1実施形態(図1)におけるパーソナルコンピュータ(PC)と同様、プレゼンテーションや会議等で説明に用いる資料等の情報を、その資料が保存されたUSBメモリ等の記憶媒体から、上記大形のディスプレイD1に出力するとともに、上記タブレット型の各光学式入力手段S1,S2(S3,S4)からの情報(入力した文字等の情報)を、上記大形ディスプレイD1に出力する。これにより、上記大形ディスプレイD1には、上記資料等の情報に、各光学式入力手段S1,S2(S3,S4)で入力した文字等の情報が、重ね合わせた状態で表示される。
【0033】
上記中継用コンピュータPC2は、上記大形ディスプレイD1やホストコンピュータPC1等が配置された部屋(会場)から離れた別の部屋や遠隔地等に設置され、その周囲に配置された上記各光学式入力手段S3,S4からの情報(入力した文字等の情報)を、上記ホストコンピュータPC1に中継・転送する。これにより、大形ディスプレイD1やホストコンピュータPC1等から離れた場所にある各光学式入力手段S3,S4で入力した文字等の情報も、上記資料等の情報に重ね合わせた状態で、上記大形ディスプレイD1に表示される。
【0034】
そして、上記ホストコンピュータPC1および中継用コンピュータPC2には、これらに接続される上記タブレット型の各光学式入力手段S1,S2,S3,S4で入力した文字,図,印等の新たな情報を、その入力した位置に対応する、大形ディスプレイD1上の画面位置に表示させるために、これら各光学式入力手段S1,S2,S3,S4のワークエリア(検知領域)内における上記各筆記用具Pや指等の先端の座標を、対応する大形ディスプレイD1の画面上の座標に変換するソフトウェア(プログラム)が組み込まれている。
【0035】
この構成により、上記複数のタブレット型の各光学式入力手段S1,S2,S3,S4を使用した第2実施形態においても、上記各光学式入力手段S1,S2,S3,S4に装着された第2ディスプレイD2の表示を目印として、指や筆記用具P等で新たな情報(メモ等)の書き込みを行うことにより、上記大形ディスプレイD1の表示に追加する新たな情報を、この大形ディスプレイD1の現在の表示に適切に対応した形で、的確な位置に入力することができる。
【0036】
なお、上記タブレット型の各光学式入力手段S1,S2,S3,S4で入力した文字,図,印等の新たな情報は、入力に使用した光学式入力手段に装着された第2ディスプレイD2および上記大形ディスプレイD1や各コンピュータPC1,PC2のサブディスプレイSDに表示されることは勿論、入力に使用していない、その他の光学式入力手段に装着された第2ディスプレイD2にも、同時に表示されるようになっている。これにより、別の部屋や遠隔地等、離れた場所に居る複数の参加者全員が、リアルタイムで情報を共有することができる。この場合、上記新たな情報を入力した端末(光学式入力手段)あるいはその入力者が識別できるように、各光学式入力手段S1,S2,S3,S4ごとに、入力する情報(筆跡等)が異なる色で各ディスプレイに表示されるようにしてもよい。さらに、上記新たな情報を入力した端末(光学式入力手段)あるいはその入力者の識別情報(氏名等)が、ディスプレイ上の吹き出し等のコメント(ポップアップ等)により識別できるようにプログラミングしてもよい。
【0037】
また、会議等の参加者(入力者)の複数が同時に入力する等の混乱を防ぐため、例えば、上記ホストコンピュータPC1および中継用コンピュータPC2等に、各光学式入力手段S1,S2,S3,S4の入力優先権(優先入力順位)を割り振る機能を付与しておいてもよい。これにより、各参加者(入力者)のスムーズな書き込み(発言)が可能となる。
【0038】
そして、上記二つの実施の形態においては、入力者等による意図しない誤入力や空入力等を防止するため、上記各光学式入力手段SまたはS1,S2,S3,S4に、その電源をONにした状態で、各光学式入力手段SまたはS1,S2,S3,S4の入力(触れ位置検出手段による検出)のみを無効化できるスイッチ等を、入力者が操作可能な上記フレーム1上や、肉厚状となった太枠部2上等に配設してもよい(後記の図3(a)の「入力操作停止スイッチQ」を参照)。なお、上記第2ディスプレイD2を備える光学式入力手段S1,S2,S3,S4(またはS)においては、上記入力操作停止スイッチQを操作した入力停止状態においても、上記第2ディスプレイD2は影響を受けず、その表示は継続して行われる。
【0039】
さらに、各光学式入力手段SまたはS1,S2,S3,S4が、第2ディスプレイD2上、あるいは、前記情報を記載した印刷物W等の上の所定位置にきちんと載置されていない状態で、入力あるいは操作されるのを防止するため、上記フレーム1や太枠部2等の裏面側(第2ディスプレイD2や印刷物Wに接触する側)に、これら光学式入力手段SまたはS1,S2,S3,S4が浮き上がっていることを検知するためのスイッチ等を設けてもよい〔後記の図3(b)「入力禁止スイッチR」を参照)。
【0040】
つぎに、上記各実施の形態に用いられる光学式入力手段(SまたはS1,S2,S3,S4)の具体的な構成例として、直交する格子状の光の遮蔽により物体の触れ位置を検出する方式の光学式入力手段Saと、物体による光の遮蔽位置を三角測量により割り出す方式の光学式入力手段Sbの二つのタイプの光学式入力手段について説明する。
【0041】
まず、上記情報表示システムに用いられる光学式入力手段の具体的な一実施例として、光学式入力手段(S1)のフレーム1内に、発光素子(光源)として多数の発光ダイオード(LED)を並べて配置し、受光素子として多数のフォトダイオード(PD)を並べて配置することにより、光学式入力手段S1の枠内に、筆記用具Pの先端部(T)検出用の光の格子を形成する光学式入力手段Saについて述べる。
【0042】
図3(a)は、本発明の情報表示システムで使用される光学式入力手段の一実施例(Sa)の構成を説明する平面図であり、(b)は、(a)の一部の部分拡大断面図である。なお、この図においては、説明を容易にするために、フレーム1の長辺X1,X2方向を横方向(x方向)とし、フレーム1の短辺Y1,Y2方向を縦方向(y方向)とするとともに、フレーム1内側の格子状の光(不可視の赤外光)を二点鎖線で表示している。また、LED,PDの個数と格子状の光の本数は数を省略し、このフレーム1内の電気配線等を点線で表示するとともに、光学式入力手段S1を駆動するためのバッテリや、コンピュータ等の情報機器と通信するための通信手段(ケーブルまたは無線アンテナ)等は、図示を省略している(後記の図4も同様)。
【0043】
この一実施例における情報表示システムの光学式入力手段Saは、図3(a)のように、枠状のフレーム1内側の四角状の領域(ワークエリア)における筆記用具Pの先端(触れ位置T)の位置(x−y座標)を検出する触れ位置検出手段と、この触れ位置検出手段により得られた筆記用具Pの先端位置の移動軌跡情報(x−y位置の変化)を記憶するとともに、発光素子および受光素子の制御手段を兼用する記憶手段MC(内蔵)と、上記筆記用具Pによる入力を手動で停止することのできる入力操作停止スイッチQと、この光学式入力手段Saを持ち上げた場合に上記筆記用具Pによる入力を自動的に無効にする入力禁止スイッチRと、機器の異常や警告等を表示する複数のランプLと、を備える。
【0044】
光学式入力手段Saのフレーム1部分には、図3(a)のように、上記触れ位置検出手段の発光部として、そのフレーム1内に並べて配置された多数のLED3,3,・・・からなる光源が設けられており、上記各LED3が配置されたフレーム1の部位(辺X1,Y1)に対向するフレーム1部分(辺X2,Y2)には、これら各LED3に対応する多数のPD4,4,・・・からなる受光部が形成され、これら各LED3とPD4とは、上記枠状のフレーム1の内縁に沿って、その先端が内側に向くように並べて位置決めされている。そして、各LED3およびPD4のコントローラ(制御手段)を兼用する記憶手段MCの制御により、上記各LED3を一斉に、あるいは、走査方向に順次発光させることによって、フレーム1内の四角状の検知領域に、縦横に直交する光の格子(二点鎖線)が形成される。
【0045】
なお、上記発光素子(光源)として使用するLED3としては、近赤外(波長:700〜2500nm)の光を発光するタイプの赤外LED(赤外発光ダイオード)が好ましい。また、受光素子としては、上記フォトダイオード(PD)の他、多数の受光素子がバー状あるいはアレイ状に一列に並ぶリニアセンサアレイや、イメージセンサ等を用いてもよい。
【0046】
上記一実施例の光学式入力手段Saを用いた筆記用具Pの触れ位置Tの検出は、以下のような手順で行われる。すなわち、まず、校正(キャリブレーション)として、上記発光部のLED3を一つずつ(端から)順次発光させながら、このLED3に対応(対向)するPD4に到達する光(格子光)の強度を、発光時と未発光時で測定し、各PD4ごとに、遮光による物体の検知・非検知のしきい値を決定して、上記記憶手段MCにテーブル等として記憶する。ついで、上記コントローラを兼用する記憶手段MCを備える光学式入力手段Saを持ち上げ、大形ディスプレイ(D1)に表示される資料部分に対応する印刷部分がその枠内から露呈するように、この光学式入力手段Saを印刷物W上に載置する。
【0047】
つぎに、上記コントローラを兼用する記憶手段MCにより、上記各LED3を順次発光させ、光学式入力手段Saの検知領域内を走査(スキャン)した状態で、この光学式入力手段Saの枠内から露呈した上記印刷物Wの部分に、筆記用具Pの先端を降ろすと、図3(a)のように、上記枠内を通る格子状の光の一部が筆記用具Pの先端により遮断され、その遮断部分が上記触れ位置検出手段の該当PD4により検知されることにより、上記筆記用具P先端の枠内における座標位置〔x−y軸、図3(a)中の「触れ位置T」を参照〕が特定され、その座標がコンピュータ(PC)等に送信される。なお、上記光の遮断部分が検知領域内に複数(2点以上)存在すると検出された場合や、太陽光や電灯光等の影響により上記光の遮断部分が正確に検出されない場合等、筆記用具Pの先端の座標が特定できない時は、上記検知領域内の走査が中止され、前記ランプLの点灯等により、検知の異常が通知(警告)される。
【0048】
ついで、上記筆記用具Pを移動させてメモや注釈等を追記すると、その移動に伴う上記筆記用具Pの先端の軌跡(メモ等の書き込み情報)が検出され、その軌跡の座標が上記コンピュータ(PC)等に出力されるとともに、このコンピュータ(PC)内で大形ディスプレイ(D1)用に変換された情報が、その入力した位置に対応した大形ディスプレイ(D1)の画面上に、会議資料等の情報に重ね合わせた状態で、表示される。なお、上記筆記用具Pでメモ等を書き込むと同時に、そのメモ等の情報を上記コントローラを兼用する記憶手段MCのメモリ等に記録してもよい。
【0049】
なお、上記フレーム1の一部(肉厚状となった太枠部2)の上面には、先に述べた、入力操作停止用のスイッチQが配設されている〔図3(a)参照〕。この入力操作停止スイッチQは、上記触れ位置検出手段による筆記用具Pの先端等の検出を無効化するもので、そのON−OFF操作により、上記LED3の発光または上記PD4の受光を停止するか、あるいは、上記記憶手段MCにおける演算を停止する等して、上記筆記用具P等による情報入力を、入力者の任意のタイミングで停止することができる。上記入力操作停止スイッチQとしては、プッシュ,ボタン,タクト,スライド等の各種機械式スイッチの他、タッチスイッチや感圧スイッチ等、電磁式あるいは光学式スイッチを用いることができる。また、上記入力操作停止スイッチQが作動した場合に、「入力操作停止中」であることを明示するために、上記ランプLを点灯させる等の警告表示を行ってもよい。
【0050】
また、上記フレーム1の一部(肉厚状となった太枠部2)の裏面側には、先に述べた、入力禁止スイッチRが配設されている。この入力禁止スイッチRは、図3(b)の断面図に示すように、上記フレーム1の太枠部2の内部に設けられた、裏面側に向かって開口する凹部2a内に、フレーム下側に向かって配設されているもので、上記フレーム1を持ち上げる(浮かせる)ことにより、図中の仮想線(二点鎖線)に示すように、上記入力禁止スイッチRの先端が矢印方向にフレーム裏面から突出して作動する。そして、この入力禁止スイッチRの作動により、上記LED3の発光または上記PD4の受光を停止させるか、あるいは、上記記憶手段MCにおける演算を停止させるか、または、光学式入力手段全体の電源を切る方法等により、上記筆記用具P等による情報入力が(自動的に)不可能になる。これにより、上記光学式入力手段Saが宙に浮いた状態、または、印刷物W等の上の所定位置にきちんと載置されていない状態等、入力に不適切な状態で上記新たな情報が光学式入力手段Saに入力される(記憶される)のを防止することができる。また、一つの光学式入力手段Saを多人数で順次使用する場合でも、この光学式入力手段Saを人から人へ受け渡しする際の誤入力がなく、フレーム1を載置した場所で、直ぐに入力を再開することができて、便利である。なお、上記入力禁止スイッチRとしては、プッシュスイッチ等の機械式スイッチの他、感圧スイッチ等の電磁式スイッチ、あるいは、反射率や明暗等を検知する光学式スイッチ等を使用することができる。また、上記入力操作停止スイッチQの場合と同様、上記フレーム1上のランプL等を用いて、「入力禁止中」であることを警告表示してもよく、さらに注意を喚起するのであれば、アラーム等の音による警告を付加してもよい。
【0051】
上記のような一実施例における情報表示システムの光学式入力手段Saによれば、入力に専用のペンは不要であり、多人数で利用しても、不都合な点はない。また、光学式入力手段Saの枠内に露呈する印刷物Wや第2ディスプレイD2の表示を目印に、大形ディスプレイ(D1)の表示に書き加える新たな情報を、その表示に対応した的確な位置に入力することができる。さらに、入力操作停止スイッチQや入力禁止スイッチR等による誤入力回避手段を装備しているため、一つの光学式入力手段Saを多人数で使用する場合でも、誤作動等が少ない。しかも、上記一実施例の光学式入力手段Saは、発光素子(光源)として発光ダイオード(LED)等を使用し、受光素子としてフォトダイオード(PD)を用いる等、汎用的な部品を使用しているため、情報表示システムを安価に構成することができる。
【0052】
つぎに、光学式入力手段のフレーム1の二つの角部に、発光素子と受光素子アレイとからなるモジュール(C1,C2)をそれぞれ配置し、これら二つのモジュールを用いて、枠内の筆記用具Pの先端の位置を三角測量法により特定する、他の実施例の光学式入力手段Sbについて説明する。
【0053】
図4(a)は、本発明の情報表示システムで使用される光学式入力手段の他の実施例(Sb)の構成を説明する平面図であり、(b)は、(a)のZ部の部分拡大図である。なお、これらの図においても、フレーム1の長辺X1,X2方向を横方向(x方向)とし、フレーム1の短辺Y1,Y2方向を縦方向(y方向)とするとともに、前記太枠部2内に配置されるバッテリや通信手段等の図示を省略している。
【0054】
この他の実施例における情報表示システムの光学式入力手段Sbも、枠状のフレーム1内側の四角状の領域(ワークエリア)における筆記用具Pの先端(触れ位置T)の位置(x−y座標)を検出する触れ位置検出手段と、この触れ位置検出手段により得られた筆記用具Pの先端位置の移動軌跡情報(x−y位置の変化)を記憶するとともに、発光素子および受光素子の制御手段を兼用する記憶手段MC(内蔵)と、上記筆記用具Pによる入力を手動で停止することのできる入力操作停止スイッチQと、この光学式入力手段Saを持ち上げた場合に上記筆記用具Pによる入力を自動的に無効にする入力禁止スイッチRと、機器の異常や警告等を表示する複数のランプLと、を備えている。
【0055】
上記他の実施例の光学式入力手段Sbが、先の一実施例の光学式入力手段Saと異なる点は、その光学式入力手段Sbのフレーム1の四つの角部のうち、一つの辺(本例においてはX2)の両側の角部1a,1bに、図4(b)のような、発光素子(LED3)と受光素子アレイ(イメージセンサ5)とを上下に組み合わせた受発光モジュール(カメラモジュールC1,C2)がそれぞれ配置され、これらカメラモジュールC1,C2の間の上記一つの辺(X2)を除く三つの辺(X1,Y1,Y2)の内側面に、図4(a)のように、テープ状の再帰性光反射体(再帰反射テープ6)が貼り付けられている点である。なお、記憶手段MCは、上記一実施例と同様、LED3やイメージセンサ5のコントローラ(制御手段)を兼用するようになっている。
【0056】
この構成により、上記他の実施例の光学式入力手段Sbは、各カメラモジュールC1,C2の各LED3から出射された光が、上記再帰反射テープ6の反射により、出射元のカメラモジュールC1,C2に向かって再帰し、その枠内に、図4(a)に示すような、光が各カメラモジュールC1,C2ごとに波紋様に広がる、放射状の光の交差が生じる。
【0057】
なお、上記カメラモジュールC1,C2の発光素子(光源)としては、近赤外(波長:700〜2500nm)の光を発光するタイプの赤外LED(赤外発光ダイオード)が好ましい。また、受光素子としては、CCD,CMOS等のイメージセンサや、多数の受光素子が一列に並ぶCMOSリニアセンサアレイ等を用いることができる。
【0058】
また、上記フレーム1の三つの辺(X1,Y1,Y2)の内側面に取り付ける再帰性光反射体としては、マイクロプリズム式またはガラスビーズ式のどちらでもよい。さらに、上記例では、取扱いが容易なように、テープ状の成形体を用いているが、その代わりに、上記三つの辺(X1,Y1,Y2)の内側面に、光再帰性を有するの塗料等を塗布してもよい。
【0059】
上記他の実施例の光学式入力手段Sbを用いた筆記用具Pの触れ位置Tの検出は、以下のような手順で行われる。すなわち、まず、校正(キャリブレーション)として、上記カメラモジュールC1,C2の各LED3を発光させながら、各カメラモジュールC1,C2の各イメージセンサ5に再帰する光(再帰光)の強度を、発光時と未発光時で測定し、各カメラモジュールC1,C2ごとに、遮光による物体の検知・非検知のしきい値を決定して、上記記憶手段MCにテーブル等として記憶する。ついで、上記コントローラを兼用する記憶手段MCを備える光学式入力手段Sbを持ち上げ、大形ディスプレイ(D1)に表示される資料部分に対応する印刷部分がその枠内から露呈するように、この光学式入力手段Sbを印刷物W上に載置する。
【0060】
つぎに、上記コントローラを兼用する記憶手段MCにより、上記各LED3を発光させた状態で、この光学式入力手段Sbの枠内から露呈した上記印刷物Wの部分に、筆記用具Pの先端を降ろすと、図4(a)のように、上記枠内を通る交差状の光の一部が筆記用具Pの先端により遮断され、その遮断部分が上記各カメラモジュールC1,C2の該当受光素子により検知される。また、演算装置等(図示省略)を用いて、上記コントローラを兼用する記憶手段MCで検知された遮断(遮光)位置を三角測量法により求め、上記筆記用具P先端の枠内における座標位置〔x−y軸、図4(a)中の「触れ位置T」を参照〕を特定して、その座標をコンピュータ(PC)等に送信する。なお、前記格子状の光で座標を検出する光学式入力手段Saと同様、上記光の遮断部分が検知領域内に複数(2点以上)存在すると検出された場合や、太陽光や電灯光等の影響により上記光の遮断部分が正確に検出されない場合等、筆記用具Pの先端の座標が特定できない時は、上記検知領域内の走査が中止され、前記ランプLの点灯等により、検知の異常が通知(警告)される。
【0061】
そして、上記筆記用具Pを移動させてメモや注釈等を書き込むと、その移動に伴う上記筆記用具Pの先端の軌跡(メモ等の書き込み情報)が検出,演算され、その軌跡の座標が上記コンピュータ(PC)等に出力されるとともに、このコンピュータ(PC)内で大形ディスプレイ(D1)用に変換された情報が、その入力した位置に対応した大形ディスプレイ(D1)の画面上に、会議資料等の情報に重ね合わせた状態で、表示される。なお、上記筆記用具Pでメモ等を書き込むと同時に、そのメモ等の情報を上記コントローラを兼用する記憶手段MCのメモリ等に記録してもよい。
【0062】
なお、この光学式入力手段Sbも、上記一実施例の光学式入力手段Saと同様の、入力操作停止スイッチQおよび入力禁止スイッチRを備えている。また、上記入力操作停止スイッチQおよび入力禁止スイッチRが作動した場合に、「入力操作停止中」または「入力禁止中」であることを明示するために、上記ランプLを点灯させるかあるいは警告音を発する等の警告表示がなされるようになっている点も同じである。
【0063】
上記のような他の実施例における情報表示システムの光学式入力手段Sbによれば、前記一実施例の光学式入力手段Sa同様、入力操作に専用のペンが不要となり、多人数で利用しても不都合は生じない。また、光学式入力手段Sbの枠内に露呈する印刷物Wや第2ディスプレイD2の表示を目印に、大形ディスプレイ(D1)の表示に書き加える新たな情報を、その表示に対応した的確な位置に入力することができる。さらに、入力操作停止スイッチQや入力禁止スイッチR等を装備しているため、一つの光学式入力手段Sbを多人数で使用する場合でも、誤入力等が少ない。しかも、上記他の実施例の光学式入力手段Sbは、発光素子(光源)として発光ダイオード(LED)等を使用し、受光素子としてCCD,CMOS等のイメージセンサを用いる等、汎用的な部品を使用することができるため、構成する光学部品の点数が少ないことと相俟って、情報表示システムを安価に構成することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の情報表示システムは、通常の筆記用具を用いた入力が可能で、大形のディスプレイを使用する場合でも、この大形ディスプレイの表示に対応した的確な入力を行うことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 フレーム
S,Sa,Sb 光学式入力手段
S1,S2,S3,S4 光学式入力手段
W 印刷物
P 筆記用具
D1,D2 ディスプレイ
PC,PC1,PC2 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータと、上記コンピュータから出力された情報を表示するディスプレイと、下記(A)の枠状の入力手段とを備え、上記入力手段の枠内での入力体の軌跡を、新たな情報として上記コンピュータに入力し、その新たな情報を、上記ディスプレイに表示された情報に加えて表示することを特徴とする情報表示システム。
(A)矩形状のフレームと、これに取り付けられた少なくとも一組の発光素子と受光素子とから構成され、上記フレーム内に位置する入力体に関連して生じる、上記発光素子から受光素子に到達する光の遮断を検知することにより、この入力体のフレーム内における位置情報を出力する光学式入力手段。
【請求項2】
上記(A)の枠状入力手段のフレームに、その枠状において互いに対向する一方の部分に複数の発光素子が並んで配置され、他方の部分に複数の受光素子が並んで配置され、各発光素子および受光素子が上記フレームの内側に向かって位置決めされ、上記発光素子から受光素子に向かって出射された光が、上記フレーム内に、縦横に交差する光の格子を形成するようになっている、請求項1記載の情報表示システム。
【請求項3】
上記(A)の枠状入力手段のフレームの四つの角部のうち、一つの辺の両側の角部に、上記発光素子と複数の受光素子からなる受光素子アレイとを上下に重ねたモジュールがそれぞれ配置され、これらモジュールの間の上記一つの辺を除く三つの辺の内側面に、テープ状の再帰性光反射体が配設され、一方のモジュールの発光素子から出射された光が、上記再帰性光反射体により反射されて、この一方のモジュールの受光素子アレイに再帰入射するようになっている、請求項1記載の情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−212410(P2012−212410A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148177(P2011−148177)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】