情報記憶媒体および情報再生方法および情報再生装置
【課題】複数の記録層に渡って連続的に再生することを考慮せずに溝形成および番地付けがなされていたので、そのような情報記憶媒体を再生する装置の性能低下とコスト増加を招いていた。
【解決手段】光ディスクは、それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層を有する。1層目と2層目の記録層上にはトラックが形成され、該トラックに沿って複数のセクタが設けられる。1層目および2層目のトラックは螺旋状で、ディスクの同じ側から見たときに1層目および2層目の螺旋パターンの巻方向が逆向きであるように配置されている。1層目の記録層に設けられたセクタの番地は最内周から最外周へ増加し、2層目の記録層に設けられたセクタの番地は最外周から最内周に増加する。ディスクの半径方向にほぼ対応する位置にある1層目および2層目のセクタ番地は補数関係にある。
【解決手段】光ディスクは、それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層を有する。1層目と2層目の記録層上にはトラックが形成され、該トラックに沿って複数のセクタが設けられる。1層目および2層目のトラックは螺旋状で、ディスクの同じ側から見たときに1層目および2層目の螺旋パターンの巻方向が逆向きであるように配置されている。1層目の記録層に設けられたセクタの番地は最内周から最外周へ増加し、2層目の記録層に設けられたセクタの番地は最外周から最内周に増加する。ディスクの半径方向にほぼ対応する位置にある1層目および2層目のセクタ番地は補数関係にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚の円盤状の情報記憶媒体に複数の情報記憶層を備える情報記憶媒体およびその情報記憶媒体を用いてセクタ単位にデータを再生する情報再生方法および情報再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク媒体には1つの記録層しかなく、複数の記録層を持つ光ディスクは考えられていない。しかしながら、磁気記憶媒体では、通常、それぞれの磁気ディスク上に複数の記録層がある。図9にそのような磁気記憶媒体の構造を示す。通常、磁気ディスクでは、複数の円盤状磁気記憶媒体D1とD2と、4つの記録面に読取兼書込用の磁気ヘッドM1、M2、M3、M4がそれぞれ備わっている。これらの読取兼書込用磁気ヘッドM1、M2、M3、M4は、 パルスモータによって同時に回転するスイングアームA1、A2、A3、A4の一端にそれぞれ設けられている。これにより、適切な磁気ヘッドを選択するだけで、読取兼書込用記録面の切り替えを行うことができる。各記録面上には、多数の同心円状トラックが形成され、さらに各トラックは多数のセクタに分割されている。これらの各セクタは、一般に、512バイト〜2048バイトの容量を持ち、情報の記録単位として使用される。また、セクタの先頭には、トラック番号とセクタ番号とからなる番地が書き込まれている。磁気ディスクドライブ装置は、この番地情報を頼りにヘッドの位置決めを行う。トラック番号は、外周から内周へ向けて昇順に割り付けられる。
【0003】
しかしながら、従来の光ディスク媒体は、同心円状ではなく螺旋状の溝がトラックとして形成される。例えば、情報処理用に規格された光ディスク媒体(例えばISO 10090規格に準拠する90mm光磁気ディスク等)のトラック番号やセクタ番号は、トラック形状が螺旋状であることを除いて、磁気ディスクと同様に割り付けられている。
また、最初は音声記録用として開発され、後に情報処理用に転用された光ディスク媒体、即ちCD−ROMにおける各セクタの番地は、分・秒・フレームを用いて表される。
【0004】
CD−ROM等は、ディスク記憶容量を最大にするために、ディスク全面に渡って記録密度が一定になっている。また、単位時間当たりに再生される情報量を一定にするために、CLV(腺速度一定)方式でディスクを回転させる。このCLV方式では、光ヘッドによってディスク上に収束されたビームスポットが、単位時間当たりにディスク上の一定距離を走査するように、ディスク上の径方向位置に応じた可変速度でディスクを回転させる。また、ディスク全面に渡って記録密度を一定にしたディスクは、CLV方式のディスクとしても知られている。
【0005】
図10に、CLV方式のディスクのセクタ配置を示す。図10において、扇形の小片はセクタである。各セクタは螺旋状につながっている。記録密度が一定であるから、内周から外周まで、どのセクタの大きさ(容量)も同じになる。
図11に、セクタの内部構造を示す。各セクタは、セクタを一意に識別するための番地が付いたヘッダ部と、ユーザデータが記録されるデータ部と、再生時の誤りを訂正するために使用されるコードが記録されるECC(誤り訂正コード)ブロックとを含む。
【0006】
近年、動画像の圧縮技術も進み、映画館並の高画質な動画を、一枚の光ディスクに納めることが可能となってきた。このようなディスクはDVD(Digital Video Disc)として知られている。
DVDは、1枚に約135分の高画質動画を記憶することができる。しかしながら、すべての映像ソースが約135分とは限らない。そこで、一枚の光ディスクに2層の記録層を形成することにより、容量を約2倍にすることも提案されている。図12に、2層の記録層を持つ光ディスクからデータを再生する場合の原理を示し、以下に説明する。
【0007】
各々の記録層を形成する場合、透明な基板にピット列とランド列を形成し、その上にアルミニウムを被着する。1層目の記録層と2層目の記録層の間には透明な光硬化樹脂が注入される。1層目の記録層の上のアルミニウムの厚みは、入射光の半分を反射して半分を透過するように調整されている。2層目の記録層の上のアルミニウムの厚みは、入射光の全部を反射するように調整されている。レーザ光を収束する対物レンズを光ディスクに近づけたり遠ざけたりすることによって、レーザ光のビームスポット(焦点)を、1層目または2層目の記録層のアルミニウム上に収束させることができる。
【0008】
ここで、DVD媒体の各記録層に関して以下に説明する。従来の光ディスクおよび磁気ディスクと同様に、DVD媒体も情報をセクタ単位に分割して記録している。DVD媒体の各記録層のセクタ配置は、図10記載のCLV方式のディスクのセクタ配置にも似ている。各セクタの構造も、従来の情報記憶媒体と同一で、図11に示されたセクタ構造となる。
【0009】
図13A、13B、13C、13Dに、前述の2層の記録層を持つ従来の情報記憶媒体の螺旋状の溝と回転速度と再生方向とを示す。図13Aは1層目の記録層の螺旋状溝パターンを示し、図13Bは2層目の記録層の螺旋状溝パターンを示し、図13Cはディスクの回転速度を示し、図13Dはディスクの再生方向を示す。図13(d)に記載されているように、1層目および2層目の記録層のデータブロックにはユーザデータが記録される。ヘッドがデータブロックからオーバーランした時にも現在位置が確認できるように、(図13Dの斜線部で示された)導入領域と導出領域にも、セクタの番地が記録されている。
【0010】
情報記憶媒体を時計回りに回転させると、1層目および2層目の記録層は両方とも内周から外周へ再生される。また、情報記憶媒体の回転速度は半径に反比例しており、従って、ヘッドが内周から外周に向かうにつれて遅くなる。記録層の1層目から2層目に渡って再生を連続しようとすると、ヘッドを外周から内周へ移動するとともに、それと並行して媒体の回転速度を調節しなければならない。
記録層を2つ以上持つ情報記憶媒体の場合、セクタの番地付けの際に考慮しなければならない事柄が2つある。第1に、どの番地も情報記憶媒体中でただ1つあることが望ましい。もし同じ番地が1層目の記録層と2層目の記録層の両方に存在すれば、番地だけでは1層目の記録層と2層目の記録層のどちらに所望の情報が記録されているか分からないという不都合が生じる。第2に、それぞれの層に割り振られた番地を1層目の番地に容易に変換できることが望ましい。その理由は、番地は位置情報であって、目的のセクタに移動する場合、番地に基づいて移動距離を計算しなくてはならないからである。特にCLV方式の情報記憶媒体においては、ディスク一周当たりのセクタ数は、そのセクタが位置する半径に比例し、ディスク中心から数えたセクタ数は、そのセクタが位置する半径までの面積に比例する。言い換えれば、各セクタのディスク中心から数えた溝本数と番地は、平方根の関係にある。
【0011】
CLV方式のディスクを再生する装置は、目的のセクタにヘッドを位置させるのに必要な横断すべき溝本数を求めるために、この平方根の計算をしなければならない。各層の番地を1層目の番地に変換することが難しいければ、層毎に異なる平方根の計算をしなければならない。
【0012】
一般的に、光ディスク媒体の規格では、溝間隔と最内周の溝の半径に関して、中心値と偏差を規定する。従って、最内周の溝の半径に対して、最内周に位置する番地が不定であると、上述した平方根を求めるべき計算に不定項が増える。このように、各層の最内周に位置する番地が不定な場合、平方根を求めるのに必要な時間とテーブルが増える。その結果、そのようなディスクを再生する装置は、平方根を求めるのに必要なテーブル分のコスト増加と、平方根を求めるのに必要な処理時間の増大をまねく。
【0013】
従来、記憶媒体1個あたりの記録容量を増すために複数の記録層を有する光ディスクが提案されてきた。磁気ディスクの場合のように、そのような光ディスク は情報記憶媒体の両面を利用する。その一例は、日本国特開平2−103732号に開示されている。当該引用文献は、第1の側の螺旋状トラックと第2の側の螺旋状トラックを、第1の側から第2の側になめらかに連続再生できるように、逆方向にすることを開示している。
【0014】
しかしながら、従来の二重記録層タイプの光ディスクはいずれも、記録面が反対方向を向いており、両表面の反射率は同一であった。従って、両側に1個ずつ光ヘッドが設けられ、1個に再生装置に全部で2個の光ヘッドがあった。光ヘッドは一般に、光源に合った半導体レーザ発生器と、光の強度を調節するための光学装置と、集光点を調節するための電磁コイルジェネレータを備えるので、高価な装置である。従って、2重記録層タイプの従来の光ディスクに関連して使用される再生装置は、結局は非常に高価な装置である。
【0015】
光ディスクの第1ならびに第2の側用に2個の別個の光ヘッドがあるので、第1の側の表面のための第1の光ヘッドが最外周のトラックにあって、第2の側の表面のための第2の光ヘッドが最内周のトラックにあるかも知れない。また、無ジッター再生技術と呼ばれる最近の技術開発により、ディスクの回転速度が適正速度から外れた場合でも正しく再生できる。従って、第1の側から第2の側に滑らかな連続再生を行うために、内周から外周に第1のヘッドを移動した後に外周から内周に第2のヘッドを移動する、あるいはその逆を行う、すなわち、外周から内周に第1のヘッドを移動した後に内周から外周に第2のヘッドを移動す再生装置を利用することについて、従来の二重記録層タイプの光ディスクには何の制限も存在しない。第1のヘッドが内周から外周に再生し、次に第2のヘッドが内周から外周に再生することもある。
また、従来の二重記録層タイプの光ディスクにおいて、2個の個別ヘッドが必要だったので、第1の側と第2の側で同じ番地を使用することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平2−103732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記から分かるように、従来の二重記録層タイプの光ディスクでは、1個の光ヘッドだけを使って第1の側から第2の側に滑らかな連続再生を実現可能にすることは考慮されたことはなかった。従来の二重記録層タイプの光ディスクでは、第1の側から第2の側に滑らかで連続的な再生を実現するために複数の光ヘッドが設けられていた。あるいは、その解決策の1つとして、内周から外周へ、もしくはその逆にヘッドを瞬間的に移動し、同時にディスクの回転速度を変更するということがある。しかし、実際的観点から、そのような装置は実現しえない。
前述したように、従来の情報記憶媒体の問題点は、複数の記録層に渡って連続的に再生することを考慮せずに溝形成および番地付けがなされていることである。その結果、そのような情報記憶媒体を再生する装置の性能低下とコスト増加を招いていた。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述の問題を解決するために、本発明は、複数の記録層を持ち、奇数番目の層と偶数番目の層とでは、螺旋状の再生方向が逆向きである情報記憶媒体を提供する。さらに、同じ半径に位置する奇数番目の層上のセクタと偶数番目の層上のセクタとにおいて、各々に割り付けられた番地は補数関係にある。
複数の記録層を持つ情報記憶媒体からセクタ単位にデータを再生する情報再生方法は、各層の螺旋状移動方向を認識する螺旋方向認識ステップと、同じ半径に位置する奇数番目の層上のセクタと偶数番目の層上のセクタの番地として補数関係にある数字が割り付けられている情報記憶媒体に対して、複数層に渡って連続的な論理空間を与えるアドレス変換ステップと、特定番地へのアクセス距離を求める移動距離算出ステップを備える。
【0019】
複数の記録層を持つ情報記憶媒体からセクタ単位にデータを再生する本発明の情報再生装置は、各層の螺旋状移動方向を認識する螺旋方向認識手段と、同じ半径に位置する奇数番目の層上のセクタと偶数番目の層上のセクタの番地として補数関係にある数字が割り付けられている情報記憶媒体に対して、複数層に渡って連続な論理空間を与える番地変換手段と、特定番地へのアクセス距離を求める移動距離算出手段とを備える。
【0020】
本発明の一態様によれば、光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックであって、該1層目と2層目の層上の該トラックは螺旋状で、ディスクの同じ側から見たときに該1層目と2層目の層の螺旋パターンの巻方向が逆向きであるように配置されたトラックとを備える。
【0021】
本発明の別の態様によれば、光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備え、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にある。
【0022】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生方法において、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該方法は、
光ディスク上のセクタの番地の昇順方向を検出するステップと、
光ヘッド装置を層上の目標位置に移動するステップと、
該検出ステップによって検出された方向にディスクを再生するステップとを含む。
【0023】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生方法において、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該方法は、
光ヘッド装置が焦点を合わせている現在のセクタの番地を検出するステップと、
光装置が焦点を合わせている記録層の番号を検出するステップと、
検出された記録層番号が2層目のものであった場合に、検出された番地を、1層目の記録層の番地と共有の連続的な論理空間に変換するステップとを含む。
【0024】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生装置において、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該装置は、
光ディスク上のセクタの番地の昇順方向を検出する手段と、
光ヘッド装置を層上の目標位置に移動する手段と、
該検出ステップによって検出された方向にディスクを再生する手段とを含む。
【0025】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生装置が提供され、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該装置は、
光ヘッド装置が焦点を合わせている現在のセクタの番地を検出する手段と、
光装置が焦点を合わせている記録層の番号を検出する手段と、
検出された記録層番号が2層目のものであった場合に、検出された番地を、1層目の記録層の番地と共有の連続的な論理空間に変換する手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1A、図1Bは、本発明による2つの記録層の螺旋状の溝形状を示し、図1Cは、回転速度を示すグラフであり、図1Dは、本発明の第1の実施例における記録層を2つ持つ情報記憶媒体の再生方向を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例における記録層を4つ持つ情報記憶媒体の再生方向を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例における記録層を2つ持つ情報記憶媒体の番地付けを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例における記録層を4つ持つ情報記憶媒体の番地付けを示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例における情報再生装置のブロック図である。
【図6A】本発明の第3の実施例における各層の螺旋状の再生方向を認識するための演算を示すフローチャートである。
【図6B】図6A記載のフローチャートの変更態様を示すフローチャートである。
【図7A】本発明の第4の実施例により、検出されたセクタの番地を、複数層に渡って連続的な論理空間に変換する演算を示すフローチャートである。
【図7B】本発明の第4の実施例により、複数層に渡って連続的な論理空間を、セクタの番地に変換する演算を示すフローチャートである。
【図8】現在位置から目標位置へ移動する場合の光ヘッドの移動距離を算出するための演算を示すフローチャートである。
【図9】従来例における複数の記録面を持つ磁気ディスクを示す図である。
【図10】CLV(腺速度一定)方式のディスクの平面図である。
【図11】ディスクの内部セクタ構造を示す図である。
【図12】記録層を2つ持つ光ディスクを示す図である。
【図13】図13A、図13Bは、先行技術による2つの記録層の螺旋状溝を示し、図13Cは、回転速度を示す図であり、図13Dは、先行技術による記録層を2つ持つ情報記憶媒体の再生方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上記構成の手段により、複数の記録層にまたがって連続的に情報を再生できる情報記憶媒体を提供することができる。また、複数の記録層を有する情報記憶媒体の各記録層において、第n層(n≧2)上の各セクタの番地は、第1層において同一半径位置を持つセクタに付与された番地に対する補数演算を含む論理演算から与えられる。従って、複数の記録層にまたがる連続的なセクタ単位のデータ再生動作は、セクタ番号が昇順に増加する順序で再生されることになる。
さらに、複数の記録層を持つ情報記憶媒体上の螺旋状記録パターンの再生方向を認識できると情報再生装置も提供できる。情報記憶媒体の記録層毎に螺旋状記録パターンの再生方向が異なる場合、該情報再生装置は、複数の記録層に渡って連続的な論理空間を生成することもできる。
【0028】
その結果、複数の記録層に渡ってデータを連続再生できる情報再生装置を安価に高性能に提供できる。
本発明の情報記憶媒体の実施例について、図面を参照しながら以下に説明する
図1A,1B,1C,1Dは、それぞれ、情報記憶媒体すなわち光ディスクの、1層目L1と2層目L2の螺旋状の溝、回転速度、再生方向を示したものである。本発明の第1の実施例による光ディスクは、1層目および2層目の記録層L1とL2を備える。図1Aに1層目L1の螺旋状溝形状を示し、図1Bに2層目L2の螺旋状溝形状を示し、図1Cに媒体の回転速度を示し、図1Dに再生方向を示す。図1Dに示されているように、1層目L1および2層目L2のデータブロックにはユーザデータが記録されている。一方、図13Dに図示されているように、導入領域1aと導出領域1bにも、ヘッドがデータ領域からオーバーランした時にも現在位置が確認できるように、セクタ番地が記録されている。
【0029】
本発明の第1の特徴は、1層目L1上のセクタ番地Xと2層目L2上のセクタ番地X’は互いに補数関係にあることである。セクタ番地XとX’は向かい合っていることが理想であるが、本発明の目的から、セクタ番地XとX’は、最内周のトラックから数えて同じ周回のトラックにある、またはそのようなトラックの近傍にあればよい。
【0030】
第1の長所は、1層目の最外周(または最内周)セクタの番地と2層目のそれとに連続的な論理空間が得られる点である、これについては、図7Aに関連して詳しく説明する。
【0031】
第2の長所は、1層目のセクタの番地の変化率と2層目のそれとが、ディスクについて対称な関係にある点である。これについては、図8に関連して詳しく説明する。
情報記憶媒体を時計回りに回転させると、1層目の記録層L1は内周から外周へ再生される。腺速度一定(CLV)の駆動制御を利用することにより、情報記憶媒体の回転速度は、図1Cに記載のように、半径に反比例する。従って、ディスク上の与えられた半径位置にヘッドを位置決めした場合、1層目L1でも2層目L2でも同じ回転速度である。
【0032】
図1Dで示すように1層目L1から2層目L2に再生を切り替えるとき、1層目から2層目に切り替える際にディスクの回転方向を変える必要もないし、外周から内周へヘッドを移動する必要もない。
図2は、4つの記録層L1、L2、L3、L4を持つ情報記憶媒体の再生方向を示したものである。当該実施例において、1層目L1および3層目L3は内周から外周へ再生され、2層目L2および4層目L4は外周から内周へ再生される。1層目と2層目への記録層の切り替え同様に、記録層の2層目と3層目の切り替えまたは記録層の3層目と4層目の切り替えの際に、ディスクの回転方向を変える必要もないし、ヘッドの移動も必要ない。
【0033】
動画を記録するディジタルビデオディスク媒体に適用する場合、層切り替えによる遅延は画像が途切れることにつながるため、この切り替え方法の実質的効果はかなり大きい。
以上説明したように、前述の本発明の第1の実施例において、複数の記録層にまたがって連続的に情報を再生できる情報記憶媒体を提供することができる。
しかしながら、前述した1層目から2層目に渡って連続的に再生できるように記録溝を形成した情報記録媒体に対して、従来の情報記録媒体の番地付けを行うと、1層目は番地の昇順に再生され、2層目は番地の降順に再生されることになる。オーディオCDの番地付けである分・秒・フレームを例に挙げれば、2層目の記録層では曲の演奏が進むにつれて分・秒・フレームが減少することになる。
【0034】
また、(1層目の最後のセクタの次に2層目の最初のセクタを再生する場合に)1層目の最外周セクタの番地の次を2層目の最外周セクタの番地としたとすると、2層目のどのセクタの番地も一意に決まらない。例を挙げると、1層目の最外周セクタの番地をXとすると、2層目の同じ半径位置のセクタの番地はX+1となり、2層目の全てのセクタはXに依存することになる。ちなみに、オーディオCDの最外周セクタの番地は固定ではない。
【0035】
本発明の第2の特徴は、ディスクが複数の記録層を持っていて、偶数番目の層と基数番目の層で再生方向が逆向きであることである。従って、本発明によれば、図10記載のようにトラックが螺旋状に提供される場合、1層目L1と2層目L2の螺旋パターンは、図12記載のようにレーザー光線源側から見たときに、反対巻きになっている。図10の螺旋パターンを反時計方向巻きと言う。従って、図12に記載の対物レンズからディスクを見ると、1層目L1は反時計方向巻きであり、2層目L2は時計方向巻きになっている。図1Aと図1Bもこれを示す。
【0036】
本発明により前述の配置構成は、それぞれ図10に記載されているものと同様なパターンを有する2つの透明層を準備することによって実現できる。2つの層の違いは、螺旋状のトラックに沿って記録されている固有データである。例えばアルミニウム薄膜の蒸着などにより、一方の層のトラック溝がある方の表面は鏡面仕上げされ、他方の層のトラック溝がある方の表面は半鏡面仕上げされている。次に、図12のように、2つの層は、トラック溝付き面を向き合わせて、表面間に光硬化樹脂TRを堆積させて接着する。従って、ディスクがわから見ると、一方の層の螺旋は反時計巻方向で、他方の層の螺旋は時計巻方向となる。この配置構成には、次の長所がある。
【0037】
第1の長所は、一方の層の再生方向は内周から外周のトラックへ進むが、他方の層は外周から内周のトラックに進み、逆の場合も同様である点である。従って、両方の層を再生する際の光ヘッドの動きは、内周から外周へ、そして外周から内周への1往復だけでよい。
もう1つの長所は、層を成形するための型を切削する切削装置は、1つの螺旋巻方向の型だけ切削すればよい点である。前述から明らかなように、溝付き面から見たとき、1層目と2層目の螺旋巻方向は同じである。従って、層を成形するための型を切削する切削装置は、1つの螺旋巻方向の型だけを切削すればよい。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施例における2層構造の情報記憶媒体の番地付け方法を示したものである。当該実施例において、2層目のセクタの番地は、同一半径rに位置する1層目のセクタの番地Xの補数X’(プライム記号「’」は補数を示す)である。例えば、1層目L1の任意の番地が030000hの場合、これと同半径位置にある2層目のセクタは、FCFFFFh(ここで、hは16進数)である。これは次の4ステップで求めることができる。
(1) 0 3 0 0 0 0 16進
(2) 0000 0011 0000 0000 0000 0000 2進
(3) 1111 1100 1111 1111 1111 1111 ビット反転
(4) F C F F F F 16進
但し、図3の斜線部分の機能は、導入部1aと導出部1bである。
【0039】
無地部分は、1層目の導入部1aと導出部1bの間のユーザデータ領域であり、当該実施例では、1層目の最内周の半径Rinに位置するセクタの番地をXinとし、最外周の半径Routに位置するセクタの番地をXoutとする。ここで、Xin<Xoutである。1層目のセクタ番地は、内周から外周へ向かって、昇順 に付けられ、2層目のセクタ番地は、1層目の補数としたことによって、外周から内周に向かって、昇順に付けられる。従って、図1Dに示すような再生方向で各セクタのデータが再生されるとき、図7Aに関連して後に説明するように、1層目から2層目に渡って、昇順にセクタ番地が付けられることが分かる。
【0040】
なお、4層構造の情報記憶媒体のとき、各層の番地は、図2の再生方向の1往復目か2往復目かを示すビットを番地の上位に付加すればよい。
図4は、本発明の第2の実施例における4つの層L1、L2、L3、L4を備えた情報記憶媒体の番地付け方法を示したものである。この方法によれば、例えば、1層目の番地が0030000hを有するセクタと同一の半径を有する2層目、3層目および4層目のセクタの番地は、それぞれ0FCFFFFh、1030000h、1FCFFFFhの番地が付与される。
従って、図2に示すような再生方向で書くセクタのデータが再生されると、1層目から4層目に渡って、昇順にセクタ番地が付けられる。その結果、再生方向の1往復目と2往復目を示すビットと、それ以外の番地の最上位ビット(MSB)は、1層目で00b、2層目で01b、3層目で10b、4層目で11b(ここで、bは2進数を示す)となる。従って、上述した2ビットを読むことによって、セクタがどの記録層にあるか識別できる。
【0041】
以上説明したように、本発明の第2の実施例では、複数の記録層を有する情報記憶媒体の各記録層において、第n層Ln(n≧2)上の各セクタの番地は、第1層において同一半径位置を持つセクタに付与された番地に対する補数演算を含む論理演算から与えられる。従って、複数の記録層にまたがる連続的なセクタ単位で再生されるデータは、セクタ番号の昇順に再生される。
【0042】
図5は、本発明の第3の実施例における情報再生装置の一構成例を示すブロック図である。図5において、1は光ディスク、2はディスクモーター、3はレンズ、4はアクチュエータ、5はレーザ駆動回路、6は光検出器、7は移送台、8はプリアンプ、9はサーボ回路、10は二値化回路、11は復調回路、12はエラー訂正回路、13はCPU、14は回転検出信号、15はディスクモータ駆動信号、16はレーザ駆動信号、17は光検出信号、18はサーボ誤差信号、19はアクチュエータ駆動信号、20は移送台駆動信号、21はアナログデータ信号、22は二値化データ信号、23は復調データ信号、24は訂正データ信号、25は内部バスである。レンズ3、アクチュエータ4、光検出器6、レーザ駆動回路5、移送台7は、光ヘッド装置を構成する。
【0043】
CPU13は、内蔵された制御プログラムに従って、内部バス25を介して情報再生装置の全体動作を制御する。光ディスク1から反射した光は、光検出器6により光検出信号17になり、プリアンプ8によって加減算されサーボ誤差信号18とアナログデータ信号21になる。さらに、アナログデータ信号21は、二値化回路10によりA/D(アナログ/ディジタル)変換されて二値化データ信号22になり、二値化データ信号22は次に復調回路11により復調されて復調データ信号23になる。次いで、復調データ信号23は、エラー訂正回路12により誤りのない訂正データ信号24となる。サーボ誤差信号18は、サーボ回路9によりアクチュエータ駆動信号19として、アクチュエータ4にフィードバックされて、レンズ3のフォーカシング制御やトラッキング制御に利用される。
【0044】
CD−ROMドライブ等のコンピュータ周辺装置として使用されるDVD−ROMドライブの場合は、ホストインタフェース回路(図示せず)が加わり、エラー訂正回路12から訂正データ信号24を受けて、SCSI等のホストインタフェースバス(図示せず)を介して、ホストコンピュータ(図示せず)とデータをやりとりする。CDプレーヤー等のコンシューマ装置として動作するDVDプレーヤーの場合は、圧縮された動画や音声を伸張するAVデコーダー回路(図示せず)が加わり、エラー訂正回路12から訂正データ信号24を受けて、伸張した動画や音声をビデオ端子(図示せず)を介して出力する。
【0045】
本発明の第3の実施例における情報再生装置の再生手順は、2層構造で1層目と2層目の番地が補数関係にある情報記憶媒体を再生するために、次の3つの処理が必要になる。
(1)各層の螺旋記録パターンの再生方向を認識する。
(2)セクタ番地を、複数層に渡って連続的な論理空間に変換する。
(3)各層の所望の番地への移動距離を求める。
図6Aは、本発明の第3の実施例における各層の螺旋状記録パターンの再生方向を認識する螺旋方向認識手段を説明するために使用されるフローチャートである。当該実施例において、セクタ番地は再生する順番に番号を付され、光ヘッドは現時点では1層目に焦点が合っているものとする。
【0046】
当該処理の最初のステップ601で、現在位置のセクタ番地Xすなわち現在のセクタ番地を記憶する。
ステップ602で、光ヘッドを所定量だけ外周に移動する。
ステップ603で、現在位置のセクタ番地Yを記憶する。
ステップ604で、XとYを比較し、X<Yならばステップ605へ進み、そうでなければステップ606へ進む。
ステップ605で、1層目の再生方向は内周から外周と決定する。
ステップ606で、1層目の再生方向は外周から内周と決定する。
ステップ607で、サーボ回路9に対し、焦点位置を2層目に変更するように命じる。
ステップ608で、現在位置のセクタ番地Xを記憶する。
ステップ609で、光ヘッドを所定量だけ外周側に移動する。
ステップ610で、現在位置のセクタ番地Yを記憶する。
ステップ611で、番地Xと番地Yを比較して、X<Yならばステップ612に進み、X<Yでなければステップ613へ進む。
ステップ612で、1層目の再生方向は内周から外周と決定する。
ステップ613で、1層目の再生方向は外周から内周と同様に決定する。
【0047】
図6Bも、本発明の第3の実施例において、各層上の螺旋状記録パターンの再生方向を認識する螺旋方向認識手段の変更態様を説明するのに利用されるフローチャートである。当該実施例では、与えられた層上の螺旋方向が内周から外周であり、層の番地間の補数関係により、その層の番地のMSBが0であるものとし、また、光ヘッドの現在のフォーカス位置は1層目であると仮定する。同様に、与えられた層の螺旋方向が外周から内周の場合、その層のMSBは1となる。
【0048】
この処理の最初のステップ621で、MSBが0ならばステップ622に進み、MSBが1ならばステップ623に進む。
ステップ622で、1層目の再生方向は内周から外周と決定する。
ステップ623で、同様に、1層目の再生方向は外周から内周と決定する。
ステップ624で、サーボ回路9に対し、フォーカス位置を2層目に変更するように命令する。
ステップ625で、2層目の現在のセクタの番地のMSBを評価し、MSBが0であればステップ626へ、MSBが1であればステップ627へ進む。
従って、ステップ626で、2層目の再生方向は内周から外周と決定する。
同様に、ステップ627で、2層目の再生方向は外周から内周と認識する。
以上説明したように、本発明の第3の実施例によれば、複数の記録層を持つ情報記憶媒体の螺旋状記録路の再生方向を認識できる情報再生装置を提供できる。
【0049】
螺旋巻方向が検出された後、すなわち、セクタ番地の昇順が検出された後、光ヘッドは目標位置に移動される。ここで、この目標位置は、オペレータの所望目標位置と僅かに違う算出目標位置である。例えば、オペレータ所望目標位置は番地50000hのセクタだが、光ヘッドの実際の移動先となる算出目標位置は4FFF6hで、オペレータ所望目標位置より10セクタ手前にする。螺旋巻方向を検出することにより、オペレータ所望目標位置の向こうではなく手前のセクタ番地を算出できる。オペレータ所望目標位置からの最大後退量はトラック約1周分である。その後、光ヘッドが算出目標位置に移動されると、オペレータ所望目標位置の直前から再生が行われる。
【0050】
本発明は、前述の各セクタ番地のMSB値と各層の螺旋状移動方向との関係に限られるものではなく、螺旋状移動方向が内周から外周の場合にMSBが1で、螺旋状移動方向が外周から内周の場合にMSBが0であっても、同じ効果を実現できることは明白である。
図7Aと図7Bは、本発明の第3の実施例における複数層に渡って連続的な論理空間を与えるアドレス変換手段を説明するために使用されるフローチャートである。この例では、前述した通り、層における螺旋状移動方向が内周から外周の場合、層上の番地間の補数関係により、その層上の番地のMSBは0であり、逆に、螺旋状移動方向が外周から内周の場合、その層上の番地のMSBは1である。
【0051】
図7Aに、図3記載の情報記憶媒体上の変数Xによって表される番地から、連続的な論理空間、すなわち、ホストコンピュータで使用する変数Nで表される連続値へ変換するためのフローチャートを示す。ここで、変数Xは光ディスクに書き込まれている実際のセクタ番地を表し、変数Nは再生装置のホストコンピュータで利用するための変換セクタ番地を表す。また、以下に示す計算において、定数Xinは最内周のセクタの番地を表し、定数Xout’はXoutの補数を表す。定数Xinはゼロ以外の数字であるが、030000hといった所定の数字に設定される。定数XoutとXinは、光ディスクの導入部に前もって記憶されており、ディスク挿入時に装置が削除できる。
【0052】
最初のステップ701で、光ヘッドが現在位置している現在のセクタの番地を読み出し、その番地を変数Xに設定する。
次のステップ702で、変数XのMSBを評価し、MSBが0であればステップ704へ、MSBが1であればステップ703へ進む。
ステップ703で、変数Xに、(2×Xout+2)を加える。(−Xout’= Xout +1であるので、X×X− Xout’+ Xout+1は、X×X+Xout+1+ Xout+1と同じなので、計算が簡略化できる。)
ステップ704で、変数Nに、差値(変数X−Xin)を代入する。
【0053】
図7Aのフローチャートに従って求められた変数Nは、1層目および2層目の斜線部に挟まれる無地の領域において、0から始まる連続的な番地になる。従って、ホストコンピュータは、これら2層を有するディスクのことを、1層で容量が2倍のディスクと見なしうる。言い換えると、ホストコンピュータは、第1層の最外周のセクタの番地と第2層のそれとを、間に隔たりのない引き続いた連続数として認識する。
【0054】
そのような計算の例を、最外周のセクタの番地XoutとXout’について以下に詳しく示す。まず、
Xin = 030000h
および
Xout = 060000h
とする。
Xout’はXoutの補数であるので、Xout’は次式(1)により算出できる。
Xout’ = 1000000h-1-060000h = F9FFFFh (1)
第1の側の番地データを処理するために、ステップ701、702、および704で演算を実施する場合、ステップ704で次の計算(2)を行う。但し、現在のヘッド位置はXoutにあるものとする。
N = Xout’-Xin-060000h-030000h = 030000h (2)
これは、ホストコンピュータでは、ディスクの第1の側の最外周のセクタの番地は030000hであると認識されることを示すものである。
【0055】
第2の側の番地データを処理するために、ステップ701、702、および704で演算を実施する場合、ステップ704で次の計算(3)を行う。但し、現在のヘッド位置はXout’にあるものとする。
N = Xout’+(2×Xout+2)-Xin
= F9FFFFh+060000h+060000h+2-030000h
= FFFFFFh+060000h+2-030000h
= 105FFFFh+2-030000h
(第1項のMSBはオーバーフローする。)
= 060001h-030000h = 030001h (3)
これは、ホストコンピュータでは、ディスクの第2の側の最外周のセクタの番地は030001hであると認識されることを示すものである。このように、式(2)と式(3)から、コンピュータでは、すなわち連続する論理空間においては、第1の側と第2の側の最外周のセクタの番地は、連続する数字として認識されることが分かる。
【0056】
図7Aは、Nで表される連続的な論理空間から、図2記載の情報記憶媒体のXで表される特定セクタ番地へ変換するためのフローチャートである。
ステップ711で、変数Xに、(N+Xin)の値を代入する。
ステップ712で、変数Xを評価し、Xoutよりも大きければステップ712へ進み、そうでなければ処理を終了する。
ステップ713で、変数Xを差値(X−(2×Xout+2))に代入する。
図7Bのフローチャートに従って求められた変数Xは、図3記載の情報記憶媒体のセクタ番地になる。
以上説明したように、本発明の第3の実施例によれば、一層おきに螺旋状の再生方向が異なる情報記憶媒体上に、複数の記録層に渡って連続的な論理空間を生成できる情報再生装置を提供できる。
【0057】
本発明は、前述の各セクタ番地のMSB値と各層の螺旋状移動方向との関係に限られるものではなく、螺旋状移動方向が内周から外周の場合にMSBが1で、螺旋状移動方向が外周から内周の場合にMSBが0であっても、同じ効果を実現できることは明白である。
CLV方式における番地と溝位置の関係について述べる。
情報記憶媒体の全面に渡って溝幅dが一定であるから、最内周から数えた溝本数Tと半径rとは、1層目において下記の(式1)の関係が成り立つ。
T=(r-Rin)/d (1)
次に、 rを半径、(X−Xin)を内周にある番地Xinと現在の番地Xとの番地差値とすると、情報記憶媒体の全面に渡って記録密度一定であるから、 1層目において式(5)の右辺から求められる面積と左辺から求められる面積は等しい。
(X-Xin)×s×d=π×(r×r-Rin×Rin) (5)
ここで、sはセクタ長、dは溝幅、πは円周率である。式(4)と式(5)から半径rを消去すると、最内周から数えた溝本数Tと番地Xとは、1層目において下記の(式3)の関係が成り立つ。
T=[{(y-Xin)×s×d÷π)+Rin×Rin}1/2-Rin]÷d (6)
【0058】
第1層および第2層について式(5)が満たされるのは、図3のように、1層目のセクタの番地の変化率と2層目のそれとが、ディスクについて対称な関係にある場合のみである。1層目と2層目のセクタ番地の変化率を同じにするには、1層目と2層目のセクタ番地が互いに補数関係であるように選択しなくてはならない。
【0059】
図8は、本発明の第3の実施例における所望の番地への移動距離を求める移動距離算出手段を示すフローチャートである。この例では、層における螺旋状移動方向が内周から外周の場合、その層上の番地のMSBは0であるとし、また、層における螺旋状移動方向が外周から内周の場合、その層上の番地のMSBは1であるとする。更に、光学ヘッドの移動先の所望のセクタの番地はCPU13により変数zとして算出されているものとする。
【0060】
この処理の最初のステップ801で変数ZのMSBを評価し、MSBが0ならばステップ802へ、MSBが1ならばステップ803へ進む。
ステップ802で、変数Xに、変数Zを代入する。
ステップ803で、変数Xに、変数Zの補数を代入する。
ステップ804で、式(6)に基づいて求めた値Tを、目的の溝番号W(最内周から数えた溝の本数)とする。
ステップ805で、現セクタの番地を読み出し、変数Xに設定する。
ステップ806で、変数Xと変数WのMSB値を比較し、XとZが等しければステップ811へ、そうでなければステップ807へ進む。
ステップ807で、変数XのMSBが0ならばステップ808へ、MSBが1ならばステップ809へ進む。
ステップ808では、サーボ回路9に対して、2層目にフォーカス位置を移動するように命令する。
ステップ809では、サーボ回路9に対して、1層目にフォーカス位置を移動するように命令する。
ステップ810で、現セクタの番地を読み出し、変数Xに設定する。
ステップ811で、変数XのMSBが0ならばステップ813へ、MSBが1ならばステップ(812)へ進む。
ステップ812で、変数Xに、Xの補数を代入する。
ステップ813で、式(6)に基づいて求めた値Tを、現在の溝番号Vとする。
ステップ814で、移動溝本数U(磁気ヘッドが移動しなければならない溝の本数)に、次の差値
(目的溝番号W)−(現在溝番号V)
を代入する。
【0061】
従って、番地のMSBから移動先が1層目か2層目かを判断し、移動先が2層目の場合は番地の補数を求めることにより、共通の演算を利用して1層目と2層目で溝本数を計算できる。平方根を含む式(6)のような方法には、テーブルを用いるもの、近似式を用いるもの、ニュートン法を用いるもの等がある。どの方法を採用したとしても、番地の補数関係を利用するので、複数の層の番地を共通の演算を使って求めることができ、それによってCPU13に内蔵するプログラムを小さくでき、高速に実行できる。
【0062】
以上説明したように、本発明の第3の実施例により、螺旋状の再生方向が一層おきに異なる情報記憶媒体上の特定番地へ移動可能な情報再生装置を提供できる。
本発明は、前述した各セクタの番地のMSB値と各層における螺旋状移動方向の関係に限定されるものではなく、螺旋状移動方向が内周から外周の場合にMSBが1で、螺旋状移動方向が外周から内周の場合にMSBが0であっても、同じ効果を実現できることは明白である。
以上説明したように、複数の記録層にまたがって連続に再生できる情報記憶媒体を提供することができる。
【0063】
また、複数の記録層を有する情報記憶媒体の各記録層において、n番目の層Ln(n≧2)上の各セクタの番地は、第1層において同一半径位置を持つセクタの番地に対する補数演算を含む論理演算から与えられる。従って、複数の記録層にまたがる連続的なセクタ単位のデータ再生動作は、セクタ番号が昇順に増加する順序で再生されることになる。
さらに、複数の記録層を持つ情報記憶媒体上の螺旋状の再生方向を認識できる情報再生装置も提供できる。情報記憶媒体の記録層毎に螺旋状の再生方向が異なる場合、前述の情報再生装置は、複数の記録層に渡って連続的な論理空間を生成し、情報記憶媒体上の所望番地へ移動することも可能である。
【0064】
結果として、複数の記録層に渡って連続して再生する情報再生装置を安価で高性能に提供することができる。
以上、本発明について説明したが、同は種々の方法で変更可能である。そのような変更態様は、本発明の精神ならびに適用範囲から逸脱するものではなく、当業者にとって自明な、そのような変更態様はいずれも、以下の請求の範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、情報記憶媒体および情報再生方法および情報再生装置に関する。
【符号の説明】
【0066】
1:光ディスク
2:ディスクモーター
5:レーザ駆動回路
6:光検出器
7:移送台
8:プリアンプ
9:サーボ回路
10:二値化回路
11:復調回路
12:エラー訂正回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚の円盤状の情報記憶媒体に複数の情報記憶層を備える情報記憶媒体およびその情報記憶媒体を用いてセクタ単位にデータを再生する情報再生方法および情報再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク媒体には1つの記録層しかなく、複数の記録層を持つ光ディスクは考えられていない。しかしながら、磁気記憶媒体では、通常、それぞれの磁気ディスク上に複数の記録層がある。図9にそのような磁気記憶媒体の構造を示す。通常、磁気ディスクでは、複数の円盤状磁気記憶媒体D1とD2と、4つの記録面に読取兼書込用の磁気ヘッドM1、M2、M3、M4がそれぞれ備わっている。これらの読取兼書込用磁気ヘッドM1、M2、M3、M4は、 パルスモータによって同時に回転するスイングアームA1、A2、A3、A4の一端にそれぞれ設けられている。これにより、適切な磁気ヘッドを選択するだけで、読取兼書込用記録面の切り替えを行うことができる。各記録面上には、多数の同心円状トラックが形成され、さらに各トラックは多数のセクタに分割されている。これらの各セクタは、一般に、512バイト〜2048バイトの容量を持ち、情報の記録単位として使用される。また、セクタの先頭には、トラック番号とセクタ番号とからなる番地が書き込まれている。磁気ディスクドライブ装置は、この番地情報を頼りにヘッドの位置決めを行う。トラック番号は、外周から内周へ向けて昇順に割り付けられる。
【0003】
しかしながら、従来の光ディスク媒体は、同心円状ではなく螺旋状の溝がトラックとして形成される。例えば、情報処理用に規格された光ディスク媒体(例えばISO 10090規格に準拠する90mm光磁気ディスク等)のトラック番号やセクタ番号は、トラック形状が螺旋状であることを除いて、磁気ディスクと同様に割り付けられている。
また、最初は音声記録用として開発され、後に情報処理用に転用された光ディスク媒体、即ちCD−ROMにおける各セクタの番地は、分・秒・フレームを用いて表される。
【0004】
CD−ROM等は、ディスク記憶容量を最大にするために、ディスク全面に渡って記録密度が一定になっている。また、単位時間当たりに再生される情報量を一定にするために、CLV(腺速度一定)方式でディスクを回転させる。このCLV方式では、光ヘッドによってディスク上に収束されたビームスポットが、単位時間当たりにディスク上の一定距離を走査するように、ディスク上の径方向位置に応じた可変速度でディスクを回転させる。また、ディスク全面に渡って記録密度を一定にしたディスクは、CLV方式のディスクとしても知られている。
【0005】
図10に、CLV方式のディスクのセクタ配置を示す。図10において、扇形の小片はセクタである。各セクタは螺旋状につながっている。記録密度が一定であるから、内周から外周まで、どのセクタの大きさ(容量)も同じになる。
図11に、セクタの内部構造を示す。各セクタは、セクタを一意に識別するための番地が付いたヘッダ部と、ユーザデータが記録されるデータ部と、再生時の誤りを訂正するために使用されるコードが記録されるECC(誤り訂正コード)ブロックとを含む。
【0006】
近年、動画像の圧縮技術も進み、映画館並の高画質な動画を、一枚の光ディスクに納めることが可能となってきた。このようなディスクはDVD(Digital Video Disc)として知られている。
DVDは、1枚に約135分の高画質動画を記憶することができる。しかしながら、すべての映像ソースが約135分とは限らない。そこで、一枚の光ディスクに2層の記録層を形成することにより、容量を約2倍にすることも提案されている。図12に、2層の記録層を持つ光ディスクからデータを再生する場合の原理を示し、以下に説明する。
【0007】
各々の記録層を形成する場合、透明な基板にピット列とランド列を形成し、その上にアルミニウムを被着する。1層目の記録層と2層目の記録層の間には透明な光硬化樹脂が注入される。1層目の記録層の上のアルミニウムの厚みは、入射光の半分を反射して半分を透過するように調整されている。2層目の記録層の上のアルミニウムの厚みは、入射光の全部を反射するように調整されている。レーザ光を収束する対物レンズを光ディスクに近づけたり遠ざけたりすることによって、レーザ光のビームスポット(焦点)を、1層目または2層目の記録層のアルミニウム上に収束させることができる。
【0008】
ここで、DVD媒体の各記録層に関して以下に説明する。従来の光ディスクおよび磁気ディスクと同様に、DVD媒体も情報をセクタ単位に分割して記録している。DVD媒体の各記録層のセクタ配置は、図10記載のCLV方式のディスクのセクタ配置にも似ている。各セクタの構造も、従来の情報記憶媒体と同一で、図11に示されたセクタ構造となる。
【0009】
図13A、13B、13C、13Dに、前述の2層の記録層を持つ従来の情報記憶媒体の螺旋状の溝と回転速度と再生方向とを示す。図13Aは1層目の記録層の螺旋状溝パターンを示し、図13Bは2層目の記録層の螺旋状溝パターンを示し、図13Cはディスクの回転速度を示し、図13Dはディスクの再生方向を示す。図13(d)に記載されているように、1層目および2層目の記録層のデータブロックにはユーザデータが記録される。ヘッドがデータブロックからオーバーランした時にも現在位置が確認できるように、(図13Dの斜線部で示された)導入領域と導出領域にも、セクタの番地が記録されている。
【0010】
情報記憶媒体を時計回りに回転させると、1層目および2層目の記録層は両方とも内周から外周へ再生される。また、情報記憶媒体の回転速度は半径に反比例しており、従って、ヘッドが内周から外周に向かうにつれて遅くなる。記録層の1層目から2層目に渡って再生を連続しようとすると、ヘッドを外周から内周へ移動するとともに、それと並行して媒体の回転速度を調節しなければならない。
記録層を2つ以上持つ情報記憶媒体の場合、セクタの番地付けの際に考慮しなければならない事柄が2つある。第1に、どの番地も情報記憶媒体中でただ1つあることが望ましい。もし同じ番地が1層目の記録層と2層目の記録層の両方に存在すれば、番地だけでは1層目の記録層と2層目の記録層のどちらに所望の情報が記録されているか分からないという不都合が生じる。第2に、それぞれの層に割り振られた番地を1層目の番地に容易に変換できることが望ましい。その理由は、番地は位置情報であって、目的のセクタに移動する場合、番地に基づいて移動距離を計算しなくてはならないからである。特にCLV方式の情報記憶媒体においては、ディスク一周当たりのセクタ数は、そのセクタが位置する半径に比例し、ディスク中心から数えたセクタ数は、そのセクタが位置する半径までの面積に比例する。言い換えれば、各セクタのディスク中心から数えた溝本数と番地は、平方根の関係にある。
【0011】
CLV方式のディスクを再生する装置は、目的のセクタにヘッドを位置させるのに必要な横断すべき溝本数を求めるために、この平方根の計算をしなければならない。各層の番地を1層目の番地に変換することが難しいければ、層毎に異なる平方根の計算をしなければならない。
【0012】
一般的に、光ディスク媒体の規格では、溝間隔と最内周の溝の半径に関して、中心値と偏差を規定する。従って、最内周の溝の半径に対して、最内周に位置する番地が不定であると、上述した平方根を求めるべき計算に不定項が増える。このように、各層の最内周に位置する番地が不定な場合、平方根を求めるのに必要な時間とテーブルが増える。その結果、そのようなディスクを再生する装置は、平方根を求めるのに必要なテーブル分のコスト増加と、平方根を求めるのに必要な処理時間の増大をまねく。
【0013】
従来、記憶媒体1個あたりの記録容量を増すために複数の記録層を有する光ディスクが提案されてきた。磁気ディスクの場合のように、そのような光ディスク は情報記憶媒体の両面を利用する。その一例は、日本国特開平2−103732号に開示されている。当該引用文献は、第1の側の螺旋状トラックと第2の側の螺旋状トラックを、第1の側から第2の側になめらかに連続再生できるように、逆方向にすることを開示している。
【0014】
しかしながら、従来の二重記録層タイプの光ディスクはいずれも、記録面が反対方向を向いており、両表面の反射率は同一であった。従って、両側に1個ずつ光ヘッドが設けられ、1個に再生装置に全部で2個の光ヘッドがあった。光ヘッドは一般に、光源に合った半導体レーザ発生器と、光の強度を調節するための光学装置と、集光点を調節するための電磁コイルジェネレータを備えるので、高価な装置である。従って、2重記録層タイプの従来の光ディスクに関連して使用される再生装置は、結局は非常に高価な装置である。
【0015】
光ディスクの第1ならびに第2の側用に2個の別個の光ヘッドがあるので、第1の側の表面のための第1の光ヘッドが最外周のトラックにあって、第2の側の表面のための第2の光ヘッドが最内周のトラックにあるかも知れない。また、無ジッター再生技術と呼ばれる最近の技術開発により、ディスクの回転速度が適正速度から外れた場合でも正しく再生できる。従って、第1の側から第2の側に滑らかな連続再生を行うために、内周から外周に第1のヘッドを移動した後に外周から内周に第2のヘッドを移動する、あるいはその逆を行う、すなわち、外周から内周に第1のヘッドを移動した後に内周から外周に第2のヘッドを移動す再生装置を利用することについて、従来の二重記録層タイプの光ディスクには何の制限も存在しない。第1のヘッドが内周から外周に再生し、次に第2のヘッドが内周から外周に再生することもある。
また、従来の二重記録層タイプの光ディスクにおいて、2個の個別ヘッドが必要だったので、第1の側と第2の側で同じ番地を使用することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平2−103732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記から分かるように、従来の二重記録層タイプの光ディスクでは、1個の光ヘッドだけを使って第1の側から第2の側に滑らかな連続再生を実現可能にすることは考慮されたことはなかった。従来の二重記録層タイプの光ディスクでは、第1の側から第2の側に滑らかで連続的な再生を実現するために複数の光ヘッドが設けられていた。あるいは、その解決策の1つとして、内周から外周へ、もしくはその逆にヘッドを瞬間的に移動し、同時にディスクの回転速度を変更するということがある。しかし、実際的観点から、そのような装置は実現しえない。
前述したように、従来の情報記憶媒体の問題点は、複数の記録層に渡って連続的に再生することを考慮せずに溝形成および番地付けがなされていることである。その結果、そのような情報記憶媒体を再生する装置の性能低下とコスト増加を招いていた。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述の問題を解決するために、本発明は、複数の記録層を持ち、奇数番目の層と偶数番目の層とでは、螺旋状の再生方向が逆向きである情報記憶媒体を提供する。さらに、同じ半径に位置する奇数番目の層上のセクタと偶数番目の層上のセクタとにおいて、各々に割り付けられた番地は補数関係にある。
複数の記録層を持つ情報記憶媒体からセクタ単位にデータを再生する情報再生方法は、各層の螺旋状移動方向を認識する螺旋方向認識ステップと、同じ半径に位置する奇数番目の層上のセクタと偶数番目の層上のセクタの番地として補数関係にある数字が割り付けられている情報記憶媒体に対して、複数層に渡って連続的な論理空間を与えるアドレス変換ステップと、特定番地へのアクセス距離を求める移動距離算出ステップを備える。
【0019】
複数の記録層を持つ情報記憶媒体からセクタ単位にデータを再生する本発明の情報再生装置は、各層の螺旋状移動方向を認識する螺旋方向認識手段と、同じ半径に位置する奇数番目の層上のセクタと偶数番目の層上のセクタの番地として補数関係にある数字が割り付けられている情報記憶媒体に対して、複数層に渡って連続な論理空間を与える番地変換手段と、特定番地へのアクセス距離を求める移動距離算出手段とを備える。
【0020】
本発明の一態様によれば、光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックであって、該1層目と2層目の層上の該トラックは螺旋状で、ディスクの同じ側から見たときに該1層目と2層目の層の螺旋パターンの巻方向が逆向きであるように配置されたトラックとを備える。
【0021】
本発明の別の態様によれば、光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備え、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にある。
【0022】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生方法において、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該方法は、
光ディスク上のセクタの番地の昇順方向を検出するステップと、
光ヘッド装置を層上の目標位置に移動するステップと、
該検出ステップによって検出された方向にディスクを再生するステップとを含む。
【0023】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生方法において、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該方法は、
光ヘッド装置が焦点を合わせている現在のセクタの番地を検出するステップと、
光装置が焦点を合わせている記録層の番号を検出するステップと、
検出された記録層番号が2層目のものであった場合に、検出された番地を、1層目の記録層の番地と共有の連続的な論理空間に変換するステップとを含む。
【0024】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生装置において、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該装置は、
光ディスク上のセクタの番地の昇順方向を検出する手段と、
光ヘッド装置を層上の目標位置に移動する手段と、
該検出ステップによって検出された方向にディスクを再生する手段とを含む。
【0025】
本発明の更に別の態様によれば、光ディスクを再生するための光ディスク再生装置が提供され、
該光ディスクは、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層と、
該1層目と2層目の記録層上に形成され、複数のセクタが付設されたトラックと、
該セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、該1層目の記録層上の該セクタの番地は一方の周側から他方の周側に向かって増加し、該一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、 該他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、該2層目の記録層上の該セクタの番地は該他方の周側から該一方の周側に向かって増加するセクタの番地とを備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、該一方の層上のセクタの番地と他方の層上の該セクタの番地とは補数関係にあり、
該装置は、
光ヘッド装置が焦点を合わせている現在のセクタの番地を検出する手段と、
光装置が焦点を合わせている記録層の番号を検出する手段と、
検出された記録層番号が2層目のものであった場合に、検出された番地を、1層目の記録層の番地と共有の連続的な論理空間に変換する手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1A、図1Bは、本発明による2つの記録層の螺旋状の溝形状を示し、図1Cは、回転速度を示すグラフであり、図1Dは、本発明の第1の実施例における記録層を2つ持つ情報記憶媒体の再生方向を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例における記録層を4つ持つ情報記憶媒体の再生方向を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例における記録層を2つ持つ情報記憶媒体の番地付けを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例における記録層を4つ持つ情報記憶媒体の番地付けを示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例における情報再生装置のブロック図である。
【図6A】本発明の第3の実施例における各層の螺旋状の再生方向を認識するための演算を示すフローチャートである。
【図6B】図6A記載のフローチャートの変更態様を示すフローチャートである。
【図7A】本発明の第4の実施例により、検出されたセクタの番地を、複数層に渡って連続的な論理空間に変換する演算を示すフローチャートである。
【図7B】本発明の第4の実施例により、複数層に渡って連続的な論理空間を、セクタの番地に変換する演算を示すフローチャートである。
【図8】現在位置から目標位置へ移動する場合の光ヘッドの移動距離を算出するための演算を示すフローチャートである。
【図9】従来例における複数の記録面を持つ磁気ディスクを示す図である。
【図10】CLV(腺速度一定)方式のディスクの平面図である。
【図11】ディスクの内部セクタ構造を示す図である。
【図12】記録層を2つ持つ光ディスクを示す図である。
【図13】図13A、図13Bは、先行技術による2つの記録層の螺旋状溝を示し、図13Cは、回転速度を示す図であり、図13Dは、先行技術による記録層を2つ持つ情報記憶媒体の再生方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上記構成の手段により、複数の記録層にまたがって連続的に情報を再生できる情報記憶媒体を提供することができる。また、複数の記録層を有する情報記憶媒体の各記録層において、第n層(n≧2)上の各セクタの番地は、第1層において同一半径位置を持つセクタに付与された番地に対する補数演算を含む論理演算から与えられる。従って、複数の記録層にまたがる連続的なセクタ単位のデータ再生動作は、セクタ番号が昇順に増加する順序で再生されることになる。
さらに、複数の記録層を持つ情報記憶媒体上の螺旋状記録パターンの再生方向を認識できると情報再生装置も提供できる。情報記憶媒体の記録層毎に螺旋状記録パターンの再生方向が異なる場合、該情報再生装置は、複数の記録層に渡って連続的な論理空間を生成することもできる。
【0028】
その結果、複数の記録層に渡ってデータを連続再生できる情報再生装置を安価に高性能に提供できる。
本発明の情報記憶媒体の実施例について、図面を参照しながら以下に説明する
図1A,1B,1C,1Dは、それぞれ、情報記憶媒体すなわち光ディスクの、1層目L1と2層目L2の螺旋状の溝、回転速度、再生方向を示したものである。本発明の第1の実施例による光ディスクは、1層目および2層目の記録層L1とL2を備える。図1Aに1層目L1の螺旋状溝形状を示し、図1Bに2層目L2の螺旋状溝形状を示し、図1Cに媒体の回転速度を示し、図1Dに再生方向を示す。図1Dに示されているように、1層目L1および2層目L2のデータブロックにはユーザデータが記録されている。一方、図13Dに図示されているように、導入領域1aと導出領域1bにも、ヘッドがデータ領域からオーバーランした時にも現在位置が確認できるように、セクタ番地が記録されている。
【0029】
本発明の第1の特徴は、1層目L1上のセクタ番地Xと2層目L2上のセクタ番地X’は互いに補数関係にあることである。セクタ番地XとX’は向かい合っていることが理想であるが、本発明の目的から、セクタ番地XとX’は、最内周のトラックから数えて同じ周回のトラックにある、またはそのようなトラックの近傍にあればよい。
【0030】
第1の長所は、1層目の最外周(または最内周)セクタの番地と2層目のそれとに連続的な論理空間が得られる点である、これについては、図7Aに関連して詳しく説明する。
【0031】
第2の長所は、1層目のセクタの番地の変化率と2層目のそれとが、ディスクについて対称な関係にある点である。これについては、図8に関連して詳しく説明する。
情報記憶媒体を時計回りに回転させると、1層目の記録層L1は内周から外周へ再生される。腺速度一定(CLV)の駆動制御を利用することにより、情報記憶媒体の回転速度は、図1Cに記載のように、半径に反比例する。従って、ディスク上の与えられた半径位置にヘッドを位置決めした場合、1層目L1でも2層目L2でも同じ回転速度である。
【0032】
図1Dで示すように1層目L1から2層目L2に再生を切り替えるとき、1層目から2層目に切り替える際にディスクの回転方向を変える必要もないし、外周から内周へヘッドを移動する必要もない。
図2は、4つの記録層L1、L2、L3、L4を持つ情報記憶媒体の再生方向を示したものである。当該実施例において、1層目L1および3層目L3は内周から外周へ再生され、2層目L2および4層目L4は外周から内周へ再生される。1層目と2層目への記録層の切り替え同様に、記録層の2層目と3層目の切り替えまたは記録層の3層目と4層目の切り替えの際に、ディスクの回転方向を変える必要もないし、ヘッドの移動も必要ない。
【0033】
動画を記録するディジタルビデオディスク媒体に適用する場合、層切り替えによる遅延は画像が途切れることにつながるため、この切り替え方法の実質的効果はかなり大きい。
以上説明したように、前述の本発明の第1の実施例において、複数の記録層にまたがって連続的に情報を再生できる情報記憶媒体を提供することができる。
しかしながら、前述した1層目から2層目に渡って連続的に再生できるように記録溝を形成した情報記録媒体に対して、従来の情報記録媒体の番地付けを行うと、1層目は番地の昇順に再生され、2層目は番地の降順に再生されることになる。オーディオCDの番地付けである分・秒・フレームを例に挙げれば、2層目の記録層では曲の演奏が進むにつれて分・秒・フレームが減少することになる。
【0034】
また、(1層目の最後のセクタの次に2層目の最初のセクタを再生する場合に)1層目の最外周セクタの番地の次を2層目の最外周セクタの番地としたとすると、2層目のどのセクタの番地も一意に決まらない。例を挙げると、1層目の最外周セクタの番地をXとすると、2層目の同じ半径位置のセクタの番地はX+1となり、2層目の全てのセクタはXに依存することになる。ちなみに、オーディオCDの最外周セクタの番地は固定ではない。
【0035】
本発明の第2の特徴は、ディスクが複数の記録層を持っていて、偶数番目の層と基数番目の層で再生方向が逆向きであることである。従って、本発明によれば、図10記載のようにトラックが螺旋状に提供される場合、1層目L1と2層目L2の螺旋パターンは、図12記載のようにレーザー光線源側から見たときに、反対巻きになっている。図10の螺旋パターンを反時計方向巻きと言う。従って、図12に記載の対物レンズからディスクを見ると、1層目L1は反時計方向巻きであり、2層目L2は時計方向巻きになっている。図1Aと図1Bもこれを示す。
【0036】
本発明により前述の配置構成は、それぞれ図10に記載されているものと同様なパターンを有する2つの透明層を準備することによって実現できる。2つの層の違いは、螺旋状のトラックに沿って記録されている固有データである。例えばアルミニウム薄膜の蒸着などにより、一方の層のトラック溝がある方の表面は鏡面仕上げされ、他方の層のトラック溝がある方の表面は半鏡面仕上げされている。次に、図12のように、2つの層は、トラック溝付き面を向き合わせて、表面間に光硬化樹脂TRを堆積させて接着する。従って、ディスクがわから見ると、一方の層の螺旋は反時計巻方向で、他方の層の螺旋は時計巻方向となる。この配置構成には、次の長所がある。
【0037】
第1の長所は、一方の層の再生方向は内周から外周のトラックへ進むが、他方の層は外周から内周のトラックに進み、逆の場合も同様である点である。従って、両方の層を再生する際の光ヘッドの動きは、内周から外周へ、そして外周から内周への1往復だけでよい。
もう1つの長所は、層を成形するための型を切削する切削装置は、1つの螺旋巻方向の型だけ切削すればよい点である。前述から明らかなように、溝付き面から見たとき、1層目と2層目の螺旋巻方向は同じである。従って、層を成形するための型を切削する切削装置は、1つの螺旋巻方向の型だけを切削すればよい。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施例における2層構造の情報記憶媒体の番地付け方法を示したものである。当該実施例において、2層目のセクタの番地は、同一半径rに位置する1層目のセクタの番地Xの補数X’(プライム記号「’」は補数を示す)である。例えば、1層目L1の任意の番地が030000hの場合、これと同半径位置にある2層目のセクタは、FCFFFFh(ここで、hは16進数)である。これは次の4ステップで求めることができる。
(1) 0 3 0 0 0 0 16進
(2) 0000 0011 0000 0000 0000 0000 2進
(3) 1111 1100 1111 1111 1111 1111 ビット反転
(4) F C F F F F 16進
但し、図3の斜線部分の機能は、導入部1aと導出部1bである。
【0039】
無地部分は、1層目の導入部1aと導出部1bの間のユーザデータ領域であり、当該実施例では、1層目の最内周の半径Rinに位置するセクタの番地をXinとし、最外周の半径Routに位置するセクタの番地をXoutとする。ここで、Xin<Xoutである。1層目のセクタ番地は、内周から外周へ向かって、昇順 に付けられ、2層目のセクタ番地は、1層目の補数としたことによって、外周から内周に向かって、昇順に付けられる。従って、図1Dに示すような再生方向で各セクタのデータが再生されるとき、図7Aに関連して後に説明するように、1層目から2層目に渡って、昇順にセクタ番地が付けられることが分かる。
【0040】
なお、4層構造の情報記憶媒体のとき、各層の番地は、図2の再生方向の1往復目か2往復目かを示すビットを番地の上位に付加すればよい。
図4は、本発明の第2の実施例における4つの層L1、L2、L3、L4を備えた情報記憶媒体の番地付け方法を示したものである。この方法によれば、例えば、1層目の番地が0030000hを有するセクタと同一の半径を有する2層目、3層目および4層目のセクタの番地は、それぞれ0FCFFFFh、1030000h、1FCFFFFhの番地が付与される。
従って、図2に示すような再生方向で書くセクタのデータが再生されると、1層目から4層目に渡って、昇順にセクタ番地が付けられる。その結果、再生方向の1往復目と2往復目を示すビットと、それ以外の番地の最上位ビット(MSB)は、1層目で00b、2層目で01b、3層目で10b、4層目で11b(ここで、bは2進数を示す)となる。従って、上述した2ビットを読むことによって、セクタがどの記録層にあるか識別できる。
【0041】
以上説明したように、本発明の第2の実施例では、複数の記録層を有する情報記憶媒体の各記録層において、第n層Ln(n≧2)上の各セクタの番地は、第1層において同一半径位置を持つセクタに付与された番地に対する補数演算を含む論理演算から与えられる。従って、複数の記録層にまたがる連続的なセクタ単位で再生されるデータは、セクタ番号の昇順に再生される。
【0042】
図5は、本発明の第3の実施例における情報再生装置の一構成例を示すブロック図である。図5において、1は光ディスク、2はディスクモーター、3はレンズ、4はアクチュエータ、5はレーザ駆動回路、6は光検出器、7は移送台、8はプリアンプ、9はサーボ回路、10は二値化回路、11は復調回路、12はエラー訂正回路、13はCPU、14は回転検出信号、15はディスクモータ駆動信号、16はレーザ駆動信号、17は光検出信号、18はサーボ誤差信号、19はアクチュエータ駆動信号、20は移送台駆動信号、21はアナログデータ信号、22は二値化データ信号、23は復調データ信号、24は訂正データ信号、25は内部バスである。レンズ3、アクチュエータ4、光検出器6、レーザ駆動回路5、移送台7は、光ヘッド装置を構成する。
【0043】
CPU13は、内蔵された制御プログラムに従って、内部バス25を介して情報再生装置の全体動作を制御する。光ディスク1から反射した光は、光検出器6により光検出信号17になり、プリアンプ8によって加減算されサーボ誤差信号18とアナログデータ信号21になる。さらに、アナログデータ信号21は、二値化回路10によりA/D(アナログ/ディジタル)変換されて二値化データ信号22になり、二値化データ信号22は次に復調回路11により復調されて復調データ信号23になる。次いで、復調データ信号23は、エラー訂正回路12により誤りのない訂正データ信号24となる。サーボ誤差信号18は、サーボ回路9によりアクチュエータ駆動信号19として、アクチュエータ4にフィードバックされて、レンズ3のフォーカシング制御やトラッキング制御に利用される。
【0044】
CD−ROMドライブ等のコンピュータ周辺装置として使用されるDVD−ROMドライブの場合は、ホストインタフェース回路(図示せず)が加わり、エラー訂正回路12から訂正データ信号24を受けて、SCSI等のホストインタフェースバス(図示せず)を介して、ホストコンピュータ(図示せず)とデータをやりとりする。CDプレーヤー等のコンシューマ装置として動作するDVDプレーヤーの場合は、圧縮された動画や音声を伸張するAVデコーダー回路(図示せず)が加わり、エラー訂正回路12から訂正データ信号24を受けて、伸張した動画や音声をビデオ端子(図示せず)を介して出力する。
【0045】
本発明の第3の実施例における情報再生装置の再生手順は、2層構造で1層目と2層目の番地が補数関係にある情報記憶媒体を再生するために、次の3つの処理が必要になる。
(1)各層の螺旋記録パターンの再生方向を認識する。
(2)セクタ番地を、複数層に渡って連続的な論理空間に変換する。
(3)各層の所望の番地への移動距離を求める。
図6Aは、本発明の第3の実施例における各層の螺旋状記録パターンの再生方向を認識する螺旋方向認識手段を説明するために使用されるフローチャートである。当該実施例において、セクタ番地は再生する順番に番号を付され、光ヘッドは現時点では1層目に焦点が合っているものとする。
【0046】
当該処理の最初のステップ601で、現在位置のセクタ番地Xすなわち現在のセクタ番地を記憶する。
ステップ602で、光ヘッドを所定量だけ外周に移動する。
ステップ603で、現在位置のセクタ番地Yを記憶する。
ステップ604で、XとYを比較し、X<Yならばステップ605へ進み、そうでなければステップ606へ進む。
ステップ605で、1層目の再生方向は内周から外周と決定する。
ステップ606で、1層目の再生方向は外周から内周と決定する。
ステップ607で、サーボ回路9に対し、焦点位置を2層目に変更するように命じる。
ステップ608で、現在位置のセクタ番地Xを記憶する。
ステップ609で、光ヘッドを所定量だけ外周側に移動する。
ステップ610で、現在位置のセクタ番地Yを記憶する。
ステップ611で、番地Xと番地Yを比較して、X<Yならばステップ612に進み、X<Yでなければステップ613へ進む。
ステップ612で、1層目の再生方向は内周から外周と決定する。
ステップ613で、1層目の再生方向は外周から内周と同様に決定する。
【0047】
図6Bも、本発明の第3の実施例において、各層上の螺旋状記録パターンの再生方向を認識する螺旋方向認識手段の変更態様を説明するのに利用されるフローチャートである。当該実施例では、与えられた層上の螺旋方向が内周から外周であり、層の番地間の補数関係により、その層の番地のMSBが0であるものとし、また、光ヘッドの現在のフォーカス位置は1層目であると仮定する。同様に、与えられた層の螺旋方向が外周から内周の場合、その層のMSBは1となる。
【0048】
この処理の最初のステップ621で、MSBが0ならばステップ622に進み、MSBが1ならばステップ623に進む。
ステップ622で、1層目の再生方向は内周から外周と決定する。
ステップ623で、同様に、1層目の再生方向は外周から内周と決定する。
ステップ624で、サーボ回路9に対し、フォーカス位置を2層目に変更するように命令する。
ステップ625で、2層目の現在のセクタの番地のMSBを評価し、MSBが0であればステップ626へ、MSBが1であればステップ627へ進む。
従って、ステップ626で、2層目の再生方向は内周から外周と決定する。
同様に、ステップ627で、2層目の再生方向は外周から内周と認識する。
以上説明したように、本発明の第3の実施例によれば、複数の記録層を持つ情報記憶媒体の螺旋状記録路の再生方向を認識できる情報再生装置を提供できる。
【0049】
螺旋巻方向が検出された後、すなわち、セクタ番地の昇順が検出された後、光ヘッドは目標位置に移動される。ここで、この目標位置は、オペレータの所望目標位置と僅かに違う算出目標位置である。例えば、オペレータ所望目標位置は番地50000hのセクタだが、光ヘッドの実際の移動先となる算出目標位置は4FFF6hで、オペレータ所望目標位置より10セクタ手前にする。螺旋巻方向を検出することにより、オペレータ所望目標位置の向こうではなく手前のセクタ番地を算出できる。オペレータ所望目標位置からの最大後退量はトラック約1周分である。その後、光ヘッドが算出目標位置に移動されると、オペレータ所望目標位置の直前から再生が行われる。
【0050】
本発明は、前述の各セクタ番地のMSB値と各層の螺旋状移動方向との関係に限られるものではなく、螺旋状移動方向が内周から外周の場合にMSBが1で、螺旋状移動方向が外周から内周の場合にMSBが0であっても、同じ効果を実現できることは明白である。
図7Aと図7Bは、本発明の第3の実施例における複数層に渡って連続的な論理空間を与えるアドレス変換手段を説明するために使用されるフローチャートである。この例では、前述した通り、層における螺旋状移動方向が内周から外周の場合、層上の番地間の補数関係により、その層上の番地のMSBは0であり、逆に、螺旋状移動方向が外周から内周の場合、その層上の番地のMSBは1である。
【0051】
図7Aに、図3記載の情報記憶媒体上の変数Xによって表される番地から、連続的な論理空間、すなわち、ホストコンピュータで使用する変数Nで表される連続値へ変換するためのフローチャートを示す。ここで、変数Xは光ディスクに書き込まれている実際のセクタ番地を表し、変数Nは再生装置のホストコンピュータで利用するための変換セクタ番地を表す。また、以下に示す計算において、定数Xinは最内周のセクタの番地を表し、定数Xout’はXoutの補数を表す。定数Xinはゼロ以外の数字であるが、030000hといった所定の数字に設定される。定数XoutとXinは、光ディスクの導入部に前もって記憶されており、ディスク挿入時に装置が削除できる。
【0052】
最初のステップ701で、光ヘッドが現在位置している現在のセクタの番地を読み出し、その番地を変数Xに設定する。
次のステップ702で、変数XのMSBを評価し、MSBが0であればステップ704へ、MSBが1であればステップ703へ進む。
ステップ703で、変数Xに、(2×Xout+2)を加える。(−Xout’= Xout +1であるので、X×X− Xout’+ Xout+1は、X×X+Xout+1+ Xout+1と同じなので、計算が簡略化できる。)
ステップ704で、変数Nに、差値(変数X−Xin)を代入する。
【0053】
図7Aのフローチャートに従って求められた変数Nは、1層目および2層目の斜線部に挟まれる無地の領域において、0から始まる連続的な番地になる。従って、ホストコンピュータは、これら2層を有するディスクのことを、1層で容量が2倍のディスクと見なしうる。言い換えると、ホストコンピュータは、第1層の最外周のセクタの番地と第2層のそれとを、間に隔たりのない引き続いた連続数として認識する。
【0054】
そのような計算の例を、最外周のセクタの番地XoutとXout’について以下に詳しく示す。まず、
Xin = 030000h
および
Xout = 060000h
とする。
Xout’はXoutの補数であるので、Xout’は次式(1)により算出できる。
Xout’ = 1000000h-1-060000h = F9FFFFh (1)
第1の側の番地データを処理するために、ステップ701、702、および704で演算を実施する場合、ステップ704で次の計算(2)を行う。但し、現在のヘッド位置はXoutにあるものとする。
N = Xout’-Xin-060000h-030000h = 030000h (2)
これは、ホストコンピュータでは、ディスクの第1の側の最外周のセクタの番地は030000hであると認識されることを示すものである。
【0055】
第2の側の番地データを処理するために、ステップ701、702、および704で演算を実施する場合、ステップ704で次の計算(3)を行う。但し、現在のヘッド位置はXout’にあるものとする。
N = Xout’+(2×Xout+2)-Xin
= F9FFFFh+060000h+060000h+2-030000h
= FFFFFFh+060000h+2-030000h
= 105FFFFh+2-030000h
(第1項のMSBはオーバーフローする。)
= 060001h-030000h = 030001h (3)
これは、ホストコンピュータでは、ディスクの第2の側の最外周のセクタの番地は030001hであると認識されることを示すものである。このように、式(2)と式(3)から、コンピュータでは、すなわち連続する論理空間においては、第1の側と第2の側の最外周のセクタの番地は、連続する数字として認識されることが分かる。
【0056】
図7Aは、Nで表される連続的な論理空間から、図2記載の情報記憶媒体のXで表される特定セクタ番地へ変換するためのフローチャートである。
ステップ711で、変数Xに、(N+Xin)の値を代入する。
ステップ712で、変数Xを評価し、Xoutよりも大きければステップ712へ進み、そうでなければ処理を終了する。
ステップ713で、変数Xを差値(X−(2×Xout+2))に代入する。
図7Bのフローチャートに従って求められた変数Xは、図3記載の情報記憶媒体のセクタ番地になる。
以上説明したように、本発明の第3の実施例によれば、一層おきに螺旋状の再生方向が異なる情報記憶媒体上に、複数の記録層に渡って連続的な論理空間を生成できる情報再生装置を提供できる。
【0057】
本発明は、前述の各セクタ番地のMSB値と各層の螺旋状移動方向との関係に限られるものではなく、螺旋状移動方向が内周から外周の場合にMSBが1で、螺旋状移動方向が外周から内周の場合にMSBが0であっても、同じ効果を実現できることは明白である。
CLV方式における番地と溝位置の関係について述べる。
情報記憶媒体の全面に渡って溝幅dが一定であるから、最内周から数えた溝本数Tと半径rとは、1層目において下記の(式1)の関係が成り立つ。
T=(r-Rin)/d (1)
次に、 rを半径、(X−Xin)を内周にある番地Xinと現在の番地Xとの番地差値とすると、情報記憶媒体の全面に渡って記録密度一定であるから、 1層目において式(5)の右辺から求められる面積と左辺から求められる面積は等しい。
(X-Xin)×s×d=π×(r×r-Rin×Rin) (5)
ここで、sはセクタ長、dは溝幅、πは円周率である。式(4)と式(5)から半径rを消去すると、最内周から数えた溝本数Tと番地Xとは、1層目において下記の(式3)の関係が成り立つ。
T=[{(y-Xin)×s×d÷π)+Rin×Rin}1/2-Rin]÷d (6)
【0058】
第1層および第2層について式(5)が満たされるのは、図3のように、1層目のセクタの番地の変化率と2層目のそれとが、ディスクについて対称な関係にある場合のみである。1層目と2層目のセクタ番地の変化率を同じにするには、1層目と2層目のセクタ番地が互いに補数関係であるように選択しなくてはならない。
【0059】
図8は、本発明の第3の実施例における所望の番地への移動距離を求める移動距離算出手段を示すフローチャートである。この例では、層における螺旋状移動方向が内周から外周の場合、その層上の番地のMSBは0であるとし、また、層における螺旋状移動方向が外周から内周の場合、その層上の番地のMSBは1であるとする。更に、光学ヘッドの移動先の所望のセクタの番地はCPU13により変数zとして算出されているものとする。
【0060】
この処理の最初のステップ801で変数ZのMSBを評価し、MSBが0ならばステップ802へ、MSBが1ならばステップ803へ進む。
ステップ802で、変数Xに、変数Zを代入する。
ステップ803で、変数Xに、変数Zの補数を代入する。
ステップ804で、式(6)に基づいて求めた値Tを、目的の溝番号W(最内周から数えた溝の本数)とする。
ステップ805で、現セクタの番地を読み出し、変数Xに設定する。
ステップ806で、変数Xと変数WのMSB値を比較し、XとZが等しければステップ811へ、そうでなければステップ807へ進む。
ステップ807で、変数XのMSBが0ならばステップ808へ、MSBが1ならばステップ809へ進む。
ステップ808では、サーボ回路9に対して、2層目にフォーカス位置を移動するように命令する。
ステップ809では、サーボ回路9に対して、1層目にフォーカス位置を移動するように命令する。
ステップ810で、現セクタの番地を読み出し、変数Xに設定する。
ステップ811で、変数XのMSBが0ならばステップ813へ、MSBが1ならばステップ(812)へ進む。
ステップ812で、変数Xに、Xの補数を代入する。
ステップ813で、式(6)に基づいて求めた値Tを、現在の溝番号Vとする。
ステップ814で、移動溝本数U(磁気ヘッドが移動しなければならない溝の本数)に、次の差値
(目的溝番号W)−(現在溝番号V)
を代入する。
【0061】
従って、番地のMSBから移動先が1層目か2層目かを判断し、移動先が2層目の場合は番地の補数を求めることにより、共通の演算を利用して1層目と2層目で溝本数を計算できる。平方根を含む式(6)のような方法には、テーブルを用いるもの、近似式を用いるもの、ニュートン法を用いるもの等がある。どの方法を採用したとしても、番地の補数関係を利用するので、複数の層の番地を共通の演算を使って求めることができ、それによってCPU13に内蔵するプログラムを小さくでき、高速に実行できる。
【0062】
以上説明したように、本発明の第3の実施例により、螺旋状の再生方向が一層おきに異なる情報記憶媒体上の特定番地へ移動可能な情報再生装置を提供できる。
本発明は、前述した各セクタの番地のMSB値と各層における螺旋状移動方向の関係に限定されるものではなく、螺旋状移動方向が内周から外周の場合にMSBが1で、螺旋状移動方向が外周から内周の場合にMSBが0であっても、同じ効果を実現できることは明白である。
以上説明したように、複数の記録層にまたがって連続に再生できる情報記憶媒体を提供することができる。
【0063】
また、複数の記録層を有する情報記憶媒体の各記録層において、n番目の層Ln(n≧2)上の各セクタの番地は、第1層において同一半径位置を持つセクタの番地に対する補数演算を含む論理演算から与えられる。従って、複数の記録層にまたがる連続的なセクタ単位のデータ再生動作は、セクタ番号が昇順に増加する順序で再生されることになる。
さらに、複数の記録層を持つ情報記憶媒体上の螺旋状の再生方向を認識できる情報再生装置も提供できる。情報記憶媒体の記録層毎に螺旋状の再生方向が異なる場合、前述の情報再生装置は、複数の記録層に渡って連続的な論理空間を生成し、情報記憶媒体上の所望番地へ移動することも可能である。
【0064】
結果として、複数の記録層に渡って連続して再生する情報再生装置を安価で高性能に提供することができる。
以上、本発明について説明したが、同は種々の方法で変更可能である。そのような変更態様は、本発明の精神ならびに適用範囲から逸脱するものではなく、当業者にとって自明な、そのような変更態様はいずれも、以下の請求の範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、情報記憶媒体および情報再生方法および情報再生装置に関する。
【符号の説明】
【0066】
1:光ディスク
2:ディスクモーター
5:レーザ駆動回路
6:光検出器
7:移送台
8:プリアンプ
9:サーボ回路
10:二値化回路
11:復調回路
12:エラー訂正回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを備え、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を備え、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ備え、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地は、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番を備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、前記一方の層上のセクタの番地と他方の層上の前記セクタの番地とは記録層に係るビット以外の値が補数関係にある光ディスク。
【請求項2】
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを備え、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を備え、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ備え、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地は、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番地を備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、前記一方の層上のセクタの番地と他方の層上の前記セクタの番地とは上位特定ビット以外の値が補数関係にある光ディスク。
【請求項3】
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを備え、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を備え、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ備え、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地Xは、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地X’は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番地を備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、前記一方の層上のセクタの番地Xと他方の層上の前記セクタの番地X’とは補数関係にある光ディスク。
【請求項4】
光ディスクを製造する光ディスク製造方法であって、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを形成し、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を形成し、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ形成し、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地は、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番地を付すとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付ける前記一方の層上のセクタの番地と他方の層上の前記セクタの番地とは、記録層に係るビット以外の値が補数関係にある光ディスク製造方法。
【請求項5】
連続的な論理空間を前記セクタの番地に変換するステップを含み、前記ステップは2層目の記録層の番地にオフセットを加えて1層目の記録層の番地と共有の連続的な論理空間となすことを特徴とする、請求項4記載の光ディスク製造方法。
【請求項1】
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを備え、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を備え、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ備え、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地は、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番を備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、前記一方の層上のセクタの番地と他方の層上の前記セクタの番地とは記録層に係るビット以外の値が補数関係にある光ディスク。
【請求項2】
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを備え、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を備え、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ備え、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地は、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番地を備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、前記一方の層上のセクタの番地と他方の層上の前記セクタの番地とは上位特定ビット以外の値が補数関係にある光ディスク。
【請求項3】
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを備え、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を備え、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ備え、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地Xは、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地X’は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番地を備えるとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付けられる、前記一方の層上のセクタの番地Xと他方の層上の前記セクタの番地X’とは補数関係にある光ディスク。
【請求項4】
光ディスクを製造する光ディスク製造方法であって、
それぞれの層に記録された情報をディスク片側から光学的に読み出せるように、一方が他方の上方に配置された少なくとも1層目と2層目の記録層とを形成し、
前記1層目と2層目の記録層にそれぞれ導入領域とデータ領域を形成し、
前記1層目と2層目の記録層に複数のセクタが付設されたトラックをそれぞれ形成し、
前記セクタにそれぞれ与えられるセクタの番地であって、前記1層目の記録層上の前記セクタの番地は、前記導入領域および前記データ領域においてゼロを含まず、かつ、前記データ領域の先頭セクタに所定値(>0)が付与され、前記導入領域かデータ領域かに拘わらず一方の周側から他方の周側に向かって増加し、前記一方の周側は最内周または最外周の一方の周側であり、前記他方の周側は最内周または最外周の他方の周側であり、前記2層目の記録層上の前記セクタの番地は前記導入領域かデータ領域かに拘わらず前記他方の周側から前記一方の周側に向かって増加するセクタの番地を付すとともに、
ほぼ相互対応するトラックのセクタに割り付ける前記一方の層上のセクタの番地と他方の層上の前記セクタの番地とは、記録層に係るビット以外の値が補数関係にある光ディスク製造方法。
【請求項5】
連続的な論理空間を前記セクタの番地に変換するステップを含み、前記ステップは2層目の記録層の番地にオフセットを加えて1層目の記録層の番地と共有の連続的な論理空間となすことを特徴とする、請求項4記載の光ディスク製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−118140(P2010−118140A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9128(P2010−9128)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【分割の表示】特願2007−151535(P2007−151535)の分割
【原出願日】平成8年10月15日(1996.10.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【分割の表示】特願2007−151535(P2007−151535)の分割
【原出願日】平成8年10月15日(1996.10.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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