情報記録媒体処理装置及びその制御方法
【課題】冷却効率を高めるとともに、ファンの回転音を目立たなくさせることが可能な情報記録媒体処理装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体10と、筐体10の内部を冷却する冷却ファン26と、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動くモータ22と、モータ22の駆動を制御するモータドライバ21と、を有し、モータ22の駆動を契機として、冷却ファン26が回転する。
【解決手段】情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体10と、筐体10の内部を冷却する冷却ファン26と、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動くモータ22と、モータ22の駆動を制御するモータドライバ21と、を有し、モータ22の駆動を契機として、冷却ファン26が回転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用のファンを有する情報記録媒体処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カードリーダなどの情報記録媒体処理装置の高性能化・高機能化に伴って、その内部にある電子部品(例えばCPUなど)の発熱量が増加してきている。そのため、ファンによる効率のよい空冷の重要性が今まで以上に増してきている。装置内を冷却するためのファン制御には、例えば、電源投入後に常時ファンを回して、装置内の回路や電源などを冷却する手法がある。しかし、この方法だと、電源投入後からファンを回し続けることになり、消費電力が大きくなってしまう。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に開示された冷却装置は、筐体内部の温度を検出する温度センサを備えており、筐体内の温度が上昇するとファンが回転し、筐体内部を冷却するようになっている。他にも、例えば特許文献2に開示された冷却ファン制御装置は、ヒューズ,ヒューズ抵抗又は抵抗などを用いて電流値を計測し、計測結果に沿ってファンの回転数を変化させるようにしている。したがって、電流値が低くなる待機時には、ファンは低速回転し、電流値が高くなる(消費電流が上がる)モータ動作時には、ファンは高速回転する。
【0004】
このように、常時ファンを回転させるのではなく、最適なタイミングでファンを回転させたり、状況に応じてファンの回転数を変化させたりすることによって、消費電力を小さくすることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−157049号公報
【特許文献2】特開平5−201102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された冷却装置は、温度検知回路も含めて上述した温度センサが必要になる。その結果、部品点数が増え、製造コストが嵩んでしまう。
【0007】
一方、特許文献2に開示された冷却ファン制御装置は、温度センサを必要とせず、また、ファンの回転数を変化させて冷却効率を高めるものであるため、高い有用性がある。しかし、消費電流が大きいことのみを契機としてファンを回転させたのでは、例えば、深夜のホテルロビーや図書館などの静かな場所等でファンの耳障りな回転音が目立つ場合があり、この場合、ファンの回転音が人に対して不快感を生じさせる虞がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファンの回転音を目立たなくさせることが可能な情報記録媒体処理装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0010】
(1) 情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有し、前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転することを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0011】
本発明によれば、筐体と、筐体の内部を冷却する冷却ファンと、筐体内に挿入された情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有する情報記録媒体処理装置で、この可動部材の駆動を契機として(例えば、可動部材へ駆動電流が供給されると同時に)、冷却ファンが回転することとしたので、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【0012】
すなわち、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作が行われる際、これに関連して可動部材が動いている最中に(例えば、搬送用のモータが回転している最中に)冷却ファンが回転することとしたので、冷却ファンの回転音を可動部材の駆動音によって紛らわすことができ(或いは相対的に小さくすることができ)、ひいては冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。その結果、深夜のホテルロビーや図書館などの静かな場所であっても、冷却ファンの回転音が人に対して不快感を生じさせるのを防ぐことができる。
【0013】
なお、本発明は、可動部材を駆動していない際に冷却ファンが回転することを排除する趣旨ではない。ただし、可動部材を駆動している時間帯を中心に冷却ファンが回転することによって、筐体内の発熱が比較的大きくなるときに集中的に冷却することができ、ひいては冷却効率を高めることができる。また、上述した従来技術のように、温度センサを用いなくてもよいので、温度確認部品や温度確認用回路が不要になり、ひいては部品点数及び製造コストの削減に寄与することができる。
【0014】
ここで、「可動部材の駆動を契機として、冷却ファンが回転する」とは、可動部材を駆動するタイミングで、冷却ファンの回転数に何らかの変化が生じることを意味する。例えば、可動部材を駆動するタイミングで、停止していた冷却ファン(回転数0)が所定の回転数で回転し始める態様であってもよい。また、可動部材を駆動するタイミングで、"低速"回転していた冷却ファンが"高速"回転し始める態様であってもよい。
【0015】
また、「可動部材の駆動を契機として」については、可動部材の駆動と同時であってもよいし、可動部材の駆動直後であってもよいし、或いは、可動部材の駆動直前であってもよい。すなわち、可動部材を駆動しようとすること又は可動部材を駆動したことが契機となって、冷却ファンの回転数が変化すれば足りる。
【0016】
(2) 前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転し始めることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0017】
本発明によれば、可動部材の駆動を契機として、冷却ファンが回転し始めることとしたので、ファンの回転音が目立たなくなる最適なタイミングで、停止していた冷却ファンの回転を開始させることができる。
【0018】
(3) 前記可動部材には、情報記録媒体を搬送する際に回転駆動されるモータが含まれることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0019】
本発明によれば、上述した可動部材にモータが含まれるので、冷却ファンの回転音を、モータの回転音で紛らわす(或いは相対的に小さくする)ことができる。特に、両者は同じ"回転音"であるので、筐体内における冷却ファンとモータの配置関係を調整することで、冷却ファンの回転音を効果的に紛らわすことができる。
【0020】
(4) 前記可動部材には、情報記録媒体の表面に設けられたIC接点端子に接触するIC接点を、情報記録媒体に対して接近又は離反させるIC接点機構が含まれることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0021】
本発明によれば、上述した可動部材にIC接点機構が含まれるので、冷却ファンの回転音を、IC接点機構の駆動音で紛らわせることができる(例えば、IC接点がソレノイドによって稼動する機種があるが、この機種において、ICカードとIC接点を、ソレノイドを含む稼動部の音とともに接触させ、かつ、冷却ファンを回転させることで、冷却ファンの回転音を紛らわせることができる)。
【0022】
(5) 前記可動部材には、情報記録媒体の表面に対して印字を行う印字ヘッドを、情報記録媒体に対して接近又は離反させる印字ヘッド機構が含まれることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0023】
本発明によれば、上述した可動部材に印字ヘッド機構が含まれるので、冷却ファンの回転音を、印字ヘッド機構の駆動音で紛らわせることができる(すなわち、例えば、冷却ファンの回転音を、ユーザにとって通常の機械音として認識させ、騒音として感じさせないようにすることができる)。
【0024】
(6) 前記制御手段が前記可動部材の駆動信号を検知したときに、前記冷却ファンが回転することを特徴とする記載の情報記録媒体処理装置。
【0025】
本発明によれば、上述した制御手段によって、可動部材の駆動信号が検知されたときに、冷却ファンが回転することとしたので、可動部材の駆動に起因して熱の発生が予想されるときに、冷却ファンを回転させることができ、ひいては冷却効率を高めつつ、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【0026】
(7) 前記可動部材を駆動する際の消費電流が一定レベル以上になったとき、前記冷却ファンが回転することを特徴とする記載の情報記録媒体処理装置。
【0027】
本発明によれば、可動部材を駆動する際の消費電流が一定レベル以上になったとき、冷却ファンが回転することとしたので、その消費電流の増加に伴って筐体内の温度が高温になると予測されるときに、冷却ファンが回転することとなり、ひいては筐体内部の冷却を効果的に行うことができる。
【0028】
(8) 情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有する情報記録媒体処理装置の制御方法であって、前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンを回転させることを特徴とする情報記録媒体処理装置の制御方法。
【0029】
本発明によれば、可動部材の駆動を契機として、冷却ファンを回転させる制御を行うこととしたので、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る情報記録媒体処理装置及びその制御方法は、以上説明したように、可動部材を駆動するタイミングで冷却ファンが回転することとしたので、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができ、ひいては冷却ファンの回転音が人に対して不快感を生じさせるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の概要を示す構成図である。なお、本実施形態では、情報記録媒体処理装置1に収容される装置本体として、内蔵カードリーダライタ100を考えたが、本発明はこれに限られず、例えばプリンタであってもよい。この場合、プリンタケースが「筐体」となり、熱転写する際に回転駆動される回転ドラムが「可動部材」となり、情報記録媒体が「紙」となる。
【0033】
図1において、情報記録媒体処理装置1は、その筐体10内に、例えばカードや小切手などの情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する内蔵カードリーダライタ100と、インターフェースケーブル12及び冷却ファン26に接続された基板110と、内蔵カードリーダライタ100及び基板110に接続された電源120と、電源用の基板130と、基板130に接続されるインレット150と、筐体10の内部を冷却する冷却ファン26と、を有している。その他、表示用LED11,シャッタ180,ソレノイド27,電源スイッチ140,仕切り板170などを有している。
【0034】
内蔵カードリーダライタ100には基板(CPU)101が設けられ、この基板101は、モータ制御,ソレノイド制御,ファン制御,磁気データ読み書き及びLED制御など、各種制御を行う。また、内蔵カードリーダライタ100には、情報記録媒体に対して磁気情報を読み出したり書き込んだりする磁気ヘッド102,103と、搬送路に臨む搬送ローラ(図示せず)を回転させ、情報記録媒体を搬送する際に回転駆動されるモータ22と、情報記録媒体の表面に設けられたIC接点端子に接触するIC接点(図示せず)を、情報記録媒体に対して接近又は離反させるIC接点機構105と、情報記録媒体の表面に対して印字を行う印字ヘッドを、情報記録媒体に対して接近又は離反させる印字ヘッド機構106と、を有している。
【0035】
なお、IC接点機構105や印字ヘッド機構106は、必要なければ取り除いても構わない。また、図1では、IC接点機構105はモータ22の真下に配置されているように記載されているが、これは説明の便宜上のものであって、実際はどこに配置されていても構わない。
【0036】
内蔵カードリーダライタ100の基板101には、筐体10から表出した表示用LED11が接続されている。また、内蔵カードリーダライタ100の基板101には、情報記録媒体処理装置1の内部に設けられたシャッタ180を開閉させる際に変位駆動されるソレノイド27と電気的に接続されている(図1では配線は図示せず)。詳細な電気的構成については後述する。
【0037】
また、内蔵カードリーダライタ100には、ファン電源供給回路111及びインターフェースコネクタ112を有する基板110が接続されている。ファン電源供給回路111には冷却ファン26が、インターフェースコネクタ112にはインターフェースケーブル12が、それぞれ接続されている。このインターフェースケーブル12は、上位装置(例えば銀行のATMなど)に接続され、上位装置からのコマンドは、基板110のインターフェースコネクタ112を介して内蔵カードリーダライタ100に送られる。そして、内蔵カードリーダライタ100からの指令に基づいて、ファン電源供給回路111によって冷却ファン26に駆動電流が流れる。これにより、冷却ファン26が回転する。
【0038】
なお、内蔵カードリーダライタ100及び基板110への電力供給を行う電源120,電源用の基板130,インレット150であるが、コンセント13及びインレット150を介して入力される交流電圧(100V〜240V)は、ヒューズ,バリスタ及びノイズフィルター等を有する電源用の基板130によって電圧調整され、電源120によってDC24VにA/D変換される。そして、DC24Vの電圧が、内蔵カードリーダライタ100及び基板110へ入力される。このようにして、電力供給を行う。次に、情報記録媒体処理装置1の詳細な電気的構成(一例)について説明する。
【0039】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2の回路図は、説明の便宜上、情報記録媒体処理装置1が行うモータ制御,ソレノイド制御,ファン制御に着目し、これらに関連する部分の回路図のみを示している。また、図2においては、主要電気要素のみに符号を付している。
【0040】
図2において、情報記録媒体処理装置1は、モータドライバ21を有している。このモータドライバ21には、VREF端子(4),VCC端子(7),VS端子(8),IN1端子(5),IN2端子(6),OUT1端子(2),OUT2端子(10),NC1端子(3),NC2端子(9),及びGND端子(1)が設けられている。なお、電源120(図1参照)から出力されるDC24Vの電圧は、VCC端子に入力される。また、GND端子は、アースに接続される。
【0041】
上位装置からのコマンドとして、PWM制御信号又はアナログ制御信号が、インターフェースケーブル12(図1)を介してトランジスタ23のベース端子に入力され、トランジスタ23のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ23のエミッタからコレクタへコレクタ電流が流れる。そして、このコレクタ電流は、モータドライバ21のVREF端子に入力される。その後、モータドライバ21は、OUT端子1及びOUT端子2を介して、モータ22に対して駆動電流を供給する。これにより、モータ22が回転し、モータ22に連結された回転ローラ(図示せず)が回転する結果、挿入された情報記録媒体を搬送路の奥(図1でいうと右方)まで搬送することができる。
【0042】
なお、モータドライバ21のVREF端子への入力は、電圧変換の基準として働く。また、本実施形態では、情報記録媒体に対する情報の読み出し又は書き込み動作に関連して動く「可動部材」の一例として、モータ22を考える(可動部材がIC接点機構105であっても、印字ヘッド機構106であっても、考え方は同じである)。さらに、このモータ22の駆動を制御する「制御手段」の一例として、モータドライバ21を考える。
【0043】
一方、上位装置からのコマンドとして、モータ22の回転方向を決める信号も、モータドライバ21に入力される。より具体的には、上位装置からのコマンドとして、正方向回転信号がIN2端子へ、逆方向回転信号がIN1端子に入力される。これを受けたモータドライバ21は、モータ22に対して駆動電流を供給する際に、回転方向をも考慮して供給する。
【0044】
また、上位装置からのコマンドとして、ソレノイド27を動作させるためのソレノイド動作信号(電圧)は、FET28のゲート端子に入力される。そうすると、FET28がONし、ドレイン電流が流れ、その結果、ソレノイド27のプランジャが変位して、シャッタ180の開閉が行われる。
【0045】
ここで、上述したソレノイド動作信号は、ソレノイド27のプランジャを変位させるものであるが、プランジャが変位した後(シャッタ180が開いた後)、情報記録媒体を筐体内に取り込むべくモータ22が動作する。そうすると、このソレノイド動作信号は、モータ22の駆動の契機になるといえる。また、上述した正方向回転信号,逆方向回転信号は、モータ22の回転方向を定める信号であることから、これらもモータ22の駆動の契機になるといえる。
【0046】
一方、ソレノイド動作信号,正方向回転信号及び逆方向回転信号は、それぞれダイオード24a,ダイオード24b,ダイオード24cを介して、トランジスタ25のベース端子にも入力される。そして、トランジスタ25のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ25がONし、コレクタ電流が流れて冷却ファン26が回転し始める。
【0047】
このように、上位装置から情報記録媒体処理装置1にソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号が送られてくると、これらがモータ22の駆動の契機になる。一方、モータ22の駆動を契機として、冷却ファン26が回転する。したがって、モータ22の回転中に、冷却ファン26を回転させることができ、ひいては冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【0048】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0049】
図3で特徴的な点は、冷却ファン26に接続されたトランジスタ25をONするトリガとして、PWM制御信号が用いられている点である。具体的には、PWM制御信号が入力されるトランジスタ23のベース端子と、冷却ファン26に接続されたトランジスタ25のベース端子とは、ダイオード24dを介して接続されている。したがって、PWM制御信号がONになると、トランジスタ23のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になるとともに、トランジスタ25のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になる。その結果、トランジスタ23では、エミッタからコレクタへコレクタ電流が流れ(そして、モータ22に駆動電流が流れ)、トランジスタ25では、コレクタからエミッタへコレクタ電流が流れ、ひいては、モータ22の駆動を契機として、冷却ファン26を回転させることができる。このように、モータドライバ21が、モータ22の駆動信号(PWM制御信号)を検知したときに、冷却ファン26を回転させるようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施形態において、モータ22の回転速度と同速度で冷却ファン26を回転させることによって、モータ22の回転状況に応じた消音・放熱効果を奏することができる。
【0051】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0052】
図4で特徴的な点は、冷却ファン26がモータドライバ21のVREF端子に接続されている点である。すなわち、モータドライバ21のVREF端子の電圧が上がると、冷却ファン26が回転するようになっている。以下、VREF端子に入力される電圧に関して、より具体的に説明する。
【0053】
図4において、PWM制御信号又はアナログ制御信号は、点線枠で示す増幅回路50を通って、モータドライバ21のVREF端子に入力される(ここではアナログ制御信号だけに着目する)。増幅回路50は、主に、3個のトランジスタ23a,23b,23cと、IC40と、を有している。アナログ制御信号がIC40に入力され、IC40の出力がトランジスタ23aのベース端子に入力され、ベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ23aでは、ベース電流のhFE倍のコレクタ電流(コレクタ→エミッタ)が流れる。そして、トランジスタ23cのベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ23cでは、ベース電流のhFE倍のコレクタ電流(エミッタ→コレクタ)が流れる。これにより、大電流がモータ22に供給されることになる。なお、本実施形態では、トランジスタ23cが電流制御、モータドライバ21が回転方向制御を行っており、モータ22への大電流による発熱が、トランジスタ23cとモータドライバ21とで分割されるようになっている。これにより、電流制御と回転方向制御をモータドライバ21のみで行ったときと比べて、モータドライバ21の発熱を小さくすることができる。
【0054】
しかし、仮に、トランジスタ23aとトランジスタ23cのみの回路を考えると、回路の個別性能が現れ易いことになる。例えば、環境温度が変わると、モータ22へ流れる消費電流が変化することになる。そこで、本実施形態では、モータドライバ21のVREF端子に入力される電圧が一定となるように、フィードバックがかかっている。具体的には、IC40において、トランジスタ23cのコレクタ側の電圧(抵抗R1と抵抗R2で分圧している点については後述する)と、アナログ制御信号の電圧とを比較する(ただし、両方の電圧はほぼ同じである必要がある)。その結果、アナログ制御信号の方が高電圧ならば、IC40が出力を上げることによって、モータ22への電力供給は増加する。一方で、アナログ制御信号の方が低電圧ならば、IC40が出力を下げることによって、モータ22への電力供給は減少する。このように、IC40を活用することによって、環境温度が変わった場合であっても、性能を安定化させることができる。
【0055】
しかし、仮に、トランジスタ23cのコレクタ端子の電圧(モータ用電源の電圧と同じ+12V)を、そのままアナログ制御信号の電圧(0〜5V)を比較するとなると、不都合である。したがって、トランジスタ23cのコレクタ側に抵抗R1及び抵抗R2を設け、モータドライバ21へ供給する電圧を約5/12に分圧し、この電圧(最大5V)をIC40にフィードバックさせるようにしている。なお、分圧比に関しては、5/12以外の値をとっても構わない。
【0056】
最後に、本実施形態では、電流制限回路としてトランジスタ23bを設けている。具体的に説明すると、モータドライバ21への供給電流が上がると、抵抗R3における電圧降下が大きくなる。そして、この電圧降下が0.7Vを超えると、トランジスタ23bがONする。その結果、トランジスタ23cのベース端子と電源とが直接接続されたことと同じになり、ベース−エミッタ間の電位差が小さくなる。そして、そのうちトランジスタ23bのベース−エミッタ間の電位差が0.7V未満になる。これにより、トランジスタ23bのコレクタ電流(エミッタ→コレクタ)は遮断されることになり、モータ22への電流供給が停止する。このようにして、情報記録媒体処理装置1に、電流制限機能をもたせることができる。
【0057】
以上説明したように、第3実施形態に掛る情報記録媒体処理装置1では、増幅回路50に、定電圧制御機能や電圧分割機能、電流制限機能をもたせつつ、モータ22を駆動する際の消費電流(駆動電流)が一定レベル以上になったとき、冷却ファン26が回転するようになっている。
【0058】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22及びソレノイド27の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
図5で特徴的な点は、ソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号をトリガとして、冷却ファン26の回転速度が変化する点である。具体的には、通常状態では、冷却ファン26の消費電流は抵抗R4を流れており、冷却ファン26は低速回転をしている。図2で説明したように、ソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号によってトランジスタ25がONすると、冷却ファン26の消費電流は、トランジスタ25のコレクタ電流となって増大する。したがって、冷却ファン26は高速回転することになる。
【0060】
このように、上位装置からソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号が送られてきたタイミング、すなわちモータ22を駆動するタイミングで、冷却ファン26を低速回転から高速回転へと遷移させてもよい。
【0061】
[第5実施形態]
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22及びソレノイド27の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
図6に示す回路図は、ソレノイド27を動作させる回路と、モータ22を駆動する回路と、冷却ファン26を回転させる回路とが互いに独立している。すなわち、上位装置(のCPU)は、ソレノイド27の動作状況や、モータ22の動作状況を把握していることから、その状況に基づいて、直接冷却ファン26の回転を制御する。このように、モータ22の駆動を契機として、上位装置によって冷却ファン26が回転するようにしてもよい。
【0063】
[第6実施形態]
図7は、本発明の第6の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22及びソレノイド27の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
図7で特徴的なのは、なるべく部品点数を減らす観点から、回路をシンプル化している点である。図7では、モータドライバ21のVREF端子の電圧に準じて、モータ22への供給電圧が変わる。よって、モータ22への供給電圧が高いとき、冷却ファン26への供給電圧も高くなる。このように、モータ22の回転数が上げると冷却ファン26の回転数も上がるようにして、冷却効率を高めることができる。
【0065】
以上、第1実施形態から第6実施形態までは、冷却ファン26を駆動させるにあたって、ソレノイド動作信号や、逆方向回転信号又は正方向回転信号を用いているが、例えば、カード挿入検知センサにカードが挿入されたことを検知すると同時に(これにより、モータが駆動する)、冷却ファン26を回転させることも可能である。
【0066】
[制御方法の流れ]
図8は、カード挿入時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0067】
図8において、まず、ホスト(上位装置)側からカードリーダライタ(内蔵カードリーダライタ100)へ、カード挿入コマンドが送信され(ステップS1)、カードリーダライタはこれを受信する(ステップS2)。
【0068】
次いで、カード挿入が行われると(ステップS3)、カードリーダライタにおいてカード挿入検知が行われる(ステップS4)。カード挿入が検知されると、ソレノイド27によってシャッタ180がオープンになる(ステップS5)。すると、モータ22が回転し、カード搬送が開始されると同時に、冷却ファン26が回転を始める(ステップS6)。
【0069】
その後、ソレノイド27によってシャッタ180がクローズし(ステップS7)、磁気データの読み取りが開始される(ステップS8)。磁気データの読み取りが終了すると(ステップS9)、モータ22の回転が停止し(ステップ10)、磁気データがカードリーダライタからホストへと送られる(ステップS11,12)。最後に、任意の時間を待って(ステップS13。例えば6〜10秒待つ。筐体10が冷めるのを待つための時間であるが、設定は任意である)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS14)。
【0070】
図9は、カード磁気データ書き込み処理時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0071】
図9において、まず、カード書き込みコマンドがホストから送信される(ステップS21)。これを受信したカードリーダライタは(ステップS22)、モータ22を回転させて、カード搬送を行うと同時に、冷却ファン26を回転させる(ステップS23)。その後、磁気データの書き込みを開始し(ステップS24)、これが終了すると(ステップS25)、モータ22を逆回転させる(ステップS26)。そして、今度は磁気データの読み取りを開始し(ステップS27)、これが終了すると(ステップS28)、モータ22の回転を停止する(ステップS29)。
【0072】
次に、書き込み合否結果をホストに対して送信し(ステップS30)、ホストがこれを受信する(ステップS31)。このとき、カードリーダライタでは、任意の時間待ち(例えば6〜10秒)を経て(ステップS32)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS33)。
【0073】
図10は、カード排出時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0074】
図10において、まず、カード排出コマンドがホストから送信される(ステップS41)。これを受信したカードリーダライタは(ステップS42)、ソレノイド27によってシャッタ180をオープンにすると同時に、冷却ファン26を回転させる(ステップS43)。その後、モータ22を逆回転させ、(カードを排出する方向へ)カード搬送を行う(ステップS44)。カードを完全に排出すると(ステップS45)、モータ22の回転が停止し(ステップS46)、ソレノイド27によってシャッタ180がクローズする(ステップS47)。
【0075】
次に、カード排出の合否をホストに送信し(ステップS48)、ホストはこれを受信する(ステップS49)。このとき、カードリーダライタでは、任意の時間待ち(例えば6〜10秒)を経て(ステップS50)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS51)。
【0076】
図11は、カード排出時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図11において、まず、カード排出コマンドがホストから送信される(ステップS61)。これを受信したカードリーダライタは(ステップS62)、ソレノイド27によってシャッタ180をオープンにすると同時に、冷却ファン26を回転させる(ステップS63)。その後、モータ22を逆回転させ、(カードを排出する方向へ)カード搬送を行う(ステップS64)。
【0078】
次に、カードがゲート部にあることを確認すると(ステップS65)、モータ22の回転を停止させる(ステップS66)。そして、カード排出の合否をホストに送信するとともに、ソレノイド27によってシャッタ180をクローズする(ステップS67)。一方、ホストはこれを受信する(ステップS68)。このとき、カードリーダライタでは、任意の時間待ち(例えば6〜10秒)を経て(ステップS69)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS70)。なお、図11によれば、冷却ファン26が停止する前にカード取り出しが可能になる。
【0079】
以上説明したように、図8〜図11に示す制御方法によれば、モータ22が回転し始め、これが回転している最中を中心に、冷却ファン26を回転させることができる。これにより、冷却ファン26の回転音をモータ26の駆動音によって紛らわすことができ(或いは相対的に小さくすることができ)、ひいては冷却ファン26の回転音を目立たなくさせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る情報記録媒体処理装置及びその制御方法は、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることが可能なものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の概要を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図5】、本発明の第4の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図8】カード挿入時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図9】カード磁気データ書き込み処理時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図10】カード排出時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図11】カード排出時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 情報記録媒体処理装置
10 筐体
21 モータドライバ
22 モータ
23,25 トランジスタ
24 ダイオード
26 冷却ファン
27 ソレノイド
28 FET
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用のファンを有する情報記録媒体処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カードリーダなどの情報記録媒体処理装置の高性能化・高機能化に伴って、その内部にある電子部品(例えばCPUなど)の発熱量が増加してきている。そのため、ファンによる効率のよい空冷の重要性が今まで以上に増してきている。装置内を冷却するためのファン制御には、例えば、電源投入後に常時ファンを回して、装置内の回路や電源などを冷却する手法がある。しかし、この方法だと、電源投入後からファンを回し続けることになり、消費電力が大きくなってしまう。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に開示された冷却装置は、筐体内部の温度を検出する温度センサを備えており、筐体内の温度が上昇するとファンが回転し、筐体内部を冷却するようになっている。他にも、例えば特許文献2に開示された冷却ファン制御装置は、ヒューズ,ヒューズ抵抗又は抵抗などを用いて電流値を計測し、計測結果に沿ってファンの回転数を変化させるようにしている。したがって、電流値が低くなる待機時には、ファンは低速回転し、電流値が高くなる(消費電流が上がる)モータ動作時には、ファンは高速回転する。
【0004】
このように、常時ファンを回転させるのではなく、最適なタイミングでファンを回転させたり、状況に応じてファンの回転数を変化させたりすることによって、消費電力を小さくすることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−157049号公報
【特許文献2】特開平5−201102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された冷却装置は、温度検知回路も含めて上述した温度センサが必要になる。その結果、部品点数が増え、製造コストが嵩んでしまう。
【0007】
一方、特許文献2に開示された冷却ファン制御装置は、温度センサを必要とせず、また、ファンの回転数を変化させて冷却効率を高めるものであるため、高い有用性がある。しかし、消費電流が大きいことのみを契機としてファンを回転させたのでは、例えば、深夜のホテルロビーや図書館などの静かな場所等でファンの耳障りな回転音が目立つ場合があり、この場合、ファンの回転音が人に対して不快感を生じさせる虞がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファンの回転音を目立たなくさせることが可能な情報記録媒体処理装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0010】
(1) 情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有し、前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転することを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0011】
本発明によれば、筐体と、筐体の内部を冷却する冷却ファンと、筐体内に挿入された情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有する情報記録媒体処理装置で、この可動部材の駆動を契機として(例えば、可動部材へ駆動電流が供給されると同時に)、冷却ファンが回転することとしたので、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【0012】
すなわち、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作が行われる際、これに関連して可動部材が動いている最中に(例えば、搬送用のモータが回転している最中に)冷却ファンが回転することとしたので、冷却ファンの回転音を可動部材の駆動音によって紛らわすことができ(或いは相対的に小さくすることができ)、ひいては冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。その結果、深夜のホテルロビーや図書館などの静かな場所であっても、冷却ファンの回転音が人に対して不快感を生じさせるのを防ぐことができる。
【0013】
なお、本発明は、可動部材を駆動していない際に冷却ファンが回転することを排除する趣旨ではない。ただし、可動部材を駆動している時間帯を中心に冷却ファンが回転することによって、筐体内の発熱が比較的大きくなるときに集中的に冷却することができ、ひいては冷却効率を高めることができる。また、上述した従来技術のように、温度センサを用いなくてもよいので、温度確認部品や温度確認用回路が不要になり、ひいては部品点数及び製造コストの削減に寄与することができる。
【0014】
ここで、「可動部材の駆動を契機として、冷却ファンが回転する」とは、可動部材を駆動するタイミングで、冷却ファンの回転数に何らかの変化が生じることを意味する。例えば、可動部材を駆動するタイミングで、停止していた冷却ファン(回転数0)が所定の回転数で回転し始める態様であってもよい。また、可動部材を駆動するタイミングで、"低速"回転していた冷却ファンが"高速"回転し始める態様であってもよい。
【0015】
また、「可動部材の駆動を契機として」については、可動部材の駆動と同時であってもよいし、可動部材の駆動直後であってもよいし、或いは、可動部材の駆動直前であってもよい。すなわち、可動部材を駆動しようとすること又は可動部材を駆動したことが契機となって、冷却ファンの回転数が変化すれば足りる。
【0016】
(2) 前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転し始めることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0017】
本発明によれば、可動部材の駆動を契機として、冷却ファンが回転し始めることとしたので、ファンの回転音が目立たなくなる最適なタイミングで、停止していた冷却ファンの回転を開始させることができる。
【0018】
(3) 前記可動部材には、情報記録媒体を搬送する際に回転駆動されるモータが含まれることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0019】
本発明によれば、上述した可動部材にモータが含まれるので、冷却ファンの回転音を、モータの回転音で紛らわす(或いは相対的に小さくする)ことができる。特に、両者は同じ"回転音"であるので、筐体内における冷却ファンとモータの配置関係を調整することで、冷却ファンの回転音を効果的に紛らわすことができる。
【0020】
(4) 前記可動部材には、情報記録媒体の表面に設けられたIC接点端子に接触するIC接点を、情報記録媒体に対して接近又は離反させるIC接点機構が含まれることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0021】
本発明によれば、上述した可動部材にIC接点機構が含まれるので、冷却ファンの回転音を、IC接点機構の駆動音で紛らわせることができる(例えば、IC接点がソレノイドによって稼動する機種があるが、この機種において、ICカードとIC接点を、ソレノイドを含む稼動部の音とともに接触させ、かつ、冷却ファンを回転させることで、冷却ファンの回転音を紛らわせることができる)。
【0022】
(5) 前記可動部材には、情報記録媒体の表面に対して印字を行う印字ヘッドを、情報記録媒体に対して接近又は離反させる印字ヘッド機構が含まれることを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【0023】
本発明によれば、上述した可動部材に印字ヘッド機構が含まれるので、冷却ファンの回転音を、印字ヘッド機構の駆動音で紛らわせることができる(すなわち、例えば、冷却ファンの回転音を、ユーザにとって通常の機械音として認識させ、騒音として感じさせないようにすることができる)。
【0024】
(6) 前記制御手段が前記可動部材の駆動信号を検知したときに、前記冷却ファンが回転することを特徴とする記載の情報記録媒体処理装置。
【0025】
本発明によれば、上述した制御手段によって、可動部材の駆動信号が検知されたときに、冷却ファンが回転することとしたので、可動部材の駆動に起因して熱の発生が予想されるときに、冷却ファンを回転させることができ、ひいては冷却効率を高めつつ、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【0026】
(7) 前記可動部材を駆動する際の消費電流が一定レベル以上になったとき、前記冷却ファンが回転することを特徴とする記載の情報記録媒体処理装置。
【0027】
本発明によれば、可動部材を駆動する際の消費電流が一定レベル以上になったとき、冷却ファンが回転することとしたので、その消費電流の増加に伴って筐体内の温度が高温になると予測されるときに、冷却ファンが回転することとなり、ひいては筐体内部の冷却を効果的に行うことができる。
【0028】
(8) 情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有する情報記録媒体処理装置の制御方法であって、前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンを回転させることを特徴とする情報記録媒体処理装置の制御方法。
【0029】
本発明によれば、可動部材の駆動を契機として、冷却ファンを回転させる制御を行うこととしたので、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る情報記録媒体処理装置及びその制御方法は、以上説明したように、可動部材を駆動するタイミングで冷却ファンが回転することとしたので、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができ、ひいては冷却ファンの回転音が人に対して不快感を生じさせるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の概要を示す構成図である。なお、本実施形態では、情報記録媒体処理装置1に収容される装置本体として、内蔵カードリーダライタ100を考えたが、本発明はこれに限られず、例えばプリンタであってもよい。この場合、プリンタケースが「筐体」となり、熱転写する際に回転駆動される回転ドラムが「可動部材」となり、情報記録媒体が「紙」となる。
【0033】
図1において、情報記録媒体処理装置1は、その筐体10内に、例えばカードや小切手などの情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する内蔵カードリーダライタ100と、インターフェースケーブル12及び冷却ファン26に接続された基板110と、内蔵カードリーダライタ100及び基板110に接続された電源120と、電源用の基板130と、基板130に接続されるインレット150と、筐体10の内部を冷却する冷却ファン26と、を有している。その他、表示用LED11,シャッタ180,ソレノイド27,電源スイッチ140,仕切り板170などを有している。
【0034】
内蔵カードリーダライタ100には基板(CPU)101が設けられ、この基板101は、モータ制御,ソレノイド制御,ファン制御,磁気データ読み書き及びLED制御など、各種制御を行う。また、内蔵カードリーダライタ100には、情報記録媒体に対して磁気情報を読み出したり書き込んだりする磁気ヘッド102,103と、搬送路に臨む搬送ローラ(図示せず)を回転させ、情報記録媒体を搬送する際に回転駆動されるモータ22と、情報記録媒体の表面に設けられたIC接点端子に接触するIC接点(図示せず)を、情報記録媒体に対して接近又は離反させるIC接点機構105と、情報記録媒体の表面に対して印字を行う印字ヘッドを、情報記録媒体に対して接近又は離反させる印字ヘッド機構106と、を有している。
【0035】
なお、IC接点機構105や印字ヘッド機構106は、必要なければ取り除いても構わない。また、図1では、IC接点機構105はモータ22の真下に配置されているように記載されているが、これは説明の便宜上のものであって、実際はどこに配置されていても構わない。
【0036】
内蔵カードリーダライタ100の基板101には、筐体10から表出した表示用LED11が接続されている。また、内蔵カードリーダライタ100の基板101には、情報記録媒体処理装置1の内部に設けられたシャッタ180を開閉させる際に変位駆動されるソレノイド27と電気的に接続されている(図1では配線は図示せず)。詳細な電気的構成については後述する。
【0037】
また、内蔵カードリーダライタ100には、ファン電源供給回路111及びインターフェースコネクタ112を有する基板110が接続されている。ファン電源供給回路111には冷却ファン26が、インターフェースコネクタ112にはインターフェースケーブル12が、それぞれ接続されている。このインターフェースケーブル12は、上位装置(例えば銀行のATMなど)に接続され、上位装置からのコマンドは、基板110のインターフェースコネクタ112を介して内蔵カードリーダライタ100に送られる。そして、内蔵カードリーダライタ100からの指令に基づいて、ファン電源供給回路111によって冷却ファン26に駆動電流が流れる。これにより、冷却ファン26が回転する。
【0038】
なお、内蔵カードリーダライタ100及び基板110への電力供給を行う電源120,電源用の基板130,インレット150であるが、コンセント13及びインレット150を介して入力される交流電圧(100V〜240V)は、ヒューズ,バリスタ及びノイズフィルター等を有する電源用の基板130によって電圧調整され、電源120によってDC24VにA/D変換される。そして、DC24Vの電圧が、内蔵カードリーダライタ100及び基板110へ入力される。このようにして、電力供給を行う。次に、情報記録媒体処理装置1の詳細な電気的構成(一例)について説明する。
【0039】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2の回路図は、説明の便宜上、情報記録媒体処理装置1が行うモータ制御,ソレノイド制御,ファン制御に着目し、これらに関連する部分の回路図のみを示している。また、図2においては、主要電気要素のみに符号を付している。
【0040】
図2において、情報記録媒体処理装置1は、モータドライバ21を有している。このモータドライバ21には、VREF端子(4),VCC端子(7),VS端子(8),IN1端子(5),IN2端子(6),OUT1端子(2),OUT2端子(10),NC1端子(3),NC2端子(9),及びGND端子(1)が設けられている。なお、電源120(図1参照)から出力されるDC24Vの電圧は、VCC端子に入力される。また、GND端子は、アースに接続される。
【0041】
上位装置からのコマンドとして、PWM制御信号又はアナログ制御信号が、インターフェースケーブル12(図1)を介してトランジスタ23のベース端子に入力され、トランジスタ23のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ23のエミッタからコレクタへコレクタ電流が流れる。そして、このコレクタ電流は、モータドライバ21のVREF端子に入力される。その後、モータドライバ21は、OUT端子1及びOUT端子2を介して、モータ22に対して駆動電流を供給する。これにより、モータ22が回転し、モータ22に連結された回転ローラ(図示せず)が回転する結果、挿入された情報記録媒体を搬送路の奥(図1でいうと右方)まで搬送することができる。
【0042】
なお、モータドライバ21のVREF端子への入力は、電圧変換の基準として働く。また、本実施形態では、情報記録媒体に対する情報の読み出し又は書き込み動作に関連して動く「可動部材」の一例として、モータ22を考える(可動部材がIC接点機構105であっても、印字ヘッド機構106であっても、考え方は同じである)。さらに、このモータ22の駆動を制御する「制御手段」の一例として、モータドライバ21を考える。
【0043】
一方、上位装置からのコマンドとして、モータ22の回転方向を決める信号も、モータドライバ21に入力される。より具体的には、上位装置からのコマンドとして、正方向回転信号がIN2端子へ、逆方向回転信号がIN1端子に入力される。これを受けたモータドライバ21は、モータ22に対して駆動電流を供給する際に、回転方向をも考慮して供給する。
【0044】
また、上位装置からのコマンドとして、ソレノイド27を動作させるためのソレノイド動作信号(電圧)は、FET28のゲート端子に入力される。そうすると、FET28がONし、ドレイン電流が流れ、その結果、ソレノイド27のプランジャが変位して、シャッタ180の開閉が行われる。
【0045】
ここで、上述したソレノイド動作信号は、ソレノイド27のプランジャを変位させるものであるが、プランジャが変位した後(シャッタ180が開いた後)、情報記録媒体を筐体内に取り込むべくモータ22が動作する。そうすると、このソレノイド動作信号は、モータ22の駆動の契機になるといえる。また、上述した正方向回転信号,逆方向回転信号は、モータ22の回転方向を定める信号であることから、これらもモータ22の駆動の契機になるといえる。
【0046】
一方、ソレノイド動作信号,正方向回転信号及び逆方向回転信号は、それぞれダイオード24a,ダイオード24b,ダイオード24cを介して、トランジスタ25のベース端子にも入力される。そして、トランジスタ25のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ25がONし、コレクタ電流が流れて冷却ファン26が回転し始める。
【0047】
このように、上位装置から情報記録媒体処理装置1にソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号が送られてくると、これらがモータ22の駆動の契機になる。一方、モータ22の駆動を契機として、冷却ファン26が回転する。したがって、モータ22の回転中に、冷却ファン26を回転させることができ、ひいては冷却ファンの回転音を目立たなくさせることができる。
【0048】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0049】
図3で特徴的な点は、冷却ファン26に接続されたトランジスタ25をONするトリガとして、PWM制御信号が用いられている点である。具体的には、PWM制御信号が入力されるトランジスタ23のベース端子と、冷却ファン26に接続されたトランジスタ25のベース端子とは、ダイオード24dを介して接続されている。したがって、PWM制御信号がONになると、トランジスタ23のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になるとともに、トランジスタ25のベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になる。その結果、トランジスタ23では、エミッタからコレクタへコレクタ電流が流れ(そして、モータ22に駆動電流が流れ)、トランジスタ25では、コレクタからエミッタへコレクタ電流が流れ、ひいては、モータ22の駆動を契機として、冷却ファン26を回転させることができる。このように、モータドライバ21が、モータ22の駆動信号(PWM制御信号)を検知したときに、冷却ファン26を回転させるようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施形態において、モータ22の回転速度と同速度で冷却ファン26を回転させることによって、モータ22の回転状況に応じた消音・放熱効果を奏することができる。
【0051】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0052】
図4で特徴的な点は、冷却ファン26がモータドライバ21のVREF端子に接続されている点である。すなわち、モータドライバ21のVREF端子の電圧が上がると、冷却ファン26が回転するようになっている。以下、VREF端子に入力される電圧に関して、より具体的に説明する。
【0053】
図4において、PWM制御信号又はアナログ制御信号は、点線枠で示す増幅回路50を通って、モータドライバ21のVREF端子に入力される(ここではアナログ制御信号だけに着目する)。増幅回路50は、主に、3個のトランジスタ23a,23b,23cと、IC40と、を有している。アナログ制御信号がIC40に入力され、IC40の出力がトランジスタ23aのベース端子に入力され、ベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ23aでは、ベース電流のhFE倍のコレクタ電流(コレクタ→エミッタ)が流れる。そして、トランジスタ23cのベース−エミッタ間の電圧が0.7V以上になると、トランジスタ23cでは、ベース電流のhFE倍のコレクタ電流(エミッタ→コレクタ)が流れる。これにより、大電流がモータ22に供給されることになる。なお、本実施形態では、トランジスタ23cが電流制御、モータドライバ21が回転方向制御を行っており、モータ22への大電流による発熱が、トランジスタ23cとモータドライバ21とで分割されるようになっている。これにより、電流制御と回転方向制御をモータドライバ21のみで行ったときと比べて、モータドライバ21の発熱を小さくすることができる。
【0054】
しかし、仮に、トランジスタ23aとトランジスタ23cのみの回路を考えると、回路の個別性能が現れ易いことになる。例えば、環境温度が変わると、モータ22へ流れる消費電流が変化することになる。そこで、本実施形態では、モータドライバ21のVREF端子に入力される電圧が一定となるように、フィードバックがかかっている。具体的には、IC40において、トランジスタ23cのコレクタ側の電圧(抵抗R1と抵抗R2で分圧している点については後述する)と、アナログ制御信号の電圧とを比較する(ただし、両方の電圧はほぼ同じである必要がある)。その結果、アナログ制御信号の方が高電圧ならば、IC40が出力を上げることによって、モータ22への電力供給は増加する。一方で、アナログ制御信号の方が低電圧ならば、IC40が出力を下げることによって、モータ22への電力供給は減少する。このように、IC40を活用することによって、環境温度が変わった場合であっても、性能を安定化させることができる。
【0055】
しかし、仮に、トランジスタ23cのコレクタ端子の電圧(モータ用電源の電圧と同じ+12V)を、そのままアナログ制御信号の電圧(0〜5V)を比較するとなると、不都合である。したがって、トランジスタ23cのコレクタ側に抵抗R1及び抵抗R2を設け、モータドライバ21へ供給する電圧を約5/12に分圧し、この電圧(最大5V)をIC40にフィードバックさせるようにしている。なお、分圧比に関しては、5/12以外の値をとっても構わない。
【0056】
最後に、本実施形態では、電流制限回路としてトランジスタ23bを設けている。具体的に説明すると、モータドライバ21への供給電流が上がると、抵抗R3における電圧降下が大きくなる。そして、この電圧降下が0.7Vを超えると、トランジスタ23bがONする。その結果、トランジスタ23cのベース端子と電源とが直接接続されたことと同じになり、ベース−エミッタ間の電位差が小さくなる。そして、そのうちトランジスタ23bのベース−エミッタ間の電位差が0.7V未満になる。これにより、トランジスタ23bのコレクタ電流(エミッタ→コレクタ)は遮断されることになり、モータ22への電流供給が停止する。このようにして、情報記録媒体処理装置1に、電流制限機能をもたせることができる。
【0057】
以上説明したように、第3実施形態に掛る情報記録媒体処理装置1では、増幅回路50に、定電圧制御機能や電圧分割機能、電流制限機能をもたせつつ、モータ22を駆動する際の消費電流(駆動電流)が一定レベル以上になったとき、冷却ファン26が回転するようになっている。
【0058】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22及びソレノイド27の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
図5で特徴的な点は、ソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号をトリガとして、冷却ファン26の回転速度が変化する点である。具体的には、通常状態では、冷却ファン26の消費電流は抵抗R4を流れており、冷却ファン26は低速回転をしている。図2で説明したように、ソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号によってトランジスタ25がONすると、冷却ファン26の消費電流は、トランジスタ25のコレクタ電流となって増大する。したがって、冷却ファン26は高速回転することになる。
【0060】
このように、上位装置からソレノイド動作信号,正方向回転信号又は逆方向回転信号が送られてきたタイミング、すなわちモータ22を駆動するタイミングで、冷却ファン26を低速回転から高速回転へと遷移させてもよい。
【0061】
[第5実施形態]
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22及びソレノイド27の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
図6に示す回路図は、ソレノイド27を動作させる回路と、モータ22を駆動する回路と、冷却ファン26を回転させる回路とが互いに独立している。すなわち、上位装置(のCPU)は、ソレノイド27の動作状況や、モータ22の動作状況を把握していることから、その状況に基づいて、直接冷却ファン26の回転を制御する。このように、モータ22の駆動を契機として、上位装置によって冷却ファン26が回転するようにしてもよい。
【0063】
[第6実施形態]
図7は、本発明の第6の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置1の電気的構成を示す回路図である。なお、図2に示す電気要素と同じものについては、同じ符号で示す。また、モータ22及びソレノイド27の動作については、図2と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
図7で特徴的なのは、なるべく部品点数を減らす観点から、回路をシンプル化している点である。図7では、モータドライバ21のVREF端子の電圧に準じて、モータ22への供給電圧が変わる。よって、モータ22への供給電圧が高いとき、冷却ファン26への供給電圧も高くなる。このように、モータ22の回転数が上げると冷却ファン26の回転数も上がるようにして、冷却効率を高めることができる。
【0065】
以上、第1実施形態から第6実施形態までは、冷却ファン26を駆動させるにあたって、ソレノイド動作信号や、逆方向回転信号又は正方向回転信号を用いているが、例えば、カード挿入検知センサにカードが挿入されたことを検知すると同時に(これにより、モータが駆動する)、冷却ファン26を回転させることも可能である。
【0066】
[制御方法の流れ]
図8は、カード挿入時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0067】
図8において、まず、ホスト(上位装置)側からカードリーダライタ(内蔵カードリーダライタ100)へ、カード挿入コマンドが送信され(ステップS1)、カードリーダライタはこれを受信する(ステップS2)。
【0068】
次いで、カード挿入が行われると(ステップS3)、カードリーダライタにおいてカード挿入検知が行われる(ステップS4)。カード挿入が検知されると、ソレノイド27によってシャッタ180がオープンになる(ステップS5)。すると、モータ22が回転し、カード搬送が開始されると同時に、冷却ファン26が回転を始める(ステップS6)。
【0069】
その後、ソレノイド27によってシャッタ180がクローズし(ステップS7)、磁気データの読み取りが開始される(ステップS8)。磁気データの読み取りが終了すると(ステップS9)、モータ22の回転が停止し(ステップ10)、磁気データがカードリーダライタからホストへと送られる(ステップS11,12)。最後に、任意の時間を待って(ステップS13。例えば6〜10秒待つ。筐体10が冷めるのを待つための時間であるが、設定は任意である)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS14)。
【0070】
図9は、カード磁気データ書き込み処理時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0071】
図9において、まず、カード書き込みコマンドがホストから送信される(ステップS21)。これを受信したカードリーダライタは(ステップS22)、モータ22を回転させて、カード搬送を行うと同時に、冷却ファン26を回転させる(ステップS23)。その後、磁気データの書き込みを開始し(ステップS24)、これが終了すると(ステップS25)、モータ22を逆回転させる(ステップS26)。そして、今度は磁気データの読み取りを開始し(ステップS27)、これが終了すると(ステップS28)、モータ22の回転を停止する(ステップS29)。
【0072】
次に、書き込み合否結果をホストに対して送信し(ステップS30)、ホストがこれを受信する(ステップS31)。このとき、カードリーダライタでは、任意の時間待ち(例えば6〜10秒)を経て(ステップS32)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS33)。
【0073】
図10は、カード排出時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0074】
図10において、まず、カード排出コマンドがホストから送信される(ステップS41)。これを受信したカードリーダライタは(ステップS42)、ソレノイド27によってシャッタ180をオープンにすると同時に、冷却ファン26を回転させる(ステップS43)。その後、モータ22を逆回転させ、(カードを排出する方向へ)カード搬送を行う(ステップS44)。カードを完全に排出すると(ステップS45)、モータ22の回転が停止し(ステップS46)、ソレノイド27によってシャッタ180がクローズする(ステップS47)。
【0075】
次に、カード排出の合否をホストに送信し(ステップS48)、ホストはこれを受信する(ステップS49)。このとき、カードリーダライタでは、任意の時間待ち(例えば6〜10秒)を経て(ステップS50)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS51)。
【0076】
図11は、カード排出時における情報記録媒体処理装置1の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図11において、まず、カード排出コマンドがホストから送信される(ステップS61)。これを受信したカードリーダライタは(ステップS62)、ソレノイド27によってシャッタ180をオープンにすると同時に、冷却ファン26を回転させる(ステップS63)。その後、モータ22を逆回転させ、(カードを排出する方向へ)カード搬送を行う(ステップS64)。
【0078】
次に、カードがゲート部にあることを確認すると(ステップS65)、モータ22の回転を停止させる(ステップS66)。そして、カード排出の合否をホストに送信するとともに、ソレノイド27によってシャッタ180をクローズする(ステップS67)。一方、ホストはこれを受信する(ステップS68)。このとき、カードリーダライタでは、任意の時間待ち(例えば6〜10秒)を経て(ステップS69)、冷却ファン26の回転が停止する(ステップS70)。なお、図11によれば、冷却ファン26が停止する前にカード取り出しが可能になる。
【0079】
以上説明したように、図8〜図11に示す制御方法によれば、モータ22が回転し始め、これが回転している最中を中心に、冷却ファン26を回転させることができる。これにより、冷却ファン26の回転音をモータ26の駆動音によって紛らわすことができ(或いは相対的に小さくすることができ)、ひいては冷却ファン26の回転音を目立たなくさせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る情報記録媒体処理装置及びその制御方法は、冷却ファンの回転音を目立たなくさせることが可能なものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の概要を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図5】、本発明の第4の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る情報記録媒体処理装置の電気的構成を示す回路図である。
【図8】カード挿入時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図9】カード磁気データ書き込み処理時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図10】カード排出時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図11】カード排出時における情報記録媒体処理装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 情報記録媒体処理装置
10 筐体
21 モータドライバ
22 モータ
23,25 トランジスタ
24 ダイオード
26 冷却ファン
27 ソレノイド
28 FET
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、
前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、
情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、
前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有し、
前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転することを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転し始めることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記可動部材には、情報記録媒体を搬送する際に回転駆動されるモータが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項4】
前記可動部材には、情報記録媒体の表面に設けられたIC接点端子に接触するIC接点を、情報記録媒体に対して接近又は離反させるIC接点機構が含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項5】
前記可動部材には、情報記録媒体の表面に対して印字を行う印字ヘッドを、情報記録媒体に対して接近又は離反させる印字ヘッド機構が含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御手段が前記可動部材の駆動信号を検知したときに、前記冷却ファンが回転することを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項7】
前記可動部材を駆動する際の消費電流が一定レベル以上になったとき、前記冷却ファンが回転することを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項8】
情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有する情報記録媒体処理装置の制御方法であって、
前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンを回転させることを特徴とする情報記録媒体処理装置の制御方法。
【請求項1】
情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、
前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、
情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、
前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有し、
前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転することを特徴とする情報記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンが回転し始めることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記可動部材には、情報記録媒体を搬送する際に回転駆動されるモータが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項4】
前記可動部材には、情報記録媒体の表面に設けられたIC接点端子に接触するIC接点を、情報記録媒体に対して接近又は離反させるIC接点機構が含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項5】
前記可動部材には、情報記録媒体の表面に対して印字を行う印字ヘッドを、情報記録媒体に対して接近又は離反させる印字ヘッド機構が含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御手段が前記可動部材の駆動信号を検知したときに、前記冷却ファンが回転することを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項7】
前記可動部材を駆動する際の消費電流が一定レベル以上になったとき、前記冷却ファンが回転することを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の情報記録媒体処理装置。
【請求項8】
情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作を実行する装置本体が収容される筐体と、前記筐体の内部を冷却する冷却ファンと、情報記録媒体に対する情報の読み出し動作又は書き込み動作に関連して動く可動部材と、前記可動部材の駆動を制御する制御手段と、を有する情報記録媒体処理装置の制御方法であって、
前記可動部材の駆動を契機として、前記冷却ファンを回転させることを特徴とする情報記録媒体処理装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−3523(P2009−3523A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161288(P2007−161288)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
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