説明

情報読み取り装置

【課題】 情報記録媒体(問題カード2)の主たる情報(問題文7及び解答文8)の余白部分(縁部分)に、その主たる情報に付随する付属情報(データトラック11)を形成し、問題カード2が、スライド方向Cに対して傾いて挿入されても、専用のセンサ(クロックセンサ4及びデータセンサ5)を用いて、このデータトラック11を正確に読み取ること。
【解決手段】 上記データトラック11とクロックトラック10とを問題カード2の同一の縁部分の両面にそれぞれ形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報読み取り装置、特に、主たる情報を有する情報記録媒体の余白部分に形成された付属情報を読み取る情報読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体上の主たる情報が表示されている部分以外の余白部分に、その主たる情報に付随する付属情報を形成し、専用のセンサを用いて、この付属情報を読み取るための情報読み取り装置が多数出回っている。例えば、写真用フィルム、ゲーム型学習器等がその例である。写真用フィルムでは、フィルムの同一面上の両縁部分にバーコードが形成され、2個の光センサを用いてこれらのバーコードを読み取ることとしている(特許文献1参照)。又ゲーム型学習器では、中央に問題文が記載されたカードの両縁部分に、その解答情報を含むバーコードと、その読み取りタイミングを制御するバーコードとを形成し、2個の光センサを用いてこれらのバーコードを読み取ることとしている。ここで図を用いて従来のゲーム型学習器の詳細について説明する。
【0003】
図8は、従来のゲーム型学習器を示す構造図である。
(a)は、平面図であり、(b)は、A−A断面矢視図である。
ゲーム型学習器は、学習者によって、操作パネル102のON/OFFボタンが押下され、学習器本体100に問題カード101が挿入されると、動作を開始する。
【0004】
図に示すように、問題カード101には、主たる情報として、問題文103と、解答文104とがカード中央部分に記載されている。更に、問題カード101の両縁部分には、学習者が選択した解答の正誤判断を行う、クロックトラック105と、データトラック106とが形成されている。
【0005】
学習者によって、問題カード101が、学習器本体100に挿入され、スライド方向Cにスライドされると、そのスライドの過程中で、クロックセンサ107が、クロックトラック105から検出する、白から黒、又は黒から白への変化検出のタイミングに合わせて、データセンサ108が、データトラック106に形成されている問題の解答情報を読み込む。この解答情報は、学習器本体100に内蔵する図示しないCPU(中央演算制御素子)に送られる。
【0006】
CPU(図示しない)は、解答情報を所定のプログラムに従って演算処理し、正解(例えば解答文104の3)を算出する。一方、学習者は、問題文103を読み、自己の計算結果から解答文104の中から解答(例えば4)を選択し、操作パネル102の対応する数字ボタン4を押下し、OKボタンを押下する。この場合には、CPUの演算結果と、学習者の計算結果とが一致しない(学習者の誤解答)ので誤解答音(ブー音)が、図示しない表示部(又は音出力部)(又は音出力部)から発音される。
【0007】
学習者が、途中で自己の誤りを認識した場合には、CEボタンを押下し、訂正解答(例えば3)を選択し、操作パネル102の数字ボタン3を押下し、OKボタンを押下する。この場合には、CPUの演算結果と、学習者の計算結果が一致するので正解答音(ピンポン音)が、図示しない表示部(又は音出力部)から発音される。
【0008】
次に、従来のゲーム型学習器における付属情報の構成について説明する。
図9は、従来のゲーム型学習器の問題カード説明図である。
(a)は、問題カード101が、正常状態に挿入されスライド方向Cにスライドされた状態を表している。
(b)は、問題カード101が、スライド方向Cに対してθ度傾いた状態で挿入され、スライド方向Cにスライドされた状態を表している。
【0009】
(a)に示すように、問題カード101が正常に挿入され、スライド方向Cにスライドされると、クロックセンサ107が、最初に白から黒への変化を検出するタイミングで0桁目のクロック信号が生成され、次に黒から白への変化を検出するタイミングで1桁目のクロック信号が生成され、次に白から黒への変化を検出するタイミングで2桁目のクロック信号が生成され、以下、3桁目のクロック信号、4桁目のクロック信号、・・・・・が生成されることになる。
【0010】
このクロック信号に基づいて、データセンサ108は、0桁目のクロック信号で黒(1)を検出し、1桁目のクロック信号で白(0)を検出し、2桁目のクロック信号で白(0)を検出し、3桁目のクロック信号で黒(1)を検出し、以下、白(0)、黒(1)、白(0)、黒(1)、黒(1)、白(0)、白(0)、白(0)、黒(1)、白(0)、黒(1)、白(0)、を検出する。従って、問題カード101が、正常挿入され最後までスライドされると、データセンサ108は、解答情報(1001010110001010)を読み取ることになる。この16ビットの解答情報を利用して上記動作が制御される。
【0011】
一方、(b)に示すように、問題カード101が、正常の状態からθ度傾いた状態で挿入され、スライド方向Cにスライドされると、クロックセンサ107が、最初に白から黒への変化を検出するタイミングで0桁目のクロック信号が生成され、次に黒から白への変化を検出するタイミングで1桁目のクロック信号が生成され、次に白から黒への変化を検出するタイミングで2桁目のクロック信号が生成され、以下、3桁目のクロック信号、4桁目のクロック信号、・・・・・が生成される。
【0012】
この場合には、このクロック信号に基づいて、データセンサ108は、0桁目のクロック信号で白(0)を検出し、1桁目のクロック信号で白(0)を検出し、2桁目のクロック信号で黒(1)を検出し、3桁目のクロック信号で白(0)を検出し、以下、黒(1)、白(0)、黒(1)、黒(1)、白(0)、白(0)、白(0)、黒(1)、白(0)、黒(1)、白(0)、白(0)、を検出する。従って、問題カード101が、この状態で最後まで挿入されると、データセンサ108は、解答情報(0010101100010100)を読み取ることになる。このように問題カード101が、θ度傾いた状態で挿入され、スライド方向Cにスライドされたときの解答情報は、問題カード101が、正常状態で挿入され、スライド方向Cにスライドされたときの解答情報とは異なってくる。その結果、ゲーム型学習器は、誤動作することになる。
【特許文献1】特開2000−174990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、上記したように従来のゲーム型学習器では、学習器本体100のカード支持部109と問題カード101との寸法差等によって、問題カード101が、スライド方向Cとθ度傾いた状態で学習器本体100に挿入されると、そのときデータセンサ108が読み取る解答情報は、正常状態で挿入されたときにデータセンサ108が読み取る解答情報とは異なってくる。その結果、ゲーム型学習器は、誤動作をすることになる点である。尚、上記学習器本体100と問題カード101との寸法差は、問題カード101をスムーズにスライドさせるためには不可欠なものであり、誤動作を避けるために寸法差を小さくするとスライド操作が面倒になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、データトラックとクロックトラックとを、定型情報伝達媒体の同一の縁部分の両面にそれぞれ形成することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
データトラックとクロックトラックとが、定型情報伝達媒体の同一縁部分の両面にそれぞれ形成されることによって、問題カードが、スライド方向Cに対してθ度傾いた状態で学習器本体に挿入され、スライド方向Cにスライドされたとしても、その状態によって発生するクロックトラックとクロックセンサとの距離の変化量、及び、データトラックとデータセンサとの距離の変化量は等しくなる。その結果、定型情報伝達媒体が、スライド方向Cに対してθ度傾いた状態で学習器本体に挿入されたとしても、そのときの解答情報は、定型情報伝達媒体が、正常状態で学習器本体に挿入されたときの解答情報と等しくなる。その結果、情報読み取り装置は、誤動作しなくなると言う効果を得る。更に、誤動作がなくなるので、両トラックに含める情報量を増加させ得るという効果をも得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
定型情報伝達媒体をカード状に成形し、該カードの縁部分を除く面上に問題文と、該問題文の解答が記載し、問題文の解答情報を含むデータトラック及びクロックトラックとを、装置本体中をスライドする定型情報伝達媒体の同一辺の縁部分の両面にそれぞれ形成してゲーム型学習器を実現した。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1のゲーム型学習器を示す構造図である。
図に示すように、実施例1のゲーム型学習器は、学習器本体1と、問題カード2とを含む。学習器本体1は、カード支持部3と、クロックセンサ4と、データセンサ5と、操作パネル6とを備える。
【0018】
カード支持部3は、学習者による、問題カード2のスライドを側面から支持する部分である。問題カード2が学習器本体1に挿入された後は、学習者が、問題カード2の表面に記載されている問題文7と、解答文8とを読み取り可能なように、問題カード2の縁部分のみを覆うように学習器本体1の両側面に内設される。
【0019】
クロックセンサ4は、学習者による、問題カード2のスライド中に、問題カード2の裏面縁部分に形成されているクロックトラック10を読み取るためのセンサである。通常、バーコードに光線を放射し、その反射光の強弱によって、バーコードの1又は0を検出するフォトセンサが用いられる。このクロックセンサ4は、読み取るべきクロックトラック10に対面するように、一方のカード支持部3の所定の位置に配設される。
【0020】
データセンサ5は、学習者による、問題カード2のスライド中に、問題カード2のクロックトラック10が形成されている縁部分と同一の縁部分の表面に形成されているデータトラック11を読み取るためのセンサである。通常、バーコードに光線を放射し、その反射光の強弱によって、バーコードの1又は0を検出するフォトセンサが用いられる。このデータセンサ5は、読み取るべきデータトラック11に対面するように、カード支持部3の所定の位置に配設される。
【0021】
操作パネル6は、学習者が所定のボタンを押下して、学習する部分である。ON/OFFボタンは、ゲーム型学習器の動作開始・終了ボタンである。数字ボタン1、2、3、4、5は、学習者が、問題文7を読み、自己の計算結果に基づいて解答文8の中から解答を選択するボタンである。CEボタンは、学習者が、自己の選択した解答を取り消す場合の取り消しボタンである。OKボタンは、学習者が、自己の選択した解答を決定するボタンである。
【0022】
問題カード2は、ゲーム型学習器におけるカード状の情報伝達媒体である。その構成について説明する。
図2は、実施例1のゲーム型学習器の問題カード説明図である。
(a)は、問題カード2の表面(一例)を表し、(b)は、問題カード2の裏面(一例)を表し、(c)は、データトラック11とクロックトラック10との相対位置関係(一例)を表している。
(a)に示すように、問題カード2の表面には、問題文7、解答文8等の主たる情報が記載されている。その余白部分(縁部分)に主たる情報の付属情報を含むバーコードからなる、データトラック11が形成されている。このデータトラック11には、問題文7の解答情報が含まれている。又、(b)に示すように、問題カード2の裏面には、説明文9が記載されている。その余白部分(縁部分)には、付属情報を読み取るタイミングを定めるクロックトラック10が所定の間隔で形成されている。
【0023】
このクロックトラック10と上記データトラック11とは、問題カード2の同一辺縁部分の両面にそれぞれ形成されている。(c)に示すように、データトラック11とクロックトラック10との相対位置関係(一例)から、問題カード2が、正常な状態で学習器本体1(図1)に挿入され、スライド方向Cにスライドされた場合には、クロックセンサ4の読み取りタイミングに基づいて、データセンサ5は、解答情報(0010101100010100)を読み取ることになる。
【0024】
この同一辺縁部分の両面にそれぞれ形成されている両トラックの機能について説明する。
図3は、実施例1のゲーム型学習器の機能説明図である。
この図は、問題カード2が、スライド方向Cに対して、θ度傾いて学習器本体1(図1)に挿入され、その状態のままスライド方向Cにスライドされたときの問題カード2の表面(a)と、裏面(b)と、データトラック11とクロックトラック10との相対位置関係(c)を示すイメージ図である。
【0025】
図に示すように、問題カード2が、スライド方向Cに対して、θ度傾いて学習器本体1(図1)に挿入され、その状態のままスライド方向Cにスライドされた場合には、クロックセンサ4は、クロック走査ライン28上を走査することになる。このクロック走査ライン28は、スライド方向Cとは平行であるが、クロックトラック10の配列方向とはθ度異なる。
【0026】
一方、図に示すように、問題カード2が、スライド方向Cに対して、θ度傾いて学習器本体1(図1)に挿入され、その状態のままスライド方向Cにスライドされた場合には、データセンサ5は、データ走査ライン29上を走査することになる。このデータ走査ライン29は、スライド方向Cとは平行であるが、データトラック11の配列方向とはθ度異なる。
【0027】
その結果、クロックセンサ4が、クロックトラック10をクロック走査ライン28に沿って、白から黒への変化、又は黒から白への変化を検出するタイミングは、問題カード2が、スライド方向Cに対して、正常状態に挿入されスライド方向Cにスライドされた場合(この場合の走査ラインは、クロックトラック10の配列方向に等しい)のタイミングに比較して若干遅延する。しかしながら、データ走査ライン29もデータトラック11の配列方向とはθ度異なるため、データセンサ5が、データ走査ラインに沿って、白、又は、黒を検出するタイミングも、クロックセンサ4のタイミング遅延と同一時間遅延することになる。
【0028】
その結果、問題カード2が、スライド方向Cに対して、θ度傾いて学習器本体1(図1)に挿入され、その状態のままスライド方向Cにスライドされた場合であっても、そのとき読み取られる解答情報は、問題カード2が、スライド方向Cに対して、学習器本体1(図1)に正常に挿入され、その状態のままスライド方向Cにスライドされた場合に読み取られる解答情報と一致することになる。
【0029】
次に、本発明のゲーム型学習器の制御系統について説明する。
図4は、本発明のゲーム型学習器の制御系統ブロック図である。
図に示すように、本発明のゲーム型学習器の制御系統は、操作部21と、データ検出部22と、演算部23と、判定部24と、表示部(又は音出力部)25と、ROM26と、CPU27とを備える。
【0030】
操作部21は、ON/OFFボタン(図1)と、数字ボタン1、2、3、4、5(図1)と、CEボタン(図1)と、OKボタン(図1)から受け入れる学習者の意志に基づいて、CPU27が予めROM26に格納されている所定のプログラムを実行し、ゲーム型学習器の動作手順を進行させるマンマシンインターフェースの役割を果たす部分である。
【0031】
データ検出部22は、学習者が問題カード2をカード支持部3(図1)に沿って、スライド方向Cにスライドさせる過程で、クロックセンサ4(図1)及びデータセンサ5(図1)を用いて、クロックトラック10とデータトラック11とを走査して解答情報を読み出してCPU27へ送出する部分である。
【0032】
演算部23は、CPU27が、データ検出部22から、受け入れた解答情報に基づいて、予めROM26に格納されている所定のプログラムを実行することによって、問題文7(図1)の正解を算出する部分である。
【0033】
判定部24は、CPU27が予めROM26に格納されている所定のプログラムを実行することによって、学習者が選択して押下した数字ボタンの値(学習者の計算結果)と、演算部23が算出した正解とが一致するか否かを判定する部分である。
【0034】
表示部(又は音出力部)25は、判定部24が学習者の選択した解答と演算部23が算出した正解とが一致すると判定した場合には、CPU27が予めROM26に格納されている所定のプログラムを実行することによって、例えばピンポン音を発音し、一致しないと判定した場合には、例えばブー音を発音する部分である。
【0035】
ROM26は、CPU27が実行して上記操作部21、演算部23、判定部24、表示部(又は音出力部)25を起動するプログラムを予め格納するリードオンリーメモリである。
CPU27は、本発明のゲーム型学習器全体を制御するマイクロプロセッサであり、ROM26に予め格納されている所定のプログラムを実行することによって操作部21、演算部23、判定部24、表示部(又は音出力部)25を起動する部分である。
【0036】
次に、本発明のゲーム型学習器の動作について説明する。
図5は、本発明のゲーム型学習器の動作フローチャートである。
フローチャートのステップS1からステップS10までステップ順に本発明のゲーム型学習器の動作について説明する。
【0037】
ステップS1
学習者によって、操作パネル6(図1)のON/OFFボタンが押下され、学習器本体1(図1)に問題カード2(図2)が挿入されると、ゲーム型学習器は、動作を開始する。
【0038】
ステップS2
学習者によって、問題カード2(図2)が、学習器本体1(図1)に挿入されスライド方向C(図1)にスライドされると、そのスライドの過程中で、クロックセンサ4(図1又は図2)が、クロックトラック10(図2)から検出する、白から黒、又は黒から白への変化検出のタイミングに合わせて、データセンサ5(図1又は図2)が、データトラック11(図2)に含まれている上記問題文7の解答情報を読み込む。この解答情報は、データ検出部22(図3)から演算部23(図3)へ送られる。
【0039】
ステップS3
演算部23(図3)は、解答情報を所定のプログラムに従って演算処理し、正解を算出する。
【0040】
ステップS4
学習者は、問題文7(図1)を読み、自己の計算結果から解答文8(図1)の中から解答を選択し、操作パネル6(図1)の数字ボタンを押下する。
【0041】
ステップS5
学習者は、選択に変更が無ければステップS6へ進み、選択に変更があれば、ステップS7へ進む。
【0042】
ステップS6
学習者は、操作パネル6(図1)のCEボタンを押下した後、再度訂正した解答を選択し、操作パネル6(図1)の数字ボタンを押下する。
【0043】
ステップS7
学習者は、操作パネル6(図1)のONボタンを押下する。
【0044】
ステップS8
判定部24(図3)は、演算部23(図3)の演算結果と学習者の選択結果が一致する場合にはステップS9へ進み、一致しない場合にはステップS10へ進む。
【0045】
ステップS9
表示部(又は音出力部)25(図3)は、ピンポン音を発音してフローを終了する。
【0046】
ステップS10
表示部(又は音出力部)25(図3)は、ブー音を発音してフローを終了する。
【0047】
以上説明したように、データトラック11(図3)とクロックトラック10(図3)とが、問題カード2(図3)の同一縁部分の両面にそれぞれ形成されることによって、問題カード2(図3)が、スライド方向Cに対してθ度傾いた状態で学習器本体1(図1)に挿入され、スライド方向Cにスライドされたとしても、その状態によって発生するクロックトラック10(図3)とクロックセンサ4(図3)との距離の変化量、及び、データトラック11(図3)とデータセンサ5(図3)との距離の変化量は等しくなる。その結果、問題カード2(図3)が、スライド方向Cに対してθ度傾いた状態で学習器本体1(図1)に挿入されたとしても、そのときの解答情報は、問題カード2(図3)が、正常状態で学習器本体1(図1)に挿入されたときの解答情報と等しくなるという効果を得る。更に、誤動作がなくなるので、両トラックに含める情報量を増加させ得るという効果をも得ることが出来る。
【0048】
以上の説明では、本発明による学習器本体1(図1)は、問題カード2(図1)のスライド方向両側面を支持することとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。本発明によって、問題カード2(図1)が多少傾いて支持されても、正確な解答情報を検出出来ることになったので、図1に示すように問題カード2(図1)の両側面を2個のカード支持部3(図1)によって支持する必要はなくなる。即ち、学習器本体1(図1)は、問題カード2(図1)の両側面を支持すること無く、一方の側面のみを支持する構成にしても良い。
【0049】
尚、上記説明では、操作部21と、データ検出部22と、演算部23と、判定部24と、表示部(又は音出力部)25とは、CPU27が、予めROM26に格納されている所定のプログラムを実行することによって起動される、CPU27の制御手段であるとして記載したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、操作部21と、データ検出部22と、演算部23と、判定部24と、表示部(又は音出力部)25の全て、あるいは、その一部を専用の電子回路で構成しても良い。
【実施例2】
【0050】
実施例1では、上記従来のゲーム型学習器では、学習器本体100(図8)のカード支持部3と問題カード101(図8)の寸法差等によって、問題カード101(図8)が、スライド方向Cとθ度傾いた状態で学習器本体100(図8)に挿入されると、そのときデータセンサ108(図8)が読み取る解答情報は、正常状態で挿入されたときにデータセンサ108(図8)が読み取る解答情報とは異なってくるという問題を解決した。
【0051】
一方、上記発明が解決しようとする課題には含めていないが、従来のゲーム型学習器では、動作を開始して問題カードを挿入するまでの間、又は、挿入されても、データセンサの位置に到達する前は、データセンサが本来0を検出すべきであるのに、放射光線がカード支持部によって吸収されてしまうことによってデータセンサが1を検出し、誤動作を誘発する場合も発生する。本実施例では、このような不都合を回避することを目的とする。
【0052】
図6は、実施例2のゲーム型学習器を示す構造図である。
図に示すように、本発明のゲーム型学習器は、学習器本体30と、問題カード31とを含む。学習器本体30は、カード支持部3と、クロックセンサ37と、データセンサ38と、操作パネル6と、光線反射部39とを備える。実施例1との相違部分のみについて説明する。実施例1と同一の部分については、実施例1と同一の符合を付して説明を省略する。
【0053】
クロックセンサ37、は、学習者による、問題カード31のスライド中に、問題カード31の表面の一方の縁部分に形成されているクロックトラック35を読み取るためのセンサである。通常、バーコードに光線を放射し、その反射光の強弱によって、バーコードの1又は0を検出するフォトセンサが用いられる。このクロックセンサ37は、読み取るべきクロックトラック35に対面するように、カード支持部3の所定の位置に配設される。
【0054】
データセンサ38は、学習者による、問題カード31のスライド中に、問題カード31の表面の他方の縁部分に形成されているデータトラック36を読み取るためのセンサである。通常、バーコードに光線を放射し、その反射光の強弱によって、バーコードの1又は0を検出するフォトセンサが用いられる。このデータセンサ38は、読み取るべきデータトラック36に対面するように、カード支持部3の所定の位置に配設される。
【0055】
光線反射部39は、学習器本体30に問題カード31が挿入される前の状態でクロックセンサ37、及び、データセンサ38が放射する光を反射させる部分である。通常接着剤などを用いて白色のテープ又は反射板が、カード支持部3の、クロックセンサ37、及び、データセンサ38と対向する位置に付着される。この光線反射部39の機能について説明する。
【0056】
図7は、光線反射部の機能説明図である。
(a)は、問題カード31が、スライドされ、データトラック36をデータセンサ38が読み取る状態において、機能説明に必要な構成部分のみを表したイメージ図である。(b)は、(a)に於けるB−B断面、及びC−C断面の拡大矢視図である。
【0057】
図に示すように、データセンサ38は、データトラック36の黒部分と相対するタイミングでは、1を検出し、データトラック36の白部分と相対するタイミングでは0を検出する。一方、問題カード31が挿入される前、又は、挿入されても、データセンサ38の位置に到達する前は、データセンサ38が0を検出すべきである。ところが、従来のゲーム型学習器(図8)では、カード支持部3の材質などによっては、放射光線が吸収されてしまいデータセンサ38が1を検出する場合も発生していた。
【0058】
そこで、(b)に示すように、カード支持部3に於いて、クロックセンサ37、又はデータセンサ38と対向する位置に、光線反射部39を配設することとする。こうすることによって、図に示すように、クロックセンサ37、又は、データセンサ38が放射する放射光線41の大部分が反射光線42となって、クロックセンサ37、又は、データセンサ38に戻ることになり、クロックセンサ37、又は、データセンサ38は、0を検出することになる。
【0059】
以上説明したように、クロックセンサ37、又はデータセンサ38と対向する位置に、光線反射部39を配設することによって、ゲーム型学習器が動作を開始し、問題カードが挿入されるまでの間、又は、挿入されても、データセンサの位置に到達する前に、データセンサが1を検出し、誤動作を誘発することが無くなるという効果を得る。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上の説明では、本発明をゲーム型学習器に適合させた場合のみについて説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。情報記録媒体上の主たる情報の余白部分に、その主たる情報に付随する付属情報を形成することが可能な情報読み取り装置の全てに適合させることが可能である。例えば、定型伝票を上記説明の定型情報伝達媒体として、その縁部分に伝票の種類等の情報を形成することによって伝票仕分け器に用いること等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1のゲーム型学習器を示す構造図である。
【図2】実施例1のゲーム型学習器の問題カード説明図である。
【図3】実施例1のゲーム型学習器の機能説明図である。
【図4】本発明のゲーム型学習器の制御系統ブロック図である。
【図5】本発明のゲーム型学習器の動作フローチャートである。
【図6】実施例2のゲーム型学習器を示す構造図である。
【図7】光線反射部の機能説明図である。
【図8】従来のゲーム型学習器を示す構造図である。
【図9】従来のゲーム型学習器の問題カード説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 学習器本体
2 問題カード
3 カード支持部
4 クロックセンサ
5 データセンサ
6 走査パネル
7 問題文
8 解答文
11 データトラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔に形成されたクロックトラック及び所定の情報を含むデータトラックとを有する定型情報伝達媒体と、該定型情報伝達媒体のスライドを支持する装置本体と、該装置本体に配設され前記定型情報伝達媒体のスライド中に前記クロックトラックを読み取るクロックセンサと、前記装置本体に配設され前記クロックセンサによるクロックトラックの読み取りに同期して前記データトラックを読み取るデータセンサとを含む情報読み取り装置であって、
前記クロックトラックと前記データトラックとは、前記定型情報伝達媒体の同一の縁部分の両面にそれぞれ形成されることを特徴とする情報読み取り装置。
【請求項2】
前記定型情報伝達媒体はカード状に成形され、該カードの縁部分を除く面上に問題文と、該問題文の解答が記載され、
前記問題文の解答情報を含むデータトラック及び前記クロックトラックは、前記装置本体中をスライドする前記定型情報伝達媒体の同一辺の縁部分の両面にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1に記載の情報読み取り装置。
【請求項3】
前記クロックセンサは、前記クロックトラックと対面する前記装置本体の所定の位置に配設され、前記データセンサは、前記データトラックと対面する前記装置本体の所定の位置に配設されることを特徴とする請求項1に記載の情報読み取り装置。
【請求項4】
所定の間隔に形成されたクロックトラック及び所定の情報を含むデータトラックとを有する定型情報伝達媒体と、該定型情報伝達媒体のスライドを支持する装置本体と、該装置本体に配設され前記定型情報伝達媒体のスライド中に前記クロックトラックを読み取るクロックセンサと、前記装置本体に配設され前記クロックセンサによるクロックトラックの読み取りに同期して前記データトラックを読み取るデータセンサとを含む情報読み取り装置であって、
前記クロックセンサの放射光を反射させる光反射部を前記クロックセンサと対面する前記装置本体の所定の位置に配設し、
前記データセンサの放射光を反射させる光反射部を前記データセンサと対面する前記装置本体の所定の位置に配設することを特徴とする情報読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−113850(P2006−113850A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301287(P2004−301287)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(504385638)
【Fターム(参考)】