説明

情報読取装置

【課題】 挿入部から挿入されたメディアに記録されている情報を読み出す情報読取装置において、所定の操作を行うと、エジェクト操作がなされても、メディアの排出が行われないようしてメディアの盗難を防止する。
【解決手段】 メニュー画面によりエジェクト無効設定のための画面を読み出し、その画面上で暗証番号を入力すると、エジェクト無効がRAMに記憶される。エジェクト無効がRAMに記憶されている状態では、エジェクト用の押釦スイッチ21aを操作しても、エジェクト機構が作動されず、挿入口9からCDやDVDが排出されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどのメディアに記録されている情報を読み取る情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のカーナビゲーション装置は、CD/DVDプレーヤなどのオーディオ.ビデオ機器と一体となっているタイプのものが多くなってきている。このオーディオ.ビデオ一体型カーナビゲーション装置では、DVD−ROMから読み出した道路地図データを表示画面に表示しながら音楽用CDを再生したり、或いは、駐車時には、表示画面にビデオ用DVDの映像を写して楽しんだりすることができる。
【0003】
上記のCD/DVDプレーヤや地図データ読み取り用のDVD−ROMドライブには、それぞれエジェクト機構が設けられており、エジェクトキーを操作すると、中に入っている音楽用のCDやビデオ用のDVD、或いは地図データ用のDVD−ROMが排出されるようになっている。これにより、音楽用CDやビデオ用DVDを容易に交換でき、また、新版の地図データ用DVD−ROMが発売された場合、販売店に頼らずとも、ユーザが自身で旧版のDVD−ROMと容易に交換できるようにしている。
【0004】
このオーディオ・ビデオ一体型カーナビゲーション装置は、ユーザによる操作性や表示画面の見易さなどを考慮して、自動車のセンターコンソールに設置される。反面、誰でもが触れやすい位置にあるため、子供がいたずらして押釦スイッチなどを操作することも考えられ、いたずらによって装置が誤作動したり、損傷したりする恐れがある。これに対処するために、従来では、チャイルドロック操作をすると、全ての操作を無効とするように構成したり、一部の操作を除き、操作されてもその操作を無効にするように構成したりすることが考えられている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−17920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにカーナビゲーション装置は、自動車に設置する場合、ユーザにとって操作し易い場所に配設され、しかも、音楽用CDやビデオ用DVD、或いは地図データ用DVD−ROMなどは、エジェクト操作すると、簡単に取り出せるようになっている。このため、自動車の販売店で新型車を展示する場合、カーナビゲーション装置から音楽用CDやビデオ用DVD、或いは地図データ用DVD−ROMを外して展示し、それらが盗難などにあわないようにしている。
【0006】
しかしながら、音楽用CDやビデオ用DVD、或いは地図データ用DVD−ROMを外していたのでは、オーディオ・ビデオ一体型カーナビゲーション装置の機能を実演により紹介することができない。この場合に、上記特許文献1に記載されているようにチャイルドロック操作を行って一部の操作を除き、操作されてもその操作を無効にする構成を採用すればよいが、これとても、客に十分な操作をして貰うことができないため、購買意欲をそいでしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、所定の操作を行うことにより、他の機能を損なわずに、メディアの排出だけがなされないようにすることができる情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、挿入部を有し、この挿入部から挿入されたメディアに記録されている情報を読み出す情報読取装置において、操作手段と、前記挿入部から挿入された前記メディアを外部に排出するためのエジェクト手段と、前記操作手段のエジェクト操作に応答して前記エジェクト手段を作動させる制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記操作手段により所定の排出禁止操作がなされたとき、前記操作手段を前記エジェクト操作できない状態とし、または、前記操作手段の前記エジェクト操作にもかかわらず前記エジェクト手段を作動させないようにすることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、所定の排出禁止操作を行うことによって、エジェクト手段を作動させないようにすることができるので、装置の機能はそのままにしてメディアの排出だけが行われないようにすることができる。
【0010】
この場合、更に、表示画面と、前記エジェクト操作のための操作手段として前記表示画面上に設けられたタッチパネルと、を備え、前記制御手段は、前記エジェクト操作のためのタッチ部の表示時に当該タッチ部が操作されたとき、前記タッチパネルのタッチ位置検出機能により前記タッチ部の操作を検出して前記エジェクト手段を作動させ、前記所定の排出禁止操作がなされたときには、前記タッチ部の操作を検出しても前記エジェクト手段を作動させず、または、前記表示画面への前記タッチ部の表示を消去して前記エジェクト操作できない状態にする構成としても良い。
【0011】
また、更に、表示画面と、前記エジェクト操作のための操作手段として、前記表示画面にエジェクト操作位置表示部および入力位置表示用ポインタを表示すると共に、遠隔操作により前記入力位置表示用ポインタを前記エジェクト操作位置表示部に移動させて入力操作を行うための遠隔操作手段と、を備え、前記制御手段は、前記表示画面に表示された前記エジェクト操作位置表示部に前記入力位置表示用ポインタを合せた状態で前記遠隔操作手段から入力があったことを検出したとき、前記エジェクト手段を作動させ、前記所定の排出禁止操作がなされたときには、前記遠隔操作手段から前記入力があったことを検出しても前記エジェクト手段を作動させず、または、前記表示画面への前記エジェクト操作位置表示部および/または前記入力位置表示用ポインタの表示を消去して前記遠隔操作手段による前記エジェクト操作ができない状態にする構成としても良い。
【0012】
また、前記エジェクト操作するための前記操作手段を覆って操作できないようにするための覆い手段を備え、前記制御手段は、前記操作手段により前記所定の排出禁止操作がなされたとき、前記覆い手段により前記エジェクト操作するための前記操作手段を覆ったままとすることによって、前記操作手段を前記エジェクト操作できない状態とする構成としても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例をオーディオ・ビデオ一体型のカーナビゲーション装置に適用して図面を参照しながら説明する。図1および図2には、オーディオ・ビデオ一体型カーナビゲーション装置1が示されている。このカーナビゲーション装置1は、本体2の前面部に表示装置3の表示パネル(表示画面)4を配設すると共に、上部にエンターテイメントプレーヤ5およびDVDデッキ6を上下2段に配設して構成されている。表示パネル4は、後に詳述するように、前後方向に移動可能で且つ起伏可能となっており、起立した状態では、エンターテイメントプレーヤ5およびDVDデッキ6のうち、下段のDVDデッキ6を覆い隠す。
【0014】
エンターテイメントプレーヤ5およびDVDデッキ6は、情報読取装置として機能する。即ち、図4の電気的構成を示すブロック図のように、エンターテイメントプレーヤ5は、CD/DVDプレーヤ7を主体として構成され、音楽用CDやビデオ用DVDに記録されたオーディオ情報やオーディオ・ビデオ情報を読み取る。DVDデッキ6は、地図データ入力器であり、地図データ用DVD−ROMから地図データを読み取るDVD−ROMドライブ8を主体として構成されている。
【0015】
エンターテイメントプレーヤ5およびDVDデッキ6の前面には、それぞれ挿入部としての挿入口9および10が形成され、音楽用CDやビデオ用DVD、或いは地図データ用DVD−ROMは、この挿入口9および10を通じて出し入れされる。また、エンターテイメントプレーヤ5およびDVDデッキ6の内部には、それぞれ図4に示すように、モータなどを駆動源とするエジェクト機構(エジェクト手段)11および12が設けられている。そして、エジェクト操作がなされると、音楽用CDやビデオ用DVD、或いは地図データ用DVD−ROMは、これらエジェクト機構11および12によってそれぞれ挿入口9および10から外部に排出されるようになっている。
【0016】
カーナビゲーション装置1の本体2内の底部には、可動シャーシ13がスライド可能に設けられており、この可動シャーシ13は、図4に示すリニアモータ14によって前後方向に移動される。可動シャーシ13の前端部には、前記表示パネル4がその下端部を中心にして上下方向に回動可能に配設されている。この表示パネル4は、例えばカラー液晶からなるもので、その表面には、図4に示すタッチパネル15が設けられている。
【0017】
可動シャーシ13には、モータを駆動源とする傾動機構(覆い解除手段)16が設けられている。そして、表示パネル4は、この傾動機構16により、可動シャーシ13のスライド動作に伴って上下方向に回動されて起伏動作する。即ち、可動シャーシ13が後退した位置にあるとき、表示パネル4は、図1に示すように、本体2の前面の開口部17内に起立した状態で収容され、当該開口部17を塞いでいる。そして、可動シャーシ13が前進移動すると、この前進移動に連動して表示パネル4が傾動機構16によって後方に倒れるように回動され、図4に示すように可動シャーシ13上に伏した状態となる。逆に、可動シャーシ13が後退移動すると、この後退移動に連動して表示パネル4が傾動機構16によって起き上がるように回動され、最終的に図1に示すように起立状態となって本体2の前面の開口部17を塞ぐ。
【0018】
前記エンターテイメントプレーヤ5およびDVDデッキ6の前面は、段違いとなっており、上側のエンターテイメントプレーヤ5の前面は、本体2の前面と面一になっている。下側のDVDデッキ6の前面は、本体2の前面より表示パネル4の厚さ相当分だけ奥まっていて、表示パネル4が本体2の前面の開口部17内に起立した状態で収容されると、この表示パネル4によって隠されるのである。従って、地図データ用DVD−ROMを出し入れするDVDデッキ6の挿入口10は、常には、起立状態にある表示パネル4によって覆い隠されている。
【0019】
カーナビゲーション装置1の電気的構成を示す図1において、制御手段としての制御装置18には、前記エンターテイメントプレーヤ5のCD/DVDプレーヤ7およびエジェクト機構11、DVDデッキ6のDVD−ROMドライブ8およびエジェクト機構12、表示装置3の表示パネル4、リニアモータ14、タッチパネル15および傾動機構16が接続されていると共に、位置検出部19、音声出力部20、押釦スイッチ群21、リモコン22からの信号を検出するリモコンセンサ23、AMチューナ24、FMチューナ25、センサ群26などが接続されている。
【0020】
制御装置18は、マイクロコンピュータを主体として構成されたもので、図示はしないがCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースなどを備えている。これらのうち、ROMには、ナビゲーション用、自己診断(ダイアグノーシス)用、入力源(CD/DVDプレーヤ7、DVD−ROMドライブ8、位置検出部19、AMチューナ24、FMチューナ25)を切替えて表示パネル4や音声出力部20から出力するための入力切替用プログラムなどの各種のプログラムが記憶されている。
【0021】
位置検出部19は、GPS受信機、ジャイロスコープ、距離センサ(いずれも図示せず)などを備え、現在位置を検出する。音声出力部20は、スピーカなどからなり、音楽用CDやビデオ用DVDから再生された音楽や音声、AMチューナ24およびFMチューナ25により受信したラジオ放送、経路案内のための合成音声などを出力する。押釦スイッチ群21は、本体2の前面に、開口部17の左右両側に位置して設けられた各種の押釦スイッチからなる。この押釦スイッチ群21は、タッチパネル15やリモコン22と共に操作手段を構成する。センサ群26は、カーナビゲーション装置1の各部に配設された各種のセンサからなる。制御装置18は、センサ群26からの入力信号によってカーナビゲーション装置1の各部の故障を診断する機能、つまり自己診断機能(ダイアグノーシス機能)を有している。
【0022】
本実施例では、エンターテイメントプレーヤ5やDVDデッキ6に挿入された音楽用CDやビデオ用DVD、或いは地図データ用DVD−ROMなどの盗難防止のために、排出禁止の操作を行うと、エジェクト操作を行っても音楽用CDやビデオ用DVD、或いは地図データ用DVD−ROMが排出されず、或いはエジェクト操作そのものができないようになる。以下に説明する。
【0023】
まず、エンターテイメントプレーヤ5については、押釦スイッチ群21のうち、所定の押釦スイッチ21aがエジェクト操作用となっており、この押釦スイッチ21aを操作すると、通常の場合には、エンターテイメントプレーヤ5のエジェクト機構11が作動して音楽用CDやビデオ用DVDを排出する。また、DVDデッキ6については、挿入口10からDVD−ROMを挿入すると、図3(a)に示すように、表示パネル4の片隅に「Eject」のアルファベット文字が表示される。そして、この「Eject」表示部分(タッチ部)をタッチ操作すると、タッチパネル15がその部分へのタッチ操作を検出してDVDデッキ6のエジェクト機構12を作動させるようになっている。
【0024】
これに対し、排出禁止操作を行うと、押釦スイッチ21aを操作しても、エンターテイメントプレーヤ5のエジェクト機構11は作動しない。また、表示パネル4に表示されていた「Eject」の文字が消去される。このため、DVDデッキ6についてはエジェクト操作すらできない状態になされる。このことについて、図5および図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0025】
図5のフローチャートは、排出禁止操作を行ってエジェクト無効の設定をし、およびその無効設定の解除を行う場合の制御装置18の制御内容を示し、図6のフローチャートは、エジェクト操作があった場合の制御装置18の制御内容を示すものである。
カーナビゲーション装置1の電源が投入されると、制御装置18は、図5のルーチンに入り、表示パネル4に初期画面としてメニュー画面を表示する(ステップS1)。このメニュー画面は、ナビゲーション機能、エンターテイメント機能、ラジオ放送受信機能、ダイアグノーシス機能などのうち、どの機能を有効化させるかをユーザに選択させるためのものである。本実施例の場合、ダイアグノーシス機能の中にエジェクト無効設定・無効解除機能が含まれている。これにより、メニュー画面からでは、エジェクト無効設定・無効解除機能の存在が分からないようにしている。
【0026】
メニュー画面において、ユーザが所望の機能の表示部分をタッチ操作すると(ステップS2で「YES」)、タッチパネル15からのタッチ位置検出信号により、制御装置18は、選択された機能を検出し、これがダイアグノーシス機能以外であった場合、当該選択された機能を実行する(ステップS3で「NO」、ステップS14)。つまり、ナビゲーション機能が選択されると、制御装置18は、位置検出部19により検出された現在位置を入力し、DVDデッキ6が地図データ用DVD−ROMから読み取った現在位置周辺の地図データを取得して表示パネル4に道路地図として表示する。エンターテイメント機能が選択されると、制御装置18は、エンターテイメントプレーヤ5が音楽用CDやビデオ用DVDから読み取ったオーディオ情報やビデオ情報を音声出力部20や表示パネル4に出力する。ラジオ放送受信機能が選択された場合には、制御装置18は、ラジオ放送局名を表示パネル4に表示し、この表示画面で選択されたラジオ放送局の放送番組を音声出力部20から出力する。
【0027】
さて、メニュー画面において選択された機能がダイアグノーシス機能であった場合には、制御装置18は、表示パネル4にエジェクト機能の無効設定・無効解除機能と本来のダイアグノーシス機能のいずれかを選択するための画面を表示する(ステップS3で「YES」、ステップS4)。この画面でダイアグノーシス機能が選択されると、制御装置18は、センサ群26からの出力信号を取得して車両の各部の故障の有無を診断し、その結果を表示パネル4に表示する(ステップS5で「NO」、ステップS13)。
【0028】
エジェクト機能の無効設定・無効解除機能が選択されると、制御装置18は、表示パネル4にテンキーを表示する(ステップS5で「YES」、ステップS6)。このテンキーから予め設定された暗証番号を入力(暗号入力操作;所定の排出禁止操作)すると(ステップS7)、制御装置18は、エジェクト無効および無効解除のうちのいずれかを選択する画面を表示する(ステップS8)。この選択画面でエジェクト無効が選択されると、制御装置18は、「エジェクト無効」を記憶手段としてのRAMに記憶し(ステップS9で「エジェクト無効」、ステップS10)、表示パネル4に表示されている「Eject」の文字を消去する(タッチ部の表示の消去;ステップS11)。また、エジェクト無効解除が選択された場合には、制御装置18は、RAMに記憶されている「エジェクト無効」を消去し(ステップS12)、表示パネル4に「Eject」の文字を再表示する(ステップS13)。
【0029】
以上のようにして各機能を実行した後、制御装置18は、メニュー画面への戻り操作があったか否かを判断し、戻り操作があった場合(ステップS15で「YES」)には、前記ステップS1に戻り、表示パネル4にメニュー画面を表示する。戻り操作がなかった場合には、制御装置18は、リターンとなって表示パネル4に現在位置周辺の地図を表示したり、表示パネル4にビデオ用DVDの再生画像を表示したり、音声出力部20から音楽用CDの再生音やラジオ放送局の放送番組を出力したりする。
なお、音楽用CD、ラジオ放送局を選択した場合には、その選択後は、表示パネル4には道路地図が表示される。また、表示パネル4には、常に「戻り」の文字が表示されていて、この「戻り」部分をタッチ操作すると、表示装置18は、表示パネル4に初期画面であるメニュー画面を表示して所望のメニューが選択できるようにする。
【0030】
次に、音楽用CDやビデオ用DVD、或は地図データ用DVD−RONを排出するためのエジェクト操作がなされた場合の制御装置18の制御内容を図6を参照しながら説明する。なお、制御装置18は、この図6のルーチンを所定の時間間隔で繰り返し実行するようになっている。図6のルーチンに入ると、まず制御装置18は、RAMに「エジェクト無効」が記憶されているか否かを判断する(ステップA1)。
【0031】
RAMに「エジェクト無効」が記憶されていなかった場合、制御装置18は、ステップA1で「NO」と判断し、次いで、エジェクト操作があったか否か(ステップA2)、江塾と操作があった場合、そのエジェクト操作の対象機器はエンターテイメントプレーヤ5およびDVDデッキ6のうちのどちらか(ステップA3)、を判断する。ユーザが押釦スイッチ21aを操作したのであったならば、制御装置18は、エンターテイメントプレーヤ5を対象とするエジェクト操作があったと判断し(ステップA2で「YES」、ステップA3で「エンターテイメントプレーヤ」)、エンターテイメントプレーヤ5のエジェクト機構11を作動させて音楽用CDまたはビデオ用DVDを挿入口9から排出する(ステップA4)。
【0032】
ユーザが表示パネル4に表示されている「Eject」をタッチ操作したのであれば、制御装置18は、DVDデッキ6を対象とするエジェクト操作があったと判断し(ステップA2で「YES」、ステップA3で「DVDデッキ」)、リニアモータ14および傾動機構16を作動させて表示パネル4が前進しつつ可動シャーシ13上に倒れた状態となるようにする(ステップA5)。次いで制御装置18は、DVDデッキ6のエジェクト機構12を作動させて地図データ用DVD−ROMを挿入口10から排出する(ステップA6)。そして、DVD−ROMがユーザによって取り去られると、制御装置18は、リニアモータ14および傾動機構16を作動させて表示パネル4が後退しつつ起き上がるようにして、元の状態に戻す(ステップA7)。
【0033】
一方、RAMに「エジェクト無効」が記憶されていた場合、制御装置18は、ステップA1で「YES」と判断し、次いで、操作スイッチ21aが操作(エジェクト操作)されたか否かを判断する(ステップA2)。操作スイッチ21aが操作されていた場合(ステップA2で「YES」)、制御装置18は、その操作スイッチ21aの操作にもかかわらず、エンターテイメントプレーヤ5のエジェクト機構11を作動させることなく(操作無効)、図6のルーチンを終了する。もちろん、エジェクト無効が設定されている場合には、「Eject」のタッチ部の表示が表示パネル4から消去されているので、DVDデッキ6については、そのエジェクト操作すら行うことはできない。
【0034】
このように本実施例によれば、エジェクト無効に設定しておけば、エンターテイメントプレーヤ5については、エジェクト操作しても、そのエジェクト機構11は作動されず(エジェクト操作の無効)、音楽用CDやビデオ用DVDは排出されないし、また、DVDデッキ6については、「Eject」の文字が表示パネル4から消去されてエジェクト操作すらできないようになる。このため、販売店などで自動車を展示しておくような場合に、エンターテイメントプレーヤ5に音楽用CDやビデオ用DVDを挿入し、およびDVDデッキ6に地図データ用DVD−ROMを挿入した状態にしておいても、その後に、エジェクト無効の設定操作を行うことによって、それら音楽用CDやビデオ用DVD、地図データ用DVD−ROMの盗難を防止することができる。
【0035】
このエジェクト無効の設定は、RAMに記憶され、エジェクト無効解除の操作が行われない限り、音楽用CDやビデオ用DVD、地図データ用DVD−ROMの排出が行われないので、逐一エジェクト無効の設定操作を行わずとも済む。なお、制御装置18のRAMは、カーナビゲーション装置1の電源がオフされてもその記憶保持のための動作電源を自動車のバッテリから取得するので、エジェクト無効の記憶が自然に消去されてしまうことはない。
【0036】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような変更或いは拡張が可能である。
エジェクト無効に設定された場合、DVDデッキ6については、タッチ部である表示パネル4の「Eject」の表示はそのまま残し、「Eject」部分が操作されても、制御装置18がエジェクト機構12を作動させないようにする構成としても良い。この場合、表示パネル4には、「Eject」部分を操作してもエジェクトされない旨を、例えば「Eject」部分をトーンダウンして表示することが好ましい。
【0037】
また、エジェクト操作のための操作手段としては、遠隔操作手段としての例えばジョグダイヤル(登録商標)によって行うようにしても良い。例えば、表示パネル4に、エジェクト機構11用とエジェクト機構12用の2つのエジェクト操作位置表示部(例えば「エンター用Eject」、「地図用Eject」の表示)および入力位置表示用ポインタ(例えば矢印)を表示する。そして、ジョグダイヤルのダイヤルを回転操作して入力位置表示用ポインタをいずれかのエジェクト操作位置表示部に合わせ、この状態でジョグダイヤルを押圧操作(入力操作)する。すると、制御装置18が、いずれか一方のエジェクト操作位置表示部に入力位置表示用ポインタを合せた状態でジョグダイヤルから入力があったことを検出(入力位置検出手段、入力検出手段)し、エジェクト機構11または12を作動させる。所定の排出禁止操作がなされたときには、制御装置18は、2つのエジェクト操作位置表示部および入力位置表示用ポインタを消去する。この場合、2つのエジェクト操作位置表示部だけを消去しても良いし、入力位置表示用ポインタだけを消去するようにしても良い。また、2つのエジェクト操作位置表示部および入力位置表示用ポインタは表示されたままとし、ジョグダイヤルによりいずれかのエジェクト操作位置表示部に入力位置表示用ポインタを合わせた状態で入力操作されても、エジェクト機構11,12を作動させないようにすることもできる。なお、ジョグダイヤルでエジェクト操作する対象機器としては、エンターテイメントプレーヤ5DVDデッキ6のいずれか一方だけであっても良い。
【0038】
エジェクト操作は、リモコン22により行うようにしても良い。
「エジェクト無効」と記憶する記憶手段としては、制御装置18のRAMに限られず、外部メモリを設けてこれに記憶させるようにしても良い。
DVDデッキ6のエジェクト操作も、押釦スイッチにより行うようにしても良い。この場合、そのエジェクト操作用の押釦スイッチをDVDデッキ6の前面に設け、表示パネル4を伏した状態にした後、初めてそのエジェクト用の押釦スイッチを操作できるように構成しても良い。このように構成した場合、エジェクト無効に設定されたとき、リニアモータ4および傾動機構16を作動させないようにすることによって、エジェクト用押釦スイッチが覆い手段としての表示パネル4によって覆われたままの状態として当該エジェクト用押釦スイッチを操作できなくするものである。
【0039】
情報読取装置としては、CDやDVDに記憶された情報を読み取るものに装置に限られず、メディアは情報を伝達する媒体(情報伝達媒体或いは情報記録媒体)をいい、フロッピー(登録商標)ディスク、MOディスク、磁気テープカートリッジなどであっても良く、情報読取装置としては、それらフロッピーディスク、MOディスク、磁気テープカートリッジなどに記録された情報を読み取るものであっても良い。更には、メディアとしてはメモリスティックで、情報読取装置としてはこのメモリスティックに記録された情報を読み取るものであっても良い。
【0040】
エジェクト機構11,12は、モータを駆動源とするものに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例を示すカーナビゲーション装置の斜視図
【図2】表示パネルを倒した状態で示すカーナビゲーション装置の斜視図
【図3】(a)はエジェクト無効解除のときの表示パネルの正面図、(b)はエジェクト無効設定のときの表示パネルの正面図
【図4】カーナビゲーション装置の電気的構成を示すブロック図
【図5】エジェクト無効設定および無効解除の制御内容を示すフローチャート
【図6】エジェクト操作があった場合の制御内容を示すフローチャート
【符号の説明】
【0042】
図中、1はカーナビゲーション装置、4は表示パネル(表示画面)、5はエンターテイメントプレーヤ(情報読取装置)、6はDVDデッキ(情報読取装置)、9,10は挿入口(挿入部)、11,12はエジェクト機構(エジェクト手段)、13は可動シャーシ、15はタッチパネル(操作手段)、16は傾動機構、18は制御装置(制御手段)、21aは押釦スイッチ(操作手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部を有し、この挿入部から挿入されたメディアに記録されている情報を読み出す情報読取装置において、
操作手段と、
前記挿入部から挿入された前記メディアを外部に排出するためのエジェクト手段と、
前記操作手段のエジェクト操作に応答して前記エジェクト手段を作動させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記操作手段により所定の排出禁止操作がなされたとき、前記操作手段を前記エジェクト操作できない状態とし、または、前記操作手段の前記エジェクト操作にもかかわらず前記エジェクト手段を作動させないようにすることを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報読取装置において、
更に、表示画面と、
前記エジェクト操作のための操作手段として前記表示画面上に設けられたタッチパネルと、を備え、
前記制御手段は、前記エジェクト操作のためのタッチ部の表示時に当該タッチ部が操作されたとき、前記タッチパネルのタッチ位置検出機能により前記タッチ部の操作を検出して前記エジェクト手段を作動させ、前記所定の排出禁止操作がなされたときには、前記タッチ部の操作を検出しても前記エジェクト手段を作動させず、または、前記表示画面への前記タッチ部の表示を消去して前記エジェクト操作できない状態にすることを特徴とする情報読取装置。
【請求項3】
請求項1記載の情報読取装置において、
更に、表示画面と、
前記エジェクト操作のための操作手段として、前記表示画面にエジェクト操作位置表示部および入力位置表示用ポインタを表示すると共に、遠隔操作により前記入力位置表示用ポインタを前記エジェクト操作位置表示部に移動させて入力操作を行うための遠隔操作手段と、を備え、
前記制御手段は、前記表示画面に表示された前記エジェクト操作位置表示部に前記入力位置表示用ポインタを合せた状態で前記遠隔操作手段から入力があったことを検出したとき、前記エジェクト手段を作動させ、前記所定の排出禁止操作がなされたときには、前記遠隔操作手段から前記入力があったことを検出しても前記エジェクト手段を作動させず、または、前記表示画面への前記エジェクト操作位置表示部および/または前記入力位置表示用ポインタの表示を消去して前記遠隔操作手段による前記エジェクト操作ができない状態にすることを特徴とする情報読取装置。
【請求項4】
前記エジェクト操作するための前記操作手段を覆って操作できないようにするための覆い手段を備え、
前記制御手段は、前記操作手段により前記所定の排出禁止操作がなされたとき、前記覆い手段により前記エジェクト操作するための前記操作手段を覆ったままとすることによって、前記操作手段を前記エジェクト操作できない状態とすることを特徴とする請求項1記載の情報読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−58995(P2007−58995A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243889(P2005−243889)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】