情報送信装置
【課題】来訪する可能性等の高い者に対してのみ情報を送信できる装置を実現する。
【解決手段】広告情報送信装置20は、位置情報取得手段24と、距離算出手段26と、条件判別手段30と、情報送信手段32を備えている。位置情報取得手段24は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得する。距離算出手段26は、位置情報取得手段24で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点と第1地点間の距離と、基準点と第2地点間の距離を算出する。情報送信手段32は、位置情報取得手段24で取得した第2地点が所定領域内にあり、かつ、距離算出手段26で算出した基準点と第2地点間の距離が基準点と第1地点間の距離以下であるという条件を満たしている場合は所定の信号を情報送信手段32に出力する。情報送信手段32はその所定の信号が入力されると、広告情報を通信装置40に送信する。
【解決手段】広告情報送信装置20は、位置情報取得手段24と、距離算出手段26と、条件判別手段30と、情報送信手段32を備えている。位置情報取得手段24は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得する。距離算出手段26は、位置情報取得手段24で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点と第1地点間の距離と、基準点と第2地点間の距離を算出する。情報送信手段32は、位置情報取得手段24で取得した第2地点が所定領域内にあり、かつ、距離算出手段26で算出した基準点と第2地点間の距離が基準点と第1地点間の距離以下であるという条件を満たしている場合は所定の信号を情報送信手段32に出力する。情報送信手段32はその所定の信号が入力されると、広告情報を通信装置40に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報送信装置に関する。本発明は、移動体(自動車や人間等)に対し来訪を促す広告情報等を送信する装置等に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
(第1の態様) 飲食店や小売店やパチンコ店等の物品を販売したり又はサービスを提供する店舗では、郵便によるダイレクトメールに代えて、その店舗が運営するコンピュータから、店舗の情報(典型的には広告情報)を自動車のナビゲーション装置に電子メールで送信して、その自動車に乗る者の来訪を促すことが行われている。
(第2の態様) また、住宅地を自動車で移動しながら、住宅地の住人に対し物品の販売等を働きかけるビジネスが行われている。通常は、スピーカを用いて拡大した音声を発生させることで、住宅地の住人に物品の販売等を働きかけている。このビジネスでは、一時的に停止又はゆっくりと移動する自動車に住宅地の住人が来訪して物品を購入等する場合と、自動車の移動中に住宅地の住人から連絡を受けて、その自動車の運転手等がその住人の住宅に訪問して物品を販売等する場合がある。このようなビジネスも将来的には、自動車に搭載された情報送信装置から情報(典型的には広告情報)を住宅地の住人に送信して、住人の来訪を促したり、住宅への訪問を働きかける方式に変化する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第1の態様と第2の態様のいずれにおいても、情報をランダムに多数の自動車のナビゲーション装置又は住宅地の住人に送信するのでは、情報を送信した数に対して、情報の受信者(自動車に乗る者又は住宅地の住人)が情報の送信者(店舗の運営者又は自動車の運転手)の元に実際に来訪する又は訪問を求める数の割合は低いものとなってしまう。これは、送信する情報の多くを無駄なものとしてしまっていることを意味する。情報の無駄な送信を減らすためには、来訪する可能性又は訪問を求める可能性の高い者に対してのみ情報を送信するようにする必要がある。
【0004】
本発明は、来訪する可能性又は訪問を求める可能性の高い者に対してのみ情報を送信できる装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一の態様の情報送信装置は、第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、距離算出手段と、情報送信手段を備えている。位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得する。距離算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点と第1地点間の距離と、基準点と第2地点間の距離を算出する。情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点が所定領域内にあり、かつ、距離算出手段で算出した基準点と第2地点間の距離が基準点と第1地点間の距離以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する(請求項1)。
【0006】
請求項1の情報送信装置においては、角度算出手段をさらに備え、角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点から第1地点へ伸びるベクトルと基準点から第2地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出し、情報送信手段は、請求項1の条件を満たし、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が0度以上で90度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信することが好ましい(請求項2)。
【0007】
本発明は、他の態様の情報送信装置をも実現する。この情報送信装置は、第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、角度算出手段と、情報送信手段を備えている。位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得する。角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、第2地点から基準点へ伸びるベクトルと第2地点から第1地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出する。情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点の位置が所定領域内にあり、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が90度以上で180度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する(請求項3)。
【0008】
本明細書において「手段」とは、ハードウェアに限られず、各手段の機能がソフトウェアによって実現される場合も含む。さらに、1つの手段の機能が2つ以上のハードウェア又はソフトウェアによって実現されていても、あるいは、2つ以上の手段の機能が1つのハードウェア又はソフトウェアによって実現されていてもよい。ここで、送信される「情報」としては、典型的には広告情報が挙げられる。ここで、広告情報とは、情報送信装置が固定体に設置されているときは、その固定体への来訪を促す情報を意味する。情報送信装置を移動体が有するとき(自動車等の移動体に情報送信装置が搭載されている場合等)は、その移動体への来訪を促す情報、又はその移動体による訪問を働きかける情報を意味する。但し、来訪を促すこと又は訪問を働きかけることが明示的に示されている情報には限られない。なお、本発明の情報送信装置で送信される情報は広告情報に限られず、あらゆる内容の情報が含まれる。但し、何らかの意味で情報送信装置側(情報送信装置自身や移動体や固定体等)の存在を知らせる内容の情報であることが好ましい。
【0009】
請求項1から3のいずれかの情報送信装置は、その装置が固定体(飲食店や小売店やパチンコ店等の店舗等)に設置されている場合は、その固定体に近づいていると推定される移動体(自動車、人間等)が有する通信装置(ナビゲーション装置や携帯電話等)の利用者に対し、情報(典型的には来訪を促す広告情報)を送信するものである。また、その装置を移動体(自動車等)が有する場合は、その移動体が近づいていると推定される固定体(住宅、ビル等)に設置された通信装置(パーソナルコンピュータや携帯電話等)の利用者に対し、情報(典型的には来訪を促す又は訪問を働きかける広告情報)を送信するものである。
【0010】
本発明者は、固定体に近づいていると推定される移動体に対し情報を送信することで、ランダムに情報を送信するよりも、その情報によってその移動体がその固定体に来訪する可能性を高くすることができると考えた。同様に、移動体が近づいていると推定される固定体に対し情報を送信することで、ランダムに情報を送信するよりも、その情報によってその固定体にいる者が移動体(通常は一時的に停止又はゆっくりと移動する移動体)に来訪する可能性、又はその固定体にいる者が移動体の訪問を求める可能性を高くすることができると考えた。そして、その近づいていると推定し得る条件として請求項1から3の条件を見出すとともに、上記した構成の情報送信装置を創作したのである。
【0011】
請求項1から3のいずれかの情報送信装置によると、その装置が固定体(店舗等)に設置されている場合は、その固定体に来訪する可能性が高い移動体(自動車、人間等)に対してのみ情報を送信することができる。また、その装置を移動体(自動車、人間等)が有する場合は、その移動体に来訪する可能性又は移動体の訪問を求める可能性が高い固定体(住宅、ビル等)にいる者に対してのみ情報を送信することができる。請求項1の装置、請求項2の装置、請求項3の装置の順に、来訪する可能性又は訪問を求める可能性のより高い者に対してのみ情報を送信することができる。
【実施例】
【0012】
(装置の説明) 図1に本発明の実施例の広告情報送信装置20と通信装置40の説明図を示す。広告情報送信装置20と通信装置40は、以下で説明する2つの態様で用いられる。
【0013】
第1の態様は、固定体に広告情報送信装置20が設置され、移動体が通信装置40を有する状態で、所定の送信条件を満たす場合に、基準点O(図2等参照)にある固定体に設置された広告情報送信装置20から、第1地点Aから第2地点B(図2等参照)に移動した移動体が有する通信装置40に対し広告情報が送信される態様である。
【0014】
第1の態様での固定体の例としては、飲食店や小売店やパチンコ店等の物品を販売したり又はサービスを提供する店舗等が挙げられる。広告情報送信装置20の例としては、CPU、ROM、RAM、GPSモジュール(自己位置検出手段24aの一例)等を備え、後述する各手段の機能を実行するプログラムがROM等に格納され、そのプログラムがCPUで実行されるような汎用のコンピュータ等が挙げられる。また、広告情報送信装置20は、後述する各手段をそれぞれハードウェア回路で実現した専用の装置であってもよい。移動体の例としては、自動車や人間等が挙げられる。通信装置40の例としては、自動車に搭載されたナビゲーション装置や、人間が所持可能な携帯電話や携帯型情報端末等が挙げられる。
【0015】
第2の態様は、固定体に通信装置40が設置され、移動体が広告情報送信装置20を有する状態で、所定の送信条件を満たす場合に、第1地点Aから第2地点B(図9等参照)に移動した移動体が有する広告情報送信装置20から、基準点O(図9等参照)にある固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される態様である。
第2の態様での固定体の例としては、一般の住宅やビル等が挙げられる。通信装置40の例としては、ディスプレイ(情報出力手段46の一例)やGPSモジュール(自己位置検出手段44の一例)等を備えたコンピュータ等が挙げられる。移動体の例としては、自動車や人間等が挙げられる。広告情報送信装置20の例としては、自動車に搭載されている場合は、ナビゲーション機能も備えたコンピュータ等が挙げられる。
【0016】
なお、本明細書で移動体が広告情報送信装置20又は通信装置40を有するというときは、その装置20又は装置40が自動車等の移動体に搭載されている場合と、その装置20又は装置40を人間(移動体)が所持している場合の両方を含む。
【0017】
広告情報送信装置20は、位置情報取得手段24と、距離算出手段26と、角度算出手段28と、条件判別手段30と、情報送信手段32と、通信手段22を備えている。
位置情報取得手段24は、基準点Oや第1地点Aや第2地点Bの位置情報を所定時間間隔で取得する。位置情報取得手段24は、自己位置検出手段24aを有する。位置情報取得手段24は、その自己位置検出手段24aで検出した広告情報送信装置20自体の位置情報を取得する機能と、通信相手である通信装置40の自己位置検出手段44で検出された通信装置40の位置情報を通信手段22を介して取得する機能を有する。
【0018】
位置情報取得手段24は、能動的に位置情報を取得するものだけでなく、その手段24が受動的に位置情報を取得するものも含まれる。例えば、その手段24には、広告情報送信装置20の利用者自身が位置情報を入力可能な入力手段等も含まれる。あるいは、予め広告情報送信装置20の位置情報が記憶された記憶手段を有し、その記憶手段からその位置情報を抽出するようにしてもよい。このような入力手段や記憶手段等を備える場合は、自己位置検出手段24aは必ずしも必要ない。特に第1の態様(広告情報送信装置20が固定体に設置されている場合)では、広告情報送信装置20の位置はほぼ一定であるため、自己位置検出手段24aは必ずしも必要でない。
【0019】
自己位置検出手段24aの例としては、例えばGPSモジュールが挙げられる。このGPSモジュールによってその位置の緯度、経度を求めるようにすればよい。また、自己位置検出手段24aは、携帯電話の基地局を利用して位置を検出する回路等であってもよい。自己位置検出手段24aは、第1の態様(広告情報送信装置20が固定体に設置されている場合)では固定体が存在する基準点Oの位置を検出し、第2の態様(広告情報送信装置20を移動体が有する場合)では移動体の移動中の第1地点A、第2地点B等の位置を検出する。
【0020】
本実施例で「第1地点A」、「第2地点B」というときは、位置情報取得手段24で所定時間Tの間隔で位置情報が取得されるとした場合に、時刻nTに取得された移動体が有する通信装置40(第1の態様の場合)又は広告情報送信装置20(第2の態様の場合)の位置を「第1地点A」とする。時刻(n+1)Tに取得された移動体が有する通信装置40(第1の態様の場合)又は広告情報送信装置20(第2の態様の場合)の位置を「第2地点B」とする。また、「基準点O」というときは、固定体に設置された広告情報送信装置20(第1の態様の場合)又は通信装置40(第2の態様の場合)の位置をいうものとする。なお、移動体が有する通信装置40(第1の態様の場合)又は広告情報送信装置20(第2の態様の場合)の位置と、移動体の位置は、厳密には等しくないといえる場合もあるが、本実施例では便宜上、これらの位置は等しいものとして説明を行う場合がある。固定体についても同様である。
【0021】
距離算出手段26は、位置情報取得手段24で取得した基準点Oや第1地点Aや第2地点Bの位置情報(緯度、経度等)に基づいて、ヒュベニの距離計算式や球面三角法等に基づくプログラムによって、各点(例えば基準点Oと第1地点A)間の距離を算出可能である。
角度算出手段28は、位置情報取得手段24で取得した基準点Oや第1地点Aや第2地点Bの位置情報に基づいて、球面三角法等に基づくプログラムによって、各点間を結ぶ2つのベクトル(例えば基準点Oから第1地点Aへ伸びるベクトルOAと基準点Oから第2地点Bへ伸びるベクトルOB)のなす角度を算出可能である。
【0022】
条件判別手段30は、所定の送信条件(第1〜第4送信条件)を満たすか否かを判別可能である。所定の送信条件を満たす場合は、条件を満たした旨を通知する信号を情報送信手段32に送信する。
情報送信手段32は、条件判別手段30から条件を満たした旨を通知する信号を受信した場合は、広告情報を通信手段22を介して無線で送信するように制御する。広告情報は、電子メールで閲覧するような文字情報であってもよいし、ホームページで閲覧するような画像情報であってもよいし、音声情報であってもよい。
【0023】
通信装置40は、自己位置検出手段44と、情報出力手段46と、通信手段42を備えている。
自己位置検出手段44は、第1の態様(通信装置40を移動体が有する場合)では移動体の移動中の第1地点Aや第2地点B等の位置を検出する。第2の態様(通信装置40が固定体に設置されている場合)では固定体が存在する基準点Oの位置を検出する。自己位置検出手段44の例としては、上記した自己位置検出手段24aと同様に、例えばGPSモジュールや、携帯電話の基地局を利用して位置を検出する回路等が挙げられる。但し、第2の態様(通信装置40が固定体に設置されている場合)では、通信装置40の位置はほぼ一定であるため、自己位置検出手段44は必ずしも必要でない。自己位置検出手段44を備えない場合は、通信装置40は、例えば通信装置40の利用者自身が位置情報を入力可能な入力手段、あるいは予め位置情報が記憶された記憶手段等を備えることが好ましい。
【0024】
情報出力手段46は、広告情報送信装置20の情報送信手段32から通信手段42を介して無線で受信した広告情報を出力する。これにより、通信装置40の利用者は、広告情報送信装置20の情報送信手段32から送信された広告情報を認識することができる。情報出力手段46の例としては、例えばディスプレイ等の視覚で認識できる文字又は画像出力手段であってもよいし、スピーカ等の音声で認識できる音声出力手段であってもよい。
【0025】
(第1実施例) 第1実施例を図2〜図4を参照して説明する。第1実施例は、第1の態様において送信条件を第1送信条件とした場合である。即ち、第1実施例は、固定体に広告情報送信装置20が設置され、移動体が通信装置40を有する状態で、第1送信条件を満たした場合に、基準点Oにある固定体に設置された広告情報送信装置20から、第1地点Aから第2地点Bに移動した移動体が有する通信装置40に対し広告情報が送信される態様である。ここで、第1送信条件とは、図2〜図4に示す基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が所定距離R以下であり(第1条件)、かつ、基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が基準点と第1地点A(OA)間の距離以下である(第2条件)、という条件である。上記した第1条件は、第2地点Bが基準点Oを中心とする半径Rの円形領域100内にあることと等価である。
【0026】
位置情報取得手段24が通信装置40の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24は、通信装置40に、その通信装置40の位置情報の送信を要求する信号を送信する。その信号を受信した通信装置40は、その自己位置検出手段44で検出した位置情報を、通信手段22、42を介して、広告情報送信装置20の位置情報取得手段24に送信する。このようにして、位置情報取得手段24は、時刻nTに移動体の第1地点Aの位置情報を取得し、時刻(n+1)Tに移動体の第2地点Bの位置情報を順次取得することができる。
位置情報取得手段24が広告情報送信装置20自身の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24が有する自己位置検出手段24aによって取得する。但し、広告情報送信装置20自体は固定体に設置されているので、自己位置検出手段24aは、その広告情報送信装置20の位置情報(基準点Oの位置情報)を所定時間Tの間隔で順次検出することはしない。位置情報取得手段24は、自己位置検出手段24aで最初に検出した位置情報を継続して利用する。
【0027】
なお、位置情報を取得する態様は、後述する第2、第3、第7実施例においても同様である。但し、位置情報を取得する態様は上記した態様に限られずに、位置情報を取得するための公知のあらゆる態様が含まれるものとする。例えば、広告情報送信装置20の位置情報は、広告情報送信装置20の利用者によって位置情報取得手段24の入力手段から入力されるようにしてもよいし、あるいは、予め位置情報取得手段24が有する記憶手段に記憶された位置情報を抽出するようにしてもよい。
【0028】
移動体の移動前の第1地点Aが図2の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図2の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OAの円形領域)110aのいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1、B2、B3の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB4、B5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0029】
移動体の移動前の第1地点Aが図3の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図3の斜線領域(基準点Oを中心とする半径Rの円形領域)110bのいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1、B2、B3、B4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0030】
図3では、第1地点Aが円形領域100外に位置するため、図2と異なり、移動体の第2地点Bの位置が例えばB4であっても広告情報を送信する。これは、図3の場合は図2の場合よりも移動体が高速で移動しているので、図2の場合に比較すれば、図3の場合はまだ移動体が基準点Oにある店舗等の固定体に来訪する可能性が相当程度高いと考えられるからである。
【0031】
移動体の移動後の第2地点Bが図4の位置にあるときに、移動体の移動前の第1地点Aが図4の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OBの円形領域を除く領域)210のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動前の第1地点Aの位置が例えばA1、A2、A3の場合は、第2地点Bに移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動前の第1地点Aの位置が例えばA4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0032】
(第2実施例) 第2実施例を図5と図6を参照して説明する。第2実施例は、第1の態様において送信条件を第2送信条件とした場合である。ここで、第2送信条件とは、図5と図6に示す基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が所定距離R以下であり(第1条件)、かつ、基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が基準点と第1地点A(OA)間の距離以下であり(第2条件)、かつ、基準点Oから第1地点Aへ伸びるベクトルOAと基準点Oから第2地点Bへ伸びるベクトルOBのなす角度αが0度以上で90度以下である(第3条件)、という条件である。即ち、第2送信条件は、第1送信条件に加えてさらに第3条件が付加されたものである。
【0033】
移動体の移動前の第1地点Aが図5の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図5の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OAの半円形領域)120のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1、B2の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB3、B4、B5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0034】
移動体の移動後の第2地点Bが図6の位置にあるときに、移動体の移動前の第1地点Aが図6の斜線領域(基準点Oを通り水平に伸びる境界線以下の領域から、基準点Oを中心とする半径OBの下半円形領域を除いた領域)220のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動前の第1地点Aの位置が例えばA1、A2の場合は、第2地点Bに移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動前の第1地点Aの位置が例えばA3、A4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0035】
(第3実施例) 第3実施例を図7と図8を参照して説明する。第3実施例は、第1の態様において送信条件を第3送信条件とした場合である。ここで、第3送信条件とは、図7と図8に示す基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が所定距離R以下であり(第1条件)、かつ、第2地点Bから基準点Oへ伸びるベクトルBOと第2地点Bから第2地点Aへ伸びるベクトルBAのなす角度βが90度以上で180度以下である(第2条件)、という条件である。即ち、第3通信条件は、第1通信条件と、第1条件は同じであるが第2条件が異なる。
【0036】
移動体の移動前の第1地点Aが図7の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図7の斜線領域(直径OAの円形領域)130のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB2、B3、B4、B5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0037】
移動体の移動後の第2地点Bが図8の位置にあるときに、移動体の移動前の第1地点Aが図8の斜線領域(第2地点Bを通り水平に伸びる境界線以下の領域)230のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動前の第1地点Aの位置が例えばA1の場合は、第2地点Bに移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動前の第1地点Aの位置が例えばA2、A3、A4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0038】
以上で説明した第1〜第3実施例によると、それぞれ第1〜第3送信条件に従って広告情報を送信することで、基準点Oにある店舗等の固定体に来訪する可能性が高い、近づいていると推定される移動体に対してのみ広告情報を送信することができる。固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bに移動した移動体に対し広告情報を送信する領域は、第1実施例(図2の斜線領域110a)、第2実施例(図5の斜線領域120)、第3実施例(図7の斜線領域130)の順に、固定体に来訪する可能性がより高い移動体が存在する領域に狭められているので、来訪する可能性が高い移動体に対してより効率的に広告情報を送信することができる。
【0039】
また、広告情報を受信する移動体にとっては、来訪し易い、近づいていると推定される店舗等の固定体からの広告情報のみを受信することができ、来訪しにくい、既に遠ざかっていると推定される固定体からは広告情報を受信しないようにすることができる。即ち、第1〜第3実施例によると、広告情報を受信する移動体にとっても、有用な広告情報のみを受信することができる。
【0040】
(第4実施例) 第4実施例を図9を参照して説明する。第4実施例は、第2の態様において送信条件を第1送信条件とした場合である。即ち、第4実施例は、固定体に通信装置40が設置され、移動体が広告情報送信装置20を有する状態で、第1送信条件を満たした場合に、第1地点Aから第2地点Bに移動した移動体が有する広告情報送信装置20から、基準点Oにある固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される態様である。なお、第1送信条件の内容は第1実施例で説明しているので省略する。
【0041】
位置情報取得手段24が広告情報送信装置20自身の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24が有する自己位置検出手段24aによって、時刻nTに移動体の第1地点Aの位置情報を取得し、時刻(n+1)Tに移動体の第2地点Bの位置情報を取得する。このようにして、位置情報取得手段24は、広告情報送信装置20自身の位置情報を所定時間Tの間隔で順次取得する。
位置情報取得手段24が通信装置40の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24は、通信装置40に、その通信装置40の位置情報の送信を要求する信号を送信する。この信号を受信した通信装置40は、その自己位置検出手段44で検出した位置情報を、通信手段22、42を介して、広告情報送信装置20の位置情報取得手段24に送信する。但し、通信装置40自体は固定体に設置されているので、位置情報取得手段24は、所定時間Tの間隔で順次通信装置40の位置情報を要求することはしない。位置情報取得手段24は、通信装置40から最初に受信した位置情報を継続して利用する。
【0042】
なお、位置情報を取得する態様は、後述する第5、第6実施例においても同様である。但し、位置情報を取得する態様は上記した態様に限られずに、位置情報を取得するための公知のあらゆる態様が含まれるものとする。例えば、通信装置40の位置情報は、広告情報送信装置20の利用者によって位置情報取得手段24の入力手段から入力されるようにしてもよいし、あるいは、予め位置情報取得手段24が有する記憶手段に記憶されている位置情報を抽出するようにしてもよい。
【0043】
移動体が図9の第1地点Aから第2地点Bに移動した場合は、基準点Oの固定体が図9の斜線領域(扇形状の領域)310のいずれかの位置にある場合は、第2地点Bの移動体が有する広告情報送信装置20から基準点Oの固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。なお、図9中の符号300は、移動体の第2地点Bを中心とする半径Rの円形領域を示す。
この場合、固定体の基準点Oの位置が例えばO1、O2、O3の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。固定体の基準点Oの位置が例えばO4の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報は送信されない。
【0044】
(第5実施例) 第5実施例を図10を参照して説明する。第5実施例は、第2の態様において送信条件を第2送信条件とした場合である。なお、第2送信条件の内容は第2実施例で説明しているので省略する。
【0045】
移動体が図10の第1地点Aから第2地点Bに移動した場合は、基準点Oの固定体が図10の斜線領域(第2地点Bを中心とする半径Rの円形領域から、その円形領域と直径AB(直径ABの中点Cが中心)の円形領域が重複する領域を除いた領域)320のいずれかの位置にある場合は、第2地点Bの移動体が有する広告情報送信装置20から基準点Oの固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、固定体の基準点Oの位置が例えばO1、O2の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。固定体の基準点Oの位置が例えばO3、O4の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報は送信されない。
【0046】
(第6実施例) 第6実施例を図11を参照して説明する。第6実施例は、第2の態様において送信条件を第3送信条件とした場合である。なお、第3送信条件の内容は第2実施例で説明しているので省略する。
【0047】
移動体が図11の第1地点Aから第2地点Bに移動した場合は、基準点Oの固定体が図11の斜線領域(第2地点Bを中心とした半径Rの円形領域のうち上半円形領域)330のいずれかの位置にある場合は、第2地点Bの移動体が有する広告情報送信装置20から基準点Oの固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、固定体の基準点Oの位置が例えばO1の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。固定体の基準点Oの位置が例えばO2、O3、O4の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報は送信されない。
【0048】
以上で説明した第4〜第6実施例によると、それぞれ第1〜第3送信条件に従って広告情報を送信することで、自動車等の移動体に来訪する可能性又は移動体の訪問を求める可能性が高い、近づいていると推定される固定体にいる者が利用する通信装置40に対してのみ、広告情報を送信することができる。移動体が有する広告情報送信装置20から、基準点Oの固定体に対し広告情報を送信する領域は、第4実施例(図9の斜線領域310)、第5実施例(図10の斜線領域320)、第6実施例(図11の斜線領域330)の順に、移動体に来訪する可能性又は移動体の訪問を求める可能性がより高い固定体が存在する領域に狭められているので、来訪する可能性又は訪問を求める可能性が高い固定体にいる者に対してより効率的に広告情報を送信することができる。
【0049】
また、広告情報を受信する固定体にいる者にとっては、来訪し易いか又は訪問を求め易い、近づいていると推定される移動体からの広告情報のみを受信することができ、来訪しにくいか又は訪問を求めにくい、既に遠ざかっていると推定される移動体からは広告情報を受信しないようにすることができる。即ち、第4〜第6実施例によると、広告情報を受信する固定体にいる者にとっても、有用な広告情報のみを受信することができる。
【0050】
(第7実施例) 第7実施例を図12を参照して説明する。第7実施例は、第1の態様において送信条件を第4送信条件とした場合である。ここで、第4送信条件とは、図12に示す第2地点Bが矩形状の領域100a内にあり(第1条件)、かつ、基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が基準点と第1地点A(OA)間の距離以下である(第2条件)、という条件である。即ち、第4送信条件の第1条件は、第1送信条件の第1条件を変形したものである。
【0051】
図12の領域62は大通りの車道を示し、その両側方の領域60、64は店舗等の存在する領域である。大通り62を通る車(移動体)は第1地点Aから第2地点Bの向きに走っているものとする。
移動体の移動前の第1地点Aが図12の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図12の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OAの円形領域のうち、矩形状の領域100aでカットされる領域を除いた領域)140のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB2の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0052】
第7実施例のように、領域100aの形状は円形状でなくてもよく、矩形状等のあらゆる形状であってもよい。この場合も第1実施例と同様に、基準点Oにある店舗等の固定体に来訪する可能性の高い移動体に対してのみ広告情報を送信することができる。
【0053】
(応用例) 図1の広告情報送信装置20が位置の異なる複数の店舗(固定体)に設置されており、図1の通信装置40が自動車(移動体)に搭載されたナビゲーション装置であるとする。このナビゲーション装置は、ローカルな地域の店舗の広告情報をテレビやラジオと同様に常時、画像出力又は音声出力可能となっている。そして、自動車が移動していると、上記で説明したいずれかの通信条件を満たす広告情報送信装置20から、各店舗の広告情報がナビゲーション装置に順次送信され、画像又は音声が出力される。
【0054】
この応用例によると、自動車に乗っている者は、その自動車が近づいていると推定される店舗からのみの広告情報を受信することができ、既に遠ざかっていると推定される店舗からの広告情報は受信しないようにすることができる。このため、自動車に乗っている者は、来訪し易い店舗からの広告情報のみを常時取得することができる。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例の広告情報送信装置と通信装置の説明図を示す。
【図2】第1実施例の説明図を示す(1A)。
【図3】第1実施例の説明図を示す(1B)。
【図4】第1実施例の説明図を示す(2)。
【図5】第2実施例の説明図を示す(1)。
【図6】第2実施例の説明図を示す(2)。
【図7】第3実施例の説明図を示す(1)。
【図8】第3実施例の説明図を示す(2)。
【図9】第4実施例の説明図を示す。
【図10】第5実施例の説明図を示す。
【図11】第6実施例の説明図を示す。
【図12】第7実施例の説明図を示す。
【符号の説明】
【0057】
20:広告情報送信装置
22:通信手段
24:位置情報取得手段、24a:自己位置検出手段
26:距離算出手段
28:角度算出手段
30:条件判別手段
32:情報送信手段
40:通信装置
42:通信手段
44:自己位置検出手段
46:情報出力手段
【技術分野】
【0001】
本発明は情報送信装置に関する。本発明は、移動体(自動車や人間等)に対し来訪を促す広告情報等を送信する装置等に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
(第1の態様) 飲食店や小売店やパチンコ店等の物品を販売したり又はサービスを提供する店舗では、郵便によるダイレクトメールに代えて、その店舗が運営するコンピュータから、店舗の情報(典型的には広告情報)を自動車のナビゲーション装置に電子メールで送信して、その自動車に乗る者の来訪を促すことが行われている。
(第2の態様) また、住宅地を自動車で移動しながら、住宅地の住人に対し物品の販売等を働きかけるビジネスが行われている。通常は、スピーカを用いて拡大した音声を発生させることで、住宅地の住人に物品の販売等を働きかけている。このビジネスでは、一時的に停止又はゆっくりと移動する自動車に住宅地の住人が来訪して物品を購入等する場合と、自動車の移動中に住宅地の住人から連絡を受けて、その自動車の運転手等がその住人の住宅に訪問して物品を販売等する場合がある。このようなビジネスも将来的には、自動車に搭載された情報送信装置から情報(典型的には広告情報)を住宅地の住人に送信して、住人の来訪を促したり、住宅への訪問を働きかける方式に変化する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第1の態様と第2の態様のいずれにおいても、情報をランダムに多数の自動車のナビゲーション装置又は住宅地の住人に送信するのでは、情報を送信した数に対して、情報の受信者(自動車に乗る者又は住宅地の住人)が情報の送信者(店舗の運営者又は自動車の運転手)の元に実際に来訪する又は訪問を求める数の割合は低いものとなってしまう。これは、送信する情報の多くを無駄なものとしてしまっていることを意味する。情報の無駄な送信を減らすためには、来訪する可能性又は訪問を求める可能性の高い者に対してのみ情報を送信するようにする必要がある。
【0004】
本発明は、来訪する可能性又は訪問を求める可能性の高い者に対してのみ情報を送信できる装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一の態様の情報送信装置は、第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、距離算出手段と、情報送信手段を備えている。位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得する。距離算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点と第1地点間の距離と、基準点と第2地点間の距離を算出する。情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点が所定領域内にあり、かつ、距離算出手段で算出した基準点と第2地点間の距離が基準点と第1地点間の距離以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する(請求項1)。
【0006】
請求項1の情報送信装置においては、角度算出手段をさらに備え、角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点から第1地点へ伸びるベクトルと基準点から第2地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出し、情報送信手段は、請求項1の条件を満たし、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が0度以上で90度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信することが好ましい(請求項2)。
【0007】
本発明は、他の態様の情報送信装置をも実現する。この情報送信装置は、第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、角度算出手段と、情報送信手段を備えている。位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得する。角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、第2地点から基準点へ伸びるベクトルと第2地点から第1地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出する。情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点の位置が所定領域内にあり、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が90度以上で180度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する(請求項3)。
【0008】
本明細書において「手段」とは、ハードウェアに限られず、各手段の機能がソフトウェアによって実現される場合も含む。さらに、1つの手段の機能が2つ以上のハードウェア又はソフトウェアによって実現されていても、あるいは、2つ以上の手段の機能が1つのハードウェア又はソフトウェアによって実現されていてもよい。ここで、送信される「情報」としては、典型的には広告情報が挙げられる。ここで、広告情報とは、情報送信装置が固定体に設置されているときは、その固定体への来訪を促す情報を意味する。情報送信装置を移動体が有するとき(自動車等の移動体に情報送信装置が搭載されている場合等)は、その移動体への来訪を促す情報、又はその移動体による訪問を働きかける情報を意味する。但し、来訪を促すこと又は訪問を働きかけることが明示的に示されている情報には限られない。なお、本発明の情報送信装置で送信される情報は広告情報に限られず、あらゆる内容の情報が含まれる。但し、何らかの意味で情報送信装置側(情報送信装置自身や移動体や固定体等)の存在を知らせる内容の情報であることが好ましい。
【0009】
請求項1から3のいずれかの情報送信装置は、その装置が固定体(飲食店や小売店やパチンコ店等の店舗等)に設置されている場合は、その固定体に近づいていると推定される移動体(自動車、人間等)が有する通信装置(ナビゲーション装置や携帯電話等)の利用者に対し、情報(典型的には来訪を促す広告情報)を送信するものである。また、その装置を移動体(自動車等)が有する場合は、その移動体が近づいていると推定される固定体(住宅、ビル等)に設置された通信装置(パーソナルコンピュータや携帯電話等)の利用者に対し、情報(典型的には来訪を促す又は訪問を働きかける広告情報)を送信するものである。
【0010】
本発明者は、固定体に近づいていると推定される移動体に対し情報を送信することで、ランダムに情報を送信するよりも、その情報によってその移動体がその固定体に来訪する可能性を高くすることができると考えた。同様に、移動体が近づいていると推定される固定体に対し情報を送信することで、ランダムに情報を送信するよりも、その情報によってその固定体にいる者が移動体(通常は一時的に停止又はゆっくりと移動する移動体)に来訪する可能性、又はその固定体にいる者が移動体の訪問を求める可能性を高くすることができると考えた。そして、その近づいていると推定し得る条件として請求項1から3の条件を見出すとともに、上記した構成の情報送信装置を創作したのである。
【0011】
請求項1から3のいずれかの情報送信装置によると、その装置が固定体(店舗等)に設置されている場合は、その固定体に来訪する可能性が高い移動体(自動車、人間等)に対してのみ情報を送信することができる。また、その装置を移動体(自動車、人間等)が有する場合は、その移動体に来訪する可能性又は移動体の訪問を求める可能性が高い固定体(住宅、ビル等)にいる者に対してのみ情報を送信することができる。請求項1の装置、請求項2の装置、請求項3の装置の順に、来訪する可能性又は訪問を求める可能性のより高い者に対してのみ情報を送信することができる。
【実施例】
【0012】
(装置の説明) 図1に本発明の実施例の広告情報送信装置20と通信装置40の説明図を示す。広告情報送信装置20と通信装置40は、以下で説明する2つの態様で用いられる。
【0013】
第1の態様は、固定体に広告情報送信装置20が設置され、移動体が通信装置40を有する状態で、所定の送信条件を満たす場合に、基準点O(図2等参照)にある固定体に設置された広告情報送信装置20から、第1地点Aから第2地点B(図2等参照)に移動した移動体が有する通信装置40に対し広告情報が送信される態様である。
【0014】
第1の態様での固定体の例としては、飲食店や小売店やパチンコ店等の物品を販売したり又はサービスを提供する店舗等が挙げられる。広告情報送信装置20の例としては、CPU、ROM、RAM、GPSモジュール(自己位置検出手段24aの一例)等を備え、後述する各手段の機能を実行するプログラムがROM等に格納され、そのプログラムがCPUで実行されるような汎用のコンピュータ等が挙げられる。また、広告情報送信装置20は、後述する各手段をそれぞれハードウェア回路で実現した専用の装置であってもよい。移動体の例としては、自動車や人間等が挙げられる。通信装置40の例としては、自動車に搭載されたナビゲーション装置や、人間が所持可能な携帯電話や携帯型情報端末等が挙げられる。
【0015】
第2の態様は、固定体に通信装置40が設置され、移動体が広告情報送信装置20を有する状態で、所定の送信条件を満たす場合に、第1地点Aから第2地点B(図9等参照)に移動した移動体が有する広告情報送信装置20から、基準点O(図9等参照)にある固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される態様である。
第2の態様での固定体の例としては、一般の住宅やビル等が挙げられる。通信装置40の例としては、ディスプレイ(情報出力手段46の一例)やGPSモジュール(自己位置検出手段44の一例)等を備えたコンピュータ等が挙げられる。移動体の例としては、自動車や人間等が挙げられる。広告情報送信装置20の例としては、自動車に搭載されている場合は、ナビゲーション機能も備えたコンピュータ等が挙げられる。
【0016】
なお、本明細書で移動体が広告情報送信装置20又は通信装置40を有するというときは、その装置20又は装置40が自動車等の移動体に搭載されている場合と、その装置20又は装置40を人間(移動体)が所持している場合の両方を含む。
【0017】
広告情報送信装置20は、位置情報取得手段24と、距離算出手段26と、角度算出手段28と、条件判別手段30と、情報送信手段32と、通信手段22を備えている。
位置情報取得手段24は、基準点Oや第1地点Aや第2地点Bの位置情報を所定時間間隔で取得する。位置情報取得手段24は、自己位置検出手段24aを有する。位置情報取得手段24は、その自己位置検出手段24aで検出した広告情報送信装置20自体の位置情報を取得する機能と、通信相手である通信装置40の自己位置検出手段44で検出された通信装置40の位置情報を通信手段22を介して取得する機能を有する。
【0018】
位置情報取得手段24は、能動的に位置情報を取得するものだけでなく、その手段24が受動的に位置情報を取得するものも含まれる。例えば、その手段24には、広告情報送信装置20の利用者自身が位置情報を入力可能な入力手段等も含まれる。あるいは、予め広告情報送信装置20の位置情報が記憶された記憶手段を有し、その記憶手段からその位置情報を抽出するようにしてもよい。このような入力手段や記憶手段等を備える場合は、自己位置検出手段24aは必ずしも必要ない。特に第1の態様(広告情報送信装置20が固定体に設置されている場合)では、広告情報送信装置20の位置はほぼ一定であるため、自己位置検出手段24aは必ずしも必要でない。
【0019】
自己位置検出手段24aの例としては、例えばGPSモジュールが挙げられる。このGPSモジュールによってその位置の緯度、経度を求めるようにすればよい。また、自己位置検出手段24aは、携帯電話の基地局を利用して位置を検出する回路等であってもよい。自己位置検出手段24aは、第1の態様(広告情報送信装置20が固定体に設置されている場合)では固定体が存在する基準点Oの位置を検出し、第2の態様(広告情報送信装置20を移動体が有する場合)では移動体の移動中の第1地点A、第2地点B等の位置を検出する。
【0020】
本実施例で「第1地点A」、「第2地点B」というときは、位置情報取得手段24で所定時間Tの間隔で位置情報が取得されるとした場合に、時刻nTに取得された移動体が有する通信装置40(第1の態様の場合)又は広告情報送信装置20(第2の態様の場合)の位置を「第1地点A」とする。時刻(n+1)Tに取得された移動体が有する通信装置40(第1の態様の場合)又は広告情報送信装置20(第2の態様の場合)の位置を「第2地点B」とする。また、「基準点O」というときは、固定体に設置された広告情報送信装置20(第1の態様の場合)又は通信装置40(第2の態様の場合)の位置をいうものとする。なお、移動体が有する通信装置40(第1の態様の場合)又は広告情報送信装置20(第2の態様の場合)の位置と、移動体の位置は、厳密には等しくないといえる場合もあるが、本実施例では便宜上、これらの位置は等しいものとして説明を行う場合がある。固定体についても同様である。
【0021】
距離算出手段26は、位置情報取得手段24で取得した基準点Oや第1地点Aや第2地点Bの位置情報(緯度、経度等)に基づいて、ヒュベニの距離計算式や球面三角法等に基づくプログラムによって、各点(例えば基準点Oと第1地点A)間の距離を算出可能である。
角度算出手段28は、位置情報取得手段24で取得した基準点Oや第1地点Aや第2地点Bの位置情報に基づいて、球面三角法等に基づくプログラムによって、各点間を結ぶ2つのベクトル(例えば基準点Oから第1地点Aへ伸びるベクトルOAと基準点Oから第2地点Bへ伸びるベクトルOB)のなす角度を算出可能である。
【0022】
条件判別手段30は、所定の送信条件(第1〜第4送信条件)を満たすか否かを判別可能である。所定の送信条件を満たす場合は、条件を満たした旨を通知する信号を情報送信手段32に送信する。
情報送信手段32は、条件判別手段30から条件を満たした旨を通知する信号を受信した場合は、広告情報を通信手段22を介して無線で送信するように制御する。広告情報は、電子メールで閲覧するような文字情報であってもよいし、ホームページで閲覧するような画像情報であってもよいし、音声情報であってもよい。
【0023】
通信装置40は、自己位置検出手段44と、情報出力手段46と、通信手段42を備えている。
自己位置検出手段44は、第1の態様(通信装置40を移動体が有する場合)では移動体の移動中の第1地点Aや第2地点B等の位置を検出する。第2の態様(通信装置40が固定体に設置されている場合)では固定体が存在する基準点Oの位置を検出する。自己位置検出手段44の例としては、上記した自己位置検出手段24aと同様に、例えばGPSモジュールや、携帯電話の基地局を利用して位置を検出する回路等が挙げられる。但し、第2の態様(通信装置40が固定体に設置されている場合)では、通信装置40の位置はほぼ一定であるため、自己位置検出手段44は必ずしも必要でない。自己位置検出手段44を備えない場合は、通信装置40は、例えば通信装置40の利用者自身が位置情報を入力可能な入力手段、あるいは予め位置情報が記憶された記憶手段等を備えることが好ましい。
【0024】
情報出力手段46は、広告情報送信装置20の情報送信手段32から通信手段42を介して無線で受信した広告情報を出力する。これにより、通信装置40の利用者は、広告情報送信装置20の情報送信手段32から送信された広告情報を認識することができる。情報出力手段46の例としては、例えばディスプレイ等の視覚で認識できる文字又は画像出力手段であってもよいし、スピーカ等の音声で認識できる音声出力手段であってもよい。
【0025】
(第1実施例) 第1実施例を図2〜図4を参照して説明する。第1実施例は、第1の態様において送信条件を第1送信条件とした場合である。即ち、第1実施例は、固定体に広告情報送信装置20が設置され、移動体が通信装置40を有する状態で、第1送信条件を満たした場合に、基準点Oにある固定体に設置された広告情報送信装置20から、第1地点Aから第2地点Bに移動した移動体が有する通信装置40に対し広告情報が送信される態様である。ここで、第1送信条件とは、図2〜図4に示す基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が所定距離R以下であり(第1条件)、かつ、基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が基準点と第1地点A(OA)間の距離以下である(第2条件)、という条件である。上記した第1条件は、第2地点Bが基準点Oを中心とする半径Rの円形領域100内にあることと等価である。
【0026】
位置情報取得手段24が通信装置40の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24は、通信装置40に、その通信装置40の位置情報の送信を要求する信号を送信する。その信号を受信した通信装置40は、その自己位置検出手段44で検出した位置情報を、通信手段22、42を介して、広告情報送信装置20の位置情報取得手段24に送信する。このようにして、位置情報取得手段24は、時刻nTに移動体の第1地点Aの位置情報を取得し、時刻(n+1)Tに移動体の第2地点Bの位置情報を順次取得することができる。
位置情報取得手段24が広告情報送信装置20自身の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24が有する自己位置検出手段24aによって取得する。但し、広告情報送信装置20自体は固定体に設置されているので、自己位置検出手段24aは、その広告情報送信装置20の位置情報(基準点Oの位置情報)を所定時間Tの間隔で順次検出することはしない。位置情報取得手段24は、自己位置検出手段24aで最初に検出した位置情報を継続して利用する。
【0027】
なお、位置情報を取得する態様は、後述する第2、第3、第7実施例においても同様である。但し、位置情報を取得する態様は上記した態様に限られずに、位置情報を取得するための公知のあらゆる態様が含まれるものとする。例えば、広告情報送信装置20の位置情報は、広告情報送信装置20の利用者によって位置情報取得手段24の入力手段から入力されるようにしてもよいし、あるいは、予め位置情報取得手段24が有する記憶手段に記憶された位置情報を抽出するようにしてもよい。
【0028】
移動体の移動前の第1地点Aが図2の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図2の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OAの円形領域)110aのいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1、B2、B3の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB4、B5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0029】
移動体の移動前の第1地点Aが図3の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図3の斜線領域(基準点Oを中心とする半径Rの円形領域)110bのいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1、B2、B3、B4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0030】
図3では、第1地点Aが円形領域100外に位置するため、図2と異なり、移動体の第2地点Bの位置が例えばB4であっても広告情報を送信する。これは、図3の場合は図2の場合よりも移動体が高速で移動しているので、図2の場合に比較すれば、図3の場合はまだ移動体が基準点Oにある店舗等の固定体に来訪する可能性が相当程度高いと考えられるからである。
【0031】
移動体の移動後の第2地点Bが図4の位置にあるときに、移動体の移動前の第1地点Aが図4の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OBの円形領域を除く領域)210のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動前の第1地点Aの位置が例えばA1、A2、A3の場合は、第2地点Bに移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動前の第1地点Aの位置が例えばA4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0032】
(第2実施例) 第2実施例を図5と図6を参照して説明する。第2実施例は、第1の態様において送信条件を第2送信条件とした場合である。ここで、第2送信条件とは、図5と図6に示す基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が所定距離R以下であり(第1条件)、かつ、基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が基準点と第1地点A(OA)間の距離以下であり(第2条件)、かつ、基準点Oから第1地点Aへ伸びるベクトルOAと基準点Oから第2地点Bへ伸びるベクトルOBのなす角度αが0度以上で90度以下である(第3条件)、という条件である。即ち、第2送信条件は、第1送信条件に加えてさらに第3条件が付加されたものである。
【0033】
移動体の移動前の第1地点Aが図5の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図5の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OAの半円形領域)120のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1、B2の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB3、B4、B5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0034】
移動体の移動後の第2地点Bが図6の位置にあるときに、移動体の移動前の第1地点Aが図6の斜線領域(基準点Oを通り水平に伸びる境界線以下の領域から、基準点Oを中心とする半径OBの下半円形領域を除いた領域)220のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動前の第1地点Aの位置が例えばA1、A2の場合は、第2地点Bに移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動前の第1地点Aの位置が例えばA3、A4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0035】
(第3実施例) 第3実施例を図7と図8を参照して説明する。第3実施例は、第1の態様において送信条件を第3送信条件とした場合である。ここで、第3送信条件とは、図7と図8に示す基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が所定距離R以下であり(第1条件)、かつ、第2地点Bから基準点Oへ伸びるベクトルBOと第2地点Bから第2地点Aへ伸びるベクトルBAのなす角度βが90度以上で180度以下である(第2条件)、という条件である。即ち、第3通信条件は、第1通信条件と、第1条件は同じであるが第2条件が異なる。
【0036】
移動体の移動前の第1地点Aが図7の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図7の斜線領域(直径OAの円形領域)130のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB2、B3、B4、B5の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0037】
移動体の移動後の第2地点Bが図8の位置にあるときに、移動体の移動前の第1地点Aが図8の斜線領域(第2地点Bを通り水平に伸びる境界線以下の領域)230のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動前の第1地点Aの位置が例えばA1の場合は、第2地点Bに移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動前の第1地点Aの位置が例えばA2、A3、A4の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0038】
以上で説明した第1〜第3実施例によると、それぞれ第1〜第3送信条件に従って広告情報を送信することで、基準点Oにある店舗等の固定体に来訪する可能性が高い、近づいていると推定される移動体に対してのみ広告情報を送信することができる。固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bに移動した移動体に対し広告情報を送信する領域は、第1実施例(図2の斜線領域110a)、第2実施例(図5の斜線領域120)、第3実施例(図7の斜線領域130)の順に、固定体に来訪する可能性がより高い移動体が存在する領域に狭められているので、来訪する可能性が高い移動体に対してより効率的に広告情報を送信することができる。
【0039】
また、広告情報を受信する移動体にとっては、来訪し易い、近づいていると推定される店舗等の固定体からの広告情報のみを受信することができ、来訪しにくい、既に遠ざかっていると推定される固定体からは広告情報を受信しないようにすることができる。即ち、第1〜第3実施例によると、広告情報を受信する移動体にとっても、有用な広告情報のみを受信することができる。
【0040】
(第4実施例) 第4実施例を図9を参照して説明する。第4実施例は、第2の態様において送信条件を第1送信条件とした場合である。即ち、第4実施例は、固定体に通信装置40が設置され、移動体が広告情報送信装置20を有する状態で、第1送信条件を満たした場合に、第1地点Aから第2地点Bに移動した移動体が有する広告情報送信装置20から、基準点Oにある固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される態様である。なお、第1送信条件の内容は第1実施例で説明しているので省略する。
【0041】
位置情報取得手段24が広告情報送信装置20自身の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24が有する自己位置検出手段24aによって、時刻nTに移動体の第1地点Aの位置情報を取得し、時刻(n+1)Tに移動体の第2地点Bの位置情報を取得する。このようにして、位置情報取得手段24は、広告情報送信装置20自身の位置情報を所定時間Tの間隔で順次取得する。
位置情報取得手段24が通信装置40の位置情報を取得するときは、位置情報取得手段24は、通信装置40に、その通信装置40の位置情報の送信を要求する信号を送信する。この信号を受信した通信装置40は、その自己位置検出手段44で検出した位置情報を、通信手段22、42を介して、広告情報送信装置20の位置情報取得手段24に送信する。但し、通信装置40自体は固定体に設置されているので、位置情報取得手段24は、所定時間Tの間隔で順次通信装置40の位置情報を要求することはしない。位置情報取得手段24は、通信装置40から最初に受信した位置情報を継続して利用する。
【0042】
なお、位置情報を取得する態様は、後述する第5、第6実施例においても同様である。但し、位置情報を取得する態様は上記した態様に限られずに、位置情報を取得するための公知のあらゆる態様が含まれるものとする。例えば、通信装置40の位置情報は、広告情報送信装置20の利用者によって位置情報取得手段24の入力手段から入力されるようにしてもよいし、あるいは、予め位置情報取得手段24が有する記憶手段に記憶されている位置情報を抽出するようにしてもよい。
【0043】
移動体が図9の第1地点Aから第2地点Bに移動した場合は、基準点Oの固定体が図9の斜線領域(扇形状の領域)310のいずれかの位置にある場合は、第2地点Bの移動体が有する広告情報送信装置20から基準点Oの固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。なお、図9中の符号300は、移動体の第2地点Bを中心とする半径Rの円形領域を示す。
この場合、固定体の基準点Oの位置が例えばO1、O2、O3の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。固定体の基準点Oの位置が例えばO4の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報は送信されない。
【0044】
(第5実施例) 第5実施例を図10を参照して説明する。第5実施例は、第2の態様において送信条件を第2送信条件とした場合である。なお、第2送信条件の内容は第2実施例で説明しているので省略する。
【0045】
移動体が図10の第1地点Aから第2地点Bに移動した場合は、基準点Oの固定体が図10の斜線領域(第2地点Bを中心とする半径Rの円形領域から、その円形領域と直径AB(直径ABの中点Cが中心)の円形領域が重複する領域を除いた領域)320のいずれかの位置にある場合は、第2地点Bの移動体が有する広告情報送信装置20から基準点Oの固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、固定体の基準点Oの位置が例えばO1、O2の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。固定体の基準点Oの位置が例えばO3、O4の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報は送信されない。
【0046】
(第6実施例) 第6実施例を図11を参照して説明する。第6実施例は、第2の態様において送信条件を第3送信条件とした場合である。なお、第3送信条件の内容は第2実施例で説明しているので省略する。
【0047】
移動体が図11の第1地点Aから第2地点Bに移動した場合は、基準点Oの固定体が図11の斜線領域(第2地点Bを中心とした半径Rの円形領域のうち上半円形領域)330のいずれかの位置にある場合は、第2地点Bの移動体が有する広告情報送信装置20から基準点Oの固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、固定体の基準点Oの位置が例えばO1の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報が送信される。固定体の基準点Oの位置が例えばO2、O3、O4の場合は、その固定体に設置された通信装置40に広告情報は送信されない。
【0048】
以上で説明した第4〜第6実施例によると、それぞれ第1〜第3送信条件に従って広告情報を送信することで、自動車等の移動体に来訪する可能性又は移動体の訪問を求める可能性が高い、近づいていると推定される固定体にいる者が利用する通信装置40に対してのみ、広告情報を送信することができる。移動体が有する広告情報送信装置20から、基準点Oの固定体に対し広告情報を送信する領域は、第4実施例(図9の斜線領域310)、第5実施例(図10の斜線領域320)、第6実施例(図11の斜線領域330)の順に、移動体に来訪する可能性又は移動体の訪問を求める可能性がより高い固定体が存在する領域に狭められているので、来訪する可能性又は訪問を求める可能性が高い固定体にいる者に対してより効率的に広告情報を送信することができる。
【0049】
また、広告情報を受信する固定体にいる者にとっては、来訪し易いか又は訪問を求め易い、近づいていると推定される移動体からの広告情報のみを受信することができ、来訪しにくいか又は訪問を求めにくい、既に遠ざかっていると推定される移動体からは広告情報を受信しないようにすることができる。即ち、第4〜第6実施例によると、広告情報を受信する固定体にいる者にとっても、有用な広告情報のみを受信することができる。
【0050】
(第7実施例) 第7実施例を図12を参照して説明する。第7実施例は、第1の態様において送信条件を第4送信条件とした場合である。ここで、第4送信条件とは、図12に示す第2地点Bが矩形状の領域100a内にあり(第1条件)、かつ、基準点Oと第2地点B(OB)間の距離が基準点と第1地点A(OA)間の距離以下である(第2条件)、という条件である。即ち、第4送信条件の第1条件は、第1送信条件の第1条件を変形したものである。
【0051】
図12の領域62は大通りの車道を示し、その両側方の領域60、64は店舗等の存在する領域である。大通り62を通る車(移動体)は第1地点Aから第2地点Bの向きに走っているものとする。
移動体の移動前の第1地点Aが図12の位置のときに、移動体の移動後の第2地点Bが図12の斜線領域(基準点Oを中心とする半径OAの円形領域のうち、矩形状の領域100aでカットされる領域を除いた領域)140のいずれかの位置にある場合は、基準点Oの固定体に設置された広告情報送信装置20から、第2地点Bの移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。
この場合、移動後の第2地点Bの位置が例えばB1の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報が送信される。一方、移動後の第2地点Bの位置が例えばB2の場合は、移動後の移動体が有する通信装置40に広告情報は送信されない。
【0052】
第7実施例のように、領域100aの形状は円形状でなくてもよく、矩形状等のあらゆる形状であってもよい。この場合も第1実施例と同様に、基準点Oにある店舗等の固定体に来訪する可能性の高い移動体に対してのみ広告情報を送信することができる。
【0053】
(応用例) 図1の広告情報送信装置20が位置の異なる複数の店舗(固定体)に設置されており、図1の通信装置40が自動車(移動体)に搭載されたナビゲーション装置であるとする。このナビゲーション装置は、ローカルな地域の店舗の広告情報をテレビやラジオと同様に常時、画像出力又は音声出力可能となっている。そして、自動車が移動していると、上記で説明したいずれかの通信条件を満たす広告情報送信装置20から、各店舗の広告情報がナビゲーション装置に順次送信され、画像又は音声が出力される。
【0054】
この応用例によると、自動車に乗っている者は、その自動車が近づいていると推定される店舗からのみの広告情報を受信することができ、既に遠ざかっていると推定される店舗からの広告情報は受信しないようにすることができる。このため、自動車に乗っている者は、来訪し易い店舗からの広告情報のみを常時取得することができる。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例の広告情報送信装置と通信装置の説明図を示す。
【図2】第1実施例の説明図を示す(1A)。
【図3】第1実施例の説明図を示す(1B)。
【図4】第1実施例の説明図を示す(2)。
【図5】第2実施例の説明図を示す(1)。
【図6】第2実施例の説明図を示す(2)。
【図7】第3実施例の説明図を示す(1)。
【図8】第3実施例の説明図を示す(2)。
【図9】第4実施例の説明図を示す。
【図10】第5実施例の説明図を示す。
【図11】第6実施例の説明図を示す。
【図12】第7実施例の説明図を示す。
【符号の説明】
【0057】
20:広告情報送信装置
22:通信手段
24:位置情報取得手段、24a:自己位置検出手段
26:距離算出手段
28:角度算出手段
30:条件判別手段
32:情報送信手段
40:通信装置
42:通信手段
44:自己位置検出手段
46:情報出力手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、距離算出手段と、情報送信手段を備え、
位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得し、
距離算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点と第1地点間の距離と、基準点と第2地点間の距離を算出し、
情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点が所定領域内にあり、かつ、距離算出手段で算出した基準点と第2地点間の距離が基準点と第1地点間の距離以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する情報送信装置。
【請求項2】
角度算出手段をさらに備え、
角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点から第1地点へ伸びるベクトルと基準点から第2地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出し、
情報送信手段は、請求項1の条件を満たし、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が0度以上で90度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する請求項1の情報送信装置。
【請求項3】
第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、角度算出手段と、情報送信手段を備え、
位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得し、
角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、第2地点から基準点へ伸びるベクトルと第2地点から第1地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出し、
情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点の位置が所定領域内にあり、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が90度以上で180度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する情報送信装置。
【請求項1】
第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、距離算出手段と、情報送信手段を備え、
位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得し、
距離算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点と第1地点間の距離と、基準点と第2地点間の距離を算出し、
情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点が所定領域内にあり、かつ、距離算出手段で算出した基準点と第2地点間の距離が基準点と第1地点間の距離以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する情報送信装置。
【請求項2】
角度算出手段をさらに備え、
角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、基準点から第1地点へ伸びるベクトルと基準点から第2地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出し、
情報送信手段は、請求項1の条件を満たし、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が0度以上で90度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する請求項1の情報送信装置。
【請求項3】
第1地点から第2地点に移動した移動体に対し又は移動体から情報を送信する装置であって、位置情報取得手段と、角度算出手段と、情報送信手段を備え、
位置情報取得手段は、基準点と、第1地点と、第2地点の位置情報を取得し、
角度算出手段は、位置情報取得手段で取得した各点の位置情報に基づいて、第2地点から基準点へ伸びるベクトルと第2地点から第1地点へ伸びるベクトルのなす角度を算出し、
情報送信手段は、位置情報取得手段で取得した第2地点の位置が所定領域内にあり、かつ、角度算出手段で算出した前記角度が90度以上で180度以下であるという条件を満たす場合に情報を送信する情報送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−89215(P2007−89215A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307210(P2006−307210)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【分割の表示】特願2002−6709(P2002−6709)の分割
【原出願日】平成14年1月15日(2002.1.15)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【分割の表示】特願2002−6709(P2002−6709)の分割
【原出願日】平成14年1月15日(2002.1.15)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
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