説明

情報通信システム、情報処理装置、及び情報通信方法

【課題】消費電力の増大を抑えつつ、スタンバイ状態の装置本体をコントローラからのBT通信によって起動する際に、コントローラが使用可能となるまでの時間を短縮する。
【解決手段】装置本体10がコントローラからのBT通信によってスタンバイ状態から起動する際に、装置本体10のメインCPU64は、BTドライバの読み込み/動作の実行後、コントローラ接続管理プログラムの読み込み/動作を実行する。メインCPU64は、BTドライバの読み込み/動作の実行後で且つBT通信モジュール78がコントローラから論理層接続要求信号を受信したとき、その論理接続要求信号をメインメモリ65に記憶させ、コントローラ接続管理プログラムの読み込み/動作の実行後、メインメモリ65から端末識別情報を読み出し、BT通信による論理層接続を確立し、論理層接続許可信号をBT通信モジュール79から送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビデオゲーム機とコントローラからなるエンタテインメントシステムのように操作端末と情報処理装置から構成される情報通信システム、例えばビデオゲーム機のような情報処理装置、例えばビデオゲーム機とコントローラとの間で実行される情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コントローラと情報処理装置とが無線接続されるシステムでは、ユーザは、コントローラを用いた遠隔操作によって情報処理装置に所望の処理を実行させることができる。
【0003】
【特許文献1】特許第3581118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビジョンなどの家電機器には、オン状態(完全起動状態)とオフ状態(完全停止状態)の他にスタンバイ状態(待機状態・スリープ状態)に設定可能なものがある。また、スタンバイ状態に設定可能な家電機器には、コントローラを用いた遠隔操作によって起動されるものがある。
【0005】
このような家電機器の場合と同様に、情報処理装置とコントローラとが無線接続可能であり、且つ情報処理装置がスタンバイ状態に設定可能である場合、スタンバイ状態の情報処理装置を、コントローラからの無線通信による遠隔操作によってオン状態とすることが考えられる。
【0006】
しかし、情報処理装置の場合、上記家電機器と異なり、コントローラとの対応関係を設定する処理(論理層接続処理)が完了するまでの間は、ユーザはコントローラを用いた遠隔操作によって情報処理装置に所望の処理を実行させることができない。
【0007】
具体的には、コントローラは、ユーザからの所定の操作入力に応じて情報処理装置に対して物理層接続要求信号(起動要求信号)を送信する。物理層接続要求信号を受信した待機状態の情報処理装置は、起動処理を実行するとともに、コントローラに対して物理層接続許可信号を送信する。物理層接続許可信号を受信したコントローラは、情報処理装置に対して論理層接続要求信号を送信する。論理層接続要求信号を受信した情報処理装置は、上記論理層接続処理を実行して論理層接続許可信号をコントローラに送信する。そして、この論理層接続許可信号をコントローラが受信することによって、情報処理装置とコントローラとの論理層接続が完了し、ユーザはコントローラを用いた遠隔操作によって情報処理装置に所望の処理を実行させることができる。
【0008】
ここで、物理層接続許可信号を送信した情報処理装置は、論理層接続処理が実行可能な状態になるまで、受信した論理層接続要求信号を破棄し、コントローラは、情報処理装置から論理層接続許可信号を受信するまで、予め定められた所定時間毎に論理層接続要求信号を繰り返して送信する。このため、情報処理装置が論理層接続処理を実行可能な状態となったタイミングによっては、コントローラから論理層接続要求信号を受信するまでの時間が長くなり、情報処理装置によって論理層接続処理が実行されるまで(論理層接続が確立するまで)に長時間が過ぎてしまい、コントローラを用いた遠隔操作によって情報処理装置に所望の処理を実行させることができるまで長時間を要してしまう可能性がある。
【0009】
このような不都合は、情報処理装置のスタンバイ状態を論理層接続処理が実行可能に設定することによって回避可能であるが、この場合スタンバイ状態における情報処理装置の消費電力の増大を招く。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、消費電力の増大を抑えつつ、スタンバイ状態の情報処理装置をコントローラからの無線通信による遠隔操作によって起動させる際に、コントローラを用いた遠隔操作によって情報処理装置に所望の処理を実行させることが可能となるまでの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報処理システムは、ユーザから操作される操作端末と、待機状態に設定可能な情報処理装置と、を備える。
【0012】
前記操作端末は、端末側無線送受信手段と入力手段と信号生成手段とを有する。
【0013】
端末側無線送受信手段は、情報処理装置との間で無線通信によって情報を送受信する。入力手段は、待機状態の情報処理装置を起動させるための起動指示入力をユーザから受け付ける。信号生成手段は、入力手段が起動指示入力を受けたとき、物理層接続要求信号を生成して端末側無線送受信手段から送信させる。また、信号生成手段は、端末側無線送受信手段が情報処理装置から物理層接続許可信号を受信したとき、操作端末に固有に設定された端末識別情報を含む論理層接続要求信号を生成して、端末側無線送受信手段が情報処理装置から論理層接続許可信号を受信するまで、繰り返して端末側無線送受信手段から送信させる。
【0014】
前記情報処理装置は、装置側無線送受信手段と起動処理手段と記憶手段と記憶制御手段と無線論理層接続処理手段と情報処理実行手段とを有する。
【0015】
装置側無線送受信手段は、操作端末から物理層接続要求信号を受信して、操作端末との間での無線通信による物理層接続を確立するとともに、操作端末に物理層接続許可信号を送信する物理層接続処理を実行する。また、装置側無線送受信手段は、物理層接続が確立した状態で、操作端末との間で無線通信によって情報を送受信する。起動処理手段は、情報処理装置が待機状態であり、装置側無線送受信手段が操作端末から物理層接続要求信号を受信したとき、情報処理装置の起動処理を開始する。記憶制御手段は、装置側無線送受信手段が操作端末から論理層接続要求信号を受信したとき、少なくとも論理層接続要求信号に含まれる端末識別情報を記憶手段に記憶させる。無線論理層接続処理手段は、記憶手段から端末識別情報を読み出して、操作端末との間での無線通信による論理層接続を確立するとともに、論理層接続許可信号を生成して装置側無線送受信手段から送信させる論理層接続処理を実行する。情報処理実行手段は、論理層接続が確立した状態で、装置側無線送受信手段が操作端末から受信した情報に応じて所定の情報処理を実行する。
【0016】
待機状態では、情報処理装置のうち記憶制御手段と無線論理層接続処理手段と情報処理実行手段とが停止状態に設定され、且つ装置側無線送受信手段と起動処理手段とが起動状態に設定される。起動処理では、記憶制御手段が無線論理層接続処理手段よりも早く起動状態となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、待機状態の情報処理装置をコントローラからの無線通信による遠隔操作によって起動させる際に、コントローラを用いた遠隔操作によって情報処理装置に所望の処理を実行させることが可能となるまでの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔本実施の形態の概略構成〕
本発明一実施形態として、図1に示すエンタテインメントシステムは、本発明の情報処理装置の一例のビデオゲーム機であるエンタテインメント装置(以下、装置本体と称する)10と、ユーザ(プレイヤー)により操作される複数の操作端末であるコントローラ20(図1の例では2つのコントローラ20A,20B)とを備える。装置本体10と各コントローラ20A,20Bとの間では、通信により情報が送受信される。プレイヤーは、両者間の通信方法として、USB接続ケーブル13A,13Bを介した有線接続による通信と無線による通信のうち任意の一方を選択可能である。また、装置本体10にコントローラ20を有線接続した場合には、後述する起動処理を除き有線による通信が優先して実行され、無線よる通信は実行されない。
【0019】
図1の例において、装置本体10は、複数のコントローラポート11(本実施形態では、11A,11B,11C,11Dの4箇所)を有する。コントローラ20A,20Bと装置本体10とを有線接続する場合、USB接続ケーブル13Aは、一端部に設けられた差込コネクタ12Aが装置本体10のコントローラポート11のうち任意の一つ(この例では11A)に差し込まれて電気的に接続され、他端部に設けられた差込コネクタ14Aがコントローラ20Aの接続ポート15(15A)に差し込まれて電気的に接続される。また、USB接続ケーブル13Bは、一端部に設けられた差込コネクタ12Bが装置本体10のコントローラポート11のうち他の任意の一つ(11B)に差し込まれて電気的に接続され、他端部に設けられた差込コネクタ14Bがコントローラ20Bの接続ポート15(15B)に差し込まれて電気的に接続される。装置本体10とコントローラ20との有線接続方式は、双方向にて通信可能であればよく、本実施形態では、USB(Universal Serial Bus)形式による接続(以下、USB接続と称する)を採用している。
【0020】
また、各コントローラ20(20A,20B)には、装置本体10の無線通信部(アンテナ)16との間で無線による情報の送受信を行う無線通信部(アンテナ)17(17A,17B)がそれぞれ設けられている。両無線通信部16,17同士の通信方式としては、双方向にて無線通信可能であれば、ブルーツゥース(Bluetooth(登録商標))のような汎用の近距離高速無線通信方式や専用の近距離無線通信方式などのあらゆる通信方式の適用が可能である。本実施形態では、ブルーツゥースによる無線通信方式(以下、BT通信と称する)を採用している。
【0021】
[エンタテインメントシステムの全体構成]
図1に示すエンタテインメントシステムは、装置本体10と、コントローラ20(20A,20B)と、装置本体10から映像及び音声信号が供給されるモニタ装置(例えばテレビジョン受像機など)100とから構成されている。モニタ装置100は、装置本体10から供給された映像信号に基づいて画像を表示する画像表示部101を有する。
【0022】
〔装置本体の外観〕
上記装置本体10には、上記コントローラポート11(11A〜11D)及び無線通信部16の他、図示は省略するが、メモリカードが着脱自在とされるメモリカードスロット、ディスクトレイ、ディスクトレイをオープンまたはクローズさせるオープン/クローズボタン、電源のオンやスタンバイ,リセットを行うためのオン/スタンバイ/リセットボタン、音声映像出力端子(AVマルチ出力端子)、PCカードスロット、光ディジタル出力端子、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394接続端子、電源スイッチ、AC電源入力端子などが設けられている。
【0023】
電源スイッチが操作されることにより、装置本体10は、オン状態(完全起動状態)とオフ状態(完全停止状態)とに切り替わる。また、オン状態の装置本体10は、オン/スタンバイ/リセットボタンが操作されることにより、オン状態とスタンバイ状態(待機状態・スリープ状態)とに切り替わる。なお、装置本体10のオン状態とスタンバイ状態との間の切り替えは、コントローラ20を用いた遠隔操作によっても可能である。例えば、装置本体10がオン状態であるとき、コントローラ20を操作して、モニタ装置100にメニュー画面を表示させ、メニュー内の「本体の電源を切る」という項目を選択して決定することにより、装置本体10がスタンバイ状態へ切り替わる。また、装置本体10がスタンバイ状態であるとき、コントローラ20の後述する開始ボタン53(図2に示す)を押下することにより、装置本体10が起動してオン状態へ切り替わる。
【0024】
また、上記装置本体10は、例えばいわゆるDVD−ROMやCD−ROM等のディスク媒体に記録されているビデオゲーム用のアプリケーションプログラムに基づいてビデオゲームを実行したり、例えばDVDビデオやCDに記録されたビデオデータ、オーディオデータを再生(デコード)可能なものである。
【0025】
なお、上記アプリケーションプログラムやビデオ、オーディオデータは、ディスク媒体に限らず、半導体メモリやテープ媒体から読み取られたもの、有線若しくは無線の広域或いは域内通信回線等により供給されたものであってもよい。
【0026】
〔コントローラの外観〕
図2を用いて、コントローラ20の外観を簡単に説明する。
【0027】
上記コントローラ20は、装置本体10との間でUSB接続するための上記接続ポート15と、装置本体10との間でBT通信するための上記無線通信部17と、表示部21を備えている。
【0028】
コントローラ20には、プレイヤーがコントローラ20を左右の手により把持した状態で、プレイヤーの左右の手の親指により操作される右操作部31及び左操作部32と、同じく左右の親指によりアナログ操作が可能な右アナログ操作部33及び左アナログ操作部34と、左右の人差し指によりそれぞれ押下操作される右第1押下ボタン35及び左第1押下ボタン36と、左右の中指によりそれぞれ押下操作される右第2押下ボタン37及び左第2押下ボタン38が設けられている。
【0029】
上記左操作部32には、例えばゲームキャラクタを画面上で移動させるなどの操作をプレイヤーが行う場合に用いられる、上指示ボタン41、下指示ボタン42、左指示ボタン43、右指示ボタン44が設けられている。また、上記右操作部31には、例えばゲームキャラクタの機能の設定や実行など、ゲームアプリケーションによりそれぞれ異なる機能が割り付けられる第1〜第4の操作ボタン45〜48が設けられている。
【0030】
上記左右のアナログ操作部34,33は、操作軸を中心に360度方向に回転可能で且つ非操作時には弾性部材により中立位置に復帰する左右の回転操作子(図示省略)と、これら左右の回転操作子の操作に応じた信号を発生する信号発生部(図示省略)等を備えている。
【0031】
上記左右のアナログ操作部34,33は、例えば、左右の回転操作子を回転操作することにより、例えばゲームキャラクタを回転しながら移動させ、或いは速度を可変しながら移動させ、さらには形態を変更させる等のアナログ的な動きを実現するための指令信号を入力するため等に用いられる。
【0032】
さらにコントローラ20は、コントローラ20の電源をオン/オフさせるために使用するオン/オフボタン51と、ホームボタン52と、起動ボタン53とを有している。
【0033】
ホームボタン52は、装置本体10との間で通信を開始させる際の入力用、及び画像表示部101へのメニュー画面の表示処理を装置本体10に開始させるための入力用として割り当てられている。装置本体10におけるメニュー画面の表示処理は、実行中の他のアプリケーションプログラムを中断して優先的に実行される。また、ホームボタン52が押下されてコントローラ20が装置本体10との間で通信を開始した場合にも、メニュー画面が表示される。
【0034】
起動ボタン53は、スタンバイ状態の装置本体10を起動させてオン状態に切り替える際の入力用として割り当てられている。なお、スタンバイ状態の装置本体10を起動させてオン状態に切り替える際の入力用としての機能を、起動ボタン53以外の他のボタンに割り当ててもよい。
【0035】
表示部21は、例えば、液晶表示パネル、有機若しくは無機EL(Electorluminescence)パネル、セグメント表示器、LED(発光ダイオード)など、プレイヤーが視認可能な表示を行うものである。
【0036】
〔装置本体の内部回路構成〕
図3には、上記装置本体10の主要な内部構成を示す。
【0037】
図3に示すように、装置本体10は、メインバス61とサブバス62とを有し、これらのバス61,62は、バスインターフェース63を介して互いに接続されまたは切り離される。
【0038】
メインバス61には、メインCPU64と、DRAMで構成される揮発性のメインメモリ65と、メインDMAC(Direct Memory Access Controller)66と、フレームメモリ67を内蔵する画像処理デバイス(GPU(Graphic Processing Unit))68が接続される。GPU68には、ビデオ出力信号を生成するための制御手段であるCRTC(CRT controller)69が接続される。ビデオ出力信号により、ケーブル等によって装置本体10と接続されている所定の表示装置(本実施形態では、モニタ装置100の画像表示部101)に画像が表示される。
【0039】
メインCPU64は、装置本体10の起動時にサブバス62上のROM70から、バスインターフェース63を介して起動プログラムを読み込み、その起動プログラムを実行してオペレーティングシステムを動作させた後、メインバス61上のメインメモリ65からBTドライバやUSBドライバやコントローラ接続管理プログラムなどの様々なプログラムを読み込み、そのプログラムを動作させる。また、メインCPU64は、メディアドライブ71を制御するとともに、このメディアドライブ71に装着されたメディア72からアプリケーションプログラムやデータを読み出し、これをメインメモリ65に記憶させる。さらに、メディア72から読み出した各種データ、例えば複数の基本図形(ポリゴン)で構成された3次元オブジェクトデータ(ポリゴンの頂点(代表点)の座標値など)に対して、ジオメトリ処理を行う。ジオメトリ処理によりポリゴン定義情報をその内容とするディスプレイリストを生成する。また、MPEG(Moving Picture Experts Group)方式あるいはJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式等で圧縮されたデータを伸張する。つまりメインCPU64は、ソフトウェアにより情報を解読する情報解読機能を持つ。
【0040】
ポリゴン定義情報は、描画領域設定情報とポリゴン情報とからなる。描画領域設定情報は、描画領域のフレームバッファアドレスにおけるオフセット座標と、描画領域の外部にポリゴンの座標があった場合に、描画をキャンセルするための描画クリッピング領域の座標からなる。ポリゴン情報は、ポリゴン属性情報と頂点情報とからなり、ポリゴン属性情報は、シェーディングモード、αブレンディングモード、およびテクスチャマッピングモード等を指定する情報であり、頂点情報は、頂点描画領域内座標、頂点テクスチャ領域内座標、および頂点色等の情報である。
【0041】
GPU68は、描画コンテクストを保持しており、メインCPU64から通知されるディスプレイリストに含まれる画像コンテクストの識別情報に基づいて該当する描画コンテクストを読み出し、これを用いてレンダリング処理を行い、フレームメモリ67にポリゴンを描画する。フレームメモリ67は、テクスチャメモリとしても使用できるため、フレームメモリ67上のピクセルイメージをテクスチャとして描画するポリゴンに貼り付けることができる。
【0042】
メインDMAC66は、メインバス61に接続されている各回路を対象としてDMA転送制御を行うとともに、バスインターフェース63の状態に応じて、サブバス62に接続されている各回路を対象としてDMA転送制御を行う。
【0043】
メインメモリ65には、コントローラ20の固有IDを登録するUSB接続用コントローラID登録テーブルとBT接続用コントローラID登録テーブルとが予め設けられている。USB接続用コントローラID登録テーブルに登録された固有IDに対応するコントローラ20との間ではUSB接続による通信によって情報の送受信が可能であり、BT接続用コントローラID登録テーブルに登録された固有IDに対応するコントローラ20との間ではBT接続による通信によって情報の送受信が可能となる。ここで、コントローラ20との間で情報の送受信が可能な状態(論理層接続状態)とは、プレイヤーがコントローラ20の上記各種の入力ボタン33,34,35〜38,41〜48,51,52,53を操作した際に、装置本体10が、プレイヤーからの操作入力に対応した情報をコントローラ20から受信するとともに、受信した情報が何れのコントローラ20からのものであるかを認識し、受信した情報に応じてメインCPU64が所定の処理を実行することが可能な状態をいう。
【0044】
サブバス62には、マイクロプロセッサなどで構成されるシステムコントローラ73、フラッシュメモリ等で構成される不揮発性のサブメモリ74、サブDMAC75、オペレーティングシステムなどのプログラムが記憶されているROM70、サウンドメモリ76に蓄積された音データを読み出してオーディオ出力として出力する音声処理装置(SPU(Sound Processing Unit))77、USB通信モジュール78及びBT通信モジュール79と他の構成要素(例えばシステムコントローラ73やサブメモリ74など)との間でのデータの受け渡しを管理する回路群から構成されるサウスブリッジ(SB(South Bridge))54、所定のメディア72を装着するためのメディアドライブ71、及びキーボード80が接続されている。メディア72は、画像処理用のプログラムが記録されたCD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体である。装置本体10は、この画像処理用のプログラムを読み取って実行することにより、所要のエンタテインメント処理を実行する。USB通信モジュール78は、コントローラポート11(図1に示す)を含み、USB接続ケーブル13を介してコントローラ20との間で有線による情報の送受信を行う。BT通信モジュール79は、無線通信部16(図1に示す)を含み、BT通信を介してコントローラ20との間で無線による情報の送受信を行う。
【0045】
システムコントローラ73は、ROM70に記憶されているプログラムに従って後述する起動処理を含む各種動作を行う。また、システムコントローラ73は、サウスブリッジ54をバイパスしてBT通信モジュール79に直接接続されている。これにより、スタンバイ状態においてサウスブリッジ54が停止している場合であっても、BT通信モジュール79がコントローラ20から物理層接続要求信号を受信すると、この物理層接続要求信号がシステムコントローラ73へ送信される。サブDMAC75は、バスインターフェース63がメインバス61とサブバス62を切り離している状態においてのみ、サブバス62に接続されている各回路を対象としてDMA転送などの制御を行う。
【0046】
スタンバイ状態では、システムコントローラ73とBT通信モジュール79のみが起動し、メインCPU64などの他の構成要素は停止する。この状態で、BT通信モジュール79は、コントローラ20から物理層接続要求信号を受信可能である。また、スタンバイ状態の装置本体10がオン状態への切り替え指示を受けると、システムコントローラ73がメインCPU64などの停止中の構成要素を起動させる起動処理を開始する。この起動処理において、メインCPU64は、サブバス62上のROM70から、バスインターフェース63を介して起動プログラムを読み込み、その起動プログラムを実行してオペレーティングシステムを動作させ、さらにメインバス61上のメインメモリ65からBTドライバやUSBドライバやコントローラ接続管理プログラムなどのプログラムを順次読み込み、そのプログラムを順次動作させる。起動処理時にメインCPU64が読み込んで動作させるプログラムは予め設定されており、設定された全てのプログラムを動作させることにより、メインCPU64の起動が完了する。また、起動処理において、USB通信モジュール78及びサウスブリッジ54は、メインCPU64の起動開始前に起動する。さらに、メインCPU64は、BTドライバ及びUSBドライバの読み込み及び動作を実行した後、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作を実行する。
【0047】
また、BT通信モジュール79は、後述する物理層接続要求信号をコントローラ20から受信すると、物理層接続処理を行う。物理層接続処理では、初期化処理を実行してコントローラ20との間で物理層間の無線通信による情報(データ)の送受信が可能な状態を確立するとともに、コントローラ20に対して物理層接続許可信号を送信する。
【0048】
さらに、BT通信モジュール79が後述する論理層接続要求信号をコントローラ20から受信すると、メインCPU64は、コントローラ接続管理プログラムに従って論理層接続処理を実行する。論理層接続処理では、コントローラ20との間で論理層間の情報(データ)の送受信及び受信した情報の処理が可能な状態を確立し、複数のコントローラ20との有線及び無線による任意で且つ良好な接続を実現するために、コントローラ20から送信される論理層接続要求信号に含まれるコントローラ20の固有IDに基づき、それぞれ接続されているコントローラ20の認識及び管理を行い、さらにコントローラ20に対して論理層接続許可信号を送信する。
【0049】
物理層接続処理は、BT通信モジュール79が物理層接続処理を実行することによって終了し、論理層接続処理は、メインCPU64が、論理層接続処理を実行することによって終了する。なお、物理層接続要求信号、物理層接続許可信号、論理層接続要求信号、及び論理層接続許可信号は、全てパケットで構成される。
【0050】
ここで、装置本体10がスタンバイ状態の場合、メインCPU64は停止しているため、装置本体10がスタンバイ状態からオン状態に移行する起動処理中は、メインCPU64が論理層接続処理を実行可能な状態になるまで、BT通信モジュール79がコントローラ20から論理層接続要求信号を受信しても、メインCPU64は論理層接続処理を実行することができない。
【0051】
この点に関し、本実施形態では、BTドライバに、BT通信モジュール79が受信した論理層接続要求信号をメインメモリ65に記憶(キューイング)させる機能(プログラム)が含まれている。また、コントローラ接続管理プログラムに、メインメモリ65に記憶された論理層接続要求信号を読み出す(デキューする)機能(プログラム)が含まれている。このため、メインCPU64は、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作を完了する前(メインCPU64が完全に起動する前)であっても、BTドライバの読み込み及び動作が完了した後であれば、BT通信モジュール79が受信した論理層接続要求信号をメインメモリ65に記憶させる。また、メインCPU64は、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作が完了した後に、メインメモリ65に記憶された論理層接続要求信号を読み出し、論理層接続処理を実行する。従って、メインCPU64は、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作が完了したときに、コントローラ20からの新たな論理層接続要求信号の送信を待つことなく、論理層接続処理を開始する。なお、BTドライバとして機能するメインCPU64がメインメモリ65に記憶させる情報は、論理層接続要求信号そのものである必要はなく、論理層接続信号に含まれるコントローラIDを含んだ情報であればよい。また、論理層接続信号(又はコントローラIDを含んだ情報)を記憶させる場所は、メインメモリ65以外の記憶部であってもよい。
【0052】
〔コントローラの内部構成〕
次に、図4に、コントローラ20の主要な内部構成を示す。
【0053】
図4において、コントローラ20は、CPU81と、DRAMで構成される揮発性のメインメモリ82と、バッテリ83と、振動検出素子84と、振動素子85と、スピーカ86と、キーボード87と、表示部(セグメント表示器またはLED)21と、USB通信モジュール88と、BT通信モジュール89と、フラッシュメモリ等で構成される不揮発性のサブメモリ91とを有し、これらはバス90を介して接続されている。キーボード87とは、コントローラ20に設けられた上記各種の入力ボタン33,34,35〜38,41〜48,51〜53の総称である。
【0054】
CPU81は、コントローラ20の起動時にサブメモリ91から起動プログラムを読み込み、その起動プログラムを実行する。また、CPU81は、表示部21を所定の発光状態に制御する表示制御や、スピーカ86への音声出力を制御する音声制御や、振動素子85を駆動させてコントローラ20に振動を与える振動制御を実行する。
【0055】
さらにCPU81は、ホームボタン52又は起動ボタン53が押下されたとき、物理層接続要求信号を生成し、生成した物理層接続要求信号をBT通信モジュール89から装置本体10へ送信させる。また、CPU81は、BT通信モジュール89が装置本体10から物理層接続許可信号を受信したとき、論理層接続要求信号を生成し、生成した論理層接続要求信号をBT通信モジュール89から装置本体10へ送信させる。なお、論理層接続要求信号の生成及び送信は、装置本体10から論理層接続許可信号を受信するまで、予め設定された所定時間毎に繰り返して実行される。
【0056】
USB通信モジュール88は、USB接続ケーブル13を介して装置本体10との間で有線による情報の送受信を行い、BT通信モジュール89は、BT通信を介して装置本体10との間で無線による情報の送受信を行う。USB通信モジュール88は、接続ポート15(図1に示す)を含み、BT通信モジュール89は、無線通信部17(図1に示す)を含む。USB通信モジュール88の接続ポート15とBT通信モジュール89の無線通信部17とは、一方の通信パスのみが選択的に使用可能であり、何れの通信パスを使用するかはCPU81によって設定される。基本的に、コントローラ20と装置本体10とがUSB接続ケーブル13で接続されている状態では、通信パスとしてUSB通信モジュール88が選択され設定される。
【0057】
但し、コントローラ20と装置本体10とがUSB接続ケーブル13で接続されている状態であっても、起動ボタン53が押下操作された場合には、通信パスとしてBT通信モジュール89が選択され設定される。そして、BT通信モジュール89が装置本体10から論理層接続許可信号を受信すると、CPU81は通信パスをBT通信モジュール89からUSB通信モジュール88に切り替える。このように、USB接続ケーブル13が接続されている場合であっても、通信パスとしてBT通信モジュール89を設定するのは、起動ボタン53が押下操作される場合、装置本体10がスタンバイ状態である可能性が高く、スタンバイ状態の装置本体10ではUSB通信モジュール78の起動やメインCPU64によるUSBドライバの読み込み及び動作が完了するまでUSB通信による情報(データ)の送受を行うことができず、BT通信モジュール89が装置本体10から論理層接続許可信号を受信した後であれば、USB通信モジュール78の起動やメインCPU64によるUSBドライバの読み込み及び動作が完了しており、USB通信が可能なためである。
【0058】
また、サブメモリ91には、コントローラ20ごとに固有に付された端末識別情報としての固有IDが予め記憶されている。CPU81は、所定のタイミングでサブメモリ91から固有IDを読み出し、読み出した固有IDをUSB通信モジュール88またはBT通信モジュール89から装置本体10へ送信させる。この固有IDは、上記論理層接続要求信号に含まれる。
【0059】
また、CPU81は、キーボード87に対するプレイヤーからの操作入力に応じて予め設定された指示信号を生成し、生成した指示信号をUSB通信モジュール88またはBT通信モジュール89から装置本体10へ送信させる。特に、ホームボタン52と、他の入力ボタン33,34,35〜38,41〜48,53のうち少なくとも一つとが同時に押下されると、CPU81は、ボタンの組み合わせに応じた特定処理実行指示信号を、装置本体10へ送信させる。
【0060】
なお、コントローラ20と装置本体10との間を接続するUSB接続ケーブル13A,13B(図1に示す)は電源供給線を含み、USB接続状態において、装置本体10は、電源供給線を介してコントローラ20の電源を供給すると共に、バッテリ83の充電を行う。
【0061】
また、振動素子85とは、例えばモータの回転軸に対し偏心した状態で固定された重りであり、モータの駆動時に回転する重りがコントローラ20を振動させる。ゲームの進行状態等に応じてモータを駆動させることにより、所望のタイミングでプレイヤーの手に振動が伝達される。また、振動検出素子84とは、プレイヤーからコントローラ20に加えられた振動を検出するセンサであり、例えば、振動の検出によりオフ状態のコントローラ20をオン状態とする等、プレイヤーからの振動の入力を所定の処理の契機として用いる。
【0062】
〔BT通信に関するソフトウェア・スタックの説明〕
図5に示すように、BT通信に関するソフトウェア・スタックの機能モジュールの階層は、USB HCI Driver(USB Host Controller Interface Driver)111と、L2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol)102と、SDP(Service Discovery Protocol)103と、HID(Human Interface Device)104と、HS/HF(Headset Profile / Hands-free Profile)105と、セッティングライブラリ(Setting library)106と、HIDライブラリ(Human Interface Device library)107と、オーディオライブラリ(Audio library)108とを有する。下層のUSB HCI Driver111は物理層であり、上層のL2CAP102とSDP103とHID104とHS/HF105とセッティングライブラリ106とHIDライブラリ107とオーディオライブラリ108は、論理層である。
【0063】
最も上層のセッティングライブラリ106とHIDライブラリ107とオーディオライブラリ108は、それぞれメニューアプリケーション(Menu Application)109及びゲームアプリケーション(Game Application)110の実行制御を行う。また、L2CAP102は、BTシステム全体の制御及び管理を行うプロトコルである。なお、特に図示していないが、物理層は、リンクを確立してその管理を行うリンクマネージャやBTシステムのデジタルエンジンであるベースバンド(Baseband)や無線(Radio and Antenna)などのプロトコルをも含む。
【0064】
物理層接続状態では、コントローラ20と装置本体10との間で物理層による情報(データ)の送受が可能となり、論理層接続状態では、コントローラ20と装置本体10との間で物理層及び論理層による情報(データ)の送受が可能となる。また、コントローラ20から送信される物理層接続要求信号は論理層を含まず物理層のみを含み、論理層接続要求信号は、少なくとも論理層のL2CAP102を含み、L2CAP102はコントローラIDを含む。
【0065】
〔コントローラとオン状態の装置本体との接続開始処理の説明〕
オフ状態の装置本体10は、電源が投入されることによりオン状態となる。オフ状態のコントローラ20は、オン/オフボタン51が押下されることによりオン状態となる。
【0066】
USB接続による通信は、装置本体10及びコントローラ20が共にオン状態であり、両者がUSB接続された後、コントローラ20のホームボタン52が押下されることによって開始される。USB接続が開始されると、装置本体10及びコントローラ20はUSB接続による情報の送受信を行うための通信準備処理を実行した後、コントローラ20は、サブメモリ91に記憶された固有IDを読み出して、装置本体10へ送信する。装置本体10のメインCPU64は、コントローラ20から受信した固有IDをUSB接続用コントローラID登録テーブルに登録する。なお、装置本体10は、USB接続ケーブル13が適正な状態で接続されているか否かを検出することによって、USB接続か否かを判定する。
【0067】
BT通信は、装置本体10及びコントローラ20が共にオン状態であり、両者がUSB接続されていない状態において、コントローラ20のホームボタン52が押下されることによって開始される。この場合、コントローラ20が装置本体10の通信範囲内に位置することが必要である。ホームボタン52が押下されると、コントローラ20は、装置本体10に物理層接続要求信号を送信し、物理層接続要求信号を受信した装置本体10は、物理層接続処理を実行した後、物理層接続許可信号をコントローラ20に送信する。物理層接続許可信号を受信したコントローラ20は、サブメモリ91に記憶された固有IDを含む論理層接続要求信号を装置本体10へ送信し、論理層接続要求信号を受信した装置本体10は、論理層接続処理を実行した後、論理層接続許可信号をコントローラ20に送信する。論理層接続処理において、メインCPU64は、コントローラ20から受信した固有IDをBT接続用コントローラID登録テーブルに登録する。コントローラ20が論理層接続許可信号を受信することにより、BT通信の開始処理が終了する。
【0068】
すなわち、コントローラ20との接続が開始すると、装置本体10のメインCPU64は、USB接続かBT通信かを判定する。USB接続の場合は、USB接続による情報の送受信を行うための通信準備処理を実行し、USB接続を介してコントローラ20から固有IDを取得する。一方BT通信の場合は、BT通信による情報の送受信を行うための通信準備処理を実行し、BT通信によりコントローラ20から固有IDを取得する。
【0069】
また、装置本体10のメインCPU64は、コントローラ20の固有IDをUSB接続用コントローラID登録テーブルに登録する際、同一の固有IDがBT接続用コントローラID登録テーブルに既に登録されているか否かを判定し、既に登録されている場合には、USB接続用コントローラID登録テーブルにその固有IDを登録する際に、BT接続用コントローラID登録テーブルからその固有IDを削除する。同様に、メインCPU64は、コントローラ20の固有IDをBT接続用コントローラID登録テーブルに登録する際、同一の固有IDがUSB接続用コントローラID登録テーブルに既に登録されているか否かを判定し、既に登録されている場合には、BT接続用コントローラID登録テーブルにその固有IDを登録する際に、USB接続用コントローラID登録テーブルからその固有IDを削除する。
【0070】
〔コントローラからの遠隔操作によるスタンバイ状態の装置本体の起動処理の説明〕
本処理は、装置本体10がスタンバイ状態であり、コントローラ20がオン状態であるとき、コントローラ20の起動ボタン53が押下されることによって開始される。
【0071】
先ず、図6に示すように、コントローラ20が物理層接続要求信号をBT通信によって装置本体10に送信する(ステップS1)。
【0072】
スタンバイ状態の装置本体10のBT通信モジュール79は、物理層接続要求信号を受信すると、物理層接続要求信号の物理層を認識し、物理層接続処理(初期化処理)を実行し、コントローラ20に物理層接続許可信号を送信する(ステップS2)。これにより、装置本体10とは、コントローラ20との間でBT通信による物理層間の情報の送受信が可能な物理層接続状態となる。
【0073】
また、BT通信モジュール79は、物理層接続要求信号を受信すると、これをシステムコントローラ73に直接送信する。BT通信モジュール79から物理層接続要求信号を受信したシステムコントローラ73は、物理層接続要求信号の物理層を認識し、装置本体10の起動処理を開始する。起動処理では、メインCPU64の起動は、サウスブリッジ54の起動よりも後に行われる。また、メインCPU64の起動では、BTドライバ及びUSBドライバの読み込み及び動作が実行された後、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作が実行される。
【0074】
コントローラ20は、装置本体10から物理層接続許可信号を受信すると、装置本体10は論理層接続要求信号を送信する(ステップS3)。この論理層接続要求信号の送信は、装置本体10から論理層接続許可信号を受信するまで、所定時間毎に繰り返して実行される。
【0075】
起動処理が開始された装置本体10のメインCPU64は、BTドライバの読み込み及び動作が完了した後に、BT通信モジュール79が受信した論理層接続要求信号をメインメモリ65に記憶(キューイング)する(ステップS4)。この処理は、メインCPU64がコントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作を完了する前(メインCPU64が完全に起動する前)であっても実行される。そして、メインCPU64は、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作が完了した後に、メインメモリ65に記憶された論理層接続要求信号を読み出して(デキューして)、論理層(L2CAP102)を認識し、論理層接続処理を実行する(ステップS5)。この論理層接続処理において、メインCPU64は、論理層接続要求信号に含まれるコントローラ20の固有IDをメインメモリ65のBT接続用コントローラID登録テーブルに登録する。論理層接続処理の終了時に、装置本体10は、論理層接続許可信号をコントローラ20に送信する(ステップS6)。すなわち、メインCPU64は、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作が完了したときに、コントローラ20からの新たな論理層接続要求信号の送信を待つことなく、論理層接続処理を開始する。装置本体10からの論理層接続許可信号をコントローラ20が受信することにより、装置本体10は、コントローラ20との間でBT通信による論理層間の情報の送受信及び処理が可能な論理層接続状態となる。なお、メインCPU64によるBTドライバの読み込み及び動作が完了する前にBT通信モジュール79が受信した論理層接続要求信号は、BT通信モジュール79によって破棄される。また、メインCPU64によるBTドライバの読み込み及び動作が完了した後に論理層接続要求信号を複数受信した場合には、受信した全ての論理層接続要求信号をキューイングし、さらにこれらを全てデキューするが、2回目以降にデキューされた重複する論理層接続要求信号は破棄される。
【0076】
また、上記装置本体10の起動処理は、コントローラ20と装置本体10とがUSB接続ケーブル13によって接続されている場合であって、上述したBT通信を介して行われる。このようにBT通信を介して起動処理を行うのは、省電力を図る目的からスタンバイ状態でメインCPU64、サウスブリッジ54及びUSB通信モジュール78を停止しており、USB通信ではコントローラ20からの起動指示信号を受信して処理することができないためである。
【0077】
BT通信による論理層接続の完了後であって装置本体10の起動後(オン状態に移行した後)は、以下の切り替え処理が実行され、BT通信からUSB通信に切り替えられる。
【0078】
切り替え処理では、図7に示すように、まず、装置本体10のメインCPU64が、USB通信による接続準備処理(コントローラ20の固有IDをUSB接続用コントローラID登録テーブルに登録する処理)を実行する(ステップS11)。次に、メインCPU64が、同一のコントローラ20に対してBT通信とUSB通信の双方が可能な状態であることを確認する(ステップS12)。具体的には、同一のコントローラ20の固有IDがBT接続用コントローラID登録テーブルとUSB接続用コントローラID登録テーブルの双方に登録されているか否かを判断する。次に、装置本体10からUSB通信によってコントローラ20に切り替え指示信号を送信する(ステップS13)。次に、メインCPU64がBT接続用コントローラ登録テーブルからそのコントローラ20の固有IDを削除する(ステップS14)。これにより、BT通信による論理層接続が切断される。次に、装置本体10のBT通信モジュール79がBT通信による物理層接続を切断する(ステップS15)。
【0079】
コントローラ20が切り替え指示信号を受信すると(ステップS16)、コントローラ20のCPU81は、キーボード87からの入力操作に関するデータを送信する通信パスを、BT通信モジュール89からUSB通信モジュール88に切り替える(ステップS17)。
【0080】
〔コントローラと装置本体との切断処理の説明〕
装置本体10との間でUSB通信又はBT通信による情報(データ)の送受信が可能であるコントローラ20は、以下の切断処理により、USB通信又はBT通信による情報の送受信が不可能な状態(初期設定状態)にリセットされる。
【0081】
切断処理は、プレイヤーからコントローラ20への切断指示入力によって開始される。具体的には、プレイヤーは、コントローラ20に対して所定の入力操作を行い、モニタ装置100にメニュー画面を表示させ、メニュー内の「コントローラを切断する」という項目を選択して決定する。この決定入力に対応する信号をコントローラ20から装置本体10が受信すると、装置本体10のメインCPU64は、切断処理を開始する。
【0082】
切断処理が開始されると、装置本体10はコントローラ20に切断指示信号をUSB通信又はBT通信によって送信する。
【0083】
切断指示信号を受信したコントローラ20は、装置本体10に切断要求信号をUSB通信又はBT通信によって送信する。
【0084】
切断要求指示信号を受信した装置本体10では、メインCPU64がコントローラ20との対応関係を解除する。具体的には、USB通信の場合は、メインCPU64がUSB接続用コントローラ登録テーブルからそのコントローラ20の固有IDを削除する。これにより、USB通信の論理層接続が切断(解除)される。また、BT通信の場合は、メインCPU64がBT接続用コントローラ登録テーブルからそのコントローラ20の固有IDを削除する。これにより、BT通信の論理層接続が切断(解除)される。さらに、BT通信モジュール79が物理層接続を切断(解除)する。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、コントローラ20からのBT通信による遠隔操作によってスタンバイ状態からオン状態への起動指示を受けた装置本体10では、メインCPU64が、コントローラ接続管理プログラムの読み込み及び動作が完了したときに、コントローラ20からの新たな論理層接続要求信号の送信を待つことなく、メインメモリ65に記憶された論理層接続要求信号を読み出して論理層接続処理を開始するので、コントローラを用いた遠隔操作によって装置本体10に所望の処理を実行させることが可能となる論理層接続が完了するまでの時間を短縮することでき、プレイヤーにとって利便性が良い。
【0086】
また、スタンバイ状態では、システムコントローラ73とBT通信モジュール79とを除く他の構成要素を停止させることができるので、スタンバイ状態における装置本体10の消費電力を抑えることができる。
【0087】
また、スタンバイ状態の装置本体10をコントローラ20からの遠隔操作によってオン状態へ起動させる場合には、装置本体10とコントローラ20とがUSB接続ケーブル13によって接続された状態であっても、上記BT通信による処理を行うことにより装置本体10を起動させるので、スタンバイ状態でサウスブリッジ54及びUSB通信モジュール78を停止させることができる。従って、スタンバイ状態での装置本体10の消費電力を最小限に抑えることができる。
【0088】
さらに、装置本体10との間でUSB通信又はBT通信による情報(データ)の送受信が可能であるコントローラ20を、切断処理によってUSB通信又はBT通信による情報の送受信が不可能な状態(初期設定状態)にリセットすることができる。従って、例えば、1つのコントローラ20が複数の装置本体10との間でBT通信を同時に行ってしまうような環境が成立してしまう場合に、プレイヤーは、操作対象以外の装置本体10との間でBT通信が行われないように、BT接続を適宜切断することができる。
【0089】
なお、上述の実施形態の説明では、本発明を装置本体とそのコントローラに適用することとしたが、これは装置本体とそのコントローラ以外に適用してもよい。
【0090】
最後に、上述の各実施の形態の説明は本発明の一例である。このため、本発明は上述の各実施の形態に限定されることはなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施の形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態のエンタテインメントシステムの概要を示す模式図である。
【図2】コントローラの外部構成を示す模式図である。
【図3】装置本体の内部構成を示すブロック図である。
【図4】コントローラの内部構成を示すブロック図である。
【図5】BT通信に関するソフトウェア・スタックを示す模式図である。
【図6】コントローラからの遠隔操作によるスタンバイ状態の装置本体の起動処理を示すタイムチャートである。
【図7】装置本体の起動後における無線接続から有線接続への切り替え処理を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0092】
10:エンタテインメント装置(装置本体)、20:コントローラ、54:サウスブリッジ(SB)、64:メインCPU、65:メインメモリ、73:システムコントローラ、78:USB通信モジュール、79:BT通信モジュール、81:CPU、88:USB通信モジュール、89:BT通信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから操作される操作端末と、待機状態に設定可能な情報処理装置と、を備えた情報通信システムであって、
前記操作端末は、
前記情報処理装置との間で無線通信によって情報を送受信する端末側無線送受信手段と、
前記待機状態の情報処理装置を起動させるための起動指示入力をユーザから受け付ける入力手段と、
前記入力手段が前記起動指示入力を受けたとき物理層接続要求信号を生成して前記端末側無線送受信手段から送信させるとともに、前記端末側無線送受信手段が前記情報処理装置から物理層接続許可信号を受信したとき、前記操作端末に固有に設定された端末識別情報を含む論理層接続要求信号を生成して前記端末側無線送受信手段が前記情報処理装置から論理層接続許可信号を受信するまで繰り返して前記端末側無線送受信手段から送信させる信号生成手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記操作端末から物理層接続要求信号を受信して前記操作端末との間での無線通信による物理層接続を確立するとともに前記操作端末に物理層接続許可信号を送信する物理層接続処理を実行し、この物理層接続が確立した状態で前記操作端末との間で無線通信によって情報を送受信する装置側無線送受信手段と、
前記情報処理装置が待機状態であり、前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から物理層接続要求信号を受信したとき、前記情報処理装置の起動処理を開始する起動処理手段と、
記憶手段と、
前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から論理層接続要求信号を受信したとき、少なくとも前記論理層接続要求信号に含まれる前記端末識別情報を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶手段から前記端末識別情報を読み出して、前記操作端末との間での無線通信による論理層接続を確立するとともに論理層接続許可信号を生成して前記装置側無線送受信手段から送信させる論理層接続処理を実行する無線論理層接続処理手段と、
前記論理層接続が確立した状態で、前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から受信した情報に応じて所定の情報処理を実行する情報処理実行手段と、を有し、
前記待機状態では、前記情報処理装置のうち前記記憶制御手段と前記無線論理層接続処理手段と前記情報処理実行手段とが停止状態に設定され、且つ前記装置側無線送受信手段と前記起動処理手段とが起動状態に設定され、
前記起動処理では、前記記憶制御手段が前記無線論理層接続処理手段よりも早く起動状態となる
ことを特徴とする情報通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報通信システムであって、
前記操作端末は、有線接続された前記情報処理装置との間で有線通信によって情報を送受信する端末側有線送受信手段を有し、
前記情報処理装置は、有線接続された前記操作端末との間で有線通信によって情報を送受信する装置側有線送受信手段を有し、
前記端末側無線送受信手段は、前記端末側有線送受信手段が前記情報処理装置と有線接続されている場合であっても、前記物理層接続要求信号及び前記論理層接続要求信号を送信し、
前記装置側無線送受信手段は、前記装置側有線送受信手段が前記操作端末と有線接続されている場合であっても、前記物理層接続許可信号及び前記論理層接続許可信号を送信する
ことを特徴とする情報通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報通信システムであって、
前記端末側有線送受信手段は、前記端末側有線送受信手段が前記情報処理装置と有線接続されている場合で、且つ前記端末側無線送受信手段が論理層接続許可信号を受信した後は、前記情報処理装置との間で有線通信によって情報を送受信し、
前記装置側有線送受信手段は、前記装置側有線送受信手段が前記情報処理装置と有線接続されている場合で、且つ前記装置側無線送受信手段が論理層接続許可信号を送信した後は、前記操作端末との間で有線通信によって情報を送受信する
ことを特徴とする情報通信システム。
【請求項4】
ユーザから操作される操作端末との間で無線通信が可能であり、且つ待機状態に設定可能な情報処理装置であって、
前記操作端末から物理層接続要求信号を受信して前記操作端末との間での無線通信による物理層接続を確立するとともに前記操作端末に物理層接続許可信号を送信する物理層接続処理を実行し、この物理層接続が確立した状態で前記操作端末との間で無線通信によって情報を送受信する装置側無線送受信手段と、
前記情報処理装置が待機状態であり、前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から物理層接続要求信号を受信したとき、前記情報処理装置の起動処理を開始する起動処理手段と、
記憶手段と、
前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から論理層接続要求信号を受信したとき、少なくとも前記論理層接続要求信号に含まれる前記端末識別情報を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶手段から前記端末識別情報を読み出して、前記操作端末との間での無線通信による論理層接続を確立するとともに論理層接続許可信号を生成して前記装置側無線送受信手段から送信させる論理層接続処理を実行する無線論理層接続処理手段と、
前記論理層接続が確立した状態で、前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から受信した情報に応じて所定の情報処理を実行する情報処理実行手段と、を有し、
前記待機状態では、前記情報処理装置のうち前記記憶制御手段と前記無線論理層接続処理手段と前記情報処理実行手段とが停止状態に設定され、且つ前記装置側無線送受信手段と前記起動処理手段とが起動状態に設定され、
前記起動処理では、前記記憶制御手段が前記無線論理層接続処理手段よりも早く起動状態となる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
有線接続された前記操作端末との間で有線通信によって情報を送受信する装置側有線送受信手段を有し、
前記装置側無線送受信手段は、前記装置側有線送受信手段が前記操作端末と有線接続されている場合であっても、前記物理層接続要求信号及び前記論理層接続要求信号を受信し、且つ前記物理層接続許可信号及び前記論理層接続許可信号を送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記装置側有線送受信手段は、前記装置側有線送受信手段が前記情報処理装置と有線接続されている場合で、且つ前記装置側無線送受信手段が論理層接続許可信号を送信した後は、前記操作端末との間で有線通信によって情報を送受信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
ユーザから操作される操作端末と待機状態に設定可能な情報処理装置との間で実行され、前記待機状態では前記情報処理装置のうち記憶制御手段と無線論理層接続処理手段と情報処理実行手段とが停止状態に設定され、且つ装置側無線送受信手段と起動処理手段とが起動状態に設定される情報通信方法であって、
前記操作端末の入力手段が前記待機状態の情報処理装置を起動させるための起動指示入力をユーザから受け付けるステップと、
前記入力手段が前記起動指示入力を受けたとき、前記操作端末の信号生成手段が物理層接続要求信号を生成して端末側無線送受信手段から送信させるステップと、
前記情報処理装置の前記装置側無線送受信手段が、前記操作端末から物理層接続要求信号を受信して、前記操作端末との間での無線通信による物理層接続を確立するとともに、前記操作端末に物理層接続許可信号を送信する物理層接続処理を実行するステップと、
前記装置側無線送受信手段が物理層接続要求信号を受信したとき、前記起動処理手段が前記情報処理装置の起動処理を開始するステップと、
前記端末側送受信手段が物理層接続許可信号を受信したとき、前記操作端末の信号生成手段が物理層接続要求信号を生成し、前記端末側無線送受信手段が前記情報処理装置から論理層接続許可信号を受信するまで、生成した物理層接続要求信号を繰り返して前記端末側無線送受信手段から送信させるステップと、
前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から論理層接続要求信号を受信したとき、前記記憶制御手段が、少なくとも前記論理層接続要求信号に含まれる前記端末識別情報を前記情報処理装置の記憶手段に記憶させるステップと、
前記論理層接続処理手段が、前記記憶手段から前記端末識別情報を読み出して、前記操作端末との間での無線通信による論理層接続を確立するとともに論理層接続許可信号を生成して前記装置側無線送受信手段から送信させる論理層接続処理を実行するステップと、
前記端末側無線送受信手段が前記情報処理装置から論理層接続許可信号を受信するステップと、
前記論理層接続が確立した状態で、前記情報処理実行手段が、前記装置側無線送受信手段が前記操作端末から受信した情報に応じて所定の情報処理を実行するステップと、
を備え、
前記起動処理では、前記記憶制御手段が前記無線論理層接続処理手段よりも早く起動状態となる
ことを特徴とする情報通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−124642(P2008−124642A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304218(P2006−304218)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】