説明

情報閲覧システム及び情報閲覧方法

【課題】情報の漏洩を未然に防止し、かつ、出力までの待ち時間を削減することができる情報閲覧システム及び情報閲覧方法の提供。
【解決手段】画像形成装置と、表示部を備える1又は複数の情報閲覧装置と、を含み、前記画像形成装置と前記1又は複数の情報閲覧装置とが通信可能に接続される情報閲覧システムにおいて、前記画像形成装置は、ユーザの認証情報と出力設定情報とが付加されたデータを取得し、前記出力設定情報により前記データに基づく印刷が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、印刷を開始し、前記出力設定情報により前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待たずに、前記データを所定の情報閲覧装置に転送し、前記所定の情報閲覧装置は、転送された前記データを記憶し、前記認証情報の入力を待って、前記表示部に前記データに基づく表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報閲覧装置と画像形成装置とを含む情報閲覧システム及び当該情報閲覧システムにおける情報閲覧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやデジタル複合機などの印刷装置(以下、画像形成装置と呼ぶ。)が普及しており、会社などで広く利用されている。この画像形成装置で印刷を実施する場合、クライアントのコンピュータ装置から印刷を指示すると、直ちに印刷物が出力されるため、機密情報を含む印刷物を出力する場合には、出力された印刷物が放置されて機密情報が漏洩する恐れがある。
【0003】
このような情報漏洩の問題に対して、下記特許文献1では、印刷時にパスワードを設定し、オペレーションパネルでパスワードを入力してはじめて印刷する方法を開示している。また、下記特許文献2では、識別信号が付与された印刷データを端末から受信すると、即座に印刷を開始し、その印刷物を外部からは見えない印刷物内部スタックに一時的にスタックし、ユーザによる識別後に、外部トレイに排出する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−353133号公報
【特許文献2】特開2000−190600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、画像形成装置で認証を行った後に印刷が開始されるため、ユーザは印刷が終了するまで画像形成装置の前で待機しなければならず、時間の無駄が生じると共に、印刷途中に重要な呼び出しを受けた場合など、印刷を中止せざるを得ない場合も生じる。
【0006】
また、特許文献2の方法では、即座に印刷を開始することは可能であるが、印刷物を一時的に保持する機構が必要であり、画像形成装置の構成が複雑になると共に、ユーザが印刷指示後、すぐに画像形成装置に来た場合には、結局、印刷が終了するまで画像形成装置の前で待機しなければならず、時間の無駄が生じる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、情報の漏洩を未然に防止し、かつ、出力までの待ち時間を削減することができる情報閲覧システム及び情報閲覧方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、画像形成装置と、表示部を備える1又は複数の情報閲覧装置と、を含み、前記画像形成装置と前記1又は複数の情報閲覧装置とが通信可能に接続される情報閲覧システムにおいて、前記画像形成装置は、ユーザの認証情報と出力設定情報とが付加されたデータを取得し、前記出力設定情報により前記データに基づく印刷が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、印刷を開始し、前記出力設定情報により前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待たずに、前記データを所定の情報閲覧装置に転送し、前記所定の情報閲覧装置は、転送された前記データを記憶し、前記認証情報の入力を待って、前記表示部に前記データに基づく表示を行うものである。
【0009】
また、本発明は、画像形成装置と、表示部を備える1又は複数の情報閲覧装置と、を含み、前記画像形成装置と前記1又は複数の情報閲覧装置とが通信可能に接続される情報閲覧システムにおいて、前記画像形成装置は、ユーザの認証情報と出力設定情報とが付加されたデータを取得し、前記出力設定情報により前記データに基づく印刷が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、印刷を開始し、前記出力設定情報により前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待たずに、前記データを所定の情報閲覧装置に転送し、前記認証情報の入力を待って、前記所定の情報閲覧装置に前記データに基づく表示を許可するものである。
【0010】
また、本発明は、画像形成装置と、表示部を備える1又は複数の情報閲覧装置と、を含み、前記画像形成装置と前記1又は複数の情報閲覧装置とが通信可能に接続されるシステムにおける情報閲覧方法であって、前記画像形成装置が、ユーザの認証情報と出力設定情報とが付加されたデータを取得する第1ステップと、前記画像形成装置が、前記データから前記出力設定情報を取得し、前記出力設定情報により前記データに基づく印刷が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、印刷を開始し、前記出力設定情報により前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待たずに、前記データを所定の情報閲覧装置に転送する第2ステップと、前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、前記所定の情報閲覧装置の前記表示部に、前記データに基づく表示を行う第3ステップと、を実行するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の情報閲覧システム及び情報閲覧方法によれば、情報の漏洩を未然に防止し、かつ、出力までの待ち時間を削減することができる。
【0012】
その理由は、紙媒体への出力と情報閲覧装置への出力とを選択可能とし、紙媒体に出力する場合には、認証情報の入力を待って印刷を行い、情報閲覧装置に出力する場合には、認証情報の入力を待たずに情報閲覧装置にデータを転送し、認証情報の入力を待って情報閲覧装置で表示を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る情報閲覧システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る情報閲覧装置及び保持装置を画像形成装置に設置した例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る情報閲覧装置及び保持装置を画像形成装置に設置した他の例を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係る情報閲覧装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例に係る保持装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施例に係るコンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施例に係る情報閲覧システムの動作(データの出力動作)を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の一実施例に係る情報閲覧システムの動作(情報閲覧装置でのデータの削除動作)を示すフローチャート図である。
【図10】保持装置に複数の情報閲覧装置が差し込まれている場合におけるデータ転送及びユーザIDの表示例を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施例に係る情報閲覧装置に表示される認証コード入力画面の一例を示す図である。
【図12】セキュアなデータを紙媒体に出力する場合と情報閲覧装置に出力する場合の差異を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術で示したように、従来の紙媒体を使ったセキュアプリントでは、画像形成装置で認証した後に印刷が開始されるため、ユーザは印刷が終了するまで画像形成装置の前で待たなければならない。また、印刷物を一時的にスタックする方法では画像形成装置の構成が複雑になると共に、印刷に時間がかかる場合には、やはり印刷が終了するまで画像形成装置の前で待たなければならない。
【0015】
一方、近年、電子ペーパー等の携帯可能な情報閲覧装置が普及しており、この情報閲覧装置を紙媒体の代わりに利用することができ、情報閲覧装置では、データを表示しなければその内容が知られることがないため、紙媒体に出力する場合とは異なる制御が可能である。
【0016】
そこで、本発明の一実施の形態では、画像形成装置と情報閲覧装置とを備えるシステムにおいて、閲覧するデータを紙媒体として出力するか、情報閲覧装置に出力するかを選択可能にし、紙媒体として出力する場合には、認証情報の入力を待って印刷を開始し、情報閲覧装置に出力する場合には、認証情報の入力を待たずにデータを転送する。そして、情報閲覧装置でデータを閲覧する際に認証情報の入力を求めるようにする。
【0017】
このように、認証情報が入力されてから紙媒体に印刷することにより、印刷物が放置されて機密情報が漏洩するといった不具合を未然に防止することができる、また、認証情報の入力を待たずに情報閲覧装置にデータを転送することにより、出力までの待ち時間を削減すると共に、データを表示する前に認証情報の入力を求めることにより、機密情報の漏洩を未然に防止することができる。
【実施例】
【0018】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る情報閲覧システム及び情報閲覧方法について、図1乃至図12を参照して説明する。図1は、本実施例の情報閲覧システムの構成を模式的に示す図であり、図2及び図3は、情報閲覧装置及び保持装置を画像形成装置に設置した例を示す斜視図、図4乃至図7は、各々、情報閲覧装置、保持装置、画像形成装置、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。また、図8及び図9は、本実施例の情報閲覧システムの動作を示すフローチャート図であり、図10は、保持装置に複数の情報閲覧装置が差し込まれている場合におけるデータ転送及びユーザIDの表示例を示す図である。また、図11は、認証コード入力画面の一例を示す図であり、図12は、セキュアなデータを紙媒体に出力する場合と情報閲覧装置に出力する場合の差異を説明するための図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例の情報閲覧システム10は、閲覧するデータを送信するクライアントのコンピュータ装置50と、コンピュータ装置50から受信したデータを処理(印刷又は転送)する画像形成装置40と、その画像形成装置40に装着される保持装置30と、その保持装置30に挿抜可能に保持される情報閲覧装置20と、により構成される。
【0020】
図2及び図3は、情報閲覧装置20を保持する保持装置30を画像形成装置40に装着した例であり、画像形成装置40の所定の位置に保持装置30が装着され、その保持装置30に情報閲覧装置20が挿入される。以下、各装置について詳細に説明する。
【0021】
[情報閲覧装置]
情報閲覧装置20は、電子ペーパーや電子ブック、薄型のコンピュータ装置などの表示デバイスを備えた装置であり、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、表示部(電子ペーパー)23、表示コントローラ24、操作部(タッチパネル)25、通信部26、電池27、装着検出部28、データ処理部29などを備える。
【0022】
CPU21は、メモリ22から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ22は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成され、CPU21で動作する各種プログラムや情報閲覧装置20の動作を制御するための設定情報、保持装置30から転送されたデータ、ユーザを特定可能な認証情報(認証コードと呼ぶ。)などを記憶する。そして、CPU21とメモリ22とで制御部が構成される。
【0023】
表示部23は、透明な液体の中で浮動する微粒子を電界負荷によって移動させて表示を行う電子ペーパー(EPD:Electrophoretic Display)や液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、表示コントローラ24の指示に従って、保持装置30から転送されたデータや後述する認証コード入力画面などを表示する。
【0024】
操作部25は、ボタンやスイッチ、表示部23上に透明電極が格子状に配置された感圧式のタッチパネルなどである。タッチパネルでは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号としてCPU21に出力する。
【0025】
通信部26は、保持装置30と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、保持装置30との通信を確立する。
【0026】
電池27は、保持装置30の情報閲覧装置充電部34から供給される電力によって充電され、情報閲覧装置20の各部を駆動するための電力を供給する。
【0027】
装着検出部28は、保持装置30からの情報閲覧装置20の挿抜を検出する。検出の方法は特に限定されず、例えば、電池27と保持装置30の情報閲覧装置充電部34とが接続されたか否かで装着を検出したり、情報閲覧装置20に設けた電極と保持装置30に設けた電極とが電気的に接続されたか否かで装着を検出したり、情報閲覧装置20の底部に自重によってON/OFFする電気接点を設け、この電気接点のON/OFFによって装着を検出したりすることができる。
【0028】
データ処理部29は、必要に応じて、保持装置30を介して画像形成装置40から取得したデータを表示に適したデータに変換する。
【0029】
なお、図4では、表示コントローラ24や装着検出部28、データ処理部29をハードウェアとして構成しているが、これらは、制御部(CPU21)により実行されるプログラムとして構成してもよい。
【0030】
[保持装置]
保持装置30は、情報閲覧装置20を保持する機構と、情報閲覧装置20及び画像形成装置40とデータ通信を行う機能と、必要に応じて、情報閲覧装置20の電池27を充電する機能とを備えた装置であり、画像形成装置40の本体や付属品(例えば、本体と分離した給紙部や後処理部など)に固定される。
【0031】
この保持装置30は、情報閲覧装置20を挿抜可能な構造を有している。例えば、1枚の情報閲覧装置20を保持する保持装置30は、図2に示すような枠部材で形成されており、この枠部材には、情報閲覧装置20を装着した状態で情報閲覧装置20の表示部23の一部又は全部を当該表示部23に正対する方向(当該表示部23の表示面に直交する方向)から視認可能にするための開口部が設けられている。上記保持装置30の形状は図2に限定されず、例えば、情報閲覧装置20の下部のみを保持する構造としてもよいし、直方体の構造体にスロットを備えた構造としてもよい。また、開口部は、情報閲覧装置20の表示部23の形状に応じて変更可能であり、開口部に情報閲覧装置20の表示部23を保護するための透明保護材(ガラスやプラスティックなど)を嵌め込んでもよい。
【0032】
また、複数の情報閲覧装置20を保持する保持装置30は、図3に示すように、直方体の構造体に複数のスロットを備えており、各々のスロットは、情報閲覧装置20を装着した状態で情報閲覧装置20の表示部23の一部又は全部が当該表示部23に正対する方向から視認可能な深さに設定されている。上記保持装置30の形状は図3に限定されず、図2と同様の枠部材を複数重ね合わせた構造としてもよいし、複数の情報閲覧装置20を段違いや斜めに保持する構造としてもよい。また、図3では、複数の情報閲覧装置20を同じ形状としたが、情報閲覧装置20の形状は異なっていてもよく、異なる形状の情報閲覧装置20を保持できるようにスロットの形状を変更できるようにしてもよい。
【0033】
また、上記保持装置30は、図5に示すように、CPU31、メモリ32、情報閲覧装置用通信部33、情報閲覧装置充電部34、情報閲覧装置検出部35、視認可能表示エリア設定部36、画像形成装置用通信部37、電源38などを備える。
【0034】
CPU31は、メモリ32から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ32は、ROMやRAMなどで構成され、CPU31で動作する各種プログラムや保持装置30の動作を制御するための設定情報、情報閲覧装置20に表示させるデータなどを記憶する。そして、CPU31とメモリ32とで制御部が構成される。
【0035】
情報閲覧装置用通信部33は、1又は複数の情報閲覧装置20と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、各々の情報閲覧装置20との通信を確立する。
【0036】
情報閲覧装置充電部34は、電源39の電力を1又は複数の情報閲覧装置20の電池27に供給し、電池27を充電する。
【0037】
情報閲覧装置検出部35は、情報閲覧装置20の装着を検出すると共に、複数の情報閲覧装置20が装着された場合に、ユーザが正対する方向から視認可能な情報閲覧装置20、例えば、最前面に装着された情報閲覧装置20を特定する。情報閲覧装置20の装着や位置を検出する方法は特に限定されず、例えば、情報閲覧装置充電部35と情報閲覧装置20の電池27とが接続されたか否かで装着や位置を検出したり、保持装置30の各スロットに設けた電極と情報閲覧装置20に設けた電極とが電気的に接続されたか否かで装着や位置を検出したり、保持装置30の各スロットの底部に情報閲覧装置20の自重によってON/OFFする電気接点を設け、この電気接点のON/OFFによって装着や位置を検出したりすることができる。
【0038】
視認可能表示エリア設定部36は、保持装置30及び情報閲覧装置20の構造に基づいて、保持装置30から露出している情報閲覧装置20の表示部23の領域を設定する。例えば、図2の構造の場合は、保持装置30の枠部材で遮られない領域を設定し、図3の構造の場合は、保持装置30のスロットに隠れない領域を設定する。また、図10(b)のように、複数の情報閲覧装置20を段違いに保持する場合は、手前の情報閲覧装置越しに視認可能な領域を設定する。
【0039】
画像形成装置用通信部37は、画像形成装置40と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、画像形成装置40との通信を確立する。
【0040】
電源38は、保持装置30の各部を駆動するための電力を供給する。
【0041】
なお、図5では、情報閲覧装置検出部35、視認可能表示エリア設定部36をハードウェアとして構成しているが、これらは、制御部(CPU31)により実行されるプログラムとして構成してもよい。
【0042】
[画像形成装置]
画像形成装置40は、図6に示すように、CPU41、メモリ42、保持装置用通信部43、データ処理部44、表示コントローラ45、表示・操作部46、外部機器用通信部47、画像読取部48、画像形成部49などを備える。
【0043】
CPU41は、メモリ42から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ42は、ROMやRAMなどで構成され、CPU41で動作する各種プログラムや画像形成装置40の動作を制御するための設定情報、ユーザを特定可能な認証情報(認証コード)などを記憶する。そして、CPU41とメモリ42とで制御部が構成される。
【0044】
保持装置用通信部43は、保持装置30と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、保持装置30との通信を確立する。
【0045】
データ処理部44は、コンピュータ装置50から受信したデータを解析し、出力条件等の設定情報を抽出すると共に、上記データをラスタライズして印刷可能なビットマップデータを作成し、このビットマップデータに色変換、濃度調整等の画像処理を施す。また、必要に応じて、コンピュータ装置50から受信したデータを、情報閲覧装置20での表示に適したデータに変換する。
【0046】
表示・操作部46は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画面上に透明電極が格子状に配置された感圧式のタッチパネルであり、表示コントローラ45の指示に従って各種画面を表示すると共に、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号としてCPU41に出力する。
【0047】
外部機器用通信部47は、コンピュータ装置50と接続するためのインターフェースであり、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、有線通信や無線通信などを利用して、コンピュータ装置50との通信を確立する。
【0048】
画像読取部48は、原稿台上の原稿用紙から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0049】
画像形成部49は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成のために必要な要素、すなわち、帯電装置、感光体ドラム、露光装置、転写ローラ、転写ベルト、定着装置などで構成される。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置からビットマップデータに応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を一次転写ローラ、二次転写ベルトを介して紙媒体に転写して定着装置で定着させる処理を行う。
【0050】
なお、画像形成装置40は、少なくとも、保持装置30及びコンピュータ装置50とデータ通信を行う機能と、保持装置30を設置可能なスペースとを備えていればよく、画像読取部48等は省略可能であり、後処理部やFAX通信部などを含んでいてもよい。
【0051】
[コンピュータ装置]
コンピュータ装置50は、図7に示すように、CPU51、メモリ52、通信部53、表示コントローラ54、表示部55、操作部56などを備える。
【0052】
CPU51は、メモリ52から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ52は、ROMやRAMなどで構成され、CPU51で動作する各種プログラムやコンピュータ装置50の動作を制御するための設定情報などを記憶する。そして、CPU51とメモリ52とで制御部が構成され、制御部は、PS(Post Script)やPCL(Printer Control Language)等のページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータ、PDF(Portable Document Format)データなどを作成して画像形成装置30に送信するプリンタドライバとしても機能する。
【0053】
通信部53は、画像形成装置40と接続するためのインターフェースであり、NICやモデムなどで構成され、有線通信や無線通信などを利用して、画像形成装置40との通信を確立する。
【0054】
表示部55は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、表示コントローラ54の指示に従って、閲覧するデータを作成するためのアプリケーション画面、出力条件や認証コード等を設定するためのプリンタドライバの設定画面などを表示する。
【0055】
操作部56は、キーボードやマウスなどで構成され、データの作成、出力条件や認証コードの設定などの各種操作を可能とする。
【0056】
なお、図1乃至図7は本実施例の情報閲覧システム10の一例であり、閲覧するデータを紙媒体として出力するか、情報閲覧装置20に出力するかが選択可能な構成であればよい。例えば、画像形成装置40の画像読取部48で読み取ったデータを出力する場合はコンピュータ装置50を省略することができる。
【0057】
以下、上記構成の情報閲覧システム10の動作について説明する。
【0058】
まず、情報閲覧装置20又は画像形成装置40にセキュアなデータを出力する手順について、図8のフローチャート図を参照して説明する。
【0059】
ユーザは、コンピュータ装置50を操作して、閲覧するデータを作成、若しくは、予めメモリ52等の保存したデータを選択する(S101)。そして、アプリケーション画面から印刷を指示すると、プリンタドライバが起動し、設定画面が表示される。この設定画面で、データを紙媒体として出力するか、情報閲覧装置20に出力するかなどの出力条件を設定すると共に、認証コードを設定する(S102)。そして、設定画面で出力開始を指示すると、プリンタドライバは設定情報と認証コードとユーザの識別情報(ユーザIDやユーザ名など)をヘッダ等に記述したデータ(PDLで記述されたデータやPDFデータなど)を作成し、そのデータを画像形成装置40に送信する(S103)。
【0060】
なお、ここでは印刷と表示に共用できるデータを送信する構成としているが、印刷用のデータ(例えば、アプリケーションで作成したデータをPDLに変換したデータ)と表示用のデータ(アプリケーションで作成したデータ)の2種類のデータを送信する構成としてもよい。
【0061】
画像形成装置40の制御部は、データを受信すると、データを解析してヘッダ等から設定情報を取得し、紙媒体としての出力か、情報閲覧装置20への出力かを判断する(S104)。
【0062】
情報閲覧装置20への出力の場合(S104のYES)、画像形成装置40の制御部は、保持装置30にデータを転送する(S105)。このとき、情報閲覧装置20でユーザ認証を行う場合は、データに認証コードを付加して転送し、情報閲覧装置20の表示部23にユーザの識別情報を表示する場合は、データにユーザIDやユーザ名などを付加して転送する。そして、保持装置30の制御部は、受信したデータを所定の情報閲覧装置20に転送する(S106)。
【0063】
なお、画像形成装置40は、コンピュータ装置50から受信したデータをそのまま保持装置30に転送してもよいし、データ処理部44で表示に適したデータに変換してから転送してもよい。
【0064】
データを受け取った情報閲覧装置20の制御部は、必要に応じて、表示部23にユーザの識別情報(ここではユーザIDとする。)を表示する(S107)。
【0065】
ここで、データの転送先の情報閲覧装置20は特に限定されないが、例えば、複数の情報閲覧装置20が図10(a)のように保持装置30に差し込まれる場合は、表示部23に正対する方向から見て、最前面の情報閲覧装置20しか表示部23が見えないため、最前面の情報閲覧装置20にデータを転送することが好ましい。
【0066】
また、スロットの深さが徐々に変化する保持装置30を利用する場合、図10(b)に示すように、複数の情報閲覧装置20は段違いになり、最前面以外の情報閲覧装置20の表示部23も一部が視認可能であるため、保持装置30の視認可能表示エリア設定部36は視認可能表示エリアを設定し、情報表示装置20の制御部は、設定された視認可能表示エリアにユーザIDを表示することができる。
【0067】
なお、図10(a)の形態で最前面以外の情報閲覧装置20にデータを転送した場合、情報閲覧装置20の表示部23にユーザIDを表示することができない。そのような場合には、例えば、画像形成装置40の表示・操作部46にスロットとユーザIDとを対応付ける情報を表示してもよい。また、保持装置30に表示部を設け、その表示部にスロットとユーザIDとを対応付ける情報を表示したり、各スロットに対応する位置にランプ等を配置して、データを転送した情報閲覧装置20に対応するランプを点灯させることもできる。
【0068】
そして、ユーザが、保持装置30から自身のユーザIDが表示されている情報閲覧装置20を取り出すと(S108)、情報閲覧装置20の制御部は、表示部23に、例えば、図11に示すような認証コード入力画面を表示する(S109)。この認証コード入力画面には、ソフトウェアキーボードなどが表示されており、ユーザは、所定の文字や数字をタッチして認証コードを入力する(S110)。
【0069】
次に、情報閲覧装置20の制御部は、入力された認証コードとメモリ22などに予め記憶した認証コードとを比較し(S111)、認証コードが一致した場合は、情報閲覧装置20の表示部23にデータを表示する(S112)。一方、認証コードが一致しない場合は、情報閲覧装置20の表示部23に認証コードエラーを表示し(S113)、処理を終了する。
【0070】
なお、上記フローでは、取り出した情報閲覧装置20に認証コード入力画面を表示して認証を行ったが、画像形成装置40の表示・操作部46に認証コード入力画面を表示し、画像形成装置40の制御部で認証を行い、認証結果を情報閲覧装置20に通知してデータの表示を許可する構成としてもよい。
【0071】
また、紙媒体に出力する場合(S104のNO)は、従来通りのセキュアプリントが実施され、ユーザは、画像形成装置40の表示・操作部46を操作して、自分の指定ジョブを選択し、認証コードを入力する(S114)。
【0072】
次に、画像形成装置40の制御部は、入力された認証コードとメモリ42などに予め記憶した認証コードとを比較し(S115)、認証コードが一致した場合は、指定ジョブの印刷を実行する(S116)。一方、認証コードが一致しない場合は、画像形成装置40の表示・操作部46に認証コードエラーを表示し(S117)、処理を終了する。
【0073】
上記フローを模式的に示すと、図12のようになり、紙媒体に出力する場合は、ユーザはコンピュータ装置50で閲覧するデータを作成/選択し、認証コードを設定して出力指示を出す。その後、ユーザが画像形成装置40に移動してパネル上で認証コードを入力すると、画像形成装置40は、認証コードに基づいて認証を行い、ユーザが認証されたら印刷を実行する。すなわち、ユーザが画像形成装置40で認証コードを入力しないと印刷が実行されないため、ユーザは画像形成装置40の前でプリントが完了するまで待機しなければならない。
【0074】
一方、情報閲覧装置20に出力する場合は、ユーザがコンピュータ装置50で閲覧するデータを作成/選択し、認証コードを入力して出力指示を出すと、画像形成装置40は受信したデータを保持装置30を経由して情報閲覧装置20に転送するため、ユーザは画像形成装置40に移動して、直ちに情報閲覧装置20を取り出すことができる。すなわち、ユーザが認証コードを入力しなくても情報閲覧装置20にはデータが転送されるため、ユーザは画像形成装置40の前で待たされることがない。
【0075】
次に、情報閲覧装置20内のデータを削除する時の動作について、図9のフローチャート図を参照して説明する。
【0076】
まず、情報閲覧装置20の制御部は、認証コードの入力を確認する(S201)。認証コードが入力されていなければ、タイムアウト用のカウンタをデクリメントする(S202)。その後、カウンタが0より大きければ(S203のYES)、S201に戻る。一方、カウンタが0以下の場合は(S203のNO)、情報閲覧装置20に書き込まれたデータを削除する(S204)。
【0077】
認証コードが入力された場合は、情報閲覧装置20の制御部は、その認証コードが正しいかを判断する(S205)。誤った認証コードが入力された場合は、認証エラーを表示部23に表示した後(S206)、情報閲覧装置20に書き込まれたデータを削除し(S204)、正しい認証コードが入力された場合は、データ削除は行わずに処理を終了する。
【0078】
このように、認証コード入力画面を表示後、所定時間内に認証コードを入力しなかった場合に書き込んだデータを削除したり、正しい認証コードを入力しなかった場合に書き込んだデータを削除したりすることにより、認証コードの入力を待たずに情報閲覧装置20にデータを転送することによるセキュリティの低下を防止することができる。
【0079】
上記フローでは、情報閲覧装置20が保持装置30から取り出された後の制御について記載したが、情報閲覧装置20が保持装置30に差し込まれた状態でデータを削除することも可能である。この場合は、画像形成装置40の制御部が認証コードの入力やカウンタ値を確認し、タイムアウト時や誤った認証コードが入力された場合などに、情報閲覧装置20にデータの削除を指示する構成とすればよい。
【0080】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。例えば、上記実施例では、情報閲覧装置20が保持装置30に保持される構成としたが、情報閲覧装置20は画像形成装置40に直接(すなわち、保持装置30を介さずに)、接続されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、電子ペーパー等の情報閲覧装置と画像形成装置とを含むシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 情報閲覧システム
20 情報閲覧装置
21 CPU
22 メモリ
23 表示部
24 表示コントローラ
25 操作部
26 通信部
27 電池
28 装着検出部
29 データ処理部
30 保持装置
31 CPU
32 メモリ
33 情報閲覧装置用通信部
34 情報閲覧装置充電部
35 情報閲覧装置検出部
36 視認可能表示エリア設定部
37 画像形成装置用通信部
38 電源
40 画像形成装置
41 CPU
42 メモリ
43 保持装置用通信部
44 データ処理部
45 表示コントローラ
46 表示部
47 外部機器通信部
48 画像読取部
49 画像形成部
50 コンピュータ装置
51 CPU
52 メモリ
53 通信部
54 表示コントローラ
55 表示部
56 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、表示部を備える1又は複数の情報閲覧装置と、を含み、前記画像形成装置と前記1又は複数の情報閲覧装置とが通信可能に接続される情報閲覧システムにおいて、
前記画像形成装置は、
ユーザの認証情報と出力設定情報とが付加されたデータを取得し、
前記出力設定情報により前記データに基づく印刷が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、印刷を開始し、
前記出力設定情報により前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待たずに、前記データを所定の情報閲覧装置に転送し、
前記所定の情報閲覧装置は、
転送された前記データを記憶し、前記認証情報の入力を待って、前記表示部に前記データに基づく表示を行う、ことを特徴とする情報閲覧システム。
【請求項2】
前記情報閲覧装置は、所定期間内に前記認証情報が入力されなかった場合、又は、前記データに付加された前記認証情報とは異なる情報が入力された場合は、記憶した前記データを削除する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報閲覧システム。
【請求項3】
画像形成装置と、表示部を備える1又は複数の情報閲覧装置と、を含み、前記画像形成装置と前記1又は複数の情報閲覧装置とが通信可能に接続される情報閲覧システムにおいて、
前記画像形成装置は、
ユーザの認証情報と出力設定情報とが付加されたデータを取得し、
前記出力設定情報により前記データに基づく印刷が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、印刷を開始し、
前記出力設定情報により前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待たずに、前記データを所定の情報閲覧装置に転送し、前記認証情報の入力を待って、前記所定の情報閲覧装置に前記データに基づく表示を許可する、ことを特徴とする情報閲覧システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は、所定期間内に前記認証情報が入力されなかった場合、又は、前記データに付加された前記認証情報とは異なる情報が入力された場合は、前記情報閲覧装置に、転送した前記データの削除を指示する、ことを特徴とする請求項3に記載の情報閲覧システム。
【請求項5】
前記1又は複数の情報閲覧装置は、前記画像形成装置と通信可能な保持装置に挿抜可能に保持される、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報閲覧システム。
【請求項6】
画像形成装置と、表示部を備える1又は複数の情報閲覧装置と、を含み、前記画像形成装置と前記1又は複数の情報閲覧装置とが通信可能に接続されるシステムにおける情報閲覧方法であって、
前記画像形成装置が、ユーザの認証情報と出力設定情報とが付加されたデータを取得する第1ステップと、
前記画像形成装置が、前記データから前記出力設定情報を取得し、前記出力設定情報により前記データに基づく印刷が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、印刷を開始し、前記出力設定情報により前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待たずに、前記データを所定の情報閲覧装置に転送する第2ステップと、
前記データに基づく表示が指示された場合は、前記認証情報の入力を待って、前記所定の情報閲覧装置の前記表示部に、前記データに基づく表示を行う第3ステップと、を実行することを特徴とする情報閲覧方法。
【請求項7】
前記第3ステップで、所定期間内に前記認証情報が入力されなかった場合、又は、前記データに付加された前記認証情報とは異なる情報が入力された場合は、前記所定の情報閲覧装置に転送した前記データを削除する、ことを特徴とする請求項6に記載の情報閲覧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−198045(P2011−198045A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64208(P2010−64208)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】