説明

感光体ユニットおよび画像形成装置

【課題】感光ドラムを安定して回転させることができる、感光体ユニットおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】右軸受部材51および左軸受部材52は、筒状部53,81および突出部60,85を備えている。感光ドラム5のフランジ部材46が筒状部53,81に遊嵌され、フランジ部材46と突出部60,85とが接触することにより、感光ドラム5が径方向内方に向けて押圧される。また、突出部60,85がコイルばね71により付勢されているので、感光ドラム5の突出部60,85に対する相対回転により突出部60,85が摩耗しても、突出部60,85をフランジ部材46に対して常に適切な付勢力を付与しつつ十分に当接させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を備える感光体ユニット、および感光体ユニットが装着される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のレーザプリンタとして、感光体を備える感光体ユニットが、画像形成装置の装置本体に装着される構成が知られている。
【0003】
このような感光体ユニットとして、感光体の軸線方向両端部にフランジ部材が設けられ、感光体ユニットのフレームに対して、軸受部材を介して各フランジ部材が相対回転可能に保持されることにより、感光体をフレームに対して相対回転可能に保持する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記の提案に係る軸受部材は、フランジ部材を保持する円筒状部を備えている。円筒状部の内周面には、その径方向内側に突出する突出部が形成されている。円筒状部に保持されたフランジ部材に突出部が当接することにより、感光体の安定した回転が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−64884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の提案に係る構成では、フランジ部材が突出部に対して、常に当接した状態において相対回転するので、突出部とフランジ部材との間に摩擦が生じ、突出部が摩耗するという不具合がある。
【0007】
突出部が摩耗するに従って、突出部の突出量が小さくなり、突出部がフランジ部材に対して十分に当接しなくなるおそれがある。突出部のフランジ部材に対する当接が十分でないと、感光体を安定して回転させることができなくなる。
【0008】
本発明の目的は、長期にわたって感光ドラムを安定して回転させることができる、感光体ユニットおよび画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記した目的を達成するために、本発明に係る感光体ユニットは、感光体と、貫通穴が形成されたフレームと、軸受部材とを備える。
【0010】
軸受部材は、感光体の軸線方向の端部を回転可能に支持する。また、軸受部材は、筒状部と突出部とを備えている。筒状部は、軸線方向に厚みを有し、貫通穴に内嵌されるとともに感光体の軸線方向の端部を遊嵌する。また、突出部は、感光体の径方向内方に向けて突出している。
【0011】
また、感光体ユニットは、付勢部材を備えている。付勢部材により、突出部がフレームに向けて付勢される。
【0012】
感光体の軸線方向の端部が筒状部に遊嵌され、筒状部において突出部が感光体の径方向内方に向けて突出しているので、突出部により、感光体が径方向内方に向けて押圧される。
【0013】
これにより、感光体の軸線方向の端部が筒状部の内周面および突出部に接触して位置決めされる。
【0014】
また、突出部が付勢部材により付勢されているので、感光体の突出部に対する相対回転により突出部が摩耗しても、突出部を感光体の軸線方向の端部に対して常に適切な付勢力を付与しつつ十分に当接させることができる。その結果、感光体の軸受部材に対する位置決め状態を維持することができるので、長期にわたって感光体を安定して回転させることができる。
(2)また、付勢部材は、軸受部材に保持されていてもよい。
【0015】
これにより、付勢部材による付勢力およびその反力の両方が軸受部材に加わるので、感光体の軸受部材に対する精度の良い位置決めを達成することができる。
(3)また、付勢部材は、突出部を付勢する付勢部と、付勢部に付勢力を付与するためのコイル部とを備えるねじりコイルばねであってもよい。
【0016】
これにより、付勢部材は、簡素な構成で突出部を長期にわたって付勢することができる。
(4)また、軸受部材は、コイル部を保持する保持部を備えていてもよい。
【0017】
これにより、コイル部が保持部によって保持されるので、付勢部材の感光体に対する安定した付勢を達成することができる。
(5)また、筒状部には、軸線方向内側端縁から軸線方向外側に向けて延びるスリットが、周方向に間隔を隔てて複数形成されていてもよい。この場合、突出部は、筒状部における互いに隣接するスリット間に挟まれた部分において、その軸線方向内側端縁の内周面に設けられている。
【0018】
これにより、突出部が感光体に当接すると、互いに隣接するスリット間に挟まれた部分が弾性変形する。そして、その変形を復元するための復元力により、突出部が感光体を押圧する。よって、簡素な構成で突出部により感光体を押圧することができる。
(6)また、感光体は、軸線方向の一方側に感光体を駆動するための駆動力が入力される駆動入力部を備えていてもよい。この場合、付勢部材は、軸線方向の他方側に設けられる。
【0019】
駆動入力部に駆動力が入力されると、その駆動入力部から距離が遠い側ほど回転ブレを生じやすい。しかし、駆動入力部と反対側に付勢部材が設けられているので、感光体の回転ブレを抑制することができる。
(7)また、本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、装置本体内に着脱可能に設けられる上記の感光体ユニットとを備える。
(8)この場合、装置本体内には、感光体を装置本体に対して位置決めするための位置決め部が設けられていてもよい。この場合、付勢部材は、突出部を位置決め部に向けて付勢する。
【0020】
これにより、感光体を装置本体に対して精度よく位置決めすることができるので、感光体により良好な画像形成を達成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る感光体ユニットおよび画像形成装置によれば、感光体を安定して回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るカラープリンタの側断面図である。
【図2】図2は、ドラムユニットの右前側上方から見た斜視図であり、1つの現像カートリッジが装着され、その他の現像カートリッジが離脱された状態を示す。
【図3】図3(a)は、左側の内側板の右前側上方から見た斜視図であり、図3(b)は、(a)に示す内側板の部分側面図である。
【図4】図4は、1つの感光ドラムが左右の内側板間に装着された状態を右前側上方から見た斜視図である。
【図5】図5は、感光ドラム、フランジ部材、軸受部材および内側板の位置関係を説明するための断面図である。
【図6】図6(a)は、右軸受部材を左側から見た斜視図であり、図6(b)は、右軸受部材を右側から見た斜視図である。
【図7】図7(a)は、左軸受部材を右側から見た斜視図であり、図7(b)は、左軸受部材を左側から見た斜視図である。
【図8】図8は、内側板に感光ドラムおよび軸受部材が装着された状態を示す部分側面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の第2実施形態に係る感光体カートリッジを備えるプロセスカートリッジ(水平に載置した状態)の側面図、図9(b)は、本発明の第2実施形態に係る感光体カートリッジを備えるプロセスカートリッジ(本体ケーシング2に装着された状態)の側面図である。
【図10】図10は、図9(a)に示す感光体カートリッジ(上壁を取り外した状態)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の第1実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
1.カラープリンタの全体構成
画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。カラープリンタ1の本体ケーシング2内には、感光体ユニットの一例としてのドラムユニット3が着脱可能に設けられている。このドラムユニット3は、本体ケーシング2の前面に設けられたフロントカバー4の開放により、本体ケーシング2に対して着脱される。
【0024】
なお、以下の説明において、フロントカバー4が設けられる側(図1における左側)を前側(正面側)とし、その反対側(図1における右側)を後側(背面側)とする。また、カラープリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
【0025】
ドラムユニット3には、4つの感光体の一例としての感光ドラム5が備えられている。4つの感光ドラム5は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して、前側から後側に向かって順次間隔を隔てて並列配置されている。
【0026】
また、ドラムユニット3には、各感光ドラム5に対応して、スコロトロン型帯電器6と、現像カートリッジ7とが備えられている。現像カートリッジ7は、感光ドラム5にトナー(現像剤)を供給するための現像ローラ8を備えている。各現像カートリッジ7は、ドラムユニット3に対して着脱可能に装着されている。
【0027】
ドラムユニット3の上方には、各色に対応した4本のレーザビームを出射する露光器9が配置されている。
【0028】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、スコロトロン型帯電器6からの放電によって一様に帯電された後、露光器9からのレーザビームにより選択的に露光され、静電潜像が形成される。静電潜像が現像ローラ8に対向すると、現像ローラ8から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。
【0029】
なお、露光器9に代えて、4つのLEDアレイが各感光ドラム5に対応して設けられてもよい。
【0030】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット10が配置されている。給紙カセット10に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト11上に搬送される。搬送ベルト11は、4つの感光ドラム5に下方から対向して配置されている。感光ドラム5に対して搬送ベルト11の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ12が配置されている。搬送ベルト11上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト11の走行により、搬送ベルト11と各感光ドラム5との間を順次に通過する。そして、感光ドラム5の表面上のトナー像は、用紙Pと対向したときに、転写ローラ12に印加された転写バイアスによって、用紙Pに転写される。
【0031】
搬送ベルト11に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器13が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器13に搬送される。定着器13では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ14に排出される。
2.ドラムユニット
図1および図2に示すように、ドラムユニット3は、4つの感光ドラム5、4つの現像カートリッジ7、4つのドラムサブユニット20、フロントビーム21、リヤビーム22、左右方向に間隔を隔てて配置されるフレームの一例としての1対の内側板23(図3(a)参照)、および、各内側板23に対して左右方向の外側に配置される1対の外側板24を備えている。そして、ドラムユニット3は、これらの各部材が一体となって、本体ケーシング2内に対してスライド自在に着脱される。
【0032】
なお、図2では、1つの現像カートリッジ7のみがドラムユニット3に装着され、その他の現像カートリッジ7がドラムユニット3から離脱された状態を示す。
(1)ドラムサブユニット
4つのドラムサブユニット20は、1対の内側板23間において、前後方向に間隔を隔てて配置されている。各ドラムサブユニット20は、樹脂から形成され、左右方向に細長く、前側下方に開放された略三角柱状に成形されている。各ドラムサブユニット20には、図1に示すスコロトロン型帯電器6と、感光ドラム5の表面のクリーニングのためのクリーニング部材(図示せず)が保持されている。
(2)フロントビーム
フロントビーム21は、樹脂から形成され、1対の内側板23の前端部間に架設されている。
【0033】
フロントビーム21の前面における左右方向中央部には、手前側把持部26が一体的に形成されている。手前側把持部26は、平面視略U字状をなし、その各遊端部がフロントビーム21に連結されている。
(3)リヤビーム
リヤビーム22は、樹脂から形成され、1対の内側板23の後端部間に架設されている。
【0034】
リヤビーム22の上面における左右方向中央部には、奥側把持部27が一体的に形成されている。奥側把持部27は、背面視略U字状をなし、その各遊端部がリヤビーム22に連結され、後側下方から前側上方に傾斜して、リヤビーム22から斜め上方に突出するように設けられている。
(4)内側板
両内側板23は、同一のプレス型を用いた金属板のプレス加工により作製され、同一の形状を有している。
【0035】
図3(a)に示すように、内側板23は、前後方向に延びる略細長矩形板状に形成されている。内側板23の前端部および後端部は、それぞれフロントビーム21およびリヤビーム22に対して左右方向において対向している。
【0036】
内側板23の前端部は、前側上方に向けて延びている。
【0037】
内側板23の後端部は、側面視略L字状に形成されている。内側板23の後端部には、その後端縁から略V字状に切り欠いた形状の切欠部29が形成されている。切欠部29は、ドラムユニット3が本体ケーシング2に対して装着された状態で、本体ケーシング2内における後側に左右方向にわたって架設された本体基準軸34を受け入れて、その本体基準軸34に上方および前方から当接する(図1参照)。
【0038】
内側板23には、4つの貫通穴の一例としてのドラム保持孔32が前後方向に一定間隔を隔てて形成されている。
【0039】
図3(b)に示すように、ドラム保持孔32の内面は、4つの直線部40と、4つの湾曲部41とを有している。
【0040】
4つの直線部40は、上下方向に延び、前後方向に互いに対向する2つの縦直線部43と、前後方向に延び、上下方向に互いに対向する2つの横直線部44とからなる。後側の縦直線部43は、後述する感光ドラム5のフランジ部材46を位置決めするための第1平面部とされる。また、下側の横直線部44は、後述する感光ドラム5のフランジ部材46を位置決めするための第2平面部とされる。
【0041】
4つの湾曲部41は、互いに隣接する2つの直線部40を連結し、ドラム保持孔32の径方向外側に向けて膨出した湾曲形状に形成されている。これにより、ドラム保持孔32は、側面視において、各頂点が丸みを帯びた略四角形状に形成されている。
(5)外側板
1対の外側板24は、たとえば、繊維強化樹脂からなる。図2に示すように、各外側板24は、内側板23と比較して、上下方向に幅広かつ前後方向にほぼ同じ長さを有する側面視略細長矩形板状に形成されている。各外側板24の前端部および後端部は、それぞれフロントビーム21およびリヤビーム22に対して左右方向において対向している。
【0042】
外側板24の後端部には、内側板23の切欠部29(図3参照)と左右方向に対向する位置に、切欠部29とほぼ同じ形状の切欠部33が形成されている。切欠部33は、ドラムユニット3が本体ケーシング2に対して装着された状態で、本体基準軸34に干渉しないように形成されている。
(6)感光ドラム
感光ドラム5は、図4に示すように、その軸線方向が左右方向に沿って配置され、円筒状のドラム本体45と、ドラム本体45の両端部にそれぞれ相対回転不能に嵌合される2つのフランジ部材46とを備えている。
【0043】
ドラム本体45は、その最表層が正帯電性の感光層から形成されている。
【0044】
フランジ部材46は、樹脂から形成され、ドラム本体45の両端部に、その一部が挿入されている。また、図5に示すように、左側のフランジ部材46の左側端面には、本体ケーシング2内に設けられた後述する駆動伝達部35(図2参照)が結合される駆動入力部の一例としての結合溝36が設けられている。これにより、図1に示すように、ドラムユニット3が本体ケーシング2内に装着された状態で、感光ドラム5に駆動伝達部35からの駆動力が伝達され、感光ドラム5を回転駆動させる。また、フランジ部材46は、各内側板23に形成されたドラム保持孔32よりも小さい外径を有している。
【0045】
右側のフランジ部材46は、軸受部材の一例としての右軸受部材51を介して、右側の内側板23に回転可能に支持されている。また、左側のフランジ部材46は、軸受部材の一例としての左軸受部材52を介して、左側の内側板23に回転可能に支持されている。
(7)軸受部材
(7−1)右軸受部材
右軸受部材51は、樹脂から形成され、図6に示すように、軸線方向に厚みを有する円筒状に形成された筒状部53と、筒状部53の空洞部分内に形成され、筒状部53と同心円筒状をなすシャフト保持部54と、筒状部53の外周面において、筒状部53の軸線方向途中部から筒状部53の径方向外方へ広がる円環板状の鍔部55と、鍔部55に対してその径方向外側に連続して形成される第1延設部56および第2延設部57とを一体的に備えている。
【0046】
筒状部53は、内側板23に形成されたドラム保持孔32(図4参照)の内周面とほぼ同じ外径を有し、右側のフランジ部材46の外周面よりもわずかに大きな内径を有している。
【0047】
筒状部53には、その左端面から鍔部55に向けて切り欠かれた形状の1対のスリット58が、筒状部53の周方向に間隔を隔てて設けられている。これにより、筒状部53における1対のスリット58に挟まれた部分は、弾性変形可能な押圧部材59として区画されている。
【0048】
押圧部材59は、右軸受部材51が内側板23のドラム保持孔32に保持されたときに、前側の縦直線部43と上側の横直線部44(図3(b)参照)との間に配置される。言い換えると、押圧部材59は、右軸受部材51が内側板23のドラム保持孔32に保持されたときに、第1平面部をなす後側の縦直線部43と第2平面部をなす下側の横直線部44(図8参照)とに対向する。
【0049】
また、押圧部材59の左端部の内周面には、筒状部53の径方向内方に向けて突出する突出部60が形成されている。
【0050】
突出部60は、断面鉤状をなし、押圧部材59において、筒状部53の周方向すべてにわたって形成されている。
【0051】
また、押圧部材59の左端部の外周面には、後述する付勢部材の一例としてのコイルばね71の付勢部73が係止される第1被係止部66が形成されている。第1被係止部66は、押圧部材59における筒状部53の周方向の略中央部分から径方向外側に突出する略矩形板状に形成されている。
【0052】
また、筒状部53の右端面には、筒状部53の右端部を封止する封止部61が、シャフト保持部54および筒状部53と一体的に形成されている。シャフト保持部54には、シャフト貫通孔62が、筒状部53の軸線方向に貫通して形成されている。
【0053】
そして、シャフト保持部54のシャフト貫通孔62には、棒状のシャフト63が挿入されて固定されている。シャフト63の左端部は、その先端が先細り形状に形成され、筒状部53の左端面よりもさらに突出している。また、シャフト63の右端部は、封止部61よりも右側に突出している。
【0054】
第1延設部56および第2延設部57は、鍔部55の外周縁から前方に延びるように形成されている。第1延設部56は、上側に配置され、第2延設部57は、第1延設部57に対して間隔を隔てて下側に配置されている。
【0055】
第1延設部56は、上下方向に幅広な略矩形板形状に形成されており、筒状部53の上端縁とほぼ面一をなす上面を有している。
【0056】
第2延設部57は、上下方向に幅広な略矩形板形状に形成されており、筒状部53の下端縁とほぼ面一をなす下面を有している。また、第2延設部57は、鍔部55から第1延設部56よりも長く突出するように形成されている。
【0057】
また、第2延設部57には、保持部の一例としてのコイル保持部67および第2被係止部68が形成されている。
【0058】
コイル保持部67は、第2延設部57の後側に設けられ、第2延設部57の右側面から右方に突出する円筒形状のボスとして形成されている。
【0059】
また、第2被係止部68は、第2延設部57の前側に設けられている。第2被係止部68は、第2延設部57の右側面(詳しくは、後述するアクセス孔69)に対して間隔を隔てて対向配置されるように、第2延設部57の右側面から断面略L字形状に突出するように形成されている。
【0060】
一方、筒状部53の軸線方向(左右方向)において、第2延設部57における第2被係止部68と対向する位置には、後述するコイルばね71の第2被係止部68に対する係止を解除するためのアクセス孔69が軸線方向に貫通するように形成されている。
【0061】
また、第2延設部57と鍔部55との境界部分には、後述するコイルばね71が挿通される挿通孔70が軸線方向に貫通するように形成されている。
(7−2)コイルばね
右軸受部材51には、コイルばね71が保持されている。コイルばね71は、その途中部に多重巻きされたコイル部72を備えるねじりコイルばねである。
【0062】
コイル部72は、第2延設部57のコイル保持部67に保持されている。より具体的には、コイル部72の内側にコイル保持部67が挿通された状態で、コイル部72が第2延設部57の右側面に当接している。
【0063】
コイルばね71の一端部は、第2延設部57と鍔部55との境界部分に形成された挿通孔70を介して左側に引き出されている。そして、コイルばね71の一端部は、後上方に向けて延び、筒状部53の周方向に沿って屈曲しつつ、押圧部材59に対してその径方向外側から当接するように、第1被係止部66に係止されている。
【0064】
コイルばね71の一端部において、押圧部材59に対する当接部分は、付勢部73とされる。
【0065】
コイルばね71の他端部は、第2延設部57に沿ってその前側に向けて延び、第2被係止部68と第2延設部57の右側面(アクセス孔69)との間において第2被係止部68に係止されている。コイルばね71の他端部において、第2被係止部68に対する係止部分は、係止部74とされる。
【0066】
コイルばね71は、コイル部72がコイル保持部67に挿入され、付勢部73が第1被係止部66に係止され、係止部74が第2被係止部68に係止された状態で、コイル部72によって付勢部73が押圧部材59をその径方向内側に付勢する付勢力を有している。
(7−3)左軸受部材
左軸受部材52は、樹脂材料から形成され、図7に示すように、軸線方向に厚みを有する円筒状に形成された筒状部81と、筒状部81の軸線方向途中部から筒状部81の径方向外方へ広がる円環板状の鍔部82と、鍔部82に対してその径方向外側に連続して形成される第1延設部86および第2延設部87とを一体的に備えている。
【0067】
筒状部81は、内側板23に形成されたドラム保持孔32(図4参照)の内周面とほぼ同じ外径を有し、左側のフランジ部材46の外周面よりもわずかに大きな内径を有している。
【0068】
筒状部81には、その左端面から鍔部82に向けて切り欠かれた形状の1対のスリット83が、筒状部81の周方向に間隔を隔てて設けられている。これにより、筒状部81における1対のスリット83に挟まれた部分は、弾性変形可能な押圧部材84として区画されている。
【0069】
押圧部材84は、左軸受部材52が内側板23のドラム保持孔32に保持されたときに、前側の縦直線部43と上側の横直線部44(図3(b)参照)との間に配置される。言い換えると、押圧部材84は、左軸受部材52が内側板23のドラム保持孔32に保持されたときに、第1平面部をなす後側の縦直線部43と第2平面部をなす下側の横直線部44に対向する。
【0070】
また、押圧部材84の左端部の内周面には、筒状部81の径方向内方に向けて突出する突出部85が形成されている。
【0071】
突出部85は、断面鉤状をなし、押圧部材84において、筒状部81の周方向すべてにわたって形成されている。
【0072】
第1延設部86および第2延設部87は、鍔部82の外周縁から前方に延びるように形成されている。第1延設部86は、上側に配置され、第2延設部87は、第1延設部86に対して間隔を隔てて下側に配置されている。
【0073】
第1延設部86は、上下方向に幅広な略矩形板形状に形成されており、筒状部81の上端縁とほぼ面一をなす上面を有している。
【0074】
第2延設部87は、上下方向に幅広な略矩形板形状に形成されており、筒状部81の下端縁とほぼ面一をなす下面を有している。また、第2延設部87は、鍔部82から第1延設部86よりも長く突出するように形成されている。
【0075】
また、第2延設部87には、保持部の一例としてのコイル保持部88、および、被係止部89が形成されている。
【0076】
コイル保持部88は、第2延設部87の後側に設けられ、第2延設部87の左側面から左方に突出する円筒形状のボスとして形成されている。
【0077】
また、被係止部89は、第2延設部87の前端部における上下方向略中央部から左方に突出する角柱形状に形成され、その上面が前方に向かうに従って上方に傾斜する傾斜面89aとして形成されている。
(7−4)コイルばね
左軸受部材52には、右軸受部材51に保持されるコイルばね71と同一のコイルばね71が保持されている。なお、左軸受部材52に保持されるコイルばね71では、押圧部材84に対する当接部分が付勢部73であり、被係止部89に対する係止部分が係止部74である。
【0078】
左軸受部材52に保持されるコイルばね71では、コイル部72は、第2延設部87のコイル保持部88に保持されている。より具体的には、コイル部72の内側にコイル保持部88が挿通された状態で、コイル部72が第2延設部87の右側面に当接している。
【0079】
コイルばね71の一端部の付勢部73は、コイル部72から後上方に向けて延び、筒状部81に沿って屈曲しつつ、押圧部材84に対してその径方向外側から当接している。
【0080】
また、コイルばね71の他端部の係止部74は、コイル部72から前側に向けて延び、被係止部89の傾斜面89aに対して上方から当接している。
【0081】
コイルばね71は、コイル部72がコイル保持部88に挿入され、付勢部73が押圧部材84に当接され、係止部74が傾斜面89aに係止された状態で、コイル部72によって付勢部73が押圧部材84をその径方向内側に付勢する付勢力を有している。
(8)ドラムユニットに対する感光ドラムの取り付け
ドラムユニット3に対する感光ドラム5の取り付けは、図2が参照されるように、まず、4つのドラムサブユニット20、フロントビーム21、リヤビーム22および1対の内側板23を組み付ける。
【0082】
具体的には、まず、4つのドラムサブユニット20を、前後方向に一定間隔を隔てて配置する。そして、最前方のドラムサブユニット20に対して前方に間隔を隔てて、フロントビーム21を配置し、最後方のドラムサブユニット20に対して後方に間隔を隔てて、リヤビーム22を配置する。
【0083】
その後、フロントビーム21、4つのドラムサブユニット20およびリヤビーム22の左右方向両側に内側板23を配置し、次に述べるように感光ドラム5を取り付けた後、図示しない複数のねじを介して、フロントビーム21、4つのドラムサブユニット20およびリヤビーム22および内側板23を組み付ける。
【0084】
次に、感光ドラム5の内側板23に対する取り付けについて説明する。
【0085】
感光ドラム5を内側板23に取り付けるには、右側のフランジ部材46に右軸受部材51を装着する。具体的には、図4〜図6を参照して、右側のフランジ部材46を筒状部53の内側に挿入する。これにより、右側のフランジ部材46が筒状部53に遊嵌され、フランジ部材46が右軸受部材51に相対回転可能に支持される。また、筒状部53に形成された押圧部材59の突出部60が、フランジ部材46の外周面に対して弾性的に接触する。また、感光ドラム5の内側には、シャフト保持部54に保持されたシャフト63が挿入される。
【0086】
その後、右側の内側板23のドラム保持孔32に対して、感光ドラム5の右端部に装着された右軸受部材51を装着する。具体的には、まず、右軸受部材51がドラム保持孔32に左側から対向するように感光ドラム5を配置する。その後、右軸受部材51を、筒状部53の外周面をドラム保持孔32の4つの直線部40に接触させつつ、ドラム保持孔32に挿入し、筒状部53をドラム保持孔32に嵌合(内嵌)させる。
【0087】
右軸受部材51がドラム保持孔32に嵌合されると、図8に示すように、筒状部53の外周面と湾曲部41との間には隙間が形成される。また、押圧部材59が前側の縦直線部43と上側の横直線部44との間に配置されるので、フランジ部材46は、第1平面部をなす後側の縦直線部43と、第2平面部をなす下側の横直線部44との間に向けて押圧される。
【0088】
右軸受部材51の外周面が4つの直線部40に接触して固定され、フランジ部材46が第1平面部および第2平面部の間に向けて押圧されることにより、フランジ部材46は、その外周面が右軸受部材51の筒状部53の内周面に接触した状態で、第1平面部および第2平面部の2面に対して位置決めされる。これにより、感光ドラム5の右端部の位置決めが達成される。
【0089】
一方、右軸受部材51のドラム保持孔32への装着が完了した時点で、鍔部55は、右側の内側板23の内側面(左側面)に当接している。これにより、それ以上の右軸受部材51の右方への移動が規制され、右軸受部材51が左右方向(感光ドラム5の軸方向)に位置決めされる。
【0090】
また、左側のフランジ部材46に左軸受部材52を装着する。具体的には、図4、図5および図7を参照して、左側のフランジ部材46を筒状部81の内側に挿入する。これにより、左側のフランジ部材46が筒状部81に遊嵌され、フランジ部材46が左軸受部材52に相対回転可能に支持される。また、筒状部81に形成された押圧部材84の突出部85が、フランジ部材46の外周面に対して弾性的に接触する。
【0091】
その後、左側の内側板23のドラム保持孔32に対して、感光ドラム5の左端部に装着された左軸受部材52を装着する。具体的には、まず、左軸受部材52がドラム保持孔32に右側から対向するように感光ドラム5を配置する。その後、左軸受部材52を、筒状部81の外周面をドラム保持孔32の4つの直線部40に接触させつつ、ドラム保持孔32に挿入し、筒状部81をドラム保持孔32に嵌合(内嵌)させる。
【0092】
左軸受部材52がドラム保持孔32に嵌合されると、図8に示すように、筒状部81の外周面と湾曲部41との間には隙間が形成される。また、押圧部材84が前側の縦直線部43と上側の横直線部44との間に配置されるので、フランジ部材46は、第1平面部をなす後側の縦直線部43と、第2平面部をなす下側の横直線部44との間に向けて押圧される。
【0093】
左軸受部材52の外周面が4つの直線部40に接触して固定され、フランジ部材46が第1平面部および第2平面部の間に向けて押圧されることにより、フランジ部材46は、その外周面が左軸受部材52の筒状部81の内周面に接触した状態で、第1平面部および第2平面部の2面に対して位置決めされる。これにより、感光ドラム5の左端部の位置決めが達成される。
【0094】
一方、左軸受部材52のドラム保持孔32への装着が完了した時点で、鍔部82は、左側の内側板23の内側面(右側面)に当接している。これにより、それ以上の左軸受部材52の左方への移動が規制され、左軸受部材52が左右方向(感光ドラム5の軸方向)に位置決めされる。
【0095】
これにより、ドラムユニット3に対する感光ドラム5の取り付けが完了する。
【0096】
4つの感光ドラム5の取り付けが完了した後は、各内側板23の左右方向外側に、外側板24が、図示しないねじを介して、各内側板23に組み付けられる。これにより、ドラムユニット3の組み付けが完了する。
3.本体ケーシング
(1)ドラムユニットの本体ケーシングに対する着脱
図1を参照して、ドラムユニット3の本体ケーシング2内に対する装着では、まず、本体ケーシング2のフロントカバー4を開放する。そして、ドラムユニット3を本体ケーシング2に向けて後方へ移動させることにより、ドラムユニット3が本体ケーシング2内へ案内される。そして、内側板23の切欠部29(図4参照)が本体基準軸34に当接すると、それ以上のドラムユニット3の押し込みが規制される。また、内側板23の切欠部29が、本体基準軸34に当接することにより、ドラムユニット3が本体ケーシング2内に位置決めされる。
【0097】
これにより、ドラムユニット3の本体ケーシング2に対する装着が完了する。
【0098】
なお、ドラムユニット3の本体ケーシング2からの離脱は、上記の手順と逆の手順により実施する。
(2)本体ケーシングに対する感光ドラムの位置決め
図8で示すように、ドラムユニット3が本体ケーシング2に装着された状態で、各フランジ部材46は、コイルばね71の付勢部73によって、突出部60,85が付勢されることで、第1平面部をなす後側の縦直線部43と、第2平面部をなす下側の横直線部44との間の湾曲部41に向けて押圧される。
【0099】
これにより、感光ドラム5は、右軸受部材51および左軸受部材52を介して、本体ケーシング2に対して上下方向および前後方向において位置決めされる。
(3)感光ドラムに対する駆動力の入力
図2に示すように、本体ケーシング2内にドラムユニット3が装着された状態で、各感光ドラム5の左端部と左右方向に対向する位置には、感光ドラム5に駆動力を伝達するための駆動伝達部35がそれぞれ配置されている。各駆動伝達部35は、ドラムユニット3が本体ケーシング2内に装着された後、右方へと進出し、各左側のフランジ部材46の左端面に設けられた結合溝36(図5参照)に相対回転不能に結合される。これにより、各感光ドラム5に対して駆動伝達部35から駆動力が伝達され、各感光ドラム5が回転駆動される。
【0100】
また、各駆動伝達部35が各フランジ部材46の結合溝36に結合された後、各駆動伝達部35は、さらに右方へと進出する。これにより、各フランジ部材46を介してドラムユニット3が全体的に右方へと移動される。これにより、ドラムユニット3が左右方向において位置決めされる。
4.作用効果
(1)以上のように、右軸受部材51および左軸受部材52は、感光ドラム5の軸線方向(左右方向)の両端部を回転可能に支持している。右軸受部材51は、筒状部53と突出部60とを備えている。また、左軸受部材52は、筒状部81と突出部85とを備えている。筒状部53,81は、ドラム保持孔32に内嵌されるとともにフランジ部材46を遊嵌している。また、突出部60,85は、感光ドラム5の径方向内方に向けて突出している。
【0101】
さらに、感光ドラム5ユニットは、コイルばね71を備えており、コイルばね71により、突出部60,85が、それらに対向する内側板23に向けて付勢され、それによって、フランジ部材46が突出部60,85によって付勢される。
【0102】
フランジ部材46が筒状部53,81に遊嵌され、筒状部53,81において突出部60,85が感光ドラム5の径方向内方に向けて突出しているので、突出部60,85により、フランジ部材46が径方向内方に向けて押圧される。これにより、フランジ部材46が筒状部53,81の内周面および突出部60,85に接触して位置決めされる。
【0103】
また、突出部60,85がコイルばね71により付勢されているので、感光ドラム5の突出部60,85に対する相対回転により突出部60,85が摩耗しても、突出部60,85をフランジ部材46に対して常に適切な付勢力を付与しつつ十分に当接させることができる。その結果、感光ドラム5の右軸受部材51および左軸受部材52に対する位置決め状態を維持することができるので、長期にわたって感光ドラム5を安定して回転させることができる。
(2)また、コイルばね71は、右軸受部材51および左軸受部材52に保持されている。
【0104】
これにより、コイルばね71による付勢力およびその反力の両方が右軸受部材51および左軸受部材52に加わるので、感光ドラム5の右軸受部材51および左軸受部材52に対する精度のよい位置決めを達成することができる。
(3)また、コイルばね71は、感光ドラム5を付勢する付勢部73と、付勢部73に付勢力を付与するためのコイル部72とを備えるねじりコイルばねである。
【0105】
これにより、コイルばね71は、簡素な構成で感光ドラム5を長期にわたって付勢することができる。
(4)また、右軸受部材51および左軸受部材52は、コイル部72を保持するコイル保持部67,88を備えている。
【0106】
これにより、コイル部72がコイル保持部67,88によって保持されるので、コイルばね71のフランジ部材46に対する安定した付勢を達成することができる。
(5)また、筒状部53,81には、左右方向内側端縁から左右方向外側に向けて延びるスリット58,83が、周方向に間隔を隔てて2つ形成されている。そして、突出部60,85は、筒状部53,81における互いに隣接するスリット58,83間に挟まれた部分として区画される押圧部材59,84の左右方向内側端縁の内周面に設けられている。
【0107】
これにより、突出部60,85が感光ドラム5に当接すると、押圧部材59,84が弾性変形する。そして、その変形を復元するための復元力により、突出部60,85がフランジ部材46を押圧する。よって、簡素な構成で突出部60,85により感光ドラム5を押圧することができる。
(6)また、このカラープリンタ1は、本体ケーシング2と、その本体ケーシング2に着脱可能に設けられるドラムユニット3とを備える。そのため、上記した作用効果を得ることができる。
5.第2実施形態
(5−1)プロセスカートリッジ
第1実施形態では、4つの感光ドラム5および4つの現像カートリッジ7を備えるドラムユニット3が本体ケーシング2内に装着されるカラープリンタ1を例示している。
【0108】
これに対して、図9および図10に示すように、1つの感光ドラム5および1つの現像カートリッジ7を保持するプロセスカートリッジ101が、本体ケーシング2(図1参照)に対して着脱自在に装着されてもよい。たとえば、モノクロプリンタでは、1つのプロセスカートリッジ101が本体ケーシング2に着脱自在に装着される。一方、カラープリンタでは、複数(たとえば、4つ)のプロセスカートリッジ101が、各感光ドラム5が並列に配置されるように本体ケーシング2に対してそれぞれ着脱自在に装着される。
【0109】
なお、以下のプロセスカートリッジ101の説明において、方向について言及する場合には、プロセスカートリッジ101を水平に載置した状態を基準として、図9(a)における紙面右側を前側とし、図9(a)における紙面左側を後側とする。また、プロセスカートリッジ101を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図9(a)の紙面手前側が左側であり、紙面奥側が右側である。
【0110】
プロセスカートリッジ101は、図9(a)に示すように、感光ドラム5を保持する感光体ユニットの一例としてのドラムカートリッジ102と、ドラムカートリッジ102に対して着脱可能な現像カートリッジ7とを備えている。
【0111】
ドラムカートリッジ102は、フレームの一例としてのドラムフレーム103を備えている。
【0112】
ドラムフレーム103は、その前側部分に設けられる現像装着部105と、その後側部分に設けられるドラム支持部107とを備えている。
【0113】
現像装着部105は、現像カートリッジ7が着脱可能となるように、上方に開放される略ボックス形状に形成されている。
【0114】
ドラム支持部107は、現像装着部105の後端部から連続して設けられ、左右方向に互いに間隔を隔てて配置される1対の側壁104と、1対の側壁104に支持される感光ドラム5とを備えている(図10参照)。なお、1対の側壁104の上端部には、上壁108が架設されており、その上壁108にスコロトロン型帯電器が支持されている。
【0115】
各側壁104には、図10に示すように、挿通穴113が形成されている。
【0116】
挿通穴113は、各側壁104の中央部分における相対向する位置において、側面視略円形状に貫通形成されている。挿通穴113の穴径は、筒状部53,81の外径と略同径に形成されている。
【0117】
また、各側壁104は、図9(a)に示すように、保持部材110を備えている。
【0118】
保持部材110は、円筒部112と、延長部111とを備えている。
【0119】
円筒部112は、左右方向に延びる略円筒形状に形成されており、その内径は、筒状部53,81の外径と略同径に形成されている。また、円筒部112の左端面は、貫通穴の一例としてのドラム保持穴106として形成されている。
【0120】
延長部111は、円筒部112の左端部における前側部分から前方に延びる側面視略三角形状に形成されている。
【0121】
そして、保持部材110は、挿通穴113の周端部と、円筒部112の左右方向内側端部とが一致するように、各側壁104の左右方向外側面に配置されている。
【0122】
感光ドラム5は、右側のフランジ部材46が、上記と同様の右軸受部材51の筒状部53を介して、円筒部112に保持されるとともに、左側のフランジ部材46が、上記と同様の左軸受部材52の筒状部81を介して、円筒部112に保持されている。つまり、筒状部53および81は、各ドラム保持穴106内に嵌合している。
【0123】
また、左側のフランジ部材46の結合溝36は、左側のドラム保持穴106から露出している。
(5−2)本体ケーシングに対する感光ドラムの装着
次に、本体ケーシング2に対する感光ドラム5の位置決めについて説明する。
【0124】
プロセスカートリッジ101は、図9(b)に示すように、その後側がカラープリンタ1の後下側、その前側がカラープリンタ1の前上側となるように、本体ケーシング2に装着される。
【0125】
本体ケーシング2内には、プロセスカートリッジ101が本体ケーシング2内に装着された状態で、各感光ドラム5の両端部(各円筒部112)に対応する各位置に、位置決め部90が配置されている。
【0126】
位置決め部90は、感光ドラム5に対して後側下方に配置されている。より具体的には、位置決め部90は、コイルばね71の付勢部73(図8および図10参照)による突出部60,85の付勢方向の下流側に配置されている。
【0127】
位置決め部90は、上下方向に延びる第1部分91と、第1部分91の下端部から前方に向けて延びる第2部分92とを一体的に備え、側面視略L字状に形成されている。
【0128】
プロセスカートリッジ101が本体ケーシング2に装着された状態で、各円筒部材112は、第1部分91に対して前方から当接するとともに、第2部分92に対して上方から当接する。
【0129】
このとき、突出部60,85は、対応する付勢部73の付勢力により、第1部分91と第2部分92との連結部分に向かって、各フランジ部材46を押圧している。つまり、突出部60,85は、各フランジ部材46を、対応する各円筒部材112の内周面に向かって押圧している。
【0130】
これにより、感光ドラム5が、各円筒部材112を介して、本体ケーシング2に対して上下方向および前後方向において位置決めされる。
【0131】
このような構成であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0132】
また、本体ケーシング2内には、感光ドラム5を本体ケーシング2に対して位置決めするための位置決め部90が設けられている。そして、各コイルばね71(図10参照)は、押圧部材59,84を介して、各フランジ部材46を位置決め部90に向けて付勢する。
【0133】
これにより、感光ドラム5を本体ケーシング2に対して精度よく位置決めすることができるので、感光ドラム5により良好な画像形成を達成することができる。
6.第3実施形態
上記第1実施形態および第2実施形態では、右軸受部材51および左軸受部材52の両方が、コイルばね71を備えたが、右軸受部材51のみが、コイルばね71を備えてもよい。
【0134】
駆動伝達部35(図2参照)から、左側のフランジ部材46の結合溝36に駆動力が入力されると、結合溝36から距離が遠い側(感光ドラム5の右側)ほど回転ブレが生じやすい。
【0135】
そのため、第3実施形態は、感光ドラム5の右端部に対応して、コイルばね71が設けられているので、部品点数の削減を図ることができながら、感光ドラム5の回転ブレを抑制することができる。
【0136】
なお、これら実施形態1〜3は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0137】
1 カラープリンタ
2 本体ケーシング
3 ドラムユニット
5 感光ドラム
23 内側板
32 ドラム保持孔
36 結合溝
51 右軸受部材
52 左軸受部材
53 筒状部
58 スリット
60 突出部
67 コイル保持部
71 コイルばね
72 コイル部
73 付勢部
81 筒状部
83 スリット
85 突出部
88 コイル保持部
90 位置決め部
102 ドラムカートリッジ
103 ドラムフレーム
106 ドラム保持穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
貫通穴が形成されたフレームと、
前記感光体の軸線方向の端部を回転可能に支持する軸受部材であって、前記軸線方向に厚みを有し、前記貫通穴に内嵌されるとともに、前記感光体の前記軸線方向の端部を遊嵌する筒状部と、前記筒状部から前記感光体の径方向内方に向けて突出する突出部とを有する軸受部材と、
前記突出部を前記フレームに向けて付勢する付勢部材と、
を備えることを特徴とする、感光体ユニット。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記軸受部材に保持されることを特徴とする、請求項1に記載の感光体ユニット。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記突出部を付勢する付勢部と、前記付勢部に付勢力を付与するためのコイル部とを備えるねじりコイルばねであることを特徴とする、請求項1または2に記載の感光体ユニット。
【請求項4】
前記軸受部材は、前記コイル部を保持する保持部を備えることを特徴とする、請求項3に記載の感光体ユニット。
【請求項5】
前記筒状部には、前記軸線方向内側端縁から前記軸線方向外側に向けて延びるスリットが、周方向に間隔を隔てて複数形成されており、
前記突出部は、前記筒状部における互いに隣接する前記スリット間に挟まれた部分において、その軸線方向内側端縁の内周面に設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光体ユニット。
【請求項6】
前記感光体は、前記軸線方向の一方側に、前記感光体を駆動するための駆動力が入力される駆動入力部を備え、
前記付勢部材は、前記軸線方向の他方側に設けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光体ユニット。
【請求項7】
装置本体と、
前記装置本体内に着脱可能に設けられ、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光体ユニットと、
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体内に設けられ、前記感光体を前記装置本体に対して位置決めするための位置決め部を備え、
前記付勢部材は、前記突出部を前記位置決め部に向けて付勢することを特徴とする、請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−54067(P2013−54067A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190046(P2011−190046)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】