説明

感光性樹脂組成物ならびにこれを用いたパターンおよびカラーフィルタ

【課題】 顔料を含有する感光性樹脂組成物の保存安定性を改善する。
【解決手段】(A)顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合性化合物、(D)光重合開始剤、および(E)溶剤を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(E)溶剤が、(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いたパターン、および該パターンを備えたカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カラー表示装置に用いられるカラーフィルタにあっては、一般に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色からなる画素(着色層)が、ブラックマトリクスと呼ばれる格子状の遮光層で囲まれている構成を有する。
かかるカラーフィルタの着色層およびブラックマトリクスを、顔料を含有する感光性樹脂組成物を用いてホトリソグラフ法によって形成する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、顔料を含有する感光性樹脂組成物にあっては、顔料の分散性が悪いという難点がある。顔料の分散性が悪い感光性樹脂組成物は、保存中に顔料の再凝集が生じ易いため、経時変化で増粘したり、極端な場合は顔料成分の沈殿が生じるという問題がある。そして、そのような感光性樹脂組成物を用いて形成された膜には異物が発生し易く、カラーフィルタの品質低下を招いてしまう。
【0004】
下記特許文献1には、特定の溶解度パラメータ(S.P値)を有する溶剤の混合物を使用することにより、カラーフィルタ用重合性組成物の保存安定性を改善する方法が提案されている。
下記特許文献2には、アルコキシブチルアセテート及び/又はアルコキシペンチルアセテートを含む溶剤を用いることにより、カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の樹脂固形分の溶解性、顔料の分散性を向上させる方法が提案されている。
【特許文献1】特開平8−220328号公報
【特許文献2】特開平6−289601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物では、保存中における顔料の再凝集を充分に抑制することができず、保存安定性の改善が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、顔料を含有し、保存安定性に優れた感光性樹脂組成物、ならびにこれを用いたパターンおよびカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の感光性樹脂組成物は(A)顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合性化合物、(D)光重合開始剤、および(E)溶剤を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(E)溶剤が、(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤を含有することを特徴とする。
【0007】
本発明は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたパターン、および該パターンを有するカラーフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顔料を含有するにもかかわらず、保存安定性に優れた感光性樹脂組成物が得られる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、品質の良いパターンを形成することができ、高品質のカラーフィルタが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<(A)顔料>
本発明における顔料としては、有機顔料または無機顔料が使用される。また体質顔料と呼ばれる硫酸バリウム等の無機塩を併用してもよい。
顔料の色調は特に限定されず、得ようとするカラーフィルタの着色層の色調、またはブラックマトリクスの色調に応じて適宜選定することができる。例えばカラーフィルタの着色層用途においては、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、および紫色顔料からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。またブラックマトリクス用途においては、黒色顔料が好ましく用いられる。
カラーフィルタ用途における顔料は、発色性が高く、かつ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、有機顔料が好ましい。
【0010】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0011】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
【0012】
橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
【0013】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
【0014】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
茶色顔料としては、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28。
【0015】
黒色顔料としては、C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7のほか、カーボンブラック、チタンブラック、酸化クロム、酸化鉄、アニリンブラック、ペリレン系顔料等が使用できる。特にカーボンブラックが好ましい。
【0016】
(A)顔料はいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。また、有機顔料は、例えば、硫酸再結晶法、溶剤洗浄法、またはこれらを組み合わた方法等により精製して使用できる。
(A)顔料の添加量は、目的の色調に応じて適宜変更されるものであるが、一般的に、有機顔料の場合には、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して5〜300質量部の範囲で添加することが好ましく、より好ましい範囲は10〜250質量部程度である。
【0017】
<(B)アルカリ可溶性樹脂>
(B−I)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシ基を有するモノマーから選ばれる1種以上と、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ブチルアクリレート、N−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリート、イソブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリルなどから選ばれる1種以上との共重合体や;
フェノールノボラック型エポキシアクリレート重合体、フェノールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、ビスフェノールA型エポキシアクリレート重合体、ビスフェノールS型エポキシアクリレート重合体などの樹脂が挙げられる。
これらの樹脂はアクリロイル基またはメタクリロイル基が導入されていることから架橋効率が高められ塗膜の耐光性、耐薬品性が優れている。
前記アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマー成分のうち、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシ基を有するモノマー成分の含有量が5〜40質量%の範囲であることが好ましい。
【0018】
(B−II)光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂として、下記一般式(I)で示される重合体も適用できる。該一般式(I)で示される化合物は、それ自体が光重合性(光硬化性)を有する。
【0019】
【化1】

【0020】
(式中Xは、下記化学式(II)で示される基であり、Yはジカルボン酸無水物からカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基であり、Zはテトラカルボン酸二無水物から2個のカルボン酸無水物基を除いた残基である。nは[ ]内の繰り返し単位の数を示す。)
【0021】
【化2】

【0022】
前記Yを誘導するジカルボン酸無水物(カルボン酸無水物基を除く前のジカルボン酸無水物)の具体例としては、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、前記Zを誘導するテトラカルボン酸二無水物(2個のカルボン酸無水物基を除く前のテトラカルボン酸二無水物)の具体例としては、例えば無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0023】
(B)アルカリ可溶性樹脂は一種単独でもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また前記アルカリ可溶性樹脂(B−I)だけを用いてもよく、光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂(B−II)だけを用いてもよく、両者を併用してもよい。
本発明における(B)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定するものではないが、1000〜100000が好ましく、3000〜50000がより好ましく、5000〜15000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいとレジストパターン断面形状が良好である。
【0024】
<(C)光重合性化合物>
本発明における光重合性化合物としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお本発明において、光重合性を有する重合体は上記(B)アルカリ可溶性樹脂(B−II)に含まれ、光重合性を有する単量体は(C)光重合性化合物に含まれるものとする。
【0025】
(C)光重合性化合物の配合量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、5〜200質量部の範囲が好ましい。
(C)光重合性化合物の配合量は、(B)アルカリ可溶性樹脂が前記アルカリ可溶性樹脂(B−I)を含む場合、該樹脂(B−I)100質量部に対して、5〜500質量部の範囲が好ましく、より好ましい範囲は20〜300質量部である。
また、(B)アルカリ可溶性樹脂が前記アルカリ可溶性樹脂(B−II)を含む場合、(C)光重合性化合物の配合量は、該樹脂(B−II)100質量部に対して、0.05〜300質量部の範囲が好ましく、より好ましい範囲は1〜100質量部である。
(C)光重合性化合物の配合量を上記範囲の下限値以上とすることにより、露光時の硬化不良が生じ難く、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができる。また良好な被膜形成能を得るうえで、上記範囲の上限値以下とすることが好ましい。
【0026】
<(D)光重合開始剤>
本発明における(D)光重合開始剤としては、下記一般式(III)で示される化合物が好ましい。
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、X’は、一般式(IV)又は一般式(V)で示される基であり、R11は、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、CN、NO又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基であり、R12は、炭素数2〜12のアシル基又は炭素数4〜6のアルケノイル基である。)
【0029】
【化4】

【0030】
(式中、R13〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はフェニルスルファニル基(CS−)である。)
【0031】
【化5】

【0032】
(式中、R18〜R19はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基である。)
【0033】
上記一般式(III)で示される化合物は、特開2000−80068号公報に記載の方法により得られる化合物である。該化合物は、光に対する感受性が他の既知の光重合開始剤に較べてきわめて高く、わずかな照射量の光によって効率的に活性化して光重合性化合物を硬化させることができる。
【0034】
また上記一般式(III)で示される化合物以外の光重合開始剤も用いることができる。
具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジンなどを挙げることができる。
【0035】
これらの中でも、p−メトキシトリアジン等のトリアジン類;2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン類;等のトリアジン化合物、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体;等のイミダゾリル化合物、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1オン;等のアミノケトン化合物が好ましく用いられる。
【0036】
本発明において、光重合開始剤として、一般式(III)で表される化合物と、その他の少なくとも一種の化合物とを併用することが好ましい。このように少なくとも二種の化合物(光重合開始剤)を併用することは、わずかな照射量の光によって効率的に活性化して、感度や現像マージンをさらに高めるうえで好ましい。これは、感光性樹脂組成物において電子バンドスペクトルの異なる化合物(光重合開始剤)が共存することで、光重合開始剤全体が高い感度を有する光の正味の波長領域を広げるか、もしくは少なくとも二種の化合物が相互作用することによると考えられる。
以下に一般式(III)で表される化合物と、その他の少なくとも一種の化合物との組み合わせにおいて、好ましい例を(1)〜(3)に示す。
【0037】
(1)上記一般式(III)で示されるO−アシルオキシム化合物の少なくとも一種の光重合開始剤と、該O−アシルオキシム化合物以外の化合物(上記一般式(III)で示される化合物以外の光重合開始剤)との組み合わせが好ましい。
上記O−アシルオキシム化合物の中では、一般式(III)において、R11がn−ヘキシル(C13−)で、R12がベンゾイル基で、X’が一般式(IV)で示されるとともに、R13、R14、R16、R17が水素原子、R15がフェニルスルファニル基(CS−)であるもの、すなわち下記式(VI)で示される1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)が、光に対する感度や入手の容易さの点で好ましい。
【0038】
【化6】

【0039】
さらに、上記O−アシルオキシム化合物の中では、一般式(III)において、R11がメチルで、R12がアセチル基で、X’が前記一般式(V)で示されるとともに、R18がエチル基で、R19がメチル基であるもの、すなわち下記式(VII)で示されるエタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が、光に対する感度がさらに高く、より好ましい。
【0040】
【化7】

【0041】
(2)上記一般式(III)で示され、X’が一般式(IV)で示される光重合開始剤と、トリアジン化合物との組み合わせも好ましい。
特にトリアジン化合物としては、下記式(VIII)、下記式(IX)、下記式(X)(式中、R21、R22は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で示されるトリアジン化合物が特に好ましい。また、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンも上記トリアジン化合物と同様に用いることができる。
【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
(3)上記一般式(III)で示され、X’が一般式(V)で示される光重合開始剤と、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンとの組み合わせも好ましい。また、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1オンの代わりに上述のトリアジン化合物も同様に組み合わせることができる。
【0046】
一般式(III)で表される化合物と、一般式(III)で示される化合物以外のその他の化合物(特にトリアジン化合物、イミダゾイル化合物及びアミノケトン化合物)との配合割合は、質量比で10:90〜90:10であることが好ましく、特に20:80〜80:20であることが好ましい。一般式(III)で示される化合物と、一般式(III)で示される化合物以外のその他の化合物との配合割合が上述の範囲内であることで、両者の化合物が効果的に相互作用して、感光性樹脂組成物の感度、現像マージンをさらに向上させることができる。
【0047】
本発明の感光性樹脂組成物における上記(D)光重合開始剤の配合量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲が好ましい。
【0048】
<(E)溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は(E)溶剤を含有しており、該(E)溶剤には少なくとも(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤が含まれている。
【0049】
(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤
(E1)成分はアルキル基を有する芳香族系の化合物を主成分とする溶剤である。(E1)成分のうちの90質量%以上がアルキル基を有する芳香族化合物であることが好ましく、98質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
【0050】
アルキル基を有する芳香族化合物の例としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼンが挙げられる。
モノアルキルベンゼンの具体例としては、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1−メチルエチルベンゼン、1−メチルプロピルベンゼン、2−メチルプロピルベンゼン等が挙げられる。
ジアルキルベンゼンの具体例としては、キシレン、ジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン等が挙げられる。
トリアルキルベンゼンの具体例としては、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン等が挙げられる。
また、インダン等のベンゼン環との縮合環を有するものも挙げられる。
(E1)成分に含まれるアルキル基を有する芳香族化合物は、上記のいずれか1種であってもよく、2種以上であってもよい。特にジアルキルベンゼンとトリアルキルベンゼンとを含むことが好ましく、モノアルキルベンゼンとジアルキルベンゼンとトリアルキルベンゼンとを含むことがより好ましい。
【0051】
モノアルキルベンゼンとジアルキルベンゼンとトリアルキルベンゼンを含む(E1)成分における好ましい組成は、モノアルキルベンゼンが25〜45質量%、ジアルキルベンゼンが10〜30質量%、トリアルキルベンゼンが35〜55質量%程度である。
かかる組成を有するアルキル基含有芳香族系溶剤としては、市販のソルベッソ100(商品名、エクソン化学社製)、スワゾール1000(商品名:丸善石油化学社製)等を用いることができる。
【0052】
(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤は、沸点が110〜180℃の範囲内であるものが好まく、(E1)成分が複数成分の混合物である場合、(E1)成分の全ての構成成分の沸点が上記範囲内であることが好ましい。(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤の沸点が、上記範囲内であることにより、感光性樹脂組成物の塗布性を向上させるとともに、好ましい乾燥性をもたせることができる。。
かかる沸点を有するアルキル基含有芳香族系溶剤としては、市販のソルベッソ100(商品名、エクソン化学社製)、スワゾール1000(商品名:丸善石油化学社製)等を用いることができる。
【0053】
(E)溶剤として、(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤とそれ以外の(E2)他の溶剤との混合物を用いることが好ましい。
(E2)他の溶剤としては、ベンゼン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチルなどが挙げられる。
これらの中で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートが好ましい。
特に、3−メトキシブチルアセテートは感光性樹脂組成物中の可溶成分に対して優れた溶解性を示すとともに、顔料などの不溶性成分の分散性向上に寄与できるため、(E)溶剤に3−メトキシブチルアセテートを含有させることが好ましい。
(E2)成分として、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
(E)溶剤中における、(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤の含有割合は、1〜50質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましい。該(E1)成分の含有割合を上記範囲内とすることにより、感光性樹脂組成物の各成分の相溶性および分散性を向上させる効果を十分に得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物における(E)溶剤の含有量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。
感光性樹脂組成物の固形分濃度は、5〜100質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
【0055】
<その他の成分>
また、本発明の感光性樹脂組成物には、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等を添加してもよい。
上記熱重合禁止剤としては、従来公知のものであってよく、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。
上記消泡剤としては、従来公知のものであってよく、シリコーン系、フッ素系化合物が挙げられる。
上記界面活性剤としては、従来公知のものであってよく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。
【0056】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば以下の方法により調製することができる。
(A)顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合性化合物、(D)光重合開始剤、必要に応じて有機添加剤等、および(E)溶剤を、3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、5μmメンブランフィルターで濾過して感光性樹脂組成物を調製する。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物は、ホトリソグラフ法によりパターンを形成するのに好適に用いることができる。特にカラーフィルタを構成するブラックマトリクスおよび/または着色層を成すパターンを形成する用途に好適に用いることができる。
【0058】
<パターン形成方法>
以下、本発明の感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する方法を、カラーフィルタに用いられるパターン(ブラックマトリクスおよび着色層)を例に挙げて説明する。
【0059】
1.ブラックマトリクス(黒色着色層)の形成
まず感光性樹脂組成物(黒色の顔料を含む)を、基板上にロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する。基板は、光透過性を有する基板が用いられ、例えば厚さ0.5〜1.1mmのガラス基板である。
ガラス基板と感光性樹脂組成物との密着性を向上させるために、予めガラス基板上にシランカップリング剤を塗布しておいてもよい。あるいは感光性樹脂組成物の調製時にシランカップリング剤を添加しておいてもよい。
上記塗布後、乾燥させて溶剤を除去する。乾燥方法は特に限定されず、例えば(1)ホットプレートにて80℃〜120℃、好ましくは90℃〜100℃の温度にて60秒〜120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間〜数日放置する方法、(3)温風ヒーターや赤外線ヒーター中に数十分〜数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれでもよい。
【0060】
次いで、ネガ型のマスクを介して、紫外線、エキシマレーザー光等の活性性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm程度が好ましい。
露光後の膜を、現像液を用いて現像することによって所望の形状にパターニングする。
現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
現像後、200℃程度でポストベークを行う。また、形成されたパターンを全面露光することが好ましい。
【0061】
2.他の着色層の形成
上記で形成されたパターン(ブラックマトリクス)を有するガラス基板に、感光性樹脂組成物を上記と同様に塗布、乾燥、露光、現像して所定の色の着色層を、ブラックマトリクスの所定の位置(開口部)にパターン(ストライプまたはドット等)が形成されるようにする。
例えば、RGBのカラーフィルタを製造する場合には、R,G,Bの各色の感光性樹脂組成物を用いて、前記工程を繰り返し、3色のパターン(着色層)を形成する。
以上より、カラーフィルタを形成することができる。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、(E)溶剤中に(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤を含有させることにより、組成物中の各成分の相溶性、分散性が向上し、その結果、顔料の再凝集が抑制され、保存中における異物の発生や、粘度の増大が改善される。これにより、感光性樹脂組成物の経時安定性が向上し、歩留まりが向上する。
したがって、本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、良好なパターンを安定して形成することができ、高品質のカラーフィルタを形成することができる。
特に、カーボンが分散されている感光性樹脂組成物においては、(E1)成分を用いることによる顔料の凝集現象を改善する効果が高い。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
下記の配合で各成分を混合して感光性樹脂組成物(a1)を調製した。
(A)黒色顔料として、カーボンブラックをアクリル樹脂と分散した3−メトキシブチルアセテートの20%溶液を175質量部用いた。
(B)アルカリ可溶性樹脂としてカルドエポキシジアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸共重合ポリマーを100質量部用いた。
(C)光重合性化合物として、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートを35質量部用いた。
(D)光重合開始剤として、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1オン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビスイミダゾールを等比で配合したものを40質量部用いた。
(E)溶剤として、質量比3−メトキシブチルアセテート:PGMEA:シクロヘキサノンが6:2:2の3成分混合物95質量部と、ソルベッソ100(商品名)の5質量部とを混合した混合溶剤を用いた。(E)溶剤の使用量は固形分濃度が30質量%となるように調整した。
【0064】
(比較例1)
実施例1において、ソルベッソ100を用いず、溶剤として前記3成分混合物を用いたほかは実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(b1)を調製した。
【0065】
(比較例2)
実施例1において、ソルベッソ100の代わりに、水5質量部を用いたほかは実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(b2)を調製した。
(比較例3)
実施例1において、ソルベッソ100の代わりに、N,N−ジメチルアセトアミドの5質量部を用いたほかは実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(b3)を調製した。
(比較例4)
実施例1において、ソルベッソ100の代わりに、アセトンの5質量部を用いたほかは実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(b4)を調製した。
(比較例5)
実施例1において、ソルベッソ100の代わりに、3−メトキシブチルアセテートの5質量部を用いたほかは実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(b5)を調製した。
【0066】
〔保存安定性の評価〕
上記で調製した各感光性樹脂組成物(a1)および(b1)〜(b5)を、暗所に室温で3週間保管した。保管する前および保管後にそれぞれ粘度を測定し、粘度の変化を下記の基準で評価した。その結果を下記表1に示す。
○:保存前後で粘度はほとんど変わらなかった。
×:保存前に比べて保存後は粘度が増加した。
【0067】
〔異物発生の評価〕
調製後、暗所に室温で3週間保管した各感光性樹脂組成物(a1)および(b1)〜(b5)を用い、ガラス基板に膜厚1200nmになるように、スピンコーター(1H−360s:ミカサ社製)で塗布し、90℃で2分間ホットプレート上にて乾燥して塗膜を形成した。
得られた膜を目視で観察して、異物発生の有無を下記の基準で評価した。その結果を下記表1に示す。
○:異物の発生がほとんどない。
×:異物が発生した。
【0068】
【表1】

【0069】
表1の結果に示されるように、実施例1では保存中に粘度が増大せず、保存後における異物発生も低減されており、優れた保存安定性が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)光重合性化合物、(D)光重合開始剤、および(E)溶剤を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(E)溶剤が、(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤の沸点が110〜180℃である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(E)溶剤中における、前記(E1)アルキル基含有芳香族系溶剤の含有割合が1〜50質量%である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(E)溶剤が、さらに3−メトキシブチルアセテートを含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)顔料が黒色顔料を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記黒色顔料がカーボンブラックである請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)顔料が、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、および紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたパターン。
【請求項9】
請求項8に記載のパターンを有するカラーフィルタ。



【公開番号】特開2007−3789(P2007−3789A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183355(P2005−183355)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】